JP2004522843A - ナノ多孔性低誘電率ポリマー - Google Patents
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Abstract
ナノ多孔性ポリマーは架橋ポリマーストランドから製造された中空構造体を含む。中空構造体は共有結合により他の架橋ポリマーストランドに連結されている。特に企図されているナノ多孔性ポリマーのTgは400℃以上であり、誘電率kは2.5以下である。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明の分野はナノ多孔性ポリマーである。
【背景技術】
【0002】
集積回路の機能性素子の寸法の減少と密度の増加とが、誘電率を低下させた絶縁材料への絶え間ない要求を生み出している。多くの手法の中で特に、材料の誘電率を低下させるために、絶縁材料に空気を含有させることが成功裏に利用されてきており、材料中に空気を導入する様々な方法が知られている。
【0003】
1つの方法では、ポリマー材料中に熱不安定な成分を組み込み、ポリマー材料を硬化させた後、その熱不安定な成分を加熱により破壊する。例えば、Hedrick他は、米国特許第5,776,990号中に、熱安定性ポリマーと熱不安定性(熱分解性)ポリマーとをブレンドすることを記載している。続いて、ブレンドされた混合物を架橋し、熱不安定部分を熱分解する。熱安定性ポリマーと熱不安定性ポリマーとをブレンドすることは、考え方としては簡単で、最終ポリマーの多孔度を比較的よく制御できる。しかし、ボイドの位置の制御は一般に実施するのが困難であり、ボイドの一様な分布と大きさを制御することが所望の場合、さらなる問題が生じうる。
【0004】
ボイドの大きさと分布に関連する問題の、少なくともいくつかを避けるために、ポリマーストランド(strand)上に熱不安定性部分をグラフトすることができる。例えば、熱不安定性ブロックと熱安定性ブロックが交互にあるブロックコポリマーを合成してもよい。次に、そのブロックコポリマーを加熱して、熱不安定性ブロックを熱分解させる。別法として、熱安定性ブロックと熱不安定性部分をもつ熱安定性ブロックを混合し、重合させてコポリマーを生成させることもできる。次に、そのコポリマーを加熱し、熱不安定性ブロックを熱分解する。熱不安定性部分を組み込むと、一般に、細孔の大きさおよび分布についての制御を向上させるが、このようなポリマーの合成は骨の折れるものであることが多い。
【0005】
ポリマー混合物中の熱不安定性部分によりボイドを導入するのに用いられる手法には関わりなく、ナノ多孔性材料を製造する際には構造上の問題にしばしば直面する。特に、多孔ポリマーは、熱不安定性成分が熱分解される温度で潰れる傾向がある。さらに、ボイドは力学的に安定な構造体として形成されているわけではないので、全体の多孔度が約30%の臨界的度合いを超えると、多孔ポリマーは潰れる傾向がある。
【0006】
別の方法では、構造的に安定なボイド担体をポリマー材料中に組み込む。例えば、Yokouchi他は、米国特許第5,593,526号中に、配線板の製造方法を教示し、その方法では、中空または多孔のガラス球(sphere)をセラミックコーティング層で被覆し、次にその被覆ガラス球をガラスマトリックスと混合する。Yokouchiのガラス球は、配線板の誘電率を低下させるのに役立つが、化学的気相堆積法などの比較的厄介で費用のかかる方法によるコーティングを必要とする。さらに、ガラスマトリックスと被覆された球の間に安定な構造を作り出すために、その混合物を約1000℃の温度で焼く必要があり、これは、全てではないとしても、ほとんどの集積回路で許容されない。
【0007】
別法として、Sato他は、米国特許第5,194,459号中に、硬化架橋されたフッ素化ポリマーネットワーク中に閉じ込められた、ガス充填された中空マイクロ球のネットワークから形成された絶縁材料を記載している。Satoの材料では、Yokouchiの材料に比べて、必要とされる温度は劇的に低下している。さらに、Satoの材料は引張り強さを保ったままで、適当な材料上に比較的薄い層でコートすることができる。しかし、Satoのポリマーは全てフッ素を含み、このことが集積回路の製造に用いられる材料に対するポリマーの接着性を低下させる傾向がある。さらに、フッ素は金属導体線の腐蝕を引き起こすことが知られている。さらに、Satoのポリマーネットワーク中のガラス球は、周囲のネットワークに共有結合で結ばれていないので、多孔ポリマー組成物の力学的一体性は、ある条件下では、あまり望ましくないものになるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ナノ多孔性材料に空気を導入する多くの方法が知られているが、それらの全てあるいはほとんど全てには1つまたは複数の不都合な点がある。したがって、ナノ多孔性低誘電率材料を得るための改良された方法および組成物を提供することが依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はナノ多孔性ポリマーを得るための方法および組成物を対象とし、1組の第1のポリマーストランドが互いに架橋して中空構造体を形成し、1組の第2のポリマーストランドが互いに架橋し、かつ第1の組のポリマーストランドと共有結合により連結(couple)してナノ多孔性ポリマーを形成している。
【0010】
本発明の主題の一態様では、少なくともいくつかの第1のポリマーストランドは芳香族部分を含み、好ましくは、ポリ(アリーレン)および/またはポリ(アリーレンエーテル)である。特に企図されているポリ(アリーレンエーテル)は、三重結合および/またはジエンをさらに含む。中空構造体は様々な形状でありうるが、好ましくは中空構造体は、最大寸法で10ナノメートル以下、より好ましくは3ナノメートル以下の球形である。
【0011】
本発明の主題の別の態様では、第1のポリマーストランドは環状構造により互いに架橋されており、さらに好ましい態様では、第1のポリマーストランドと第2のポリマーストランドは環状構造により互いに連結されている。本発明の主題を限定するわけではないが、第1と第2のストランドは同じ化学的なクラス(chemical class)に属することが好ましい。特に企図されているナノ多孔性ポリマーでは、第1のポリマーストランドには三重結合があり、第2のポリマーストランドにはジエンがあり、第1および第2のポリマーストランドは、該三重結合を該ジエンと反応させることにより互いに連結される。
【0012】
本発明の主題のさらなる態様では、ナノ多孔性ポリマーは誘電率kをもち、ナノ多孔性ポリマーの誘電率kは、2.5以下、好ましくは2.1以下であることが一般に企図されている。企図されているナノ多孔性ポリマーのガラス転移温度Tgに関しては、好ましいポリマーのTgは400℃以上である。
【0013】
本発明の様々な目的、特徴、態様および利点が、添付図と併せて、以下の本発明の好ましい実施態様の詳細な説明から、より明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本明細書では、用語「ポリマーストランド」は、付加的なペンダント官能基もしくは構造部分を含んでいてもよい骨格を定めるように共有結合したモノマーの構成体を表す。本明細書では、用語「モノマー」は、それ自体と、あるいは化学的に異なる化合物と、反復的な様式で共有結合を形成できる化合物を表す。特に、企図されているモノマーにはブロックポリマーもまた含めてよい。モノマー間の反復的な結合形成により、生成物は線状、分岐、超分岐もしくは3次元的になりうる。本明細書ではまた、用語「骨格」は、どの原子または部分を取り除いたとしてもその鎖の中断になるであろうように共有結合する、ポリマーストランドを形成する原子または部分の繋がった鎖を表す。
【0015】
また本明細書では、用語「中空構造体」は、それぞれが少なくとも6個の原子をもつ複数の構成ブロックにより形成され、その構成ブロックの少なくともいくつかはキャビティを定めるように配置されている形態(configuration)を表す。例えば、ガラスのマイクロ球を囲む複数のポリエチレンポリマーストランドからなるポリマーコートは、このコートが6個より多い原子をもつ構成ブロックからなり、また構成ブロックがキャビティを定めるように配置されているので、この定義の範囲のもとで中空構造体であると考えられる。
【0016】
さらに本明細書では、用語「架橋」は、少なくとも2つのポリマーストランド間の、少なくとも一時的な物理的結合を表し、特にポリマーストランド間の共有結合を含む。共有結合は、各ポリマーストランドの反応性ペンダント基の間に形成することができ、あるいは各ポリマーストランドの骨格内に位置する反応基の間に形成することもできるであろう。
【0017】
図1において、例示的なナノ多孔性ポリマー100は通常、架橋114により架橋された、複数の第1のポリマーストランド112により形成される中空構造体110を備える。中空構造体110は、共有結合130により、複数の第2のポリマーストランド120に共有結合的に連結されている。第2のポリマーストランドは架橋122により架橋されている。
【0018】
第1のポリマーストランドに関しては、第1のポリマーストランドの特定の化学的性質は本明細書に記載される本発明の基本的考えを限定せず、適切なポリマーストランドは、ポリイミド、ポリエステル、あるいはポリエーテルを含めて、様々な化学的クラスに属していてもよいことが企図されている。特に好ましいポリマーストランドには、ポリ(アリーレン)およびポリ(アリーレンエーテル)が含まれ、好ましいポリ(アリーレンエーテル)の合成および例示的構造が図2に示されており、図2においてARおよびAR’は独立に、好ましくは芳香族もしくは縮合芳香族部分を主に含む、適切な熱的に安定な部分を含む。例えば、HO−C6H4−AR−C6H4−OHはフルオレンビスフェノールであってよく、F−C6H4−AR’−C6H4−Fは、少なくとも1個のトラン部分を含むジフルオロ芳香族化合物であってよい。ジフルオロ化合物とビスフェノール化合物は、反応混合物中の余分な未反応モノマーを避けるために、有利には化学量論的な量で反応させる。図2の特定の例では、化学量論的な量は、ジフルオロ化合物とビスフェノール化合物の等モル混合物に相当する。
【0019】
所望の部分および/または基を含む適切なモノマーを用いることにより、ポリマーストランドに構造部分と官能基を導入しうるものと一般に企図されている。例えば、ポリマーストランドの骨格がジエノフィルあるいはジエンを含むことが所望の場合、図3A〜3Dに示されるモノマー(ジエノフィルとして三重結合をもつ)および図4A〜4Bに示されるモノマー(ジエンとしてシクロペンタジエノンをもつ)を用いることができる。特に企図されているモノマーは少なくとも2種の異なる反応基を含み、このような好ましいモノマーの例が図5A〜5Bに示されている。
【0020】
しかし、企図される官能基はジエンまたはジエノフィルに限定される必要はなく、極性、荷電、または疎水性基を含んでいてもよい。例えば、化学反応性が特に所望の場合、官能基は、酸、酸塩化物、活性化エステル、または塩基でありうる。他方、静電的相互作用が好ましい場合、第4級アンモニウム基またはポリリン酸塩を含みうる。同様に、特に疎水性または親水性が必要とされる場合(例えば、特定の溶剤に溶解するようにするために)、オクチル、セチル、またはポリエチレン基をポリマーストランドに含めることができる。
【0021】
ポリマーストランドの構造部分に関しては、適切な構造部分はナノ多孔性ポリマーの物理化学的性質を向上させうるということが特に企図されており、特に企図されている構造部分は、ポリマーストランドの全体としての密度を低下させるための嵩高い(bulky)基、あるいは加熱により熱的に壊されてさらなるナノ多孔性を生じうる熱不安定性基を含んでいる。例えば、嵩高い構造には、セキシフェニレン(sexiphenylene)などの実質的に平面である部分が含まれ得るが、アダマンタン、ジアマンタン、フラーレンなどの3次元的部分もまた含まれる。さらに、本発明の主題によるポリマーストランドは接着性向上基(例えば、ケイ素系の基)、発色団、ハロゲン(例えば、難燃化のための臭素)などを含みうるということが理解されるべきである。
【0022】
結果として、企図されているポリマーストランドは様々な形状でありうる。本発明の主題によるポリマーストランドは一般に線状ストランドであることが企図されているが、別の形状として、分岐、超分岐、および3次元的形状もまた含まれていてもよい。例えば、架橋されたポリマーストランドとして特に剛直な構造が所望の場合、ストランドは、全てが架橋のための反応基を含みうる1つから多数の分岐を含んでいてもよい。他方、中空構造体に特に肉厚の壁強度が所望の場合、有利には3次元的ポリマーストランドを用いることができる。
【0023】
企図されているポリマーストランドの分子量は広い範囲、典型的には400ダルトンと400000ダルトンの間、あるいはそれ以上に渡りうるし、特に適切なポリマーストランドは、3/30/00に出願の米国特許出願第09/538276号、および4/6/00に出願の米国特許出願第09/544504号に記載されており、これらの双方とも参照により本明細書に組み込まれる。しかし、分子量は、流動および填隙(gap−filling)特性が悪影響を受けないようなものであることが一般に好ましい。本発明の主題の特に企図されている態様では、ポリマーストランドをその場(in situ)で、すなわちポリマーストランドの架橋が起こるであろう場所と実質的に同じ場所で、生成させることもできる。例えば、モノマーが熱硬化性モノマーである場合、ポリマーを架橋が起こるであろう場所と実質的に同じ場所で生成させることができる。特に企図されている熱硬化性モノマーは、7/19/00に出願の米国特許出願第09/618945号に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。さらなる別の態様では、ポリマーストランドは単一種のモノマーで構成される必要はなく、同一でない様々なモノマーの混合物で構成されていてもよい。
【0024】
企図されているナノ多孔性ポリマーの中空構造体は、多くの形状と大きさをもっていてよいが、中空構造体は実質的に球形で、内径が100nm未満、好ましくは50nm未満、より好ましくは10nm未満、最も好ましくは3nm未満であることが一般に好ましい。本明細書では、用語「実質的に球形」は、回転楕円面形状(spheroid)を表す。例えば、円が楕円の特別な形態であるのと全く同じように球は回転楕円体の特別な形態である。別の観点から見ると、用語「実質的に球形」は、完全な球ではない幾何学的形状をもつ球(例えば、卵は実質的に球形である)を含めるために用いられている。結果として、本明細書では、実質的な球形の「直径」は、実質的な球形の、平面横断面における縁の間の最大距離である。例えば、市販されているガラスマイクロ球は、複数の溶解したポリマーストランドをも含む第1の溶剤(例えば、ポリアリールエーテルの3wt%シクロヘキサノン溶液)に、約1mg/mlから約100mg/mlの濃度で懸濁される。この懸濁液に、ポリマーストランドが溶解しない第2の溶剤(例えば、エタノール)が加えられる。第2の溶剤が十分に添加された後、ポリマーはシリカ粒子上に沈殿するであろう。全シリカ粒子の表面は、溶剤、ポリマーストランドおよび粒子が入っている容器の表面よりかなり大きいので、沈殿したポリマーストランドのほとんどは粒子上に堆積するであろう。
【0025】
別法として、マイクロ球とポリマーストランドの間の相互作用を特に強固なものとするために、ポリマーストランドをマイクロ球に化学的に固定してもよい。例えば、マイクロ球がガラスマイクロ球である場合、ポリマーストランドはシリカ上に存在するシラノール基と共有結合を形成できる官能基で部分的に、あるいは全体として誘導体化することができる。特に適切な官能基は−Si(OEt)3である。ポリマーストランドによるマイクロ球のコーティングのさらに別の方法には、スプレー、静電コーティング、あるいはポリマーストランドの液状化(例えば、液状化熱可塑性樹脂)調製物への分散が含まれ、ガス/空気充填マイクロカプセル形成のさらなる方法が、Wheatley他の米国特許第5,955,143号に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0026】
堆積の方法に関わらず、ポリマーストランドは架橋反応により架橋されると企図されている。ポリマーストランド間の架橋反応は多数知られており、それらの全てが、本明細書に記載される、本発明の基本的考えに関連させて用いるのに適すると考えられる。例えば、ラジカル反応、一般的な酸もしくは塩基触媒反応、あるいは環化付加反応を含む反応で、架橋を実施することができる。さらに、架橋は外来の架橋剤(例えば、2官能または多官能分子)を含むことができるが、ポリマーストランドおよび/または骨格内に位置する反応基間の反応を含むこともできる。
【0027】
特に好ましい架橋反応は、ジエンとジエノフィルの間の反応を含み、これらの双方ともポリマーストランドの骨格内に位置し、また図6に示されるように、一方のポリマーストランドが骨格内にシクロペンタジエノン構造をもち、他方のポリマーストランドが骨格内に三重結合をもち、これらの双方は反応して環状構造を形成する。架橋反応で形成された環状構造は、従って、新たに生成したセキシフェニレン環系のフェニル環である。この型の架橋反応は、外来の架橋性分子を加えることなく、ポリマーストランドの熱活性化(すなわち、加熱)により有利に実施され、また環状構造を形成するさらなる適切な架橋反応が、4/6/00に出願された米国特許出願第09/544722号に記載されており、これは本明細書に参照により組み込まれる。架橋工程中に粒子が凝集するのを防ぐために、窒素または他の不活性気体を用いる流動床処理で粒子を熱的に活性化しうるということがさらに企図されている。別法として、粒子をシリカ系ゾル−ゲル溶液中に分散させ、ゲルを加熱して溶剤と水を追い出し、次に硬化(すなわち、架橋)温度で乾燥することにより、粒子を架橋することもできる。さらに、ノズルを通して高温の不活性気体雰囲気(200℃〜450℃)内に粒子をスプレーすることにより、それらを架橋させることができる。粒子が高温気体(窒素など)内にスプレーされると、個々の粒子が不活性気体分子により取り囲まれるので、それらは凝集することなく架橋するであろう。
【0028】
ガラスマイクロ球上でポリマーストランドを架橋させた後、ガラスマイクロ球は架橋ポリマーから浸出されることが一般に好ましい。ガラスマイクロ球の浸出液は、好ましくは、フッ化水素酸(HF)を含む。HF系エッチングは、粒子がシリカ系ゾル−ゲルシステム(前掲)中で硬化された場合、「外側の」シリカも取り除くので有利である。別法として、ガラスマイクロ球以外の、支持構造体用の多くの材料を用いることができ、特に企図されている材料には、ポリマーストランドを溶解しない溶剤中に溶解する材料、あるいはポリマーストランドに悪影響を与えない条件下で蒸発させることができる材料が含まれる。
【0029】
代替的な中空構造体の大きさに関しては、巨視的、微視的および超微視的大きさが適当であると企図されている。例えば、ナノ多孔性材料が塊状(bulk)材料である場合、中空構造体の大きさは約100μmと1mmの間、およびそれ以上であることができる。他方、中空構造体の大きさは、所望の場合、約100μmと100nmの間であってよいし、特にナノ多孔性材料が電子部品上で誘電体膜として用いられる場合(例えば、集積回路の絶縁層)、中空構造体の大きさは約100nmと約1nmの間であってよいということが特に企図されている。中空構造体の形状は実質的に球形であることが一般に好ましいが、多くの別の形状もまた適切であり、円柱形、立方体形などの規則的形状ばかりでなく、集合瘤形状(aggregated blisters)などの不規則形状、または卵形形状も含まれる。本発明の主題による中空構造体は、保管するかあるいは第2のポリマーストランドと混合するために直ちに使用することができる。
【0030】
第2のポリマーストランドに関しては、第1のポリマーストランドに対するものと同じ考察が適用されるものと企図されており、第1および第2のポリマーストランドが同じ化学的なクラスに属することが特に好ましい。例えば、第1のポリマーストランドがポリ(アリーレンエーテル)である場合、第2のポリマーストランドもまたポリ(アリーレンエーテル)であることが好ましい。しかし、所望の場合、第1および第2のポリマーストランドは異なる化学的なクラスに属し、第1および第2のポリマーストランドが互いに連結されうる限り、化学的に合理的な、化学的なクラスの全ての組合せが企図されていることが理解されるべきである。例えば、中空構造体を形成するための第1のポリマーストランドが、連結のための三重結合を含むように誘導体化されたポリイミド(例えば、比較的に優れた耐熱性のために)であり、一方、第2のポリマーストランドが、連結のためのジエンをもつポリ(アリーレンエーテル)(例えば、所望の低いk値のために)であってもよい。他の化学的なクラスとして、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリラクタムなどを含めることができる。
【0031】
本発明の主題の特に好ましい態様では、第2のポリマーストランドは第1のポリマーストランド(例えば、ポリ(アリーレンエーテル))と同じ化学的なクラスに属し、第2のポリマーストランドは適当な溶剤(例えばシクロヘキサノン)に、約1wt%から約15wt%の濃度で溶解させる。この溶液に、最終のナノ多孔性ポリマーが約30vol%の空気を含むのに十分な量で、中空構造体の調製物を加える。次に、得られたスラリを、約3000rpmで約30秒間のスピンコーティングにより、シリコンウェハ上に薄膜として広げ、約400℃で30分間、熱により活性化する。熱活性化により、第2のポリマーストランドが互いに架橋し、また第1のポリマーストランドの第1の反応基(例えば三重結合、前掲)と第2のポリマーストランドの第2の反応基(例えばジエン、前掲)を含む反応により、第1と第2のポリマーストランドが連結される。このように、別工程で第1のポリマーストランドを架橋させることにより、ボイド形成構造がすでに事前に形成され、かつ構造上安定化されている時点で、第2のポリマーの架橋が起こるということが特に理解されるべきである。
【0032】
本発明の主題の別の態様では、第2のポリマーストランドは必ずしも溶剤に溶解される必要はなく、液状化された状態(特に、第2のポリマーストランドが熱可塑性材料である場合)にあってもよい。別法として、第2のポリマーストランドもまたその場で、すなわち中空構造体の存在下で生成させることができる。
【0033】
溶剤中の第2のポリマーストランドの濃度、および溶剤中に含有される中空構造体の量に関しては、第2のポリマーストランドの濃度および中空構造体の量の双方ともかなり変わりうるし、特定の用途と所望の材料の性質に典型的に依存するであろうということが理解されるべきである。例えば、ナノ多孔性材料が膜として形成される場合、0.001wt%と5wt%の間の濃度を含めて、比較的低い第2のポリマーストランド濃度が企図される。代わりに、ナノ多孔性材料が塊状材料として形成されるであろう場合には、約5wt%から50wt%の濃度、およびこれを超える濃度が企図される。同様に、中空構造体の量は、ナノ多孔性材料に望まれる具体的な多孔度に依存して変わり得る。例えば、比較的大きな多孔度が所望の場合、中空構造体の量は約15wt%と45wt%の間、およびそれ以上であり得るが、限られた多孔度が望まれる別の用途では、中空構造体の量は約15wt%と0.1wt%の間、およびそれ以下であり得る。
【0034】
第1と第2のポリマーストランドの連結(coupling)に関しては、連結は外から添加された連結分子を含んでいてもよく、あるいは第1および第2のポリマーストランド中にそれぞれ位置する反応基間の反応により実施されてもよいと企図されている。しかし、連結反応は、第1のポリマーストランドの骨格内の第1の反応基と第2のポリマーストランドの骨格内の第2の反応基との間で実施されるということが特に企図されている。例えば、第1および第2のポリマーストランドは、骨格内にジエン(例えば、シクロペンタジエノン)とジエノフィル(例えば、三重結合)の両方をもつ(図6に類似の)ポリ(アリーレンエーテル)でありうるし、第1および第2のポリマーストランドのジエンおよびジエノフィルの一部分は第1および第2のポリマーストランドをそれぞれ架橋するのに使われるが、反応基の別の部分は第1と第2のポリマーポリマーストランドを互いに連結させるのに用いられる。
【0035】
したがって、本発明の主題によるナノ多孔性ポリマーは、複数の架橋された第1のポリマーストランドにより作られた少なくとも1つの中空構造体が提供されるステップがある方法により、製造することができる。別のステップでは、複数の第2のポリマーストランドが提供され、さらなるステップでは中空構造体と第2のポリマーストランドとが組み合わせられる。さらに別のステップでは、第2のポリマーストランドの少なくとも1つと第2のポリマーストランドの別の1つとが架橋され、さらに別のステップでは、第1のポリマーストランドの少なくとも1つが、第2のポリマーストランドの少なくとも1つと共有結合により連結される。
【実施例】
【0036】
以下は本発明の主題によるナノ多孔性ポリマーを製造する例示的な手順である。
【0037】
第1および第2のポリマーストランドの調製
芳香族求核置換反応の一般的な合成手順が、図2に示される反応スキームに例示されており、それを、フルオレンビスフェノールと4−フルオロ−3’−(4−フルオロベンゾイル)トランの間の反応として実施することができる。磁気攪拌子、熱電対、Dean−Starkトラップ、還流冷却器およびN2出入り口接合部を備える1Lの三つ口丸底フラスコを数時間N2でパージし、0.2Lの温めたスルホランを投入する。70〜80℃で、35.042g(0.1000モル)のフルオレンビスフェノール(FBP)、31.8320g(0.1000モル)の4−フルオロ−3’−(4−フルオロベンゾイル)−トラン(FBZT)および27.64g(0.2モル)の炭酸カリウムを加え、165mLの温めたスルホランと165mLのトルエンで洗い落とす。反応物を140℃に加熱し、この温度で1〜2時間共沸させ、次にトルエンを除去することにより温度を徐々に175℃に上げ、175℃で15〜20時間共沸させて反応を続ける。温度を165℃に下げ、4−フルオロベンゾフェノンを加えて、エンドキャップ化を5時間続ける。反応物を165mLのNMPで希釈し、一夜放置する。次に、冷めた反応物を濾紙で濾過し、5倍のMeOH(0.03%HNO3)で沈殿させ、NMPに再度溶解し、5倍のMeOH(0.01%HNO3)で再度沈殿させる。沈殿を濾紙を用いて濾過し、濾紙上でそれぞれ1LのMeOHで3回洗い、真空オーブンで一夜、60〜70℃で乾燥させる。
【0038】
ジエンとジエノフィルの両方を含む第1および第2のポリマーストランドの生成のために、4−フルオロ−3’−(4−フルオロベンゾイル)−トラン(すなわち、ジエノフィルをもつモノマー)の一部分(例えば、50モル%)が、図4Aおよび4Bに示されるようなジフルオロ成分(すなわちジエンをもつモノマー)に置き換えられる。別法として、ジエンおよびジエノフィル成分の両方を単一のモノマーに持たせるために、4−フルオロ−3’−(4−フルオロベンゾイル)−トランの全てを、図5Aおよび5Bに示されるようなジフルオロ成分に置き換えることもできる。
【0039】
中空構造体の生成
市販の直径10nmのシリカ粒子10g(Catalyst and Chemicals Industries of Japan)を、トラン部分とシクロペンンタジエノン部分の両方を骨格中にもつポリ(アリーレンエーテル)の10wt%シクロヘキサノン溶液200ml中に分散させる。200mlのエタノールを、室温で連続的に攪拌しながら徐々に加える。ポリ(アリーレンエーテル)の沈殿が終わると、溶剤混合物を除去し、粒子を50mlのメタノールで2回洗う。
【0040】
次に、ポリマーコートされたシリカ粒子を、窒素または他の不活性気体中で少なくとも400℃に加熱して、ポリマーストランドの骨格中のジエン基の少なくともいくつかとジエノフィル基の少なくともいくつかとを反応させることによりポリマーストランドを硬化(すなわち、ポリマーストランドを架橋)させて、硬化ポリマーストランドのTgおよび力学的安定性を向上させる。別法として、硬化を流動床反応器で実施することもできる。多くの流動床反応器が知られており、それらの全てが本明細書に記載される教示に関連させて適切であると考えられる。さらに別の手順では、ポリマーストランドでコートされたシリカ粒子をシリカ系ゾル−ゲル溶液中に分散させる。粒子を添加した後、ゲル化を開始させるために水と触媒(酸または塩基)を添加する。次に、溶剤を加熱により除去し、乾燥ゲルをさらに約400℃に加熱してポリマーストランドを硬化させる。
【0041】
ポリマーストランドを硬化させた後、ポリマーコート内のシリカ粒子を、フッ化水素酸の5vol%水溶液を用いて、室温で約60分かけて粒子を浸出させることにより除去する。次に、得られた中空ポリマー球を水で2回洗い、真空オーブン中、300℃で乾燥させる。この浸出ステップにより、架橋ポリマーストランドにより形成された中空球形粒子が得られる。
【0042】
中空構造体と第2のポリマーストランドとの組合せ
骨格中にトラン部分とシクロペンタジエノン部分の両方をもつポリ(アリーレンエーテル)の10wt%シクロヘキサノン溶液100mLに、8gの中空ポリマー球を室温で加え、得られたスラリを均一になるまで攪拌する。
【0043】
第2のポリマーストランドの架橋、ならびに第1のポリマーストランドの第2のポリマーストランドへの連結
5mLの均一なスラリを、3000rpm、30秒で、直径200mmのシリコンウェハ上にスピンコートする。次に、コートされたウェハを一連のホットプレート(100、150、250℃)上で加熱して溶剤を蒸発させ、400℃で熱的に活性化して、中空構造体を形成するポリマーストランドの硬化反応と同一の反応で、第2のポリマーストランドを架橋させる。同様に、第1および第2のポリマーストランド(すなわち、中空構造体を形成するポリマーストランド、および中空構造体に混合されたポリマーストランド)に残っているジエンおよびジエノフィル基の少なくともいくつかは、中空構造体を形成するポリマーストランドの硬化反応と同一の架橋反応で、熱活性化の間に反応するであろう。
【0044】
第1および第2の未硬化ポリマーストランドは個々に400℃を超えるTgをもち、また硬化ステップは一般にTgを上げるので、このようにして調製されたナノ多孔性材料は400℃以上のガラス転移温度Tgを示すと企図される。誘電率kに関しては、k値は主に、第1および第2のポリマーストランドの中実(solid)材料のk値(すなわち、中空構造体を含まないポリマーストランドのk値)、およびナノ多孔性ポリマーに含まれる空気の量により決まり、また式(I)を用いてナノ多孔性ポリマーのk値を求めることができると企図されている。
【0045】
ε0=(ε1*ε2)/(ε1V2+ε2V1) (I)
式中、ε0はナノ多孔性ポリマーの誘電率であり、ε1は第1および第2の中実ポリマーストランドの誘電率であり、ε2は空気の誘電率であり、V1は誘電率がε1の誘電体の体積(分率で、すなわち、30%の多孔度は、V=0.3に相当する)であり、またV2は誘電率がε2の誘電体の体積(やはり分率で)である。本発明の主題により生成されたナノ多孔性ポリマーの誘電率kは、2.5以下、より好ましくは、2.1以下と企図されている。例えば、約2.9の誘電率をもつ前記のポリ(アリーレンエーテル)が、本発明の主題によるナノ多孔性ポリマーに用いられる場合、またナノ多孔性ポリマーの空気含量が30%である場合(空気の誘電率を1.0であるとして)、結果として、ナノ多孔性ポリマーの誘電率は1.85である。したがって、多孔度が30%を超える場合、2.1以下のk値を実現できる。
【0046】
こうして、中空構造体をもつナノ多孔性ポリマーの特定の実施形態と応用が開示された。しかし、本明細書における本発明の基本的考えから逸脱することなく、すでに記載されたもの以外にさらに多くの改変が可能であるということが、当分野の技術者には明らかであろう。したがって、本発明の主題は、添付の特許請求の範囲の精神以外によっては限定されるべきではない。さらに、本明細書および特許請求の範囲の両方を解釈するにあたり、全ての用語は文脈に合致する最も広い可能な仕方で解釈されるべきである。特に、用語「含む」および「含んでいる」は、参照された要素、成分、またはステップが、明示しては参照されていない他の要素、成分、またはステップと共に、存在し、または利用され、あるいは組み合わされてもよいということを示していて、要素、成分、またはステップに非排他的仕方で参照されていると解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】例示的ナノ多孔性ポリマーの概略図である。
【図2】例示的ポリマーの構造とその合成を示す図である。
【図3A】三重結合を含む第1のポリマーストランド用モノマーの例示的構造を示す図である。
【図3B】三重結合を含む第1のポリマーストランド用モノマーの例示的構造を示す図である。
【図3C】三重結合を含む第1のポリマーストランド用モノマーの例示的構造を示す図である。
【図3D】三重結合を含む第1のポリマーストランド用モノマーの例示的構造を示す図である。
【図4A】ジエンを含む第1のポリマーストランド用モノマーの例示的構造を示す図である。
【図4B】ジエンを含む第1のポリマーストランド用モノマーの例示的構造を示す図である。
【図5A】三重結合とジエンの両方を含む第1のポリマーストランド用モノマーの例示的構造を示す図である。
【図5B】三重結合とジエンの両方を含む第1のポリマーストランド用モノマーの例示的構造を示す図である。
【図6】2つのポリマーストランドが環状構造により連結/架橋される例示的スキームを示す図である。
【0001】
本発明の分野はナノ多孔性ポリマーである。
【背景技術】
【0002】
集積回路の機能性素子の寸法の減少と密度の増加とが、誘電率を低下させた絶縁材料への絶え間ない要求を生み出している。多くの手法の中で特に、材料の誘電率を低下させるために、絶縁材料に空気を含有させることが成功裏に利用されてきており、材料中に空気を導入する様々な方法が知られている。
【0003】
1つの方法では、ポリマー材料中に熱不安定な成分を組み込み、ポリマー材料を硬化させた後、その熱不安定な成分を加熱により破壊する。例えば、Hedrick他は、米国特許第5,776,990号中に、熱安定性ポリマーと熱不安定性(熱分解性)ポリマーとをブレンドすることを記載している。続いて、ブレンドされた混合物を架橋し、熱不安定部分を熱分解する。熱安定性ポリマーと熱不安定性ポリマーとをブレンドすることは、考え方としては簡単で、最終ポリマーの多孔度を比較的よく制御できる。しかし、ボイドの位置の制御は一般に実施するのが困難であり、ボイドの一様な分布と大きさを制御することが所望の場合、さらなる問題が生じうる。
【0004】
ボイドの大きさと分布に関連する問題の、少なくともいくつかを避けるために、ポリマーストランド(strand)上に熱不安定性部分をグラフトすることができる。例えば、熱不安定性ブロックと熱安定性ブロックが交互にあるブロックコポリマーを合成してもよい。次に、そのブロックコポリマーを加熱して、熱不安定性ブロックを熱分解させる。別法として、熱安定性ブロックと熱不安定性部分をもつ熱安定性ブロックを混合し、重合させてコポリマーを生成させることもできる。次に、そのコポリマーを加熱し、熱不安定性ブロックを熱分解する。熱不安定性部分を組み込むと、一般に、細孔の大きさおよび分布についての制御を向上させるが、このようなポリマーの合成は骨の折れるものであることが多い。
【0005】
ポリマー混合物中の熱不安定性部分によりボイドを導入するのに用いられる手法には関わりなく、ナノ多孔性材料を製造する際には構造上の問題にしばしば直面する。特に、多孔ポリマーは、熱不安定性成分が熱分解される温度で潰れる傾向がある。さらに、ボイドは力学的に安定な構造体として形成されているわけではないので、全体の多孔度が約30%の臨界的度合いを超えると、多孔ポリマーは潰れる傾向がある。
【0006】
別の方法では、構造的に安定なボイド担体をポリマー材料中に組み込む。例えば、Yokouchi他は、米国特許第5,593,526号中に、配線板の製造方法を教示し、その方法では、中空または多孔のガラス球(sphere)をセラミックコーティング層で被覆し、次にその被覆ガラス球をガラスマトリックスと混合する。Yokouchiのガラス球は、配線板の誘電率を低下させるのに役立つが、化学的気相堆積法などの比較的厄介で費用のかかる方法によるコーティングを必要とする。さらに、ガラスマトリックスと被覆された球の間に安定な構造を作り出すために、その混合物を約1000℃の温度で焼く必要があり、これは、全てではないとしても、ほとんどの集積回路で許容されない。
【0007】
別法として、Sato他は、米国特許第5,194,459号中に、硬化架橋されたフッ素化ポリマーネットワーク中に閉じ込められた、ガス充填された中空マイクロ球のネットワークから形成された絶縁材料を記載している。Satoの材料では、Yokouchiの材料に比べて、必要とされる温度は劇的に低下している。さらに、Satoの材料は引張り強さを保ったままで、適当な材料上に比較的薄い層でコートすることができる。しかし、Satoのポリマーは全てフッ素を含み、このことが集積回路の製造に用いられる材料に対するポリマーの接着性を低下させる傾向がある。さらに、フッ素は金属導体線の腐蝕を引き起こすことが知られている。さらに、Satoのポリマーネットワーク中のガラス球は、周囲のネットワークに共有結合で結ばれていないので、多孔ポリマー組成物の力学的一体性は、ある条件下では、あまり望ましくないものになるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ナノ多孔性材料に空気を導入する多くの方法が知られているが、それらの全てあるいはほとんど全てには1つまたは複数の不都合な点がある。したがって、ナノ多孔性低誘電率材料を得るための改良された方法および組成物を提供することが依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はナノ多孔性ポリマーを得るための方法および組成物を対象とし、1組の第1のポリマーストランドが互いに架橋して中空構造体を形成し、1組の第2のポリマーストランドが互いに架橋し、かつ第1の組のポリマーストランドと共有結合により連結(couple)してナノ多孔性ポリマーを形成している。
【0010】
本発明の主題の一態様では、少なくともいくつかの第1のポリマーストランドは芳香族部分を含み、好ましくは、ポリ(アリーレン)および/またはポリ(アリーレンエーテル)である。特に企図されているポリ(アリーレンエーテル)は、三重結合および/またはジエンをさらに含む。中空構造体は様々な形状でありうるが、好ましくは中空構造体は、最大寸法で10ナノメートル以下、より好ましくは3ナノメートル以下の球形である。
【0011】
本発明の主題の別の態様では、第1のポリマーストランドは環状構造により互いに架橋されており、さらに好ましい態様では、第1のポリマーストランドと第2のポリマーストランドは環状構造により互いに連結されている。本発明の主題を限定するわけではないが、第1と第2のストランドは同じ化学的なクラス(chemical class)に属することが好ましい。特に企図されているナノ多孔性ポリマーでは、第1のポリマーストランドには三重結合があり、第2のポリマーストランドにはジエンがあり、第1および第2のポリマーストランドは、該三重結合を該ジエンと反応させることにより互いに連結される。
【0012】
本発明の主題のさらなる態様では、ナノ多孔性ポリマーは誘電率kをもち、ナノ多孔性ポリマーの誘電率kは、2.5以下、好ましくは2.1以下であることが一般に企図されている。企図されているナノ多孔性ポリマーのガラス転移温度Tgに関しては、好ましいポリマーのTgは400℃以上である。
【0013】
本発明の様々な目的、特徴、態様および利点が、添付図と併せて、以下の本発明の好ましい実施態様の詳細な説明から、より明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本明細書では、用語「ポリマーストランド」は、付加的なペンダント官能基もしくは構造部分を含んでいてもよい骨格を定めるように共有結合したモノマーの構成体を表す。本明細書では、用語「モノマー」は、それ自体と、あるいは化学的に異なる化合物と、反復的な様式で共有結合を形成できる化合物を表す。特に、企図されているモノマーにはブロックポリマーもまた含めてよい。モノマー間の反復的な結合形成により、生成物は線状、分岐、超分岐もしくは3次元的になりうる。本明細書ではまた、用語「骨格」は、どの原子または部分を取り除いたとしてもその鎖の中断になるであろうように共有結合する、ポリマーストランドを形成する原子または部分の繋がった鎖を表す。
【0015】
また本明細書では、用語「中空構造体」は、それぞれが少なくとも6個の原子をもつ複数の構成ブロックにより形成され、その構成ブロックの少なくともいくつかはキャビティを定めるように配置されている形態(configuration)を表す。例えば、ガラスのマイクロ球を囲む複数のポリエチレンポリマーストランドからなるポリマーコートは、このコートが6個より多い原子をもつ構成ブロックからなり、また構成ブロックがキャビティを定めるように配置されているので、この定義の範囲のもとで中空構造体であると考えられる。
【0016】
さらに本明細書では、用語「架橋」は、少なくとも2つのポリマーストランド間の、少なくとも一時的な物理的結合を表し、特にポリマーストランド間の共有結合を含む。共有結合は、各ポリマーストランドの反応性ペンダント基の間に形成することができ、あるいは各ポリマーストランドの骨格内に位置する反応基の間に形成することもできるであろう。
【0017】
図1において、例示的なナノ多孔性ポリマー100は通常、架橋114により架橋された、複数の第1のポリマーストランド112により形成される中空構造体110を備える。中空構造体110は、共有結合130により、複数の第2のポリマーストランド120に共有結合的に連結されている。第2のポリマーストランドは架橋122により架橋されている。
【0018】
第1のポリマーストランドに関しては、第1のポリマーストランドの特定の化学的性質は本明細書に記載される本発明の基本的考えを限定せず、適切なポリマーストランドは、ポリイミド、ポリエステル、あるいはポリエーテルを含めて、様々な化学的クラスに属していてもよいことが企図されている。特に好ましいポリマーストランドには、ポリ(アリーレン)およびポリ(アリーレンエーテル)が含まれ、好ましいポリ(アリーレンエーテル)の合成および例示的構造が図2に示されており、図2においてARおよびAR’は独立に、好ましくは芳香族もしくは縮合芳香族部分を主に含む、適切な熱的に安定な部分を含む。例えば、HO−C6H4−AR−C6H4−OHはフルオレンビスフェノールであってよく、F−C6H4−AR’−C6H4−Fは、少なくとも1個のトラン部分を含むジフルオロ芳香族化合物であってよい。ジフルオロ化合物とビスフェノール化合物は、反応混合物中の余分な未反応モノマーを避けるために、有利には化学量論的な量で反応させる。図2の特定の例では、化学量論的な量は、ジフルオロ化合物とビスフェノール化合物の等モル混合物に相当する。
【0019】
所望の部分および/または基を含む適切なモノマーを用いることにより、ポリマーストランドに構造部分と官能基を導入しうるものと一般に企図されている。例えば、ポリマーストランドの骨格がジエノフィルあるいはジエンを含むことが所望の場合、図3A〜3Dに示されるモノマー(ジエノフィルとして三重結合をもつ)および図4A〜4Bに示されるモノマー(ジエンとしてシクロペンタジエノンをもつ)を用いることができる。特に企図されているモノマーは少なくとも2種の異なる反応基を含み、このような好ましいモノマーの例が図5A〜5Bに示されている。
【0020】
しかし、企図される官能基はジエンまたはジエノフィルに限定される必要はなく、極性、荷電、または疎水性基を含んでいてもよい。例えば、化学反応性が特に所望の場合、官能基は、酸、酸塩化物、活性化エステル、または塩基でありうる。他方、静電的相互作用が好ましい場合、第4級アンモニウム基またはポリリン酸塩を含みうる。同様に、特に疎水性または親水性が必要とされる場合(例えば、特定の溶剤に溶解するようにするために)、オクチル、セチル、またはポリエチレン基をポリマーストランドに含めることができる。
【0021】
ポリマーストランドの構造部分に関しては、適切な構造部分はナノ多孔性ポリマーの物理化学的性質を向上させうるということが特に企図されており、特に企図されている構造部分は、ポリマーストランドの全体としての密度を低下させるための嵩高い(bulky)基、あるいは加熱により熱的に壊されてさらなるナノ多孔性を生じうる熱不安定性基を含んでいる。例えば、嵩高い構造には、セキシフェニレン(sexiphenylene)などの実質的に平面である部分が含まれ得るが、アダマンタン、ジアマンタン、フラーレンなどの3次元的部分もまた含まれる。さらに、本発明の主題によるポリマーストランドは接着性向上基(例えば、ケイ素系の基)、発色団、ハロゲン(例えば、難燃化のための臭素)などを含みうるということが理解されるべきである。
【0022】
結果として、企図されているポリマーストランドは様々な形状でありうる。本発明の主題によるポリマーストランドは一般に線状ストランドであることが企図されているが、別の形状として、分岐、超分岐、および3次元的形状もまた含まれていてもよい。例えば、架橋されたポリマーストランドとして特に剛直な構造が所望の場合、ストランドは、全てが架橋のための反応基を含みうる1つから多数の分岐を含んでいてもよい。他方、中空構造体に特に肉厚の壁強度が所望の場合、有利には3次元的ポリマーストランドを用いることができる。
【0023】
企図されているポリマーストランドの分子量は広い範囲、典型的には400ダルトンと400000ダルトンの間、あるいはそれ以上に渡りうるし、特に適切なポリマーストランドは、3/30/00に出願の米国特許出願第09/538276号、および4/6/00に出願の米国特許出願第09/544504号に記載されており、これらの双方とも参照により本明細書に組み込まれる。しかし、分子量は、流動および填隙(gap−filling)特性が悪影響を受けないようなものであることが一般に好ましい。本発明の主題の特に企図されている態様では、ポリマーストランドをその場(in situ)で、すなわちポリマーストランドの架橋が起こるであろう場所と実質的に同じ場所で、生成させることもできる。例えば、モノマーが熱硬化性モノマーである場合、ポリマーを架橋が起こるであろう場所と実質的に同じ場所で生成させることができる。特に企図されている熱硬化性モノマーは、7/19/00に出願の米国特許出願第09/618945号に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。さらなる別の態様では、ポリマーストランドは単一種のモノマーで構成される必要はなく、同一でない様々なモノマーの混合物で構成されていてもよい。
【0024】
企図されているナノ多孔性ポリマーの中空構造体は、多くの形状と大きさをもっていてよいが、中空構造体は実質的に球形で、内径が100nm未満、好ましくは50nm未満、より好ましくは10nm未満、最も好ましくは3nm未満であることが一般に好ましい。本明細書では、用語「実質的に球形」は、回転楕円面形状(spheroid)を表す。例えば、円が楕円の特別な形態であるのと全く同じように球は回転楕円体の特別な形態である。別の観点から見ると、用語「実質的に球形」は、完全な球ではない幾何学的形状をもつ球(例えば、卵は実質的に球形である)を含めるために用いられている。結果として、本明細書では、実質的な球形の「直径」は、実質的な球形の、平面横断面における縁の間の最大距離である。例えば、市販されているガラスマイクロ球は、複数の溶解したポリマーストランドをも含む第1の溶剤(例えば、ポリアリールエーテルの3wt%シクロヘキサノン溶液)に、約1mg/mlから約100mg/mlの濃度で懸濁される。この懸濁液に、ポリマーストランドが溶解しない第2の溶剤(例えば、エタノール)が加えられる。第2の溶剤が十分に添加された後、ポリマーはシリカ粒子上に沈殿するであろう。全シリカ粒子の表面は、溶剤、ポリマーストランドおよび粒子が入っている容器の表面よりかなり大きいので、沈殿したポリマーストランドのほとんどは粒子上に堆積するであろう。
【0025】
別法として、マイクロ球とポリマーストランドの間の相互作用を特に強固なものとするために、ポリマーストランドをマイクロ球に化学的に固定してもよい。例えば、マイクロ球がガラスマイクロ球である場合、ポリマーストランドはシリカ上に存在するシラノール基と共有結合を形成できる官能基で部分的に、あるいは全体として誘導体化することができる。特に適切な官能基は−Si(OEt)3である。ポリマーストランドによるマイクロ球のコーティングのさらに別の方法には、スプレー、静電コーティング、あるいはポリマーストランドの液状化(例えば、液状化熱可塑性樹脂)調製物への分散が含まれ、ガス/空気充填マイクロカプセル形成のさらなる方法が、Wheatley他の米国特許第5,955,143号に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0026】
堆積の方法に関わらず、ポリマーストランドは架橋反応により架橋されると企図されている。ポリマーストランド間の架橋反応は多数知られており、それらの全てが、本明細書に記載される、本発明の基本的考えに関連させて用いるのに適すると考えられる。例えば、ラジカル反応、一般的な酸もしくは塩基触媒反応、あるいは環化付加反応を含む反応で、架橋を実施することができる。さらに、架橋は外来の架橋剤(例えば、2官能または多官能分子)を含むことができるが、ポリマーストランドおよび/または骨格内に位置する反応基間の反応を含むこともできる。
【0027】
特に好ましい架橋反応は、ジエンとジエノフィルの間の反応を含み、これらの双方ともポリマーストランドの骨格内に位置し、また図6に示されるように、一方のポリマーストランドが骨格内にシクロペンタジエノン構造をもち、他方のポリマーストランドが骨格内に三重結合をもち、これらの双方は反応して環状構造を形成する。架橋反応で形成された環状構造は、従って、新たに生成したセキシフェニレン環系のフェニル環である。この型の架橋反応は、外来の架橋性分子を加えることなく、ポリマーストランドの熱活性化(すなわち、加熱)により有利に実施され、また環状構造を形成するさらなる適切な架橋反応が、4/6/00に出願された米国特許出願第09/544722号に記載されており、これは本明細書に参照により組み込まれる。架橋工程中に粒子が凝集するのを防ぐために、窒素または他の不活性気体を用いる流動床処理で粒子を熱的に活性化しうるということがさらに企図されている。別法として、粒子をシリカ系ゾル−ゲル溶液中に分散させ、ゲルを加熱して溶剤と水を追い出し、次に硬化(すなわち、架橋)温度で乾燥することにより、粒子を架橋することもできる。さらに、ノズルを通して高温の不活性気体雰囲気(200℃〜450℃)内に粒子をスプレーすることにより、それらを架橋させることができる。粒子が高温気体(窒素など)内にスプレーされると、個々の粒子が不活性気体分子により取り囲まれるので、それらは凝集することなく架橋するであろう。
【0028】
ガラスマイクロ球上でポリマーストランドを架橋させた後、ガラスマイクロ球は架橋ポリマーから浸出されることが一般に好ましい。ガラスマイクロ球の浸出液は、好ましくは、フッ化水素酸(HF)を含む。HF系エッチングは、粒子がシリカ系ゾル−ゲルシステム(前掲)中で硬化された場合、「外側の」シリカも取り除くので有利である。別法として、ガラスマイクロ球以外の、支持構造体用の多くの材料を用いることができ、特に企図されている材料には、ポリマーストランドを溶解しない溶剤中に溶解する材料、あるいはポリマーストランドに悪影響を与えない条件下で蒸発させることができる材料が含まれる。
【0029】
代替的な中空構造体の大きさに関しては、巨視的、微視的および超微視的大きさが適当であると企図されている。例えば、ナノ多孔性材料が塊状(bulk)材料である場合、中空構造体の大きさは約100μmと1mmの間、およびそれ以上であることができる。他方、中空構造体の大きさは、所望の場合、約100μmと100nmの間であってよいし、特にナノ多孔性材料が電子部品上で誘電体膜として用いられる場合(例えば、集積回路の絶縁層)、中空構造体の大きさは約100nmと約1nmの間であってよいということが特に企図されている。中空構造体の形状は実質的に球形であることが一般に好ましいが、多くの別の形状もまた適切であり、円柱形、立方体形などの規則的形状ばかりでなく、集合瘤形状(aggregated blisters)などの不規則形状、または卵形形状も含まれる。本発明の主題による中空構造体は、保管するかあるいは第2のポリマーストランドと混合するために直ちに使用することができる。
【0030】
第2のポリマーストランドに関しては、第1のポリマーストランドに対するものと同じ考察が適用されるものと企図されており、第1および第2のポリマーストランドが同じ化学的なクラスに属することが特に好ましい。例えば、第1のポリマーストランドがポリ(アリーレンエーテル)である場合、第2のポリマーストランドもまたポリ(アリーレンエーテル)であることが好ましい。しかし、所望の場合、第1および第2のポリマーストランドは異なる化学的なクラスに属し、第1および第2のポリマーストランドが互いに連結されうる限り、化学的に合理的な、化学的なクラスの全ての組合せが企図されていることが理解されるべきである。例えば、中空構造体を形成するための第1のポリマーストランドが、連結のための三重結合を含むように誘導体化されたポリイミド(例えば、比較的に優れた耐熱性のために)であり、一方、第2のポリマーストランドが、連結のためのジエンをもつポリ(アリーレンエーテル)(例えば、所望の低いk値のために)であってもよい。他の化学的なクラスとして、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリラクタムなどを含めることができる。
【0031】
本発明の主題の特に好ましい態様では、第2のポリマーストランドは第1のポリマーストランド(例えば、ポリ(アリーレンエーテル))と同じ化学的なクラスに属し、第2のポリマーストランドは適当な溶剤(例えばシクロヘキサノン)に、約1wt%から約15wt%の濃度で溶解させる。この溶液に、最終のナノ多孔性ポリマーが約30vol%の空気を含むのに十分な量で、中空構造体の調製物を加える。次に、得られたスラリを、約3000rpmで約30秒間のスピンコーティングにより、シリコンウェハ上に薄膜として広げ、約400℃で30分間、熱により活性化する。熱活性化により、第2のポリマーストランドが互いに架橋し、また第1のポリマーストランドの第1の反応基(例えば三重結合、前掲)と第2のポリマーストランドの第2の反応基(例えばジエン、前掲)を含む反応により、第1と第2のポリマーストランドが連結される。このように、別工程で第1のポリマーストランドを架橋させることにより、ボイド形成構造がすでに事前に形成され、かつ構造上安定化されている時点で、第2のポリマーの架橋が起こるということが特に理解されるべきである。
【0032】
本発明の主題の別の態様では、第2のポリマーストランドは必ずしも溶剤に溶解される必要はなく、液状化された状態(特に、第2のポリマーストランドが熱可塑性材料である場合)にあってもよい。別法として、第2のポリマーストランドもまたその場で、すなわち中空構造体の存在下で生成させることができる。
【0033】
溶剤中の第2のポリマーストランドの濃度、および溶剤中に含有される中空構造体の量に関しては、第2のポリマーストランドの濃度および中空構造体の量の双方ともかなり変わりうるし、特定の用途と所望の材料の性質に典型的に依存するであろうということが理解されるべきである。例えば、ナノ多孔性材料が膜として形成される場合、0.001wt%と5wt%の間の濃度を含めて、比較的低い第2のポリマーストランド濃度が企図される。代わりに、ナノ多孔性材料が塊状材料として形成されるであろう場合には、約5wt%から50wt%の濃度、およびこれを超える濃度が企図される。同様に、中空構造体の量は、ナノ多孔性材料に望まれる具体的な多孔度に依存して変わり得る。例えば、比較的大きな多孔度が所望の場合、中空構造体の量は約15wt%と45wt%の間、およびそれ以上であり得るが、限られた多孔度が望まれる別の用途では、中空構造体の量は約15wt%と0.1wt%の間、およびそれ以下であり得る。
【0034】
第1と第2のポリマーストランドの連結(coupling)に関しては、連結は外から添加された連結分子を含んでいてもよく、あるいは第1および第2のポリマーストランド中にそれぞれ位置する反応基間の反応により実施されてもよいと企図されている。しかし、連結反応は、第1のポリマーストランドの骨格内の第1の反応基と第2のポリマーストランドの骨格内の第2の反応基との間で実施されるということが特に企図されている。例えば、第1および第2のポリマーストランドは、骨格内にジエン(例えば、シクロペンタジエノン)とジエノフィル(例えば、三重結合)の両方をもつ(図6に類似の)ポリ(アリーレンエーテル)でありうるし、第1および第2のポリマーストランドのジエンおよびジエノフィルの一部分は第1および第2のポリマーストランドをそれぞれ架橋するのに使われるが、反応基の別の部分は第1と第2のポリマーポリマーストランドを互いに連結させるのに用いられる。
【0035】
したがって、本発明の主題によるナノ多孔性ポリマーは、複数の架橋された第1のポリマーストランドにより作られた少なくとも1つの中空構造体が提供されるステップがある方法により、製造することができる。別のステップでは、複数の第2のポリマーストランドが提供され、さらなるステップでは中空構造体と第2のポリマーストランドとが組み合わせられる。さらに別のステップでは、第2のポリマーストランドの少なくとも1つと第2のポリマーストランドの別の1つとが架橋され、さらに別のステップでは、第1のポリマーストランドの少なくとも1つが、第2のポリマーストランドの少なくとも1つと共有結合により連結される。
【実施例】
【0036】
以下は本発明の主題によるナノ多孔性ポリマーを製造する例示的な手順である。
【0037】
第1および第2のポリマーストランドの調製
芳香族求核置換反応の一般的な合成手順が、図2に示される反応スキームに例示されており、それを、フルオレンビスフェノールと4−フルオロ−3’−(4−フルオロベンゾイル)トランの間の反応として実施することができる。磁気攪拌子、熱電対、Dean−Starkトラップ、還流冷却器およびN2出入り口接合部を備える1Lの三つ口丸底フラスコを数時間N2でパージし、0.2Lの温めたスルホランを投入する。70〜80℃で、35.042g(0.1000モル)のフルオレンビスフェノール(FBP)、31.8320g(0.1000モル)の4−フルオロ−3’−(4−フルオロベンゾイル)−トラン(FBZT)および27.64g(0.2モル)の炭酸カリウムを加え、165mLの温めたスルホランと165mLのトルエンで洗い落とす。反応物を140℃に加熱し、この温度で1〜2時間共沸させ、次にトルエンを除去することにより温度を徐々に175℃に上げ、175℃で15〜20時間共沸させて反応を続ける。温度を165℃に下げ、4−フルオロベンゾフェノンを加えて、エンドキャップ化を5時間続ける。反応物を165mLのNMPで希釈し、一夜放置する。次に、冷めた反応物を濾紙で濾過し、5倍のMeOH(0.03%HNO3)で沈殿させ、NMPに再度溶解し、5倍のMeOH(0.01%HNO3)で再度沈殿させる。沈殿を濾紙を用いて濾過し、濾紙上でそれぞれ1LのMeOHで3回洗い、真空オーブンで一夜、60〜70℃で乾燥させる。
【0038】
ジエンとジエノフィルの両方を含む第1および第2のポリマーストランドの生成のために、4−フルオロ−3’−(4−フルオロベンゾイル)−トラン(すなわち、ジエノフィルをもつモノマー)の一部分(例えば、50モル%)が、図4Aおよび4Bに示されるようなジフルオロ成分(すなわちジエンをもつモノマー)に置き換えられる。別法として、ジエンおよびジエノフィル成分の両方を単一のモノマーに持たせるために、4−フルオロ−3’−(4−フルオロベンゾイル)−トランの全てを、図5Aおよび5Bに示されるようなジフルオロ成分に置き換えることもできる。
【0039】
中空構造体の生成
市販の直径10nmのシリカ粒子10g(Catalyst and Chemicals Industries of Japan)を、トラン部分とシクロペンンタジエノン部分の両方を骨格中にもつポリ(アリーレンエーテル)の10wt%シクロヘキサノン溶液200ml中に分散させる。200mlのエタノールを、室温で連続的に攪拌しながら徐々に加える。ポリ(アリーレンエーテル)の沈殿が終わると、溶剤混合物を除去し、粒子を50mlのメタノールで2回洗う。
【0040】
次に、ポリマーコートされたシリカ粒子を、窒素または他の不活性気体中で少なくとも400℃に加熱して、ポリマーストランドの骨格中のジエン基の少なくともいくつかとジエノフィル基の少なくともいくつかとを反応させることによりポリマーストランドを硬化(すなわち、ポリマーストランドを架橋)させて、硬化ポリマーストランドのTgおよび力学的安定性を向上させる。別法として、硬化を流動床反応器で実施することもできる。多くの流動床反応器が知られており、それらの全てが本明細書に記載される教示に関連させて適切であると考えられる。さらに別の手順では、ポリマーストランドでコートされたシリカ粒子をシリカ系ゾル−ゲル溶液中に分散させる。粒子を添加した後、ゲル化を開始させるために水と触媒(酸または塩基)を添加する。次に、溶剤を加熱により除去し、乾燥ゲルをさらに約400℃に加熱してポリマーストランドを硬化させる。
【0041】
ポリマーストランドを硬化させた後、ポリマーコート内のシリカ粒子を、フッ化水素酸の5vol%水溶液を用いて、室温で約60分かけて粒子を浸出させることにより除去する。次に、得られた中空ポリマー球を水で2回洗い、真空オーブン中、300℃で乾燥させる。この浸出ステップにより、架橋ポリマーストランドにより形成された中空球形粒子が得られる。
【0042】
中空構造体と第2のポリマーストランドとの組合せ
骨格中にトラン部分とシクロペンタジエノン部分の両方をもつポリ(アリーレンエーテル)の10wt%シクロヘキサノン溶液100mLに、8gの中空ポリマー球を室温で加え、得られたスラリを均一になるまで攪拌する。
【0043】
第2のポリマーストランドの架橋、ならびに第1のポリマーストランドの第2のポリマーストランドへの連結
5mLの均一なスラリを、3000rpm、30秒で、直径200mmのシリコンウェハ上にスピンコートする。次に、コートされたウェハを一連のホットプレート(100、150、250℃)上で加熱して溶剤を蒸発させ、400℃で熱的に活性化して、中空構造体を形成するポリマーストランドの硬化反応と同一の反応で、第2のポリマーストランドを架橋させる。同様に、第1および第2のポリマーストランド(すなわち、中空構造体を形成するポリマーストランド、および中空構造体に混合されたポリマーストランド)に残っているジエンおよびジエノフィル基の少なくともいくつかは、中空構造体を形成するポリマーストランドの硬化反応と同一の架橋反応で、熱活性化の間に反応するであろう。
【0044】
第1および第2の未硬化ポリマーストランドは個々に400℃を超えるTgをもち、また硬化ステップは一般にTgを上げるので、このようにして調製されたナノ多孔性材料は400℃以上のガラス転移温度Tgを示すと企図される。誘電率kに関しては、k値は主に、第1および第2のポリマーストランドの中実(solid)材料のk値(すなわち、中空構造体を含まないポリマーストランドのk値)、およびナノ多孔性ポリマーに含まれる空気の量により決まり、また式(I)を用いてナノ多孔性ポリマーのk値を求めることができると企図されている。
【0045】
ε0=(ε1*ε2)/(ε1V2+ε2V1) (I)
式中、ε0はナノ多孔性ポリマーの誘電率であり、ε1は第1および第2の中実ポリマーストランドの誘電率であり、ε2は空気の誘電率であり、V1は誘電率がε1の誘電体の体積(分率で、すなわち、30%の多孔度は、V=0.3に相当する)であり、またV2は誘電率がε2の誘電体の体積(やはり分率で)である。本発明の主題により生成されたナノ多孔性ポリマーの誘電率kは、2.5以下、より好ましくは、2.1以下と企図されている。例えば、約2.9の誘電率をもつ前記のポリ(アリーレンエーテル)が、本発明の主題によるナノ多孔性ポリマーに用いられる場合、またナノ多孔性ポリマーの空気含量が30%である場合(空気の誘電率を1.0であるとして)、結果として、ナノ多孔性ポリマーの誘電率は1.85である。したがって、多孔度が30%を超える場合、2.1以下のk値を実現できる。
【0046】
こうして、中空構造体をもつナノ多孔性ポリマーの特定の実施形態と応用が開示された。しかし、本明細書における本発明の基本的考えから逸脱することなく、すでに記載されたもの以外にさらに多くの改変が可能であるということが、当分野の技術者には明らかであろう。したがって、本発明の主題は、添付の特許請求の範囲の精神以外によっては限定されるべきではない。さらに、本明細書および特許請求の範囲の両方を解釈するにあたり、全ての用語は文脈に合致する最も広い可能な仕方で解釈されるべきである。特に、用語「含む」および「含んでいる」は、参照された要素、成分、またはステップが、明示しては参照されていない他の要素、成分、またはステップと共に、存在し、または利用され、あるいは組み合わされてもよいということを示していて、要素、成分、またはステップに非排他的仕方で参照されていると解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】例示的ナノ多孔性ポリマーの概略図である。
【図2】例示的ポリマーの構造とその合成を示す図である。
【図3A】三重結合を含む第1のポリマーストランド用モノマーの例示的構造を示す図である。
【図3B】三重結合を含む第1のポリマーストランド用モノマーの例示的構造を示す図である。
【図3C】三重結合を含む第1のポリマーストランド用モノマーの例示的構造を示す図である。
【図3D】三重結合を含む第1のポリマーストランド用モノマーの例示的構造を示す図である。
【図4A】ジエンを含む第1のポリマーストランド用モノマーの例示的構造を示す図である。
【図4B】ジエンを含む第1のポリマーストランド用モノマーの例示的構造を示す図である。
【図5A】三重結合とジエンの両方を含む第1のポリマーストランド用モノマーの例示的構造を示す図である。
【図5B】三重結合とジエンの両方を含む第1のポリマーストランド用モノマーの例示的構造を示す図である。
【図6】2つのポリマーストランドが環状構造により連結/架橋される例示的スキームを示す図である。
Claims (20)
- 互いに架橋しかつ中空構造体を形成する複数の第1のポリマーストランドと、
互いに架橋しかつ第1のポリマーストランドの少なくとも1つに共有結合により連結した複数の第2のポリマーストランドと、
を含むナノ多孔性ポリマー。 - 複数の第1のポリマーストランドが芳香族部分を含む請求項1に記載のナノ多孔性ポリマー。
- 複数の第1のポリマーストランドがポリ(アリーレンエーテル)を含む請求項1に記載のナノ多孔性ポリマー。
- ポリ(アリーレンエーテル)がジエノフィルを含む請求項3に記載のナノ多孔性ポリマー。
- ポリ(アリーレンエーテル)がジエンを含む請求項3に記載のナノ多孔性ポリマー。
- 第1のポリマーストランドの少なくとも1つが、第1のポリマーストランドの別の少なくとも1つと環状構造により架橋している請求項1に記載のナノ多孔性ポリマー。
- 中空構造体が実質的に球形である請求項1に記載のナノ多孔性ポリマー。
- 中空構造体の内径が10ナノメートル以下である請求項7に記載のナノ多孔性ポリマー。
- 中空構造体の内径が3ナノメートル以下である請求項7に記載のナノ多孔性ポリマー。
- 複数の第1および第2のポリマーストランドがポリ(アリーレンエーテル)を含む請求項1に記載のナノ多孔性ポリマー。
- 第1のポリマーストランドの少なくとも1つが、第2のポリマーストランドの少なくとも1つに環状構造により連結されている請求項1に記載のナノ多孔性ポリマー。
- 第1のポリマーストランドの少なくとも1つが三重結合を有し、第2のポリマーストランドの少なくとも1つがジエンを有し、該三重結合を該ジエンと反応させることにより、該第1のポリマーストランドの少なくとも1つが該第2のポリマーストランドの少なくとも1つに連結されている請求項11に記載のナノ多孔性ポリマー。
- ナノ多孔性ポリマーが誘電率kをもち、kが2.5以下である請求項1に記載のナノ多孔性ポリマー。
- ナノ多孔性ポリマーが誘電率kをもち、kが2.1以下である請求項1に記載のナノ多孔性ポリマー。
- ナノ多孔性ポリマーがガラス転移温度Tgをもち、Tgが400℃以上である請求項1に記載のナノ多孔性ポリマー。
- 複数の架橋された第1のポリマーストランドから製造された少なくとも1つの中空構造体を準備することと、
複数の第2のポリマーストランドを準備することと、
該少なくとも1つの中空構造体と該複数の第2のポリマーストランドとを合わせることと、
第2のポリマーストランドの少なくとも1つと第2のポリマーストランドの別の1つとを架橋させることと、
第1のポリマーストランドの少なくとも1つと第2のポリマーストランドの少なくとも1つとを共有結合により連結させることと、
を含むナノ多孔性ポリマーを生成する方法。 - 中空構造体が実質的に球形であり、直径が10ナノメートル以下である請求項16に記載の方法。
- 複数の第1のポリマーストランドおよび複数の第2のポリマーストランドがポリ(アリーレンエーテル)を含む請求項16に記載の方法。
- 第1のポリマーストランドの少なくとも1つと第2のポリマーストランドの少なくとも1つを環状構造により連結させる請求項16に記載の方法。
- ナノ多孔性ポリマーが2.5以下の誘電率kをもち、ナノ多孔性ポリマーが400℃以上のガラス転移温度Tgをもつ請求項16に記載の方法。
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