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ケージ様構造を主体とする低誘電定数有機誘電体
JP4795607B2
Japan
- Other languages
English - Inventor
ラウ,クライスラー リウ,フオン・チユワン コロリヨフ,ボリス ブルーク,エマ ジエレビン,ルスラン リヨン,ロジヤー
Description
translated from
発明の技術分野
本発明の分野は低誘電定数材料である。
【0002】
発明の背景
集積回路の相互接続性は機能素子の小型化と複雑化と共に向上する。増大する相互接続の必要に応えるために、複雑な構造の導体と絶縁体が開発されている。このような構造は一般に1種又は数種の低誘電定数材料から製造した多層絶縁体に埋込まれた多層金属導線から構成される。このような材料の誘電定数は集積回路の性能に非常に大きな影響を与える。誘電定数の低い(即ち3.0未満)絶縁体材料は一般に信号伝播速度が速く、容量性効果と導線間のクロストークが低下し、集積回路の駆動電圧が低下するので特に望ましい。
【0003】
絶縁材料の誘電定数を低くする方法の1つは元々誘電定数の低い材料を利用することである。一般に、近年では無機酸化物と有機ポリマーの2種の異なる低誘電定数材料が利用されている。無機酸化物は化学蒸着又はスピンオン法により付着することができ、誘電定数が約3〜4であり、0.25μmを上回るデザインルールのインターコネクトに広く使用されている。しかし、インターコネクトが小型化し続けるにつれ、更に誘電定数の低い材料が望ましくなる。
【0004】
1998年以来、0.25μmデザインルールの集積回路が生産されているが、1999年には0.18μm世代ICの生産が主流となり、誘電定数が3.0未満の材料が早急に必要になっている。デザインルールの小型化が続くにつれ、0.18μm未満のデザインルールが開発されつつあり、僅か数世代で0.07μm以下のデザインルールに達すると予想され、ナノ細孔度に設計した誘電材料の必要が増すと思われる。空気の誘電定数は約1.0であるので、主要目的は理論限界である1に向けてナノ多孔材料の誘電定数を下げることであり、ナノ多孔材料の製造方法として数種の方法が当分野で公知である。
【0005】
ある種の方法では、マトリックス材料にナノ寸法の中空球を組込んでナノ寸法の気孔を作り、ナノ寸法の球を「気孔キャリヤー」として機能させており、球はマトリックス材料から除去する場合としない場合がある。例えば、Kamezakiらの米国特許第5,458,709号において、発明者らは材料で中空ガラス球を使用することを教示している。しかし、ガラス球は一般に分布を制御しにくく、ガラス球の濃度が増すにつれて誘電材料は柔軟性や他の望ましい物理化学的性質を失う。更に、ガラス球は一般に20nmよりも大きく、従って、2nm未満の細孔が所望されるナノ多孔材料には適していない。
【0006】
ガラス球よりも実質的に小さい寸法の細孔を作るために、Rostokerらは米国特許第5,744,399号に気孔キャリヤーとしてのフラーレンの使用を記載している。フラーレンは32〜約960個の原子を含む天然形炭素であり、球形フラードームの構造をもつと考えられている。発明者らはマトリックス材料をフラーレンと混合し、混合物を硬化させてナノ多孔誘電体を製造しており、硬化マトリックスからフラーレンを除去することができる。こうして得られる細孔は一般に非常に寸法が均質であるが、気孔キャリヤーの均質分布にはまだ問題がある。
【0007】
他の方法として、熱安定性マトリックスと、熱安定性マトリックス材料に別途加える(物理的ブレンドアプローチ)か又はマトリックス材料に組込んだ(化学的グラフトアプローチ)熱不安定性(熱分解性)部分を含む組成物からナノ寸法気孔を作る方法もある。一般に、マトリックス材料をまず硬化させ、第1の温度TXLで架橋して高TGマトリックスを得た後、温度を第2の温度TT(TT<TG)まで上げて熱不安定性部分を熱分解し、第3の温度(TC、但しTC<TG)で後硬化させて寸法と位置が熱不安定性部分の寸法と位置に対応する気孔をもつ所望ナノ多孔材料を形成する。TCを上回る温度でナノ多孔材料を加熱し続けると、ナノ多孔材料は更にアニール及び安定化する。
【0008】
物理的ブレンドアプローチでは、熱安定性マトリックスを熱不安定性部分とブレンドし、ブレンドした混合物を架橋させ、熱不安定性部分を熱分解する。このアプローチの利点は、熱不安定性部分と熱安定性マトリックスを変更し易いことである。しかし、熱不安定性部分と熱安定性マトリックスの両者の化学的性質は一般にTXL<TT<TGとなるようにTXL、TT及びTGに使用可能な範囲を決定するので、利用可能な材料の選択が著しく制限される。更に、熱不安定性部分と熱安定性部分をブレンドすると、一般に細孔寸法と細孔分布を非常に制御しにくくなる。
【0009】
化学的グラフトアプローチでは、熱不安定性部分と熱安定性部分を単一ブロックコポリマーに組込むと細孔寸法と細孔分布を多少良好に制御できる。ブロックコポリマーをまず加熱してマトリックスを架橋させ、更に加熱して熱不安定性ブロックを熱分解した後、硬化させてナノ多孔材料を得る。あるいは、熱安定性部分と熱不安定性部分をもつ熱安定性部分を混合及び重合してコポリマーを得た後に加熱して熱不安定性ブロックを熱分解してもよい。このアプローチの1例はHedricらの米国特許第5,776,990号に示されている。しかし、熱安定性部分と熱不安定性部分をもつブロックポリマーの合成は比較的困難で労働集約的であるため、かなり費用が増す。更に、熱不安定性部分の量(即ち気孔率)が増すにつれてナノ多孔材料は崩壊し易くなる傾向があるので、ナノ多孔材料に組込むことが可能な総気孔容量は制限される。
【0010】
ナノ寸法気孔を低誘電定数材料に導入するための種々の方法が当分野で公知であるが、それらの全て又は殆どは1つ以上の欠点がある。従って、ナノ寸法気孔を誘電材料に導入するための改善組成物及び方法を提供することが依然として必要である。
【0011】
発明の要約
本発明は芳香族部分と第1の反応性基をもつ第1の主鎖と、芳香族部分と第2の反応性基をもつ第2の主鎖をもつ低誘電定数材料に関し、第1の主鎖と第2の主鎖は好ましくは架橋剤を加えずに架橋反応で第1の反応性基と第2の反応性基を介して架橋され、少なくとも10個の原子をもつケージ構造が第1の主鎖と第2の主鎖の少なくとも一方に共有結合している。
【0012】
本発明の主題の1側面では、第1の主鎖と第2の主鎖は同一であり、芳香族部分として好ましくはフェニル基を含み、より好ましくはポリ(アリーレンエーテル)を含み、最も好ましくは置換レゾルシノール、置換トラン又は置換フェノールを含む。他の好ましい側面では、第1の反応性基と第2の反応性基は同一ではなく、エチニル部分又はテトラサイクロン部分を含み、架橋反応は付加環化反応である。
【0013】
本発明の主題の別の側面では、ケージ構造は置換もしくは非置換アダマンタン又は置換もしくは非置換ジアマンタンを含むことが好ましく、アダマンタン又はジアマンタンは側基として主鎖に組込んでもよいし、ケージ構造が四面体又は多面体構造をもつようにしてもよい。
【0014】
本発明の種々の目的、特徴、側面及び利点は以下に記載する本発明の好適態様の詳細な説明と添付図面に明示されるが、図面中、同一番号は同一要素を示す。
【0015】
図面の簡単な説明
図1は本発明の主題である側基ケージ構造をもつ低分子量ポリマーを製造するための合成スキームを示す。
図2は本発明の主題である側基ケージ構造をもつ別の低分子量ポリマーを製造するための合成スキームを示す。
図3A〜Bは本発明の主題である種々のポリマーの構造である。
図4A〜Bは本発明の主題である種々の熱硬化性モノマーを製造するための合成スキームである。
図5A〜Bは本発明の主題である側基ケージ構造をもつエンドキャッピング分子を製造するための合成スキームである。
図6は本発明の主題である低誘電定数材料の1例の模式構造である。
【0016】
詳細な説明
本明細書で使用する「低誘電定数材料」なる用語は3.0未満の誘電定数をもつ有機、有機金属及び無機材料を意味する。低誘電材料は一般に100μm未満の薄膜形態で製造されるが、膜以外に厚膜、ブロック、円筒、球等の種々の形状もこの定義の範囲に含むものとする。
【0017】
同様に本明細書で使用する「主鎖」なる用語は原子又は部分のいずれかを除去すると鎖が遮断されるように共有結合したポリマー鎖を形成する原子又は部分の連続鎖を意味する。
【0018】
更に本明細書で使用する「反応性基」なる用語は化学反応で別の反応性基と少なくとも1個の共有結合を形成するために十分な反応性をもつ任意原子、官能基又は基を意味する。化学反応は同一主鎖又は2個の別個の主鎖のいずれに配置されていてもよい2個の同一又は非同一反応性基の間で生じ得る。反応性基が1個以上の外来架橋分子と反応して第1の主鎖と第2の主鎖を架橋することも考えられる。外来架橋剤を加えない架橋はポリマー中の反応性基の総数が減り、必要な反応段階数が減るなどの種々の利点があるが、外来架橋剤を加えない架橋には数種の欠点もある。例えば、一般に架橋性官能価を調節できなくなる。他方、重合反応と架橋反応が化学的に相容れない場合には外来架橋剤を使用したほうが有利であると思われる。
【0019】
更に本明細書で使用する「ケージ構造」なる用語は少なくとも1個の橋が環系の2個以上の原子を共有結合するように配置された少なくとも10個の原子をもつ分子を意味する。橋及び/又は環系は1個以上のヘテロ原子を含んでいてもよく、部分的に飽和しているか又は不飽和の芳香族とすることができる。更に、ケージ構造はフラーレンや、少なくとも1個の橋をもつクラウンエーテルでもよい。例えば、アダマンタンやジアマンタンはケージ構造であるとみなされるが、ナフタレンや芳香族スピロ化合物は1個以上の橋をもたないのでこの定義の範囲ではケージ構造とみなされない。
【0020】
好ましい低誘電定数材料において、第1の主鎖と第2の主鎖は構造1A〜B(1反復単位のみの主鎖を示す)に示すようなケージ構造として夫々2個のアダマンタン側基をもつポリ(アリーレンエーテル)を含む。第1の芳香族部分と第2の芳香族部分はフェニル基を含み、第1の反応性基と第2の反応性基は夫々エチニル部分とテトラサイクロン部分であり、ディールス・アルダー反応で反応して主鎖を架橋する。好ましい架橋条件はポリ(アリーレンエーテル)主鎖を約200℃〜250℃の温度まで約30〜180分間加熱する。構造1Bは下記実施例1に概説するように合成することができる。
【0021】
【化7】
【0022】
代替態様では、主鎖をポリ(アリーレンエーテル)に限定する必要はなく、最終低誘電定数材料の所望物理化学的性質に応じて非常に広い範囲から選択することができる。従って、比較的高いTGが所望される場合には、珪酸塩(SiO2)及び/又はアルミン酸塩(Al2O3)を含む無機ポリマー等の無機材料が特に考えられる。柔軟性、加工し易さ又は低応力/TCE等が必要な場合には、有機ポリマーが考えられる。多数の異なる適切な有機ポリマーがあり、ある目的(例えば低熱膨張係数)に特に適したポリマーや、他の目的(例えば優れた填隙能)に特に適したポリマーがある。従って、特定用途に応じて芳香族ポリイミド、ポリアミド及びポリエステル等の有機主鎖が考えられる。
【0023】
第1のポリマー主鎖と第2のポリマー主鎖の鎖長は約1000〜10000の分子量をもつ低分子量ポリマーから構成することが好ましいが、5反復単位以下から数104反復単位以上までの非常に広い範囲とすることができる。好ましい主鎖は芳香族置換反応でモノマーから合成され、合成経路は図1及び2に例示する。また、主鎖を少なくとも部分的に分枝、超分枝又は架橋することも考えられる。あるいは、主鎖をモノマーからin situ合成してもよい。適切なモノマーとしては芳香族ビスフェノール化合物及びジフルオロ芳香族化合物が好ましく、0〜約20個の組込みケージ構造をもつことができる。
【0024】
適切なモノマーは構造2A〜Bに模式的に示す四面体構造をもつことが特に考えられる。一般構造2Aにおいて、熱硬化性モノマーはケージ構造Gをもち、側鎖R1〜R4の少なくとも2個は芳香族部分と反応性基を含み、第1のモノマーの反応性基の少なくとも1個は第2のモノマーの反応性基の少なくとも1個と反応して低誘電定数ポリマーを生成する。一般構造2Bにおいて、ケージ構造、好ましくはアダマンタンは重合に関与し得る4個の芳香族部分に結合しており、R1〜R4は同一でも異なっていてもよい。
【0025】
【化8】
【0026】
四面体構造をもつモノマーを使用すると、ケージ構造がナノ寸法の気孔を導入するのみならず4個の主鎖を三次元構造で共有結合するという利点がある。四面体構造をもつモノマーの1例とその合成を図4Bに示す。当然のことながら、代替モノマーは置換又は非置換アダマンタンをケージ構造としてもつ化合物に限定する必要はなく、置換又は必要ジアマンタンやフラーレンをケージ構造として含むものでもよい。考えられる置換基としてはアルキル、アリール、ハロゲン及び官能基が挙げられる。例えば、アダマンタンは−CF3基、フェニル基、−COOH、−NO2、又は−F、−Clもしくは−Brで置換されていてもよい。従って、ケージ構造の化学的性質に応じて4個以外の種々の数の芳香族部分をケージ構造に結合することができる。例えば、ケージ構造に比較的低い架橋度が所望される場合には、1〜3個の芳香族部分をケージ構造に結合すればよく、芳香族部分は架橋のための反応性基を含んでいてもいなくてもよい。より高い架橋度が好ましい場合には、5個以上の芳香族部分をケージ構造に結合し、芳香族部分の全部又はほぼ全部が1個以上の反応性基をもつようにすればよい。更に、中心ケージ構造に結合した芳香族部分が他のケージ構造をもつようにすることも考えられ、これらのケージ構造は中心ケージ構造と同一でもよいし、全く異なっていてもよい。例えば、フラーレンケージ構造をもつモノマーが考えられ、比較的多数の芳香族部分を提供し、芳香族部分にジアマンタンを提供してもよい。即ち、ケージ構造を第1の主鎖と第2の主鎖又は3個以上の主鎖に共有結合することも考えられる。
【0027】
芳香族部分の化学種については、適切な芳香族部分はフェニル基、より好ましくはフェニル基と反応性基を含むことが考えられる。例えば、芳香族部分はトラン又は置換トランを含むことができ、置換トランは炭素−炭素結合又は炭素−非炭素原子結合(例えば二重及び三重結合、エーテル、ケト又はエステル基)を介してトランに共有結合した付加フェニル基を含んでいてもよい。
【0028】
図4Aに例示するように側基ケージ構造をもつモノマーも考えられ、ここでは2個のジアマンタン基を側基として使用している。しかし、当然のことながら側基ケージ構造は2個のジアマンタン構造に限定されない。考えられる代替ケージ構造としては置換アダマンタン基、ジアマンタン基及びフラーレンが挙げられ、単独で使用してもよいし、複数を化学的に妥当な任意組合せで使用してもよい。特定溶解度、酸化安定性又は他の物理化学的性質が所望される場合には、ケージ構造に置換を導入してもよい。従って、考えられる置換基としてはハロゲン、アルキル、アリール及びアルケニル基のみならず、エステル、酸基、ニトロ及びアミノ基等の極性官能基も挙げられる。
【0029】
更に当然のことながら、主鎖は同一でなくてもよい。代替態様のある側面では、代替低誘電定数材料が芳香族部分と反応性基をもつ第1及び第2の主鎖と、主鎖に共有結合したケージ化合物を含むという条件で、2個以上の化学的に異なる主鎖を使用して低誘電定数材料を製造してもよい。
【0030】
反応性基については、代替反応性基が外来架橋剤を加えずに第1の主鎖と第2の主鎖を架橋できるという条件で、トラニル基とテトラサイクロン基以外の多数の反応性基も使用できると考えられる。例えば、適切な反応性基としてはベンゾシクロブテニルとビフェニレンが挙げられる。別の例では、第1の反応性基が求電子物質を含み、第2の反応性基が求核物質を含むものでもよい。更に、反応性基の数は(a)第1の反応性基と第2の反応性基の反応性、(b)第1の主鎖と第2の主鎖の架橋強度、及び(c)低誘電材料に所望される架橋度に主に依存すると考えられる。例えば、第1の反応性基と第2の反応性基が立体障害下にある場合(例えば2個の誘導体化フェニル環間のエチニル基)には、2個の主鎖をある程度まで架橋させるためには比較的多数の反応性基が必要であると思われる。同様に、水素結合やイオン結合等の比較的弱い結合が反応性基間に形成されている場合に安定な架橋を達成するためにも多数の反応性基が必要であると思われる。
【0031】
1個の主鎖の反応性基が別の主鎖の同一反応性基と反応できる場合には、ただ1種の反応性基しか必要ないと思われる。例えば、同一又は2個の異なる主鎖に配置されたトラニル基は付加型反応で反応して架橋構造を形成することができる。
【0032】
更に当然のことながら、反応性基の数は分子間架橋と分子内架橋の比に影響を与えると思われる。例えば、比較的低濃度の第1の主鎖と第2の主鎖に比較的高濃度の反応性基が存在すると、分子内反応が助長される。同様に、比較的高濃度の第1の主鎖と第2の主鎖に比較的低濃度の反応性基が存在すると、分子間反応が助長される。分子内反応と分子間反応のバランスは主鎖間の非同一反応性基の分布の影響も受けると思われる。分子間反応が所望される場合にはある型の反応性基を第1の主鎖に配置し、別の型の反応性基を第2の主鎖に配置すればよい。更に、異なる条件(例えば2種の異なる温度)の連続架橋が所望される場合には、第3及び第4の反応性基を使用すればよい。
【0033】
好ましい主鎖の反応性基は付加型反応で反応するが、代替反応性基の化学種に応じて求核及び求電子置換、又は脱離、ラジカル反応等の多数の他の反応も考えられる。他の代替反応としては、電子安定結合、疎水性結合、イオン結合及び水素結合等の非共有結合の形成が挙げられる。即ち、第1の主鎖と第2の主鎖の架橋は同一主鎖でも2個の主鎖に配置してもよい同一又は非同一反応性基間に形成される共有又は非共有結合を介して行われる。
【0034】
代替態様の他の側面では、代替ケージ構造が10個以上の原子をもつという条件で、ケージ構造はアダマンタン以外の構造(例えばジアマンタン、架橋クラウンエーテル又はフラーレン)を含むことができる。適切なケージ構造の選択はケージ構造の立体要求の所望度により決定される。比較的小さいケージ構造が好ましい場合には、単一アダマンタン又はジアマンタンで十分であると思われる。アダマンタン基とジアマンタン基を含む主鎖の構造例を図3A及び3Bに示す。大きいケージ構造はフラーレンを含むことができる。同様に当然のことながら、代替主鎖は単一型のケージ構造に限定する必要がない。更に2〜5、又はそれ以上の非同一ケージ構造を含む主鎖も適切である。例えば、ポリマー主鎖の一端又は両端にフラーレンを加え、主鎖の他の部分にジアマンタン基を配置してもよい。更に大きいケージ構造が所望される場合には、誘導体化又は多重ケージ構造(例えばオリゴマー及び重合ケージ構造)も考えられる。ケージ構造の化学組成は炭素原子に限定する必要はなく、代替ケージ構造は炭素原子以外の原子(即ちヘテロ原子)をもつものでもよく、考えられるヘテロ原子としてはN、O、P、S、B等が挙げられる。
【0035】
ケージ構造の位置については、ケージ構造を主鎖の種々の位置に結合することが考えられる。例えば、主鎖の末端官能基をマスクするか又は主鎖を形成する重合反応を停止することが望ましい場合には、ケージ構造をエンドキャップとして使用することができる。エンドキャップ構造の例を図5A及びBに示す。また、多量のケージ構造が所望される場合には、ケージ構造を主鎖に共有結合した側基構造とすることが考えられる。共有結合の位置は多様であり、主に主鎖とケージ構造の化学組成に依存する。即ち、適切な共有結合はリンカー分子又は官能基を介するものが挙げられ、他の結合は単結合又は二重結合が挙げられる。ケージ基が側基である場合には、2個以上の主鎖をケージ構造に結合することが特に考えられる。例えば、単一ケージ構造が2〜3個以上の主鎖を結合することが考えられる。あるいは、ケージ基を主鎖の一部としてもよい。
【0036】
代替低誘電定数材料に更に付加成分を加えることも考えられる。例えば、低誘電定数材料が機械的応力を受ける場合には、柔軟剤又は他の保護剤を加えてもよい。また、誘電材料を平滑表面に配置する場合には、接着促進剤を利用すると有利であると思われる。更に、洗剤や消泡剤を加えると望ましい場合もある。
【0037】
次に図6について説明すると、第1の反応性基15と第2の反応性基25を介して第1の主鎖10を第2の主鎖20に架橋して共有結合50を形成する低誘電定数材料の1例を示している。2つの主鎖は夫々少なくとも1個の芳香族部分(図示せず)をもつ。複数の側基ケージ構造30が第1の主鎖と第2の主鎖に共有結合しており、第1の主鎖10は更に末端ケージ基32をもつ。末端ケージ基32と側基ケージ基30の少なくとも1個は少なくとも1個の置換基R40をもち、置換基40はハロゲン、アルキル又はアリール基とすることができる。ケージ構造の各々は少なくとも10個の原子を含む。
【0038】
実施例
以下の実施例はケージ様構造をもつ主鎖を生成するための合成経路の例に関する。
【0039】
実施例1:4,6−ビス(アダマンチル)レゾルシノールの合成
窒素導入口、熱電対及び冷却器を取付た250mL容3頚フラスコにレゾルシノール(11.00g,100.0mmol)、ブロモアダマンタン(44.02g,205.1mmol)及びトルエン(150mL)を加えた。混合物を110℃まで加熱すると、透明溶液になった。反応を48時間続けると、TLCは全レゾルシノールが消滅したことを示した。溶媒を除去し、固形分をヘキサン(150mL)から結晶させた。ジ置換生成物が66.8%収率(25.26g)で白色固体として得られた。一次生成後の濃厚母液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけると、更に5.10gの生成物が得られた。生成物の総収率は80.3%であった。生成物を陽子NMR、HPLC、FTIR及びMSにより特性決定した。
【0040】
【化9】
【0041】
実施例2:ポリ(アリーレンエーテル)主鎖への4,6−ビス(アダマンチル)レゾルシノールの導入
窒素導入口、熱電対及びディーン−スタークトラップを取付た250mL容3頚フラスコにビス(アダマンチル)レゾルシノール(7.024g,18.57mmol)、FBZT(5.907g,18.57mmol)、炭酸カリウム(5.203g,36.89mmol)及びDMAC(50mL)、トルエン(25mL)を加えた。反応混合物を135℃まで加熱して透明溶液とした。この温度で反応を1時間続け、トルエンの一部を除去することにより温度を165℃まで上げた。重合過程をGPCによりモニターした。Mw=22,000で反応を停止した。更に50mL部のDMACを反応フラスコに加えた。固形分を室温で濾過し、熱ジクロロメタン(2×150mL)で抽出した。メタノール(150mL)を溶液に加えて白色固体を沈殿させ、濾取した。収率は65.8%(8.511g)であった。固形分をTHF(150mL)に溶かし、メタノール(300mL)を溶液にゆっくりと加えた。沈殿した白色固体を濾取し、90℃で減圧乾燥した。
【0042】
【化10】
【0043】
実施例3:代替ポリマーの合成
【0044】
【化11】
主鎖1の合成手順は、4,4’−ジフルオロトランをジフルオロ化合物として使用する以外は実施例2に記載した手順に従う。
【0045】
実施例4:予想される代替主鎖
下記構造は実施例1及び2の一般合成手順に従って製造可能な予想される主鎖の例である。
【0046】
【化12】
【0047】
実施例5
本実施例は本発明の主題である図4Bに示すような熱硬化性モノマーの合成例に関する。
【0048】
1,3,5,7−テトラブロモアダマンタンの合成
テトラブロモアダマンタン合成は市販アダマンタンを出発材料とし、G.P.SollottとE.E.Gilbert,J.Org.Chem.,45,5405−5408(1980)、B.Schartel,V.Stumpflin,J.Wendling,J.H.Wendorff,W.Heitz及びR.Neuhaus,Colloid Polym.Sci.,274,911−919(1996)、又はA.P.Khardin,I.A.Novakov及びS.S.Radchenko,Zh.Org.Chem.,9,435(1972)に記載の合成手順に従った。バッチ当たり150gまでの量が定常的に得られた。
【0049】
1,3,5,7−テトラキス(3/4−ブロモフェニル)アダマンタンの合成 他の文献(V.R.ReichertとL.J.Mathias,Macromolecules,27,7015−7023(1994)、V.R.Reichert,Ph.D.Dissertation,“Investigation of derivatives and polymers of 1,3,5,7−tetraphenyladamantane,”University of Southern Mississippi,1994)に記載の手順に従って1,3,5,7−テトラブロモアダマンタンから1,3,5,7−テトラキス(3/4−ブロモフェニル)アダマンタンを合成した。LC−MSを使用して最初の合成後の異性体混合物の成分を確認した。反応生成物を新鮮なAlBr3触媒で処理し、異性体混合物の組成がPh4Br4異性体リッチな組成となるのを促進した。
【0050】
1,3,5,7−テトラキス(3/4−トラニル)アダマンタンの合成
1,3,5,7−テトラキス(3/4−ブロモフェニル)アダマンタンをトリエチルアミンに加え、Pd触媒ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[II]及びヨウ化銅[I]の存在下に約9倍モル量のフェニルアセチレンと80℃で4時間反応させることにより1,3,5,7−テトラキス(3/4−ブロモフェニル)アダマンタンから1,3,5,7−テトラキス(3/4−トラニル)アダマンタンを合成した。
【0051】
実施例6
C.M.Lewis,L.J.Mathias,N.Wiegal,ACS Polymer Preprints,36(2),140(1995)に記載されているように、図5A及び5Bに示すようなアダマンチルでエンドキャップしたモノマーを合成した。
【0052】
以上、ケージ様構造をもつ低誘電定数誘導体の特定態様、適用及び製造方法について開示した。しかし、当業者に自明の通り、本明細書に記載する本発明の概念から離れることなく、上記以外の多数の変形が可能である。従って、本発明の主題は特許請求の範囲の精神に含まれる限り、限定されるものではない。更に、明細書と特許請求の範囲を解釈するに当たり、全用語は文脈に一致する最も広い意味に解釈すべきである。特に、「含む」及び「含んで」という用語は要素、成分又は段階を非限定的に表すものと解釈すべきであり、記載した要素、成分又は段階が存在していてもよいし、これらを使用してもよいし、更には明記した以外の要素、成分又は段階と併用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の主題である側基ケージ構造をもつ低分子量ポリマーを製造するための合成スキームを示す。
【図2】 本発明の主題である側基ケージ構造をもつ別の低分子量ポリマーを製造するための合成スキームを示す。
【図3A】 本発明の主題である種々のポリマーの構造である。
【図3B】 本発明の主題である種々のポリマーの構造である。
【図4A】 本発明の主題である種々の熱硬化性モノマーを製造するための合成スキームである。
【図4B】 本発明の主題である種々の熱硬化性モノマーを製造するための合成スキームである。
【図5A】 本発明の主題である側基ケージ構造をもつエンドキャッピング分子を製造するための合成スキームである。
【図5B】 本発明の主題である側基ケージ構造をもつエンドキャッピング分子を製造するための合成スキームである。
【図6】 本発明の主題である低誘電定数材料の1例の模式構造である。
Claims (11)
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translated from
- 請求項1又は2に記載の低誘電定数ポリマーを含む層。
- 請求項1又は2に記載の低誘電定数ポリマーを含む膜。
- 膜の厚さが100μm未満である請求項4に記載の膜。
- 誘電定数が3未満である請求項5に記載の膜。
- 請求項1又は2に記載の低誘電定数ポリマーを含む絶縁体。
- 請求項3に記載の層を含む集積回路。
- 請求項4に記載の膜を含む集積回路。
- 請求項7に記載の絶縁体を含む集積回路。
- 請求項1又は2に記載の低誘電定数ポリマーを含む集積回路。