明 細 書
前立腺関連抗原由来 HLA-A2結合性ペプチド
技術分野
[0001] 本発明は、癌抗原ペプチドに関し、具体的には、 HLA-A2+前立腺癌患者において 前立腺癌反応性 CTLを誘導することができる前立腺関連抗原由来の新規ペプチド、 該ペプチドを含有する医薬組成物および癌ワクチン、および、該ペプチドまたは該ぺ プチドを含有する組成物または癌ワクチンを使用する前立腺癌の処置または予防方 法に関する。
背景技術
[0002] 前立腺癌は老齢男性の間で最も一般的な癌の 1つである (1)。腫瘍免疫学における 進歩ではメラノーマ抗原の研究が先行しているが、前立腺癌は特異的免疫療法にと つてもう一つの標的候補である (2)。アンドロゲン遮断療法が前立腺癌に一時的に効 果的であると 、う事実はある力 再発性ホルモン不応性および転移性前立腺癌に対 する有効な治療は存在しない。それ故、新規治療手段を開発する必要があり、特異 的免疫療法は候補の 1つであろう。
[0003] 正常前立腺細胞で発現する前立腺組織特異的抗原は、前立腺癌に対する抗癌ヮ クチンにおいて優れた標的と成り得る (2)。実際、前立腺特異的抗原 (PSA)、前立腺特 異的膜抗原 (PSMA)、または前立腺酸性フォスファターゼ (PAP)などの前立腺関連抗 原に由来する幾つかのェピトープペプチドが同定され、それらを標的とした特異的免 疫療法が行われている (3-7)。最近我々も、 HLA-A24または HLA-A2分子陽性前立 腺癌患者力 前立腺癌反応性細胞傷害性 Tリンパ球 (CTL)を誘導できる、幾つかの 前立腺関連抗原由来ェピトープペプチドを同定した (8-11)。
[0004] 幾つかの癌タイプに関する我々の臨床試験において、腫瘍反応性 CTL誘導能によ つて元々同定されていた幾つかの CTLェピトープペプチド力 免疫グロブリン G(IgG) によっても認識された (12, 13)。さらに、臨床試験によって、投与ペプチドに反応する I gGの誘導が、幾つかの癌タイプの患者の全体的生存率と正に相関していることが明 らカとなった (14-17)。これらの知見から、我々は、液性および細胞性免疫系の両方
に認識され得るペプチドは抗癌ワクチンにおいて有用であろう、と考えた。さらに、ぺ プチド特異的 IgGにつ!/ヽてのアツセィは、癌患者の末梢血単核細胞 (PBMC)からぺプ チド特異的 CTLを誘導するために必要な in vitro感作実験よりも、より簡便である。 発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0005] 本発明は、 HLA-A2+前立腺癌患者において前立腺癌反応性 CTLを誘導すること ができる前立腺関連抗原由来の新規ペプチドを提供することを目的とする。本発明 はさらに、該ペプチドを含有する医薬組成物および癌ワクチン、および、該ペプチド または該ペプチドを含有する組成物または癌ワクチンを使用する前立腺癌の処置ま たは予防方法を提供することを目的とする。
[0006] これまでに、 HLA-A2+前立腺癌患者において前立腺癌反応性 CTLを誘導し得る 幾つかの前立腺関連抗原由来ペプチドが同定されている(4, 24, 25)。本発明にお V、ては、液性免疫応答によって認識され得る能力に基づ!/ヽた新規ェピトープぺプチ ドの同定を試みた。
課題を解決するための手段
[0007] クラス I結合性腫瘍ペプチドに対する抗体が一部の癌患者および健常ドナーにおい て既に観察されていることから (20, 21)、初めに我々は、 2種類の前立腺関連抗原に 由来する 29個の候補ペプチドに対する IgGが前立腺癌患者の血漿中に検出できるか につ 、て検討した。本研究にぉ 、て、試験した患者の半数以上で、 PSMA 、 PSMA
4-12
、および PAP ペプチドに反応する IgGが検出された。それらの中で PSMA
441-450 112-120 4-1 ペプチドは、前立腺癌反応性 CTLを誘導可能なペプチドとして他の研究者によって
2
報告されていた (4)。それ故我々は、 PSMA および PAP ペプチドに焦点を絞
441-450 112-120
り、ワクチン候補としてのそれらの免疫原性を測定した。その結果、これら 2つの前立 腺関連抗原由来ペプチドは、 HLA-A2+前立腺癌患者力も前立腺癌反応性 CTLを効 果的に誘導することを明らかとし、本発明を完成させた。
[0008] 即ち本発明は以下のものを提供する:
(1) HLA-A2抗原に結合して細胞傷害性 Tリンパ球によって認識され得る能力を有 し、かつ液性免疫応答によって認識される前立腺関連抗原由来ペプチド、または機
能的に同等の性質を有するその誘導体;好ましくは、前立腺関連抗原が前立腺特異 的膜抗原または前立腺酸性フォスファターゼであるペプチドまたは機能的に同等の 性質を有するその誘導体;具体的には、配列番号 1に示すアミノ酸配列を含む前立 腺特異的膜抗原由来ペプチドまたは機能的に同等の性質を有するその誘導体、あ るいは配列番号 2に示すアミノ酸配列を含む前立腺酸性フォスファターゼ由来ぺプ チドまたは機能的に同等の性質を有するその誘導体;より具体的には、癌抗原ぺプ チドである本発明のペプチドおよび 8から 15アミノ酸残基の長さを有する本発明のぺ プチド;
(2)活性成分として上記(1)記載の癌抗原ペプチドまたはその誘導体を含有する医 薬組成物、具体的には、活性成分として上記(1)記載の癌抗原ペプチドまたはその 誘導体を含有する、前立腺癌を処置または予防するための医薬組成物;
(3) HLA-A2抗原と上記(1)記載のペプチドまたはその誘導体との複合体を特異的 に認識する細胞傷害性 Tリンパ球、および活性成分として該細胞傷害性 Tリンパ球を 含有する前立腺癌を処置するための医薬組成物。
さらに本発明は、
(4)上記 (1)記載の癌抗原ペプチドまたはその誘導体を、前立腺癌の処置または予 防を必要とする患者へ投与することを含む、前立腺癌の処置方法;
(5)上記 (1)記載の癌抗原ペプチドまたはその誘導体の、前立腺癌の処置または予 防するための医薬組成物の製造のための使用;
(6)上記 (3)記載の細胞障害性 Tリンパ球を前立腺癌の処置を必要とする患者へ投 与することを含む、前立腺癌の処置方法;および
(7)上記 (3)記載の細胞障害性 Tリンパ球の、前立腺癌の処置のための医薬組成物 の製造のための使用
を提供する。
図面の簡単な説明
[図 1]図 1Aは、 ELISAによって調べた、患者 4、 5、 9および 10由来の血漿中の、示した 候補ペプチドに反応する IgGのレベルを示すグラフである。値は OD (吸光度)を表す 。図 1Bは、対応ペプチドでコートしたプレートで培養することにより減少した、 PSMA
または PAP ペプチドのそれぞれに反応する IgGのレベルを示すグラフである
-450 112-120
[図 2]図 2は、 6時間51 Cr放出アツセィにより測定した、 HLA-A2+前立腺癌患者 4人由 来の PSMA ペプチド刺激または PAP ペプチド刺激 PBMCの PC93-A2細胞
441-450 112-120
に対する細胞傷害性力 PC93、 COLO320および COLO201に対するものよりも高い ことを示すグラフである。 * Pく 0.05で統計学的に有意であることを示す。
[図 3]図 3は、癌患者由来ペプチド刺激 PBMCの細胞傷害性に対する、示したモノクロ ーナル抗体の阻害効果を示すグラフである。 *Pく 0.05で統計学的に有意であることを 示す。
[図 4]図 4は、対応ペプチドパルス非標識 T2細胞の添カ卩による、ペプチド刺激 PBMC の細胞傷害性の阻害を示すグラフである。 *Pく 0.05で統計学的に有意であることを示 す。
発明を実施するための最良の形態
[0010] 本明細書で用いる「前立腺関連抗原由来ペプチド」なる用語は、前立腺関連抗原 の一部を含む部分ペプチドを意味する。前立腺関連抗原には、前立腺特異的抗原( PSA)、前立腺特異的膜抗原 (PSMA)および前立腺酸性フォスファターゼ (PAP)が含ま れる。前立腺特異的抗原 (PSA)はカリクレイン様セリンプロテアーゼであり、 PSAのアミ ノ酸目 d歹 IJiま、 Henttu, P. and Vihko, P.: cDNA coding for the entire human prostate s pecific antigen shows high monologies to the human tissue kallikrein genes. Bioche m Biophys Res Commun. 160: 903-910, 1989に開示されている。前立腺特異的膜抗 原 (PSMA)は膜結合性糖タンパク質であり、 PSMAのアミノ酸配列は、 Israeli RS, Powel 1し T, Fair WR, et al., : Molecular cloning of a complementary DNA encoding a prost ate- specific membrane antigen. Cancer Res., 53; 227-230, 1993に開 されている。 前立腺酸性フォスファターゼ (PAP)はポリペプチドであり、 PAPのアミノ酸配列は、 Yeh しし, Lee AJ, Lee NE. et ai., : Molecular cloning of cDNA for human prostatic acid p hosphatase. Gene 60: 191-196, 1979に開示されている。これらの文献は、引用により 本願明細書の一部を成す。
[0011] 詳細には、本発明のペプチドは、 HLA-A2抗原に結合して細胞傷害性 Tリンパ球に
よって認識され得る能力を有し、かつまた液性免疫応答によって認識される癌抗原 ペプチドである。本発明の癌抗原ペプチドの同定は、前立腺関連抗原の一部を含む 候補ペプチドを合成し、それらが免疫グロブリン G(IgG)によって認識され得るカゝ、およ びそれらがペプチド特異的細胞傷害性 Tリンパ球 (CTL)を誘導し得るかについてスク リー-ングすることによって行うことができる。
ペプチド合成は、ペプチドィ匕学にぉ 、て通常用いられる方法に従 、行うことができ る。既知の方法の例は、「Peptide Synthesis] , Interscience, New York, 1966 ;「The Pr oteinsj , vol. 2, Academic Press Inc., New York, 1976 ;「ペプチド合成」,丸善株式会 社, 1975、などの文献に記載されている (これらの文献は、引用により本願明細書の 一部を成す)。好ましくは、ペプチドは、 HLA-A2結合モチーフに基づき合成される。 HLA-A2結合モチーフの詳細については、参考文献 18および 19に紹介されている 。候補ペプチドが IgGによって認識され得るかについてのスクリーニングは、通常 ELIS Aによって行うことができる。候補ペプチドがペプチド特異的 CTLを誘導し得るかにつ V、てのスクリーニングは、通常 HLA-A2抗原によって提示された該候補ペプチドが CT Lにより認識される力否かを測定するアツセィにより行うことができる。
本発明の癌抗原ペプチドの具体的同定は、以下に示す実施例に従って行うことが できる。
[0012] 本明細書で用いる場合、「機能的に同等の性質を有するペプチド誘導体」または「 ペプチド誘導体」なる用語は、そのアミノ酸配列が本発明のペプチドのアミノ酸配列 の 1個から数個の、特に 1又は 2個のアミノ酸残基の置換、欠失、および Zまたは付加 を含み、かつ癌抗原ペプチドとしての性質を有する、即ち HLA-A2抗原に結合して C TLによって認識され得る能力を有し、かつ液性免疫応答によって認識される変異べ プチドを意味する。
本発明の癌抗原ペプチドまたはその誘導体のアミノ酸配列の好ま U、長さは、 8か ら 15アミノ酸残基であり、より好ましくは 9から 11アミノ酸残基である。
[0013] 本発明の癌抗原ペプチドまたはその誘導体は、前立腺癌の処置または予防に有 用である。従って本発明の癌抗原ペプチドまたはその誘導体を含有する、前立腺癌 の処置または予防に有用な医薬組成物もまた、本願発明の範囲に含まれる。
本発明の医薬組成物は、癌抗原ペプチドまたはその誘導体を、単独で、または 2つ またはそれ以上を組み合わせて含有する。所望により、免疫調整剤および化学療法 剤のような他の抗癌剤と組み合わせて投与されるよう、調製されたものであってもよい 癌抗原ペプチドまたはその誘導体が投与されると抗原提示細胞の HLA-A2抗原と ともに高密度で提示され、それ故提示された HLA抗原複合体に特異的な CTLが増 殖し、癌細胞を破壊する。その結果、前立腺癌の治療が可能となり、あるいは癌の増 殖または転移が予防され得る。即ち本発明の癌抗原ペプチドまたはその誘導体は所 謂癌ワクチンとして有用である。
[0014] 本発明のペプチドまたはその誘導体を活性成分として含有する組成物は、細胞性 および液性免疫を効果的に成立させるため、アジュバントと共に投与してもよい。アジ ュバントは従来からワクチンに用いられることが知られて 、るものの中力 適当なもの を選択すればよい。本発明の医薬組成物は、アジュバントを同一製剤中に含有する ものであっても、本発明のペプチドまたはその誘導体とアジュバントが組み合わせて 投与されるよう、別個の製剤とされたものであってもよい。
[0015] 本発明の医薬組成物は通常ワクチンを投与する際の投与経路、皮内投与、皮下投 与、または静脈内注射で行ってよい。投与する製剤中の本発明の腫瘍抗原ペプチド またはその誘導体の量は、例えば処置しょうとする疾患の状態、特定の患者の年齢 および体重に依存して適宜調節し得る力 通常 1週間または 2週間毎に 0.1 mg力ら 1 0.0 mg、好ましくは 0.5 mgから 5.0 mg、より好ましくは 1.0 mgから 3.0 mgを投与する。
[0016] さらに、本発明は、 HLA-A2抗原と本発明の癌抗原ペプチドまたはその誘導体との 複合体を特異的に認識する CTLを提供し、また、活性成分として該 CTLを含有する 前立腺癌を処置するための医薬組成物を提供する。該組成物は、好ましくは生理食 塩水またはリン酸緩衝食塩水 (PBS)を含有する。それは、例えば静脈内、皮下、また は皮内に投与することができる。
実施例
[0017] 本発明を以下の実施例によりさらに説明するが、本発明はいかなる意味においても それらに限定されない。データの統計学的有意差は、両側 Student's t検定により測
定した。 0.05未満の p値を、統計学的に有意と判断した。
[0018] (実施例 1)
前立腺関連抗原の HLA-A2結合性ペプチドに反応する IgGについてのアツセィ 1.1患者
本研究における前立腺癌患者 10人全員が、試験に入る前にインフォームドコンセン トを提出した (以下の表 1)。これらの参加者はいずれも HIVに感染していな力つた。末 梢血液 20mlを得て、 FicoU-Conray密度勾配遠心法により PBMCを調製した。癌患者 および健常ドナーの PBMC上の HLA-A2分子の発現はフローサイトメトリーによって測 定し、 HLA-A2サブタイプは配列特異的オリゴヌクレオチドプローブ法を用いて決定 した。
[0019] 1.2 ペプチド
29個の前立腺関連抗原由来ペプチド (以下の表 1に記載)は全て、 HLA-A*0201結 合モチーフ (18, 19)に基づいて調製した。ペプチドは全て純度〉 90%であり、 Biologica Co., Nagoya, Japanより購入した。 HLA- A2結合モチーフを有する、インフルエンザ (F1 u)ウィルス由来ペプチド (GILGFVFTL)、 EBV由来ペプチド (GLCTLVAML)および HIV 由来ペプチド (SLYNTYATL)を対照として使用した。ペプチドは全て、ジメチルスルホ キシドを用いて 10 mg/mlの量に溶解した。
[0020] 1.3ペプチド特異的 IgGの検出
血漿中のペプチド特異的 IgGレベルは、既報の方法を用いて ELISAにより測定した ( 20, 21)。簡単に説明すると、ペプチド (20 μ g/ゥエル)固相化プレートを Block Ace(Yu kijirushi, Tokyo, Japan)でブロッキングし、 0.05% Tween20-PBSで洗浄し、その後 0.05 % Tween20-Block Aceで希釈した血漿試料を 100 μ 1/ゥエルでプレートに添カ卩した。 3 7°Cで 2時間インキュベートした後、プレートを洗浄し、更に 1:1000希釈ゥサギ抗ヒ Hg G抗体(γ鎖特異的) (DAKO, Glostrup, Denmark)と共に 2時間インキュベートした。プ レートを洗浄し、その後 1: 100希釈のャギ抗ゥサギ IgG抗体結合西洋ヮサビペルォキ シダーゼ (EnVision; DAKO) 100 μ 1を各ゥエルに添カ卩し、プレートを室温で 40分間ィ ンキュペートした。プレートを一回洗浄した後、テトラメチルベンジジン基質溶液 (KPL, Guildford, UK)を 100 1/ゥエルで添カ卩し、 1 Mリン酸を添カ卩して反応を停止させた。
値は吸光度 (OD) units/mlとして示した。 1:100希釈血漿における吸光度 (OD)値 0.02 を ELISAにおけるカットオフ値として使用した。示したペプチドに対する IgGの特異性 を確認するため、血漿試料を対応ペプチドまたは HIVペプチドの!/、ずれかでコートし たプレートを用いて培養した。その後、得られた上清における対応ペプチド特異的 Ig Gのレベルを ELISAにより測定した。結果を表 1に示す。
[表 1]
表 1 前立縢瘥患者血漿における前立腺関連抗原由来べプチドに反応する IgG
前立^痛患1 s~
抗膠 ペプチド 配列 スコア ペプチド特異的 IffGの検出
1 2 3 4 5 6 7 7 9 10
PSMA PSMA m-m MMNDQLMFL - - 0.043 - 0.064 - 0.082
PSMA 71 ALFDIESKV - 0.071 - 0.021 0.035
PSMA 4~U OHETDSAV
一 0.044 0,037 ― - 0.025 O.Q23
PSMA 27-35 VLAGGFFLt
PSMA 26-34 LV GQFFL
PSMA 668-67© LMFLERAFI
PSMA 707-715 GiYOALFDI
PSMA 469-477 LMYSLWNL 0,048
PSMA 731-739 QiYVAAFTV
PSMA 35- ? LGFLFQ R
PSMA 138—177 GMPEGDLVYV 0細 - PSMA 514*523 LGSGNDFEV 0.048 - 0.042 0.077
PSMA 441-450 LLQERGVAYI 0.039 - 0.033 0,050 0.D30 - 0.038
PSMA 373-382 ILGGHRDSWV - - 一 0,033 ― 0.024
PSMA 343-352 KMHIHSTNEV ― - 0,106 ― 0.032 - 0.047
PAP FLFL FWL
PAP 30*38 V KE KFV
PAP 135-143 ILLWQPIPV
PAP 379-3B7 QVLKUFAV
PAP 13-21 SLSLQFUFL 0.069 * ^ * o.odd αθ69
PAP 112H20 TtMSA TNL 0.050 0.083 - - 0,024 0.050 0.050
PAP CUSAVLMV
PAP 33-41 KELK VTLV
PAP 8—14 I URAASし
PAP 383-391 ViFAVAFCL - 0.059
PAP29- ? ALD NGLL
PAP 284-293 iMYSAHDTTV 0.1S8 ― - 0.03 &
PAP 198— 20S GLNGOUFG!
PAP 33S-404 VLMVLLFIHI
スコアは HLA-A*0201分子に結合した前立腺 B5違抗 由来ぺプチドの椎定解難半《期を表す。
対 ぺプチドに反応すも Ig6は、 1:10ひ希新愈後における 0Dの楚が 0.02以上だった場合に »性と辆断した。
イタリックで ΪΒ载したべプチドは、他の研究者によって以前に報告されていた。
[0022] 表 1に示すように、 29個の各ペプチドに反応する IgGが前立腺癌患者 10人の血漿に おいて検出できるかについて検討した。既報のように (23)、ペプチド特異的 IgGは HL Aクラス I分子に拘束されな 、ので、これら患者は HLA-A2+被験者に限定しなかった 。ペプチドの一覧には、 4個の既報ペプチド (PSMA 、 PSMA 、 PSMA および
711-719 4-12 27-35
PAP ペプチド)を含めた。 PSMA由来ペプチドについては、 PSMA 、 PSMA
299-307 663-671 711-
、 PSMA または PSMA ペプチドに反応する IgG力 それぞれ患者 10人のうち
719 4-12 441-450
4人以上で検出された。 PSMA および PSMA ペプチドは、抗癌ワクチンの候補
711-719 4-12
として以前に報告されていた (4、 24)。 PAP由来ペプチドについては、 PAP ぺプ
112-120 チドに反応する IgGが、患者 10人のうち 5人で検出された。 PAP ペプチドは以前
299-307
に抗癌ワクチンの候補として報告されていたが (25)、その PAPペプチドに反応する Ig Gはいずれの患者においても検出されな力つた。患者 4、 5、 9、および 10の代表的結 果を図 1 Aに示す。我々はまた、 9個の PSA由来ペプチド (Biologica Co.)を準備し、 PS A または PSA ペプチドに反応する IgGを、それぞれ患者 10人のうち 5人にお
170-178 178-187
いて検出した (データ非提示)。興味深いことに、これら 2個の PSAペプチドもまた、 HL A-A2+前立腺癌患者のためのワクチン候補として以前に報告されていた (26, 27)。既 報のペプチドに加えて、 PSMA および PAP ペプチドの両方が液性免疫系に
441-450 112-120
よって効果的に認識されることがわかった。 PSMA または PAP ペプチドのい
441-450 112-120
ずれかに反応する IgGのレベルは、対応ペプチドでコートしたプレートにおいてその 血漿を培養すると減少した力 無関係な HIVペプチドでコートしたプレート中では減 少しなかった (図 1B)。これらの結果は、 ELISAシステムがペプチド特異的 IgGを抗原 特異的に検出したことを示している。
[0023] (実施例 2)
PBMCにおけるペプチド特異的 CTLについてのアツセィ
我々は次に、実施例 1で決定された上記 2個の候補ペプチドが、 HLA-A2+癌患者 の PBMC力もペプチド特異的 CTLを誘導する能力を有する力否かにっ 、て調べた。 3 個の既報ペプチド、 PSMA , PSMA および PAP ペプチドを本実験の陽性
711-719 4-12 299-307
対照として含めた。さらに、 PSMA および PAP ペプチドの両方を、液性免疫
26-34 390-398
系によって認識されな 、ペプチドとして含めた。
PBMCにおけるペプチド特異的 CTLを検出するためのアツセィは、既報の方法に従 い行った (22)。簡単に説明すると、いくつかの HLA-A2サブタイプの前立腺癌患者 10 人から得た PBMC(1 X 105細胞/ゥエル)を、 10 μ g/mlの各ペプチドと、 U底 96穴マイク 口カルチャープレート (Nunc, Roskilde, Denmark)において培養培地 200 1でインキ ュペートした。培養培地は、 45% RPMI- 1640、 45% AIM- V培地 (Gibco BRL)、 10% FC S、 100 U/mlインターロイキン (IL)- 2および 0.1 mM MEM非必須アミノ酸溶液 (Gibco, BRL)で構成された。 3日毎に、培養培地の半分を取り除き、対応ペプチド (20 μ g/ml) を含有する新しい培地に置き換えた。培養 15日目に、培養細胞を 4ゥエルに分け、そ のうち 2ゥエルをペプチドパルス T2細胞 (HLA-A*0201発現細胞株, ATCC: CRL-199 2)を刺激するために使用し、他の 2ゥエルを HIVペプチドパルス T2細胞のために使用 した。 18時間インキュベートした後、上清を回収し、 IFN- γのレべノレを ELISA〖こより測 £した。
結果は表 2に示す。アツセィは 4ゥエルで行い、 100 pg/ml以上の IFN- γ産生および P< 0.05を示した値を陽性と判断した。 4ゥエルのうち最良の結果をこの表に示す。
[表 2]
表 2 HLA- A2 il立腺癌患者由来ぺプチト'刺激 P8MCの反応性
睾者 11 12 13 14 15 16 17 19 20 ffi性 答/ ぺプチド ,
A2サブタイプ 0206 0201 0201 0201 0201 0207 0206 Q206 0206 0206
IFN-γ *生 が )
PSMA 711-719 1043 541 1643 S3 255 273 . 537 - 7/10
PSMA 4-12 830 148 - - - 348 143 59 373 416 7/10
PSMA 44 "SO 264 244 - - 148 415 222 122 459 81 8/10
PS MA 26-34 - - 240 - - - - - 123 2/10
PAP 112-120 239 143 164 312 1757 175 303 7/10
PAP2 & 9^07 ND ND ND ND ND 509 ND 153 176 2/2
PAP 390-398 * ND ND - - - ND - - 0/7
Flu . 162 264 - . 293 3/10
£BV 276 159 180 358 - 209 554 - - - 6/10
HLA- Α2÷前立腺瘙患者由来 を、実施例に記載したように in vi troにおいて示したペプチドで刺激した。
15日目に、対応ペプチドを事前にパルスした T2細胞に対する反応性について培義 PBB1Cを試験した。
H|Vペプチドに応答したバックグラウント '|FN_ rを差し引いた。有意な値(両渊 Student' s t椟定によ y Pく 0.05) を示す。
イタリックで記載したペプチドは,他の研究者によって以前に報 ftされていた。 NDは試験せず。
[0024] この結果は、 PSMA ペプチド力 癌患者 10人のうち 8人においてペプチド特異
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的 CTLを誘導したこと、およびその誘導率は、既報の PSMA および PSMA ぺ
711-719 4-12 プチドと同程度であったことを示す。 PAP ペプチドは、癌患者 10人のうち 7人に
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おいてペプチド特異的 CTLを誘導した。一方、液性免疫系によって認識されない PS MA および PAP ペプチドの誘導率は比較的低ぐそれぞれ患者 10人のうち 2
26-34 390-398
および 0人においてのみであった。
[0025] (実施例 3)
HLA-A2+癌患者からの前立腺癌反応性 CTLの誘導
我々は更に、これらのペプチド刺激 PBMCが前立腺癌細胞に対して細胞傷害性を 示すか否かについて調べた。 HLA-A2拘束性細胞傷害性を検討するため、 PC93に 対する細胞傷害性のレベルを、その HLA-A2発現トランスフエクタントである PC93-A2 に対する細胞傷害性のレベルと比較した。
具体的には、 PSMA および PAP ペプチドでインビトロ刺激後、細胞傷害性
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アツセィを行うのに十分な数の細胞を得るため、 HLA-A2+前立腺癌患者 4人由来の 当該ペプチド刺激 PBMCを 100 U/ml IL-2と 96穴丸底プレートで約 10日間さらに培養 した。その後、これら細胞を、 PC93 (HLA-A2陰性前立腺癌細胞株 (HLA-A*6802+) 、大石賢-博士 (京都大学泌尿器科)により榭立)、 PC93-A2 (HLA- A*0201遺伝子 を安定的にトランスフエタトしたサブライン (10))、 COLO320 (HLA-A2+結腸癌, ATCC : CCL- 220.1)および COLO201 (HLA- A2—結腸癌, ATCC: CCL- 224)に対する細胞 傷害性について、 6時間51 Cr放出アツセィにより試験した。 96穴丸底プレートにおいて 、各ゥエルにつき51 Cr標識細胞 2000個をエフェクター細胞とともに、示したェフエクタ 一/標的 (E/T)比率で培養した。
結果は図 2に示す。これらペプチド刺激 PBMCは、 HLA-A2+PC93-A2細胞に対し て他の 3種類の標的細胞に対してよりも高 、レベルの細胞傷害性を示した。これらの 結果は、 PSMA および PAP ペプチドが、 HLA-A2+前立腺癌患者力 HLA-
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A2拘束性かつ前立腺癌反応性 CTLを誘導する能力を有することを示している。
[0026] (実施例 4)
癌患者由来ペプチド刺激 PBMCのペプチド特異的かつ CD8+T細胞依存性細胞傷害
性
我々はさらに、どのエフェクター細胞がこの細胞傷害性に関与するのかを確認しよ うと試みた。ある実験においてアツセィの開始時に、抗 HLAクラス I (W6/32:マウス IgG 2a)、抗 HLA- DR (L243:マウス IgG2a)、抗 CD4 (NU- TH/I:マウス IgGl)、抗 CD8 (NU- T S/C:マウス IgG2a)、または抗 CD14 (H14:マウス IgG2a)モノクローナル抗体を、 10 μ g/ mlの量でゥエルに添カ卩した。結果を図 3に示す。インビトロで PSMA または PAP
441-450 112- ペプチドの!/、ずれかで刺激した前立腺癌患者 4人由来の PBMCの、 PC93-A2細胞
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に対する細胞傷害性は、抗クラスほたは抗 CD8モノクローナル抗体の添カ卩により有 意に阻害されたが、抗クラス II、抗 CD4、または抗 CD14モノクローナル抗体の添加に よっては阻害されず、このことは、癌患者由来のペプチド刺激 PBMCがクラス I拘束性 かつ CD8+T細胞依存性細胞傷害性であることを示している。
[0027] さらに、患者 4人由来のこれらペプチド刺激 PBMCの PC93-A2細胞に対する細胞傷 害性を、対応ペプチドまたは HIVペプチドの 、ずれかを提示させた非標識 T2細胞の 存在下に試験するコールド阻害アツセィを行い、 PSMAまたは PAPペプチド刺激 CTL の特異性を確認した。簡単に説明すると、 51Cr標識標的細胞 (2 X 103細胞/ゥエル)と コールド標的細胞(2 X 104細胞)とを、該 CTL(4 X 104細胞/ゥエル)と 96穴丸底プレ ートにお 、て培養した。 HIVペプチドまたは示したペプチドの!/、ずれかで事前にパル スした T2細胞をコールド標的細胞として使用した。結果は図 4に示す。これらのぺプ チド刺激 PBMCの PC93-A2細胞に対する細胞傷害性は、対応ペプチドパルス非標 識 T2細胞の添加によって有意に抑制された力 HIVペプチドパルス非標識 T2細胞の 添カロによっては抑制されな力つた。
まとめると、これら結果は、これらペプチド刺激 PBMCの PC93-A2細胞に対する細胞 傷害性は、主に CD8+かつペプチド特異的 T細胞によることを示している。
[0028] 臨床試験の結果に基づき、ペプチドワクチン処置によりしばしば投与したペプチド に反応する IgGが誘導されることが報告されている (12, 14)。投与ペプチドに反応する IgGの誘導は、進行肺癌または胃癌患者の生存期間の延長と正に相関していた (15, 16)。さらに、投与したペプチドに反応する IgGの誘導はまた、再発性婦人科癌患者の 間で臨床応答と相関していた (13)。それ故、 HLA-A2+前立腺癌患者への PSMA
および PAP ペプチドのワクチン処置は、前立腺癌反応性 CTLおよびペプチド特
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異的 IgGの両方を効果的に誘導することができ、その結果良好な臨床応答をもたらす ことができる。
[0029] 白人のほとんどは HLA-A*2101陽性である力 表 2に示すように、日本人において は HLA-A2サブタイプはかなり変化に富んでいる。前立腺関連抗原由来ペプチドは HLA-A*0201分子に対する結合モチーフに基づいて調製したし、 T2細胞および PC9 3-A2細胞はいずれも HLA-A*0201分子を発現している。ペプチド特異的 CTLは、 HL A-A*0201被験者からだけでなぐ HLA-A*0206および- A*0207を含む HLA-A2サブ タイプの被験者からも誘導された (表 2)。我々は以前に、 HLA-A*0201分子に対する 結合モチーフに基づ 、て調製した上皮腫瘍抗原由来ペプチドが、幾つかの HLA-A 2サブタイプの患者においても免疫原性があることを報告した (29-31)。それ故、 PSMA および PAP ペプチドは、幾つかの HLA-A2サブタイプの前立腺癌患者の
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特異的免疫療法にとって有望な標的分子であり得る。 HLA-A2ァリルの頻度は世界 全体で比較的高い (32)。ここに示された情報は、ペプチド基盤免疫療法を用いて HL A-A2+前立腺癌患者を処置できる可能性を増大させるであろう。
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