JP2003521231A - 核酸結合タンパク質 - Google Patents

核酸結合タンパク質

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JP2003521231A JP2000596142A JP2000596142A JP2003521231A JP 2003521231 A JP2003521231 A JP 2003521231A JP 2000596142 A JP2000596142 A JP 2000596142A JP 2000596142 A JP2000596142 A JP 2000596142A JP 2003521231 A JP2003521231 A JP 2003521231A
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シー、レオ・エル
オウ−ヤング、ジャニス・エル
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ヒト核酸結合タンパク質(NuABP)と、NuABPを同定及びコードするポリヌクレオチドとを提供する。本発明はまた、発現ベクター及び宿主細胞、抗体、アゴニスト、アンタゴニストを提供する。更に、本発明は、NuABPの発現に関連する疾患の診断または治療方法、予防方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、核酸結合タンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列、並びにこれらの
配列を用いた生殖障害及び免疫異常症、神経疾患、癌を含む細胞増殖異常症の診
断及び治療、予防に関する。
【0002】 (発明の背景) 多細胞生物は、構造及び機能が著しく異なる多様な細胞型から成る。ある細胞
の識別は、その細胞に特徴的な遺伝子発現パターンから行うことができ、異なっ
た細胞型は、発達中に重複するが固有の遺伝子群を発現する。遺伝子発現の空間
的及び時間的調節は、生物の発達に関与する細胞増殖及び細胞分化、アポトーシ
ス、その他のプロセスの制御において極めて重要である。更に、遺伝子の発現は
、細胞間伝達の媒介となったり、或いは様々な細胞型の活性を協調させる細胞外
のシグナルに応答して調節される。また、遺伝子を適正に調節することによって
、ある時点で必要な機能を有する遺伝子のみを発現することによる細胞の効率的
な機能が可能となる。
【0003】 転写調節タンパク質は、遺伝子発現の調節に必須である。これらのタンパク質
の中には、遺伝子転写の開始、活性化、抑制、或いは終結させる転写因子として
機能するものもある。転写因子は一般に、プロモーター及びエンハンサー、遺伝
子上流の調節領域に配列特異的に結合するが、幾つかの転写因子は、コード領域
の中或いは下流の調節要素と結合する。転写因子は、DNAの特定の領域と単独で
或いは他の補助因子との複合体の形で結合し得る(Lewin, B. (1990) Genes IV,
Oxford University Press, New York, NY, pp. 554-570を参照)。
【0004】 DNAの二重螺旋構造及び反復配列によって、転写因子が認識可能なトポロジー
的及び化学的特徴が形成される。これらの特徴は、水素結合供与体及び受容体類
、疎水性パッチ、主溝及び副溝、螺旋に特有の曲げを誘導する配列の規則的な反
復ストレッチによって形成される。通常は、転写因子は、長さがヌクレオチド約
20個の特定のDNA配列モチーフを認識する。多数の近接転写因子結合モチーフ
は遺伝子の制御に必要であると思われる。
【0005】 多くの転写因子には、DNAの主溝に結合するαへリックス或いはβシートのど
ちらか一方をなすDNA結合構造モチーフが含まれている。へリックス・ターン・
へリックス及びZnフィンガー、ロイシンジッパー、へリックス・ループ・へリッ
クスの4つは、極めて特徴的な構造モチーフである。これらのモチーフを含むタ
ンパク質は、単体として単独で作用するか、或いはホモ二量体或いはヘテロ二量
体を形成してDNAと相互作用する。
【0006】 へリックス・ターン・へリックスモチーフは、アミノ酸短鎖によって一定の角
度で結合された二つのαへリックスから成る。その内の1つのへリックスが主溝
に結合する。へリックス・ターン・へリックスモチーフの例には、ホメオドメイ
ンタンパク質に存在するホメオボックスモチーフがある。これらのタンパク質は
、発達段階において前方及び後方の体軸を決定するために必須であり、動物類全
般に保存されている。Drosophila melanogasterのAntennapediaタンパク質及びU
ltrabithoraxタンパク質は、原型ホメオドメインタンパク質である(Pabo, C.O.
及びR.T. Sauer (1992) Ann. Rev. Biochem. 61:1053-1095.)。
【0007】 一般に、亜鉛イオンに結合するZnフィンガーモチーフは、一定間隔で配置され
たシステイン残基とヒスチジン残基から成る約アミノ酸30個の縦列反復配列を
含む。この配列パターンの例には、C2H2型及びC3HC4型のZnフィンガー及びPHDド
メインがある(Lewin, 前出; Aasland, R., 他 (1995) Trends Biochem. Sci 20
:56 - 59.)。それぞれのZnフィンガータンパク質は、その近接部及び構造が亜
鉛イオンによって維持される逆平行βシート及びαへリックスを含む。DNAとの
接触は、αへリックスの前のアルギニン残基及びαへリックスの第2、第3、第
6の残基によって成される。Znフィンガーモチーフの変異体には、亜鉛或いは他
の金属イオンと結合する明確には定義できない高システインモチーフが含まれる
。これらのモチーフにはヒスチジン残基が含まれず、通常は反復がない。
【0008】 ロイシンジッパーモチーフは、両親媒性のαへリックスを形成可能な高ロイシ
ンのアミノ酸ストレッチを含む。この構造が、2つのロイシンジッパータンパク
質の二量体化の基礎となる。ロイシンジッパーに近接する領域は、通常は塩基性
であり、タンパク質が二量体化すると、主溝への結合に好適な位置にくる。この
ようなモチーフを含むタンパク質は、通常bZIP転写因子と呼ばれる。
【0009】 へリックス・ループ・へリックス(HLH)モチーフは、ループによって結合され
た短いαへリックスと長いαへリックスとから成る。このループは可動性である
ため、互いに巻き戻してDNAに結合する。転写因子Mycは、原型のHLHモチーフを
含む。
【0010】 多くの転写因子は、特徴的なDNA結合モチーフを含み、これらのモチーフの変
異体及び新しいモチーフの特徴が示された(Faisst, S. 及び S. Meyer (1992)
Nucl. Acids Res. 20:3-26.)。
【0011】 転写因子の突然変異は、発癌の原因となり得る。これは、細胞増殖に関与する
遺伝子の発現における転写因子の役割から裏付けられる。例えば、Fos及びJun、
Myc、Rel、Spilなどのプロトオンコジーンによってコードされる転写因子の突然
変異によって、細胞増殖が過度に刺激され癌が引き起こされ得る。それとは対照
的に、p53及びRB1、WT1などの癌抑制遺伝子によってコードされる転写因子の突
然変異によって、細胞増殖の抑制が低下し、癌が引き起こされ得る(Latchman,
D. (1995) Gene Regulation: A Eukaryotic Perspective, Chapman and Hall, L
ondon, UK, pp 242-255.)。
【0012】 遺伝子発現はまた、クロマチン関連タンパク質による影響も受ける。核におい
て、DNAはクロマチンの中にパッケージ化され、その緻密構造によって、DNAの転
写因子への接触が制限され、遺伝子発現の調節に重要な役割を果たす(Lewin,
前出 pp. 409-410.)。クロマチンのこの緻密構造は、ヒストン及び高移動度(HM
G)タンパク質、ヘリカーゼ、クロモドメイン(chromodomain)タンパク質等のクロ
マチン関連タンパク質によって決まり影響を受ける。ヒストンにはH1及びH2A、H
2B、H3、H4の5つのクラスがあり、その全てが高塩基性の低分子タンパク質であ
る。クロマチンの基本単位であるヌクレオソームは、H2A及びH2B、H3、H4の各2
つの複製物に会合した200塩基対のDNAから成る。H1は隣接するヌクレオソー
ムに結合する。HMGタンパク質は、DNAの二重螺旋を巻き戻し、一本鎖DNAを安定
化させ得る低分子量の非ヒストンタンパク質である。DNA依存性ATP分解酵素であ
るヘリカーゼはDNAを巻き戻し、転写因子がDNAに接触できるようにする。クロモ
ドメインタンパク質は、高度に緻密で転写的にサイレントなヘテロクロマチンの
形成に重要な役割を果たす。
【0013】 真核細胞において、遺伝子発現の調節の多くは転写後に行われる。メッセンジ
ャーRNA(mRNA)は、タンパク質をコードする遺伝子の一次転写によって細胞核の
中に生成され、プロセシングを受け、細胞質のタンパク質合成機構に輸送される
。RNA結合タンパク質は、プロセシング及び編集、輸送、極在化、mRNAの転写の
調節に関与する一群のタンパク質であり、リボソームのタンパク質成分も含む。
これらのタンパク質の多くのRNAへの結合活性は、それらの中に存在する一連のR
NA結合モチーフによって仲介される。これらのドメインには、RNPモチーフ及び
高アルギニンモチーフ、RGGボックス、KHモチーフが含まれる(Burd, C. G. and
Dreyfuss, G. (1994) Science 265:615 621を参照)。RNPモチーフは最も広範
に見られ、最も特徴的なモチーフである。RNPモチーフは、RNA結合ドメインを形
成する90〜100個のアミノ酸から成り、前駆体mRNA及びmRNA、前駆体リボソ
ームRNA、小核RNAに結合するタンパク質の1つ以上の複製物において見られる。
RNPモチーフは、2つの短い配列(RNP-1及びRNP-2)及びモチーフの全体に散在し
て保存された殆どが疎水性の多数のアミノ酸から成る(Burd, 前出; ExPASy PRO
SITE 文献 PDOC0030.)。
【0014】 ヒトの腫瘍性疾患の多くは、不適当な遺伝子発現の結果である。悪性の細胞増
殖は、発癌遺伝子の過剰な発現或いは癌抑制分子の発現の低下のどちらか一方に
よって起こる(Cleary, M.L. (1992) Cancer Surv. 15:89-104.)。染色体転座
によって、ある遺伝子のコード配列を第2の関連のない遺伝子の調節領域に融合
させるキメラlociが発生し得る。これによって、不適当な遺伝子転写が起こる場
合が多い。ウィルムス腫瘍抑制遺伝子産物であるWT1は、転写調節能を有する高
プロリン-グルタミン領域及び4つのZnフィンガーから成るDNA結合ドメインを含
むタンパク質である(ExPASy PROSITE 文献 PR00049)。タンパク質のDNA結合活
性を破壊するWT1遺伝子の欠失或いは点変異は、小児腎芽細胞腫及びウィルムス
腫瘍、Denys-Drash症候群の発生に関係する(Rauscher, F.J. (1993) FASEB J.
7:896-903.)。
【0015】 グルタミンを多く含むある種のタンパク質は、脊髄小脳失調及び双極性感情病
、分裂病、自閉症を含む様々な神経疾患に関与する(Margolis, R. L. 他 (1997
) Human Genetics 100:114-122.)。これらのタンパク質は、連続する15個以
上のグルタミン残基の領域を含み、神経の発達或いは神経形成を調節する可能性
をもつ転写因子として機能し得る。
【0016】 免疫系は、進行性の選択及び増幅、細胞内防御機構の動員を調節する諸現象の
カスケードを活性化して感染或いは外傷に応答する。遺伝子の活性化と抑制の複
雑かつバランスのとれたプログラムがこのプロセスに含まれる。しかしながら、
遺伝子発現の不適当な或いは不十分な調節の結果による免疫系の機能亢進は、組
織或いは器官の著しい損傷の原因となる。この損傷については、関節炎及びアレ
ルゲン、心臓発症、発作、感染に関連する免疫応答についての文献に詳しく記載
されている(Harrison's Principles of Internal Medicine, 13/e, McGraw Hil
l, Inc. and Teton Data Systems Software, 1996.)。特に、Staf50(50 kDAの
刺激されたトランス活性因子)と呼ばれるZnフィンガータンパク質は転写調節因
子であり、インターフェロンI及びIIによって様々な細胞株において誘発される
。Staf50は、感染細胞おけるI型ヒト免疫不全ウイルスのレトロウイルスプロモ
ーター領域によって誘導されるウイルス転写のダウンレギュレートによって、イ
ンターフェロンの抗ウイルス活性を仲介する(Tissot, C. (1995)J. Biol. Chem
. 270:14891-14898.)。
【0017】 更に、多細胞生物の発生は、発達の好適な段階での細胞分化の誘導及び調節に
基づいている。このプロセスの中心は、身体の細胞及び組織に固有性を与える遺
伝子の差次的な発現である。発達段階で遺伝子の発現に失敗すると、発達障害の
原因となり得る。
【0018】 新規の核酸結合タンパク質及びそれらをコードするポリヌクレオチドの発見に
より、生殖障害及び免疫異常症、神経疾患、癌を含む細胞増殖異常症の診断及び
治療、予防に有用な新規の組成物を提供することで当分野のニーズに答えること
ができる。
【0019】 (発明の要約) 本発明は、総称して「NuABP」、個別にはそれぞれ「NuABP-1」及び「NuABP-2
」、「NuABP-3」、「NuABP-4」、「NuABP-5」、「NuABP-6」、「NuABP-7」、「N
uABP-8」、「NuABP-9」、「NuABP-10」、「NuABP-11」、「NuABP-12」、「NuABP
-13」、「NuABP-14」、「NuABP-15」、「NuABP-16」、「NuABP-17」、「NuABP-1
8」、「NuABP-19」、「NuABP-20」、「NuABP-21」、「NuABP-22」、「NuABP-23
」、「NuABP-24」、「NuABP-25」、「NuABP-26」、「NuABP-27」、「NuABP-28」
、「NuABP-29」、「NuABP-30」、「NuABP-31」、「NuABP-32」、「NuABP-33」、
「NuABP-34」、「NuABP-35」、「NuABP-36」、「NuABP-37」、「NuABP-38」、「
NuABP-39」、「NuABP-40」、「NuABP-41」、「NuABP-42」、「NuABP-43」、「Nu
ABP-44」、「NuABP-45」、「NuABP-46」、「NuABP-47」、「NuABP-48」、「NuAB
P-49」、「NuABP-50」、「NuABP-51」、「NuABP-52」、「NuABP-53」、「NuABP-
54」、「NuABP-55」と呼ぶ核酸結合タンパク質である実質的に精製されたポリペ
プチドを提供する。本発明の一実施態様では、a)SEQ ID NO:1−55からなる一群
から選択されたアミノ酸配列、b)SEQ ID NO:1−55からなる一群から選択された
アミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有する自然発生のアミノ酸配列、c)S
EQ ID NO:1−55からなる一群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断
片、またはd)SEQ ID NO:1−55からなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫
原性断片を含む単離されたポリペプチドを提供する。別法では、SEQ ID NO:1−5
5のアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを提供する。
【0020】 更に本発明は、a)SEQ ID NO:1−55からなる一群から選択されたアミノ酸配列
、b)SEQ ID NO:1−55からなる一群から選択されたアミノ酸配列と90%以上の
配列同一性を有する自然発生のアミノ酸配列、c)SEQ ID NO:1−55からなる一群
から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断片、またはd)SEQ ID NO:1−
55からなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片むポリペプチドをコ
ードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。別法では、このポリヌクレオ
チドは、SEQ ID NO:56−110からなる一群から選択される。
【0021】 更に、本発明は、a)SEQ ID NO:1−55からなる一群から選択されたアミノ酸配
列、b)SEQ ID NO:1−55からなる一群から選択されたアミノ酸配列と90%以上
の配列同一性を有する自然発生のアミノ酸配列、c)SEQ ID NO:1−55からなる一
群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断片、またはd)SEQ ID NO:1
−55からなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片を含むポリペプチ
ドをコードするポリヌクレオチドと機能的に結合されたプロモーター配列を含む
組換えポリヌクレオチドを提供する。別法では、本発明は、この組換えポリヌク
レオチドで形質転換された細胞を提供する。更なる別法では、本発明は、この組
換えポリヌクレオチドを含む遺伝子組換え生物を提供する。
【0022】 また、本発明は、a)SEQ ID NO:1−55からなる一群から選択されたアミノ酸配
列、b)SEQ ID NO:1−55からなる一群から選択されたアミノ酸配列と90%以上
の配列同一性を有する自然発生のアミノ酸配列、c)SEQ ID NO:1−55からなる一
群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断片、またはd)SEQ ID NO:1
−55からなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片を含むポリペプチ
ドの製造方法を提供する。この方法は、a)このポリペプチドの発現に好適な条
件の下で、このポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと機能的に結合され
たプロモーター配列を含む組換えポリヌクレオチドで形質転換された細胞を培養
するステップと、b)このように発現したポリペプチドを回収するステップとを
含む。
【0023】 更に、本発明は、a)SEQ ID NO:1−55からなる一群から選択されたアミノ酸配
列、b)SEQ ID NO:1−55からなる一群から選択されたアミノ酸配列と90%以上
の配列同一性を有する自然発生のアミノ酸配列、c)SEQ ID NO:1−55からなる一
群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断片、またはd)SEQ ID NO:1
−55からなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片を含むポリペプチ
ドに特異的に結合する単離された抗体を提供する。
【0024】 更に、本発明は、a)SEQ ID NO:56−110からなる一群から選択されたポリヌク
レオチド配列、b)SEQ ID NO:56−110からなる一群から選択されたポリヌクレオ
チド酸配列と90%以上の配列同一性を有する自然発生のポリヌクレオチド配列
、c)前記a)に相補的なポリヌクレオチド配列、またはd)前記b)に相補的なポ
リヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドを提供する。別法では、
このポリヌクレオチドは、少なくとも60個の連続するヌクレオチドである。
【0025】 更に、本発明は、a)SEQ ID NO:56−110からなる一群から選択されたポリヌク
レオチド配列、b)SEQ ID NO:56−110からなる一群から選択されたポリヌクレオ
チドと90%以上の配列同一性を有する自然発生のポリヌクレオチド配列、c)
前記a)に相補的なポリヌクレオチド配列、またはd)前記b)に相補的なポリヌ
クレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を有するサンプル中の標的ポリヌク
レオチドを検出する方法を提供する。この方法は、a)前記サンプル内の標的ポ
リヌクレオチドと相補的な配列を含む少なくとも16個の連続するヌクレオチド
を含むプローブと前記サンプルをハイブリダイズさせるステップであって、前記
プローブと前記標的ポリヌクレオチドとでハイブリダイゼーション複合体が形成
される条件の下、前記プローブが特異的に前記標的ポリヌクレオチドにハイブリ
ダイズする、該ステップと、b)前記ハイブリダイゼーション複合体の存在の有
無を検出し、存在する場合には随意選択でその量を測定するステップとを含む。
別法では、前記プローブは、少なくとも30個の連続するヌクレオチドを含む。
更なる別法では、前記プローブは、少なくとも60個の連続するヌクレオチドを
含む。
【0026】 更に、本発明は、a)SEQ ID NO:1−55からなる一群から選択されたアミノ酸配
列、b)SEQ ID NO:1−55からなる一群から選択されたアミノ酸配列と90%以上
の配列同一性を有する自然発生のアミノ酸配列、c)SEQ ID NO:1−55からなる一
群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断片、またはd)SEQ ID NO:1
−55からなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片を含む効果的な量
のポリペプチド及び好適な医薬用賦形剤を含む医薬品組成物を提供する。更に、
本発明は、患者にこの医薬品組成物を投与することを含む、機能的NuABPの発現
の低下に関連した疾患やその症状の治療方法を提供する。
【0027】 更に、本発明は、a)SEQ ID NO:1−55からなる一群から選択されたアミノ酸配
列、b)SEQ ID NO:1−55からなる一群から選択されたアミノ酸配列と90%以上
の配列同一性を有する自然発生のアミノ酸配列、c)SEQ ID NO:1−55からなる一
群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断片、またはd)SEQ ID NO:1
−55からなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片を含むポリペプチ
ドのアゴニストとして効果的な化合物をスクリーニングする方法を提供する。こ
の方法は、a)前記ポリペプチドを含むサンプルを化合物に曝露するステップと
、b)前記サンプルのアゴニスト活性を検出するステップとを含む。別法では、
本発明は、前記方法によって同定されたアゴニスト化合物及び好適な医薬用賦形
剤を含む医薬品組成物を提供する。更なる別法では、本発明は、この医薬品組成
物の患者への投与を含む、機能的NuABPの発現の低下に関連した疾患やその症状
の治療方法を提供する。
【0028】 更に、本発明は、a)SEQ ID NO:1−55からなる一群から選択されたアミノ酸配
列、b)SEQ ID NO:1−55からなる一群から選択されたアミノ酸配列と90%以上
の配列同一性を有する自然発生のアミノ酸配列、c)SEQ ID NO:1−55からなる一
群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断片、またはd)SEQ ID NO:1
−55からなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片含むポリペプチド
のアンタゴニストとして効果的な化合物をスクリーニングする方法を提供する。
この方法は、a)前記ポリペプチドを含むサンプルを化合物に曝露するステップ
と、b)前記サンプルのアンタゴニスト活性を検出するステップとを含む。別法
では、本発明は、前記方法によって同定されたアンタゴニスト化合物及び好適な
医薬用賦形剤を含む医薬品組成物を提供する。更なる別法では、本発明は、この
医薬品組成物の患者への投与を含む、機能的NuABPの過剰な発現に関連した疾患
やその症状の治療方法を提供する。
【0029】 更に本発明は、SEQ ID NO:56−110からなる一群から選択された配列を含む標
的ポリヌクレオチドの発現を変えるのに効果的な化合物をスクリーニングする方
法であって、a)前記標的ポリヌクレオチドを含むサンプルを化合物に曝露する
ステップと、b)前記標的ポリヌクレオチドの発現の変化を検出するステップと
を含む、該スクリーニング方法を提供する。
【0030】 (本発明の記載について) 本発明のタンパク質及び核酸配列、方法について説明する前に、本発明は、こ
こに開示した特定の装置及び材料、方法に限定されず、その実施形態を変更でき
ることを理解されたい。また、ここで用いられる用語は、特定の実施例のみを説
明する目的で用いられたものであり、後述の請求の範囲によってのみ限定され、
本発明の範囲を限定することを意図したものではないということも理解されたい
【0031】 本明細書及び請求の範囲において単数形を表す「或る」、「その(この等)」
は、文脈で明確に示していない場合は複数形を含むことに注意されたい。従って
、例えば「或る宿主細胞」は複数の宿主細胞を含み、その「抗体」は複数の抗体
は含まれ、当業者には周知の等価物なども含まれる。
【0032】 本明細書で用いた全ての科学技術用語は、別の方法で定義されていない限り、
本発明の属する技術分野の一般的な技術者が普通に解釈する意味と同じである。
本明細書で記述したものと類似、或いは同等の全ての装置及び材料、方法は本発
明の実施及びテストに使用できるが、好適な装置及び材料、方法をここに記す。
本明細書に記載の全ての文献は、本発明に関連して使用する可能性のある文献に
記載された細胞系、プロトコル、試薬、ベクターを記述し開示するために引用し
た。従来の発明を引用したからと言って、本発明の新規性が損なわれると解釈さ
れるものではない。
【0033】 (定義) 用語「NuABP」は、天然、合成、半合成或いは組換え体など全ての種(特にウ
シ、ヒツジ、ブタ、マウス、ウマ及びヒトを含む哺乳動物)から得られる実質的
に精製されたNuABPのアミノ酸配列を指す。
【0034】 用語「アゴニスト」は、NuABPの生物学的活性を強化したり、模倣する分子を
指す。このアゴニストは、NuABPに直接相互作用するか、或いはNuABPが関与する
生物学的経路の成分と作用して、NuABPの活性を調節するタンパク質、核酸、糖
質、小分子、任意の他の化合物や組成物を含み得る。
【0035】 用語「アレル変異配列」は、NuABPをコードする遺伝子の別の形を指す。アレ
ル変異配列は、核酸配列における少なくとも1つの変異によって生じ、変異mRNA
若しくは変異ポリペプチドになり、これらの構造や機能は変わる場合もあれば変
わらない場合もある。ある遺伝子は、自然発生型のアレル変異配列が存在しない
もの、1つ或いは多数存在するものがある。一般にアレル変異配列を生じる変異
は、ヌクレオチドの自然な欠失、付加、或いは置換による。これらの各変異は、
単独或いは他の変異と同時に起こり、所定の配列内で一回或いはそれ以上生じる
【0036】 NuABPをコードする「変異」核酸配列は、様々なヌクレオチドの欠失、挿入、
或いは置換が起こっても、NuABPと同じポリペプチド或いはNuABPの機能特性の少
なくとも1つを備えるポリペプチドを指す。この定義には、NuABPをコードする
ポリヌクレオチド配列の正常な染色体の遺伝子座ではない位置でのアレル変異配
列との不適当或いは予期しないハイブリダイゼーション、並びにNuABPをコード
するポリヌクレオチドの特定のオリゴヌクレオチドプローブを用いて容易に検出
可能な或いは検出困難な多形性を含む。コードされたタンパク質も変異され得り
、サイレント変化を生じNuABPと機能的に等価となるアミノ酸残基の欠失、挿入
、或いは置換を含み得る。意図的なアミノ酸置換は、生物学的或いは免疫学的に
NuABPの活性が保持される範囲で、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性
、及び/または両親媒性についての類似性に基づいて成され得る。例えば、負に
荷電したアミノ酸にはアスパラギン酸及びグルタミン酸が含まれ、正に荷電した
アミノ酸にはリシン及びアルギニンが含まれ得る。類似の親水性の値をもち極性
非荷電側鎖を有するアミノ酸には、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオ
ニンが含まれ得る。類似の親水性の値をもち非荷電側鎖を有するアミノ酸には、
ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン及び
チロシンが含まれ得る。
【0037】 用語「アミノ酸」及び「アミノ酸配列」は、オリゴペプチド、ペプチド、ポリ
ペプチド、タンパク質配列、或いはそれらの任意の断片を指し、天然の分子及び
合成分子を含む。「アミノ酸配列」が自然発生のタンパク質分子である場合、「
アミノ酸配列」及び類似の用語は、アミノ酸配列を、記載したタンパク質分子に
関連する完全で元のままのアミノ酸配列に限定するものではない。
【0038】 用語「増幅」は、核酸配列の複製物を作製することに関連する。一般に増幅は
、この技術分野で周知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術によって行われる。
【0039】 用語「アンタゴニスト」は、NuABPの生物学的活性を阻害或いは減弱する分子
である。アンタゴニストは、NuABPに直接相互作用するか、或いはNuABPが関与す
る生物学的経路の成分と作用して、NuABPの活性を調節する抗体、核酸、糖質、
小分子、任意の他の化合物や組成物などのタンパク質を含み得る。
【0040】 用語「抗体」は、抗原決定基と結合可能なFab及びF(ab')2、及びそれらの断片
、Fv断片などの無傷の分子を指す。NuABPポリペプチドと結合する抗体は、抗体
を免疫する小ペプチドを含む無傷の分子またはその断片を用いて産生可能である
。動物(例えば、マウス、ラット、若しくはウサギ)を免疫化するのに使用され
るポリペプチド或いはオリゴペプチドは、RNAの翻訳から、或いは化学的に合成
可能であり、必要に応じて担体タンパク質と結合させることも可能である。ペプ
チドと化学的に結合した一般に用いられる担体は、ウシ血清アルブミン、チログ
ロブリン、及びキーホールリンペットヘモニアン(KLH)を含む。次ぎに、この
結合したペプチドを用いて動物を免疫化する。
【0041】 用語「抗原決定基」は、特定の抗体と接触する分子の領域(即ちエピトープ)
を指す。タンパク質或いはタンパク質の断片が、宿主動物を免疫化するのに用い
られるとき、このタンパク質の種々の領域は、抗原決定基(タンパク質上の特定
の領域或いは三次元構造体)に特異的に結合する抗体の産生を誘発し得る。抗原
決定基は、抗体と結合するために無傷の抗原(即ち、免疫応答を引き出すために
用いられる免疫原)と競合し得る。
【0042】 用語「アンチセンス」は、特定の核酸配列のセンス鎖に相補的な核酸配列を含
む任意の組成物を指す。アンチセンス分子は、合成や転写を含む任意の方法で作
り出すことができる。相補的ヌクレオチドは、一度細胞に導入されると、細胞に
よって作られた自然の配列と結合して二重鎖を形成し、転写や翻訳を阻害する。
「マイナス(−)」という表現はアンチセンス鎖、「プラス(+)」という表現
はセンス鎖を指す。
【0043】 用語「生物学的活性」は、自然発生分子の構造的、調節的、或いは生化学的な
機能を有するタンパク質を指す。同様に、用語「免疫学的に活性」は、天然或い
は組換え体のNuABP、合成のNuABPまたはそれらの任意のオリゴペプチドが、適当
な動物或いは細胞の特定の免疫応答を誘発して特定の抗体と結合する能力を指す
【0044】 用語「相補的」及び「相補性」は、ポリヌクレオチド同士が塩基対を形成して
自然に結合することを指す。例えば、配列「5'A−G−T3'」が相補的な配列
「3'T−C−A5'」と結合する。2つの一本鎖分子間の相補性は、幾つかの核
酸のみが結合する部分的な場合、或いは一本鎖間に完全な相補性が存在して完全
な相補性となる場合もあり得る。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブ
リダイゼーションの効率及び強度に大きな影響を与える。このことは、核酸鎖間
の結合に左右される増幅反応、並びにペプチド核酸(PNA)分子の設計若しくは
使用において特に重要である。
【0045】 「所定のポリヌクレオチド配列を含む組成物」または「所定のアミノ酸配列を
含む組成物」は広い意味で、所定のヌクレオチド配列若しくはアミノ酸配列を含
む任意の組成物を指す。この組成物は、乾燥した製剤或いは水溶液を含み得る。
NuABP若しくはNuABPの断片をコードするポリヌクレオチド配列を含む組成物は、
ハイブリダイゼーションプローブとして使用され得る。このプローブは、凍結乾
燥状態で保存可能であり、糖質などの安定化剤と結合させることが可能である。
ハイブリダイゼーションにおいて、プローブは、塩(例えば、NaCl)及び界面活
性剤(例えば、SDS:ドデシル硫酸ナトリウム)、その他の物質(例えば、デン
ハート液、乾燥ミルク、サケ精子DNAなど)を含む水溶液に展開され得る。
【0046】 「コンセンサス配列」は、不要な塩基を分離するためにシークエンシングされ
た核酸配列であって、XL-PCRTM(Perkin Elmer, Norwalk, CT)を用いて5'及び
/または3'の方向に延長されてシークエンシングされた核酸配列、或いはGELVI
EW 断片構築システム(GCG, Madison, WI)などのフラグメントの構築のための
コンピュータプログラムを用いて1つ或いはそれ以上のインサイト社クローン、
及び場合によっては、1つ以上のパブリックのドメインESTの重複によって構築
された核酸配列を指す。延長及び重複の両方によって構築されるコンセンサス配
列もある。
【0047】 用語「保存的なアミノ酸置換」は、元のタンパク質の特性を殆ど変えない置換
を指す。即ち、置換によってそのタンパク質の構造や機能が大きくは変わらず、
そのタンパク質の構造、特にその機能が保存される。以下に、あるタンパク質の
元のアミノ酸が別のアミノ酸に置換される保存的なアミノ酸置換を示す。 元の残基 保存的な置換 Ala Gly, Set Arg His, Lys Asn Asp, Gln, His Asp Asn, Glu Cys Ala, Ser Gln Asn, Glu, His Glu Asp, Gln, His Gly Ala His Asn, Arg, Gln, Glu Ile Leu, Val Leu Ile, Val Lys Arg, Gln, Glu Met Leu, Ile Phe His, Met, Leu, Trp, Tyr Ser Cys, Thr Thr Ser, Val Trp Phe, Tyr Tyr His, Phe, Trp Val Ile. Leu, Thr 一般に、保存されたアミノ酸置換の場合は、a)置換された領域のポリペプチ
ドの骨格構造、例えば、βシートやαヘリックス高次構造、b)置換された部位
の分子の電荷または疎水性、及び/または、c)側鎖の大半が維持される。
【0048】 用語「欠失」は、1個以上のアミノ酸残基が欠如するアミノ酸配列の変化、或
いは1個以上のヌクレオチドが欠如する核酸配列の変化を指す。
【0049】 用語「誘導体」は、化学修飾されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドを指
す。ポリヌクレオチド配列の化学修飾には、例えば、アルキル基、アシル基、ヒ
ドロキシル基、或いはアミノ基による水素の置換がある。誘導体ポリヌクレオチ
ドは、自然分子(未修飾の分子)の生物学的或いは免疫学的機能の少なくとも1
つを維持するポリペプチドをコードする。誘導体ポリペプチドとは、もとのポリ
ペプチドの生物学的機能、或いは免疫学的機能の少なくとも1つを維持する、グ
リコシル化、ポリエチレングリコール化、或いは任意の同様のプロセスによって
修飾されたポリペプチドのことである。
【0050】 用語「断片」は、NuABPまたはNuABPをコードするポリヌクレオチドの固有の部
分であって、その親配列(parent sequence)と同一であるがその配列より長さ
が短いものを指す。「断片」の最大の長さは、親配列から1つのヌクレオチド/
アミノ酸残基を差し引いた長さである。例えば、ある断片は、5〜1000個の
連続するヌクレオチド或いはアミノ酸残基を含む。プローブ、プライマー、抗原
、治療用分子、またはその他の目的に用いる断片は、少なくとも5、10、15
、16、20、25、30、40、50、60、75、100、150、250
若しくは500個の連続するヌクレオチド或いはアミノ酸残基の長さである。断
片は、優先的に分子の特定の領域から選択される場合もある。例えば、ポリペプ
チド断片は、所定の配列に示された最初の250若しくは500のアミノ酸(或
いは、ポリペプチドの最初の25%または50%)から選択された連続するアミ
ノ酸の所定の長さを含み得る。これらの長さは一例であり、配列表及び表、図面
を含む明細書に記載の任意の長さが、本発明の実施例に含まれ得る。
【0051】 SEQ ID NO:56−110のある断片は、例えば、同じゲノム内の他の配列とは異な
る、SEQ ID NO:56−110を明確に同定する固有のポリヌクレオチド配列の領域を
含む。SEQ ID NO:56−110のある断片は、例えば、ハイブリダイゼーションや増
幅技術、またはSEQ ID NO:56−110を関連ポリヌクレオチド配列から区別する類
似の方法に有用である。ある断片と一致するSEQ ID NO:56−110の正確な断片の
長さや領域は、その断片の目的に基づいて当分野で一般的な技術によって日常的
に測定できる。
【0052】 SEQ ID NO:1−55のある断片は、SEQ ID NO:56−110のある断片によってコード
される。SEQ ID NO:1−55のある断片は、特異的にSEQ ID NO:1−55を同定する固
有のアミノ酸配列の領域を含む。例えば、SEQ ID NO:1−55のある断片は、特異
的にSEQ ID NO:1−55を認識する抗体の作製用の免疫原性ペプチドとして有用で
ある。ある断片と一致するSEQ ID NO:1−55の正確な断片の長さや領域は、その
断片の目的に基づいて当分野で一般的な技術によって日常的に測定できる。
【0053】 用語「類似性」は相補性の程度を表す。これには、部分的類似性と完全な類似
性とがある。用語「同一性」を「類似性」とも言える。同一の配列と標的の核酸
とのハイブリダイゼーションが少なくとも部分的に阻止される部分的に相補的な
配列は、「実質的に類似」と呼ばれる。完全に相補的な配列と標的の配列とのハ
イブリダイゼーションの阻止は、緩いストリンジェントな条件の下、ハイブリダ
イゼーションアッセイ(サザンブロッティング或いはノーザンブロッティング法
、溶液ハイブリダイゼーション等)を用いて検査される。実質的に類似の配列或
いはハイブリダイゼーションプローブは、緩いストリンジェントな条件の下、完
全に類似(同一)の配列と標的の配列との結合に対して競合して抑制する。これ
は、緩いストリンジェントな条件の下では非特異的な結合が許容されるというこ
とではなく、緩いストリンジェントな条件では、2つの配列の互いへの結合が特
異的(即ち、選択的)に相互作用しなけらばならい。部分的な相補性ともいえな
い(例えば、30%未満の類似性或いは同一性)第2の標的配列を用いて、非特
異的結合が存在しないことの検査が可能である。非特異的結合が存在しない場合
は、実質的に類似配列或いはプローブが第2の非相補的標的配列とハイブリダイ
ズしない。
【0054】 ポリヌクレオチド配列についての用語「パーセントの同一性」又は「%の同一
性」とは、標準化されたアルゴリズムを用いてアラインメントされる、2つ以上
のポリヌクレオチド配列間の一致する残基の百分率のことである。このようなア
ルゴリズムは、標準化され再現できる方法で、2つの配列間のアラインメントを
最適化するべく、配列にギャップを挿入して、より意味をもつ2つの配列間の比
較を行うことができる。
【0055】 ポリヌクレオチド配列間の同一性のパーセントは、MEGALIGN version 3.12e配
列アラインメントプログラムに組込まれるCLUSTAL Vアルゴリズムのデフォルト
パラメータを用いて決定可能である。このプログラムはLASERGENEソフトウェア
パッケージの一部であり、分子生物学分析プログラム一式(DNASTAR, Madison W
I)である。このCLUSTAL Vは、Higgins, D.G. 及び P.M. Sharp (1989) CABIOS
5:151-153、Higgins, D.G. 他 (1992) CABIOS 8:189-191に記載されている。ポ
リヌクレオチド配列の対のアライメントの場合、デフォルトパラメーターは、Kt
uple=2、gap penalty=5、window=4、「diagonals saved」=4と設定する。「重み
付けされた」残基重み付け表が、デフォルトとして選択された。同一性のパーセ
ントは、アラインメントされたポリヌクレオチド配列の対の「類似性のパーセン
ト」としてCLUSTAL Vによって報告される。
【0056】 別法では、一般に用いられ、無料で入手可能な配列比較アルゴリズム一式が、
NCBI、Bethesda、MD、及びインターネット(http://WWW.ncbi.nlm.nih.gov/BLAS
T/)などから入手できるNational Center for Biotechnology Information (NCB
I) Basic Local Alignment Search Tool (BLAST) (Altschul, S.F. 他 (1990) J
. Mol. Biol. 215:403-410)によって得られる。このBLASTソフトウェア一式には
、既知のポリヌクレオチド配列と様々なデータベースの別のポリヌクレオチド配
列とのアラインメントに用いられる「blastn」を含む、様々な配列分析プログラ
ムが含まれる。「BLAST 2 Sequences」と呼ばれるツールが入手可能であり、2
つのヌクレオチド配列の対を直接比較するために用いられる。「BLAST 2 Sequen
ces」は、http://WWW.ncbi.nlm.nih.gov/gorf/b12.htmlにアクセスして、対話形
式で利用ができる。「BLAST 2 Sequences」ツールは、blastn 及び blastp(以
下に記載)の両方に用いることができる。BLASTプログラムは、一般的には、デ
フォルトを設定するギャップ及び他のパラメーターと共に用いられる。例えば、
2つのヌクレオチド配列を比較する場合、ある者は、デフォルトパラメータに設
定された「BLAST 2 Sequences」ツールVersion 2.0.12 (April-21-2000)でblast
nを使用するであろう。そのようなデフォルトパラメータは、例えば、以下のよ
うにする。 Matrix: BLOSUM62 Reward for match: 1 Penalty for mismatch: -2 Open Gap: 5 及び Extension Gap: 2 penalties Gap x drop-off: 50 Expect: 10 Word Size: 11 Filter: on 同一性のパーセントは、例えば、特定の配列番号で決められた、所定の配列の
全長に対して測定してもよいし、それより短い長さに対して、例えば、ある大き
な所定の配列から得られた断片、例えば、連続する少なくとも、20または30
、40、50、70、100、200のヌクレオチドの断片の長さに対して測定
してもよい。このような長さは単なる例であり、配列表及び表、図面を含む明細
書に記載の配列の任意の長さの断片を用いて、同一性のパーセントが測定される
長さを示すことができる。
【0057】 高い同一性を示さない核酸配列でも、遺伝子コードの縮重によって類似のアミ
ノ酸配列をコードし得る。縮重を利用して核酸配列を変え、それぞれが実質的に
同じタンパク質をコードする様々な核酸配列を作製できることを理解されたい。
【0058】 ポリペプチド配列に用いられる用語「パーセントの同一性」又は「%の同一性
」とは、標準化されたアルゴリズムを用いてアラインメントされる2つ以上のポ
リペプチド配列間の一致する残基の百分率のことである。ポリペプチド配列アラ
インメントの方法は周知である。アラインメント方法の中には、保存的なアミノ
酸置換を考慮したものもある。詳細に上述したこのような保存的な置換は、一般
に、置換部位の電荷や疎水性が保存され、ポリペプチドの構造(従って機能も)
が保存される。
【0059】 ポリペプチド配列間の同一性のパーセントは、MEGALIGN バージョン3.12e配列
アラインメントプログラム(上記)に組込まれるCLUSTAL Vアルゴリズムのデフ
ォルトパラメータを用いて決定可能である。CLUSTAL Vを用いる対方式のポリぺ
プチド配列のアライメントの場合、デフォルトパラメーターは、Ktuple=1、gap
penalty=3、window=5、及び「diagonals saved」=5と設定する。PAM250マトリク
スが、デフォルトの残基重み付け表として選択される。ポリヌクレオチドアライ
ンメントと同様に、アラインメントされたポリペプチド配列の対の同一性のパー
セントは、「類似性のパーセント」としてCLUSTAL Vによって報告される。
【0060】 別法では、NCBI BLASTソフトウェア一式が用いられる。例えば、2つのポリペ
プチド配列を対で比較をする場合、ある者は、デフォルトパラメータで設定され
た「BLAST 2 Sequences」ツールVersion 2.0.12 (April-21-2000)でblastpを使
用するであろう。そのようなデフォルトパラメータは、例えば、以下のようにす
る。 Matrix: BLOSUM62 Open Gap: 11 及び Extension Gap: 1 penalties Gap x drop-off: 50 Expect: 10 Word Size: 3 Filter: on 同一性のパーセントは、例えば、特定の配列番号で決められた、所定のポリペ
プチド配列の全長に対して測定してもよいし、それより短い長さに対して、例え
ば、ある大きな所定のポリペプチド配列から得られた断片、例えば、連続する少
なくとも15、20または30、40、50、70、150の残基の断片の長さ
に対して測定してもよい。このような長さは単なる例であり、配列表及び表、図
面を含む明細書に記載の配列の任意の長さの断片を用いて、同一性のパーセント
が測定される長さを示すことができる。
【0061】 「ヒト人工染色体(HAC)」は、約6kb(キロベース)〜10MbのサイズのDNA
配列を含み得り、安定した有糸分裂染色体の分離及び維持に必要な全ての要素を
含む直鎖状の小染色体である。
【0062】 用語「ヒト化抗体」は、もとの結合能力を保持しつつよりヒトの抗体に似せる
ために、非抗原結合領域のアミノ酸配列が変えられた抗体分子を指す。
【0063】 「ハイブリダイゼーション」とは、所定のハイブリダイゼーション条件の下で
、ある一本鎖ポリヌクレオチドがある相補的な一本鎖と塩基対を形成するアニー
リングのプロセスである。特異的なハイブリダイゼーションとは、2つの核酸配
列が高い同一性を有することを意味する。アニーリングが許容される条件の下で
、特異的なハイブリダイゼーション複合体が形成され、洗浄過程の後もハイブリ
ダイズしたままである。洗浄過程は、ハイブリダイゼーションプロセスの厳密性
即ちストリンジェント(stringency)の決定において特に重要であり、よりスト
リンジェントな条件では、非特異的な結合、即ち完全には一致しない核酸鎖間の
対の結合が減少する。核酸配列間のアニーリングが許容される条件は、当業者に
よって日常的に決定され、ハイブリダイゼーションの間は一定であるが、洗浄過
程は、目的のストリンジェントにするためにその最中に条件の変更が可能であり
、ハイブリダイゼーション特異性が得られる。アニーリングが許容される条件は
、例えば、温度が68℃で、約6×SSC、約1%(w/v)のSDS、並びに約100
μg/mlのせん断して変性したサケ精子DNAが含まれる。
【0064】 一般に、ハイブリダイゼーションのストリンジェントは、洗浄過程を行う際の
温度によっても左右される。この洗浄温度は通常、所定のイオン強度とpHにお
ける特定の配列の熱融点(Tm)より約5〜20℃低く選択される。このTmは、(
所定のイオン強度とpHの下)標的の配列の50%が完全に一致するプローブと
ハイブリダイズする温度である。Tmを計算する式及び核酸のハイブリダイゼーシ
ョンの条件は、周知であり、Sambrook, J. 他による, 1989, Molecular Cloning : A Laboratory Manual , 第2版の1-3巻, Cold Spring Harbor Press, Plainview
NY; 特に2巻の9章に記載されている。
【0065】 本発明のポリヌクレオチド間の高いストリンジェントなハイブリダイゼーショ
ンでは、約0.2×SSC及び約1%のSDSの存在の下、約68℃で1時間の洗浄過
程を含む。別法では、65℃、60℃、55℃、42℃の温度で行う。SSCの濃
度は、約0.1%のSDSが存在の下、約0.1〜2×SSCの範囲である。通常は、
遮断剤を用いて非特異的なハイブリダイゼーションを阻止する。このような遮断
剤には、例えば、約100〜200μg/mlの変性したサケ精子DNAが含まれ
る。約35〜50%v/vの濃度のホルムアミドなどの有機溶剤が、例えば、RNAと
DNAのハイブリダイゼーションなどの特定の場合に用いることができる。これら
の洗浄条件の有用な改変は、当業者には周知である。特に高いストリンジェント
な条件でのハイブリダイゼーションは、ヌクレオチド間の進化における類似性を
示唆し得る。このような類似性は、それらのヌクレオチド及びコードされたポリ
ペプチドが類似の役割を果たしていることを強く示唆する。
【0066】 用語「ハイブリダイゼーション複合体」は、相補的な塩基間の水素結合によっ
て、形成された2つの核酸配列の複合体を指す。ハイブリダイゼーション複合体
は溶液中(例えば、CtまたはRt分析)で形成されるか、或いは溶液中の
1つの核酸配列と固体の支持物(例えば、紙、膜、フィルター、チップ、ピン、
或いはスライドガラス、または細胞及びその核酸を固定する任意の適当な基板)
に固定されたもう一つの核酸配列とで形成され得る。
【0067】 用語「挿入」或いは「付加」は、1個以上のアミノ酸残基或いはヌクレオチド
がそれぞれ追加されるアミノ酸配列或いは核酸配列の変化を指す。
【0068】 「免疫応答」は、炎症性疾患及び外傷、免疫異常、感染症、遺伝病などに関連
する症状を指す。これらの症状は、細胞系及び全身防衛系に影響を及ぼすサイト
カイン及びケモカイン、別の情報伝達分子などの様々な因子の発現という特徴を
もつ。
【0069】 用語「マイクロアレイ」は、基板上に配列されたそれぞれ異なったポリヌクレ
オチドの配列を指す。
【0070】 マイクロアレイの文脈に用いられる用語「要素」或いは「アレイ要素」は、基
板の表面に配列されたハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドを指す。
【0071】 用語「変調」は、NuABPの活性の変化を指す。例えば、変調によって、NuABPの
タンパク質活性、或いは結合特性、またはその他の生物学的特性、機能的特性或
いは免疫学的特性の変化が起こる。
【0072】 用語「核酸」或いは「核酸配列」は、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポ
リヌクレオチド、或いはそれらの断片を指す。また、一本鎖若しくは二本鎖であ
って、センス鎖或いはアンチセンス鎖であるゲノム起源若しくは合成起源のDN
A或いはRNA、ペプチド核酸(PNA)、任意のDNA様物質、及びRNA様物
質を指す。
【0073】 「機能的に結合した」は、第1の核酸配列と第2の核酸配列が機能的な関係に
ある状態を指す。例えば、プロモーターがコード配列の転写または発現に影響を
与える場合、そのプロモーターはそのコード配列に機能的に結合している。一般
に、機能的に結合したDNA配列は、同じ読み枠内で2つのタンパク質をコードす
る領域が結合する必要がある場合は、非常に近接或いは連続する。
【0074】 「ペプチド核酸(PNA)」は、末端がリシンで終わるアミノ酸残基のペプチド
骨格に結合した、少なくとも約5ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドを含
む、アンチセンス分子又は抗遺伝子剤を指す。この末端のリシンにより、この組
成物が溶解性となる。PNAは、相補的な一本鎖DNAやRNAに優先的に結合して転写
物の伸長を止め、ポリエチレングリコール化して細胞における寿命を延ばし得る
【0075】 「プローブ」とは、同一配列或いはアレル核酸配列、関連する核酸配列の検出
に用いる、NuABPやそれらの相補配列、またはそれらの断片をコードする核酸配
列のことである。プローブは、検出可能な標識またはレポーター分子が結合され
単離されたオリゴヌクレオチドやポリヌクレオチドである。典型的な標識には、
放射性アイソトープ及びリガンド、化学発光試薬、酵素がある。「プライマー」
とは、相補的な塩基対を形成して標的のポリヌクレオチドにアニーリング可能な
、通常はDNAオリゴヌクレオチドである短い核酸である。プライマーがポリヌク
レオチドにアニーリングした後、あるDNAポリメラーゼ酵素によって、標的のDNA
一本鎖に沿って延長される。プライマーの組は、例えば、PCR法における核酸配
列の増幅(及び同定)に用いることができる。
【0076】 本発明に用いられるプローブ及びプライマーは、既知の配列の少なくとも15
の連続するヌクレオチドを含む。特異性を高めるために、より長いプローブ及び
プライマーが用いることも可能である。例えば、開示した核酸配列の連続する少
なくとも20または25、30、40、50、60、70、80、90、100
、150のヌクレオチドを含む。プローブ及びプライマーは、上記した例より相
当長いものも用いることができ、本明細書の表及び図面、配列表に示された任意
の長さのヌクレオチドも用いることができることを理解されたい。
【0077】 プローブ及びプライマーの準備及び使用方法については、例えば、Sambrook,
J.他による、1989年、名称「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」、第2
版の1-3巻(Cold Spring Harbor Press, Plainview NY)、またはAusubel, F.M.
他による、1987年、名称「Current Protocols in Molecular Biology」(Greene
Pubi. Assoc. & Wiley-Intersciences, New York NY)、並びに Innis他による、
1990年、名称「PCR Protocols, A Guide to Methods and Applications」(Acade
mic Press, San Diego CA.)を参照されたい。PCR用のプライマーの組は、例えば
、Primer (Version 0.5, 1991, Whitehead Institute for Biomedical Research
, Cambridge MA)などのそのような目的のためのコンピュータプログラムを用い
て、ある既知の配列から引き出すことができる。
【0078】 プライマーとして用いるオリゴヌクレオチドは、当分野で周知のプライマー選
択用のコンピュータプログラムで選択される。例えば、OLIGO 4.06ソフトウェア
は、それぞれが最大100ヌクレオチドまでのPCR用のプライマーの対の選択、
及び32,000塩基までの入力ポリヌクレオチド配列から最大5,000ヌク
レオチドまでの大きなポリヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドの分析に有用で
ある。類似のプライマー選択用プログラムには、能力を拡大する追加の機能が含
まれている。例えば、PrimOUプライマー選択プログラム(Genome Center at Uni
versity of Texas South West Medical Center, Dallas TXより入手可能)は、
メガベース配列から特定のプライマーを選択できるため、ゲノムワイドスコープ
(genome-wide scope)におけるプライマーの設計に有用である。Primer3プライ
マー選択プログラム(Whitehead Institute/MIT Center for Genome Research,
Cambridge MA1より入手可能)によって、ユーザーは、プライマー結合部位とし
て避けたい配列を指定できる「非プライミングライブラリ(mispriming libaray
)」を入力できる。また、Primer3は、特にマイクロアレイのオリゴヌクレオチ
ドの選択に有用である(後の方の2つのプライマー選択プログラムのソースコー
ドは、それぞれのソースから得ることができ、ユーザーのニーズを満たすように
変更することもできる)。PrimerGenプログラム(UK Human Genome Mapping Pro
ject Resource Centre, Cambridge UK より入手可能)は、多数の配列アライン
メントに基づいてプライマーを設計するため、アラインメントされた核酸配列の
最も保存された領域或いは最も保存されていない領域のどちらかとハイブリダイ
ズするプライマーを選択することができる。従って、このプログラムは、固有及
び保存されたオリゴヌクレオチドやポリヌクレオチドの断片の同定に有用である
。上記した任意の選択方法で同定されたオリゴヌクレオチドやポリヌクレオチド
の断片は、例えば、PCR法やシークエンシングプライマー、マイクロアレイ要素
、或いはサンプルの核酸の完全或いは部分的に相補的なポリヌクレオチドを同定
する特定のプローブなどの、ハイブリダイゼーション技術に有用である。オリゴ
ヌクレオチドの選択方法は、上記した方法に制限されるものではない。
【0079】 本明細書における「組換え核酸」は天然の配列ではなく、2つ以上の配列の離
れたセグメントを人工的に組み合わせた配列である。この人工の組み合せは、化
学合成によって作られる場合も多いが、前出のSambrook に記載されたような遺
伝子工学の技術を用いて核酸の離れたセグメントを人工的に操作する方がより一
般的である。この「組換え核酸」には、単に核酸の一部の追加または置換、欠失
によって変更された核酸も含む。組換え核酸は、あるプロモーター配列に機能的
に結合した核酸配列を含む場合もある。このような組換え核酸は、例えば、ある
細胞を形質転換するのに用いられるベクターの一部であり得る。
【0080】 別法では、このような組換え核酸は、この組換え核酸を発現する哺乳動物のワ
クチン接種に用いると、その哺乳動物の防衛的な免疫応答を誘発する、ワクシニ
アウイルスに基づいたウイルスベクターの一部であり得る。
【0081】 用語「サンプル」は、その最も広い意味で用いられている。NuABPをコードす
る核酸若しくはその断片、NuABP自体を含むと推定されるサンプルには、体液と
、細胞からの抽出物や細胞から単離された染色体や細胞内小器官、膜と、細胞と
、溶液中に存在する又は基板に固定されたゲノムDNA、RNA、cDNAと、組織又は組
織プリント等も含まれ得る。
【0082】 用語「特異的結合」及び「特異的に結合する」は、タンパク質若しくはペプチ
ドと、アゴニスト、抗体、アンタゴニスト、小分子、若しくは任意の天然若しく
は合成の結合組成物との間の相互作用を指す。この相互作用は、結合する分子に
よって認識される、例えば、抗原決定基つまりエピトープなどのタンパク質の特
定の構造の存在によって左右される。例えば、抗体がエピトープ「A」に対して
特異的である場合、結合していない標識した「A」及び抗体を含む反応液に、エ
ピトープAを含むポリペプチド或いは結合していない無標識の「A」が存在する
と、抗体と結合する標識Aの量が減少する。
【0083】 用語「実質的に精製された」は、自然の環境から取り除かれてから、単離或い
は分離された核酸配列或いはアミノ酸配列であって、自然に結合している組成物
が少なくとも約60%以上除去されたものであり、好ましくは約75%以上の除
去、最も好ましいのは約90%以上除去されたものを指す。
【0084】 「置換」とは、一つ以上のアミノ酸またはヌクレオチドをそれぞれ別のアミノ
酸またはヌクレオチドに置き換えることである。
【0085】 用語「基板」は、任意の好適な固体或いは半固体の支持物を指し、膜及びフィ
ルター、チップ、スライド、ウエハ、ファイバー、磁気または非磁気ビード、ゲ
ル、チューブ、プレート、ポリマー、微小粒子、毛細管が含まれる。この基板に
は、壁または塹壕、ピン、チャンネル、細孔などの様々な表面形態があり、そこ
にポリヌクレオチドやポリペプチドが結合する。
【0086】 「形質転換」とは、外来DNAが入り込み受容体細胞を変化させるプロセスのこ
とである。形質転換は、当分野で周知の種々の方法により、自然或いは人工の条
件の下で起こり得り、原核宿主細胞若しくは真核宿主細胞の中に外来核酸配列を
挿入する任意の周知の方法によって行うことができる。この形質転換の方法は、
形質転換される宿主細胞のタイプによって選択される。この方法には、ウイルス
感染、電気穿孔法(エレクトロポレーション)、リポフェクション、及び微粒子
照射が含まれるが、これらに限定されるものではない。「形質転換された」細胞
には、導入されたDNAが自律的に複製するプラスミドとして或いは宿主染色体の
一部として複製可能である安定的に形質転換された細胞が含まれる。さらに、限
られた時間に一時的に導入DNA若しくは導入RNAを発現する細胞も含まれる。
【0087】 特定の核酸配列の「変異配列」とは、デフォルトパラメーター設定の「BLAST
2 Sequences」ツールVersion 2.0.9 (May-07-1999)を用いるblastnによって、あ
る核酸配列のある長さに対する該特定の核酸配列の同一性が、少なくとも40%
と決定された核酸配列のことである。このような核酸の対は、ある長さにおいて
、例えば、少なくとも50%または60%、70%、80%、85%、90%、
95%、98%、或いはそれ以上の同一性を示し得る。ある変異配列は、例えば
、「アレル」変異配列(上述)または「スプライス」変異配列、「種」変異配列
、「多型」変異配列と表すことができる。スプライス変異配列は基準分子と同一
性が極めて高い可能性があるが、mRNAプロセッシング中のエキソンの択一的スプ
ライシングによってポリヌクレオチドの数が多くなったり、少なくなったりする
。対応するポリペプチドは、基準分子に存在する追加の機能ドメインを有したり
、基準分子に存在するドメインが欠落したりし得る。種変異配列は、種によって
異なるポリヌクレオチド配列である。得られるポリペプチドは、互いに高いアミ
ノ酸同一性を有する。多型変異配列は、所定の種と種における特定の遺伝子のポ
リヌクレオチド配列が異なる。多型変異配列はまた、ポリヌクレオチド配列の1
つのヌクレオチドが異なる「1ヌクレオチド多型」(SNP)も含み得る。SNPの存
在は、例えば、或る集団(population)、病態、病態の特徴を表し得る。
【0088】 特定のポリペプチド配列の「変異体」とは、デフォルトパラメーター設定の「
BLAST 2 Sequences」ツールVersion 2.0.9 (May-07-1999)を用いるblastpによっ
て、ある核酸配列のある長さに対する該特定のポリペプチド配列の同一性が、少
なくとも40%と決定された核酸配列のことである。このようなポリペプチドの
対は、ある長さにおいて、例えば、少なくとも50%または60%、70%、8
0%、85%、90%、95%、98%、或いはそれ以上の同一性を示し得る。
【0089】 (発明) 本発明は、新規のヒト核酸結合タンパク質(NuABP)及びNuABPをコードするポ
リヌクレオチドの発見に基づき、生殖障害及び免疫異常症、神経疾患、癌を含む
細胞増殖異常症の診断、治療、及び予防におけるそれらの組成物の使用に関する
【0090】 表1は、NuABPをコードする完全長のヌクレオチド配列の構築に用いたインサ
イト社クローンを示す。列1及び列2はそれぞれ、ポリペプチド及びポリヌクレ
オチドのSEQ ID NOを示す。列3は、各NuABPをコードする核酸が同定されたIncy
teクローンのクローンIDを示し、列4は、それらのクローンが単離されたcDNAラ
イブラリを示す。列5は、Incyteクローン及びそれらに対応するcDNAライブラリ
を示す。cDNAライブラリが示されていないインサイト社クローンは、プールされ
たcDNAライブラリに由来する。列5のクローンは、各NuABPのコンセンサスヌク
レオチド配列の構築に用いられ、ハイブリダイゼーション技術における断片とし
て有用である。
【0091】 表2の各列は、本発明の各ポリペプチドの様々な特性を示す。列1は配列番号
(SEQ ID NO)、列2は各ポリペプチドにおけるアミノ酸残基の数、列3は潜在
的なリン酸化部位、列4は潜在的なグリコシル化部位、列5はシグネチャ(sign
ature)配列及びモチーフを有するアミノ酸残基、列6はBLAST分析によって同定
された相同配列及び識別、列7は分析方法、及び場合によってはその分析方法が
利用できる検索可能なデータベースを示す。列7の分析方法は、配列相同性及び
タンパク質モチーフから各ポリペプチドを特徴付けるために用いることが可能で
ある。
【0092】 表3の列は、NuABPをコードするヌクレオチド配列に関連した組織特異性及び
疾患、異常症、症状を示している。表3の列1は、ヌクレオチドの配列番号(SE
Q ID NO)を示している。列2は、列1のヌクレオチド配列の断片を示している
。例えば、SEQ ID NO:56−110を同定し、SEQ ID NO:56−110と関連するポリヌク
レオチド配列とを区別する、ハイブリダイゼーション若しくは増幅の技術におい
て、これらの断片は有用である。これら断片によりコードされるポリヌクレオチ
ドは、例えば、免疫原性ペプチドとして有用である。列3は、NuABPを発現する
組織カテゴリー、及びNuABPを発現する全組織におけるその割合を示す。列4は
、NuABPを発現する組織に関連する、疾患若しくは異常症、症状、並びにNuABPを
発現する全組織におけるそれらの割合を示す。注目すべきは、神経組織における
SEQ ID NO:83及びSEQ ID NO:110の発現である。SEQ ID NO:83を発現するcDNAラ
イブラリの約53%が、神経組織に由来する。更に、SEQ ID NO:110は、ハンチ
ントン病に罹患した脳組織に由来するcDNAライブラリのみで発現した。
【0093】 表4の列は、NuABPをコードするcDNAのクローンが単離されたcDNAライブラリ
の作製に用いられた組織についての記載である。列1は、ヌクレオチドのSEQ ID
NOを示し、列2はそれらのクローンが単離されたcDNAライブラリを示し、列3
は列2のcDNAライブラリに対応する組織の由来及び詳細を示す。
【0094】 NuABPをコードするヌクレオチド配列の断片は、例えば、SEQ ID NO:56−110を
同定、及びSEQ ID NO: 56−110と関連するポリヌクレオチド配列とを区別するハ
イブリダイゼーション若しくは増幅技術において有用である。これらの断片によ
ってコードされるポリペプチドは、例えば、免疫原性ペプチドとして有用である
【0095】 本発明はまた、NuABPの変異体も含む。好適なNuABPの変異体は、NuABPの機能
的或いは構造的特徴の少なくともどちらか一方を有し、かつNuABPアミノ酸配列
に対して少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約90%
のアミノ酸配列同一性、更には少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有す
る。
【0096】 本発明はまた、NuABPをコードするポリヌクレオチドを提供する。特定の実施
例において、本発明は、NuABPをコードするSEQ ID NO:56−110からなる一群から
選択された配列を含むポリヌクレオチド配列を提供する。
【0097】 本発明はまた、NuABPをコードするポリヌクレオチド配列の変異配列を含む。
詳細には、このようなポリヌクレオチド配列の変異配列は、NuABPをコードする
ポリヌクレオチド配列と少なくとも70%のポリヌクレオチド配列同一性、或い
は少なくとも85%のポリヌクレオチド配列同一性、更には少なくとも95%も
のポリヌクレオチド配列同一性を有する。本発明の特定の実施形態は、SEQ ID N
O:56−110からなる一群から選択された核酸配列と少なくとも70%のポリヌク
レオチド配列同一性、或いは少なくとも85%のポリヌクレオチド配列同一性、
更には少なくとも95%ものポリヌクレオチド配列同一性を有するSEQ ID NO:56
−110からなる一群から選択された配列を含むポリヌクレオチド配列の変異配列
を提供する。上記したポリヌクレオチド変異配列は何れも、NuABPの機能的或い
は構造的特徴の少なくとも1つを有するアミノ酸配列をコードする。
【0098】 遺伝暗号の縮重により作り出され得るNuABPをコードする種々のポリヌクレオ
チド配列には、既知の自然発生する任意の遺伝子のポリヌクレオチド配列と最小
の類似性しか有しないものも含まれることを、当業者は理解するであろう。した
がって本発明には、可能なコドン選択に基づいた組み合わせの選択によって作り
出され得る可能なポリヌクレオチド配列の変異の全てが含まれ得る。これらの組
み合わせは、自然発生のNuABPのポリヌクレオチド配列に適用される標準的なト
リプレット遺伝暗号を基に作られ、全ての変異が明確に開示されていると考慮す
る。
【0099】 NuABPをコードするヌクレオチド配列及びその変異配列は、好適に選択された
ストリンジェントな条件の下で、自然発生のNuABPのヌクレオチドとハイブリダ
イズ可能なことが望ましいが、非自然発生のコドンを含めるなどの実質的に異な
ったコドンの使用を有するNuABP或いはその誘導体をコードするヌクレオチド配
列を作り出すことは有益となり得る。特定のコドンが宿主によって利用される頻
度に基づいてコドンを選択して、ペプチドの発現が特定の真核細胞又は原核宿主
に発生する割合を高めることが可能である。コードされたアミノ酸配列を変えな
いで、NuABP及びその誘導体をコードするヌクレオチド配列を実質的に変更する
別の理由は、自然発生の配列から作られる転写物より例えば長い半減期など好ま
しい特性を備えるRNA転写物を作ることにある。
【0100】 本発明はまた、NuABP及びその誘導体をコードするDNA配列又はそれらの断片を
完全に合成化学によって作り出すことも含む。作製後にこの合成配列を、当分野
で良く知られた試薬を用いて、種々の入手可能な発現ベクター及び細胞系の何れ
の中にも挿入可能である。更に、合成化学を用いて、NuABPまたはその任意の断
片をコードする配列の中に突然変異を導入することも可能である。
【0101】 更に本発明には、種々のストリンジェント条件の下で、請求項に記載されたポ
リヌクレオチド配列、特に、SEQ ID NO:56−110及びそれらの断片とハイブリダ
イズ可能なポリヌクレオチド配列が含まれる(例えば、Wahl, G.M.及びS.L. Berg
er (1987) Methods Enzymol. 152:399-407; and Kimmel. A.R. (1987) Methods
Enzymol. 152:507-511.を参照)。アニーリング及び洗浄条件を含むハイブリダイ
ゼーションの条件は、「定義」に記載されている。
【0102】 当分野で周知のDNAのシークエンシング方法を用いて、本発明の何れの実施例
も実行可能である。この方法には、例えばDNAポリメラーゼIのクレノウ断片、SE
QUENASE(US Biochemical, Cleveland OH)、Taqポリメラーゼ(Perkin Elmer)
、熱安定性T7ポリメラーゼ(Amersham, Pharmacia Biotech Piscataway NJ)、
或いはELONGASE増幅システム(Life Technologies, Gaithersburg MD)にみられる
ような校正エキソヌクレアーゼとポリメラーゼとの組み合わせなどの酵素が用い
られる。好ましくは、MICROLAB2200液体転移システム(Hamilton, Reno, NV)、
PTC200 Thermal Cycler200(MJ Research, Watertown MA)及びABI CATALYST 80
0 (Perkin-Elmer) などの装置を用いて配列の準備を自動化する。次に、ABI 373
或いは377 DNAシークエンシングシステム(Perkin-Elmer)、MEGABACE 1000 DNAシ
ークエンシングシステム(Molecular Dynamics. Sunnyvale CA)または当分野で周
知の他の方法を用いてシークエンシングを行う。得られた配列を当分野で周知の
様々なアルゴリズムを用いて分析する(例えば、Ausubel, F.M. (1997) Short Pr otocols in Molecular Biology , John Wiley & Sons, New York NY, unit 7.7;
Meyers, R.A. (1995) Molecular Biology and Biotechnology, Wiley VCH, New
York NY, pp. 856-853.を参照)。
【0103】 当分野で周知のPCR法をベースにした種々の方法で、部分的なヌクレオチド配
列を利用して、NuABPをコードする核酸配列を伸長し、プロモーターや調節要素
などの上流にある配列を検出する。例えば制限部位PCR法を利用する1つの方法
では、一般的なプライマー及びネスト化プライマーを用いてクローニングベクタ
ー内のゲノムDNAから未知の配列を増幅する(例えば、Sarkar, G. (1993) PCR M
ethods Applic 2:318-322を参照)。逆PCR法を用いる別法では、広範な方向に伸
長して環状化した鋳型から未知の配列を増幅するプライマーを用いる。この鋳型
は、既知のゲノム遺伝子座及びその周辺の配列を含む制限断片に由来する(例え
ば、Triglia, T.等(1988)Nucleic Acids Res 16:8186を参照)。キャプチャPC
R法を用いる第3の方法は、ヒト及び酵母菌人工染色体DNAの既知の配列に隣接す
るDNA断片のPCR増幅を含む(例えば、Lagerstrom, M.他(1991)PCR Methods Ap
plic 1:111-119を参照)。この方法では、多数の制限酵素による消化及びライゲ
−ションを用いて、PCRを行う前に未知の配列の領域の中に組換え二本鎖配列を
挿入することが可能である。また、当分野で周知の別の方法を用いて未知の配列
を得ることも可能である。(例えば、Parker, J.D. 他 (1991)Nucleic Acids Res
. 19:3055-3060を参照)。更に、PCR、ネスト化プライマー、PROMOTERFINDERライ
ブラリ(Clontech, Palo Alto CA)を用いれば、ゲノムDNA内の歩行が可能であ
る。この方法ではライブラリをスクリーニングする必要がなく、イントロン/エ
キソン接合部を探すのに有用である。全てのPCR法をベースにした方法では、プ
ライマーは、市販のOLIGO 4.06 Primer Analysis software(National Bioscien
ces, Plymouth MN)或いは別の好適なプログラムなどを用いて、長さが22〜3
0ヌクレオチド、GC含有率が50%以上、約68℃〜72℃の温度で鋳型に対
してアニーリングするよう設計される。
【0104】 完全な長さのcDNAのスクリーニングの際は、大きなcDNAを含むようにサイズが
選択されたライブラリを用いるのが好ましい。更に、オリゴd(T)ライブラリが完
全な長さのcDNAを産生できない場合は、遺伝子の5'領域を有する配列を含むも
のが多いランダムに初回抗原刺激を受けたライブラリが有用である。ゲノムライ
ブラリは、5'非転写調節領域への配列の伸長に有用であろう。
【0105】 市販のキャピラリー電気泳動システムを用いて、シークエンシングまたはPCR
産物のヌクレオチド配列のサイズの分析、または確認が可能である。詳しくは、
キャピラリーシークエンシングには、電気泳動による分離のための流動性ポリマ
ー、及び4つの異なったヌクレオチドに特異的なレーザーで活性化される蛍光色
素、放出された波長の検出に利用するCCDカメラを使用することが可能である。
出力/光強度は、適切なソフトウエア(例えば、GENOTYPER及びSEQUENCE NAVIGA
TOR、Perkin-Elmer)を用いて電気信号に変換され、サンプルのローディングか
らコンピュータ分析までのプロセス及び電子データ表示がコンピュータ制御可能
である。キャピラリー電気泳動法は、特定のサンプルに少量しか存在しない場合
もあるDNAの小片のシークエンシングに特に適している。
【0106】 本発明の別の実施例では、NuABPをコードするポリヌクレオチド配列またはそ
の断片を組換えDNA分子にクローニングして、適切な宿主細胞内にNuABP、その断
片または機能的等価物を発現させることが可能である。遺伝暗号固有の縮重によ
り、実質的に同じ或いは機能的に等価のアミノ酸配列をコードする別のDNA配列
が作られ得り、これらの配列をNuABPのクローン化及び発現に利用可能である。
【0107】 種々の目的でNuABPをコードする配列を変えるために、当分野で一般的に知ら
れている方法を用いて、本発明のヌクレオチド配列を組換えることができる。こ
の目的には、遺伝子産物のクローン化、プロセッシング及び/または発現の調節
が含まれるが、これらに限定されるものではない。ランダムな断片によるDNAの
混合や遺伝子断片と合成オリゴヌクレオチドのPCR再組み立てを用いて、ヌクレ
オチド配列の組換えが可能である。例えば、オリゴヌクレオチドの仲介による定
方向突然変異誘発を利用して、新しい制限部位を生成する突然変異の導入、グリ
コシル化パターンの変更、コドン優先の変更、スプライスバリアントの生成等が
可能である。
【0108】 本発明のヌクレオチドを、MOLECULARBREEDING (Maxygen Inc., Santa Clara C
A; 米国特許第5,837,458号; Chang, C.-C. 他 (1999) Nat. Biotechnol. 17:793
-797; Christians, F.C. 他 (1999) Nat. Biotechnol. 17:259-264; Crameri, A
. 他 (1996) Nat. Biotechnol. 14:315-319)などのDNAシャフリング技術を用い
てシャフリングして、NuABPの生物学的または酵素的な活性、或いは他の分子や
化合物と結合する能力などのNuABPの生物学的特性を変更或いは向上させること
ができる。DNAシャフリングは、PCR法による遺伝子断片の組換えで遺伝子変異体
のライブラリが作製されるプロセスである。次に、このライブラリは、目的の特
性を備えた遺伝子変異体を同定するための選択或いはスクリーニングが行われる
。これらの好ましい変異体はプールされ、DNAシャフリング及び選択/スクリー
ニングが繰り返される。従って、人工的な育種及び急速な分子の進化によって多
様な遺伝子が作られる。例えば、ランダムな位置に変異がある1つの遺伝子の断
片を組換えてスクリーニングし、目的の特性が最適となるまでシャフリングを実
施することもできる。別法では、所定の遺伝子の断片を、同じ或いは異なった種
の同じ遺伝子ファミリーの相同な遺伝子の断片で組換え、それによってプロトコ
ルに基づいた調節可能な方法で、多数の天然遺伝子の遺伝子多様性を最大化する
ことができる。
【0109】 別の実施例によれば、NuABPをコードする配列は、当分野で周知の化学的方法
を用いて、全体或いは一部が合成可能である(例えば、Caruthers. M.H.等(198
0)Nucl. Acids Res. Symp. Ser 7:215-223; 及びHorn, T.他(1980)Nucl. Aci
ds Res. Symp. Ser.225-232を参照)。別法として、化学的方法を用いてNuABP自
体またはその断片を合成することが可能である。例えば、ペプチド合成は種々の
固相技術を用いて実行可能である(例えば、Roberge, J.Y.等(1995) Science 26
9:202-204を参照)。また、合成の自動化は例えばABI 431Aペプチドシンセサイ
ザ(Perkin Elmer)を用いて達成し得る。更にNuABPのアミノ酸配列または任意
のその一部は、直接的な合成の際の変更、及び/または化学的方法を用いた他の
タンパク質または任意のその一部からの配列との組み合わせにより、変異体ポリ
ペプチドを作ることが可能である。
【0110】 このペプチドは、分離用高速液体クロマトグラフィー(例えば、Chiez, R.M.
及び F.Z. Regnier (1990)Methods Enzymol. 182:392-421を参照)を用いて実質
的に精製可能である。合成されたペプチドの組成は、アミノ酸分析或いはシーク
エンシングにより確認することができる(例えば、Creighton. T. (1983) Protei ns, Structures and Molecular Properties , WH Freeman, New York, NYを参照)
【0111】 生物学的に活性なNuABPを発現させるために、NuABPをコードするヌクレオチド
配列またはその誘導体を好適な発現ベクターに挿入する。この発現ベクターは、
好適な宿主に挿入されたコーディング配列の転写及び翻訳の調節に必要な要素を
含む。これらの要素には、ベクター及びNuABPをコードするポリヌクレオチド配
列におけるエンハンサー、構成型及び発現誘導型のプロモーター、5'及び3'の
非翻訳領域などの調節配列が含まれる。このような要素は、その長さ及び特異性
が様々である。特定の開始シグナルによって、NuABPをコードする配列のより効
果的な翻訳を達成することが可能である。このようなシグナルには、ATG開始
コドン及びコザック配列などの近傍の配列が含まれる。NuABPをコードする配列
及びその開始コドン、上流の調節配列が好適な発現ベクターに挿入された場合は
、更なる転写調節シグナルや翻訳調節シグナルは必要なくなるであろう。しかし
ながら、コーディング配列或いはその断片のみが挿入された場合は、インフレー
ムのATG開始コドンを含む外来性の翻訳調節シグナルが発現ベクターに含まれ
なければならない。外来性の翻訳要素及び開始コドンは、自然及び合成の様々な
ものから得ることが可能である。用いられる特定の宿主細胞系に好適なエンハン
サーを含めることで発現の効率を高めることが可能である。(例えば、Scharf, D
. 他 (1994) Results Probl. Cell Differ. 201−18-162.を参照)。
【0112】 当業者に周知の方法を用いて、NuABPをコードする配列、好適な転写及び翻訳
調節要素を含む発現ベクターを作製することが可能である。これらの方法には、 in vitro 組換えDNA技術、合成技術、及びin vivo遺伝子組換え技術が含まれる。
(例えば、 Sambrook, J. 他. (1989) Molecular Cloning. A Laboratory Manual , Cold Spring Harbor Press, Plainview NY, 4章及び8章, 及び16-17章; 及び
Ausubel, F.M. 他. (1995) Current Protocols in Molecular Biology, John W
iley & Sons, New York NY, ch. 9章及び13章1−4章を参照)。
【0113】 種々の発現ベクター/宿主系を利用して、NuABPをコードする配列の保持及び
発現が可能である。これらには、限定するものではないが、組換えバクテリオフ
ァージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌な
どの微生物や、酵母菌発現ベクターで形質転換された酵母菌や、ウイルス発現ベ
クター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系や、ウイルス発現ベ
クター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイル
ス、TMV)または細菌発現ベクター(例えば、TiまたはpBR322プラスミド)で
形質転換された植物細胞系や、動物細胞系などが含まれる。本発明は使用される
宿主細胞によって限定されるものではない。
【0114】 細菌系では、多数のクローニングベクター及び発現ベクターが、NuABPをコー
ドするポリヌクレオチド配列の使用目的に応じて選択可能である。例えば、NuAB
Pをコードするポリヌクレオチド配列の日常的なクローニング、サブクローニン
グ、増殖には、PBLUESCRIPT(Stratagene, La Jolla CA)またはpSPORT1プラスミ
ド(GIBCO BRL)などの多機能の大腸菌ベクターを用いることができる。ベクター
の多数のクローニング部位にNuABPをコードする配列をライゲーションするとlac
Z遺伝子が破壊され、組換え分子を含む形質転換された細菌の同定のための比色
スクリーニング法が可能となる。更に、これらのベクターを用いて、クローニン
グされた配列のin vitroでの転写、ジデオキシンスクリーニング、ヘルパーファ
ージによる一本鎖の救出、入れ子状態の欠失を作り出すことが可能である。(例
えば、Van Heeke, G.及びS.M. Schuster (1989) J. Biol. Chem. 264:5503-5509
.を参照)。例えば、抗体の産生のためなどに多量のNuABPが必要な場合は、NuABP
の発現をハイレベルで誘導するベクターが使用できる。例えば、強力に発現を誘
発するT5またはT7バクテリオファージプロモーターを含むベクターを使用できる
【0115】 NuABPの発現に酵母の発現系の使用が可能である。α因子やアルコールオキシ
ダーゼやPGHプロモーターなどの構成型或いは誘導型のプロモーターを含む多種
のベクターが、酵母菌サッカロミセス−セレビジエまたはPichia pastorisに使
用可能である。更に、このようなベクターは、発現したタンパク質の分泌か細胞
内への保持のどちらかを誘導し、安定した増殖のために宿主ゲノムの中に外来配
列を組み込む。(例えば、上記のAusubel.; 及びBitter, G.A. 他 (1987) Method
s Enzymol.153:51-794: Scorer. C. A. 他 (1994) Bio/Technology 121−181-18
4.を参照) 植物系もNuABPの発現に使用可能である。NuABPをコードする配列の転写は、例
えば、CaMV由来の35S及び19Sプロモーターなどのウイルスプロモーターが単独で
、或いはTMV(Takamatsu, N.等(1987)EMBO J 6:307-311)由来のオメガリーダ
ー配列と組み合わせて促進される。これらの作製物は、直接のDNA形質転換或い
は病原体を介したトランスフェクションによって、植物細胞の中に導入可能であ
る。(例えば、The McGraw Hill Yearbook of Science and Technology(1992)
McGraw Hill NY, pp.191-196を参照)。
【0116】 哺乳動物細胞では、多種のウイルスベースの発現系が利用され得る。アデノウ
イルスが発現ベクターとして用いられる場合、後発プロモーター及び3連リーダ
ー配列からなるアデノウイルス転写物/翻訳複合体にNuABPをコードする配列を
結合し得る。ウイルスのゲノムの非必須のE1またはE3領域への挿入により、
感染した宿主細胞にNuABPを発現する生ウイルスを得ることが可能である(Logan
, J.及びShenk, T.(1984)Proc. Natl. Acad. Sci. 81:3655-3659を参照)。さ
らに、ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサーなどの転写エンハンサーを用い
て、哺乳動物宿主細胞における発現を増大させることが可能である。タンパク質
を高レベルで発現させるために、SV40またはEBVを基にしたベクターを用いるこ
とが可能である。
【0117】 ヒト人工染色体(HAC)を用いて、プラスミドで発現しそれに含まれているも
のより大きなDNAの断片を供給可能である。治療のために約6kb〜10MbのHACs
を作製し、従来の輸送方法(リポソーム、ポリカチオンアミノポリマー、または
ベシクル)で供給する。(例えば、Harrington. J.J. 他 (1997) Nat Genet.15:3
45-355.を参照)。
【0118】 哺乳動物系の組換えタンパク質の長期にわたる産生のためには、株化細胞にお
けるNuABPの安定した発現が望ましい。例えば、発現ベクターを用いて、NuABPを
コードする配列を株化細胞に形質転換することが可能である。このような発現ベ
クターは、ウイルス起源の複製及び/または内在性の発現要素や、同じ或いは別
のベクターの上の選択マーカー遺伝子を含む。ベクターの導入の後、細胞を選択
培地に移す前に、強化培地で約1〜2日の間増殖させる。選択マーカーの目的は
選択的な媒介物に対する抵抗性を与えるとともに、その存在により導入された配
列をうまく発現する細胞の増殖及び回収が可能となる。安定的に形質転換された
細胞の耐性クローンは、その細胞型に好適な組織培養技術を用いて増殖可能であ
る。
【0119】 任意の数の選択系を用いて、形質転換された細胞系を回収することが可能であ
る。選択系には、以下のものに限定はしないが、単純ヘルペスウイルスチミジン
キナーゼ遺伝子及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子が含まれ
、それぞれtk又はapr細胞において使用される。(例えば、Wigler, M. 他 (1
977) Cell 11:223-232; 及びLowy, I. 他(1980) Cell 22:817-823を参照)。また
代謝拮抗物質、抗生物質或いは除草剤への耐性を選択のベースとして用いること
ができる。例えばdhfrはメトトレキセートに対する耐性を与え、neoはアミノグ
リコシッドネオマイシン及びG-418に対する耐性を与え、als或いはpatはクロル
スルフロン(cNuABPsulfuron)、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラー
ゼ(phosphinotricin acetyltransferase)に対する耐性を与える(例えば、Wigl
er, M. 他. (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. 77:3567-3570; Colbere-Garapin,
F. 他(1981) J. Mol. Biol. 150:1-14を参照)。さらに選択に利用できる遺伝子
、例えば、代謝のために細胞が必要なものを変えるtrpB及びhisDが文献に記載さ
れている(例えば、Hartman, S.C.及びR.C. Mulligan(1988)Proc. Natl. Acad
. Sci. 85:8047-51を参照)。アニトシアニン、緑色蛍光タンパク質(GFP;Clon
tech)、βグルクロニダーゼ及びその基質GUS,ルシフェラーゼ及びその基質ル
シフェリンなどの可視マーカーが用いられる。緑色蛍光タンパク質(GFP)(Clon
tech, Palo Alto, CA)も使用できる。これらのマーカーを用いて、トランスフォ
ーマントを特定するだけでなく、特定のベクター系に起因する一過性或いは安定
したタンパク質発現を定量することが可能である(例えば、Rhodes, C.A.他(19
95)Methods Mol. Biol. 55:121-131を参照)。
【0120】 マーカー遺伝子の発現の存在/不在によって目的の遺伝子の存在が示されても
、その遺伝子の存在及び発現の確認が必要な場合もある。例えば、NuABPをコー
ドする配列がマーカー遺伝子配列の中に挿入された場合、NuABPをコードする配
列を含む形質転換された細胞は、マーカー遺伝子機能の欠落により特定可能であ
る。または、1つのプロモーターの制御下でマーカー遺伝子がNuABPをコードす
る配列と一列に配置することも可能である。誘導または選択に応答したマーカー
遺伝子の発現は、通常タンデム遺伝子の発現も示す。
【0121】 一般に、NuABPをコードする核酸配列を含み、NuABPを発現する宿主細胞は、当
業者に周知の種々の方法を用いて特定することが可能である。これらの方法には
、DNA−DNA或いはDNA−RNAハイブリダイゼーションや、PCR法、核酸或いはタン
パク質の検出及び/または数量化のための膜系、溶液ベース、或いはチップベー
スの技術を含むタンパク質生物学的試験法または免疫学的アッセイが含まれるが
、これらに限定されるものではない。
【0122】 特異的なポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のどちらかを用いるNu
ABPの発現の検出及び計測のための免疫学的な方法は、当分野で周知である。こ
のような技法には、酵素に結合したイムノソルベントアッセイ(ELISA)、ラジ
オイムノアッセイ(RIA)、蛍光標示式細胞分取器(FACS)などがある。NuABP上
の2つの非干渉エピトープに反応するモノクローナル抗体を用いた、2部位のモ
ノクローナルベースイムノアッセイ(two-site, monoclonal-based immunoassay
)が好ましいが、競合の結合アッセイも用いることもできる。これらのアッセイ
及びその他のアッセイは、当分野では十分に知られている。(例えば、 Hampton.
R. 他.(1990) Serological Methods, a Laboratory Manual. APS Press. St Pa
ul. MN, Sect. IV; Coligan, J. E. 他Current Protocols in Immunology, Gree
ne Pub. Associates and Wiley-Interscience, New York. NY; 及びPound, J.D.
(1990) Immunochemical Protocols, Humans Press, Totowa NJ)。
【0123】 種々の標識方法及び結合方法が当業者には周知であり、様々な核酸アッセイお
よびアミノ酸アッセイに用いられ得る。NuABPをコードするポリヌクレオチドに
関連する配列を検出するための、標識されたハイブリダイゼーションプローブ或
いはPCRプローブを生成する方法には、オリゴ標識化、ニックトランスレーショ
ン、末端標識化、または標識されたヌクレオチドを用いるPCR増幅が含まれる。
別法として、NuABPをコードする配列、またはその任意の断片をmRNAプローブを
生成するためのベクターにクローニングすることも可能である。当分野では周知
であり市販されているこのようなベクターを、T7,T3,またはSP6などの好適なR
NAポリメラーゼ及び標識されたヌクレオチドの追加によって、in vitroでのRNA
プローブの合成に用いることができる。これらの方法は、例えば、Amersham Pha
rmacia Biotech及びPromega(Madison WI)、U.S. Biochemical Corp(Clevelan
d OH)が市販する種々のキットを用いて行うことができる。容易な検出のために
用い得る好適なレポーター分子或いは標識には、基質、コファクター、インヒビ
ター、磁気粒子、及び放射性核種、酵素、蛍光剤、化学発光剤、色素産生剤など
が含まれる。
【0124】 NuABPをコードするヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞は、細胞培地
でのこのタンパク質の発現及び回収に好適な条件の下で培養される。形質転換さ
れた細胞から産生されたタンパク質が分泌されるか細胞内に留まるかは、使用さ
れるその配列及び/またはそのベクターによる。NuABPをコードするポリヌクレ
オチドを含む発現ベクターは、原核細胞膜及び真核細胞膜を透過するNuABPの分
泌を誘導するシグナル配列を含むように設計できることは、当業者には理解され
よう。
【0125】 更に、挿入した配列の発現調節能力または発現したタンパク質を所望の形にプ
ロセシングする能力によって宿主細胞株が選択される。このようなポリペプチド
の修飾には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化(
lipidation)、及びアシル化が含まれるが、これらに限定されるものではない。
タンパク質の「prepro」または「pro」形を切断する翻訳後のプロセシングを利
用して、標的タンパク質、折りたたみ及び/または活性を特定することが可能で
ある。翻訳後の活性のための特定の細胞装置及び特徴のある機構をもつ種種の宿
主細胞(例えば、CHO、HeLa、MDCK、MEK293、WI38)がAmerican Type Culture C
ollection(ATCC; Bethesda, MD)より入手可能であり、外来のタンパク質の正
しい修飾及びプロセシングを確実にするために選択される。
【0126】 本発明の別の実施例では、NuABPをコードする自然或いは変更された、または
組換えの核酸配列を上記した任意の宿主系の融合タンパク質の翻訳となる異種配
列に結合させる。例えば、市販の抗体によって認識できる異種部分を含むキメラ
NuABPタンパク質が、NuABPの活性のインヒビターに対するペプチドライブラリの
スクリーニングを促進し得る。また、異種タンパク質部分及び異種ペプチド部分
が、市販の親和性基質を用いて融合タンパク質の精製を促進し得る。このような
部分には、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパ
ク質(MBP)、チオレドキシン(Trx)、カルモジュリン結合ペプチド(CBP)、6
−His、FLAG、c−mc、赤血球凝集素(HA)が含まれるが、これらに限定されるも
のではない。GST及びMBP、Trx、CBP、6−Hisによって、固定されたグルタチオン
、マルトース、フェニルアルシン酸化物(phenylarsine oxide)、カルモジュリ
ン、金属キレート樹脂のそれぞれで同族の融合タンパク質の精製が可能となる。
FLAG、c−mc、及び赤血球凝集素(HA)によって、これらのエピトープ標識を特
異的に認識する市販のモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体を用いた融合
タンパク質の免疫親和性の精製ができる。また、NuABPをコードする配列と異種
タンパク質配列との間にあるタンパク質分解切断部位を融合タンパク質が含むよ
うに遺伝子操作すると、NuABPが精製の後に異種部分から切断され得る。融合タ
ンパク質の発現と精製の方法は、Ausubel. (1995、前出 ch 10).に記載されてい
る。市販されている様々なキットを用いて、融合タンパク質の発現及び精製を促
進できる。
【0127】 本発明の別の実施例では、TNTウサギ網状赤血球可溶化液またはコムギ胚芽抽
出系(Promega)を用いてin vitroで放射能標識したNuABPの合成が可能である。こ
れらの系は、T7またはT3、SP6プロモーターと機能的に結合したタンパク質をコ
ードする配列の転写と翻訳をつなげる。翻訳は、例えば、35Sメチオニンであ
る放射能標識されたアミノ酸前駆体の存在の下で起こる。
【0128】 NuABPの断片は、組換え生成物だけでなく固相技術を用いて直接的なペプチド
合成によって作製され得る(例えば、前出のCreighton, pp. 55-60.を参照)。タ
ンパク質の合成は、手動或いは自動で行われ得る。自動合成は、例えばABI 431A
ペプチドシンセサイザ(Perkin Elmer)を用いて行うことが可能である。NuABP
の種々の断片は別々に合成して、次ぎに結合させて完全長分子を生成する。
【0129】 (治療) NuABPのある領域と核酸結合タンパク質のある領域との間に、例えば配列及び
モチーフの文脈における化学的及び構造的類似性が存在する。更に、NuABPの発
現は、細胞増殖性及び神経組織、炎症性組織、癌性組織、生殖系の組織と密接に
関連する。従って、NuABPは、生殖障害及び免疫異常症、神経疾患、癌を含む細
胞増殖異常症においてある役割を果たすと考えられる。NuABPの発現若しくは活
性の増大に関連する疾患の治療においては、NuABPの発現または活性を低下させ
ることが望ましい。また、NuABPの発現または活性の低下に関連する疾患の治療
においては、NuABPの発現または活性を増大させることが望ましい。
【0130】 従って、一実施例において、NuABPの発現または活性の低下に関連した疾患の
治療または予防のために、患者にNuABPまたはその断片や誘導体を投与すること
が可能である。限定するものではないが、このような疾患の例には、生殖障害が
含まれ、その中には、プロラクチン産生異常と、卵管病、排卵異常、及び子宮内
膜症、発情期異常、月経周期異常、多嚢胞卵巣症候群、卵巣過剰刺激症候群、子
宮内膜癌及び卵巣癌、子宮筋腫、自己免疫異常、異所性妊娠、及び奇形発生を含
む不妊症と、乳癌、線維嚢胞性乳腺症、及び乳漏症と、精子形成異常、生理学上
の精子異常、精巣癌、前立腺癌、良性の前立腺過形成、前立腺炎、ペーロニー病
、インポテンス、男性乳房癌及び女性化乳房とが含まれ、また、免疫異常症も含
まれ、その中には炎症及び日光性角化症、後天性免疫不全症候群(AIDS)及
び副腎機能不全、成人呼吸窮迫症候群、アレルギー、強直性脊椎炎、アミロイド
症、貧血、動脈硬化、喘息、アテローム性動脈硬化症、自己免疫性溶血性貧血、
自己免疫性甲状腺炎、気管支炎、滑液包炎、胆嚢炎、硬変、接触皮膚炎、クロー
ン病、アトピー性皮膚炎、皮膚筋炎、糖尿病、肺気腫、赤芽球症、結節性紅斑、
萎縮性胃炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、痛風、グレーブス病、橋本
甲状腺炎、発作性夜間血色素尿症、肝炎、過好酸球増加症、過敏性大腸症候群、
リンパ球毒素性一時性リンパ球減少症、混合型結合織病(MCTD)、多発性硬化症
、重症筋無力症、心筋又は心膜炎症、骨髄線維症、骨関節炎、骨粗しょう症、膵
炎、真性多血症、多発性筋炎、乾癬、ライター症候群、リウマチ様関節炎、強皮
症、シェ−グレン症候群、全身性アナフィラキシー、全身性エリテマトーデス、
全身性硬化症、原発性血小板血症、血小板減少症、潰瘍性大腸炎、ウェルナー症
候群、癌合併症、血液透析、体外循環、外傷と、リンパ腫及び白血病、骨髄腫を
含む造血性の癌が含まれ、また、神経疾患が含まれ、その中には、癲癇、虚血性
脳血管障害、脳卒中、大脳新生物、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン
病、痴呆、パーキソン病及びその他の錐体外路障害、筋萎縮性側策硬化及びその
他の運動ニューロン障害、進行性神経性筋萎縮症、色素性網膜炎、遺伝性運動失
調、多発性硬化症及び他の脱髄疾患、細菌性及びウイルス性髄膜炎、脳膿瘍、硬
膜下蓄膿症、硬膜外膿瘍、化膿性頭蓋内血栓性静脈炎、脊髄炎及び神経根炎、ウ
イルス性中枢神経系疾患と、クールー及びクロイツフェルト‐ヤコブ病、ゲルス
トマン症候群、Gerstmann-Straussler-Scheinker症候群を含むプリオン病と、致
死性家族性不眠症、神経系性栄養病及び代謝病、神経線維腫症、結節硬化症、小
脳網膜血管芽腫(cerebelloretinal hemangioblastomatosis)、脳3叉神経血管
症候群、中枢神経系性精神薄弱及び他の発生障害、脳性麻痺、神経骨格異常症、
自律神経系障害、末梢神経疾患、皮膚筋炎及び多発性筋炎と、遺伝性、代謝性、
内分泌性、及び中毒性ミオパシーと、重症筋無力症、周期性四肢麻痺と、気分性
及び不安性精神障害、及び妄想性精神病と、静座不能、健忘症、緊張病、糖尿病
性ニューロパシー、錐体外路性終末欠陥症候群、ジストニー、分裂病性精神障害
、帯状疱疹後神経痛、及びトゥーレット病が含まれ、また、細胞増殖異常症が含
まれ、その中には日光性角化症及びアテローム性動脈硬化、滑液包炎、硬変、肝
炎、混合型結合組織病(MCTD)、骨髄線維症、発作性夜間ヘモグロビン尿症、真
性多血症、乾癬、原発性血小板血症、並びに腺癌及び白血病、リンパ腫、黒色腫
、骨髄腫、肉腫、及び奇形癌、具体的には、副腎、膀胱、骨、骨髄、脳、乳房、
頚部、胆嚢、神経節、消化管、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、副甲
状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚、脾臓、精巣、胸腺、子宮の癌などが含まれ
る。
【0131】 別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むNuABPの発
現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防のために、NuABPまたはそ
の断片や誘導体を発現し得るベクターを患者に投与することも可能である。
【0132】 更に別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むNuABP
の発現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防のために、実質的に精
製されたNuABPを含む医薬品組成物を好適な医薬用担体と共に患者に投与するこ
とも可能である。
【0133】 更に別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むNuABP
の発現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防のために、NuABPの活
性を調節するアゴニストを患者に投与することも可能である。
【0134】 更なる実施例では、NuABPの発現または活性の増大に関連した疾患の治療また
は予防のために、患者にNuABPのアンタゴニストを投与することが可能である。
限定するものではないが、このような疾患の例には、上記した生殖障害及び免疫
異常症、神経疾患、癌を含む細胞増殖異常症が含まれる。一実施態様では、NuAB
Pと特異的に結合する抗体が直接アンタゴニストとして、或いはNuABPを発現する
細胞または組織に薬剤を運ぶターゲッティング或いは運搬機構として間接的に用
いられ得る。
【0135】 別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むNuABPの発
現または活性の増大に関連した疾患の治療または予防のために、NuABPをコード
するポリヌクレオチドの相補体(complement)を発現するベクターを患者に投与
することも可能である。
【0136】 別の実施例では、本発明の任意のタンパク質、アンタゴニスト、抗体、アゴニ
スト、相補的な配列、ベクターを別の好適な治療薬と組み合わせて投与すること
もできる。当業者は、従来の医薬原理にしたがって併用療法で用いる好適な治療
薬を選択可能である。治療薬との組み合わせにより、上に列記した種々の疾患の
治療または予防に相乗効果をもたらし得る。この方法を用いて少ない量の各薬剤
で医薬効果をあげることが可能であり、広範囲な副作用の可能性を低減し得る。
【0137】 NuABPのアンタゴニストは、当分野で一般的な方法を用いて製造することが可
能である。詳しくは、精製されたNuABPを用いて抗体を作ったり、治療薬のライ
ブラリをスクリーニングしてNuABPと特異的に結合するものを同定が可能である
。NuABPの抗体も、当分野で一般的な方法を用いて製造することが可能である。
このような抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、
一本鎖、Fabフラグメント、及びFab発現ライブラリによって作られたフラグメン
トが含まれる。但し、これらに限定されるものではない。治療用には、中和抗体
(即ち、二量体の形成を阻害するもの)が特に好ましい。
【0138】 抗体の産生のためには、ヤギ、ウサギ、ラット、マウス、ヒト及びその他のも
のを含む種々の宿主が、NuABPまたは任意の断片、または免疫原性の特性を備え
るそのオリゴペプチドの注入によって免疫化され得る。宿主の種に応じて、種々
のアジュバントを用いて免疫応答を高めることもできる。このようなアジュバン
トにはフロイントアジュバント、水酸化アルミニウムなどのミネラルゲルアジュ
バント、リゾレシチン、プルロニックポリオル、ポリアニオン、ペプチド、油性
乳剤、キーホールリンペットヘモシニアン、及びジニトロフェノールなどの界面
活性剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。ヒトに用いられるアジ
ュバントの中では、BCG(bacilli Calmette-Guerin)及びCorynebacterium parv um が特に好ましい。
【0139】 NuABPに対する抗体を誘発するために用いられるオリゴペプチド、ペプチド、
または断片は、少なくとも約5のアミノ酸からなり、一般的には約10個以上の
アミノ酸からなるものが好ましい。これらのオリゴペプチド或いはペプチド、ま
たはそれらの断片は、天然のタンパク質のアミノ酸配列の一部と同一であること
が望ましく、小さな自然発生の分子の全アミノ酸配列も含む。NuABPアミノ酸の
短いストレッチは、KLHなどの別のタンパク質の配列と融合し、キメラ分子に対
する抗体が産生され得る。
【0140】 NuABPに対するモノクローナル抗体は、培地内の連続した細胞株によって、抗
体分子を産生する任意の技術を用いて作製することが可能である。これらの技術
には、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、及びEBV−ハイブ
リドーマ技術が含まれるが、これらに限定されるものではない(例えば、Kohler
, G. 等. (1975) Nature 256:495-497; Kozbor, D. 等. (1985) .J. Immunol. M
ethods 81−8-42; Cote, R.J. 等. (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. 80:2026-20
30; Cole, S.P. 等. (1984) Mol. Cell Biol. 62:109-120を参照)。
【0141】 更に、「キメラ抗体」の作製のために発達したヒト抗体遺伝子にマウス抗体遺
伝子をスプライシングするなどの技術が、好適な抗原特異性及び生物学的活性を
備える分子を得るために用いられる(例えば、Morrison, S.L.他. (1984) Proc.
Natl. Acad. Sci. 81−4851−4855; Neuberger, M.S.他. (1984) Nature 312:6
04-608; Takeda, S.等. (1985) Nature 314:452,454を参照)。別法では、当分
野で周知の方法を用いて、一本鎖抗体の産生のための記載された技術を適用して
、NuABP特異性一本鎖抗体を生成する。関連する特異性を備えるが別のイディオ
タイプの組成の抗体は、ランダムな組み合わせの免疫グロブリンライブラリから
鎖混合によって生成することもできる(例えば、Burton D.R. (1991) Proc. Nat
l. Acad. Sci. 88:11120-3を参照)。
【0142】 抗体は、リンパ球集団の中のin vivo産生を誘発することによって、または免
疫グロブリンライブラリのスクリーニング又は文献に示されているような、高度
に特異的な結合試薬のパネルをスクリーニングすることによって、産生すること
もできる(例えば、Orlandi, R. 他. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. 86: 3833
-3837; Winter, G. 他. (1991) Nature 349:293-299を参照)。
【0143】 NuABPに対する特異的な結合部位を含む抗体も産生することができる。例えば
、このような断片には、抗体分子のペプシン消化によって生成されるF(ab')に
断片と、F(ab')に断片のジスルフィド架橋を減じることによって生成されるFa
b断片が含まれるが、これらに限定されるものではない。別法では、Fab発現ライ
ブラリを作製することによって、所望の特異性とモノクローナルFab断片の迅速
且つ容易な同定が可能となる(例えば、Huse, W.D. 等. (1989) Science 254:12
75-1281を参照)。
【0144】 種々のイムノアッセイを用いてスクリーニングし、所望の特異性を有する抗体
を同定する。隔離された特異性を有するポリクローナル抗体またはモノクローナ
ル抗体の何れかを用いる競合的な結合、または免疫放射線活性のための数々のプ
ロトコルが、当分野では周知である。通常このようなイムノアッセイには、NuAB
Pとその特異性抗体との間の複合体調整の計測が含まれる。二つの非干渉性NuABP
エピトープに対して反応性のモノクローナル抗体を用いる、2部位モノクローナ
ルベースのイムノアッセイが一般に利用されるが、競合的結合アッセイも利用す
ることができる(Pound、前出)。
【0145】 ラジオイムノアッセイ技術と共にScatchard分析などの様々な方法を用いて、N
uABPに対する抗体の親和性を評価する。親和性を結合定数Kaで表すが、このKaは
、平衡状態の下でNuABP抗体複合体のモル濃度を遊離抗体と遊離抗原のモル濃度
で除して得られる値である。多数のNuABPエピトープに対して親和性が不均一な
ポリクローナル抗体医薬のKaは、NuABPに対する抗体の平均親和性または結合
活性を表す。特定のNuABPエピトープに単一特異的なモノクローナル抗体医薬の
Kaは、親和性の真の測定値を表す。Ka値が10〜1012L/molの高親
和性抗体医薬は、NuABP抗体複合体が激しい操作に耐えなければならないイムノ
アッセイに用いるのが好ましい。Ka値が10〜10L/molの低親和性抗
体医薬は、NuABPが抗体から最終的に活性化状態で解離する必要がある免疫精製
(immunopurification)及び類似の処理に用いるのが好ましい。(Catty, D. (19
88) Antibodies, Volume I: A Practical Approach. IRL Press, Washington, D
C; Liddell, J. E. and Cryer, A. (1991) A Practical Guide to Monoclonal A ntibodies , John Wiley & Sons, New York NY)。
【0146】 ある下流の適用についてのこのような医薬品の品質及び適性を調べるために、
ポリクローナル抗体医薬の抗体価及び結合活性を更に評価する。例えば、少なく
とも1〜2mg/mlの特異的な抗体、好ましくは5〜10mg/mlの特異的
な抗体を含むポリクローナル抗体医薬は一般に、NuABP抗体複合体を沈殿させな
ければならない処理に用いられる。様々な適用例における抗体の特異性及び抗体
価、結合活性、抗体の品質や使用法の指針は一般に入手可能である。(例えば、C
atty, 前出, 及びColigan 他、前出を参照)。
【0147】 本発明の別の実施例では、NuABPをコードするポリヌクレオチド、またはその
任意の断片または相補配列が、治療目的で使用することができる。ある実施形態
では、NuABPをコードするポリヌクレオチドの相補配列がmRNAの転写を阻止する
のに好適である場合、これを使用することができる。特に細胞は、NuABPをコー
ドするポリヌクレオチドと相補的な配列で形質転換することもできる。したがっ
て、相補的分子または断片は、NuABPの活性の調節、または遺伝子機能の調節の
ために使用することができる。このような技術は当分野では周知であり、センス
またはアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは大きな断片が、NuABPをコードす
る配列の制御領域から、またはコード領域に沿ったさまざまな位置から設計可能
である。
【0148】 レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペス又はワクシニア、又は様々な細菌
性プラスミド由来の発現ベクターを用いて、ヌクレオチド配列を標的の器官、組
織又は細胞集団に運ぶこともできる。当業者に周知の方法を用いてNuABPをコー
ドポリヌクレオチドと相補的な核酸配列を発現するベクターを作製することがで
きる(例えば、前出のSambrook 他、及び前出のAusubel 他によるものを参照)。
【0149】 NuABPをコードする遺伝子は、NuABPをコードするポリヌクレオチド又はその断
片を高いレベルで発現する発現ベクターで、細胞又は組織を形質転換することに
よって止めることができる。このような作製物を用いて翻訳できないセンス又は
アンチセンス配列を細胞の中に導入することができる。DNAの中に組み入れられ
ない場合でも、このようなベクターは内在性のヌクレアーゼによって機能が損な
われるまでmRNA分子を転写し続ける。非複製ベクターでも一過性の発現を一ヶ月
以上に亘って続け、好適な複製要素がベクター系の一部である場合はさらに長く
持続し得る。
【0150】 上記した通り、遺伝子の発現は、NuABPをコードする遺伝子の制御5’または
調節領域に対する相補的な配列またはアンチセンス分子(DNA或いはRNA、PNA)
を設計することによって調節することができる。例えば開始部位から約−10か
ら約+10までの転写開始部位に由来するオリゴヌクレオチドを用いることが可
能である。同様に、「三重らせん」と塩基対合法を用いて阻止することができる
。三重らせん構造は、二重らせんがポリメラーゼ、転写因子、または調節分子の
結合のために十分に広がるのを阻止するため有用である。三重式DNAを用いる最
近の治療の進歩は文献に記載されている(例えば、Gee, J.E. 等. (1994) In: H
uber, B.E. 及び B.I. Carr, Molecular and ImmunologiNuABPproaches, Futura
Publishing Co., Mt. Kisco, NYを参照)。相補的な配列またはアンチセンス分
子もまた、転写物がリボソームに結合するのを阻止することによってmRNAの翻訳
を阻止するように設計できる。
【0151】 酵素性RNA分子であるリボザイムは、RNAの特異的切断を触媒するために用いる
ことができる。リボザイム作用の機構には、相補的な標的RNAへのリボザイム分
子の配列特異性ハイブリダイゼーションが含まれ、ヌクレオチド鎖切断が続く。
例えば、NuABPをコードする配列のヌクレオチド鎖切断を、特異的且つ効果的に
触媒する組換え型のハンマーヘッド型リボザイム分子が含まれる。
【0152】 任意の潜在的RNA標的の中の特異的なリボザイム切断部位が、後続の配列GU
A、GUU、及びGUCを含むリボザイム切断部位に対して、標的分子をスキャ
ニングすることによって初めに同定される。一度同定されると、切断部位を含む
標的遺伝子の領域に対応する15個から20個のリボヌクレオチドの短いRNA配
列を、オリゴヌクレオチドの機能を不全にする二次的な構造の特徴について評価
することが可能である。候補標的の適合性も、リボヌクレアーゼ保護アッセイを
用いて、相補的なオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションの容易性をテ
ストすることによって評価することが可能である。
【0153】 本発明の相補的なリボ核酸分子及びリボザイムは、当分野で周知の方法を用い
て、核酸分子の合成のために作製することができる。これらの方法には、固相ホ
スホラミダイト化合物などのオリゴヌクレオチドを化学的に合成する方法が含ま
れる。別法では、RNA分子がin vitro及びin vivoでNuABPをコードするDNA配列の
転写によって生成され得る、このようなDNA配列はT7またはSP6等の好適なRNAポ
リメラーゼプロモータを用いて、種々のベクターの中に組み入れることが可能で
ある。別法では、相補的なRNAを構成的または誘導的に合成するこれらのcDNA作
製物は、細胞株、細胞、または組織の中に導入することができる。
【0154】 RNA分子を修飾することによって、細胞内の安定性を高め、半減期を長くする
ことができる。可能な修飾には、分子の5’及び/または3’端部でのフランキ
ング配列の追加、または分子のバックボーン内でのホスホジエステラーゼ結合よ
りむしろホスホロチオネート又は2’Oメチルの使用が含まれる、がこれらに限
定されるものではない。PNAの生成に固有のこの概念は、内在性のエンドヌクレ
アーゼによって容易には認識されないアデニン、シチジン、グアニン、チミン、
及びウリジンのアセチル−、メチル−、チオ−、及び同様の修飾形態だけでなく
、イノシン、キュエオシン(queosine)、及びワイブトシン(wybutosine)など
の従来のものでない塩基を含めることによって、これらの分子の全体に拡大する
ことができる。
【0155】 ベクターを細胞又は組織に導入する多数の方法が利用でき、in vivoin vitr o 、及びex vivoでの使用に等しく適している。ex vivoでの治療の場合、患者か
ら採取された肝細胞の中にベクターを導入して、自家移植で同じ患者に戻すため
にクローニング増殖される。トランスフェクション、リボソーム注入またはポリ
カチオンアミノポリマーによる運搬は、当分野で周知の方法を用いて実行するこ
とができる(例えば、Goldman, C.K. 他. (1997) Nature Biotechnology 15:462
-66:を参照)。
【0156】 上記したいかなる治療方法も、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサ
ギ及びサルなどの哺乳動物を含む、治療が必要な全ての被験者に適用できる。
【0157】 本発明の別の実施例は、上記した全ての治療効果のために、医学上認められる
担体と共に医薬品或いは無菌組成物の投与に関連する。このような医薬品組成物
は、NuABP、NuABPに対する抗体、擬態、アゴニスト、アンタゴニスト、又はNuAB
Pのインヒビターなどからなる。この組成物は、単体で、或いは安定剤などの1
種類以上の別の薬剤と共に、無菌の生体適合性医薬品担体に投与することができ
る。このような医薬品担体には、生理食塩水、緩衝食塩水、ブドウ糖、及び水な
どが含まれるがこれらに限定されるものではない。この組成物は、単独或いは薬
物又はホルモンなどの別の薬剤と共に投与することができる。
【0158】 本発明に用いられる医薬品組成物は、任意の数の経路を用いて投与することも
できる。この経路には、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、クモ膜下腔内
、心室内、経皮性、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸内、異所性、舌下、または直腸が
含まれるがこれらに限定されるものではない。
【0159】 活性処方成分に加えて、これらの医薬品組成物には、活性化合物を医薬的に使
用可能な薬剤にするのを容易にする、医薬品添加物及び補助剤を含む好適な薬学
的に認められる担体が含まれ得る。製剤及び投与についての詳しい技術について
は、最新版のRemington's Pharmaceutical Sciences (Maack Publishing, PA)に
記載されている。
【0160】 経口投与用の医薬品組成物が、経口投与に好適な投与量において当分野で周知
の薬学的に許容される担体を用いて、製剤することができる。このような担体に
より、医薬品組成物が患者が摂取するために、錠剤、丸薬、糖衣剤、カプセル、
液体、ゲル状、シロップ剤、泥状物、懸濁液として製剤される。
【0161】 経口用に用いられる医薬品は、活性化合物と固体の薬品添加物とを混合し、得
られた顆粒の混合物を処理して、(所望に応じてすりつぶした後)タブレット或
いは糖衣錠コア(dragee cores)にする。好適な医薬品添加物とは、ラクトース
、スクロース、マンニトール、又はソルビトールを含む糖類、トウモロコシ、小
麦、米、ジャガイモ、又はその他の植物からのでんぷん、メチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース、又はカルボキシメチルセルロースナトリウ
ムなどのセルロース、アラビアゴム及びトラガカントゴムを含むゴム、ゼラチン
及びコラーゲンなどのタンパク質などの炭水化物又はタンパク質賦形剤である。
必要に応じて、例えば、架橋結合したポリビニルピロリドン、かんてん、アルギ
ン酸、またはその塩であるアルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤または可溶化剤が
加えられる。
【0162】 糖衣錠コアは、濃縮糖溶剤などの好適なコーティングと共に用いられる。この
ような濃縮糖溶剤には、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボ
ポルゲル(carbopol gel)、ポリエチレングリコール、及び/または二酸化チタ
ン、ラッカー溶剤、及び好適な有機溶媒または混合溶剤などが含まれ得る。染料
または色素が、製品の識別又は活性化合物の量、即ち薬用量を示すため、錠剤ま
たは糖衣錠に加えられる。
【0163】 経口用に用いられる医薬品製剤には、ゼラチンから作られたプッシュ−フィッ
ト型のカプセル、グリセロールまたはソルビトールなどのコーティングとゼラチ
ンからなる封入されたカプセルが含まれる。プッシュ−フィット型のカプセルに
は、ラクトース又はスターチなどの賦形剤や結合材、タルク又はステアリン酸マ
グネシウムなどの潤滑剤、所望に応じて安定剤と混合された活性処方成分が含ま
れる。ソフトカプセルでは、活性化合物が、安定剤と共に或いは安定剤なしで、
脂肪油、溶液、またはポリエチレングリコール溶液などの好適な溶液に溶解或い
は懸濁され得る。
【0164】 非経口投与用に好適な医薬品剤が、水溶液で製剤されるが、ハンクス液、リン
ガー液、生理緩衝食塩水などの生理学的に適合性のある緩衝剤が好ましい。水性
懸濁注射液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデ
キストランなどの懸濁液の粘性を高める物質を含み得る。更に、活性化合物の懸
濁液は、好適な油性注入懸濁液として製剤され得る。好適な親水性溶液または媒
体には、ごま油などの脂肪油、オレイン酸エチル、トリグリセリド又はリボソー
ムなどの合成脂肪酸が含まれる。非脂質ポリカチオンアミノポリマーが、運搬目
的で使用される。随意選択により、懸濁液は高濃度の溶液が可能となるよう化合
物の溶解性を高める好適な安定剤または薬剤を含み得る。
【0165】 局部または鼻腔投与のために、特定の障壁に浸透する好適な浸透剤が製剤に用
いられる。このような浸透剤は当業者には周知である。
【0166】 本発明の医薬品組成物は、当分野で周知の方法、例えば従来の混合、溶解、顆
粒化、糖衣化、溶離(levigating)、乳化、カプセル化、封入、または凍結乾燥
処理を用いて製造され得る。
【0167】 医薬品組成物は塩類として製剤され、限定されないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳
酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等の多くの酸と共に形成可能である。塩分は対
応する遊離塩基系よりも、水溶剤または他のプロトン溶剤に溶けやすい。別の薬
剤の形態には、1 mM〜50 mMヒスチジン、0.1%〜2%スクロース、及び2%
〜7%マンニトールの幾つか或いは全てを含み、pHの範囲が4.5〜5.5で
あり、使用前に緩衝剤と結合する凍結乾燥粉末を用いることができる。
【0168】 医薬品組成物が調合された後、それらは適当な箱に詰められ、指定した症状の
薬としてラベルが貼られる。NuABPの投与のため、このようなラベルには、量、
頻度、及び投与の方法が含まれるであろう。
【0169】 本発明に用いる好適な医薬品組成物には、目的を達成するため、効果的な量の
活性処方成分を含む組成物が含まれる。当業者は、自分の能力で十分に効果的な
服用量を決めることができる。
【0170】 どのような組成物であっても、治療に効果的な薬用量は、初めは、例えば腫瘍
細胞の腫瘍細胞アッセイで、或いは動物モデルのどちらかで推定することができ
る。通常、動物モデルには、マウス、ウサギ、イヌ、又はブタなどが用いられる
。動物モデルはまた、好適な濃縮範囲及び投与の経路を決めるのに用いることが
できる。このような治療をもとに、ヒトへの有益な薬用量及び投与経路を決定す
ることができる。
【0171】 医学的に効果的な薬用量は、症状や容態を回復させる、たとえばNuABP又はそ
の断片、NuABPの抗体、NuABPのアゴニストまたはアンタゴニスト、インヒビター
などの活性処方成分の量に関連する。薬用有効度及び毒性は、たとえば、ED50 (服用に対して集団の50%に医薬的効果がある)またはLD50(服用に対して
集団の50%に致命的である)統計を計算するなど、細胞培養または動物実験に
おける標準的な薬剤手法によって決定することができる。毒性効果と治療効果と
の薬用量比は治療指数であり、LD50/ED50と示すことができる。高い治療指
数を示す医薬品組成物が望ましい。細胞培養アッセイ及び動物実験から得られた
データが、ヒトへの適用のために、薬用量の範囲を調剤するのに用いられる。こ
のような組成物が含まれる薬用量は、毒性を殆ど或いは全く含まず、ED50を含
む血中濃度の範囲であることが望ましい。薬用量は、用いられる投与形態及び患
者の感受性、投与の経路によって、この範囲内で様々である。
【0172】 正確な薬用量は、治療が必要な患者に関する要素を考慮して、実務者によって
決められるであろう。薬用量及び投与は、効果的なレベルの活性成分を与えるた
め或いは所望の効果を維持するために調節される。薬用量の要素として考慮され
るものには、疾患の重症度、患者の一般的な健康状態、年齢、体重、及び患者の
性別、投与の時間及び頻度、併用する薬剤、反応感受性、及び治療に対する応答
が含まれる。作用器官が長い医薬品組成物は、三日か四日に一度、一週間に一度
、二週間に一度、特定の製剤の半減期及びクリアランス率によって左右され、投
与され得る。
【0173】 通常の薬用量は投与の経路によって異なるが、約0.1〜100,000μg
までの最大約1グラムまでである。特定の薬用量及び運搬の方法に関するガイダ
ンスは文献に記載されており、一般に当分野の実務者はそれを利用することがで
きる。当業者は、タンパク質またはインヒビターとは異なったヌクレオチドの製
剤を利用するであろう。同様に、ポリヌクレオチド又はポリペプチドの運搬は、
特定の細胞、状態、位置などに対して特異的であろう。
【0174】 (診断) 別の実施例では、NuABPに特異的に結合する抗体が、NuABPの発現によって特徴
付けられる疾患の診断、またはNuABPやNuABPのアゴニストまたはアンタゴニスト
、インヒビターで治療を受けている患者をモニターするためのアッセイに用いら
れる。診断に有用な抗体は、治療のところで記載した方法と同じ方法で製剤され
る。NuABPの診断アッセイには、抗体及び標識を用いてヒトの体液或いは細胞や
組織から採取されたものからNuABPを検出する方法が含まれる。これらの抗体は
、修飾をして或いはしないで使用され、レポーター分子の共有結合性或いは非共
有結合性の接着によって標識化され得る。当分野で周知の種々のレポーター分子
が用いられるが、その内の幾つかは上記した。
【0175】 NuABPを測定するためのELISA,RIA,及びFACSを含む種々のプロトコルは、当
分野では周知であり、変わった或いは異常なレベルのNuABPの発現を診断する元
となるものを提供する。正常或いは標準的なNuABPの発現の値は、複合体の形成
に適した条件の下、正常な哺乳動物、例えばヒトなどの被験者から採取した体液
または細胞とNuABPに対する抗体とを結合させることによって決定する。標準的
な複合体形成の量は、測光法(photometric)などの種々の方法で定量され得る
。被験者のNuABPの発現の量、制御及び疾患、生検組織からのサンプルが標準値
と比較される。標準値と被験者との間の偏差が、疾患を診断するパラメーターと
なる。
【0176】 別の実施例によれば、NuABPをコードするポリヌクレオチドを診断のために用
いることもできる。用いられるポリヌクレオチドには、オリゴヌクレオチド配列
、相補的なRNA及びDNA分子、及びPNAが含まれる。このポリヌクレオチドを用い
て、疾患と相関し得るNuABPを発現する生検組織における遺伝子の発現を検出し
定量する。この診断アッセイを用いて、NuABPの不在、存在、及び過度の発現を
調べ、治療中のNuABPレベルの制御を監視する。
【0177】 ある実施形態では、NuABPまたは近縁の分子をコードする遺伝子配列を含むポ
リヌクレオチド配列を検出可能なPCRプローブを用いたハイブリダイゼーション
によって、NuABPをコードする核酸配列を同定することが可能である。例えば5'
調節領域である高度に特異的な領域か、例えば保存されたモチーフであるやや特
異性の低い領域から作られているかのプローブの特異性と、ハイブリダイゼーシ
ョン或いは増幅のストリンジェントは、プローブがNuABPをコードする自然界の
配列のみを同定するかどうか、或いはアレルや関連配列コードする自然界の配列
のみを同定するかどうかによって決まるであろう。
【0178】 プローブはまた、関連する配列の検出に利用され、NuABPをコードする任意の
配列と少なくとも50%の配列同一性を有し得る。目的の本発明のハイブリダイ
ゼーションプローブには、DNAあるいはRNAが可能であり、SEQ ID NO:56−110の
配列、或いはNuABP遺伝子のプロモーター、エンハンサー、イントロンを含むゲ
ノム配列に由来し得る。
【0179】 NuABPをコードするDNAに対して特異的なハイブリダイゼーションプローブの作
製方法には、NuABP及びNuABP誘導体をコードするポリヌクレオチド配列をmRNAプ
ローブの作製のためのベクターにクローニングする方法がある。このようなベク
ターは市販されており、当業者には周知であり、好適なRNAポリメラーゼ及び好
適な標識されたヌクレオチドを加えることによって、in vitroでRNAプローブを
合成するために用いられる。ハイブリダイゼーションプローブは、例えば32
或いは35Sなどの放射性核種、或いはアビジン/ビオチン(biotin)結合系に
よってプローブに結合されたアルカリホスファターゼなどの酵素標識等の種々の
レポーターの集団によって標識され得る。
【0180】 NuABPをコードするポリヌクレオチド配列を用いて、NuABPの発現に関連する疾
患を診断することが可能である。限定するものではないが、このような疾患の例
には、生殖障害が含まれ、その中には、プロラクチン産生異常と、卵管病、排卵
異常、及び子宮内膜症、発情期異常、月経周期異常、多嚢胞卵巣症候群、卵巣過
剰刺激症候群、子宮内膜癌及び卵巣癌、子宮筋腫、自己免疫異常、異所性妊娠、
及び奇形発生を含む不妊症と、乳癌、線維嚢胞性乳腺症、及び乳漏症と、精子形
成異常、生理学上の精子異常、精巣癌、前立腺癌、良性の前立腺過形成、前立腺
炎、ペーロニー病、インポテンス、男性乳房癌及び女性化乳房とが含まれ、また
、免疫異常症も含まれ、その中には炎症及び日光性角化症、後天性免疫不全症候
群(AIDS)及び副腎機能不全、成人呼吸窮迫症候群、アレルギー、強直性脊
椎炎、アミロイド症、貧血、動脈硬化、喘息、アテローム性動脈硬化症、自己免
疫性溶血性貧血、自己免疫性甲状腺炎、気管支炎、滑液包炎、胆嚢炎、硬変、接
触皮膚炎、クローン病、アトピー性皮膚炎、皮膚筋炎、糖尿病、肺気腫、赤芽球
症、結節性紅斑、萎縮性胃炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、痛風、グ
レーブス病、橋本甲状腺炎、発作性夜間血色素尿症、肝炎、過好酸球増加症、過
敏性大腸症候群、リンパ球毒素性一時性リンパ球減少症、混合型結合織病(MCTD
)、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋又は心膜炎症、骨髄線維症、骨関節炎、
骨粗しょう症、膵炎、真性多血症、多発性筋炎、乾癬、ライター症候群、リウマ
チ様関節炎、強皮症、シェ−グレン症候群、全身性アナフィラキシー、全身性エ
リテマトーデス、全身性硬化症、原発性血小板血症、血小板減少症、潰瘍性大腸
炎、ウェルナー症候群、癌合併症、血液透析、体外循環、外傷と、リンパ腫及び
白血病、骨髄腫を含む造血性の癌が含まれ、また、神経疾患が含まれ、その中に
は、癲癇、虚血性脳血管障害、脳卒中、大脳新生物、アルツハイマー病、ピック
病、ハンチントン病、痴呆、パーキソン病及びその他の錐体外路障害、筋萎縮性
側策硬化及びその他の運動ニューロン障害、進行性神経性筋萎縮症、色素性網膜
炎、遺伝性運動失調、多発性硬化症及び他の脱髄疾患、細菌性及びウイルス性髄
膜炎、脳膿瘍、硬膜下蓄膿症、硬膜外膿瘍、化膿性頭蓋内血栓性静脈炎、脊髄炎
及び神経根炎、ウイルス性中枢神経系疾患と、クールー及びクロイツフェルト‐
ヤコブ病、ゲルストマン症候群、Gerstmann-Straussler-Scheinker症候群を含む
プリオン病と、致死性家族性不眠症、神経系性栄養病及び代謝病、神経線維腫症
、結節硬化症、小脳網膜血管芽腫(cerebelloretinal hemangioblastomatosis)
、脳3叉神経血管症候群、中枢神経系性精神薄弱及び他の発生障害、脳性麻痺、
神経骨格異常症、自律神経系障害、末梢神経疾患、皮膚筋炎及び多発性筋炎と、
遺伝性、代謝性、内分泌性、及び中毒性ミオパシーと、重症筋無力症、周期性四
肢麻痺と、気分性及び不安性精神障害、及び妄想性精神病と、静座不能、健忘症
、緊張病、糖尿病性ニューロパシー、錐体外路性終末欠陥症候群、ジストニー、
分裂病性精神障害、帯状疱疹後神経痛、及びトゥーレット病が含まれ、また、細
胞増殖異常症が含まれ、その中には日光性角化症及びアテローム性動脈硬化、滑
液包炎、硬変、肝炎、混合型結合組織病(MCTD)、骨髄線維症、発作性夜間ヘモ
グロビン尿症、真性多血症、乾癬、原発性血小板血症、並びに腺癌及び白血病、
リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、肉腫、及び奇形癌、具体的には、副腎、膀胱、骨、
骨髄、脳、乳房、頚部、胆嚢、神経節、消化管、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、
卵巣、膵臓、副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚、脾臓、精巣、胸腺、子宮
の癌などが含まれる。NuABPをコードするポリヌクレオチド配列は、サザーン法
やノーザン法、ドットブロット法、或いはその他の膜系の技術、PCR法、ディッ
プスティック(dipstick)、ピン(pin)、ELISA式アッセイ、及び変異NuABPの
発現を検出するために患者から採取した体液或いは組織を利用するマイクロアレ
イに使用することが可能である。このような質的或いは量的方法は、当分野では
周知である。
【0181】 特定の形態において、NuABPをコードするヌクレオチド配列は、関連する疾患
、特に上記した疾患を検出するアッセイにおいて有用であろう。NuABPをコード
するヌクレオチド配列は、標準的な方法で標識化され、ハイブリダイゼーション
複合体の形成に好適な条件の下、患者から採取した体液或いは組織のサンプルに
加えることができるであろう。好適な培養期間の後、サンプルを洗浄し、シグナ
ルを定量して標準値と比較する。患者のサンプルのシグナルの量が、制御サンプ
ルと較べて著しく変わっている場合は、サンプル内のNuABPをコードするヌクレ
オチド配列の変異レベルにより、関連する疾患の存在が明らかになる。このよう
なアッセイを用いて、動物実験、臨床試験、或いは個人の患者の治療を監視にお
ける、特定の治療効果を推定することが可能である。
【0182】 NuABPの発現に関連する疾患の診断の基準となるものを提供するために、正常
あるいは標準的な発現の概要が確立される。これは、ハイブリダイゼーション或
いは増幅に好適な条件の下、動物或いはヒトの何れかの正常な被験者から抽出さ
れた体液或いは細胞と、NuABPをコードする配列或いはその断片とを結合させる
ことにより達成され得る。標準的なハイブリダイゼーションは、正常な被験者か
ら得た値と周知の量の実質的に精製されたポリヌクレオチドが用いられる実験か
らの値とを比較することによって定量可能である。正常なサンプルから得た標準
的な値を、疾患の症状を示す被験者から得た値と比較可能である。標準値と被験
者の値との偏差を用いて疾患の存在を確定する。
【0183】 疾患の存在が確定され、治療プロトコルが開始されると、ハイブリダイゼーシ
ョンアッセイを通常ベースで繰り返して、被験者における発現のレベルが正常な
患者に示される値に近づき始めたかどうかを推定することが可能である。繰り返
し行ったアッセイの結果を、数日から数ヶ月の期間の治療の効果を見るのに用い
ることができる。
【0184】 癌では、個体からの生体組織における異常な量の転写物が、疾患の発生の素因
を示し、また実際に臨床的症状が出る前に疾患を検出する方法を提供することが
可能である。この種のより明確な診断により、医療の専門家が予防方法或いは積
極的な治療法を早くから利用して、癌の発生または進行を防ぐことが可能となる
【0185】 NuABPをコードする配列から設計されたオリゴヌクレオチドのさらなる診断へ
の利用には、PCRの利用が含まれ得る。このようなオリゴマーは、化学的な合成
、酵素を用いた生成、或いはin vitroで生成され得る。オリゴマーは、好ましく
はNuABPをコードするポリヌクレオチドの断片、或いはNuABPをコードするポリヌ
クレオチドと相補的なポリヌクレオチドの断片を含み、最適な条件の下、特定の
遺伝子や条件を識別するために利用される。また、オリゴマーは、やや緩いスト
リンジェントな条件の下、近縁のDNA或いはRNA配列の検出及び/または定量のた
め用いることが可能である。
【0186】 NuABPの発現を定量するために用いられ得る方法には、ヌクレオチドの放射標
識或いはビオチン標識、調節核酸の相互増幅(coamplification)、及び標準的
な曲線に結果が加えられたものが含まれる(例えば、Melby, P.C.等(1993) J. I
mmunol. Methods, 159:235-44;Duplaa, C.等(1993) Anal. Biochem. 229-236を
参照)。多数のサンプルの定量速度は、目的のオリゴマーが種々の希釈液に含ま
れ、分光光度法或いは非色応答によって定量が迅速なハイスループット型のアッ
セイを用いることで加速された。
【0187】 別の実施例では、本明細書で記載した任意のポリヌクレオチド配列由来のオリ
ゴヌクレオチドまたはそれより長い断片を、マイクロアレイにおける標的として
用いる。マイクロアレイを用いて、同時に極めて多くの遺伝子の発現レベルを監
視し、遺伝子の変異、突然変異及び多形性を識別する。この情報は、遺伝子機能
の決定、疾患の遺伝的根拠の解釈、疾患の診断、及び治療薬剤の活性の監視及び
開発に有用である。
【0188】 当分野で周知の方法でマイクロアレイを準備して使用し、分析する。(例えば
、Brennan, T.M. 他 (1995) 米国特許第5,474,796号;Schena, M. 他 (1996) Pro
c. Natl. Acad. Sci. 93:10614-10619; Baldeschweiler 他(1995) PCT出願番号W
O95/251116; Shalon, D.他 (1995) PCT出願番号WO95/35505; Heller, R.A. 他(1
997) Proc. Natl. Acad. Sci. 94:2150-2155; 及び Heller, M.J. 他 (1997) 米
国特許第5,605,662号を参照) 本発明の別の実施例ではまた、NuABPをコードする核酸配列を用いて、自然発
生のゲノム配列をマッピングするのに有用なハイブリダイゼーションプローブを
生成することが可能である。この配列は、以下のものに対してマッピングされる
。特定の染色体、染色体の特定領域または人工生成の染色体、例えば、ヒト人工
染色体(HAC)、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)、細菌P1生
成物或いは単一染色体cDNAライブラリである。(例えば、Harrington, 1.3. 他
(1997) Nat Genet. 15:345-355; Price, C.M. (1993) Blood Rev. 5−87-134,
及びTrask, B.J. (1991) Trends Genet. 7:149-154を参照) in sit蛍光ハイブリダイゼーション(FISH)は、他の物理的染色体マッピング
技術及び遺伝マップデータと相関するであろう(例えば、Heinz-Ulrich, 他によ
る(1995) in Meyers, 前出, pp. 965-968.を参照)。遺伝子マップデータの例は
、種々の科学誌あるいはOnline Mendelian Inheritance in Man(OMIM)のワー
ルドワイドウェブのサイトで見付けることができる。物理的な染色体マップ上の
NuABPをコードする遺伝子の位置と特定の疾患との相関性、或いは特定の疾患に
対する素因が、このような疾患と関係するDNAの領域を決定するのに役立つ。本
発明のヌクレオチド配列を用いて、正常者と、保有者、及び感染した者との遺伝
子配列における違いを検出することもある。
【0189】 染色体標本のin sitハイブリダイゼーション、及び確定した染色体マーカーを
用いた結合分析などの物理的マッピング技術を用いて、遺伝子マップを拡張する
こともできる。マウスなどの別の哺乳動物の染色体上での遺伝子の配置により、
たとえ特定のヒト染色体の数或いはアームが分かっていなくても、関連するマー
カーが明らかになることが多い。新規の配列を、物理的なマッピングによって、
染色体アームに割り付けることもできる。このことは、位置クローニング或いは
別の遺伝子発見技術を用いて遺伝的疾患の研究をしている研究者にとって、価値
ある情報である。疾患或いは症候群の位置が、例えば血管拡張性失調症の11q22-
23などの特定の遺伝子領域に遺伝子結合によって大まかに決定されると、その領
域に対するどの配列マッピングも、さらなる調査のための関連する遺伝子或いは
調節遺伝子を表す(例えば、Gatti, R.A.他による(1988)Nature 336:577-580
を参照)。また、目的の本発明のヌクレオチド配列を用いて、正常者、保有者、
即ち感染者の間の、転位置、反転などによる染色体位置の違いを検出することも
ある。
【0190】 本発明の別の実施例では、NuABP、その触媒作用断片或いは免疫原断片または
そのオリゴペプチドを、種々の任意の薬剤スクリーニング技術における化合物の
ライブラリのスクリーニングに用いることができる。このようなスクリーニング
に用いる断片は、溶液に遊離、固体支持物に固定、細胞の表面上に保持、或いは
細胞内に存在する。NuABPと検査する薬剤との結合による複合体の形成を測定し
てもよい。
【0191】 薬剤スクリーニングに用いる別の方法は、目的のタンパク質に対して、好適な
結合親和性を有する化合物のスクリーニング処理能力を高めるために用いられる
(例えば、Geysen,他による(1984) PCT出願番号 WO84/03564を参照)。この方法
では、相当な数の異なる小さな試験用化合物が、プラスチックピン或いは他の基
板の上に合成される。試験用化合物は、NuABP、或いはその断片と反応してから
洗浄される。次ぎに、結合されたNuABPが、当分野で周知の方法で検出される。
精製されたNuABPはまた、前記した薬剤をスクリーニングする技術に用いられる
プレート上で直接被覆することもできる。別法では、非中和抗体を用いて、ペプ
チドを捕らえ、固体支持物に固定することもできる。
【0192】 別の実施例では、NuABPと結合可能な中和抗体がNuABPと結合するため試験用化
合物と特に競合する、競合的薬剤スクリーニングアッセイを用いることができる
。この方法では、抗体が、NuABPと1つ以上の抗原決定因子を共有するどのペプ
チドの存在も検出する。
【0193】 別の実施例では、発展途上の分子生物学技術にNuABPをコードするヌクレオチ
ド配列を用いて、限定はされないが、現在知られているトリプレット暗号及び特
異的な塩基対相互作用などのヌクレオチド配列の特性に依存する新しい技術を提
供することができる。
【0194】 当分野の技術者であれば、更なる説明がなくても前述の説明だけで最大限に本
発明を利用できるであろう。したがって、以下に記載する特定の好適な実施例は
、例示目的であって本発明を限定するものではない。
【0195】 前出及び以下に記載した全ての特許出願、特許、刊行物、特に米国出願通し番
号60/117,905及び60/117,904に言及することをもって本明細書の一部とする。
【0196】 (実施例) 1 cDNAライブラリの作製 RNAは、Clontech社から購入、或いは表4に列記した組織から単離した。まず
、この組織の一部をホモジナイズしてグアニジニウムイソチオシアネート溶液に
溶解する一方、この組織の別の一部をホモジナイズしてフェノールに溶解するか
、或いはTRIZOL (Life Technologies)、グアニジニウムイソチオシアネート及び
フェノールの単相溶液などの好適な変性剤の混合液に溶解した。この溶解物を塩
化セシウムにおいて遠心分離またはクロロホルムで抽出した。イソプロパノール
或いは酢酸ナトリウムのどちらかとエタノール、或いは別の方法でこの溶解物か
らRNAを沈殿させた。
【0197】 RNAの純度を高めるためにRNAのフェノールによる抽出及び沈殿を必要な回数繰
り返した。場合によっては、DNA分解酵素でRNAを処理する。殆どのライブラリで
は、オリゴd(T)連結常磁性粒子(Promega)またはOLIGOTEXラテックス粒子(QIAGEN
. Valencia CA)、OLIGOTEX mRNA精製キット(QIAGEN)を用いてポリ(A+)RNAを
単離した。別法では、POLY(A)PURE mRNA精製キット(Ambion, Austin TX)などの
別のRNA単離キットを用いて組織溶解物から直接単離した。
【0198】 ある場合には、Stratagene社にRNAを提供し、Stratagene社が対応するcDNAラ
イブラリを作製した。そうでない場合は、UNIZAPベクターシステム(Stratagene)
またはSUPERSCRIPT プラスミドシステム(Life Technologies)を用いて当分野で
周知の推奨方法または類似の方法でcDNAを合成してcDNAライブラリを作製した。
(例えば、Ausubel, 1997,前出,ユニット5.1-6.6を参照)。逆転写は、オリゴd(T)
またはランダムプライマーを用いて開始した。合成オリゴヌクレオチドアダプタ
ーを二本鎖cDNAに結合させてから、好適な1つの制限酵素或いは複数の制限酵素
でcDNAを消化した。殆どのライブラリでは、SEPHACRYL S 1000または SEPHAROSE
CL2B、SEPHAROSE CL4Bカラムクロマトグラフィー(Amersham Pharmacia Biotech
)、アガロースゲル電気泳動法によってcDNAの大きさ(300〜1000bp)を選択した
。PBLUESCRIPTプラスミド(Stratagene)またはpSPORT1プラスミド(Life Technolo
gies)、plNCY (Incyte Pharmaceuticals, Palo Alto CA)などの好適なプラスミ
ドのポリリンカーの適合性制限酵素部位にcDNAを結合させた。この組換えプラス
ミドを、Stratagene社のXL1-Blue, XL1-BIueMRF、SOLR、またはLife Technologi
es社のDH5αまたはDH 10B、ELECTROMAX DH 10Bを含むコンピテント大腸菌細胞に
導入し組み込んだ。
【0199】 2 cDNAクローンの単離 UNIZAPベクターシステム(Stratagene)或いは細胞溶解を利用して、in vivo
除によって宿主細胞からプラスミドを回収した。MagicまたはWIZARD Minipreps
DNA精製システム(Promega)、及びAGTC Miniprep精製キット(Edge Biosystems, G
aithersburg MD)、QIAGEN社のQIAWELL 8 Plasmid、QIAWELL 8 Plus Plasmid、QI
AWELL 8 Ultra Plasmid 精製システム、REAL Prep 96プラスミドキットの内の少
なくとも1つを用いてプラスミドを精製した。沈殿させた後、0.1mlの蒸留
水に再懸濁して、凍結乾燥して或いは凍結乾燥しないで4℃で保管した。
【0200】 別法では、ハイスループットの直接結合PCR法によって宿主細胞溶解物からプ
ラスミドDNAを増幅した。(Rao, V.B. (1994) Anal. Biochem. 216:1-14)。宿主
細胞の溶解及び熱サイクリング過程を単一反応混合液で行った。サンプルを処理
してから384−ウェルプレートに移して保管し、増幅したプラスミドDNAの濃
度をPICOGREEN色素(Molecular Probes, Eugene OR)及びFluoroskan II蛍光スキ
ャナー(Labsystems Oy, Helsinki, Finland)を用いて蛍光定量的に測定した。
【0201】 3 シークエンシング及び分析 cDNAのシークエンシング反応は、標準的な方法で、或いはABI CATALYST 800 (
Perkin-Elmer) thermal cyclerまたはPTC-200 thermal cycler (MJ Research)と
HYDRAマイクロディスペンサー(Robbins Scientific) またはMICROLAB 2200 (Ham
ilton) 液体転移システムとの組み合わせなどのハイスループット装置で行った
。cDNAのシークエンシング反応の準備には、Amersham Pharmacia Biotech社の試
薬、またはABI PRISM BIGDYE Terminator cycle sequencing ready reactionキ
ット(Perkin-Elmer)などのABIシークエンシングキットに含まれる試薬を用いた
。cDNAのシークエンシング反応の電気泳動的な分離及び標識したポリヌクレオチ
ドの検出には、MEGABACE 1000 DNAシークエンシングシステム(Molecular Dynami
cs)、標準ABIプロトコル及び塩基対呼び出しソフトウェアを用いるABI PRISM 37
3または377シークエンシングシステム(Perkin-Elmer)、当分野で周知のその他の
配列解析システムを用いた。cDNA配列の読み枠は、標準的な方法(Ausubel, 1997
, 前出, unit 7.7)を用いて決定した。cDNA配列の幾つかを選択して、本実施例
の5に記載した方法で配列を延長した。
【0202】 cDNAのシークエンシングから得たポリヌクレオチド配列の構築及び解析は、当
分野の技術者に周知のアルゴリズムを利用したソフトウェアを組合せて行った。
表5は、利用したツール、ソフトウェア、アルゴリズム、それらの説明、引用文
献、閾値パラメーターの概要を示す。表5の列1は用いたツール及びプログラム
、アルゴリズム、列2はそれらの簡単な説明、列3は引用することで本明細書の
一部とした引用文献、列4の記載部分は2つの配列の一致度の評価に用いたスコ
ア及び確率値、他のパラメータを示す(確率値が高ければ高いほど配列間の相同
性が高くなる)。配列の解析には、MACDNASIS PROソフトウェア(Hitachi Softwa
re Engineering, S. San Francisco CA)及びLASERGENEソフトウェア (DNASTAR)
を用いた。
【0203】 ポリヌクレオチド配列の確証は、BLAST及び動的計画法、ジヌクレオチド最近
接分析に基づいたプログラム及びアルゴリズムを用いて、ベクター及びリンカー
、ポリA配列を取り除き、あいまいな塩基対をマスクすることで行った。次に、
BLAST及びFASTA、BLIMPSに基づいたプログラムを用いて、公共のデータベースで
あるGenBankの霊長類及びげっ歯類、哺乳類、脊椎動物、真核生物のデータベー
スやBLOCKS、PRINTS、DOMO、PRODOM及びPFAMなどのデータベースから選択した配
列に対してこれらの配列を問合わせて注釈を得た。Phred及びPhrap、Consedに基
づいたプログラムを用いて完全長のポリヌクレオチド配列の中にこれらの配列を
構築して、BLAST及びFASTA、BLIMPSに基づいたプログラムでオープンリーディン
グフレームのためにスクリーンした。完全長のポリヌクレオチド配列を翻訳して
対応する完全長のアミノ酸配列を引き出し、GenBankデータベース(上記)及びSwi
ssProt、BLOCKS、PRINTS、DOMO、PRODOM及びPrositeなどのデータベース、また
はPFAMなどのHidden Markov Model (HMM)に基づいたタンパク質ファミリーデー
タベースに対して問い合わせてこれらの完全長の配列を分析した。HMMは、確率
を利用して遺伝子ファミリーのコンセンサス一次構造を解析する(例えば、Eddy
, S.R. (1996) Curr. Opin. Struct. Biol. 6:361-365を参照)。
【0204】 完全長のポリヌクレオチド配列及びアミノ酸配列の構築及び分析に用いる上記
のプログラムは、SEQ ID NO:56−110からのポリヌクレオチド配列の断片の同定
にも使用できる。約20〜4000個までのヌクレオチドの断片はハイブリダイ
ゼーション及び増幅に有用であり、上記の発明で説明した。
【0205】 4 ノーザン分析 ノーザン分析は、遺伝子の転写物の存在を検出するために用いられる実験用技
術であり、特定の細胞種或いは組織からのRNAが結合されている膜への標識され
たヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションを伴う(例えば、Sambrook,前出,
7章; 及び Ausubel. F.M. 他、前出, 4章及び16章を参照)。
【0206】 BLASTに用いる類似のコンピュータ技術を用いて、GenBank或いはLIFESEQ(Inc
yte Pharmaceuticals)のようなヌクレオチドデータベース内の同一或いは関連
する分子を検索する。この分析は多くの膜系ハイブリダイゼーションより非常に
速度が速い。さらにコンピュータ検索の感度を変更して、任意の特定の一致が、
厳密な一致或いは相同的一致の何れかとして分類されるかを確定することができ
る。検索の基準は、 (%配列同一性×%最大BLASTスコア)/100 として定義される積スコアである。積スコアは、2つの配列間の類似度及び配列
一致の長さの両方を考慮する。例えば、積スコア40の場合、その一致は1〜2
%誤差の範囲内で正確であり、70ではその一致は正確であろう。類似分子は通
常、15〜40の範囲の積スコアを示す分子を選択することにより同定されるが
、それより低いスコアでも関連した分子が同定される場合もある。
【0207】 ノーザン分析の結果は、NuABPをコードする転写物が発生したライブラリの分
布割合として報告される。分析には、器官/組織及び疾患によるcDNAライブラリ
の分類も含まれる。器官/組織のカテゴリーには、心血管、皮膚、発生、内分泌
、胃腸、造血/免疫、筋骨格、神経、生殖、泌尿器が含まれる。疾患のカテゴリ
ーには、癌、炎症/外傷、細胞増殖、神経、貯留(pooled)が含まれる。カテゴリ
ー別に、目的の配列を発現するライブラリの数を数えて、それを全ての範囲のラ
イブラリの数で除した。各組織に特異的に発現する割合(パーセント)と各疾患
で発現する割合を表3に示した。
【0208】 5 NuABPをコードするポリヌクレオチドの延長 SEQ ID NO:56−110の完全長の核酸配列は、完全長分子の好適な断片から設計
したオリゴヌクレオチドプライマーを用いてその完全長分子の好適な断片を延長
して作製した。一方のプライマーは既知の断片の5'の延長を開始するために合
成し、他方のプライマーは既知の断片の3'の延長を開始するために合成した。
開始プライマーは、OLIGO 4.06ソフトウェア(National Biosciences)或いは
他の適切なプログラムを用いて、約22個から約30個のヌクレオチドの長さで
約50%以上のGC含量を有し、かつ約68〜72℃の温度で標的配列にアニー
ルするように設計した。ヘアピン構造及びプライマー−プライマー二量体が生じ
ないようにヌクレオチドを延長した。
【0209】 選択されたヒトcDNAライブラリを用いてこの配列を延長した。2段階以上の延
長が必要な場合、若しくは望ましい場合は、追加或いはネスト化プライマーの組
を設計する。
【0210】 当分野で既知の方法を利用したPCR法で高い忠実度で増幅した。PCRはPTC-200
thermal cycler (MJ Research, Inc.)用いて96ウェルブロックプレートで行った
。反応混合液は、鋳型DNA及び200 nmolの各プライマー、Mg2+と(NH4)2SO4とβ
−メルカプトエタノールを含むバッファー、Taq DNAポリメラーゼ(Amersham Pha
rmacia Biotech)、ELONGASE酵素(Life Technologies)、Pfu DNAポリメラーゼ(St
ratagene)を含む。プライマーの組、PCI AとPCI Bに対して以下のパラメーター
で増幅を行った。 ステップ1 94℃で3分間 ステップ2 94℃で15秒 ステップ3 60℃で1分間 ステップ4 68℃で2分間 ステップ5 ステップ2、3、及び4を20回繰り返す ステップ6 68℃で5分間 ステップ7 4℃で保管 別法では、プライマーの組、T7とSK+に対して以下のパラメーターで増幅を行っ
た。 ステップ1 94℃で3分間 ステップ2 94℃で15秒 ステップ3 57℃で1分間 ステップ4 68℃で2分間 ステップ5 ステップ2、3、及び4を20回繰り返す ステップ6 68℃で5分間 ステップ7 4℃で保管。
【0211】 各ウェルのDNA濃度は、1X TE及び0.5μlの希釈していないPCR産物に溶解した
100μlのPICOGREEN定量試薬(0.25% (v/v) PICOGREEN; Molecular Probes, Eugen
e OR)を不透明な蛍光光度計プレート(Coming Costar, Acton MA)の各ウェルに分
配してDNAが試薬と結合できるようにして測定する。このプレートをFluoroskan
II (Labsystems Oy, Helsinki, Finland)でスキャンして、サンプルの蛍光を計
測してDNAの濃度を定量化する。反応混合物の5〜10μlのアリコットを1%のア
ガロースミニゲル上での電気泳動によって解析し、何れの反応物が配列を延長す
ることに成功したかを決定する。
【0212】 延長したヌクレオチドを脱塩及び濃縮してから384ウェルプレートに移し、Cvi
JIコレラウィルスエンドヌクレアーゼ(Molecular Biology Research, Madison W
I)で消化し、pUC 18ベクター(Amersham Pharmacia Biotech)に再連結する前に音
波処理またはせん断を行った。ショットガンシークエンシングのために、消化し
たヌクレオチドを低濃度(0.6〜0.8%)のアガロースゲル上に分離して断
片を切断し、寒天をAgar ACE (Promega)で消化した。T4リガーゼ(New England B
iolabs, Beverly MA)を用いて延長したクローンをpUC 18ベクター(Amersham Pha
rmacia Biotech)に再連結し、Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)で制限部位の延
び出しを処理してコンピテント大腸菌細胞に形質移入した。形質移入した細胞を
選択して抗生物質を含む培地に移し、それぞれのコロニーを切りとってLB/2Xカ
ルベニシリン培養液の384ウェルプレートに37℃で一晩培養した。
【0213】 細胞を溶解して、Taq DNAポリメラーゼ(Amersham Pharmacia Biotech)及びPfu
DNAポリメラーゼ(Stratagene)を用いて以下の手順でDNAをPCR増幅した。 ステップ1 94℃で3分間 ステップ2 94℃で15秒 ステップ3 60℃で1分間 ステップ4 72℃で2分間 ステップ5 ステップ2、3、及び4を29回繰り返す ステップ6 72℃で5分間 ステップ7 4℃で保管。 上記したようにPICOGREEN試薬(Molecular Probes)でDNAを定量化した。DNA回収
率の悪いサンプルは、上記した条件で再び増幅した。サンプルを20%のジメチル
サルホサイド(dimethysulphoxide)(1:2, v/v)で希釈し、DYENAMIC DIRECTキッ
ト(Amersham Pharmacia Biotech)またはABI PRISM BIGDYE Terminator cycle se
quencing ready reactionキット(Perkin-Elmer)を用いてシークエンシングした
【0214】 同様に上述の手順で、SEQ ID NO:56−110のヌクレオチド配列を利用し、この
延長のために設計したオリゴヌクレオチドと好適な遺伝子ライブラリを用いて5
′調節配列を得た。
【0215】 6 個々のハイブリダイゼーションプローブの標識及び使用 SEQ ID NO:56−110から導き出されたハイブリダイゼーションプローブを用い
て、cDNA、mRNA、またはゲノムDNAをスクリーニングする。約20塩基対からな
るオリゴヌクレオチドの標識について特に記すが、より大きなcDNAフラグメント
の場合でも基本的に同じ手順を用いる。オリゴヌクレオチドを、OLIGO4.06ソフ
トウェア(National Bioscience)のような最新式のソフトウェアを用いてデザ
インし、50pmolの各オリゴマーと、250μCiの[γ‐32P]アデノシン三リン酸
(Amersham, Chicago, IL)及びT4ポリヌクレオチドキナーゼ(DuPont NEN、B
oston MA)とを組み合わせて用いることにより標識する。標識されたオリゴヌク
レオチドを、SEPHADEX G-25超精細排除デキストランビードカラム(Amersham Ph
armacia Biotech)を用いて実質的に精製する。毎分10カウントの標識され
たプローブを含むアリコットを、次のエンドヌクレアーゼ、Ase I、Bgl II、Eco
RI、Pst I、Xba1或いはPvu II(DuPont NEN)の1つを用いて切断したヒトゲノ
ムDNAの典型的な膜ベースのハイブリダイゼーション解析において用いる。
【0216】 各切断物からのDNAを、0.7%アガロースゲル上で分画して、ナイロン製メンブ
ラン(Nytran Plus, Schleicher & Schuell, Durham NH)に転写する。ハイブリ
ダイゼーションは40℃で16時間かけて行う。非特異的シグナルを取り除くた
め、例えば、最大0.1xクエン酸ナトリウム食塩水及び0.5%ドデシル硫酸
ナトリウムの条件の下、ブロットを順次室温にて洗浄する。ハイブリダイゼーシ
ョンパターンをオートラジオグラフィー或いは別のイメージ化手段で視覚化して
比較する。
【0217】 7 マイクロアレイ 化学結合方法及びインクジェット装置を用いて、基板の表面上でアレイ要素を
合成することが可能である(例えば、上記Baldeschweilerを参照)。ドットブロ
ット法またはスロットブロット法に類似したアレイを利用し、要素を熱、UV、
機械的または化学的結合方法を用いて基板の表面に配置し結合させる。典型的な
アレイは、手作業または利用可能な方法や機械を用いて作製することができ、任
意の適正な数の要素を含み得る。ハイブリダイゼーションの後、ハイブリダイズ
していないプローブを取り除き、スキャナーを用いて蛍光のレベル及びパターン
を決定する。スキャンした画像を分析して、マイクロアレイ上で要素にハイブリ
ダイズする各プローブの相補性の程度及び相対的な量/発現レベルを調べること
が可能である。
【0218】 完全長のcDNA、発現遺伝子配列断片(EST)、或いはそれらの断片が、マイク
ロアレイの要素を構成し得る。ハイブリダイゼーションに好適な断片を、LASERG
ENEソフトウェア(DNASTAR)などの当分野で周知のソフトウェアを用いて選択す
ることが可能である。本発明の核酸配列の1つに対応する完全長のcDNA、EST、
或いはそれらの断片、或いは本発明に関連するcDNAライブラリから任意に選択さ
れたcDNAを、ガラススライドなどの好適な基板に整列する。cDNAは、例えばUV
交差結合(UV cross-linking)を利用してスライドに固定してから、熱処理及び
化学処理を施し、最後に乾燥させる(例えば、 Schena, M. 他. (1995) Science
270:467-470; 及び Shalon, D. 他. (1996) Genome Res. 6:639-645を参照)。蛍
光プローブを準備して、基板上の要素にハイブリダイゼーションするために用い
る。上記した方法でこの基板を分析する。
【0219】 8 相補的ポリヌクレオチド NuABPをコードする配列或いはその任意の一部に対して相補的な配列は、自然
発生のNuABPの発現を低下させるため即ち阻害するために用いられる。約15〜
約30個の塩基対を含むオリゴヌクレオチドの使用について記すが、より小さな
或いはより大きな配列の断片の場合でも本質的に同じ方法を用いることができる
。Oligo4.06ソフトウェア(National Biosciences)及びNuABPのコーディング配
列を用いて、適切なオリゴヌクレオチドを設計する。転写を阻害するためには、
最も独特な5′配列から相補的なオリゴヌクレオチドを設計し、これを用いてプ
ロモーターがコーディング配列に結合するのを阻害する。翻訳を阻害するために
は、相補的なオリゴヌクレオチドを設計して、リボソームがNuABPをコードする
転写物に結合するのを阻害する。
【0220】 9 NuABPの発現 NuABPの発現及び精製は、細菌若しくはウイルスを基にした発現系を用いて行
うことができる。細菌でNuABPが発現するために、抗生物質耐性及びcDNAの転写
レベルを高める誘導性のプロモーターを含む好適なベクターにcDNAをサブクロー
ニングする。このようなプロモーターには、lacオペレーター調節要素に関連す
るT5またはT7バクテリオファージプロモーター及びtrp-lac(tac)ハイブリッドプ
ロモーターが含まれるが、これらに限定されるものではない。組換えベクターを
、BL21(DE3)などの好適な細菌宿主に形質転換する。抗生物質耐性をもつ細菌が
、イソプロピルβ−Dチオガラクトピラノシド(IPTG)で誘発されるとNuABPを発現
する。真核細胞でのNuABPの発現は、昆虫細胞株または哺乳動物細胞株に一般に
バキュロウイスルスとして知られているAutographica californica核多面性ウイ
ルス(AcMNPV)を感染させて行う。バキュロウイルスの非必須ポリヘドリン遺伝子
を、相同組換え或いは転移プラスミドの媒介を伴う細菌の媒介による遺伝子転移
のどちらかによって、NuABPをコードするcDNAと置換する。ウイルスの感染力は
維持され、強いポリヘドリンプロモータによって高いレベルのcDNAの転写が行わ
れる。組換えバキュロウイルスは、多くの場合はSpodoptera frugiperda (Sf9)
昆虫細胞に感染に用いられるが、ヒト肝細胞の感染にも用いられることもある。
後者の感染の場合は、バキュロウイルスの更なる遺伝的変更が必要になる。(例
えば、Engelhard. E. K.他 (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:3224-3227;
Sandig, V. 他 (1996) Hum. Gene Ther. 7:1937-1945.を参照)。
【0221】 殆どの発現系では、NuABPが、例えばグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)
、またはFLAGや6-Hisなどのペプチドエピトープ標識で合成された融合タンパク
質となるため、未精製の細胞溶解物からの組換え融合タンパク質の親和性ベース
の精製が素早く1回で行うことができる。Schistosoma japonicumからの26キ
ロダルトンの酵素GSTによって、タンパク質の活性及び抗原性を維持した状態で
固定されたグルタチオンで融合タンパク質の精製が可能となる(Amersham Pharma
cia Biotech)。精製の後、GST部分を特定の操作部位でNuABPからタンパク分解的
に切断できる。アミノ酸8個のペプチドであるFLAGで、市販のモノクローナル及
びポリクローナル抗FLAG抗体(Eastman Kodak)を用いた免疫親和性の精製が可能
となる。6個の連続するヒスチジン残基のストレッチである6-Hisによって、金
属キレート樹脂(QIAGEN)で精製が可能となる。タンパク質の発現及び精製の方法
は、Ausubel (1995,前出, ch 10, 16)に記載されている。これらの方法で精製し
たNuABPを直接用いて以下のアッセイを行うことができる。
【0222】 10 NuABP活性の実証 NuABPの活性は、レポーター遺伝子の転写を刺激する能力から測定する(Liu,
H.Y. 他 (1997) EMBO J. 16(1 7):5289-5298)。このアッセイには、E.coli Lac
Z酵素をコードする配列に融合したLexA DNA転写調節要素(LexAop)からなる特
徴的な遺伝子作成物LexAop-LacZを用いる。融合遺伝子の作成及び発現、細胞へ
の導入、LacZ酵素の活性の測定については、当業者は周知している。NuABPをコ
ードする配列をプラスミドにクローニングし、LexA転写因子から得たDNA結合ド
メイン及びNuABPからなる融合タンパク質LexA- NuABPを合成させる。LexA-NuABP
融合タンパク質をコードする得られたプラスミドを、LexAop-LacZレポーター遺
伝子を含むプラスミドと共に酵母細胞に導入する。対照標準細胞に対するLexA-N
uABPトランスフェクト細胞におけるLacZ酵素の活性の値が、NuABPによって刺激
された転写量に比例する。
【0223】 11 機能的アッセイ NuABPの機能は、哺乳動物細胞培養系において生理学的に高められたレベルで
のNuABPをコードする配列の発現によって評価する。cDNAを、cDNAを高いレベル
で発現する強いプロモーターを含む哺乳動物発現ベクターにサブクローニングす
る。このようなベクターには、pCMV SPORTTM (Life Technologies.)及びpCR 3.1
(Invitrogen, Carlsbad, CA)が含まれ、どちらもサイトメガロウイルスプロモ
ーターを含んでいる。5〜10μgの組換えベクターを、例えば内皮由来か造血
由来のヒト細胞株にリポソーム製剤或いは電気穿孔法によって一時的に形質移入
する。更に、標識タンパク質をコードする配列を含む1〜2μgのプラスミドを
同時に形質移入する。標識タンパク質の発現により、形質移入された細胞と形質
移入されていない細胞とを区別できる。また、標識タンパク質の発現によって、
cDNAの組換えベクターからの発現を正確に予想できる。このような標識タンパク
質には、緑色蛍光タンパク質(GFP;Clontech)、及びCD64またはCD64-GFP融合タ
ンパク質が含まれる。レーザー光学に基づいた技術を利用した自動流動細胞計測
法(FCM)を用いて、GFPまたはCD64-GFPを発現する形質移入された細胞を同定し、
その細胞のアポトーシス状態や他の細胞特性を評価する。また、FCMで、先行し
た或いは同時の細胞死の現象を診断する蛍光分子の取り込みを検出して計量する
。これらの現象には、プロピジウムヨウ化物でのDNAの染色によって計測される
核DNA内容物の変化と、ブロモデオキシウリジンの取り込み量の低下によって計
測されるDNA合成の下方調節と、特異的な抗体との反応性によって計測される細
胞表面及び細胞内のタンパンク質の発現の変化と、蛍光複合アネキシンVタンパ
ク質の細胞表面への結合によって計測される原形質膜組成の変化とが含まれる。
流動細胞計測法は、Ormerod, M. G.による (1994) Flow Cytometry Oxford, New
York, NY.に記載されている。
【0224】 遺伝子発現におけるNuABPの影響は、NuABPをコードする配列とCD64またはCD64
-GFPのどちらかが形質移入された高度に精製された細胞集団を用いて評価するこ
とができる。CD64またはCD64-GFPは形質転換された細胞表面で発現し、ヒト免疫
グロブリンG(IgG)の保存された領域と結合する。形質転換された細胞と形質転換
されない細胞とは、ヒトIgGかCD64に対する抗体のどちらかで被覆された磁気ビ
ードを用いて分離することができる(DYNAL. Lake Success. NY)。mRNAは、当分
野で周知の方法で細胞から精製することができる。NuABP及び目的の他の遺伝子
をコードするmRNAの発現は、ノーザン分析やマイクロアレイ技術で分析すること
ができる。
【0225】 12 NuABPに特異的な抗体の作製 ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE;例えば、Harrington, M.G. (1990)
Methods Enzymol. 1816−3088-495を参照)または他の精製技術で実質的に精製
されたNuABPを用いて、標準的なプロトコルでウサギを免疫化して抗体を作り出
す。
【0226】 別法では、NuABPアミノ酸配列をLASERGENEソフトウェア(DNASTAR)を用いて
解析して免疫原性の高い領域を決定し、対応するオリゴペプチドを合成してこれ
を用いて当業者に周知の方法で抗体を産生させる。C末端付近の、或いは隣接す
る親水性領域内のエピトープなどの適切なエピトープの選択については、当分野
で周知である(例えば、前出のAusubel, 1995,11章を参照)。
【0227】 通常、約15残基の長さのオリゴペプチドを、Applied Biosystemsのペプチド
シンセサイザABI 431Aペプチドシンセサイザー(Perkin-Elmer)を用いてfmoc法
のケミストリにより合成し、N−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシ
ンイミドエステル(MBS)を用いた反応によりKLH(Sigma-Aldrich, St. Louis M
O)に結合させて、免疫原性を高める(例えば、前出のAusubel, 1995を参照)。フ
ロイントの完全アジュバントにおいてオリゴペプチド−KLH複合体を用いてウサ
ギを免疫化する。得られた抗血清の抗ペプチド活性及び抗NuABP活性を検査する
には、ペプチドまたはNuABPを基板に結合し、1%BSAを用いてブロックし、ウサ
ギ抗血清と反応させて洗浄し、さらに放射性ヨウ素標識されたヤギ抗ウサギIgG
と反応させる。
【0228】 13 特異的抗体を用いる自然発生NuABPの精製 自然発生NuABP或いは組換えNuABPを、NuABPに特異的な抗体を用いるイムノア
フィニティークロマトグラフィにより実質的に精製する。イムノアフィニティー
カラムは、CNBr-活性化SEPHAROSE(Amersham Pharmacia Biotech)のような活性
化クロマトグラフィー用レジンと抗NuABP抗体とを共有結合させることにより構
築する。結合の後、そのレジンを製造者の使用説明書に従って、ブロックし洗浄
する。
【0229】 NuABPを含む培養液をイムノアフィニティーカラムに通し、NuABPを優先的に吸
着できる条件で(例えば、界面活性剤の存在下において高イオン強度のバッファ
ーで)そのカラムを洗浄する。そのカラムを、抗体とNuABPとの結合を切るよう
な条件で(例えば、pH2〜3のバッファー、或いは高濃度の尿素またはチオシ
アン酸塩イオンのようなカオトロピックイオンで)溶出させ、NuABPを回収する
【0230】 14 NuABPと相互作用する分子の同定 NuABP又は生物学的に活性なその断片を、125Iボルトンハンター試薬(例
えば、Bolton A.E.及びW.M. Hunter (1973) Biochem. J. 133:529を参照)で標
識する。マルチウェルプレートに予め配列しておいた候補の分子を、標識したNu
ABPと共にインキュベートし、洗浄して、標識したNuABP複合体を有する全てのウ
ェルをアッセイする。様々なNuABP濃度で得られたデータを用いて、候補分子と
結合したNuABPの数量及び親和性、会合についての値を計算する。
【0231】 当業者は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく本発明の記載した方法
及びシステムの種々の改変を行うことができるであろう。特定の好適実施例に基
づいて本発明を説明したが、本発明の範囲が、そのような特定の実施例に不当に
制限されるべきではないことを理解されたい。実際に、分子生物学或いは関連す
る分野の専門家には明らかな、本明細書に記載の本発明の実施方法の様々な改変
は、特許請求の範囲に含まれる。
【0232】 (表の簡単な説明) 表1は、NuABPをコードする完全長の配列を作り出すために用いた、ポリペプ
チド配列及びヌクレオチド配列の配列番号(SEQ ID NO)、クローン識別番号、cDN
Aライブラリ、及びcDNA断片を示す。
【0233】 表2は、潜在モチーフ及び相同配列を含む各ポリペプチド配列の特徴、並びに
NuABPの解析に用いた方法、アルゴリズム、及び検索可能なデータベースを示す
【0234】 表3は、各核酸配列の選択された断片と、ノーザン分析によって決定された各
核酸配列の組織特異的発現パターンと、これらの組織に関連した疾患、異常症及
び症状と、各DNAがクローニングされたベクターとを示す。
【0235】 表4は、NuABPをコードするcDNAクローンを単離したcDNAライブラリの作製に
用いた組織を示す。
【0236】 表5は、NuABPの分析に用いたツール、プログラム、及びアルゴリズム、並び
にその説明、引用文献、閾値パラメーターを示す。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【表28】
【表29】
【表30】
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 35/00 A61P 43/00 105 4C084 37/00 111 4H045 43/00 105 C07K 14/47 111 16/18 C07K 14/47 C12N 1/15 16/18 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 C12Q 1/68 A 5/10 Z C12P 21/02 G01N 33/15 Z C12Q 1/68 33/50 Z C12N 15/00 ZNAA G01N 33/15 5/00 A 33/50 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C U,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD ,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN, IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,L K,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK ,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO, RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,T M,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU ,ZA,ZW (72)発明者 ヒルマン、ジェニファー・エル アメリカ合衆国カリフォルニア州94040・ マウンテンビュー・#12・モンロードライ ブ 230 (72)発明者 ユエ、ヘンリー アメリカ合衆国カリフォルニア州94087・ サニーベイル・ルイスアベニュー 826 (72)発明者 アジムザイ、ヤルダ アメリカ合衆国カリフォルニア州94545・ ヘイワード・ロックスプリングスドライブ 2045 (72)発明者 リュ、アイナ・エム・ディー アメリカ合衆国カリフォルニア州95136・ サンノゼ・パークベルモントプレイス 55 (72)発明者 ボーグン、マライア・アール アメリカ合衆国カリフォルニア州94577・ サンレアンドロ・サンティアゴロード 14244 (72)発明者 トラン、バオ アメリカ合衆国カリフォルニア州95051・ サンタクララ・キーリーブールバード 744 (72)発明者 シー、レオ・エル アメリカ合衆国カリフォルニア州94303・ パロアルト・アパートメント ビー・タン ランドドライブ 1081 (72)発明者 オウ−ヤング、ジャニス・エル アメリカ合衆国カリフォルニア州94005・ ブリスベーン・ゴールデンイーグルレーン 233 Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 BB01 BB10 BB46 DA13 DA36 FB02 FB03 FB12 4B024 AA01 AA12 BA44 BA80 CA01 FA02 GA11 HA12 4B063 QA01 QA19 QQ42 QR32 QR55 QS34 QX01 4B064 AG01 CA19 CC24 DA05 DA14 4B065 AA93Y AB01 AC14 BA02 CA44 4C084 AA02 AA07 BA01 BA08 BA22 BA23 CA62 DC50 NA14 ZA011 ZA811 ZB071 ZB212 ZB261 ZC022 4H045 AA10 AA20 AA30 BA10 CA40 EA28 FA74

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単離されたポリペプチドであって、 a)SEQ ID NO:1及びSEQ ID NO:3−5、SEQ ID NO:7−14、SEQ ID NO:16−31、
    SEQ ID NO:33−34、SEQ ID NO:36−40、SEQ ID NO:42−48、SEQ ID NO:50−55か
    らなる一群から選択されたアミノ酸配列、 b)SEQ ID NO:1及びSEQ ID NO:3−5、SEQ ID NO:7−14、SEQ ID NO:16−31、
    SEQ ID NO:33−34、SEQ ID NO:36−40、SEQ ID NO:42−48、SEQ ID NO:50−55か
    らなる一群から選択されたアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有す
    る自然発生のアミノ酸配列、 c)SEQ ID NO:1及びSEQ ID NO:3−5、SEQ ID NO:7−14、SEQ ID NO:16−31、
    SEQ ID NO:33−34、SEQ ID NO:36−40、SEQ ID NO:42−48、SEQ ID NO:50−55か
    らなる一群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断片、 またはd)SEQ ID NO:1及びSEQ ID NO:3−5、SEQ ID NO:7−14、SEQ ID NO:16
    −31、SEQ ID NO:33−34、SEQ ID NO:36−40、SEQ ID NO:42−48、SEQ ID NO:50
    −55からなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片を含むことを特徴
    とする単離されたポリペプチド。
  2. 【請求項2】 SEQ ID NO:1及びSEQ ID NO:3−5、SEQ ID NO:7−14、SEQ
    ID NO:16−31、SEQ ID NO:33−34、SEQ ID NO:36−40、SEQ ID NO:42−48、SEQ
    ID NO:50−55からなる一群から選択されたアミノ酸配列を含むことを特徴とする
    請求項1の単離されたポリペプチド。
  3. 【請求項3】 請求項1のポリペプチドをコードする単離されたポリヌク
    レオチド。
  4. 【請求項4】 SEQ ID NO:56−110からなる一群から選択された配列を含
    むことを特徴とする請求項3の単離されたポリヌクレオチド。
  5. 【請求項5】 請求項3のポリヌクレオチドに機能的に結合するプロモー
    ター配列を含む組換えポリヌクレオチド。
  6. 【請求項6】 請求項5の組換えポリヌクレオチドで形質転換された細胞
  7. 【請求項7】 請求項5の組換えポリヌクレオチドを含む遺伝子組換え生
    物。
  8. 【請求項8】 請求項1のポリペプチドを作製する方法であって、 a)前記ポリペプチドの発現に好適な条件の下で、請求項1のポリペプチドを
    コードするポリヌクレオチドに機能的に結合されたプロモーター配列を含む組換
    えポリヌクレオチドで形質転換された細胞を培養するステップと、 b)そのように発現したポリペプチドを回収するステップとを含むことを特徴
    とする請求項1のポリペプチドの製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1のポリペプチドに特異的に結合する単離された抗
    体。
  10. 【請求項10】 単離されたポリヌクレオチドであって、 a)SEQ ID NO:56−110からなる一群から選択されたポリヌクレオチド配列、 b)SEQ ID NO:56−110からなる一群から選択されたポリヌクレオチド配列と
    少なくとも90%の配列同一性を有する自然発生のポリヌクレオチド配列、 c)前記a)に相補的なポリヌクレオチド配列、 またはd)前記b)に相補的なポリヌクレオチド配列を含むことを特徴とする
    単離されたポリヌクレオチド。
  11. 【請求項11】 請求項10のポリヌクレオチドの少なくとも60個の連
    続するヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチド。
  12. 【請求項12】 請求項10のポリヌクレオチド配列を有するサンプル内
    の標的ポリヌクレオチドを検出する方法であって、 a)前記サンプル中の前記標的ポリヌクレオチドと相補的な配列を含む少なく
    とも16個の連続するヌクレオチドを含むプローブと前記サンプルとをハイブリ
    ダイズするステップであって、前記プローブと前記標的ポリヌクレオチドとによ
    ってハイブリダイゼーション複合体が形成される条件の下で、前記プローブが前
    記標的ポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズする、該ステップと、 b)前記ハイブリダイゼーション複合体の存在の有無を検出し、存在する場合
    には随意選択でその量を測定するステップとを含むことを特徴とする標的ポリヌ
    クレオチドを検出する方法。
  13. 【請求項13】 前記プローブが少なくとも30個の連続するヌクレオチ
    ドを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記プローブが少なくとも60個の連続するヌクレオチ
    ドを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
  15. 【請求項15】 有効量の請求項1のポリペプチド及び医薬的に容認でき
    る賦形剤を含む医薬品組成物。
  16. 【請求項16】 請求項15の医薬品組成物を患者に投与することを含む
    、機能的NuABPの発現の低下に関連する疾患やその症状の治療方法。
  17. 【請求項17】 請求項1のポリペプチドのアゴニストとして効果的な化
    合物をスクリーニングする方法であって、 a)請求項1のポリペプチドを含むサンプルを化合物に曝露するステップと、 b)前記サンプルのアゴニスト活性を検出するステップとを含むことを特徴と
    するスクリーニング方法。
  18. 【請求項18】 請求項17のスクリーニング方法によって同定されたア
    ゴニスト化合物及び医薬的に容認できる賦形剤を含む医薬品組成物。
  19. 【請求項19】 請求項18の医薬品組成物を患者に投与することを含む
    、機能的NuABPの発現の低下に関連する疾患やその症状の治療方法。
  20. 【請求項20】 請求項1のポリペプチドのアンタゴニストとして効果的
    な化合物をスクリーニングする方法であって、 a)請求項1のポリペプチドを含むサンプルを化合物に曝露するステップと、 b)前記サンプルのアンタゴニスト活性を検出するステップとを含むことを特
    徴とするスクリーニング方法。
  21. 【請求項21】 請求項20のスクリーニング方法によって同定されたア
    ンタゴニスト化合物及び医薬的に容認できる賦形剤を含む医薬品組成物。
  22. 【請求項22】 請求項21の医薬品組成物を患者に投与することを含む
    、機能的NuABPの過剰な発現に関連する疾患やその症状の治療方法。
  23. 【請求項23】 請求項4の配列を含む標的ポリヌクレオチドの発現を効
    果的に変える化合物をスクリーニングする方法であって、 a)前記標的ポリヌクレオチドを含むサンプルを化合物に曝露するステップと
    、 b)前記標的ポリヌクレオチドの発現の変化を検出するステップとを含むこと
    を特徴とするスクリーニング方法。
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