JP2003520864A - ナノ多孔質薄膜構造への前駆体として架橋に用いられる反応性基を有する骨格を持ったポリマー - Google Patents

ナノ多孔質薄膜構造への前駆体として架橋に用いられる反応性基を有する骨格を持ったポリマー

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JP2003520864A
JP2003520864A JP2000611602A JP2000611602A JP2003520864A JP 2003520864 A JP2003520864 A JP 2003520864A JP 2000611602 A JP2000611602 A JP 2000611602A JP 2000611602 A JP2000611602 A JP 2000611602A JP 2003520864 A JP2003520864 A JP 2003520864A
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リユン,ロジヤー
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Abstract

(57)【要約】 架橋に用いられる反応性基を有する骨格を持ったポリマーからナノ多孔質材料が作製される。好ましい方法および組成物の1態様においては、骨格における前記反応性基はジエンおよびジエノフィルである。前記ジエンは有利にはテトラサイクロンを有することができ、前記ジエノフィルは有利にはエチニルを有することができる。好ましい方法および組成物の別の態様では、骨格における前記反応性基は共役系で含まれている。特に好ましいポリマー鎖は、ジフルオロ芳香族部分と芳香族ビスフェノール部分から合成されるポリ(アリーレンエーテル)を有する。ジフルオロ芳香族部分の一部が熱不安定性部分を有するような形で、ポリ(アリーレンエーテル)のジフルオロ芳香族部分を修飾することがさらに好ましい。さらに別の態様において有利には、外部架橋剤に依存することなく架橋を生じさせることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本願は、1999年4月9日出願の米国暫定出願60/128465号の恩恵
を請求するものである。
【0002】 (技術分野) 本発明の分野は、ナノ多孔質材料である。
【0003】 (背景技術) 集積回路における機能性素子の大きさが小さくなるに連れて、複雑さおよび相
互接続性が増している。最新の集積回路において高まっている配線要求に応える
ため、オン−チップ配線が開発された。そのような配線は一般に、低誘電率材料
に埋め込まれた複数層の金属導電体線からなる。そのような材料における誘電率
は、集積回路の性能に対してかなり大きく影響する。低誘電率(すなわち、2.
2以下)を有する材料によって信号速度が大きくなり、サイクル時間が短縮され
ることから、そのような材料が望ましい。さらに、誘電率を低下させると容量効
果が低下するために、導電体線間のクロストークが減り、集積回路を駆動するた
めの電圧が低くなる場合が多い。
【0004】 絶縁体材料において低い誘電率を得る一つの方法としては、固有に低い誘電率
を有する材料を用いるというものがある。近年では、無機酸化物と有機ポリマー
という2種類の異なる低誘電率材料が用いられている。無機酸化物は多くの場合
で3〜4の誘電率を有し、0.25μmより大きい設計基準での配線に広く用い
られている。配線寸法が小さくなるに連れて、さらに低い誘電率の材料がより望
ましくなる。有機ポリマーは、高い熱安定性、加工の容易さ、低応力/TCE、
低誘電率および高抵抗などの多くの有利な特性を示していることから、0.18
μmおよびさらに寸法の小さい次世代に対する代替の低誘電率ポリマーであると
考えられている。
【0005】 他の特性に関して望ましい誘電体は、水分およびガス放出の問題がなく、好適
な粘着性および空隙充填性を有し、温度サイクリングおよびCMPプロセス(す
なわち化学的機械的研磨)に対する好適な寸法安定性をも持たなければならない
。好適な誘電体はさらに、少なくとも300℃、好ましくは500℃以上のTg
値(ガラス転移温度)を持たなければならない。
【0006】 0.07μmおよびそれ以下の設計基準へのニーズを考えると、2.2より低
い誘電率を有する材料へのニーズが強くなることが示唆される。そのために、ナ
ノ多孔質に設計された誘電体材料の開発が進められている。空気は約1.0の誘
電率を有することから、主たる目標はナノ多孔質材料の誘電率を1という理論限
界に向かって低下させることにある。
【0007】 ナノ多孔質材料の製造については、当業界でいくつかの方途が知られている。
ある方途では、熱安定性ポリマーを熱不安定性(熱分解可能)ポリマーと混合す
る。得られた混合物を架橋させ、熱不安定性部分を熱分解する。その例が米国特
許57769990号(Hedrickらへ)に記載されている。別の方途では、単一
のブロック共重合体で熱不安定性ブロックと熱安定性ブロックを交互に配置する
。そのブロック共重合体を加熱して、熱不安定性ブロックを熱分解する。第3の
方途では、熱安定性ブロックと熱不安定性部分を有する熱安定性ブロックとを混
合し、重合させて共重合体を得る。次にその共重合体を加熱して、熱不安定性ブ
ロックを熱分解する。さらに第4のアプローチでは、小さい中空ガラス球を材料
に導入する。例が米国特許5458709号(Kamezakiへ)および米国特許55
93526号(Yokouchiへ)にある。
【0008】 空隙の導入に用いる方途とは無関係に、ナノ多孔質材料製造においては構造上
の問題が生じる場合が非常に多い。特には、臨界範囲(公知のナノ多孔質材料で
は通常約30%)を超えて多孔性が高まると、多孔質材料が破壊が生じる傾向が
ある。熱安定性部分と他の熱安定性部分とを連結することでより強固な網目構造
を形成する架橋性添加物を加えることで、破壊をある程度防止することができる
【0009】 ナノ多孔質材料における熱安定性部分を架橋するのに、当業界では2種類の異
なる技術が知られている。一方の技術では、特定の架橋性官能基がすでにポリマ
ーに組み込まれている。そのような官能基を共に反応させてポリマーを架橋させ
てから、熱不安定性部分の熱分解を行う。例えば、ブロック共重合体にトラニル
官能基を持たせ、エチニル官能基を用いてポリイミドポリマーを架橋することが
知られている。それを先行技術の図1にグラフで示してある。この図においては
、2本の独立のポリマー鎖10A、10Bが懸垂基として架橋性官能基X1およ
びX2を、そして懸垂基および骨格の一部の両方として熱不安定性部分Lを有し
ている。架橋が進行するに連れて、X1とX2が反応して架橋Yを形成すること
により、2本の鎖10A、10Bを共有結合的に連結して単一の架橋ポリマー1
0Cとする。
【0010】 他方の技術では、架橋に外部からの架橋性分子を用いる。次に架橋したポリマ
ーを加熱して、熱不安定性部分を熱分解する。例えば米国特許5710187号
(Streckle, Jr.へ)では、外部から加えた多官能性アシル−またはベンジルハ
ライドを用いて芳香族モノマーを架橋する。それは先行技術の図2にグラフで示
してある。その図では、2本の独立のポリマー鎖20A、20Bがやはり架橋性
官能基X1およびX2を懸垂基として、そして懸垂基および骨格の一部の両方と
して熱不安定性部分Lを有する。架橋が進行するに連れて、X1およびX2が外
部の架橋性分子X3と反応することで架橋Yを形成し、2本の鎖20A、20B
を共有結合的に連結して単一の架橋ポリマー20Cとする。
【0011】 ナノ多孔質材料における熱安定性部分の架橋には重大な制限がある。特に、外
部架橋性ポリマーを用いる場合、架橋剤が重合反応を妨害することなく熱安定性
部分と特異的に反応することが要求される。さらに架橋剤は、ブロックポリマー
またはモノマーと同じ溶媒系に可溶でなければならない。従って、熱安定性部分
および熱不安定性部分の化学構造および反応性によって、外部架橋性分子の性質
が決まる場合が非常に多い。別の制限としては、ポリマー中に「組み込まれた」
特定の架橋性官能基を用いると、ポリマーの複雑さが増すことから、モノマー合
成において複雑な問題を生じる場合が多いという点である。官能基を加えること
でポリマー反応が妨害される場合もあり、特に比較的複雑な架橋性官能基を用い
る場合には、ポリマーの機械的および電気的特性が不利な形で変化する可能性が
あると考えられる。
【0012】 要約すると、ナノ多孔質材料においてポリマーを架橋するには各種方法が知ら
れている。しかしながら、現行の方法ではモノマー合成が複雑になる場合が非常
に多いか、あるいは重合反応またはナノ多孔質材料の物理化学的特性が妨害され
る傾向がある。驚くべきことに、ナノ多孔質材料における各種特性を改善すべく
多大な努力が行われ、ナノ多孔質材料における架橋改善に関してかなりの研究が
行われているにも拘わらず、(a)外部架橋性分子に頼らず、(b)モノマーに
懸垂官能基を付加することなく、架橋を行う一般法がない。従って現在もなお、
上記の制限をなくすような方法および組成物が望まれている。
【0013】 (発明の開示) 本発明は、可撓性構造部分を有し、架橋に用いられる反応性基を有する骨格を
持ったフッ素化ポリマーおよび非フッ素化ポリマーからナノ多孔質材料を形成す
る方法および組成物を提供する。
【0014】 好ましい実施態様の1態様において、骨格における反応性基はジエンおよびジ
エノフィルを有する。さらに好ましい実施態様では、前記ジエンはテトラサイク
ロンを有し、前記ジエノフィルはトラニルの形でのエチニルを有する。
【0015】 好ましい実施態様の別の態様において、骨格における反応性基は共役系で含ま
れている。特に好ましい実施態様においてポリマー鎖は、フッ素化ジフルオロ芳
香族部分とフッ素化芳香族ビスフェノール部分から合成されたフッ素化ポリ(ア
リーレンエーテル)を有する。さらに好ましい実施態様において、前記ポリ(ア
リーレンエーテル)のジフルオロ芳香族部分が、ジフルオロ芳香族部分の一部が
熱不安定性部分を有するような形で修飾されている。
【0016】 好ましい実施態様のさらに他の態様では、外部架橋剤に依存することなく架橋
が起こる。
【0017】 本発明の各種目的、特徴、態様および利点については、添付の図面とともに、
本発明の好ましい実施態様に関する下記の詳細な説明からより明らかになろう。
図面において同様の数字は同様の構成要素を表す。
【0018】 図面の簡単な説明 図1は、熱不安定性基を有するポリマー鎖の架橋を描いた先行技術の図式であ
る。
【0019】 図2は、外部架橋性分子を用いた、熱不安定性基を有するポリマー鎖の架橋を
描いた先行技術の図式である。
【0020】 図3は、本発明の主題の1態様による熱不安定性基を有するポリマー鎖の架橋
を描いた図式である。
【0021】 図4は、本発明の主題の別の態様による熱不安定性基を有するポリマー鎖の架
橋を描いた図式である。
【0022】 図5は、ポリ(アリーレンエーテル類)製造のための一般的合成図式である。
【0023】 図6A〜6Jは、本発明の手段によって想到されるジフルオロ芳香族化合物の
構造である。
【0024】 図7は、テトラサイクロン含有アリーレンエーテルポリマー製造のための合成
図式である。
【0025】 図8は、ポリマー鎖への熱的に不安定性な成分を組み込むための合成図式であ
る。
【0026】 図9Aおよび9Bは、本発明の主題によるテトラサイクロン含有ポリ(アリー
レンエーテル類)を生じるジフルオロ芳香族モノマーの構造である。
【0027】 図10および11は、本発明の主題によるテトラサイクロン含有およびエチニ
ル含有ポリ(アリーレンエーテル類)を生じるジフルオロ芳香族モノマーの構造
である。
【0028】 図12A〜12Iは、本発明の主題によるポリマー鎖における繰り返し部分の
構造である。
【0029】 (発明を実施するための最良の形態) 図3において、2種類のポリマー鎖30A、30Bは複数の熱不安定性基Lを
有する。各ポリマー鎖は骨格を規定しており、各骨格には反応性基XおよびX がある。鎖30Aおよび30Bは、外部架橋性分子を加えずに、反応性基X とXの間の架橋反応で架橋する。架橋反応によって架橋Zが生じることで、鎖
30A、30Bが共有結合的に連結されるか、あるいは恐らくはさらに連結して
ポリマー30Cを形成する。さらに別の段階で(不図示)、熱不安定性基Lを熱
分解して空隙が残るようにする。空隙が十分小さく、十分良好に分布していると
、そうして得られる材料はナノ多孔質ポリマーとなる。
【0030】 図4は、反応性基Xが鎖40Aにおける骨格の一部を形成し、反応性基X が鎖40Bにおける骨格に対して懸垂している以外、図3と非常に類似している
。そうではあっても、架橋反応が進行することで、架橋Zおよび架橋されたポリ
マー40Cが生じる。
【0031】 図3および4に示した図式は、一般化した形で概観するためのものである。本
明細書で使用する場合、例えば「ポリマー鎖」という用語は、共有結合的に結合
して骨格を規定するモノマーの組成物を指し、架橋を会して連結されたもの以外
の懸垂基を有することができる。
【0032】 本明細書で使用される「モノマー」という用語は、それ自体または化学的に異
なる化合物と繰り返しの形で共有結合を形成することができる化合物を指す。モ
ノマー間の繰り返し結合形成によって、直鎖、分岐、超分岐(super-branched)
または3次元生成物を生じることができる。モノマーは、有機、有機金属または
無機分子などの各種化学種の分子に属するものであることができる。有機モノマ
ーの例としては、アクリルアミド、塩化ビニル、フルオレンビスフェノールまた
は3,3’−ジヒドロキシトランがある。有機ケイ素モノマーの例としては、オ
クタメチルシクロテトラシロキサン、メチルフェニルシクロテトラシロキサンな
どがある。無機SiOまたはAl構造を生じる無機モノマーの例として
は、最も一般的に使用されるテトラエトキシシラン(TEOS)およびアルミニ
ウムエトキシドなどがある。モノマーの分子量は、約40ダルトン〜20000
ダルトンの間で大きく変動し得る。モノマーにはさらに、熱不安定性基または架
橋のための官能基があっても良い。例えばモノマーは、ポリ(プロピレンオキサ
イド)、ポリカーボネート類、ポリ(メチルメタクリレート)、各種スチレン系
ポリマー類またはエチニル−もしくはテトラサイクロン基を有することができる
。モノマーはハロゲン化されていても良いことも想到され、好ましいハロゲンは
フッ素である。ハロゲン化、特にフッ素化は、モノマーの誘電率を低下させる効
果があって、間接的にナノ多孔質ポリマーの誘電率を低下させることができる。
【0033】 従ってこれらの定義下では、ポリマー鎖は直鎖、分岐、超分岐または3次元で
あることができ、熱不安定性部分と反応性基を有することができる。ポリマー鎖
は、有機または無機組成物を含むいかなる化学種に属することもできる。有機ポ
リマー鎖の例としては、ポリイミド類、ポリエステル類またはポリベンジル類な
どがある。有機ケイ素系ポリマー鎖の例としては、各種置換ポリシロキサン類な
どがある。無機ポリマー鎖の例としては、シリカまたはアルミナなどがある。ポ
リマー鎖はまた、非常に多様な芳香族系などの官能部分もしくは構造部分ならび
にフッ素原子もしくは−CF基などのハロゲン化基を有することもできる。ポ
リマー鎖はまた、化学反応に関与できる別の反応性基を有することもできる。想
到されるポリマー鎖の分子量は広い範囲に渡り、代表的には400ダルトン〜4
00000ダルトン以上の範囲である。
【0034】 特に好ましいポリマー鎖は、環系を有し、さらにはジエンおよびジエノフィル
を有する骨格架橋基を有するものである。特に好ましい種類は、前記ジエンがテ
トラサイクロンのシクロペンタジエノンである鎖を有する。そのような鎖は有利
には、フッ素化または非フッ素化ポリベンジルを有することができ、フッ素化ま
たは非フッ素化ジフルオロ芳香族化合物とフッ素化または非フッ素化芳香族ビス
フェノール化合物から製造することができる。より好ましい実施態様では、前記
芳香族ビスフェノール化合物はフルオレンビスフェノールを有し、前記ジフルオ
ロ芳香族化合物はトランを有する。さらに好ましい実施態様では、前記ジフルオ
ロ芳香族化合物はテトラサイクロンを有する。
【0035】 他の好ましい実施態様は、前記芳香族ビスフェノール化合物の芳香族部分の修
飾あるいは前記ジフルオロ芳香族化合物の芳香族部分の修飾を特徴とすることが
できる。そのような修飾には、異性体変化あるいは芳香族基の付加もしくは脱離
などがあり得る。例えば、テトラサイクロン、ハロゲン、アミド、アルコール、
脂肪族もしくは芳香族置換基を、3,3’−ジヒドロキシトランの芳香族部分に
導入することができる。4,4’−ジフルオロベンジルの芳香族部分にも同様の
変更が想到される。さらに別の種類の変化では、sp−混成炭素原子を他の適
切な原子、例えば硫黄、酸素、窒素などに置き換えることができる。修飾でハロ
ゲン、特にフッ素の導入を行う場合、1個以上のフッ素原子が芳香族炭素原子に
共有結合的に結合できること、あるいは1以上のフッ素原子が非芳香族炭素原子
に共有結合的に結合できることが想到される。別法として、1以上のフッ素原子
が非芳香族炭素原子に共有結合的に結合し、1以上のフッ素原子が芳香族炭素原
子に共有結合的に結合することができる。
【0036】 さらに別の実施態様では、ポリマー鎖がポリベンジルとは完全に異なることが
できる。別のポリマー鎖には、有機、有機金属または無機ポリマーなどがある。
想到される有機ポリマーの例は、ポリイミド類、ポリエステル類およびポリシア
ヌレート類である。想到される有機金属ポリマーの例としては、ポリ(ジメチル
シロキサン)およびポリ(ビニルシロキサン)である。想到される無機ポリマー
の例は、ポリシリケート類およびポリアルミネート類である。実際のところ、想
到されるポリマー鎖は、1種類のモノマーを含む必要はなく、各種の異なるモノ
マーの混合物を含むことができる。
【0037】 本明細書で使用される「骨格」という用語は、ポリマー鎖を形成する原子また
は部分の連続鎖であって、その原子または部分のいずれかを除去すると鎖の中断
を生じると考えられるような形で共有結合しているものを指す。好ましい骨格は
芳香環系あるいは少なくとも一つの共役基を有する。しかしながら、想到される
組み合わせは他にも多くある。例えば想到される骨格は、特にC、N、O、S、
P、SiおよびAlなどの原子を含むことができる。さらに想到される骨格は、
フェニル、置換もしくは未置換シクロペンタジエニル基、熱不安定性基、芳香環
系ならびにフッ素化もしくは他の反応性基を有することができる。
【0038】 本明細書で使用される場合に「架橋」という用語は、2以上の分子または長分
子の2つの部分が化学的相互作用によって互いに連結するプロセスを指す。その
ような相互作用は、共有結合形成、水素結合形成、疎水性、親水性、イオン性も
しくは静電気的相互作用などの多くの多様な形で起こり得る。さらに分子相互作
用は、1以上の分子とその分子自体との間あるいは2個以上の分子間の少なくと
も一時的な物理的連結を特徴とすることもできる。従って、本発明の主題による
ポリマー鎖がそれ自体と架橋し得ることが想到される。
【0039】 架橋は代表的には各種反応性基が介在し、多くの機構によって生じ得る。共有
結合が2種類の反応性基間で形成される場合、それは付加、脱離または置換など
の多様な化学反応機構によって形成され得る。例としては、求核付加もしくは親
電子付加、E1−もしくはE2−型脱離、求核置換および芳香族置換である。架
橋は自然プロセスであることができるか、あるいはエネルギーもしくは触媒を必
要とする場合がある。そのようなエネルギーの例としては、熱エネルギー、放射
線、機械、電気もしくは電磁エネルギーがある。触媒の例としては、酸、塩基お
よびパラジウムコーティング活性炭がある。さらに別の実施態様では、架橋には
外部架橋剤が関与する場合または関与しない場合があり、外部架橋剤は単一分子
を含む場合があり、架橋性分子自体もオリゴマーあるいはポリマーであっても良
い。
【0040】 架橋に使用される鎖における反応性基の数は非常に多様であり得ることも想到
される。それは代表的には、必要な架橋の強度、ならびに個々の架橋連結の強度
によって決まる。例えば2個の1本鎖核酸間で室温にて安定な架橋を形成するに
は、最小で約25〜30の水素結合が必要である。それとは対照的に、さらに高
い安定性を有する架橋を得るには、1個の共有結合のみが必要である。架橋形成
に関与する反応性基の数は広い範囲で変動し得ることも想到される。例えば架橋
に関与する反応性基は5%と少ない場合があるが、架橋にはポリマー鎖における
全ての利用可能な反応性基の90%超が関与することもできる。好ましい反応性
基は互いに同一ではないが、反応性基が全て互いに同一であることも想到される
【0041】 本明細書で使用される「反応性基」という用語は、架橋または懸垂基とのカッ
プリングで使用されるだけの反応性を有する要素または要素の組合せを指す。反
応性基は、末端を含む骨格のあらゆる位置にあることが想到される。好ましい実
施態様では、前記ジエンはテトラサイクロンを有することができ、前記ジエノフ
ィルはエチニル基を有することができる。他の実施態様では、別の反応性基が求
核中心または求電子中心を有することができる。
【0042】 本明細書で使用される「熱安定性」という用語は、材料が代表的には300℃
〜450℃の範囲の高温に耐える傾向を指す。好ましい実施態様では、ポリマー
の熱安定性部分はポリベンジルを有する。より好ましい実施態様では、前記ポリ
ベンジルはジフルオロ芳香族化合物および芳香族ビスフェノール化合物から製造
され、それらの両化合物はフッ素化されていても良い。さらに好ましい実施態様
では、前記芳香族ビスフェノール化合物はフルオレンビスフェノールを有し、前
記ジフルオロ芳香族化合物はトランを有する。さらに好ましい実施態様では、前
記ジフルオロ芳香族化合物はテトラサイクロンを有する。
【0043】 本明細書で使用される「熱不安定性」という用語は、代表的には250℃〜4
00℃の範囲の高温を超えると材料が分解する性質を指す。理解すべき点として
、図3および図4における熱不安定性基は末端を含む骨格のあらゆる位置にあっ
ても良い。好ましい熱不安定性基には、ポリプロピレンオキサイド、ポリラクチ
ド類、ポリカーボネート類またはポリメチルメタクリレートなどがある。好まし
い実施態様では、熱不安定性部分は、ポリマー鎖におけるジフルオロ芳香族部分
内のポリベンジルポリマーに結合し、エチレングリコール−ポリ(カプロラクト
ン)を有する。より好ましい実施態様では、前記ジフルオロ芳香族部分の少なく
とも5〜25%が、平均分子量3000ダルトンを有するエチレングリコール−
ポリ(カプロラクトン)を有する。
【0044】 熱不安定性基Lは有利には、連結基部分を有することができる。しかしながら
「連結基部分」という用語は、本明細書においては広く解釈して、ポリマーにお
ける反応性基と反応できるあらゆる種類の化学部分を意味するものとする。置換
、脱離および付加などの多くの種類の反応が関与して共有結合を形成することが
できる。例としては、エステル化、アミド化、エポキシ化などがある。連結基部
分の大きさは、分子量約20ダルトン〜約500ダルトン以上でかなり変動し得
る。比較的小さい連結基部分の例としては、酸性基、塩基性基、求核基および求
電子基がある。別の小さい連結基部分には例えば、R−COH、R−CO−R
’、R−NH、R−SH、R−ハロゲンなどがある。比較的大きい連結基部分
の例としては、テトラサイクロン類、シクロペンタジエン基または特に1,2−
ジアミノベンゼン類または1,3−ジフェニルプロパン−2−オン類などの2官
能性脂肪族基がある。さらには、別の連結基部分は一種類の官能基または一種類
の置換基を有する必要はなく、別の連結基部分が各種の異なる連結基部分の組合
せであることもできることが想到される。
【0045】 別の連結基部分が共有結合形成に関与する必要がないことも想到される。適切
な別の連結基は、疎水性、静電気−イオン性相互作用、錯体形成または水素結合
などの非共有結合性カップリングに関与することもできる。例としては、ロイシ
ンジッパー(zipper)様構造、高極性基、多価カチオン基または多価アニオン基
、ならびに多座配位子型基がある。連結基部分とポリマーの間の化学結合は、中
間体の末端位を含むポリマー鎖における各種位置で形成することができる。連結
基部分はまた、末端を含む熱不安定性基のいかなる部分にあっても良い。
【0046】 本明細書で使用される「分解」という用語は、共有結合の切断を指す。そのよ
うな結合切断は、異方性、ラジカルおよび等方性切断などの多くの形で生じ得る
。結合の切断は完全である必要はない。すなわち切断可能な結合が全て開裂しな
ければならないとは限らない。さらに結合の切断は、一部の結合での方が他の結
合より速く起こる場合がある。例えばエステル結合はアミド結合より安定性が低
いのが一般的であることから、相対的に速く開裂する。結合が切断されることで
、互いに異なる断片が放出されることもあり、それらの相違は分解部分の化学組
成によって決まる。熱分解に関与するエネルギーとしては、熱エネルギー、電磁
エネルギー、機械エネルギー、微粒子または非微粒子照射などがあり得る。例え
ば適切なエネルギーとしては、α線照射、超音波処理、マイクロ波または加熱が
考えられる。
【0047】 従って、本明細書に開示の方法を多くのナノ多孔質材料の作製において有利に
用いることができることが想到される。その一般法には、各ポリマー鎖が熱不安
定性部分を有し、複数の反応性基を有する骨格を規定する複数のポリマー鎖を提
供する段階;1以上の前記反応性基を用いて前記ポリマー鎖を架橋するために第
1のエネルギーを提供する段階;ならびに少なくとも部分的に前記熱不安定性部
分を分解するために第2のエネルギーを提供する段階がある。
【0048】 上記方法で使用されるポリマー鎖を変えることで、非常に多様なナノ多孔質材
料を作製することができる。本明細書で使用する場合の「ナノ多孔質材料」とい
う用語は、約1nm〜約1000nmの範囲の直径を有するかなりの数の空隙を
有する材料を指す。ナノ多孔質材料に関して想到される組成物には、合成ポリマ
ー、無機材料および有機ケイ素化合物などがある。合成ポリマーの例としては、
ポリエーテル類、ポリイミド類またはポリエステル類などがある。無機材料の例
としては、シリカまたはアルミノシリケート類ならびにセラミック材料などがあ
る。有機ケイ素化合物の例としては、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(ビニ
ルシロキサン)およびポリ(トリフルオロプロピルシロキサン)などがある。
【0049】 ナノ多孔質材料は、それの部分がガスによって置換されている程度を特徴とし
得る。ガスの組成はあまり重要ではなく、適切なガスには比較的純粋なガスおよ
びそれの混合物などがある。空気(主としてNとOの混合物)が通常はナノ
多孔質材料の「空隙」に入っているが、窒素、ヘリウム、アルゴン、COまた
はCOなどの純粋なガスも想到される。ナノ多孔質材料は、その空隙の構造を特
徴とする場合もある。ナノ多孔質材料は代表的には球形空隙を有するが、別形態
としてまたは球形以外に、管状、ラメラ状、円盤状の空隙を有していても良く、
他の形状を有する空隙を有することもできる。さらに、ナノ多孔質材料における
空隙の一部は、約1μmよりかなり大きかったり小さかったりすることができる
。ナノ多孔質材料は多くの異なる形状を有することができ、薄膜、プレート、球
、ブロックまたは柱状物などがあるが、これらに限定されるものではない。ナノ
多孔質材料はさらに、充填剤、界面活性剤および可塑剤などの別の材料を含むこ
ともできる。
【0050】 第1のエネルギーを提供する段階に関しては、そのエネルギーは好ましくは熱
エネルギーであり、特定の実施態様ではそのエネルギーを用いてポリマー鎖を3
0分間にわたり約250℃まで加熱する。別の観点で見ると、第1のエネルギー
は好ましくは、架橋において利用可能な全ての反応性基の少なくとも20%に関
与するのに十分なものである。しかしながら別形態として加熱では、150℃〜
250℃の温度などのいずれか好適な温度が関与する場合もある。さらに別の実
施態様では、加熱期間は数秒以下から数時間以上まで非常に大きく変動し得る。
さらに別の実施態様では、前記第1のエネルギーは熱エネルギーである必要はな
いが、各種電磁放射(例:UV−、レーザー、X線または赤外線照射)、機械的
エネルギー(例:超音波処理または物理的圧力)ならびに粒子放射(例:α線ま
たはβ線放射)などの好適な形のエネルギーが関与しても良い。
【0051】 分解段階に関しては、エネルギーは好ましくはやはり熱エネルギーである。特
定の実施態様においては、そのような加熱によって有利に、約20分間にわたり
約350℃の温度に到達させることができる。別の実施態様では、温度はかなり
変動し得るものであり、それは架橋したポリマー鎖の熱不安定性部分および熱安
定性部分の性質によって決まる。想到される温度は200℃以下〜約450℃以
上の範囲である。さらに別の実施態様では、熱不安定性部分を分解するのに必要
な時間は、数秒未満から数時間以上で非常に大きく変動することが想到される。
やはり、使用されるエネルギーは純粋に熱的なエネルギーとは異なるものであっ
ても良いことが想到される。
【0052】 本明細書に記載のナノ多孔質ポリマーは、一部の点に関して米国特許5874
516号(Burgoyane et al. (Feb. 1999)に対して)(引用によって本明細書に
含まれる)に記載のものと類似しており、その特許に記載の方法と実質的に同様
に用いることができる。例えば、本明細書に記載のナノ多孔質ポリマーを、マル
チチップモジュール、層間誘電体、保護コーティングの作製に用いることができ
、さらには回路基板またはプリント配線基板における基板として用いることがで
きることが想到される。さらに、本明細書に記載のナノ多孔質ポリマーの薄膜ま
たはコーティングは、噴霧、スピンコーティングまたは鋳造などの溶液法によっ
て形成することができ、スピンコーティングが好ましい。好ましい溶媒は2−エ
トキシエチルエーテル、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、トルエン、キシ
レン、クロロベンゼン、N−メチルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミド、メチルイソブチルケトン、2−メトキシエ
チルエーテル、5−メチル−2−ヘキサノン、γ−ブチロラクトンおよびそれら
の混合物である。代表的にはコーティングの厚さは約0.1〜約15μmである
。誘電体中間層としては、薄膜の厚さは2μm未満である。安定剤、難燃剤、顔
料、可塑剤、界面活性剤などポリマー業界で従来公知であるような添加物を用い
て、特定の標的特性を向上または付与することもできる。適合性または非適合性
のポリマーを混合して、所望の特性を与えることができる。接着促進剤を用いる
こともできる。そのような促進剤の代表的なものとしてはヘキサメチルジシラザ
ンがあり、それを用いて、水分もしくは湿度に曝露された二酸化ケイ素などの表
面上に存在し得る利用可能な水酸基官能基と相互作用させることができる。超小
型電子分野用のポリマーは望ましくは、特に誘電体中間層の場合には低レベルの
(通常は1ppm未満、好ましくは10ppb未満)のイオン性不純物を含む。
【0053】 実施例 以下の実施例は、本発明の主題の原理を示すものである。図5に、ポリ(アリ
ーレンエーテル)ポリマー鎖作製の一般的合成図式を示してある。ARおよびA
R’は独立に、好適な熱的に安定な構造、ほとんどの場合芳香族部分または縮合
芳香族部分を有することができ、図5における実施例では、HO−C−A
R−C−OHがフルオレンビスフェノールであり、F−C−AR’
−C−Fが1以上のトラン部分を有するジフルオロ芳香族化合物である。
【0054】 例としてフルオレンビスフェノールと4−フルオロ−3’−(4−フルオロベ
ンゾイル)トランとの間の反応が挙げられる求核芳香族置換における一般的合成
手順は次の通りである。磁気攪拌子、熱電対、ディーン−スタークトラップ、冷
却管およびN導入−排出管を取り付けた1リットル三頸丸底フラスコをN
数時間パージし、温スルホラン0.2リットルを加えた。70〜80℃で、フル
オレンビスフェノール(FBP)35.042g(0.1000モル)、4−フ
ルオロ−3’−(4−フルオロベンゾイル)−トラン(FBZT)31.832
0g(0.1000モル)および炭酸カリウム27.64g(0.2モル)を加
え、温スルホラン165mLおよびトルエン165mLで洗浄した。反応物を加
熱して140℃とし、その温度で1〜2時間共沸させ、トルエンを除去すること
で徐々に昇温させて175℃とし、15〜20時間にわたって共沸させながら反
応を175℃で続けた。温度を165℃まで下げ、4−フルオロベンゾフェノン
を加え、末端キャッピングを5時間続けた。反応物をNMP165mLで希釈し
、終夜放置した。冷反応物を濾紙で濾過し、MeOH(0.03%HNO)で
5回再沈殿し、NMPに再度溶かし、MeOH(0.01%HNO)で5回再
沈殿した。沈殿を濾紙を用いて濾過し、MeOH 1リットルを用いて濾紙上で
3回洗浄し、真空乾燥機で60〜70℃にて終夜乾燥させた。
【0055】 実施例1 図6A〜6Jにはジフルオロ芳香族化合物の構造の例を示してある。これらの
新規組成物は、未硬化ポリ(アリーレンエーテル)に可撓性構造部分を組み込む
ことで、ポリマーの可撓性、低溶融粘度ならびに溶液製剤およびシクロヘキサノ
ンなどの一般的溶媒およびアニソールやフェネトールなどのスピンコーティング
を容易にする上で有用な芳香族エーテル中での高溶解度を維持する上で特に有利
である。これら化合物とフルオレンビスフェノールとの均一な物理的混合物をシ
リコンウェハ表面その他のターゲット表面上にスピンコーティングし、次に熱的
に活性化させて重合および架橋反応を行わせることで、300℃より低い温度で
熱的に安定な網目構造を形成することができる。熱不安定性基が組み込まれてお
り(例:図4に示したもの)、得られるポリマーをさらに加熱する場合、熱不安
定性基が分解し、揮発して、網目構造に空隙を生じる。得られる網目構造は、架
橋反応およびそれの高温ポリマー構造特性により、400℃を超える高いガラス
転移温度を有する。図6Aおよび6Bに示した構造についての一般的合成図式は
以下の通りである。
【0056】
【化1】
【0057】 図6C、6E、6Fおよび6Gに示した構造についての一般的合成図式は以下
の通りである。
【0058】
【化2】
【0059】 図6D、6H、6Iおよび6Jに示した構造についての一般的合成経路は以下
の通りである。
【0060】
【化3】
【0061】 実施例2 図7には、テトラサイクロンを有するポリ(アリーレンエーテル)の製造に関
する合成図式を示してある。140〜160℃で24時間にて重合は良好に進行
し、他のポリ(アリーレンエーテル)の場合と同じ手順を用いてポリマーの後処
理を行った。テトラサイクロン含有ポリマー生成物は、マゼンタ赤色であり、最
終Mnが3000、Mwが5600、Mpが5200であり、PDが1.9であ
る。これら分子量は、140〜160℃で24時間ではなく160℃でそのまま
24時間重合を行うことで向上させることができる。しかしながら、硬化時にそ
のポリマーとFLAREポリマーとをより効果的に架橋させて比較的低密度のセ
クシ(sexi)フェニレン構造を形成することが可能であることから、中等度の分
子量を有する化学種がより有利な場合がある。
【0062】 実施例3 図8は、ポリマー鎖に熱的に不安定な要素を組み込むための一般的な反応条件
を含む合成図式であり、この図式においては、4−フルオロ−4’−ヒドロキシ
ベンゾフェノンをTHF(DEAD、PPh)中でエチレングリコール−ポリ
(カプロラクトン)と反応させて、4−フルオロベンゾフェノン末端キャッピン
グ熱不安定性ポリマーを製造する。得られた4−フルオロベンゾフェノン末端キ
ャッピング熱不安定性ポリマーを次に、芳香族ビスフェノール化合物とともにポ
リ(アリーレンエーテル)に組み込むことができる。
【0063】 実施例4 図9Aおよび9Bは、テトラサイクロン含有ポリ(アリーレンエーテル)を与
えるジフルオロ芳香族モノマーの想到される構造である。
【0064】 実施例5 図10および11では、想到される架橋性単位および熱的に不安定な単位を単
一のポリマー鎖に組み込んでいる。これら各ジフルオロ芳香族からのポリマーを
合成した後、上記の熱的に不安定な単位をポリマーに組み入れることができる。
別法として、4−フルオロベンゾイルフェニル末端キャッピング熱不安定性単位
とジフルオロ芳香族モノマーの両方をフルオレンビスフェノールと反応させるこ
とで、重合を実施することができる。
【0065】 実施例6 図12A〜12Iには、ポリマー鎖におけるフッ素化繰り返し部分の各種構造
を示してある。誘電体材料の誘電率を特定用途における具体的な要求に応じて調
整できることから、ポリマー鎖へのフッ素の導入が特に有利である。理解すべき
点として、芳香環系への共有結合によってフッ素を骨格に直接組み込んで、フル
オロ芳香族ポリマー鎖を形成することができる。別法として、芳香族または非芳
香族炭素原子に結合していても良い−CF基の形で骨格にフッ素を付加させる
ことができる。フッ素のポリマー鎖への導入は通常、図5に示したような一般的
プロトコールに従ってフッ素化ビスフェノール化合物および/または高度にフッ
素化された芳香族化合物を用いることで行われる。
【0066】 高フッ素化芳香族モノマーの代表的合成 標準的な装置で下記の反応を行った。最初のヘック(Heck)反応では、1−ハ
ロ−3,4,5−トリフルオロベンゼン(R=H、X=Br、I)を、80℃で
トリエチルアミン溶媒中パラジウム触媒下にエチニルトリメチルシランと反応さ
せて、中間体1−(トリメチルシリルエチニル)−3,4,5−トリフルオロベ
ンゼンを得た。それについて次に、メタノール中炭酸カリウム存在下で逆ファボ
ールスキー(Favorskii)反応を行って、1−エチニル−3,4,5−トリフル
オロベンゼンを得る。同様に、1−ハロ−2,3,4,5,6−ペンタフルオロ
ベンゼン(R=F、X=Br、I)を、80℃でトリエチルアミン溶媒中パラジ
ウム触媒下にエチニルトリメチルシランと反応させて、中間体1−(トリメチル
シリルエチニル)−2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゼンを得た。それ
について次に、メタノール中炭酸カリウム存在下で逆ファボールスキー反応を行
って、1−エチニル−2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゼンを得る。
【0067】 3−ブロモ−4’−フルオロベンゾフェノンと1−エチニル−3,4,5−ト
リフルオロベンゼンまたは1−エチニル−2,3,4,5,6−ペンタフルオロ
ベンゼンとの間の第2のヘック反応から、3,4,5−トリフルオロ−3’−(
4−フルオロベンゾイル)トランまたは2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−
3’−(4−フルオロベンゾイル)トランをそれぞれ合成した。
【0068】
【化4】
【0069】 別法として、上記で説明したヘック反応と同様の2種類で1組の反応を、3−
ブロモ−2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロベンゾフェノンと1−
エチニル−3,4,5−トリフルオロベンゼンまたは1−エチニル−2,3,4
,5,6−ペンタフルオロベンゼンとの間で実施して、それぞれ3,4,5−ト
リフルオロ−3’−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)トラン
または2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−3’−(2,3,4,5,6−ペ
ンタフルオロベンゾイル)トランをそれぞれ合成することができると考えられる
【0070】 このように、具体的な実施態様および層状誘電体構造の応用について開示した
。しかしながら、本発明における発明的概念から逸脱しない限りにおいて、上記
で説明した以外にもさらに多くの変更が可能であることは当業者には明らかであ
ろう。従って本発明の主題は、添付の特許請求の範囲に精神以外に制限を受ける
ものではない。さらに、本明細書および特許請求の範囲の両方を解釈するにおい
て、いずれの用語も文脈と一致する最も広い可能な形で解釈すべきである。詳細
には、「含む」および「有する」という用語は、非排他的な形での要素、構成要
素または段階を指し、言及される要素、構成要素または段階が、明瞭には言及さ
れていない他の要素、構成要素または段階とともに存在、あるいは利用、あるい
は組み合わせ可能であることを示しているものと解釈すべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 熱不安定性基を有するポリマー鎖の架橋を描いた先行技術の図式である。
【図2】 外部架橋性分子を用いた、熱不安定性基を有するポリマー鎖の架橋を描いた先
行技術の図式である。
【図3】 本発明の主題の1態様による熱不安定性基を有するポリマー鎖の架橋を描いた
図式である。
【図4】 本発明の主題の別の態様による熱不安定性基を有するポリマー鎖の架橋を描い
た図式である。
【図5】 ポリ(アリーレンエーテル類)製造のための一般的合成図式である。
【図6A】 本発明の手段によって想到されるジフルオロ芳香族化合物の構造である。
【図6B】 本発明の手段によって想到されるジフルオロ芳香族化合物の構造である。
【図6C】 本発明の手段によって想到されるジフルオロ芳香族化合物の構造である。
【図6D】 本発明の手段によって想到されるジフルオロ芳香族化合物の構造である。
【図6E】 本発明の手段によって想到されるジフルオロ芳香族化合物の構造である。
【図6F】 本発明の手段によって想到されるジフルオロ芳香族化合物の構造である。
【図6G】 本発明の手段によって想到されるジフルオロ芳香族化合物の構造である。
【図6H】 本発明の手段によって想到されるジフルオロ芳香族化合物の構造である。
【図6I】 本発明の手段によって想到されるジフルオロ芳香族化合物の構造である。
【図6J】 本発明の手段によって想到されるジフルオロ芳香族化合物の構造である。
【図7】 テトラサイクロン含有アリーレンエーテルポリマー製造のための合成図式であ
る。
【図8】 ポリマー鎖への熱的に不安定性な成分を組み込むための合成図式である。
【図9A】 本発明の主題によるテトラサイクロン含有ポリ(アリーレンエーテル類)を生
じるジフルオロ芳香族モノマーの構造である。
【図9B】 本発明の主題によるテトラサイクロン含有ポリ(アリーレンエーテル類)を生
じるジフルオロ芳香族モノマーの構造である。
【図10】 本発明の主題によるテトラサイクロン含有およびエチニル含有ポリ(アリーレ
ンエーテル類)を生じるジフルオロ芳香族モノマーの構造である。
【図11】 本発明の主題によるテトラサイクロン含有およびエチニル含有ポリ(アリーレ
ンエーテル類)を生じるジフルオロ芳香族モノマーの構造である。
【図12A】 本発明の主題によるポリマー鎖における繰り返し部分の構造である。
【図12B】 本発明の主題によるポリマー鎖における繰り返し部分の構造である。
【図12C】 本発明の主題によるポリマー鎖における繰り返し部分の構造である。
【図12D】 本発明の主題によるポリマー鎖における繰り返し部分の構造である。
【図12E】 本発明の主題によるポリマー鎖における繰り返し部分の構造である。
【図12F】 本発明の主題によるポリマー鎖における繰り返し部分の構造である。
【図12G】 本発明の主題によるポリマー鎖における繰り返し部分の構造である。
【図12H】 本発明の主題によるポリマー鎖における繰り返し部分の構造である。
【図12I】 本発明の主題によるポリマー鎖における繰り返し部分の構造である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA, BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,C Z,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,GH ,GM,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE, KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,L T,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE, SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,U A,UG,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 チエン,テン−アン アメリカ合衆国、ジヨージア・30097、ダ ラス、ミステイ・ウツズ・ドライブ・1889 Fターム(参考) 4J005 AA21 AA23 BA00

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ナノ多孔質材料の製造方法において、 各ポリマー鎖が熱不安定性部分を有し、複数の反応性基を有する骨格を規定す
    る複数のポリマー鎖を提供する段階; 1以上の前記反応性基を用いて前記ポリマー鎖を架橋するために第1のエネル
    ギーを提供する段階;ならびに 少なくとも部分的に前記熱不安定性部分を分解するために第2のエネルギーを
    提供する段階 を有することを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 前記反応性基が互いに同一である請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記骨格が芳香環基を有する請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記骨格が芳香環系を有する請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記骨格がフッ素化されている請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 1以上のフッ素原子が共有結合的に芳香族炭素原子に結合し
    ている請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 1以上のフッ素原子が共有結合的に非芳香族炭素原子に結合
    している請求項5に記載の方法。
  8. 【請求項8】 1以上のフッ素原子が共有結合的に非芳香族炭素原子に結合
    しており、1以上のフッ素原子が共有結合的に芳香族炭素原子に結合している請
    求項5に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記反応性基の1以上が求核中心を有する請求項1に記載の
    方法。
  10. 【請求項10】 前記反応性基の1以上が求電子中心を有する請求項1に記
    載の方法。
  11. 【請求項11】 前記ポリマー鎖の1以上をそれ自体と架橋させる段階をさ
    らに有する請求項1に記載の方法。
  12. 【請求項12】 外部架橋剤を加えずに架橋を生じさせる請求項1に記載の
    方法。
  13. 【請求項13】 前記ポリマー鎖の1以上が、ラジカルを発生させることな
    く、該ポリマー鎖の少なくとも別のものと架橋する請求項1に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記反応性基の1以上がジエンを有する請求項1に記載の
    方法。
  15. 【請求項15】 前記反応性基の1以上がジエノフィルを有する請求項1に
    記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記骨格が環系を有し、前記反応性基の1以上がジエンを
    有する請求項1に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記骨格が環系を有し、前記反応性基の1以上がジエノフ
    ィルを有する請求項1に記載の方法。
  18. 【請求項18】 フルオレンビスフェノールおよびジフルオロ芳香族化合物
    を用いて前記骨格を作製する段階をさらに有し、前記反応性基の1以上がテトラ
    サイクロンを有する請求項1に記載の方法。
  19. 【請求項19】 フルオレンビスフェノールおよびジフルオロ芳香族化合物
    を用いて前記骨格を作製する段階をさらに有し、前記反応性基の1以上がエチニ
    ル官能基を有する請求項1に記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記骨格をフッ素化ビスフェノール化合物およびフッ素化
    ジフルオロ芳香族化合物から作製し、前記複数の反応性基が1以上のテトラサイ
    クロンおよび1以上のエチニルを有する請求項1に記載の方法。
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