JP2003521245A - ペプチドおよび核酸組成物を使用する、前立腺癌抗原に対する細胞性免疫応答の誘導 - Google Patents

ペプチドおよび核酸組成物を使用する、前立腺癌抗原に対する細胞性免疫応答の誘導

Info

Publication number
JP2003521245A
JP2003521245A JP2001546667A JP2001546667A JP2003521245A JP 2003521245 A JP2003521245 A JP 2003521245A JP 2001546667 A JP2001546667 A JP 2001546667A JP 2001546667 A JP2001546667 A JP 2001546667A JP 2003521245 A JP2003521245 A JP 2003521245A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
peptide
epitope
hla
epitopes
peptides
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001546667A
Other languages
English (en)
Inventor
ジョン ファイクス,
アレッサンドロ セッテ,
ジョン シドニー,
スコット サウスウッド,
ロバート チェスナット,
エステバン セリス,
エリッサ ケオグ,
Original Assignee
エピミューン, インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by エピミューン, インコーポレイテッド filed Critical エピミューン, インコーポレイテッド
Publication of JP2003521245A publication Critical patent/JP2003521245A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/46Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
    • C07K14/47Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
    • C07K14/4701Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals not used
    • C07K14/4748Tumour specific antigens; Tumour rejection antigen precursors [TRAP], e.g. MAGE
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/46Cellular immunotherapy
    • A61K39/461Cellular immunotherapy characterised by the cell type used
    • A61K39/4615Dendritic cells
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/46Cellular immunotherapy
    • A61K39/462Cellular immunotherapy characterized by the effect or the function of the cells
    • A61K39/4622Antigen presenting cells
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/46Cellular immunotherapy
    • A61K39/464Cellular immunotherapy characterised by the antigen targeted or presented
    • A61K39/4643Vertebrate antigens
    • A61K39/4644Cancer antigens
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K2239/00Indexing codes associated with cellular immunotherapy of group A61K39/46
    • A61K2239/38Indexing codes associated with cellular immunotherapy of group A61K39/46 characterised by the dose, timing or administration schedule
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies

Abstract

(57)【要約】 本発明は、抗原が、T細胞によって認識される機構に関する、本発明者らによる知見を使用することによって、前立腺癌関連抗原エピトープを同定し、そして前立腺癌関連抗原エピトープを調製し、そして前立腺癌関連抗原を保有する腫瘍に対して指向される、エピトープベースのワクチンを開発する。より詳細には、本出願は、薬学的組成物に関する本発明者らの知見、ならびに癌の予防および癌の処置において使用する方法に関する本発明者らの知見を伝える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (I.発明の背景) 増加中の証拠群が、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)が腫瘍細胞に対する免疫
応答において重要であることを示唆する。CTLは、ほとんどすべての有核細胞
の表面上で発現されるHLAクラスI分子の状況でペプチドエピトープを認識す
る。内因的に合成された腫瘍抗原の細胞内プロセシング後、抗原由来ペプチドエ
ピトープが、小胞体においてクラスI HLA分子に結合し、次いで、生じた複
合体が、細胞表面に輸送される。CTLは、このペプチド−HLAクラスI複合
体を認識し、次いでこのことは、このHLA−ペプチド複合体を保有する細胞の
、直接このCTLによる破壊、および/または非破壊的機構の活性化(例えば、
免疫応答を増強しそして腫瘍細胞の破壊を促進するリンホカイン(例えば、腫瘍
壊死因子α(TNF−α)またはインターフェロンγ(IFNγ)の活性化)を
介する破壊を生じる。
【0002】 腫瘍特異的ヘルパーTリンパ球HTLもまた、有効な抗腫瘍免疫を維持するた
めに重要であることが公知である。抗腫瘍免疫におけるその役割が、これらの細
胞がCTLおよび抗体応答の誘導の補助を提供するだけでなく、エフェクター機
能も提供するように作用する動物モデルにおいて示されており、これは、直接の
細胞接触により媒介され、そしてリンホカイン(例えば、IFNγおよびTNF
−α)の選択によっても媒介される。
【0003】 有効な腫瘍ワクチンの開発における基本的難題は、生じ得る免疫抑制または免
疫寛容である。従って、進行を妨げそして/または腫瘍を除去するに十分な範囲
および強さの免疫応答を惹起するワクチン実施形態を確立する必要が存在する。
【0004】 本発明者らが記載しているようなエピトープアプローチは、それが、1つ以上
の標的腫瘍関連抗原(TAA)の別個の領域からの種々のCTLエピトープ、H
TLエピトープ、および抗体(必要な場合)エピトープを単一のワクチン組成物
に組み込み可能にするという点で、この難題に対する解決を示す。このような組
成物は、複数のドミナント(dominant)エピトープおよびサブドミナン
トエピトープを同時に標的とし得、それにより種々の集団における有効な免疫を
達成するために使用され得る。
【0005】 前立腺癌は、男性において最も一般的な悪性疾患である。今の治療(すなわち
、男性ホルモン遮断、抗男性ホルモン撤退、および他の二次的なホルモン治療と
組み合わせられる化学療法)は、限定的な成功を受けている。従って、より効能
のある治療を開発することが必要である。本発明の多エピトープの免疫治療ワク
チン組成物は、この必要性を満たす。
【0006】 前立腺癌に関連する抗原として、前立腺特異的抗原(PSA)、前立腺特異的
膜抗原(PSM)、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、およびヒトカリクレ
イン2(hK2またはHuK2)が挙げられる。これらの抗原は、本発明のポリ
エピトープワクチン組成物に対して重要な抗原標的を示す。
【0007】 PSMはまた、前立腺癌治療に対して重要な候補である。これは、前立腺腺癌
において高レベルで発現される2型膜タンパク質である。発現のレベルは、転移
およびホルモン治療に対して難治性である癌において増加する。PSMは、一般
的に正常な組織上で存在しないが、結腸陰窩および十二指腸において低いレベル
が検出されており、そしてPSMは、正常な雄性血清および精液において検出さ
れ得る(例えば、Silverら、Clin.CancerRes.3:81−
85,1997を参照のこと)。PSMに対するCTL応答はまた、文書で説明
されている(例えば、Murphyら、Prostate29:371−380
,1996;およびSalgallerら、Prostate 35:144−
151,1998を参照のこと)。
【0008】 PAPは、前立腺における細胞によって専ら分泌される組織特異的な分化抗原
である(例えば、Lamら、Prostate 15:13−21,1989を
参照のこと)。PAPは、血清において検出され得、レベルは、前立腺癌を有す
る患者において増加する(例えば、Jacobsら、Curr.Probl.C
ancer 15:299−360,1991を参照のこと)。PAPタンパク
質配列は、タンパク質中の至る所に分布される相同性領域を有する他の酸性ホス
ファターゼと最高で49%の配列相同性を有する。従って、PAP特異的エピト
ープは、同定され得、そしていくつかの異なるCTLエピトープが記載されてい
る(例えば、Peshwaら、Prostate 36:129−138,19
98を参照のこと)。
【0009】 hK2タンパク質は、ポリペプチドの翻訳後プロセシングに関与する機能的な
セリンプロテアーゼである。hK2タンパク質は、前立腺上皮の側で専ら発現さ
れ、そして良性前立腺癌組織および悪性前立腺癌組織の両方において見出される
。正常な前立腺細胞の50%において発現されるが、hK2を発現する細胞のパ
ーセンテージは、腺癌および前立腺上皮内の新形成(PIN)において増加する
(例えば、Darsonら、Urology 49:857−862,1997
を参照のこと)。前立腺ガン細胞上のこの抗原の好ましい発現に基づいて、hK
2はまた、免疫治療について重要な標的である。
【0010】 前立腺特異的抗原(PSA)(hK3ともいわれる) は、分泌されるセリンプロテアーゼおよびタンパク質のカリクレインファミリー
のメンバーである。PSA遺伝子は、hK2遺伝子と80%の相同性であるが、
hK2の組織発現は、PSAと独立して調節される(例えば、Darsonら、
Urology 49:857−862,1997を参照のこと)。PSAの発
現は、前立腺上皮細胞(良性および悪性の両方)に対して制限される。この抗原
は、ほとんどの前立腺癌患者の血清および精液血漿において検出され得る。PS
A由来のいくつかのT細胞エピトープは、同定されており、そして免疫原性であ
ることが見出されており、そして抗体応答は、患者において報告されている(例
えば、Correaleら、J.Immunol.161:3186,1998
;およびAlexanderら、Urology 51:150−157,19
98を参照のこと)。従って、この前立腺制限発現および免疫応答を刺激する能
力に基づいて、PSAは、前立腺癌の免疫治療に対する誘引標的である。
【0011】 この節において提供される情報は、本出願の出願日時点で現在理解されている
技術水準を開示することが意図される。本出願の優先日後に得られた情報は、こ
の節に含まれる。従って、この節の情報は、いかようにも、本発明の優先日で線
引きすることが意図されない。
【0012】 (II.発明の要旨) 本発明は、例えば、TAAに対するエピトープベースワクチンを開発するため
に、抗原がT細胞によって認識される機構についての本発明者らの知識を適用す
る。より詳細には、本願は、診断的および/または薬学的組成物における含有物
のためのエピトープならびに、免疫応答の評価および癌の処置かつ/予防に対す
るエピトープの使用方法を同定する。
【0013】 このエピトープベースワクチンの使用は、特に、ワクチン組成物における抗原
全体の使用と比較した場合に、現在のワクチンを超えるいくつかの利点を有する
。例えば、抗原全体中に存在し得る免疫抑制エピトープが、エピトープベースワ
クチンの使用により回避され得る。このような免疫抑制エピトープは、例えば、
抗原全体におけるイムノドミナントエピトープに対応し得、これは、非ドミナン
ト領域からペプチドエピトープを選択することによって回避され得る(例えば、
Disisら、J.Immunol.156:3151〜3158、1996を
参照のこと)。
【0014】 エピトープベースワクチンのアプローチのさらなる利点は、選択されたエピト
ープ(CTLおよびHTL)を組み合わせる能力であり、さらに(例えば、増強
された免疫原性を達成する)これらのエピトープの組成を改変する能力である。
従って、免疫応答は、標的疾患について適切なように調節され得る。この応答の
類似の操作は、従来のアプローチでは可能でない。
【0015】 エピトープベース免疫刺激ワクチンの別の主な利点は、その安全性である。そ
れ自体の固有の生物学的活性を有し得る病原菌(infectious age
nt)またはタンパク質抗原全体によって引き起こされる、可能性のある病理学
的副作用は、排除される。
【0016】 エピトープベースワクチンはまた、同じ病原体(「病原体」とは、病原菌また
は腫瘍関連分子であり得る)由来の複数の選択された抗原に対して免疫応答を指
向し焦点を合わせる能力を提供する。従って、特定の病原体に対する免疫応答に
おける患者間の変動性は、ワクチン組成物に、この病原体由来の複数の抗原由来
のエピトープを含めることによって軽減され得る。
【0017】 さらに、エピトープベース抗腫瘍ワクチンはまた、複数の腫瘍関連分子に由来
するエピトープを組み合わせる機会を提供する。従って、この能力は、所定の腫
瘍型について広く標的とする抗腫瘍ワクチンを開発する場合に生じる腫瘍間の変
動性という問題に取り組み得、そしてまた、抗原損失に起因する腫瘍の逸脱の可
能性を減少し得る。例えば、1人の患者中の乳癌腫瘍は、別の患者中の乳癌腫瘍
と異なる標的TAAを発現し得る。複数のTAAに由来するエピトープが、両方
の乳癌腫瘍を標的とするポリエピトープワクチンに含まれ得る。
【0018】 しかし、広く効果的なエピトープベース免疫療法剤の開発に対する最も困難な
障壁の1つは、HLA分子の極度な多型性であった。今日まで、非遺伝学的偏向
がない有効な集団適用範囲は、かなり複雑な課題であり;このような適用範囲は
、各々個々のHLA対立遺伝子に対応するHLA分子に特異的なエピトープを使
用することを必要とした。従って、民族的に多様な集団をカバーするためには、
実行不可能に多くの数のエピトープを使用しなければならなかった。従って、エ
ピトープベースワクチンにおける使用のための、複数のHLA抗原分子が結合し
たペプチドエピトープの必要性が存在していた。結合するHLA抗原分子数が多
いほど、ワクチンによる集団の適用範囲の広さは大きくなる。
【0019】 さらに、より詳細に本明細書中に記載されるように、ペプチド結合特性を(例
えば、複数のHLA抗原に結合し得るペプチドが、免疫応答を刺激する親和性で
複数のHLA抗原に結合するように)調節する必要性が存在していた。免疫原性
に相関する親和性で1つより多くHLA対立遺伝子によって拘束されるエピトー
プの同定が、十分な集団適用範囲を提供するため、そしてその集団の多様な部分
において感染を予防または排除するに十分に強力な応答の誘発を可能にするため
に、重要である。このような応答はまた、広範な多くのエピトープを標的し得る
。本明細書中に開示される技術は、このような好ましい免疫応答を提供する。
【0020】 好ましい実施形態において、本発明のワクチン組成物に含むためのエピトープ
は、既知の抗原のタンパク質配列を、モチーフ保有エピトープまたはスーパーモ
チーフ保有エピトープの存在について評価するプロセスによって、選択される。
次いで、モチーフ保有エピトープまたはスーパーモチーフ保有エピトープに対応
するペプチドを合成し、そしてそれらのペプチドを、その選択されたモチーフを
認識するHLA分子に結合する能力について試験する。中程度の親和性または高
い親和性(すなわち、HLAクラスI分子ついては、IC50(またはK値)
500nM以下、またはHLAクラスII分子については、IC501000n
M以下で結合するこれらのペプチドを、CTL応答またはHTL応答を誘導する
それらの能力についてさらに評価する。免疫原性ペプチドエピトープを、ワクチ
ン組成物に含むために選択する。
【0021】 スーパーモチーフ保有ペプチドを、HLAスーパータイプファミリー内の複数
の対立遺伝子に結合する能力について、さらに試験し得る。さらに、ペプチドエ
ピトープを、HLAスーパータイプ内の複数の対立遺伝子に対する結合親和性お
よび/またはこれら複数の対立遺伝子に結合する能力を改変するために、アナロ
グ化し得る。
【0022】 本発明はまた、既知のHLA型を有する患者において、TAAに対する免疫応
答をモニターまたは評価するための方法を含む、実施形態を包含する。このよう
な方法は、患者由来のTリンパ球サンプルを、TAAエピトープを含むペプチド
組成物と共にインキュベートする工程、および、このペプチドに結合するTリン
パ球の存在について検出する工程を包含し、このTAAエピトープは、スーパー
モチーフまたはモチーフを含み、そしてその患者に存在する少なくとも1つのH
LA対立遺伝子の産物を結合するアミノ酸配列を有する。CTLペプチドエピト
ープは、例えば、この型の分析のためのテトラマー複合体の成分として使用され
得る。
【0023】 本発明に従うペプチドエピトープを規定するための代替的様式は、特定の対立
遺伝子特異的HLA分子または対立遺伝子特異的HLA分子のグループへの結合
に相関される、物理的特性(例えば、長さ;一次構造;または電荷)を記載する
ことである。ペプチドエピトープを規定するためのさらなる様式は、HLA結合
ポケットの物理的特性またはいくつかの対立遺伝子特異的HLA結合ポケットに
共有される特性(例えば、ポケットの形状および電荷分布)を記載すること、お
よびこのペプチドエピトープがポケット(単数または複数)に適合しそして結合
することを記載することである。
【0024】 以下の議論から明らかなように、他の方法および実施形態もまた意図される。
さらに、本明細書中の方法のいずれかによって生成された新規合成ペプチドもま
た、本発明の一部である。
【0025】 (III.図面の簡単な説明) 適用されず。
【0026】 (IV.発明の詳細な説明) 本発明のペプチドエピトープおよび対応する核酸組成物は、CTL応答または
HTL応答の生成を刺激することによって、TAAに対する免疫応答を刺激する
ために有用である。これらのペプチドエピトープは、ネイティブTAAタンパク
質アミノ酸配列に直接的または間接的に由来し、HLA分子に結合し得そしてT
AAに対する免疫応答を刺激し得る。分析されるTAAタンパク質の完全配列は
、Genbankより入手され得る。以下に提供する開示から明らかなように、
ペプチドエピトープおよびそのアナログはまた、配列情報から容易に決定され得
、配列情報は、今後、以前に未知であった特定のTAAの改変体について発見さ
れるかもしれない。
【0027】 標的TAAの一覧としては、以下の抗原が挙げられるが、これらに限定されな
い:MAGE1、MAGE2、MAGE3、MAGE−11、MAGE−A10
、BAGE、GAGE、RAGE、MAGE−C1、LAGE−1、CAG−3
、DAM、MUC1、MUC2、MUC18、NY−ESO−1、MUM−1、
CDK4、BRCA1、NY−LU−1、NY−LU−7、NY−LU−12、
CASP8、RAS、KIAA−2−5、SCC、p53、p73、CEA、H
er2/neu、Melan−A、gp100、チロシナーゼ、TRP2、gp
75/TRP1、カリクレイン、PSM、PAP、PSA、PT1−1、B−カ
テニン、PRAME、テロメラーゼ、FAK、サイクリンD1タンパク質、NO
EY2、EGF−R、SART−1、CAPB、HPVE7、p15、葉酸レセ
プターCDC27、PAGE−1およびPAGE−4。これらの抗原由来のエピ
トープは、特異的な腫瘍型(例えば、前立腺腫瘍)を標的とする、または腫瘍の
複数の型を標的とする1つの別のものと組み合わせて使用され得る、 本発明のペプチドエピトープは、以下で議論されるように、多くの方法で同定
された。特定のアミノ酸残基を改変して、変化した免疫原性を示すペプチドアナ
ログを作製することによって、アナログペプチドを誘導し、そしてHLA分子の
結合活性が調節されることもまた、より詳細に議論する。さらに、本発明は、種
々の対立遺伝子によってコードされるHLA分子と相互作用し得るエピトープベ
ースワクチンに、先行技術のワクチンよりも広い集団適用範囲を提供させ得る、
組成物および組成物の組み合わせを提供する。
【0028】 (IV.A.定義) 本発明は、アルファベット順に列挙した、以下の定義を参照してより良好に理
解され得る。
【0029】 本明細書中で使用される場合、「構築物」は、一般に、天然に存在しない組成
物を示す。構築物は、核酸またはアミノ酸についての合成技術(例えば、組換え
DNAの調製および発現または化学合成技術)によって、生成され得る。構築物
はまた、結果としてその形態が天然において見い出されないように、ある材料へ
の別の材料の付加または添加(affiliation)によって生成され得る
【0030】 「コンピューター」または「コンピューターシステム」は、一般に、以下を備
える:プロセッサー;少なくとも1つの情報記憶/検索装置(例えば、ハードド
ライブ、ディスクドライブまたはテープドライブなど);少なくとも1つの入力
装置(例えば、キーボード、マウス、タッチスクリーン、またはマイクロホンな
ど);およびディスプレイ構造。さらに、コンピューターは、ネットワークと連
絡する通信チャネルを備え得る。このようなコンピューターは、多かれ少なかれ
、上記に列挙したものを備え得る。
【0031】 「交差反応結合」とは、1より多いHLA分子がペプチドに結合することを示
し;同義語は、縮重(degenerate)結合である。
【0032】 「潜在(criptic)エピトープ」は、単離されたペプチドでの免疫によ
って応答を誘導するが、そのエピトープを含むインタクトなタンパク質全体が抗
原として使用される場合に、その応答は、インビトロで交差反応性でない。
【0033】 「ドミナント(dominant)エピトープ」は、ネイティブ抗原全体での
免疫に際して免疫応答を誘導するエピトープである(例えば、Sercarzら
、Annu.Rev.Immunol.11:729−766,1993を参照
のこと)。このような応答は、単離されたペプチドエピトープとは、インビトロ
で交差反応性である。
【0034】 特定のアミノ酸配列に関して、「エピトープ」は、特定の免疫グロブリンによ
る認識に関与するアミノ酸残基のセットであるか、またはT細胞の状況下では、
T細胞レセプタータンパク質および/または主要組織適合遺伝子複合体(MHC
)レセプターによる認識に必要な残基である。インビボまたはインビトロでの免
疫系の設定において、エピトープは、免疫グロブリン、T細胞レセプターまたは
HLA分子によって認識される部位を共に形成する、分子の集団的特徴(例えば
、一次ペプチド構造、二次ペプチド構造および三次ペプチド構造および電荷のよ
うな)である。本開示全体を通して、エピトープおよびペプチドは、しばしば、
交換可能に使用される。
【0035】 本発明のエピトープおよびさらなるアミノ酸を含むタンパク質またはペプチド
分子が、本発明の範囲内にあることが理解されるべきである。特定の実施形態に
おいて、さもなければ本明細書で規定されるような構築物ではないとする、本発
明のペプチドの長さに関する制限が存在する。長さが制限される実施形態は、本
発明のエピトープを含むタンパク質/ペプチドがネイティブ配列と100%同一
性を有する領域(すなわち、一連の連続するアミノ酸)を含む場合に、生じる。
例えば、天然分子全体に対する読み取り枠由来の具陳したエピトープの定義を回
避するために、ネイティブペプチド配列との100%同一性を有する任意の領域
の長さが制限される。従って、本発明のエピトープおよびネイティブペプチド配
列との100%同一性を有する領域を含む(そして、さもなければ構築物ではな
い)ペプチドについて、ネイティブ配列に対する100%同一性を有するその領
域は、一般に、600アミノ酸以下、しばしば、500アミノ酸以下、しばしば
、400アミノ酸以下、しばしば、250アミノ酸以下、しばしば、100アミ
ノ酸以下、しばしば、85アミノ酸以下、しばしば、75アミノ酸以下、しばし
ば、65アミノ酸以下、そしてしばしば、50アミノ酸以下の長さを有する。特
定の実施形態において、構築物ではない本発明の「エピトープ」は、ネイティブ
ペプチド配列に対して100%同一性を有する51アミノ酸未満(任意の変化量
(50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39
、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27
、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15
、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5)のアミノ酸から5アミ
ノ酸まで)の領域を有するペプチドに含まれる。
【0036】 600アミノ酸より長い特定のペプチドまたはタンパク質配列は、本発明の範
囲内である。このような長い配列は、それらが、ネイティブペプチド配列との1
00%同一性を有する600アミノ酸よりも大きい任意の連続配列を含まない限
り、または、600アミノ酸より長い場合には、それらが構築物である限り、本
発明の範囲内にある。ネイティブ配列に対応する5以下連続する残基を有する任
意のペプチドについては、本発明の範囲内にあるための、そのペプチドの最大長
さに対する制限は存在しない。本発明のCTLエピトープは、600未満の任意
の変化分の残基長から8アミノ酸残基であることが、現在では好ましい。
【0037】 「ヒトリンパ球抗原」または「HLA」は、ヒトクラスIまたはクラスIIの
主要組織適合遺伝子複合体(MHC)タンパク質(例えば、Stitesら、I
mmunology、第8版、Lange Publishing,Los A
ltos,CA(1994)を参照のこと)である。
【0038】 本明細書中で使用される場合、「HLAスーパータイプまたはファミリー」と
は、共有するペプチド結合特異性に基づいてグループ化したHLA分子のセット
を記載する。特定のアミノ酸モチーフを保有するペプチドに対して幾分類似した
結合親和性を共有するHLAクラスI分子は、HLAスーパータイプにグループ
化される。用語HLAスーパーファミリー、HLAスーパータイプファミリー、
HLAファミリーおよびHLA xx様分子(ここで、xxは、特定のHLA型
を示す)は、同義である。
【0039】 本開示全体を通して、結果を、用語「IC50」で表す。IC50は、参照ペ
プチドの結合の50%阻害が観察される、結合アッセイにおけるペプチドの濃度
である。アッセイを行う条件(すなわち、律速のHLAタンパク質濃度および標
識ペプチド濃度)を考慮すると、これらの値は、K値と近似する。結合を測定
するためのアッセイは、例えば、PCT公開WO94/20127およびWO9
4/03205に、詳細に記載される。IC50値が、アッセイ条件が変化する
場合に、そして使用する特定の試薬(例えば、HLA調製物など)に依存して、
(しばしば、劇的に)変化し得ることに留意するべきである。例えば、過剰濃度
のHLA分子は、所定のリガンドの見かけ上測定されるIC50を増加させる。
【0040】 あるいは、結合は、参照ペプチドと関連して表される。特定のアッセイが、よ
り高感度またはより低感度になるにつれて、試験するペプチドのIC50は、幾
分変化し得るが、参照ペプチドに対する結合は、有意には変化しない。例えば、
参照ペプチドのIC50が10倍増加するような条件下で行うアッセイにおいて
、試験ペプチドのIC50値もまた、約10倍シフトする。従って、あいまい性
を回避するために、ペプチドが良好な結合因子であるか、中程度の結合因子であ
るか、弱い結合因子であるかまたはネガティブな結合因子であるかの評価は、一
般に、標準ペプチドのIC50と相対的な、そのIC50に基づく。
【0041】 結合はまた、以下を使用するアッセイ系を含む、他のアッセイ系を使用して測
定され得る:生細胞(例えば、Ceppelliniら、Nature 339
:392,1989;Christnickら、Nature 352:67、
1991;Buschら、Int.Immunol.2:443、19990;
Hillら、J.Immunol.147:189、1991;del Gue
rcioら、J.Immunol.154:685,1995)、界面活性剤溶
解物を使用する無細胞系(例えば、Cerundoloら、J.Immunol
.21:2069,1991)、固定した精製MHC(例えば、Hillら、J
.Immunol.152,2890,1994;Marshallら、J.I
mmunol.152:4946,1994)、ELISA系(例えば、Rea
yら、EMBO J.11:2829,1992)、表面プラズモン共鳴(例え
ば、Khilkoら、J.Biol.Chem.268:15425,1993
);高フラックス可溶相アッセイ(high flux solublepha
se assay)(Hammerら、J.Exp.Med.180:2353
,1994)、およびクラスI MHCの安定化またはアセンブリの測定(例え
ば、Ljunggrenら、Nature 346:476、1990;Sch
umacherら、Cell 62:563、1990;Townsendら、
Cell 62:285、1990;Parkerら、J.Immunol.1
49;1896,1992)。
【0042】 本明細書中で使用される場合、HLAクラスI分子に関する「高親和性」とは
、50nM以下のIC50またはK値での結合として定義され;「中程度の親
和性」とは、約50nMと約500nMとの間のIC50またはK値での結合
である。HLAクラスII分子への結合に関する「高親和性」とは、100nM
以下のIC50またはK値での結合として定義され;「中程度の親和性」とは
、約100nMと約1000nMとの間のIC50またはK値での結合である
【0043】 2以上のペプチド配列の状況下で、用語「同一」またはパーセント「同一性」
とは、配列比較アルゴリズムを使用してかまたは手動の整列化および目視検査に
よって測定されるように、比較ウインドウにわたる最大一致について比較および
整列化した場合に、同じであるかまたは特定のパーセンテージの同一アミノ酸残
基を有する、2以上の配列または部分配列をいう。
【0044】 「免疫原性ペプチド」または「ペプチドエピトープ」とは、そのペプチドがH
LA分子を結合しそしてCTL応答および/またはHTL応答を誘導するような
、対立遺伝子特異的モチーフまたはスーパーモチーフを含むペプチドである。従
って、本発明の免疫原性ペプチドは、適切なHLA分子に結合し得、そしてその
後、免疫原性ペプチドが由来する抗原に対する、細胞傷害性T細胞応答またはヘ
ルパーT細胞応答を誘導し得る。
【0045】 句「単離された」または「生物学的に純粋」とは、そのネイティブ状態におい
て見い出される場合に通常その物質に付随する成分を、実質的または本質的に含
まない物質をいう。従って、本発明に従う単離されたペプチドは、好ましくは、
そのインサイチュ環境下でそのペプチドに通常会合する物質を含まない。
【0046】 「連結」または「結合」とは、ペプチドを機能的に接続するための当該分野で
公知の任意の方法をいい、これらには、組換え融合、共有結合、ジスルフィド結
合、イオン結合、水素結合、および静電結合が挙げられるが、これらに限定され
ない。
【0047】 「主要組織適合遺伝子複合体」または「MHC」は、生理的免疫応答を担う細
胞性相互作用の制御において役割を担う遺伝子のクラスターである。ヒトにおい
て、MHC複合体はまた、HLA複合体として公知である。MHC複合体および
HLA複合体の詳細な説明については、Paul、FUNDAMENTAL I
MMUNOLOGY,第3版、Raven Press,New York,1
993を参照のこと。
【0048】 用語「モチーフ」は、規定された長さのペプチドにおける残基のパターンをい
う。一般に、クラスI HLAモチーフについて約8〜約13アミノ酸およびク
ラスII HLAモチーフについて約6〜約25アミノ酸のペプチドであり、こ
れは、特定のHLA分子によって認識される。ペプチドモチーフは、代表的には
、各々のヒトHLA対立遺伝子によってコードされる各々のタンパク質について
異なり、そして一次アンカー残基および二次アンカー残基のパターンにおいて異
なる。
【0049】 「陰性な(negative)結合残基」または「有害な(deteriou
s)残基」は、ペプチドエピトープにおける特定の位置(代表的には一次アンカ
ー位置ではない)に存在する場合に、対応するHLA分子に対するペプチドの結
合親和性の減少を生じさせるアミノ酸である。
【0050】 「非ネイティブ」な配列または「非ネイティブ」な「構築物」は、天然には見
出されない(すなわち、「天然には存在しない」)配列をいう。このような配列
としては、例えば、脂質化(lipidate)されるかさもなくば改変された
ペプチド、およびネイティブなタンパク質配列中では連続しないエピトープを含
むポリエピトープ性(polyepitopic)組成物が挙げられる。
【0051】 用語「ペプチド」は、本明細書中において「オリゴペプチド」と相互変換可能
に使用され、(代表的には、隣接するアミノ酸のα−アミノ基とカルボキシル基
との間のペプチド結合によって)互いに連結される一連の残基(代表的にはL−
アミノ酸)を示す。本発明の好ましいCTL誘導ペプチドは、13以下の残基長
であり、そして通常、約8残基と約11残基との間(好ましくは9または10残
基)からなる。好ましいHTL誘導オリゴペプチドは、約50残基長未満であり
、そして通常、約6残基と約30残基との間からなり、より通常には、約12残
基と25残基との間、そしてしばしば約15残基と20残基との間からなる。
【0052】 「薬学的に受容可能な」は、一般に、非毒性の、不活性な、および/または薬
理学的に適合性の組成物をいう。
【0053】 「薬学的賦形剤」は、アジュバント、キャリア、pH調整剤、および緩衝剤の
ような物質、張度調整剤、湿潤剤、防腐剤などを含む。
【0054】 「一次アンカー残基」は、免疫原性ペプチドとHLA分子との間の接触点を提
供することが理解されるペプチド配列に沿った特定位置におけるアミノ酸である
。規定された長さのペプチド内の1〜3個(通常は2個)の一次アンカー残基は
、一般に、免疫原性ペプチドについての「モチーフ」を規定する。これらの残基
は、結合溝(groove)自身の特定のポケットにおいて埋没するこれらの側
鎖を有する、HLA分子のペプチド結合溝(groove)と密接に接触して適
合することが理解される。1つの実施形態において、例えば、一次アンカー残基
は、本発明に従って9残基ペプチドエピトープの位置2(アミノ末端位から)お
よびカルボキシル末端位に配置される。各々のモチーフおよびスーパーモチーフ
についての一次アンカー位置は、表1に示される。例えば、アナログペプチドは
、これらの一次アンカー位置における特定の残基の存在または非存在を変更する
ことによって作製され得る。このようなアナログを使用して、特定のモチーフま
たはスーパーモチーフを含むペプチドの結合親和性を調節する。
【0055】 「乱雑な認識」は、種々のHLA分子の状況下において、別々のペプチドが同
一のT細胞クローンによって認識されることである。乱雑な認識または結合は、
交差反応性結合と同義である。
【0056】 「防御免疫応答」または「治療的免疫応答」は、感染性因子または腫瘍抗原由
来の抗原に対するCTL応答および/またはHTL応答をいい、これは、疾患の
症状または進行を予防するかまたは少なくとも部分的に抑制する。免疫応答はま
た、ヘルパーT細胞の刺激によって促進された抗体応答を含み得る。
【0057】 用語「残基」は、アミド結合またはアミド結合模倣物によってオリゴペプチド
に組み込まれるアミノ酸またはアミノ酸模倣物をいう。
【0058】 「二次アンカー残基」は、ペプチドにおける一次アンカー位置以外の位置での
、ペプチド結合に影響し得るアミノ酸である。二次アンカー残基は、結合したペ
プチドの中である位置でのアミノ酸の無秩序な分布によって期待されるより有意
に高い頻度で生じる。二次アンカー残基は、「二次アンカー位置」で生じるとい
われる。二次アンカー残基は、高い親和性もしくは中程度の親和性で結合するペ
プチドの中でより高頻度で存在する残基、またはさもなくば高い親和性もしくは
中程度の親和性の結合と関連する残基として同定され得る。例えば、アナログペ
プチドは、これらの二次アンカー位置における特定の残基の存在または非存在を
変更することによって作製され得る。このようなアナログを使用して、特定のモ
チーフまたはスーパーモチーフを含むペプチドの結合親和性を良好に調節する。
【0059】 「サブドミナント(subdominant)エピトープ」は、エピトープを
含む抗原全体での免疫に際して応答をほとんど引き起こさないかまたは全く引き
起こさないが、単離されたペプチドでの免疫によって応答が得られ得るエピトー
プであり、そして(潜在エピトープの場合とは異なり)この応答は、タンパク質
全体を使用してインビトロまたはインビボでの応答をリコール(recall)
する場合に、検出される。
【0060】 「スーパーモチーフ」は、2つ以上のHLA対立遺伝子によってコードされる
HLA分子によって共有されるペプチド結合特異性である。好ましくは、スーパ
ーモチーフ保有ペプチドは、2つ以上のHLA抗原によって高い親和性または中
程度の親和性(本明細書中に規定される)で認識される。
【0061】 「合成ペプチド」は、化学合成または組換えDNA技術のような方法を使用し
てヒトが作製したペプチドをいう。
【0062】 本明細書中で使用される場合、「ワクチン」は、本発明の1つ以上のペプチド
を含む組成物である。本発明に従うワクチンの実施形態(例えば、1つ以上のペ
プチドのカクテルによって;ポリエピトープ性のペプチドによって含まれる本発
明の1以上のエピトープ;または、このようなペプチドもしくはポリペプチドを
コードする核酸(例えば、ポリエピトープ性のペプチドをコードするミニジーン
(minigene)))が数多く存在する。「1つ以上のペプチド」は、1〜
150の単位整数全体のいずれか(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7
、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、2
0、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、3
2、33、34、35、36、37、38、39、40、45、50、55、6
0、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、1
15、120、125、130、135、140、145もしくは150または
それより多く)の本発明のペプチドを含み得る。これらのペプチドまたはポリペ
プチドは、必要ならば、例えば、脂質化、標的化配列もしくは他の配列の付加に
よって改変され得る。本発明のHLAクラスI結合ペプチドは、細胞傷害性Tリ
ンパ球およびヘルパーTリンパ球の両方の活性化を促進するために、HLAクラ
スII結合ペプチドと混合され得るかまたは連結され得る。ワクチンはまた、ペ
プチドでパルス(pulse)された抗原提示細胞(例えば、樹状細胞)を含み
得る。
【0063】 ペプチド化合物を記載するために使用される命名法は、慣用的な実践に従い、
ここで、アミノ基は各々のアミノ酸残基の左(N末端)そしてカルボキシル基は
右(C末端)に示される。アミノ酸残基位置がペプチドエピトープにおいて言及
される場合、これらは、エピトープ、または一部分であり得るペプチドもしくは
タンパク質のアミノ末端に近接する位置である位置により、アミノからカルボキ
シルの方向において番号付けられる。本発明の選択された特定の実施形態を示す
形式において、特には示されないが、アミノ末端基およびカルボキシル末端基は
、さもなくば特定されない場合に生理学的pH値でとる形態である。アミノ酸構
造の形式において、各残基は、一般に、標準的な3文字表記または1文字表記に
よって示される。L−型のアミノ酸残基は、大文字の1文字または3文字記号の
最初の文字の大文字によって示され、そしてD−型を有するこれらのアミノ酸に
ついてのD−型は、小文字の1文字または小文字の3文字記号によって示される
。グリシンは、非対称の炭素原子を有さず、そして単に「Gly」またはGとし
ていわれる。本明細書中で示されるペプチドのアミノ酸配列は、一般的に、標準
的な1文字記号を使用して示される(A,アラニン;C,システイン;D,アス
パラギン酸;E,グルタミン酸;F,フェニルアラニン;G,グリシン;H,ヒ
スチジン;I,イソロイシン;K,リジン;L,ロイシン;M,メチオニン;N
,アスパラギン;P,プロリン;Q,グルタミン;R,アルギニン;S,セリン
;T,トレオニン;V,バリン;W,トリプトファン;およびY,チロシン)。
これらの記号に加えて、本明細書中で使用される1文字略語「B」は、α−アミ
ノ酪酸を示す。
【0064】 (IV.B.CTL応答およびHTL応答の刺激) T細胞が抗原を認識するメカニズムは、過去10年間に記述されている。免疫
系についての本発明者等の理解に基づいて、広範な集団におけるTAAに対する
治療的または予防的な免疫応答を誘発し得る有効なペプチドエピトープワクチン
組成物を本発明者等は開発してきた。特許請求した組成物の価値および効力を理
解するために、免疫学関連技術についての簡単な概説を提供する。この概説は、
本出願の出願日の時点での、当該分野の目下の理解水準を開示することが意図さ
れる。本出願の優先日後に発生した情報は、本節に含まれる。したがって本節の
情報は、いかなる点でも、本発明に関する優先日を記述するよう意図されない。
【0065】 HLA分子とペプチド抗原との複合体は、HLA拘束T細胞により認識される
リガンドとして作用する(Buus,S.ら、Cell 47:1071,19
86;Babbitt,B.P.ら、Nature 317:359,1985
;Townsend,A.and Bodmer,H.,Annu.Rev.I
mmunol.7:601,1989;Germain,R.N.,Annu.
Rev.Immunol.11:403,1993)。単一アミノ酸置換抗原ア
ナログの研究、ならびに内因的結合した天然でプロセシングされたペプチドの配
列決定により、HLA抗原分子に特異的に結合するために必要とされるモチーフ
に対応する重要な残基が同定されており、本明細書中に記載され、表I、表II
および表IIIに示されている(例えば、Southwoodら、J.Immu
nol.160:3363,1998;Rammenseeら、Immunog
enetics 41:178,1995;Rammenseeら、SYFPE
ITHI、http://134.2.96.221/scripts.hla
server.dll/home.htmにてウェブを介するアクセス;Set
te,A.and Sidney,J.Curr.Opin.Immunol.
10:478,1998;Engelhard,V.H.,Curr.Opin
.Immunol.6:13,1994;Sette,A.and Grey,
H.M.,Curr.Opin.Immunol.4:79,1992;Sin
igaglia,F.and Hammer,J.Curr.Biol.6:5
2,1994;Ruppertら、Cell 74:929−937,1993
;Kondoら、J.Immunol.155:4307−4312,1995
;Sidneyら、J.Immunol.157:3480−3490,199
6;Sidneyら、Human Immunol.45:79−93,199
6;Sette,A.and Sidney,J.Immunogenetic
s 1999 Nov;50(3−4):201−12,Reviewも参照の
こと)。
【0066】 さらにHLAペプチド複合体のX線結晶解析は、ペプチドリガンドにより運ば
れたされる残基を対立遺伝子特異的様式で収容するHLA分子のペプチド結合裂
溝(cleft)内のポケットを明示した。これらの残基は次に、それらが存在
するペプチドのHLA結合能力を決定する(例えば、Madden,D.R.、
Annu.Rev.Immunol.13:587,1995;Smithら、
Immunity 4:203,1996;Fremontら、Immunit
y 8:305,1998;Sternら、Structure 2:245,
1994;Jones,E.Y.、Curr.Opin.Immunol.9:
75,1997;Brown,J.H.ら、Nature 364:33,19
93;Guo,H.C.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
90:8053,1993;Guo,H.C.ら、Nature 360:36
4,1992;Silver,M.L.ら、Nature 360:367,1
992;Matsumura,M.ら、Science 257:927,19
92;Maddenら、Cell 70:1035,1992;Fremont
,D.H.ら、Science 257:919,1992;Saper,M.
A.,Bjorkman,P.J.and Wiley,D.C.,J.Mol
.Biol.219:277,1991を参照のこと)。
【0067】 したがって、クラスI対立遺伝子特異的HLA結合モチーフおよびクラスII
対立遺伝子特異的HLA結合モチーフの規定、あるいはクラスIスーパーモチー
フまたはクラスIIスーパーモチーフの規定は、特定のHLA分子を結合する可
能性を有するタンパク質内の領域の同定を可能にする。
【0068】 本明細書中に開示する結合親和性と免疫原性との相関は、候補ペプチドを評価
する場合に考えられるべき重要な因子であるということを本発明者等は見出した
。したがって、モチーフ検索とHLA−ペプチド結合アッセイとの組合せにより
、エピトープベースのワクチンのための候補物が同定された。それらの結合親和
性を決定後、さらなる確認作業を実行して、これらのワクチン候補物の中で、集
団適用範囲、抗原性および免疫原性に関して好ましい特徴を有するエピトープを
選択し得る。
【0069】 免疫原性を評価するために種々の戦略が利用され得る。それらの例を以下に挙
げる: 1)正常個体由来の初代T細胞培養物の評価(例えば、Wentworth,
P.A.ら、Mol.Immunol.32:603,1995;Celis,
E.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:2105,1
994;Tsai,V.ら、J.Immunol.158:1796,1997
;Kawashima,I.ら、Human Immunol.59:1,19
98を参照のこと)。これらの手順は、数週間の期間に亘るインビトロでの抗原
提示細胞の存在下での、正常被験者由来の末梢血リンパ球(PBL)の試験ペプ
チドによる刺激を包含する。このペプチドに特異的なT細胞は、この時間中に活
性化され、例えばペプチド感作標的細胞を包む51Cr放出アッセイを用いて検
出される。
【0070】 2)HLAトランスジェニックマウスの免疫(例えば、Wentworth,
P.A.ら、J.Immunol.26:97,1996;Wentworth
,P.A.ら、Int.Immunol.8:651,1996;Alexan
der,J.ら、J.Immunol.159:4753,1997を参照のこ
と)。この方法では、不完全フロイントアジュバント中のペプチドが、HLAト
ランスジェニックマウスに皮下投与される。免疫後数週間目に、脾臓細胞が取り
出され、試験ペプチドの存在下で約1週間、インビトロで培養される。例えばペ
プチド感作標的細胞と内因的に生成された抗原を発現する標的細胞とを包む、 Cr放出アッセイを用いて、ペプチド特異的T細胞が検出される。
【0071】 3)効果的にワクチン接種された患者または腫瘍を有する患者からのリコール
(recall)T細胞応答の立証(例えば、Rehermann,B.ら、J
.Exp.Med.181:1047,1995;Doolan,D.L.ら、
Immunity 7:97,1997;Bertoni,R.ら、J.Cli
n.Invest.100:503,1997;Threlkeld,S.C.
ら、J.Immunol.159:1648,1997;Diepolder,
H.M.ら、J.Virol.71:6011,1997;Tsangら、J.
Natl.Cancer Inst.87:982−990,1995;Dis
isら、J.Immunol.156:3151−3158,1996を参照の
こと)。この戦略の適用に際しては、リコール応答は、「自然に」免疫応答を生
じていた癌患者由来のPBL、あるいは腫瘍抗原ワクチンでワクチン接種された
患者由来のPBLを培養することにより検出される。被験者由来のPBLは、試
験ペプチドおよび抗原提示細胞(APC)の存在下で1〜2週間インビトロで培
養されて、「ナイーブ」T細胞と比較した場合、「記憶」T細胞の活性化を可能
にする。培養期間終了時に、ペプチド感作標的、T細胞増殖またはリンホカイン
放出を包含する51Cr放出を含めたT細胞活性に関するアッセイを用いて、T
細胞活性が検出される。
【0072】 本発明のペプチドエピトープおよび対応する核酸を以下で説明する。
【0073】 (IV.C.HLA分子に関するペプチドエピトープの結合親和性) 本明細書中で示されているように、HLA多型の大きな程度は、ワクチン開発
に対するエピトープベースのアプローチに関して考慮されるべき重要な因子であ
る。この因子に対処するために、複数のHLA分子に高親和性または中親和性で
結合し得るペプチドの同定を包含するエピトープ選択が好ましくは利用され、最
も好ましくはこれらのエピトープは、高親和性または中親和性で2つ以上の対立
遺伝子特異的HLA分子に結合する。
【0074】 ワクチン組成物のための目的のCTL誘導性ペプチドとしては、クラスI H
LA分子についてのIC50または結合親和性値、好ましくは500nMまたは
それより優れた値(すなわち、その値は500nM以下である)を有するものが
挙げられる。HTL誘導性ペプチドとしては、クラスII HLA分子について
のIC50または結合親和性、、好ましくは1000nMまたはそれより優れた
値(すなわち、その値は1000nM以下である)を有するものが挙げられる。
例えばペプチド結合は、インビトロで精製HLA分子に結合する候補ペプチドの
能力を試験することにより評価される。次に、高親和性または中親和性を示すペ
プチドが、さらなる分析のために考慮される。選択されたペプチドは、スーパー
タイプファミリーの他のメンバーに対して試験される。好ましい実施形態では、
交差反応結合を示すペプチドは次に、細胞スクリーニング分析またはワクチンに
て用いられる。
【0075】 高いHLA結合親和性は、高い免疫原性と相関する(例えば、Setteら、
J.Immunol.153:5586−5592,1994;Chenら、J
.Immunol.152:2874−2881,1994;およびRessi
ngら、J.Immunol.154:5934−5943,1995)。より
高い免疫原性は、いくつかの異なる方法で表示され得る。免疫原性は、免疫応答
が少しでも惹起されるのか否か、および任意の特定の応答の強さ、ならびに応答
が惹起される集団の程度に対応している。例えばペプチドは、多様な群の集団に
て免疫応答を惹起し得るが、しかし強力な応答を生じることはない。さらに高結
合親和性ペプチドほど、より強力な免疫原性応答を引き起こす。その結果、高親
和性結合ペプチドまたは中親和性結合ペプチドが用いられる場合には、同様の生
物学的作用を惹起するために、より少ないペプチドしか必要とされない。したが
って本発明の好ましい実施形態では、高親和性結合エピトープまたは中親和性結
合エピトープが、特に有用である。
【0076】 HLAクラスI分子に対する結合親和性と結合した抗原上の別々のペプチドエ
ピトープの免疫原性との関係は、本発明人等により当該分野で初めて決定された
。結合親和性と免疫原性との相関は、2つの異なる実験アプローチで分析された
(例えば、Setteら、J.Immunol.153:5586−5592,
1994を参照のこと)。最初のアプローチでは、HLA結合親和性における1
0,000倍の範囲を超える潜在エピトープの免疫原性が、HLA−A020
1トランスジェニックマウスで分析された。第二のアプローチでは、全てA
201結合モチーフを保有している約100個の異なるB型肝炎ウイルス(HB
V)由来潜在エピトープの抗原性が、急性肝炎患者由来のPBLを用いて評価さ
れた。これらのアプローチにしたがって、親和性閾値約500nM(好ましくは
50nM以下)がCTL応答を惹起するペプチドエピトープの能力を決定すると
いうことを決定した。これらのデータは、天然でプロセシングされたペプチドに
ついてのクラスI結合親和性測定値、ならびに合成T細胞エピトープについての
クラスI結合親和性測定値に関しては、正しい。これらのデータは、T細胞応答
の決定に際しての決定基選択の重要な役割も示す(例えば、Schaeffer
ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:4649−465
3,1989を参照のこと)。
【0077】 HLAクラスII DR分子の状況での免疫原性に関連した親和性閾値も記述
されている(例えば、Southwoodら、J.Immunology 16
0:3363−3373,1998および同時係属中の米国特許出願第09/0
09,953号(1998年1月21日出願)を参照のこと)。DR結合親和性
の生物学的に有意の閾値を規定するために、それらの拘束エレメント(すなわち
モチーフを結合するHLA分子)に対する32DR拘束エピトープの結合親和性
のデータベースが編集された。約半数の例(32個のうちの15個のエピトープ
)において、DR拘束は高結合親和性(すなわち、100nM以下の結合親和性
値)に関連した。他の半数の例(32個のうち16個)では、DR拘束は中親和
性(100〜1000nM範囲の結合親和性値)に関連した。32例のうちの1
例のみにおいて、DR拘束は1000nM以上のIC50に関連した。したがっ
て1000nMは、DR分子の状況での免疫原性に関連した親和性閾値と規定さ
れ得る。
【0078】 腫瘍関連抗原の場合、ペプチドパルスされた標的細胞およびそのエピトープを
内因的に発現する腫瘍細胞標的を溶解するCTLを誘導することが示されている
多数のCTLペプチドエピトープが、200nM以下の結合親和性またはIC 値を示す。このようなTAAエピトープの小さな組の結合親和性および免疫原
性の関連を評価した研究では、高結合剤(すなわち50nM以下の親和性で結合
するペプチドエピトープ)の100%(10/10)が免疫原性であり、それら
の80%(8/10)が、腫瘍細胞を特異的に認識するCTLを惹起した。51
〜200nM範囲で、非常によく似た数値が得られた。アナログペプチドのつい
ては、野生型ペプチドおよび腫瘍細胞に対して陽性であるCTL誘導は、それぞ
れペプチドの86%(6/7)および71%(5/7)認められた。201〜5
00nM範囲では、ほとんどのペプチド(4/5野生型)が、野生型ペプチドを
認識するCTLの誘導に関して陽性であったが、腫瘍認識は検出されなかった。
【0079】 HLA分子に対するペプチドの結合親和性は、以下の実施例1に記載されてい
るように決定され得る。
【0080】 (IV.D.ペプチドエピトープ結合モチーフおよびスーパーモチーフ) 単一アミノ酸置換抗原アナログの研究、ならびに内因的に結合された天然でプ
ロセシングされたペプチドの配列決定により、HLA分子との対立遺伝子特異的
結合に必要とされる重要残基が同定されている。これらの残基の存在は、HLA
分子に対する結合親和性と相関する。高親和性結合および中親和性結合と相関す
るモチーフおよび/またはスーパーモチーフの同定は、ワクチン中の含入物のた
めの免疫原性ペプチドエピトープの同定に関して重要な問題である。Kast等
(J.Immunol.152:3904−3912,1994)は、モチーフ
保有ペプチドが対立遺伝子特異的HLAクラスI分子に結合するエピトープの9
0%を占めることを示した。この研究では、ヒトパピローマウイルス16型のE
6タンパク質およびE7タンパク質の全体配列を網羅する、9アミノ酸長の、か
つ、8個のアミノ酸を重複する考え得る全てのペプチド(240ペプチド)が、
異なる民族群間で高頻度で発現される5つの対立遺伝子特異的HLA分子との結
合に関して評価された。このペプチドの偏りのない組が、HLAクラスIモチー
フの予測値の評価を可能にした。240ペプチドの組から、22ペプチドが、高
親和性または中親和性で対立遺伝子特異的HLA分子に結合すると同定された。
これら22ペプチドのうち、20ペプチド(すなわち91%)がモチーフ保有性
であった。したがって、この研究は、ワクチン中に含めるためのペプチドエピト
ープの同定に関するモチーフの値を立証する。モチーフベースの同定技法の適用
は、標的抗原タンパク質配列中の潜在エピトープの約90%を同定する。
【0081】 このようなペプチドエピトープは、下記の表中で確認される。
【0082】 本発明のペプチドは、MHCクラスIIDR分子に結合するエピトープも含み
得る。そのペプチドのN末端およびC末端と比較して、モチーフのサイズおよび
結合フレーム位置の両方における、より度合いの高い不均一性が、クラスIIペ
プチドリガンドに存在する。HLAクラスIIペプチドリガンドのこの不均一性
の増大は、そのクラスI対応部分と違って両端で開いている、HLAクラスII
分子の結合溝(groove)の構造によるものである。HLAクラスIIDR
0101ペプチド複合体の結晶解析は、結合の主エネルギーが、DRB
101分子上の相補的ポケットと複合体化されたペプチド残基によるものである
ことを示した。重要なアンカー残基は、最も深い疎水性ポケットにかみ合い(例
えば、Madden,D.R.Ann.Rev.Immunol.13:587
,1995を参照のこと)、位置1(P1)と呼ばれる。P1はクラスII結合
ペプチドエピトープのN末端残基を表し得るが、さらに典型的には、1つ以上の
残基によりN末端方向に隣接される。他の研究は、種々のDR分子との結合に関
して、P1に対して、C末端方向への6番目の位置のペプチド残基に関する重要
な役割もまた指摘している。
【0083】 過去数年間、ほぼ重複するペプチド結合レパートリーならびに主ペプチド結合
ポケットのコンセンサス構造により各々特徴づけされる、多くのHLAクラスI
分子およびHLAクラスII分子が、比較的少数のスーパータイプに分類され得
ることを立証する証拠が蓄積されてきた。したがって本発明のペプチドは、いく
つかのHLA特異的アミノ酸モチーフ(例えば表I〜IIIを参照のこと)のい
ずれか1つによってか、またはそのモチーフの存在がいくつかの対立遺伝子特異
的HLA分子を結合する能力に対応する場合には、スーパーモチーフにより、同
定される。特定のアミノ酸スーパーモチーフを保有するペプチドに結合するHL
A分子は、集合的にHLA「スーパータイプ」と呼ばれる。
【0084】 下記の、ならびに表I〜IIIに要約されたペプチドモチーフおよびスーパー
モチーフは、本発明に従ったペプチドエピトープの同定および使用に関する指針
を提供する。
【0085】 スーパーモチーフまたはモチーフ保有ペプチドエピトープの例は、表XXに示
されている。ペプチドエピトープ配列を得るために、前立腺癌抗原PAP、PS
A、PSM、およびhK2に対するタンパク質配列データ(表VII〜XXにお
いてカリクレインとして示される)は、示されたスーパーモチーフまたはモチー
フの存在について評価された。「位置」欄は、推定の第1のアミノ酸残基に対応
するタンパク質配列における位置を示す。「アミノ酸の数」は、エピトープ配列
における残基の数を示す。表はまた、上部の欄に示される対立遺伝子特異的HL
A分子に対するいくつかのペプチドエピトープについて列挙される結合親和性比
を含む。その比は、以下の式を用いてIC50に変換され得る:標準ペプチドの
IC50/比=試験ペプチド(すなわちペプチドエピトープ)のIC50。クラ
スIペプチドに関する結合親和性を決定するために用いられる標準ペプチドのI
50値は、表IVに示されている。クラスIIペプチドに関する結合親和性を
決定するために用いられる標準ペプチドのIC50値は、表Vに示されている。
本明細書中に記載した結合アッセイのための標準として用いられるペプチドは、
標準の例である。代替的標準ペプチドも、結合試験を実施する場合に用いられ得
る。
【0086】 表VII〜XXの各々に列挙したペプチドエピトープ配列を得るために、PS
A、PSM、PAP、およびhK2のアミノ酸は入れるは、示されるスーパーモ
チーフまたはモチーフについて評価された。すなわち、それぞれのモチーフまた
はスーパーモチーフの各々に関して表I(クラスIモチーフに関して)または表
III(クラスIIモチーフに関して)に記述されたような一次アンカー残基の
存在に関して、アミノ酸配列が検索された。
【0087】 表中、モチーフおよび/またはスーパーモチーフ保有アミノ酸配列は、前立腺
抗原アミノ酸配列、および下に提供される番号付けに関して位置の数およびエピ
トープの長さによって同定される。「pos」(位置)欄は、エピトープの最初
のアミノ酸残基に対応する下の前立腺抗原配列タンパク質配列中のアミノ酸位置
を示す。「アミノ酸の数」は、エピトープ配列中の残基の数を、ひいてはエピト
ープの長さを示す。例えば表VIIに列挙した最初のペプチド配列は、PAPの
位置122で始まる11残基長の配列である。したがって、このエピトープのア
ミノ酸配列は、ALFPPEGVSIWである。同様に、表VIIにおける第1
のカリクレインは、位置147で始まり、そして11残基長である。従って、ア
ミノ酸配列は、ALGTTCYASGWである。
【0088】 表VII〜XXに示される結合データは、対立遺伝子特異的HLA分子と標識
された欄において相対結合比(上記)として表される。
【0089】 PSA(前立腺特異的抗原)
【0090】
【化1】 PAP(前立腺酸性ホスファターゼ)
【0091】
【化2】 PSM(前立腺特異的膜抗原)
【0092】
【化3】 カリクレイン(ヒトカリクレイン2、受託NM005551)
【0093】
【化4】 (CTL誘導ペプチドエピトープを示すHLAクラスIモチーフ) 下記のHLAクラスIペプチドエピトープスーパーモチーフおよびHLAクラ
スIペプチドエピトープモチーフの一次アンカー残基は、表Iに概説されている
。表I(a)に記述されたHLAクラスIモチーフは、本明細書中で特許請求さ
れる本発明に最も特に関連があるものである。一次アンカー位置および二次アン
カー位置は、表IIに概説されている。HLAクラスIスーパータイプファミリ
ーを含む対立遺伝子特異的HLA分子は、表VIに列挙されている。いくつかの
場合、ペプチドエピトープは、重複一次アンカー特異性が原因で、モチーフおよ
びスーパーモチーフの表の両方に列挙される。特定のモチーフおよびそれぞれの
スーパーモチーフの関係は、個々のモチーフの説明中に示されている。
【0094】 (IV.D.1.HLA−A1スーパーモチーフ) HLA−A1スーパーモチーフは、このエピトープの第2位における小さい(
TまたはS)または疎水性の(L、I、VまたはM)一次アンカー残基、ならび
にC末端位置での芳香族(Y、FまたはW)一次アンカー残基の、ペプチドリガ
ンド中の存在によって特徴付けられる。A1スーパーモチーフに結合するHLA
分子のこの対応するファミリー(すなわち、HLA−A1スーパータイプ)は、
少なくとも:A0101、A2601、A2602、A2501および
3201からなる(例えば、DiBrino,M.ら,J.Immunol
.151:5930,1993;DiBrino,M.ら,J.Immunol
.152:620,1994;Kondo,A.ら,Immunogeneti
cs 45:249,1997を参照のこと)。このA1スーパーファミリーの
メンバーであると予測される他の対立遺伝子特異的HLA分子を、表VIに示す
。これらの個々のHLAタンパク質の各々に結合するペプチドは、一次および/
または二次アンカー位置での置換(好ましくは、このスーパーモチーフに特定化
された各々の残基を選択して)によって調節され得る。
【0095】 A1スーパーモチーフを含む代表的ペプチドエピトープを、添付の表VIIに
示す。
【0096】 (IV.D.2.HLA−A2スーパーモチーフ) 対立遺伝子特異的HLA−A2.1分子に対する一次アンカー特異性(例えば
、Falkら,Nature 351:290−296,1991;Huntら
,Science 255:1261−1263,1992;Parkerら,
J.Immunol.149:3580−3587,1992;Ruppert
ら,Cell 74:929−937,1993参照)、ならびにHLA−A2
およびHLA−A28分子間の交差反応結合は、記載されている(関連データの
総説については、例えば、Fruciら,Human Immunol.38:
187−192,1993;Tanigakiら,Human Immnol.
39:155−162,1994;Del Guercioら,J.Immun
ol.154:685−693,1995;Kastら,J.Immunol.
152:3904−3912,1994を参照のこと)。これらの一次アンカー
残基は、HLA−A2スーパーモチーフを規定し;ペプチドリガンド中のその存
在は、いくつかの異なるHLA−A2およびHLA−A28分子を結合する能力
に対応する。このHLA−A2スーパーモチーフは、このエピトープの第2位の
一次アンカー残基としてL、I、V、M、A、TまたはQおよびこのエピトープ
のC末端位置の一次アンカー残基としてL、I、V、M、AまたはTを有する、
ペプチドリガンドを含む。
【0097】 HLA分子のこの対応するファミリー(すなわち、これらのペプチドを結合す
るHLA−A2スーパータイプ)は、少なくとも:A0201、A0202
、A0203、A0204、A0205、A0206、A0207、
0209、A0214、A6802およびA6901からなる。この
A2スーパーファミリーのメンバーであると予測される他の対立遺伝子特異的H
LA分子を、表VIに示す。以下で詳細に説明するように、これらの個々の対立
遺伝子特異的HLA分子の各々への結合は、一次アンカー位置および/または二
次アンカー位置での置換(好ましくは、このスーパーモチーフに特定化された各
々の残基を選択して)によって調節され得る。
【0098】 A2スーパーモチーフを含む代表的なペプチドエピトープを、添付の表VII
Iに示す。第2位に一次アンカー残基V、A、TまたはQおよびC末端位置に一
次アンカー残基L、I、V、AまたはTを含むこれらのモチーフは、本明細書中
の特許請求された本発明に最も特に関連があるモチーフである。
【0099】 (IV.D.3.HLA−A3スーパーモチーフ) HLA−A3スーパーモチーフは、このエピトープの第2位の一次アンカーと
してのA、L、I、V、M、SまたはTおよびこのエピトープのC末端位置(例
えば、9マーの第9位)の正荷電残基RまたはKの、ペプチドリガンド中の存在
により特徴付けられる(例えば、Sidneyら,Hum.Immunol.4
5:79,1996を参照のこと)。このA3スーパーモチーフに結合するHL
A分子のこの対応するファミリー(すなわち、HLA−A3スーパータイプ)の
メンバーの例としては、少なくとも:A0301、A1101、A310
1、A3301およびA6801が挙げられる。このA3スーパータイプの
メンバーであると予測される他の対立遺伝子特異的HLA分子を、表VIに示す
。以下で詳細に説明されるように、これらの個々の対立遺伝子特異的HLAタン
パク質の各々に結合するペプチドは、そのペプチドの一次および/または二次ア
ンカー位置でのアミノ酸の置換(好ましくは、このスーパーモチーフに特定化さ
れた各々の残基を選択して)によって調節され得る。
【0100】 このA3スーパーモチーフを含む代表的なペプチドエピトープを、添付の表I
Xに示す。
【0101】 (IV.D.4.HLA−A24スーパーモチーフ) HLA−A24スーパーモチーフは、このエピトープの第2位の一次アンカー
としての芳香族残基(F、WまたはY)または疎水性脂肪族残基(L、I、V、
MまたはT)およびこのエピトープのC末端位置の一次アンカーとしてのY、F
、W、L、IまたはMの、ペプチドリガンド中の存在により特徴付けられる(例
えば、SetteおよびSidney,Immunogenetics 199
9 Nov;50(3−4):201−12,Reviewを参照のこと)。こ
のA24スーパーモチーフに結合するHLA分子のこの対応するファミリー(す
なわち、A24スーパータイプ)としては、少なくとも:A2402、A
001およびA2301が挙げられる。このA24スーパータイプのメンバー
であると予測される他の対立遺伝子特異的HLA分子を、表VIに示す。これら
の対立遺伝子特異的HLA分子の各々に結合するペプチドは、一次および/また
は二次アンカー位置での置換(好ましくは、このスーパーモチーフに特定化され
た各々の残基を選択して)によって調節され得る。
【0102】 このA24スーパーモチーフを含む代表的なペプチドエピトープを、添付の表
Xに示す。
【0103】 (IV.D.5.HLA−B7スーパーモチーフ) HLA−B7スーパーモチーフは、このエピトープの一次アンカーとして第2
位におけるプロリンならびにこのエピトープのC末端位置での一次アンカーとし
て疎水性または脂肪族アミノ酸(L、I、V、M、A、F、WまたはY)を保有
するペプチドによって、特徴付けられる。このB7スーパーモチーフに結合する
HLA分子のこの対応するファミリー(すなわち、HLA−B7スーパータイプ
)は、少なくとも:B0702、B0703、B0704、B0705
、B1508、B3501、B3502、B3503、B3504、
3505、B3506、B3507、B3508、B5101、B 5102、B5103、B5104、B5105、B5301、B 5401、B5501、B5502、B5601、B5602、B
701およびB7801を含む、少なくとも26個のHLA−Bタンパク質か
らなる(関連データの総説については、例えば、Sidneyら,J.Immu
nol.154:247,1995;Barberら,Curr.Biol.5
:179,1995;Hillら,Nature 360:434,1992;
Rammenseeら,Immunogenetics 41:178,199
5を参照のこと)。このB7スーパータイプのメンバーであると予測される他の
対立遺伝子特異的HLA分子を、表VIに示す。以下で詳細に説明されるように
、これらの個々の対立遺伝子特異的HLAタンパク質の各々に結合するペプチド
は、このペプチドの一次および/または二次アンカー位置での置換(好ましくは
、スーパーモチーフに特定化された各々の残基を選択して)によって調節され得
る。
【0104】 このB7スーパーモチーフを含む代表的なペプチドエピトープを、添付の表X
Iに示す。
【0105】 (IV.D.6.HLA−B27スーパーモチーフ) HLA−B27スーパーモチーフは、このエピトープの第2位での一次アンカ
ーとしての正荷電(R、HまたはK)残基およびこのエピトープのC末端位置で
の一次アンカーとしての疎水性(F、Y、L、W、M、I、AまたはV)残基の
、ペプチドリガンド中の存在により特徴付けられる(例えば、Sidneyおよ
びSette,J.Immunogenetics 1999 Nov;50(
3−4):201−12,Reviewを参照のこと)。このB27スーパーモ
チーフに結合するHLA分子のこの対応するファミリー(すなわち、B27スー
パータイプ)の例示的メンバーとしては、少なくとも:B1401、B14
02、B1509、B2702、B2703、B2704、B270
5、B2706、B3801、B3901、B3902およびB73
01が挙げられる。このB27スーパータイプのメンバーであると予測される他
の対立遺伝子特異的HLA分子を、表VIに示す。この対立遺伝子特異的HLA
分子の各々に結合するペプチドは、一次および/または二次アンカー位置での置
換(好ましくは、スーパーモチーフに特定化された各々の残基を選択して)によ
って調節され得る。
【0106】 このB27スーパーモチーフを含む代表的なペプチドエピトープを、添付の表
XIIに示す。
【0107】 (IV.D.7.HLA−B44スーパーモチーフ) HLA−B44スーパーモチーフは、このエピトープの第2位での一次アンカ
ーとしての負荷電(DまたはE)残基およびこのエピトープのC末端位置での一
次アンカーとしての疎水性残基(F、W、Y、L、I、M、VまたはA)の、ペ
プチドリガンド中の存在によって特徴付けられる(例えば、Sidneyら,I
mmunol.Today 17:261,1996を参照のこと)。このB4
4スーパーモチーフに結合するHLA分子のこの対応するファミリー(すなわち
、B44スーパータイプ)の例示的なメンバーとしては、少なくとも:B18
01、B1802、B3701、B4001、B4002、B400
6、B4402、B4403およびB4404が挙げられる。これらの対
立遺伝子特異的HLA分子の各々に結合するペプチドは、一次および/または二
次アンカー位置での置換(好ましくは、このスーパーモチーフに特定化された各
々の残基を選択して)によって調節され得る。
【0108】 (IV.D.8.HLA−B58スーパーモチーフ) HLA−B58スーパーモチーフは、このエピトープの第2位での一次アンカ
ー残基としての小さい脂肪族残基(A、SまたはT)およびこのエピトープのC
末端位置での一次アンカー残基としての芳香族または疎水性残基(F、W、Y、
L、I、V、MまたはA)の、ペプチドリガンド中の存在によって特徴付けられ
る(例えば、SidneyおよびSette,Immunogenetics
1999 Nov; 50(3−4):201−12,Reviewを参照のこ
と)。このB58スーパーモチーフに結合するHLA分子のこの対応するファミ
リー(すなわちB58スーパータイプ)の例示的なメンバーとしては、少なくと
も:B1516、B1517、B5701、B5702およびB58
01が挙げられる。このB58スーパータイプのメンバーであると予測される他
の対立遺伝子特異的HLA分子を、表VIに示す。これらの対立遺伝子特異的H
LA分子の各々に結合するペプチドは、一次および/または二次アンカー位置で
の置換(好ましくは、このスーパーモチーフに特定化された各々の残基を選択し
て)によって調節され得る。
【0109】 このB58スーパーモチーフを含む代表的なペプチドエピトープを、添付の表
XIIに示す。
【0110】 (IV.D.9.HLA−B62スーパーモチーフ) HLA−B62スーパーモチーフは、このエピトープの第2位での一次アンカ
ーとしての極性脂肪族残基Qまたは疎水性脂肪族残基(L、V、M、IまたはP
)およびこのエピトープのC末端位置での一次アンカーとしての疎水性残基(F
、W、Y、M、I、V、LまたはA)の、ペプチドリガンド中の存在によって特
徴付けられる(例えば、SidneyおよびSette,Immunogene
tics 1999 Nov;50(3−4):201−12,Reviewを
参照のこと)。このB62スーパーモチーフに結合するHLA分子のこの対応す
るファミリー(すなわち、B62スーパータイプ)の例示的なメンバーとしては
、少なくとも:B1501、B1502、B1513およびB5201
が挙げられる。このB62スーパータイプのメンバーであると予測される他の対
立遺伝子特異的HLA分子を、表VIに示す。これらの対立遺伝子特異的HLA
分子の各々に結合するペプチドは、一次および/または二次アンカー位置での置
換(好ましくは、このスーパーモチーフに特定化された各々の残基を選択して)
によって調節され得る。
【0111】 このB62スーパーモチーフを含む代表的なペプチドエピトープを、添付の表
XIVに示す。
【0112】 (IV.D.10.HLA−A1モチーフ) HLA−A1モチーフは、このエピトープの第2位での一次アンカー残基とし
てのT、SまたはMおよびこのエピトープのC末端位置での一次アンカー残基と
してのYの、このペプチドリガンドにおける存在によって特徴付けられる。代替
的な対立遺伝子特異的A1モチーフは、第2位ではなくむしろ第3位での一次ア
ンカー残基によって特徴付けられる。このモチーフは、このエピトープの第3位
での一次アンカー残基としてのD、E、AまたはSおよびこのエピトープのC末
端位置での一次アンカー残基としてのYの存在によって特徴付けられる(関連デ
ータの総説については、例えば、DiBrinoら,J.Immunol.,1
52:620,1994;Kondoら,Immunogenetics 45
:249,1997;およびKuboら,J.Immunol.152:391
3, 1994を参照のこと)。HLA−A1に結合するペプチドは、一次およ
び/または二次アンカー位置での置換(好ましくは、このモチーフに特定化され
た各々の残基を選択して)によって調節され得る。
【0113】 いずれかのA1モチーフを含む代表的なペプチドエピトープを、添付の表XV
に示す。第2位にT、SまたはMそしてC末端位置にYを含むエピトープはまた
、これらの残基が、A1スーパーモチーフのサブセットであるので、表VIIに
列挙されるHLA−A1スーパーモチーフ保有ペプチドエピトープのリストに含
まれる。
【0114】 (IV.D.11.HLA−A0201モチーフ) HLA−A20201モチーフは、9残基ペプチドの第2位での一次アンカ
ー残基としてのLまたはMおよび9残基ペプチドのC末端位置での一次アンカー
残基としてのLまたはVの、ペプチドリガンド中の存在によって特徴付けられる
ことが決定され(例えば、Falkら,Nature 351:290−296
,1991を参照のこと)、そしてさらに、9アミノ酸ペプチドの第2位でIお
よびC末端位置でIまたはAを含むことが見出された(例えば、Huntら,S
cience 255:1261−1263,March 6,1992;Pa
rkerら,J.Immunol.149:3580−3587,1992を参
照のこと)。このA0201対立遺伝子特異的モチーフは、このエピトープの
第2位に一次アンカー残基としてV、A、TまたはQおよびこのエピトープのC
末端位置に一次アンカー残基としてMまたはTをさらに含むことが、本発明者ら
によって規定された(例えば、Kastら,J.Immunol.152:39
04−3912,1994を参照のこと)。従って、HLA−A0201モチ
ーフは、このエピトープの第2位に一次アンカー残基としてL、I、V、M、A
、TまたはQおよびこのエピトープのC末端位置に一次アンカー残基としてL、
I、V、M、AまたはTを有する、ペプチドリガンドを含む。このHLA−A 0201モチーフの一次アンカー位置を特徴付ける、これらの好ましくかつ許容
される残基は、A2スーパーモチーフを説明する残基と同一である(関連データ
の総説については、例えば、del Guercioら,J.Immunol.
154:685−693,1995;Ruppertら,Cell 74:92
9−937,1993;Sidneyら,Immunol.Today 17:
261−266,1996;SetteおよびSidney,Curr.Opi
n.in Immunol.10:478−482,1998を参照のこと)。
このA0201モチーフを特徴付ける二次アンカー残基が、さらに規定されて
いる(例えば、Ruppertら,Cell 74:929−937,1993
を参照のこと)。これらは、表IIに示されている。HLA−A0201分子
に結合するペプチドは、一次および/または二次アンカー位置での置換(好まし
くは、このモチーフに特定化された各々の残基を選択して)によって調節され得
る。
【0115】 A0201モチーフを含む代表的なペプチドエピトープを、添付の表VII
Iに示す。第2位に一次アンカー残基V、A、TまたはQおよびC末端位置に一
次アンカー残基L、I、V、AまたはTを含むA0201モチーフは、本明細
書における特許請求された本発明に最も特に関連があるモチーフである。
【0116】 (IV.D.12.HLA−A3モチーフ) HLA−A3モチーフは、このエピトープの第2位での一次アンカー残基とし
てのL、M、V、I、S、A、T、F、C、GまたはDおよびこのエピトープの
C末端位置での一次アンカー残基としてのK、sY、R、H、FまたはAの、ペ
プチドリガンド中の存在によって特徴付けられる(例えば、DiBrinoら,
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:1508,1993;
およびKuboら,J.Immunol.152:3913−3924,199
4を参照のこと)。HLA−A3に結合するペプチドは、一次および/または二
次アンカー位置での置換(好ましくは、このモチーフに特定化された各々の残基
を選択して)によって調節され得る。
【0117】 このA3モチーフを含む代表的なペプチドエピトープを、添付の表XVIに示
す。このA3スーパーモチーフも含むペプチドエピトープはまた、表IXに列挙
される。このA3スーパーモチーフ一次アンカー残基は、A3−およびA11−
対立遺伝子特異的モチーフのサブセットを含む。
【0118】 (IV.D.13.HLA−A11モチーフ) HLA−A11モチーフは、このエピトープの第2位での一次アンカー残基と
してのV、T、M、L、I、S、A、G、N、C、DまたはFおよびこのエピト
ープのC末端位置での一次アンカー残基としてのK、R、YまたはHの、ペプチ
ドリガンドにおける存在によって特徴付けられる(例えば、Zhangら,Pr
oc.Natl.Acad. Sci.USA 90:2217−2221,1
993;およびKuboら, J.Immunol.152:3913−392
4,1994を参照のこと)。HLA−A11に結合するペプチドは、一次およ
び/または二次アンカー位置での置換(好ましくは、このモチーフに特定化され
た各々の残基を選択して)によって調節され得る。
【0119】 このA11モチーフを含む代表的なペプチドエピトープを、添付の表XVII
に示す。A3対立遺伝子特異的モチーフを含むペプチドエピトープもまた、A3
モチーフ一次アンカー特異性とA11モチーフ一次アンカー特異性との間の広範
な重複に起因してこの表に示される。さらにA3スーパーモチーフを含むペプチ
ドエピトープもまた、表IXに列挙される。
【0120】 (IV.D.14.HLA−A24モチーフ) HLA−A24モチーフは、このエピトープの第2位での一次アンカー残基と
してのY、F、WまたはMおよびこのエピトープのC末端位置での一次アンカー
残基としてのF、L、IまたはWの、ペプチドリガンドにおける存在によって特
徴付けられる(例えば、Kondoら,J.Immunol.155:4307
−4312,1995;およびKuboら,J.Immunol.152:39
13−3924,1994を参照のこと)。HLA−A24分子に結合するペプ
チドは、一次および/または二次アンカー位置での置換(好ましくは、このモチ
ーフに特定化された各々の残基を選択して)によって調節され得る。
【0121】 このA24モチーフを含む代表的なペプチドエピトープを、添付の表XVII
Iに示す。これらのエピトープは、このA24対立遺伝子特異的モチーフを特徴
付ける一次アンカー残基が、A24スーパーモチーフ一次アンカー残基のサブセ
ットを含むので、表X(HLA−A24−スーパーモチーフ保有ペプチドエピト
ープを示す)にも列挙される。
【0122】 (クラスII HTL誘導ペプチドエピトープを示すモチーフ) 以下で記載されるHLAクラスIIペプチドエピトープスーパーモチーフおよ
びHLAクラスIIペプチドエピトープモチーフの一次および二次アンカー残基
を、表IIIに要約する。
【0123】 (IV.D.15.HLA DR−1−4−7スーパーモチーフ) 3つの共通HLAクラスII対立遺伝子特異的HLA分子:HLA DRB1 0401、DRB10101およびDRB10701に結合するペプチド
に関しても、モチーフは同定されている(例えばSouthwoodら、J.I
mmunology 160:3363−3373,1998による概説を参照
)。集合的に、これらのモチーフからの共通の残基は、HLA DR−1−4−
7スーパーモチーフを記述する。これらのDR分子に結合するペプチドは、位置
1における一次アンカー残基としての大型芳香族または疎水性残基(Y、F、W
、L、I、VまたはM)、ならびに9マーコア領域の位置6における一次アンカ
ー残基としての小非荷電残基(S、T、C、A、P、V、I、LまたはM)によ
り特徴付けられるスーパーモチーフを保有する。対立遺伝子特異的二次作用およ
びこれらのHLA型の各々に関する二次アンカーも同定されている(South
wood et al.、上記)。これらは、表IIIに記載されている。HL
A−DRB10401、DRB10101および/またはDRB1070
1に結合するペプチドは、一次および/または二次アンカー位置での置換により
調整されることができ、好ましくはスーパーモチーフに特異化されるそれぞれの
残基を選択する。
【0124】 DR−1−4−7スーパーモチーフを含む代表的な9マーペプチド配列(スー
パーモチーフの位置1が9残基コアの位置1にある)は、表XIXに示す。各配
列について、「タンパク質」欄は、前立腺関連抗原(すなわち、PSA、PSM
、PAP、またはHuK2(カリクレイン))を示す。「位置」欄は、コア配列
の第1のアミノ酸残基に対応する前立腺抗原タンパク質配列におけるアミノ酸位
置を示す。コア配列は、全て9残基長である。例えば、表XIXに列挙される第
1のPSM配列は、9残基長のコア配列であり、本明細書中に提供されるPSM
アミノ酸配列の位置611で開始する。従って、コア配列のアミノ酸配列は、I
YSISMKHPである。9残基コアを含む15アミノ酸長の例示的なエピトー
プは、、9残基コアの側面にある各側で3残基を含む。例えば、PSMの位置6
11でコアエピトープを含む、15アミノ酸残基長の例示的エピトープは、AD
KIYSISMKHPQEMである。
【0125】 コア配列を含むHTLエピトープはまた、15アミノ酸以外の長さであり得る
(上記)。例えば、本発明のエピトープは、各側で9残基のすぐ近くに隣接する
9残基コアおよび1,2,3(例示的な15マーにおいて)、4、または5個の
フランキング残基を含む配列を含む。
【0126】 (IV.D.16.HLA DR3モチーフ) 2つの代替的モチーフ(すなわちサブモチーフ)は、HLA−DR3分子に結
合するペプチドエピトープを特徴付ける(例えば、Gelukら、J.Immu
nol.152:5742,1994参照)。第一のモチーフ(サブモチーフD
R3a)では、大型疎水性残基(L、I、V、M、FまたはY)が9マーコアの
アンカー位置1に存在し、そしてDがエピトープのカルボキシル末端に向けて、
位置4にアンカーとして存在する。その他のクラスIIモチーフの場合と同様に
、コア位置1がペプチドN末端位置を占めることもあるし、そうでないこともあ
る。
【0127】 代替的DR3サブモチーフは、エピトープのカルボキシル末端に向かう位置6
での正電荷の存在により、アンカー位置1での大型疎水性残基の欠如に、および
/または位置4での負荷電またはアミド様アンカー残基の欠如に備える。従って
代替的対立遺伝子特異的DR3モチーフ(サブモチーフDR3b)に関しては:
L、I、V、M、F、Y、AまたはYがアンカー位置1に存在し;D、N、Q、
E、SまたはTがアンカー位置4に存在し;そしてK、RまたはHがアンカー位
置6に存在する。HLA−DR3に結合するペプチドは、一次および/または二
次アンカー位置での置換により調整されることができ、好ましくはそのスーパー
モチーフに特異化されるそれぞれの残基を選択する。
【0128】 DR3aまたはDR3bサブモチーフ(モチーフの位置1が9残基コアの位置
1である)を含む9残基配列に対応する、考え得るペプチドエピトープ9マーコ
ア領域は、表XXaおよびbに記載されている。「タンパク質」欄は、前立腺関
連抗原(すなわち、PSA、PSM、PAP、またはHuK2(カリクレイン)
)を示す。「位置」欄は、コア配列の第1のアミノ酸残基に対応する前立腺抗原
タンパク質配列におけるアミノ酸位置を示す。コア配列は、全て9残基長である
。例えば、表XXaに列挙される第1の配列は、9残基長のコア配列であり、本
明細書中に提供されるPAPアミノ酸配列の位置124で開始する。従って、コ
ア配列のアミノ酸配列は、FPPEGVSIWである。9残基コアを含む15ア
ミノ酸長の例示的なエピトープは、9残基コアの側面にある各側で3残基を含む
。例えば、PAPの位置124でコアエピトープを含む、15アミノ酸長の例示
的エピトープは、AALFPPEGVSIWNPIである。
【0129】 コア配列を含むHTLエピトープはまた、15アミノ酸以外の長さであり得る
(上記)。例えば、本発明のエピトープは、各側で9残基のすぐ近くに隣接する
9残基コアおよび1,2,3(例示的な15マーにおいて)、4、または5個の
フランキング残基を含む配列を含む。
【0130】 本明細書中に記載されているように同定されたHLAクラスIまたはクラスI
Iペプチドエピトープの各々は、単にこの出願の本発明の一態様であるとみなさ
れる。さらに各ペプチドエピトープが任意のその他のペプチドエピトープと組合
せて用いられ得るということも、本発明の一態様である。
【0131】 (IV.E.ワクチンの強化集団適用範囲) 商業的により発展可能であり、そして一般的にほとんどの人々に適用可能であ
るために、広範な集団適用範囲を有するワクチンが好ましい。広範な集団適用範
囲は、全体的に考えた場合に、ほとんどの集団に存在するHLA対立遺伝子に結
合するペプチドエピトープを選択することにより、本発明のペプチド(ならびに
/またはこのようなペプチドをコードする核酸組成物)を用いて得られる。表X
XIは、種々の民族におけるHLAクラスIスーパータイプの全体的頻度(表X
XIa)およびA2−、A3−およびB7−スーパータイプ(表XXIb)によ
り達成された併合集団適用範囲を示す。A2−、A3−およびB7スーパータイ
プは、これら5つの主要民族群の各々において平均で40%を超えて各々存在す
る。80%という過剰の適用範囲は、これらのスーパーモチーフの組合せにより
達成される。これらの結果は、有効かつ民族的偏りのない集団適用範囲が、限定
数の交差反応性ペプチドの使用時に達成されることを示唆する。これら3つの主
要ペプチド特異性により達成された集団適用範囲は高いが、付加的スーパーモチ
ーフまたは対立遺伝子特異的モチーフ保有ペプチドの使用時には、95%および
それ以上の集団適用範囲に達するよう、そして真の多特異的応答をさらに容易に
達成するよう、適用範囲は拡張され得る。
【0132】 B44−スーパータイプ、A1−スーパータイプおよびA24−スーパータイ
プは、これらの主要民族集団中に平均で25%〜40%の範囲で各々存在する(
表XXIa)。全体的に低流布性であるが、しかしB27−、B58−およびB
62スーパータイプは各々、少なくとも1つの主要民族群中に25%より大きい
頻度で存在する(表XXIa)。表XXIbは、5つの主要民族群で同定された
HLAスーパータイプの組合せの流布概算値を概説する。A2、A3およびB7
適用範囲へのA1スーパータイプ、A24スーパータイプおよびB44スーパー
タイプの含入により得られた適用範囲増分、ならびに本明細書中に記載された全
てのスーパータイプを用いて得られた適用範囲が示されている。
【0133】 A2−、A3−およびB7スーパータイプの従来の定義と一緒に本明細書中に
提示されたデータは、全ての抗原(A29、B8およびB46は考え得る例外と
して)が全部で9つのHLAスーパータイプに分類され得ることを示す。6つの
最も高頻度のスーパータイプからのエピトープを含入することにより、99%と
いう平均集団適用範囲が5つの主要民族群に関して得られる。
【0134】 (IV.F.免疫応答刺激ペプチドアナログ(類似体、類縁体)) 概して、全体の抗原に対するCTLおよびHTL応答は、全ての考え得るエピ
トープに対して向けられるというわけではない。むしろそれらは2〜3の「腫瘍
抗原」決定基(immunodominant determinant)に拘
束される(Zinkernagel,ら、Adv.Immunol.27:51
59,1979;Bennik,ら、J.Exp.Med.168:1935−
1939,1988;Rawle,ら、J.Immunol.146:3977
−3984,1991)。イムノドミナント(immunodominant)
(Benacerraf,ら、Science 175:273−279,19
72)は、特定のHLAタンパク質を選択的に結合する(決定因子選択理論)(
Vitiello,ら、J.Immunol.131:1635,1983;R
osenthalら、Nature 267:156〜158,1997)また
は既存のTCR(T細胞受容体)特異性により選択的に認識される(レパートリ
ー理論)(Klein,J.,IMMUNOLOGY,THE SCIENCE
OF SELF/NONSELF DISCRIMINATION,John
Wiley & Sons,New York,pp.270−310,19
82)所定のエピトープの能力のいずれかにより説明され得る。主としてプロセ
シング事象に結び付けられる付加的因子も、厳密な免疫原性を越えて、多数の考
え得る決定因子が主要抗原決定基として存在することを指令する場合に重要な役
割を演じ得る、ということが立証されている(Sercarz,ら、Annu.
Rev.Immunol.11:729−766,1993)。
【0135】 組織特異性および発生性TAAは、少なくともいくつかの時点で、または身体
内の少なくともいくつかの位置で正常組織上に発現されるため、それらに対する
T細胞、特にドミナント(dominant)エピトープは免疫監視中に排除さ
れ、そして寛容が誘導される、と予測され得る。しかしながら正常ドナーと癌患
者の両方において腫瘍エピトープに対するCTL応答が検出されており、これは
寛容が不完全であることを示し得る(例えば、Kawashimaら、Hum.
Immunol.59:1,1998;Tsang,J.Natl.Cance
r Inst.87:82−90,1995;Rongounら、J.Immu
nol.163:1037,1999参照)。従って免疫寛容は、高親和性HL
AクラスI結合ペプチドを認識し得るCTL前駆体を完全には排除または不活性
化しない。
【0136】 寛容を克服するためのさらに別の戦略は、アナログ(類似体)ペプチドを用い
ることである。理論によって束縛されることを意図しないが、ドミナント(do
minant)エピトープに対するT細胞はクローン的に欠失されているため、
サブドミナント(subdominant)エピトープの選択が既存のT細胞を
必要にさせ、これが次に治療的または予防的応答をもたらすことが考えられる。
しかしながらサブドミナント(subdominant)エピトープとのHLA
分子の結合は、しばしばドミナント(dominant)エピトープとの結合よ
りも低強硬(vigorous)である。従って、1つまたはそれ以上のHLA
分子に対する特定の免疫原性エピトープの結合親和性を調整し、それにより、例
えばより強力な(vigorous)応答を引き出すアナログ(類似体)ペプチ
ドを調製するよう、ペプチドにより引き出される免疫応答を調整し得る必要があ
る。
【0137】 上記のスクリーニング手法により、スーパーファミリーの全ての対立遺伝子間
の適切な交差反応性を有するペプチドが同定されているが、しかし交差反応性は
いつもできるだけ完全であるというわけではなく、ある場合には、ペプチドの交
差反応性を増大するための手法が有用であり得る。さらにこのような手法は、結
合親和性またはペプチド安定性のようなペプチドの他の特性を改質するためにも
用いられ得る。所定のモチーフまたはスーパーモチーフ内のHLA対立遺伝子に
対するペプチドの交差反応性を支配する一般原則が確立されれば、より広範な(
あるいはそうでなければ修飾された)HLA結合能力を達成するために、当該特
定の目的のペプチドの構造の修飾(すなわちアナログ(類似体)化)が実施され
得る。より詳細には、最も広範な交差反応性パターンを示すペプチドが、本明細
書中の教示に従って生成され得る。アナログ(類似体)生成に関連した本発明の
概念は、米国同時係属出願の第09/226,775号(1999年1月6日提
出)に詳細に記載されている。
【0138】 要するに、用いられる戦略は、ある種のHLA分子との結合と相関するモチー
フまたはスーパーモチーフを利用する。モチーフまたはスーパーモチーフは、一
次アンカーを、多くの場合には、二次アンカーを有することにより規定される。
アナログ(類似体)ペプチドは、一次アンカー、二次アンカーでのまたは一次お
よび二次アンカー位置のアミノ酸残基を置換することにより作製され得る。一般
にアナログ(類似体)は、モチーフまたはスーパーモチーフをすでに保有するペ
プチドに対して作製される。HLAクラスIおよびクラスII結合ペプチドに関
して規定されていたスーパーモチーフおよびモチーフの好ましい二次アンカー残
基は、それぞれ表IIおよびIIIに示される。
【0139】 本発明の多数のモチーフまたはスーパーモチーフに関して、対立遺伝子特異的
HLA分子、またはそれぞれのモチーフまたはスーパーモチーフを結合するHL
Aスーパータイプのメンバーに結合することが有害である残基が規定される(表
IIおよびIII)。従って結合に有害であるこのような残基の除去が、本発明
に従って実施され得る。例えばA3スーパータイプの場合には、このような有害
残基を有する全てのペプチドが、分析に用いられるペプチドの集団から除去され
ると、交差反応性の発生率は、22%から37%に増大した(例えば、Sidn
ey,J.ら、Hu.Immunol.45:79,1996参照)。従って、
所定のスーパーモチーフ内のペプチドの交差反応性を改善するための一戦略は、
単に、ペプチド内に存在する1つ以上の有害残基を欠失させ、小「中性」残基、
例えばAla(ペプチドのT細胞認識に影響を及ぼし得ない)を置換することで
ある。ペプチド内の有害残基の排除とともに、対立遺伝子特異的HLA分子との
またはスーパーファミリー内の多数のHLA分子との高親和性結合に関連した「
好ましい」残基が挿入される場合に、交差反応性強化の可能性が、予期される。
【0140】 アナログ(類似体)ペプチドが、ワクチンとして用いられる場合、インビボで
ネイティブな(native)エピトープに対するCTL応答を実際に惹起する
(またはクラスIIエピトープの場合は、野生型ペプチドと交差反応するヘルパ
ーT細胞を惹起する)ことを保証するために、アナログ(類似体)ペプチドが、
適切なHLA対立遺伝子を有する個体からインビトロでT細胞を免疫化するため
に用いられ得る。その後、野生型ペプチド感作標的細胞の溶解を誘導する免疫化
細胞の能力が評価される。それは、内因的に産生された抗原が関連T細胞によっ
ても認識されるか否かを確定するために、適切な遺伝子で感染されたかまたはト
ランスフェクトされた細胞であるか、あるいはクラスIIエピトープのみの場合
には、全タンパク質抗原でパルスされたことのある細胞のいずれかである抗原提
示細胞として用いるのが望ましい。
【0141】 本発明の別の実施形態は、弱結合ペプチドのアナログ(類似体)を作製し、そ
れにより適正数の交差反応性細胞結合剤を保証することである。500〜500
0nMの結合親和性を示し、かつ許容可能であるが、一方または両方の位置に最
適下限の一次アンカー残基を保有するクラスI結合ペプチドは、それぞれのスー
パータイプに従って好ましいアンカー残基を置換することにより「固定」され得
る。次に、アナログ(類似体)ペプチドは交差結合活性に関して試験され得る。
【0142】 有効なペプチドアナログ(類似体)を生成するための別の実施形態は、例えば
液体環境中でのペプチド安定性または溶解性に悪影響を及ぼす残基の置換を包含
する。この置換は、ペプチドエピトープの任意の位置で起こり得る。例えばシス
テインはαアミノ酪酸(本明細書中に列挙したペプチド配列に関する一文字略語
で「B」)を選択して置換され得る。その化学的性質のために、システインはジ
スルフィド架橋を形成する傾向を有し、そして結合能力を低減するのに十分なだ
けペプチドを構造的に変える。システインの代わりにα−アミノ酪酸を置換する
と、この問題が改善されるだけでなく、ある場合には結合および交差結合能力が
実際に改良される(例えば、Setteら、In:Persistent Vi
ral Infections,Eds.R.Ahmed and I.Che
n,John Wiley & Sons,England,1999による概
説を参照)。
【0143】 (IV.G.スーパーモチーフ保有ペプチドまたはモチーフ保有ペプチドに関
する疾患関連抗原からのタンパク質配列のコンピュータースクリーニング) 標的抗原中のスーパーモチーフ保有ペプチドまたはモチーフ保有ペプチドを同
定するために、ネイティブなタンパク質配列、例えば腫瘍関連抗原、または感染
生物体、または移植用ドナー組織由来の配列は、配列内のスーパーモチーフまた
はモチーフの存在を確定するために、知的計算またはコンピューターのような演
算のための手段を用いて、スクリーニングされる。ネイティブなペプチドの分析
から得られる情報は、ネイティブなペプチドの状態を評価するために直接用いら
れ得るか、またはその後ペプチドエピトープを生成するために利用され得る。
【0144】 対象スーパーモチーフまたはモチーフの発生に関するタンパク質配列の迅速ス
クリーニングを可能にするコンピュータープログラムが、アナログ(類似体)ペ
プチドの生成を可能にするプログラムと同様に、本発明に包含される。これらの
プログラムは、任意の同定されたアミノ酸配列を分析するか、あるいは未知の配
列に関して作動し、同時に配列を確定して、そのモチーフ保有エピトープを同定
するために実行される。アナログ(類似体)も同様に同時に確定され得る。一般
に同定された配列は、病原性生物体または腫瘍関連ペプチド由来である。本発明
において、標的TAA分子としては、PSA、PSM、PAP、およびhK2が
挙げられるが、これらに限定されない。
【0145】 ペプチド結合の予測のために利用される選択判定基準は、実際の結合と最も効
率的に相関するためにできるだけ正確であることが重要である。適切な一次アン
カーの存在に基づいた、例えばHLA−A0201に結合するペプチドの予測
は、約30%の割合で有望である(例えば、Ruppert,J.ら、Cell
74:929,1993参照)。しかしながら、本明細書中に開示するペプチ
ド−HLA結合データ、関連特許出願中のデータおよび当該技術のデータを広範
に分析することにより、本発明者らは、一次アンカー残基の単独での存在を基礎
にした同定を上回って予測値を劇的に増大する多数の対立遺伝子特異的多項式ア
ルゴリズムを開発した。これらのアルゴリズムは、一次アンカーの存在または非
存在だけでなく、二次アンカー残基(異なる位置での異なるアミノ酸の影響を説
明するため)の肯定的または有害な存在も考慮に入れる。アルゴリズムは本質的
には、ペプチド−HLA相互作用の全親和性(または△G)が以下の型の一次多
項式関数として概算され得るという仮定に基づく: △G=a1ixa2ixa3i・・・・xani (式中、a1iは、n個のアミノ酸のペプチドの配列に沿って所定位置(i)で
の所定アミノ酸(j)の存在の影響を表す係数である)。この方法の重要な仮定
は、各位置での影響が本質的に互いに無関係であるということである。この仮定
は、ペプチドがHLA分子に結合され、本質的に拡張配座におけるT細胞により
認識されることを立証する研究により正当化される。特定のアルゴリズム係数の
誘導は、例えば、Gulukota,K.ら、J.Mol.Biol.267:
1258,1997に記載されている。
【0146】 また特異的モチーフを使用する好ましいペプチド配列を同定するためのさらに
別の方法としては、ニューラルネットワークおよび分子モデリングプログラムの
使用が挙げられる(例えば、Milikら、Nature Biotechno
logy 16:753,1998;Altuviaら、Hum.Immuno
l.58:1,1997;Altuviaら、J.Mol.Biol.249:
244,1995;Buus,S.Curr.Opin.Immunol.11
:209−213,1999;Brusic,V.ら、Bioinformat
ics 14:121−130,1998;Parkerら、J.Immuno
l.152:163,1993;Meisterら、Vaccine 13:5
81,1995;Hammerら、J.Exp.Med.180:2353,1
994;Sturnioloら、Nature Biotechnol.17:
555,1999参照)。
【0147】 例えば、少なくとも1つの好ましい二次アンカー残基を含有するA0201
モチーフ保有ペプチドのセット中では、任意の有害な二次アンカー残基の存在を
回避する一方で、ペプチドの69%がA0201を結合し、IC50は500
nM未満である、ということが示されている(Ruppert,J.ら、Cel
l 74:929,1993)。これらのアルゴリズムはまた、カットオフスコ
アが所望により、より大きいまたはより低い予測結合特性を有するペプチド組を
選定するよう調整され得るという点で、融通性がある。
【0148】 ペプチドエピトープを同定するためにコンピュータースクリーニングを利用す
る際、タンパク質配列または翻訳配列は、モチーフを検索するために開発された
ソフトウェア、例えば「FINDPATTERNS」プログラム(Devere
ux,ら、Nucl.Acids Res.12:387−395,1984)
、あるいは適切なHLA結合モチーフを含有する潜在性ペプチド配列を同定する
ためのMotifSearch1.4ソフトウェアプログラム(D.Brown
,San Diego,CA)を用いて分析され得る。同定ペプチドは、特異的
HLAクラスIまたはクラスII対立遺伝子を結合するそれらの能力を予測する
ために、カスタマイズド多項式アルゴリズムを用いてスコア付けされ得る。当業
者に理解されるように、既知または未知のペプチド配列を評価するために(例え
ばエピトープを同定するために、ペプチド長当たりのエピトープ濃度を同定する
ために、またはアナログ(類似体)を生成するために、ただし、これらに限定さ
れない)、コンピュータープログラミングソフトウェアおよびハードウェアオプ
ションの大型アレイが、本発明のモチーフを実行するために用いられ得る関連業
界で利用可能である。
【0149】 上記の手法に従って、HLAスーパータイプ群または対立遺伝子特異的HLA
分子を結合することが可能である前立腺癌関連抗原ペプチドエピトープおよびそ
のアナログが同定されている。
【0150】 (IV.H.ペプチドエピトープの調製) 本発明によるペプチドは、組換えDNA技術または化学合成により合成的に、
あるいはネイティブの腫瘍または病原性生物体のような天然供給源から調製され
得る。ペプチドエピトープは、別々に、またはポリエピトープペプチドとして合
成されてもよい。ペプチドは好ましくは他の天然に存在する宿主細胞タンパク質
およびそれらのフラグメントを実質的に含まないが、いくつかの実施形態では、
ペプチドはネイティブのフラグメントまたは粒子と合成的に結合され得る。
【0151】 本発明によるペプチドは、種々の長さであり得、それらの中性(非荷電)形態
または塩である形態であり得る。本発明によるペプチドは、グリコシル化、側鎖
の酸化またはリン酸化のような修飾を含まないか、あるいはそれらは、修飾が本
明細書中に記載するようなペプチドの生物活性を破壊しないという条件で、これ
らの修飾を含有する。
【0152】 可能な場合は、約8〜約13、多くの場合8〜11、好ましくは9〜10のア
ミノ酸残基の長さに、ポリエピトープ構築物中で用いられ得るように、本発明の
HLAクラスI結合エピトープを最適化するのが望ましい。本発明のHLAクラ
スII結合ペプチドエピトープは、約6〜約30のアミノ酸長の長さ、好ましく
は約13〜約20の残基に最適化され得る。好ましくは、ペプチドエピトープは
、関連HLA分子に結合される内因的処理病原体由来ペプチドまたは腫瘍細胞ペ
プチドとサイズが同等であるが、本発明のエピトープを含むペプチドの同定およ
び調製はまた、本明細書中に記載する技法を用いて実行され得る。
【0153】 代替的実施形態では、本発明のエピトープは、ポリエピトープペプチド、また
はポリエピトープペプチドをコードするミニジーンとして連結され得る。
【0154】 別の実施形態では、高濃度のクラスIおよび/またはクラスIIエピトープを
含有するネイティブのペプチド領域を同定するのが好ましい。このような配列は
一般に、それがアミノ酸長当たり最大数のエピトープを含有することを基礎にし
て選択される。エピトープは入れ子式または重複様式で存在し、例えば10アミ
ノ酸長ペプチドは2つの9アミノ酸長エピトープおよび1つの10アミノ酸長エ
ピトープを含有し得、細胞内プロセシング時には各エピトープは露出され得、こ
のようなペプチドの投与時にはHLA分子により結合され得ると理解されるべき
である。このより大きい、好ましくは多エピトープのペプチドは、合成的に、組
換え的に、またはネイティブの供給源からの切断により生成され得る。
【0155】 本発明のペプチドは、多種多様の方法で調製され得る。好ましい比較的短いサ
イズに関しては、ペプチドは慣用的技法にしたがって溶液中でまたは固体支持体
上で合成され得る。種々の自動合成機が市販されており、既知のプロトコールに
したがって用いられ得る(例えば、Stewart & Young,SOLI
D PHASE PEPTIDE SYNTHESIS,2D,ED.,Pie
rce Chemical Co.,1984参照)。さらに個々のペプチドエ
ピトープは、化学的連結を用いて連結されて、やはり本発明の範囲内である大型
ペプチドを生成し得る。
【0156】 あるいは、目的の免疫原性ペプチドをコードするヌクレオチド配列が、発現ベ
クターに挿入され、適切な宿主細胞中に形質転換されるかまたはトランスフェク
トされ、そして発現に適した条件下で培養される組換えDNA技術が用いられ得
る。これらの手法は、Sambrookら,MOLECULAR CLONIN
G,A LABORATORY MANUAL,Cold Spring Ha
rbor Press,Cold Spring Harbor New Yo
rk(1989)に記載されているように、一般に当該技術で既知である。した
がって、本発明の1つまたはそれ以上のペプチド配列を含む組換えポリペプチド
は、適切なT細胞エピトープを提示するために用いられ得る。
【0157】 本明細書中で意図される好ましい長さのペプチドエピトープに関する配列をコ
ードするヌクレオチドは、化学的技法により、例えばMatteucciら、J
.Am.Chem.Soc.103:3185 (1981)のホスホトリエス
テル法により合成され得る。ペプチドアナログは、ネイティブのペプチド配列を
コードするものの代わりに、適切なかつ所望の核酸塩基(単数または複数)を単
に置換することにより作製され得る。典型的な核酸置換例は、本明細書中のモチ
ーフ/スーパーモチーフにより規定されるアミノ酸をコードするものである。次
にコード配列は、適切なリンカーを提供され、当該技術で一般的に利用可能な発
現ベクター、ならびに適切な宿主を形質転換するために用いられるベクターに連
結されて、所望の融合タンパク質を産生し得る。多数のこのようなベクターおよ
び適切な宿主系が目下利用可能である。融合タンパク質の発現に関しては、コー
ド配列は、作動可能に連結される開始および停止コドン、プロモーターおよびタ
ーミネーター領域、ならびに通常は複製系を提供されて、所望の細胞宿主中での
発現のための発現ベクターを提供する。例えば、細菌宿主と適合性のプロモータ
ー配列は、所望のコード配列の挿入に便利な制限部位を含有するプラスミド中に
提供される。その結果生じる発現ベクターは、適切な細菌宿主中に形質転換され
る。当然ながら、酵母、昆虫または哺乳類細胞宿主も、適切なベクターおよび制
御配列を用いて使用され得る。
【0158】 (IV.I.T細胞応答を検出するためのアッセイ) いったんHLA結合ペプチドが同定されれば、それらはT細胞応答を引き出す
能力に関して試験され得る。モチーフ保有ペプチドの調製および評価は、PCT
国際公開公報第94/20127号および同第第94/03205号に記載され
ている。要するに、特定の抗原からのエピトープを含むペプチドが合成され、適
切なHLAタンパク質に結合するそれらの能力に関して試験される。これらのア
ッセイは、精製HLAクラスI分子への本発明のペプチドの結合を、放射性ヨウ
素標識参照ペプチドの結合に関して評価することを包含する。あるいは、免疫蛍
光染色および流動微小蛍光測定により、空のクラスI分子を発現する細胞(すな
わちその中にペプチドを欠く)が、ペプチド結合に関して評価され得る。ペプチ
ド結合を評価するために用いられ得るその他のアッセイとしては、ペプチド依存
性クラスIアセンブリーアッセイおよび/またはペプチド競合によるCTL認識
の抑制が挙げられる。典型的には500nMまたはそれ未満の親和性で、クラス
I分子に結合するペプチドは、感染または免疫化固体由来のCTLに対する標的
として役立つそれらの能力に関して、ならびに疾患と関連した選定標的細胞と反
応し得るCTL集団を生じ得る一次インビトロでのまたはインビボでのCTL応
答を誘導するそれらの能力に関して、さらに評価される。対応するアッセイは、
HLAクラスII結合ペプチドの評価のために用いられる。典型的には1000
nMまたはそれ未満の親和性にて結合することが示されているHLAクラスII
モチーフ保有ペプチドはさらに、HTL応答を刺激する能力に関して評価される
【0159】 アナログアッセイは、HLAクラスII結合ペプチドの評価のために使用され
る。代表的に1000nM以下の親和性で結合が示されるHLAクラスIIモチ
ーフ保有ペプチドは、さらに、HTL応答を刺激する能力について評価される。
【0160】 T細胞応答を検出するために利用される慣用的アッセイとしては、増殖アッセ
イ、リンホカイン分泌アッセイ、直接的細胞傷害性アッセイおよび限界希釈アッ
セイが挙げられる。例えばペプチドとともにインキュベートされた抗原提示細胞
は、応答体細胞集団中でCTL応答を誘導する能力に関してアッセイされ得る。
抗原提示細胞は、末梢血単核細胞または樹状細胞のような正常細胞、であり得る
。あるいは内部処理ペプチドとともにクラスI分子を負荷する能力を欠き、適切
なヒトクラスI遺伝子でトランスフェクトされた突然変異体非ヒト哺乳類細胞系
は、インビトロでの一次CTL応答を誘導するペプチドの能力に関して試験する
ために用いられ得る。
【0161】 末梢血単核細胞(PBMC)は、CTL前駆体の応答体細胞供給源として用い
られ得る。適切な抗原提示細胞は、ペプチドとともにインキュベートされ、その
後、ペプチド負荷抗原提示細胞が、最適化培養条件下にて応答体細胞集団ととも
にインキュベートされる。陽性CTL活性化は、放射能標識標的細胞、両特異的
ペプチドパルス化標的、ならびにペプチド配列が由来する内因的処理形態の抗原
を発現する標的細胞を死滅するCTLの存在に関して培養物をアッセイすること
により確定され得る。
【0162】 さらに、フルオレセイン標識HLAテトラマー複合体で染色することにより抗
原特異的T細胞の直接定量を可能にする方法が案出された(Altman,J.
D.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:1
0330,1993;Altman,J.D.et al.,Science
274:94,1996)。他の比較的最近の技術的開発としては、細胞内リン
ホカインに対する染色およびインターフェロン放出アッセイまたはELISPO
Tアッセイが挙げられる。テトラマー染色、細胞内リンホカイン染色およびEL
ISPOTアッセイは全て、より慣用的アッセイより感度が少なくとも10倍高
いと思われる(Lalvani,A.et al.,J.Exp.Med.18
6:859,1997;Dunbar,P.R.et al.,Curr.Bi
ol.8:413,1998;Murali−Krishna,K.et al
.,Immunity 8:177,1998)。
【0163】 HTL活性化も、T細胞増殖およびリンホカイン、例えばIL−2の分泌のよ
うな当業者に既知の技法を用いて評価され得る(例えば、Alexandarら
,Immunity 1:751−761,1994参照)。
【0164】 あるいは、HLAトランスジェニックマウスの免疫化を用いて、ペプチドエピ
トープの免疫原性を確定し得る。ヒトA2.1、A11(HLA−A3エピトー
プを分析するために付加的に用いられ得る)およびB7対立遺伝子を有するマウ
スを含むいくつかのトランスジェニックマウスモデルが特性化され、そして他の
もの(例えばHLA−A1およびA24に関するトランスジェニックマウス)が
開発されつつある。HLA−DR1およびHLA−DR3マウスモデルも開発さ
れている。他のHLA対立遺伝子を有するさらに別のトランスジェニックマウス
モデルが、必要な場合には生成され得る。マウスは不完全フロイントアジュバン
ト中に乳化されたペプチドで免疫化され、その結果生じるT細胞が、ペプチドパ
ルス化標的細胞および適切な遺伝子でトランスフェクトされた標的細胞を認識す
るそれらの能力に関して試験される。CTL応答は、上記の細胞傷害性アッセイ
を用いて分析され得る。同様に、HTL応答は、T細胞増殖またはリンホカイン
の分泌のようなアッセイを用いて分析され得る。
【0165】 (IV.J.診断剤としてのならびに免疫応答を評価するためのペプチドエピ
トープの使用) 本発明の一実施形態では、本明細書中に記載するようなHLAクラスIおよび
クラスII結合ペプチドが、免疫応答を評価するための試薬として用いられる。
評価されるべき免疫応答は、試薬として用いられるべきペプチドエピトープ(単
数または複数)を認識し、それに結合する抗原特異的CTLまたはHTLの産生
を結果として生じ得る任意の作用物質を免疫原として用いることにより誘導され
る。ペプチド試薬は、免疫原として用いられる必要はない。このような分析のた
めに用いられるアッセイ系としては、テトラマー、細胞内リンホカインに対する
染色およびインターフェロン放出アッセイまたはELISPOTアッセイのよう
な比較的最近の技術的開発が挙げられる。
【0166】 例えば、本発明のペプチドは、腫瘍細胞抗原または免疫原への曝露後に抗原特
異的CTLの存在に関して末梢血単核細胞を評価するためのテトラマー染色アッ
セイに用いられる。HLA−テトラマー複合体は、抗原特異的CTLを直接可視
化するために(例えば、Oggら,Science 279:2103−210
6,1998、およびAltmanら,Science 174:94−96,
1996参照)、および末梢血単核細胞サンプル中の抗原特異的CTL集団の頻
度を確定するために用いられる。本発明のペプチドを用いるテトラマー試薬は、
以下のように生成される:HLA分子に結合するペプチドが、対応するHLA重
鎖およびβ−ミクログロブリンの存在下でリフォールディングされて、三分子
複合体を生成する。複合体は、タンパク質に予め操作された部位で重鎖のカルボ
キシル末端でビオチン化される。次にストレプトアビジンの添加により、テトラ
マー形成が誘導される。蛍光的標識ストレプトアビジンにより、テトラマーは抗
原特異的細胞を染色するために用いられる。次に細胞は、例えばフローサイトメ
トリーにより同定され得る。このような分析は、診断または予後用途に用いられ
得る。当該手法により同定される細胞は、治療用途にも用いられ得る。
【0167】 本発明のペプチドは、免疫リコール応答を評価するための試薬としても用いら
れる(例えば、Bertoniら,J.Clin.Invest.100:50
3−513,1997およびPennaら,J.Exp.Med.174:15
65−1570,1991参照)。例えば、癌を有する個体からの患者PBMC
サンプルは、特異的ペプチドを用いて抗原特異的CTLまたはHTLの存在に関
して分析される。単核細胞を含有する血液サンプルは、PBMCを培養し、本発
明のペプチドで細胞を刺激することにより評価され得る。適切な培養時間後、増
殖した細胞集団が、例えばCTLに関してまたはHTL活性に関して分析され得
る。
【0168】 ペプチドは、ワクチンの効力を評価するための試薬としても用いられる。免疫
原でワクチン接種された患者から得られるPBMCは、例えば上記方法のいずれ
かを用いて分析される。患者はHLA型分類され、その患者に存在する対立遺伝
子特異的分子を認識するペプチドエピトープ試薬が分析のために選定される。ワ
クチンの免疫原性は、PBMCサンプル中のエピトープ特異的CTLおよび/ま
たはHTLの存在により示される。
【0169】 本発明のペプチドは、当該技術で周知の技法を用いて抗体を作製するためにも
用いられ(例えば、CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNO
LOGY,Willey/Greene,NY、およびAntibodies
A Laboratory Manual,Harlow and Lane,
Cold Spring Harbor Laboratory Press,
1989参照)、これは癌を診断またはモニターするための試薬として有用であ
り得る。このような抗体としては、HLA分子の情況でペプチドを認識するもの
、すなわちペプチド−MHC複合体に結合する抗体が挙げられる。
【0170】 (IV.K.ワクチン組成物) 本明細書中に記載されるような免疫原的有効量の1つまたはそれ以上のペプチ
ドを含有するワクチンおよびワクチンの調製方法は、本発明のさらなる実施形態
である。いったん適切免疫原性エピトープが定義されれば、それらは種々の手段
により分類および送達されて、本明細書中では「ワクチン」組成物と呼ばれる。
このようなワクチン組成物としては、例えばリポペプチド(例えば、Vitie
llo,A.et al.,J.Clin.Invest.95:341,19
95)、ポリ(DL−ラクチドコグリコド)(「PLG」)微小球中に封入され
るペプチド組成物(例えば、Eldridgeら、Molec.Immunol
.28:287−294,1991;Alonsoら,Vaccine 12:
299−306,1994;Jonesら,Vaccine 13:675−6
81,1995参照)、免疫刺激複合体(ISCOMS)中に含入されるペプチ
ド組成物(例えば、Takahashiら,Nature 344:873−8
75,1990;Huら,Clin Exp Immunol.113:235
−243,1998参照)、多抗原ペプチド系(MAPs)(例えば、Tam,
J.P.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.85:5409−
5413,1988;Tam,J.P.,J.Immunol.Methods
196:17−32,1996参照)、多価ペプチドとして処方されるペプチ
ド;弾道送達系での使用のためのペプチド、典型的には結晶化ペプチド、ウイル
ス送達ベクター(Perkus,M.E.ら:Concepts in vac
cine development,Kaufmann,S.H.E.,編,p
.379,1996;Chakrabarti,S.ら,Nature 320
:535,1986;Hu,S.L.ら,Nature 320:537,19
86;Kieny,M.P.ら,AIDS Bio/Technology 4
:790,1986;Top,F.H.ら,J.Infect.Dis.124
:148,1971;Chanda,P.K.ら,Virology 175:
535,1990)、ウイルスまたは合成起源の粒子(例えば、Kofler,
N.ら,J.Immunol.Methods.192:25,1996;El
dridge,J.H.ら,Sem.Hematol.30:16,1993;
Falo,L.D.,Jr.ら,Nature Med.7:649,1995
)、アジュバント(Warren,H.S.,Vogel,F.R.,およびC
hedid,L.A.,Annu.Rev.Immunol.4:369,19
86;Gupta,R.K.ら,Vaccine 11:293,1993)、
リポソーム(Reddy,R.ら,J.Immumol.148:1585,1
992;Rock,K.L.,Immunol.Today 17:131,1
996)、あるいは裸または粒子吸収cDNA(Ulmer,J.B.ら,Sc
ience 259:1745,1993;Robinson,H.L.,Hu
nt,L.A.,およびWebster,R.G.,Vaccine 11:9
57,1993;Shiver,J.W.ら:Concepts in vac
cine development,Kaufmann,S.H.E.,編,p
.423,1996;Cease,K.B.,およびBerzofsky,J.
A.,Annu.Rev.Immunol.12:923,1994、およびE
ldridge,J.H.ら,Sem.Hematol.30:16,1993
)が挙げられ得る。レセプター媒介性ターゲッティングとしても既知の毒素標的
化送達技術、例えばAvant Immunotherapeutics,In
c.(Needham,Massachusetts)のものも用いられ得る。
【0171】 本発明のワクチンとしては、核酸媒介性様相が挙げられる。本発明の1つまた
はそれ以上のペプチドをコードするDNAまたはRNAも、患者に投与され得る
。このアプローチは、例えばWolffら,Science 247:1465
(1990)ならびに米国特許第5,580,859号、同第5,589,46
6号、同第5,804,566号、同第5,739,118号、同第5,736
,524号、同第5,679,647号、国際公開第98/04720号、およ
び以下にさらに詳細に記載される。DNAベースの送達技術の例としては、「裸
のDNA」促進(ブピバカイン、ポリマー、ペプチド媒介性)送達、陽イオン性
脂質複合体、ならびに粒子媒介性(「遺伝子銃」)または圧力媒介性送達が挙げ
られる(例えば、米国特許第5,922,687号参照)。
【0172】 治療的または予防的免疫化用途のために、本発明のペプチドはまた、ウイルス
または細菌ベクターによって発現され得る。発現ベクターの例としては、ワクシ
ニアまたはファウルポックスのような弱毒ウイルス宿主が挙げられる。このアプ
ローチの一例として、ワクシニアウイルスは、本発明のペプチドをコードするヌ
クレオチド配列を発現するためのベクターとして用いられる。腫瘍を保有する宿
主中への導入時に、組換えワクシニアウイルスは、免疫原性ペプチドを発現し、
それにより宿主CTLおよび/またはHTL応答を引き出す。免疫化プロトコー
ルに有用なワクシニアベクターおよび方法は、例えば米国特許第4,722,8
48号に記載されている。別のベクターは、BCG(Bacille Calm
ette Guerin)である。BCGベクターは、Stoverら,Nat
ure 351:456−460(1991)に記載されている。本発明のペプ
チドの治療的投与または免疫化に有用な多種多様の他のベクター、例えばアデノ
およびアデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、Salmone
lla typhiベクター、解毒炭疽毒素ベクター等は、本明細書中の説明か
ら、当業者には明らかである。
【0173】 さらに、本発明によるワクチンは、1つ以上の特許請求するペプチドの組成物
を包含する。ペプチドは、ワクチン中に別々に存在し得る。あるいはペプチドは
、同一ペプチドの多数のコピーを含むホモポリマーとして、あるいは種々のペプ
チドのヘテロポリマーとして存在し得る。ポリマーは、免疫学的反応増大という
利点を有し、異なるペプチドエピトープがポリマーを製造するために用いられる
場合、免疫応答のために標的化された、病原性生物体または腫瘍関連ペプチドの
異なる抗原決定因子と反応する抗体および/またはCTLを誘導するさらなる能
力を有する。この組成物は、抗原の天然に存在する領域であり得るか、あるいは
例えば組換え的にまたは化学合成により調製され得る。
【0174】 本発明のワクチンとともに用いられ得るキャリアは目的の分野で周知であり、
例えばチログロブリン、ヒト血清アルブミンのようなアルブミン、破傷風毒素、
ポリL−リシン、ポリL−グルタミン酸のようなポリアミノ酸、インフルエンザ
、B型肝炎ウイルスコアタンパク質などが挙げられる。ワクチンは、生理学的に
耐容可能な(すなわち許容可能な)希釈剤(例えば水または生理食塩水、好まし
くはリン酸塩緩衝塩類溶液)を含有し得る。ワクチンはまた典型的には、アジュ
バントを含む。不完全フロイントアジュバント、リン酸アルミニウム、水酸化ア
ルミニウムまたはミョウバンのようなアジュバントが、目的の分野で周知の物質
の例である。さらに、本明細書中に開示するように、CTL応答は、例えばトリ
パルミトイル−S−グリセリルシステイニルセリル−セリン(PCSS)のよ
うな脂質に本発明のペプチドを結合することによりプライミングされ得る。
【0175】 注射、エアロゾル、経口、経皮、経粘膜、胸膜腔内、鞘内またはその他の適切
な経路を介しての本発明によるペプチド組成物での免疫化時に、宿主の免疫系は
、所望の抗原に特異的な大量のCTLおよび/またはHTLを産生することによ
り、ワクチンに応答する。その結果として、宿主はその後の感染に対して少なく
とも部分的に免疫を持つようになるか、または進行中の慢性感染の発症に対して
少なくとも部分的に耐性となるか、あるいは抗原が腫瘍関連性である場合には、
少なくともいくつかの治療的有益性を引き出す。
【0176】 いくつかの実施形態では、クラスIペプチド構成成分を、目的の標的抗原に対
して中和抗体および/またはヘルパーT細胞応答を誘導または容易にする構成成
分と組み合わせることが望ましい。このような組成物の好ましい実施形態は、本
発明によるクラスIおよびクラスIIエピトープを含む。このような組成物の代
替的実施形態は、本発明によるクラスIおよび/またはクラスIIエピトープを
、HLAクラスII交差反応性結合分子、例えばPADRETM(Epimmu
ne,San Diego,CA)分子とともに含む(例えば米国特許第5,7
36,142号に記載されている)。
【0177】 本発明のワクチンはまた、抗原提示細胞(APC)(例えば樹状細胞(DC)
)を本発明のペプチドを提示するためのビヒクルとして含み得る。ワクチン組成
物は、樹状細胞動員および収集(それにより樹状細胞の充填がインビトロで起こ
る)後にインビトロで作製され得る。例えば樹状細胞は、例えば本発明によるミ
ニジーンによりトランスフェクトされ、あるいはペプチドによりパルス刺激され
る。次に樹状細胞は、インビボで免疫応答を引き出すために患者に投与され得る
【0178】 DNAまたはペプチドベースのいずれかのワクチン組成物もまた、樹状細胞動
員(それにより樹状細胞の充填がインビボで起こる)と組合せて、インビボで投
与され得る。
【0179】 抗原性ペプチドは、同様にCTLおよび/またはHTL応答をエキソビボで引
き出すために用いられる。その結果生じるCTLまたはHTL細胞は、他の慣用
的形態の治療に応答しないか、または本発明による治療用ワクチンペプチドまた
は核酸に応答しない患者において、腫瘍を治療するために用いられ得る。特定の
腫瘍関連抗原に対するエキソビボCTLまたはHTL応答は、患者のまたは遺伝
子的に適合性のCTLまたはHTL前駆細胞を、樹状細胞のような抗原提示細胞
の供給源、および適切な免疫原性ペプチドと一緒に組織培養物中でインキュベー
トすることにより誘導される。前駆細胞が活性化され、エフェクター細胞に膨張
される適切なインキュベーション時間(典型的には約7〜28日)後、細胞は患
者に注入し戻され、そこでそれらはそれらの特異的標的細胞(感染細胞または腫
瘍細胞)を破壊し(CTL)、または破壊を促す(HTL)。トランスフェクト
された樹状細胞も、抗原提示細胞として用いられ得る。
【0180】 本発明のワクチン組成物はまた、癌のために用いられるその他の治療と併用し
て、例えばIL−2、IL−12、GM−CSF等のような免疫アジュバントと
組合せても用いられ得る。
【0181】 好ましくは、ワクチン中に用いるためにポリエピトープ組成物中に含入するた
めにエピトープのアレイを選定する場合、あるいはワクチン中に含入される、お
よび/またはミニジーンのような核酸によりコードされる別々のエピトープを選
定するために、以下の原理が利用される。選定を行なうためには、以下の原理の
各々が釣り合っているのが好ましい。所定のワクチン組成物中に組み込まれる多
数のエピトープは、エピトープが得られる天然抗原中の配列にて連続的であり得
るが、そうである必要はない。
【0182】 1.)投与時に、腫瘍クリアランスと相関することが観察された免疫応答を模
倣するエピトープが選択される。HLAクラスIに関しては、これは少なくとも
1つのTAAからのものである3〜4個のエピトープを含む。HLAクラスII
に関しては、同様の論理的根拠が用いられ、これも3〜4個のエピトープが少な
くとも1つのTAAから選定される(例えば、Rosenberg et al
.,Science 278:1447−1450参照)。1つのTAAからの
エピトープは、1つ以上のさらなるTAAからのエピトープと組合せて用いられ
て、例えば実施例15に記載されているように、高頻度発現TAAの種々の発現
パターンで腫瘍を標的にするワクチンを生産し得る。
【0183】 2.)免疫原性と相関することが確立された必要な結合親和性を有するエピト
ープが選定される。HLAクラスIに関してはIC50は500nMまたはそれ
未満、しばしば200nMまたはそれ未満、クラスIIに関してはIC50は1
000nMまたはそれ未満である。
【0184】 3.)広範な集団適用範囲を与えるのに十分なスーパーモチーフ保有ペプチド
、または対立遺伝子特異的モチーフ保有ペプチドの十分なアレイが選定される。
例えば、少なくとも80%の集団適用範囲を有するのが好ましい。目的の分野で
既知の統計学的評価であるモンテカルロ分析が、集団適用範囲の広さまたは重剰
性を評価するために用いられ得る。
【0185】 4.)癌関連抗原からエピトープを選定する場合、患者は天然エピトープに対
する寛容を発生し得るため、類縁体を選定するのがしばしば有用である。感染性
疾患関連抗原に関するエピトープを選定する場合は、天然または類似させたエピ
トープを選定するのが好ましい。
【0186】 5.)特に関連があるのは、「入れ子構造(nested)エピトープ」と呼
ばれるエピトープである。入れ子構造エピトープは、所定のペプチド配列中に少
なくとも2つのエピトープが重複する場合に起こる。入れ子構造ペプチド配列は
、HLAクラスIおよびHLAクラスIIエピトープの両方を含み得る。入れ子
構造エピトープを提供する場合、一般的目的は、1配列当たり最大数のエピトー
プを提供することである。したがって一つの局面は、ペプチド中のアミノ末端エ
ピトープのアミノ末端およびカルボキシル末端エピトープのカルボキシル末端よ
り任意に長いペプチドを提供するのを避けることである。入れ子構造エピトープ
のような多エピトープ配列、配列を提供する場合、病理学的またはその他の有害
な生物学的特性を有さないことを保証するために、配列をスクリーニングするこ
とが一般的に重要である。
【0187】 6.)ポリエピトープタンパク質が作製されるか、またはミニジーンを作製す
る場合、目的のエピトープを包含する最小ペプチドを生成することが一目的であ
る。この原理は、入れ子構造ペプチドを含むペプチドを選択する場合に用いられ
るのと同様でない場合には、類似する。しかしながら人工ポリエピトープペプチ
ドを用いる場合、サイズ最小化の目的物は、ポリエピトープタンパク質中のエピ
トープ間に任意のスペーサー配列を組み込む必要性に対して釣り合いをとられる
。スペーサーアミノ酸残基は、例えば結合(junctional)エピトープ
(免疫系により認識され、標的抗原中に存在せず、エピトープの人工並置によっ
てのみ作製されるエピトープ)を回避するために、あるいはエピトープ間の切断
を促し、それによりエピトープ提示を高めるために導入され得る。結合エピトー
プは一般に、回避される。なぜなら、レシピエントが非天然ペプチドに対して免
疫応答を生じ得るからである。特に重要なのは、「ドミナント(dominan
t)エピトープ」である結合エピトープである。ドミナント(dominant
)エピトープは、他のエピトープに対する免疫応答が縮小されるかまたは抑制さ
れるような熱狂的な応答を引き起こし得る。
【0188】 (IV.K.1.ミニジーンワクチン) 多数のエピトープの同時送達を可能にする多数の異なるアプローチが利用可能
である。本発明のペプチドをコードする核酸は、本発明の特に有用な実施形態で
ある。ミニジーンに含入するためのエピトープは、好ましくは前節に記載した指
針にしたがって選択される。本発明のペプチドをコードする核酸を投与する好ま
しい手段は、本発明の1つまたは多数のエピトープを含むペプチドをコードする
ミニジーン構築物を使用する。
【0189】 多エピトープミニジーンの使用は、以下に、ならびに例えば米国同時係属出願
第09/311,784号、Ishioka et al.,J.Immuno
l.162:3915−3925,1999、An,L.and Whitto
n,J.L.,J.Virol.71:2292,1997、Thomson,
S.A.et al.,J.Immunol.157:822,1996、Wh
itton,J.L.et al.,J.Virol.67:348,1993
、Hanke,R.et al.,Vaccine 16:426,1998に
記載されている。例えば、1つ以上の前立腺癌関連抗原の複数の領域由来のスー
パーモチーフおよび/またはモチーフ保有PSA、PSM、PAP、およびhK
2エピトープ、普遍的(universal)ヘルパーT細胞エピトープ、PA
DRETM(またはPSA、PSM、PAP、およびhK2由来の多HTLエピ
トープ)、および小胞体翻訳シグナル配列をコードする多エピトープDNAプラ
スミドが、操作され得る。ワクチンは、他のTAA由来のエピトープもまた含む
【0190】 多エピトープミニジーンの免疫原性は、試験されるエピトープに対するCTL
誘導応答の規模を評価するためにトランスジェニックマウスで試験され得る。さ
らにDNAコードエピトープのインビボでの免疫原性は、DNAプラスミドでト
ランスフェクトされた標的細胞に対する特異的CTL系のインビトロ応答と相関
し得る。したがってこれらの実験は、ミニジーンが、1)CTL応答を生じるこ
と、および2)誘導CTLが、コードされるエピトープを発現する細胞を認識す
るのに役立つことの両方を示し得る。
【0191】 例えば、ヒト細胞中での発現のための選定エピトープをコードするDNA配列
(ミニジーン)を作製するために、エピトープのアミノ酸配列は逆翻訳されても
よい。ヒトコドン使用法表は、各アミノ酸に対するコドン選択をガイドするため
に用いられ得る。これらのエピトープコードDNA配列は、翻訳される場合、連
続ポリペプチド配列が作られるように、直接隣接され得る。発現および/または
免疫原性を最適化するために、ミニジーン設計にさらなる要素が組み込まれ得る
。逆翻訳され、ミニジーン配列中に含入され得るアミノ酸配列の例としては、以
下のものが挙げられる:HLAクラスIエピトープ、HLAクラスIIエピトー
プ、ユビキチン結合シグナル配列および/または小胞体ターゲッティングシグナ
ル。さらに、CTLおよびHTLエピトープのHLA提示は、CTLまたはHT
Lエピトープに隣接する合成(例えばポリアラニン)または天然に存在するフラ
ンキング配列を含入することにより改善され得る。エピトープ(単数または複数
)を含むこれらの大型ペプチドは、本発明の範囲内である。
【0192】 ミニジーン配列は、ミニジーンのプラスおよびマイナス鎖をコードするオリゴ
ヌクレオチドを集合することによりDNAに変換され得る。周知の技法を用いて
適切な条件下で、重複オリゴヌクレオチド(30〜100塩基長)が合成され、
リン酸化され、精製され、アニーリングされ得る。オリゴヌクレオチドの末端は
、例えばT4DNAリガーゼを用いて連結される。次に、エピトープポリペプチ
ドをコードするこの合成ミニジーンは所望の発現ベクター中にクローン化され得
る。
【0193】 当業者に周知の標準調節配列は、好ましくは標的細胞中での発現を保証するた
めにベクター中に含入される。以下のようないくつかのベクター要素が望ましい
:ミニジーン挿入のための下流クローニング部位を有するプロモーター、効率的
転写終結のためのポリアデニル化シグナル、大腸菌複製起点、および大腸菌選択
可能マーカー(例えばアンピシリンまたはカナマイシン耐性)。この目的のため
に、例えばヒトサイトメガロウイルス(hCMV)プロモーターのような多数の
プロモーターが用いられ得る。他の適切なプロモーター配列に関しては、例えば
米国特許第5,580,859号および第5,589,466号を参照されたい
【0194】 ミニジーン発現および免疫原性を最適化するためには、さらなるベクター改変
が望ましくあり得る。いくつかの場合、効率的遺伝子発現のためにイントロンが
必要であり、1つ以上の合成または天然に存在するイントロンが、ミニジーンの
転写領域に組み込まれ得る。哺乳類細胞におけるmRNA安定化配列および複製
用配列の含入もまた、ミニジーン発現増大のために考慮され得る。
【0195】 いったん発現ベクターが選定されれば、ミニジーンはプロモーターの下流のポ
リリンカー領域にクローン化される。このプラスミドは、適切な大腸菌株中で形
質転換され、標準技法を用いてDNAが調製される。ミニジーンの配向およびD
NA配列、ならびにベクター中に含入されるすべてのその他の要素が、制限マッ
ピングおよびDNA配列分析を用いて確認される。正しいプラスミドを保有する
細菌細胞は、マスター細胞バンクおよび作業用細胞バンクとして貯蔵され得る。
【0196】 さらに、免疫刺激配列(ISSまたはCpG)は、DNAワクチンの免疫原性
にて役割を果たすようである。これらの配列は、免疫原性を強化するのが望まし
い場合には、ミニジーンコード配列の外側の、ベクター中に含入され得る。
【0197】 いくつかの実施形態では、ミニジーンにコードされるエピトープおよび第二の
タンパク質(免疫原性を強化または低減するために含入される)の両方の産生を
可能にする2シストロン発現ベクターが用いられ得る。同時発現された場合に有
益に免疫応答を高め得るタンパク質またはポリペプチドの例としては、サイトカ
イン(例えば、IL−2、IL−12、GM−CSF)、サイトカイン誘導性分
子(例えばLeIF)、同時刺激分子、あるいはHTL応答に関しては、汎DR
(pan−DR)結合タンパク質(PADRETM、Epimmune,San
Diego,CA)が挙げられる。ヘルパー(HTL)エピトープは、細胞内
ターゲッティングシグナルに連結され、発現CTLとは別個に発現される。これ
は、CTLエピトープの場合と異なる細胞区画へのHTLエピトープの誘導を可
能にする。必要な場合、これはHLAクラスII経路へのHTLエピトープのよ
り効率的侵入を促し、それによりHTL誘導を改良し得る。HTLまたはCTL
誘導に対比して、免疫抑制分子(例えばTGF−β)の同時発現による免疫応答
の特異的低減は、ある種の疾患においては有益であり得る。
【0198】 治療的量のプラスミドDNAは、例えばE.coliにおける発酵、続く精製
により生産され得る。作業用細胞バンクからのアリコートを用いて、増殖培地に
接種し、周知の技法にしたがって振盪フラスコまたはバイオリアクター中で飽和
するまで増殖させる。プラスミドDNAは、標準生物分離技法(例えばQIAG
EN,Inc.(Valencia,California)により供給される
固相陰イオン交換樹脂)を用いて精製され得る。必要な場合、ゲル電気泳動また
はその他の方法を用いて、スーパーコイルDNAが開環および線状形態から単離
され得る。
【0199】 精製プラスミドDNAは、種々の処方物を用いた注射用に調製され得る。これ
らのうち最も簡単なのは、滅菌リン酸塩緩衝化生理食塩水(PBS)中での凍結
乾燥されたDNAの再構成である。「裸のDNA」として既知のこのアプローチ
は、一般に臨床試験における筋肉内(IM)投与用に用いられている。ミニジー
ンDNAワクチンの免疫治療効果を最大にするためには、精製プラスミドDNA
を処方するための代替的方法が望ましくあり得る。種々の方法が記載されており
、新規の技法が利用可能になってい得る。陽イオン性脂質、糖脂質およびフソゲ
ン性(fusogenic)リポソームも処方物中に用いられ得る(例えば、国
際公開93/24640;Mannino & Gould−Fogerite
,Bio Techniques 6(7):682 (1988)、米国特許
第5,279,833号、国際公開91/06309およびFelgner,e
t al.Pro.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413 (
1987)参照)。さらに、総称して保護的、相互作用的、非縮合化合物(PI
NC)と呼ばれるペプチドおよび化合物もまた、精製プラスミドDNAと複合体
化されて、安定性、筋肉内分散または特定の器官または細胞型への輸送のような
変数(変量)に影響を及ぼし得る。
【0200】 標的細胞感作は、ミニジーンコードCTLエピトープの発現およびHLAクラ
スI提示に関する機能性アッセイとして用いられ得る。例えばプラスミドDNA
は、標準CTLクロム放出アッセイのための標的として適した哺乳類細胞系中に
導入される。用いられるトランスフェクション方法は、最終処方物に依存するで
あろう。エレクトロポレーションは、「裸の」DNAのために用いられ、一方、
陽イオン性脂質は、直接インビトロトランスフェクションを可能にする。グリー
ン蛍光タンパク質(GFP)を発現するプラスミドは、同時トランスフェクトさ
れて、蛍光標示式細胞分取(FACS)を用いたトランスフェクト化された細胞
の富化を可能にする。これらの細胞は次に、クロム−51(51Cr)標識され
て、エピトープ特異的CTL系に対する標的細胞として用いられる。51Cr放
出により検出される細胞溶解は、ミニジーンコードCTLエピトープの産生およ
びHLA提示の両方を示す。HTLエピトープの発現は、HTL活性を評価する
ためにアッセイを用いて同様の方法で評価され得る。
【0201】 インビボ免疫原性は、ミニジーンDNA処方物の機能性試験のための第2のア
プローチである。適切なヒトHLAタンパク質を発現するトランスジェニックマ
ウスは、DNA産物で免疫化される。投与の用量および経路は、処方物依存性で
ある(例えばPBS中のDNAに関してはIM、脂質複合化DNAに関しては腹
腔内(IP))。免疫化後21日目に、脾臓細胞を収集し、試験される各エピト
ープをコードするペプチドの存在下で1週間再刺激した。その後、CTLエフェ
クター細胞に関しては、アッセイは、標準技法を用いて、ペプチド充填51Cr
標識標的細胞の細胞溶解に関して実行される。ミニジーンコードエピトープに対
応するペプチドエピトープを負荷されたHLAにより感作された標的細胞の溶解
は、CTLのインビボ誘導に関するDNAワクチン機能を立証する。HTLエピ
トープの免疫原性は、同様の方法で、トランスジェニックマウスで評価される。
【0202】 あるいは、核酸は、例えば米国特許第5,204,253号に記載されるよう
に弾道送達を用いて投与され得る。この技法を用いて、DNA単独で構成される
粒子が投与される。さらなる代替的実施形態では、DNAは粒子、例えば金粒子
に付着される。
【0203】 ミニジーンは、目的の分野で周知のその他の細菌またはウイルス送達系を用い
ても送達され得る。例えば本発明のエピトープをコードする発現構築物は、ワク
シニアのようなウイルスベクター中に組み込まれ得る。
【0204】 (IV.K.2.CTLペプチドのヘルパーペプチドとの組合せ) 本発明のペプチドを含むワクチン組成物は、所望の属性(例えば血清半減期の
改良)を提供するために、または免疫原性を高めるために改変され得る。
【0205】 例えば、ペプチドがCTL活性を誘導する能力は、Tヘルパー細胞応答を誘導
し得る少なくとも1つのエピトープを含有する配列にペプチドを連結することに
より高められ得る。免疫原性を高めるためのCTLエピトープを伴うTヘルパー
エピトープの使用は、例えば米国同時係属出願第08/820,360号、第0
8/197,484号および第08/464,234号に説明されている。
【0206】 CTLペプチドは、Tヘルパーペプチドに直接連結され得るが、しかし多くの
場合CTLエピトープ/HTLエピトープ結合体はスペーサー分子により連結さ
れる。スペーサーは典型的には、生理学的条件下で実質的に荷電されない、比較
的小型の中性分子、例えばアミノ酸またはアミノ酸擬似体で構成される。スペー
サーは、典型的には、例えばAla、Gly、または非極性アミノ酸または中性
極性アミノ酸のその他の中性スペーサーから選択される。任意に存在するスペー
サーは同一残基で構成される必要はなく、したがってヘテロまたはホモオリゴマ
ーであってもよいと理解される。存在する場合、スペーサーは通常、少なくとも
1つまたは2つの残基、さらに通常は3〜6つの残基、場合によっては10また
はそれを超える残基であろう。CTLペプチドエピトープは、直接またはスペー
サーを介して、CTLペプチドのアミノまたはカルボキシ末端でTヘルパーペプ
チドエピトープに連結され得る。免疫原性ペプチドまたはTヘルパーペプチドの
いずれかのアミノ末端は、アシル化されてもよい。
【0207】 ある種の実施形態では、Tヘルパーペプチドは、大多数の集団中に存在するT
ヘルパー細胞により認識されるものである。これは多数の、ほとんどの、または
全てのHLAクラスII分子に結合するアミノ酸配列を選定することにより成し
遂げられ得る。これらは「ゆるくHLA拘束された」または「混然とした」Tヘ
ルパー配列として既知である。混然としたペプチドの例としては、位置830〜
843(QYIKANSKFIGITE)での破傷風毒素、位置378〜398
(DIEKKLAKMEKASSVFNVVNS)でのPlasmodium
falciparum(熱帯熱マラリア原虫)スポロゾイト周囲(CS)タンパ
ク質、および位置116(GAVDSILGGVATYGAA)でのStrep
tococcus(連鎖球菌)18kDタンパク質のような抗原からの配列が挙
げられる。その他の例としては、DR1−4−7スーパーモチーフ、またはDR
3モチーフのいずれかを保有するペプチドが挙げられる。
【0208】 あるいは、天然には見出されないアミノ酸配列を用いて、ゆるくHLA拘束さ
れた様式で、Tヘルパーリンパ球を刺激し得る合成ペプチドを調製することがで
きる(例えば、国際公開公報第95/07707号参照)。汎DR結合エピトー
プ(例えばPADRE(商標)、Epimmune,Inc.,San Die
go,CA)と呼ばれるこれらの合成化合物は、最も好ましくはほとんどのHL
A−DR(ヒトHLAクラスII)分子を結合するよう設計される。例えば、次
式:aKXVAAWTLKAAa(式中、「X」はシクロヘキシルアラニン、フ
ェニルアラニンまたはチロシンであり、「a」はD−アラニンまたはL−アラニ
ンである)を有する汎DR結合エピトープペプチドは、ほとんどのHLA−DR
対立遺伝子に結合し、それらのHLA型とは関係なく、ほとんどの個体からのT
ヘルパーリンパ球の応答を刺激することが判明した。汎DR結合エピトープの代
替物は、全ての「L」型天然アミノ酸を含み、エピトープをコードする核酸の形
態で提供され得る。
【0209】 HTLペプチドエピトープも、それらの生物特性を改変するよう修飾され得る
。例えばそれらは、プロテアーゼに対するそれらの耐性を増大させ、したがって
それらの血清半減期を延長するためにそれらのD−アミノ酸を含入するよう修飾
され得るか、あるいはそれらはその生物活性を増大するために脂質、タンパク質
、炭水化物等のようなその他の分子と結合され得る。例えばTヘルパーペプチド
は、アミノまたはカルボキシル末端で、1つまたはそれ以上のパルミチン酸鎖と
結合され得る。
【0210】 (IV.K.3.T細胞プライミング剤とのCTLペプチドの組合せ) いくつかの実施形態では、細胞傷害性Tリンパ球をプライミングする少なくと
も1つの構成成分を本発明の薬学的組成物中に含むのが望ましい。脂質はウイル
ス抗原に対してインビボでCTLをプライミングし得る作用物質であると同定さ
れている。例えば、パルミチン酸残基は、リシン残基のεおよびα−アミノ基に
結合され、次に1つまたはそれ以上の連結残基、例えばGly、Gly−Gly
−、Ser、Ser−Ser等を介して免疫原性ペプチドに連結される。次に脂
質化ペプチドは、ミセルまたは粒子中に直接投与され、リポソーム中に組み込ま
れるか、あるいはアジュバント、例えば不完全フロイントアジュバント中で乳化
され得る。好ましい免疫原性組成物は、Lysのε−およびα−アミノ基に結合
されるパルミチン酸を含み、これは、結合(例えばSer−Ser)を介して免
疫原性ペプチドのアミノ末端に結合される。
【0211】 CTL応答の脂質プライミングの別の例として、E.coliリポタンパク質
(例えばトリパルミトイル−S−グリセリルシステイニルセリル−セリン(P CSS))は、適切なペプチドと共有結合される場合、ウイルス特異的CTLを
プライミングするために用いられ得る(例えば、Deresら、Nature
342:561,1989参照)。本発明のペプチドは、例えば標的抗原に対す
るCTL応答を特異的にプライミングするために個体に投与されるリポペプチド
であるPCSSに結合され得る。さらに中性抗体の誘導も、PCSS結合エ
ピトープでプライミングされ得る。2つのこのような組成物は、より効率的に体
液および細胞媒介性応答を引き出すために併合され得る。
【0212】 CTLおよび/またはHTLペプチドは、互いにペプチドを連結するのを容易
にする、キャリア支持体またはより大きなペプチドにカップリングする、ペプチ
ドまたはオリゴペプチドの物理的または化学的特性を修飾する、などのためにペ
プチドの末端にアミノ酸を付加することによっても修飾され得る。アミノ酸、例
えばチロシン、システイン、リシン、グルタミン酸またはアスパラギン酸などは
、ペプチドまたはオリゴペプチド、特にクラスIペプチドのCまたはN−末端に
導入され得る。しかしながら、CTLエピトープのカルボキシル末端の修飾は、
いくつかの場合には、ペプチドの結合特性を変え得るということに留意すべきで
ある。さらにペプチドまたはオリゴペプチド配列は、末端NHアシル化により
、例えばアルカノイル(C〜C20)またはチオグリコリルアセチル化、末端
カルボキシルアミド化、例えばアンモニア、メチルアミン等により修飾されるこ
とにより天然配列と異なり得る。いくつかの場合には、これらの修飾は、支持体
またはその他の分子に結合するための部位を提供し得る。
【0213】 (IV.K.4.CTLおよび/またはHTLペプチドでパルス化されたDC
を含むワクチン組成物) 本発明のワクチン組成物の実施形態は、エピトープ保有ペプチドのカクテルを
患者血液からPBMCまたはそこからの単離DCへエキソビボで投与することを
包含する。DCの収集を促すための薬剤、例えばProgenipoietin
(商標)(Monsanto,St.Louis,MO)またはGM−CSF/
IL−4が用いられ得る。ペプチドを用いて、DCをパルス化後、かつ患者への
再注入前にDCを洗浄して非結合ペプチドを除去する。この実施形態では、ワク
チンは、それらの表面にHLA分子と複合体を形成するパルス化ペプチドエピト
ープを提示するペプチドパルス化DCを含む。
【0214】 DCは、ペプチドのカクテルを用いてエキソビボでパルス化され得、そのうち
のいくつかは、1つ以上の目的の抗原(例えば前立腺関連抗原(例えばPSA、
PSM、PAP、カリクレインなど)、)に対するCTL応答を刺激する。必要
に応じて、ヘルパーT細胞ペプチド、例えばPADRE(登録商標)ファミリー
分子は、CTL応答を促進するために含入され得る。
【0215】 (IV.L.治療または予防用途のためのワクチンの投与) 本発明のペプチドならびに製剤および本発明のワクチン組成物は、代表的には
癌(特に、前立腺癌)を治療するために治療的に用いられる。本発明のペプチド
を含有するワクチン組成物は、代表的には1つ以上の前立腺関連抗原の発現に関
連した悪性疾患を有する前立腺癌患者に投与される。あるいはワクチン組成物は
、特定の種類の癌、例えば乳癌に罹り易いか、またはそうでなければ前立腺癌を
発症する危険がある個体に投与され得る。
【0216】 治療的用途においては、ペプチドおよび/または核酸組成物は、腫瘍抗原に対
する有効なCTLおよび/またはHTL応答を引き出すのに、そして症状および
/または合併症を治癒するかあるいは少なくとも部分的に休止させるかまたは遅
延させるのに十分な量で患者に投与される。これを成し遂げるのに適した量は、
「治療的有効用量」と定義される。この使用に有効な量は、例えば投与される特
定の組成物、投与の方法、治療される疾患の病期および重症度、患者の体重およ
び全身健康状態、ならびに処方医の判断によっている。
【0217】 上記のように、本発明のCTLおよび/またはHTLエピトープを含むペプチ
ドは、HLA分子により提示され、ペプチドにより構成されるエピトープに特異
的なCTLまたはHTLと接触されると、免疫応答を誘導する。このペプチド(
またはそれらをコードするDNA)は、個々にまたは1つ以上のペプチド配列の
融合物として投与され得る。ペプチドがCTLまたはHTLと接触される方法は
、本発明にとっては重要でない。例えばペプチドはインビボまたはインビトロで
CTLまたはHTLと接触され得る。接触がインビボで起こる場合、ペプチドそ
れ自体が患者に投与されるか、あるいはその他のビヒクル、例えば1つまたはそ
れ以上のペプチドをコードするDNAベクター、ペプチド(単数または複数)を
コードするウイルスベクター、リポソーム等が、本明細書中に記載されているよ
うに用いられ得る。
【0218】 ペプチドがインビトロで接触される場合、ワクチン剤は、細胞、例えばインビ
トロでペプチドを用いて抗原提示細胞をパルス処理することによって、または本
発明のミニジーンを用いて抗原提示細胞をトランスフェクトすることによって誘
導された、ペプチドパルス化樹状細胞またはTAA特異的CTLの集団を含み得
る。その後、このような細胞集団は治療的有効量で患者に投与される。
【0219】 治療的使用に関しては、投与は一般に、癌の初回診断時に開始すべきである。
この後、少なくとも症状が実質的に軽減されるまで、そしてその後一定期間、用
量をブーストさせる。患者に送達されるワクチン組成物の実施形態(即ち、その
例としては例えば、ペプチドカクテル、ポリエピトープポリペプチド、ミニジー
ンまたはTAA特異的CTLまたはパルス化された樹状細胞が挙げられるが、こ
れらに限定されない)は、疾患または患者の健康状態の段階によって変わり得る
。例えばTAA特異的CTLを含むワクチンは、代替的実施形態よりも進行性疾
患患者における腫瘍細胞を死滅させることにおいてより有効であり得る。
【0220】 本発明のワクチン組成物は、手術のような治療と組合せて治療的にも用いられ
得る。一例は、患者が原発性腫瘍を除去するために手術を受け、その後ワクチン
を用いて、再発および/または転移を遅延させたりまたは防止する状況である。
【0221】 感受性個体、例えば前立腺腫瘍の発症に対して遺伝的素因を受け継いでいると
診断され得る個体が、癌の診断前に同定された場合、組成物はそれらを標的にし
、したがってより大きな集団への投与の必要性を最小限にし得る。
【0222】 初回治療的免疫化のための投与量は一般に、低いほうの値が約1、5、50、
500または1,000μgであり、高い方の値が約10,000、20,00
0、30,000、または50,000μgである単位投与量範囲である。ヒト
のための投与量値は、代表的には体重70kgの患者につき約500μg〜約5
0,000μg範囲である。初回用量に引き続いて確立された間隔(例えば、4
週間〜6ヶ月)での免疫追加は、患者を有効に処置するための時間の可能な限り
延長した期間を必要とされ得る。数週間〜数ヶ月間にわたる追加免疫レジメンに
したがって約1.0μg〜約50,000μgのペプチドの追加免疫投与量が、
患者の応答、ならびに患者の血液から得られるCTLおよびHTLの特異的活性
を測定することにより確定されるような条件に依存して投与され得る。
【0223】 投与は、少なくとも臨床症状または実験室試験が、腫瘍が排除されたことを、
または腫瘍細胞負荷が実質的に軽減されたことを示唆するまで、そしてその後一
定期間、継続されるべきである。投与の投与量、経路および用量計画は、当該分
野で公知の方法論にしたがって調整される。
【0224】 特定の実施形態では、本発明のペプチドおよび組成物は、重篤な疾患状態に、
即ち致命的または致命的な恐れのある状況で用いられる。このような場合、本発
明の好ましい組成物中の最小量の外来物質および比較的に無毒性のペプチドの結
果、これらの規定投与量と比較して実質的に過剰量のこれらのペプチド組成物を
投与することができるし、治療医には望ましいと感じられ得る。
【0225】 本発明のワクチン組成物は、また予防薬として使用され得る。例えば、組成物
は、前立腺癌を発症する危険のある個体に投与され得る。初回治療的免疫化のた
めの投与量は一般に、低いほうの値が約1、5、50、500または1,000
μgであり、高い方の値が約10,000、20,000、30,000、また
は50,000μgである単位投与量範囲である。ヒトのための投与量値は、代
表的には体重70kgの患者につき約500μg〜約50,000μg範囲であ
る。数週間〜数ヶ月間にわたる追加免疫レジメンにしたがって約1.0μg〜約
50,000μgのペプチドの追加免疫投与量が、患者の応答、ならびに患者の
血液から得られるCTLおよびHTLの特異的活性を測定することにより確定さ
れるような条件に依存して投与され得る。
【0226】 治療的処置のための薬学的組成物は、非経口的、局所的、経口的、鞘内または
限局投与を意図される。好ましくは薬学的組成物は、非経口的に、例えば静脈内
、皮下、皮内または筋肉内に投与される。したがって本発明は、受容可能なキャ
リア、好ましくは水性キャリア中に溶解または懸濁される免疫原性ペプチドの溶
液を含む非経口投与用の組成物を提供する。種々の水性キャリア,例えば水、緩
衝化水、0.8%食塩水、0.3%グリシン、ヒアルロン酸等が用いられ得る。
これらの組成物は、慣用的周知の滅菌技法により滅菌され得るし、あるいは滅菌
濾過され得る。その結果生じる水溶液は、そのままで用いるために包装されるか
、あるいは凍結乾燥され、凍結乾燥調製物は投与前に滅菌溶液と併合される。組
成物は、生理学的に近似していることが要求される薬学的に受容可能な補助物質
、例えばpH調整剤および緩衝剤、張度調整剤、湿潤剤、防腐剤等、例えば酢酸
ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム
、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート等を含有し得る
【0227】 薬学的処方物中の本発明のペプチドの濃度は広範に、即ち約0.1%未満、通
常少なくとも約2重量%から、20重量%〜50重量%またはそれ以上の範囲で
変わり得、選定された特定の投与形態にしたがって、主として流体容積、粘度な
どにより選定される。
【0228】 ペプチド組成物のヒト単位用量形態は、代表的には、ヒト単位用量の受容可能
なキャリア、好ましくは水性キャリアを含む薬学的組成物中に含入され、そして
ヒトへのこのような組成物の投与のために用いられることが当業者に既知である
流体の容積中に投与される(例えば、Remington’s Pharmac
eutical Sciences,第17版,A.Gennaro(編)Ma
ck Publishing Co.,Easton,Pennsylvani
a,1985参照)。
【0229】 本発明のペプチドは、特定の組織、例えばリンパ系組織に対してペプチドを標
的にするのに、あるいは感染細胞に対して選択的に標的にするのに、ならびにペ
プチド組成物の半減期を増大するのに役立つリポソームを介しても投与され得る
。リポソームは、エマルジョン、発泡体、ミセル、不溶性単層、液晶、リン脂質
分散液、ラメラ層等を含む。これらの調製物中では、送達されるペプチドはリポ
ソームの一部として、単独で、またはリンパ系細胞、例えばCD45抗原に結合
するモノクローナル抗体間に広く存在している受容体に結合する分子と一緒に、
あるいはその他の治療用または免疫原性組成物と一緒に、組入れられ得る。した
がって、本発明の所望のペプチドを充填されるかまたはそれで修飾されるリポソ
ームはリンパ系細胞の部位に向けられて、そこでリポソームは次に、ペプチド組
成物を送達する。本発明にしたがって用いるためのリポソームは、標準小胞形成
脂質から形成され、これは一般に中性および負荷電リン脂質、ならびにステロー
ル、例えばコレステロールを含む。脂質の選定は一般に、例えばリポソームサイ
ズ、酸の不安定性および血流中のリポソームの安定性を考察することにより導き
出される。リポソームを調製するためには、例えば、Szokaら、Ann.R
ev.Biophys.Bioeng.9:467 (1980)および米国特
許第4,235,871号、第4,501,728号、第4,837,028号
および第5,019,369号に記載されているような種々の方法が利用可能で
ある。
【0230】 免疫系の細胞をターゲッティングするために、リポソーム中に組入れられるリ
ガンドとしては、例えば所望の免疫系細胞の細胞表面決定基に特異的な抗体また
はそれらの断片が挙げられる。ペプチドを含有するリポソーム懸濁液は、静脈内
、限局的、局所的等で、とりわけ、投与の様式、送達されるペプチドおよび処置
される疾患の病期によって変わる用量で、投与され得る。
【0231】 固体組成物に関しては、従来の無毒性固体キャリアが用いられ、その例として
は、例えば製薬等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグ
ネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、グルコース、スクロ
ース、炭酸マグネシウム等が挙げられる。経口投与に関しては、薬学的に受容可
能な無毒性組成物が、通常で用いられる賦形剤、例えば上記キャリアのいずれか
、一般的に10〜95%の活性成分、即ち本発明の1つまたはそれ以上のペプチ
ドを、ならびにさらに好ましくは25%〜75%の濃度で組み込むことにより形
成される。
【0232】 エアロゾル投与に関しては、免疫原性ペプチドは好ましくは界面活性剤および
噴射剤と一緒に、微粉砕形態で供給され得る。ペプチドの代表的パーセンテージ
は、0.01重量%〜20重量%、好ましくは1重量%〜10重量%である。界
面活性剤は、もちろん無毒性であり、好ましくは噴射剤中に可溶である。このよ
うな物質の代表例は、6〜22個の炭素原子を含有する脂肪酸、例えばカプロン
酸、オクタン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノ
レン酸、オレステリック酸(olesteric acid)、オレイン酸の、
脂肪族多価アルコールまたはその環状無水物とのエステルまたは部分エステルで
ある。混合エステル、例えば混合または天然グリセリドが用いられ得る。界面活
性剤は、組成物の0.1重量%〜20重量%、好ましくは0.25重量%〜5重
量%を構成し得る。組成物の残余物は、普通は噴射剤である。所望により、例え
ば鼻腔内送達のためのレシチンのような、キャリアも含まれ得る。
【0233】 (IV.M.HLA発現:T細胞ベースの免疫療法に対する関連) (癌および感染性疾患における疾患進行) 動的相互作用が、癌および感染性疾患の設定において宿主および疾患間に存在
することは十分認識されている。感染性疾患の設定では、病原体が疾患中に進化
するいうことは十分確定されている。HIV感染において初期に優勢である菌株
は、AIDSおよび後期疾患段階に関連するものとは異なる(NS対S菌株)。
感染の確立において有効である病原体形態は、複製および慢性に関して最も有効
であるものとは異なり得ることが長い間仮定されてきた。
【0234】 同様に、個体が新生物性疾患に屈する病理プロセスは複雑であることが広範に
認識されている。疾患の経過中、多数の変化が癌細胞中で起こる。腫瘍は、増殖
および分化の機能不全調節に部分的に関連するが、その増殖能力を最大にするこ
とにも関連し、薬剤治療および/または身体の免疫監視から逃れる変異を蓄積す
る。新生物性疾患は、疾患進行の関数としての癌細胞のいくつかの異なる生化学
的変化の蓄積を生じる。それは、特に後期転移期において、有意レベルの癌内お
よび癌間異質性も生じる。
【0235】 治療結果に影響を及ぼす細胞変化のよく知られた例としては、治療経過中の放
射線または化学療法耐性腫瘍の進展が挙げられる。これらの例は、攻撃的化学療
法の結果としての薬剤耐性ウイルス株の出現、例えば慢性HBVおよびHIV感
染の出現、ならびに結核およびマラリアを引き起こす薬剤耐性生物の現行の復活
と並行している。応答の有意の異質性は、癌療法に対するその他のアプローチ、
例えば抗血管新生剤、受動抗体免疫療法、および活性T細胞ベースの免疫療法に
も関連する。したがって、このような現象の点から見て、多疾患関連抗原からの
エピトープはワクチンおよび治療薬に用いられることができ、それにより、突然
変異を生じ治療を逃れる疾患細胞の能力を妨害する。
【0236】 (疾患と免疫系の間の相互作用) 宿主と疾患の間の動的相互作用に関与する主な因子のうちの1つが、病原体,
感染細胞または悪性疾患細胞に対して立ち上げられる免疫応答である。多数の症
状において、このような免疫応答は疾患を制御する。いくつかの動物モデル系お
よびヒトにおける自然感染の期待される研究は、病原体に対する免疫応答が病原
体を制御し、重症疾患への進行を防止し、および/または病原体を排除し得るこ
とを示唆する。共通の主題は、多特異的T細胞応答に関する要件であり、狭い範
囲に集中する応答は有効性が低いと思われる。これらの観察は、広範な免疫応答
を提供する本発明の方法および組成物の実施形態に関して当業者に指針を示す。
【0237】 癌の場合、免疫応答が新生物増殖に影響を及ぼし得ることを示す以下のような
いくつかの知見が認められる: 第一に、多数の異なる動物モデルにおける、MHCクラスIにより拘束される
抗腫瘍T細胞が腫瘍を防止し、または治療することが可能であるという証拠。
【0238】 第二に、有望な結果が免疫療法試験から得られた。
【0239】 第三に、自然疾患の経過中に成された観察が腫瘍内のT細胞浸潤の型および組
成を陽性臨床結果と相関させた(Coulie PGら、Antitumor
immunity at work in a melanoma patie
nt In Advances in Cancer Research,21
3−242,1999)。
【0240】 最後に、腫瘍は一般的に、突然変異を引き起こし、それによりそれらの免疫学
的認識を変える能力を有する。例えば、単一特異的CTLの存在は、抗原損失が
発生するまで、腫瘍増殖の制御にも相関した(Riker Aら、Immune
selection after antigen−specific im
munotherapy of melanoma Surgery,Aug;
126(2):112−20,1999;Marchand Mら、Tumor
regressions observed in patients wi
th metastatic melanoma treated with
an antigenic peptide encoded by gene
MAGE−3 and presented by HLA−A1 Int
.J.Cancer 80(2):219−30,Jan.18,1999)。
同様に、β2ミクログロブリンの損失が、NCIで免疫療法を受けた後の黒色腫
患者から確立された5/13株で検出された(Restifo NPら、Los
s of functional Beta2−microglobulin
in metastatic melanomas from five pa
tients receiving immunotherapy Journ
al of the National Cancer Institute,
Vol.88(2),100−108,Jan.1996)。HLAクラスIは
種々の腫瘍型で高頻度に変更される、ということが長い間認識されてきた。これ
は、クラスI拘束CTLにより腫瘍に加えられる免疫圧力をこの現象が反映し得
る、という仮説をもたらした。HLAクラスI発現の変更の範囲および程度は、
過去の免疫圧力を反映するものであると思われ、予後値も有し得る(van D
uinen SGら、Level of HLA antigens in l
ocoregional metastases and clinical
course of the disease in patients wi
th melanoma Cancer Research 48,1019−
1025,Feb.1988;Moller Pら、Influence of
major histocompatibility complex cl
ass I and II antigens on survival in
colorectal carcinoma Cancer Researc
h 51,729−736,Jan.1991)。合わせて考えると、これらの
観察は癌および感染性疾患の免疫療法の根拠を提供し、そして有効な戦略は、疾
患に関連した一連の複雑な病理学的変化を説明する必要があることを示唆する。
【0241】 (腫瘍におけるHLA発現の3つの主な型の変化ならびにそれらの機能的意味
) 腫瘍におけるHLAクラスI抗原の発現のレベルおよびパターンは、多数の異
なる腫瘍型で研究されており、研究された腫瘍の全ての型において変化が報告さ
れている。HLAクラスI変化の基礎を成す分子メカニズムは、全く異質である
ことを立証した。それらは、TAP/プロセシング経路の変化、β2−ミクログ
ロブリンおよび特異的HLA重鎖の突然変異、クラスI発現を制御する調節エレ
メントの変化、ならびに全染色体区分の損失を包含する。この題目に関するいく
つかの総説がある(例えば、Garrido Fら、Natural hist
ory of HLA expression during tumour
development Immunol Today 14(10):491
−499,1993;Kaklamanis Lら、Loss of HLA
class−I alleles,heavy chains and β2−
microglobulin in colorectal cancer I
nt.J.Cancer,51(3):379−85,May 28,1992
参照)。HLAクラスI変化には3つの主な型が存在する(完全損失、対立遺伝
子特異的損失および発現低減)。各変化の機能的意味は別個に考察される。
【0242】 (HLA発現の完全損失) HLA発現の完全損失は、種々の異なる分子メカニズムに起因し得る。それら
については以下の文献で概説されている(Algarra Iら、The HL
A crossroad in tumor immunology Huma
n Immunology 61,65−73,2000;Browning
Mら、Mechanisms of loss of HLA class I
expression on colorectal tumor cell
s Tissue Antigens 47:364−371,1996;Fe
rrone Sら、Loss of HLA class I antigen
s by melanoma cells:molecular mechan
isms,functional significance and cli
nical relevance Immunology Today,16(
10):487−494,1995;Garrido Fら、Natural
history of HLA expression during tum
our development Immunology Today 14(
10):491−499,1993;Tait,BD,HLA Class I
expression on human cancer cells:Im
plications for effective immunothera
py Hum Immunol 61,158−165,2000)。機能に関
して、この型の変化はいくつかの重要な意味を有する。
【0243】 クラスI発現の完全非存在はそれらの腫瘍細胞のCTL認識を排除するが、一
方、HLAクラスIの損失も、NK細胞からの溶解に対して腫瘍細胞を異常に感
受性にさせる(Ohnmacht,GAら、Heterogeneity in
expression of human leukocyte antig
ens and melanoma−associated antigens
in advanced melanoma J Cellular Phy
s 182:332−338,2000;Liunggren HGら、Hos
t resistance directed selectively ag
ainst H−2 deficient lymphoma variant
s:Analysis of the mechanism J.Exp.Me
d.,Dec 1:162(6):1745−59,1985;Maio Mら
、Reduction in susceptibility to natu
ral killer cell−mediated lysis of hu
man FO−1 melanoma cells after induct
ion of HLA class I antigen expressio
n by transfection with B2m gene J.Cl
in.Invest.88(1):282−9,July 1991:Schr
ier PIら、Relationship between myc onc
ogene activation and MHC class I exp
ression Adv.Cancer Res.,60:181−246,1
993)。
【0244】 HLA発現の損失とNK感受性の獲得との間の相補的相互作用は、Couli
eと共同研究者(Coulie,PGら、Antitumor immunit
y at work in a melanoma patient.In A
dvances in Cancer Research,213−242,1
999)の、数年に亘る経過中の患者の免疫応答の進展を記載した古典的研究に
より例示されている。NK溶解に対する感受性増大のために、概して生得免疫の
、特にNK活性の刺激をもたらすアプローチは特別の意義を有することが予測さ
れる。このようなアプローチの一例は、種々の造血性増殖因子、例えばFlt3
リガンドまたはProGPによる大量の樹状細胞(DC)の誘導である。このア
プローチに関する根拠は、樹状細胞が、生得免疫および特にNK活性に対する最
も強力な刺激剤の1つである大量のIL−12を産生するという周知の事実にあ
る。あるいはIL−12は直接投与されるか、またはそれをコードする核酸とし
て投与される。この点から見て、Flt3リガンド治療がクラスI陰性前立腺ネ
ズミ癌モデルの一過性腫瘍退行を生じるということに留意するのは興味深い(C
iavarra RPら、Flt3−Ligand induces tran
sient tumor regression in an ectopic
treatment model of major histocompa
tibility complex−negative prostate c
ancer Cancer Res.60:2081−84,2000)。この
情況では、本発明の特異的抗腫瘍ワクチンはこれらの型の造血増殖因子と相乗作
用して、CTLおよびNK細胞応答の両方を促進し、それにより突然変異を生じ
、それにより有効な治療を逃れる細胞の能力を明らかに減損する。したがって本
発明の実施形態は、本発明の組成物を、NK細胞の機能的活性または数を増大す
る方法または組成物と一緒に包含する。このような実施形態は、NK誘導性の様
式で引き続き、あるいはNK誘導性の様式で同時期に、本発明の組成物を提供す
るプロトコールを包含し得る。
【0245】 第二に、HLAの完全損失はしばしば腫瘍細胞の画分においてのみ起こるが、
一方、腫瘍細胞の残り部分は正常発現を示し続ける。機能に関して、腫瘍は部分
的に依然としてCTL応答からの直接攻撃を受け、細胞のHLAを欠く部分はN
K応答を受ける。CTL応答のみが用いられる場合でも、腫瘍のHLA発現画分
の破壊は生存時間およびクオリティーオブライフに劇的影響を及ぼす。
【0246】 異種HLA発現の場合には、正常HLA発現ならびに欠陥細胞はともに、「傍
観者効果」に基づいた免疫破壊を受け易いと予測される、ということにも留意す
べきである。このような効果は、例えば抗体標的化スーパー抗原の作用のインビ
ボメカニズムを調べたRosendahlと共同研究者の研究において立証され
た(Rosendahl Aら、Perforin and IFN−gamm
a are involved in the antitumor effe
cts of antibody−targeted superantige
ns J.Immunol.160(11):5309−13,June 1,
1998)。傍観者効果は、例えばHLA保有標的細胞に作用するCTLから引
き出されるサイトカインにより媒介され、それによりサイトカインは付随して殺
害される他の罹患細胞の環境中に存在すると理解される。
【0247】 (対立遺伝子特異的損失) クラスI分子の変化の最も一般的な種類の1つは、HLAに対してヘテロ接合
性の個体中のある種の対立遺伝子の選択的損失である。対立遺伝子特異的変化は
、単一HLA拘束エレメントにより拘束されるイムノドミナント(immuno
dominant)応答により加えられる免疫圧力に対する腫瘍適合を反映し得
る。この種類の変化は、腫瘍にクラスI発現を保持させ、したがってNK細胞認
識を逃れさせるが、なお依然として残りのHLA型に対応するエピトープを含む
本発明のCTLベースのワクチンに感受性である。したがって対立遺伝子特異的
損失の考え得るハードルを克服するための実際的な解決策は、多数の特異的応答
の誘導に頼っている。本発明のワクチン中の多数の疾患関連抗原の含入は特定の
疾患抗原の損失を生じる突然変異を防ぐのとちょうど同じように、多数のHLA
特異性および多数の疾患関連抗原を同時にターゲッティングすることは、対立遺
伝子特異的損失による疾患逃避を阻止する。
【0248】 (発現の低減(対立遺伝子特異的または非特異的)) エフェクターCTLの感受性は、長年立証されてきた(Brower,RCら
、Minimal requirements for peptide me
diated activation of CD8+CTL Mol.Imm
unol.,31:1285−93,1994;Chriustnick,ET
ら、Low numbers of MHC class I−peptide
complexes required to trigger a T c
ell response Nature 352:67−70,1991;S
ykulev,Yら、Evidence that a single pep
tide−MHC complex on a target cell ca
n elicit cytolytic T cell response I
mmunity,4(6):565−71,June 1996)。単一ペプチ
ド/MHC複合体でさえ、腫瘍細胞溶解を生じ、抗腫瘍リンホカインを放出し得
る.HLA発現低減および免疫認識からの考え得る腫瘍逃避の生物学的意義は、
完全にはわかっていない。それにもかかわらず、1つという少ないMHC/ペプ
チド複合体のCTL認識で、腫瘍細胞溶解を導くのに十分である、ということが
立証されている。
【0249】 さらに、HLAの発現は、エフェクターCTLにより一般的に分泌されるγI
FNにより上方制御され得る、ということが一般的に観察される。さらにHLA
クラスI発現は、αおよびβIFNの両方によりインビボで誘導され得る(Ha
lloranら、Local T cell responses induc
e widespread MHC expression,J Immuno
l 148:3837,1992;Pestka,Sら、Interferon
s and their actions Annu.Rev.Biochem
.56:727−77,1987)。逆に、HLAクラスI発現のレベル低減も
細胞をNK溶解に対してより感受性にさせる。
【0250】 γIFNに関しては、Torres等(Torres,MJら、Loss o
f an HLA haplotype in pancreas cance
r tissue and its corresponding tumor
derived cell line.Tissue Antigens 4
7:372−81,1996)は、ハロタイプの全体的損失が起こらない限り、
HLA発現が膵臓癌におけるγIFNにより上方制御される、ということに注目
している。同様にReesとMianは、対立遺伝子欠失および損失は、サイト
カイン(例えばIFN−γ)により少なくとも部分的に回復され得る、というこ
とに注目した(Rees,Rら、Selective MHC express
ion in tumours modulates adaptive an
d innate antitumour responses Cancer
Immunol Immunother 48:374−81,1999)。
IFN−γ治療は、研究された症例の大多数におけるクラスI分子の上方制御を
もたらす、ということも注目された(Browning Mら、Mechani
sms of loss of HLA class I expressio
n on colorectal tumor cells,Tissue A
ntigens 47:364−371,1996)。Kaklamakis等
も、IFN−γを用いるアジュバント免疫療法がHLAクラスI陰性腫瘍の場合
に有益であり得る、ということを示唆した(Kaklamanis L,Los
s of transporter in antigen processi
ng 1 transport protein and major his
tocompatibility complex class I mole
cules in metastatic versus primary b
reast cancer,Cancer Research 55:5191
−94,November 1995)。局所炎症/免疫化によりIFN−γ産
生が誘導され、自己増幅されて(Halloranら、Local T cel
l responses induce widespread MHC ex
pression,J.Immunol 148:3837,1992)、炎症
部位から離れた部位でもMHC発現の大増加をもたらす、と強調することは重要
である。
【0251】 最後に、研究により、HLA発現の低減が腫瘍細胞をNK溶解に対してより感
受性にさせ得るということが立証された(Ohnmacht,GAら、Hete
rogeneity in expression of human leu
kocyte antigens and melanoma−associa
ted antigens in advanced melanoma J
Cellular Phys 182:332−338,2000;Liung
gren HGら、Host resistance directed se
lectively against H−2 deficient lymp
homa variants:Analysis of the mechan
ism J.Exp.Med.,162(6):1745−59,Decemb
er 1,1985;Malo Mら、Reduction in susce
ptibility to natural killer cell−med
iated lysis of human FO−1 melanoma c
ells after induction of HLA class I
antigen expression by transfection w
ith β2m gene J.Clin.Invest.88(1):282
−9,July 1991:Schrier PIら、Relationshi
p between myc oncogene activation an
d MHC class I expression Adv.Cancer
Res.,60:181−246,1993)。もしHLA発現の低減が、CT
L逃避を促すために腫瘍に対して利益を与えるが、腫瘍をNK溶解に対して感受
性にさせるならば、NK活性に対する耐性を可能にするHLA発現の最小レベル
が選定される(Garrido Fら、Implications for i
mmunosurveillance of altered HLA cla
ss I phenotypes in human tumours Imm
unol Today 18(2):89−96,February 1997
)。したがって本発明の治療用組成物または方法は、HLA発現を上方制御する
ための治療および/または高親和性T細胞による治療と一緒に、腫瘍をCTL破
壊に対して感受性にさせる。
【0252】 (HLA発現における変化の頻度) クラスI発現における変化の頻度は、多数の研究の対象である(Algarr
a Iら、The HLA crossroad in tumor immu
nology Human Immunology 61,65−73,200
0)。ReesとMianは、対立遺伝子損失は全体で3〜20%の腫瘍に起こ
り、対立遺伝子欠失は15〜50%の腫瘍で起こると概算している。各細胞は2
つの別々の組のクラスI遺伝子を有し、その各遺伝子が1つのHLA−Aおよび
1つのHLA−B遺伝子座を保有する、ということに留意すべきである。したが
って完全へテロ接合型個体は、2つの異なるHLA−A分子と2つの異なるHL
A−B分子を保有する。したがって、任意の特異的対立遺伝子に関する損失の実
際の頻度は、全頻度の4分の1という少なさであり得る。概して、発現の勾配は
正常細胞、原発性腫瘍および腫瘍転移間に存在する、ということにも彼等は留意
した。Nataliと共同研究者(Natali PGら、Selective
changes in expression of HLA class
I polymorphic determinants in human
solid tumors PNAS USA 86:6719−6723,S
eptember 1989)からの研究では、固形腫瘍は、W6/32抗体を
用いて、全体的HLA発現に関して、およびBB7.2抗体の使用により評価し
た場合のA2抗原の対立遺伝子特異的発現に関して検査された。腫瘍試料は、1
3の異なる腫瘍型に関して原発性癌または転移から得られ、20%未満である場
合は陰性、30〜80%の範囲である場合には低減、そして80%を超える場合
には正常と採点された。腫瘍は全て、原発性も転移も、W6/32を用いてHL
A陽性であった。A2発現に関しては、低減は16.1%の症例で認められ、A
2は39.4%の症例で検出されないと採点された。Garridoと共同研究
者(Garrido Fら、Natural history of HLA
expression during tumour development
Immunol Today 14(10):491−99,1993)は、
HLA変化は良性から最も攻撃的までの進行中の特定の段階で起こると思われる
ことを強調した。Jiminez等(Jiminez Pら、Microsat
ellite instability analysis in tumor
s with different mechanisms for tota
l loss of HLA expression,Cancer Immu
mol Immunother 48:684−90,2000)は、118の
異なる腫瘍を分析した(結腸直腸癌68例、喉頭癌34例および黒色腫16例)
。HLA発現の全体的損失に関して報告された頻度は、結腸癌11%、黒色腫1
8%および喉頭癌13%であった。したがってHLAクラスI発現は、恐らくは
免疫圧力の反映として、または病理学的変化および罹患細胞の変化の蓄積の単な
る反映として、腫瘍型の有意の画分中で変更される。
【0253】 (HLA損失情況での免疫療法) 大多数の腫瘍はHLAクラスIを発現し、後期段階で、かつ低分化腫瘍におい
て、より重篤な変化が見出される傾向がある。このパターンは、免疫療法の情況
において有望であり、特に以下のようであると考える:1)免疫組織化学的技法
の相対的低感度は、腫瘍におけるHLA発現を低く評価し得る;2)クラスI発
現は、局所的炎症およびリンホカイン放出の結果として腫瘍細胞中で誘導され得
る;および3)クラスI陰性細胞は、NK細胞による溶解に感受性である。
【0254】 したがって本発明の種々の実施形態は、特に腫瘍性疾患の情況において、HL
A分子のある程度の損失が存在し得るという事実を考慮して選択され得る。例え
ば治療医は、HLAが発現されているか否かを確証するために患者の腫瘍をアッ
セイし得る。あるパーセンテージの腫瘍細胞がクラスIHLAを発現しないなら
ば、NK細胞応答を引き出す方法または組成物を含む本発明の実施形態が用いら
れ得る。本明細書中に記載されているように、このようなNK誘導法または組成
物は、樹状細胞の動員を促進するFIt3リガンドまたはProGPを含み得る
。理論的根拠は、樹状細胞が大量のIL−12を産生するということにある。I
L−12はアミノ酸形態または核酸形態のいずれかで直接投与され得る。本発明
の組成物はNK細胞誘導性組成物と同時に投与され得るし、あるいはこれらの組
成物は引き続いて投与され得る、ということに留意すべきである。
【0255】 対立遺伝子特異的HLA損失の情況では、腫瘍はクラスI発現を保持し、した
がってNK細胞認識を逃れ、さらに残りのHLA型に対応するエピトープを含む
本発明のCTLベースのワクチンに依然として感受性であり得る。この概念はこ
こでは、特異的抗原の損失をもたらす突然変異に対して防護するために多数の疾
患抗原を含む本発明の実施形態に類似する。したがって、対立遺伝子特異的損失
、ならびに疾患関連抗原損失による腫瘍逃避を防止するために、多数の疾患関連
抗原からの多数のHLA特異性および多数のエピトープを同時に標的にし得る。
さらに本発明の実施形態は、代替的治療組成物および方法と併合され得る。この
ような代替的組成物および方法は、放射線、細胞傷害性薬剤および/または体液
性抗体応答を誘導する組成物/方法を包含するが、これらに限定されない。
【0256】 さらに、HLAの発現は、エフェクターCTLにより一般的に分泌されるγI
FNにより上方制御され得ること、およびHLAクラスI発現は、αおよびβI
FNの両方によりインビボで誘導され得ることが観察された。したがって本発明
の実施形態は、HLAの上方制御を促進するために、α、βおよび/またはγI
FNも含み得る。
【0257】 (IV.N.副作用を誘導する療法からの猶予期間:「計画治療中断または薬
剤休日(drug holiday)」) 病原体に感染し、初期に病原体負荷を低減する治療レジメンで処置されたある
患者は、治療レジメンから外れた場合でも、即ち「薬剤休日」中も、病原体負荷
低減を維持し得た、ということを近年の証拠は示している(Rosenberg
,E.ら、Immune control of HIV−1 after e
arly treatment of acute infection Na
ture 407:523−26,Sept.28,2000)。当業者に理解
されるように、病原体および癌の両方に対する多数の治療レジメンは、多数の、
しばしば重篤な副作用を有する。薬剤休日中に、患者の免疫系は疾患を抑制して
いる。本発明の組成物を用いるための方法は、癌および病原性感染に対して薬剤
休日の情況で用いられる。
【0258】 感染の治療に関しては、療法が特に免疫抑制性であるわけでない場合、本発明
の組成物が標準療法と同時に投与される.この期間中は、患者の免疫系は、本発
明の組成物により含まれるエピトープに対する応答を誘導することに向けられる
。副作用を有する治療から外れた時点で、患者は、病原体負荷が増大し始める場
合に感染性病原体に対して応答するようプライミングされる。本発明の組成物は
、薬剤休日中も同様に提供され得る。
【0259】 癌患者に関しては、多数の療法が免疫抑制性である。したがって、寛解が達成
されるかまたは、患者が標準治療に対して難治性であると同定され、次に免疫抑
制療法から外れた場合、本発明の組成物が投与される。したがって患者の免疫系
が再構成するにつれ、貴重な免疫源が同時に癌に向けられる。本発明の組成物は
、所望により免疫抑制レジメンと同時にも投与され得る。
【0260】 (IV.O.キット) 本発明のペプチドおよび核酸組成物は、ワクチン投与のための指示書とともに
キットの形態で提供され得る。代表的に、キットは、容器中の所望のペプチド組
成物(好ましくは、単位用量形態にある)および投与のための指示書を含む。代
替的なキットは、投与のための指示書とともに、容器中の本発明の所望の核酸を
含むミニジーン構築物(好ましくは、単位用量形態にある)を含む。IL−2ま
たはIL−12のようなリンホカインもまた、キットに含まれ得る。所望であり
得る他のキット構成要素には、例えば、滅菌シリンジ、ブースター投薬、および
他の所望の賦形剤が挙げられる。
【0261】 (IV.P.概要) 本発明に従うエピトープは、免疫応答を誘導するために首尾良く使用された。
これらのエピトープを用いた免疫応答は、これらのエピトープを種々の形態で投
与することによって誘導された。これらのエピトープは、ペプチドとして、核酸
として、そして本発明のエピトープをコードする核酸を含むウイルスベクターと
して投与された。ペプチドベースのエピトープ形態の投与において、免疫応答は
、細胞で発現される空のHLA分子上にエピトープを直接負荷することによって
、そしてこのエピトープのインターナリゼーションおよびHLA I型経路を介
するプロセシングを介して誘導された;いずれの場合においても、次いで、この
エピトープを発現するHLA分子は、相互作用し得、そしてCTL応答を誘導し
得た。ペプチドは、直接的に、またはリポソームのような薬剤を使用して送達さ
れ得る。これらは、さらに、銃式送達(ballistic delivery
)を使用して送達され得、ここで、ペプチドは、代表的には、結晶形態である。
DNAを使用して免疫応答を誘導する場合、DNAは、裸のDNAとして(一般
的に、約1〜5μgの投薬範囲)または銃式の「遺伝子銃」送達を介して(代表
的に、約10〜100μgの投薬範囲)のいずれかで投与される。DNAは、種
々のコンホメーション(例えば、線状、環状など)で送達され得る。本発明に従
うエピトープをコードする核酸を含む、種々のウイルスベクターもまた、首尾良
く使用された。
【0262】 従って、本発明に従う組成物は、いくつかの形態で存在する。本発明に従うこ
れらの組成物形態の各々の実施形態は、免疫応答を誘導するために首尾良く使用
された。
【0263】 本発明に従う1つの組成物は、複数のペプチドを含む。この複数のペプチドま
たはペプチドのカクテルは、一般的に、1つ以上の薬学的に受容可能な賦形剤と
混合される。ペプチドカクテルは、同じペプチドの複数のコピーを含み得るか、
またはペプチドの混合物を含み得る。ペプチドは、天然に存在するエピトープの
アナログであり得る。ペプチドは、人工アミノ酸および/または化学的改変(例
えば、脂質化;アセチル化、グリコシル化、ビオチン化、リン酸化のような表面
活性分子の付加)を含み得る。ペプチドは、CTLエピトープまたはHTLエピ
トープであり得る。好ましい実施形態において、ペプチドカクテルは、複数の異
なるCTLエピトープおよび少なくとも1つのHTLエピトープを含む。HTL
エピトープは、天然または非天然(例えば、PADRE(登録商標)、Epim
mune Inc.,San Diego、CA)であり得る。本発明の実施形
態における異なるエピトープの数は、一般的に、1〜130の整数(whole
unit integer)である(例えば、1、2、3、4、5、6、7、
8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20
、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32
、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44
、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56
、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68
、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80
、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92
、93、94、95、96、97、98、99、または100)。
【0264】 本発明に従う組成物のさらなる実施形態は、ポリペプチド多エピトープ構築物
(すなわち、ポリエピトープペプチド)を含む。本発明に従うポリエピトープペ
プチドは、当該分野において周知の技術の使用によって調製される。これらの公
知の技術の使用によって、本発明に従うエピトープは、互いに連結される。ポリ
エピトープペプチドは、線状または非線状(例えば、多価)であり得る。これら
のポリエピトープ構築物は、人工アミノ酸、スペーシングまたはスペーサーアミ
ノ酸、隣接アミノ酸、または隣接エピトープ単位間の化学的改変を含み得る。ポ
リエピトープ構築物は、ヘテロポリマーまたはホモポリマーであり得る。ポリエ
ピトープ構築物は、一般的に、2〜150の間の任意の整数の量(例えば、2、
3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、1
7、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、2
9、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、4
1、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、5
3、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、6
5、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、7
7、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、8
9、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または1
00)のエピトープを含む。ポリエピトープ構築物は、CTLエピトープおよび
/またはHTLエピトープを含み得る。構築物中の1以上のエピトープは、例え
ば、表面活性物質(例えば、脂質)の付加によって改変され得るか、または化学
的に改変され得る(例えば、アセチル化など)。さらに、多エピトープ構築物に
おける結合は、ペプチド結合以外(例えば、共有結合、エステルまたはエーテル
結合、ジスルフィド結合、水素結合、イオン結合など)であり得る。
【0265】 あるいは、本発明に従う組成物は、ネイティブ配列に対して相同性を有する(
すなわち、対応するかまたは近接する)アミノ酸の系列、配列、ストレッチ(s
tretch)を含む構築物を含む。このアミノ酸のストレッチは、より長い系
列のアミノ酸から切断されるかまたは単離された場合に、本発明に従って、HL
A I型エピトープまたはHLA II型エピトープとして機能する、アミノ酸
の少なくとも1つのサブ配列(subsequence)を含む。この実施形態
において、ペプチド配列は、当該分野で公知であるかまたは提供される多数の技
術を使用することによって、本明細書中に規定されるような構築物になるように
改変される。ポリエピトープ構築物は、70〜100%(例えば、70、71、
72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、
84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、
96、97、98、99、または100%)の任意の整数の増分でネイティブ配
列に対して相同性を含み得る。
【0266】 本発明に従う組成物のさらなる実施形態は、本発明に従う1以上のエピトープ
を含む、抗原提示細胞である。抗原提示細胞は、「プロフェッショナル」抗原提
示細胞(例えば、樹状細胞)であり得る。抗原提示細胞は、当該分野において公
知の任意の手段または当該分野において決定された任意の手段によって、本発明
のエピトープを含み得る。このような手段には、銃式核酸送達のような核酸投与
によって、または核酸の投与のための当該分野の他の技術(ベクターベースの(
例えば、ウイルスベクター)核酸の送達を含む)によって、樹状細胞を1以上の
個々のエピトープまたは複数のエピトープを含む1以上のペプチドでパルスする
ことを含む。
【0267】 本発明に従う組成物のさらなる実施形態は、本発明の1以上のペプチドをコー
ドする核酸、または本発明に従うポリエピトープペプチドをコードする核酸を含
む。当業者によって理解されるように、種々の核酸組成物は、遺伝コードの縮重
に起因して同じペプチドをコードする。これらの核酸組成物の各々は、本発明の
範囲内に含まれる。本発明のこの実施形態は、DNAまたはRNAを含み、特定
の実施形態において、DNAおよびRNAの組み合わせを含む。本発明に従うペ
プチドをコードする核酸を含む任意の組成物または本発明に従う任意の他のペプ
チドベースの組成物が、本発明の範囲内にあることが理解される。
【0268】 本発明のペプチドベースの形態(ならびに、これらをコードする核酸)が、当
該分野で既に公知であるかまたは公知になる原理を使用して作製される、本発明
のエピトープのアナログを含み得ることが理解される。アナログ化に関する原理
は、現在、当該分野において公知であり、本明細書中に開示される;さらに、ア
ナログ化原理(ヘテロクリティックアナログ化)は、1999年1月6日に出願
された同時係属出願シリアル番号U.S.S.N.第09/226,775号に
開示される。一般的に、本発明の組成物は、単離されているかまたは精製されて
いる。
【0269】 本発明を、特定の実施例によってより詳細に記載する。以下の実施例は、例示
の目的のために提供され、そしていかなる様式においても本発明を制限すること
を意図しない。当業者は、本発明に従って代替の実施形態を得るために変化また
は改変され得る重要でない種々のパラメータを容易に認識する。
【0270】 (V.実施例) 以下の実施例は、ワクチン組成物に含ませるための免疫原性クラスIおよびク
ラスIIペプチドエピトープの同定、選択、および使用を例示する。
【0271】 (実施例1.HLAクラスIおよびクラスII結合アッセイ) HLA分子に結合するペプチドの以下の例は、HLAクラスIおよびクラスI
Iペプチドの結合親和性の定量化を示す。結合アッセイは、モチーフを保有する
かまたはモチーフを保有しないペプチドを用いて実施され得る。
【0272】 精製HLA分子を使用するHLAクラスIおよびクラスII結合アッセイを、
開示のプロトコールに従って行った(例えば、PCT公開WO94/20127
;Sidneyら,Current Protocols in Immuno
logy 18.3.1(1998);Sidney,ら,J.Immunol
.154:247(1995);Sette,ら,Mol.Immunol.3
1:813(1994))。手短には、精製MHC分子(5〜500nM)を、
種々の未標識ペプチドインヒビターおよび上記の1〜10nMの125I放射標
識プローブペプチドと共にインキュベートした。インキュベーション後、MHC
ペプチド複合体を、ゲル濾過によって遊離ペプチドから分離し、そして結合した
ペプチドの画分を決定した。代表的には、予備実験において、各MHC調製物を
、固定量の放射標識ペプチドの存在下で滴定し、全放射活性の10〜20%を結
合するのに必要とされるHLAの濃度を決定した。全てのその後の阻害アッセイ
および直接結合アッセイを、これらのHLA濃度を用いて実施した。
【0273】 [標識]<[HLA]およびIC50≧[HLA]のこれらの条件下で、測定
されたIC50値は、真のK値の適切な近似である。ペプチドインヒビターは
、代表的に、120μg/ml〜1.2ng/mlの範囲の濃度で試験され、そ
して2〜4回の完全に独立した実験において試験される。異なる実験から得られ
たデータの比較を可能にするために、阻害についてのポジティブコントロールの
IC50を各々の試験したペプチド(代表的には、その放射標識されたプローブ
ペプチドの標識されていないバージョン)のIC50で除算することによって、
相対的な結合の数値を、各ペプチドについて計算した。データベース目的および
実験間比較のために、相対的な結合値を編集する。続いて、これらの値を、阻害
についてのポジティブコントロールのIC50 nMを目的のペプチドの相対的
な結合で除算することによって、IC50 nM値に変換し得る。このデータの
編集方法は、異なる日、または異なるロットの精製MHCで試験したペプチドを
比較するために、最も正確でかつ一貫していることが証明された。
【0274】 上に概説された結合アッセイは、例えば、実施例2に記載されるようなスーパ
ーモチーフおよび/またはモチーフを保有するエピトープを分析するために使用
され得る。
【0275】 (実施例2.HLAスーパーモチーフおよびモチーフを保有するCTL候補エ
ピトープの同定) 本発明のワクチン組成物は、広範な集団適用範囲を達成するために、複数のH
LAスーパーモチーフまたはHLAモチーフを含む、複数のエピトープを含み得
る。この実施例は、このようなワクチン組成物に含ませるためのスーパーモチー
フおよびモチーフ保有エピトープの同定を例示する。集団適用範囲の計算を、以
下に記述されるストラテジーを用いて実施した。
【0276】 (スーパーモチーフおよび/またはモチーフを保有するエピトープの同定のた
めのコンピュータ検索およびアルゴリズム) 実施例2および5においてモチーフ保有ペプチド配列を同定するために実施さ
れる検索は、前立腺癌関連抗原についてのタンパク質配列データを使用した。
【0277】 HLAクラスIまたはクラスIIのスーパーモチーフまたはモチーフを保有す
るエピトープについてのコンピュータ検索を、以下のように実施した。全ての翻
訳されたタンパク質配列を、テキスト記号列検索(text string s
earch)ソフトウェアプログラム(例えば、MotifSearch 1.
4(D.Brown,Sna Diego))を使用して分析して、適切なHL
A結合モチーフを含む潜在的なペプチド配列を同定した;代替のプログラムは、
本明細書中に開示されたモチーフ/スーパーモチーフを考慮して、当該分野の情
報に従って容易に作成される。さらに、このような計算は、頭の中で行われ得る
【0278】 同定したA2スーパーモチーフ配列、A3スーパーモチーフ配列およびDRス
ーパーモチーフ配列を、特定のHLAクラスIまたはクラスII分子に結合する
それらの能力を予測するための、多項式アルゴリズムを使用してスコア付けした
。これらの多項式アルゴリズムは、伸長モチーフおよび洗練モチーフの両方を考
慮し(すなわち、異なる位置での異なるアミノ酸の影響を考慮すること)、そし
てペプチド−HLA分子相互作用の全体の親和性(つまり、ΔG)が、以下の型
の線形多項式関数として近似され得るという事実に本質的に基づく: “ΔG”=a1i×a2i×a3i......×ani ここで、ajiは、n個のアミノ酸のペプチドの配列に沿った所定の位置(i)
での所定のアミノ酸(j)の存在の効果を表す係数である。この方法の重要な仮
定は、各位置での効果が、本質的に互いに独立である(すなわち、個々の側鎖の
独立した結合)ことである。残基jが、ペプチドの位置iに生じる場合、一定の
量のjがペプチドの残りの配列に関わらず、このペプチドの結合の自由エネル
ギーに寄与することを仮定する。この仮定は、ペプチドが、実質的に伸びたコン
ホメーションで、MHCに結合しそしてT細胞によって認識されるということを
立証した本発明者らの研究室からの研究によって証明される(本明細書において
データは省略した)。
【0279】 特定のアルゴリズム係数の導出方法は、Gulukotaら,J.Mol.B
iol.267:1258−126,1997に記載されている;(Sidne
yら,Human Immunol.45:79−93,1996;およびSo
uthwoodら,J.Immunol.160:3363−3373,199
8をまた、参照のこと)。簡潔には、全てのi位について、アンカーおよび非ア
ンカーと同様に、jを保有する全てのペプチドの平均相対結合(ARB)の幾何
平均を、この群の残りに対して計算し、そしてjの推定値として使用する。ク
ラスIIペプチドについて、複数の整列が可能である場合、最も高いスコアの配
列のみが使用され、反復手順に続く。試験セットにおける所定のペプチドのアル
ゴリズムスコアを計算するために、そのペプチドの配列に対応するARB値を、
乗算する。この積が、選択された閾値を超えた場合、このペプチドは、結合する
と予測される。適切な閾値は、所望の予測の厳密さの程度の関数として選択され
る。
【0280】 (HLA−A2スーパータイプ交差反応性ペプチドの選択) 前立腺癌関連抗原PAP、PSA、PSM、およびhK2の完全なタンパク質
配列は、GenBankから得、そして、モチーフ同定ソフトウェアを使用して
走査し、HLA−A2スーパーモチーフ主要アンカー特異性を含む8マー、9マ
ー、10マーおよび11マーの配列を同定した。
【0281】 HLA−A2スーパーモチーフ保有配列を、表VVIIに示す。次いでこれら
の配列を、A2アルゴリズムを使用してスコア付けし、この陽性とスコア付けし
た配列に対応するペプチドを合成し、そしてインビトロで精製HLA−A02
01分子(HLA−A0201は、原型のA2スーパータイプ分子であると考
えられる)を結合するそれらの能力について試験する。
【0282】 IC50値≦500nMでHLA−A0201に結合する、同定したペプチ
ドの例を、表XXIIおよびXXIIIに示す。次いで、これらのペプチドを、
さらなるA2スーパータイプ分子(A0202、A0203、A0206
、およびA6802)に結合する能力について試験した。試験した5つのA2
スーパータイプ対立遺伝子のうち少なくとも3つに結合するペプチドを、A2ス
ーパータイプ交叉反応性結合剤と考える。好ましいペプチドは500nM以下の
親和性で3つ以上のHLA−A2スーパータイプ分子に結合する。これらのペプ
チドの例を、表XXIIIに示す(上記の相同性に起因して、多くのCTLおよ
びHTLエピトープは、PSAおよびhK2抗原両方において示される。このこ
とを、上部の供給源および対立遺伝子供給源として表XXIIIおよびXXIV
に示す。)。
【0283】 (HLA−A3スーパーモチーフ保有エピトープの選択) 上記で走査したタンパク質配列をまた、HLA−A2スーパーモチーフ保有エ
ピトープを同定するために行った方法に類似する方法を使用して、HLA−A3
スーパーモチーフ一次アンカーを有するペプチドの存在について試験した。
【0284】 次いで、これらのスーパーモチーフ保有配列に対応するペプチドを合成し、H
LA−A0301およびHLA−A1101分子(2つの最も一般的なA3
スーパータイプ対立遺伝子)への結合について試験する。次いで、500nM以
下、好ましくは200nM以下の結合親和性でこの2つの対立遺伝子のうちの一
方に結合することが見出されるペプチドを、他の一般的なA3スーパータイプ対
立遺伝子(A3101、A3301、およびA6801)への結合交差反
応性について試験し、これらの試験した5つのHLA−A3スーパータイプ分子
のうちの少なくとも3つに結合し得るペプチドを同定する。
【0285】 (HLA−B7スーパーモチーフ保有エピトープの選択) 同じ標的抗原タンパク質配列をまた分析して、HLA−B7スーパーモチーフ
保有配列を同定した。次いで、これらの対応するペプチドを合成し、そしてHL
A−B0702(最も一般的なB7スーパータイプ対立遺伝子(すなわち、原
型のB7スーパータイプ対立遺伝子))への結合について試験する。次いで、5
00nM以下、好ましくは200nM以下のIC50でB0702に結合する
これらのペプチドを、他の一般的なB7スーパータイプ分子(B3501、B 5101、B5301およびB5401)への結合について試験し、これ
らの試験した5つのB7スーパータイプ対立遺伝子のうちの3つ以上に結合し得
るペプチドを同定する。
【0286】 (A1およびA24モチーフ保有エピトープの選択) 集団適用範囲をさらに増加させるために、HLA−A1エピトープおよびHL
A−A24エピトープをまた、ワクチン構築物に組み込み得る。上記で利用した
標的抗原からのタンパク質配列データの分析もまた行って、HLA−A1−モチ
ーフ含有保存配列およびHLA−A24−モチーフ含有保存配列を同定した。次
いで、ペプチド配列を合成し、そして結合について試験した。
【0287】 他のスーパーモチーフおよび/またはモチーフを保有するペプチドを、類似の
様式において結合または交差反応性結合について評価し得る。
【0288】 (実施例3:免疫原性の確認) 実施例2において記載したように同定した交差反応性候補のCTL A2スー
パーモチーフ保有ペプチドを、インビトロの免疫原性試験のために選択した。少
なくとも3/5のHLA−A2スーパーファミリーメンバーに200nM以下の
IC50で結合する免疫原性HLA−A2交差反応性結合ペプチドの例を、表X
XIVに示す。試験を以下の方法論を使用して実施した。
【0289】 (細胞性スクリーニングのための標的細胞系) HLA−A2.1遺伝子を、HLA−A、HLA−B、HLA−Cを有さない
変異体ヒトBリンパ芽球状細胞株721.221に移入することによって産生さ
れた.221A2.1細胞株を、ペプチドをロードされた標的として用いて、H
LA−A2.1拘束CTLの活性を測定する。この細胞株を、抗生物質、ピルビ
ン酸ナトリウム、非必須アミノ酸および10%(v/v)熱非働化FCSを補充
したRPMI−1640培地で増殖させる。目的の抗原を発現する細胞、または
目的の抗原をコードする遺伝子を含む被形質導入体を、標的細胞として使用して
、内因性の抗原を認識するペプチド特異的CTLの能力を試験する。
【0290】 (一次CTL誘導培養物) 樹状細胞(DC)の作製:PBMCを、30μg/mlのDNAseを含むR
PMIに融解し、2回洗浄し、そして完全培地(RPMI−1640ならびに5
%ABヒト血清、非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、L−グルタミンおよ
びペニシリン/ストレプトマイシン)に再懸濁する。単球を、6ウェルプレート
に、1ウェル当たり10×10PBMCをプレーティングすることによって精
製した。37℃で2時間後、非付着細胞を、プレートを穏やかに振盪し、そして
上清を吸引することによって除去した。ウェルを、3mlのRPMIで合計3回
洗浄して、大半の非付着細胞およびゆるい付着細胞を除去した。次いで、50n
g/mlのGM−CSFおよび1,000U/mlのIL−4を含む3mlの完
全培地を、各々のウェルに添加した。TNFαを、75ng/mlで6日後にD
Cに添加し、そして細胞を、培養の7日後にCTL誘導培養物について使用した
【0291】 DCおよびペプチドを用いたCTLの誘導:CD8+T細胞を、Dynal免
疫磁気ビーズ(Dynabeads(登録商標)M−450)およびdetac
ha−bead(登録商標)試薬を用いたポジティブ選択によって単離する。代
表的には、約200〜250×10個のPBMCをプロセスして、24×10 個のCD8T細胞(48ウェルプレート培養に十分である)を得る。手短に
言えば、PBMCを、30μg/mlのDNAseを含むRPMIに融解し、1
%ヒトAB血清を含むPBSで1回洗浄し、そして20×10細胞/mlの濃
度で、PBS/1%AB血清に再懸濁する。磁気ビーズを、PBS/AB血清で
3回洗浄し、細胞に添加し(20×10細胞当たり140μlのビーズ)、そ
して連続的に混合しながら、4℃で1時間インキュベートする。このビーズおよ
び細胞を、PBS/AB血清で4回洗浄して非付着細胞を除去し、そして100
μl/mlのdetacha−bead(登録商標)試薬および30μg/ml
のDNAseを含むPBS/AB血清に、100×10細胞/mlで(最初の
細胞数に基づく)再懸濁する。この混合物を、連続的に混合しながら、室温で1
時間インキュベートする。このビーズを、PBS/AB/DNAseで再び洗浄
して、CD8+T細胞を収集する。DCを収集し、そして1300rpmで5〜
7分間遠心分離し、1%BSAを含むPBSで1回洗浄し、計数し、そして20
℃で4時間、3μg/mlのβ−ミクログロブリンの存在下で、1〜2×10 /mlの細胞濃度で、40μg/mlのペプチドを用いてパルス(pulse
)した。次いで、このDCを、照射し(4,200rad)、培地で1回洗浄し
、そして再び計数する。
【0292】 誘導培養物のセットアップ:0.25mlのサイトカイン生成DC(@1×1
細胞/ml)を、10ng/mlのIL−7の存在下で、48ウェルプレー
トの各々のウェルにおいて、0.25mlのCD8+T細胞(@2×10細胞
/ml)とともに共存培養する。組換えヒトIL10を、最終濃度10ng/m
lで翌日添加し、そして組換えヒトIL2を、10IU/mlで48時間後に添
加する。
【0293】 ペプチドでパルスした付着細胞での誘導培養物の再度刺激:一次誘導の7日お
よび14日後、細胞を、ペプチドでパルスした付着細胞で再度刺激する。PBM
Cを融解し、そしてRPMIおよびDNAseで2回洗浄する。この細胞を、5
×10細胞/mlで再懸濁し、そして約4200radで照射する。PBMC
を、1ウェル当たり0.5mlの完全培地中に2×10でプレーティングし、
そして37℃で2時間インキュベートする。このプレートを、穏やかにプレート
をトラップ(trap)することによってRPMIで2回洗浄して、非付着細胞
を除去し、そして付着細胞を、1ウェル当たり0.25mlのRPMI/5%A
Bにおいて3μg/mlのβミクログロブリンの存在下で、37℃で2時間、
10μg/mlのペプチドでパルスする。各ウェルからのペプチド溶液を吸引し
、そしてこのウェルを、RPMIで1回洗浄した。大半の培地を、誘導培養物(
CD8+細胞)から吸引し、そして新鮮な培地で0.5mlにする。次いで、こ
れらの細胞を、ペプチドでパルスした付着細胞を含むウェルに移した。24時間
後、組換えヒトIL10を、最終濃度10ng/mlで添加し、そして組換えヒ
トIL2を翌日添加し、そして再び50IU/mlで2〜3日後に添加する(T
saiら、Critical Reviews in Immunology
18(1−2):65−75、1998)。7日後、この培養物を、51Cr放
出アッセイにおいてCTL活性についてアッセイする。いくつかの実験において
、この培養物を、第二の再度刺激時に、インサイチュIFNγ ELISAにお
いて、ペプチド特異的認識についてアッセイし、その後、7日後に内因性認識の
アッセイを行う。拡張(expansion)後、活性を、平衡して比較するた
めに両方のアッセイにおいて測定する。
【0294】 (51Cr放出によるCTL溶解活性の測定) 第二の再度刺激の7日後、細胞傷害性を、一つのE:Tで個々のウェルをアッ
セイすることによって、標準的な(5時間)51Cr放出アッセイにおいて決定
する。ペプチドでパルスした標的物を、細胞を37℃で一晩10μg/mlのペ
プチドとともにインキュベートすることによって調製する。
【0295】 付着標的細胞を、トリプシン−EDTAを用いて培養フラスコから除去する。
標的細胞を、37℃で1時間、200μCiの51Crクロム酸ナトリウム(D
upont、Wilmington、DE)で標識する。標識した標的細胞を、
10/mlで再懸濁し、そして3.3×10/mlの濃度でK562細胞を
用いて1:10に希釈する(NK感受性赤芽細胞腫(erythroblast
oma)細胞株を使用して、非特異的溶解を減少させる)。標的細胞(100μ
l)および100μlのエフェクターを、96ウェル丸底プレートにプレーティ
ングし、そして37℃で5時間インキュベートした。この時、100μlの上清
を、各々のウェルから収集し、そしてパーセント溶解を、以下の式に従って決定
する:[(試験サンプルのcpm−自発的な51Cr放出サンプルのcpm)/
(最大の51Cr放出サンプルのcpm−自発的な51Cr放出サンプルのcp
m)]×100。最大の放出および自発的な放出は、それぞれ、1%Trito
n X−100および培地単独とともに、標識された標的物をインキュベートす
ることによって決定する。陽性培地を、個々のウェルの場合に、特異的溶解(サ
ンプル−バックグラウンド)が10%以上であり、そして拡張された培養物をア
ッセイした場合に、2つの最も高いE:Tの比で、15%以上であると規定する
【0296】 (ペプチド特異的認識および内因性認識の指標としてのヒトγIFN産生のイ
ンサイチュ測定) Immulon2プレートを、4℃で一晩、マウス抗ヒトIFNγモノクロー
ナル抗体(4μg/ml 0.1M NaHCO、pH8.2)でコーティン
グする。このプレートを、Ca2+、Mg2+を含まないPBS/0.05%
Tween20で洗浄し、そしてPBS/10%FCSで2時間ブロックし、こ
の後、CTL(1ウェル当たり100μl)および標的物(1ウェル当たり10
0μl)を、各々のウェルに添加し、空のウェルを、標準およびブランクのため
に残す(これらには、培地のみ入れる)。標的細胞(ペプチドでパルスした標的
物または内因性の標的物のいずれか)を、1×10細胞/mlの濃度で使用す
る。このプレートを、5%COとともに37℃で48時間インキュベートする
【0297】 組換えヒトIFNγを、400pg/100μl/ウェルまたは1200pg
/100μl/ウェルで開始する標準ウェルに添加し、そしてこのプレートを、
37℃で2時間インキュベートする。このプレートを洗浄し、そして100μl
のビオチン化マウス抗ヒトIFNγモノクローナル抗体(PBS/3%FCS/
0.05%Tween20において4μg/ml)を添加し、そして室温で2時
間インキュベートする。再び洗浄した後、100μlのHRP−ストレプトアビ
ジンを添加し、そして室温で1時間インキュベートする。次いで、このプレート
を、洗浄緩衝液で6回洗浄し、1ウェル当たり100μlの展開溶液(TMB1
:1)を添加し、そしてこのプレートを、5〜15分間展開する。反応を、1ウ
ェル当たり50μlの1M HPOで停止させ、そしてOD450にて読み
取る。バックグラウンドを超えて1ウェル当たり少なくとも50pgのIFNγ
を測定し、そして発現がバックグラウンドレベルの2倍である場合に、培養物を
ポジティブとみなす。
【0298】 CTL拡張。ペプチドでパルスした標的物および/または腫瘍標的物に対して
特異的な溶解活性を示す培養物を、抗CD3を用いて2週間を超えて拡張する。
手短に言えば、5×10個のCD8+細胞を、以下を含むT25フラスコに添
加する:10%(v/v)ヒトAB血清、非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウ
ム、25μM 2−メルカプトエタノール、L−グルタミンおよびペニシリン/
ストレプトマイシンを含むRPMI−640における、1ml当たり1×10 個の照射(4,200rad)PBMC(自家組織または同種の)、1ml当た
り2×10個の照射(8,000rad)EBV−形質転換細胞、および1m
l当たり30ngでのOKT3(抗CD3)。RhumanIL2を、200I
U/mlの最終濃度で24時間後に添加し、その後、50IU/mlで新鮮な培
地を3日ごとに添加する。細胞濃度が、1×10/mlを超えた場合に、細胞
をはがし、そして培養物を、拡張の前と同じ標的物を用いて、51Cr放出アッ
セイにおいて30:1、10:1、3:1および1:1のE:T比で、またはイ
ンサイチュIFNγアッセイにおいて1×10/mlで、13日目と15日目
の間にアッセイする。
【0299】 培養物を、続いて抗CD3の非存在で拡張する。ペプチドおよび内因性標的
に対する特異的な溶解活性を示すこれらの培養物を選択し、そして5×10
D8細胞を、以下を含むT25フラスコに添加する、以下:1mlあたり2時
間37℃で10μg/mlのペプチドを用いてパルス化し、そして照射(4,2
00rad)したペプチドである1×10自己PBMC;10%(v/v)ヒ
トAB血清、非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、25mM 2−ME、L
−グルタミンおよびゲンタマイシンを含有するRPMI−1640 1ml当た
り2×10個の照射(8,000rad)EBV−形質転換細胞。
【0300】 (A2−スーパーモチーフ保有ペプチドの免疫原性) A2−スーパーモチーフ交差反応性結合ペプチドを、正常な個体においてペプ
チド特異的CTLを誘導する能力について、細胞性アッセイにおいて試験した。
この分析において、少なくとも2のドナーにおいて(別段の通知のない限り)、
ペプチド特異的CTLを誘導し、そして好ましくは内因性に発現したペプチドを
また認識する場合に、ペプチドを、エピトープとみなす。免疫原性ペプチドの例
を表XXIVに示す。
【0301】 さらに、免疫原性を、癌患者から単離されたPBMCを使用して確認する。簡
単には、PBMCを、前立腺癌を有する患者から単離し、ペプチドパルス化され
た単球を用いて再刺激し、そしてペプチドパルス化した標的細胞および抗原を内
因性に発現するトランスフェクトされた細胞を認識する能力についてアッセイす
る。
【0302】 (A03/A11免疫原性の評価) HLA−A3スーパーモチーフを保有する交差反応性結合ペプチドをまた、H
LA−A2スーパーモチーフペプチドの免疫原性を評価するために使用したもの
と類似の方法論を用いて、免疫原性について評価する。
【0303】 (B7免疫原性の評価) 実施例2において同定されたB7スーパータイプ交差反応性結合ペプチドの免
疫原性スクリーニングを、A2およびA3スーパーモチーフ保有ペプチドの評価
と類似の様式で評価する。
【0304】 他のスーパーモチーフおよび/またはモチーフを保有するペプチド(例えば、
LA−A1、HLA−a24など)をまた、同様の方法論を使用して評価する。
【0305】 (実施例4.アナログの作製によってネイティブのエピトープの結合能を改善
するための拡張されたスーパーモチーフのインプリメンテーション) HLAモチーフおよびスーパーモチーフ(一次残基および/または二次残基を
含む)は、本明細書中に説明されるように、高度に交差反応性のネイティブペプ
チドの同定および調製に有用である。さらに、HLAモチーフおよびスーパーモ
チーフの定義もまた、ネイティブのペプチド配列内部の残基を同定することによ
って、高度に交差反応性のエピトープの設計を可能にする。このネイティブのペ
プチド配列は、アナログ化されるか(analogued)、または「固定」さ
れて、ペプチドに、特定の特性(例えば、スーパータイプを含むHLA分子集団
内のより大きな交差反応性、および/またはこれらのHLA分子のうちのいくつ
かもしくはすべてに対するより大きな結合親和性)を与え得る。調節された結合
親和性を示すアナログペプチドの例を、本実施例に示す。
【0306】 (一次アンカー残基でのアナログ化) ペプチド操作ストラテジーを実行して、上記で同定されたエピトープの交差反
応性をさらに増大した(例えば、表XXIIIを参照のこと)。例えば、関連し
、そして同時係属中のU.S.S.N 09/226,775に開示されるデー
タに基づいて、A2スーパーモチーフ保有ペプチドの主要なアンカーを変更して
、例えば、2位に好ましいL、I、VまたはMを導入し、そしてC末端にIまた
はVを導入する。
【0307】 少なくとも弱いA0201結合(5000nM以下のIC50)を示し、そ
して2位、C末端位置、またはその両方のいずれかに、最適未満のアンカー残基
を保有するペプチドが、規範的な置換を導入することによって(代表的に2位に
L、そしてC末端にV)固定され得る。次いで、A0201結合において少な
くとも3倍の増大を示し、そして500nM、または好ましくは200nM以下
のIC50で結合するこれらのアナログ化ペプチドを、これらの野生型(WT)
相対物に加えて、A2交差反応性結合について試験する。次いで、5つのA2ス
ーパータイプ対立遺伝子のうちの少なくとも3つを結合するアナログ化ペプチド
を、細胞性スクリーニング分析について選択する。
【0308】 さらに、細胞性スクリーニング分析についてのアナログの選択を、WT親ペプ
チドが、3つ以上のA2スーパータイプ対立遺伝子に少なくとも弱く結合する(
すなわち、5000nM以下のIC50で結合する)能力によりさらに限定する
。この要求についての原理は、WTペプチドが、生物学的に適切であるに十分な
量で内因性に存在しなければならない、ということである。アナログ化ペプチド
は、WTエピトープに対して特異的なT細胞によって増大した免疫原性および交
差反応性を有することが示されている(例えば、Parkhurstら、J.I
mmunol.157:2539、1996;およびPogueら、Proc.
Natl.Acad.Sci.USA 92:8166、1995を参照のこと
)。
【0309】 これらのペプチドアナログの細胞性スクリーニングにおいて、アナログ特異的
CTLはまた、野生型ペプチド、そして可能であれば、このエピトープを内因性
に発現する腫瘍標的物を認識し得ることを実証することが重要である。
【0310】 一次アンカー残基でアナログ化した(一般的に、一次アンカー位置に好ましい
残基を付加することによって)ペプチドを、合成し、増強されたA0201へ
の結合および増強された交差反応性結合について評価した。増加された結合およ
び/または交差反応性を示すアナログ化されたペプチドの例を、表XXIIIに
示す。
【0311】 次いで、変化した結合特性を示すアナログを、細胞性スクリーニング研究のた
めに選択する。例を表XIVに示す。
【0312】 HLA−A2アナログを開発するために使用されたものと類似の方法論を用い
て、HLA−A3およびHLA−B7スーパーモチーフ保有エピトープのアナロ
グをまた作製する。類似のストラテジーを、他のスーパーモチーフ/モチーフを
保有するペプチドのためになお使用し得る。例えば、A3スーパータイプ分子の
うちの5分の3に少なくとも弱く結合するペプチドは、一次アンカー残基で操作
されて、2位に好ましい残基(V、S、MまたはA)を有し得る。次いで、この
アナログペプチドを、A03およびA11(プロトタイプのA3スーパータ
イプの対立遺伝子)を結合する能力について試験する。次いで、500nM以下
、しばしば200nM以下の結合値を示すこれらのペプチドを、A3スーパータ
イプの交差反応性について試験する。例えば、Sidneyらによって明らかに
された(J.Immunol.157:3480−3490,1996)ように
、B7スーパーモチーフ保有ペプチドを操作して、好ましい残基(V、I、Lま
たはF)をC末端一次アンカー位置で所有し得、そしてB7スーパータイプ対立
遺伝子への結合について試験する。
【0313】 (二次アンカー残基でのアナログ化) さらに、HLAスーパーモチーフは、高度に交差反応性のペプチド、および/
またはこのような性質に関連する二次アンカー位置で特定の残基を同定すること
によって、増大した親和性でHLA分子を結合するペプチドを設計する際に価値
がある。例えば、1位での目立たない(discreet)1アミノ酸置換の典
型であるB7スーパーモチーフ保有ペプチドの結合能を分析し得る。例えば、ペ
プチドをアナログ化して、1位でLをFで置換し得、そして引き続いて、増大し
た結合親和性および/または増大した交差反応性について評価し得る。
【0314】 結合能力または交差反応性を十分に改善した操作されたアナログを、上のよう
に免疫原性について試験する。
【0315】 (他のアナログ化ストラテジー) アンカー位置に関連しない別の形態のペプチドのアナログ化は、αアミノ酪酸
でのシステインの置換に関与する。その化学的性質に起因して、システインは、
ジスルフィド架橋を形成し、そして結合能を減少するように、構造的にペプチド
を十分に変更する性質を有する。システインのαアミノ酪酸での置換は、この問
題を解消するだけではなく、いくつかの例において、結合能および交差結合能を
改善することが示されている(例えば、Setteらによる総説、Persis
tent Viral Infections、R.AhmedおよびI.Ch
en編、John Wiley & Sons、England、1999を参
照のこと)。
【0316】 結論として、これらのデータは、1つのアミノ酸置換でさえ使用することによ
って、HLAスーパータイプ分子に対するペプチドリガンドの結合親和性および
/または交差反応性を増加し得ることを明らかにする。
【0317】 (実施例5.HLA−DR結合モチーフを有するペプチドエピトープ配列の同
定) HLAクラスIIスーパーモチーフまたはモチーフを保有するペプチドエピト
ープをまた、実施例1〜3に記載されるものと類似の方法論を用いて、以下に概
説されるように同定し得る。
【0318】 (HLA−DRスーパーモチーフ保有エピトープの選択) HLAクラスII HTLエピトープを同定するために、前立腺癌関連抗原タ
ンパク質配列を、HLA−DRモチーフまたはスーパーモチーフを保有する配列
の存在について分析した。具体的には、9マーのコアをさらに含むDRスーパー
モチーフ、ならびに3残基のN末端隣接領域およびC末端隣接領域を含む(合計
15アミノ酸)、15マーの配列を選択する。
【0319】 DR分子に結合するペプチドの推定についてのプロトコールが開発されている
(Southwoodら、J.Immunol.160:3363−3373、
1998)。個々のDR分子に特異的なこれらのプロトコールは、9マーのコア
領域のスコア付けおよびランク付けを可能にする。各々のプロトコールは、9マ
ーのコアの内部のDRスーパーモチーフの一次アンカーの存在(すなわち、1位
および6位)について、ペプチド配列をスコア付けするだけではなく、さらに、
二次アンカーの存在についても配列を評価する。対立遺伝子に特異的な選択表(
例えば、Southwoodら、同書を参照のこと)を用いて、これらのプロト
コールが、特定のDR分子を結合する高い確率で、ペプチド配列を効果的に選択
することが見出されている。さらに、これらのプロトコール(具体的には、DR
1、DR4w4およびDR7についてのプロトコール)を連繋して実行すること
により、DRの交差反応性ペプチドを効果的に選択し得ることが見出されている
【0320】 上記で同定された前立腺抗原由来のペプチドを、種々の一般的なHLA−DR
分子に対する結合能について試験する。すべてのペプチドを、最初に、一次パネ
ル:DR1、DR4w4およびDR7において、DR分子への結合について試験
する。次いで、1000nM以下のIC50値でこれらの3つのDR分子のうち
の少なくとも2つを結合するペプチドを、DR50101、DRB1150
1、DRB11101、DRB10802およびDRB11302への結
合について試験した。試験した8つの対立遺伝子のうちの少なくとも5つに、1
000nM以下のIC50値で結合した場合、ペプチドを、交差反応性のDRス
ーパータイプバインダー(binder)とみなした。
【0321】 上記に概説したストラテジーの後、DRスーパーモチーフ保有配列を、前立腺
抗原タンパク質配列内で同定した。一般的に、次いでこれらの配列を、複合(c
ombined)DR1−4−7アルゴリズムにおいて、スコア付けした。この
陽性とスコア付けされたペプチドを合成し、そしてHLA−DRB10101
、DRB10401、DRB10701への結合について試験した。次いで
、3つの対立遺伝子の内少なくとも2つを、二次DRスーパータイプ対立遺伝子
:DRB50101、DRB11501、DRB11101、DRB1 0802およびDRB11302への結合について試験した。
【0322】 (DR3モチーフペプチドの選択) HLA−DR3は、カフカス人集団、黒人集団およびスペイン系人集団におい
て優勢な対立遺伝子であるので、DR3結合能は、HTLエピトープの選択にお
ける重要な基準である。しかし、以前に生成されたデータは、DR3のみが、他
のDR対立遺伝子とめったに交差反応しないことを示した(Sidneyら、J
.Immunol.149:2634−2640、1992;Gelukら、J
.Immunol.152:5742−5748、1994;Southwoo
dら、J.Immunol.160:3363−3373、1998)。これは
、DR3ペプチド結合モチーフが、大半の他のDR対立遺伝子の特異性とは異な
るようである点において、まったく驚くべきことではない。ワクチン候補物の開
発における最大の効率について、DR3モチーフが、DRスーパーモチーフ領域
に近接して密集することが望ましい。従って、候補物であると示されたペプチド
もまた、そのDR3結合能についてアッセイされ得る。しかし、DR3モチーフ
の異なる結合特異性を考慮して、DR3のみに結合するペプチドをまた、ワクチ
ン処方物への包含についての候補物とみなし得る。
【0323】 DR3を結合するペプチドを効果的に同定するために、PSA、PSM、PA
P、およびhK2タンパク質配列を、Gelukら(J.Immunol.15
2:5742−5748、1994)によって報告される2つのDR3特異的結
合モチーフ(表III)のうちの1つを保有する配列について分析した。次いで
、対応するペプチドを合成し、そして1000nMまたはよりよい(すなわち、
1000nM未満の)親和性でDR3を結合する能力について試験する。
【0324】 さらに、DR3結合剤をまた、DRスーパータイプ対立遺伝子への結合につい
て試験する。逆に、DRスーパータイプ交差反応性結合ペプチドをまた、DR3
結合能について試験する。
【0325】 この様式で同定されたDR3結合エピトープをまた、DR3スーパーモチーフ
保有ペプチドエピトープを有するワクチン組成物中に含む。
【0326】 HLAクラスIモチーフ保有ペプチドの場合と同様に、クラスIIモチーフ保
有ペプチドをアナログ化して、親和性または交差反応性を改善する。例えば、9
マーコア配列の位置4でのアスパラギン酸は、DR3結合について最適な残基で
あり、そしてこの残基についての置換は、しばしばDR3結合を改善する。
【0327】 例えば、多くのHLA−DRスーパーモチーフおよびDR−3モチーフ保有前
立腺抗原関連配列を、同定している。各部門における数を、表XXVにまとめる
【0328】 (実施例6.HTLエピトープの免疫原性) 本実施例は、実施例5における方法論を用いて同定されたエピトープ間の、免
疫原性DRスーパーモチーフ保有エピトープおよびDR3モチーフ保有エピトー
プを決定する。
【0329】 HTLエピトープの免疫原性を、HTL応答を刺激する能力の評価および/ま
たは適切なトランスジェニックマウスモデルの使用によって、CTLエピトープ
の免疫原性の決定に類似の様式で評価する。免疫原性を、以下についてのスクリ
ーニングによって決定する:1.)正常なPBMCを用いたインビトロ一次誘導
、または2.)癌患者のPBMC由来のリコール(recall)応答。
【0330】 (実施例7.集団範囲の広さを決定するための、種々の人種背景におけるHL
Aスーパータイプの表現型頻度の計算) 本実施例は、複数のスーパーモチーフおよび/またはモチーフを含む複数のエ
ピトープから構成されるワクチン組成物の集団範囲の広さの評価を例示する。
【0331】 集団範囲を分析するために、HLA対立遺伝子の遺伝子頻度を決定した。各々
のHLA対立遺伝子についての遺伝子頻度を、二項分布式gf=1−(SQRT
(1−af))を利用して、抗原頻度または対立遺伝子頻度から計算した(例え
ば、Sidneyら、Human Immunol.45:79−93、199
6を参照のこと)。全体の表現型頻度を得るために、累積遺伝子頻度を計算し、
そして累積抗原頻度は、逆関数式[af=1−(1−Cgf)]の使用によっ
て導かれた。
【0332】 頻度のデータが、DNA分類のレベルで入手不可能であった場合、血清学的に
規定された抗原頻度の対応を仮定した。合計の潜在的なスーパータイプの集団範
囲を得るために、連鎖不均衡を仮定せず、そして各々のスーパータイプに属する
ことが確認される対立遺伝子のみを含めた(最小限の見積もり)。位置間(in
ter−loci)の組み合わせによって達成される合計の潜在的な範囲の見積
もりを、考慮されるB対立遺伝子によって覆われることが期待され得る、Aで覆
われない集団の割合を、A範囲に付加することによって作製した(例えば、合計
=A+B(1−A))。A3様スーパータイプの確認されたメンバーは、A3
、A11、A31、A3301およびA6801である。A3様スーパータ
イプはまた、A34、A66およびA7401を含み得るが、これらの対立遺
伝子は、合計の頻度計算に含めなかった。同様に、A2様スーパータイプファミ
リーの確認されたメンバーは、A0201、A0202、A0203、A 0204、A0205、A0206、A0207、A6802および
6901である。最終的に、B7様スーパータイプの確認された対立遺伝子
は、以下である:B7、B3501〜03、B51、B5301、B54
01、B5501〜2、B5601、B6701およびB7801(潜
在的には、またB1401、B3504〜06、B4201およびB
602)。
【0333】 A2スーパータイプ、A3スーパータイプおよびB7スーパータイプを結合す
ることによって達成される集団範囲は、5つの主要な人種群において、約86%
である(表XXIを参照のこと)。範囲は、A1モチーフおよびA24モチーフ
を保有するペプチドを含めることによって拡張され得る。平均して、A1は、5
つの異なる主要な人種群(カフカス人、北米黒人、中国人、日本人およびスペイ
ン系人)に渡る集団の12%に存在し、そしてA24は、この5つの異なる主要
な人種群に渡る集団の29%に存在する。合わせて、これらの対立遺伝子を、こ
れらの同じ人種集団において39%の平均頻度で表す。A1およびA24を、A
2スーパータイプ対立遺伝子、A3スーパータイプ対立遺伝子およびB7スーパ
ータイプ対立遺伝子の範囲と組み合わせる場合、主要な民族的背景に渡る合計の
範囲は、95%を超える。類似のアプローチを使用して、クラスIIモチーフ保
有エピトープの組み合わせを用いて達成される集団範囲を概算し得る。
【0334】 (実施例8.プライム後の内因性にプロセスされた抗原の認識) 本実施例は、実施例1〜6に記載されるように同定されかつ選択される、ネイ
ティブのペプチドエピトープまたはアナログ化ペプチドエピトープによって誘導
されるCTLが、トランスジェニックマウスモデルを使用して、内因性に合成さ
れた(すなわち、ネイティブの)抗原を認識することを決定する。
【0335】 ペプチドエピトープ(例えば、Wentworthら、Mol.Immuno
l.32:603、1995に記載されるような)で免疫したトランスジェニッ
クマウスから単離したエフェクター細胞(例えば、HLA−A2スーパーモチー
フ保有エピトープ)を、ペプチドでコーティングした刺激(stimulato
r)細胞を用いて、インビトロで再度刺激する。6日後、エフェクター細胞を、
細胞傷害性についてアッセイし、そしてペプチド特異的細胞傷害性活性を含む細
胞系を、さらに再度刺激する。さらに6日後、これらの細胞系を、ペプチドの非
存在または存在下で、51Crで標識したJurkat−A2.1/K標的細
胞に対する細胞傷害性活性について試験し、そしてまた、内因性に合成された抗
原を保有する51Crで標識した標的細胞(すなわち、前立腺腫瘍細胞またはT
AA発現ベクターを用いて安定にトランスフェクトされる細胞)について試験す
る。
【0336】 結果は、ペプチドエピトープを用いてプライムした動物から得られたCTL系
が、内因性に合成された抗原を認識することを実証する。このような分析につい
て使用されるべきトランスジェニックマウスモデルの選択は、評価されているエ
ピトープに依存する。HLA−A0201/Kトランスジェニックマウスに
加えて、ヒトA11を有するマウスを含むいくつかの他のトランスジェニックマ
ウスモデル(これはまた、A3エピトープを評価するために使用され得る)およ
びB7対立遺伝子を有するマウスを含むいくつかの他のトランスジェニックマウ
スモデルが特徴付けられ、そして他のもの(例えば、HLA−A1およびA24
についてのトランスジェニックマウス)が開発されている。HLA−DR1マウ
スモデルおよびHLA−DR3マウスモデルもまた開発され、これは、HTLエ
ピトープを評価するために使用され得る。
【0337】 (実施例9.トランスジェニックマウスにおけるCTL−HTL結合体化エピ
トープの活性) 本実施例は、腫瘍関連抗原CTL/HTLペプチド結合体の使用によるトラン
スジェニックマウスにおけるCTLおよびHTLの誘導を実証し、それによって
、ワクチン組成物が、癌患者に投与されるべきペプチドを含む。ペプチド組成物
は、複数のCTLエピトープおよび/またはHTLエピトープを含み得、そして
さらに、複数の腫瘍関連抗原から選択されるエピトープを含み得る。このエピト
ープを、実施例1〜6に記載されるような方法論を用いて同定する。この分析は
、ワクチン組成物における1つ以上のHTLエピトープの包含によって達成され
得る免疫原性の増大を実証する。このようなペプチド組成物は、好ましいCTL
エピトープに結合体化したHTLエピトープを含み得、このCTLエピトープは
、例えば、表XXIIIから選択される少なくとも1つのCTLエピトープまた
はこのエピトープの他のアナログを含む。所望であれば、このペプチドは脂質化
(lipidate)され得る。
【0338】 免疫化手順:トランスジェニックマウスの免疫化を、記載されるように行う(
Alexanderら、J.Immunol.159:4753−4761、1
997)。例えば、A2/Kマウス(これは、ヒトHLA A2.1対立遺伝
子についてトランスジェニックであり、そしてHLA−A0201モチーフ保
有エピトープまたはHLA−A2スーパーモチーフ保有エピトープの免疫原性の
評価に有用である)を、完全フロイントアジュバント、またはペプチド組成物が
脂質化CTL/HTL結合体である場合、DMSO/生理食塩水またはペプチド
組成物がポリペプチドである場合、PBSもしくは完全フロイントアジュバント
中の0.1mlのペプチド結合体で、皮下的に(尾の基部)プライムする。プラ
イムの7日後、これらの動物から得られた脾細胞を、ペプチドでコーティングさ
れた、同系の(syngenic)照射されたLPS活性化リンパ芽球で再度刺
激する。
【0339】 ペプチド特異的細胞傷害性アッセイについての標的細胞は、HLA−A2.1
/Kキメラ遺伝子でトランスフェクトされたJurkat細胞である(例えば
、Vitielloら、J.Exp.Med.173:1007、1991)。
【0340】 インビトロCTL活性化:プライムの1週間後、脾臓細胞(30×10細胞
/フラスコ)を、10mlの培養培地/T25フラスコにおいて、同系の照射さ
れた(3000rad)、ペプチドでコーティングされたリンパ芽球(10×1
細胞/フラスコ)とともに、37℃で共存培養する。6日後、エフェクター
細胞を収集し、そして細胞傷害性活性についてアッセイする。
【0341】 細胞傷害性活性についてのアッセイ:標的細胞(1.0〜1.5×10)を
、200μlの51Crの存在下で37℃でインキュベートする。60分後、細
胞を3回洗浄し、そして培地中に再懸濁する。ペプチドを添加し、この場合、1
μg/mlの濃度で必要とされる。アッセイについて、10個の51Crで標
識された標的細胞を、U底の96ウェルプレートに、異なる濃度のエフェクター
細胞(最終容量は200μl)を添加する。37℃で6時間のインキュベーショ
ン後、上清の0.1mlのアリコートを、各々のウェルから除去し、そして放射
能を、Micromedic自動ガンマカウンターにおいて決定する。パーセン
ト特異的溶解を、以下の式によって決定する:パーセント特異的放出=100×
(実験的放出−自発的放出)/(最大放出−自発的放出)。同じ条件下で行われ
る別々のCTLアッセイ間の比較を容易にするために、%51Cr放出データを
、溶解単位/10細胞として表す。1溶解単位を、6時間の51Cr放出アッ
セイにおいて、10,000個の標的細胞の30%の溶解を達成するために必要
とされるエフェクター細胞の数として任意に規定する。特定の溶解単位/10 を得るために、ペプチドの非存在下において得られる溶解単位/10を、ペプ
チドの存在下において得られる溶解単位/10から差し引く。例えば、30%
51Cr放出が、ペプチドの非存在下で、50:1のエフェクター(E):標
的(T)比(すなわち、10,000個の標的に対して5×10個のエフェク
ター細胞)で得られ、そしてペプチドの存在下で、5:1の比(すなわち、10
,000個の標的に対して5×10個のエフェクター細胞)で得られる場合、
この特定の溶解単位は、以下である:[(1/50,000)−(1/500,
000)]×10=18LU。
【0342】 結果を分析して、免疫原性のCTL/HTL結合体ワクチン調製物を用いて注
射された動物のCTL応答の大きさを評価する。応答の程度および頻度をまた、
CTLエピトープ自体を使用して達成されるCTL応答と比較し得る。これに類
似の分析を行って、複数のCTLエピトープおよび/または複数のHTLエピト
ープを含むペプチド結合体の免疫原性を評価し得る。これらの手順に従って、C
TL応答が誘導され、そして付随して、HTL応答が、このような組成物の投与
の際に誘導されることが見出される。
【0343】 (実施例10:癌ワクチンに含有させるためのCTLエピトープおよびHTL
エピトープの選択) 本実施例は、本発明ワクチン組成物のためのペプチドエピトープを選択する手
順を説明する。本組成物中のペプチドは、ペプチドをコードする単独または一つ
以上の配列(つまり、ミニジーン)のいずれかの核酸配列という形態であっても
よいし、単独および/またはポリエピトープ性のペプチドであってもよい。
【0344】 ワクチン組成物中に含有させるためのエピトープのアレイを選択する際、次の
原理を利用する。選択を行うために、次のそれぞれの原理を比較考慮する。
【0345】 投与の際に、腫瘍排除と相関することが認められた免疫応答を模倣するエピト
ープを選択する。例えば、ワクチンには、少なくとも1つの前立腺癌関連抗原由
来の3〜4個のエピトープが含まれ得る。例えば、実施例15にて記述するよう
な、頻繁に発現されるTAAの発現パターンが変化する腫瘍を標的とするワクチ
ンを調製するために、1つの前立腺癌関連抗原由来のエピトープを、一つ以上の
さらなるTAA由来のエピトープと組み合わせて使用し得る。
【0346】 好ましくは、HLAクラスI分子に対する結合アフィニティー(IC50)が
500nM以下、多くの場合、200nM以下、またはクラスII分子に対する
結合アフィニティーが1000nM以下であるエピトープを選択する。
【0347】 幅広い集団の適用範囲を与えるように、十分なスーパーモチーフを持つペプチ
ド、または十分な、対立遺伝子特異的モチーフを持つペプチドの十分なアレイを
選択する。例えば、最低80%の集団の適用範囲を提供するように、エピトープ
を選択する。集団の適用範囲の広さまたは重複性を評価するために、当該分野で
既知の統計的評価であるモンテカルロ分析を使用し得る。
【0348】 癌関連抗原からエピトープを選択する際、患者はネイティブのエピトープに対
して耐性を持つようになるので、多くの場合、アナログを選択することが好まし
い。
【0349】 例えばミニジーンなどのポリエピトープ性組成物を調製する際、スペーサーま
たは他の隣接配列もまた組み込まれ得るが、目的のエピトープを含有することが
可能な最小のペプチドを調製することが典型的には望ましい。用いる原理は、多
くの場合、入れ子構造になった(nested)エピトープを含むペプチドを選
択する際に用いる原理と同様である。しかしながら、さらに、ミニジーンとして
提供される核酸配列を決定する際に、結合エピトープが生じているか否かを調べ
るために、その核酸配列がコードするペプチド配列を解析する。例えばモチーフ
解析により予想されるように、結合エピトープは、潜在的なHLA結合エピトー
プである。レシピエントがHLA分子に結合し、ネイティブのタンパク質配列に
は存在しないそのエピトープに対して免疫応答を生じ得るので、結合エピトープ
は一般的に避けられるべきである。
【0350】 投与する場合、選択したペプチドを含むワクチン組成物は、安全であり、効果
があり、そして免疫応答を誘導し、その結果、腫瘍細胞殺傷および腫瘍サイズま
たは質量の減少を生じる。
【0351】 (実施例11:ミニジーンマルチエピトープDNAプラスミドの構築) 本実施例は、ミニジーン発現プラスミド構築に対する一般的な説明を提供する
。構築物の例および発現プラスミドの評価は、例えば1999年5月13日に提
出された同時係属中のU.S.S.N.09/311,784において記述され
ている。
【0352】 ミニジーン発現プラスミドには、複数のCTLおよびHTLペプチドエピトー
プが含まれ得る。本実施例において、HLA−A2、HLA−A3、HLA−B
7スーパーモチーフを持つペプチドエピトープおよび、HLA−A1およびHL
A−A24モチーフを持つペプチドエピトープを、DRスーパーモチーフを持つ
エピトープおよび/またはDR3エピトープとともに使用する。幅広い集団の適
用範囲を確実にするために複数のスーパーモチーフ/モチーフが示されるように
、複数の前立腺癌関連抗原由来のHLAクラスIスーパーモチーフまたはモチー
フ保有ペプチドエピトープを、選択する。同様に、幅広い集団の適用範囲を提供
するように複数の前立腺癌関連抗原からHLAクラスIIエピトープを選択する
、つまり、HLA DR−1−4−7スーパーモチーフを持つエピトープおよび
HLA DR−3モチーフを持つエピトープの両方をミニジーン構築物に含める
ために選択する。次に、選択したCTLおよびHTLエピトープを、発現ベクタ
ーで発現するようにミニジーンに組み込む。
【0353】 この実施例は、そのようなミニジーンを持つ発現プラスミドの構築に使用する
方法を説明する。ミニジーン組成物に使用し得る他の発現ベクターが利用可能で
あり、当業者により既知である。
【0354】 ミニジーンDNAプラスミドには、コンセンサスコザック配列およびコンセン
サスマウスカッパIg−軽鎖シグナル配列が含まれる。このコンセンサスマウス
カッパIg−軽鎖シグナル配列の後に、本明細書中で開示した原理に従い選択し
たCTLおよび/またはHTLエピトープが続く。本配列は、pcDNA3.1
Myc−HisベクターによりコードされたMycおよびHis抗体エピトープ
タグと融合したオープンリーディングフレームをコードする。
【0355】 重複するオリゴヌクレオチド(例えば、長さが平均しておよそ70ヌクレオチ
ドで、15個のヌクレオチド重複を持つ)を合成し、HPLC精製する。オリゴ
ヌクレオチドは、適切なリンカーヌクレオチドであるコザック配列およびシグナ
ル配列、ならびに選択したペプチドエピトープをコードする。PCRを用いた3
セットの反応で重複オリゴヌクレオチドを伸長させて、最終的なマルチエピトー
プミニジーンを組み立てる。Perkin/Elmer 9600 PCR装置
を使用し、次の条件を用いて全部で30サイクル行う。その条件とは、95℃で
15秒、アニーリング温度(それぞれのプライマーペアの計算上の最低Tm値よ
りも5℃低い温度)で30秒、および72℃で1分である。
【0356】 例えば、ミニジーンを以下のように調製し得る。第一のPCR反応に対して、
5μgの二つのそれぞれのオリゴヌクレオチドをアニーリングさせ、伸長させる
:8つのオリゴヌクレオチドを使用する例(すなわち、4つのプライマー対)に
おいて、オリゴヌクレオチド1+2、3+4、5+6および7+8を、Pfuポ
リメラーゼ緩衝液(1×=10mM KCl、10mM(NHSO、2
0mM Tris−塩酸、pH8.75、2mM MgSO、0.1% Tr
itonX−100,100μg/ml BSA)、0.25mMの各dNTP
、および2.5UのPfuポリメラーゼを含む100μlの反応系に添加する。
全長のダイマー産物をゲルにより精製し、1+2および3+4の産物、ならびに
5+6および7+8の産物を含む2つの反応物を混合し、アニーリング、伸長反
応を10サイクル行う。次に二つの反応系の半分を混合し、5サイクルのアニー
リングおよび伸長を行った後、隣接プライマーを添加して、25サイクルの反応
を行って全長産物を増幅させる。全長産物をゲルにより精製し、pCR−blu
nt(Invitrogen)にクローニングし、個々のクローンを配列決定に
よりスクリーニングする。
【0357】 (実施例12:プラスミド構築物およびそれが免疫原性を誘導する程度) プラスミド構築物(例えば、実施例11に従って構築したプラスミド)が免疫
原性を誘導し得る程度を、エピトープ発現核酸構築物を用いたAPCの形質導入
またはトランスフェクションに続くAPCによるエピトープ提示について試験す
ることでインビトロで評価し得る。そのような試験により、「抗原性」が決定さ
れ、ヒトAPCの使用が可能になる。細胞表面上のエピトープ−HLAクラスI
複合体密度を定量することにより、T細胞により認識される状況において、エピ
トープのAPCにより提示される能力がそのアッセイから決定される。直接、A
PCから溶出したペプチド量を測定することにより(例えば、Sijtsら、J
.Immunol.156:683−692,1996;Demotzら、Na
ture342:682−684,1989を参照すること)定量を行い得る;
または、感染した標的細胞またはトランスフェクトした細胞により誘導される溶
解またはリンホカイン放出量を測定し、次いで同等レベルの溶解またはリンホカ
イン放出を得るために必要なペプチド濃度を決定することによりペプチド−HL
AクラスI複合体数を推定し得る(例えば、Kageyamaら、J.Immu
nol.154:567−576、1995を参照すること)。
【0358】 あるいは、免疫原性を、マウスへのインビボ注射およびそれに続くインビトロ
でのCTLおよびHTL活性の評価により評価し得る。CTLおよびHTL活性
を、例えば、1999年5月13日に提出されたU.S.S.N 09/311
,784、およびAlexanderら、Immunity 1:751−76
1、1994にて詳述されているような、細胞傷害性および増殖アッセイをそれ
ぞれ用いて解析する。
【0359】 例えば、インビボにてCTLを誘導するために少なくとも1つのHLA−A2
スーパーモチーフペプチドを含むDNAミニジーン構築物(例えば、U.S.S
.N.09/311,784にて記述されているように調製したpMinミニジ
ーン構築物)の能力を評価するために、例えば、HLA−A11/Kトランス
ジェニックマウスに、100μgの裸のcDNAを筋肉内免疫する。cDNAの
免疫によって誘導されるCTLレベルを比較する方法として、複数のエピトープ
がミニジーンによりコードされている場合、単一のポリペプチドとして合成した
複数のエピトープを含む実際のペプチド組成物を用いて、コントロール群の動物
もまた免疫する。
【0360】 免疫した動物由来の脾臓細胞を、それぞれの別個の組成物(ミニジーンでコー
ドされているペプチドエピトープ、またはポリエピトープ性ペプチド)で二回刺
激し、51Cr放出アッセイにおいてペプチド特異的細胞傷害性活性についてア
ッセイする。その結果から、A2拘束性エピトープに対して向けられるCTL応
答の程度、従って、ミニジーンワクチンおよびポリエピトープ性ワクチンのイン
ビボでの免疫原性が示される。従って、ポリエピトープ性ペプチドワクチンが免
疫応答を惹起するように、ミニジーンが、HLA−A2スーパーモチーフペプチ
ドエピトープに対して向けられた免疫応答を惹起するということが明らかになる
。HLA−A3およびHLA−B7モチーフ、またはスーパーモチーフエピトー
プによるCTL誘導を評価するために、他のHLA−A3およびHLA−B7ト
ランスジェニックマウスモデルを使用して同様の解析をまた行う。
【0361】 クラスIIエピトープをコードするミニジーンがインビボでHTL、DRトラ
ンスジェニックマウス、または適切なマウスMHC分子を用いて交差反応するエ
ピトープを誘導する能力を評価するために、例えば、I−Ab拘束性マウスに、
筋肉内に100μgのプラスミドDNAを免疫する。DNA免疫により誘導され
るHTLレベルを比較する方法として、コントロール群の動物もまた、完全フロ
イントアジュバントで乳化した実際のペプチド組成物を用いて免疫する。CD4
+T細胞、つまりHTLを、免疫した動物の脾臓細胞から精製しそれぞれの別個
の組成物(ミニジーンでコードされているペプチド)で刺激する。H−チミジ
ン取り込み増殖解析(例えば、Alexanderら、Immunity 1:
751−761,1994を参照すること)を用いてHTL応答を測定する。そ
の結果から、HTL応答の大きさ、従って、インビボでのミニジーンの免疫原性
が示される。
【0362】 実施例11にて記述するように構築したDNAミニジーンをまた、プライムブ
ーストプロトコールを用いてブースト剤(boosting agent)と組
み合わせたワクチンとして評価し得る。ブースト剤は、組換えタンパク質(例え
ば、Barnettら、Aids Res.and Human Retrov
iruses 14、補遺3:S299−S309,1998)または、組換え
ワクシニア(例えば、ミニジーンまたは目的の完全なタンパク質をコードするD
NAを発現する)からなり得る(例えば、Hankeら、Vaccine 16
:439−445,1998;Sedegahら、Proc.Natl.Aca
d.Sci USA 95:7648−53、1998;Hankeおよび M
cMichael,Immunol.Letters 66:177−181,
1999;およびRobinsonら、Nature Med.5:526−3
4,1999を参照すること)。
【0363】 例えば、プライムブーストプロトコールにおいて使用するDNAミニジーンの
有効性を、トランスジェニックマウスにおいて評価し得る。この実施例において
、A2.1/Kトランスジェニックマウスに対して、少なくとも1つのHLA
−A2スーパーモチーフ保有ペプチドを含む免疫原性ペプチドをコードする10
0μgのDNAミニジーンを用いて筋肉内注射により免疫する。インキュベーシ
ョン期間(3−9週間の範囲)後、DNAミニジーンにコードされている同じ配
列を発現している組換えワクシニアウイルス10pfu/マウスを用いて、マ
ウスに追加免疫を行う。コントロールマウスに、ミニジーン配列無しで、または
ミニジーンをコードするDNAとともに、100μgのDNAまたは組換えワク
シニアで免疫するが、ワクシニア追加免疫は行わない。さらなる2週間のインキ
ュベーション期間後、マウスから採取した脾臓細胞を、直ちにELISPOTア
ッセイによってペプチド特異的活性についてアッセイする。さらに、ミニジーン
中にコードされているA2拘束性ペプチドエピトープおよび組換えワクシニアで
脾臓細胞をインビボで刺激し、次いで、IFN−γELISAにおいてペプチド
特異的活性をアッセイする。
【0364】 プライムブーストプロトコールで利用したミニジーンが、HLA−A2スーパ
ーモチーフペプチドに対して、DNA単独の場合よりも大きな免疫応答を惹起す
るということがわかる。HLA−A3およびHLA−B7モチーフまたはスーパ
ーモチーフエピトープによるCTL誘導を評価するために、他のHLA−A11
およびHLA−B7トランスジェニックマウスモデルを用いてそのような解析も
また行い得る。
【0365】 ヒトにおけるプライムブーストプロトコールの使用を、実施例20に記載する
【0366】 (実施例13:予防的使用のためのペプチド組成物) 腫瘍を発症する高い危険性のある人において、癌を予防するために、本発明ワ
クチン組成物を使用する。例えば、集団の80%以上を標的とするようにも選択
した実施例9および/または10で選択したような複数のCTLおよびHTLエ
ピトープを含むポリエピトープ性ペプチドエピトープ組成物(または同じものを
含む核酸)を、前立腺癌の高い危険性を持つ個体に投与する。本組成物を、複数
のエピトープを含む単一ポリペプチドとして与える。フロイント不完全アジュバ
ントを含む水性担体とともに本ワクチンを投与する。初回免疫のペプチド用量は
、体重70kgの患者に対しておよそ1からおよそ50,000μg、一般的に
は100−5,000μgである。ワクチンの初回投与後、4週間目に追加免疫
投与を行い、その後、PBMC試料中のエピトープ特異的CTL集団の存在を測
定する技術により、患者の免疫応答の大きさを評価する。必要に応じてさらなる
追加免疫用量を投与する。本組成物は、安全であること、および癌に対する予防
剤として有効であるということのいずれもが認められる。
【0367】 あるいは、当該分野で公知であり本明細書中で開示している方法論に従って核
酸としてポリエピトープ性ペプチド組成物を投与し得る。
【0368】 (実施例14:ネイティブTAA配列由来のポリエピトープ性ワクチン組成物
) 複数のエピトープを含み、好ましくは、完全なネイティブ抗原より長さが短い
、「比較的短い」ポリタンパク質領域を同定するために、好ましくは、それぞれ
のクラスIおよび/またはクラスIIスーパーモチーフもしくはモチーフに関し
て定義されたコンピューターアルゴリズムを用いて、ネイティブTAAポリタン
パク質配列をスクリーニングする。複数の別個のものでさらに重複しているエピ
トープを含むこの比較的短い配列を選択し、ミニジーン構築物を調製するために
使用する。ネイティブタンパク質配列に相当するペプチドを発現するように構築
物を構築する。「比較的短い」ペプチドは、一般的に長さが100、500、ま
たは250アミノ酸未満、多くの場合、長さが100アミノ酸未満、好ましくは
75アミノ酸未満、より好ましくは50アミノ酸未満である。ワクチン組成物の
タンパク質配列は、そのタンパク質配列に含まれるエピトープが最大数である、
つまり、エピトープが高濃度に存在するので、そのタンパク質配列が選択される
。本明細書中で述べているように、エピトープモチーフを入れ子構造にしてもい
よいし、重複させてもよい(つまり、互いに対してフレームシフトが起こってい
る)。例えば、フレームシフトが起こっている重複エピトープがある場合、二つ
の9マーのエピトープおよび一つの10マーのエピトープが、10アミノ酸ペプ
チド中に存在し得る。治療または予防を目的として、そのようなワクチン組成物
を投与する。
【0369】 ワクチン組成物には、好ましくは、例えば、複数の前立腺癌関連抗原由来の3
つのCTLエピトープおよび少なくとも一つのHTLエピトープが含まれる。こ
のポリエピトープ性ネイティブ配列を、ペプチドとして、またはそのペプチドを
コードする核酸配列としてのいずれかで投与する。あるいは、このネイティブ配
列から、アナログを作製し、それにより一つ以上のエピトープがそのポリエピト
ープ性ペプチドの交差反応性および/または結合アフィニティー特性を変化させ
る置換を含む。
【0370】 この実施例の実施形態により、今までのところ発見されていない免疫系プロセ
シングの局面がネイティブ入れ子構造配列に対して適用され、それによって治療
または予防を目的とした免疫応答誘導ワクチン組成物の調製を促進する可能性が
与えられる。さらに、そのような実施形態は、現在のところ未知のHLA構造に
対する、モチーフを持つエピトープの可能性を提供する。さらに、この実施形態
(アナログがない)は、実際にネイティブTAAに存在し、従っていかなる結合
エピトープを評価する必要も回避する、複数のペプチド配列に対する免疫応答を
指向する。最後に、本実施形態は、核酸ワクチン組成物を調製する場合、規模の
経済性を提供する。
【0371】 この実施形態に関連して、当該分野における、標的配列において配列長あたり
のエピトープの最大数を同定する原理に従い、コンピュータープログラムを導出
し得る。
【0372】 (実施例15:複数の腫瘍関連抗原由来のエピトープを含むポリエピトープ性
のワクチン組成物) 本発明の前立腺癌関連抗原ペプチドエピトープを、互いにまたは他の標的腫瘍
関連抗原由来のペプチドエピトープと組み合わせて使用し、複数の患者由来の前
立腺腫瘍の処置に有用なワクチン組成物を作製する。さらに、複数の腫瘍抗原由
来のエピトープを含むワクチン組成物はまた、個体の腫瘍抗原の発現の損失に起
因する逸脱変異に対する潜在能力を減少する。
【0373】 様々なTAA由来の複数のエピトープを組み入れた単一ポリペプチドとして本
組成物を提供し得るか、または一つ以上の別個のエピトープを含む組成物として
本組成物を投与し得る。あるいは、ミニジーン構築物として、またはインビボで
ペプチドエピトープで負荷をかけた樹状細胞として本ワクチンを投与し得る。
【0374】 (実施例16:免疫応答を評価するためのペプチドの使用) 前立腺癌関連抗原に向けられた特異的なCTLまたはHTL集団の存在に対す
る免疫応答を解析するために本発明ペプチドを使用し得る。例えば、Oggら、
Science 279:2103−2106,1998およびGretenら
、Proc.Natl.Acad.Sci USA 95:7568−7573
,1998によって記述されているような多量体複合体を用いてそのような解析
を行い得る。次の例において、免疫原としてではなく、診断目的または予測目的
の試薬として本発明に従ったペプチドを使用する。
【0375】 この例において、例えば、異なる疾患段階またはその後のA*0201モチー
フを含むTAAペプチドを用いた免疫後の腫瘍関連抗原HLA−A*0201陽
性患者からのHLA−A*0201特異的CTL頻度の断面的分析について、高
感度のヒト白血球抗原テトラマー複合体(「テトラマー」)を使用する。記述さ
れているように(Murseyら、N.Engl.J.Med.337:126
7,1997)、テトラマー複合体を合成する。簡潔に述べると、原核生物発現
システムにより、精製したHLA重鎖(この実施例でのA*0201)およびβ
2−ミクログロブリンを合成する。膜貫通−細胞質テールの欠失およびCOOH
−末端へのBirA酵素のビオチン化部位を含む配列付加により重鎖を改変する
。重鎖、β2−ミクログロブリン、およびペプチドを希釈により再折りたたみす
る。45−kDの再折りたたみ産物を、高速タンパク質液体クロマトグラフィー
で単離し、次に、ビオチン(Sigma,St.Louis,Missouri
)、アデノシン5’三リン酸およびマグネシウム存在下でBirAによりビオチ
ン化を行う。ストレプトアビジン−フィコエリトリン結合体をモル比1:4で添
加し、テトラマー産物を1mg/mlになるように濃縮する。得られた産物をテ
トラマー−フィコエリトリンと呼ぶ。
【0376】 患者血液試料の分析に対して、およそ百万のPBMCを、300gで5分間遠
心分離し、50μlの冷リン酸緩衝化生理食塩水に再懸濁する。抗−CD8−T
ricolor、および抗−CD38とともに、テトラマー−フィコエリトリン
を用いてTri−color分析を行う。PBMCを、テトラマーおよび抗体と
ともに、氷上で30分から60分インキュベーションし、ホルムアルデヒドで固
定する前に二回洗浄する。ゲートに99.98%を超えるコントロール試料を含
むようにアプライする。テトラマーのコントロールは、A*0201−陰性の個
体およびA*0201−陽性の非感染ドナー両方を含む。次に、テトラマーによ
り染色された細胞のパーセンテージをフローサイトメトリーにより測定する。そ
の結果から、エピトープ拘束性CTLを含むPBMC試料における細胞数が示さ
れ、それにより、TAAエピトープに対する免疫応答の程度、従って腫瘍の進行
段階、または防御的または治療的応答を惹起するワクチンへの曝露が容易に示さ
れる。
【0377】 (実施例17:再帰性応答を評価するためのペプチドエピトープの使用) 本発明ペプチドエピトープを、患者の急性または再帰性の応答などのT細胞応
答を評価するための試薬として使用する。寛解状態にある患者、腫瘍がある患者
、または前立腺癌関連抗原ワクチンでワクチン接種されている患者に対してその
ような解析を行い得る。
【0378】 例えば、ワクチン接種されている人のクラスI拘束性CTL応答を解析し得る
。ワクチンは、任意のTAAワクチンであり得る。PBMCをワクチン接種され
た個体から回収し、HLA型を検出する。次に、複数のHLAスーパータイプフ
ァミリーメンバーとの交差反応性を与えるスーパーモチーフを随意で持つ本発明
の適切なペプチドエピトープを、そのHLA型を持つ個体由来の試料の解析に使
用する。
【0379】 ワクチン接種を行った個体由来のPBMCを、Ficoll−Histopa
que密度勾配(Sigma Chemical Co.,St.Louis,
MO)で分離し、HBSS(GIBCO Laboratories)で3回洗
浄し、10%熱非働化ヒトAB血清を含む、L−グルタミン(2mM)、ペニシ
リン(50U/ml)、ストレプトマイシン(50μg/ml)およびHepe
s(10mM)を添加したRPMI−1640(GIBCO Laborato
ries)(完全RPMI)で再懸濁し、マイクロ培養形式でプレートする。本
発明エピトープを含む合成ペプチドを、10μg/mlになるようにそれぞれの
ウェルに添加し、刺激の第一週目の間の補助的なT細胞源としてHBVコア12
8−140エピトープを1μg/mlになるように各ウェルに添加する。
【0380】 マイクロ培養形式において、100μl/ウェルの完全RPMIを添加した9
6ウェル丸底プレート中の8個の同型培養において4X105PBMCをペプチ
ドで刺激する。3日目と10日目に、それぞれのウェルに100 lの完全RP
MIおよび最終濃度20U/mlのrIL−2を添加する。7日目に、培養物を
96ウェル平底プレートへ移し、ペプチド、rIL−2および放射線照射(3,
000rad)した10個の自系支持細胞で再び刺激する。その培養物を、1
4日目に細胞傷害性活性に関して試験を行う。以前に記述されているように(R
ehermannら、Nature Med.2:1104−1108,199
6;Rehermannら、J.Clin.Invest.97:1655−1
665,1996;およびRehermannら、J.Clin.Invest
.98:1432−1440,1996)、非感染コントロール被験者との比較
に基づいて、陽性CTL応答として、8個の同型培養物のうちの2以上において
10%を越える特異的51Cr放出を示すことが必要である。
【0381】 標的細胞株は、American Society for Histoco
mpatibility and Immunogenetics(ASHI,
Boston、MA)から購入するか、または記述されているように(Guil
hotら、J.Viol.66:2670−2678,1992)、患者のプー
ルから確立するか、いずれかの自系および同種異系EBV形質転換B−LCLで
ある。
【0382】 次の様式で細胞傷害性アッセイを行う。標的細胞は、10μMの本発明合成ペ
プチドエピトープと共に一晩インキュベーションを行い、100μCiの51
r(Amersham Corp.,Arlington Heights,I
L)で1時間標識し、その後HBSSで4回洗浄を行った同種異系HLA適合ま
たは自系EBV形質転換Bリンパ芽球細胞株のどちらかからなる。
【0383】 3,000標的細胞/ウェルが入っているU底96ウェルプレートを用いて標
準的な4時間のスプリット−ウェル(split−well)51Cr放出アッ
セイで細胞溶解活性を調べる。14日目に、20〜50:1のエフェクター/標
的(E/T)比で、刺激したPBMCを試験する。式:100X[(実験による
放出−自発的放出)/最大放出−自発的放出)]からパーセント細胞傷害性を算
出する。界面活性剤(2% TritonX−100;Sigma Chemi
cal Co.,St.Louis,MO)を用いた標的細胞溶解により最大放
出を調べる。自発的放出は、全ての実験について、最大放出の25%未満である
【0384】 そのような解析の結果から、HLA−拘束性CTL集団がTAAまたはTAA
ワクチンに対する以前の曝露により刺激されている程度が示される。
【0385】 クラスII拘束性HTL応答もまた解析し得る。精製したPBMCを、96ウ
ェル平底プレートで、1.5×10細胞/ウェルの密度で培養し、10μg/
mlの合成ペプチド、完全抗原、またはPHAで刺激する。細胞を通常通り、そ
れぞれの条件に対して4−6ウェルの同型培養としてプレートする。培養7日後
、培養液を除去し、10U/mlのIL−2を含む新鮮な培養液に交換する。2
日後、1μCiのH−チミジンをそれぞれのウェルに添加し、さらに18時間
インキュベーションを続ける。次に細胞内のDNAをグラスファイバーマット上
に取り出し、H−チミジン取り込みについて解析する。抗原非存在下での
−チミジン取り込み量で割った抗原存在下でのH−チミジン取り込み量の比と
して抗原特異的T細胞増殖を計算する。
【0386】 (実施例18:ヒトでの特異的CTL応答の誘導) 本発明CTLおよびHTLエピトープを含む免疫原性組成物に対するヒトの治
験をINDフェーズI、投与量漸増試験として開始する。そのような治験を、例
えば次のように設計する。
【0387】 全体でおよそ27人の男性被験者を登録し、3つの群に分ける: 第一群:3人の被験者にプラセボを注射し、6人の被験者に5μgのペプチド
組成物を注射する。
【0388】 第二群:3人の被験者にプラセボを注射し、6人の被験者に50μgのペプチ
ド組成物を注射する。
【0389】 第三群:3人の被験者にプラセボを注射し、6人の被験者に500μgのペプ
チド組成物を注射する。
【0390】 最初の注射から4週間後に、全ての被験者に対して同じ投与量で追加免疫接種
を行う。同じスケジュールで更なる追加免疫接種を行い得る。
【0391】 この試験で測定する項目は、ペプチド組成物の免疫原性と同時にその安全性お
よび認容性に関連する。本ペプチド組成物に対する細胞性免疫応答は、ペプチド
組成物の本質的な活性の指標であり、従って、生物学的有効性の目安として見な
され得る。次に、安全性および有効性の項目に関連する臨床および実験データを
要約する。
【0392】 安全性:プラセボおよび薬物処置群で有害事象の発生率を監視し、程度およ
び可逆性に関して評価する。
【0393】 ワクチン有効性の評価:ワクチンの有効性を評価するために、被験者から注
射の前後に採血する。Ficoll−Hypaque密度勾配遠心分離により末
梢血単核細胞を新鮮なヘパリン処理血液から単離し、凍結保存用培地中にアリコ
ートに分け、冷凍保存する。試料をCTLおよびHTL活性に関して分析する。
【0394】 本ワクチンが安全であり有効であることが認められる。
【0395】 (実施例19:癌患者における治療的使用) 前立腺癌患者におけるCTL−HTLペプチド組成物の有効性を確認するため
に、ワクチン組成物の評価を行う。本治験の主要な目的は、癌患者においてCT
Lを誘導するために有効な用量およびレジメンを決定すること、これらの患者に
おけるCTLおよびHTL応答誘導の安全性を確立すること、およびどの程度の
CTL活性化が、腫瘍細胞数の減少により明らかとなるように、癌患者の臨床状
態を向上させるのかを調べることである。例えば次のように、そのような治験を
設計する。
【0396】 複数の施設で本試験を行う。本治験設計は、単回用量としてペプチド組成物を
投与し、6週間後に同じ用量で単回追加免疫を行う、非盲検の非対照用量漸増プ
ロトコール(open−label,uncontrolled,dose e
scalation protocol)である。投与量は、一回の注射あたり
50、500および5000マイクログラムである。薬物関連副作用(重症度お
よび可逆性)を記録する。
【0397】 患者を3群に分ける。第一群に、50μgのペプチド組成物を注射し、第二群
、第三群に、それぞれ、500および5000μgのペプチド組成物を注射する
。それぞれの群の患者は、男性であり、典型的に50歳より上であり、そして人
種背景を示す。
【0398】 (実施例20:プライムブーストプロトコールを用いたCTL応答の誘導) その基礎をなす原理において、実施例12で記述したようなトランスジェニッ
クマウスでのDNAワクチン有効性を評価するために使用するプロトコールと同
様のプライムブーストプロトコールを、ヒトへのワクチン投与に対しても使用し
得る。このようなワクチンレジメンには、例えば裸のDNAを用いた初回投与と
、それに続く本ワクチンをコードする組換えウイルス、またはアジュバント中で
投与される組換えタンパク質/ポリペプチドもしくはペプチド混合物を用いた追
加免疫が含まれ得る。
【0399】 例えば、裸の核酸を複数部位に0.5〜5mgの量をIM(またはSCもしく
はID)投与する形態で、実施例11に従って構築されるような発現ベクターを
用いて初回免疫を行い得る。その核酸(0.1から1000μg)はまた、遺伝
子銃(gene gun)を用いて投与することも可能である。3−4週間のイ
ンキュベーション期間後、追加免疫投与を行う。追加免疫は、組換え鶏痘ウイル
スを5×10から5×10pfuの用量で投与するものであり得る。MVA
、カナリア痘ウイルス、アデノウイルス、またはアデノ随伴ウイルスなどの、他
の組換えウイルスもまた、追加免疫に使用してもよいし、ポリエピトープ性のタ
ンパク質またはペプチド混合物を投与してもよい。ワクチンの有効性を評価する
ために、患者血液試料を、免疫前ならびに初回ワクチン投与後および追加免疫用
量のワクチン投与後に一定間隔で採取する。新鮮なヘパリン処理血液から、Fi
coll−Hypaque密度勾配遠心分離により末梢血単核細胞を単離し、凍
結保存用培地中にアリコートに分け、凍結保存する。試料をCTLおよびHTL
活性に関してアッセイする。
【0400】 その結果の解析から、癌に対する防御免疫を達成するに十分な応答の大きさが
生じることが示される。
【0401】 (実施例21:樹状細胞を用いたワクチン組成物の投与) 抗原提示細胞(APC)または樹状細胞(DC)などの「専門の(profe
ssional)」APCを用いて本発明のペプチドエピトープを含むワクチン
を投与し得る。この実施例において、インビボでのCTL応答を刺激するために
ペプチドでパルスしたDCを患者に投与する。この方法において、樹状細胞を単
離し、増大させ、本発明のペプチドCTLおよびHTLエピトープを含むワクチ
ンでパルスする。インビボでCTLおよびHTL応答を誘発するように、樹状細
胞を、患者に注入して戻す。そして、誘導したCTLおよびHTLは、ワクチン
中のエピトープが由来するタンパク質を持つ特異的標的腫瘍細胞を破壊(CTL
)、または破壊を促進(HTL)する。
【0402】 例えば、エピトープを持つペプチドのカクテルを、エキソビボで患者血液由来
のPBMCに投与するか、または患者から単離したDCに投与する。DCの回収
を促進する薬剤、例えばProgenipoietinTM(Monsanto
,St.Louis,MO)またはGM−CSF/IL−4のような薬剤を使用
し得る。DCをペプチドでパルスした後、および患者に再注入する前に、非結合
ペプチドを除去するためにDCを洗浄する。
【0403】 臨床的に認識されるように、および臨床成果を基礎にした技術の一つにより容
易に決定されるように、患者に再注入する樹状細胞数は様々であり得る(例えば
、Nature Med.4:328,1998;Nature Med.2:
52,1996およびProstate 32:272,1997を参照するこ
と)。典型的には、患者一人当たり2〜50×10の樹状細胞を投与するが、
10または10のようなさらに多くの樹状細胞をも与えられ得る。そのよう
な細胞集団は、典型的に、50〜90%の樹状細胞を含む。
【0404】 いくつかの実施形態において、ペプチドを負荷したPBMCを、DCを精製せ
ずに患者に注入する。例えば、ProgenipoetinTMのような薬剤で
処理した後に生じたDCを含むPBMCを、DCを精製せずに患者に注射する。
投与するPBMCの総数は、多くの場合、10から1010の範囲である。一
般的に、患者に注射する細胞用量は、例えば特異的抗DC抗体を用いた免疫蛍光
解析により測定されるような、それぞれの患者の血液中のDCのパーセンテージ
に基づく。従って、例えば、ProgenipoietinTMによって所定の
患者の末梢血液中で2%のDCが動員され、その患者が5X106個の細胞を受
容する場合、その患者はペプチドを負荷した2.5×10個のPBMCを注射
される。ProgenipoietinTMなどの薬剤により動員されたDCの
パーセントは、典型的に、2−10%の間と見積もられるが、当業者によって認
識されるように様々であり得る。
【0405】 免疫応答を刺激するDCの能力をインビトロおよびインビボの両方で免疫機能
アッセイを評価した。これらのアッセイは、CTLハイブリドーマおよびCTL
細胞株の刺激、ならびにCTLのインビボ活性化を含む。
【0406】 (DC精製) ProgenipoietinTMで固定化された細胞を、Progenip
oietinTMで処置されたC57B1/6マウスの末梢血(PB)および脾
臓から精製し、抗原を提示し、そして細胞性免疫応答を導き出す能力を評価した
。簡単には、DCを総WBCおよび脾臓から陽性選択ストラテジー(CD11c
特異的抗体でコーティングされた磁気性ビーズ(Miltenyi Biote
c、Auburn CA)を使用する)を使用して精製した。比較として、エキ
ソビボで拡張されたDCを、GM−CSFおよびIL−4の標準的カクテル(R
&D Systems,Minneapolis,MN)を用いて未処置のC5
7B1/6マウス由来の骨髄細胞を7〜8日の期間、培養することによって生成
した(Mayordomoら、Nature Med.1:1297−1302
(1995))。最近の研究は、このエキソビボで拡張されたDC集団が、有効
な抗原提示細胞を含み、抗腫瘍免疫応答を刺激する能力を有することが明らかに
されている(Celluzziら、J.Exp.Med.83:283−287
(1996))。
【0407】 ProgenipoietinTMで誘導されたDC(100μg/日、10
日、SC)およびGM−CSFおよびIL−4エキソビボ拡張された細胞の精製
を、フローサイトメトリーによって決定した。DC集団を、CD11cおよびM
HCクラスII分子の両方を発現する細胞として定義した。磁気性CD11cマ
クロビーズからのDCの精製に続いて、ProgenipoietinTMで処
置されたマウスから単離した2重陽性のPBで誘導されたDCのパーセンテージ
を、約4%から48〜57%の範囲に高めた(平均収量=4.5×10DC/
動物)。ProgenipoietinTMで処置されたマウスから単離した精
製された脾性DCのパーセンテージを、12〜17%の範囲から67〜77%の
範囲に高めた。GM−CSF/IL−4エキソビボ拡張された細胞の精製は、3
1〜41%の範囲であった(Wongら、J.Immunother.,21:
32040(1998))。
【0408】 (CTLハイブリドーマおよびCTL細胞のインビトロ刺激:特異的CTlエ
ピロープの提示) CTL細胞株をProgenipoietinTMで生成されたDCの能力を
、ウイルス由来エピトープおよび対応するエピトープ応答性CTl細胞株を使用
してインビトロで明らかにした。ヒトHLA−A2.1を発現するトランスジェ
ニックマウスを、ProgenipoietinTMで処置した。これらのマウ
スから単離された脾性DCを、ペプチドエピトープ(B型肝炎ウイルス(HBV
Pol 455)由来)でパルス化し、そして次いでIFNγを産生すること
によってHBV Pol 455エピトープ/HLA−A2.1複合体に応答す
るCTL細胞株を用いてインキュベートした。HBV Pol 455エピトー
プを提示するProgenipoietinTMで誘導された脾性DCの能力は
、2つの陽性コントロール集団(GM−CSFおよびIL−4拡張DC培養物、
または精製脾性B細胞)の能力よりも大きかった。Progenipoieti
TMで誘導された脾性細胞対他の抗原提示細胞についての応答曲線における左
のシフトは、これらのProgenipoietinTMで誘導された細胞が、
応答細胞株によって放出される最大IFNγを刺激するためにより少ないエピト
ープ必要とすることを示した。
【0409】 インビボにおけるCTL応答を刺激するエキソビボでペプチドパルス化された
DCの能力をまた、HLA−A2.1トランスジェニックマウスモデルを使用し
て評価した。ProgenipoietinTMで処置された動物由来のDCま
たはGM−CSFおよびIL−4で拡張した後の骨髄細胞由来のコントロールD
Cを、エキソビボでHBV Pol 455を用いてパルス化し、洗浄し、そし
てこのようなマウスへ注射した(IV)。免疫化の7日経過後、脾臓を除去し、
DCおよびCTLを含む脾臓細胞を、HBV Pol 455ペプチドの存在下
でインビトロで2回再刺激した。再刺激された脾臓細胞培養物3つの独立した培
養物のCTL活性を、ペプチドで、または、なしにパルス化した51Cr標識し
た標的細胞を溶解するCTLの能力を測定することによって評価した。強力なC
TL応答を、エピトープパルス化されたProgenipoietinTMで誘
導されたDCならびにエピトープパルス化されたGM−CSF/IL−4 DC
で免疫化した動物において生成した。対照的に、擬パルス化したProgeni
poietinTMで産生されたDC(ペプチドなし)で免疫化された動物は、
CTL誘導の証拠を示さなかった。
【0410】 これらのデータは、ProgenipoietinTMで処置されたマウス由
来のDCを、エキソビボでエピトープを用いてパルス化し、そしてインビボにお
ける特異的CTL応答を誘導するために使用し得ることを確認する。
【0411】 マウスにおけるインビボ薬理学的研究は、動物へのパルス化された自己DCの
再注入の明らかな毒性はないことを明らかにしている。
【0412】 (エキソビボでのCTL/HTL応答活性化) あるいは、組織培養中で、患者の、または遺伝学的に適合性のCTLまたはH
TL前駆細胞を、樹状細胞などの抗原提示細胞(APC)源および適切な免疫原
性ペプチドとともにインキュベーションすることによって、特定の腫瘍関連抗原
に対するex vivoでのCTLまたはHTL応答を誘導し得る。前駆細胞が
活性化されエフェクター細胞へと発達するような適切なインキュベーション時間
後(典型的には7−28日)、その細胞を患者に注入して戻す。そこで、戻され
た細胞はそれらの特異的標的細胞、つまり腫瘍細胞を破壊(CTL)または破壊
を促進(HTL)する。
【0413】 (実施例22:モチーフを持つペプチドの代替的同定法) モチーフを持つペプチドを同定する別の方法は、規定されたMHC分子を持つ
細胞からそれらを抽出することである。例えば、組織型決定に使用するEBV形
質転換B細胞株は、それがどのHLA分子を発現しているのかを決定するために
徹底的に特徴付けられた。ある場合では、これらの細胞はただ一つのタイプのH
LA分子のみを発現する。これらの細胞を病原性生物に感染させてもよいし、こ
れらの細胞に目的の腫瘍抗原を発現する核酸をトランスフェクトしてもよい。そ
の後、感染の結果として(またはトランスフェクションの結果として)産生され
たペプチドの内因性抗原プロセシングにより生じたペプチドが、細胞中でHLA
分子と結合し、細胞表面上に運ばれ提示される。
【0414】 次に、温和な酸性条件に曝露することにより、ペプチドをHLA分子から抽出
し、例えば、質量分析によって(例えば、Kuboら、J.Immunol.1
52:3913,1994)そのアミノ酸配列を決定する。本明細書中で開示し
ているように特定のHLA分子を結合する大部分のペプチドがモチーフを持つも
のなので、これは、細胞上で発現されている特定のHLA分子と相関したモチー
フを持つペプチドを獲得するための代わりの様相である。
【0415】 あるいは、内因性HLA分子を全く発現していない細胞株に、1つのHLA対
立遺伝子をコードする発現構築物をトランスフェクションし得る。そこでこれら
の細胞を記述するように使用し得る、つまり、細胞表面上に提示されている病原
体または目的の抗原に相当するペプチドを単離するために、これらの細胞に病原
性生物を感染させてもよいし、目的の抗原をコードする核酸をトランスフェクシ
ョンしてもよい。そのような分析から得たペプチドは、細胞で発現される一つの
HLA対立遺伝子との結合に対応するモチーフを持つ。
【0416】 当業者により認識されるように、1を超えるHLA対立遺伝子を持つ細胞にお
いて同様の分析を行い、続いて、発現しているそれぞれのHLA対立遺伝子に特
異的なペプチドを決定し得る。さらに、当業者はまた、細胞に対して抗原源を与
えるために、タンパク質抗原での負荷のような、感染またはトランスフェクショ
ン以外の手段を使用し得るということも認識する。
【0417】 本発明を説明するために上記の実施例を提供するが、これはその範囲を限定す
るものではない。例えば、主要組織適合遺伝子複合体についてのヒトの用語、す
なわちHLAを、この書類全体を通して使用する。これらの原理を他の種に同じ
ように拡大し得ることが認識される。従って、本発明の他の改変が、当業者に対
して容易に明らかであり、添付の特許請求の範囲により包含される。本明細書で
引用する全ての刊行物、特許および特許出願は全ての目的に対して参考として本
明細書により援用される。
【0418】
【表1】
【0419】
【表2】
【0420】
【表3】
【0421】
【表4】
【0422】
【表5】
【0423】
【表6】
【0424】
【表7】
【0425】
【表8】
【0426】
【表9】
【0427】
【表10】
【0428】
【表11】
【0429】
【表12】
【0430】
【表13】
【0431】
【表14】
【0432】
【表15】
【0433】
【表16】
【0434】
【表17】
【0435】
【表18】
【0436】
【表19】
【0437】
【表20】
【0438】
【表21】
【0439】
【表22】
【0440】
【表23】
【0441】
【表24】
【0442】
【表25】
【手続補正書】
【提出日】平成14年7月31日(2002.7.31)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】 (I.発明の背景) 増加中の証拠群が、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)が腫瘍細胞に対する免疫
応答において重要であることを示唆する。CTLは、ほとんどすべての有核細胞
の表面上で発現されるHLAクラスI分子の状況でペプチドエピトープを認識す
る。内因的に合成された腫瘍抗原の細胞内プロセシング後、抗原由来ペプチドエ
ピトープが、小胞体においてクラスI HLA分子に結合し、次いで、生じた複
合体が、細胞表面に輸送される。CTLは、このペプチド−HLAクラスI複合
体を認識し、次いでこのことは、このHLA−ペプチド複合体を保有する細胞の
、直接的なこのCTLによる破壊、および/または非破壊的機構の活性化(例え
ば、免疫応答を増強しそして腫瘍細胞の破壊を促進するリンホカイン(例えば、
腫瘍壊死因子α(TNF−α)またはインターフェロンγ(IFNγ)の活
性化)を介する破壊を生じる。
【0002】 腫瘍特異的ヘルパーTリンパ球HTLもまた、有効な抗腫瘍免疫を維持するた
めに重要であることが公知である。抗腫瘍免疫におけるその役割が、これらの細
胞がCTLおよび抗体応答の誘導の補助を提供するだけでなく、エフェクター機
能も提供するように作用する動物モデルにおいて示されており、これは、直接の
細胞接触により媒介され、そしてリンホカイン(例えば、IFNγおよびTNF
−α)の選択によっても媒介される。
【0003】 有効な腫瘍ワクチンの開発における基本的難題は、生じ得る免疫抑制または免
疫寛容である。従って、進行を妨げそして/または腫瘍を除去するに十分な範囲
および強さの免疫応答を惹起するワクチン実施形態を確立する必要が存在する。
【0004】 本発明者らが記載しているようなエピトープアプローチは、それが、1つ以上
の標的腫瘍関連抗原(TAA)の別個の領域からの種々のCTLエピトープ、H
TLエピトープ、および抗体(必要な場合)エピトープを単一のワクチン組成物
に組み込み可能にするという点で、この難題に対する解決を示す。このような組
成物は、複数のドミナント(dominant)エピトープおよびサブドミナン
トエピトープを同時に標的とし得、それにより種々の集団における有効な免疫を
達成するために使用され得る。
【0005】 前立腺癌は、男性において最も一般的な悪性疾患である。今の治療(すなわち
、男性ホルモン遮断、抗男性ホルモン撤退、および他の二次的なホルモン治療と
組み合わせられる化学療法)は、限定的な成功を受けている。従って、より効能
のある治療を開発することが必要である。本発明の多エピトープの免疫治療ワク
チン組成物は、この必要性を満たす。
【0006】 前立腺癌に関連する抗原として、前立腺特異的抗原(PSA)、前立腺特異的
膜抗原(PSM)、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、およびヒトカリクレ
イン2(hK2またはHuK2)が挙げられるが、これに限定されない。これら
の抗原は、本発明のポリエピトープワクチン組成物に対して重要な抗原標的を示
す。
【0007】 PSMはまた、前立腺癌治療に対して重要な候補である。これは、前立腺腺癌
において高レベルで発現される2型膜タンパク質である。発現のレベルは、転移
およびホルモン治療に対して難治性である癌において増加する。PSMは、一般
的に正常な組織上で存在しないが、結腸陰窩および十二指腸において低いレベル
が検出されており、そしてPSMは、正常な雄性血清および精液において検出さ
れ得る(例えば、Silverら、Clin.Cancer Res.3:81
−85,1997を参照のこと)。PSMに対するCTL応答はまた、文書で説
明されている(例えば、Murphyら、Prostate29:371−38
0,1996;およびSalgallerら、Prostate 35:144
−151,1998を参照のこと)。
【0008】 PAPは、前立腺における細胞によって専ら分泌される組織特異的な分化抗原
である(例えば、Lamら、Prostate 15:13−21,1989を
参照のこと)。PAPは、血清において検出され得、レベルは、前立腺癌を有す
る患者において増加する(例えば、Jacobsら、Curr.Probl.C
ancer 15:299−360,1991を参照のこと)。PAPタンパク
質配列は、タンパク質中の至る所に分布される相同性領域を有する他の酸性ホス
ファターゼと最高で49%の配列相同性を有する。従って、PAP特異的エピト
ープは、同定され得、そしていくつかの異なるCTLエピトープが記載されてい
る(例えば、Peshwaら、Prostate 36:129−138,19
98を参照のこと)。
【0009】 hK2タンパク質は、ポリペプチドの翻訳後プロセシングに関与する機能的な
セリンプロテアーゼである。hK2タンパク質は、前立腺上皮の側で専ら発現さ
れ、そして良性前立腺癌組織および悪性前立腺癌組織の両方において見出される
。正常な前立腺細胞の50%において発現されるが、hK2を発現する細胞のパ
ーセンテージは、腺癌および前立腺上皮内の新形成(PIN)において増加する
(例えば、Darsonら、Urology 49:857−862,1997
を参照のこと)。前立腺ガン細胞上のこの抗原の好ましい発現に基づいて、hK
2はまた、免疫治療について重要な標的である。
【0010】 前立腺特異的抗原(PSA)(hK3ともいわれる)は、分泌されるセリンプ
ロテアーゼおよびタンパク質のカリクレインファミリーのメンバーである。PS
A遺伝子は、hK2遺伝子と80%の相同性であるが、hK2の組織発現は、P
SAと独立して調節される(例えば、Darsonら、Urology 49:
857−862,1997を参照のこと)。PSAの発現は、前立腺上皮細胞(
良性および悪性の両方)に対して制限される。この抗原は、ほとんどの前立腺癌
患者の血清および精液血漿において検出され得る。PSA由来のいくつかのT細
胞エピトープは、同定されており、そして免疫原性であることが見出されており
、そして抗体応答は、患者において報告されている(例えば、Correale
ら、J.Immunol.161:3186,1998;およびAlexand
erら、Urology 51:150−157,1998を参照のこと)。従
って、この前立腺制限発現および免疫応答を刺激する能力に基づいて、PSAは
、前立腺癌の免疫治療に対する誘引標的である。
【0011】 この節において提供される情報は、本出願の出願日時点で現在理解されている
技術水準を開示することが意図される。本出願の優先日後に得られた情報は、こ
の節に含まれる。従って、この節の情報は、いかようにも、本発明の優先日で線
引きすることが意図されない。
【0012】 (II.発明の要旨) 本発明は、例えば、TAAに対するエピトープベースワクチンを開発するため
に、抗原がT細胞によって認識される機構についての本発明者らの知識を適用す
る。より詳細には、本願は、診断的および/または薬学的組成物における含有物
のためのエピトープならびに、免疫応答の評価および癌の処置および/または
防に対するエピトープの使用方法を同定する。
【0013】 このエピトープベースワクチンの使用は、特に、ワクチン組成物における抗原
全体の使用と比較した場合に、現在のワクチンを超えるいくつかの利点を有する
。例えば、抗原全体中に存在し得る免疫抑制エピトープが、エピトープベースワ
クチンの使用により回避され得る。このような免疫抑制エピトープは、例えば、
抗原全体におけるイムノドミナントエピトープに対応し得、これは、非ドミナン
ト領域からペプチドエピトープを選択することによって回避され得る(例えば、
Disisら、J.Immunol.156:3151〜3158、1996を
参照のこと)。
【0014】 エピトープベースワクチンのアプローチのさらなる利点は、選択されたエピト
ープ(CTLおよびHTL)を組み合わせる能力であり、さらに(例えば、増強
された免疫原性を達成する)これらのエピトープの組成を改変する能力である。
従って、免疫応答は、標的疾患について適切なように調節され得る。この応答の
類似の操作は、従来のアプローチでは可能でない。
【0015】 エピトープベース免疫刺激ワクチンの別の主な利点は、その安全性である。そ
れ自体の固有の生物学的活性を有し得る病原菌(infectious age
nt)またはタンパク質抗原全体によって引き起こされる、可能性のある病理学
的副作用は、排除される。
【0016】 エピトープベースワクチンはまた、同じ病原体(「病原体」とは、病原菌また
は腫瘍関連分子であり得る)由来の複数の選択された抗原に対して免疫応答を指
向し焦点を合わせる能力を提供する。従って、特定の病原体に対する免疫応答に
おける患者間の変動性は、ワクチン組成物に、この病原体由来の複数の抗原由来
のエピトープを含めることによって軽減され得る。
【0017】 さらに、エピトープベース抗腫瘍ワクチンはまた、複数の腫瘍関連分子に由来
するエピトープを組み合わせる機会を提供する。従って、この能力は、所定の腫
瘍型について広く標的とする抗腫瘍ワクチンを開発する場合に生じる腫瘍間の変
動性という問題に取り組み得、そしてまた、抗原損失に起因する腫瘍の逸脱の可
能性を減少し得る。例えば、ある患者中の前立腺癌細胞は、別の患者中の前立腺 癌細胞 と異なる標的TAAを発現し得る。複数のTAAに由来するエピトープが
、両方の前立腺癌を標的とするポリエピトープワクチンに含まれ得る。
【0018】 しかし、広く効果的なエピトープベース免疫療法剤の開発に対する最も困難な
障壁の1つは、HLA分子の極度な多型性であった。今日まで、非遺伝学的偏向
がない有効な集団適用範囲は、かなり複雑な課題であり;このような適用範囲は
、各々個々のHLA対立遺伝子に対応するHLA分子に特異的なエピトープを使
用することを必要とした。従って、民族的に多様な集団をカバーするためには、
実行不可能に多くの数のエピトープを使用しなければならなかった。従って、エ
ピトープベースワクチンにおける使用のための、複数のHLA抗原分子が結合し
たペプチドエピトープの必要性が存在していた。結合するHLA抗原分子数が多
いほど、ワクチンによる集団の適用範囲の広さは大きくなる。
【0019】 さらに、より詳細に本明細書中に記載されるように、ペプチド結合特性を(例
えば、複数のHLA抗原に結合し得るペプチドが、免疫応答を刺激する親和性で
複数のHLA抗原に結合するように)調節する必要性が存在していた。免疫原性
に相関する親和性で1つより多くHLA対立遺伝子によって拘束されるエピトー
プの同定が、十分な集団適用範囲を提供するため、そしてその集団の多様な部分
において感染を予防または排除するに十分に強力な応答の誘発を可能にするため
に、重要である。このような応答はまた、広範な多くのエピトープを標的し得る
。本明細書中に開示される技術は、このような好ましい免疫応答を提供する。
【0020】 好ましい実施形態において、本発明のワクチン組成物に含むためのエピトープ
は、既知の抗原のタンパク質配列を、モチーフ保有エピトープまたはスーパーモ
チーフ保有エピトープの存在について評価するプロセスによって、選択される。
次いで、モチーフ保有エピトープまたはスーパーモチーフ保有エピトープに対応
するペプチドを合成し、そしてそれらのペプチドを、その選択されたモチーフを
認識するHLA分子に結合する能力について試験する。中程度の親和性または高
い親和性(すなわち、HLAクラスI分子ついては、IC50(またはK値) 500nM以下、またはHLAクラスII分子については、IC50 100
0nM以下で結合するこれらのペプチドを、CTL応答またはHTL応答を誘導
するそれらの能力についてさらに評価する。免疫原性ペプチドエピトープを、ワ
クチン組成物に含むために選択する。
【0021】 スーパーモチーフ保有ペプチドを、HLAスーパータイプファミリー内の複数
の対立遺伝子に結合する能力について、さらに試験し得る。さらに、ペプチドエ
ピトープを、HLAスーパータイプ内の複数の対立遺伝子に対する結合親和性お
よび/またはこれら複数の対立遺伝子に結合する能力を改変するために、アナロ
グ化し得る。
【0022】 本発明はまた、既知のHLA型を有する患者において、TAAに対する免疫応
答をモニターまたは評価するための方法を含む、実施形態を包含する。このよう
な方法は、患者由来のTリンパ球サンプルを、TAAエピトープを含むペプチド
組成物と共にインキュベートする工程、および、このペプチドに結合するTリン
パ球の存在について検出する工程を包含し、このTAAエピトープは、スーパー
モチーフまたはモチーフを含み、そしてその患者に存在する少なくとも1つのH
LA対立遺伝子の産物を結合するアミノ酸配列を有する。CTLペプチドエピト
ープは、例えば、この型の分析のためのテトラマー複合体の成分として使用され
得る。
【0023】 本発明に従うペプチドエピトープを規定するための代替的様式は、特定の対立
遺伝子特異的HLA分子または対立遺伝子特異的HLA分子のグループへの結合
に相関される、物理的特性(例えば、長さ;一次構造;または電荷)を記載する
ことである。ペプチドエピトープを規定するためのさらなる様式は、HLA結合
ポケットの物理的特性またはいくつかの対立遺伝子特異的HLA結合ポケットに
共有される特性(例えば、ポケットの形状および電荷分布)を記載すること、お
よびこのペプチドエピトープがポケット(単数または複数)に適合しそして結合
することを記載することである。
【0024】 以下の議論から明らかなように、他の方法および実施形態もまた意図される。
さらに、本明細書中の方法のいずれかによって生成された新規合成ペプチドもま
た、本発明の一部である。
【0025】 (III.図面の簡単な説明) 適用されず。
【0026】 (IV.発明の詳細な説明) 本発明のペプチドエピトープおよび対応する核酸組成物は、CTL応答または
HTL応答の生成を刺激することによって、TAAに対する免疫応答を刺激する
ために有用である。これらのペプチドエピトープは、ネイティブTAAタンパク
質アミノ酸配列に直接的または間接的に由来し、HLA分子に結合し得そしてT
AAに対する免疫応答を刺激し得る。分析されるTAAタンパク質の完全配列は
、Genbankより入手され得る。以下に提供する開示から明らかなように、
ペプチドエピトープおよびそのアナログはまた、配列情報から容易に決定され得
、配列情報は、今後、以前に未知であった特定のTAAの改変体について発見さ
れるかもしれない。
【0027】 標的TAAの一覧としては、以下の抗原が挙げられるが、これらに限定されな
い:MAGE1、MAGE2、MAGE3、MAGE−11、MAGE−A10
、BAGE、GAGE、RAGE、MAGE−C1、LAGE−1、CAG−3
、DAM、MUC1、MUC2、MUC18、NY−ESO−1、MUM−1、
CDK4、BRCA、NY−LU−1、NY−LU−7、NY−LU−12、
CASP8、RAS、KIAA−2−5、SCC、p53、p73、CEA、H
er2/neu、Melan−A、gp100、チロシナーゼ、TRP2、gp
75/TRP1、カリクレイン、PSM、PAP、PSA、PT1−1、B−カ
テニン、PRAME、テロメラーゼ、FAK、サイクリンD1タンパク質、NO
EY2、EGF−R、SART−1、CAPB、HPVE7、p15、葉酸レセ
プターCDC27、PAGE−1およびPAGE−4。これらの抗原由来のエピ
トープは、特異的な腫瘍型(例えば、前立腺腫瘍)を標的とする、または腫瘍の
複数の型を標的とする1つの別のものと組み合わせて使用され得る、 本発明のペプチドエピトープは、以下で議論されるように、多くの方法で同定
された。特定のアミノ酸残基を改変して、変化した免疫原性を示すペプチドアナ
ログを作製することによって、アナログペプチドを誘導し、そしてHLA分子の
結合活性が調節されることもまた、より詳細に議論する。さらに、本発明は、種
々の対立遺伝子によってコードされるHLA分子と相互作用し得るエピトープベ
ースワクチンに、先行技術のワクチンよりも広い集団適用範囲を提供させ得る、
組成物および組成物の組み合わせを提供する。
【0028】 (IV.A.定義) 本発明は、アルファベット順に列挙した、以下の定義を参照してより良好に理
解され得る。
【0029】 本明細書中で使用される場合、「構築物」は、一般に、天然に存在しない組成
物を示す。構築物は、核酸またはアミノ酸についての合成技術(例えば、組換え
DNAの調製および発現または化学合成技術)によって、生成され得る。構築物
はまた、結果としてその形態が天然において見い出されないように、ある材料へ
の別の材料の付加または添加(affiliation)によって生成され得る
【0030】 「コンピューター」または「コンピューターシステム」は、一般に、以下を備
える:プロセッサー;少なくとも1つの情報記憶/検索装置(例えば、ハードド
ライブ、ディスクドライブまたはテープドライブなど);少なくとも1つの入力
装置(例えば、キーボード、マウス、タッチスクリーン、またはマイクロホンな
ど);およびディスプレイ構造。さらに、コンピューターは、ネットワークと連
絡する通信チャネルを備え得る。このようなコンピューターは、多かれ少なかれ
、上記に列挙したものを備え得る。
【0031】 「交差反応結合」とは、1より多いHLA分子がペプチドに結合することを
示し;同義語は、縮重(degenerate)結合である。
【0032】 「潜在(criptic)エピトープ」は、単離されたペプチドでの免疫によ
って応答を誘導するが、そのエピトープを含むインタクトなタンパク質全体が抗
原として使用される場合に、その応答は、インビトロで交差反応性でない。
【0033】 「ドミナント(dominant)エピトープ」は、ネイティブ抗原全体での
免疫に際して免疫応答を誘導するエピトープである(例えば、Sercarzら
、Annu.Rev.Immunol.11:729−766,1993を参照
のこと)。このような応答は、単離されたペプチドエピトープとは、インビトロ
で交差反応性である。
【0034】 特定のアミノ酸配列に関して、「エピトープ」は、特定の免疫グロブリンによ
る認識に関与するアミノ酸残基のセットであるか、またはT細胞の状況下では、
T細胞レセプタータンパク質および/または主要組織適合遺伝子複合体(MHC
)レセプターによる認識に必要な残基である。インビボまたはインビトロでの免
疫系の設定において、エピトープは、免疫グロブリン、T細胞レセプターまたは
HLA分子によって認識される部位を共に形成する、分子の集団的特徴(例えば
、一次ペプチド構造、二次ペプチド構造および三次ペプチド構造および電荷のよ
うな)である。本開示全体を通して、エピトープおよびペプチドは、しばしば、
交換可能に使用される。
【0035】 本発明のエピトープおよびさらなるアミノ酸を含むタンパク質またはペプチド
分子が、本発明の範囲内にあることが理解されるべきである。特定の実施形態に
おいて、さもなければ本明細書で規定されるような構築物ではないとする、本発
明のペプチドの長さに関する制限が存在する。長さが制限される実施形態は、本
発明のエピトープを含むタンパク質/ペプチドがネイティブ配列と100%同一
性を有する領域(すなわち、一連の連続するアミノ酸)を含む場合に、生じる。
例えば、天然分子全体に対する読み取り枠由来の具陳したエピトープの定義を回
避するために、ネイティブペプチド配列との100%同一性を有する任意の領域
の長さが制限される。従って、本発明のエピトープおよびネイティブペプチド配
列との100%同一性を有する領域を含む(そして、さもなければ構築物ではな
い)ペプチド配列について、ネイティブ配列に対する100%同一性を有するそ
の領域は、一般に、600アミノ酸以下、しばしば、500アミノ酸以下、しば
しば、400アミノ酸以下、しばしば、250アミノ酸以下、しばしば、100
アミノ酸以下、しばしば、85アミノ酸以下、しばしば、75アミノ酸以下、し
ばしば、65アミノ酸以下、そしてしばしば、50アミノ酸以下の長さを有する
。特定の実施形態において、構築物ではない本発明の「エピトープ」は、ネイテ
ィブペプチド配列に対して100%同一性を有する51個未満のアミノ酸を、5 個のアミノ酸までの 任意の変化量(50、49、48、47、46、45、44
、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32
、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20
、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7
、6、5)で含む領域を有するペプチドに含まれる。
【0036】 600アミノ酸より長い特定のペプチドまたはタンパク質配列は、本発明の範
囲内である。このような長い配列は、それらが、ネイティブペプチド配列との1
00%同一性を有する600アミノ酸よりも大きい任意の連続配列を含まない限
り、または、600アミノ酸より長い場合には、それらが構築物である限り、本
発明の範囲内にある。ネイティブ配列に対応する5以下連続する残基を有する任
意のペプチドについては、本発明の範囲内にあるための、そのペプチドの最大長
さに対する制限は存在しない。本発明のCTLエピトープは、8アミノ酸残基ま での任意の変化量の 600未満の残長であることが、現在では好ましい。
【0037】 「ヒト白血球抗原」または「HLA」は、ヒトクラスIまたはクラスIIの主
要組織適合遺伝子複合体(MHC)タンパク質(例えば、Stitesら、Im
munology、第8版、Lange Publishing,Los Al
tos,CA(1994)を参照のこと)である。
【0038】 本明細書中で使用される場合、「HLAスーパータイプまたはファミリー」と
は、共有するペプチド結合特異性に基づいてグループ化したHLA分子のセット
を記載する。特定のアミノ酸モチーフを保有するペプチドに対して幾分類似した
結合親和性を共有するHLAクラスI分子は、HLAスーパータイプにグループ
化される。用語HLAスーパーファミリー、HLAスーパータイプファミリー、
HLAファミリーおよびHLA xx様分子(ここで、xxは、特定のHLA型
を示す)は、同義である。
【0039】 本開示全体を通して、結果を、「IC50」で表す。IC50は、参照ペプチ
ドの結合の50%阻害が観察される、結合アッセイにおけるペプチドの濃度であ
る。アッセイを行う条件(すなわち、律速のHLAタンパク質濃度および標識ペ
プチド濃度)を考慮すると、これらの値は、K値と近似する。結合を測定する
ためのアッセイは、例えば、PCT公開WO94/20127およびWO94/
03205に、詳細に記載される。IC50値が、アッセイ条件が変化する場合
に、そして使用する特定の試薬(例えば、HLA調製物など)に依存して、(し
ばしば、劇的に)変化し得ることに留意するべきである。例えば、過剰濃度のH
LA分子は、所定のリガンドの見かけ上測定されるIC50を増加させる。
【0040】 あるいは、結合は、参照ペプチドと関連して表される。特定のアッセイが、よ
り高感度またはより低感度になるにつれて、試験するペプチドのIC50は、幾
分変化し得るが、参照ペプチドに対する結合は、有意には変化しない。例えば、
参照ペプチドのIC50が10倍増加するような条件下で行うアッセイにおいて
、試験ペプチドのIC50値もまた、約10倍シフトする。従って、あいまい性
を回避するために、ペプチドが良好な結合因子であるか、中程度の結合因子であ
るか、弱い結合因子であるかまたはネガティブな結合因子であるかの評価は、一
般に、標準ペプチドのIC50 に対する、そのIC50に基づく。
【0041】 結合はまた、以下を使用するアッセイ系を含む、他のアッセイ系を使用して測
定され得る:生細胞(例えば、Ceppelliniら、Nature 339
:392,1989;Christnickら、Nature 352:67、
1991;Buschら、Int.Immunol.2:443、19990;
Hillら、J.Immunol.147:189、1991;del Gue
rcioら、J.Immunol.154:685,1995)、界面活性剤溶
解物を使用する無細胞系(例えば、Cerundoloら、J.Immunol
.21:2069,1991)、固定した精製MHC(例えば、Hillら、J
.Immunol.152,2890,1994;Marshallら、J.I
mmunol.152:4946,1994)、ELISA系(例えば、Rea
yら、EMBO J.11:2829,1992)、表面プラズモン共鳴(例え
ば、Khilkoら、J.Biol.Chem.268:15425,1993
);高フラックス可溶相アッセイ(high flux solublepha
se assay)(Hammerら、J.Exp.Med.180:2353
,1994)、およびクラスI MHCの安定化またはアセンブリの測定(例え
ば、Ljunggrenら、Nature 346:476、1990;Sch
umacherら、Cell 62:563、1990;Townsendら、
Cell 62:285、1990;Parkerら、J.Immunol.1
49;1896,1992)。
【0042】 本明細書中で使用される場合、HLAクラスI分子に関する「高親和性」とは
、50nM以下のIC50またはK値での結合として定義され;「中程度の親
和性」とは、約50nMと約500nMとの間のIC50またはK値での結合
である。HLAクラスII分子への結合に関する「高親和性」とは、100nM
以下のIC50またはK値での結合として定義され;「中程度の親和性」とは
、約100nMと約1000nMとの間のIC50またはK値での結合である
【0043】 2以上のペプチド配列の状況下で、用語「同一」またはパーセント「同一性」
とは、配列比較アルゴリズムを使用してかまたは手動の整列化および目視検査に
よって測定されるように、比較ウインドウにわたる最大一致について比較および
整列化した場合に、同じであるかまたは特定のパーセンテージの同一アミノ酸残
基を有する、2以上の配列または部分配列をいう。
【0044】 「免疫原性ペプチド」または「ペプチドエピトープ」とは、そのペプチドがH
LA分子を結合しそしてCTL応答および/またはHTL応答を誘導するような
、対立遺伝子特異的モチーフまたはスーパーモチーフを含むペプチドである。従
って、本発明の免疫原性ペプチドは、適切なHLA分子に結合し得、そしてその
後、免疫原性ペプチドが由来する抗原に対する、HLA拘束細胞傷害性T細胞応
答またはヘルパーT細胞応答を誘導し得る。
【0045】 句「単離された」または「生物学的に純粋」とは、そのネイティブ状態におい
て見い出される場合に通常その物質に付随する成分を、実質的または本質的に含
まない物質をいう。従って、本発明に従う単離されたペプチドは、好ましくは、
そのインサイチュ環境下でそのペプチドに通常会合する物質を含まない。
【0046】 「連結」または「結合」とは、ペプチドを機能的に接続するための当該分野で
公知の任意の方法をいい、これらには、組換え融合、共有結合、ジスルフィド結
合、イオン結合、水素結合、および静電結合が挙げられるが、これらに限定され
ない。
【0047】 「主要組織適合遺伝子複合体」または「MHC」は、生理的免疫応答を担う細
胞性相互作用の制御において役割を担う遺伝子のクラスターである。ヒトにおい
て、MHC複合体はまた、HLA複合体として公知である。MHC複合体および
HLA複合体の詳細な説明については、Paul、FUNDAMENTAL I
MMUNOLOGY,第3版、Raven Press,New York,1
993を参照のこと。
【0048】 用語「モチーフ」は、規定された長さのペプチドにおける残基のパターンをい
。クラスI HLAモチーフについて通常、約8〜約13アミノ酸のペプチド およびしばしば8〜10アミノ酸のペプチド、そしてクラスII HLAモチー
フについて約6〜約25アミノ酸のペプチドであり、これは、特定のHLA分子
によって認識される。ペプチドモチーフは、代表的には、各々のヒトHLA対立
遺伝子によってコードされる各々のタンパク質について異なり、そして一次アン
カー残基および二次アンカー残基のパターンにおいて異なる。
【0049】 「陰性な(negative)結合残基」または「有害な(deleteri
ous)残基」は、ペプチドエピトープにおける特定の位置(代表的には一次ア
ンカー位置ではない)に存在する場合に、ペプチドの対応するHLA分子に対す
るペプチドの結合親和性の減少を生じさせるアミノ酸である。
【0050】 「非ネイティブ」な配列または「構築物」は、天然には見出されない(すなわ
ち、「天然には存在しない」)配列をいう。このような配列としては、例えば、
脂質化(lipidate)されるかさもなくば改変されたペプチド、およびネ
イティブなタンパク質配列中では連続しないエピトープを含むポリエピトープ性
(polyepitopic)組成物が挙げられる。
【0051】 用語「ペプチド」は、本明細書中において「オリゴペプチド」と相互変換可能
に使用され、(代表的には、隣接するアミノ酸のα−アミノ基とカルボキシル基
との間のペプチド結合によって)互いに連結される一連の残基(代表的にはL−
アミノ酸)を示す。本発明のCTL誘導ペプチドは、しばしば13以下の残基長
であり、そして通常、約8残基と約11残基との間(好ましくは9または10残
基)からなる。HTL誘導オリゴペプチドは、しばしば約50残基長未満であり
、そして通常、約6残基と約30残基との間からなり、より通常には、約12残
基と25残基との間、そしてしばしば約15残基と20残基との間からなる。
【0052】 「薬学的に受容可能な」は、一般に、非毒性の、不活性な、および/または薬
理学的に適合性の組成物をいう。
【0053】 「薬学的賦形剤」は、アジュバント、キャリア、pH調整剤、および緩衝剤の
ような物質、張度調整剤、湿潤剤、防腐剤などを含む。
【0054】 「一次アンカー残基」は、免疫原性ペプチドとHLA分子との間の接触点を提
供することが理解されるペプチド配列に沿った特定位置におけるアミノ酸である
。規定された長さのペプチド内の1〜3個(通常は2個)の一次アンカー残基は
、一般に、免疫原性ペプチドについての「モチーフ」を規定する。これらの残基
は、結合溝(groove)自身の特定のポケットにおいて埋没するこれらの側
鎖を有する、HLA分子のペプチド結合溝(groove)と密接に接触して適
合することが理解される。1つの実施形態において、例えば、一次アンカー残基
は、本発明に従って9残基ペプチドエピトープの位置2(アミノ末端位から)お
よびカルボキシル末端位に配置される。各々のモチーフおよびスーパーモチーフ
についての一次アンカー位置は、表1に示される。例えば、アナログペプチドは
、これらの一次アンカー位置における特定の残基の存在または非存在を変更する
ことによって作製され得る。このようなアナログを使用して、特定のモチーフま
たはスーパーモチーフを含むペプチドの結合親和性を調節する。
【0055】 「乱雑な認識」は、種々のHLA分子の状況下において、別々のペプチドが同
一のT細胞クローンによって認識されることである。乱雑な認識または結合は、
交差反応性結合と同義である。
【0056】 「防御免疫応答」または「治療的免疫応答」は、感染性因子または腫瘍抗原由
来の抗原に対するCTL応答および/またはHTL応答をいい、これは、疾患の
症状または進行を予防するかまたは少なくとも部分的に抑制する。免疫応答はま
た、ヘルパーT細胞の刺激によって促進された抗体応答を含み得る。
【0057】 用語「残基」は、アミド結合またはアミド結合模倣物によってオリゴペプチド
に組み込まれるアミノ酸またはアミノ酸模倣物をいう。
【0058】 「二次アンカー残基」は、ペプチドにおける一次アンカー位置以外の位置での
、ペプチド結合に影響し得るアミノ酸である。二次アンカー残基は、結合したペ
プチドの中である位置でのアミノ酸の無秩序な分布によって期待されるより有意
に高い頻度で存在する。二次アンカー残基は、「二次アンカー位置」に存在する といわれる。二次アンカー残基は、高い親和性もしくは中程度の親和性で結合す
るペプチドの中でより高頻度で存在する残基、またはさもなくば高い親和性もし
くは中程度の親和性の結合と関連する残基として同定され得る。例えば、アナロ
グペプチドは、これらの二次アンカー位置における特定の残基の存在または非存
在を変更することによって作製され得る。このようなアナログを使用して、特定
のモチーフまたはスーパーモチーフを含むペプチドの結合親和性を良好に調節す
る。
【0059】 「サブドミナント(subdominant)エピトープ」は、エピトープを
含む抗原全体での免疫に際して応答をほとんど引き起こさないかまたは全く引き
起こさないが、単離されたペプチドでの免疫によって応答が得られ得るエピトー
プであり、そして(潜在エピトープの場合とは異なり)この応答は、タンパク質
全体を使用してインビトロまたはインビボでの応答をリコール(recall)
する場合に、検出される。
【0060】 「スーパーモチーフ」は、2つ以上のHLA対立遺伝子によってコードされる
HLA分子によって共有されるペプチド結合特異性である。好ましくは、スーパ
ーモチーフ保有ペプチドは、2つ以上のHLA分子によって高い親和性または中
程度の親和性(本明細書中に規定される)で認識される。
【0061】 「合成ペプチド」は、化学合成または組換えDNA技術のような方法を使用し
人工的に作製したペプチドをいう。
【0062】 本明細書中で使用される場合、「ワクチン」は、本発明の1つ以上のペプチド
を含む組成物である。本発明に従うワクチンの実施形態(例えば、1つ以上のペ
プチドのカクテルによって;ポリエピトープ性のペプチドによって含まれる本発
明の1以上のエピトープ;または、このようなペプチドもしくはポリペプチドを
コードする核酸(例えば、ポリエピトープ性のペプチドをコードするミニジーン
(minigene)))が数多く存在する。「1つ以上のペプチド」は、1〜
150の単位整数全体のいずれか(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7
、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、2
0、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、3
2、33、34、35、36、37、38、39、40、45、50、55、6
0、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、1
15、120、125、130、135、140、145もしくは150または
それより多く)の本発明のペプチドを含み得る。これらのペプチドまたはポリペ
プチドは、必要ならば、例えば、脂質化、標的化配列もしくは他の配列の付加に
よって改変され得る。本発明のHLAクラスI結合ペプチドは、細胞傷害性Tリ
ンパ球およびヘルパーTリンパ球の両方の活性化を促進するために、HLAクラ
スII結合ペプチドと混合され得るかまたは連結され得る。ワクチンはまた、ペ
プチドでパルス(pulse)された抗原提示細胞(例えば、樹状細胞)を含み
得る。
【0063】 ペプチド化合物を記載するために使用される命名法は、慣用的な実践に従い、
ここで、アミノ基は各々のアミノ酸残基の左(N末端)そしてカルボキシル基は
右(C末端)に示される。アミノ酸残基位置がペプチドエピトープにおいて言及
される場合、これらは、アミノからカルボキシルの方向に番号付けられ、位置1 は、エピトープ、またはその一部分であり得るペプチドもしくはタンパク質のア ミノ末端に最も近い位置である。 本発明の選択された特定の実施形態を示す形式
において、特には示されないが、アミノ末端基およびカルボキシル末端基は、 特定されない場合には、生理学的pH値でとる形態である。アミノ酸構造の形
式において、各残基は、一般に、標準的な3文字表記または1文字表記によって
示される。L−型のアミノ酸残基は、大文字の1文字または3文字記号の最初の
文字の大文字によって示され、そしてD−型を有するこれらのアミノ酸について
のD−型は、小文字の1文字または小文字の3文字記号によって示される。グリ
シンは、不斉炭素原子を有さず、そして単に「Gly」またはGとしていわれる
。本明細書中で示されるペプチドのアミノ酸配列は、一般的に、標準的な1文字
記号を使用して示される(A,アラニン;C,システイン;D,アスパラギン酸
;E,グルタミン酸;F,フェニルアラニン;G,グリシン;H,ヒスチジン;
I,イソロイシン;K,リジン;L,ロイシン;M,メチオニン;N,アスパラ
ギン;P,プロリン;Q,グルタミン;R,アルギニン;S,セリン;T,トレ
オニン;V,バリン;W,トリプトファン;およびY,チロシン)。これらの記
号に加えて、本明細書中で使用される1文字略語「B」は、α−アミノ酪酸を示
す。
【0064】 (IV.B.CTL応答およびHTL応答の刺激) T細胞が抗原を認識するメカニズムは、過去10年間に記述されている。免疫
系についての本発明者等の理解に基づいて、広範な集団におけるTAAに対する
治療的または予防的な免疫応答を誘発し得る有効なペプチドエピトープワクチン
組成物を本発明者等は開発してきた。特許請求した組成物の価値および効力を理
解するために、免疫学関連技術についての簡単な概説を提供する
【0065】 HLA分子とペプチド抗原との複合体は、HLA拘束T細胞により認識される
リガンドとして作用する(Buus,S.ら、Cell 47:1071,19
86;Babbitt,B.P.ら、Nature 317:359,1985
;Townsend,A.and Bodmer,H.,Annu.Rev.I
mmunol.7:601,1989;Germain,R.N.,Annu.
Rev.Immunol.11:403,1993)。単一アミノ酸置換抗原ア
ナログの研究、ならびに内因的結合した天然でプロセシングされたペプチドの配
列決定により、HLA抗原分子に特異的に結合するために必要とされるモチーフ
に対応する重要な残基が同定されており、本明細書中に記載され、表I、表II
および表IIIに示されている(例えば、Southwoodら、J.Immu
nol.160:3363,1998;Rammenseeら、Immunog
enetics 41:178,1995;Rammenseeら、SYFPE
ITHI、http://134.2.96.221/scripts.hla
server.dll/home.htmにてウェブを介するアクセス;Set
te,A.and Sidney,J.Curr.Opin.Immunol.
10:478,1998;Engelhard,V.H.,Curr.Opin
.Immunol.6:13,1994;Sette,A.and Grey,
H.M.,Curr.Opin.Immunol.4:79,1992;Sin
igaglia,F.and Hammer,J.Curr.Biol.6:5
2,1994;Ruppertら、Cell 74:929−937,1993
;Kondoら、J.Immunol.155:4307−4312,1995
;Sidneyら、J.Immunol.157:3480−3490,199
6;Sidneyら、Human Immunol.45:79−93,199
6;Sette,A.and Sidney,J.Immunogenetic
s 1999 Nov;50(3−4):201−12,Reviewも参照
のこと)。
【0066】 さらにHLAペプチド複合体のX線結晶解析は、ペプチドリガンドにより運ば れる 残基を対立遺伝子特異的様式で収容するHLA分子のペプチド結合裂溝(c
left)内のポケットを明示した。これらの残基は次に、それらが存在するペ
プチドのHLA結合能力を決定する(例えば、Madden,D.R.、Ann
u.Rev.Immunol.13:587,1995;Smithら、Imm
unity 4:203,1996;Fremontら、Immunity 8
:305,1998;Sternら、Structure 2:245,199
4;Jones,E.Y.、Curr.Opin.Immunol.9:75,
1997;Brown,J.H.ら、Nature 364:33,1993;
Guo,H.C.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:
8053,1993;Guo,H.C.ら、Nature 360:364,1
992;Silver,M.L.ら、Nature 360:367,1992
;Matsumura,M.ら、Science 257:927,1992;
Maddenら、Cell 70:1035,1992;Fremont,D.
H.ら、Science 257:919,1992;Saper,M.A.,
Bjorkman,P.J.and Wiley,D.C.,J.Mol.Bi
ol.219:277,1991を参照のこと)。
【0067】 したがって、クラスI対立遺伝子特異的HLA結合モチーフおよびクラスII
対立遺伝子特異的HLA結合モチーフの規定、あるいはクラスIスーパーモチー
フまたはクラスIIスーパーモチーフの規定は、特定のHLA分子を結合する可
能性を有するタンパク質内の領域の同定を可能にする。
【0068】 本明細書中に開示する結合親和性と免疫原性との相関は、候補ペプチドを評価
する場合に考えられるべき重要な因子であるということを本発明者等は見出した
。したがって、モチーフ検索とHLA−ペプチド結合アッセイとの組合せにより
、エピトープベースのワクチンのための候補物が同定された。それらの結合親和
性を決定後、さらなる確認作業を実行して、これらのワクチン候補物の中で、集
団適用範囲、抗原性および免疫原性に関して好ましい特徴を有するエピトープを
選択し得る。
【0069】 免疫原性を評価するために種々の戦略が利用され得る。それらの例を以下に挙
げる: 1)正常個体由来の初代T細胞培養物の評価(例えば、Wentworth,
P.A.ら、Mol.Immunol.32:603,1995;Celis,
E.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:2105,1
994;Tsai,V.ら、J.Immunol.158:1796,1997
;Kawashima,I.ら、Human Immunol.59:1,19
98を参照のこと)。これらの手順は、数週間の期間に亘るインビトロでの抗原
提示細胞の存在下での、正常被験者由来の末梢血リンパ球(PBL)の試験ペプ
チドによる刺激を包含する。このペプチドに特異的なT細胞は、この時間中に活
性化され、例えばペプチド感作標的細胞を包む51Cr放出アッセイを用いて検
出される。
【0070】 2)HLAトランスジェニックマウスの免疫(例えば、Wentworth,
P.A.ら、J.Immunol.26:97,1996;Wentworth
,P.A.ら、Int.Immunol.8:651,1996;Alexan
der,J.ら、J.Immunol.159:4753,1997を参照のこ
と)。この方法では、不完全フロイントアジュバント中のペプチドが、HLAト
ランスジェニックマウスに皮下投与される。免疫後数週間目に、脾臓細胞が取り
出され、試験ペプチドの存在下で約1週間、インビトロで培養される。例えばペ
プチド感作標的細胞と内因的に生成された抗原を発現する標的細胞とを包む、 Cr放出アッセイを用いて、ペプチド特異的T細胞が検出される。
【0071】 3)効果的にワクチン接種された患者または腫瘍を有する患者からのリコール
(recall)T細胞応答の立証(例えば、Rehermann,B.ら、J
.Exp.Med.181:1047,1995;Doolan,D.L.ら、
Immunity 7:97,1997;Bertoni,R.ら、J.Cli
n.Invest.100:503,1997;Threlkeld,S.C.
ら、J.Immunol.159:1648,1997;Diepolder,
H.M.ら、J.Virol.71:6011,1997;Tsangら、J.
Natl.Cancer Inst.87:982−990,1995;Dis
isら、J.Immunol.156:3151−3158,1996を参照の
こと)。この戦略の適用に際しては、リコール応答は、「自然に」免疫応答を生
じていた癌患者由来のPBL、あるいは腫瘍抗原ワクチンでワクチン接種された
患者由来のPBLを培養することにより検出される。被験者由来のPBLは、試
験ペプチドおよび抗原提示細胞(APC)の存在下で1〜2週間インビトロで培
養されて、「ナイーブ」T細胞と比較した場合、「記憶」T細胞の活性化を可能
にする。培養期間終了時に、ペプチド感作標的、T細胞増殖またはリンホカイン
放出を包含する51Cr放出を含めたT細胞活性に関するアッセイを用いて、T
細胞活性が検出される。
【0072】 本発明のペプチドエピトープおよび対応する核酸を以下で説明する。
【0073】 (IV.C.HLA分子に関するペプチドエピトープの結合親和性) 本明細書中で示されているように、HLA多型の大きな程度は、ワクチン開発
に対するエピトープベースのアプローチに関して考慮されるべき重要な因子であ
る。この因子に対処するために、複数のHLA分子に高親和性または中親和性で
結合し得るペプチドの同定を包含するエピトープ選択が好ましくは利用され、最
も好ましくはこれらのエピトープは、高親和性または中親和性で2つ以上の対立
遺伝子特異的HLA分子に結合する。
【0074】 ワクチン組成物のための目的のCTL誘導性ペプチドとしては、クラスI H
LA分子についてのIC50または結合親和性値、好ましくは500nMまたは
それより優れた値(すなわち、その値は500nM以下である)を有するものが
挙げられる。HTL誘導性ペプチドとしては、クラスII HLA分子について
のIC50または結合親和性、、好ましくは1000nMまたはそれより優れた
値(すなわち、その値は1000nM以下である)を有するものが挙げられる。
例えばペプチド結合は、インビトロで精製HLA分子に結合する候補ペプチドの
能力を試験することにより評価される。次に、高親和性または中親和性を示すペ
プチドが、さらなる分析のために考慮される。選択されたペプチドは、スーパー
タイプファミリーの他のメンバーに対して試験される。好ましい実施形態では、
交差反応結合を示すペプチドは次に、細胞スクリーニング分析またはワクチンに
て用いられる。
【0075】 高いHLA結合親和性は、高い免疫原性と相関する(例えば、Setteら、
J.Immunol.153:5586−5592,1994;Chenら、J
.Immunol.152:2874−2881,1994;およびRessi
ngら、J.Immunol.154:5934−5943,1995)。より
高い免疫原性は、いくつかの異なる方法で表示され得る。免疫原性は、免疫応答
が少しでも惹起されるのか否か、および任意の特定の応答の強さ、ならびに応答
が惹起される集団の程度に対応している。例えばペプチドは、多様な群の集団に
て免疫応答を惹起し得るが、しかし強力な応答を生じることはない。さらに高結
合親和性ペプチドほど、より強力な免疫原性応答を引き起こす。その結果、高親
和性結合ペプチドまたは中親和性結合ペプチドが用いられる場合には、同様の生
物学的作用を惹起するために、より少ないペプチドしか必要とされない。したが
って本発明の好ましい実施形態では、高親和性結合エピトープまたは中親和性結
合エピトープが、特に有用である。
【0076】 HLAクラスI分子に対する結合親和性と結合した抗原上の別々のペプチドエ
ピトープの免疫原性との関係は、本発明人等により当該分野で初めて決定された
。結合親和性と免疫原性との相関は、2つの異なる実験アプローチで分析された
(例えば、Setteら、J.Immunol.153:5586−5592,
1994を参照のこと)。最初のアプローチでは、HLA結合親和性における1
0,000倍の範囲を超える潜在エピトープの免疫原性が、HLA−A020
1トランスジェニックマウスで分析された。第二のアプローチでは、全てA
201結合モチーフを保有している約100個の異なるB型肝炎ウイルス(HB
V)由来潜在エピトープの抗原性が、急性肝炎患者由来のPBLを用いて評価さ
れた。これらのアプローチにしたがって、親和性閾値約500nM(好ましくは
50nM以下)がCTL応答を惹起するペプチドエピトープの能力を決定すると
いうことを決定した。これらのデータは、天然でプロセシングされたペプチドに
ついてのクラスI結合親和性測定値、ならびに合成T細胞エピトープについての
クラスI結合親和性測定値に関しては、正しい。これらのデータは、T細胞応答
の決定に際しての決定基選択の重要な役割も示す(例えば、Schaeffer
ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:4649−465
3,1989を参照のこと)。
【0077】 HLAクラスII DR分子の状況での免疫原性に関連した親和性閾値も記述
されている(例えば、Southwoodら、J.Immunology 16
0:3363−3373,1998および同時係属中の米国特許出願第09/0
09,953号(1998年1月21日出願)を参照のこと)。DR結合親和性
の生物学的に有意の閾値を規定するために、それらの拘束エレメント(すなわち
モチーフを結合するHLA分子)に対する32DR拘束エピトープの結合親和性
のデータベースが編集された。約半数の例(32個のうちの15個のエピトープ
)において、DR拘束は高結合親和性(すなわち、100nM以下の結合親和性
値)に関連した。他の半数の例(32個のうち16個)では、DR拘束は中親和
性(100〜1000nM範囲の結合親和性値)に関連した。32例のうちの1
例のみにおいて、DR拘束は1000nM以上のIC50に関連した。したがっ
て1000nMは、DR分子の状況での免疫原性に関連した親和性閾値と規定さ
れ得る。
【0078】 腫瘍関連抗原の場合、ペプチドパルスされた標的細胞およびそのエピトープを
内因的に発現する腫瘍細胞標的を溶解するCTLを誘導することが示されている
多数のCTLペプチドエピトープが、200nM以下の結合親和性またはIC 値を示す。このようなTAAエピトープの小さな組の結合親和性および免疫原
性の関連を評価した研究では、高結合剤(すなわち50nM以下の親和性で結合
するペプチドエピトープ)の100%(10/10)が免疫原性であり、それら
の80%(8/10)が、腫瘍細胞を特異的に認識するCTLを惹起した。51
〜200nM範囲で、非常によく似た数値が得られた。アナログペプチドのつい
ては、野生型ペプチドおよび腫瘍細胞に対して陽性であるCTL誘導は、それぞ
れペプチドの86%(6/7)および71%(5/7)認められた。201〜5
00nM範囲では、ほとんどのペプチド(4/5野生型)が、野生型ペプチドを
認識するCTLの誘導に関して陽性であったが、腫瘍認識は検出されなかった。
【0079】 HLA分子に対するペプチドの結合親和性は、以下の実施例1に記載されてい
るように決定され得る。
【0080】 (IV.D.ペプチドエピトープ結合モチーフおよびスーパーモチーフ) 単一アミノ酸置換抗原アナログの研究、ならびに内因的に結合された天然でプ
ロセシングされたペプチドの配列決定により、HLA分子との対立遺伝子特異的
結合に必要とされる重要残基が同定されている。これらの残基の存在は、HLA
分子に対する結合親和性と相関する。高親和性結合および中親和性結合と相関す
るモチーフおよび/またはスーパーモチーフの同定は、ワクチン中の含入物のた
めの免疫原性ペプチドエピトープの同定に関して重要な問題である。Kast等
(J.Immunol.152:3904−3912,1994)は、モチーフ
保有ペプチドが対立遺伝子特異的HLAクラスI分子に結合するエピトープの9
0%を占めることを示した。この研究では、ヒトパピローマウイルス16型のE
6タンパク質およびE7タンパク質の全体配列を網羅する、9アミノ酸長の、か
つ、8個のアミノ酸を重複する考え得る全てのペプチド(240ペプチド)が、
異なる民族群間で高頻度で発現される5つの対立遺伝子特異的HLA分子との結
合に関して評価された。このペプチドの偏りのない組が、HLAクラスIモチー
フの予測値の評価を可能にした。240ペプチドの組から、22ペプチドが、高
親和性または中親和性で対立遺伝子特異的HLA分子に結合すると同定された。
これら22ペプチドのうち、20ペプチド(すなわち91%)がモチーフ保有性
であった。したがって、この研究は、ワクチン中に含めるためのペプチドエピト
ープの同定に関するモチーフの値を立証する。モチーフベースの同定技法の適用
は、標的抗原タンパク質配列中の潜在エピトープの約90%を同定する。
【0081】 このようなペプチドエピトープは、下記の表中で確認される。
【0082】 本発明のペプチドは、MHCクラスIIDR分子に結合するエピトープも含み
得る。そのペプチドのN末端およびC末端と比較して、モチーフのサイズおよび
結合フレーム位置の両方における、より度合いの高い不均一性が、クラスIIペ
プチドリガンドに存在する。HLAクラスIIペプチドリガンドのこの不均一性
の増大は、そのクラスI対応部分と違って両端で開いている、HLAクラスII
分子の結合溝(groove)の構造によるものである。HLAクラスIIDR
0101ペプチド複合体の結晶解析は、結合の主エネルギーが、DRB
101分子上の相補的ポケットと複合体化されたペプチド残基によるものである
ことを示した。重要なアンカー残基は、最も深い疎水性ポケットにかみ合い(例
えば、Madden,D.R.Ann.Rev.Immunol.13:587
,1995を参照のこと)、位置1(P1)と呼ばれる。P1はクラスII結合
ペプチドエピトープのN末端残基を表し得るが、さらに典型的には、1つ以上の
残基によりN末端方向に隣接される。他の研究は、種々のDR分子との結合に関
して、P1に対して、C末端方向への6番目の位置のペプチド残基に関する重要
な役割もまた指摘している。
【0083】 過去数年間、ほぼ重複するペプチド結合レパートリーならびに主ペプチド結合
ポケットのコンセンサス構造により各々特徴づけされる、多くのHLAクラスI
分子およびHLAクラスII分子が、比較的少数のスーパータイプに分類され得
ることを立証する証拠が蓄積されてきた。したがって本発明のペプチドは、いく
つかのHLA特異的アミノ酸モチーフ(例えば表I〜IIIを参照のこと)のい
ずれか1つによってか、またはそのモチーフの存在がいくつかの対立遺伝子特異
的HLA分子を結合する能力に対応する場合には、スーパーモチーフにより、同
定される。特定のアミノ酸スーパーモチーフを保有するペプチドに結合するHL
A分子は、集合的にHLA「スーパータイプ」と呼ばれる。
【0084】 下記の、ならびに表I〜IIIに要約されたペプチドモチーフおよびスーパー
モチーフは、本発明に従ったペプチドエピトープの同定および使用に関する指針
を提供する。
【0085】 スーパーモチーフおよび/またはモチーフ保有ペプチドエピトープの例は、表
VII〜XXに示されている。ペプチドエピトープ配列を得るために、前立腺癌
抗原PAP、PSA、PSM、およびhK2に対するタンパク質配列データ(表
VII〜XXにおいてカリクレインとして示される)は、示されたスーパーモチ
ーフまたはモチーフの存在について評価された。「位置」欄は、推定の第1のア
ミノ酸残基に対応するタンパク質配列における位置を示す。「アミノ酸の数」は
、エピトープ配列における残基の数を示す。表はまた、上部の欄に示される対立
遺伝子特異的HLA分子に対するいくつかのペプチドエピトープについて列挙さ
れる結合親和性比を含む。その比は、以下の式を用いてIC50に変換され得る
:標準ペプチドのIC50/比=試験ペプチド(すなわちペプチドエピトープ)
のIC50。クラスIペプチドに関する結合親和性を決定するために用いられる
標準ペプチドのIC50値は、表IVに示されている。クラスIIペプチドに関
する結合親和性を決定するために用いられる標準ペプチドのIC50値は、表V
に示されている。本明細書中に記載した結合アッセイのための標準として用いら
れるペプチドは、標準の例である。代替的標準ペプチドも、結合試験を実施する
場合に用いられ得る。
【0086】 表VII〜XXの各々に列挙したペプチドエピトープ配列を得るために、PS
A、PSM、PAP、およびHuKのアミノ酸配列は、示されるスーパーモチー
フまたはモチーフについて評価された。すなわち、それぞれのモチーフまたはス
ーパーモチーフの各々に関して表I(クラスIモチーフに関して)または表II
I(クラスIIモチーフに関して)に記述されたような一次アンカー残基の存在
に関して、アミノ酸配列が検索された。
【0087】 表中、モチーフおよび/またはスーパーモチーフ保有アミノ酸配列は、前立腺
抗原アミノ酸配列、および下に提供される番号付けに関して位置の数およびエピ
トープの長さによって同定される。「pos」(位置)欄は、エピトープの最初
のアミノ酸残基に対応する下の前立腺抗原配列タンパク質配列中のアミノ酸位置
を示す。「アミノ酸の数」は、エピトープ配列中の残基の数を、ひいてはエピト
ープの長さを示す。例えば表VIIに列挙した最初のペプチド配列は、PAPの
位置122で始まる11残基長の配列である。したがって、このエピトープのア
ミノ酸配列は、ALFPPEGVSIWである。同様に、表VIIにおける第1
のカリクレインは、位置147で始まり、そして11残基長である。従って、ア
ミノ酸配列は、ALGTTCYASGWである。
【0088】 表VII〜XXに示される結合データは、対立遺伝子特異的HLA分子と標識
された欄において相対結合比(上記)として表される。
【0089】 PSA(前立腺特異的抗原)
【0090】
【化1】 PAP(前立腺酸性ホスファターゼ)
【0091】
【化2】 PSM(前立腺特異的膜抗原)
【0092】
【化3】 カリクレイン(ヒトカリクレイン2、受託NM005551)
【0093】
【化4】 (CTL誘導ペプチドエピトープを示すHLAクラスIモチーフ) 下記のHLAクラスIペプチドエピトープスーパーモチーフおよびHLAクラ
スIペプチドエピトープモチーフの一次アンカー残基は、表Iに概説されている
。表I(a)に記述されたHLAクラスIモチーフは、本明細書中で特許請求さ
れる本発明に最も特に関連があるものである。一次アンカー位置および二次アン
カー位置は、表IIに概説されている。HLAクラスIスーパータイプファミリ
ーを含む対立遺伝子特異的HLA分子は、表VIに列挙されている。いくつかの
場合、ペプチドエピトープは、重複一次アンカー特異性が原因で、モチーフおよ
びスーパーモチーフの表の両方に列挙される。特定のモチーフおよびそれぞれの
スーパーモチーフの関係は、個々のモチーフの説明中に示されている。
【0094】 (IV.D.1.HLA−A1スーパーモチーフ) HLA−A1スーパーモチーフは、このエピトープの第2位における小さい(
TまたはS)または疎水性の(L、I、VまたはM)一次アンカー残基、ならび
にC末端位置での芳香族(Y、FまたはW)一次アンカー残基の、ペプチドリガ
ンド中の存在によって特徴付けられる。A1スーパーモチーフに結合するHLA
分子のこの対応するファミリー(すなわち、HLA−A1スーパータイプ)は、
少なくとも:A0101、A2601、A2602、A2501および
3201からなる(例えば、DiBrino,M.ら,J.Immunol
.151:5930,1993;DiBrino,M.ら,J.Immunol
.152:620,1994;Kondo,A.ら,Immunogeneti
cs 45:249,1997を参照のこと)。このA1スーパーファミリーの
メンバーであると予測される他の対立遺伝子特異的HLA分子を、表VIに示す
。これらの個々のHLAタンパク質の各々に結合するペプチドは、一次および/
または二次アンカー位置での置換(好ましくは、このスーパーモチーフに特定化
された各々の残基を選択して)によって調節され得る。
【0095】 A1スーパーモチーフを含む代表的ペプチドエピトープを、添付の表VIIに
示す。
【0096】 (IV.D.2.HLA−A2スーパーモチーフ) 対立遺伝子特異的HLA−A2.1分子に対する一次アンカー特異性(例えば
、Falkら,Nature 351:290−296,1991;Huntら
,Science 255:1261−1263,1992;Parkerら,
J.Immunol.149:3580−3587,1992;Ruppert
ら,Cell 74:929−937,1993参照)、ならびにHLA−A2
およびHLA−A28分子間の交差反応結合は、記載されている(関連データの
総説については、例えば、Fruciら,Human Immunol.38:
187−192,1993;Tanigakiら,Human Immnol.
39:155−162,1994;Del Guercioら,J.Immun
ol.154:685−693,1995;Kastら,J.Immunol.
152:3904−3912,1994を参照のこと)。これらの一次アンカー
残基は、HLA−A2スーパーモチーフを規定し;ペプチドリガンド中のその存
在は、いくつかの異なるHLA−A2およびHLA−A28分子を結合する能力
に対応する。このHLA−A2スーパーモチーフは、このエピトープの第2位の
一次アンカー残基としてL、I、V、M、A、TまたはQおよびこのエピトープ
のC末端位置の一次アンカー残基としてL、I、V、M、AまたはTを有する、
ペプチドリガンドを含む。
【0097】 HLA分子のこの対応するファミリー(すなわち、これらのペプチドを結合す
るHLA−A2スーパータイプ)は、少なくとも:A0201、A0202
、A0203、A0204、A0205、A0206、A0207、
0209、A0214、A6802およびA6901からなる。この
A2スーパーファミリーのメンバーであると予測される他の対立遺伝子特異的H
LA分子を、表VIに示す。以下で詳細に説明するように、これらの個々の対立
遺伝子特異的HLA分子の各々への結合は、一次アンカー位置および/または二
次アンカー位置での置換(好ましくは、このスーパーモチーフに特定化された各
々の残基を選択して)によって調節され得る。
【0098】 A2スーパーモチーフを含む代表的なペプチドエピトープを、添付の表VII
Iに示す。第2位に一次アンカー残基V、A、TまたはQおよびC末端位置に一
次アンカー残基L、I、V、AまたはTを含むこれらのモチーフは、本明細書中
の特許請求された本発明に最も特に関連があるモチーフである。
【0099】 (IV.D.3.HLA−A3スーパーモチーフ) HLA−A3スーパーモチーフは、このエピトープの第2位の一次アンカーと
してのA、L、I、V、M、SまたはTおよびこのエピトープのC末端位置(例
えば、9マーの第9位)の正荷電残基RまたはKの、ペプチドリガンド中の存在
により特徴付けられる(例えば、Sidneyら,Hum.Immunol.4
5:79,1996を参照のこと)。このA3スーパーモチーフに結合するHL
A分子のこの対応するファミリー(すなわち、HLA−A3スーパータイプ)の
メンバーの例としては、少なくとも:A0301、A1101、A310
1、A3301およびA6801が挙げられる。このA3スーパータイプの
メンバーであると予測される他の対立遺伝子特異的HLA分子を、表VIに示す
。以下で詳細に説明されるように、これらの個々の対立遺伝子特異的HLAタン
パク質の各々に結合するペプチドは、そのペプチドの一次および/または二次ア
ンカー位置でのアミノ酸の置換(好ましくは、このスーパーモチーフに特定化さ
れた各々の残基を選択して)によって調節され得る。
【0100】 このA3スーパーモチーフを含む代表的なペプチドエピトープを、添付の表I
Xに示す。
【0101】 (IV.D.4.HLA−A24スーパーモチーフ) HLA−A24スーパーモチーフは、このエピトープの第2位の一次アンカー
としての芳香族残基(F、WまたはY)または疎水性脂肪族残基(L、I、V、
MまたはT)およびこのエピトープのC末端位置の一次アンカーとしてのY、F
、W、L、IまたはMの、ペプチドリガンド中の存在により特徴付けられる(例
えば、SetteおよびSidney,Immunogenetics 199
9 Nov;50(3−4):201−12,Reviewを参照のこと)。こ
のA24スーパーモチーフに結合するHLA分子のこの対応するファミリー(す
なわち、A24スーパータイプ)としては、少なくとも:A2402、A
001およびA2301が挙げられる。このA24スーパータイプのメンバー
であると予測される他の対立遺伝子特異的HLA分子を、表VIに示す。これら
の対立遺伝子特異的HLA分子の各々に結合するペプチドは、一次および/また
は二次アンカー位置での置換(好ましくは、このスーパーモチーフに特定化され
た各々の残基を選択して)によって調節され得る。
【0102】 このA24スーパーモチーフを含む代表的なペプチドエピトープを、添付の表
Xに示す。
【0103】 (IV.D.5.HLA−B7スーパーモチーフ) HLA−B7スーパーモチーフは、このエピトープの一次アンカーとして第2
位におけるプロリンならびにこのエピトープのC末端位置での一次アンカーとし
て疎水性または脂肪族アミノ酸(L、I、V、M、A、F、WまたはY)を保有
するペプチドによって、特徴付けられる。このB7スーパーモチーフに結合する
HLA分子のこの対応するファミリー(すなわち、HLA−B7スーパータイプ
)は、少なくとも:B0702、B0703、B0704、B0705
、B1508、B3501、B3502、B3503、B3504、
3505、B3506、B3507、B3508、B5101、B 5102、B5103、B5104、B5105、B5301、B 5401、B5501、B5502、B5601、B5602、B
701およびB7801を含む、少なくとも26個のHLA−Bタンパク質か
らなる(関連データの総説については、例えば、Sidneyら,J.Immu
nol.154:247,1995;Barberら,Curr.Biol.5
:179,1995;Hillら,Nature 360:434,1992;
Rammenseeら,Immunogenetics 41:178,199
5を参照のこと)。このB7スーパータイプのメンバーであると予測される他の
対立遺伝子特異的HLA分子を、表VIに示す。以下で詳細に説明されるように
、これらの個々の対立遺伝子特異的HLAタンパク質の各々に結合するペプチド
は、このペプチドの一次および/または二次アンカー位置での置換(好ましくは
、スーパーモチーフに特定化された各々の残基を選択して)によって調節され得
る。
【0104】 このB7スーパーモチーフを含む代表的なペプチドエピトープを、添付の表X
Iに示す。
【0105】 (IV.D.6.HLA−B27スーパーモチーフ) HLA−B27スーパーモチーフは、このエピトープの第2位での一次アンカ
ーとしての正荷電(R、HまたはK)残基およびこのエピトープのC末端位置で
の一次アンカーとしての疎水性(F、Y、L、W、M、I、AまたはV)残基の
、ペプチドリガンド中の存在により特徴付けられる(例えば、Sidneyおよ
びSette,J.Immunogenetics 1999 Nov;50(
3−4):201−12,Reviewを参照のこと)。このB27スーパーモ
チーフに結合するHLA分子のこの対応するファミリー(すなわち、B27スー
パータイプ)の例示的メンバーとしては、少なくとも:B1401、B14
02、B1509、B2702、B2703、B2704、B270
5、B2706、B3801、B3901、B3902およびB73
01が挙げられる。このB27スーパータイプのメンバーであると予測される他
の対立遺伝子特異的HLA分子を、表VIに示す。この対立遺伝子特異的HLA
分子の各々に結合するペプチドは、一次および/または二次アンカー位置での置
換(好ましくは、スーパーモチーフに特定化された各々の残基を選択して)によ
って調節され得る。
【0106】 このB27スーパーモチーフを含む代表的なペプチドエピトープを、添付の表
XIIに示す。
【0107】 (IV.D.7.HLA−B44スーパーモチーフ) HLA−B44スーパーモチーフは、このエピトープの第2位での一次アンカ
ーとしての負荷電(DまたはE)残基およびこのエピトープのC末端位置での一
次アンカーとしての疎水性残基(F、W、Y、L、I、M、VまたはA)の、ペ
プチドリガンド中の存在によって特徴付けられる(例えば、Sidneyら,I
mmunol.Today 17:261,1996を参照のこと)。このB4
4スーパーモチーフに結合するHLA分子のこの対応するファミリー(すなわち
、B44スーパータイプ)の例示的なメンバーとしては、少なくとも:B18
01、B1802、B3701、B4001、B4002、B400
6、B4402、B4403およびB4404が挙げられる。これらの対
立遺伝子特異的HLA分子の各々に結合するペプチドは、一次および/または二
次アンカー位置での置換(好ましくは、このスーパーモチーフに特定化された各
々の残基を選択して)によって調節され得る。
【0108】 (IV.D.8.HLA−B58スーパーモチーフ) HLA−B58スーパーモチーフは、このエピトープの第2位での一次アンカ
ー残基としての小さい脂肪族残基(A、SまたはT)およびこのエピトープのC
末端位置での一次アンカー残基としての芳香族または疎水性残基(F、W、Y、
L、I、V、MまたはA)の、ペプチドリガンド中の存在によって特徴付けられ
る(例えば、SidneyおよびSette,Immunogenetics
1999 Nov; 50(3−4):201−12,Reviewを参照のこ
と)。このB58スーパーモチーフに結合するHLA分子のこの対応するファミ
リー(すなわちB58スーパータイプ)の例示的なメンバーとしては、少なくと
も:B1516、B1517、B5701、B5702およびB58
01が挙げられる。このB27スーパータイプのメンバーであると予測される他
の対立遺伝子特異的HLA分子を、表VIに示す。これらの対立遺伝子特異的H
LA分子の各々に結合するペプチドは、一次および/または二次アンカー位置で
の置換(好ましくは、このスーパーモチーフに特定化された各々の残基を選択し
て)によって調節され得る。
【0109】 このB58スーパーモチーフを含む代表的なペプチドエピトープを、添付の表
XIIに示す。
【0110】 (IV.D.9.HLA−B62スーパーモチーフ) HLA−B62スーパーモチーフは、このエピトープの第2位での一次アンカ
ーとしての極性脂肪族残基Qまたは疎水性脂肪族残基(L、V、M、IまたはP
)およびこのエピトープのC末端位置での一次アンカーとしての疎水性残基(F
、W、Y、M、I、V、LまたはA)の、ペプチドリガンド中の存在によって特
徴付けられる(例えば、SidneyおよびSette,Immunogene
tics 1999 Nov;50(3−4):201−12,Reviewを
参照のこと)。このB62スーパーモチーフに結合するHLA分子のこの対応す
るファミリー(すなわち、B62スーパータイプ)の例示的なメンバーとしては
、少なくとも:B1501、B1502、B1513およびB5201
が挙げられる。このB62スーパータイプのメンバーであると予測される他の対
立遺伝子特異的HLA分子を、表VIに示す。これらの対立遺伝子特異的HLA
分子の各々に結合するペプチドは、一次および/または二次アンカー位置での置
換(好ましくは、このスーパーモチーフに特定化された各々の残基を選択して)
によって調節され得る。
【0111】 このB62スーパーモチーフを含む代表的なペプチドエピトープを、添付の表
XIVに示す。
【0112】 (IV.D.10.HLA−A1モチーフ) HLA−A1モチーフは、このエピトープの第2位での一次アンカー残基とし
てのT、SまたはMおよびこのエピトープのC末端位置での一次アンカー残基と
してのYの、このペプチドリガンドにおける存在によって特徴付けられる。代替
的な対立遺伝子特異的A1モチーフは、第2位ではなくむしろ第3位での一次ア
ンカー残基によって特徴付けられる。このモチーフは、このエピトープの第3位
での一次アンカー残基としてのD、E、AまたはSおよびこのエピトープのC末
端位置での一次アンカー残基としてのYの存在によって特徴付けられる(関連デ
ータの総説については、例えば、DiBrinoら,J.Immunol.,1
52:620,1994;Kondoら,Immunogenetics 45
:249,1997;およびKuboら,J.Immunol.152:391
,1994を参照のこと)。HLA−A1に結合するペプチドは、一次および
/または二次アンカー位置での置換(好ましくは、このモチーフに特定化された
各々の残基を選択して)によって調節され得る。
【0113】 いずれかのA1モチーフを含む代表的なペプチドエピトープを、添付の表XV
に示す。第2位にT、SまたはMそしてC末端位置にYを含むエピトープはまた
、これらの残基が、A1スーパーモチーフのサブセットであるので、表VIIに
列挙されるHLA−A1スーパーモチーフ保有ペプチドエピトープのリストに含
まれる。
【0114】 (IV.D.11.HLA−A0201モチーフ) HLA−A20201モチーフは、9残基ペプチドの第2位での一次アンカ
ー残基としてのLまたはMおよび9残基ペプチドのC末端位置での一次アンカー
残基としてのLまたはVの、ペプチドリガンド中の存在によって特徴付けられる
ことが決定され(例えば、Falkら,Nature 351:290−296
,1991を参照のこと)、そしてさらに、9アミノ酸ペプチドの第2位でIお
よびC末端位置でIまたはAを含むことが見出された(例えば、Huntら,S
cience 255:1261−1263,March 6,1992;Pa
rkerら,J.Immunol.149:3580−3587,1992を参
照のこと)。このA0201対立遺伝子特異的モチーフは、このエピトープの
第2位に一次アンカー残基としてV、A、TまたはQおよびこのエピトープのC
末端位置に一次アンカー残基としてMまたはTをさらに含むことが、本発明者ら
によって規定された(例えば、Kastら,J.Immunol.152:39
04−3912,1994を参照のこと)。従って、HLA−A0201モチ
ーフは、このエピトープの第2位に一次アンカー残基としてL、I、V、M、A
、TまたはQおよびこのエピトープのC末端位置に一次アンカー残基としてL、
I、V、M、AまたはTを有する、ペプチドリガンドを含む。このHLA−A 0201モチーフの一次アンカー位置を特徴付ける、これらの好ましくかつ許容
される残基は、A2スーパーモチーフを説明する残基と同一である(関連データ
の総説については、例えば、del Guercioら,J.Immunol.
154:685−693,1995;Ruppertら,Cell 74:92
9−937,1993;Sidneyら,Immunol.Today 17:
261−266,1996;SetteおよびSidney,Curr.Opi
n.in Immunol.10:478−482,1998を参照のこと)。
このA0201モチーフを特徴付ける二次アンカー残基が、さらに規定されて
いる(例えば、Ruppertら,Cell 74:929−937,1993
を参照のこと)。これらは、表IIに示されている。HLA−A0201分子
に結合するペプチドは、一次および/または二次アンカー位置での置換(好まし
くは、このモチーフに特定化された各々の残基を選択して)によって調節され得
る。
【0115】 A0201モチーフを含む代表的なペプチドエピトープを、添付の表VII
Iに示す。第2位に一次アンカー残基V、A、TまたはQおよびC末端位置に一
次アンカー残基L、I、V、AまたはTを含むA0201モチーフは、本明細
書における特許請求された本発明に最も特に関連があるモチーフである。
【0116】 (IV.D.12.HLA−A3モチーフ) HLA−A3モチーフは、このエピトープの第2位での一次アンカー残基とし
てのL、M、V、I、S、A、T、F、C、GまたはDおよびこのエピトープの
C末端位置での一次アンカー残基としてのK、、R、H、FまたはAの、ペプ
チドリガンド中の存在によって特徴付けられる(例えば、DiBrinoら,P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 90:1508,1993;お
よびKuboら,J.Immunol.152:3913−3924,1994
を参照のこと)。HLA−A3に結合するペプチドは、一次および/または二次
アンカー位置での置換(好ましくは、このモチーフに特定化された各々の残基を
選択して)によって調節され得る。
【0117】 このA3モチーフを含む代表的なペプチドエピトープを、添付の表XVIに示
す。このA3スーパーモチーフも含むペプチドエピトープはまた、表IXに列挙
される。このA3スーパーモチーフ一次アンカー残基は、A3−およびA11−
対立遺伝子特異的モチーフのサブセットを含む。
【0118】 (IV.D.13.HLA−A11モチーフ) HLA−A11モチーフは、このエピトープの第2位での一次アンカー残基と
してのV、T、M、L、I、S、A、G、N、C、DまたはFおよびこのエピト
ープのC末端位置での一次アンカー残基としてのK、R、YまたはHの、ペプチ
ドリガンドにおける存在によって特徴付けられる(例えば、Zhangら,Pr
oc.Natl.Acad. Sci.USA 90:2217−2221,1
993;およびKuboら, J.Immunol.152:3913−392
4,1994を参照のこと)。HLA−A11に結合するペプチドは、一次およ
び/または二次アンカー位置での置換(好ましくは、このモチーフに特定化され
た各々の残基を選択して)によって調節され得る。
【0119】 このA11モチーフを含む代表的なペプチドエピトープを、添付の表XVII
に示す。A3対立遺伝子特異的モチーフを含むペプチドエピトープもまた、A3
モチーフ一次アンカー特異性とA11モチーフ一次アンカー特異性との間の広範
な重複に起因してこの表に示される。さらにA3スーパーモチーフを含むペプチ
ドエピトープもまた、表IXに列挙される。
【0120】 (IV.D.14.HLA−A24モチーフ) HLA−A24モチーフは、このエピトープの第2位での一次アンカー残基と
してのY、F、WまたはMおよびこのエピトープのC末端位置での一次アンカー
残基としてのF、L、IまたはWの、ペプチドリガンドにおける存在によって特
徴付けられる(例えば、Kondoら,J.Immunol.155:4307
−4312,1995;およびKuboら,J.Immunol.152:39
13−3924,1994を参照のこと)。HLA−A24分子に結合するペプ
チドは、一次および/または二次アンカー位置での置換(好ましくは、このモチ
ーフに特定化された各々の残基を選択して)によって調節され得る。
【0121】 このA24モチーフを含む代表的なペプチドエピトープを、添付の表XVII
Iに示す。これらのエピトープは、このA24対立遺伝子特異的モチーフを特徴
付ける一次アンカー残基が、A24スーパーモチーフ一次アンカー残基のサブセ
ットを含むので、表X(HLA−A24−スーパーモチーフ保有ペプチドエピト
ープを示す)にも列挙される。
【0122】 (クラスII HTL誘導ペプチドエピトープを示すモチーフ) 以下で記載されるHLAクラスIIペプチドエピトープスーパーモチーフおよ
びHLAクラスIIペプチドエピトープモチーフの一次および二次アンカー残基
を、表IIIに要約する。
【0123】 (IV.D.15.HLA DR−1−4−7スーパーモチーフ) 3つの共通HLAクラスII対立遺伝子特異的HLA分子:HLA DRB1 0401、DRB10101およびDRB10701に結合するペプチド
に関しても、モチーフは同定されている(例えばSouthwoodら、J.I
mmunology 160:3363−3373,1998による概説を参照
)。集合的に、これらのモチーフからの共通の残基は、HLA DR−1−4−
7スーパーモチーフを記述する。これらのDR分子に結合するペプチドは、位置
1における一次アンカー残基としての大型芳香族または疎水性残基(Y、F、W
、L、I、VまたはM)、ならびに9マーコア領域の位置6における一次アンカ
ー残基としての小非荷電残基(S、T、C、A、P、V、I、LまたはM)によ
り特徴付けられるスーパーモチーフを保有する。対立遺伝子特異的二次作用およ
びこれらのHLA型の各々に関する二次アンカーも同定されている(South
wood et al.、上記)。これらは、表IIIに記載されている。HL
A−DRB10401、DRB10101および/またはDRB1070
1に結合するペプチドは、一次および/または二次アンカー位置での置換により
調整されることができ、好ましくはスーパーモチーフに特異化されるそれぞれの
残基を選択する。
【0124】 DR−1−4−7スーパーモチーフを含む代表的な9マーペプチド配列(スー
パーモチーフの位置1が9残基コアの位置1にある)は、表XIXに示す。各配
列について、「タンパク質」欄は、前立腺関連抗原(すなわち、PSA、PSM
、PAP、またはHuK2(カリクレイン))を示す。「位置」欄は、コア配列
の第1のアミノ酸残基に対応する前立腺抗原タンパク質配列におけるアミノ酸位
置を示す。コア配列は、全て9残基長である。例えば、表XIXに列挙される第
1のPSM配列は、9残基長のコア配列であり、本明細書中に提供されるPSM
アミノ酸配列の位置611で開始する。従って、コア配列のアミノ酸配列は、I
YSISMKHPである。9残基コアを含む15アミノ酸長の例示的なエピトー
プは、、9残基コアの側面にある各側で3残基を含む。例えば、PSMの位置6
11でコアエピトープを含む、15アミノ酸残基長の例示的エピトープは、AD
KIYSISMKHPQEMである。
【0125】 コア配列を含むHTLエピトープはまた、15アミノ酸以外の長さであり得る
(上記)。例えば、本発明のエピトープは、各側で9残基のすぐ近くに隣接する
9残基コアおよび1,2,3(例示的な15マーにおいて)、4、または5個の
フランキング残基を含む配列を含む。
【0126】 (IV.D.16.HLA DR3モチーフ) 2つの代替的モチーフ(すなわちサブモチーフ)は、HLA−DR3分子に結
合するペプチドエピトープを特徴付ける(例えば、Gelukら、J.Immu
nol.152:5742,1994参照)。第一のモチーフ(サブモチーフD
R3a)では、大型疎水性残基(L、I、V、M、FまたはY)が9マーコアの
アンカー位置1に存在し、そしてDがエピトープのカルボキシル末端に向けて、
位置4にアンカーとして存在する。その他のクラスIIモチーフの場合と同様に
、コア位置1がペプチドN末端位置を占めることもあるし、そうでないこともあ
る。
【0127】 代替的DR3サブモチーフは、エピトープのカルボキシル末端に向かう位置6
での正電荷の存在により、アンカー位置1での大型疎水性残基の欠如に、および
/または位置4での負荷電またはアミド様アンカー残基の欠如に備える。従って
代替的対立遺伝子特異的DR3モチーフ(サブモチーフDR3b)に関しては:
L、I、V、M、F、Y、AまたはYがアンカー位置1に存在し;D、N、Q、
E、SまたはTがアンカー位置4に存在し;そしてK、RまたはHがアンカー位
置6に存在する。HLA−DR3に結合するペプチドは、一次および/または二
次アンカー位置での置換により調整されることができ、好ましくはそのモチーフ
に特異化されるそれぞれの残基を選択する。
【0128】 DR3aまたはDR3bサブモチーフ(モチーフの位置1が9残基コアの位置
1である)を含む9残基配列に対応する、ペプチドエピトープ9マーコア領域は
、表XXaおよびbに記載されている。各配列に関して、「タンパク質」欄は、
前立腺関連抗原(すなわち、PSA、PSM、PAP、またはHuK2(カリク
レイン))を示す。「位置」欄は、コア配列の第1のアミノ酸残基に対応する前
立腺抗原タンパク質配列におけるアミノ酸位置を示す。コア配列は、全て9残基
長である。例えば、表XXaに列挙される第1の配列は、9残基長のコア配列で
あり、本明細書中に提供されるPAPアミノ酸配列の位置124で開始する。従
って、コア配列のアミノ酸配列は、FPPEGVSIWである。9残基コアを含
む15アミノ酸長の例示的なエピトープは、9残基コアの側面にあるいずれかの 側で3残基を含む。例えば、PAPの位置124でコアエピトープを含む、15
アミノ酸長の例示的エピトープは、AALFPPEGVSIWNPIである。
【0129】 コア配列を含むHTLエピトープはまた、15アミノ酸以外の長さであり得る
(上記)。例えば、本発明のエピトープは、各側で9残基のすぐ近くに隣接する
9残基コアおよび1,2,3(例示的な15マーにおいて)、4、または5個の
フランキング残基を含む配列を含む。
【0130】 本明細書中に記載されているように同定されたHLAクラスIまたはクラスI
Iペプチドエピトープの各々は、単にこの出願の本発明の一態様であるとみなさ
れる。さらに各ペプチドエピトープが任意のその他のペプチドエピトープと組合
せて用いられ得るということも、本出願の発明の一態様である。
【0131】 (IV.E.ワクチンの強化集団適用範囲) 商業的により発展可能であり、そして一般的にほとんどの人々に適用可能であ
るために、広範な集団適用範囲を有するワクチンが好ましい。広範な集団適用範
囲は、全体的に考えた場合に、ほとんどの集団に存在するHLA対立遺伝子に結
合するペプチドエピトープを選択することにより、本発明のペプチド(ならびに
/またはこのようなペプチドをコードする核酸組成物)を用いて得られる。表
XXIは、種々の民族におけるHLAクラスIスーパータイプの全体的頻度(表
XXIa)ならびに、A2−、A3−およびB7−スーパータイプ(表XXIb
)により達成された併合集団適用範囲を示す。A2−、A3−およびB7スーパ
ータイプは、これら5つの主要民族群の各々において平均で40%を超えて各々
存在する。80%という過剰の適用範囲は、これらのスーパーモチーフの組合せ
により達成される。これらの結果は、有効かつ民族的偏りのない集団適用範囲が
、限定数の交差反応性ペプチドの使用時に達成されることを示唆する。これら3
つの主要ペプチド特異性により達成された集団適用範囲は高いが、付加的スーパ
ーモチーフまたは対立遺伝子特異的モチーフ保有ペプチドの使用時には、95%
およびそれ以上の集団適用範囲に達するよう、そして真の多特異的応答をさらに
容易に達成するよう、適用範囲は拡張され得る。
【0132】 B44−スーパータイプ、A1−スーパータイプおよびA24−スーパータイ
プは、これらの主要民族集団中に平均で25%〜40%の範囲で各々存在する(
表XXIa)。全体的に低流布性であるが、しかしB27−、B58−およびB
62スーパータイプは各々、少なくとも1つの主要民族群中に25%より大きい
頻度で存在する(表XXIa)。表XXIbは、5つの主要民族群で同定された
HLAスーパータイプの組合せの流布概算値を概説する。A2、A3およびB7
適用範囲へのA1スーパータイプ、A24スーパータイプおよびB44スーパー
タイプの含入により得られた適用範囲増分、ならびに本明細書中に記載された全
てのスーパータイプを用いて得られた適用範囲が示されている。
【0133】 A2−、A3−およびB7スーパータイプの従来の定義と一緒に本明細書中に
提示されたデータは、全ての抗原(A29、B8およびB46は考え得る例外と
して)が全部で9つのHLAスーパータイプに分類され得ることを示す。6つの
最も高頻度のスーパータイプからのエピトープを含入することにより、99%と
いう平均集団適用範囲が5つの主要民族群に関して得られる。
【0134】 (IV.F.免疫応答刺激ペプチドアナログ(類似体、類縁体)) 概して、全体の抗原に対するCTLおよびHTL応答は、全ての考え得るエピ
トープに対して向けられるというわけではない。むしろそれらは2〜3の「腫瘍
抗原」決定基(immunodominant determinant)に拘
束される(Zinkernagel,ら、Adv.Immunol.27:51
59,1979;Bennik,ら、J.Exp.Med.168:1935−
1939,1988;Rawle,ら、J.Immunol.146:3977
−3984,1991)。イムノドミナン(immunodominance )(Benacerraf,ら、Science 175:273−279,1
972)は、特定のHLAタンパク質を選択的に結合する(決定因子選択理論)
(Vitiello,ら、J.Immunol.131:1635,1983;
Rosenthalら、Nature 267:156〜158,1977)ま
たは既存のTCR(T細胞受容体)特異性により選択的に認識される(レパート
リー理論)(Klein,J.,IMMUNOLOGY,THE SCIENC
E OF SELF/NONSELF DISCRIMINATION,John
Wiley & Sons,New York,pp.270−310,19
82)所定のエピトープの能力のいずれかにより説明され得る。主としてプロセ
シング事象に結び付けられる付加的因子も、厳密な免疫原性を越えて、多数の考
え得る決定因子が主要抗原決定基として存在することを指令する場合に重要な役
割を演じ得る、ということが立証されている(Sercarz,ら、Annu.
Rev.Immunol.11:729−766,1993)。
【0135】 組織特異性および発生性TAAは、少なくともいくつかの時点で、または身体
内の少なくともいくつかの位置で正常組織上に発現されるため、それらに対する
T細胞、特にドミナント(dominant)エピトープは免疫監視中に排除さ
れ、そして寛容が誘導される、と予測され得る。しかしながら正常ドナーと癌患
者の両方において腫瘍エピトープに対するCTL応答が検出されており、これは
寛容が不完全であることを示し得る(例えば、Kawashimaら、Hum.
Immunol.59:1,1998;Tsang,J.Natl.Cance
r Inst.87:82−90,1995;Rongounら、J.Immu
nol.163:1037,1999参照)。従って免疫寛容は、高親和性HL
AクラスI結合ペプチドを認識し得るCTL前駆体を完全には排除または不活性
化しない。
【0136】 寛容を克服するためのさらに別の戦略は、アナログ(類似体)ペプチドを用い
ることである。理論によって束縛されることを意図しないが、ドミナント(do
minant)エピトープに対するT細胞はクローン的に欠失されるため、サ
ブドミナント(subdominant)エピトープの選択が既存のT細胞を必
要にさせ、これが次に治療的または予防的応答をもたらすことが考えられる。
しかしながらサブドミナント(subdominant)エピトープとのHLA
分子の結合は、しばしばドミナント(dominant)エピトープとの結合よ
りも低強硬(vigorous)である。従って、1つまたはそれ以上のHLA
分子に対する特定の免疫原性エピトープの結合親和性を調整し、それにより、例
えばより強力な(vigorous)応答を引き出すアナログ(類似体)ペプチ
ドを調製するよう、ペプチドにより引き出される免疫応答を調整し得る必要があ
る。
【0137】 上記のスクリーニング手法により、スーパーファミリーの全ての対立遺伝子間
の適した交差反応性を有するペプチドが同定されているが、しかし交差反応性は
いつもできるだけ完全であるというわけではなく、ある場合には、ペプチドの交
差反応性を増大するための手法が有用であり得るさらにこのような手法は、結
合親和性またはペプチド安定性のようなペプチドの他の特性を改質するためにも
用いられ得る。所定のモチーフまたはスーパーモチーフ内のHLA対立遺伝子に
対するペプチドの交差反応性を支配する一般原則が確立されれば、より広範な(
あるいはそうでなければ修飾された)HLA結合能力を達成するために、当該特
定の目的のペプチドの構造の修飾(すなわちアナログ(類似体)化)が実施され
得る。より詳細には、最も広範な交差反応性パターンを示すペプチドが、本明細
書中の教示に従って生成され得る。アナログ(類似体)生成に関連した本発明の
概念は、米国同時係属出願の第09/226,775号(1999年1月6日 )により詳細に記載されている。
【0138】 要するに、用いられる戦略は、ある種のHLA分子との結合と相関するモチー
フまたはスーパーモチーフを利用する。モチーフまたはスーパーモチーフは、一
次アンカーを、多くの場合には、二次アンカーを有することにより規定される。
アナログ(類似体)ペプチドは、一次アンカー、二次アンカーでのまたは一次お
よび二次アンカー位置のアミノ酸残基を置換することにより作製され得る。一般
にアナログ(類似体)は、モチーフまたはスーパーモチーフをすでに保有するペ
プチドに対して作製される。HLAクラスIおよびクラスII結合ペプチドに関
して規定されていたスーパーモチーフおよびモチーフの好ましい二次アンカー残
基は、それぞれ表IIおよびIIIに示される。
【0139】 本発明に従う多数のモチーフまたはスーパーモチーフに関して、対立遺伝子特
異的HLA分子、あるいはそれぞれのモチーフまたはスーパーモチーフを結合す
るHLAスーパータイプのメンバーに結合することが有害である残基が規定され
る(表IIおよびIII)。従って結合に有害であるこのような残基の除去が、
本発明に従って実施され得る。例えばA3スーパータイプの場合には、このよう
な有害残基を有する全てのペプチドが、分析に用いられるペプチドの集団から除
去されると、交差反応性の発生率は、22%から37%に増大した(例えば、S
idney,J.ら、Hu.Immunol.45:79,1996参照)。従
って、所定のスーパーモチーフ内のペプチドの交差反応性を改善するための一戦
略は、単に、ペプチド内に存在する1つ以上の有害残基を欠失させ、そして小「
中性」残基、例えばAla(ペプチドのT細胞認識に影響を及ぼし得ない)を置
換することである。ペプチド内の有害残基の排除とともに、対立遺伝子特異的H
LA分子とのまたはスーパーファミリー内の数のHLA分子との高親和性結合
に関連した「好ましい」残基が挿入される場合に、交差反応性強化の可能性が、
予期される。
【0140】 アナログ(類似体)ペプチドが、ワクチンとして用いられる場合、インビボで
ネイティブな(native)エピトープに対するCTL応答を実際に惹起する
(またはクラスIIエピトープの場合は、野生型ペプチドと交差反応するヘルパ
ーT細胞を惹起する)ことを保証するために、アナログ(類似体)ペプチドが、
適切なHLA対立遺伝子個体からインビトロでT細胞を免疫化するために用い
られ得る。その後、野生型ペプチド感作標的細胞の溶解を誘導する免疫化細胞の
能力が評価される。それは、内因的に産生された抗原が関連T細胞によっても認
識されるか否かを確定するために、適切な遺伝子で感染されたかまたはトランス
フェクトされた細胞であるか、あるいはクラスIIエピトープ場合には、全タ
ンパク質抗原でパルスされた細胞のいずれかである抗原提示細胞として用いるの
が望ましい。
【0141】 本発明の別の実施形態は、弱結合ペプチドのアナログ(類似体)を作製し、そ
れにより適正数の交差反応性細胞結合剤を保証することである。500〜500
0nMの結合親和性を示し、かつ許容可能であるが、一方または両方の位置に最
適下限の一次アンカー残基を保有するクラスI結合ペプチドは、それぞれのスー
パータイプに従って好ましいアンカー残基を置換することにより「固定」され得
る。次に、アナログ(類似体)ペプチドは交差結合活性に関して試験され得る。
【0142】 有効なペプチドアナログ(類似体)を生成するための別の実施形態は、例えば
液体環境中でのペプチド安定性または溶解性に悪影響を及ぼす残基の置換を包含
する。この置換は、ペプチドエピトープの任意の位置で起こり得る。例えばシス
テインはαアミノ酪酸(本明細書中に列挙したペプチド配列に関する一文字略語
で「B」)を選択して置換され得る。その化学的性質のために、システインはジ
スルフィド架橋を形成する傾向を有し、そして結合能力を低減するのに十分なだ
けペプチドを構造的に変える。システインの代わりにα−アミノ酪酸を置換する
と、この問題が改善されるだけでなく、ある場合には結合および交差結合能力が
実際に改良される(例えば、Setteら:Persistent Viral
Infections,.R.Ahmed and I.Chen,Joh
n Wiley & Sons,England,1999による概説を参照)
【0143】 (IV.G.スーパーモチーフ保有エピトープまたはモチーフ保有エピトープ に関する疾患関連抗原からのタンパク質配列のコンピュータースクリーニング) 標的抗原中のスーパーモチーフ保有ペプチドまたはモチーフ保有ペプチドを同
定するために、ネイティブなタンパク質配列、例えば腫瘍関連抗原、あるいは
染生物体、または移植用ドナー組織由来の配列は、配列内のスーパーモチーフま
たはモチーフの存在を確定するために、知的計算またはコンピューターのような
演算のための手段を用いて、スクリーニングされる。ネイティブなペプチドの分
析から得られる情報は、ネイティブなペプチドの状態を評価するために直接用い
られ得るか、またはその後ペプチドエピトープを生成するために利用され得る。
【0144】 対象スーパーモチーフまたはモチーフの発生に関するタンパク質配列の迅速ス
クリーニングを可能にするコンピュータープログラムが、アナログ(類似体)ペ
プチドの生成を可能にするプログラムと同様に、本発明に包含される。これらの
プログラムは、任意の同定されたアミノ酸配列を分析するか、あるいは未知の配
列に関して作動し、同時に配列を確定して、そのモチーフ保有エピトープを同定
するために実行される。アナログ(類似体)も同様に同時に確定され得る。一般
に同定された配列は、病原性生物体または腫瘍関連ペプチド由来である。本発明
において、標的TAA分子としては、PSA、PSM、PAP、およびhK2が
挙げられるが、これらに限定されない。
【0145】 ペプチド結合の予測のために利用される選択判定基準は、実際の結合と最も効
率的に相関するためにできるだけ正確であることが重要である。適切な一次アン
カーの存在に基づいた、例えばHLA−A0201に結合するペプチドの予測
は、約30%の割合で有望である(例えば、Ruppert,J.ら、Cell
74:929,1993参照)。しかしながら、本明細書中に開示されるペプ
チド−HLA結合データ、関連特許出願中のデータおよび当該技術のデータを広
範に分析することにより、本発明者らは、一次アンカー残基の単独での存在を基
礎にした同定を上回って予測値を劇的に増大する多数の対立遺伝子特異的多項式
アルゴリズムを開発した。これらのアルゴリズムは、一次アンカーの存在または
非存在だけでなく、二次アンカー残基(異なる位置での異なるアミノ酸の影響を
説明するため)の肯定的または有害な存在も考慮に入れる。アルゴリズムは本質
的には、ペプチド−HLA相互作用の全親和性(または△G)が以下の型の一次
多項式関数として概算され得るという仮定に基づく: △G=a1ixa2ixa3i・・・・xani (式中、a1iは、n個のアミノ酸のペプチドの配列に沿って所定位置(i)で
の所定アミノ酸(j)の存在の影響を表す係数である)。この方法の重要な仮定
は、各位置での影響が本質的に互いに無関係であるということである。この仮定
は、ペプチドがHLA分子に結合され、かつ本質的に拡張配座におけるT細胞に
より認識されることを立証する研究により正当化される。特定のアルゴリズム係
数の誘導は、例えば、Gulukota,K.ら、J.Mol.Biol.26
7:1258,1997に記載されている。
【0146】 また特異的モチーフを使用する好ましいペプチド配列を同定するためのさらに
別の方法としては、ニューラルネットワークおよび分子モデリングプログラムの
使用が挙げられる(例えば、Milikら、Nature Biotechno
logy 16:753,1998;Altuviaら、Hum.Immuno
l.58:1,1997;Altuviaら、J.Mol.Biol.249:
244,1995;Buus,S.Curr.Opin.Immunol.11
:209−213,1999;Brusic,V.ら、Bioinformat
ics 14:121−130,1998;Parkerら、J.Immuno
l.152:163,1993;Meisterら、Vaccine 13:5
81,1995;Hammerら、J.Exp.Med.180:2353,1
994;Sturnioloら、Nature Biotechnol.17:
555,1999参照)。
【0147】 例えば、少なくとも1つの好ましい二次アンカー残基を含有するA0201
モチーフ保有ペプチドのセット中では、任意の有害な二次アンカー残基の存在を
回避する一方で、ペプチドの69%がA0201を結合し、IC50は500
nM未満である、ということが示されている(Ruppert,J.ら、Cel
l 74:929,1993)。これらのアルゴリズムはまた、カットオフスコ
アが所望により、より大きいまたはより低い予測結合特性を有するペプチド組を
選定するよう調整され得るという点で、融通性がある。
【0148】 ペプチドエピトープを同定するためにコンピュータースクリーニングを利用す
る際、タンパク質配列または翻訳配列は、モチーフを検索するために開発された
ソフトウェア、例えば「FINDPATTERNS」プログラム(Devere
ux,ら、Nucl.Acids Res.12:387−395,1984)
、あるいは適切なHLA結合モチーフを含有する潜在性ペプチド配列を同定する
ためのMotifSearch1.4ソフトウェアプログラム(D.Brown
,San Diego,CA)を用いて分析され得る。同定ペプチドは、特異的
HLAクラスIまたはクラスII対立遺伝子を結合するそれらの能力を予測する
ために、カスタマイズド多項式アルゴリズムを用いてスコア付けされ得る。当業
者に理解されるように、既知または未知のペプチド配列を評価するために(例え
ばエピトープを同定するために、ペプチド長当たりのエピトープ濃度を同定する
ために、またはアナログ(類似体)を生成するために、ただし、これらに限定さ
れない)、コンピュータープログラミングソフトウェアおよびハードウェアオプ
ションの大型アレイが、本発明のモチーフを実行するために用いられ得る関連 で利用可能である。
【0149】 上記の手法に従って、HLAスーパータイプ群または対立遺伝子特異的HLA
分子を結合することが可能である前立腺癌関連抗原ペプチドエピトープおよびそ
のアナログが同定されている。
【0150】 (IV.H.ペプチドエピトープの調製) 本発明によるペプチドは、組換えDNA技術または化学合成により合成的に、
あるいはネイティブの腫瘍または病原性生物体のような天然供給源から調製され
得る。ペプチドエピトープは、別々に、またはポリエピトープペプチドとして合
成されてもよい。ペプチドは好ましくは他の天然に存在する宿主細胞タンパク質
およびそれらのフラグメントを実質的に含まないが、いくつかの実施形態では、
ペプチドはネイティブのフラグメントまたは粒子と合成的に結合され得る。
【0151】 本発明によるペプチドは、種々の長さであり得、そしてそれらの中性(非荷電
)形態または塩である形態のいずれかであり得る。本発明によるペプチドは、グ
リコシル化、側鎖の酸化またはリン酸化のような修飾を含まないあるいはそれ
らは、修飾が本明細書中に記載されるようなペプチドの生物活性を破壊しないと
いう条件で、これらの修飾を含むかのいずれかである
【0152】 可能な場合は、約8〜約13、しばしば8〜11、好ましくは9〜10のアミ
ノ酸残基の長さに、ポリエピトープ構築物中で用いられ得るように、本発明のH
LAクラスI結合エピトープを最適化するのが望ましくあり得る。本発明のHL
AクラスII結合ペプチドエピトープは、約6〜約30のアミノ酸長の長さ、好
ましくは約13〜約20の残基に最適化され得る。好ましくは、ペプチドエピト
ープは、関連HLA分子に結合される内因的処理病原体由来ペプチドまたは腫瘍
細胞ペプチドとサイズが同等であるが、本発明のエピトープを含むペプチドの同
定および調製はまた、本明細書中に記載される技法を用いて実行され得る。
【0153】 代替的実施形態では、本発明のエピトープは、ポリエピトープペプチド、また
はポリエピトープペプチドをコードするミニジーンとして連結され得る。
【0154】 別の実施形態では、高濃度のクラスIおよび/またはクラスIIエピトープを
含有するネイティブのペプチド領域を同定するのが好ましい。このような配列は
一般に、それがアミノ酸長当たり最大数のエピトープを含有することを基礎にし
て選択される。エピトープは入れ子式または重複様式で存在し、例えば10ア
ミノ酸長ペプチドは2つの9アミノ酸長エピトープおよび1つの10アミノ酸長
エピトープを含有し得、細胞内プロセシング時には各エピトープは露出され得、 そして このようなペプチドの投与時にはHLA分子により結合され得ると理解さ
れるべきである。このより大きい、好ましくは多エピトープのペプチドは、合成
的に、組換え的に、またはネイティブの供給源からの切断により生成され得る。
【0155】 本発明のペプチドは、多種多様の方法で調製され得る。好ましい比較的短いサ
イズに関しては、ペプチドは慣用的技法にしたがって溶液中でまたは固体支持体
上で合成され得る。種々の自動合成機が市販されており、かつ既知のプロトコー
ルにしたがって用いられ得る(例えば、Stewart & Young,SO
LID PHASE PEPTIDE SYNTHESIS,第2版,Pier
ce Chemical Co.,1984参照)。さらに個々のペプチドエピ
トープは、化学的連結を用いて連結されて、やはり本発明の範囲内であるより大 型な ペプチドを生成し得る。
【0156】 あるいは、目的の免疫原性ペプチドをコードするヌクレオチド配列が、発現ベ
クターに挿入され、適切な宿主細胞中に形質転換されるかまたはトランスフェク
トされ、そして発現に適した条件下で培養される組換えDNA技術が用いられ得
る。これらの手法は、Sambrookら,MOLECULAR CLONIN
G,A LABORATORY MANUAL,Cold Spring Ha
rbor Press,Cold Spring Harbor New Yo
rk(1989)に一般に記載されているように、一般に当該技術で既知である
。したがって、本発明の1つまたはそれ以上のペプチド配列を含む組換えポリペ
プチドは、適切なT細胞エピトープを提示するために用いられ得る。
【0157】 本明細書中で意図される好ましい長さのペプチドエピトープに関する配列をコ
ードするヌクレオチドは、化学的技法により、例えばMatteucciら、J
.Am.Chem.Soc.103:3185 (1981)のホスホトリエス
テル法により合成され得る。ペプチドアナログは、ネイティブのペプチド配列を
コードするものの代わりに、適切なかつ所望の核酸塩基(単数または複数)を単
に置換することにより作製され得る典型的な核酸置換例は、本明細書中のモチ
ーフ/スーパーモチーフにより規定されるアミノ酸をコードするものである。次
にコード配列は、適切なリンカーを提供され、そして当該分野で一般的に利用可
能な発現ベクター、ならびに適した宿主を形質転換するために用いられるベクタ
ーに連結されて、所望の融合タンパク質を産生し得る。多数のこのようなベクタ
ーおよび適した宿主系が目下利用可能である。融合タンパク質の発現に関しては
、コード配列は、作動可能に連結される開始および停止コドン、プロモーターお
よびターミネーター領域、ならびに通常は複製系を提供されて、所望の細胞宿主
中での発現のための発現ベクターを提供する。例えば、細菌宿主と適合性のプロ
モーター配列は、所望のコード配列の挿入に便利な制限部位を含有するプラスミ
ド中に提供される。その結果生じる発現ベクターは、適した細菌宿主中に形質転
換される。当然ながら、酵母、昆虫または哺乳類細胞宿主も、適したベクターお
よび制御配列を用いて使用され得る。
【0158】 (IV.I.T細胞応答を検出するためのアッセイ) いったんHLA結合ペプチドが同定されれば、それらはT細胞応答を引き出す
能力に関して試験され得る。モチーフ保有ペプチドの調製および評価は、PCT
国際公開公報第94/20127号および同第94/03205号に記載されて
いる。要するに、特定の抗原からのエピトープを含むペプチドが合成され、そし 適切なHLAタンパク質に結合するそれらの能力に関して試験される。これら
のアッセイは、精製HLAクラスI分子への本発明のペプチドの結合を、放射性
ヨウ素標識参照ペプチドの結合に関して評価することを包含し得る。あるいは、
免疫蛍光染色および流動微小蛍光測定により、空のクラスI分子を発現する細胞
(すなわちその中にペプチドを欠く)が、ペプチド結合に関して評価され得る。
ペプチド結合を評価するために用いられ得るその他のアッセイとしては、ペプチ
ド依存性クラスIアセンブリーアッセイおよび/またはペプチド競合によるCT
L認識の抑制が挙げられる。典型的には500nMまたはそれ未満の親和性で、
クラスI分子に結合するこれらのペプチドは、感染または免疫化固体由来のCT
Lに対する標的として役立つそれらの能力に関して、ならびに疾患と関連した選
定標的細胞と反応し得るCTL集団を生じ得る一次インビトロでのまたはインビ
ボでのCTL応答を誘導するそれらの能力に関して、さらに評価される。対応す
るアッセイは、HLAクラスII結合ペプチドの評価のために用いられる。典型
的には1000nMまたはそれ未満の親和性にて結合することが示されているH
LAクラスIIモチーフ保有ペプチドはさらに、HTL応答を刺激する能力に関
して評価される。
【0159】 アナログアッセイは、HLAクラスII結合ペプチドの評価のために使用され
る。代表的に1000nM以下の親和性で結合が示されるHLAクラスIIモチ
ーフ保有ペプチドは、さらに、HTL応答を刺激する能力について評価される。
【0160】 T細胞応答を検出するために利用される慣用的アッセイとしては、増殖アッセ
イ、リンホカイン分泌アッセイ、直接的細胞傷害性アッセイおよび限界希釈アッ
セイが挙げられる。例えばペプチドとともにインキュベートされた抗原提示細胞
は、応答体細胞集団中でCTL応答を誘導する能力に関してアッセイされ得る。
抗原提示細胞は、末梢血単核細胞または樹状細胞のような正常細胞、であり得る
。あるいは内部処理ペプチドとともにクラスI分子を負荷する能力を欠き、かつ 適切なヒトクラスI遺伝子でトランスフェクトされた突然変異体非ヒト哺乳類細
胞系は、インビトロでの一次CTL応答を誘導するペプチドの能力に関して試験
するために用いられ得る。
【0161】 末梢血単核細胞(PBMC)は、CTL前駆体の応答体細胞供給源として用い
られ得る。適切な抗原提示細胞は、ペプチドとともにインキュベートされ、その
後、ペプチド負荷抗原提示細胞が、最適化培養条件下にて応答体細胞集団ととも
にインキュベートされる。陽性CTL活性化は、放射能標識標的細胞、両特異的
ペプチドパルス化標的、ならびにペプチド配列が由来する内因的処理形態の抗原
を発現する標的細胞を死滅するCTLの存在に関して培養物をアッセイすること
により確定され得る。
【0162】 さらに、フルオレセイン標識HLAテトラマー複合体で染色することにより抗
原特異的T細胞の直接定量を可能にする方法が案出された(Altman,J.
D.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:10330,
1993;Altman,J.D.,Science 274:94,199
6)。他の比較的最近の技術的開発としては、細胞内リンホカインに対する染色
およびインターフェロンγ放出アッセイまたはELISPOTアッセイが挙げら
れる。テトラマー染色、細胞内リンホカイン染色およびELISPOTアッセイ
は全て、より慣用的アッセイより感度が少なくとも10倍高いと思われる(La
lvani,A.,J.Exp.Med.186:859,1997;Dun
bar,P.R.,Curr.Biol.8:413,1998;Mural
i−Krishna,K.,Immunity 8:177,1998)。
【0163】 HTL活性化も、T細胞増殖およびリンホカイン、例えばIL−2の分泌のよ
うな当業者に既知の技法を用いて評価され得る(例えば、Alexandarら
,Immunity 1:751−761,1994参照)。
【0164】 あるいは、HLAトランスジェニックマウスの免疫化を用いて、ペプチドエピ
トープの免疫原性を確定し得る。ヒトA2.1、A11(HLA−A3エピトー
プを分析するために付加的に用いられ得る)およびB7対立遺伝子を有するマウ
スを含むいくつかのトランスジェニックマウスモデルが特性化され、そして他の
もの(例えばHLA−A1およびA24に関するトランスジェニックマウス)が
開発されている。HLA−DR1およびHLA−DR3マウスモデルも開発され
ている。他のHLA対立遺伝子を有するさらに別のトランスジェニックマウスモ
デルが、必要な場合には生成され得る。マウスは不完全フロイントアジュバント
中に乳化されたペプチドで免疫化され得、そしてその結果生じるT細胞が、ペプ
チドパルス化標的細胞および適切な遺伝子でトランスフェクトされた標的細胞を
認識するそれらの能力に関して試験される。CTL応答は、上記の細胞傷害性ア
ッセイを用いて分析され得る。同様に、HTL応答は、T細胞増殖またはリンホ
カインの分泌のようなアッセイを用いて分析され得る。
【0165】 (IV.J.診断剤としてのおよび免疫応答を評価するためのペプチドエピト
ープの使用) 本発明の一実施形態では、本明細書中に記載されるようなHLAクラスIおよ
びクラスII結合ペプチドが、免疫応答を評価するための試薬として用いられる
。評価されるべき免疫応答は、試薬として用いられるべきペプチドエピトープ(
単数または複数)を認識し、かつそれに結合する抗原特異的CTLまたはHTL
の産生を結果として生じ得る任意の作用物質を免疫原として用いることにより誘
導される。ペプチド試薬は、免疫原として用いられる必要はない。このような分
析のために用いられるアッセイ系としては、テトラマー、細胞内リンホカインに
対する染色およびインターフェロン放出アッセイまたはELISPOTアッセイ
のような比較的最近の技術的開発が挙げられる。
【0166】 例えば、本発明のペプチドは、腫瘍細胞抗原または免疫原への曝露後に抗原特
異的CTLの存在に関して末梢血単核細胞を評価するためのテトラマー染色アッ
セイに用いられる。HLA−テトラマー複合体は、抗原特異的CTLを直接可視
化するために(例えば、Oggら,Science 279:2103−210
6,1998、およびAltmanら,Science 174:94−96,
1996参照)、および末梢血単核細胞サンプル中の抗原特異的CTL集団の頻
度を確定するために用いられる。本発明のペプチドを用いるテトラマー試薬は、
以下のように生成される:HLA分子に結合するペプチドが、対応するHLA重
鎖およびβ−ミクログロブリンの存在下でリフォールディングされて、三分子
複合体を生成する。複合体は、タンパク質に予め操作された部位で重鎖のカルボ
キシル末端でビオチン化される。次にストレプトアビジンの添加により、テトラ
マー形成が誘導される。蛍光的標識ストレプトアビジンにより、テトラマーは抗
原特異的細胞を染色するために用いられる。次に細胞は、例えばフローサイト
メトリーにより同定され得る。このような分析は、診断または予後用途に用いら
れ得る。当該手法により同定される細胞は、治療用途にも用いられ得る。
【0167】 本発明のペプチドは、免疫リコール応答を評価するための試薬としても用いら
れる(例えば、Bertoniら,J.Clin.Invest.100:50
3−513,1997およびPennaら,J.Exp.Med.174:15
65−1570,1991参照)。例えば、癌を有する個体からの患者PBMC
サンプルは、特異的ペプチドを用いて抗原特異的CTLまたはHTLの存在に関
して分析される。単核細胞を含有する血液サンプルは、PBMCを培養し、かつ 本発明のペプチドで細胞を刺激することにより評価され得る。適切な培養時間後
、増殖した細胞集団が、例えばCTLに関してまたはHTL活性に関して分析さ
れ得る。
【0168】 ペプチドは、ワクチンの効力を評価するための試薬としても用いられる。免疫
原でワクチン接種された患者から得られるPBMCは、例えば上記方法のいずれ
かを用いて分析される。患者はHLA型分類され、そしてその患者に存在する対
立遺伝子特異的分子を認識するペプチドエピトープ試薬が分析のために選定され
る。ワクチンの免疫原性は、PBMCサンプル中のエピトープ特異的CTLおよ
び/またはHTLの存在により示される。
【0169】 本発明のペプチドは、当該分野で周知の技法を用いて抗体を作製するためにも
用いられ(例えば、CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNO
LOGY,Wiley/Greene,NYおよびAntibodies A
Laboratory Manual,Harlow and Lane,C
old Spring Harbor Laboratory Press,1
989参照)、これは癌を診断またはモニターするための試薬として有用であり
得る。このような抗体としては、HLA分子の情況でペプチドを認識するもの、
すなわちペプチド−MHC複合体に結合する抗体が挙げられる。
【0170】 (IV.K.ワクチン組成物) 本明細書中に記載されるような免疫原的有効量の1つまたはそれ以上のペプチ
ドを含有するワクチンおよびワクチンの調製方法は、本発明のさらなる実施形態
である。いったん適切免疫原性エピトープが定義されれば、それらは種々の手段
により分類および送達され、本明細書中では「ワクチン」組成物と呼ばれる。
このようなワクチン組成物としては、例えばリポペプチド(例えば、Vitie
llo,A.,J.Clin.Invest.95:341,1995)、ポ
リ(DL−ラクチドコグリコド)(「PLG」)微小球中に封入されるペプチド
組成物(例えば、Eldridgeら、Molec.Immunol.28:2
87−294,1991;Alonsoら,Vaccine 12:299−3
06,1994;Jonesら,Vaccine 13:675−681,19
95参照)、免疫刺激複合体(ISCOMS)中に含入されるペプチド組成物(
例えば、Takahashiら,Nature 344:873−875,19
90;Huら,Clin Exp Immunol.113:235−243,
1998参照)、多抗原ペプチド系(MAPs)(例えば、Tam,J.P.,
Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:5409−541
3,1988;Tam,J.P.,J.Immunol.Methods 196:17−32,1996参照)、多価ペプチドとして処方されるペプチ
ド;弾道送達系での使用のためのペプチド、典型的には結晶化ペプチド、ウイル
ス送達ベクター(Perkus,M.E.ら:Concepts in vac
cine development,Kaufmann,S.H.E.,編,p
.379,1996;Chakrabarti,S.ら,Nature 320
:535,1986;Hu,S.L.ら,Nature 320:537,19
86;Kieny,M.P.ら,AIDS Bio/Technology 4
:790,1986;Top,F.H.ら,J.Infect.Dis.124
:148,1971;Chanda,P.K.ら,Virology 175:
535,1990)、ウイルスまたは合成起源の粒子(例えば、Kofler,
N.ら,J.Immunol.Methods.192:25,1996;El
dridge,J.H.ら,Sem.Hematol.30:16,1993;
Falo,L.D.,Jr.ら,Nature Med.7:649,1995
)、アジュバント(Warren,H.S.,Vogel,F.R.,およびC
hedid,L.A.Annu.Rev.Immunol.4:369,198
6;Gupta,R.K.ら,Vaccine 11:293,1993)、リ
ポソーム(Reddy,R.ら,J.Immumol.148:1585,19
92;Rock,K.L.,Immunol.Today 17:131,19
96)、あるいは裸または粒子吸収cDNA(Ulmer,J.B.ら,Sci
ence 259:1745,1993;Robinson,H.L.,Hun
t,L.A.,およびWebster,R.G.,Vaccine 11:95
7,1993;Shiver,J.W.ら:Concepts in vacc
ine development,Kaufmann,S.H.E.,編,p.
423,1996;Cease,K.B.,およびBerzofsky,J.A
.,Annu.Rev.Immunol.12:923,1994、およびEl
dridge,J.H.ら,Sem.Hematol.30:16,1993)
が挙げられ得る。レセプター媒介性ターゲッティングとしても既知の毒素標的化
送達技術、例えばAvant Immunotherapeutics,Inc
.(Needham,Massachusetts)のものも用いられ得る。
【0171】 本発明のワクチンとしては、核酸媒介性様相が挙げられる。本発明の1つまた
はそれ以上のペプチドをコードするDNAまたはRNAも、患者に投与され得る
。このアプローチは、例えばWolffら,Science 247:1465
(1990)ならびに米国特許第5,580,859号、同第5,589,46
6号、同第5,804,566号、同第5,739,118号、同第5,736
,524号、同第5,679,647号、国際公開第98/04720号、およ
び以下にさらに詳細に記載される。DNAベースの送達技術の例としては、「裸
のDNA」促進(ブピバカイン、ポリマー、ペプチド媒介性)送達、陽イオン性
脂質複合体、ならびに粒子媒介性(「遺伝子銃」)または圧力媒介性送達が挙げ
られる(例えば、米国特許第5,922,687号参照)。
【0172】 治療的または予防的免疫化用途のために、本発明のペプチドはまた、ウイルス
または細菌ベクターによって発現され得る。発現ベクターの例としては、ワクシ
ニアまたはファウルポックスのような弱毒ウイルス宿主が挙げられる。このアプ
ローチの一例として、ワクシニアウイルスは、本発明のペプチドをコードするヌ
クレオチド配列を発現するためのベクターとして用いられる。腫瘍を保有する宿
主中への導入時に、組換えワクシニアウイルスは、免疫原性ペプチドを発現し、
それにより宿主CTLおよび/またはHTL応答を引き出す。免疫化プロトコー
ルに有用なワクシニアベクターおよび方法は、例えば米国特許第4,722,8
48号に記載されている。別のベクターは、BCG(Bacille Calm
ette Guerin)である。BCGベクターは、Stoverら,Nat
ure 351:456−460(1991)に記載されている。本発明のペプ
チドの治療的投与または免疫化に有用な多種多様の他のベクター、例えばアデノ
およびアデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、Salmone
lla typhiベクター、解毒炭疽毒素ベクター等は、本明細書中の説明か
ら、当業者には明らかである。
【0173】 さらに、本発明によるワクチンは、1つ以上の特許請求するペプチドの組成物
を包含する。ペプチドは、ワクチン中に別々に存在し得る。あるいはペプチドは
、同一ペプチドの多数のコピーを含むホモポリマーとして、または種々のペプチ
ドのヘテロポリマーとして存在し得る。ポリマーは、免疫学的反応増大という利
点を有し、そして異なるペプチドエピトープがポリマーを製造するために用いら
れる場合、免疫応答のために標的化された、病原性生物体または腫瘍関連ペプチ
ドの異なる抗原決定因子と反応する抗体および/またはCTLを誘導するさらな
る能力を有する。この組成物は、抗原の天然に存在する領域であり得るか、ある
いは例えば組換え的にまたは化学合成により調製され得る。
【0174】 本発明のワクチンとともに用いられ得るキャリアは当該分野で周知であり、例
えばチログロブリン、ヒト血清アルブミンのようなアルブミン、破傷風毒素、ポ
リL−リシン、ポリL−グルタミン酸のようなポリアミノ酸、インフルエンザ、
B型肝炎ウイルスコアタンパク質などが挙げられる。ワクチンは、生理学的に耐
容可能な(すなわち許容可能な)希釈剤(例えば水または生理食塩水、好ましく
はリン酸塩緩衝塩類溶液)を含有し得る。ワクチンはまた典型的には、アジュバ
ントを含む。不完全フロイントアジュバント、リン酸アルミニウム、水酸化アル
ミニウムまたはミョウバンのようなアジュバントが、当該分野で周知の物質の例
である。さらに、本明細書中に開示されるように、CTL応答は、例えばトリパ
ルミトイル−S−グリセリルシステイニルセリル−セリン(PCSS)のよう
な脂質に本発明のペプチドを結合することによりプライミングされ得る。
【0175】 注射、エアロゾル、経口、経皮、経粘膜、胸膜腔内、鞘内またはその他の適 経路を介しての本発明によるペプチド組成物での免疫化時に、宿主の免疫系は
、所望の抗原に特異的な大量のCTLおよび/またはHTLを産生することによ
り、ワクチンに応答する。その結果として、宿主はその後の感染に対して少なく
とも部分的に免疫を持つようになるか、または進行中の慢性感染の発症に対して
少なくとも部分的に耐性となるか、あるいは抗原が腫瘍関連性である場合には、
少なくともいくつかの治療的有益性を引き出す。
【0176】 いくつかの実施形態では、クラスIペプチド構成成分を、目的の標的抗原に対
して中和抗体および/またはヘルパーT細胞応答を誘導または容易にする構成成
分と組み合わせることが望ましくあり得る。このような組成物の好ましい実施形
態は、本発明によるクラスIおよびクラスIIエピトープを含む。このような組
成物の代替的実施形態は、本発明によるクラスIおよび/またはクラスIIエピ
トープを、HLAクラスII交差反応性結合分子、例えばPADRETM(Ep
immune,San Diego,CA)分子とともに含む(例えば米国特許
第5,736,142号に記載されている)。
【0177】 本発明のワクチンはまた、抗原提示細胞(APC)(例えば樹状細胞(DC)
)を本発明のペプチドを提示するためのビヒクルとして含み得る。ワクチン組成
物は、樹状細胞動員および収集(それにより樹状細胞の充填がインビトロで起こ
る)後にインビトロで作製され得る。例えば樹状細胞は、例えば本発明によるミ
ニジーンによりトランスフェクトされ、またはペプチドによりパルス刺激される
。次に樹状細胞は、インビボで免疫応答を引き出すために患者に投与され得る。
【0178】 DNAまたはペプチドベースのいずれかのワクチン組成物もまた、樹状細胞動
員(それにより樹状細胞の充填がインビボで起こる)と組合せて、インビボで投
与され得る。
【0179】 抗原性ペプチドは、同様にCTLおよび/またはHTL応答をエキソビボで 発するために使用される 。その結果生じるCTLまたはHTL細胞は、他の慣用
的形態の治療に応答しないか、または本発明による治療用ワクチンペプチドまた
は核酸に応答しない患者において、腫瘍を治療するために使用され得る。特定の
腫瘍関連抗原に対するエキソビボCTLまたはHTL応答は、患者のまたは遺伝
子的に適合性のCTLまたはHTL前駆細胞を、樹状細胞のような抗原提示細胞
の供給源、および適切な免疫原性ペプチドと一緒に組織培養物中でインキュベー
トすることにより誘導される。前駆細胞が活性化され、エフェクター細胞に膨張
される適切なインキュベーション時間(典型的には約7〜28日)後、細胞は患
者に注入し戻され、そこでそれらはそれらの特異的標的細胞(感染細胞または腫
瘍細胞)を破壊し(CTL)、または破壊を促す(HTL)。トランスフェクト
された樹状細胞も、抗原提示細胞として用いられ得る。
【0180】 本発明のワクチン組成物はまた、癌のために用いられるその他の治療と併用し
て、例えばIL−2、IL−12、GM−CSF等のような免疫アジュバントと
組合せても使用され得る。
【0181】 好ましくは、ワクチン中に用いるためにポリエピトープ組成物中に含入するた
めにエピトープのアレイを選定する場合、あるいはワクチン中に含入される、お
よび/またはミニジーンのような核酸によりコードされる別々のエピトープを選
定するために、以下の原理が利用される。選定を行なうためには、以下の原理の
各々が釣り合っているのが好ましい。所定のワクチン組成物中に組み込まれる多
数のエピトープは、エピトープが得られる天然抗原中の配列にて連続的であり得
るが、そうである必要はない。
【0182】 1.)投与時に、腫瘍クリアランスと相関することが観察された免疫応答を模
倣するエピトープが選択される。HLAクラスIに関しては、これは少なくとも
1つのTAAからのものである3〜4個のエピトープを含む。HLAクラスII
に関しては、同様の論理的根拠が用いられ、これも3〜4個のエピトープが少な
くとも1つのTAAから選定される(例えば、Rosenbergら、Scie
nce 278:1447−1450参照のこと)。1つのTAA由来のエピト
ープは、1つ以上のさらなるTAAからのエピトープと組合せて用いられて、例
えば実施例15に記載されているように、高頻度発現TAAの変化する発現パタ
ーンで腫瘍を標的にするワクチンを生産し得る。
【0183】 2.)免疫原性と相関することが確立された必要な結合親和性を有するエピト
ープが選定される。HLAクラスIに関してはIC50は500nMまたはそれ
未満、しばしば200nMまたはそれ未満、クラスIIに関してはIC50は1
000nMまたはそれ未満である。
【0184】 3.)広範な集団適用範囲を与えるのに十分なスーパーモチーフ保有ペプチド
、または対立遺伝子特異的モチーフ保有ペプチドの十分なアレイが選定される。
例えば、少なくとも80%の集団適用範囲を有するのが好ましい。目的の分野で
既知の統計学的評価であるモンテカルロ分析が、集団適用範囲の広さまたは重剰
性を評価するために用いられ得る。
【0185】 4.)癌関連抗原からエピトープを選定する場合、患者は天然エピトープに対
する寛容を発生し得るため、アナログを選定するのがしばしば有用である。感染
性疾患関連抗原に関するエピトープを選定する場合は、天然または類似させたエ
ピトープを選定するのが好ましい。
【0186】 5.)特に関連があるのは、「入れ子構造(nested)エピトープ」と呼
ばれるエピトープである。入れ子構造エピトープは、所定のペプチド配列中に少
なくとも2つのエピトープが重複する場合に起こる。入れ子構造ペプチド配列は
、HLAクラスIおよびHLAクラスIIエピトープの両方を含み得る。入れ子
構造エピトープを提供する場合、一般的目的は、1配列当たり最大数のエピトー
プを提供することである。したがって一つの局面は、ペプチド中のアミノ末端エ
ピトープのアミノ末端およびカルボキシル末端エピトープのカルボキシル末端よ
り任意に長いペプチドを提供するのを避けることである。入れ子構造エピトープ を含む配列 のような多エピトープ配列を提供する場合、病理学的またはその他の
有害な生物学的特性を有さないことを保証するために、配列をスクリーニングす
ることが一般的に重要である。
【0187】 6.)ポリエピトープタンパク質が作製されるか、またはミニジーンを作製す
る場合、目的のエピトープを包含する最小ペプチドを生成することが目的である
。この原理は、入れ子構造ペプチドを含むペプチドを選択する場合に用いられる
のと同様でない場合には、類似する。しかしながら人工ポリエピトープペプチド
を用いる場合、サイズ最小化の目的物は、ポリエピトープタンパク質中のエピト
ープ間に任意のスペーサー配列を組み込む必要性に対して平均化する。スペーサ
ーアミノ酸残基は、例えば結合(junctional)エピトープ(免疫系に
より認識され、標的抗原中に存在せず、エピトープの人工並置によってのみ作製
されるエピトープ)を回避するために、あるいはエピトープ間の切断を促し、そ
れによりエピトープ提示を高めるために導入され得る。結合エピトープは一般に
、回避される。なぜなら、レシピエントが非天然ペプチドに対して免疫応答を生
じ得るからである。特に重要なのは、「ドミナント(dominant)エピト
ープ」である結合エピトープである。ドミナント(dominant)エピトー
プは、他のエピトープに対する免疫応答が縮小されるかまたは抑制されるような 激しい 応答を引き起こし得る。
【0188】 (IV.K.1.ミニジーンワクチン) 多数のエピトープの同時送達を可能にする多数の異なるアプローチが利用可能
である。本発明のペプチドをコードする核酸は、本発明の特に有用な実施形態で
ある。ミニジーンに含入するためのエピトープは、好ましくは前節に記載した指
針にしたがって選択される。本発明のペプチドをコードする核酸を投与する好ま
しい手段は、本発明の1つまたは多数のエピトープを含むペプチドをコードする
ミニジーン構築物を使用する。
【0189】 多エピトープミニジーンの使用は、以下に、ならびに例えば米国同時係属出願
第09/311,784号、Ishiokaら、J.Immunol.162:
3915−3925,1999An,L.およびWhitton,J.L.,
J.Virol.71:2292,1997Thomson,S.A.ら、
.Immunol.157:822,1996Whitton,J.L.ら、 J.Virol.67:348,1993、Hanke,R.ら、Vaccin
e 16:426,1998に記載されている。例えば、1つ以上の前立腺癌関
連抗原の複数の領域由来のスーパーモチーフおよび/またはモチーフ保有PSA
、PSM、PAP、およびhK2エピトープ、普遍的(universal)ヘ
ルパーT細胞エピトープ、PADRETM(またはPSA、PSM、PAP、お
よびhK2由来の多HTLエピトープ)、および小胞体翻訳シグナル配列をコー
ドする多エピトープDNAプラスミドが、操作され得る。ワクチンは、他のTA
A由来のエピトープもまた含む。
【0190】 多エピトープミニジーンの免疫原性は、試験されるエピトープに対するCTL
誘導応答の規模を評価するためにトランスジェニックマウスで試験され得る。さ
らにDNAコードエピトープのインビボでの免疫原性は、DNAプラスミドでト
ランスフェクトされた標的細胞に対する特異的CTL系のインビトロ応答と相関
し得る。したがってこれらの実験は、ミニジーンが、1)CTL応答を生じるこ
と、および2)誘導CTLが、コードされるエピトープを発現する細胞を認識す
るのに役立つことの両方を示し得る。
【0191】 例えば、ヒト細胞中での発現のための選定エピトープをコードするDNA配列
(ミニジーン)を作製するために、エピトープのアミノ酸配列は逆翻訳されても
よい。ヒトコドン使用法表は、各アミノ酸に対するコドン選択を指示するために 使用さ れ得る。これらのエピトープコードDNA配列は、翻訳される場合、連続
ポリペプチド配列が作られるように、直接隣接され得る。発現および/または免
疫原性を最適化するために、ミニジーン設計にさらなる要素が組み込まれ得る。
逆翻訳され、ミニジーン配列中に含入され得るアミノ酸配列の例としては、以下
のものが挙げられる:HLAクラスIエピトープ、HLAクラスIIエピトープ
、ユビキチン結合シグナル配列および/または小胞体標的化シグナル。さらに、
CTLおよびHTLエピトープのHLA提示は、CTLまたはHTLエピトープ
に隣接する合成(例えばポリアラニン)または天然に存在する隣接配列を含入す
ることにより改善され得る。エピトープ(単数または複数)を含むこれらの大型
ペプチドは、本発明の範囲内である。
【0192】 ミニジーン配列は、ミニジーンのプラスおよびマイナス鎖をコードするオリゴ
ヌクレオチドを集合することによりDNAに変換され得る。周知の技法を用いて
適切な条件下で、重複オリゴヌクレオチド(30〜100塩基長)が合成され、
リン酸化され、精製され、アニーリングされ得る。オリゴヌクレオチドの末端は
、例えばT4DNAリガーゼを用いて連結される。次に、エピトープポリペプチ
ドをコードするこの合成ミニジーンは所望の発現ベクター中にクローン化され得
る。
【0193】 当業者に周知の標準調節配列は、好ましくは標的細胞中での発現を保証するた
めにベクター中に含入される。以下のようないくつかのベクター要素が望ましい
:ミニジーン挿入のための下流クローニング部位を有するプロモーター効率的
転写終結のためのポリアデニル化シグナル;E.coli複製起点およびE. coli 選択可能マーカー(例えばアンピシリンまたはカナマイシン耐性)。こ
の目的のために、例えばヒトサイトメガロウイルス(hCMV)プロモーターの
ような多数のプロモーターが用いられ得る。他の適切なプロモーター配列に関し
ては、例えば米国特許第5,580,859号および第5,589,466号を
参照のこと
【0194】 ミニジーン発現および免疫原性を最適化するためには、さらなるベクター改変
が望ましくあり得る。いくつかの場合、効率的遺伝子発現のためにイントロンが
必要であり、1つ以上の合成または天然に存在するイントロンが、ミニジーンの
転写領域に組み込まれ得る。哺乳動物細胞におけるmRNA安定化配列および複
製用配列の含入もまた、ミニジーン発現増大のために考慮され得る。
【0195】 一旦発現ベクターが選定されれば、ミニジーンはプロモーターの下流のポリリ
ンカー領域にクローン化される。このプラスミドは、適切なE.coli株中で
形質転換され、標準技法を用いてDNAが調製される。ミニジーンの配向および
DNA配列、ならびにベクター中に含入されるすべてのその他の要素が、制限マ
ッピングおよびDNA配列分析を用いて確認される。正しいプラスミドを保有す
る細菌細胞は、マスター細胞バンクおよび作業用細胞バンクとして貯蔵され得る
【0196】 さらに、免疫刺激配列(ISSまたはCpG)は、DNAワクチンの免疫原性
にて役割を果たすようである。これらの配列は、免疫原性を強化するのが望まし
い場合には、ミニジーンコード配列の外側の、ベクター中に含入され得る。
【0197】 いくつかの実施形態では、ミニジーンにコードされるエピトープおよび第二の
タンパク質(免疫原性を強化または低減するために含入される)の両方の産生を
可能にする2シストロン発現ベクターが用いられ得る。同時発現された場合に有
益に免疫応答を高め得るタンパク質またはポリペプチドの例としては、サイトカ
イン(例えば、IL−2、IL−12、GM−CSF)、サイトカイン誘導性分
子(例えばLeIF)、同時刺激分子、あるいはHTL応答に関しては、汎DR
(pan−DR)結合タンパク質(PADRETM、Epimmune,San
Diego,CA)が挙げられる。ヘルパー(HTL)エピトープは、細胞内 標的化 シグナルに連結され、発現CTLとは別個に発現される。これは、CTL
エピトープの場合と異なる細胞区画へのHTLエピトープの誘導を可能にする。
必要な場合、これはHLAクラスII経路へのHTLエピトープのより効率的侵
入を促し、それによりHTL誘導を改良し得る。HTLまたはCTL誘導に対比
して、免疫抑制分子(例えばTGF−β)の同時発現による免疫応答の特異的低
減は、ある種の疾患においては有益であり得る。
【0198】 治療的量のプラスミドDNAは、例えばE.coliにおける発酵、続く精製
により生産され得る。作業用細胞バンク由来のアリコートを用いて、増殖培地に
接種し、周知の技法にしたがって振盪フラスコまたはバイオリアクター中で飽和
するまで増殖させる。プラスミドDNAは、標準生物分離技法(例えばQIAG
EN,Inc.(Valencia,California)により供給される
固相陰イオン交換樹脂)を用いて精製され得る。必要な場合、ゲル電気泳動また
はその他の方法を用いて、スーパーコイルDNAが開環および線状形態から単離
され得る。
【0199】 精製プラスミドDNAは、種々の処方物を用いた注射用に調製され得る。これ
らのうち最も簡単なのは、滅菌リン酸塩緩衝化生理食塩水(PBS)中での凍結
乾燥されたDNAの再構成である。「裸のDNA」として既知のこのアプローチ
は、一般に臨床試験における筋肉内(IM)投与用に用いられている。ミニジー
ンDNAワクチンの免疫治療効果を最大にするためには、精製プラスミドDNA
を処方するための代替的方法が望ましくあり得る。種々の方法が記載されており
、新規の技法が利用可能になり得る。陽イオン性脂質、糖脂質およびフソゲン性
(fusogenic)リポソームも処方物中に用いられ得る(例えば、国際公
開93/24640;ManninoおよびGould−Fogerite,B
io Techniques 6(7):682 (1988)米国特許第5
,279,833号国際公開91/06309およびFelgnerら、Pr
o.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413 (1987)参照 のこと )。さらに、総称して保護的、相互作用的、非縮合化合物(PINC)と
呼ばれるペプチドおよび化合物もまた、精製プラスミドDNAと複合体化されて
、安定性、筋肉内分散または特定の器官または細胞型への輸送のような変数(変
量)に影響を及ぼし得る。
【0200】 標的細胞感作は、ミニジーンコードCTLエピトープの発現およびHLAクラ
スI提示に関する機能性アッセイとして用いられ得る。例えばプラスミドDNA
は、標準CTLクロム放出アッセイのための標的として適した哺乳動物細胞系中
に導入される。用いられるトランスフェクション方法は、最終処方物に依存する
。エレクトロポレーションは、「裸の」DNAのために用いられ、一方、陽イオ
ン性脂質は、直接インビトロトランスフェクションを可能にする。グリーン蛍光
タンパク質(GFP)を発現するプラスミドは、同時トランスフェクトされて、
蛍光標示式細胞分取(FACS)を用いたトランスフェクト化された細胞の富化
を可能にする。これらの細胞は次に、クロム−51(51Cr)標識されて、エ
ピトープ特異的CTL系に対する標的細胞として使用される。51Cr放出によ
り検出される細胞溶解は、ミニジーンコードCTLエピトープの産生およびHL
A提示の両方を示す。HTLエピトープの発現は、HTL活性を評価するために
アッセイを用いて同様の方法で評価され得る。
【0201】 インビボ免疫原性は、ミニジーンDNA処方物の機能性試験のための第2のア
プローチである。適切なヒトHLAタンパク質を発現するトランスジェニックマ
ウスは、DNA産物で免疫化される。投与の用量および経路は、処方物依存性で
ある(例えばPBS中のDNAに関してはIM、脂質複合化DNAに関しては腹
腔内(IP))。免疫化後21日目に、脾臓細胞を収集し、試験される各エピト
ープをコードするペプチドの存在下で1週間再刺激した。その後、CTLエフェ
クター細胞に関しては、アッセイは、標準技法を用いて、ペプチド充填51Cr
標識標的細胞の細胞溶解に関して実行される。ミニジーンコードエピトープに対
応するペプチドエピトープを負荷されたHLAにより感作された標的細胞の溶解
は、CTLのインビボ誘導に関するDNAワクチン機能を立証する。HTLエピ
トープの免疫原性は、同様の方法で、トランスジェニックマウスで評価される。
【0202】 あるいは、核酸は、例えば米国特許第5,204,253号に記載されるよう
に弾道送達を用いて投与され得る。この技法を用いて、DNA単独で構成される
粒子が投与される。さらなる代替的実施形態では、DNAは粒子、例えば金粒子
に付着される。
【0203】 ミニジーンはまた、当該分野で周知のその他の細菌またはウイルス送達系を用
いても送達され得る。例えば本発明のエピトープをコードする発現構築物は、ワ
クシニアのようなウイルスベクター中に組み込まれ得る。
【0204】 (IV.K.2.CTLペプチドのヘルパーペプチドとの組合せ) 本発明のペプチドを含むワクチン組成物は、所望の属性(例えば血清半減期の
改良)を提供するために、または免疫原性を高めるために改変され得る。
【0205】 例えば、ペプチドがCTL活性を誘導する能力は、Tヘルパー細胞応答を誘導
し得る少なくとも1つのエピトープを含有する配列にペプチドを連結することに
より高められ得る。免疫原性を高めるためのCTLエピトープを伴うTヘルパー
エピトープの使用は、例えば米国同時係属出願第08/820,360号、第0
8/197,484号および第08/464,234号に例示されている。
【0206】 CTLペプチドは、Tヘルパーペプチドに直接連結され得るが、しかし多くの
場合CTLエピトープ/HTLエピトープ結合体はスペーサー分子により連結さ
れる。スペーサーは典型的には、生理学的条件下で実質的に荷電されない、比較
的小型の中性分子、例えばアミノ酸またはアミノ酸模倣体で構成される。スペー
サーは、典型的には、例えばAla、Gly、または非極性アミノ酸または中性
極性アミノ酸のその他の中性スペーサーから選択される。任意に存在するスペー
サーは同一残基で構成される必要はなく、したがってヘテロまたはホモオリゴマ
ーであってもよいと理解される。存在する場合、スペーサーは通常、少なくとも
1つまたは2つの残基、さらに通常は3〜6つの残基、場合によっては10また
はそれを超える残基であ。CTLペプチドエピトープは、直接またはスペーサ
ーを介して、CTLペプチドのアミノ末端またはカルボキシ末端でTヘルパーペ
プチドエピトープに連結され得る。免疫原性ペプチドまたはTヘルパーペプチド
のいずれかのアミノ末端は、アシル化され得る
【0207】 ある種の実施形態では、Tヘルパーペプチドは、大多数の集団中に存在するT
ヘルパー細胞により認識されるものである。これは多数の、ほとんどの、または
全てのHLAクラスII分子に結合するアミノ酸配列を選定することにより達成 れ得る。これらは「ゆるくHLA拘束された」または「混然とした」Tヘルパ
ー配列として既知である。混然としたペプチドの例としては、位置830〜84
3(QYIKANSKFIGITE)での破傷風毒素、位置378〜398(D
IEKKAKMEKASSVFNVVNS)でのPlasmodium fa
lciparum(熱帯熱マラリア原虫)スポロゾイト周囲(CS)タンパク質
、および位置116(GAVDSILGGVATYGAA)でのStrepto
coccus(連鎖球菌)18kDタンパク質のような抗原からの配列が挙げら
れる。その他の例としては、DR1−4−7スーパーモチーフ、またはDR3モ
チーフのいずれかを保有するペプチドが挙げられる。
【0208】 あるいは、天然には見出されないアミノ酸配列を用いて、ゆるくHLA拘束さ
れた様式で、Tヘルパーリンパ球を刺激し得る合成ペプチドを調製することがで
きる(例えば、国際公開公報第95/07707号参照)。汎DR結合エピトー
プ(例えばPADRE(商標)、Epimmune,Inc.,San Die
go,CA)と呼ばれるこれらの合成化合物は、最も好ましくはほとんどのHL
A−DR(ヒトHLAクラスII)分子を結合するよう設計される。例えば、次
式:aKXVAAWTLKAAa(式中、「X」はシクロヘキシルアラニン、フ
ェニルアラニンまたはチロシンであり、「a」はD−アラニンまたはL−アラニ
ンである)を有する汎DR結合エピトープペプチドは、ほとんどのHLA−DR
対立遺伝子に結合し、それらのHLA型とは関係なく、ほとんどの個体からのT
ヘルパーリンパ球の応答を刺激することが判明した。汎DR結合エピトープの代
替物は、全ての「L」型天然アミノ酸を含み、エピトープをコードする核酸の形
態で提供され得る。
【0209】 HTLペプチドエピトープも、それらの生物特性を改変するよう修飾され得る
。例えばそれらは、プロテアーゼに対するそれらの耐性を増大させ、したがって
それらの血清半減期を延長するためにそれらのD−アミノ酸を含入するよう修飾
され得るか、あるいはそれらはその生物活性を増大するために脂質、タンパク質
、炭水化物等のようなその他の分子と結合され得る。例えばTヘルパーペプチド
は、アミノまたはカルボキシル末端で、1つまたはそれ以上のパルミチン酸鎖と
結合され得る。
【0210】 (IV.K.3.T細胞プライミング剤とのCTLペプチドの組合せ) いくつかの実施形態では、細胞傷害性Tリンパ球をプライミングする少なくと
も1つの構成成分を本発明の薬学的組成物中に含むのが望ましくあり得る。脂質
はウイルス抗原に対してインビボでCTLをプライミングし得る作用物質である
と同定されている。例えば、パルミチン酸残基は、リシン残基のε−アミノ基
よびα−アミノ基に結合され、次に1つまたはそれ以上の連結残基、例えばGl
y、Gly−Gly−、Ser、Ser−Ser等を介して免疫原性ペプチドに
連結される。次に脂質化ペプチドは、ミセルまたは粒子中に直接投与され、リポ
ソーム中に組み込まれるか、あるいはアジュバント、例えば不完全フロイントア
ジュバント中で乳化され得る。好ましい免疫原性組成物は、Lysのε−アミノ およびα−アミノ基に結合されるパルミチン酸を含み、これは、結合(例えば
Ser−Ser)を介して免疫原性ペプチドのアミノ末端に結合される。
【0211】 CTL応答の脂質プライミングの別の例として、E.coliリポタンパク質
(例えばトリパルミトイル−S−グリセリルシステイニルセリル−セリン(P CSS))は、適切なペプチドと共有結合される場合、ウイルス特異的CTLを
プライミングするために用いられ得る(例えば、Deresら、Nature
342:561,1989参照)。本発明のペプチドは、例えば標的抗原に対す
るCTL応答を特異的にプライミングするために個体に投与されるリポペプチド
であるPCSSに結合され得る。さらに中性抗体の誘導も、PCSS結合エ
ピトープでプライミングされ得るので、2つのこのような組成物は、より効率的
に体液および細胞媒介性応答を引き出すために併合され得る。
【0212】 CTLおよび/またはHTLペプチドは、互いにペプチドを連結するのを容易
にする、キャリア支持体またはより大きなペプチドにカップリングする、ペプチ
ドまたはオリゴペプチドの物理的または化学的特性を修飾する、などのためにペ
プチドの末端にアミノ酸を付加することによっても修飾され得る。アミノ酸、例
えばチロシン、システイン、リシン、グルタミン酸またはアスパラギン酸などは
、ペプチドまたはオリゴペプチド、特にクラスIペプチドのCまたはN−末端に
導入され得る。しかしながら、CTLエピトープのカルボキシル末端の修飾は、
いくつかの場合には、ペプチドの結合特性を変更し得るということに留意すべき
である。さらにペプチドまたはオリゴペプチド配列は、末端NHアシル化(例
えばアルカノイル(C〜C20)またはチオグリコリルアセチル化、末端カ
ルボキシルアミド化例えばアンモニア、メチルアミン等により修飾されるこ
とにより天然配列と異なり得る。いくつかの場合には、これらの修飾は、支持体
またはその他の分子に結合するための部位を提供し得る。
【0213】 (IV.K.4.CTLおよび/またはHTLペプチドでパルス化されたDC
を含むワクチン組成物) 本発明のワクチン組成物の実施形態は、エピトープ保有ペプチドのカクテルを
患者血液からPBMCまたはそこからの単離DCへエキソビボで投与することを
包含する。DCの収集を促すための薬剤、例えばProgenipoietin
(商標)(Monsanto,St.Louis,MO)またはGM−CSF/
IL−4が用いられ得る。ペプチドを用いて、DCをパルス化後、かつ患者への
再注入前にDCを洗浄して非結合ペプチドを除去する。この実施形態では、ワク
チンは、それらの表面にHLA分子と複合体を形成するパルス化ペプチドエピト
ープを提示するペプチドパルス化DCを含む。
【0214】 DCは、ペプチドのカクテルを用いてエキソビボでパルス化され得、そのうち
のいくつかは、1つ以上の目的の抗原(例えば前立腺関連抗原(例えばPSA、
PSM、PAP、カリクレインなど))に対するCTL応答を刺激する。必要に
応じて、ヘルパーT細胞ペプチド、例えばPADRE(登録商標)ファミリー分
子は、CTL応答を促進するために含入され得る。
【0215】 (IV.L.治療または予防用途のためのワクチンの投与) 本発明のペプチドならびに製剤および本発明のワクチン組成物は、代表的には
癌(特に、前立腺癌)を治療するために治療的に用いられる。本発明のペプチド
を含有するワクチン組成物は、代表的には1つ以上の前立腺関連抗原の発現に関
連した悪性疾患を有する前立腺癌患者に投与される。あるいはワクチン組成物は
、特定の種類の癌、例えば乳癌に罹り易いか、またはそうでなければ前立腺癌を
発症する危険がある個体に投与され得る。
【0216】 治療的用途においては、ペプチドおよび/または核酸組成物は、腫瘍抗原に対
する有効なCTLおよび/またはHTL応答を誘発するのに、そして症状および
/または合併症を治癒するかあるいは少なくとも部分的に休止させるかまたは遅
延させるのに十分な量で患者に投与される。これを達成するのに適した量は、「
治療的有効用量」と定義される。この使用に有効な量は、例えば投与される特定
の組成物、投与の方法、治療される疾患の病期および重症度、患者の体重および
全身健康状態、ならびに処方医の判断に依存する。
【0217】 上記のように、本発明のCTLおよび/またはHTLエピトープを含むペプチ
ドは、HLA分子により提示され、ペプチドにより構成されるエピトープに特異
的なCTLまたはHTLと接触されると、免疫応答を誘導する。このペプチド(
またはそれらをコードするDNA)は、個々にまたは1つ以上のペプチド配列の
融合物として投与され得る。ペプチドがCTLまたはHTLと接触される方法は
、本発明にとっては重要でない。例えばペプチドはインビボまたはインビトロで
CTLまたはHTLと接触され得る。接触がインビボで起こる場合、ペプチドそ
れ自体が患者に投与されるか、あるいはその他のビヒクル、例えば1つまたはそ
れ以上のペプチドをコードするDNAベクター、ペプチド(単数または複数)を
コードするウイルスベクター、リポソーム等が、本明細書中に記載されているよ
うに使用され得る。
【0218】 ペプチドがインビトロで接触される場合、ワクチン剤は、細胞、例えばインビ
トロでペプチドを用いて抗原提示細胞をパルス処理することによって、または本
発明のミニジーンを用いて抗原提示細胞をトランスフェクトすることによって誘
導された、ペプチドパルス化樹状細胞またはTAA特異的CTLの集団を含み得
る。その後、このような細胞集団は治療的有効量で患者に投与される。
【0219】 治療的使用に関しては、投与は一般に、癌の初回診断時に開始すべきである。
この後、少なくとも症状が実質的に軽減されるまで、そしてその後一定期間、用
量をブーストさせる。患者に送達されるワクチン組成物の実施形態(即ち、その
例としては例えば、ペプチドカクテル、ポリエピトープポリペプチド、ミニジー
ンまたはTAA特異的CTLまたはパルス化された樹状細胞が挙げられるが、こ
れらに限定されない)は、疾患または患者の健康状態の段階によって変わり得る
。例えばTAA特異的CTLを含むワクチンは、代替的実施形態よりも進行性疾
患患者における腫瘍細胞を死滅させることにおいてより有効であり得る。
【0220】 本発明のワクチン組成物は、手術のような治療と組合せて治療的にも使用さ
得る。一例は、患者が原発性腫瘍を除去するために手術を受け、その後ワクチン
を用いて、再発および/または転移を遅延させたりまたは防止する状況である。
【0221】 感受性個体、例えば前立腺腫瘍の発症に対して遺伝的素因を受け継いでいると
診断され得る個体が、癌の診断前に同定された場合、組成物はそれらを標的にし
、したがってより大きな集団への投与の必要性を最小限にし得る。
【0222】 初回治療的免疫化のための投与量は一般に、低いほうの値が約1、5、50、
500または1,000μgであり、高い方の値が約10,000、20,00
0、30,000、または50,000μgである単位投与量範囲である。ヒト
のための投与量値は、代表的には体重70kgの患者につき約500μg〜約5
0,000μg範囲である。初回用量に引き続いて確立された間隔(例えば、4
週間〜6ヶ月)での免疫追加は、患者を有効に処置するための時間の可能な限り
延長した期間を必要とされ得る。数週間〜数ヶ月間にわたる追加免疫レジメンに
したがって約1.0μg〜約50,000μgのペプチドの追加免疫投与量が、
患者の応答、ならびに患者の血液から得られるCTLおよびHTLの特異的活性
を測定することにより確定されるような条件に依存して投与され得る。
【0223】 投与は、少なくとも臨床症状または実験室試験が、腫瘍が排除されたことを、
または腫瘍細胞負荷が実質的に軽減されたことを示唆するまで、そしてその後一
定期間、継続されるべきである。投与の投与量、経路および用量計画は、当該分
野で公知の方法論にしたがって調整される。
【0224】 特定の実施形態では、本発明のペプチドおよび組成物は、重篤な疾患状態に、
即ち致命的または致命的な恐れのある状況で用いられる。このような場合、本発
明の好ましい組成物中の最小量の外来物質および比較的に無毒性のペプチドの結
果、これらの規定投与量と比較して実質的に過剰量のこれらのペプチド組成物を
投与することができるし、治療医には望ましいと感じられ得る。
【0225】 本発明のワクチン組成物は、また予防薬として使用され得る。例えば、組成物
は、前立腺癌を発症する危険のある個体に投与され得る。初回治療的免疫化のた
めの投与量は一般に、低いほうの値が約1、5、50、500または1,000
μgであり、高い方の値が約10,000、20,000、30,000、また
は50,000μgである単位投与量範囲である。ヒトのための投与量値は、代
表的には体重70kgの患者につき約500μg〜約50,000μg範囲であ
る。続いて、最初のワクチン投与後、約4週間〜6ヶ月間にわたって約1.0μ g〜約50,000μgのペプチドの追加量が投与される。ワクチンの免疫原性 は、患者の応答、ならびに患者の血液のサンプルから得られるCTLおよびHT
Lの特異的活性を測定することにより評価され得る。
【0226】 治療的処置のための薬学的組成物は、非経口的、局所的、経口的、鞘内または
限局投与を意図される。好ましくは薬学的組成物は、非経口的に、例えば静脈内
、皮下、皮内または筋肉内に投与される。したがって本発明は、受容可能なキャ
リア、好ましくは水性キャリア中に溶解または懸濁される免疫原性ペプチドの溶
液を含む非経口投与用の組成物を提供する。種々の水性キャリア,例えば水、緩
衝化水、0.8%食塩水、0.3%グリシン、ヒアルロン酸等が用いられ得る。
これらの組成物は、慣用的周知の滅菌技法により滅菌され得るし、あるいは滅菌
濾過され得る。その結果生じる水溶液は、そのままで用いるために包装されるか
、あるいは凍結乾燥され、凍結乾燥調製物は投与前に滅菌溶液と併合される。組
成物は、生理学的に近似していることが要求される薬学的に受容可能な補助物質
、例えばpH調整剤および緩衝剤、張度調整剤、湿潤剤、防腐剤等、例えば酢酸
ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム
、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート等を含有し得る
【0227】 薬学的処方物中の本発明のペプチドの濃度は広範に、即ち約0.1%未満、通
常少なくとも約2重量%から、20重量%〜50重量%またはそれ以上の範囲で
変わり得、選定された特定の投与形態にしたがって、主として流体容積、粘度な
どにより選定される。
【0228】 ペプチド組成物のヒト単位用量形態は、代表的には、ヒト単位用量の受容可能
なキャリア、好ましくは水性キャリアを含む薬学的組成物中に含入され、そして
ヒトへのこのような組成物の投与のために用いられることが当業者に既知である
流体の容積中に投与される(例えば、Remington’s Pharmac
eutical Sciences,第17版,A.Gennaro(編)Ma
ck Publishing Co.,Easton,Pennsylvani
a,1985参照)。
【0229】 本発明のペプチドは、特定の組織、例えばリンパ系組織に対してペプチドを標
的にするのに、あるいは感染細胞に対して選択的に標的にするのに、ならびにペ
プチド組成物の半減期を増大するのに役立つリポソームを介しても投与され得る
。リポソームは、エマルジョン、泡状物、ミセル、不溶性単層、液晶、リン脂質
分散液、ラメラ層等を含む。これらの調製物中では、送達されるペプチドはリポ
ソームの一部として、単独で、またはリンパ系細胞、例えばCD45抗原に結合
するモノクローナル抗体間に広く存在している受容体に結合する分子と一緒に、
あるいはその他の治療用または免疫原性組成物と一緒に、組入れられ得る。した
がって、本発明の所望のペプチドを充填されるかまたはそれで修飾されるリポソ
ームはリンパ系細胞の部位に向けられて、そこでリポソームは次に、ペプチド組
成物を送達する。本発明にしたがって用いるためのリポソームは、標準小胞形成
脂質から形成され、これは一般に中性および負荷電リン脂質、ならびにステロー
ル、例えばコレステロールを含む。脂質の選定は一般に、例えばリポソームサイ
ズ、酸の不安定性および血流中のリポソームの安定性を考察することにより導き
出される。リポソームを調製するためには、例えば、Szokaら、Ann.R
ev.Biophys.Bioeng.9:467 (1980)および米国特
許第4,235,871号、第4,501,728号、第4,837,028号
および第5,019,369号に記載されているような種々の方法が利用可能で
ある。
【0230】 免疫系の細胞を標的化するために、リポソーム中に組入れられるリガンドとし
ては、例えば所望の免疫系細胞の細胞表面決定基に特異的な抗体またはそれらの フラグメント が挙げられる。ペプチドを含有するリポソーム懸濁液は、静脈内、
限局的、局所的等で、とりわけ、投与の様式、送達されるペプチドおよび処置さ
れる疾患の病期によって変更される用量で、投与され得る。
【0231】 固体組成物に関しては、従来の無毒性固体キャリアが用いられ、その例として
は、例えば製薬等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグ
ネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、グルコース、スクロ
ース、炭酸マグネシウム等が挙げられる。経口投与に関しては、薬学的に受容可
能な無毒性組成物が、通常で用いられる賦形剤、例えば上記キャリアのいずれか
、一般的に10〜95%の活性成分、即ち本発明の1つまたはそれ以上のペプチ
ドを、ならびにさらに好ましくは25%〜75%の濃度で組み込むことにより形
成される。
【0232】 エアロゾル投与に関しては、免疫原性ペプチドは好ましくは界面活性剤および
噴射剤と一緒に、微粉砕形態で供給され得る。ペプチドの代表的な割合は、0.
01重量%〜20重量%、好ましくは1重量%〜10重量%である。界面活性剤
は、もちろん無毒性であり、好ましくは噴射剤中に可溶でなければならない。こ
のような物質の代表例は、6〜22個の炭素原子を含有する脂肪酸例えばカプ
ロン酸、オクタン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、
リノレン酸、オレステリック酸(olesteric acid)、オレイン酸 の、脂肪族多価アルコールまたはその環状無水物とのエステルまたは部分エス
テルである。混合エステル、例えば混合または天然グリセリドが用いられ得る。
界面活性剤は、組成物の0.1重量%〜20重量%、好ましくは0.25重量%
〜5重量%を構成し得る。組成物の平均は、普通は噴射剤である。所望により、
例えば鼻腔内送達のためのレシチンのような、キャリアも含まれ得る。
【0233】 (IV.M.HLA発現:T細胞ベースの免疫療法に対する関連) (癌および感染性疾患における疾患進行) 動的相互作用が、癌および感染性疾患の設定において宿主および疾患間に存在
することは十分認識されている。感染性疾患の設定では、病原体が疾患中に進化
するいうことは十分確定されている。HIV感染において初期に優勢である菌株
は、AIDSおよび後期疾患段階に関連するものとは異なる(NS対S菌株)。
感染の確立において有効である病原体形態は、複製および慢性に関して最も有効
であるものとは異なり得ることが長い間仮定されてきた。
【0234】 同様に、個体が新生物性疾患に屈する病理プロセスは複雑であることが広範に
認識されている。疾患の経過中、多数の変化が癌細胞中で起こる。腫瘍は、増殖
および分化の機能不全調節に部分的に関連するが、その増殖能力を最大にするこ
とにも関連し、薬剤治療および/または身体の免疫監視から逃れる変異を蓄積す
る。新生物性疾患は、疾患進行の関数としての癌細胞のいくつかの異なる生化学
的変化の蓄積を生じる。それは、特に後期転移期において、有意レベルの癌内 質性 および癌間異質性も生じる。
【0235】 治療結果に影響を及ぼす細胞変化のよく知られた例としては、治療経過中の放
射線または化学療法耐性腫瘍の進展が挙げられる。これらの例は、攻撃的化学療
法の結果としての薬剤耐性ウイルス株の出現、例えば慢性HBVおよびHIV感
染の出現、ならびに結核およびマラリアを引き起こす薬剤耐性生物の現行の復活
と並行している。応答の有意の異質性は、癌療法に対するその他のアプローチ、
例えば抗血管新生剤、受動抗体免疫療法、および活性T細胞ベースの免疫療法に
も関連する。したがって、このような現象の点から見て、多疾患関連抗原からの
エピトープはワクチンおよび治療薬に使用され得、それにより、突然変異を生じ 治療を逃れる疾患細胞の能力を妨害する。
【0236】 (疾患と免疫系の間の相互作用) 宿主と疾患の間の動的相互作用に関与する主な因子のうちの1つが、病原体,
感染細胞または悪性疾患細胞に対して立ち上げられる免疫応答である。多数の症
状において、このような免疫応答は疾患を制御する。いくつかの動物モデル系お
よびヒトにおける自然感染の期待される研究は、病原体に対する免疫応答が病原
体を制御し、重症疾患への進行を防止し、および/または病原体を排除し得るこ
とを示唆する。共通の主題は、多特異的T細胞応答に関する要件であり、狭い範
囲に集中する応答は有効性が低いと思われる。これらの観察は、広範な免疫応答
を提供する本発明の方法および組成物の実施形態に関して当業者に指針を示す。
【0237】 癌の場合、免疫応答が新生物増殖に影響を及ぼし得ることを示す以下のような
いくつかの知見が認められる: 第一に、多数の異なる動物モデルにおける、MHCクラスIにより拘束される
抗腫瘍T細胞が腫瘍を防止し、または治療することが可能であるという証拠。
【0238】 第二に、有望な結果が免疫療法試験から得られた。
【0239】 第三に、自然疾患の経過中に成された観察が腫瘍内のT細胞浸潤の型および組
成を陽性臨床結果と相関させた(Coulie PGら、Antitumor
immunity at work in a melanoma patie
nt In Advances in Cancer Research,21
3−242,1999)。
【0240】 最後に、腫瘍は一般的に、突然変異を引き起こし、それによりそれらの免疫学
的認識を変える能力を有する。例えば、単一特異的CTLの存在は、抗原損失が
発生するまで、腫瘍増殖の制御にも相関した(Riker Aら、Immune
selection after antigen−specific im
munotherapy of melanoma Surgery,Aug;
126(2):112−20,1999;Marchand Mら、Tumor
regressions observed in patients wi
th metastatic melanoma treated with
an antigenic peptide encoded by gene
MAGE−3 and presented by HLA−A1 Int
.J.Cancer 80(2):219−30,Jan.18,1999)。
同様に、β2ミクログロブリンの損失が、NCIで免疫療法を受けた後の黒色腫
患者から確立された5/13株で検出された(Restifo NPら、Los
s of functional Beta2−microglobulin
in metastatic melanomas from five pa
tients receiving immunotherapy Journ
al of the National Cancer Institute,
Vol.88(2),100−108,Jan.1996)。HLAクラスIは
種々の腫瘍型で高頻度に変更される、ということが長い間認識されてきた。これ
は、クラスI拘束CTLにより腫瘍に加えられる免疫圧力をこの現象が反映し得
る、という仮説をもたらした。HLAクラスI発現の変更の範囲および程度は、
過去の免疫圧力を反映するものであると思われ、予後値も有し得る(van D
uinen SGら、Level of HLA antigens in l
ocoregional metastases and clinical
course of the disease in patients wi
th melanoma Cancer Research 48,1019−
1025,Feb.1988;Moller Pら、Influence of
major histocompatibility complex cl
ass I and II antigens on survival in
colorectal carcinoma Cancer Researc
h 51,729−736,Jan.1991)。合わせて考えると、これらの
観察は癌および感染性疾患の免疫療法の根拠を提供し、そして有効な戦略は、疾
患に関連した一連の複雑な病理学的変化を説明する必要があることを示唆する。
【0241】 (腫瘍におけるHLA発現の3つの主な型の変化ならびにそれらの機能的意味
) 腫瘍におけるHLAクラスI抗原の発現のレベルおよびパターンは、多数の異
なる腫瘍型で研究されており、研究された腫瘍の全ての型において変化が報告さ
れている。HLAクラスI変化の基礎を成す分子メカニズムは、全く異質である
ことを実証した。それらは、TAP/プロセシング経路の変化、β2−ミクログ
ロブリンおよび特異的HLA重鎖の突然変異、クラスI発現を制御する調節エレ
メントの変化、ならびに全染色体区分の損失を包含する。この題目に関するいく
つかの総説がある(例えば、Garrido Fら、Natural hist
ory of HLA expression during tumour
development Immunol Today 14(10):491
−499,1993;Kaklamanis Lら、Loss of HLA
class−I alleles,heavy chains and β2−
microglobulin in colorectal cancer I
nt.J.Cancer,51(3):379−85,May 28,1992
参照)。HLAクラスI変化には3つの主な型が存在する(完全損失、対立遺伝
子特異的損失および発現低減)。各変化の機能的意味は別個に考察される。
【0242】 (HLA発現の完全損失) HLA発現の完全損失は、種々の異なる分子メカニズムに起因し得る。それら
については以下の文献で概説されている(Algarra Iら、The HL
A crossroad in tumor immunology Huma
n Immunology 61,65−73,2000;Browning
Mら、Mechanisms of loss of HLA class I
expression on colorectal tumor cell
s Tissue Antigens 47:364−371,1996;Fe
rrone Sら、Loss of HLA class I antigen
s by melanoma cells:molecular mechan
isms,functional significance and cli
nical relevance Immunology Today,16(
10):487−494,1995;Garrido Fら、Natural
history of HLA expression during tum
our development Immunology Today 14(
10):491−499,1993;Tait,BD,HLA Class expression on human cancer cells:Im
plications for effective immunothera
py Hum Immunol 61,158−165,2000)。機能に関
して、この型の変化はいくつかの重要な意味を有する。
【0243】 クラスI発現の完全非存在はそれらの腫瘍細胞のCTL認識を排除するが、一
方、HLAクラスIの損失も、NK細胞からの溶解に対して腫瘍細胞を異常に感
受性にさせる(Ohnmacht,GAら、Heterogeneity in
expression of human leukocyte antig
ens and melanoma−associated antigens
in advanced melanoma J Cellular Phy
s 182:332−338,2000;Liunggren HGら、Hos
t resistance directed selectively ag
ainst H−2 deficient lymphoma variant
s:Analysis of the mechanism J.Exp.Me
d.,Dec 1:162(6):1745−59,1985;Maio Mら
、Reduction in susceptibility to natu
ral killer cell−mediated lysis of hu
man FO−1 melanoma cells after induct
ion of HLA class I antigen expressio
n by transfection with B2m gene J.Cl
in.Invest.88(1):282−9,July 1991:Schr
ier PIら、Relationship between myc onc
ogene activation and MHC class I exp
ression Adv.Cancer Res.,60:181−246,1
993)。
【0244】 HLA発現の損失とNK感受性の獲得との間の相補的相互作用は、Couli
eと共同研究者(Coulie,PGら、Antitumor immunit
y at work in a melanoma patient.In A
dvances in Cancer Research,213−242,1
999)の、数年に亘る経過中の患者の免疫応答の進展を記載した古典的研究に
より例示されている。NK溶解に対する感受性増大のために、概して生得免疫 よび 特にNK活性の刺激をもたらすアプローチは特別の意義を有することが予測
される。このようなアプローチの一例は、種々の造血性増殖因子、例えばFlt
3リガンドまたはProGPによる大量の樹状細胞(DC)の誘導である。この
アプローチに関する根拠は、樹状細胞が、生得免疫および特にNK活性に対する
最も強力な刺激剤の1つである大量のIL−12を産生するという周知の事実に
ある。あるいはIL−12は直接投与されるか、またはそれをコードする核酸と
して投与される。この点から見て、Flt3リガンド処置がクラスI陰性前立腺 マウス 癌モデルの一過性腫瘍退行を生じるということに留意するのは興味深い(
Ciavarra RPら、Flt3−Ligand induces tra
nsient tumor regression in an ectopi treatment model of major histocomp
atibility complex−negative prostate
cancer Cancer Res.60:2081−84,2000)。こ
の情況では、本発明の特異的抗腫瘍ワクチンはこれらの型の造血増殖因子と相乗
作用して、CTLおよびNK細胞応答の両方を促進し、それにより突然変異を生
じ、それにより有効な処置を逃れる細胞の能力を明らかに減損する。したがって
本発明の実施形態は、本発明の組成物を、NK細胞の機能的活性または数を増大
する方法または組成物と一緒に包含する。このような実施形態は、NK誘導性の
様式で引き続き、あるいはNK誘導性の様式で同時期に、本発明の組成物を提供
するプロトコールを包含し得る。
【0245】 第二に、HLAの完全損失はしばしば腫瘍細胞の画分においてのみ起こるが、
一方、腫瘍細胞の残り部分は正常発現を示し続ける。機能に関して、腫瘍は部分
的に依然としてCTL応答からの直接攻撃を受け、細胞のHLAを欠く部分はN
K応答を受ける。CTL応答のみが用いられる場合でも、腫瘍のHLA発現画分
の破壊は生存時間およびクオリティーオブライフに劇的影響を及ぼす。
【0246】 異種HLA発現の場合には、正常HLA発現および欠陥細胞はともに、「傍観
者効果」に基づいた免疫破壊を受け易いと予測される、ということにも留意すべ
きである。このような効果は、例えば抗体標的化スーパー抗原の作用のインビボ
メカニズムを調べたRosendahlと共同研究者の研究において実証された
(Rosendahl Aら、Perforin and IFN−gamma
are involved in the antitumor effec
ts of antibody−targeted superantigen
s J.Immunol.160(11):5309−13,June 1,1
998)。傍観者効果は、例えばHLA保有標的細胞に作用するCTLから誘導 されるサイトカインにより媒介され、それによりサイトカインは付随して殺害さ
れる他の罹患細胞の環境中に存在すると理解される。
【0247】 (対立遺伝子特異的損失) クラスI分子の変化の最も一般的なの1つは、HLAに対してヘテロ接合性
の個体中のある種の対立遺伝子の選択的損失である。対立遺伝子特異的変化は、
単一HLA拘束エレメントにより拘束されるイムノドミナント(immunod
ominant)応答により加えられる免疫圧力に対する腫瘍適合を反映し得る
。このの変化は、腫瘍にクラスI発現を保持させ、したがってNK細胞認識を
逃れさせるが、なお依然として残りのHLA型に対応するエピトープを含む本発
明のCTLベースのワクチンに感受性である。したがって対立遺伝子特異的損失
の考え得るハードルを克服するための実際的な解決策は、多数の特異的応答の誘
導に依存する。本発明のワクチン中の多数の疾患関連抗原の含入は特定の疾患抗
原の損失を生じる突然変異を防ぐのとちょうど同じように、多数のHLA特異性
および多数の疾患関連抗原を同時にターゲッティングすることは、対立遺伝子特
異的損失による疾患逃避を阻止する。
【0248】 (発現の低減(対立遺伝子特異的または非特異的)) エフェクターCTLの感受性は、長年実証されてきた(Brower,RCら
、Minimal requirements for peptide me
diated activation of CD8+CTL Mol.Imm
unol.,31:1285−93,1994;Chriustnick,ET
ら、Low numbers of MHC class I−peptide
complexes required to trigger a T c
ell response Nature 352:67−70,1991;S
ykulev,Yら、Evidence that a single pep
tide−MHC complex on a target cell ca
n elicit cytolytic T cell response I
mmunity,4(6):565−71,June 1996)。単一ペプチ
ド/MHC複合体でさえ、腫瘍細胞溶解を生じ、抗腫瘍リンホカインを放出し得
る.HLA発現低減および免疫認識からの考え得る腫瘍逃避の生物学的意義は、
完全にはわかっていない。それにもかかわらず、1つという少ないMHC/ペプ
チド複合体のCTL認識で、腫瘍細胞溶解を導くのに十分である、ということが 実証 されている。
【0249】 さらに、HLAの発現は、エフェクターCTLにより一般的に分泌されるγI
FNにより上方制御され得る、ということが一般的に観察される。さらにHLA
クラスI発現は、αおよびβIFNの両方によりインビボで誘導され得る(Ha
lloranら、Local T cell responses induc
e widespread MHC expression,J Immuno
l 148:3837,1992;Pestka,Sら、Interferon
s and their actions Annu.Rev.Biochem
.56:727−77,1987)。逆に、HLAクラスI発現のレベル低減も
細胞をNK溶解に対してより感受性にさせる。
【0250】 γIFNに関しては、Torres等(Torres,MJら、Loss o
f an HLA haplotype in pancreas cance
r tissue and its corresponding tumor
derived cell line.Tissue Antigens 4
7:372−81,1996)は、ハロタイプの全体的損失が起こらない限り、
HLA発現が膵臓癌におけるγIFNにより上方制御される、ということに注目
している。同様にReesおよびMianは、対立遺伝子欠失および損失は、サ
イトカイン(例えばIFN−γ)により少なくとも部分的に回復され得る、と
いうことに注目した(Rees,Rら、Selective MHC expr
ession in tumours modulates adaptive
and innate antitumour responses Can
ceImmunol Immunother 48:374−81,199
9)。IFN−γ処置は、研究された症例の大多数におけるクラスI分子の上方
制御をもたらす、ということも注目された(Browning Mら、Mech
anisms of loss of HLA class I expres
sion on colorectal tumor cells,Tissu
e Antigens 47:364−371,1996)。Kaklamak
is等も、IFN−γを用いるアジュバント免疫療法がHLAクラスI陰性腫瘍
の場合に有益であり得る、ということを示唆した(Kaklamanis L,
Loss of transporter in antigen proce
ssing 1 transport protein and major
histocompatibility complex class I m
olecules in metastatic versus primar
y breast cancer,Cancer Research 55:5
191−94,November 1995)。局所炎症/免疫化によりIFN
−γ産生が誘導され、自己増幅されて(Halloranら、Local T
cell responses induce widespread MHC
expression,J.Immunol 148:3837,1992)
、炎症部位から離れた部位でもMHC発現の大増加をもたらす、と強調すること
は重要である。
【0251】 最後に、研究により、HLA発現の低減が腫瘍細胞をNK溶解に対してより感
受性にさせ得るということが実証された(Ohnmacht,GAら、Hete
rogeneity in expression of human leu
kocyte antigens and melanoma−associa
ted antigens in advanced melanoma J
Cellular Phys 182:332−338,2000;Liung
gren HGら、Host resistance directed se
lectively against H−2 deficient lymp
homa variants:Analysis of the mechan
ism J.Exp.Med.,162(6):1745−59,Decemb
er 1,1985;Malo Mら、Reduction in susce
ptibility to natural killer cell−med
iated lysis of human FO−1 melanoma c
ells after induction of HLA class I
antigen expression by transfection w
ith β2m gene J.Clin.Invest.88(1):282
−9,July 1991:Schrier PIら、Relationshi
p between myc oncogene activation an
d MHC class I expression Adv.Cancer
Res.,60:181−246,1993)。もしHLA発現の低減が、CT
L逃避を促すために腫瘍に対して利益を与えるが、その腫瘍をNK溶解に対して
感受性にさせるならば、NK活性に対する耐性を可能にするHLA発現の最小レ
ベルが選定される(Garrido Fら、Implications for
immunosurveillance of altered HLA c
lass I phenotypes in human tumours I
mmunol Today 18(2):89−96,February 19
97)。したがって本発明の処置用組成物または方法は、HLA発現を上方制御
するための処置および/または高親和性T細胞による処置と一緒に、腫瘍をCT
L破壊に対して感受性にさせる。
【0252】 (HLA発現における変化の頻度) クラスI発現における変化の頻度は、多数の研究の対象である(Algarr
a Iら、The HLA crossroad in tumor immu
nology Human Immunology 61,65−73,200
0)。ReesとMianは、対立遺伝子損失は全体で3〜20%の腫瘍に起こ
り、対立遺伝子欠失は15〜50%の腫瘍で起こると概算している。各細胞は2
つの別々の組のクラスI遺伝子を有し、その各遺伝子が1つのHLA−Aおよび
1つのHLA−B遺伝子座を保有する、ということに留意すべきである。したが
って完全へテロ接合型個体は、2つの異なるHLA−A分子と2つの異なるHL
A−B分子を保有する。したがって、任意の特異的対立遺伝子に関する損失の実
際の頻度は、全頻度の4分の1という少なさであり得る。概して、発現の勾配は
正常細胞、原発性腫瘍および腫瘍転移間に存在する、ということにも彼等は留意
した。Nataliと共同研究者(Natali PGら、Selective
changes in expression of HLA class
I polymorphic determinants in human
solid tumors PNAS USA 86:6719−6723,S
eptember 1989)からの研究では、固形腫瘍は、W6/32抗体を
用いて、全体的HLA発現に関して、およびBB7.2抗体の使用により評価し
た場合のA2抗原の対立遺伝子特異的発現に関して検査された。腫瘍試料は、1
3の異なる腫瘍型に関して原発性癌または転移から得られ、20%未満である場
合は陰性、30〜80%の範囲である場合には低減、そして80%を超える場合
には正常と採点された。腫瘍は全て、原発性も転移も、W6/32を用いてHL
A陽性であった。A2発現に関しては、低減は16.1%の症例で認められ、A
2は39.4%の症例で検出されないと採点された。Garridoと共同研究
者(Garrido Fら、Natural history of HLA
expression during tumour development
Immunol Today 14(10):491−99,1993)は、
HLA変化は良性から最も攻撃的までの進行中の特定の段階で起こると思われる
ことを強調した。Jiminez等(Jiminez Pら、Microsat
ellite instability analysis in tumor
s with different mechanisms for tota
l loss of HLA expression,Cancer Immu
mol Immunother 48:684−90,2000)は、118の
異なる腫瘍を分析した(結腸直腸癌68例、喉頭癌34例および黒色腫16例)
。HLA発現の全体的損失に関して報告された頻度は、結腸癌11%、黒色腫1
8%および喉頭癌13%であった。したがってHLAクラスI発現は、恐らくは
免疫圧力の反映として、または病理学的変化および罹患細胞の変化の蓄積の単な
る反映として、腫瘍型の有意の画分中で変更される。
【0253】 (HLA損失情況での免疫療法) 大多数の腫瘍はHLAクラスIを発現し、後期段階で、かつ低分化腫瘍におい
て、より重篤な変化が見出される一般的傾向がある。このパターンは、免疫療法 の情況において有望であり、特に以下のようであると考える:1)免疫組織化学
的技法の相対的低感度は、腫瘍におけるHLA発現を低く評価し得る;2)クラ
スI発現は、局所的炎症およびリンホカイン放出の結果として腫瘍細胞中で誘導
され得る;ならびに3)クラスI陰性細胞は、NK細胞による溶解に感受性であ
る。
【0254】 したがって本発明の種々の実施形態は、特に腫瘍性疾患の情況において、HL
A分子のある程度の損失が存在し得るという事実を考慮して選択され得る。例え
処置医は、HLAが発現されているか否かを確証するために患者の腫瘍をアッ
セイし得る。あるパーセンテージの腫瘍細胞がクラスIHLAを発現しないなら
ば、NK細胞応答を惹起する方法または組成物を含む本発明の実施形態が用いら
れ得る。本明細書中に記載されているように、このようなNK誘導法またはNK 誘導 組成物は、樹状細胞の動員を促進するFIt3リガンドまたはProGPを
含み得る。理論的根拠は、樹状細胞が大量のIL−12を産生するということに
ある。IL−12はアミノ酸形態または核酸形態のいずれかで直接投与され得る
。本発明の組成物はNK細胞誘導性組成物と同時に投与され得るし、あるいはこ
れらの組成物は引き続いて投与され得る、ということに留意すべきである。
【0255】 対立遺伝子特異的HLA損失の情況では、腫瘍はクラスI発現を保持し、した
がってNK細胞認識を逃れ、さらに残りのHLA型に対応するエピトープを含む
本発明のCTLベースのワクチンに依然として感受性であり得る。この概念はこ
こでは、特異的抗原の損失をもたらす突然変異に対して防護するために多数の疾
患抗原を含む本発明の実施形態に類似する。したがって、対立遺伝子特異的損失
、ならびに疾患関連抗原損失による腫瘍逃避を阻止するために、多数の疾患関連
抗原由来の多数のHLA特異性および多数のエピトープを同時に標的にし得る。
さらに本発明の実施形態は、代替的治療用組成物および治療方法と併合され得
る。このような代替的組成物および方法は、放射線、細胞傷害性薬剤および/
または体液性抗体応答を誘導する組成物/方法を包含するが、これらに限定され
ない。
【0256】 さらに、HLAの発現は、エフェクターCTLにより一般的に分泌されるγI
FNにより上方制御され得ること、およびHLAクラスI発現は、αおよびβI
FNの両方によりインビボで誘導され得ることが観察された。したがって本発明
の実施形態は、HLAの上方制御を促進するために、α、βおよび/またはγI
FNも含み得る。
【0257】 (IV.N.副作用を誘導する治療からの猶予期間:「計画的処置の中断また
休薬日(drug holiday)」) 病原体に感染し、初期に病原体負荷を低減する処置レジメンで処置されたある
患者は、処置レジメンから外れた場合でも、即ち「休薬日」中も、病原体負荷低
減を維持し得た、ということを近年の証拠は示している(Rosenberg,
E.ら、Immune control of HIV−1 after ea
rly treatment of acute infection Nat
ure 407:523−26,Sept.28,2000)。当業者に理解さ
れるように、病原体および癌の両方に対する多数の処置レジメンは、しばしば重 篤な多数の副作用を有する。休薬日中に、患者の免疫系は疾患を抑制している。
本発明の組成物を用いるための方法は、癌および病原性感染に対して休薬日の情
況で用いられる。
【0258】 感染の処置に関しては、治療が特に免疫抑制性であるわけでない場合、本発明
の組成物が標準的治療と同時に投与される.この期間の間、患者の免疫系は、本
発明の組成物により含まれるエピトープに対する応答を誘導するように指向され 。副作用を有する処置から外れた時点で、患者は、病原体負荷が増大し始める
場合に感染性病原体に対して応答するようプライミングされる。本発明の組成物
は、休薬日中も同様に提供され得る。
【0259】 癌患者に関しては、多数の治療が免疫抑制性である。したがって、寛解が達成
されるかまたは、患者が標準的処置に対して性であると同定され、次に免疫抑
治療から外れた場合、本発明の組成物が投与される。したがって患者の免疫系
が再構成するにつれ、貴重な免疫源が同時に癌に向けられる。本発明の組成物は
、所望の場合、免疫抑制レジメンと同時にも投与され得る。
【0260】 (IV.O.キット) 本発明のペプチドおよび核酸組成物は、ワクチン投与のための指示書とともに
キットの形態で提供され得る。代表的に、キットは、容器中の所望のペプチド組
成物(好ましくは、単位用量形態にある)および投与のための指示書を含む。代
替的なキットは、投与のための指示書とともに、容器中の本発明の所望の核酸 構成される ミニジーン構築物(好ましくは、単位用量形態にある)を含む。IL
−2またはIL−12のようなリンホカインもまた、キットに含まれ得る。所望
であり得る他のキット構成要素には、例えば、滅菌シリンジ、ブースター投薬、
および他の所望の賦形剤が挙げられる。
【0261】 (IV.P.概要) 本発明に従うエピトープは、免疫応答を誘導するために首尾良く使用された。
これらのエピトープを用いた免疫応答は、これらのエピトープを種々の形態で投
与することによって誘導された。これらのエピトープは、ペプチドとして、核酸
として、そして本発明のエピトープをコードする核酸を含むウイルスベクターと
して投与された。ペプチドベースのエピトープ形態の投与において、免疫応答は
、細胞で発現される空のHLA分子上にエピトープを直接負荷することによって
、そしてこのエピトープのインターナリゼーションおよびHLAクラスI型経路
を介するプロセシングを介して誘導された;いずれの場合においても、次いで、
このエピトープを発現するHLA分子は、相互作用し得、そしてCTL応答を誘
導し得た。ペプチドは、直接的に、またはリポソームのような薬剤を使用して送
達され得る。これらは、さらに、銃式送達(ballistic delive
ry)を使用して送達され得、ここで、これらのペプチドは、代表的には、結晶
形態である。DNAを使用して免疫応答を誘導する場合、DNAは、裸のDNA
として(一般的に、約1〜5gの投薬範囲)または銃式の「遺伝子銃」送達を
介して(代表的に、約10〜100μgの投薬範囲)のいずれかで投与される。
DNAは、種々のコンホメーション(例えば、直鎖状、環状など)で送達され得
る。本発明に従うエピトープをコードする核酸を含む、種々のウイルスベクター
もまた、首尾良く使用された。
【0262】 従って、本発明に従う組成物は、いくつかの形態で存在する。本発明に従うこ
れらの組成物形態の各々の実施形態は、免疫応答を誘導するために首尾良く使用
された。
【0263】 本発明に従う1つの組成物は、複数のペプチドを含む。この複数のペプチドま
たはペプチドのカクテルは、一般的に、1つ以上の薬学的に受容可能な賦形剤と
混合される。ペプチドカクテルは、同じペプチドの複数のコピーを含み得るか、
またはペプチドの混合物を含み得る。ペプチドは、天然に存在するエピトープの
アナログであり得る。ペプチドは、人工アミノ酸および/または化学的改変(例
えば、脂質化;アセチル化、グリコシル化、ビオチン化、リン酸化などの表面活
性分子の付加のような改変)を含み得る。ペプチドは、CTLエピトープまたは
HTLエピトープであり得る。好ましい実施形態において、ペプチドカクテルは
、複数の異なるCTLエピトープおよび少なくとも1つのHTLエピトープを含
む。HTLエピトープは、天然または非天然(例えば、PADRE(登録商標)
、Epimmune Inc.,San Diego、CA)であり得る。本発
明の実施形態における異なるエピトープの数は、一般的に、1〜10の整数(
whole unit integer)である(例えば、1、2、3、4、5
、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、
19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、
31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、
43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、
55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、
67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、
79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、
91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100)。
【0264】 本発明に従う組成物のさらなる実施形態は、ポリペプチド多エピトープ構築物
(すなわち、ポリエピトープペプチド)を含む。本発明に従うポリエピトープペ
プチドは、当該分野において周知の技術の使用によって調製される。これらの公
知の技術の使用によって、本発明に従うエピトープは、互いに連結される。ポリ
エピトープペプチドは、直鎖状または非直鎖状(例えば、多価)であり得る。こ
れらのポリエピトープ構築物は、人工アミノ酸、スペーシングアミノ酸またはス
ペーサーアミノ酸、隣接アミノ酸、または隣接エピトープ単位間の化学的改変を
含み得る。ポリエピトープ構築物は、ヘテロポリマーまたはホモポリマーであり
得る。ポリエピトープ構築物は、一般的に、2〜150の間の任意の整数の量(
例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、1
5、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、2
7、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、3
9、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、5
1、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、6
3、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、7
5、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、8
7、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、9
9、または100)のエピトープを含む。ポリエピトープ構築物は、CTLエピ
トープおよび/またはHTLエピトープを含み得る。構築物中の1以上のエピト
ープは、例えば、表面活性物質(例えば、脂質)の付加によって改変され得るか
、または化学的に改変され得る(例えば、アセチル化など)。さらに、多エピト
ープ構築物における結合は、ペプチド結合以外(例えば、共有結合、エステルま
たはエーテル結合、ジスルフィド結合、水素結合、イオン結合など)であり得る
【0265】 あるいは、本発明に従う組成物は、ネイティブ配列に対して相同性を有する(
すなわち、対応するかまたは近接する)アミノ酸の系列、配列、ストレッチ(s
tretch)を含む構築物を含む。このアミノ酸のストレッチは、より長い系
列のアミノ酸から切断されるかまたは単離された場合に、本発明に従って、HL
クラスI型エピトープまたはHLAクラスII型エピトープとして機能する、
アミノ酸の少なくとも1つのサブ配列(subsequence)を含む。この
実施形態において、ペプチド配列は、当該分野で公知であるかまたは提供される
多数の技術を使用することによって、本明細書中に定義されるような構築物にな
るように改変される。ポリエピトープ構築物は、70〜100%(例えば、70
、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82
、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94
、95、96、97、98、99、または100%)の任意の整数の増分でネイ
ティブ配列に対して相同性を含み得る。
【0266】 本発明に従う組成物のさらなる実施形態は、本発明に従う1以上のエピトープ
を含む、抗原提示細胞である。抗原提示細胞は、「プロフェッショナル」抗原提
示細胞(例えば、樹状細胞)であり得る。抗原提示細胞は、当該分野において公
知の任意の手段または当該分野において決定された任意の手段によって、本発明
のエピトープを含み得る。このような手段には、銃式核酸送達のような核酸投与
によって、または核酸の投与のための当該分野の他の技術(ベクターベース
えば、ウイルスベクター)核酸の送達を含む)によって、樹状細胞を1以上の
個々のエピトープまたは複数のエピトープを含む1以上のペプチドとともにパル
スすることを含む。
【0267】 本発明に従う組成物のさらなる実施形態は、本発明の1以上のペプチドをコー
ドする核酸、または本発明に従うポリエピトープペプチドをコードする核酸を含
む。当業者によって理解されるように、種々の核酸組成物は、遺伝コードの縮重
に起因して同じペプチドをコードする。これらの核酸組成物の各々は、本発明の
範囲内に含まれる。本発明のこの実施形態は、DNAまたはRNAを含み、特定
の実施形態において、DNAおよびRNAの組み合わせを含む。本発明に従うペ
プチドをコードする核酸を含む任意の組成物または本発明に従う任意の他のペプ
チドベースの組成物が、本発明の範囲内にあることが理解される。
【0268】 本発明のペプチドベースの形態(ならびに、これらをコードする核酸)が、当
該分野で既に公知であるかまたは公知になる原理を使用して作製される、本発明
のエピトープのアナログを含み得ることが理解される。アナログ化に関する原理
は、現在、当該分野において公知であり、本明細書中に開示される;さらに、ア
ナログ化原理(ヘテロクリティックアナログ化)は、1999年1月6日に出願
された同時係属出願シリアル番号U.S.S.N.第09/226,775号に
開示される。一般的に、本発明の組成物は、単離されているかまたは精製されて
いる。
【0269】 本発明を、特定の実施例によってより詳細に記載する。以下の実施例は、例示
の目的のために提供され、そしていかなる様式においても本発明を制限すること
を意図しない。当業者は、本発明に従って代替の実施形態を得るために変化また
は改変され得る重要でない種々のパラメータを容易に認識する。
【0270】 (V.実施例) 以下の実施例は、ワクチン組成物に含ませるための免疫原性クラスIおよびク
ラスIIペプチドエピトープの同定、選択、および使用を例示する。
【0271】 (実施例1.HLAクラスIおよびクラスII結合アッセイ) HLA分子に結合するペプチドの以下の例は、HLAクラスIおよびクラスI
Iペプチドの結合親和性の定量化を示す。結合アッセイは、モチーフを保有する
かまたはモチーフを保有しないペプチドのいずれかを用いて実施され得る。
【0272】 精製HLA分子を使用するHLAクラスIおよびクラスII結合アッセイを、
開示のプロトコールに従って行った(例えば、PCT公開WO94/20127 およびWO94/03205 ;Sidneyら,Current Protoc
ols in Immunology 18.3.1(1998);Sidne
y,ら,J.Immunol.154:247(1995);Sette,ら,
Mol.Immunol.31:813(1994))。手短には、精製MHC
分子(5〜500nM)を、種々の未標識ペプチドインヒビターおよび上記の1
〜10nMの125I放射標識プローブペプチドと共にインキュベートした。イ
ンキュベーション後、MHCペプチド複合体を、ゲル濾過によって遊離ペプチド
から分離し、そして結合したペプチドの画分を決定した。代表的には、予備実験
において、各MHC調製物を、固定量の放射標識ペプチドの存在下で滴定し、全
放射活性の10〜20%を結合するのに必要とされるHLA分子の濃度を決定し
た。全てのその後の阻害アッセイおよび直接結合アッセイを、これらのHLA濃
度を用いて実施した。
【0273】 [標識]<[HLA]およびIC50≧[HLA]のこれらの条件下で、測定
されたIC50値は、真のK値の適切な近似である。ペプチドインヒビターは
、代表的に、120μg/ml〜1.2ng/mlの範囲の濃度で試験され、そ
して2〜4回の完全に独立した実験において試験される。異なる実験から得られ
たデータの比較を可能にするために、阻害についてのポジティブコントロールの
IC50を各々の試験したペプチド(代表的には、その放射標識されたプローブ
ペプチドの標識されていないバージョン)のIC50で除算することによって、
相対的な結合の数値を、各ペプチドについて計算した。データベース目的および
実験間比較のために、相対的な結合値を編集する。続いて、これらの値を、阻害
についてのポジティブコントロールのIC50 nMを目的のペプチドの相対的
な結合で除算することによって、IC50 nM値に変換し得る。このデータの
編集方法は、異なる日、または異なるロットの精製MHCで試験したペプチドを
比較するために、最も正確でかつ一貫していることが証明された。
【0274】 上に概説された結合アッセイは、例えば、実施例2に記載されるようなスーパ
ーモチーフおよび/またはモチーフを保有するエピトープを分析するために使用
され得る。
【0275】 (実施例2.HLAスーパーモチーフおよびモチーフを保有するCTL候補エ
ピトープの同定) 本発明のワクチン組成物は、広範な集団適用範囲を達成するために、複数のH
LAスーパーモチーフまたはHLAモチーフを含む、複数のエピトープを含み得
る。この実施例は、このようなワクチン組成物に含ませるためのスーパーモチー
フおよびモチーフ保有エピトープの同定を例示する。集団適用範囲の計算を、以
下に記述されるストラテジーを用いて実施した。
【0276】 (スーパーモチーフおよび/またはモチーフを保有するエピトープの同定のた
めのコンピュータ検索およびアルゴリズム) 実施例2および5においてモチーフ保有ペプチド配列を同定するために実施さ
れる検索は、前立腺癌関連抗原についてのタンパク質配列データを使用した。
【0277】 HLAクラスIまたはクラスIIのスーパーモチーフまたはモチーフを保有す
るエピトープについてのコンピュータ検索を、以下のように実施した。全ての翻
訳されたタンパク質配列を、テキスト記号列検索(text string s
earch)ソフトウェアプログラム(例えば、MotifSearch 1.
4(D.Brown,Sna Diego))を使用して分析して、適切なHL
A結合モチーフを含む潜在的なペプチド配列を同定した;代替のプログラムは、
本明細書中に開示されたモチーフ/スーパーモチーフを考慮して、当該分野の情
報に従って容易に作成される。さらに、このような計算は、頭の中で行われ得る
【0278】 同定したA2スーパーモチーフ配列、A3スーパーモチーフ配列およびDRス
ーパーモチーフ配列を、特定のHLAクラスIまたはクラスII分子に結合する
それらの能力を予測するための、多項式アルゴリズムを使用してスコア付けした
。これらの多項式アルゴリズムは、伸長モチーフおよび洗練モチーフの両方を考
慮し(すなわち、異なる位置での異なるアミノ酸の影響を考慮すること)、そし
てペプチド−HLA分子相互作用の全体の親和性(つまり、ΔG)が、以下の型
の線形多項式関数として近似され得るという事実に本質的に基づく: “ΔG”=a1i×a2i×a3i......×ani ここで、ajiは、n個のアミノ酸のペプチドの配列に沿った所定の位置(i)
での所定のアミノ酸(j)の存在の効果を表す係数である。この方法の重要な仮
定は、各位置での効果が、本質的に互いに独立である(すなわち、個々の側鎖の
独立した結合)ことである。残基jが、ペプチドの位置iに生じる場合、一定の
量のjがペプチドの残りの配列に関わらず、このペプチドの結合の自由エネル
ギーに寄与することを仮定する。この仮定は、ペプチドが、実質的に伸びたコン
ホメーションで、MHCに結合しそしてT細胞によって認識されるということを 実証 した本発明者らの研究室からの研究によって証明される(本明細書において
データは省略した)。
【0279】 特定のアルゴリズム係数の導出方法は、Gulukotaら,J.Mol.B
iol.267:1258−126,1997に記載されている;(Sidne
yら,Human Immunol.45:79−93,1996;およびSo
uthwoodら,J.Immunol.160:3363−3373,199
8をまた、参照のこと)。簡潔には、全てのi位について、アンカーおよび非ア
ンカーと同様に、jを保有する全てのペプチドの平均相対結合(ARB)の幾何
平均を、この群の残りに対して計算し、そしてjの推定値として使用する。ク
ラスIIペプチドについて、複数の整列が可能である場合、最も高いスコアの配
列のみが使用され、反復手順に続く。試験セットにおける所定のペプチドのアル
ゴリズムスコアを計算するために、そのペプチドの配列に対応するARB値を、
乗算する。この積が、選択された閾値を超えた場合、このペプチドは、結合する
と予測される。適切な閾値は、所望の予測の厳密さの程度の関数として選択され
る。
【0280】 (HLA−A2スーパータイプ交差反応性ペプチドの選択) 前立腺癌関連抗原PAP、PSA、PSM、およびhK2の完全なタンパク質
配列は、GenBankから得、そして、モチーフ同定ソフトウェアを使用して
走査し、HLA−A2スーパーモチーフ主要アンカー特異性を含む8マー、9マ
ー、10マーおよび11マーの配列を同定した。
【0281】 HLA−A2スーパーモチーフ保有配列を、表VIIに示す。次いでこれらの
配列を、A2アルゴリズムを使用してスコア付けし、この陽性とスコア付けした
配列に対応するペプチドを合成し、そしてインビトロで精製HLA−A020
1分子(HLA−A0201は、原型のA2スーパータイプ分子であると考え
られる)を結合するそれらの能力について試験する。
【0282】 IC50値≦500nMでHLA−A0201に結合する、同定したペプチ
ドの例を、表XXIIおよびXXIIIに示す。次いで、これらのペプチドを、
さらなるA2スーパータイプ分子(A0202、A0203、A0206
、およびA6802)に結合する能力について試験した。試験した5つのA2
スーパータイプ対立遺伝子のうち少なくとも3つに結合するペプチドを、A2ス
ーパータイプ交差反応性結合剤と考える。好ましいペプチドは500nM以下の
親和性で3つ以上のHLA−A2スーパータイプ分子に結合する。これらのペプ
チドの例を、表XXIIIに示す(上記の相同性に起因して、多くのCTLおよ
びHTLエピトープは、PSAおよびhK2抗原両方において示される。このこ
とを、上部の供給源および対立遺伝子供給源として表XXIIIおよびXXIV
に示す。)。
【0283】 (HLA−A3スーパーモチーフ保有エピトープの選択) 上記で走査したタンパク質配列をまた、HLA−A2スーパーモチーフ保有エ
ピトープを同定するために行った方法に類似する方法を使用して、HLA−A
3スーパーモチーフ一次アンカーを有するペプチドの存在について試験した。
【0284】 次いで、これらのスーパーモチーフ保有配列に対応するペプチドを合成し、H
LA−A0301およびHLA−A1101分子(2つの最も一般的なA3
スーパータイプ対立遺伝子)への結合について試験する。次いで、500nM以
下、好ましくは200nM以下の結合親和性でこの2つの対立遺伝子のうちの一
方に結合することが見出されるペプチドを、他の一般的なA3スーパータイプ対
立遺伝子(A3101、A3301、およびA6801)への結合交差反
応性について試験し、これらの試験した5つのHLA−A3スーパータイプ分子
のうちの少なくとも3つに結合し得るペプチドを同定する。
【0285】 (HLA−B7スーパーモチーフ保有エピトープの選択) 同じ標的抗原タンパク質配列をまた分析して、HLA−B7スーパーモチーフ
保有配列を同定した。次いで、これらの対応するペプチドを合成し、そしてHL
A−B0702(最も一般的なB7スーパータイプ対立遺伝子(すなわち、原
型のB7スーパータイプ対立遺伝子))への結合について試験する。次いで、5
00nM以下、好ましくは200nM以下のIC50でB0702に結合する
これらのペプチドを、他の一般的なB7スーパータイプ分子(B3501、B 5101、B5301およびB5401)への結合について試験し、これ
らの試験した5つのB7スーパータイプ対立遺伝子のうちの3つ以上に結合し得
るペプチドを同定する。
【0286】 (A1およびA24モチーフ保有エピトープの選択) 集団適用範囲をさらに増加させるために、HLA−A1エピトープおよびHL
A−A24エピトープをまた、ワクチン構築物に組み込み得る。上記で利用した
標的抗原からのタンパク質配列データの分析もまた行って、HLA−A1−モチ
ーフ含有保存配列およびHLA−A24−モチーフ含有保存配列を同定した。次
いで、ペプチド配列を合成し、そして結合について試験した。
【0287】 他のスーパーモチーフおよび/またはモチーフを保有するペプチドを、類似の
様式において結合または交差反応性結合について評価し得る。
【0288】 (実施例3:免疫原性の確認) 実施例2において記載したように同定した交差反応性候補のCTL A2スー
パーモチーフ保有ペプチドを、インビトロの免疫原性試験のために選択した。少
なくとも3/5のHLA−A2スーパータイプファミリーメンバーに200nM
以下のIC50で結合する免疫原性HLA−A2交差反応性結合ペプチドの例を
、表XXIVに示す。試験を以下の方法論を使用して実施した。
【0289】 (細胞性スクリーニングのための標的細胞系) HLA−A2.1遺伝子を、HLA−A、HLA−B、HLA−Cを有さない
変異体ヒトBリンパ芽球状細胞株721.221に移入することによって産生さ
れた221A2.1細胞株を、ペプチドをロードされた標的として用いて、H
LA−A2.1拘束CTLの活性を測定する。この細胞株を、抗生物質、ピルビ
ン酸ナトリウム、非必須アミノ酸および10%(v/v)熱非働化FCSを補充
したRPMI−1640培地で増殖させる。目的の抗原を発現する細胞、または
目的の抗原をコードする遺伝子を含む被形質導入体を、標的細胞として使用して
、内因性の抗原を認識するペプチド特異的CTLの能力を試験する。
【0290】 (一次CTL誘導培養物) 樹状細胞(DC)の作製:PBMCを、30μg/mlのDNAseを含むR
PMIに融解し、2回洗浄し、そして完全培地(RPMI−1640ならびに5
%ABヒト血清、非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、L−グルタミンおよ
びペニシリン/ストレプトマイシン)に再懸濁する。単球を、6ウェルプレート
に、1ウェル当たり10×10PBMCをプレーティングすることによって精
製した。37℃で2時間後、非付着細胞を、プレートを穏やかに振盪し、そして
上清を吸引することによって除去した。ウェルを、3mlのRPMIで合計3回
洗浄して、大半の非付着細胞およびゆるい付着細胞を除去した。次いで、50n
g/mlのGM−CSFおよび1,000U/mlのIL−4を含む3mlの完
全培地を、各々のウェルに添加した。TNFαを、75ng/mlで6日後にD
Cに添加し、そして細胞を、培養の7日後にCTL誘導培養物について使用した
【0291】 DCおよびペプチドを用いたCTLの誘導:CD8+T細胞を、Dynal免
疫磁気ビーズ(Dynabeads(登録商標)M−450)およびdetac
ha−bead(登録商標)試薬を用いたポジティブ選択によって単離する。代
表的には、約200〜250×10個のPBMCをプロセスして、24×10 個のCD8+T細胞(48ウェルプレート培養に十分である)を得る。手短に
言えば、PBMCを、30μg/mlのDNAseを含むRPMIに融解し、1
%ヒトAB血清を含むPBSで1回洗浄し、そして20×10細胞/mlの濃
度で、PBS/1%AB血清に再懸濁する。磁気ビーズを、PBS/AB血清で
3回洗浄し、細胞に添加し(20×10細胞当たり140μlのビーズ)、そ
して連続的に混合しながら、4℃で1時間インキュベートする。このビーズおよ
び細胞を、PBS/AB血清で4回洗浄して非付着細胞を除去し、そして100
μl/mlのdetacha−bead(登録商標)試薬および30μg/ml
のDNAseを含むPBS/AB血清に、100×10細胞/mlで(最初の
細胞数に基づく)再懸濁する。この混合物を、連続的に混合しながら、室温で1
時間インキュベートする。このビーズを、PBS/AB/DNAseで再び洗浄
して、CD8+T細胞を収集する。DCを収集し、そして1300rpmで5〜
7分間遠心分離し、1%BSAを含むPBSで1回洗浄し、計数し、そして20
℃で4時間、3μg/mlのβ2−ミクログロブリンの存在下で、1〜2×10 /mlの細胞濃度で、40μg/mlのペプチドを用いてパルス(pulse
)した。次いで、このDCを、照射し(4,200rad)、培地で1回洗浄し
、そして再び計数する。
【0292】 誘導培養物のセットアップ:0.25mlのサイトカイン生成DC(@1×1
細胞/ml)を、10ng/mlのIL−7の存在下で、48ウェルプレー
トの各々のウェルにおいて、0.25mlのCD8+T細胞(@2×10細胞
/ml)とともに共存培養する。組換えヒトIL10を、最終濃度10ng/m
lで翌日添加し、そして組換えヒトIL2を、10IU/mlで48時間後に添
加する。
【0293】 ペプチドでパルスした付着細胞での誘導培養物の再度刺激:一次誘導の7日お
よび14日後、細胞を、ペプチドでパルスした付着細胞で再度刺激する。PBM
Cを融解し、そしてRPMIおよびDNAseで2回洗浄する。この細胞を、5
×10細胞/mlで再懸濁し、そして約4200radで照射する。PBMC
を、1ウェル当たり0.5mlの完全培地中に2×10でプレーティングし、
そして37℃で2時間インキュベートする。このプレートを、穏やかにプレート
をトラップ(trap)することによってRPMIで2回洗浄して、非付着細胞
を除去し、そして付着細胞を、1ウェル当たり0.25mlのRPMI/5%A
Bにおいて3μg/mlのβミクログロブリンの存在下で、37℃で2時間、
10μg/mlのペプチドでパルスする。各ウェルからのペプチド溶液を吸引し
、そしてこのウェルを、RPMIで1回洗浄した。大半の培地を、誘導培養物(
CD8+細胞)から吸引し、そして新鮮な培地で0.5mlにする。次いで、こ
れらの細胞を、ペプチドでパルスした付着細胞を含むウェルに移した。24時間
後、組換えヒトIL10を、最終濃度10ng/mlで添加し、そして組換えヒ
トIL2を翌日添加し、そして再び50IU/mlで2〜3日後に添加する(T
saiら、Critical Reviews in Immunology
18(1−2):65−75、1998)。7日後、この培養物を、51Cr放
出アッセイにおいてCTL活性についてアッセイする。いくつかの実験において
、この培養物を、第二の再度刺激時に、インサイチュIFNγ ELISAにお
いて、ペプチド特異的認識についてアッセイし、その後、7日後に内因性認識の
アッセイを行う。拡張(expansion)後、活性を、平衡して比較するた
めに両方のアッセイにおいて測定する。
【0294】 (51Cr放出によるCTL溶解活性の測定) 第二の再度刺激の7日後、細胞傷害性を、一つのE:Tで個々のウェルをアッ
セイすることによって、標準的な(5時間)51Cr放出アッセイにおいて決定
する。ペプチドでパルスした標的物を、細胞を37℃で一晩10μg/mlのペ
プチドとともにインキュベートすることによって調製する。
【0295】 付着標的細胞を、トリプシン−EDTAを用いて培養フラスコから除去する。
標的細胞を、37℃で1時間、200μCiの51Crクロム酸ナトリウム(D
upont、Wilmington、DE)で標識する。標識した標的細胞を、
10/mlで再懸濁し、そして3.3×10/mlの濃度でK562細胞を
用いて1:10に希釈する(NK感受性赤芽細胞腫(erythroblast
oma)細胞株を使用して、非特異的溶解を減少させる)。標的細胞(100μ
l)および100μlのエフェクターを、96ウェル丸底プレートにプレーティ
ングし、そして37℃で5時間インキュベートした。この時、100μlの上清
を、各々のウェルから収集し、そしてパーセント溶解を、以下の式に従って決定
する:[(試験サンプルのcpm−自発的な51Cr放出サンプルのcpm)/
(最大の51Cr放出サンプルのcpm−自発的な51Cr放出サンプルのcp
m)]×100。最大の放出および自発的な放出は、それぞれ、1%Trito
n X−100および培地単独とともに、標識された標的物をインキュベートす
ることによって決定する。陽性培地を、個々のウェルの場合に、特異的溶解(サ
ンプル−バックグラウンド)が10%以上であり、そして拡張された培養物をア
ッセイした場合に、2つの最も高いE:Tの比で、15%以上であると規定する
【0296】 (ペプチド特異的認識および内因性認識の指標としてのヒトγIFN産生のイ
ンサイチュ測定) Immulon2プレートを、4℃で一晩、マウス抗ヒトIFNγモノクロー
ナル抗体(4μg/ml 0.1M NaHCO3、pH8.2)でコーティン
グする。このプレートを、Ca2+、Mg2+を含まないPBS/0.05%
Tween20で洗浄し、そしてPBS/10%FCSで2時間ブロックし、こ
の後、CTL(1ウェル当たり100μl)および標的物(1ウェル当たり10
0μl)を、各々のウェルに添加し、空のウェルを、標準およびブランクのため
に残す(これらには、培地のみ入れる)。標的細胞(ペプチドでパルスした標的
物または内因性の標的物のいずれか)を、1×10細胞/mlの濃度で使用す
る。このプレートを、5%COとともに37℃で48時間インキュベートする
【0297】 組換えヒトIFNγを、400pg/100μl/ウェルまたは1200pg
/100μl/ウェルで開始する標準ウェルに添加し、そしてこのプレートを、
37℃で2時間インキュベートする。このプレートを洗浄し、そして100μl
のビオチン化マウス抗ヒトIFNγモノクローナル抗体(PBS/3%FCS/
0.05%Tween20においてμg/ml)を添加し、そして室温で2時
間インキュベートする。再び洗浄した後、100μlのHRP−ストレプトアビ
ジン(1:4000)を添加し、そして室温で1時間インキュベートする。次い
で、このプレートを、洗浄緩衝液で6回洗浄し、1ウェル当たり100μlの展
開溶液(TMB1:1)を添加し、そしてこのプレートを、5〜15分間展開す
る。反応を、1ウェル当たり50μlの1M HPOで停止させ、そしてO
D450にて読み取る。バックグラウンドを超えて1ウェル当たり少なくとも5
0pgのIFNγを測定し、そして発現がバックグラウンドレベルの2倍である
場合に、培養物をポジティブとみなす。
【0298】 CTL拡張。ペプチドでパルスした標的物および/または腫瘍標的物に対して
特異的な溶解活性を示す培養物を、抗CD3を用いて2週間を超えて拡張する。
手短に言えば、5×10個のCD8+細胞を、以下を含むT25フラスコに添
加する:10%(v/v)ヒトAB血清、非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウ
ム、25μM 2−メルカプトエタノール、L−グルタミンおよびペニシリン/
ストレプトマイシンを含むRPMI−640における、1ml当たり1×10 個の照射(4,200rad)PBMC(自家組織または同種の)、1ml当た
り2×10個の照射(8,000rad)EBV−形質転換細胞、および1m
l当たり30ngでのOKT3(抗CD3)。RhumanIL2を、200I
U/mlの最終濃度で24時間後に添加し、その後、50IU/mlで新鮮な培
地を3日ごとに添加する。細胞濃度が、1×10/mlを超えた場合に、細胞
をはがし、そして培養物を、拡張の前と同じ標的物を用いて、51Cr放出アッ
セイにおいて30:1、10:1、3:1および1:1のE:T比で、またはイ
ンサイチュIFNγアッセイにおいて1×10/mlで、13日目と15日目
の間にアッセイする。
【0299】 培養物を、続いて抗CD3+の非存在で拡張する。ペプチドおよび内因性標的
に対する特異的な溶解活性を示すこれらの培養物を選択し、そして5×10
D8+細胞を、以下を含むT25フラスコに添加する、以下:1mlあたり2時
間37℃で10μg/mlのペプチドを用いてパルス化し、そして照射(4,2
00rad)したペプチドである1×10自己PBMC;10%(v/v)ヒ
トAB血清、非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、25mM 2−ME、L
−グルタミンおよびゲンタマイシンを含有するRPMI−1640 1ml当た
り2×10個の照射(8,000rad)EBV−形質転換細胞。
【0300】 (A2−スーパーモチーフ保有ペプチドの免疫原性) A2−スーパーモチーフ交差反応性結合ペプチドを、正常な個体においてペプ
チド特異的CTLを誘導する能力について、細胞性アッセイにおいて試験した。
この分析において、少なくとも2のドナーにおいて(別段の通知のない限り)、
ペプチド特異的CTLを誘導し、そして好ましくは内因性に発現したペプチドを
また認識する場合に、ペプチドを、エピトープとみなす。免疫原性ペプチドの例
を表XXIVに示す。
【0301】 さらに、免疫原性を、癌患者から単離されたPBMCを使用して確認する。簡
単には、PBMCを、前立腺癌を有する患者から単離し、ペプチドパルス化され
た単球を用いて再刺激し、そしてペプチドパルス化した標的細胞および抗原を内
因性に発現するトランスフェクトされた細胞を認識する能力についてアッセイす
る。
【0302】 (A03/A11免疫原性の評価) HLA−A3スーパーモチーフを保有する交差反応性結合ペプチドをまた、H
LA−A2スーパーモチーフペプチドの免疫原性を評価するために使用したもの
と類似の方法論を用いて、免疫原性について評価する。
【0303】 (B7免疫原性の評価) 実施例2において同定されたB7スーパータイプ交差反応性結合ペプチドの免
疫原性スクリーニングを、A2およびA3スーパーモチーフ保有ペプチドの評価
と類似の様式で評価する。
【0304】 他のスーパーモチーフおよび/またはモチーフを保有するペプチド(例えば、
LA−A1、HLA−a24など)をまた、同様の方法論を使用して評価する。
【0305】 (実施例4.アナログの作製によってネイティブのエピトープの結合能を改善
するための拡張されたスーパーモチーフのインプリメンテーション) HLAモチーフおよびスーパーモチーフ(一次残基および/または二次残基を
含む)は、本明細書中に説明されるように、高度に交差反応性のネイティブペプ
チドの同定および調製に有用である。さらに、HLAモチーフおよびスーパーモ
チーフの定義もまた、ネイティブのペプチド配列内部の残基を同定することによ
って、高度に交差反応性のエピトープの設計を可能にする。このネイティブのペ
プチド配列は、アナログ化されるか(analogued)、または「固定」さ
れて、ペプチドに、特定の特性(例えば、スーパータイプを含むHLA分子集団
内のより大きな交差反応性、および/またはこれらのHLA分子のうちのいくつ
かもしくはすべてに対するより大きな結合親和性)を与え得る。調節された結合
親和性を示すアナログペプチドの例を、本実施例に示す。
【0306】 (一次アンカー残基でのアナログ化) ペプチド操作ストラテジーを実行して、上記で同定されたエピトープの交差反
応性をさらに増大した(例えば、表XXIIIを参照のこと)。例えば、関連し
、そして同時係属中のU.S.S.N 09/226,775に開示されるデー
タに基づいて、A2スーパーモチーフ保有ペプチドの主要なアンカーを変更して
、例えば、2位に好ましいL、I、VまたはMを導入し、そしてC末端にIまた
はVを導入する。
【0307】 少なくとも弱いA0201結合(5000nM以下のIC50)を示し、そ
して2位、C末端位置、またはその両方のいずれかに、最適未満のアンカー残基
を保有するペプチドが、規範的な置換を導入することによって(代表的に2位に
L、そしてC末端にV)固定され得る。次いで、A0201結合において少な
くとも3倍の増大を示し、そして500nM、または好ましくは200nM以下
のIC50で結合するこれらのアナログ化ペプチドを、これらの野生型(WT)
相対物に加えて、A2交差反応性結合について試験する。次いで、5つのA2ス
ーパータイプ対立遺伝子のうちの少なくとも3つを結合するアナログ化ペプチド
を、細胞性スクリーニング分析について選択する。
【0308】 さらに、細胞性スクリーニング分析についてのアナログの選択を、WT親ペプ
チドが、3つ以上のA2スーパータイプ対立遺伝子に少なくとも弱く結合する(
すなわち、5000nM以下のIC50で結合する)能力によりさらに限定する
。この要求についての原理は、WTペプチドが、生物学的に適切であるに十分な
量で内因性に存在しなければならない、ということである。アナログ化ペプチド
は、WTエピトープに対して特異的なT細胞によって増大した免疫原性および交
差反応性を有することが示されている(例えば、Parkhurstら、J.I
mmunol.157:2539、1996;およびPogueら、Proc.
Natl.Acad.Sci.USA 92:8166、1995を参照のこと
)。
【0309】 これらのペプチドアナログの細胞性スクリーニングにおいて、アナログ特異的
CTLはまた、野生型ペプチド、そして可能であれば、このエピトープを内因性
に発現する腫瘍標的物を認識し得ることを実証することが重要である。
【0310】 一次アンカー残基でアナログ化した(一般的に、一次アンカー位置に好ましい
残基を付加することによって)ペプチドを、合成し、増強されたA0201へ
の結合および増強された交差反応性結合について評価した。増加された結合およ
び/または交差反応性を示すアナログ化されたペプチドの例を、表XXIIIに
示す。
【0311】 次いで、変化した結合特性を示すアナログを、細胞性スクリーニング研究のた
めに選択する。例を表XIVに示す。
【0312】 HLA−A2アナログを開発するために使用されたものと類似の方法論を用い
て、HLA−A3およびHLA−B7スーパーモチーフ保有エピトープのアナロ
グをまた作製する。類似のストラテジーを、他のスーパーモチーフ/モチーフを
保有するペプチドのためになお使用し得る。例えば、A3スーパータイプ分子の
うちの5分の3に少なくとも弱く結合するペプチドは、一次アンカー残基で操作
されて、2位に好ましい残基(V、S、MまたはA)を有し得る。次いで、この
アナログペプチドを、A03およびA11(プロトタイプのA3スーパータ
イプの対立遺伝子)を結合する能力について試験する。次いで、500nM以下
、しばしば200nM以下の結合値を示すこれらのペプチドを、A3スーパータ
イプの交差反応性について試験する。例えば、Sidneyらによって明らかに
された(J.Immunol.157:3480−3490,1996)ように
、B7スーパーモチーフ保有ペプチドを操作して、好ましい残基(V、I、Lま
たはF)をC末端一次アンカー位置で保持し得、そしてB7スーパータイプ対立
遺伝子への結合について試験する。
【0313】 (二次アンカー残基でのアナログ化) さらに、HLAスーパーモチーフは、高度に交差反応性のペプチド、および/
または増大した親和性でHLA分子を結合するペプチドをこのような性質に関連
する二次アンカー位置で特定の残基を同定することによって、操作する際に有益 ある。例えば、1位での目立たない(discreet)1アミノ酸置換の典
型であるB7スーパーモチーフ保有ペプチドの結合能を分析し得る。例えば、ペ
プチドをアナログ化して、1位でLをFで置換し得、そして引き続いて、増大し
た結合親和性および/または増大した交差反応性について評価し得る。このよう な手順は調節された結合親和性を有するアナログペプチドを同定する。
【0314】 結合能力または交差反応性を十分に改善した操作されたアナログを、上のよう
に免疫原性について試験する。
【0315】 (他のアナログ化ストラテジー) アンカー位置に関連しない別の形態のペプチドのアナログ化は、αアミノ酪酸
でのシステインの置換に関与する。その化学的性質に起因して、システインは、
ジスルフィド架橋を形成し、そして結合能を減少するように、構造的にペプチド
を十分に変更する性質を有する。システインのαアミノ酪酸での置換は、この問
題を解消するだけではなく、いくつかの例において、結合能および交差結合能を
改善することが示されている(例えば、Setteらによる総説、Persis
tent Viral Infections、R.AhmedおよびI.Ch
en編、John Wiley & Sons、England、1999を参
照のこと)。
【0316】 結論として、これらのデータは、1つのアミノ酸置換でさえ使用することによ
って、HLAスーパータイプ分子に対するペプチドリガンドの結合親和性および
/または交差反応性を増加し得ることを明らかにする。
【0317】 (実施例5.HLA−DR結合モチーフを有するペプチドエピトープ配列の同
定) HLAクラスIIスーパーモチーフまたはモチーフを保有するペプチドエピト
ープをまた、実施例1〜3に記載されるものと類似の方法論を用いて、以下に概
説されるように同定し得る。
【0318】 (HLA−DRスーパーモチーフ保有エピトープの選択) HLAクラスII HTLエピトープを同定するために、前立腺癌関連抗原タ
ンパク質配列を、HLA−DRモチーフまたはスーパーモチーフを保有する配列
の存在について分析した。具体的には、9マーのコアをさらに含むDRスーパー
モチーフ、ならびに3残基のN末端隣接領域およびC末端隣接領域を含む(合計
15アミノ酸)、15マーの配列を選択する。
【0319】 DR分子に結合するペプチドの推定についてのプロトコールが開発されている
(Southwoodら、J.Immunol.160:3363−3373、
1998)。個々のDR分子に特異的なこれらのプロトコールは、9マーのコア
領域のスコア付けおよびランク付けを可能にする。各々のプロトコールは、9マ
ーのコアの内部のDRスーパーモチーフの一次アンカーの存在(すなわち、1位
および6位)について、ペプチド配列をスコア付けするだけではなく、さらに、
二次アンカーの存在についても配列を評価する。対立遺伝子に特異的な選択表(
例えば、Southwoodら、同書を参照のこと)を用いて、これらのプロト
コールが、特定のDR分子を結合する高い確率で、ペプチド配列を効果的に選択
することが見出されている。さらに、これらのプロトコール(具体的には、DR
1、DR4w4およびDR7についてのプロトコール)を連繋して実行すること
により、DRの交差反応性ペプチドを効果的に選択し得ることが見出されている
【0320】 上記で同定された前立腺抗原由来のペプチドを、種々の一般的なHLA−DR
分子に対する結合能について試験する。すべてのペプチドを、最初に、一次パネ
ル:DR1、DR4w4およびDR7において、DR分子への結合について試験
する。次いで、1000nM以下のIC50値でこれらの3つのDR分子のうち
の少なくとも2つを結合するペプチドを、DR50101、DRB1150
1、DRB11101、DRB10802およびDRB11302への結
合について試験した。試験した8つの対立遺伝子のうちの少なくとも5つに、1
000nM以下のIC50値で結合した場合、ペプチドを、交差反応性のDRス
ーパータイプバインダー(binder)とみなした。
【0321】 上記に概説したストラテジーの後、DRスーパーモチーフ保有配列を、前立腺
抗原タンパク質配列内で同定した。一般的に、次いでこれらの配列を、複合(c
ombined)DR1−4−7アルゴリズムにおいて、スコア付けした。この
陽性とスコア付けされたペプチドを合成し、そしてHLA−DRB10101
、DRB10401、DRB10701への結合について試験した。次いで
、3つの対立遺伝子の内少なくとも2つを、二次DRスーパータイプ対立遺伝子
:DRB50101、DRB11501、DRB11101、DRB1 0802およびDRB11302への結合について試験した。
【0322】 (DR3モチーフペプチドの選択) HLA−DR3は、カフカス人集団、黒人集団およびスペイン系人集団におい
て優勢な対立遺伝子であるので、DR3結合能は、HTLエピトープの選択にお
ける重要な基準である。しかし、以前に生成されたデータは、DR3のみが、他
のDR対立遺伝子とめったに交差反応しないことを示した(Sidneyら、J
.Immunol.149:2634−2640、1992;Gelukら、J
.Immunol.152:5742−5748、1994;Southwoo
dら、J.Immunol.160:3363−3373、1998)。これは
、DR3ペプチド結合モチーフが、大半の他のDR対立遺伝子の特異性とは異な
と思われる点において、まったく驚くべきことではない。ワクチン候補物の開
発における最大の効率について、DR3モチーフが、DRスーパーモチーフ領域
に近接してクラスター化ことが望ましい。従って、候補物であると示されたペプ
チドもまた、そのDR3結合能についてアッセイされ得る。しかし、DR3モチ
ーフの異なる結合特異性を考慮して、DR3のみに結合するペプチドをまた、ワ
クチン処方物への包含についての候補物とみなし得る。
【0323】 DR3を結合するペプチドを効果的に同定するために、PSA、PSM、PA
P、およびhK2タンパク質配列を、Gelukら(J.Immunol.15
2:5742−5748、1994)によって報告される2つのDR3特異的結
合モチーフ(表III)のうちの1つを保有する配列について分析した。次いで
、対応するペプチドを合成し、そして1000nMまたはよりよい(すなわち、
1000nM未満の)親和性でDR3を結合する能力について試験する。
【0324】 さらに、DR3結合剤をまた、DRスーパータイプ対立遺伝子への結合につい
て試験する。逆に、DRスーパータイプ交差反応性結合ペプチドをまた、DR3
結合能について試験する。
【0325】 この様式で同定されたDR3結合エピトープをまた、DR3スーパーモチーフ
保有ペプチドエピトープを有するワクチン組成物中に含む。
【0326】 HLAクラスIモチーフ保有ペプチドの場合と同様に、クラスIIモチーフ保
有ペプチドをアナログ化して、親和性または交差反応性を改善する。例えば、9
マーコア配列の位置4でのアスパラギン酸は、DR3結合について最適な残基で
あり、そしてこの残基についての置換は、しばしばDR3結合を改善する。
【0327】 例えば、多くのHLA−DRスーパーモチーフおよびDR−3モチーフ保有前
立腺抗原関連配列を、同定している。各部門における数を、表XXVにまとめる
【0328】 (実施例6.HTLエピトープの免疫原性) 本実施例は、実施例5における方法論を用いて同定されたエピトープ間の、免
疫原性DRスーパーモチーフ保有エピトープおよびDR3モチーフ保有エピトー
プを決定する。
【0329】 HTLエピトープの免疫原性を、HTL応答を刺激する能力の評価および/ま
たは適切なトランスジェニックマウスモデルの使用によって、CTLエピトープ
の免疫原性の決定に類似の様式で評価する。免疫原性を、以下についてのスクリ
ーニングによって決定する:1.)正常なPBMCを用いたインビトロ一次誘導
、または2.)癌患者のPBMC由来のリコール(recall)応答。
【0330】 (実施例7.集団範囲の広さを決定するための、種々の人種背景におけるHL
Aスーパータイプの表現型頻度の計算) 本実施例は、複数のスーパーモチーフおよび/またはモチーフを含む複数のエ
ピトープから構成されるワクチン組成物の集団範囲の広さの評価を例示する。
【0331】 集団範囲を分析するために、HLA対立遺伝子の遺伝子頻度を決定した。各々
のHLA対立遺伝子についての遺伝子頻度を、二項分布式gf=1−(SQRT
(1−af))を利用して、抗原頻度または対立遺伝子頻度から計算した(例え
ば、Sidneyら、Human Immunol.45:79−93、199
6を参照のこと)。全体の表現型頻度を得るために、累積遺伝子頻度を計算し、
そして累積抗原頻度は、逆関数式[af=1−(1−Cgf)]の使用によっ
て導かれた。
【0332】 頻度のデータが、DNA分類のレベルで入手不可能であった場合、血清学的に
規定された抗原頻度の対応を仮定した。合計の潜在的なスーパータイプの集団範
囲を得るために、連鎖不平衡を仮定せず、そして各々のスーパータイプに属する
ことが確認される対立遺伝子のみを含めた(最小限の見積もり)。位置間(in
ter−loci)の組み合わせによって達成される合計の潜在的な範囲の見積
もりを、考慮されるB対立遺伝子によって覆われることが期待され得る、Aで覆
われない集団の割合を、A範囲に付加することによって作製した(例えば、合計
=A+B*(1−A))。A3様スーパータイプの確認されたメンバーは、A3
、A11、A31、A3301およびA6801である。A3様スーパータ
イプはまた、A34、A66およびA7401を含み得るが、これらの対立遺
伝子は、合計の頻度計算に含めなかった。同様に、A2様スーパータイプファミ
リーの確認されたメンバーは、A0201、A0202、A0203、A 0204、A0205、A0206、A0207、A6802および
6901である。最終的に、B7様スーパータイプの確認された対立遺伝子
は、以下である:B7、B3501〜03、B51、B5301、B54
01、B5501〜2、B5601、B6701およびB7801(潜
在的には、またB1401、B3504〜06、B4201およびB
602)。
【0333】 A2スーパータイプ、A3スーパータイプおよびB7スーパータイプを結合す
ることによって達成される集団範囲は、5つの主要な人種群において、約86%
である(表XXIを参照のこと)。範囲は、A1モチーフおよびA24モチーフ
を保有するペプチドを含めることによって拡張され得る。平均して、A1は、5
つの異なる主要な人種群(カフカス人、北米黒人、中国人、日本人およびスペイ
ン系人)に渡る集団の12%に存在し、そしてA24は、この5つの異なる主要
な人種群に渡る集団の29%に存在する。合わせて、これらの対立遺伝子を、こ
れらの同じ人種集団において39%の平均頻度で表す。A1およびA24を、A
2スーパータイプ対立遺伝子、A3スーパータイプ対立遺伝子およびB7スーパ
ータイプ対立遺伝子の範囲と組み合わせる場合、主要な民族的背景に渡る合計の
範囲は、95%を超える。類似のアプローチを使用して、クラスIIモチーフ保
有エピトープの組み合わせを用いて達成される集団範囲を概算し得る。
【0334】 (実施例8.プライム後の内因性にプロセスされた抗原の誘発の認識) 本実施例は、実施例1〜6に記載されるように同定されかつ選択される、ネイ
ティブのペプチドエピトープまたはアナログ化ペプチドエピトープによって誘導
されるCTLが、トランスジェニックマウスモデルを使用して、内因性に合成さ
れた(すなわち、ネイティブの)抗原を認識することを決定する。
【0335】 ペプチドエピトープ(例えば、Wentworthら、Mol.Immuno
l.32:603、1995に記載されるような)で免疫したトランスジェニッ
クマウスから単離したエフェクター細胞(例えば、HLA−A2スーパーモチー
フ保有エピトープ)を、ペプチドでコーティングした刺激(stimulato
r)細胞を用いて、インビトロで再度刺激する。6日後、エフェクター細胞を、
細胞傷害性についてアッセイし、そしてペプチド特異的細胞傷害性活性を含む細
胞系を、さらに再度刺激する。さらに6日後、これらの細胞系を、ペプチドの非
存在または存在下で、51Crで標識したJurkat−A2.1/K標的細
胞に対する細胞傷害性活性について試験し、そしてまた、内因性に合成された抗
原を保有する51Crで標識した標的細胞(すなわち、前立腺腫瘍細胞またはT
AA発現ベクターを用いて安定にトランスフェクトされる細胞)について試験す
る。
【0336】 結果は、ペプチドエピトープを用いてプライムした動物から得られたCTL系
が、内因性に合成された抗原を認識することを実証する。このような分析につい
て使用されるべきトランスジェニックマウスモデルの選択は、評価されているエ
ピトープに依存する。HLA−A0201/Kトランスジェニックマウスに
加えて、ヒトA11を有するマウスを含むいくつかの他のトランスジェニックマ
ウスモデル(これはまた、A3エピトープを評価するために使用され得る)およ
びB7対立遺伝子を有するマウスを含むいくつかの他のトランスジェニックマウ
スモデルが特徴付けられ、そして他のもの(例えば、HLA−A1およびA24
についてのトランスジェニックマウス)が開発されている。HLA−DR1マウ
スモデルおよびHLA−DR3マウスモデルもまた開発され、これは、HTLエ
ピトープを評価するために使用され得る。
【0337】 (実施例9.トランスジェニックマウスにおけるCTL−HTL結合体化エピ
トープの活性) 本実施例は、腫瘍関連抗原CTL/HTLペプチド結合体の使用によるトラン
スジェニックマウスにおけるCTLおよびHTLの誘導を実証し、それによって
、ワクチン組成物が、癌患者に投与されるべきペプチドを含む。ペプチド組成物
は、複数のCTLエピトープおよび/またはHTLエピトープを含み得、そして
さらに、複数の腫瘍関連抗原から選択されるエピトープを含み得る。このエピト
ープを、実施例1〜6に記載されるような方法論を用いて同定する。この分析は
、ワクチン組成物における1つ以上のHTLエピトープの包含によって達成され
得る免疫原性の増大を実証する。このようなペプチド組成物は、好ましいCTL
エピトープに結合体化したHTLエピトープを含み得、このCTLエピトープは
、例えば、表XXIIIから選択される少なくとも1つのCTLエピトープまた
はこのエピトープの他のアナログを含む。所望であれば、このペプチドは脂質化
(lipidate)され得る。
【0338】 免疫化手順:トランスジェニックマウスの免疫化を、記載されるように行う(
Alexanderら、J.Immunol.159:4753−4761、1
997)。例えば、A2/Kマウス(これは、ヒトHLA A2.1対立遺伝
子についてトランスジェニックであり、そしてHLA−A0201モチーフ保
有エピトープまたはHLA−A2スーパーモチーフ保有エピトープの免疫原性の
評価に有用である)を、完全フロイントアジュバント、またはペプチド組成物が
脂質化CTL/HTL結合体である場合、DMSO/生理食塩水またはペプチド
組成物がポリペプチドである場合、PBSもしくは完全フロイントアジュバント
中の0.1mlのペプチド結合体で、皮下的に(尾の基部)プライムする。プラ
イムの7日後、これらの動物から得られた脾細胞を、ペプチドでコーティングさ
れた、同系の(syngenic)照射されたLPS活性化リンパ芽球で再度刺
激する。
【0339】 ペプチド特異的細胞傷害性アッセイについての標的細胞は、HLA−A2.1
/Kキメラ遺伝子でトランスフェクトされたJurkat細胞である(例えば
、Vitielloら、J.Exp.Med.173:1007、1991)。
【0340】 インビトロCTL活性化:プライムの1週間後、脾臓細胞(30×10細胞
/フラスコ)を、10mlの培養培地/T25フラスコにおいて、同系の照射さ
れた(3000rad)、ペプチドでコーティングされたリンパ芽球(10×1
細胞/フラスコ)とともに、37℃で共存培養する。6日後、エフェクター
細胞を収集し、そして細胞傷害性活性についてアッセイする。
【0341】 細胞傷害性活性についてのアッセイ:標的細胞(1.0〜1.5×10)を
、200μlの51Crの存在下で37℃でインキュベートする。60分後、細
胞を3回洗浄し、そして培地中に再懸濁する。ペプチドを添加し、この場合、1
μg/mlの濃度で必要とされる。アッセイについて、10個の51Crで標
識された標的細胞を、U底の96ウェルプレートに、異なる濃度のエフェクター
細胞(最終容量は200μl)を添加する。37℃で6時間のインキュベーショ
ン後、上清の0.1mlのアリコートを、各々のウェルから除去し、そして放射
能を、Micromedic自動ガンマカウンターにおいて決定する。パーセン
ト特異的溶解を、以下の式によって決定する:パーセント特異的放出=100×
(実験的放出−自発的放出)/(最大放出−自発的放出)。同じ条件下で行われ
る別々のCTLアッセイ間の比較を容易にするために、%51Cr放出データを
、溶解単位/10細胞として表す。1溶解単位を、6時間の51Cr放出アッ
セイにおいて、10,000個の標的細胞の30%の溶解を達成するために必要
とされるエフェクター細胞の数として任意に規定する。特定の溶解単位/10 を得るために、ペプチドの非存在下において得られる溶解単位/10を、ペプ
チドの存在下において得られる溶解単位/10から差し引く。例えば、30%
51Cr放出が、ペプチドの非存在下で、50:1のエフェクター(E):標
的(T)比(すなわち、10,000個の標的に対して5×10個のエフェク
ター細胞)で得られ、そしてペプチドの存在下で、5:1の比(すなわち、10
,000個の標的に対して5×10個のエフェクター細胞)で得られる場合、
この特定の溶解単位は、以下である:[(1/50,000)−(1/500,
000)]×10=18LU。
【0342】 結果を分析して、免疫原性のCTL/HTL結合体ワクチン調製物を用いて注
射された動物のCTL応答の大きさを評価する。応答の程度および頻度をまた、
CTLエピトープ自体を使用して達成されるCTL応答と比較し得る。これに類
似の分析を行って、複数のCTLエピトープおよび/または複数のHTLエピト
ープを含むペプチド結合体の免疫原性を評価し得る。これらの手順に従って、C
TL応答が誘導され、そして付随して、HTL応答が、このような組成物の投与
の際に誘導されることが見出される。
【0343】 (実施例10:癌ワクチンに含有させるためのCTLエピトープおよびHTL
エピトープの選択) 本実施例は、本発明ワクチン組成物のためのペプチドエピトープを選択する手
順を説明する。本組成物中のペプチドは、ペプチドをコードする単独または一つ
以上の配列(つまり、ミニジーン)のいずれかの核酸配列という形態であっても
よいし、単独および/またはポリエピトープ性のペプチドであってもよい。
【0344】 ワクチン組成物中に含有させるためのエピトープのアレイを選択する際、次の
原理を利用する。選択を行うために、次のそれぞれの原理を比較考慮する。
【0345】 投与の際に、腫瘍排除と相関することが認められた免疫応答を模倣するエピト
ープを選択する。例えば、ワクチンには、少なくとも1つの前立腺癌関連抗原由
来の3〜4個のエピトープが含まれ得る。例えば、実施例15にて記述するよう
な、頻繁に発現されるTAAの発現パターンが変化する腫瘍を標的とするワクチ
ンを調製するために、1つの前立腺癌関連抗原由来のエピトープを、一つ以上の
さらなるTAA由来のエピトープと組み合わせて使用し得る。
【0346】 好ましくは、HLAクラスI分子に対する結合アフィニティー(IC50)が
500nM以下、多くの場合、200nM以下、またはクラスII分子に対する
結合アフィニティーが1000nM以下であるエピトープを選択する。
【0347】 幅広い集団の適用範囲を与えるように、十分なスーパーモチーフを持つペプチ
ド、または十分な、対立遺伝子特異的モチーフを持つペプチドの十分なアレイを
選択する。例えば、最低80%の集団の適用範囲を提供するように、エピトープ
を選択する。集団の適用範囲の広さまたは重複性を評価するために、当該分野で
既知の統計的評価であるモンテカルロ分析を使用し得る。
【0348】 癌関連抗原からエピトープを選択する際、患者はネイティブのエピトープに対
して耐性を持つようになるので、多くの場合、アナログを選択することが好まし
い。
【0349】 例えばミニジーンなどのポリエピトープ性組成物を調製する際、スペーサーま
たは他の隣接配列もまた組み込まれ得るが、目的のエピトープを含有することが
可能な最小のペプチドを調製することが典型的には望ましい。用いる原理は、多
くの場合、入れ子構造になった(nested)エピトープを含むペプチドを選
択する際に用いる原理と同様である。しかしながら、さらに、ミニジーンとして
提供される核酸配列を決定する際に、結合エピトープが生じているか否かを
調べるために、その核酸配列がコードするペプチド配列を解析する。例えばモチ
ーフ解析により予想されるように、結合エピトープは、潜在的なHLA結合エピ
トープである。レシピエントがHLA分子に結合し、ネイティブのタンパク質配
列には存在しないそのエピトープに対して免疫応答を生じ得るので、結合エピト
ープは一般的に避けられるべきである。
【0350】 投与する場合、選択したペプチドを含むワクチン組成物は、安全であり、効果
があり、そして免疫応答を誘導し、その結果、腫瘍細胞殺傷および腫瘍サイズま
たは質量の減少を生じる。
【0351】 (実施例11:ミニジーンマルチエピトープDNAプラスミドの構築) 本実施例は、ミニジーン発現プラスミド構築に対する一般的な説明を提供する
もちろん、ミニジーンプラスミドは、CTLエピトープおよび/またはHTL エピトープの種々の配列もしくは本明細書中に記載されるエピトープのアナログ を含み得る。 構築物の例および発現プラスミドの評価は、例えば1999年5月
13日に出願された同時係属中のU.S.S.N.09/311,784におい
て記述されている。
【0352】 ミニジーン発現プラスミドには、複数のCTLおよびHTLペプチドエピトー
プが含まれ得る。本実施例において、HLA−A2、HLA−A3、HLA−B
7スーパーモチーフを持つペプチドエピトープおよび、HLA−A1およびHL
A−A24モチーフを持つペプチドエピトープを、DRスーパーモチーフを持つ
エピトープおよび/またはDR3エピトープとともに使用する。幅広い集団の適
用範囲を確実にするために複数のスーパーモチーフ/モチーフが示されるように
、複数の前立腺癌関連抗原由来のHLAクラスIスーパーモチーフまたはモチー
フ保有ペプチドエピトープを、選択する。同様に、幅広い集団の適用範囲を提供
するように複数の前立腺癌関連抗原からHLAクラスIIエピトープを選択する
、つまり、HLA DR−1−4−7スーパーモチーフを持つエピトープおよび
HLA DR−3モチーフを持つエピトープの両方をミニジーン構築物に含める
ために選択する。次に、選択したCTLおよびHTLエピトープを、発現ベクタ
ーで発現するようにミニジーンに組み込む。
【0353】 実施例は、そのようなミニジーンを持つ発現プラスミドの構築に使用する方
法を例示する。ミニジーン組成物に使用し得る他の発現ベクターが利用可能であ
り、当業者により既知である。
【0354】 ミニジーンDNAプラスミドには、コンセンサスコザック配列およびコンセン
サスマウスカッパIg−軽鎖シグナル配列が含まれる。このコンセンサスマウス
カッパIg−軽鎖シグナル配列の後に、本明細書中で開示した原理に従い選択し
たCTLおよび/またはHTLエピトープが続く。この配列は、pcDNA3.
1Myc−HisベクターによりコードされたMycおよびHis抗体エピトー
プタグと融合したオープンリーディングフレームをコードする。
【0355】 重複するオリゴヌクレオチド(例えば、長さが平均しておよそ70ヌクレオチ
ドで、15個のヌクレオチド重複を持つ)を合成し、HPLC精製する。オリゴ
ヌクレオチドは、適切なリンカーヌクレオチドであるコザック配列およびシグナ
ル配列、ならびに選択したペプチドエピトープをコードする。PCRを用いた3
セットの反応で重複オリゴヌクレオチドを伸長させて、最終的なマルチエピトー
プミニジーンを組み立てる。Perkin/Elmer 9600 PCR装置
を使用し、次の条件を用いて全部で30サイクル行う。その条件とは、95℃で
15秒、アニーリング温度(それぞれのプライマーペアの計算上の最低Tm値よ
りも5℃低い温度)で30秒、および72℃で1分である。
【0356】 例えば、ミニジーンを以下のように調製し得る。第一のPCR反応に対して、
5μgの二つのそれぞれのオリゴヌクレオチドをアニーリングさせ、伸長させる
例えば、8つのオリゴヌクレオチドを使用する例(すなわち、4つのプライマ
ー対)において、オリゴヌクレオチド1+2、3+4、5+6および7+8を、
Pfuポリメラーゼ緩衝液(1×=10mM KCl、10mM(NH
、20mM Tris−塩酸、pH8.75、2mM MgSO、0.1
% TritonX−100,100μg/ml BSA)、0.25mMの各
dNTP、および2.5UのPfuポリメラーゼを含む100μlの反応系に添
加する。全長のダイマー産物をゲルにより精製し、1+2および3+4の産物、
ならびに5+6および7+8の産物を含む2つの反応物を混合し、アニーリング
、伸長反応を10サイクル行う。次に二つの反応系の半分を混合し、5サイクル
のアニーリングおよび伸長を行った後、隣接プライマーを添加して、25サイク
ルの反応を行って全長産物を増幅させる。全長産物をゲルにより精製し、pCR
−blunt(Invitrogen)にクローニングし、個々のクローンを配
列決定によりスクリーニングする。
【0357】 (実施例12:プラスミド構築物およびそれが免疫原性を誘導する程度) プラスミド構築物(例えば、実施例11に従って構築したプラスミド)が免疫
原性を誘導し得る程度を、エピトープ発現核酸構築物を用いたAPCの形質導入
またはトランスフェクションに続くAPCによるエピトープ提示について試験す
ることでインビトロで評価し得る。そのような試験により、「抗原性」が決定さ
れ、ヒトAPCの使用が可能になる。細胞表面上のエピトープ−HLAクラスI
複合体密度を定量することにより、T細胞により認識される状況において、エピ
トープのAPCにより提示される能力がそのアッセイから決定される。直接、A
PCから溶出したペプチド量を測定することにより(例えば、Sijtsら、J
.Immunol.156:683−692,1996;Demotzら、Na
ture342:682−684,1989を参照すること)定量を行い得る;
または、感染した標的細胞またはトランスフェクトした細胞により誘導される溶
解またはリンホカイン放出量を測定し、次いで同等レベルの溶解またはリンホカ
イン放出を得るために必要なペプチド濃度を決定することによりペプチド−HL
AクラスI複合体数を推定し得る(例えば、Kageyamaら、J.Immu
nol.154:567−576、1995を参照すること)。
【0358】 あるいは、免疫原性を、マウスへのインビボ注射およびそれに続くインビトロ
でのCTLおよびHTL活性の評価により評価し得る。CTLおよびHTL活性
を、例えば、1999年5月13日に出願されたU.S.S.N 09/311
,784、およびAlexanderら、Immunity 1:751−76
1、1994にて詳述されているような、細胞傷害性および増殖アッセイをそれ
ぞれ用いて解析する。
【0359】 例えば、インビボにてCTLを誘導するために少なくとも1つのHLA−A2
スーパーモチーフペプチドを含むDNAミニジーン構築物(例えば、U.S.S
.N.09/311,784にて記述されているように調製したpMinミニジ
ーン構築物)の能力を評価するために、例えば、HLA−A2.1/Kトラン
スジェニックマウスに、100μgの裸のcDNAを筋肉内免疫する。cDNA
の免疫によって誘導されるCTLレベルを比較する方法として、複数のエピトー
プがミニジーンによりコードされている場合、単一のポリペプチドとして合成し
た複数のエピトープを含む実際のペプチド組成物を用いて、コントロール群の動
物もまた免疫する。
【0360】 免疫した動物由来の脾臓細胞を、それぞれの別個の組成物(ミニジーンでコー
ドされているペプチドエピトープ、またはポリエピトープ性ペプチド)で二回刺
激し、51Cr放出アッセイにおいてペプチド特異的細胞傷害性活性についてア
ッセイする。その結果から、A2拘束性エピトープに対して向けられるCTL応
答の程度、従って、ミニジーンワクチンおよびポリエピトープ性ワクチンのイン
ビボでの免疫原性が示される。従って、ポリエピトープ性ペプチドワクチンが免
疫応答を惹起するように、ミニジーンが、HLA−A2スーパーモチーフペプチ
ドエピトープに対して向けられた免疫応答を惹起するということが明らかになる
。HLA−A3およびHLA−B7モチーフ、またはスーパーモチーフエピトー
プによるCTL誘導を評価するために、他のHLA−A3およびHLA−B7ト
ランスジェニックマウスモデルを使用して同様の解析をまた行う。
【0361】 クラスIIエピトープをコードするミニジーンがインビボでHTL、DRトラ
ンスジェニックマウス、または適切なマウスMHC分子を用いて交差反応するエ
ピトープを誘導する能力を評価するために、例えば、I−A 拘束性マウスに、
筋肉内に100μgのプラスミドDNAを免疫する。DNA免疫により誘導され
るHTLレベルを比較する方法として、コントロール群の動物もまた、完全フロ
イントアジュバントで乳化した実際のペプチド組成物を用いて免疫する。CD4
+T細胞、つまりHTLを、免疫した動物の脾臓細胞から精製しそれぞれの別個
の組成物(ミニジーンでコードされているペプチド)で刺激する。H−チミジ
ン取り込み増殖解析(例えば、Alexanderら、Immunity 1:
751−761,1994を参照すること)を用いてHTL応答を測定する。そ
の結果から、HTL応答の大きさ、従って、インビボでのミニジーンの免疫原性
が示される。
【0362】 実施例11にて記述するように構築したDNAミニジーンをまた、プライムブ
ーストプロトコールを用いてブースト薬剤(boosting agent)と
組み合わせたワクチンとして評価し得る。ブースト薬剤は、組換えタンパク質(
例えば、Barnettら、Aids Res.and Human Retr
oviruses 14、補遺3:S299−S309,1998)または、組
換えワクシニア(例えば、ミニジーンまたは目的の完全なタンパク質をコードす
るDNAを発現する)からなり得る(例えば、Hankeら、Vaccine
16:439−445,1998;Sedegahら、Proc.Natl.A
cad.Sci USA 95:7648−53、1998;Hankeおよび McMichael,Immunol.Letters 66:177−18
1,1999;およびRobinsonら、Nature Med.5:526
−34,1999を参照すること)。
【0363】 例えば、プライムブーストプロトコールにおいて使用するDNAミニジーンの
有効性を、トランスジェニックマウスにおいて最初に評価し得る。この実施例に
おいて、A2.1/Kトランスジェニックマウスに対して、少なくとも1つの
HLA−A2スーパーモチーフ保有ペプチドを含む免疫原性ペプチドをコードす
る100μgのDNAミニジーンを用いて筋肉内注射により免疫する。インキュ
ベーション期間(3−9週間の範囲)後、DNAミニジーンにコードされている
同じ配列を発現10pfu/マウスの組換えワクシニアウイルスを用いて
、マウスに追加免疫を行う。コントロールマウスに、ミニジーン配列無しで、ま
たはミニジーンをコードするDNAとともに、100μgのDNAまたは組換え
ワクシニアで免疫するが、ワクシニア追加免疫は行わない。さらなる2週間のイ
ンキュベーション期間後、マウスから採取した脾臓細胞を、直ちにELISPO
Tアッセイによってペプチド特異的活性についてアッセイする。さらに、ミニジ
ーン中にコードされているA2拘束性ペプチドエピトープおよび組換えワクシニ
アで脾臓細胞をインビボで刺激し、次いで、IFN−γELISAにおいてペプ
チド特異的活性をアッセイする。
【0364】 プライムブーストプロトコールで利用したミニジーンが、HLA−A2スーパ
ーモチーフペプチドに対して、DNA単独の場合よりも大きな免疫応答を惹起す
るということがわかる。HLA−A3およびHLA−B7モチーフまたはスーパ
ーモチーフエピトープによるCTL誘導を評価するために、他のHLA−A11
およびHLA−B7トランスジェニックマウスモデルを用いてそのような解析も
また行い得る。
【0365】 ヒトにおけるプライムブーストプロトコールの使用を、実施例20に記載する
【0366】 (実施例13:予防的使用のためのペプチド組成物) 腫瘍を発症する高い危険性のある人において、癌を予防するために、本発明ワ
クチン組成物を使用する。例えば、集団の80%以上を標的とするようにも選択
した実施例9および/または10で選択したような複数のCTLおよびHTLエ
ピトープを含むポリエピトープ性ペプチドエピトープ組成物(または同じものを
含む核酸)を、前立腺癌の高い危険性を持つ個体に投与する。本組成物を、複数
のエピトープを含む単一ポリペプチドとして与える。フロイント不完全アジュバ
ントを含む水性担体とともに本ワクチンを投与する。初回免疫のペプチド用量は
、体重70kgの患者に対しておよそ1からおよそ50,000μg、一般的に
は100−5,000μgである。ワクチンの初回投与後、4週間目に追加免疫
投与を行い、その後、PBMC試料中のエピトープ特異的CTL集団の存在を測
定する技術により、患者の免疫応答の大きさを評価する。必要に応じてさらなる
追加免疫用量を投与する。本組成物は、安全であること、および癌に対する予防
剤として有効であるということのいずれもが認められる。
【0367】 あるいは、当該分野で公知であり本明細書中で開示している方法論に従って核
酸としてポリエピトープ性ペプチド組成物を投与し得る。
【0368】 (実施例14:ネイティブTAA配列由来のポリエピトープ性ワクチン組成物
) 複数のエピトープを含み、好ましくは、完全なネイティブ抗原より長さが短い
、「比較的短い」ポリタンパク質領域を同定するために、好ましくは、それぞれ
のクラスIおよび/またはクラスIIスーパーモチーフもしくはモチーフに関し
て定義されたコンピューターアルゴリズムを用いて、ネイティブTAAポリタン
パク質配列をスクリーニングする。複数の別個のものでさらに重複しているエピ
トープを含むこの比較的短い配列を選択し、ミニジーン構築物を調製するために
使用する。ネイティブタンパク質配列に相当するペプチドを発現するように構築
物を構築する。「比較的短い」ペプチドは、一般的に長さが100、500、
または250アミノ酸未満、多くの場合、長さが100アミノ酸未満、好ましく
は75アミノ酸未満、より好ましくは50アミノ酸未満である。ワクチン組成物
のタンパク質配列は、そのタンパク質配列に含まれるエピトープが最大数である
、つまり、エピトープが高濃度に存在するので、そのタンパク質配列が選択され
る。本明細書中で述べているように、エピトープモチーフを入れ子構造にしても
いよいし、重複させてもよい(つまり、互いに対してフレームシフトが起こって
いる)。例えば、フレームシフトが起こっている重複エピトープがある場合、二
つの9マーのエピトープおよび一つの10マーのエピトープが、10アミノ酸ペ
プチド中に存在し得る。治療または予防を目的として、そのようなワクチン組成
物を投与する。
【0369】 ワクチン組成物には、好ましくは、例えば、複数の前立腺癌関連抗原由来の3
つのCTLエピトープおよび少なくとも一つのHTLエピトープが含まれる。こ
のポリエピトープ性ネイティブ配列を、ペプチドとして、またはそのペプチドを
コードする核酸配列としてのいずれかで投与する。あるいは、このネイティブ配
列から、アナログを作製し、それにより一つ以上のエピトープがそのポリエピト
ープ性ペプチドの交差反応性および/または結合アフィニティー特性を変化させ
る置換を含む。
【0370】 この実施例の実施形態により、今までのところ発見されていない免疫系プロセ
シングの局面がネイティブ入れ子構造配列に対して適用され、それによって治療
または予防を目的とした免疫応答誘導ワクチン組成物の調製を容易にする可能性
が与えられる。さらに、そのような実施形態は、現在のところ未知のHLA構造
に対する、モチーフを持つエピトープの可能性を提供する。さらに、この実施形
態(アナログがない)は、実際にネイティブTAAに存在し、従っていかなる結
合エピトープを評価する必要も回避する、複数のペプチド配列に対する免疫応答
を指向する。最後に、本実施形態は、核酸ワクチン組成物を調製する場合、規模
の経済性を提供する。
【0371】 この実施形態に関連して、当該分野における、標的配列において配列長あたり
のエピトープの最大数を同定する原理に従い、コンピュータープログラムを導出
し得る。
【0372】 (実施例15:複数の腫瘍関連抗原由来のエピトープを含むポリエピトープ性
のワクチン組成物) 本発明の前立腺癌関連抗原ペプチドエピトープを、互いにまたは他の標的腫瘍
関連抗原由来のペプチドエピトープと組み合わせて使用し、複数の患者由来の前
立腺腫瘍の処置に有用なワクチン組成物を作製する。さらに、複数の腫瘍抗原由
来のエピトープを含むワクチン組成物はまた、個体の腫瘍抗原の発現の損失に起
因する逸脱変異に対する潜在能力を減少する。
【0373】 様々なTAA由来の複数のエピトープを組み入れた単一ポリペプチドとして本
組成物を提供し得るか、または一つ以上の別個のエピトープを含む組成物として
本組成物を投与し得る。あるいは、ミニジーン構築物として、またはインビボで
ペプチドエピトープで負荷をかけた樹状細胞として本ワクチンを投与し得る。
【0374】 (実施例16:免疫応答を評価するためのペプチドの使用) 前立腺癌関連抗原に向けられた特異的なCTLまたはHTL集団の存在に対す
る免疫応答を解析するために本発明ペプチドを使用し得る。例えば、Oggら、
Science 279:2103−2106,1998およびGretenら
、Proc.Natl.Acad.Sci USA 95:7568−7573
,1998によって記述されているような多量体複合体を用いてそのような解析
を行い得る。次の例において、免疫原としてではなく、診断目的または予測目的
の試薬として本発明に従ったペプチドを使用する。
【0375】 この例において、例えば、異なる疾患段階またはその後のA*0201モチー
フを含むTAAペプチドを用いた免疫後の腫瘍関連抗原HLA−A*0201陽
性患者からのHLA−A*0201特異的CTL頻度の断面的分析について、高
感度のヒト白血球抗原テトラマー複合体(「テトラマー」)を使用する。記述さ
れているように(Murseyら、N.Engl.J.Med.337:126
7,1997)、テトラマー複合体を合成する。簡潔に述べると、原核生物発現
システムにより、精製したHLA重鎖(この実施例でのA*0201)およびβ
2−ミクログロブリンを合成する。膜貫通−細胞質テールの欠失およびCOOH
−末端へのBirA酵素のビオチン化部位を含む配列付加により重鎖を改変する
。重鎖、β2−ミクログロブリン、およびペプチドを希釈により再折りたたみす
る。45−kDの再折りたたみ産物を、高速タンパク質液体クロマトグラフィー
で単離し、次に、ビオチン(Sigma,St.Louis,Missouri
)、アデノシン5’三リン酸およびマグネシウム存在下でBirAによりビオチ
ン化を行う。ストレプトアビジン−フィコエリトリン結合体をモル比1:4で添
加し、テトラマー産物を1mg/mlになるように濃縮する。得られた産物をテ
トラマー−フィコエリトリンと呼ぶ。
【0376】 患者血液試料の分析に対して、およそ百万のPBMCを、300gで5分間遠
心分離し、50μlの冷リン酸緩衝化生理食塩水に再懸濁する。抗−CD8−T
ricolor、および抗−CD38とともに、テトラマー−フィコエリトリン
を用いてTri−color分析を行う。PBMCを、テトラマーおよび抗体と
ともに、氷上で30分から60分インキュベーションし、ホルムアルデヒドで固
定する前に二回洗浄する。ゲートに99.98%を超えるコントロール試料を含
むようにアプライする。テトラマーのコントロールは、A*0201−陰性の個
体およびA*0201−陽性の非感染ドナー両方を含む。次に、テトラマーによ
り染色された細胞のパーセンテージをフローサイトメトリーにより測定する。そ
の結果から、エピトープ拘束性CTLを含むPBMC試料における細胞数が示さ
れ、それにより、TAAエピトープに対する免疫応答の程度、従って腫瘍の進行
段階、または防御的または治療的応答を惹起するワクチンへの曝露が容易に示さ
れる。
【0377】 (実施例17:再帰性応答を評価するためのペプチドエピトープの使用) 本発明ペプチドエピトープを、患者の急性または再帰性の応答などのT細胞応
答を評価するための試薬として使用する。寛解状態にある患者、腫瘍がある患者
、または前立腺癌関連抗原ワクチンでワクチン接種されている患者に対してその
ような解析を行い得る。
【0378】 例えば、ワクチン接種されている人のクラスI拘束性CTL応答を解析し得る
。ワクチンは、任意のTAAワクチンであり得る。PBMCをワクチン接種され
た個体から回収し、HLA型を検出する。次に、必要に応じて、複数のHLAス
ーパータイプファミリーメンバーとの交差反応性を与えるスーパーモチーフを持 つ本発明の適切なペプチドエピトープを、そのHLA型を持つ個体由来の試料の
解析に使用する。
【0379】 ワクチン接種を行った個体由来のPBMCを、Ficoll−Histopa
que密度勾配(Sigma Chemical Co.,St.Louis,
MO)で分離し、HBSS(GIBCO Laboratories)で3回洗
浄し、10%熱非働化ヒトAB血清を含む、L−グルタミン(2mM)、ペニシ
リン(50U/ml)、ストレプトマイシン(50μg/ml)およびHepe
s(10mM)を添加したRPMI−1640(GIBCO Laborato
ries)(完全RPMI)で再懸濁し、マイクロ培養形式でプレートする。本
発明エピトープを含む合成ペプチドを、10μg/mlになるようにそれぞれの
ウェルに添加し、刺激の第一週目の間の補助的なT細胞源としてHBVコア12
8−140エピトープを1μg/mlになるように各ウェルに添加する。
【0380】 マイクロ培養形式において、100μl/ウェルの完全RPMIを添加した9
6ウェル丸底プレート中の8個の同型培養において4×10 PBMCをペプチ
ドで刺激する。3日目と10日目に、それぞれのウェルに100μlの完全RP
MIおよび最終濃度20U/mlのrIL−2を添加する。7日目に、培養物を
96ウェル平底プレートへ移し、ペプチド、rIL−2および放射線照射(3,
000rad)した10個の自系フィーダー細胞で再び刺激する。その培養物
を、14日目に細胞傷害性活性に関して試験を行う。以前に記述されているよう
に(Rehermannら、Nature Med.2:1104−1108,
1996;Rehermannら、J.Clin.Invest.97:165
5−1665,1996;およびRehermannら、J.Clin.Inv
est.98:1432−1440,1996)、非感染コントロール被験者と
の比較に基づいて、陽性CTL応答として、8個の同型培養物のうちの2以上に
おいて10%を越える特異的51Cr放出を示すことが必要である。
【0381】 標的細胞株は、American Society for Histoco
mpatibility and Immunogenetics(ASHI,
Boston、MA)から購入するか、または記述されているように(Guil
hotら、J.Viol.66:2670−2678,1992)、患者のプー
ルから確立するか、いずれかの自系および同種異系EBV形質転換B−LCLで
ある。
【0382】 次の様式で細胞傷害性アッセイを行う。標的細胞は、10μMの本発明合成ペ
プチドエピトープと共に一晩インキュベーションを行い、100μCiの51
r(Amersham Corp.,Arlington Heights,I
L)で1時間標識し、その後HBSSで4回洗浄を行った同種異系HLA適合ま
たは自系EBV形質転換Bリンパ芽球細胞株のどちらかからなる。
【0383】 3,000標的細胞/ウェルが入っているU底96ウェルプレートを用いて標
準的な4時間のスプリット−ウェル(split−well)51Cr放出アッ
セイで細胞溶解活性を調べる。14日目に、20〜50:1のエフェクター/標
的(E/T)比で、刺激したPBMCを試験する。式:100X[(実験による
放出−自発的放出)/最大放出−自発的放出)]からパーセント細胞傷害性を算
出する。界面活性剤(2% TritonX−100;Sigma Chemi
cal Co.,St.Louis,MO)を用いた標的細胞溶解により最大放
出を調べる。自発的放出は、全ての実験について、最大放出の25%未満である
【0384】 そのような解析の結果から、HLA−拘束性CTL集団がTAAまたはTAA
ワクチンに対する以前の曝露により刺激されている程度が示される。
【0385】 クラスII拘束性HTL応答もまた解析し得る。精製したPBMCを、96ウ
ェル平底プレートで、1.5×10細胞/ウェルの密度で培養し、10μg/
mlの合成ペプチド、完全抗原、またはPHAで刺激する。細胞を通常通り、そ
れぞれの条件に対して4−6ウェルの同型培養としてプレートする。培養7日後
、培養液を除去し、10U/mlのIL−2を含む新鮮な培養液に交換する。2
日後、1μCiのH−チミジンをそれぞれのウェルに添加し、さらに18時間
インキュベーションを続ける。次に細胞内のDNAをグラスファイバーマット上
に取り出し、H−チミジン取り込みについて解析する。抗原非存在下での
−チミジン取り込み量で割った抗原存在下でのH−チミジン取り込み量の比と
して抗原特異的T細胞増殖を計算する。
【0386】 (実施例18:ヒトでの特異的CTL応答の誘導) 本発明CTLおよびHTLエピトープを含む免疫原性組成物に対するヒトの治
験をINDフェーズI、投与量漸増試験として開始する。そのような治験を、例
えば次のように設計する。
【0387】 全体でおよそ27人の男性被験者を登録し、3つの群に分ける: 第一群:3人の被験者にプラセボを注射し、6人の被験者に5μgのペプチド
組成物を注射する。
【0388】 第二群:3人の被験者にプラセボを注射し、6人の被験者に50μgのペプチ
ド組成物を注射する。
【0389】 第三群:3人の被験者にプラセボを注射し、6人の被験者に500μgのペプ
チド組成物を注射する。
【0390】 最初の注射から4週間後に、全ての被験者に対して同じ投与量で追加免疫接種
を行う。同じスケジュールで更なる追加免疫接種を行い得る。
【0391】 この試験で測定する項目は、ペプチド組成物の免疫原性と同時にその安全性お
よび認容性に関連する。本ペプチド組成物に対する細胞性免疫応答は、ペプチド
組成物の本質的な活性の指標であり、従って、生物学的有効性の目安として見な
され得る。次に、安全性および有効性の項目に関連する臨床および実験データを
要約する。
【0392】 安全性:プラセボおよび薬物処置群で有害事象の発生率を監視し、程度およ
び可逆性に関して評価する。
【0393】 ワクチン有効性の評価:ワクチンの有効性を評価するために、被験者から注
射の前後に採血する。Ficoll−Hypaque密度勾配遠心分離により末
梢血単核細胞を新鮮なヘパリン処理血液から単離し、凍結保存用培地中にアリコ
ートに分け、冷凍保存する。試料をCTLおよびHTL活性に関して分析する。
【0394】 本ワクチンが安全であり有効であることが認められる。
【0395】 (実施例19:癌患者における治療的使用) 患者におけるCTL−HTLペプチド組成物の有効性を確認するために、ワ
クチン組成物の評価を行う。本治験の主要な目的は、癌患者においてCTLを誘
導するために有効な用量およびレジメンを決定すること、これらの患者における
CTLおよびHTL応答誘導の安全性を確立すること、およびどの程度のCTL
活性化が、腫瘍細胞数の減少により明らかとなるように、癌患者の臨床状態を向
上させるのかを調べることである。例えば次のように、そのような治験を設計す
る。
【0396】 複数の施設で本試験を行う。本治験設計は、単回用量としてペプチド組成物を
投与し、6週間後に同じ用量で単回追加免疫を行う、非盲検の非対照用量漸増プ
ロトコール(open−label,uncontrolled,dose e
scalation protocol)である。投与量は、一回の注射あたり
50、500および5000マイクログラムである。薬物関連副作用(重症度お
よび可逆性)を記録する。
【0397】 患者を3群に分ける。第一群に、50μgのペプチド組成物を注射し、第二群
、第三群に、それぞれ、500および5000μgのペプチド組成物を注射する
。それぞれの群の患者は、男性であり、典型的に50歳より上であり、そして人
種背景を示す。
【0398】 (実施例20:プライムブーストプロトコールを用いたCTL応答の誘導) その基礎をなす原理において、実施例12で記述したようなトランスジェニッ
クマウスでのDNAワクチン有効性を評価するために使用するプロトコールと同
様のプライムブーストプロトコールを、ヒトへのワクチン投与に対しても使用し
得る。このようなワクチンレジメンには、例えば裸のDNAを用いた初回投与と
、それに続く本ワクチンをコードする組換えウイルス、またはアジュバント中で
投与される組換えタンパク質/ポリペプチドもしくはペプチド混合物を用いた追
加免疫が含まれ得る。
【0399】 例えば、裸の核酸を複数部位に0.5〜5mgの量をIM(またはSCもしく
はID)投与する形態で、実施例11に従って構築されるような発現ベクターを
用いて初回免疫を行い得る。その核酸(0.1から1000μg)はまた、遺伝
子銃(gene gun)を用いて投与することも可能である。3−4週間のイ
ンキュベーション期間後、追加免疫投与を行う。追加免疫は、組換え鶏痘ウイル
スを5×10から5×10pfuの用量で投与するものであり得る。MVA
、カナリア痘ウイルス、アデノウイルス、またはアデノ随伴ウイルスなどの、他
の組換えウイルスもまた、追加免疫に使用してもよいし、ポリエピトープ性のタ
ンパク質またはペプチド混合物を投与してもよい。ワクチンの有効性を評価する
ために、患者血液試料を、免疫前ならびに初回ワクチン投与後および追加免疫用
量のワクチン投与後に一定間隔で採取する。新鮮なヘパリン処理血液から、Fi
coll−Hypaque密度勾配遠心分離により末梢血単核細胞を単離し、凍
結保存用培地中にアリコートに分け、凍結保存する。試料をCTLおよびHTL
活性に関してアッセイする。
【0400】 その結果の解析から、前立腺癌に対する防御免疫を達成するに十分な応答の大
きさが生じることが示される。
【0401】 (実施例21:樹状細胞を用いたワクチン組成物の投与) 抗原提示細胞(APC)または樹状細胞(DC)などの「専門の(profe
ssional)」APCを用いて本発明のペプチドエピトープを含むワクチン
を投与し得る。この実施例において、インビボでのCTL応答を刺激するために
ペプチドでパルスしたDCを患者に投与する。この方法において、樹状細胞を単
離し、増大させ、本発明のペプチドCTLおよびHTLエピトープを含むワクチ
ンでパルスする。インビボでCTLおよびHTL応答を誘発するように、樹状細
胞を、患者に注入して戻す。そして、誘導したCTLおよびHTLは、ワクチン
中のエピトープが由来するタンパク質を持つ特異的標的腫瘍細胞を破壊(CTL
)、または破壊を促進(HTL)する。
【0402】 例えば、エピトープを持つペプチドのカクテルを、エキソビボで患者血液由来
のPBMCに投与するか、または患者から単離したDCに投与する。DCの回収
を促進する薬剤、例えばProgenipoietinTM(Monsanto
,St.Louis,MO)またはGM−CSF/IL−4のような薬剤を使用
し得る。DCをペプチドでパルスした後、および患者に再注入する前に、非結合
ペプチドを除去するためにDCを浄化する。
【0403】 臨床的に認識されるように、および臨床成果を基礎にした技術の一つにより容
易に決定されるように、患者に再注入する樹状細胞数は様々であり得る(例えば
、Nature Med.4:328,1998;Nature Med.2:
52,1996およびProstate 32:272,1997を参照するこ
と)。典型的には、患者一人当たり2〜50×10の樹状細胞を投与するが、
10または10のようなさらに多くの樹状細胞をも与えられ得る。そのよう
な細胞集団は、典型的に、50〜90%の樹状細胞を含む。
【0404】 いくつかの実施形態において、ペプチドを負荷したPBMCを、DCを精製せ
ずに患者に注入する。例えば、ProgenipoetinTMのような薬剤で
処理した後に生じたDCを含むPBMCを、DCを精製せずに患者に注射する。
投与するPBMCの総数は、多くの場合、10から1010の範囲である。一
般的に、患者に注射する細胞用量は、例えば特異的抗DC抗体を用いた免疫蛍光
解析により測定されるような、それぞれの患者の血液中のDCのパーセンテージ
に基づく。従って、例えば、ProgenipoietinTMによって所定の
患者の末梢血液中で2%のDCが動員され、その患者が5×10 個の細胞を受
容する場合、その患者はペプチドを負荷した2.5×10個のPBMCを注射
される。ProgenipoietinTMなどの薬剤により動員されたDCの
パーセントは、典型的に、2−10%の間と見積もられるが、当業者によって認
識されるように様々であり得る。
【0405】 免疫応答を刺激するDCの能力をインビトロおよびインビボの両方で免疫機能
アッセイを評価した。これらのアッセイは、CTLハイブリドーマおよびCTL
細胞株の刺激、ならびにCTLのインビボ活性化を含む。
【0406】 (DC精製) ProgenipoietinTMで固定化された細胞を、Progenip
oietinTMで処置されたC57B1/6マウスの末梢血(PB)および脾
臓から精製し、抗原を提示し、そして細胞性免疫応答を導き出す能力を評価した
。簡単には、DCを総WBCおよび脾臓から陽性選択ストラテジー(CD11c
特異的抗体でコーティングされた磁気性ビーズ(Miltenyi Biote
c、Auburn CA)を使用する)を使用して精製した。比較として、エキ
ソビボで拡張されたDCを、GM−CSFおよびIL−4の標準的カクテル(R
&D Systems,Minneapolis,MN)を用いて未処置のC5
7B1/6マウス由来の骨髄細胞を7〜8日の期間、培養することによって生成
した(Mayordomoら、Nature Med.1:1297−1302
(1995))。最近の研究は、このエキソビボで拡張されたDC集団が、有効
な抗原提示細胞を含み、抗腫瘍免疫応答を刺激する能力を有することが明らかに
されている(Celluzziら、J.Exp.Med.83:283−287
(1996))。
【0407】 ProgenipoietinTMで誘導されたDC(100μg/日、10
日、SC)およびGM−CSFおよびIL−4エキソビボ拡張された細胞の精製
を、フローサイトメトリーによって決定した。DC集団を、CD11cおよびM
HCクラスII分子の両方を発現する細胞として定義した。磁気性CD11cマ
クロビーズからのDCの精製に続いて、ProgenipoietinTMで処
置されたマウスから単離した2重陽性のPBで誘導されたDCのパーセンテージ
を、約4%から48〜57%の範囲に高めた(平均収量=4.5×10DC/
動物)。ProgenipoietinTMで処置されたマウスから単離した精
製された脾性DCのパーセンテージを、12〜17%の範囲から67〜77%の
範囲に高めた。GM−CSF/IL−4エキソビボ拡張された細胞の精製は、3
1〜41%の範囲であった(Wongら、J.Immunother.,21:
32040(1998))。
【0408】 (CTLハイブリドーマおよびCTL細胞のインビトロ刺激:特異的CTl
エピロープの提示) CTL細胞株をProgenipoietinTMで生成されたDCの能力を
、ウイルス由来エピトープおよび対応するエピトープ応答性CT細胞株を使用
してインビトロで明らかにした。ヒトHLA−A2.1を発現するトランスジェ
ニックマウスを、ProgenipoietinTMで処置した。これらのマウ
スから単離された脾性DCを、ペプチドエピトープ(B型肝炎ウイルス(HBV
Pol 455)由来)でパルス化し、そして次いでIFNγを産生すること
によってHBV Pol 455エピトープ/HLA−A2.1複合体に応答す
るCTL細胞株を用いてインキュベートした。HBV Pol 455エピトー
プを提示するProgenipoietinTMで誘導された脾性DCの能力は
、2つの陽性コントロール集団(GM−CSFおよびIL−4拡張DC培養物、
または精製脾性B細胞)の能力よりも大きかった。Progenipoieti
TMで誘導された脾性細胞対他の抗原提示細胞についての応答曲線における左
のシフトは、これらのProgenipoietinTMで誘導された細胞が、
応答細胞株によって放出される最大IFNγを刺激するためにより少ないエピト
ープ必要とすることを示した。
【0409】 インビボにおけるCTL応答を刺激するエキソビボでペプチドパルス化された
DCの能力をまた、HLA−A2.1トランスジェニックマウスモデルを使用し
て評価した。ProgenipoietinTMで処置された動物由来のDCま
たはGM−CSFおよびIL−4で拡張した後の骨髄細胞由来のコントロールD
Cを、エキソビボでHBV Pol 455を用いてパルス化し、浄化し、そし
てこのようなマウスへ注射した(IV)。免疫化の7日経過後、脾臓を除去し、
DCおよびCTLを含む脾臓細胞を、HBV Pol 455ペプチドの存在下
でインビトロで2回再刺激した。再刺激された脾臓細胞培養物3つの独立した培
養物のCTL活性を、ペプチドを用いて、または用いずにパルス化した51Cr
標識した標的細胞を溶解するCTLの能力を測定することによって評価した。強
力なCTL応答を、エピトープパルス化されたProgenipoietin で誘導されたDCならびにエピトープパルス化されたGM−CSF/IL−4
DCで免疫化した動物において生成した。対照的に、擬パルス化したProg
enipoietinTMで産生されたDC(ペプチドなし)で免疫化された動
物は、CTL誘導の証拠を示さなかった。従って、これらのデータは、Prog enipoietinTM誘導化DCが、ヒトMHCクラスIを表すモデルにお いてCTL応答を促進するという原理を支持する。
【0410】 これらのデータは、ProgenipoietinTMで処置されたマウス由
来のDCを、エキソビボでエピトープを用いてパルス化し、そしてインビボにお
ける特異的CTL応答を誘導するために使用し得ることを確認する。
【0411】 マウスにおけるインビボ薬理学的研究は、動物へのパルス化された自己DCの
再注入の明らかな毒性はないことを明らかにしている。
【0412】 (エキソビボでのCTL/HTL応答活性化) あるいは、組織培養中で、患者の、または遺伝学的に適合性のCTLまたはH
TL前駆細胞を、樹状細胞のような抗原提示細胞(APC)源および適切な免疫
原性ペプチドとともにインキュベーションすることによって、特定の腫瘍関連抗
原に対するex vivoでのCTLまたはHTL応答を誘導し得る。前駆細胞
が活性化されエフェクター細胞へと発達するような適切なインキュベーション時
間後(典型的には7−28日)、その細胞を患者に注入して戻す。そこで、戻さ
れた細胞はそれらの特異的標的細胞、つまり腫瘍細胞を破壊(CTL)または破
(HTL)容易にするする。
【0413】 (実施例22:モチーフを持つペプチドの代替的同定法) モチーフを持つペプチドを同定する別の方法は、規定されたMHC分子を持つ
細胞からそれらを抽出することである。例えば、組織型決定に使用するEBV形
質転換B細胞株は、それがどのHLA分子を発現しているのかを決定するために
徹底的に特徴付けられた。ある場合では、これらの細胞はただ一つのタイプのH
LA分子のみを発現する。これらの細胞を病原性生物に感染させてもよいし、こ
れらの細胞に目的の腫瘍抗原を発現する核酸をトランスフェクトしてもよい。そ
の後、感染の結果として(またはトランスフェクションの結果として)産生され
たペプチドの内因性抗原プロセシングにより生じたペプチドが、細胞中でHLA
分子と結合し、細胞表面上に運ばれ提示される。
【0414】 次に、温和な酸性条件に曝露することにより、ペプチドをHLA分子から抽出
し、例えば、質量分析によって(例えば、Kuboら、J.Immunol.1
52:3913,1994)そのアミノ酸配列を決定する。本明細書中で開示し
ているように特定のHLA分子を結合する大部分のペプチドがモチーフを持つも
のなので、これは、細胞上で発現されている特定のHLA分子と相関したモチー
フを持つペプチドを獲得するための代わりの様相である。
【0415】 あるいは、内因性HLA分子を全く発現していない細胞株に、1つのHLA対
立遺伝子をコードする発現構築物をトランスフェクションし得る。そこでこれら
の細胞を記述するように使用し得る、つまり、細胞表面上に提示されている目的 病原体または目的の抗原に相当するペプチドを単離するために、これらの細胞
に病原性生物を感染させてもよいし、目的の抗原をコードする核酸をトランスフ
ェクションしてもよい。そのような分析から得たペプチドは、細胞で発現される
一つのHLA対立遺伝子との結合に対応するモチーフを持つ。
【0416】 当業者により認識されるように、1を超えるHLA対立遺伝子を持つ細胞にお
いて同様の分析を行い、続いて、発現しているそれぞれのHLA対立遺伝子に特
異的なペプチドを決定し得る。さらに、当業者はまた、細胞に対して抗原源を与
えるために、タンパク質抗原での負荷のような、感染またはトランスフェクショ
ン以外の手段を使用し得るということも認識する。
【0417】 本発明を説明するために上記の実施例を提供するが、これはその範囲を限定す
るものではない。例えば、主要組織適合遺伝子複合体についてのヒトの用語、す
なわちHLAを、この書類全体を通して使用する。これらの原理を他の種に同じ
ように拡大し得ることが認識される。従って、本発明の他の改変が、当業者に対
して容易に明らかであり、添付の特許請求の範囲により包含される。本明細書で
引用する全ての刊行物、特許および特許出願は全ての目的に対して参考として本
明細書により援用される。
【0418】
【表1】
【0419】
【表2】
【0420】
【表3】
【0421】
【表4】
【0422】
【表5】
【0423】
【表6】
【0424】
【表7】
【0425】
【表8】
【0426】
【表9】
【0427】
【表10】
【0428】
【表11】
【0429】
【表12】
【0430】
【表13】
【0431】
【表14】
【0432】
【表15】
【0433】
【表16】
【0434】
【表17】
【0435】
【表18】
【0436】
【表19】
【0437】
【表20】
【0438】
【表21】
【0439】
【表22】
【0440】
【表23】
【0441】
【表24】
【0442】
【表25】 (訂正の理由1) 特許請求の範囲を上記のように補正します。 (訂正の理由2) 特許法第184条の4第1項の規定に基づいて平成14年6月21日に提出い
たしました翻訳文中の発明の詳細な説明の全体にわたって誤訳が存在するため、
それらの誤訳を訂正します。
【手続補正書】
【提出日】平成14年7月31日(2002.7.31)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】 表中、モチーフおよび/またはスーパーモチーフ保有アミノ酸配列は、前立腺
抗原アミノ酸配列、および下に提供される番号付けに関して位置の数およびエピ
トープの長さによって同定される。「pos」(位置)欄は、エピトープの最初
のアミノ酸残基に対応する下の前立腺抗原配列タンパク質配列中のアミノ酸位置
を示す。「アミノ酸の数」は、エピトープ配列中の残基の数を、ひいてはエピト
ープの長さを示す。例えば表VIIに列挙した最初のペプチド配列は、PAPの
位置122で始まる11残基長の配列である。したがって、このエピトープのア
ミノ酸配列は、ALFPPEGVSIW(配列番号1)である。同様に、表VI
Iにおける第1のカリクレインは、位置147で始まり、そして11残基長であ
る。従って、アミノ酸配列は、ALGTTCYASGW(配列番号2)である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0089】 PSA(前立腺特異的抗原)(配列番号3)
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0090
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0090】
【化1】 PAP(前立腺酸性ホスファターゼ)(配列番号4)
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0091】
【化2】 PSM(前立腺特異的膜抗原)(配列番号5)
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0092
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0092】
【化3】 カリクレイン(ヒトカリクレイン2、受託NM005551)(配列番号6)
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0124
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0124】 DR−1−4−7スーパーモチーフを含む代表的な9マーペプチド配列(スー
パーモチーフの位置1が9残基コアの位置1にある)は、表XIXに示す。各配
列について、「タンパク質」欄は、前立腺関連抗原(すなわち、PSA、PSM
、PAP、またはHuK2(カリクレイン))を示す。「位置」欄は、コア配列
の第1のアミノ酸残基に対応する前立腺抗原タンパク質配列におけるアミノ酸位
置を示す。コア配列は、全て9残基長である。例えば、表XIXに列挙される第
1のPSM配列は、9残基長のコア配列であり、本明細書中に提供されるPSM
アミノ酸配列の位置611で開始する。従って、コア配列のアミノ酸配列は、I
YSISMKHP(配列番号7)である。9残基コアを含む15アミノ酸長の例
示的なエピトープは、、9残基コアの側面にある各側で3残基を含む。例えば、
PSMの位置611でコアエピトープを含む、15アミノ酸残基長の例示的エピ
トープは、ADKIYSISMKHPQEM(配列番号8)である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0128
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0128】 DR3aまたはDR3bサブモチーフ(モチーフの位置1が9残基コアの位置
1である)を含む9残基配列に対応する、ペプチドエピトープ9マーコア領域は
、表XXaおよびbに記載されている。各配列に関して、「タンパク質」欄は、
前立腺関連抗原(すなわち、PSA、PSM、PAP、またはHuK2(カリク
レイン))を示す。「位置」欄は、コア配列の第1のアミノ酸残基に対応する前
立腺抗原タンパク質配列におけるアミノ酸位置を示す。コア配列は、全て9残基
長である。例えば、表XXaに列挙される第1の配列は、9残基長のコア配列で
あり、本明細書中に提供されるPAPアミノ酸配列の位置124で開始する。従
って、コア配列のアミノ酸配列は、FPPEGVSIW(配列番号9)である。
9残基コアを含む15アミノ酸長の例示的なエピトープは、9残基コアの側面に
あるいずれかの側で3残基を含む。例えば、PAPの位置124でコアエピトー
プを含む、15アミノ酸長の例示的エピトープは、AALFPPEGVSIWN
PI(配列番号10)である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0207
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0207】 ある種の実施形態では、Tヘルパーペプチドは、大多数の集団中に存在するT
ヘルパー細胞により認識されるものである。これは多数の、ほとんどの、または
全てのHLAクラスII分子に結合するアミノ酸配列を選定することにより成し
遂げられ得る。これらは「ゆるくHLA拘束された」または「混然とした」Tヘ
ルパー配列として既知である。混然としたペプチドの例としては、位置830〜
843(QYIKANSKFIGITE(配列番号11))での破傷風毒素、位
置378〜398(DIEKKIAKMEKASSVFNVVNS(配列番号1 2) )でのPlasmodium falciparum(熱帯熱マラリア原虫
)スポロゾイト周囲(CS)タンパク質、および位置116(GAVDSILG
GVATYGAA(配列番号13))でのStreptococcus(連鎖球
菌)18kDタンパク質のような抗原からの配列が挙げられる。その他の例とし
ては、DR1−4−7スーパーモチーフ、またはDR3モチーフのいずれかを保
有するペプチドが挙げられる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0208
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0208】 あるいは、天然には見出されないアミノ酸配列を用いて、ゆるくHLA拘束さ
れた様式で、Tヘルパーリンパ球を刺激し得る合成ペプチドを調製することがで
きる(例えば、国際公開公報第95/07707号参照)。汎DR結合エピトー
プ(例えばPADRE(商標)、Epimmune,Inc.,San Die
go,CA)と呼ばれるこれらの合成化合物は、最も好ましくはほとんどのHL
A−DR(ヒトHLAクラスII)分子を結合するよう設計される。例えば、次
式:aKXVAAWTLKAAa(配列番号14)(式中、「X」はシクロヘキ
シルアラニン、フェニルアラニンまたはチロシンであり、「a」はD−アラニン
またはL−アラニンである)を有する汎DR結合エピトープペプチドは、ほとん
どのHLA−DR対立遺伝子に結合し、それらのHLA型とは関係なく、ほとん
どの個体からのTヘルパーリンパ球の応答を刺激することが判明した。汎DR結
合エピトープの代替物は、全ての「L」型天然アミノ酸を含み、エピトープをコ
ードする核酸の形態で提供され得る。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0421
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0421】
【表4】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0422
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0422】
【表5】
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0439
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0439】
【表22】
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0440
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0440】
【表23】
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0441
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0441】
【表24】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 シドニー, ジョン アメリカ合衆国 カリフォルニア 92130, サン ディエゴ, コート デ ラ シ エナ 4218 (72)発明者 サウスウッド, スコット アメリカ合衆国 カリフォルニア 92071, サンティー, ストラスモア ドライブ 19679 (72)発明者 チェスナット, ロバート アメリカ合衆国 カリフォルニア 92007, カーディフ−バイ−ザ−シー, キング ス クロス ドライブ 1473 (72)発明者 セリス, エステバン アメリカ合衆国 ミネソタ 55902, ロ チェスター, ライト ロード エス.ダ ブリュー. 3683 (72)発明者 ケオグ, エリッサ アメリカ合衆国 カリフォルニア 92122, サン ディエゴ, カミニト ディア ナンバー2 7999 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA36 CA04 DA02 EA02 EA04 GA11 GA18 HA03 4B065 AA91X AA93X CA44 4C085 AA03 AA04 BB01 CC21 DD62 EE06 FF24 4H045 AA10 AA11 AA30 BA10 CA41 DA86 EA28 EA31 FA74

Claims (34)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単離された調製された前立腺癌関連抗原エピトープであって
    、該エピトープは、表XXIVにて示される配列からなる群より選択される配列
    からなる、エピトープ。
  2. 【請求項2】 前記エピトープがCTLエピトープと混合しているかまたは
    CTLエピトープに結合している、請求項1に記載の組成物。
  3. 【請求項3】 前記CTLエピトープが請求項1にて示される群より選択さ
    れる、請求項2に記載の組成物。
  4. 【請求項4】 前記エピトープがHTLエピトープと混合しているかまたは
    HTLエピトープに結合している、請求項1に記載の組成物。
  5. 【請求項5】 前記HTLエピトープが請求項1にて示される群より選択さ
    れる、請求項4に記載の組成物。
  6. 【請求項6】 前記HTLエピトープが汎DR結合分子である、請求項4に
    記載の組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1にて示される群より選択される少なくとも3つのエ
    ピトープを含む、請求項1に記載の組成物。
  8. 【請求項8】 リポソームをさらに含む請求項1に記載の組成物であって、
    前記エピトープが該リポソーム上にあるかまたは該リポソーム内にある、組成物
  9. 【請求項9】 前記エピトープが脂質に結合している、請求項1に記載の組
    成物。
  10. 【請求項10】 前記エピトープがリンカーに結合している、請求項1に記
    載の組成物。
  11. 【請求項11】 前記エピトープが、HLA重鎖と、β2−ミクログロブリ
    ンと、ストレプトアビジンとの複合体に結合しており、それによりテトラマーが
    形成されている、請求項1に記載の組成物。
  12. 【請求項12】 抗原提示細胞をさらに含む請求項1に記載の組成物であっ
    て、前記エピトープが、該抗原提示細胞上にあるかまたは該抗原提示細胞内にあ
    る、組成物。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載の組成物であって、前記エピトープが前
    記抗原提示細胞上のHLA分子に結合しており、それにより、該HLA分子に拘
    束されている細胞傷害性リンパ球(CTL)が存在する場合には、該CTLのレ
    セプターが、該HLA分子と該エピトープとの複合体に結合する、組成物。
  14. 【請求項14】 クローン性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)であって、該
    CTLは、インビトロで培養され、そして表XXIVにて示される群より選択さ
    れるエピトープの複合体に結合し、該複合体はHLA分子に結合している、CT
    L。
  15. 【請求項15】 第1のエピトープおよび第2のエピトープを少なくとも含
    むペプチドであって、該第1のエピトープが、表XXIVにて示される配列から
    なる群より選択され; 該ペプチドは、ネイティブのペプチド配列と100%同一性を有する50個未
    満連続するアミノ酸を含む、ペプチド。
  16. 【請求項16】 前記第1のエピトープおよび前記第2のエピトープが、請
    求項14に記載の群より選択される、請求項15に記載の組成物。
  17. 【請求項17】 請求項15に記載の群より選択される第3のエピトープを
    さらに含む、請求項16に記載の組成物。
  18. 【請求項18】 前記ペプチドがヘテロポリマーである、請求項15に記載
    の組成物。
  19. 【請求項19】 前記ペプチドがホモポリマーである、請求項15に記載の
    組成物。
  20. 【請求項20】 前記第2のエピトープがCTLエピトープである、請求項
    15に記載の組成物。
  21. 【請求項21】 前記CTLエピトープが、前立腺特異的抗原(PSA)、
    前立腺特異的膜抗原(PSM)、前立腺産生ホスファターゼ(PAP)、または
    ヒトカリクレイン2(HuK2)ではない腫瘍関連抗原に由来する、請求項20
    に記載の組成物。
  22. 【請求項22】 前記第2のエピトープが汎DR結合分子である、請求項1
    5に記載の組成物。
  23. 【請求項23】 前記第1のエピトープがリンカー配列に連結されている、
    請求項1に記載の組成物。
  24. 【請求項24】 ワクチン組成物であって、前立腺癌関連抗原のネイティブ
    のペプチド配列と100%同一性を有する50個未満連続するアミノ酸を含むペ
    プチドの単位用量と; 薬学的賦形剤とを含み、 該ペプチドは、表XXIVにて示される配列からなる群より選択される第1のエ
    ピトープを少なくとも含む、ワクチン組成物。
  25. 【請求項25】 第2のエピトープをさらに含む、請求項24に記載のワク
    チン組成物。
  26. 【請求項26】 前記第2のエピトープがPanDR結合分子である、請求
    項24に記載のワクチン組成物。
  27. 【請求項27】 前記薬学的賦形剤がアジュバントを含む、請求項24に記
    載のワクチン組成物。
  28. 【請求項28】 ペプチドをコードする単離された核酸であって、該ペプチ
    ドが、表XXIVにて示される配列からなる群より選択される配列からなるエピ
    トープを含む、単離された核酸。
  29. 【請求項29】 ペプチドをコードする単離された核酸であって、該ペプチ
    ドは、第1のエピトープおよび第2のエピトープを少なくとも含み、該第1のエ
    ピトープが、表XXIVにて示される配列からなる群より選択され;そしてここ
    で、該ペプチドが、ネイティブのペプチド配列と100%同一性を有する50個
    未満連続するアミノ酸を含む、単離された核酸。
  30. 【請求項30】 前記ペプチドが、表XXIVにて示される配列から選択さ
    れる少なくとも2つのエピトープを含む、請求項29に記載の単離された核酸。
  31. 【請求項31】 前記ペプチドが、表XXIVにて示される配列から選択さ
    れる少なくとも3つのエピトープを含む、請求項30に記載の単離された核酸。
  32. 【請求項32】 前記第2のペプチドがCTLエピトープである、請求項2
    9に記載の単離された核酸。
  33. 【請求項33】 前記CTLが、前立腺特異的抗原(PSA)、前立腺特異
    的膜抗原(PSM)、前立腺産生ホスファターゼ(PAP)、またはヒトカリク
    レイン2(HuK2)ではない腫瘍関連抗原に由来する、請求項32に記載の単
    離された核酸。
  34. 【請求項34】 前記第2のペプチドがHTLエピトープである、請求項2
    0に記載の単離された核酸。
JP2001546667A 1999-12-21 2000-12-20 ペプチドおよび核酸組成物を使用する、前立腺癌抗原に対する細胞性免疫応答の誘導 Pending JP2003521245A (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US17131299P 1999-12-21 1999-12-21
US60/171,312 1999-12-21
US63336400A 2000-08-07 2000-08-07
US09/633,364 2000-08-07
PCT/US2000/035516 WO2001045728A2 (en) 1999-12-21 2000-12-20 Inducing cellular immune responses to prostate cancer antigens using peptide and nucleic acid compositions

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003521245A true JP2003521245A (ja) 2003-07-15

Family

ID=26866949

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001546667A Pending JP2003521245A (ja) 1999-12-21 2000-12-20 ペプチドおよび核酸組成物を使用する、前立腺癌抗原に対する細胞性免疫応答の誘導

Country Status (6)

Country Link
US (1) US20040037843A1 (ja)
EP (1) EP1244465A4 (ja)
JP (1) JP2003521245A (ja)
AU (1) AU2605501A (ja)
CA (1) CA2394741A1 (ja)
WO (1) WO2001045728A2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005123769A1 (ja) * 2004-06-17 2005-12-29 Kurume University 前立腺関連抗原由来hla-a2結合性ペプチド
JP2010500037A (ja) * 2006-08-11 2010-01-07 デンドレオン コーポレイション 無差別papcd4t細胞エピトープ
JP2014502961A (ja) * 2010-12-14 2014-02-06 イマティクス バイオテクノロジーズ ゲーエムベーハー 前立腺関連抗原分子由来hla結合ペプチドおよびその使用方法

Families Citing this family (31)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20040096445A1 (en) * 1999-06-30 2004-05-20 John Sidney Subunit vaccines with A2 supermotifs
US20030149531A1 (en) 2000-12-06 2003-08-07 Hubert Rene S. Serpentine transmembrane antigens expressed in human cancers and uses thereof
US6833438B1 (en) 1999-06-01 2004-12-21 Agensys, Inc. Serpentine transmembrane antigens expressed in human cancers and uses thereof
US20060052321A1 (en) 2002-04-05 2006-03-09 Raitano Arthur B Nucleic acid and corresponding protein entitled 98P4B6 useful in treatment and detection of cancer
US20070020327A1 (en) * 1998-11-10 2007-01-25 John Fikes Inducing cellular immune responses to prostate cancer antigens using peptide and nucleic acid compositions
WO2003008537A2 (en) * 2001-04-06 2003-01-30 Mannkind Corporation Epitope sequences
ES2606537T3 (es) * 2001-10-23 2017-03-24 Psma Development Company L.L.C. Anticuerpos contra PSMA
US20050215472A1 (en) 2001-10-23 2005-09-29 Psma Development Company, Llc PSMA formulations and uses thereof
JP2006517914A (ja) * 2002-09-20 2006-08-03 デンドレオン コーポレイション 中ないし高分化型がんの免疫療法用組成物および治療方法。
EP1903056A3 (en) 2002-12-10 2008-05-07 Idm Pharma, Inc. HLA-A1, -A2 -A3, -A24, -B7, and -B44 binding peptides comprising tumor associated antigen epitopes, and compositions thereof
WO2004111075A2 (en) * 2003-03-05 2004-12-23 Dendreon Corporation Alternative reading frame polypeptides for treatment
US20080274129A1 (en) 2003-04-18 2008-11-06 Fikes John D Hla-A2 Tumor Associated Antigen Peptides and Compositions
IL157772A (en) 2003-09-04 2016-06-30 Bmr Solutions Ltd Compounds containing oligopeptide derived from turtle larvae and their use to encourage mammalian hemophysis
US20060003348A1 (en) * 2004-04-16 2006-01-05 Genentech. Inc. Omi PDZ modulators
US8435507B2 (en) 2004-08-19 2013-05-07 University Of Maryland Prostate-specific antigen-derived MHC class II restricted peptides and their use in vaccines to treat or prevent prostate cancer
NZ554710A (en) * 2004-12-13 2010-03-26 Peplin Research Pty Ltd Treatment of solid cancers with angeloyl substituted ingenanes
CN101146550B (zh) * 2004-12-29 2013-04-17 曼康公司 免疫原性组合物用于制备引发和增强免疫应答的试剂盒的用途
US20080194320A1 (en) * 2005-08-12 2008-08-14 John Walsh Three-Dimensional Gaming System Environments
US20080219972A1 (en) * 2005-08-16 2008-09-11 University Of Maryland, Baltimore Prostatic Acid Phosphatase (Pap) Materials and Methods of Use Thereof in the Prophylactic and Therapeutic Treatment of Prostate Cancer
JP5792630B2 (ja) 2009-01-28 2015-10-14 エピミューン,インコーポレイティド Pan−dr結合ポリペプチドおよびその使用
US9023802B2 (en) * 2009-12-14 2015-05-05 Immatics Biotechnologies Gmbh HLA-binding peptides derived from prostate-associated antigenic molecules and methods of use thereof
CN106119231A (zh) * 2016-06-24 2016-11-16 安徽未名细胞治疗有限公司 一种肿瘤抗原psa的ctl识别表位肽及其应用
MX2019013259A (es) 2017-05-08 2020-01-13 Gritstone Oncology Inc Vectores de neoantigeno de alfavirus.
WO2020243719A1 (en) 2019-05-30 2020-12-03 Gritstone Oncology, Inc. Modified adenoviruses
JP2023523413A (ja) * 2020-04-21 2023-06-05 グリットストーン バイオ インコーポレイテッド 抗原コードカセット
EP4192496A2 (en) * 2020-08-06 2023-06-14 Gritstone bio, Inc. Multiepitope vaccine cassettes
US11161892B1 (en) 2020-12-07 2021-11-02 Think Therapeutics, Inc. Method of compact peptide vaccines using residue optimization
US11421015B2 (en) 2020-12-07 2022-08-23 Think Therapeutics, Inc. Method of compact peptide vaccines using residue optimization
US11058751B1 (en) 2020-11-20 2021-07-13 Think Therapeutics, Inc. Compositions for optimized RAS peptide vaccines
FR3119325B1 (fr) 2021-01-29 2023-08-11 Renault Jean Yves Compositions liposomales orales
US11464842B1 (en) 2021-04-28 2022-10-11 Think Therapeutics, Inc. Compositions and method for optimized peptide vaccines using residue optimization

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5200320A (en) * 1987-12-07 1993-04-06 National Jewish Center For Immunology And Respiratory Medicine Method for identifying useful polypeptide vaccines
US5780036A (en) * 1991-08-26 1998-07-14 The Scripps Research Institute Peptides for inducing cytotoxic T lymphocyte responses to hepattis B virus
US6037135A (en) * 1992-08-07 2000-03-14 Epimmune Inc. Methods for making HLA binding peptides and their uses
EP0637335B1 (en) * 1992-04-21 2007-07-25 Institut Pasteur Recombinant mutants for inducing specific immune responses
US20020098197A1 (en) * 1994-07-21 2002-07-25 Alesandro Sette Hla binding peptides and their uses
US5662907A (en) * 1992-08-07 1997-09-02 Cytel Corporation Induction of anti-tumor cytotoxic T lymphocytes in humans using synthetic peptide epitopes
US20020168374A1 (en) * 1992-08-07 2002-11-14 Ralph T. Kubo Hla binding peptides and their uses
US20020177694A1 (en) * 1996-01-23 2002-11-28 Alessandro Sette Hla binding peptides and their uses
US6235288B1 (en) * 1992-08-26 2001-05-22 The Scripps Research Institute Peptides for inducing cytotoxic T lymphocyte responses to hepatitis B virus
US5405940A (en) * 1992-08-31 1995-04-11 Ludwig Institute For Cancer Research Isolated nonapeptides derived from MAGE genes and uses thereof
DE69433007T2 (de) * 1993-02-26 2004-06-09 The Scripps Research Institute, La Jolla Peptide zum induzieren einer antwort der zytotoxischen t-lymphozyten gerichtet gegen das hepatitis b virus
DK0735893T3 (da) * 1993-09-14 2009-03-09 Pharmexa Inc PAN DR-bindende peptider til styrkelse af immunsvaret
EP1064022A4 (en) * 1998-03-13 2004-09-29 Epimmune Inc HLA BINDING PEPTIDES AND THEIR APPLICATIONS

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005123769A1 (ja) * 2004-06-17 2005-12-29 Kurume University 前立腺関連抗原由来hla-a2結合性ペプチド
JP2010500037A (ja) * 2006-08-11 2010-01-07 デンドレオン コーポレイション 無差別papcd4t細胞エピトープ
JP2014502961A (ja) * 2010-12-14 2014-02-06 イマティクス バイオテクノロジーズ ゲーエムベーハー 前立腺関連抗原分子由来hla結合ペプチドおよびその使用方法

Also Published As

Publication number Publication date
EP1244465A4 (en) 2005-01-12
WO2001045728A2 (en) 2001-06-28
US20040037843A1 (en) 2004-02-26
CA2394741A1 (en) 2001-06-28
AU2605501A (en) 2001-07-03
EP1244465A1 (en) 2002-10-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2003521245A (ja) ペプチドおよび核酸組成物を使用する、前立腺癌抗原に対する細胞性免疫応答の誘導
JP2003530083A (ja) ペプチドおよび核酸組成物を使用する、HER2/neuに対する細胞性免疫応答の誘導
JP4873810B2 (ja) ペプチドおよび核酸組成物を使用する、ヒト免疫不全ウイルス−1に対する細胞性免疫応答の誘導
JP4776131B2 (ja) ヘテロクリティックアナログおよび関連方法
JP2004512814A (ja) ペプチドおよび核酸組成物を使用する、ヒトパピローマウイルスに対する細胞性免疫応答の誘導
US20070020327A1 (en) Inducing cellular immune responses to prostate cancer antigens using peptide and nucleic acid compositions
JP2003509465A (ja) ペプチドおよび核酸組成物を使用する、c型肝炎ウイルスに対する細胞性免疫応答の誘導
US20040121946A9 (en) Inducing cellular immune responses to her2/neu using peptide and nucleic acid compositions
JP2003535024A (ja) Hla結合ペプチドおよびそれらの使用
KR20030055261A (ko) 펩티드 및 핵산 조성물을 이용한 b형 간염 바이러스에대한 세포 면역 반응의 유도
CA2772551A1 (en) Cytotoxic t-lymphocyte-inducing immunogens for prevention, treatment, and diagnosis of cancer
JP2003516344A (ja) Hlaクラスia2腫瘍関連抗原ペプチドおよびワクチン組成物
JP2004500059A (ja) ペプチドおよび核酸組成物を使用する、癌胎児性抗原に対する細胞性免疫応答の誘導
JP2003524016A (ja) Hla結合ペプチドおよびそれらの用途
JP2003517310A (ja) ペプチドおよび核酸組成物を使用する、mage2/3に対する細胞性免疫応答の誘導
US20030224036A1 (en) Hla class I a2 tumor associated antigen peptides and vaccine compositions
MXPA03006581A (es) Vacunas subunitarias con superporciones a2.
JP2003516131A (ja) ペプチドおよび核酸組成物を使用する、p53に対する細胞性免疫応答の誘導
US20050196403A1 (en) Inducing cellular immune responses to p53 using peptide and nucleic acid compositions
US20040053822A1 (en) Inducing cellular immune responses to mage2/3 using peptide and nucleic acid compositions
WO2015005479A1 (ja) 腫瘍抗原ペプチド