JP2003520596A - 肝臓組織源 - Google Patents

肝臓組織源

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、様々な医学的目的のために、心拍が停止しているドナー由来の死体の臓器を、前駆細胞または幹細胞のような機能細胞源として使用することを初めて提供する。さらに正確に言えば、死後約30時間の間、心拍が停止しているドナーから組織を採集する段階、および前駆細胞を提供するために死体の組織を処理する段階を含む、それによって前駆細胞の組織源が得られる方法が開示される。本前駆細胞は、様々な医学的目的のために、細胞治療、遺伝子治療、人工臓器、バイオリアクター、臓器再生等の手段として使用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 1. 発明の分野 本発明は一般に、心拍が停止している死体ドナーの組織からの、前駆細胞また
は幹細胞を含む二倍体細胞の獲得に関連する。
【0002】 2. 発明の背景 肝臓からの未分化前駆細胞の単離および同定には、肝臓疾患の治療においてそ
のような細胞集団がもち得る影響力により、臨床的および商業的な強い関心がも
たれている。米国においては毎年、肝不全のために年間約300,000件の入院があ
る。肝移植は肝不全のある形態については治効があり、米国においては年に約4,
800件の移植が行われている。肝臓移植における限定要因の1つは、臓器移植のた
めのドナー肝臓は、心停止がない脳死の患者由来のものでなければならないこと
に特に制限が与えられる、ドナー肝臓の入手可能性である。近年、死体ドナーを
使用する取組みがなされ、肝臓が死後30分以内に得られた場合それらを使用する
可能性を支えてきたにも関わらず、死体(不全収縮)ドナー由来の肝臓では成功
していない。
【0003】 肝臓への細胞移植は、ほとんどの肝臓疾患のための魅力的な代替治療である。
細胞移植のための外科的手技は、全臓器移植に必要とされる手技に比べて危険を
伴わず、ゆえに、年齢または虚弱質のような様々な外科的リスクをもつ患者にお
いて使用できる。潜在的な病原体が、もし存在するにしても、ヒト由来のもので
あり、患者にはより耐性があり、使用前に容易にスクリーニングできるため、ヒ
ト肝臓細胞の使用は、他の哺乳動物由来の肝細胞よりも勝っている。
【0004】 過去に肝前駆細胞集団を得る試みがなされており、肝臓の細胞治療または遺伝
子治療のために最も多目的な細胞集団であることが示唆された。肝臓における定
義された亜集団を提供するため、細胞表面マーカーおよびサイドスキャッターフ
ローサイトメトリーを利用した、レイド(Reid)らの米国特許第5,576,207号お
よび同第5,789,246号。肝前駆細胞は、自身およびその子孫が肝実質細胞に分化
できる二倍体細胞である。
【0005】 肝前駆細胞はまた、成長因子の産生のためにも極めて有用である。これらは、
それら自身の成長または肝臓における他の前駆細胞(例えば造血前駆細胞または
間葉性前駆細胞)の成長に関連し得、および肝前駆細胞の特定の系への分化誘導
における初期段階に関連する、未だ発見されていない成長因子をも含み得る。こ
れらの新奇の成長因子は、肝臓疾患の治療、または、今日肝臓前駆細胞の形質転
換体と認識されている肝臓癌の制御における可能性をもち得る。
【0006】 さらに、肝臓前駆細胞は、挿入された、遺伝的に形質転換されたまたは正常な
肝前駆細胞が、そのような肝前駆細胞を移植される個体の健康を増進する、遺伝
子治療のための媒介物である。
【0007】 肝臓細胞移植を実施する試みは、分画化していない成熟肝臓細胞を利用し、奏
効性についてある程度の尺度を示してきた。しかし、細胞はインビボにおける成
長の可能性が限られるため、成功のためには多数(100〜200億個)の細胞の注射
が必要とされる。さらに、大きな(平均直径25〜50μm)成熟肝臓細胞の相当な
数の導入は、注射にて大きな凝集物を形成するような、それらの傾向により複雑
化し、結果的に潜在的な致命的塞栓がもたらされる。さらに、これらの細胞は著
しい免疫学的拒絶反応を誘導し、残りの生涯において免疫抑制薬を投与し続ける
ことを患者に強いる。
【0008】 成熟した分化肝臓細胞は、幾つかの基準によって前駆肝臓細胞から識別できる
。分化細胞は、患者に注射した場合に塞栓形成の危険性につながる、集塊または
凝集物を形成する傾向がある。分化細胞は特に低温保存に対して耐性があり、著
しく免疫原性が高い。さらに、分化細胞の複製能は限られており、分化細胞を用
いた移植は、利点があるとしても、臓器移植と比較した利点はほとんどなく、よ
り精巧な調製手順を含む欠点がある。
【0009】 移植または他の医学的目的のための、例えば心臓、肝臓、膵臓、肺、および腎
臓のようなドナー組織を必要とする、必要な臓器の不足は、なおも機能的である
臓器の限られた入手可能性による。現在、移植を予定される臓器は、心臓がまだ
拍動している脳死のドナーから回収される。心臓が停止した場合、血液循環は停
止し(虚血)、組織の酸素付加を妨げ(低酸素)、その結果、非常に短時間内に
臓器は虚血性の損傷を受け、結果的に、そのような臓器は移植された際に機能し
ないというほとんど確かな可能性に至る。一般に、心停止後には臓器は使用され
ず、経験的に、心停止または不全収縮時から30分以上たったものは使用されない
。現在、病院における死亡例の1〜2%のみが脳死-心拍動基準に合致する。しか
し、多大なかつまだ利用されていない移植のための臓器源は、損傷現場で死亡す
る、または外傷後の生存時間が短い、事故犠牲者から多数利用可能である。虚血
性損傷により、これらの事故犠牲者は臓器ドナーとしては使用されていない。肝
臓、脳および心臓のような臓器は、とりわけ著しく虚血感受性の高い組織である
。例えば、心停止による低酸素性および虚血性の脳傷害は、およそ4分後に脳お
よび関連する神経組織への損傷に帰結する。心臓は心停止後4時間まで損なわれ
ずに残存できる。肝臓は1時間未満であれば機能的に機能性を存続でき、好まし
くは温式虚血への曝露後最初の35分以内に、心拍動のないドナー(NHBD)からの
移植を実施することが推奨される(参照として組み入れられる、Ong HS, Soo KC
, Joseph VT, Tan SY, Jeyaraj PRによる論文の抄録を参照のこと。「延長され
た温式虚血後の、移植のための肝臓移植片の生存率(The viability of liver g
rafts for transplantation after prolonged warm ischemia.)」Ann Acad Med
Singapore 1999 Jan;28(1):25〜30;Hong HQ, Yin HR, Zhu SL, Lin YT「選択
した心拍動のない死体ドナー由来の移植肝臓の結末(The results of transplan
t livers from selected non-heat-beating cadaver donors.)」Hiroshima J M
ed Sci 1991 Sep;40(3):87〜91)。現在の医学的規制の下では、潜在的に移植可
能な臓器を取り出すことができる以前の時間が通常遅延する。これは、潜在的な
ドナーが最初に病院または霊安室に運ばれてこなければならないことから生じる
。家族がその後臓器提供書に署名しなければならない。臓器提供の手順を完了し
て初めて、外科チームが臓器を採集するための死体への接触を許される。多くの
場合において、これらの手順により経過した時間のために、臓器は既に不可逆的
に損傷を受けている、またはもはや生存可能ではない。したがって、先行技術で
は、ドナー臓器を虚血性の損傷から防護するための多数の方法および過程を提供
する。例えば、多くの中でとりわけ、参照として本明細書に組み入れられる、米
国特許第5,702,881号;同第5,660,976号;同第5,752,929号;同第5,863,296号;
同第5,855,617号;同第5,843,024号;同第5,827,222号;同第5,723,282号;同第
5,514,536号;および同第4,723,939号を参照のこと。ドナー臓器を機能性の喪失
から防護する方法を意図した先行技術の参照の多数に関わらず、不可逆的な時点
を過ぎた、心停止した死体の使用については、先行技術は言及していない。3つ
の米国特許(第5,843,024号;同第5,702,881号;同第4,723,939号)のみが、心
拍が停止しているドナーを扱っているように見える。本先行技術は、「修復不能
の」臓器から前駆細胞を単離するための、これらの臓器の使用については開示し
ない。肝臓先駆細胞の単離法は当技術分野において既知のものである(例えば、
参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第5,576,207号および同第5,789
,246号を参照のこと。)が、本発明の実施への変形までは、先駆肝細胞が、先行
技術において「無用な」臓器と考えられていたものから単離できることは知られ
ていなかった。
【0010】 ヒトの肝臓前駆細胞、および、その単離および増殖の理解における進歩から開
発された技術は、本明細書にて説明される発明の発明者らによって開拓されたよ
うに、肝臓への細胞移植に著しく有用な新奇の細胞集団を提供することにより、
肝臓疾患に関連する罹病率および死亡率への多大な影響力を提供する。
【0011】 したがって、血液循環が停止した、または心拍が停止している死体由来の臓器
を、医学的目的のための臓器または臓器同等物の源として使用する有効な方法に
対しては、長く必要とされてきた。
【0012】 3. 発明の概要 本発明は、二倍体細胞の供給源として少なくとも一つの二倍体細胞集団を有す
る組織を提供する方法に向けられる。方法は、(a)採取される組織が少なくと
も一つの二倍体細胞集団を有すると推測される、組織の採取時に心拍が停止して
いるドナーから組織を採取する段階;(b)採取した組織を処理して、二倍体細
胞が実質的に濃縮された細胞集団を得る段階、を含む。好ましくは、ドナーは、
胎児ではなく、新生児、乳児、小児、若年、または成体から選択される。本発明
の方法によって得られた二倍体細胞には前駆細胞が含まれる。
【0013】 本発明の特定の態様において、処理段階は、採取した組織を処理して、実質的
な単一細胞懸濁液を提供する段階を含む。この単一細胞懸濁液は、実質的な単一
細胞懸濁液を二つまたはそれ以上の分画、典型的に三つまたはそれ以上、好まし
くは四つまたはそれ以上の分画に分離することによってさらに処理することがで
きる。この分離段階において、より大きい細胞をより小さい細胞から、密度がよ
り高い細胞を密度がより低い細胞から分離する、またはその両者が行われる。細
胞を分画に分離するために当業者に既知の任意の方法を用いることができる。簡
便な方法は、遠心分離であり、最初は低速で、その後徐々に高速で遠心分離する
。本質的に、より小さい細胞、密度がより低い細胞、またはその双方からなる分
画をさらに処理して、二倍体細胞が実質的に濃縮された細胞集団を提供する。特
に、二倍体細胞の例には、望ましければ、α-フェトプロテインを発現する前駆
細胞、特に肝臓前駆細胞が含まれる。
【0014】 本発明の好ましい組織は、ドナーの心拍停止後約6時間以内、好ましくは心拍
停止後約3時間以内、より好ましくは心停止後約2時間以内、最も好ましくは心拍
停止後約1時間以内に採取された組織である。しかし、ドナーの心拍停止後に組
織を採取する時期が早ければ早いほどよい。したがって、ドナーの心拍が停止し
た後約45分、30分、または15分以内に採取した組織が、さらにより好ましい。二
倍体細胞を得るために、副腎、血管、骨髄、角膜、網膜、ランゲルハンス島、胆
管、水晶体、肺、腎臓、心臓、腸、卵巣、膵臓、前立腺、副甲状腺、松果体、下
垂体、皮膚、精巣、膀胱、脳、脊髄、脾臓、胸腺、甲状腺、または肝臓を含む多
様な組織を採取して、処理することができる。
【0015】 本発明はまた、本発明の方法によって得られた、二倍体細胞が実質的に濃縮さ
れた細胞集団、特にα-フェトプロテインを発現する細胞集団を含む組成物にも
向けられる。
【0016】 本発明は、ドナーの臓器および組織を獲得する分野における有意な前進であり
、前駆細胞および二倍体成体細胞の組織の供給源を得る手段を提供する。既知の
全ての先行技術の参考文献では、虚血によって損傷を受けた臓器は、意味のある
任意の目的にとっても完全に無用であると見なされたために、本発明は完全に予
想外であった。好ましい手段は、心拍が停止しているドナーから組織を採取する
段階、および組織を処理して、前駆細胞または幹細胞を含みうる二倍体細胞を提
供する段階を含む。
【0017】 好ましくは、本発明は、心拍が停止しているドナーから肝臓組織を採取する段
階、および組織を処理して、二倍体細胞および/または肝前駆細胞を提供する段
階を含む、前駆細胞を含む肝臓二倍体細胞の組織供給源を提供する方法を含む。
そのような細胞は、例えば、それを必要とする宿主における、損傷を受けた肝臓
柔組織の再増殖、または肝臓の再生において有用である。任意の動物ドナーが等
しく適しているが、好ましいドナーはヒトである。ブタおよび霊長類のような動
物も等しく適している。
【0018】 したがって、本発明の目的は、心拍が停止した後約24時間またはそれ以上の間
に、そのような臓器または組織を得ることである。時間的な制限は拘束力がない
が、組織は心拍停止後約16時間以内に得ることが好ましい。より好ましくは、組
織は心拍停止後約10時間以内に得る。さらにより好ましくは、組織は心拍停止後
約6時間以内に得る。なおより好ましくは、組織は心拍停止後約3時間以内に得る
。もう一つの好ましい期間は、組織は心停止後約1時間以内に得ることである。
期間にかかわらず、二倍体細胞および前駆細胞は、虚血に対して抵抗性である。
採取した組織は、適した還流培地によって還流するか、または還流せずにさらな
る処理を行う。
【0019】 組織は好ましくはほぼ室温まで冷却するが、組織を約4℃に冷却することも等
しく都合がよい。組織は、全体または一部の虚血時間の間、冷却することができ
る。すなわち、臓器は、温虚血および冷虚血の組み合わせに供される。
【0020】 本発明の範囲内において、ドナーは新生児、乳児、小児、若年、または成体で
ある。想定される虚血によって適さないと思われる胎児組織もまた、本発明の範
囲に含まれる。ドナーの年齢は重要ではないが、ドナーは約0歳〜約77歳の範囲
であることが望ましく、より好ましくは約50歳未満である。
【0021】 本発明において有用な好ましい組織は、副腎、血管、骨髄、角膜、ランゲルハ
ンス島、水晶体、肝臓、卵巣、膵臓、前立腺、副甲状腺、松果体、下垂体、皮膚
、精巣、胸腺、甲状腺、またはその組み合わせを含む。好ましくは、組織は肝臓
である。
【0022】 本発明のもう一つの態様は、そのような組織から実質的な単一細胞懸濁液が得
られる処理手段を提供することである。好ましい処理方法は、少なくとも一つの
細胞系列に関連した少なくとも一つのマーカーを示す二倍体細胞および/または
前駆細胞が濃縮された、容積減少懸濁液を提供するために、懸濁液中の多倍体ま
たは成熟細胞の数を実質的に減少させる容積減少段階をさらに含む。そのような
手段に制限されることなく、処理段階には、大きさまたは密度によって細胞を分
離する段階が含まれる。
【0023】 好ましくは処理段階は、それによって少なくとも一つの細胞系列に少なくとも
一つの肝細胞、造血細胞、または間葉細胞系列が含まれる、少なくとも一つの細
胞系列に関連した、少なくとも一つのマーカーを発現する細胞を懸濁液から選択
する段階をさらに含む。本発明のさらなる目的は、肝実質細胞、胆管細胞、また
はその組み合わせへの発生能を有する、二倍体細胞および/または前駆細胞を提
供することである。
【0024】 本発明のドナー細胞は、α-フェトプロテイン、アルブミン、骨シアロタンパ
ク質、CD14、CD34、CD38、CD90、CD45、CD117、ICAM-1、I型コラーゲン、II型コ
ラーゲン、III型コラーゲン、グリコフォリンA、またはオステオポンチンを単独
または有利に組み合わせて含む、少なくとも一つのマーカーを発現することが好
ましい。
【0025】 本発明のさらなる目的として、前駆細胞が細胞移植体、バイオリアクター、人
工臓器等として用いられる治療方法が提供される。好ましい疾患および必要性は
、クリグラー・ナジャー症候群、チロシン血症、硬変、急性肝不全、糖尿病、お
よび当技術分野で既知のその他の肝臓疾患および肝臓関連疾患を含む。一般的に
、肝臓の炎症、ウイルス性肝炎、毒性肝臓細胞損傷、肝臓の繊維症、肝硬変、肝
臓のうっ血、肝臓ジストロフィー、肝臓細胞の脂肪変性、脂肪肝、解毒機能障害
、肝臓の排泄機能障害、肝臓の抱合機能障害、肝臓疾患による肝門脈高血圧の合
成機能障害、または肝不全昏睡、およびタンパク質分解産物またはアンモニアに
よる中毒からなる群より選択される、少なくとも一つの肝臓障害を有する可能性
がある患者を治療する。これらの機能障害によって、アラギル(Alagille)症候
群、アルコール性肝臓疾患、α-I-抗トリプシン欠乏症、自己免疫性肝炎、胆道
閉鎖、胆管減少症、骨髄不全、バッド・キアリ症候群、バイラー病、クリグラー
・ナジャー症候群、カロリ病、胆汁うっ滞性そう痒症、胆石症、抱合型高ビリル
ビン血症、慢性移植片対宿主病、原因不明の肝臓疾患、糖尿病、デュービン・ジ
ョンソン症候群、赤血球肝プロトポルフィリン症、肝臓外胆管癌、家族性高コレ
ステロール血症、ガラクトース血症、ギルバート症候群、糖原病、血管腫、ヘモ
クロマトーシス、肝性脳症、肝胆管炎、肝軟化症、肝腫、肝癌、肝芽細胞腫、遺
伝性ヘモクロマトーシス、黄疸、肝臓内胆汁うっ滞、肝嚢胞、肝臓移植、セレウ
ス菌(Bacillus cereus)に関連した肝不全、複合クリオグロブリン血症、オル
ニチントランスカルバミラーゼ欠乏症、肝臓紫斑病、晩発性皮膚ポルフィリン症
、原発性胆汁性肝硬変、不応性腹水、ローター症候群、サルコイドーシス、硬化
性胆管炎、脂肪症、サマースキル症候群、血小板減少症、チロシン血症、静脈瘤
出血、肝臓の静脈閉鎖疾患、およびウィルソン病のような疾患が起こり、これら
は、本発明の方法および組成物によって有利に治療される。
【0026】 上記の態様に制限されることなく、二倍体および/または前駆細胞にベクター
を導入して、治療を必要とする宿主に移植する段階を含むが、これらに限定され
ない当技術分野で周知の手段を含む、遺伝子治療の方法も同様に考慮される。病
態および標的遺伝子は、家族性高コレステロール血症におけるLDL受容体遺伝子
、血友病における第VIIIおよび第IX因子の凝固因子遺伝子、肺気腫におけるα-I
-抗トリプシン遺伝子、フェニルケトン尿症におけるフェニルアラニンヒドロキ
シラーゼ遺伝子、高アンモニア血症におけるオルニチントランスカルバミラーゼ
遺伝子、様々な型の補体欠損症における補体タンパク質遺伝子、および遺伝子治
療の手段によって都合よく処置または治療されるその他の病態を含みうる。
【0027】 その他の望ましい態様には、カルバモイルシンテターゼI、オルニチントラン
スカルバミラーゼ、アルギノスクシネートシンテターゼ、アルギノスクシネート
リアーゼ、アルキナーゼ、フマリルアセトアセテートヒドロラーゼ、フェニルア
ラニンヒドロキシラーゼ、α-I抗トリプシン、グルコース-6-ホスファターゼ、
低密度リポタンパク質受容体、ポルフォビリノゲンデアミナーゼ、カルバモイル
シンターゼI、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギノスクシネートシン
テターゼ、アルギノスクシネートリアーゼ、アルギナーゼ、第VIII因子もしくは
第IX因子、シスタチオンβ-シンターゼ、分岐鎖ケト酸デカルボキシラーゼ、ア
ルブミン、イソバレリル-CoAデヒドロゲナーゼ、プロピオニルCoAカルボキシラ
ーゼ、メチルマロニルCoAムターゼ、グルタリルCoAデヒドロゲナーゼ、インスリ
ン、トランスフェリン、β-グルコシダーゼ、ピルビン酸カルボキシラーゼ、肝
ホスホリラーゼ、ホスホリラーゼキナーゼ、グリシンデカルボキシラーゼ、H-タ
ンパク質、T-タンパク質、メンケス病タンパク質、またはウィルソン病遺伝子の
産物をコードする遺伝子が含まれる。
【0028】 本発明はまた、(a)ヒト肝臓組織を処理して、ヒト肝臓に認められる一つま
たは複数の細胞系列の二倍体成体細胞、前駆細胞、および非前駆細胞を含む、実
質的な単一細胞懸濁液を提供する段階;(b)懸濁液に、懸濁液中の非前駆細胞
数を実質的に減少させる容積減少段階を行って、少なくとも一つの細胞系列に関
連した一つまたは複数のマーカーを示す前駆細胞が濃縮された容積減少懸濁液を
提供する段階、(c)それ自身、その子孫またはそのより成熟した形態が、いく
つかの肝臓細胞系列に関連した一つまたは複数のマーカーを発現する細胞を、容
積減少懸濁液から選択する段階、および(d)凍結保存に最適な条件で細胞を浮
遊させる段階を含む、ヒト肝臓由来の二倍体および/または前駆細胞を単離およ
び凍結保存する方法にも関する。より好ましくは、α-フェトプロテインのよう
な細胞質タンパク質を発現する肝臓前駆細胞を選択する。本発明の処理または容
積減少段階には、好ましくは、より低い浮遊密度を有する一つまたは複数の勾配
分画に関連する、その浮遊密度と大きさとに従って細胞を分離するための肝臓細
胞懸濁液の密度勾配遠心が含まれる。
【0029】 肝臓細胞懸濁液の非前駆細胞には、成熟肝細胞、造血細胞、および間葉細胞が
含まれる。非前駆細胞の陰性選択には、コネキシン32のような成熟肝細胞に関連
するマーカー、グリコフォリンAおよびCD45のような造血細胞に関連するマーカ
ー、またはレチノイドもしくはウィルブランド因子のような成熟間葉細胞に関連
するマーカーを用いることが含まれる。
【0030】 本発明のさらなる局面は、肝臓起源、造血起源、または間葉起源の肝臓細胞前
駆細胞を提供する。これらの細胞系列、その前駆体またはそのより成熟した形態
は、CD14、CD34、CD38、CD45、CD117、ICAM-1、グリコフォリンA、および/また
はα-フェトプロテイン様免疫反応性、アルブミン様免疫反応性もしくはその双
方のような細胞質マーカーからなる群より選択される、抗原マーカーによって選
択される。α-フェトプロテインは、様々な型のmRNAに由来し、そのいくつかは
肝前駆細胞に固有であるが、造血前駆細胞に固有のものもある。本発明の肝臓前
駆細胞は、胎児、新生児、乳児、小児、若年、または成体の肝臓から単離するこ
とができる。
【0031】 本発明のさらなる局面に従って、単離されたヒト肝臓前駆細胞、二倍体細胞の
亜集団は、実質的に純粋な形態まで高度に濃縮して単離される。そのような肝臓
の前駆細胞は、肝、造血、および間葉前駆細胞を含む。肝前駆細胞は、肝実質細
胞、胆管細胞、またはその組み合わせへの発生能を有する。造血前駆細胞は、マ
クロファージ、好中球、顆粒球、リンパ球、血小板、好中球、好酸球、好塩基球
、またはその組み合わせへの発生能を有する。間葉前駆細胞は、内皮細胞、間質
細胞、肝星細胞(イトウ細胞)、軟骨細胞、骨細胞、またはその組み合わせへの
発生能を有する。本発明の方法を用いて、CD34、オステオポンチン、骨シアロタ
ンパク質、I型、II型、もしくはIII型コラーゲン、またはその組み合わせを発現
する間葉前駆細胞を選択することができる。
【0032】 本発明は、細胞および遺伝子治療において用いるためにそして生体人工臓器と
して理想的な、前駆細胞を含む二倍体細胞を作製する場合の上記の問題点の多く
を克服する。したがって、細胞は小さく、大きい塞栓の形成を最小限にする。同
様に、細胞は十分な増殖能を有し、このことは、患者において肝臓組織を再生す
るために必要な細胞がより少ないことを意味する。最後に、前駆細胞が免疫学的
拒絶を誘発する抗原マーカーを有することはほとんどなく、このことは、ほとん
どまたは全く免疫抑制剤が必要でないかも知れないという希望を提供する。
【0033】 本発明のさらなる局面は、外因性核酸を有する肝臓前駆細胞を提供する。その
ような外因性核酸は、関係するポリペプチド一つまたは複数をコードしうる、ま
たは一つもしくは複数の関心対象のポリペプチドの発現を促進しうる。
【0034】 本発明のなおさらなる局面に従って、そのような負の作用を有する個体に、単
離されたヒト二倍体肝臓細胞および/または前駆細胞の有効量を投与することに
よって、一つまたは複数のヒトの障害または機能障害の負の作用を緩和する方法
が提供される。前駆細胞は、血管から非経口的に、または肝臓に直接投与するこ
とができる。直接投与は、門脈、腸間膜静脈、肝胆管、またはその組み合わせを
通して外科的に行うことができる。または、肝臓前駆細胞は、脾臓のような個体
の異所部位に投与することができる。
【0035】 本発明の方法によって軽減することができるヒト障害または機能障害には以下
が含まれる:肝胆管炎、肝軟化症、肝腫、硬変、繊維症、肝炎、急性肝不全もし
くは先天性代謝異常、肝癌、または肝芽細胞腫。肝臓の癌は癌の原発部位または
肝臓に転移した癌でありうる。転移腫瘍は、腸、前立腺、乳房、腎臓、膵臓、皮
膚、脳、肺、またはその組み合わせを含む、多数の原発部位にも由来しうる。本
発明の方法によって治療することができる肝疾患または機能障害はまた、肝組織
のミトコンドリア分画の障害に関連した肝疾患または機能障害を含み、かつ慢性
肝疾患、劇症肝不全、ウイルス性肝疾患、代謝性肝疾患、および敗血症または肝
臓外傷に関連した肝臓機能障害も含む。
【0036】 本発明のなおさらなる局面に従って、(i)(a)ヒト肝臓から単離された前駆
細胞、その子孫、その成熟子孫もしくは分化子孫、またはその組み合わせ、(b
)細胞外マトリクス、および(c)培地、を含む生体材料;(ii)上記の生体材
料を保持する一つもしくは複数の区画、または上記の生体材料を含む成分;なら
びに(iii)一つまたは複数の接続口、を含むバイオリアクターが提供される。
バイオリアクターの生体材料にはまた、選択的に(d)ホルモン、増殖因子、も
しくは栄養補助剤、または(e)血漿、血清、リンパ、もしくはそれに由来する
産物が含まれうる。
【0037】 バイオリアクターは、上記の前駆細胞を生存した機能的状態に維持するように
適合させ、約1週間またはそれ以上の期間にわたって肝臓前駆細胞を維持するこ
とができる。特に、バイオリアクターは、人工肝臓として用いるため、製品の製
造、毒性試験、またはチトクロームP450の活性もしくはその他の種類の薬物代謝
を含む代謝試験に適合される。
【0038】 本発明のなおもう一つの局面に従って、単離されたヒト肝臓前駆細胞の組成物
、またはヒト肝臓から得られた前駆細胞を濃縮した懸濁液が提供される。細胞懸
濁液は、薬学的に許容される希釈剤または担体において提供され、治療を必要と
する被験者に投与される。本発明の組成物には、ヒト肝臓に見出される一つまた
は複数の細胞系列の少なくとも一つに関連した、一つまたは複数のマーカーを示
し、成熟細胞を実質的に含まない肝臓前駆細胞が含まれる。より具体的には、単
離された肝臓前駆細胞は、肝細胞、造血細胞、または間葉細胞系列を含む一つま
たは複数の肝臓の細胞系列に由来して、それ自身、その子孫、またはその前駆細
胞のより成熟した形態が、少なくとも一つまたは複数の抗原マーカーCD14、CD34
、CD38、CD90、またはCD117、CD45、グリコフォリンA、およびα-フェトプロテ
イン様免疫反応性、アルブミン様免疫反応性またはその双方の細胞質マーカーを
発現する。
【0039】 本発明のなおもう一つの態様に従って、ヒト肝臓、その子孫、その成熟子孫ま
たは分化子孫、またはその組み合わせからの単離前駆細胞を含む肝臓前駆細胞の
細胞培養が提供される。細胞培養にはさらに、一つもしくは複数のコラーゲン、
一つもしくは複数の接着タンパク質(ラミニン、フィブロネクチン)、およびプ
ロテオグリカン(ヘパラン硫酸プロテオグリカンのような)のような他の成分を
含む細胞外マトリクス;または個々のマトリクス成分がさらに含まれる。マトリ
クス成分には、マトリクス成分の断片;細胞外マトリクスのクラスの一つもしく
は複数からの、因子一つもしくは複数をコーティングした合成および/または生
体分解材料(すなわちマイクロスフェア)でありうる、マトリクス模倣体が含ま
れる。細胞培養にはさらに、基礎培地および他の栄養分;血清、血漿もしくはリ
ンパのような生体液を含む、またはそれらを含まないホルモンおよび/または増
殖因子がさらに含まれる。さらに、培養培地は、培養皿、フラスコ、ローラーボ
トル、トランスウェル、または他のそのような容器のような、生物材料を保持す
る一つまたは複数の区画を含みうる。
【0040】 本発明の培養物またはバイオリアクターを用いて、酵素、ホルモン、サイトカ
イン、抗原、抗体、凝固因子、アンチセンスRNA、調節タンパク質、リボザイム
、融合タンパク質等を含むがこれらに限定されない、様々な医学的に重要な細胞
分泌因子を産生することができる。培養物は、第VIII因子、第IX因子、第VII因
子、エリスロポエチン、α-1-抗トリプシン、カルシトニン、成長ホルモン、イ
ンスリン、低密度リポタンパク質、アポリポタンパク質E、IL-1受容体およびそ
の拮抗剤、スーパーオキサイドジスムターゼ、免疫応答改変剤、副甲状腺ホルモ
ン、インターフェロン(IFNα、β、またはγ)、神経生長因子、グルコセレブ
ロシダーゼ、コロニー刺激因子、インターロイキン(IL)1〜15、顆粒球コロニ
ー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、マ
クロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板
由来増殖因子(PDGF)、アデノシンデアミナーゼ、インスリン様増殖因子(IGF-
1およびIGF-2)、巨核球促進リガンドMPL、トロンボポエチン等のような治療タ
ンパク質を供給するために適している。
【0041】 本発明のさらなる態様として、肝臓疾患を治療および予防するために有用な薬
学的組成物が提供される。組成物は、死体肝臓前駆細胞の有効量と薬学的担体と
を含む。関係する肝臓疾患には、毒性、代謝、遺伝子、および/または感染起源
、または変性特性を有する急性もしくは慢性肝臓疾患、または肝臓に対して有害
な薬物もしくは物質の使用が原因で起こる、肝臓障害が含まれる。好ましくは、
これらの病態および疾患は、肝臓の炎症、ウイルス性肝炎、毒性肝臓細胞障害、
肝臓の繊維症、肝硬変、肝うっ血、肝臓ジストロフィー、肝臓細胞の脂肪変性、
脂肪肝、解毒機能障害、肝臓の排泄機能障害、肝臓の抱合機能障害、肝臓疾患に
よる肝門脈高血圧の合成機能障害、または肝不全昏睡、およびタンパク質分解産
物もしくはアンモニアによる中毒である。より具体的には、これらには、アラギ
ル症候群、アルコール性肝疾患、α-I-抗トリプシン欠乏症、自己免疫性肝炎、
胆管減少症、骨髄不全、バッド・キアリ症候群、胆道閉鎖、バイラー病、クリグ
ラー・ナジャー症候群、カロリ病、胆汁うっ滞性そう痒症、胆石症、抱合型高ビ
リルビン血症、慢性移植片対宿主病、原因不明の肝疾患、糖尿病、デュービン・
ジョンソン症候群、赤血球肝プロトポルフィリン症、肝臓外胆管癌、家族性高コ
レステロール血症、ガラクトース血症、ギルバート症候群、糖原病、血管腫、ヘ
モクロマトーシス、肝性脳症、肝胆管炎、肝軟化症、肝腫、肝癌、肝芽細胞腫、
遺伝性ヘモクロマトーシス、黄疸、肝臓内胆汁うっ滞、肝嚢胞、肝臓移植、セレ
ウス菌(Bacillus cereus)に関連した肝不全、複合クリオグロブリン血症、オ
ルニチントランスカルバミラーゼ欠乏症、肝臓紫斑病、晩発性皮膚ポルフィリン
症、原発性胆汁性肝硬変、不応性腹水、ローター症候群、サルコイドーシス、硬
化性胆管炎、脂肪症、サマースキル症候群、血小板減少症、チロシン血症、静脈
瘤出血、肝臓の静脈閉鎖疾患、ウィルソン病、およびその組み合わせのような疾
患が含まれるが、これらに限定されない。
【0042】 その他の目的は、以下の詳細な開示を考慮して当業者に理解されると考えられ
る。
【0043】 5. 発明の詳細な説明 以下の説明において、多くの用語が本発明を説明するために広く用いられてい
る。明細書および特許請求の範囲を明確に一貫して理解するために、以下の定義
を提供する。
【0044】 α-フェトプロテイン様免疫反応性:α-フェトプロテインによって引き起こさ
れる任意の免疫応答。α-フェトプロテインはmRNAの変種型に由来し、そのいく
つかは肝前駆細胞に固有であり、造血前駆細胞に固有であるものもある。
【0045】 委任(committed)前駆細胞:肝細胞委任前駆細胞(肝細胞を生じる)または
胆管委任前駆細胞(胆管を生じる)のような、単一の運命を有する未成熟細胞。
委任過程は、分子レベルでは理解されていない。むしろ、細胞の運命が先祖の運
命より狭くなっている場合にごく経験的に起こると認識されている。
【0046】 肝細胞(Hepatic cell):肝実質細胞と胆管細胞とを含む、肝臓細胞の亜集団
【0047】 肝臓細胞(Liver cell):本明細書において用いられるように、「肝臓細胞」
という用語は、その起源または運命にかかわらず、正常な肝臓に存在する全種類
の細胞を意味する。
【0048】 幹細胞:本明細書において用いられるように、「幹細胞」という用語は、一つ
を超える運命を有する娘細胞を生じることができる未成熟な細胞を意味する。い
くつかの娘細胞は親と同一であり、いくつかは特定の運命に「委任」される。全
能性幹細胞は、自己再生(自己維持)能を有するのに対し、決定された幹細胞は
自己再生能に問題がある。幹細胞は、再生増殖過程のあいだに再生することがで
きる。
【0049】 肝前駆細胞:これらの細胞は、肝実質細胞と胆管細胞とを生じる。肝前駆細胞
には3つの亜集団が含まれる:「肝幹細胞」、「委任された肝実質細胞前駆細胞
」、および「委任された胆管前駆細胞」、最後の2つは、肝幹細胞の子孫であり
、単一の運命を有する肝実質細胞または胆管細胞のいずれかであるが、双方では
ない、未成熟細胞である。
【0050】 肝幹細胞:肝前駆細胞の亜集団。
【0051】 肝臓前駆細胞:肝前駆細胞、造血前駆細胞、および間葉前駆細胞を含む、肝臓
由来の細胞集団。
【0052】 卵形細胞:腫瘍発生障害に曝露された動物において増殖する、卵形の核を有す
る小さい細胞(<15ミクロン)。これらの細胞は、肝臓前駆細胞に由来すると考
えられ、部分的または完全に形質転換している。
【0053】 「肝臓」は、腹部の最も前方部分に存在する大きい臓器であり、腹部と胸腔と
のあいだの筋肉隔壁に支えられている。肝臓は、生命にとって必須であり、毒物
および薬物の解毒化、炭化水素の貯蔵、胆汁、血漿タンパク質および他の物質の
製造、ならびに血液凝固の補助のような、100個以上の重要な機能を行う。肝臓
組織は過剰に存在し、肝臓は部分的に再生できることから、肝臓疾患は、疾患が
重度になる前に検出することがしばしば難しい。肝臓疾患の兆候は損傷の程度お
よび位置によって変化する。肝臓損傷の程度および性質を発見するためには、様
々な血液試験が必要である。
【0054】 本明細書において用いられるように「増殖因子」という用語は、発生事象を調
節するために必要な、または発生の細胞間連絡および協調に関与しうる、他の分
泌タンパク質をコードする遺伝子の発現を調節するために必要な因子を意味し、
これらには、当技術分野で既知のその他の多くの中でも、肝細胞増殖因子(HGF
)、インスリン様増殖因子-IおよびII(IGF-IおよびII)、上皮細胞増殖因子(E
GF)、αおよびβ型トランスフォーミング増殖因子(TGF-αおよびTGF-β)、神
経生長因子(NGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)
、肉腫増殖因子(SGF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、
血管内皮増殖因子(VEGF)、プロラクチンおよび成長ホルモン放出因子(GHRF)
、およびインターロイキン(IL)、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7
、IL-8、IL-10、IL-11等のような様々な造血増殖因子、赤芽球分化因子(EDF)
、または卵胞刺激ホルモン放出タンパク質(FRP)、インヒビン、幹細胞増殖因
子(SCPF)、およびこれらのタンパク質の活性断片、サブユニット、誘導体およ
びその組み合わせが含まれる。一般的に以降用いられるように、増殖因子は、サ
イトカイン、リンフォカイン、インターロイキン、コロニー刺激因子、ホルモン
、化学遊走因子、抗化学遊走因子、凝固因子、血栓溶解タンパク質、補体タンパ
ク質、酵素、免疫グロブリン、および抗原からなる群より選択される分泌型タン
パク質を意味する。
【0055】 造血:リンパ球(BおよびT)、血小板、マクロファージ、好中球、および顆粒
球の細胞運命を有する血液細胞を生じること。
【0056】 間葉形成:内皮、脂肪細胞、間質細胞、軟骨、および骨までもの細胞運命を有
する間葉系誘導体を生じること(最後の2つは、疾患条件下でのみ、肝臓で起こ
る)。
【0057】 細胞治療:本明細書において用いられるように、「細胞治療」という用語は、
自己または同種異系材料として用いられ、患者の特異的標的細胞にまたはその近
傍に移植される既定の細胞集団のインビボまたはエキソビボ移入を意味する。細
胞は、任意の適した培地、担体、もしくは希釈剤中でも移植することができ、ま
たは微小担体、ビーズ、ミクロソーム、マイクロスフェア、小胞等を含む任意の
種類の薬物輸送系においても移植することができる。
【0058】 遺伝子治療:本明細書において用いられるように、「遺伝子治療」という用語
は、特定の疾患状態を予防または変化させる最終的な目的のために、それを必要
とする患者の特異的標的細胞への既定の遺伝子材料のインビボまたはエキソビボ
移入を意味し、それによってそれらの標的細胞の遺伝子型を変化させ、ほとんど
の場合表現型を変化させることを意味する。この定義が述べるように、基礎とな
る前提は、これらの治療的遺伝子技法が顕性または潜伏的な病態を最終的に予防
、治療、または変化させるように設計される点である。ほとんどの場合、遺伝子
治療技法の最終的な治療目標は、特異的標的細胞集団の表現型を変化させること
である。
【0059】 CD:本明細書において用いられる「分化クラスタ」、または「共通決定因子」
とは、モノクローナル抗体によって認識される細胞表面分子を意味する。いくつ
かのCDの発現は、特定の系列または成熟経路の細胞に対して特異的であり、他の
CDの発現は、同じ細胞の活性化状態、位置、または分化に従って変化する。
【0060】 倍数性:細胞内の染色体数。
【0061】 二倍体:細胞あたり2組の染色体。
【0062】 四倍体:細胞あたり4組の染色体。
【0063】 八倍体:細胞あたり8組の染色体。
【0064】 多倍体:細胞あたり2組以上の染色体。
【0065】 正常な胎児または新生児肝臓の細胞は二倍体である。若年成体期までに、肝臓
は二倍体と多倍体細胞の混合となる。齧歯類では、肝臓は約90%が多倍体で、二
倍体細胞は約10%に過ぎない。ヒトでは、若年成人の肝臓は、二倍体50%と多倍
体50%で構成される。
【0066】 肝臓に限定されず、様々な死体組織からのその他の前駆細胞も、本発明によっ
て開示され、主張される。本明細書において以降、「死体組織」という用語には
、外科的技法による妊娠中絶のような手段によって得られる死亡胎児からの組織
は含まれない。自然または補助分娩によって生まれたヒトは、胎児ではなく、新
生児または乳児として見なされる。したがって、ヒトの年齢は、出産または分娩
時に「0」歳として始まるのであって、妊娠時からではない。このように、出産
時に死亡した新生児は、胎児としてではなく、死体として見なされる。新しく得
られた胎児組織は、いくつかの前駆細胞の起源として用いられており、そのため
それらは、本発明の特許請求の範囲から除外される。しかし、おそらく虚血作用
のためにさらなる医学的使用に適さないと見なされる胎児組織も、本発明の目的
にとってなおも適している。
【0067】 「一つ(one)」、「一つの(a)」、または「一つの(an)」という用語を本
開示において用いる場合、それらは特に明記しない限り、「少なくとも一つ」ま
たは「一つまたは複数」を意味する。
【0068】 図2aおよび2bは、造血細胞における切断型AFPのPCR分析を示す。RT-PCRは、hA
FP1、hAFP2、hAFP3、およびhAFP4のプライマーの組み合わせを用いて行う。レー
ン1〜3は、Hep3B細胞に対応する;レーン10〜12は、STO細胞に対応する;レーン
13〜15は、RNAまたはcDNAを有さない。注意、レーン2、5、および8には、切断型
AFPイソ型の共有バンドが認められる。レーン1および4には、肝臓細胞に固有の
切断型AFPイソ型が存在する。完全なAFP種をレーン3および6に認める。
【0069】 図3は、融解した胎児肝臓細胞の-170℃での保存期間と生存率との関係を示す
。データは、処理時間対融解時間で測定した生存率における変化%として表記す
る。これらのデータは、凍結保存法が細胞の生存率に有意な影響を及ぼさなかっ
たことを示している。550日までの貯蔵期間にわたって、生存率に有意な変化を
認めなかった。
【0070】 図4aおよび4bは、蛍光活性化細胞選別(FACS)によって分析した、胎児肝臓細
胞懸濁液の典型的な単変量ヒストグラムを示す。細胞懸濁液は、赤色色素Cy5に
結合した抗体を用いたα-フェトプロテイン(AFP)、および青色色素(AMCA)に
結合した抗体を用いたアルブミンに関する、免疫蛍光分析のために調製した。細
胞30,000個を赤色(AFP)および青色(アルブミン)蛍光に関してスクリーニン
グした。結果を各タンパク質に関して陽性の明確な細胞群を示す。さらなる分析
は、各タンパク質に関して陽性集団の約80%が同じ細胞によって示される(すな
わち、2つのタンパク質の共発現)ことを示している。
【0071】 図5は、未分画肝臓細胞懸濁液における表面マーカーCD14、CD34、CD38、CD45
、およびグリコフォリンA(GA)を発現する細胞の割合を示す。GAデータは尺度
に対して右軸上にプロットすることに注意すること。
【0072】 図6は、α-フェトプロテインおよび他の抗原マーカーを発現する最初の細胞懸
濁液中の細胞の割合%を示す。α-フェトプロテイン(AFP)および特異的細胞表
面マーカーに対して陽性の細胞の割合%の平均値±SEM(CD14、34、38、45、お
よびグリコフォリンA)。
【0073】 図7a、7b、および7cは、赤血球の枯渇前後のα-フェトプロテイン発現を示す
。図7aは、α-フェトプロテインの発現を示し、図7bはパーコール分画を用いて
赤血球の選択的枯渇を行う、または行わない胎児肝臓細胞のs懸濁液中のアルブ
ミンを示す。図7cは、AFPまたはアルブミン陽性細胞の割合%として表記した、
α-フェトプロテインとアルブミンの双方を発現する細胞の比率を示す。赤血球
が枯渇した細胞のデータはパーコール分画を用いて示す。
【0074】 図8a、8b、8c、8d、8e、および8fは、CD14、CD38、およびAFPの共発現に関す
る胎児肝臓細胞懸濁液のFACS分析を示す。二変量散布図(8a)は、CD14の3色染
色(縦軸)対CD38のFITC染色(横軸)の分布を示す。CD14およびCD38シグナルに
従って特定の細胞群を選択するようにゲートを作製した。次に、これらを用いて
これらの亜群のそれぞれにおけるAFP染色の強度を示した(図8b、8c、8d、およ
び8e)。AFP結果は、AFPの高レベル濃縮は、CD38またはCD14のいずれかに対して
陽性である細胞を選択することによって、産生されることを示している。全細胞
集団(細胞30,000個)から産生されたAFPシグナルを図8fに示す。
【0075】 図9は、AFP陽性細胞に関するCD14およびCD38の濃縮を示す。胎児肝臓から調製
した細胞懸濁液におけるAFP陽性細胞の比率は、マーカーCD38およびCD14に関す
る陽性表面標識を有する細胞を選択することによって、劇的に増強することがで
きる。2つのマーカーの組み合わせは、いずれかのマーカー単独で得られた場合
より、AFP含有細胞のより有意な濃縮を生じる。
【0076】 図10a、10b、10c、および10dは、ヒト肝前駆細胞の蛍光顕微鏡写真である。胎
児肝臓からの代表的な肝前駆細胞をAFP含有量に関して染色した。細胞の大きさ
は、初期前駆細胞およびより進行した肝前駆細胞の双方が存在することを示して
いる。
【0077】 図11a、11b、11c、および11dは、AFPの発現によって選択された代表的な細胞
を表す。CD14に関して染色陽性である細胞(11bおよび11d)は、肝芽細胞の特徴
である。表面マーカーに関して染色陰性である細胞(図11aおよび11c)はより小
さく、初期肝前駆細胞の大きさおよび形態と一致している。
【0078】 図12a〜12cは、同じ視野であり、この領域に2つのAFP陽性細胞が存在すること
を示している。図12aは、共焦点位相像を示す。図12bはAFPに対する抗体による
免疫蛍光を示す。図12cは、肝臓細胞の群におけるAFP陽性細胞の形態を示すオー
バーレイ(a)および(b)を示す。
【0079】 AFP陽性細胞は、胎児または成体の肝臓から単離されたかによらず、類似の細
胞の大きさおよび形態を有することが示された。
【0080】 図13aおよび13bは、(a)全ての細胞種を示すためにカルセインによって標識
した細胞を示す。図13(b)は、AFPを共発現する同じ細胞からなり、2つの細胞
のみがAFP陽性であることを示している。細胞の大きさはAFP陽性の要因ではない
【0081】 肝臓が再生する能力は広く認められており、通常、増殖が正常に静止状態の肝
実質細胞が細胞周期に入ることによって実施される。しかし、肝実質細胞再生に
障害がある場合には、小さい胆管が増殖し、隣接する肝実質細胞の実質に侵入す
る。ヒトおよび実験動物では、これらの胆管細胞は卵形細胞(oval cell)と言わ
れており、再生欠損に関連させることにより、それらが形質転換された幹細胞ま
たは前駆細胞であると考えられている。それらの正常な相手である肝前駆細胞は
肝臓移植の代替物として使用することができ、それらはまた、先天的代謝異常を
治療する遺伝子治療の有用な媒体でもあるので、これらの細胞は生物学的にかな
り興味深い。前駆細胞が肝実質細胞に分化する能力は明確に証明されているが、
この細胞の需要は、ドナー肝組織の欠乏により、要求される供給には達していな
い。
【0082】 本明細書に開示する、遺体ヒト肝臓からの肝臓前駆細胞の単離は、肝臓は虚血
しているので利用性がないという当技術分野における多数派意見により、新規で
予想されていないものである。
【0083】 本明細書に記載されている遺体ドナーからのヒト肝前駆細胞の単離は、本発明
の独自の細胞集団を得るために遺体から始めて本発明者らが使用した独自の方法
、マーカー、およびパラメーターの組み合わせを適用することによって実施され
る。
【0084】 α-フェトプロテインおよびアルブミンは共に細胞質タンパク質であるが、特
に信頼できる肝系列のマーカーであると考えられている。それらは、肝臓の他の
細胞種から肝亜集団を同定する方法の基礎となっている。共に肝細胞を同定する
際の重要な目印であるが、α-フェトプロテインは、特に、フローサイトメトリ
ーによる精製後の肝前駆細胞を診断するものである。α-フェトプロテイン、AFP
は、任意の種類の分別法後の肝前駆細胞の純度を評価するためにも使用されてい
る。
【0085】 しかし、肝系列を同定する際のこれらの2つのマーカーの有効性を証明する厳
密な制御において、肝臓組織に存在することが既知の多数の細胞種の発現を検出
するためにPCR分析が使用された。PCR分析は最も感度の高いアッセイ法であり、
特定のmRNA種の微量の発現さえも検出する。本明細書に開示する発明は、AFPお
よびアルブミンmRNAの特定のアイソフォームが造血前駆細胞に見出されうること
を証明しており、このような感度の高いアッセイ法を使用する場合には、造血細
胞集団から肝細胞を規定するために、AFPのエクソン1プローブの使用などの追加
の基準を使用しなければならない。PCR分析は、造血前駆細胞がAFPおよびアルブ
ミンmRNA種を発現することができることを明らかにしているが、mRNAの発現レベ
ルは非常に低い。実際、AFPおよびアルブミンをタンパク質レベルで測定すると
、造血前駆細胞中にはAFPまたはアルブミンは検出されないと考えられる。従っ
て、通常のタンパク質アッセイ法(免疫蛍光、ウェスタンブロット等)および高
発現レベルのmRNAのアッセイ法(ノーザンブロット)では、AFPおよびアルブミ
ンは、肝系列を規定する有用なマーカーとして使用されている。
【0086】 本発明はまた、肝細胞集団と造血細胞集団におけるAFP mRNAアイソフォームの
発現パターンを判別するための、RT-PCTの特異的プライマーを設計および作製を
開示する。肝系列および造血系列におけるAFP mRNA発現を識別する際には、ヒト
AFP RT-PCRのプライマーの3つの異なる組み合わせが使用された。実施例1に例示
するように、造血細胞におけるAFPの発現を試験するために、本発明者らは、完
全型と切断型のAFPの肝起源と造血起源のいくつかの系統をスクリーニングした
。特定のRNA鋳型を同定するために知られている最も感度の高い技法であるRT-PC
Rをこれらの検討に使用している。データはこれまで、ヒトAFPは、肝前駆細胞由
来の2つのヒト細胞系統(HepG2およびHep3B)では完全型で存在し、造血前駆細胞
由来のヒト細胞系統、K562では切断型で存在することを示している。エクソン1
が肝前駆細胞亜集団に独自であるということにより、肝前駆細胞種と造血前駆細
胞種を同定するプローブとしてそれを使用することができる。この試験は、本発
明の肝臓前駆細胞の特定の亜集団を同定するために使用される。
【0087】 従って、本発明者らは、肝臓前駆細胞にヒトAFP mRNAが存在することを検出す
るために、9つのPCRプライマーを設計した。プライマーの組み合わせは全て、ヒ
ト肝細胞系統HepG2およびHep3BにAFP mRNAを検出する。しかし、全長hAFP mRNA
のプライマー以外のプライマーの組み合わせは全て、ヒト赤血白血病細胞系統、
K562のAFP mRNAの部分を増幅する。上記で予測されるように、これは、切断型の
AFPはK562中で発現されるが、全長のものは発現されないことを示す。結果は、
肝細胞を同定する有用なプライマーのみが全長のAFPを検出するものであり、そ
の発現は、おそらく組織特異的に限定されていることを示唆する。AFPの完全型
および切断型について、肝起源および造血起源のいくつかの系統および一次組織
をスクリーニングした。切断型のAFPはいくつかの造血組織で見出されているが
、その組織内の細胞種がそれを発現していることは知られていない。
【0088】 切断型のAFPは造血細胞の亜集団中に見出されているので、アルブミンも肝細
胞および造血細胞の両方において分析する。アルブミンのプライマーは、AFPの
プライマーと同様の様式で開発され(上記参照)、肝細胞系統および造血細胞系
統におけるアルブミンの発現を評価するために使用されている(図4参照)。AFP
に関しては、K562、造血細胞系統、およびエクソン12〜14のプライマーによって
検出されるような転写物中で切断型が見出されている。
【0089】 本明細書に記載する検討の以前に、および造血前駆細胞に関する膨大な文献で
は、ヒトの正常な造血前駆細胞中に成熟型または切断型のAFPまたはアルブミン
の発現は報告されていない。
【0090】 ヒト肝臓前駆細胞の処理および凍結保存 胎児または成体肝臓からヒト肝臓前駆細胞を最適な状態で分離するために、本
明細書に開示するプロトコールは、密度勾配の上方の分画を使用しており、ペレ
ットを除外している。本明細書に開示する密度勾配遠心分離の新規の変法では、
ペレットが廃棄され、低浮遊密度の細胞(すなわち、勾配の最上層から回収され
る細胞)が保持され、さらなる検討に使用されている。本発明者らは、若い細胞
(すなわち、2倍体)および凍結保存に耐える細胞がパーコール(Percoll)密度勾
配の最上層または中間層に存在することを見出している。
【0091】 本明細書に記載する培養方法は独自のものであり、ヒトおよび/またはげっ歯
類肝臓細胞用にさらに改良されている。さらに、培養には、精製細胞外基質成分
をコーティングした生分解性ビーズを含有してもよく、バイオリアクターに使用
するために、ビーズ上に結合した細胞を接種するために使用してもよい。
【0092】 本発明の凍結保存方法は独自のものであり、従来技術に使用されている方法と
は異なる。主な差は、緩衝液が異なることと、密度が低く、従って密度勾配遠心
分離において浮遊する前駆細胞集団を含みうる2倍体肝細胞集団の凍結保存を使
用することによる。
【0093】 成熟型のヒト肝臓細胞の凍結保存は成功が強く望まれているが、当技術分野で
は未だに実施されていない。一般に、凍結保存の成功は、液体窒素温度(-160〜1
80℃)において細胞を凍結し、次いで細胞を融解したとき、>75%の生存率と培
養皿に接着する能力を持っていることが観察できることにより定義される。精子
および卵子並びに胎児組織由来の細胞などの任意の起源の細胞系統は、緩衝水溶
液(すなわち、DME、ダルベッコ改良イーグル培地、またはRPMI1640などの培地
)中で凍結することができ、10%血清+凍結保存剤(最も一般的にはジメチルス
ルホキシド、DMSO)を補給し、融解時には、70〜90%の生存率と優れた接着能力
を示す。
【0094】 本発明の特定の凍結保存方法は、新規緩衝液、新規細胞集団、および細胞外基
質の形態で細胞を包埋することを含む改良法を使用することにより実施される。
本発明の方法は、融解時に、凍結前に測定した生存率と変わらない生存率を細胞
分散直後に始めて達成している(図3参照)。実際の生存率はその時の組織の状
態により変化し、本発明では、遺体胎児肝臓細胞で平均77%であった。凍結保存
方法により、凍結過程による生存率の有意な損失および融解後にエクスビボにお
いて接着し、増殖できる細胞の有意な損失はない。
【0095】 細胞マーカーおよびフローサイトメトリー アルブミンが発現する場合または発現しない場合に、α-フェトプロテインを
発現する未成熟細胞集団として肝臓前駆細胞の本発明者らの現行の規定を使用し
て、これらの細胞を特異的に選択するマーカーを評価する。驚くべき発見は、造
血前駆細胞の古典的なマーカーの多く(すなわち、CD34)が肝前駆細胞亜集団も
同定するということである。このように、CD34の単一カラー分類により、AFPを
発現する細胞が有意に濃縮される(少なくとも9倍)。しかし、これらのAFP陽性
細胞の全てが肝前駆細胞であると証明されるわけではない。アルブミン陽性の割
合に基づいて、約80〜90%の細胞が肝前駆細胞であり、残りが、未熟すぎてアル
ブミンを発現できない肝前駆細胞か、またはおそらくα-フェトプロテインを発
現する造血亜集団である。
【0096】 本発明は、独自のフローサイトメトリー分類法を使用している。肝前駆細胞の
独自に規定されている2つの特徴として、AFPとアルブミン発現の組み合わせを使
用して、肝前駆細胞を規定する抗原マーカーおよび他のフローサイトメトリーパ
ラメーターを同定する。これまでの分類法は、(ヘキスト(Hoechst)色素33342に
よる蛍光を使用した場合)2倍体であり、側方散乱では無顆粒であり、肝細胞亜
集団と造血細胞亜集団に共有の陽性マーカー(すなわち、CD14および/またはCD3
8)で追跡または処理した場合に特定の造血抗原(すなわち、グリコホリンA、赤
血球抗原およびCD45)が陰性である、小型細胞(前方散乱測定値によって15ミク
ロン未満)の分類を含む。
【0097】 本明細書に記載する実験において、本発明者らは、α-フェトプロテインを強
く発現し、特異的な造血幹細胞マーカーとして周知のCD34を発現し、必要に応じ
てアルブミンを弱く発現する細胞を分類することによって、肝前駆細胞を同定し
ている。また、本明細書に記載するように、切断型にもかかわらず、造血細胞が
AFPも発現することができるという証拠がある。本発明者らは、新規細胞集団お
よび単離工程、同定、培養方法、並びにこのような細胞集団を使用する方法を記
載している。本発明の特定の細胞集団の単離、同定、および培養の成功は、一部
には、進歩した単離方法、アフィニティーデバルキング(affinity debulking)、
高速で高精度の高速蛍光活性化細胞分類法、並びに凍結保存および培養の改良法
による。
【0098】 フローサイトメトリー分類法は、単離直後の細胞懸濁液または融解後の凍結保
存肝臓細胞から肝臓前駆細胞を精製するために考案されており、1)特異的細胞表
面マーカーに幾つかの蛍光プローブを標識した抗体で細胞を染色する段階、2)多
重パラメーターフローサイトメトリー法において陰性および陽性分類法の組み合
わせを使用する段階を含む。マーカーは系統位置特異的であると思われるので、
ヒト肝細胞集団の特定の系統段階を精製する方法を任意の年齢のドナー由来の肝
臓に使用することができる。
【0099】 細胞を標識する改良された方法および過去に使用されていた方法(2000〜6000
細胞/秒で細胞を分類し、2〜4色分類を実施するDickenson社製FACSTAR PLUS)よ
り、劇的に改善されたフローサイトメーター(40,000細胞/秒で細胞を分類し、8
色分類を実施するCytomation社製の「a MoFlo」フローサイトメーター)は、本
発明の新規細胞集団の単離および同定の助力となる。
【0100】 免疫反応性のようなAFPおよびアルブミンの発現は、細胞懸濁液中で十分に規
定されており、透明な細胞群はバックグラウンドシグナルから明らかに識別され
る(図6)。α-フェトプロテインは非分別細胞懸濁液の6.9±0.86%の細胞中で発
現されるが、アルブミンは7.7±1.1%で存在する。AFP陽性細胞のうち、75.6±4
.9%はアルブミンを同時発現するが、アルブミン陽性細胞の80±5.5%はまた、A
FPを発現する。従って、α-フェトプロテインを発現する細胞の約25%はアルブ
ミンを発現せず、アルブミンを発現する細胞の20%はα-フェトプロテインを発
現しない。
【0101】 本発明の検討に使用する主要な表面マーカーを保有する細胞集団は、完全細胞
懸濁液(すなわち、赤血球を含む)に対し、表1に示される(ここで、GAは、赤
血球の表面マーカーであるグリコホリンAである)。
【0102】
【表1】 元の肝臓細胞懸濁液におけるCD陽性集団の割合と、AFP陽性の集団の
割合
【0103】 明らかに、グリコホリンA(GA)陽性細胞(すなわち、赤血球系細胞)は、細胞
集団の主要な成分を占めるが、AFP陽性細胞では大きな割合を占めない。従って
、パーコール分別によって、細胞懸濁液から赤血球を枯渇させると、AFPを発現
する細胞集団は12.9±1.9%に有意に増加し、アルブミンを発現する細胞集団は1
2.1±2.3%に増加する。アルブミンを同時発現するAFP陽性細胞の割合も80.5±8
.2%に増加し、AFPを同時発現するアルブミン陽性細胞の集団も89±3.1%に増加
するが、どちらの変化も統計学的に有意ではない。表面マーカーを有する細胞の
割合に関するこの手法の結果を、AFPの陽性染色を示す各亜群の割合と共に表2に
示す。
【0104】
【表2】 赤血球枯渇後の肝臓細胞懸濁液中のCD陽性集団の割合とAFP陽性細胞
の割合
【0105】 ほとんどの場合において、細胞表面マーカーによって選択される亜群中のAFP
は、陽性範囲の染色強度を示す明らかに圧倒的多数の細胞に常に分布している。
しかし、AFPの同時発現に関しては、CD38陽性細胞の分布は独自のものである。C
D30陽性細胞では、1つの群がAFP陽性で、他方が陰性である2つの別個の細胞群が
見られる、AFP同時発現の二峰性分布が明らかである。これを図8aに示す。図8a
は、CD14とCD38の発現を染色した細胞の散布図と、CD14および/またはCD38が陽
性の細胞におけるα-フェトプロテイン発現の一変量ヒストグラムを示している
【0106】 結果として、α-フェトプロテイン(AFP)は、胎児肝臓組織の単一細胞懸濁液(
すなわち、元の細胞懸濁液)の細胞の7%に存在することが示される。グリコホ
リンA(赤血球上の抗原)に対する抗体は、AFPを発現しなかった細胞亜集団を同
定することが見出されている。従って、この抗原を発現する細胞(すなわち、赤
血球系細胞)は、肝前駆細胞を特徴づけることが意図される細胞から除外される
。CD38抗原は、AFP陽性細胞集団において有意な増強を示す細胞集団(すなわち
、非分別試料中7倍以上の集団)を同定した。両方の抗原は、存在する場合には
、スプライシング変種によってコードされる分子集団が存在するかどうかに依存
して、多くのアイソフォームを有する。種々のアイソフォームを同定する抗体が
利用可能である。
【0107】 造血前駆細胞の古典的なマーカー、CD34は、AFPも発現する多数の細胞上に存
在する。CD34陽性細胞を分類することにより、AFP陽性細胞は、元の細胞懸濁液
中に見られるものより少なくとも9倍濃縮される(CD34陽性細胞では67%で、元
の細胞懸濁液では7%)。しかし、AFP陽性細胞を濃縮するための最も効果的な単
一抗体はCD14であり、元の集団と比較したとき、これらの細胞の割合は11倍より
多く増加する(81%と7%)。
【0108】 従って、AFP陽性細胞の収率は、表面マーカーの組み合わせを使用することに
より改善される。従って、選択された組み合わせの表面マーカによるAFPの同時
発現の程度を測定して、細胞内マーカーの選択が増加する程度を確立する。デー
タは、表面マーカーを発現するAFP陽性細胞の割合(AFP陽性細胞の「収率」と名
づけられる)として、および表面マーカーによって規定される集団に見られる全
てのAFP陽性細胞の集団(AFP陽性細胞の「濃縮」因子と名づけられる)として表
される。CD14、CD34およびCD38の組み合わせの結果を、比較のために個々のマー
カーによって得られた結果と共に表3に示す。
【0109】
【表3】 濃縮:AFP陽性でもある表面マーカーのどちらか(または両方)を発現する細胞
の割合。 収率:表面マーカー組み合わせの一方または両方を発現する全てのAFP陽性細胞
の割合。
【0110】 これらのデータを、図9のマーカーのCD14/CD38組み合わせについても示す。
【0111】 AFP陽性染色細胞の形態は異なってもよく、胎児肝臓臓由来の細胞懸濁液の全
ての範囲の細胞サイズおよび形状を含むが、成体肝臓は含まない。AFP陽性細胞
は最大で約12〜15ミクロンであるが、これは20〜50ミクロンの大きさである成熟
肝実質細胞よりはるかに小さい。これは図10に例示されている。図10は、特異的
な抗体の発現について選択されたいくつかのAFP陽性細胞を示している。
【0112】 全ての場合において、AFP陽性細胞の特定の集団は、本発明の検討に使用して
いるいかなる表面抗体も発現しない。これらのAFP陽性「ヌル(null)」細胞は図1
1aおよび図11cに例示され、同一の懸濁液から分類したCD14陽性/AFP陽性細胞(
図11bおよび図11d)と比較している。図11aおよび図11bは微分干渉対比顕微鏡図
であり、図11cおよび図11dはAFP免疫蛍光図である。両方の細胞種はAFP陽性であ
るが、表面抗原陰性染色細胞は、常に、CD14陽性細胞より小さく、複雑でないこ
とが明らかである。
【0113】 要約すると、肝前駆細胞を分類するマーカーは、グリコホリンA-、CD45-、ICA
M+、CD14+および/またはCD38+、またはICAM+以外にこれら全てのマーカーがない
、2倍体、無顆粒(側方散乱による)、15ミクロン未満(前方散乱による)であ
る。分類したこれらの細胞の表現型は小型細胞(<15ミクロン)であり、細胞質
はほとんどなく(核/細胞質比が高い)、アルブミンおよび/またはAFP+++である
。細胞の形態は、図10〜12を参照。
【0114】 胎児および成体ヒト肝臓におけるα-フェトプロテイン発現細胞の共焦点による
特徴づけ α-フェトプロテインを発現する胎児、小児、または成体細胞の画像を作成す
るために共焦点顕微鏡を使用する。この方法により、これらの細胞の形態および
サイズを観察することが可能になり、AFPおよびALBなどの細胞内タンパク質の位
置並びにCD34およびCD38などの膜表面マーカーの位置を直接示すことが可能にな
る。AFP発現細胞は胎児、小児、および成体肝臓に見出される(図12a)。予測さ
れるように、胎児肝臓は最も割合が高いが(6〜7%)、成体肝臓は割合が低く(若
年成体において<4%)、その数は年齢と共に低下し、中年では<1%に低下する。5
7歳より高齢のドナーの肝臓ではAFP発現細胞は見出されなかった。遺体の肝臓に
わずかにしか見られない肝前駆細胞は、パーコール分別方法によって有意に濃縮
され、ドナー肝臓からのパーコール分画1および2に2%の細胞が得られる(表4)
【0115】 表4は、パーコール添加緩衝液の分画の細胞の大きさおよび生存率を示す。同
条件下で単離すると、小型細胞(分画1〜3)は大型細胞(分画4)より生存率が高い
【0116】
【表4】
【0117】 肝臓細胞治療および臓器移植に好ましくは有用なドナー臓器は、年齢45歳まで
の若いドナー由来のものを含み、このような肝臓は、好ましくは、心停止から最
初の30時間以内に単離されることがこれらの結果により示される。老人患者(>7
1歳)の肝臓は、肝前駆細胞からの再生能力があったとしてもわずかであり、成
熟細胞から利用できることが知られている再生能力もわずかなので、細胞治療に
は不適当なドナーであり、おそらく特に小児への全臓器移植にも不適当なドナー
である。
【0118】 成熟系列 本発明の発明者らは、虚血性で損傷された肝臓が正常な条件下および疾患条件
下において、増殖し、肝実質細胞および胆管細胞に分化することができる肝前駆
細胞集団を含有することを示している。本発明により、肝臓系列の全ての位置が
別個の成熟段階であり、肝臓には多数の幹細胞集団が存在するという提案が示さ
れる。
【0119】 驚くべきことに、本発明の肝臓は、3つの別個の成熟段階がある:1つは肝形成
を担い、肝臓組織を生じ、肝実質細胞および胆管細胞(胆管)の細胞運命を有し
;別の1つは造血を担い、血液細胞を生じ、リンパ球(BおよびT)、血小板、マク
ロファージ、好中球、および顆粒球の細胞運命を有し;3番目のものはメセンゲ
ネシス(mesengenesis)をにない、間葉系誘導体を生じ、内皮、脂肪細胞、間質細
胞、軟骨および骨の細胞運命を有する。
【0120】 本発明の単離細胞集団は、肝臓誘導性細胞および/または遺伝子治療として大
きな可能性を有する。実施例に記載するように、本発明により、ヒト以外の霊長
類およびヒト肝前駆細胞を細胞培養して維持すると同時に、十分に分化または成
熟する能力を保持することができる条件を同定する段階は大きく進歩した。本明
細書に記載されている開示によると、遺体から単離し、未分化の肝前駆細胞を培
養状態で維持し、移植のための分化培地に移すことが可能である。
【0121】 本発明の細胞集団は、インビトロにおいて有意に増殖する能力のために、造血
系列の細胞と同様に、エクスビボにおける増殖のための細胞接種に使用すること
ができる。これにより患者の肝臓を浸潤性に大きく切開する必要性がなくなる。
【0122】 ヒト肝前駆細胞を培養状態で確立したら、遺伝子導入を実施する。これは、数
多くの異なる遺伝子送達ベクター系により実施される(以下の実施例参照)。こ
の時点において考慮するべき重要なことは、遺伝子導入の形態には、迅速に増殖
する細胞を必要とするものがあり、本発明のヒト2倍体細胞および/または前駆細
胞は正常な生理条件下で有意に分裂することから、これらの細胞は肝臓への遺伝
子導入に理想的な候補となる。また、本発明の細胞集団の増殖特性を、効率的な
遺伝子挿入および発現のための細胞増殖を必要とする遺伝子送達ウィルスベクタ
ーを使用して、エクスビボにおける遺伝子導入に使用することができる。
【0123】 本発明の前駆細胞集団はまた、自己または同種肝臓誘導性細胞治療または遺伝
子治療に好適である。明らかに、自己肝前駆細胞を使用すると、移植細胞の拒絶
に関する大きな問題は生じない。本発明の細胞集団は、それらの抗原性プロフィ
ールが免疫学的拒絶現象をわずかにしか生じないために、同種細胞導入において
特に興味深い。さらに、免疫原性が高いことが知られている血液細胞、内皮細胞
、Kupffer細胞などの他の細胞要素は、増殖過程により実質的に排除される。
【0124】 自己または同種肝前駆細胞が単離および精製された場合に、それらは遺伝的に
改変されるかまたは無傷のままで使用され、必要がある場合にはインビトロにお
いて増殖され、次いで宿主に移植される。遺伝的改変が望ましい場合には、遺伝
的改変後で、移植前に、遺伝的に改変した細胞を増殖し、および/または優性選
択マーカーの導入および発現に基づいて選択することができる。移植は肝区画(h
epatic comparment)または異所的部位に実施することができる。肝区画への移植
では、門脈注入または脾臓内注射を使用してもよい。脾臓内注射は、脾臓内注射
によって移植された肝前駆細胞はほとんどが、肝臓に移動するので、優れた投与
経路となりうる。肝区画に入ったら、遺伝的に改変されて移植された肝前駆細胞
は正常な肝実質細胞形態に成熟する。
【0125】 別の医学的手法は、移植された肝前駆細胞の肝移植の効率を助けることができ
る。動物モデルは、部分肝切除において、血管形成因子および他の増殖因子の投
与が移植された肝実質細胞の移植および生存を助けることを証明している。別の
方法は、遺伝的に改変された肝実質細胞を異所的部位に移植することである。
【0126】 これまで、肝臓に関する細胞治療方法はある程度の効果しか示していない。こ
れは、使用されているドナー細胞が主に成体肝臓細胞であり、単離および注射後
に短命であることによる。また、成体細胞を使用することにより、強い免疫学的
拒絶が生じる。本発明の例では、肝前駆細胞は、免疫学的拒絶現象を誘発する可
能性が小さく、再生能力が大きいことより、効率が高い。
【0127】 遺伝子治療に関しては、現状は、開発中の臨床治療の最も一般的な経路である
、「標的化注射用ベクター」を使用している。これらの方法は、免疫学的問題お
よびベクター発現が一過性であるために効果が少ない。前駆細胞によるエクスビ
ボ遺伝子治療(または、前駆細胞集団を標的とする注射用ベクターの使用)は、
ベクターが前駆細胞の精製された亜集団にエクスビボで導入され、即ち修飾され
た細胞はインビボにおいて選択され再導入されるため、より効果的であることが
証明されうる。前駆細胞の利点は、増殖能力が大きく、存在したとしても免疫学
的反応がわずかであり、且つ分化して成熟細胞系列全体を形成する能力を有する
ことである。
【0128】 共通系列または相互依存系列 方法を改良することにより、本発明者らは、肝前駆細胞を詳細に検討し、特徴
づけることが可能になる。これらの検討は、肝前駆細胞と造血前駆細胞が特に密
接に関係していることを明らかにしており、これら2つの系列間の密接な関係を
示している。実際、これらの検討は、肝系列および造血系列の前駆細胞は数多く
の抗原マーカー(CD14、CD34、CD38、c-kit、卵形細胞抗原)を共有し、生化学的
特性(すなわち、トランスフェリン、グルタチオンS-トランスフェラーゼおよび
切断型アイソフォームのα-フェトプロテイン)を共有し、エクスビボにおける
増殖のための培養要件(細胞外基質形態およびホルモン要求性)に重複が多いこ
とを示している。両方の系列の前駆細胞は、肝臓腺房の同じ部位に位置する。最
後に、2つの成熟系列の細胞にはパラ分泌シグナル伝達が存在し、すなわち、系
列の各々によって産生されるシグナルは他の系列の細胞を調節する。実際、肝細
胞と造血細胞の間には共通の系列または相互依存性が非常に低い系列が存在する
【0129】 細胞を単離し、培養する条件に依存して、骨髄造血細胞または肝誘導体を生ず
るために、本明細書に開示する細胞集団を精製して使用することができる。従っ
て、細胞がインビボにおいて血液に再導入される場合には、それらはおそらく骨
髄-造血誘導体を生じると思われ、肝臓に導入される場合には、肝臓細胞を生じ
るはずである。平行的な現象はエクスビボにおいて維持されている細胞中に生じ
るはずである。従って、肝前駆細胞および造血前駆細胞の両方を規定する抗原セ
ット(すなわち、CD38+、c-kit+、CD45-)について分類した細胞集団を接種した
バイオリアクター系は多数の運命の細胞集団を形成することができる。
【0130】 本発明の細胞集団の別の重要な局面は、集団内の細胞には特定の前駆細胞の細
胞表面抗原CD34を提示する細胞があるということである。CD34は、骨髄の造血幹
細胞の簡便な陽性選択マーカーとして使用されている。本明細書に開示されてい
る本発明は、その後、臨床プログラムおよび非臨床プログラムに使用することが
できる造血前駆細胞集団および肝前駆細胞集団などの、任意の前駆細胞集団を精
製するよりよい方法を示唆している。
【0131】 ヒト肝前駆細胞の用途は多岐にわたる。それらには、1)ヒト細胞の調査、2)ワ
クチンまたは抗ウィルス薬の製造、3)毒性研究、4)薬剤の開発、5)タンパク質製
造(種々のヒト特異的因子として細胞を使用)、6)肝臓細胞治療、7)肝臓遺伝子
治療、8)調査、毒性および抗菌研究、タンパク質製造、または臨床的に肝臓アシ
スト系として使用することができる生体人工肝臓が含まれる。本発明において発
明者らによって提案されているように、造血および肝形成の間に共通の系列が存
在する可能性を考慮すると、置かれる微小環境に応じて、同一の細胞が肝または
造血細胞の運命を有することは好適である。
【0132】 高度に精製されたヒト肝前駆細胞が利用できることにより、ヒト細胞の広範な
調査が可能になり、肝臓細胞および遺伝子治療形態の開発が促進され、調査およ
び臨床アシスト装置として使用するヒト生体人工肝臓の開発が可能になる。現在
では、健康なヒト組織の供給は限られているため、肝臓細胞治療またはヒト生体
人工肝臓の臨床プログラムを実施することができない。遺体から得られる前駆細
胞亜集団を含む2倍体細胞は、そのような供給の制限を大幅に改善するのに十分
な増殖の可能性を有する。
【0133】 以下の実施例は例示的なもので、限定することを意図するものではない。
【0134】 6. 実施例 6.1 死体肝臓の調達 死体の肝臓は、血液除去のために、門脈、大静脈を介して、またはこれら両方
を介してカテーテル挿管し、緩衝液で灌流し、次に細胞を酵素的に解離するため
にコラゲナーゼ/プロテアーゼを含有する緩衝液により灌流する。通常は肝臓の
大きさに応じて15〜30分間を要する消化後、組織をチーズクロース(cheeseclot
h)またはナイロンフィルターを通して圧縮するか、もしくは櫛でかきならし、
細胞解離過程を力学的に完了する。灌流工程で使用したコラゲナーゼおよび他の
酵素を失活するために、解離した細胞を血清を含有する緩衝液で洗浄する。
【0135】 灌流緩衝液P1およびP2を、37℃の水浴に配置する。灌流期間を通じて37℃に維
持されたミラー(Miller)型灌流ボックス内で灌流を実施する。灌流期間中は、
緩衝液に酸素添加する。ボックス内の全てのチューブは、70%エタノール、その
後蒸留水で、次にP1ですすぎ、このシステムから空気が除去されたことを確実に
する。60mlシリンジへ装着した16ゲージ針からのテフロン(登録商標)カニュー
レを用い、肝臓に挿管し、大きい肝臓の断片(100〜300g)については肝臓の切断
面上の利用できる様々な血管を用い、氷冷したP1緩衝液を肝臓に流す。肝葉全体
が利用できる場合については、大静脈の残遺物にカニューレ挿管することができ
る。肝臓の大きい塊の様々な血管を、どれがこの組織の最適な灌流をもたらすか
を知るために試験する。この処置は、肝臓から過剰な血液も除去する。選択され
た血管は、カニューレ挿管し、かつ医療用接着剤(例えば、医療用「スーパーグ
ルー(superglue)」)を用い所定の位置に密封する。他の太い血管および表面の開
口部は全て、医療用接着剤を用い密封し、必要ならば開口部の密封を補助するた
めに接着剤と共にQチップを用いる。一旦接着剤が乾燥した後、この肝臓標本を
、適当なサイズのガラスボール内のナイロンメッシュ上に置く。P1緩衝液をボー
ルに入れ、かつ肝臓を緩衝液中に浸漬する。肝臓が入ったボールを灌流ボックス
内に置き、カニューレの排出チューブを装着する。P1緩衝液を15分間再循環し、
これは約24ml/分の低速から開始し、その後徐々に58ml/分から90ml/分までの間
に速度を増し、許容できる背圧を伴う流量へ最適化する。肝臓からの灌流液の過
剰な漏出がないことをチェックしなければならない。15分後、P1緩衝液をボール
から取除き、コラゲナーゼを含有するP2緩衝液と交換する。P2緩衝液を、肝臓が
十分に消化されるまで再循環する(暗い赤味がかった褐色から淡褐色への肝臓の
色の変化、および肝臓の粥状組織の獲得により評価)。P2緩衝液を、20〜25分を
超えない時間再循環する。一旦灌流が終了したならば、P2緩衝液をボールから排
液し、かつ肝臓をボール中から生物学的フード(biological hood)へと移す。
【0136】 細胞培養培地(DMEM)をボールに追加し、かつカニューレおよび接着剤を、肝臓
の未消化領域と共に取除く。肝臓の被膜(グリソン嚢)を、組織用鉗子および鋏を
用いて破壊する。これは、消化された組織の培地への放出を可能にし、後に結合
組織および未消化の材料が残る。消化された材料をDMEMへ入れ、その後一連の異
なるサイズのフィルターを用いて濾過する。これらのフィルターは、濾過しやす
くするために巨大漏斗の内側に置く。消化した材料を、最初に一層のチーズクロ
ースで濾過し、引き続き400μナイロンフィルターで、次に70μのテフロンフィ
ルターで濾過する。濾液を遠心管に等量に分割し、70gで4分間遠心する。
【0137】 遠心後、パーコール添加前の上清を、分画1(F1)と称す。この細胞ペレットに
、DMEMおよび等張のパーコールを添加し、各々、最終的比を3:1とする。例えば
、容量5mlの赤血球沈殿(packed cell)の少量のペレットを、DMEM 30mlおよび等
張のパーコール10ml中に浮遊する。この試料を、100gで5分間遠心し、ペレット
を収集し、F4分画と称す。この上清を再度200〜400gで5分間遠心し、F3分画と称
されるペレットを得る。この上清を再度600〜800gで遠心し、F2分画と称される
ペレットを得る。最終遠心を1200〜1800gで行い、F1分画と称されるペレットを
得る。様々な分画の細胞を浮遊し、かつ生存率について、トリパンブルー色素排
除アッセイ法を用いて評価する。これらの様々な分画の生存率を表4に示す。
【0138】 肝臓灌流後に肝臓組織の血管または胆管樹(biliary tree)に結合し続けている
細胞が残る。これらの細胞は、酵素的灌流後に得られた当初の細胞浮遊液中に認
められ、かつ典型的には浮遊液中の細胞の通過後に篩(例えば、チーズクロス)の
表面に残留している。これらの大きな塊の血管および胆管樹は、再度酵素で処理
し、得られた細胞を、他の細胞と一緒にプールする。
【0139】 パーコール分画は、ほとんどの研究者が肝臓の灌流において、細片および死滅
細胞と推定されるものを除去するために日常的に使用し;最終ペレットのみを研
究者は保存している。本明細書に説明されたような、灌流の日常的作業の新たな
変形は、第一のペレット(本明細書においてF4と称す)は、温または冷を問わず
虚血に対し最も感受性であることが認められた細胞を含み、および浮遊密度が比
較的低い細胞(すなわち、比較的高速の遠心により得られたペレットから収集さ
れた細胞)は、虚血に対して感受性が低いことである。これらのF1、F2、およびF
3分画中の細胞は、比較的小さく、恐らく幼若な実質細胞であり、かつ凍結がは
るかに容易である(凍結保存の項参照のこと)。更に、これらの細胞は、実質的に
二倍体細胞であるのに対し、成体からのF4分画の細胞は、大きい多倍体細胞を含
む。この多倍体細胞は、二核であるか、または単核および四倍体または八倍体で
あるか、もしくはより高い倍数体であることができる。
【0140】 6.2 細胞集団の分画と関係した倍数性 前述の成体肝臓細胞の分画(F1〜F4)は、識別できる細胞集団を含むことがわか
る。F1は、細片、赤血球、肝性星細胞、および前駆細胞集団(肝系株または造血
系株のいずれかの)を含む小さい肝細胞(<12μm)を含み;F2分画は、二倍体であ
るより大きい肝細胞(12〜15μm)、小さい実質細胞を含み;F3分画は、更に大き
い実質細胞(15〜25μm)を含みおよび二倍体細胞と四倍体細胞の混合物からなり
;並びに、F4分画(他の研究者は全員使用しているもの)は、最大の実質細胞(25
〜50μm)からなり、これはほとんど全て多倍体である(例えば、四倍体または八
倍体である)。
【0141】 一般に、F1〜F3分画の実質細胞の凍結後の生存率は、79〜95%であり;F4分画
の実質細胞の凍結後の生存率は、50〜80%である(入手時の肝臓の状態に応じて
異なる)。F4分画の実質細胞の生存率に影響を及ぼす確定された変数は以下のも
のである:1)ドナーの年齢(ドナーの年齢が高ければ高いほど、細胞の予後は悪
い);2)心停止から実験室へ搬送されるまでの時間(短い方がより良い)。これら
の要因は、高齢のドナーからの組織の迅速な搬送が、運搬に非常に時間がかかっ
た若年患者の組織よりもより魅力的であるように相互作用する。
【0142】 6.3 細胞分画への虚血の作用 細胞生存率の結果を、虚血の時間および温度の関数として検証する。肝臓が周
囲温度またはそれ以上に維持されるような状態を、温虚血とする。肝臓が周囲よ
り低い温度に維持されるような状態を、冷虚血とする。通常の実践において、温
虚血は、生体体温と室温の間の温度に相当しているのに対し、冷虚血は、例えば
約10℃または約4℃など、室温以下のいずれかの温度に相当している。
【0143】 温虚血においては、肝臓を周囲温度以上に維持し、かつその後肝臓を灌流する
。温虚血の別の形においては、肝臓を、一時周囲温度以上に維持し、その後冷却
し、かつ引き続き温い解離溶液で灌流する。いずれかの灌流により得られた単細
胞浮遊液を処理し、二倍体および多倍体の細胞を様々な割合で含む細胞分画を提
供する。前駆細胞は、二倍体細胞の亜集団である。更に、分化された多倍体細胞
は、周囲より高い温度での虚血に対して感受性があることが認められる。下記表
において、死滅細胞の核を染色するヨウ化プロピジウム(propidium iodine;PI)
で染色することにより、ラットの生存肝臓細胞を、死滅細胞から区別する。単核
および二核の細胞を、生存および死滅した分画において計測し、固定、透過後フ
ローサイトメトリーで選別し、およびPI再染色し、全ての細胞の核を可視化した
【0144】
【表5】
【0145】 モデルとしてラットを用い、肝臓灌流液から収集した総細胞数を、温虚血の時
間の関数として測定する。約8週齢の雄のスプレージ・ドーリー(Sprague-Dawle
y)ラット(各250〜300g)を使用する。非虚血性動物を測定したところ、肝臓1個
につき>400x106個の単離された細胞を得る。総細胞収量は、1時間未満の温虚血
時間により急激に低下し、肝臓1個につき150〜250x106個の細胞をもたらすこと
がわかる。約1時間〜5時間での総細胞収量は、肝臓1個につき50〜150x106個の細
胞で比較的安定していることがわかる。生存細胞の収量は、1時間未満の温虚血
により急激に低下し、1時間以降の時点では、肝臓1個につき約10x106個の細胞で
比較的安定している。従って、生存細胞の割合は、温虚血に対し二峰性であるこ
とがわかる。1時間未満の時点で、生存細胞および死滅細胞の両方が急勾配で減
少したので、生存率比に変化はない。1時間以上最大5時間の時点では、安定した
割合の生存細胞が観察される。
【0146】 肝臓細胞核の投影面積を、前述のラットモデルを使用し、温虚血時間の関数と
して測定する。肝臓を灌流し、細胞を単細胞浮遊液として単離し、かつヨウ化プ
ロピジウムで染色する。生存細胞(PI陰性)をフローサイトメトリーで収集し、製
顕微鏡スライドガラスに塗沫し、固定し、透過し、かつPIで再染色し、核を可視
化する。虚血を伴わずに灌流した対照動物は、単核および二核の生存肝臓細胞の
存在に相当する、核面積の二峰性の分布を有することがわかる。温虚血の1時間
後および2時間後、二核細胞の割合は減少することがわかる。二核細胞は必然的
に多倍体であるので、これらのデータは、多倍体細胞は虚血に対して二倍体細胞
よりもより感受性があることを示していると考えられる。
【0147】 虚血に対する二倍体細胞の抵抗性は更に、単核細胞における核サイズの分析に
より裏付けられる。単核細胞は、二倍体または多倍体のいずれかであることがで
き、二倍体細胞は多倍体細胞よりもより小さい核を有する。前述のラットモデル
を用い、核面積の測定のための生存細胞を調製する。総核の割合(%)を、図1aに
示しているが、これは核が小さい細胞は虚血に対して比較的抵抗性があることを
指摘している。多倍体核は二倍体核よりも大きい傾向があるので、これらのデー
タは、二倍体細胞は温虚血に対して比較的抵抗性があることを示していることが
わかる。図1bに示したように、対照肝臓および2時間虚血後の肝臓の間の核サイ
ズの変化に、違いは認められない。
【0148】 同じく細胞生存率を、低温虚血の時間の関数として有利に試験し、これについ
ては表6および7を参照のこと。この態様において、肝臓は、実質的に剖検直後に
、約10℃に急速冷却される。更に有利には、肝臓を、実質的に剖検直後に、約4
℃に急速冷却する。冷却は、当業者に公知のいくつかの方法のいずれかを用いて
行い、これは氷または冷却液の入ったバッグ内のドナー死体腹部の詰め込みとい
う簡単な手段を含むが、これらに限定されるものではない。肝臓を、前述の周囲
温度以下に一時維持し、かつ次に前述のように最大約30時間、さらに有利には最
大約20時間灌流する。灌流から得られた単細胞浮遊液を処理し、前駆細胞を提供
する。多倍体細胞は、温度が室温以下で、例え4℃で維持されたとしても、虚血
に対して感受性があることが認められる。
【0149】
【表6】 ヒト胎児肝臓
【0150】
【表7】 小児およびヒト成人肝臓
【0151】 前述の方法の1種以上によりドナー肝臓から調製された前駆細胞は、以下に説
明するように、凍結保存、フローサイトメトリー、細胞染色、細胞選別、肝臓再
生、バイオリアクター、人工肝臓、および治療的処置における使用に適している
【0152】 6.4 ヒトドナーにおける温虚血 試料Ren #200を、1999年5月21日に男性成人ドナーから得る。このドナーは、
脳死が宣告され、臓器移植のドナーとして認定された。しかし、移植医が臓器を
摘出する以前に、ドナーは心停止に陥った。医師は心停止の30〜60分以内に肝臓
を摘出することができ、この時点を「温虚血時間」とした。交差クランプ時刻(c
ross clamp time)は、1999年5月20日21時19分である。肝臓に輸送緩衝液(Viaspa
n)を流し、氷に入れ、かつUNCに搬送した。翌朝11時にUNCはこれを受け取り(13
時間41分の冷虚血を構成)、直ぐに処理を行った。この処理は、下記の示された
生存率を伴う細胞浮遊液を生じることがわかる。
【0153】
【表6】
【0154】 従って、臓器移植には不適と見なされる温虚血に曝したヒト肝臓組織の処理は
、二倍体細胞を含む単離された細胞分画を生じることがわかった。
【0155】 6.5 ヒト肝臓から単離された二倍体細胞におけるα-フェトプロテインの発現 交通事故後ショック性外傷ユニット(STU)に搬送され、医療施設到着時死亡(DO
A)とされた年齢37歳の男性患者において、不全収縮からの死亡はショック性外傷
ユニット到着前25分と推定される。このドナー死体を、外部殺菌により臓器提供
のために調製する。肝臓を無菌的に摘出し、無菌バッグに詰め、近隣の細胞実験
施設への輸送のために冷却する。ドナー肝臓の中心温度は、滅菌した表面温度探
子を用いて測定する。死亡推定時刻後45分の時点で、温度10℃が記録される。暖
かい解離溶液(前述)による肝臓灌流を開始する。ドナー肝臓細胞浮遊液を前述の
ように調製し、かつ生存二倍体細胞を前述のようなパーコールを補充した緩衝液
内での遠心により単離する。単離した細胞を、凍結保存、抗原型決定を含む更な
る特徴決定、および抗原型が一致したレシピエントへの移植前の細胞培養におけ
る増殖のためにアリコートに分割する。
【0156】 交通事故後緊急救命室(ER)に搬送され、医療施設到着時死亡(DOA)とされた第
二の年齢34歳の男性患者において、内部裂傷から生じた失血およびその結果の不
全収縮からの死亡は緊急救命室到着前45分と推定される。このドナー死体を、外
部殺菌により臓器提供のために調製する。肝臓を無菌的に摘出し、無菌バッグに
詰め、隣接する細胞実験施設への輸送のために冷却する。ドナー肝臓の温度は、
滅菌した表面温度探子を用いて測定する。死亡推定時刻後80分の時点で、温度10
℃が記録される。溶液(前述)による肝臓灌流を開始する。ドナー肝臓細胞浮遊液
を前述のように調製し、かつ生存二倍体細胞を前述のようなパーコールを補充し
た緩衝液内での遠心により単離する。単離した細胞を、凍結保存、抗原型決定を
含む更なる特徴決定、および抗原型が一致したレシピエントへの移植前の細胞培
養における増殖のためにアリコートに分割する。
【0157】 これら二名のドナーから単離された細胞試料を、前述のように、α-フェトプ
ロテインに対する抗体による染色のために調製し、かつFACStarサイトメーター
上で選別し分析する。実質的に二倍体細胞である小さい核を伴う単核実質細胞に
相当する細胞亜分画を、多倍体細胞、すなわち、大きい核を伴う単核細胞および
二核細胞の両方の細胞亜分画と比較する。異なる期間温虚血に曝した年齢および
性別を一致させたドナーからの細胞の比較を用い、二倍体および多倍体の肝臓細
胞の温虚血の作用に対する相対的易感受性を評価する。α-フェトプロテインを
発現している肝前駆細胞は、肝臓の二倍体細胞の亜集団である。α-フェトプロ
テインを発現している細胞は、冷または温虚血で生存する能力が、他の二倍体肝
臓細胞集団のものと、同等またはより良いことを評価する。
【0158】 6.6 PCR試験のためのプライマーの開発 α-フェトプロテイン(AFP)アイソフォームの分析は、肝細胞型、対、他の細胞
型において異なるように発現した。細胞種:2種のヒト肝細胞癌Hep3BおよびHepG
2を、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM L-グルタミン、50U/mlペニシリン、50μg/
mlストレプトマイシン、0.1mM MEM 非-必須アミノ酸溶液、5μg/mlインスリンお
よび10%FBSを補充したイーグル(Eagle)の最小必須培地(MEM)で継代する。ヒ
ト赤白血病細胞株K562およびマウス胚繊維芽細胞株STOを、2mM L-グルタミン、5
0U/mlペニシリン、50μg/mlストレプトマイシン、5x10-5M 2-MEおよび10%FBSを
補充したDMEM/F12で継代する。
【0159】 RT-PCR: 総RNAを、常法により、Hep3B、HepG2、およびSTOから抽出する。これらのcDNA
を、オリゴ-dTプライミングにより合成し、かつ本発明者らによりデザインされ
たプライマーセットを用いるPCR増幅を施し、ヒトα-フェトプロテイン(AFP)を
調製する。プライマーセットは下記の以下の通りである: プライマーの組合せは下記の通りである: hAFP1およびhAFP2、 hAFP3およびhAFP4、 hAFP1およびhAFP4、 hAFPエクソン2およびhAFP4、 hAFPエクソン3およびhAFP4、 hAFPエクソン4およびhAFP4、 hAFPエクソン5およびhAFP4、ならびに hAFPエクソン6およびhAFP4。
【0160】 PCRは、各プライマー1μM、各dNTP 200μM、50mM KCl、1.5mM MgCl2、10mMト
リスHCl、pH8.3、および1.25U Amptltaqポリメラーゼ(Cerus社)からなる、総容
量50μl中で行う。試料を、94℃で3分間加熱し、引き続き94℃で2分間、62℃で2
分間および72℃で3分間の30サイクルで増幅する。最終サイクル後、最後の伸長
工程を、72℃で7分間行う。その後各PCR反応液5μlを、トリス-酢酸-EDTA緩衝液
中5μg/ml臭化エチジウムを含有する2%アガロースゲル上に流す。ヒトAFP遺伝
子は15個のエクソンからなる。切断された転写産物を機能的完全AFP mRNAから識
別するため、AFP cDNA配列の2種の異なる部分をRT-PCRの標的分子として選択す
る。hAFP1およびhAFP2のプライマー組合せを、開始METを含むエクソン1からエク
ソン3までの増幅のために使用し、対してhAFP3およびhAFP4の組合せで、エクソ
ン12から終止コドンを含むエクソン14まで増幅する。このPCRの結果は、これら
のプライマーの両方の組合せが、Hep3BおよびHepG2由来のRNA(レーン1、2、4、
および5)において強力に検出された増幅バンドを生じる。対照的に、C末端部分
の特異的バンドが、K562のRNAにおけるhAFP3およびhAFP4のプライマーセットに
より検出された(レーン7および8)。この結果は、赤白血病細胞株K562が、N末端
を伴わないAFPの切断型のみを発現していることを示唆している。この仮説を裏
付けるために、hAFP1およびhAFP4プライマーを用いるAFPの全コード領域のPCRを
行う。予想されたように、Hep3BおよびHepG2 cDNAのPCRは、2.1Kb(レーン3およ
び6)に1本の顕著なバンドを示したのに対し、K562(レーン9)はバンドを示さなか
った。これらの対照は、RNAを伴わない試料およびマウス胚性繊維芽細胞株(STO)
由来の試料である。いずれも検出可能なバンドは示さなかった。次に、エクソン
2からエクソン6までの一連の5'プライマーを構築し、hAFP mRNAの本物(authenti
c)および変異体の間の差異を調べる。この結果は、エクソン1を除いて、全ての
コード領域が、K562においてhAFPの変異体型を共有していることを示す。ヒトAF
P RT-PCRのためのhAFP1およびhAFP4プライマーの組合せは、肝細胞株におけるAF
P mRNAの発現の検出に適しており、これは完全なAFP mRNA種を含んでいる。この
特異的プライマー組合せを使用するRT-PCRは、肝細胞または非肝細胞において発
現されたあらゆる切断型の可能性を排除することができる。この試験を用い、肝
臓前駆細胞の特異的亜集団を同定するか、もしくは表面マーカーを共有する肝細
胞または造血細胞の集団を分離する。
【0161】 6.7 ドナー肝臓の処理 死体肝臓: 肝臓を、死後各種時間に、しかし好ましくは、上限を30時間として、少なくと
も24時間以内に入手する。肝臓は、酵素消化と機械的解離の組合せを用いて処理
され、胎児「死体」肝臓は主に機械的解離によって調製されたが、これに対して
成人死体肝臓は主に酵素消化によって解離される。各方法の説明を以下に示す。
胎児および成人の肝臓はどちらも、細胞をまとめて組織内に結合する細胞外マト
リクスを溶解する働きを持つ酵素緩衝液中にて、さまざまな期間、消化される。
肝臓細胞の単離に用いる混合コラゲナーゼ酵素は、ベーリンガー・マンハイム(
Boehringer-Mannheim)が製造した高純度の「リベラーゼ(Liberase)」酵素調
製物であり、精製コラゲナーゼおよびエラスターゼの混合物からなる)。本酵素
混合物は、はるかに低い濃度にて使用され、有害な「副作用」がより少ない。
【0162】 酵素溶液: コラゲナーゼ溶液(60〜70mg/100mlの緩衝液(Sigma、タイプIVコラゲナーゼ
、カタログ番号C5138またはWorthington、タイプB、カタログ番号LS005273;両
方ともコラゲナーゼ中で濃縮された細菌性調製物であるが、多くの酵素不純物を
含む)またはリベラーゼ)(Boehringer-Mannheimによる精製コラゲナーゼ/エラ
スターゼ調製物、カタログ番号1814184)はP2緩衝液(以下参照)中で調製され
、0.23mg/mlの濃度で使用される。
【0163】 細胞洗浄溶液: インシュリン(5μg/ml)、トランスフェリン(5μg/ml)、および1:1のモル
比で精製ウシ血清アルブミンまたはヒト血清アルブミンに結合した遊離脂肪酸混
合物(以下参照)がRPMI 1640(Gibco)添加に添加される。
【0164】 遊離脂肪酸混合物: 未熟な細胞個体群および損傷した老化肝臓細胞は、その膜を維持および合成す
るために脂質を必要とする。十分に成熟した肝実質細胞は、単一の脂肪酸源(リ
ノール酸)からその膜を合成できるが、それより若い柔細胞は合成できないため
、その脂質要件を処理するために多くの各種脂肪酸の混合物を必要とする。本発
明者らは、高度に精製されたウシ血清アルブミンまたは高度に精製されたヒトア
ルブミンと、次に1:1のモル比で結合される複合混合物を提供する。「狂牛病」
もしくはウシ海綿状脳症に関連する問題を避けるためには、一般にヒトアルブミ
ンが好ましい。したがって、最終濃度が細胞培養液中で約7.6μeq/L(7.6μM)
の、遊離脂肪酸の混合物を使用する。
【0165】 ストック溶液を、全体の合計100mMの遊離脂肪酸の場合、以下のように調製し
た:
【0166】 個々の脂肪酸成分の調製: 各成分をそれぞれ、以下のように100%EtOHに溶解させた: パルミチン酸 1Mストック、熱EtOHに可溶; パルミトレイン酸 1Mストック、EtOHにただちに可溶; ステアリン酸 151mMストック、熱EtOHに1g/21mlで可溶; オレイン酸 1Mストック、EtOHにただちに可溶; リノール酸 1Mストック、EtOHにただちに可溶; リノレン酸 1Mストック、EtOHにただちに可溶。
【0167】 次にこれらのストックをそれぞれ混合して、100mM FFA混合物を得る。それぞ
れのFFAおよびFFA混合物のアリコートは、酸化を減少させ、安定性を向上させる
ために、通気窒素と共に作製する。ストックを-20℃で凍結させる。
【0168】 P1灌流緩衝液 以下の各成分について特定されたとおりの最終濃度を有するカルシウムおよび
マグネシウム遊離灌流緩衝液(pH7.2):118mM NaCl、4.7mM KCl、1.2mM KPO
4、pH7.4、2.5mM NaHCO3、0.5mM EDTA、5.5mM グルコース、0.5% ウシ血清
アルブミン(BSA)、アスコルビン酸(50μg/ml)、インシュリン(4μg/ml)、
デキサメタゾン(1μm)。
【0169】 P2灌流緩衝液 0.5% BSA、アスコルビン酸(50μg/ml)、インシュリン(4μg/ml)および
デキサメタゾン(1μm)を添加したダルベッコ変法イーグル培地(Gibco)また
はRPMI 1640。
【0170】 DMEM グルコース、ピルビン酸ナトリウムおよびL-グルタミンを含み、5% ウシ血
清アルブミン、インシュリン(4μg/ml)およびデキサメタゾン(1μm)がさら
に添加されたダルベッコ変法イーグル培地(Gibco)。ITS+TM培養用添加物(5m
l/100ml)およびデキサメタゾン(0.1μM)を添加したチー培地(Chee's medium
)。パーコル(Pharmacia)は、10×のダルベッコリン酸緩衝生理食塩水を用い
て9:1に希釈する。
【0171】 6.8 凍結保存実験 凍結保存方法に使用する肝臓は、若くは胎児肝臓(妊娠期間12週から25週)の
、そして老いては77歳の死体ドナーより得る。新規凍結保存緩衝液は以下のよう
に使用した:2%ヒト血清(Gibco)もしくはウシ胎仔血清(Biowhittaker)を添
加したヴィアスパン(Viaspan)(デュポンカタログ番号1000-46-06)、成熟柔
細胞のみに使用した10%凍結保存ジメチルスルホキシド(Sigmaカタログ番号D58
79またはD8779)または前駆細胞のみに使用したジメチルスルホキシドもしくは
グリセロール(Sigmaカタログ番号G6279)]。緩衝液にはさらに、抗生物質(20
0U/mlのペニシリン;100μg/mlのストレプトマイシン)を添加する。緩衝液には
さらに、ホルモンおよび成長因子:インシュリン(5μg/ml)、トランスフェリ
ン(5μg/ml)、上皮成長因子(50μg/ml)、FGF(10ng/ml)、IGF II(10ng/m
l)を添加する。緩衝液にはさらに、脂質を添加した:ウシ血清アルブミン(BSA
)またはヒト血清アルブミン(HSA)に結合した遊離脂肪酸(7.6μM)および高
密度リポタンパク質(10μg/ml)。緩衝液にはさらに、微量元素(セレン(10-9 M)、銅(10-7M)、亜鉛(5×10-11M))および酸化防止剤、インカラ(Incara
)の子会社であるアイオロス(AEOLUS)が調製した製品である、AEOL 10112(
専売酸化防止剤、10μg/mlで使用されるスーパーオキシドジムターゼ模倣体であ
るポルホリン)を添加する。
【0172】 本明細書に開示するように、組成の多様性は、肝臓細胞用に調整される無血清
ホルモン定義培地の一部として示される主要栄養素である、脂質、ホルモンおよ
び成長因子と組合せるためである。F4細胞では、新規緩衝液によって、低くは約
10%未満(死後約30時間の上限で収集した、非常に衰弱した試料による)から高
くは約80%(1時間以上に近い初期の期間に収集された良好な試料)の肝臓細胞
の生存率が生じる。F1〜F3分画の生存率は一貫して40%以上であり、この事実は
、これらの分画が、細胞外マトリクス成分および/もしくは生存および成長に必
要な他の細胞因子の合成につながる、倍数状態および代謝活性を有する「より若
い」細胞であるためである;それゆえ、これらはより容易に凍結しやすい。スー
パーオキシドジムターゼ模倣体を緩衝液中で使用すると、細胞の生存率が5〜10
%上昇する。
【0173】 上の代替手段は、ヴィアスパンを除去し、基本培地(RPMI 1640など)にイン
シュリン(5μg/ml)、トランスフェリン(5μg/ml)、BSAに結合した遊離脂肪
酸(7.6μM)、高密度リポタンパク質(10μg/ml)、微量元素(セレン(10-9M
)、銅(10-7M)、亜鉛(5×10-11M))およびAEOL 10112に添加した変法培地
を使用することである。ラミニンと混合したタイプIVコラーゲンもしくはフィブ
ロネクチンと混合したタイプIIIコラーゲンなどの形の細胞外マトリクスを用い
て、細胞をコーティングする。
【0174】 上述のように処理した胎児「死体」肝臓細胞を、凍結保存緩衝液(上述)中で
懸濁し、5〜10×106細胞/mlにて3mlの凍結バイアル中に分割し、その条件で1〜2
時間維持する。細胞は次に、コンピュータ制御レートフリーザー(フォルマ・ク
リオメッド)を用いて、-160℃の液体窒素温度に凍結させ、次に大規模気相、液
体窒素(-160℃)貯蔵タンク内に保管する。細胞は該方法を良好に生存し、50〜
270日の範囲の貯蔵期間にわたって著しい生存率低下は生じなかった(図4を参照
)。
【0175】 処理後および凍結後の両方のF4分画の、最大の範囲の生存率は、「クランプ時
間」と実験室での試料の受理との間の時間の変化と、肝臓の条件の変化(線維性
、虚血性など)によるものである。一般にF4分画は、肝臓処理の変化におよび組
織全体の健康状態に最も感受性である。注目すべきことにF2分画およびF3分画は
、衰弱した肝臓試料から採取した場合でも、常に生存可能であり、ただちに凍結
保存可能である。F1分画はより生存可能性が高く、大量の細片、脂肪液滴はもち
ろんのこと、小型の柔細胞(肝臓前駆細胞と見なされる)および各種の造血性サ
ブ個体群(すなわち赤血球)の両方を含む多数の小規模な細胞を含んでいる。
【0176】 表7 凍結保存:胎児肝臓 処理後の平均生存率:75〜85%; 処理後の平均生存率:処理後と同等。
【0177】 表8 凍結保存:成人肝臓 生存率(凍結後) F1〜F3:付着良好で>75%; F4:付着貧弱で<60%。
【0178】 6.9 フローサイトメトリー 以下の分類方法は選択的である。細胞は、単一のファイル内のレーザー光に暴
露されるフロー細胞を通過する。各細胞のおよその体積を「前方散乱光」もしく
はビームが交差するときに屈折する光の量によって決定する。散乱光、すなわち
核、小胞体、ゴルジ体、ベシクルなどの細胞内構造物からの「側方散乱光」を用
いて、内部複雑度(すなわち活性細胞およびさらに成熟した細胞は、静止細胞も
しくは若い細胞よりも多くの内部成分を含む)の量を決定する。細胞特性に関す
るさらに選択的な情報は、特異性の高い、特徴的な抗原を細胞表面のタンパク質
複合体に結合させることによって得る。これらの抗体は、フルオレセインイソチ
オシアネート(FITC)、フィコエリトリン(PE)などの経口分子、および各蛍光
団に固有の波長の放射光を生成するレーザー光によって励起される、PEおよびチ
トクロームのタンデム接合体に共有結合することができる。特定の抗体に結合し
た、一連の特有の発色団を選択して、興味のある細胞個体群を選択する。
【0179】 細胞をそのパラメータ入力に基づいて分析する。エッペンドルフおよびコニカ
ル管を含む各種の収集器具と、40,000回/秒以上の速度で任意のサイズのマルチ
ウェルプレートを用いて、望ましい細胞を収集する。
【0180】
【表9】 染色段階で用いた抗体および試薬
【0181】 フローサイトメトリー用の細胞調製物に使用した主な溶液: BSA:ウシ血清アルブミン(ペンテックスV); PBS=リン酸緩衝生理食塩水; FBS=ウシ胎仔血清; AFP=アルファ-フェトタンパク質。
【0182】 ホルモンを含むダルベッコ変法イーグル培地:HC_DMEM 500mL DMEM、フェノールレッドを含まない高グルコース; 25mL ウシ胎仔血清(FBS); 20mL 5mM EGTA; インシュリン(5μg/ml)、トランスフェリン(5μg/ml); 微量元素(セレン(10-9M)、銅(10-7M)、亜鉛(5×10-11M)]; 抗生物質(ペニシリン-100μg/ml、ストレプトマイシン-100μg/ml); 500mg ウシ血清アルブミン(BSA)、30mg DNase; 38μl BSAに結合した遊離脂肪酸溶液; 0.2μm孔のナルジェン(Nalgene)濾過ユニットによって濾過滅菌する。
【0183】 ハンクス緩衝生理食塩水溶液-改変版:HBSS-mod 50mL 10× HBSS; 10mL 1M Hepes; ペニシリン-100μg/ml/ストレプトマイシン-100μg/ml; 500mg BSA; 30mg DNase; 全量で400mLにする; pH7.3にする; 500mLまで増やす; 0.2μmフィルタで滅菌する。
【0184】 免疫化学用のブロッキング緩衝液 100ml HBSS_mod; 2.2ml 45%硬骨類ゲル;および 0.8g BSA; 0.5mL 1%サポニンを含むHBSS。
【0185】 免疫蛍光顕微鏡検査用の固定培地 0.5mL 2×PBS; 0.25g 没食子酸n-プロピル; 5.7g グリセロール。
【0186】 6.10 フローサイトメトリー用凍結肝臓組織の調製手順 凍結肝臓組織を37℃で急速に解凍する。肝臓の各凍結バイアル(それぞれ、5
〜10×106細胞/mLを含む、約3mLの緩衝液を含む)を氷上で、HC-DMEMを用いて1m
L/分の割合で10mLに増加させる。次に試料を4℃にて、1200RPMで5分間遠心分離
する。上澄を捨て、細胞のペレットを5mLのHC-DMEM中で再懸濁する。上澄が透明
になるまで、細胞の洗浄を繰り返す。次に細胞を計数し、血球計数器によって、
トリパンブルー色素排除アッセイを用いて生存率を評価する。細胞は、実験プロ
トコルに従って分画に分割する。対照データ用に、1×および2×106細胞を含む
標準管を作製する。これは通常、5×〜10×106/mLの細胞懸濁液からそれぞれ200
μl採取して作製する。以下の標準管が必要であった: 1) OCS。未染色対照細胞からなる元の細胞懸濁液; 2) 補正調整用のFITCのみ。5μLのFITC標識抗グリコフォリンAを200μlの細胞
懸濁液に加える。代替物は、FITC標識CD34、CD38およびCD45の各7μlを200μlの
細胞に加えたカクテルである; 3) 補正調整用のPEのみ。グリコフォリン-PEを使用(1mlのHC_DMEMに対して2
μl、この30μLを200μLの細胞に加える); 4) 補正用の7ADDのみ。2%パラホルムアルデヒドによって200μLの細胞懸濁液
を固定し、次にこれらの細胞のHBSS-mod懸濁液1mLに、5μLの100μM 7AADおよ
び5μLの洗浄剤(1%サポニン)を加えると、良好な信号が発生する。透過化処
理細胞は7AADによって強く染色される; 5) 補正用のCy5のみ。200μLの固定細胞(2%パラホルムアルデヒド)を、細
胞表面をヒツジIgGによって標識するために、2%ヤギ血清中で40分間インキュベ
ートする。細胞は次に、Cy5結合ロバ抗ヤギIgG(1:800)で40分間インキュベー
トする; 6) 補正用のAMCA。7AADと同様に、補正調整用に、人工の強力な信号が発生す
る。200μLの固定細胞(2%パラホルムアルデヒド)は、細胞表面をヒツジIgGに
よって標識するために、2%ヒツジ血清中で40分間インキュベートする。細胞は
次に、AMCA結合ロバ抗ヒツジIgG(1:800)で90分間インキュベートする; 7) AMCA/Cy5対照。固定(2%パラホルムアルデヒド)および透過化処理(0.05
%サポニン)細胞を、AMCA結合ロバ抗ヒツジIgGおよびCy5結合ロバ抗ヤギIgGに
よって90分間インキュベートする; 8) モノクローナルアイソタイプ対照。細胞をマウスIgG1 PE結合およびマウ
スIgG2 PITC結合でインキュベートする。濃度は、分析および分類管の標識に用
いる濃度に一致する必要がある; 9) 細胞内アイソタイプ対照。アルブミンおよびアルファフェトタンパク質の
同定に使用する抗体の対照として、固定(2%パラホルムアルデヒド)および透
過化処理(0.05%サポニン)細胞は、非免疫性ヒツジIgGおよびヤギIgGと90分間
インキュベートする。Cy5結合ロバ抗ヤギIgGおよびAMCA結合ロバ抗ヤギIgGとの
インキュベートを90分間続ける。
【0187】 分類管を、CDマーカーの特定の組合せを発現する選択された細胞個体群を収集
するために調製する。通常、これらの管は50-70×106細胞を含んでいる。細胞は
、HC_DMEM+1%BSA+500pM 7AAD(5μLの100μMストック)からなる1mLの染色
緩衝液中で再懸濁する。CD34 FITC、CD38 PEまたはCD45 PEはそれぞれ15μL
および25μLずつ、細胞数に従って染色緩衝液に加える(通常、10×106細胞あた
り3μLのファーミンゲン抗体)。c-キットの抗体は1:60希釈で加え、グリコフ
ォリンAは1:500希釈で使用する。暗所にて氷上で40分間染色する。染色後、細
胞をHBSS-modによって2回洗浄した後、氷上で30分間PBS中の2%パラホルムアル
デヒドによって固定する。
【0188】 6.11 細胞分類用の細胞内染色 フローサイトメトリーによるアルファ-フェトタンパク質(AFP)分析用の細胞
の細胞内染色のために、細胞懸濁液はサポニン(Sigma S4521)の0.05%HBSS_
mod溶液を用いて、氷上で10分間透過化処理する。細胞を次に、1%硬骨類ゲル、
0.8%BS、0.005%サポニンを含むHBSS_modの溶液中で20分間ブロッキングし、
続いてヤギ抗ヒトAFPおよびヒツジ抗ヒトアルブミン(どちらもブロッキング緩
衝液中1:800)を用いて、暗所で室温にて90分間インキュベートする。細胞は0.
01%サポニンを含むHBSS_modで2回洗浄し、続いてCy5結合ロバ抗ヤギIgGおよび
AMCA結合ロバ抗ヒツジIgGを用いて90分間インキュベートする。
【0189】 または1次抗体に続いて、細胞をビオチン化ウサギ抗ヤギIgG(2%ヒト血清お
よび0.01%サポニンを含む1:500ブロッキング緩衝液中で、暗所、室温にて90分
間)によってインキュベートする。これに続いて、0.01%サポニンを含むHBSS_
modで2回洗浄し、次に0.01%サポニン/HBSS-mod中の9μg/mL ストレプトアビジ
ン/Cy5接合体を用いて、暗所で室温にて90分間インキュベートする。最後に、細
胞をHBSS_modで2回洗浄し、HBSS_mod中で再懸濁し、フローサイトメーターで
分析および分類を行う細胞の凝集塊を除去するために、50μmシーブ(sieve)で
濾過する。
【0190】 肝臓前駆細胞を選択する場合には、免疫選択は、倍数体である、および/もし
くは赤血球上のグリコフォリンAなどの細胞からの成熟造血細胞と結合するマー
カーを発現する細胞を除去することを含む。さらに、すべての成熟造血細胞上で
発現されるCD45を発現する細胞;すべての肝実質細胞および胆細胞で見られる、
コネキシン32などの成熟肝細胞と結合するマーカーを発現する細胞;肝星状細胞
中のレチノイドもしくは内皮細胞中のフォン・ウィルブランド因子もしくは因子
8などの、成熟間葉細胞と結合するマーカーを発現する細胞は、すべて除去する
【0191】 6.12 分類細胞個体群の免疫組織化学染色 細胞は、フローサイトメーターによる分析および分類後に、アルファ-フェト
タンパク質を染色する。分類細胞分画は、1%BSAを含む0.3%HBSS-mod中で収集
する。実験室に戻ると、収集した試料の体積が0.5×106細胞/mLとなるように調
整し、200μLのアリコートをシャンドン・サイトスピン装置によって、顕微鏡用
スライド上で回転させる。サイトスピンスライド調製物は空気乾燥し、後でアル
ファ-フェトタンパク質および/もしくはアルブミンを染色するために保存する。
顕微鏡スライドの添付細胞「ディスク」をゴム製ダムによって取り囲み、免疫組
織化学試薬を加えるための「ウェル」を作製する。スライドは、0.3%トライト
ンXを含むトリス緩衝液(0.9%NaClを含む、pH7.4の「低塩」10mM トリス)中
に10分間浸漬し、次に低塩トリスのみに10分間浸漬する。
【0192】 細胞は次に、上述の硬骨類ゲルブロッキング溶液中に含まれた10%ウサギ血清
中で、室温にて90分間ブロッキングする。低塩トリスで2回洗浄した後、2%ウサ
ギ血清を含むブロッキング緩衝液中で1:100に希釈したヤギ抗ヒトAFP抗体によ
って、4℃にて1晩インキュベートする。トリス緩衝液で2回洗浄した後、ブロッ
キング緩衝液中のビオチン化ウサギ抗ヤギIgG(1:200)を用いて、室温にて90
分間インキュベートする。ストレプトアビジン/AMCA複合体(低塩トリス緩衝液
中に9μg/mL)を用いた最後のインキュベートを用い、AMCA蛍光団とビオチン化
ウサギ抗体との結合によって、AFP状の免疫反応性を検出する。トリス緩衝液で2
回洗浄した後、細胞調製物を乾燥状態に近づけてから、アンチフェード封入剤(
1mL PBSを含む5.7gのグリセロール中の0.25g 没食子酸n-プロピル)の下にカ
バーガラスをかける。適切な場合、1次抗フェトタンパク質抗体を持つアルブミ
ンに対する、テキサスレッド結合ウサギ抗ヒト抗体を加えることによって、細胞
はアルブミンに関して二重染色する。
【0193】 対照スライドは、抗アルファタンパク質抗体またはビオチン化2次抗体のどち
らかの不在時に細胞のAMCA標識が行われないことを示すために、1次抗体もしく
は2次抗体を省略して調製する。スライドは、青(450nm)領域で発光するAMCA染
料のUV励起を用いて、蛍光外顕微鏡によって調べる。
【0194】 6.13 細胞および/または遺伝子療法による肝再生 本発明は、クリグラー・ナジャー症候群、デュビン・ジョンソン症候群、チロ
シン血症、硬変、線維化、脂肪肝、肝炎、急性肝不全、慢性肝不全、肝胆管炎、
肝軟化、肝癌、肝腫大、肝芽腫またはその組合せなどの疾患を処置するための即
時的な実践的な適用を有する。肝疾患のこの例および他の関連した例の他の肝疾
患も、即席療法の候補として等しく適合可能であり、アラジール症候群、アルコ
ール性肝疾患、α-1-アンチトリプシン欠乏症、自己免疫性肝炎、バッド・キア
リ症候群、胆道閉鎖、バイラー病、癌、例えば肝外胆管癌および肝細胞癌、カロ
リ病、ガラクトース血症、ギルバート症候群、糖原貯蔵症、血管腫、ヘモクロマ
トーシス、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、E型肝炎、G型肝炎、肝移植、晩発性胆
汁性肝硬変、赤血球肝性型プロトポルフィリン症、ローター症候群、硬化性胆道
炎、およびウィルソン病を含む。肝臓の先天性遺伝子疾患も同様に治すことがで
きる。例えば、遺伝子疾患のフェニルケトン尿症(PKU)は、新生児がアミノ酸
のフェニルアラニンを使用できないことにより引き起こされる。早期に処置しな
ければ、PKUにより、脳および神経傷害および精神遅滞が生じる。生後第1週目に
始める特殊なタンパク質含量の低い食事が、現在唯一利用可能な処置である。こ
の形の療法を受けることのできる、他の標的遺伝子およびその関連した肝疾患の
例は、家族性高コレステロール血症のLDL受容体遺伝子、血友病の第VIIIおよびI
X因子の凝固因子遺伝子、肺気腫のα-1-アンチトリプシン遺伝子、フェニルケト
ン尿症のフェニルアラニンヒドロキシラーゼ遺伝子、高アンモニア血症のオルニ
チントランスカルバミラーゼ遺伝子、および、種々の形の補体欠乏症の補体タン
パク質遺伝子を含むがこれに限定されない。
【0195】 ヒトウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター(uPA)は、種間のプラス
ミノーゲンを活性化できるので、RSV-LTRプロモーターからヒトウロキナーゼを
発現する組換えアデノウイルスベクターであるAd-RSV-uPAを、肝再生を誘導する
目的で作製する。この遺伝子は、単に説明のために選択されるので、カルバモイ
ルシンターゼI、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギノスクシネートシ
ンターゼ、アルギノスクシネートリアーゼ、アルギナーゼ、フマリルアセトンア
セテートヒドロラーゼ、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、α-1-アンチトリ
プシン、グルコース-6-リン酸、低密度リポタンパク質受容体、ポルフォビリノ
ーゲンデアミナーゼ、第VIII因子、第IX因子、シスタチオンβ-シンターゼ、分
岐鎖ケト酸デカルボキシラーゼ、アルブミン、イソバレリル-CoAデヒドロゲナー
ゼ、プロピオニルCoAカルボキシラーゼ、メチルマロニルCoAムターゼ、グルタリ
ルCoAデヒドロゲナーゼ、インスリン、トランスフェリン、β-グルコシダーゼ、
ピルビン酸カルボキシラーゼ、肝ホスホリラーゼ、ホスホリラーゼキナーゼ、グ
リシンデカルボキシラーゼ、H-タンパク質、T-タンパク質、メンケス病タンパク
質、ウィルソン病遺伝子pWDの産物、および/またはCFTRを含むがこれに限定され
ない目的の任意の他の遺伝子も等しく適切である。
【0196】 組換えアデノウイルスベクターの作製および産生のために、ヒトuPAのDNAを以
下のように調製する。タンパク質コード配列を含む1.326kbのHindIII/Asp718uPA
断片を、ラウス肉腫ウイルスLTR(RSV)プロモーターの転写制御下の、ウシ成長
ホルモンポリアデニル化シグナルの上流に、pXCIL.1のHindIII/Asp718部位に挿
入する。当業者は、多くの他の適切なプロモーターの中でもとりわけ、B型肝炎
プロモーター、A型肝炎プロモーター、C型肝炎プロモーター、アルブミンプロモ
ーター、α-1-アンチトリプシンプロモーター、ピルビン酸キナーゼプロモータ
ー、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼプロモーター、トランスフェ
リンプロモーター、トランスチレチンプロモーター、α-フェトプロテインプロ
モーター、α-フィブリノーゲンプロモーター、およびβ-フィブリノーゲンプロ
モーターなどの、肝臓細胞特異的プロモーターを選択できる。
【0197】 ウイルスは、pJMI7およびAd-RSV-uPAと称されるベクターとの同時トランスフ
ェクション後に調製する。Ad-RSV-uPAのスクリーニングは、293個の細胞での個
々のプラークの増幅により実施する。感染の3日後、上清を、ELIZAにより免疫学
的に反応性のuPA、および、フィブリンプラークアッセイにより線維素溶解活性
について試験し、Ad-RSVuPA感染時に産生されるuPAの触媒活性を実証する。精製
したウイルスは、-80℃で分注して保存し、注射前にHgDMEM培地で新しく希釈す
る。ウイルス力価は、OD測定および標準的なプラークアッセイにより決定する。
ベクターの作製は、実質的に、米国特許第5,980,886号に記載のように実施し、
これは本明細書に参考として取込む。ウイルスは208F細胞で滴定する。
【0198】 5から6週令のC57BL/6雌マウス(Jackson Laboratories、Bar Harbor、ME)を
、特定の病原体のいない環境で飼育する。種々の時点で虚血肝試料を安楽死した
マウスから得、肝前駆体を、上記に開示したように単離する。門脈カニューレ挿
入のために、レシピエントマウスを、0.5mlの20mg/ml 2,2,2-トリブロモエタノ
ールの腹腔内投与により麻酔する。正中腹部切開を行ない、皮膚を腹膜から分離
し、皮下ポケットを作製する。腹膜を開き、門脈を暴露する。シリコンチューブ
(内径0.02"、外径0.037"、S/PMedical Grade、Baxter、II1)を、門脈に挿入し
、ヘパリン処理した食塩水で灌流する。その後、カニューレを腹膜に通し、4.0
の絹縫合糸を用いて固定する。3cm長のカニューレを、遠位末端で結んでとめ、
以前に作製したポケットに皮下に配置する。マウスに、24時間後より後にウイル
ス感染前駆細胞を投与する。数匹のマウスでは、門脈カニューレ挿入は、2/3の
肝切除を併用して実施する。部分的肝切除をその後実施する。門脈を灌流するた
めに、マウスを麻酔し、皮膚を、すでに存在する腹部切開の近位部位で開く。カ
ニューレを暴露し、シリンジポンプに接続する。ウイルス注入のために、DMEM中
のアデノウイルス調製物を、5から10分間かけて、カニューレを通して門脈に注
射する。細胞療法のために、任意の細胞個体群を、自己または同種材料として使
用し、この例の場合のように患者の特定の標的臓器に、またはその近くに移植す
る。細胞は、任意の適切な培地、担体または希釈剤、または、マイクロキャリア
、ビーズ、ミクロソーム、マイクロスフィア、小胞等を含む任意の種類の薬物送
達系で移植できる。
【0199】 全ての生化学的および組織学的解析は、カニューレを通して、門脈にアデノウ
イルス感染肝前駆体を注射した後に実施する。uPAのELIZAアッセイは、uPAの触
媒的および受容体結合ドメインに対して指向された2つの異なるモノクローナル
抗体に基づく。モノクローナル抗体の1つは、ペルオキシダーゼで標識する。血
清全タンパク質およびアルブミンは、臨床病理研究所で、慣用的な自動化された
方法により解析する。C57BI/6マウスの門脈へのアデノウイルスの注入は、1細胞
あたり1コピーより多くのアデノウイルスDNAをもつ肝実質細胞が100%形質導入
されることが知られている。同じ用量のAd-RSV-uPAにより、90%の死亡率が生じ
、これは、少なくとも一部は出血に関連する。より少ない用量のAd-RSV-uPAを使
用すると、死亡率は5%未満であり、この用量を肝再生実験に選択する。Ad-RSV-
uPAの注入により、血清ウロキナーゼは一過性に上昇し、4日後に約350ng/ml(内
因性レベルの70〜100倍)のピーク値に達し、その後、12日目までにバックグラ
ウンドレベルまで下降する。uPAの上昇はまた、血清SGPT濃度の増加にも関連す
る。アデノウイルス注入後の種々の時間に、動物に、3H-チミジンを注入し、肝D
NAに取込まれた放射能の量を、細胞増殖を定量する手段として決定する。Ad-RSV
-uPAで処置した動物は、チミジン取り込み期間の増加を示し、これは3日目に始
まり、8日間持続する。従って、Ad-RSV-uPA/卵巣細胞処置による、肝臓3H-チミ
ジン取込み期間は、部分的な肝切除のみで得られたものよりもはるかに長い。陰
性対照アデノウイルスのレシピエントは、4日目に肝3H-チミジン取込みのピーク
(これは24時間後に基線レベルに戻った)および11日目に3H-チミジン取込みの
最小限の上昇を示す。要約すると、SGPTレベルにより測定したような肝反応およ
び3H-チミジンの高い取込み速度は、肝内ウロキナーゼ産生に原因があり、これ
は、有意な肝生合成再生が生じることを示す。uPAを用いずに注入した肝前駆細
胞は、uPA挿入断片を有さないアデノウイルスよりも良好である。
【0200】 心拍を打っていない死体ドナーから得られた、組換えアデノウイルス/前駆体
で処置した動物からの顕微鏡による組織学的知見により、3日目までに、処置し
たマウスは、マクロファージおよび好中球を含む中程度の炎症性浸潤物を有する
ことが示される。肝実質細胞の変性変化は、空胞形成、核濃縮および僅かな有糸
分裂核を含む。Ad-RSV-uPA/卵細胞投与の8〜10日後に、多焦点再生の存在、異種
サイズの核、および僅かな変性肝実質細胞を有する炎症反応ははるかに減少を含
む、肝回復の証拠がある。3〜4週間までに、浸潤物は分解し、肝は正常であるよ
うに見える。
【0201】 まとめると、これらの研究により、肝前駆体と組合わせたウロキナーゼ発現は
、有意な肝実質細胞再生を誘導することが実証される。
【0202】 6.14 バイオリアクター 高性能のバイオリアクター(HPBR)を使用して、死体ドナーから単離したヒト
肝実質細胞前駆体を培養する。この方法は、さらなる医学的目的に有用な多くの
細胞を提供するか、または、バイオリアクターそれ自体が、当技術分野で公知の
多くの他のタンパク質の中でもとりわけ、肝実質細胞増殖因子(HGF)、インス
リン様増殖因子-Iおよび-II(IGF-IおよびIGF-II)、上皮増殖因子(EGF)、a型
およびb型形質転換増殖因子(TGF-αおよびTGF-β)、神経成長因子(NGF)、線
維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、肉腫増殖因子(SGF)
、顆粒球マクロファージコロニー刺激増殖因子(GM-CSF)、血管内皮増殖因子(
VEGF)、プロラクチンおよび成長ホルモン放出因子(GHRF)および種々の造血増
殖因子、例えばインターロイキン(IL)IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、
IL-7、IL-8、IL-10、IL-11等、赤血球分化因子(EDF)または濾胞刺激ホルモン
放出タンパク質(FRP)、インヒビン、幹細胞増殖因子(SCPF)、および、これ
らのタンパク質の活性断片、サブユニット、誘導体および組合せを含み得るがこ
れに限定されない生物学的に有用な細胞分泌タンパク質および因子の産生ユニッ
トとして作用する。本明細書に使用したように、一般的に、これらの細胞因子は
、サイトカイン、リンホカイン、インターロイキン、コロニー刺激因子、ホルモ
ン、走化性因子、抗走化性因子、凝固因子、血栓溶解タンパク質、補体タンパク
質、酵素、免疫グロブリン、および抗原からなる群から選択された、分泌タンパ
ク質を意味する。このような生物学的に活性なタンパク質の中でも、当業者は、
第VIII因子、第IX因子、第VII因子、エリスロポエチン、α-1-アンチトリプシン
、カルシトニン、成長ホルモン、インスリン、低密度リポタンパク質、アポリポ
タンパク質E、IL-2受容体およびそのアンタゴニスト、スーパーオキシドジスム
ターゼ、免疫応答修飾因子、副甲状腺ホルモン、インターフェロン(IFNα、IFN
βまたはIFNγ)、神経成長因子、グルコセレブロシダーゼ、コロニー刺激因子
、インターロイキン(IL)1〜15、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球、
マクロファージ-コロニー刺激因子(GM-CSF)、マクロファージ-コロニー刺激因
子(M-CSF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、アデ
ノシンデアミナーゼ、インスリン様成長因子(IGF-1およびIGF-2)、巨核球促進
リガンド(MPL)、トロンボポエチンまたはその組合せを選択できる。
【0203】 バイオリアクター中で細胞を増殖するこの特定のプロトコルに限定されること
なく、当技術分野で公知の他の手順も等しく適しており、参照として本明細書に
取み入れられたような、公表された米国特許第6,001,585号;第5,998,184号;第
5,846,817号;第5,622,857号;第5,571,720号;第5,563,068号;第5,512,474号
;第5,443,985号;第5,342,781号;第5,330,915号;第5,320,963号;第5,202,25
4号;第4,833,083号;および第4,760,028号から容易に適合化できる。
【0204】 即席の装置は、450 10kDのセルロース繊維 540ポリプロピレン繊維を含み、
他のパラメータに関する詳細は、例えば、参照として本明細書に取み入れられた
ような、米国特許第5,622,857号に見出される。細胞を上記に開示したように単
離する。全ての必要な材料は、シグマ・ケミカル社またはライフ・テクノロジー
ズから得る。長期培養培地用の付着培地は、以下の通りである:RPMI1640(500m
L);50mL(10%)FBS;4mM L-グルタミン;1×ペニシリン/ストレプトマイシ
ン;ゲンタマイシン;15mM HEPES;10mU/mlインスリン;10mU/mLトランスフェ
リン;セレニウム。HPBrシステムに、付着培地を適用する前に、1日間培地を流
す。500mgの予め膨張したCytodex3マイクロキャリアを、HPBrの輪状の内空間に
接種する。酸素付加装置繊維はマイクロキャリアを揺らし、それがECS中に分布
するのを防ぐ。生存可能なヒト肝実質細胞前駆体も、輪状の内空間に接種し、手
で装置を振盪および回転して、細胞およびマイクロキャリアの均一な混合を行な
う。肝実質細胞が10〜20μmの直径であると仮定すると、細胞対マイクロキャリ
ア接種材料の比は、約500である。細胞およびマイクロキャリアの見かけの粘度
は、急速に増加し、これは、細胞対マイクロキャリアおよび細胞対細胞の付着が
急速かつ正常に進行していることを示す。この混合の2〜3分以内に、細胞および
マイクロキャリアの別個のゲルが、輪状内空間に形成される。一晩37℃で付着培
地(静止位置)中でインキュベートした後、培地を長期培養培地(2L)に交換す
る。これらの容量は、いずれにしても限定されておらず、よって当業者は、産生
を所望のレベルまで容易に拡大縮小できる。肝実質細胞を5週間培養し、新しい
培地をシステムに毎週適用する。細胞の代謝機能は、毎日試料を試験することに
よりモニタリングする。5週間後、生存細胞およびマイクロキャリアの>90%の
回収が、以下の手順により達成される:0.44mL(0.23M)のEDTAと混合したPBS中
0.1%コラゲナーゼを使用して、ECSに流し、HPBrを10分間インキュベートし;EC
Sの内容物を、シリンジ容器からの滅菌空気を用いて追い出し;この方法は、長
期培養培地を用いて繰り返し、集めた材料を洗浄および分離する。
【0205】 HPBrは、細胞の培養および遺伝子形質転換(例えばHGF遺伝子発現)に等しく
適している。以下は、固定依存細胞(例えばSW480P3;ATCC番号CCL228)用の遺
伝子的非ウイルスプロトコルであり、これは当業者により、培養ウェルおよび皿
を使用して、公表された手順から適切に修飾および最適化できる。10kDの特性を
もつ培地繊維がHPBrに好ましい。バイオリアクターは、前記と同じ方法で作動す
る。サイトデックス1マイクロキャリア(Pharmacia、Sigma chemicals社により
販売)が、固定依存的細胞の培養に広く使用されている。1×104〜1×105細胞ま
たは所望であればそれ以上の範囲の、広範囲な細胞密度を、HPBrのECSに接種で
きる。推奨される細胞対マイクロキャリア接種材料の比は、約10の範囲であるが
、当業者は所望のようにこれを修飾できる。装置は、実験中、約10cpm(または
それ以上)で穏やかに回転する。細胞を約1日間(またはそれ以上、具体的な細
胞に応じて)培養した後、効率的なトランスフェクションを得るために、最適な
集密度を達成する。細胞対マイクロキャリア接種材料の比は、治療および経済的
な効率のために、積極的にこの時間枠に収めるために調整可能である。トランス
フェクション日に、DNAプラスミド溶液(例えばpCMV)およびカチオン脂質溶液
(例えばリポフェクチン試薬、ライフ・テクノロジーズ)を調製する。これらの
試薬は、全体的な方法が血清の存在を必要としていても、血清非含有でければな
らない。適切な量のDNAおよび脂質溶液を混合し、その後、混合物を装置のECSに
注射する。トランスフェクションの数分(またはさらには数)時間後、適切であ
れば、血清の使用を再開し、以前のように約数日間細胞の培養を続ける。永久的
に形質転換された細胞を増殖する場合に、より長期間でもよい。前記したのと類
似した様式で細胞を収集する。
【0206】 6.15 人工肝 上記の実施例の拡張として、当業者は、体外肝支持系として、バイオリアクタ
ーを容易に採用できる。異物移植(種間の臓器の移植)は、動物臓器の使用によ
り、ドナー肝の不足の軽減を補助できる。しかし、動物臓器をヒトに移植する上
での危険性は、ドナー動物を感染したウイルスがレシピエントを感染し得ること
である。臓器移植レシピエントは、免疫系を抑制し、臓器拒絶を予防するために
、薬物を服用しているので、感染動物ウイルスと戦うことができないだろう。ま
たは、動物ウイルスは、感染宿主内で、正常な免疫系とのヒトの接触に感染でき
る形に変異し得る。結果として、新しい病原性ヒトウイルスが生じ得る。体外肝
支持系は、これらの欠点を克服する。ヒト臓器移植に好ましい動物種は、ブタお
よび霊長類である。それにも関わらず、ヒト細胞をベースとした人工肝が入手で
きる場合、それは動物肝より好ましいことは明らかである。
【0207】 所望の時間培養した後、死体肝前駆体から得られた成熟肝実質細胞を得る。慣
用的には、20億〜50億個の細胞という高い(80%以上)生存度が得られる。一般
に、使用する培養培地はホルモンを補充したWaymouth培地である。20億〜50億個
の細胞に対応するために、バイオリアクターは、各々の内径が40mmであり、高さ
が100mmである2つの格納容器まで拡大する。この特定の状況では、格納容器1つ
あたり、直径約2mmで全容量250mlのガラスビーズを使用する。培地に、360ml/分
の再循環速度で供給する。肝実質細胞の高い生存度は、安定な酸素消費速度によ
り証明される。その後、バイオリアクターを、完全な肝不全のために手術により
肝臓を除去した肝ヒトレシピエントに付着する。または、肝臓は除去しないが、
即席のバイオリアクターは、機能障害性の肝臓のより良好な回復に役立つだろう
【0208】 体外肝支持系としてバイオリアクターを付着する手順、または、例えば米国特
許第6,008,049号;第5,981,211号;第5,976,870号;第5,891,713号;第5,827,72
9号;第5,643,794号;第5,622,857号;第5,605,835号;および第5,270,192号(
各々、その全文が本明細書において参照として組み入れられている)に開示した
ような、当技術分野で公知の代替的な手段は、当業者に公知であると考えられる
。そのような参照から、ドナー人工肝臓細胞は、ヒト種に必ずしも限定されず、
該細胞の交差種の使用も現在可能であることは、明らかである。例えば、ブタま
たは霊長類からの肝臓細胞は、ヒトの使用に等しく適している。
【0209】 左大腿動脈からの血液を、Minntech血液濃縮機に供する。12フリンジ(fringe
)のelecathカニューレを、大腿動脈に挿入し、血液濃縮機への1/4"PVCに接続す
る。血液濃縮機は、血液を、細胞非含有超ろ過分画、および血液細胞分画に分離
する。血液細胞分画を、類似のチューブを介して、大腿静脈に戻す。超ろ液は、
1/4"PVCチューブを介して血液濃縮機を出、回転ポンプを使用して40ml/分に調整
した流速で、肝細胞バイオリアクター系に進入する。バイオリアクターを通して
灌流した後、超ろ液を、左頚静脈を介して患者に戻す。体外肝代謝の規定を実証
するために、肝臓の7-エトキシクマリンおよびリドカインにより代謝されること
が知られる、2つの異なる化学物質を、バイオリアクターの入口で超ろ液に投与
する。それぞれの代謝物である7-OH-クマリンおよびモノエチルグリシンキシリ
ジド(MEGX)を、超ろ液を患者に戻す前にバイオリアクターの入口で測定する。
7-エトキシクマリンおよびリドカインの両方の有意な代謝が観察される。したが
って、結果により、体外肝代謝を提供する、支持系としてのバイオリアクターの
適用が実証される。血漿からの血球の分離により、外来肝細胞に対するレシピエ
ントの免疫学的反応は最小限になる。従って、死体およびブタなどの非ヒト供給
源から得た本発明者らの例における肝細胞のように、ヒトドナーからの肝細胞は
、体外肝支持体を提供するのに、バイオリアクターで有用である。
【0210】 6.16 肝細胞以外の前駆死体細胞 本発明はまた、肝臓以外の組織からの前駆細胞の強化された、細胞個体群を得
る方法に関する。このような組織の例は、副腎、血管、骨髄、角膜、ランゲルハ
ンス島、胆管、肺、腎臓、心臓、腸、卵巣、膵臓、副甲状腺、松果体、下垂体、
皮膚、精巣、膀胱、脳、脊髄、胸腺または甲状腺を含むがこれに限定されない。
【0211】 以下の例は、本発明の範囲および精神を変化させることなく、特定の必要性に
従って修飾できる一般的な戦略として提供される。例示的な態様において、任意
のインスリン欠乏疾患に罹患している患者に有用である、対象の前駆細胞が提供
される。
【0212】 胎児および非胎児死体の両方がこれらの試験に有用である。全採血後、総胆管
(CBD)をインサイチューで同定し、取り出し、ダルベッコ修飾イーグルズ培地
(DMEM)溶液に入れる。連合した膵臓腺房および島組織、並びに付着した血管を
、その後、ピンセットでの解剖により取り出す。その後、主な膵管である、その
連合した分岐と共に、CBDは、約300μm長の微小臓器移植片に横断的にスライス
するか、または個々に単一細胞に分散する。その後、これらの標本を、コラーゲ
ンI型または増殖基質であるマトリゲルの存在下または非存在下、成長因子を添
加したDMEM中で培養する。増殖の刺激における成長因子の効力は、対応する細胞
による、DNAへのブロモデオキシウリジン(BrdU)の取込みにより判断する。Brd
Uに対する抗体を使用して、短期応答(24〜48時間)を可視化および特徴づける
。長期応答は、これらの細胞個体群が、特定の成長因子の添加の結果として細胞
培養液中で増殖および繁殖する能力により判断される。3つの異なる成長因子(E
GF、TGF-α、およびbFGF)を使用して、1ng/ml、10ng/mlおよび100ng/mlの濃度
で前駆細胞を分化する。BrdU標識により評価したような増殖の活性化は、24時間
の期間内での10ng/mlの成長因子EGFの投与により生じる。10ng/mlと100ng/mlの
投与量において差異は全く観察されない。EGFをCBD組織外植片に添加すると、別
個の細胞は増殖し、これらの細胞はクラスターを形成する。予備長期増殖実験に
より、CBD死体組織内に高い増殖可能性が存在し、これは少なくとも21日間培養
液中で維持できる。
【0213】 6.17 肝臓疾患処置用の前駆細胞 d-ガラクトサミンは、ヒトのウイルス肝炎の病変に類似した損傷を誘導できる
化合物であり、肝炎モデルの誘導に使用される。四塩化炭素は、肝臓細胞におけ
る薬物代謝酵素系の作用により、非常に高い反応性を有するフリーラジカルを生
じ、これらのフリーラジカルは、肝臓細胞膜のタンパク質と配合することにより
細胞活性を強力に抑制できるか、または、細胞小器官の膜脂質の過酸化を引き起
こし得、よって、幹細胞は壊死し、肝脂肪が蓄積する。従って、これらの化合物
は、ヒトの急性薬物誘導肝炎、例えば脂肪肝、慢性肝炎、および肝硬変の試験モ
デルとして広く使用されている。
【0214】 それ故、この実施例では、本発明らは、本発明に従って死体前駆細胞の効力を
確認するように、参照として本明細書に取み入れた、米国特許第4,898,890号に
詳細に報告した方法に従って試験を実施する。各々180〜200gの体重のウィスタ
ー雌ラットに、体重1kgあたり5mlの生理食塩水溶液に溶かした、体重1kgあたり2
50mgのd-ガラクトサミンを腹腔内注射する。血液試料の血清を、グルタミン酸-
オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(GOT)、グルタミン酸-ピルビン酸トランスア
ミナーゼ(GPT)、およびALPを、自動解析機により測定することにより調べる。
肝損傷誘導プラセボ対照群を、プラセボ群のラットに、前駆細胞の懸濁液の代わ
りに培地プラセボ溶液を投与する以外は、約1〜5×104〜107の肝臓前駆死体細胞
を、損傷肝臓に直接投与する群の様式とまさに同じ様式で処置する。別のシリー
ズの実験では、ラットの肝臓に、代わりに、四塩化炭素で損傷を与える。肝臓損
傷誘導動物は、非損傷対照群と比較した場合、GOT、GPTおよびALPの明確な増加
を示す。前駆細胞で処置したラットは、肝臓前駆体で処置していない肝臓損傷誘
導対照と比較した場合、GOT、GPT、およびALPの顕著な増加抑制を示す。結果に
より、前駆細胞は、肝臓に対するd-ガラクトサミンおよび四塩化炭素誘導損傷を
抑制またはさらには逆転および特に保護することが示される。
【0215】 血中に蓄積する、肝臓により産生される物質である、過剰量のビリルビンを産
生する高ビリルビン血症という肝疾患を提示する11歳の少女は、1日12〜15時間
、処置として、光療法と称される方法である紫外線光下で過ごすことが必要とさ
れる。死体ドナーから肝臓(門脈)への肝細胞移植後、ビリルビンレベルは、劇
的に下降したと認められ、現在、依然として光療法で約4〜6時間過ごしているが
彼女は機能している。
【0216】 従って、死体肝臓前駆体の適用は、これらに限定されないウイルス肝炎、脂肪
肝、慢性肝炎、線維症、および肝硬変を含む、肝機能不全および損傷の予防およ
び治療に有用である。また、即席の方法により、例えば化学療法または薬物乱用
またはアルコール乱用などの他の原因により引き起こされた、肝代謝機能障害お
よび/または損傷を予防および/または処置できることは明らかである。肝損傷を
引き起こす傾向のある多くの薬物および物質が存在し、これらは、鎮痛薬、解熱
剤、抗炎症剤、抗リウマチ薬、例えばアセトアミノフェン、アスピリン、フェニ
ルブタゾン、スリンダク、イブフェナク、金化合物等、抗生物質:アミノグリコ
シド、ポリペプチド、セファロスポリン、ペニシリン、テトラサイクリン等、化
学療法剤:サルファ剤、イソニアジド等、抗癌薬:マイトマイシンC、シスプラ
チン、6-MP、ニトロソ尿素等、麻酔薬:ハロタン、メトキシフルラン等、向精神
薬:クロルプロマジン、ジアゼパム、バルビタール等、利尿薬:チアジド等を含
むがこれに限定されない。
【0217】 これらおよび他の有用な適用は、当業者には明らかである。予見される肝疾患
の具体例は、アラジール症候群、アルコール性肝疾患、α-1-アンチトリプシン
欠乏症、自己免疫性肝炎、胆道閉鎖、胆管減少症、骨髄不全、バッド・キアリ症
候群、バイラ病、クリグラー・ナジャー症候群、カロリ病、胆汁うっ帯性そう痒
症、胆石症、抱合型高ビリルビン血症、慢性移植片対宿主疾患、特発性肝疾患、
糖尿病、デュビン・ジョンソン症候群、赤血球肝性型プロトポルフィリン症、肝
臓外胆管癌、家族性高コレステロール血症、ガラクトース血症、ギルバート症候
群、糖原貯蔵症、血管腫、血色素症、肝性脳症、肝胆管炎、肝軟化、肝腫大、肝
癌、肝芽腫、遺伝性血色素症、黄疸、肝内胆汁うっ帯、肝嚢胞、肝移植、バシラ
ス・セレウスに関連した肝不全、混合クリオグロブリン血症、オルニチントラン
スカルバミラーゼ欠乏症、肝紫斑病、晩発性皮膚ポリフィン症、原発性胆汁性肝
硬変、難治性腹水、ローター症候群、サルコイドーシス、硬化性胆管炎、脂肪変
性、サマースキル(Summerskill)症候群、血小板減少症、チロシン血症、静脈
瘤出血、肝臓の静脈閉塞疾患、およびウィルソン病を含むがこれらに限定されな
い。
【0218】 6.18 前駆細胞の調製 この実施例は、委任および非委任肝臓前駆細胞の単離の段階を提供する。種々
の技術が当技術分野で公知であるが、好ましい態様の1つを、他の調製技術も、
それらが所望の目標に一致し得る限り等しく適切であるという理解のもとに詳細
に開示する。好ましく非制限的な技術の例については、本明細書に参考として取
込んだような、米国特許第5,807,686号、第5,916,743号、第5,672,346号、第5,6
81,559号、第5,665,557号、第5,672,346号および第5,663,051号参照。
【0219】 多能性または委任肝低密度肝細胞は、パーコールまたは他の適切な密度勾配、
例えばヒストパークを使用して予め単離でき、遠心分離後、2回培地で洗浄し、1
0mlの水簸培地に再懸濁する。対流水簸のために、洗浄した低密度単核細胞を、
サンプリング部位カプラーを介して、JE-5ローターおよび標準的なチャンバーを
装備したベックマンJ6M/E遠心管の内流に注射する。しかし、密度をベースとし
た分離を容易にするチャンバー手段を含む、使い捨てのプラスチック差込物を好
ましくは使用した、多くの市販の連続流遠心機および水簸選別機のいずれか、例
えばIL州ディアフィールド所在バクスター・インターナショナル社の販売する「
FenwalモデルCS3000」および「オートフェレーシスC」;CO州レイクウッド所在
コーベ・マニュファクチュアリングの販売する「IBMモデル2997」などを使用で
きる。装置の選択は、当業者に任せられている。蠕動ポンプ(IL州シカゴ所在ク
ール・パルマー・インストルメンツ)は、連続的な水簸培地の流れを提供し、こ
れは、pHを7.2に調整した、100mg/dlのD-グルコース、0.3mMエチレンジアミンテ
トラ酢酸二ナトリウム(EDTA)および50mg/dlのウシ血清アルブミンを有する0.9
%正常食塩水溶液である。培地は使用前に滅菌する。細胞を、全流速15ml/分、
回転速度900gおよび室温で送達する。100mlの溶出液を回収した後、流速を25ml/
分まで増加する。回転速度を一定に維持しながら、流速は連続的に29ml/分、33m
l/分、および37ml/分まで増加させ、各々増加する毎に200ml回収する。チャンバ
ーに残る細胞を、回転を止め、チャンバーに100mlの水簸培地を流すことにより
捕獲する。各細胞分画を洗浄し、300gで10分間遠心分離する。適切な分画を回収
し、生存度を、トリパンブルーダイ排除により決定し、細胞回復率を、細胞計測
機(FL州ハイアリーア所在コールター・エレクトロニックス)で決定する。
【0220】 または、肝臓細胞は、密度勾配分離により処理せず、5%ウシ胎児血清、0.01
%EDTA重量/容量、および1.0g/lのD-グルコースを含むリン酸緩衝食塩水(PBS)
pH7.4に懸濁し、JA-17ローターおよび標準的な分離チャンバー(ベックマン・イ
ンストルメンツ)を使用して回転速度1,950rpmで10℃でベックマン対流遠心水簸
系に直接注入し、試料を、12ないし14ml/分の流速で溶出する。従って、この方
法は用途が広く、必ずしも密度勾配分離に依拠する必要がない。
【0221】 適切な分画で得られた前駆細胞は、一般に、8.0から9.4ミクロンの範囲の細胞
直径を有し;細胞の大半は、8.3から9.2ミクロンの範囲内に該当する直径を有す
る。これらの直径は、当技術分野で公知の技術に従って測定する。必要であれば
、細胞マーカーに基づいて陽性または陰性かのさらなる選択を実施する。
【0222】 当業者に公知の多種多様の他の抗体を、単独で、または、上記の肝前駆マーカ
ーと組合せて使用できる。選択は、単離または強化することを望む細胞型に依存
し、造血およびリンパ抗原に特異的な抗体、例えばT細胞に特異的な抗CD2、抗CD
2R、抗CD3、抗CD4、抗CD5および抗CD8;T細胞サブセットおよびB細胞サブセット
に特異的な抗CD6;主要T細胞サブセットに特異的な抗CD7;B細胞に特異的な抗CD
12、抗CD19および抗CD20、抗CD72、抗CDw78;単球に特異的な抗CD13および抗CD1
4;ナチュラルキラー細胞に特異的な抗CD16および抗CD56;血小板に特異的な抗C
D41;皮質胸腺細胞およびランゲルハンス細胞に特異的な抗CD1a、CD1bおよびCD1
c;プレB細胞、単球および血小板に特異的な抗CD9;リンパ前駆細胞、C-Allおよ
び顆粒球に特異的な抗CD10;白血球に特異的な抗CD11a;顆粒球、単球およびナ
チュラルキラー細胞に特異的な抗CD11b;単球、顆粒球およびナチュラルキラー
細胞に特異的な抗CD11b;単球、顆粒球、ナチュラルキラー細胞および有毛細胞
白血病に特異的なCD11c;顆粒球に特異的な抗CD15;顆粒球、単球および血小板
に特異的な抗CDw17;白血球に特異的な抗CD18;成熟B細胞に特異的な抗CD21;B
細胞細胞質および成熟B細胞に特異的な抗CD22;活性化B細胞に特異的な抗CD23 B
細胞および顆粒球に特異的な抗CD24;活性化TおよびB細胞および活性化マクロフ
ァージに特異的な抗CD25および抗CD26;主要T細胞サブセットに特異的な抗CD27
および抗CD28;活性化TおよびB細胞およびステルンベルグ・リード細胞に特異的
な抗CD30;血小板、単球/マクロファージ、顆粒球およびB細胞に特異的な抗CD31
;マクロファージ、顆粒球、B細胞および好酸球に特異的な抗CDw32:単球、骨髄
前駆細胞、及び骨髄白血病に特異的な抗CD33、造血前駆細胞に特異的な抗CD34;
顆粒球、単球、B細胞、いくつかのNK細胞、および赤血球に特異的な抗CD35;単
球/マクロファージおよび血小板に特異的な抗CD36;成熟B細胞に特異的な抗CD37
;形質細胞、胸腺細胞および活性化T細胞に特異的な抗CD38;成熟B細胞に特異的
な抗C39;B細胞および癌に特異的な抗CD40;血小板および巨核球に特異的な抗CD
42および42b;循環B細胞を除く白血球に特異的な抗CD43;白血球および赤血球に
特異的な抗CD44;白血球に特異的な抗CD45;T細胞、B細胞サブセット、単球およ
びマクロファージに特異的な抗CD45RO;B細胞、単球およびT細胞サブセットに特
異的な抗CD45RA;B細胞、T細胞サブセット、単球マクロファージおよび顆粒球に
特異的な抗CD45RB;造血および非造血細胞に特異的な抗CD46、CD55、CD58および
CD59;全細胞型に特異的な抗CD47;白血球および好中球に特異的な抗CD48;血小
板、活性化および長期培養T細胞に特異的な抗CDw49b;単球、T細胞およびB細胞
に特異的な抗CDw49d;血小板および巨核球に特異的な抗CDw49f;白血球に特異的
な抗CDw50およびCDw52;血小板に特異的な抗CD51;正常および腫瘍性形質細胞を
含む白血球に特異的な抗CD53;内皮細胞に特異的な抗CD54;T細胞サブセットお
よび血小板に特異的な抗CDw60;血小板および巨核球に特異的な抗CD61;活性化
血小板に特異的な抗CD62;活性化血小板、単球/マクロファージに特異的な抗CD6
3;単球(上方制御されたインターフェロンγ)に特異的な抗CD64;顆粒球に特
異的で単球と異種の反応性のある抗CDw65;顆粒球に特異的な抗CD66および67;
単球およびマクロファージに特異的な抗CD68;活性化BおよびT細胞、活性化マク
ロファージおよびナチュラルキラー細胞に特異的な抗CD69;活性化TおよびB細胞
、ステルンベルグ・リード細胞、退生巨大細胞リンパ腫に特異的な抗CDw70;活
性化TおよびB細胞、マクロファージ、増殖細胞に特異的な抗CD71;B細胞サブセ
ットおよびT細胞サブセットに特異的な抗CD73;B細胞および単球/マクロファー
ジに特異的な抗CD74;成熟B細胞に特異的な抗CDw75;成熟B細胞およびT細胞サブ
セットに特異的な抗CD76;濾胞中心B細胞に特異的な抗CD77;サイトカインおよ
び成長因子に対する抗体(例えば、IL-1〜IL-13、EGF、IGF IおよびII、TGF-α
およびβ、TNF-αおよびβ、FGF、NGF、CIF、IFN-αおよびβ、SCF);ウイルス
抗原(例えばB型肝炎ウイルスエンベロープタンパク質またはHIVエンベロープタ
ンパク質)、ホルモン、細胞様のまたは腫瘍関連抗原またはマーカー、接着分子
、止血分子、および内皮細胞を含むがこれに限定されない。参考として取込んだ
例えば米国特許第5,840,502号に開示したような、当技術分野で公知の他のマー
カーおよび強化手順も等しく適切である。
【0223】 上記に引用した全ての文献および刊行物は、参照により全体を本明細書に組込
むものとする。
【0224】 本発明の好ましい態様を説明および記載したが、種々の改変を、本発明の精神
および範囲から逸脱することなく実施できることが理解されるだろう。当業者は
、慣用的な実験だけを使用して、本明細書に記載した本発明の具体的な態様に対
する多くの等価物を認識している、または確認できるだろう。かかる等価物は以
下の特許請求の範囲により包含されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1Aおよび1B】 小さいおよび大きい核を有する単離細胞の比率に及
ぼす、温虚血の影響を示す。
【図2Aおよび2B】 造血細胞における切断型α-フェトプロテイン(AFP
)のPCR分析を示す。
【図3】 融解した胎児肝臓細胞の-170℃での保存時間と生存率との間の関
係を示す。
【図4Aおよび4B】 蛍光活性化細胞選別(FACS)によって分析した、胎
児肝臓細胞懸濁液の典型的な単変量ヒストグラムを説明する。
【図5】 未分画の肝臓細胞懸濁液における表面マーカーCD14、CD34、CD38
、CD45およびグリコフォリンA(GA)を発現する細胞の%を示す。
【図6】 α-フェトプロテインおよびその他の抗原マーカーを発現する最
初の細胞懸濁液中の細胞の割合%を示す。
【図7A、7Bおよび7C】 赤血球の枯渇前後のα-フェトプロテイン発
現を示す。
【図8A、8B、8C、8D、8E、および8F】 CD14、CD38、およびAF
Pの共発現に関する、胎児肝臓細胞懸濁液のFACS分析を示す。
【図9】 AFP陽性細胞に富むCD14およびCD38を示す。
【図10A、10B、10C、および10D】 ヒト肝前駆細胞の蛍光顕微
鏡写真を示す。
【図11A、11B、11C、および11D】 AFPの発現によって選択さ
れた代表的な細胞を示す。
【図12A、12B、および12C】 この視野に2つの陽性AFP細胞が存在
することを示す。
【図13Aおよび13B】 全ての細胞種を示すためにカルセイン(A)に
よって標識した細胞を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW 特許法第184条の9第2項第5号の規定により発明の名 称及び明細書・図面の全部は不掲載とする。 (72)発明者 レクリュイス エドワード エル. アメリカ合衆国 ノースカロライナ州 チ ャペル ヒル ユニバーシティ オブ ノ ース カロライナ ビアード ホール シ ービー #7360 スクール オブ ファー マシー デパートメント オブ ドラッグ デリバリー アンド ディスポジション Fターム(参考) 4B024 AA11 CA04 GA27 4B065 AA90 AA93 BD12 CA44 CA60 4C087 AA01 AA02 AA03 BB33 BB40 BB41 BB42 BB44 BB45 BB47 BB48 BB50 BB51 BB52 BB55 BB56 BB57 BB63 CA04 MA01 NA14 ZA75 ZB21

Claims (40)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の段階を含む、濃縮前駆細胞集団を得るための非胎児ド
    ナー組織を処理する方法: (a) 臓器移植に適さないと考えられる非胎児ドナー組織を提供する段階;お
    よび (b) 該非胎児ドナー組織を処理して、濃縮前駆細胞集団を得る段階。
  2. 【請求項2】 臓器移植に適さないと考えられる非胎児ドナー組織が、心拍
    停止ドナーから得られる、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 ドナー組織が心拍停止後約6時間以内に得られる、請求項2
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 ドナー組織が心拍停止後約3時間以内に得られる、請求項2
    記載の方法。
  5. 【請求項5】 ドナー組織が心拍停止後約1時間以内に得られる、請求項2
    記載の方法。
  6. 【請求項6】 ドナー組織が冷却されている、請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 ドナー組織が約4℃に冷却されている、請求項1記載の方法
  8. 【請求項8】 ドナーが新生児、乳児、小児、若年、または成体である、請
    求項2記載の方法。
  9. 【請求項9】 ドナーがブタまたは霊長類である、請求項2記載の方法。
  10. 【請求項10】 ドナー組織が、副腎、血管、骨髄、角膜、網膜、ランゲル
    ハンス島、胆管、水晶体、肺、腎臓、心臓、腸、卵巣、膵臓、前立腺、副甲状腺
    、松果体、下垂体、皮膚、精巣、膀胱、脳、脊髄、脾臓、胸腺、または甲状腺か
    らなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  11. 【請求項11】 組織が肝臓である、請求項1記載の方法。
  12. 【請求項12】 処理段階が実質的な単一細胞浮遊液または外植体を提供す
    る、請求項2記載の方法。
  13. 【請求項13】 処理段階が、少なくとも一つの前駆細胞系列に陽性または
    陰性に関連している少なくとも一つのマーカーを発現する細胞を浮遊液から選択
    する段階をさらに含む、請求項13記載の方法。
  14. 【請求項14】 処理段階が、少なくとも一つの前駆細胞系列に関連した少
    なくとも一つのマーカーを示す前駆細胞を濃縮して容積が減少した細胞浮遊液を
    提供するために、容積を減少させる段階をさらに含む、請求項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 少なくとも一つの前駆細胞系列に、肝実質細胞、造血細胞
    、間質細胞、または間葉細胞系列の少なくとも一つが含まれる、請求項13記載の
    方法。
  16. 【請求項16】 以下の段階を含む、肝臓前駆細胞を調達する方法: (a) 肝臓組織源として心拍停止ドナーを提供する段階;および (b) 肝臓組織を処理して前駆細胞を得る段階。
  17. 【請求項17】 ドナーが哺乳類である、請求項16記載の方法。
  18. 【請求項18】 哺乳類がヒトである、請求項16記載の方法。
  19. 【請求項19】 前駆細胞が、肝実質細胞、胆管細胞、またはその組み合わ
    せへの発達能を有する、請求項16記載の方法。
  20. 【請求項20】 ドナーの細胞が、α-フェトプロテイン、アルブミン、骨
    シアロタンパク質、CD14、CD34、CD38、CD90、CD45、CD117、ICAM-1、I型コラー
    ゲン、II型コラーゲン、III型コラーゲン、グリコフォリンA、またはオステオポ
    ンチンの少なくとも一つを発現する、請求項16記載の方法。
  21. 【請求項21】 以下の段階を含む、前駆細胞源として少なくとも一つの前
    駆細胞集団を有する組織を提供する方法: (a) 心拍停止ドナーを提供する段階; (b) 少なくとも一つの前駆細胞集団を有する組織をドナーから採取する段階
    ;および (c) 採取組織をさらに処理して、前駆細胞を得る段階。
  22. 【請求項22】 以下の段階を含む、濃縮ヒト肝臓前駆細胞集団を得るため
    に胎児ヒト組織を処理する方法: (a) 細胞または臓器移植に適さないと考えられる胎児ヒト組織を提供する段
    階;および (b) 該胎児ヒト組織を処理して、濃縮肝臓前駆細胞集団を得る段階。
  23. 【請求項23】 以下の段階を含む、二倍体細胞源として、少なくとも一つ
    の二倍体細胞集団を有する組織を提供する方法: (a) 採取組織が少なくとも一つの二倍体細胞集団を有すると思われる、組織
    の採取時に心拍が停止しているドナーから組織を採取する段階;および (b) 採取組織を処理して、二倍体細胞を実質的に濃縮した細胞集団を得る段
    階。
  24. 【請求項24】 ドナーが胎児ではない、請求項23記載の方法。
  25. 【請求項25】 ドナーが、新生児、乳児、小児、若年、または成体である
    、請求項23記載の方法。
  26. 【請求項26】 二倍体細胞に前駆細胞が含まれる、請求項23記載の方法。
  27. 【請求項27】 処理段階が、採取組織を処理して実質的な単一細胞浮遊液
    を提供する段階を含む、請求項23記載の方法。
  28. 【請求項28】 処理段階が、実質的な単一細胞浮遊液を二つまたはそれ以
    上の分画に分離する段階をさらに含む、請求項27記載の方法。
  29. 【請求項29】 分離段階が、より小さい細胞からより大きい細胞を、密度
    のより低い細胞から密度のより高い細胞を、またはその双方を分離する、請求項
    28記載の方法。
  30. 【請求項30】 本質的に、より小さい細胞、密度のより低い細胞、または
    その双方からなる一つまたはそれ以上の分画をさらに処理して、二倍体細胞に実
    質的に濃縮した細胞集団が提供される、請求項29記載の方法。
  31. 【請求項31】 二倍体細胞にα-フェトプロテインを発現する前駆細胞が
    含まれる、請求項30記載の方法。
  32. 【請求項32】 前駆細胞に肝臓前駆細胞が含まれる、請求項31記載の方法
  33. 【請求項33】 組織が心拍停止後約6時間以内に採取される、請求項23記
    載の方法。
  34. 【請求項34】 組織が心拍停止後約3時間以内に採取される、請求項23記
    載の方法。
  35. 【請求項35】 組織が心拍停止後約2時間以内に採取される、請求項23記
    載の方法。
  36. 【請求項36】 組織が心拍停止後約1時間以内に採取される、請求項23記
    載の方法。
  37. 【請求項37】 組織が、副腎、血管、骨髄、角膜、網膜、ランゲルハンス
    島、胆管、水晶体、肺、腎臓、心臓、腸、卵巣、膵臓、前立腺、副甲状腺、松果
    体、下垂体、皮膚、精巣、膀胱、脳、脊髄、脾臓、胸腺、または甲状腺からなる
    群より選択される、請求項23記載の方法。
  38. 【請求項38】 組織が肝臓である、請求項23記載の方法。
  39. 【請求項39】 請求項23記載の方法によって得られた、二倍体細胞を実質
    的に濃縮した細胞集団を含む組成物。
  40. 【請求項40】 二倍体細胞に、α-フェトプロテインを発現する前駆細胞
    が含まれる、請求項39記載の組成物。
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