JPH09500380A - 組織保存及び無血手術のための溶液、ならびにそれを用いた方法 - Google Patents

組織保存及び無血手術のための溶液、ならびにそれを用いた方法

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JPH09500380A JP7504696A JP50469695A JPH09500380A JP H09500380 A JPH09500380 A JP H09500380A JP 7504696 A JP7504696 A JP 7504696A JP 50469695 A JP50469695 A JP 50469695A JP H09500380 A JPH09500380 A JP H09500380A
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Abstract

(57)【要約】 手術の間に適温患者において血液を置換するための低体温代用血液として適した溶液を提供する。代用血液は浄化溶液及び維持溶液を含み、その後者は器官の保存に有用である。浄化溶液は生理学的濃度における電解質の水溶液、巨大分子状腫脹剤、生理学的及び低体温条件下で有効な生物学的pH緩衝液、単糖及びATPの再生のための基質を含む。維持溶液は35〜45mMの濃度範囲におけるカリウムイオン類、80〜120mMの濃度範囲におけるナトリウムイオン類、2〜10mMの濃度範囲におけるマグネシウムイオン類、15〜20mMの濃度範囲におけるクロリドイオン類及び0.01〜0.1mMの濃度範囲におけるカルシウムイオン類を含む電解質の第2水溶液、不透過性アニオン、マンニトール、巨大分子状腫脹剤、少なくとも1種の単糖、ATPの再生のための基質及び生理学的低体温条件pH下で有効な生物学的pH緩衝液を含む。グルタチオンは任意であるが好ましい添加物である。代用血液溶液は、患者に後に移植するための器官の保存にも有用である。皮膚を維持溶液中において、冷蔵下で長期間保存することができる。

Description

【発明の詳細な説明】 組織保存及び無血手術のための溶液、ならびにそれを用いた方法発明の分野 本発明は代用血液溶液に関する。さらに具体的には本発明は、制御された全身 低体温の間に有用な代用血液溶液、ならびに、再潅流の前の組織の浄化を含む、 移植(transplantation)又は埋植(graft)のための組織 の保存のための洗浄(flush)及び保存溶液に関する。本発明は洗浄及び保 存溶液を用いた組織の保存の方法、ならびに生存患者に無血低体温処置を行う方 法にも関する。発明の背景 手術法における近年の進歩及び代用血液の開発は、外科医が非常に時間がかか り、複雑な手術法を行うことを可能にし、その場合、患者の脳及び生体器官(v ital organs)への損傷を最小にするために患者の体温が下げられる 。最適温度の患者の温度を、正常には患者により恒常的に維持されている温度よ り十分低い温度に下げると代謝速度が減退し、かくして生体組織及び器官の酸素 及びグルコースへの要求が減少する。これは、大量のグルコース及び酸素を必要 とする中枢神経系の器官に処置を行う場合に特に重要である。しかし結局、神経 及び心臓血管処置などの時間がかかり、複雑な処置を行うことができるが、時間 の制約はまだそのような処置における重要な因子である。 複数の代用血液が過去において開発された。これらの代用血液は主に、後に移 植されるためにドナーから手術により取り出される移植可能な器 官及び組織のための低体温保存溶液として用いられてきた。器官の保存において 用いられる代用血液の大部分は、患者又はドナーの器官の血管を容易に透過する 物質の溶液であり、結局、生存患者への手術においてはあまり有用でない。主に 血管透過性物質を含む代用血液の例には、Collins,et al.,La ncet 1219−1222(1969)、Collins G.M.,Tr ansplant.Proc.IX.1529(1977)、Fisher,e t al.,Transplantation 21:498(1976)、S acks,et al.,Transplantation 19:283(1 974)、Kallerhoff,et al.,Transplantati on,39:5,485−489(1985)及びKleban off an d Phillips,Cryobiology,6:121−125(196 9)が含まれる。これらの代用血液のそれぞれは、患者の血管を通過することが できる低分子量分子のみを含み、結局、意図されている期間、正しいイオン又は 液均衡(ionic or fluid balance)、あるいは血漿体積 を維持するためには無効である。 Wall et al.は、体積の維持のための不透過性物質としてヒト血清 アルブミンを含む、移植用の器官及び組織の低温保存に有用な代用血液を開示し ている。(Transplantation 23:210(1977))。こ の血漿に基づく代用血液はヒト血液の処理を必要とし、結局患者をA型、B型又 は非−A−非−B型肝炎ウィルス、あるいはAIDSウィルスなどの血液伝播疾 患(blood transmitted diseases)による感染の危 険に合わせる。血 液に基づかない代用血液の使用が明らかに望ましい。 移植用の器官及び組織の保存に有用な血液に基づかない代用血液は、Bret on,Jr.(米国特許第4,920,044号)及びBelzer,et a l.(米国特許第4,879,283号及び米国特許第4,798,824号) により開示されている。Breton,Jr.の高浸透圧細胞内器官洗浄及び維 持溶液は、腫脹性支持(oncotic support)のためのコロイド類 も、細胞アニオン均衡及び水圧均衡の維持のためのラクトビオネート(lact obionate)も含まない。器官の保存のためのBelzerの溶液は浸透 圧支持のための不透過物類及びコロイド類を含むが、特許権所有者等の溶液はそ れぞれ120mM及び30mMの濃度のカリウムイオン類及びナトリウムイオン 類を含む。イオン類のこれらの濃度は細胞内の正常値の範囲内であり、結局、細 胞カリウムの受動拡散損失(passive diffusional los s)及びナトリウムの増加が阻害されるか、又は省略される。これらのイオン濃 度は、高カリウム量が心筋組織における壊死(収縮帯壊死)を引き起こすという 証拠から見て、全身低体温代用血液に適用することはできない。又、復温の間に 心臓を再活動化するためにも、ずっと低いカリウム量が必要である(例えば10 mMより少量)。 生存患者への手術の場合に代用血液として用いられる溶液は、組織保存におい て用いられるこれらの代用血液溶液と異なる基準で調製される。例えば遷延手術 法(protracted surgical procedures)の間、 患者の血管と細胞の間質空間の間の体液均衡を維持することが必須である。手術 の間の患者の血液pHの維持も必要で ある。Segall,et al.(米国特許第4,923,422号)は、移 植で用いるために単離された器官の低体温保存、ならびに全身低体温を用いた無 血手術において有用な4−溶液代用血液を開示している。特許権所有者等は、代 用血液が用いられる手術法に依存して量が変化するデキストロースを含む代用血 液溶液を開示している。しかし特許権所有者等は、代用血液が生存患者に投与さ れる場合にマンニトールの使用は避けなければならないことを特に注意しており 、これは、この糖の使用が通常透析を用いても制御不可能なpHにおける有意な 低下を伴うからである。特許権所有者等は、4溶液代用血液を潅流された患者の 回復は遅く、動物は手術後の最初の1カ月は立つことができないことを開示して いる。 明らかに、器官保存の保存溶液により必要とされる長い保存期間という利点を 与え、制御された低体温の間に脳及び内臓器官(visceral organ s)を保護する代用血液が必要である。ある種の神経及び心臓血管処置などの遷 延手術法のための主要な利点は、低体温の間の心臓停止のために現在の技術によ り課せられる約1時間という時間の制約が、有意な虚血損傷なく延長することが できれば、実現される。さらに無血手術の後の患者の回復が非常に速いことも望 ましい。図面の簡単な説明 図1は維持溶液で潅流され、浄化溶液で浄化された動物(実験的 HTS/P +HTS/M)及び浄化溶液で潅流されたのみの動物(参照標準 HTS−P) におけるラクテートデヒドロゲナーゼ(LDH)の量の棒グラフである。 図2(a)は実験的(HTS−P/HTS−M)及び参照標準(HT S−P)動物におけるクレアチンキナーゼ(CK)及びそのイソザイム類の血清 量の棒グラフである。 図2(b)は実験的(HTS−P/HTS−M)及び参照標準(HTS−P) 動物の骨格筋に由来する血清CK量の棒グラフである。 図2(c)は実験的(HTS−P/HTS−M)及び参照標準(HTS−P) 動物の脳組織に由来する血清CK量の棒グラフである。 図2(d)は実験的(HTS−P/HTS−M)及び参照標準(HTS−P) 動物の心臓−組織に由来する血清CK量の棒グラフである。 図3は実験的(HTS−P/HTS−M)及び参照標準(HTS−P)動物の 場合の、血清酵素量の正常化のための時間を示すグラフ図である。 図4Aは(a)HTS−M、(b)培地、KGM中で4℃において1週間保存 されたヒト表皮モデル(HEM)皮膚又は(c)新しい参照標準試料のHEMに 関する平均蛍光単位の原形質膜一体性i項の棒グラフである。 図4Bは(a)HTS−M、(b)KGM中で1週間保存されたHEM又は( c)新しい参照標準試料のHEMの表皮障壁機能(epidermal bar rier function)の棒グラフである。発明の概略 本発明は、患者における移植が意図された組織の維持及び保存のための溶液と しても有用な無−細胞低体温代用血液に関し、それは (1)35〜45ミリモル/リットル(mM)の濃度範囲におけるカリウムイオ ン類、80〜120ミリモル/リットル(mM)の濃度範囲におけるナトリウム イオン類、2〜10mMの濃度範囲におけるマグネシウムイオン類及び0.01 〜0.1mMの濃度範囲におけるカルシウム イオン類を含む電解質の水溶液、 (2)巨大分子状腫脹剤(oncotic agent)、 (3)生理学的及び低体温条件下で有効な生物学的pH緩衝液、 (4)少なくとも1種の栄養単糖(simple nutritive sug er)、 (5)マンニトール、 (6)不透過性アニオン、及び (7)ATPの再生のための基質、ならびに場合により (8)グルタチオン を含む。 本発明の他の側面において、患者及びその器官を20℃より低い温度に維持す ることができる2−溶液無細胞代用血液を提供する。代用血液は(A)浄化溶液 及び(B)維持溶液を含む。浄化溶液(A)は大体生理学的濃度の電解質の水溶 液(第1水溶液)、巨大分子状腫脹剤、生理学的温度及び低温において有効な生 物学的pH緩衝液、栄養単糖、及びATPの再生のための基質である。維持溶液 (B)は上記の無−細胞低体温代用血液に相当し、 (1)35〜45ミリモル/リットル(mM)の濃度範囲におけるカリウムイオ ン類、80〜120ミリモル/リットル(mM)の濃度範囲におけるナトリウム イオン類、2〜10mMの濃度範囲におけるマグネシウムイオン類、15〜20 mMのクロリドイオン類、及び0.01〜0.1mMの濃度範囲におけるカルシ ウムイオン類を含む電解質の水溶液(第2水溶液)、 (2)不透過性アニオン、 (3)マンニトール、 (4)巨大分子状腫脹剤、 (5)少なくとも1種の栄養単糖、 (6)ATPの再生のための基質、及び (7)生理学的及び低体温条件下で有効な生物学的pH緩衝液、ならびに場合に より (8)グルタチオン を含む。 本発明の他の側面において、移植又は埋植用の皮膚、心臓、腎臓、角膜などの 組織の保存法を提供する。この方法に従うと、移植又は埋植されるべき組織又は 器官は、 (1)35〜45ミリモル/リットル(mM)の濃度範囲におけるカリウムイオ ン類、80〜120ミリモル/リットル(mM)の濃度範囲におけるナトリウム イオン類、2〜10mMの濃度範囲におけるマグネシウムイオン類及び0.01 〜0.1mMの濃度範囲におけるカルシウムイオン類を含む電解質の水溶液、 (2)巨大分子状腫脹剤、 (3)生理学的及び低体温条件下で有効な生物学的pH緩衝液、 (4)少なくとも1種の栄養単糖、 (5)マンニトール、 (6)不透過性アニオン、及び (7)ATPの再生のための基質、ならびに場合により (8)グルタチオン を含む細胞内高カリウム溶液(intracellar hyperk alaemic solution)を輸液される。 本発明のこの側面、すなわち前記の細胞内高カリウム(すなわち維持)溶液を 用いるドナー組織又は器官の保存法の特定の実施態様の場合、細胞外正常カリウ ム浄化溶液、好ましくは前記の浄化溶液を用い、細胞内高カリウム溶液の導入の 前にドナー組織又は器官を洗浄する。 本発明のさらに別の側面において、無血低体温処置を必要としている最適温度 の患者にそれを行う方法を提供し、それは: (a)患者の核心体温(core body temperature)を、氷 点より高く、心臓細動を引き起こすには不十分な温度に下げ; (b)本質的に患者の循環血のすべてを除去するのに十分な量の、生理学的濃度 の電解質の第1水溶液、巨大分子状腫脹剤、生理学的温度及び低体温において有 効な生物学的pH緩衝液、栄養単糖、ATPの再生のための基質及び場合により グルタチオンを含む第1潅流液で患者を潅流し、 (c)循環している第1潅流液の本質的にすべてを、心臓収縮活動を急激に停止 させるのに十分な35〜45mMの濃度範囲におけるカリウムイオン類、80〜 120mMの濃度範囲におけるナトリウムイオン類、2〜10mMの濃度範囲に おけるマグネシウムイオン類及び0.01〜0.1mMの濃度範囲におけるカル シウムイオン類を含む電解質の第2水溶液、巨大分子状腫脹剤、生理学的温度及 び低体温条件下において有効な生物学的pH緩衝液、少なくとも1種の栄養単糖 、マンニトール、不透過性アニオン、ATPの再生のための基質及び場合により グルタチオンを含む第2潅流液で置換し; (d)患者に低体温処置を行い; (e)循環している第2潅流液の本質的にすべてを第1潅流液で置換し; (f)患者に血液を再導入する 段階を含む。 組織/器官保存に関する本発明のさらに別の側面に従うと、維持及び洗浄のた めの無−細胞低体温代用血液が死亡直後の死体、及び冷蔵された全身の全身潅流 に用いられ、それにより移植のための各々の、又は複数の器官の回収の前の多− 器官−保存が可能になる。 外傷及び蘇生医学の分野における本発明のさらにもっと別の側面において、新 規な無−細胞低体温代用血液は出血性ショックの患者を維持させ(sustai ning)、蘇生させるために用いられる。外傷患者を受け取った後の可能な限 り早く、患者を冷却し、バイ−パスを装着し、次いで無血低体温手術に関して記 載したような本発明の浄化及び維持溶液で処置する。この処置は、損傷の注意深 い評価及び修復を行うために必要な長い時間を医師に与える。発明の詳細な説明 本発明の代用血液は全血又は血漿に正常に存在する細胞類を含まない水溶液で あり、全血又は血漿よりずっと長期間そのままで一般に安全に保存することがで き、ドナーと受容者の間のクロスマッチ試験又はハプロタイプ試験を行わずに用 いることができる。本発明の代用血液溶液は全体が合成により製造されるので、 バクテリア性、ウィルス性又は他の血液汚染物などの血液汚染物が溶液中に導入 される危険が実質的にない。これは肝炎、AIDS及び他の血液伝播疾患のこの 時代において特に重要である。 本発明の保存又は維持溶液は、皮膚、角膜などの生存組織;例えば心臓、肺、 腎臓、肝臓、膵臓などの器官;ならびに例えば筋肉、膵島、心臓弁などの器官の 部分を保護することができる。そのような保護は、患者に移植する前の保存の間 の虚血及び/又は無酸素により引き起こされる損傷からの保護を含む。 維持溶液は(1)35〜45mMの濃度範囲におけるカリウムイオン類、80 〜120mMの濃度範囲におけるナトリウムイオン類、2〜10mMの濃度範囲 におけるマグネシウムイオン類及び0.01〜0.1mMの濃度範囲におけるカ ルシウムイオン類を含む電解質の水溶液、 (2)巨大分子状腫脹剤、 (3)生理学的及び低体温条件下で有効な生物学的pH緩衝液、 (4)少なくとも1種の栄養単糖、 (5)マンニトール、 (6)不透過性アニオン、及び (7)ATPの再生のための基質、ならびに場合により (8)グルタチオン を含む。維持溶液の成分(1)〜(7)及び(8)(存在する場合)のそれぞれ は、全身無血低体温処置のために、及び器官の最適保存のために選ばれる。 器官の保存の場合、器官(例えば腎臓)がドナー(生存、又は死亡直後)から 取り出され、その直後に維持溶液が輸液される。死亡後の取り出しの場合、器官 は虚血性損傷を防ぐために可能な限り早く、一般に約30分〜約90分以内に取 り出されなければならない。器官は過剰の維持溶液中において約15℃より低く 、一般に約0℃より高い温度、例え ば約2℃〜約12℃の範囲で、後で行われる患者における移植まで保存される。 凍結温度以下、例えば−4℃〜0℃までにおける保存も含まれる。生体外におけ る器官保存の分野における発達は、過去四半世紀の間に、器官の性質に依存する 種々の期間、移植用の器官を安全に保存できる点まで進んだ。腎臓、肝臓及び膵 臓は1〜数日保存することができるが、心臓に関する臨床的に許容し得る限界は 現在わずか約6時間か又はそれ以下である。本維持溶液は、少なくとも各器官に 関する最大許容保存期間の間、種々の器官の保護を与える。 各々の組織又は器官の保存に加え、本発明の代用血液は脳死患者を含む死体の 全身保存のためにも用いることができる。この方法で、各々の器官及び他の組織 の最高8時間か又はそれ以上の保存を達成することができる。低体温温度におけ る維持溶液の導入の後に、1つ又はそれ以上の器官が必要になり、使用のために 回収されるような時まで患者が低体温温度下において維持されることを除いて、 死体は無血低体温手術に関して本明細書に記載する方法と実質的に同じ方法で処 置することができる。次いで取り出された器官は、必要なら追加の新しい維持溶 液中で移植のために保存される。 本発明の浄化溶液は種々の薬物及び薬剤のためのビヒクル溶液としても用いる ことができ、それは移植の前に浄化溶液で洗浄される時に、それまで保存されて いた器官における再潅流損傷を保護又は反転する(reverse)であろう。 適した薬物及び薬剤の説明に関し、例えばCarolina Rinseを参照 されたく、これは引用することにより本明細書の内容となる。かくして浄化溶液 及び維持溶液は単離された器官の保存、ならびに超低体温における全身保存及び 全身潅流のために 用いることができる。 本発明の維持溶液は、例えば皮膚などの組織を保存損傷から、及びおそらく毒 素類及び化学的毒薬類の有害な影響から保存及び保護することも見いだされた。 かくして本維持溶液は、例えば後に例えば火傷患者に移植するための皮膚及び角 膜などの組織の保存、ならびに汚染された環境に存在し得るような毒素類及び毒 薬類の有害な影響に対する、化学及び細菌戦争に対するなどの人間の皮膚の保護 にも適用することができる。後の移植のための皮膚及び角膜組織の保存の場合、 組織がドナーから取り出され、少なくとも1週間、最高約2〜4週間、例えば4 ℃において移植まで維持溶液中で保存される。さらに、維持溶液に凍結保護剤( cryoprotectants)が挿入されると、数カ月〜1年又はそれ以上 の凍結皮膚の保存を達成することができると予想される。 ヒト表皮モデル(HEM)が開発され、軍に関連する、及び製薬学的に重要な 細胞保護化合物の同定に用いられている。さらに毒性試験のための動物の使用に 対する許容し得る代用品としての合成皮膚モデルの使用は、例えば化粧品工業に おいて探索されている。合成ヒト表皮モデルは、火傷患者の処置において非常に 有益である可能性もある。しかしこれらの領域における研究は、生存率の有意な 損失なくHEMを輸送することが困難なために妨げられ、いくつかの皮膚同等物 は輸送後、1〜2日の保存寿命しか持たない。 続く実施例において示される通り、本発明の液体の低体温保存は、皮膚組織の 寿命を延長することができる。ヒト表皮モデルを用いる研究において、維持溶液 は組織の寿命を延長する可能性を有することが示された。 有毒ガスなどの有害な毒素類からの皮膚の生体内保護の場合、維持溶液を皮膚 に局所的に適用することができる。必要な場合、維持溶液は置換される。 本発明は2成分(溶液)無−細胞低体温代用血液も提供し、それは(A)浄化 溶液及び(B)上記の維持溶液を含む。浄化溶液は、維持溶液により置換される 前の冷却の間に患者又は器官のドナーから血液を洗浄するために設計されている 。それは又、復温の間に高カリウム維持溶液の系を浄化し、再潅流の際に酸化的 ストレス及びラジカル損傷を促進し得る堆積毒素類及び代謝副生成物を浄化する のを助けるようにも設計される。維持溶液は脳及び他の内臓器官を、長い手術法 の間の虚血及び/又は無酸素により引き起こされる損傷から保護するように設計 される。 本代用血液のいくつかの成分は、UW−1Flush、Ringer’s L actate、Carolina Rinse及びKrebs Bicarbo nate、ならびに米国特許第4,923,422号のベース(base)及び 維持溶液などの既知の細胞内浄化溶液の成分と類似であるが、本発明は、長い低 体温の間の組織損傷を最小にするために、及び術後回復時間を短縮するために特 に設計された。これらの改良された特性の結果として、本発明の代用血液は移植 のための保存の間の組織の保護、ならびに長い手術の間の患者の脳及び他の器官 の保護において、既知の代用血液より有効である。さらに本代用血液の使用は、 患者の回復期間を有意に短縮し、超−超低体温の間に患者を心臓停止に供する時 間を延長できるようにする。本代用血液を用い、優れた回復時間及び体の組織す べての全般的保存を以て、患者を最高3時間か又はそれ以上、超−超低体温に供 することができる。回復期間は術後数時間か ら数日の範囲であり、弱(mild)から中(mederate)の一時的神経 的欠損(neurological deficit)を伴うのみである。さら に本代用血液を用い、調べられるすべての酵素及び電解質に関する組織の生化学 は迅速に、手術の数時間から数日以内に正常範囲に戻る。基本的に組織の生化学 は、既知の代用血液の使用の場合、又は細胞外浄化代用血液のみの使用の場合と 同様に本発明の代用血液の組み合わせの使用により悪影響を受けない。 本発明の2成分(溶液)代用血液は、外傷及び蘇生の医学に関しても有意に有 利である。例えば出血性ショックに苦しむ患者に関し、超低体温に関して上記に 記載した方法で浄化及び維持溶液を用い、患者を維持し、蘇生させることができ る。この方法で医師が損傷、例えば組織及び器官、ならびに血管損傷を正確に評 価し、必要な修復を行うことを可能にするのに十分な長時間、患者を維持するこ とができる。 本発明の代用血液の浄化及び維持溶液の両者は無−細胞(例えば赤血球、白血 球、マクロファージなど)である。両溶液は、浄化溶液において生理学的(例え ば正常カリウム)濃度における、及び維持溶液において高カリウム濃度における 電解質の水溶液;巨大分子状腫脹剤;生理学的及び低体温pHの範囲において有 効な緩衝能力を有する生理学的pH緩衝液;ならびに少なくとも1種の栄養単糖 を含む。ここで本発明の代用血液溶液の各成分をさらに詳細に説明する。(1)電解質の水溶液 上記溶液のイオン成分は正常な細胞外液の値に基づいており、そのままでKr ebs−Ringer均衡塩溶液(Krebs−Ringer balance d salt solution)の成分と類似して いる。しかし本発明の浄化溶液は、嫌気性解糖による乳酸塩生産及び細胞内アシ ドーシスを可能にすることができる、低体温の間の外因性過負荷を防ぐために、 Krebs−Ringer均衡塩溶液より少量のグルコースを含む。生理学的濃 度における電解質は、大体血漿に存在する濃度におけるナトリウム、カリウム、 カルシウム、マグネシウム、クロリド、サルフェート、ホスフェート及びビカー ボネートイオン類を含む。 維持溶液はナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びクロリドの イオンを含む。しかし維持溶液は、細胞カリウム及びナトリウム増加の受動的拡 散損失を制限するために、正常な細胞外の値と比較して有意に減少したナトリウ ム、及び増加したカリウム濃度を有する。マグネシウムイオンは細胞内マグネシ ウムの損失を妨げ、細胞膜を横切るカルシウムイオンの流速を妨げるのに十分な 濃度である。 超低体温の間、細胞の膜ポンプはスイッチが切られている。結局イオン類、主 にカリウム及びナトリウムは受動的に細胞膜を横切って交換される。本維持溶液 はカリウムの流出及びナトリウムの流入を補償するように設計されている。この 効果のために維持溶液は約35〜45mM、より好ましくは約42mMのカリウ ムイオン類、及び約80〜120mM、好ましくは約100mMのナトリウムイ オン類を含む。 維持溶液におけるクロリド濃度は、生理学的濃度と比較して非常に減少してい るが、生理学的値に近いカリウム及びクロリドの生成物の濃度を維持するために いくらかのクロリドが存在する。クロリドイオン濃度は約2.5〜7.0mMの 範囲である。 本発明の代用血液の浄化及び維持溶液は、細胞膜におけるカルシウムイオンの 影響を置換又は阻害するのに十分な濃度の、そのような種類の 2価の金属イオンも、そのような量で含む。カドミウム及びベリリウムなどの2 価イオンを与えるいくつかの金属は哺乳類にとって毒性であり、この目的に用い ることができない。マグネシウムイオンが好ましく、マグネシウムの非−クロリ ド塩の添加により浄化溶液にマグネシウムを供給するのがさらに好ましい。硫酸 マグネシウムが浄化溶液において好ましい形態であり、それにより代用血液のク ロリドイオン濃度に影響を与えずにマグネシウムイオンの濃度の増加を得ること ができる。維持溶液の場合は塩化マグネシウムが好ましい。代用血液の維持溶液 における追加のマグネシウムイオンは、いわゆる細胞膜カルシウムチャンネルに おいてカルシウムイオンを置換すると思われる。マグネシウムは生理学的カルシ ウムチャンネル阻害剤として作用すると思われる。マグネシウムイオンにより達 成される効果は、薬物、すなわちこれと同じ生理学的機構に影響するニカルジピ ンなどのいわゆるカルシウムチャンネル阻害剤の使用を介しても達成することが できる。 維持溶液におけるマグネシウム量は細胞内マグネシウムの損失を防ぐため、及 びATPの代謝を妨害し、ATP予備が枯渇した時に赤血球膜へのカルシウムの 結合を競合的に阻害するための両方のために浄化溶液の量より増加している。維 持溶液は約2〜10mMのMg++、好ましくは約2.5〜7.5mMのMg++、 例えば約5mMのMg++を含む。 カルシウムは通常ATPによりキレート化されているが、それが放出されると 赤血球膜に結合し、その剛さを向上させ、微小循環を妨げる。心停止法及び心筋 保存の領域において、高マグネシウム(Mg++)及び非常に低いがゼロではない カルシウムの使用が器官の生き残りを向上させるという十分な証拠があり、例え ばForeman,et al., J.Thorac.Cardiovasc.Surg.,89:867−871 ,1985を参照されたい。カルシウムイオン濃度は約0.01〜0.1mM、 好ましくは0.01〜0.07mM、例えば約0.05mMが好ましい。 上記の通り、ニカルジピン又は他のカルシウムチャンネル阻害剤、例えばベラ パミル、ニフェジピン、ジルチアセゼム及びリドフラジンを浄化及び/又は維持 溶液にカルシウムチャンネル阻害剤として含み、カルシウム過負荷を最小にする ことができる。通常、細胞質ゾルのカルシウムの濃度は細胞外液におけるよりず っと低い(それぞれ10-7M及び10-3M)。この勾配は、特定の電圧又はレセ プター−作用チャンネル(voltage or receptor−oper ated channels)のみを介して細胞に流入するカルシウムを用いて 微調節され;それはナトリウム/カルシウム交換機構又は能動輸送により細胞質 ゾルから押し出される。細胞質ゾルのカルシウム量の上昇は多数の生化学的変化 及びブレビング(blebbing)を含む細胞形態の変更を伴う。細胞質ゾル のカルシウムの上昇の1つの重要な結果は膜結合ホスホリパーゼ類の活性化であ り、それは脂肪酸、特にアラキドン酸を細胞膜から除去する。得られる残留膜リ ゾホスファチド残基の増加は二重層の形状を変え、それが今度はさらなるラジカ ル損傷の素因を作り得る。そのような影響はニカルジピン又は他のカルシウムチ ャンネル阻害剤を含むことにより予防することができる。ニカルジピン又は他の カルシウムチャンネル阻害剤は1mM〜3mMの濃度で浄化及び維持溶液に含ま れるのが好ましく、約2mMが最も好ましい。 維持溶液のイオン均衡は、低体温の間の細胞膜を横切るイオンの受動 的交換を制限し、同時にイオン濃度を維持するように注意深く選ばれる。特に1 価及び2価カチオンの均衡は、特定の器官の保存のために設計された他の入手可 能な培地を用いて得られるより優れた、組織に関するイオン不均衡の制御を行う ように選ばれる。例えばカリウムイオン(K+)の濃度は細胞内カリウムの損失 を制限するために増加させられるが、非常に高いカリウム量は心臓組織に対して 不利で有害であり、例えば収縮帯壊死を生じ得るので、濃度はほとんどの器官保 存溶液(例えばCollins,Eurocollins,Sacks,UW及 び高張性クエン酸塩)に存在するよりずっと低い。さらに手術の間の代用血液と しての維持溶液の適用の場合、停止心臓を再活動化するために、復温の間、K+ の量を容易に生理学的量(<6mM)に減少させることができるのも肝要である 。 浄化及び維持溶液の両方の電解質の所望の濃度が、水、好ましくは蒸留水に所 望のイオン類の塩類を溶解することにより得られるのが好ましい。(2)巨大分子状腫脹剤 代用血液の巨大分子状腫脹剤は、血漿のそれと同等の膠質浸透圧を維持するた めに必要である。毛細血管床の窓(fenestrations)を移動するこ とにより循環から容易に脱出することのない寸法のものであるいずれの腫脹剤も 用いることができる。そのような腫脹剤には、例えば血漿増量剤が含まれ、それ は一般にそれらが循環毛細血管床を通って体の間質空間に脱出するのを妨げるの に十分に大きい寸法を有する巨大分子として知られている。ヒト血清アルブミン は、血漿増量剤として用いられる1つの周知の血漿タンパク質である。多糖血漿 増量剤は一般 にグリカンポリマー類として特徴付けられる。 ヘタスターチ(Hetastarch)(American Home Pr oductsの製品)は、ほとんど完全にアルファ(1−4)結合グルコース単 位中に導入されたヒドロキシエチルエーテル基を有するアミロペクチンから成る ワックス状澱粉から誘導される人工コロイドである。ヘタスターチの6%(wt /wt)溶液のコロイド特性はヒト血清アルブミンの特性に近い。 他の多糖誘導体は本発明の代用血液における腫脹剤として適していることがで きる。そのような他の多糖誘導体の中にヒドロキシメチルアルファ(1−4)又 は(1−6)ポリマー類がある。一般に多糖は非−抗原性の多糖であることが好 ましい。シクロデキストリン類は本発明の代用血液における腫脹剤として適して いることができる。 好ましい腫脹剤にはD−グルコースのポリマー類、及び特にデキストランとし て知られる主にアルファ(1−4)結合において結合しているD−グルコースの ポリマー類が含まれる。本発明の代用血液の場合、多糖は患者又はドナーの血管 の毛細血管床から容易に脱出しないように十分に大きいことが必要である。約7 0,000ダルトンの分子量を有するデキストラン70などの高分子量多糖類は 一般にあまり好ましくなく、それはそれらがコロイド溶液の粘度を増し、高流量 の達成を損なうからである。高流量の達成のためにより好ましいのは30,00 0〜50,000の分子量範囲の多糖類である。最も好ましいのは約40,00 0の分子量を有するデキストラン40である。デキストランは、部分的には赤血 球の凝集の阻害によってであるが、血管内浸透圧を増すことによっても赤血球の 除去の効率を向上させ、それにより毛細血管中に引き出さ れる液を追加し、内容物を希釈し、流動性を向上させ、一方で毛細血管を拡張し 、血管抵抗を低下させるのに有効であることが示された。デキストランは、本発 明において用いることができる他のコロイドであるHESより好ましく、それは 溶液が低粘度を有し、血管床を透過するいずれのコロイドも、より容易に除去し 、それは全身潅流のために重要であるからである。デキストランは血漿増量剤の 成分として臨床的に広く用いられ、腎臓により容易に及び迅速に排泄される。 いくつかの条件下で、特に脳虚血の処置において、それらの高粘度及び比較的 遅い流量にもかかわらず高分子量コロイドを含む代用血液溶液の使用が望ましい ことがあり得る。毛細血管からの漏れの速度が遅い故に組織の膨潤の予防におい てより有効であることができるそのような溶液は、高圧酸素緊張(hyperb aric oxygen tensions)における脳虚血の処置において、 及び堆積した間質液を除去する水腫の処置のために特に有用であることができる 。そのような状況においては、50,000〜70,000の分子量範囲のデキ ストランなどの高分子量多糖を用いるのが望ましいことがあり得る。 低温において、負に帯電したタンパク質及び細胞内の他の代謝物は、能動膜ポ ンプによりもはや逆−均衡(counter−balanced)されないコロ イド浸透圧を生ずる。結果は、細胞が水を吸収することにより膨潤し、結局、溶 解することである。本発明の溶液は低体温の間、細胞内の正しい水圧均衡を維持 する。本代用血液の浄化及び維持溶液における多糖又は他の巨大分子状腫脹剤の 濃度は電解質及び下記に説明する栄養単糖と一緒になると、正常なヒト血清のコ ロイド浸透圧、すなわち約28mmHgに近いコロイド浸透圧を達成するのに十 分である。 特にデキストラン40が約6%デキストラン40(wt/wt)の濃度で用いら れる場合、又は1リットル(l)の水当たり約60グラム(g)のデキストラン 40が用いられる場合、本発明の代用血液の重量オスモル濃度は約300〜37 0ミリオスモル(mosm)の範囲であり、浄化溶液の場合は約305〜315 mosm、維持溶液の場合は350〜370mosmの重量オスモル濃度が好ま しい。(3)生物学的pH緩衝液 代用血液の浄化及び維持溶液のpHは一般に10℃において約7.8に維持さ れる。pHは例えばヘペス(Hepes)緩衝液などの生物学的緩衝液の使用に より維持される。そのような緩衝液は、37℃において約7.2〜7.9の生理 学的pHの範囲に緩衝能力を有するが、もっと広い範囲を有することもできる。 アシドーシスは低体温の間の特定の問題であり、これまで比較的少ない注目を受 けてきた。好ましい実施態様において、アシドーシスと戦うために本代用血液溶 液は、合成生物学的緩衝液に加えてHCO3 -及びH2PO4 -を含む。浄化溶液に おけるHCO3 -の濃度は約20〜30mMの範囲、好ましくは約25mMが好ま しく、H2PO4 -の濃度は約1〜2mMの範囲が好ましい。維持溶液の場合、H CO3 -は約3〜7mM、好ましくは約5mMの濃度で存在し、H2PO4 -は約5 〜15mM、好ましくは約10mMの濃度範囲で存在する。 生物学的pH緩衝液は、細胞中に浸透せず、浸透圧膨潤の予防を助ける大きな スルホン酸緩衝液、例えば常温で6.8〜8.2に有用pH範囲を有するN−2 −ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(H EPES)緩衝液であるのが好ましい。他の 両イオン性スルホン酸緩衝液、例えば3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン 酸(MOPS)、pH範囲6.5〜7.9;N−トリス(ヒドロキシメチル)メ チル−2−アミノエタンスルホン酸;2−((2−ヒドロキシ−1,1−ビス( ヒドロキシメチル)エチル)アミノ)エタンスルホン酸(TES)、pH範囲6 .8〜8.2、3−(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)−2−ヒ ドロキシプロパンスルホン酸(TAPSO)、pH範囲7.2〜8.2;4−( 2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンプロパンスルホン酸(EPPS)、p H範囲7.3〜8.7;及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(THA M)を用いることができる。 合成両イオン性スルホン酸緩衝液はさらに、それらがリン酸塩及び重炭酸塩な どの天然の生物学的緩衝液と比較して、低温において、より優れた緩衝能力を有 するので好ましい。さらにスルホン酸緩衝液の温度係数は水のイオン産物の温度 係数(pKw)と等しいか、又はそれより大きく、それにより、アルファスタッ ト調節(alphastat regulation)に従い、水の中性点に関 して一定のアルカリ度を維持することにより低体温条件下でpHの有効な制御を 与える。(4)栄養単糖 本発明の代用血液の浄化溶液及び維持溶液の両者は栄養単糖を含む。細胞膜浸 透の可能な栄養単糖には、例えばスクロース、フルクトース及びグルコース又は アルファD−グルコースであるデキストロースが含まれる。最も好ましいのはグ ルコースである。一般に本発明の代用血液の場合、単糖の濃度は約1mM〜約1 0mMの範囲である。浄化溶液及び維持溶液の両者において1リットル当たり約 0.9g(5mM)の濃度 におけるグルコースが好ましい。 代用血液が用いられるべき特定の目的に依存して、浄化及び維持溶液における 栄養糖の濃度はさらに約1ミリモル(1mM)〜1モル(1M)の範囲で変化さ せることができる。かくして代用血液が手術法の間の患者の維持に用いられる場 合、浄化及び維持溶液の両者において約1〜10mM、好ましくは約5mMの比 較的低いグルコース濃度が用いられる。しかし代用血液が手術性ショックなどの ショックの治療に用いられる場合、グルコースのモル濃度は20mM以上増加し 、好ましくはグルコースの濃度は約100mM〜1Mの範囲に増加する。手術性 ショックの処置の場合に用いられる高濃度の単糖を含む溶液の使用の直後に、高 い糖濃度を洗い出すために低濃度の単糖を含む浄化又は維持溶液を投与すること ができる。(5)マンニトール 維持溶液におけるマンニトールは、不透過剤及び有効なヒドロキシル基掃去剤 の両方として二重の目的に作用する。以前に、無−血生成物に基づく代用血液に おけるマンニトールの使用は、生存患者に投与される場合に、有意なpHの低下 を伴い、それは通常透析によっても制御不可能であることが示された(例えばS egall,et al.,米国特許第4,923,442号)。しかし本代用 血液の場合、10〜20mMのマンニトール、好ましくは約20mMのマンニト ールの存在にもかかわらず、適したpHが維持される。それでもいくつかの場合 には、維持溶液を含む本発明の代用血液からマンニトールを排除するのが好まし いことがあり得る。例えば肝臓又は膵臓などの特定の器官の保存に用いられる場 合、マンニトールの使用に禁忌を示すことができる。(6)不透過性アニオン 本代用血液の維持溶液は、他の単糖の他にスクロース、大きな不透過性アニオ ン、及びマンニトールを含むオスモティクム(osmoticum)、ならびに スクロースを含む高オスモル溶液である。オスモティクムの大きな不透過性アニ オンは、低温暴露の間に膨潤する細胞に対抗するために必要な維持溶液の重要成 分である。複数の適した分子を用いることができる。ラクトビオネートは生物適 合性であり、カルシウム及び鉄の強力なキレート化剤でもあり、従ってカルシウ ム流入及びラジカル形成による細胞損傷の最小化に寄与することができるので好 ましい。大きな不透過性アニオンの濃度は80〜120mMの範囲が好ましく、 約100mMが最も好ましい。ラクトビオネートの代わりに、又は一緒に用いる ことができる他の不透過性アニオン類には例えばグルコネート、シトレート、グ リセロホスフェートなどが含まれる。さらにHEPESなどの種々のスルホネー ト緩衝液も、その分子寸法が細胞膜の外に留まるのに十分であれば、不透過機能 を提供することができる。(7)ATP基質 復温の間のATPの再生のためにATP基質が含まれる。アデノシンが好まし いATP基質であり、血管拡張により有効な血管洗浄を容易にするための血管作 用性成分としても働く。アデノシンの量は一般に浄化溶液においてより維持溶液 において高く、浄化溶液の場合、約0.5〜2mMの範囲、好ましくは約1.0 mMであり、維持溶液の場合、約1.5〜3mMの範囲、好ましくは約2.0m Mである。ATPの再生のための他の既知の基質、例えばフルクトース、リボー ス及びアデニンもアデノシンの量の一部又は全部の代わりに用いることができる 。(8)グルタチオン グルタチオンは任意であるが浄化及び維持溶液において好ましい添加物である 。グルタチオンは細胞酸化防止剤及びヒドロキシル基掃去剤として、ならびに脂 質過酸化物及び過酸化水素の代謝を可能にする酵素、グルタチオンパーオキシダ ーゼの補因子として機能する。グルタチオンはどちらか、又は両溶液に、最高約 5mM、例えば約1〜約5mMの濃度で、好ましくは両溶液に約3mMの濃度で 含まれることができる。(9)他の任意の添加物 アロプリノールなどのキサンチンオキシダーゼの阻害剤も本発明の浄化及び維 持溶液に含まれることができる。キサンチンオキシダーゼはカルシウム活性化タ ンパク質分解により形成され、スーパーオキシドラジカルを生成する。従ってア ロプリノールは再潅流損傷の予防において有効である。又、温虚血(warm ischaemia)により損傷を受けた腎臓において、アロプリノールは骨髄 領域の赤血球「捕獲(trapping)」を有意に減少させる。酸素ラジカル は、毛細血管内膜への白血球接着性の増加において役割を果すと考えられている 。アロプリノールは5’−ヌクレオチダーゼ阻害剤でもある。ATP(アデノシ ン三リン酸)及びADP(アデノシン二リン酸)予備が虚血組織において枯渇す ると、堆積AMP(アデノシン一リン酸)が5’−ヌクレオチダーゼにより、自 由に拡散できるアデノシンに脱リン酸化される。そのようなヌクレオチド類は細 胞から失われ、化学エネルギーが利用できるようになってももはやATPの再生 に利用できない。浄化及び維持溶液にアロプリノールが存在するとAMPの脱リ ン酸化の妨害を助け、かくしてATPの利用性の維持を助けると思われる。本溶 液におけるアロプ リノールの濃度は両溶液において約0.05〜約2.5mMの範囲、好ましくは 約1.0mMである。 デフェロキサミン又は他の鉄−キレート化剤も浄化及び維持溶液に含まれるこ とができる。デフェロキサミンはサラセミア及び鉄過負荷の患者の処置に臨床的 に用いられる有力な鉄−キレート化剤である。それはHaber Weiss反 応を介した鉄触媒水酸化物形成を阻害する脂質過酸化に対する試薬として本代用 血液に含まれることができる。好ましくはデフェロキサミンが含まれる場合、そ れはどちらか又は両溶液において最高約2mM、例えば約0.05〜約2mM、 好ましくは約1mMの濃度で存在することができる。 単独の、又は上記の通り浄化溶液と一緒になった上記の維持溶液に基づく代用 血液は、下記にさらに説明する通り、多様な特殊な処置において用いることがで きる。さらに本維持溶液及び、本浄化溶液以外の浄化溶液を含む代用血液も多様 な処置において用いることができる。例えば本維持溶液をKreb’sビカーボ ネート、Ringer’sラクテート又はCarolina Rinseなどの 種々の浄化溶液と組み合わせて用いることができる。これらの処置のそれぞれに おいて、浄化溶液は患者又はドナーの部分的放血の後に投与されるか、あるいは 患者又はドナーを漸次放血させながら投与され、低温に達するまで患者の体温が 徐々に下げられる。患者の体温が心臓細動が起こり得ない程十分に下げられたら 、浄化溶液を除去し、維持溶液で置換し、患者の蘇生が望まれるまでこの溶液で 患者を維持する。下記の通り、患者に行われる特定の処置の後に維持溶液は浄化 溶液で置換され、その後浄化溶液が血液(以前に集められた患者自身の血液が好 ましい)で置換され、患者は復温さ れ、蘇生される。 一般に全身低体温及び無血手術の間の代用血液の使用は、以下の通りに説明さ れる。患者は麻酔され、手術の準備がされる。患者は、放血を容易にするために 回路の静脈側に連結された排液管(drain line)及び回路に代用血液 を加えることができるようにオキシゲネーター(oxygenator)を溜に 連結する受け口を加えることにより修正された臨床的心肺バイパイ回路に連結さ れる。氷のベッド上に置き、氷浴に沈めるか、又は被覆された冷却ブランケット にくるむことにより患者の体を冷却し、体温を徐々に下げる。浄化溶液の導入前 、しかし患者の体温が心臓細動が起こる前の点まで下がった後、患者の血液の実 質的な体積、一般に3分の1〜半分を無菌法を用いて除去し、好ましくは無菌低 温保存器に入れる。浄化溶液の導入前に患者の血液のかなりの割合が除去されて いるのが好ましい。患者の血液のこの除去は、肺動脈楔入圧を制御し、それによ り患者の肺への損傷を最小にするために有用である。この全血は、蘇生、復温及 び回復期間の間に、異種輸血(heterologous transfusi on)の代わりに再導入することができる。 冷却及び無酸素の間の生化学的変化は、患者の赤血球の膜に変化を引き起こし 、それらはあまり柔軟性で変形性でなくなり、凝集及び毛細血管の遮断(blo ckage)を生ずる。微小血管の開通性はこの機構により重大に損なわれ、再 潅流の際に「非−再流現象(no−reflow phenomenon)」を 生じ得る。好ましい実施態様の場合、これらの事象及び微小塞栓形成の危険は、 低体温潅流の間の赤血球の有効な除去により最小とすることができる。患者の赤 血球は後に血液が患 者に再導入される前に、除去された血液に戻される。実際に、患者の血液のすべ てを浄化し、維持溶液により置換し、低体温処置を完全に無血とし、結局患者に とってより安全にすることが、本発明の特徴の1つとして意図されている。 体外ポンプ及びオキシゲネーターに、所望の冷却速度に依存して0℃〜20℃ の範囲の適した温度に予備−冷却され、泡を追い出した浄化溶液を注入し、少な くとも1体積(各体積は患者の循環体積に大体等しい)の低温溶液を、肺動脈潅 流又は楔入圧(PAW)を所望の範囲に監視しながら患者に循環させる。ポンプ は、それが患者より有意に低いように置く。ポンプより上の適した距離に患者を 置くと、患者をポンプのわずかに上のレベル又はポンプのレベルに置く場合と比 較して、適した静水頂点(hydrostatic head)を与え、肺動脈 楔入圧の優れた制御、ならびに液交換を制御し、液の保留及び過負荷を避けるた めに有効な排液を可能にする。 浄化溶液が導入される時、過剰の体積の液を集めることにより液体積及びPA Wが維持される。排液された血液はその後の自己輸血のために保持することがで き、集められた希釈血液の排液を保持し、遠心などの既知の方法によりそこから 血球を集めることができる。そのようにして集められた血球は同様に、蘇生、復 温及び回復期間の間に患者に再導入することができる。患者の核心温度は監視さ れ、実質的に低体温温度であるが、低体温により通常引き起こされる心臓細動が 、処置を受けている大きさ及び型の患者において起こる温度より高い温度におい て、少なくとも1系体積(one system volume)の維持溶液が 患者に導入され、維持溶液の心停止性によって急速に心停止が起こされ る。(代用血液の溶液の1つの患者への導入を開始する時はいつでも、ポンプ回 路の液溜に残っている溶液により、導入される溶液が希釈されないように注意す る。溜の過剰の溶液は、次の溶液が導入される前に溜から除去するか、又は患者 に循環させる。) 一般に患者は、第1(洗浄)及び/又は第2(維持)溶液が患者の体を循環し ている間、高圧酸素緊張に供される。 患者の血液の体積及び体外回路中の体積を合わせた体積に等しい体積として定 義される1系体積の維持溶液が、低温に患者を維持する間、規則的な間隔で約2 回、別の系体積で置換されねばならない。可能な場合はPAWの測定のために肺 動脈に挿入されたSwan−Ganzカテーテル又は他の手段を用いて左心室終 末弛緩圧(left ventricular end diastolic pressure)を継続的に監視し、場合により制御し、体外膜、中空繊維又 は熱交換器を有するバブルオキシゲネーターを用いた循環、酸素付加(oxyg enation)及び核心冷却が続けられねばならない。この圧力は全処置の間 、10mmHgより低く保たれねばならない。処置の間、PAWは5mmHgよ り低く保たれるのが好ましい。呼吸系は約3〜5mmHgの呼気終末陽圧(PE EP)に保たれねばならない。別の場合、吸気圧力として測定される肺気道圧( PA)を監視し、約12mmHgより低く保つ。 一般に少なくとも3系体積のこの溶液を循環させる。維持溶液を循環させてい る期間、患者のヘマトクリットを監視する。患者のヘマトクリットが2%か又は それ以上の値に達したら常に、追加の維持溶液を導入し、少なくとも等体積の維 持溶液を患者から除去し、それにより患者のヘマトクリットを2%より低く維持 するのが好ましい。この方法で処置の間、 患者の体において隔離される血球を漸次除去し、ゼロに近いヘマトクリットを維 持することができる。この方法で、本発明の代用血液は本質的に完全に患者の循 環から血液を洗浄するために用いられる。ヘマトクリットの監視により行われる 、患者が低体温条件下に維持されている期間のこの隔離される血球の漸次の除去 は、復温の間及び復温の後、ならびに処置後段階に患者の回復に成功するために 重要であり得る。低温において循環した少量の血液でさえ、回復の時に肺白血球 増加などの重要な問題を引き起こし得ると思われる。 患者内を循環する維持溶液のpHも、37℃で測定して約7.3〜7.7の範 囲に留まるように監視され、それが患者内にある場合の溶液の実際の温度に関す る修正はしない。pHがこの範囲外に下がるか又は上昇したら常に追加の維持溶 液を導入し、等量の維持溶液を患者から除去し、それにより患者のpHを37℃ において7.3〜7.7の範囲内に維持するのが好ましい。 患者の回復は、維持溶液を浄化溶液で置換することにより開始される。維持溶 液を完全に洗い出すのに十分な体積の浄化溶液が用いられる。一般にそれぞれが 患者の血液体積に大体等しい、少なくとも3体積が用いられる。維持溶液の洗い 出しに十分な浄化溶液が循環された後、患者の復温が開始される。患者の核心温 度と回復の間に系に加えられる浄化溶液の間に7℃〜10℃の差を維持するのが 好ましい。患者の核心温度が約9℃〜10℃に達したら、ヘマトクリットが約2 0に達し、温度が10℃〜20℃の範囲、又は心臓活動が開始される温度となる まで全血(最初は約10℃において)を加える。細動が起こったら、電気−刺激 又は他の既知の方法により除細動することが必要であり得る。又、必要なら、 リドカインなどの抗不整脈薬、ならびにドーパミン及びエピネフリンなどの心臓 −刺激薬を投与することができる。患者が自発的に呼吸を再確立しなかったら、 規則的に心臓活動が再確立された後すぐに患者の通気を再開させる。この時点で 表面の加温を開始することができ、ヘマトクリットが20〜40に達するまで血 液を加える。復温段階の間、pHは有意に下がり得、NaHCO3の溶液をゆっ くり加えるのみにより、又はpHが安定するまで患者を透析することと組み合わ せることにより7.3〜7.4の生理学的pHを再確立する。 より多くの血液、又は前に取り出された排液から濃縮された患者自身の充填さ れた細胞を患者の循環に戻す。手術の傷を閉じ、患者を蘇生させ、必要なら集中 治療において処置する。 本発明の代用血液を構成する溶液は、患者の体温がすでに正常より実質的に低 い点に下げられているが、低体温による心臓細動の誘導の前に患者に投与される のが好ましい。70〜130キログラムの範囲の比較的大きい動物の場合、この 温度は約27〜30℃の範囲であることができ、10〜30キログラムの範囲の 比較的小さい動物の場合、この温度は約20〜25℃の範囲であることができる 。 以下の実施例は単に例示を目的とし、下文において特許請求される本発明の制 限と考えてはならない。参照実施例1 手術法及び心肺バイパス 体重が10〜18kgの範囲の雑種の成犬を、実験動物の使用及び管理に関す るUnited States Public Health Service sの指針及び標準、ならびにInstitution al Animal Care and Use Committee of Allegheny−Singer Research Institute, Pittsburgh,Pennsylvania,U.S.A.により認可さ れた方法に従って用いた。 全体を通じて無菌法を用い、手術により動物を麻酔及び体外心肺バイパスのた めに準備した。簡単に記載すると、犬をアトロピン(0.04mg/kg 筋肉 内(IM))及びペントタール(10mg/kg 静脈内(IV))を用いて予 備−麻酔してから、ハロタンとエーテルの共沸混合物(flether)を用い た麻酔の維持のための気管内管を挿入した。心臓活動の継続的記録のために標準 的ECG電極を入れ、プラスモライトドリップ(plasmolyte dri p)(60ml/時)の輸液のためにとう側皮静脈(cephalic vei n)に静脈内カテーテルを挿入した。温度プローブを適切に置くことにより脳、 食道及び皮下温度を継続的に監視した。頭蓋内圧を、右前頭葉に入れた実質内ト ランスデューサープローブ(Camino)を用いて記録した。大腿動脈及び外 頸静脈にカニュールを入れ、体外バイパス循環を確立した。全身的動脈血圧の監 視及び動脈血の採取のために右大腿動脈にカニュールを入れた。肺動脈楔入圧の 監視のために右大腿静脈を介し、7 French Swan−Ganzカテー テルを肺動脈に進ませた。中心静脈圧の監視のために右大腿動脈にカニュールを 入れた。300秒より大きい活性化凝固時間(ACT)を達成するためにヘパリ ン(100単位/kg)を用いて動物の血液を凝固阻止した。 バイパスに用いられる回路はBailes,et al,J.Neurosu rg.,74:781−788,1991により記載のものと 類似であったが、遠心ポンプ(Medtronic,Biomedicus)及 び膜オキシゲネーターを含むように修正した。熱交換器を有するオキシゲネータ ーは静脈溜としても働いた。この回路は、以下の修正が設備された以外は臨床的 バイパス配置と非常に似ている:放血を容易にするために回路の静脈側に排液管 を連結し、代用血液を回路に加えられるようにするためにオキシゲネーターをロ ートに連結する受け口を導入した。 低体温は最初に、25℃への表面冷却により行う。37℃から25℃の範囲に おける平均冷却速度は0.2℃/分であった。溶液の調製 得られる最高純度の化学品及び成分のすべてを超純粋(ultra pure )脱イオン/蒸留水に溶解することにより代用血液水溶液を調製する。可能な場 合は、生物適合性を最大とするために組織培養試験を行った化学品(Sigma )を用いる。溶液は滅菌濾過し(例えば0.22μm、Gelmanフィルター )、1Lの無菌のプラスチックびんに分配し、使用前は低温室(4℃)に保存す る。参照実施例2 冷却及び制御された放血 バイパス回路が完成したら、プラスモライトドリップを止め、表面冷却を開始 した。食道(核心)温度が約25℃に低下したら、又は心拍数が45拍/分まで 遅くなったら、放血を開始した。排血液は無菌の容器に集められ、4℃に保たれ た。残留血液を浄化溶液で洗い出し、血液体積全体を維持溶液で置換して体外循 環を開始した。この間及び続く交換の間ずっと、静脈戻り溜より40インチ上の 静水頂点を維持するように 手術台を上げ、これは予備実験によりこれが、体における液の保持及び過負荷を 避けるのに必要な有効な排液及び液交換の制御を与えることが示されたからであ る。浄化溶液はすぐに、予備冷却され(<10℃)、酸素付加(pO2 500 mmHg)された、やはり有効な心停止溶液である維持溶液と交換した。心停止 の直後に呼吸器を切り、維持溶液を40〜85ml/kg/分の速度で3時間継 続的に循環させ、25〜40mmHgの平均収縮期動脈液圧を与えた。ポンプを 介して行われた平均冷却速度は25℃から10℃の間、0.5℃/分であった。 温度が10℃以下に低下したら(最下点=6.6±1℃)、ヘマトクリットを 測定し、<1%であり、完全な血液置換が達成されたことを示した。この段階の 間に、維持溶液は一定の間隔で2回完全に、新しい予備冷却された維持溶液と交 換した。参照実施例3 復温及び血液置換 <10℃の食道温度において3時間の潅流の後、内部及び外部加温の両方を用 いて復温管理を開始した。第1に維持溶液を浄化溶液と置換して高カリウム性維 持溶液の系を浄化した。ここにおける目的はカリウム濃度を、心臓再活動に必要 な約10mMか又はそれ以下に下げることである。食道温度が10℃に達したら 動物自身の血液を回路中に導入し、全血液体積が再導入されるまで浄化溶液の除 去を続けた。 復温の間に心臓は通常11℃〜20℃において自発的に開始し、正常な洞リズ ムを回復し、そうでない場合は電気による異法(electroversion )(100〜200ジュール)を行った。呼吸は24℃〜34℃において回復し た。復温の初期段階(10〜28℃)は0. 7±0.1℃/分の速度においてポンプを介して制御した。28℃から、加熱ブ ランケット及び熱ランプ(heat lamp)により与えられる外部加温を用 い、正常な温度までゆっくり(0.09℃/分)犬を温めた。復温の進行と共に 、低温混迷から回復への遷移をスムーズにするために麻酔薬を与えた。次いで動 物をポンプから切り離し、カニュールを抜き、拘束のない術後回復を神経学的機 能に関して観察した。神経学的評価は、周知のGlasgow Scaleの修 正に基づくNeurological Deficit Scores(NDS )を用いて行った:NDS:0=正常;1=最少の異常;2=衰弱;3=麻痺; 4=昏睡及び5=死亡。 さらに、生化学的状態の評価及び器官の機能の決定のために、術後数日及び数 週間、一定の間隔で血液及び尿の試料を集めた。参照実施例4 生理学的及び神経学的回復 復温の間、生理学的及び神経学的回復の兆候に関して動物を密接に観察した。 1群の犬(下文で議論)はすべて蘇生に成功し、11℃〜27℃の温度範囲で最 初の心拍が記録され、26℃±1℃において規則的な心拍及び洞リズム、ならび に21℃〜32℃において呼吸が記録された。この群のいくつかの犬は心臓不整 脈を修正するために電気的な異法及び小投薬量のリドカインの最少の介在を必要 とした。対照的に11群の1つの犬の場合、温度が27℃〜32℃に達すると心 臓が数拍開始し、その後持続的な心室細動に推移し、それは介在的修正で制御で きなかった。電気機械的脱共役(electromechanical unc oupling)が観察され、動物は死亡した。この群(11群)の残りの 2つの動物は、復温段階の間に同様の問題を示した。しかし持続的心室細動の安 定化のための熱心な試みにおいて、蘇生手段が変更された。これらは、15〜3 0meqのKClを500mgのCa++と組み合わせ、10〜15分かけて投与 し、カウンターショック(100〜200ジュール)を繰り返し、心臓を洞リズ ムに戻すことを含んだ。心室細動への頻繁な再推移を修正するために、連続的K+ の投薬及び電気的異法が必要であった。これらの異常で熱心な蘇生手段は結局 、復温段階の間のこれらの2つの犬の心臓の安定化に成功した。実施例1 本発明の維持及び浄化溶液を下記の通りに1リットル量で調製した。維持(M )及び浄化(P)溶液のためのこれらの低体温溶液(HTS)の組成を表1に示 す。 低体温溶液−浄化(HTS−P)は、1リットルの高純度水(high pu rity water)に以下の成分を溶解することにより調製した: デキストラン−40(臨床等級) 60.000g NaCl 6.136g KCl 0.448g CaCl2・2H2O 0.221g MgSO4 0.120g NaHCO3 2.100g NaH2PO4 0.144g HEPES 5.958g D−グルコース 0.901g アデノシン 0.267g グルタチオン 0.922g 低体温溶液−維持(HTS−M)は、1リットルの高純度水に以下の成分を溶 解することにより調製した: デキストラン−40(臨床等級) 60.000g KCl 0.559g CaCl2・2H2O 0.007g MgCl2・6H2O 1.017g KHCO3 0.500g KH2PO4 1.361g ラクトビオン酸 35.830g HEPES 5.958g D−グルコース 0.901g スクロース 6.846g マンニトール 3.644g アデノシン 0.534g グルタチオン 0.922g NaOH(10規定標準溶液) 10,000ml KOH(1規定標準溶液) 20,000ml 濃水酸化ナトリウム溶液(10規定NaOH)を用いて滴定することによりp H(25℃)を7.6に調節した。実施例2 この実施例は表1に示す組成を有する大量(18L)のHTS−M及びHTS −Pの製造を示す。 高純度脱イオン蒸留水を用い、18リットルの浄化溶液(HTS−P)の製造 を以下の通りに行った: A.20リットルのパイレックスガラスびんを用い、1080gの臨床等級の デキストラン−40を8000ミリリットルの水に一定に撹拌しながら溶解する 。 B.約6000mlの水を含む別のフラスコにおいて4.8gのアデノシン及 び16.6gのグルタチオンを溶解する。これらの薬剤(pharmacolo gical agents)が溶解したら以下の成分を同じフラスコに、一定に 撹拌しながら加える:110.5gのNaCl、4.0gのKCl、37.8g のNaHCO3、2.59gのNaH2PO4、107.2gのHEPES及び1 6.2gのグルコース。正確な体積の測定を確認するためにメスフラスコ(2リ ットル)を用い、B.の内容物をA.に加え、さらに2リットルの水を用いてフ ラスコB.をA.に濯ぎ入れる。 C.3.97gのCaCl2・2H2O及び2.17gのMgSO4を100m lの水に予備溶解してから溶液本体をA.に加えることにより、この段階でカル シウム及びマグネシウム塩類を加える。 D.適した混合(例えば少なくとも1時間の混合)の後、約18.0mlの1 0規定標準(すなわち10N)NaOHを加えることにより、25℃で電気化学 的に測定される7.60にpHを調節する。 E.最終的体積とするために必要な残りの水を加える。 高純度脱イオン蒸留水を用い、18リットルの維持溶液(HTS−M)の製造 を以下の通りに行った: A.20リットルのパイレックスガラスびんを用い、1080gの臨 床等級のデキストラン−40を8000ミリリットルの水に一定に撹拌しながら 溶解する。 B.別のフラスコ(4リットル)において9.6gのアデノシン及び16.6 gのグルタチオンを約3000mlの水に予備溶解する。溶解したら以下の成分 を一定に撹拌しながら加える:10.06gのKCl、9.0gのKHCO3、 24.5gのKH2PO4、16.2gのグルコース、123.2gのスクロース 及び65.6gのマンニトール。 C.別のフラスコ(4リットル)において以下の成分を約3000mlの水に 、一定に撹拌しながら予備溶解する:645gのラクトビオン酸、180mlの 10N NaOH及び107gのHEPES。 D.正確な体積の測定のためにメスフラスコ(2リットル)を用い、フラスコ B.(4リットル)及びC(4リットル)の内容物をびんA.の本体溶液中に移 す。 C.それぞれ0.13gのCaCl2・2H2O及び18.3gのMgCl2・ 6H2Oを水に予備溶解してからA.の本体溶液に直接加えることにより、この 段階でカルシウム及びマグネシウム塩類を加える。 D.適した混合(例えば少なくとも1時間の混合)の後、360mlの1N KOHを加えることにより25℃において電気化学的に測定される7.60にp Hを調節し、次いで必要量の10N NaOHを加えることにより、最終的pH 調節を行う。 E.最終的体積とするために必要な残りの水を加える。 最後に両溶液を、無菌の0.22μmのフィルターにポンプで通すことにより 滅菌濾過し、冷蔵保存のための1リットルの無菌のびんに分配する。 実施例3 第1群(I群)の試験動物は11の犬から成り、それらを上記の通りに浄化溶 液(HTS−P)及び維持溶液(HTS−M)の組み合わせを用いて血液置換し た。3つの犬の第2群(II群)を、これらの犬は低体温期間を通じて浄化溶液 のみで潅流し、維持溶液で置換しなかったことを除いて同じに処置した。この群 は、維持溶液自体を用いた潅流の利点を評価するための参照標準となった。 I群の最初の犬は7℃において120分間維持した(心停止−149分);し かし残りの10の犬の場合、食道温度は182±1分間、10℃より低く、その 時間の間に6.4±0.1℃の最下核心温度及び7.5±0.5℃の脳の最下温 度が記録された。これらの動物の場合の心停止時間は215±3分であった。参 照標準群の動物(II群)の核心(食道)温度は175±6分間、10℃より低 く維持され(最下点=6.4±0.1)、処置の間に心臓は193±1分間停止 した。 I群の8つの犬は、心肺バイパスの停止の315±45分以内に迅速に完全な 覚醒を取り戻し、明確な神経学的欠損なく、長期間生き残った(現在14〜11 0週又はそれ以上の範囲)。この群の残る3つの中で、2つは処置に生き残り、 覚醒を取り戻したが、長期間は生き残らなかった。1つは術後の2日目に不確定 な理由から死亡したが、膵臓炎又は低カリウム性ショックではないかと思われる ;第2の犬は、発作が起こったために4日後に犠牲にし、検死によりそれはおそ らく脳内に監視プローブを入れたことにより起こったことが明らかになった;第 3の動物は神経学的反射を取り戻したが、覚醒を取り戻さず、2日目に死亡した 。この動物において、始めから終わりまでICPが高かったことが観察され、検 死によりクモ膜下空間、脳幹及び脊髄、ならびに他の組織における出血傾向が明 らかにされた。この1つの場合には過剰ヘパリン化が寄与因子であると思われる 。 II群の場合、上記の熱心な蘇生手段を用いて蘇生に成功した2つの動物は長 期間生き残った(選択的犠牲まで18及び26週間)が、それらの生理学的及び 神経学的回復は顕著に遅かった。I群から生き残った者はすべて、一般に活発で あり、立ち、歩き、食べ、飲むそれらの能力により限定される運動機能が24時 間以内に完全に回復した。3つの犬は非常に急速な回復を示し、処置の12時間 以内に立ち、歩くことができた(最も早かったのは5.5時間であり、群に関す る平均は20±4時間であった)。さらにこれらの動物はすべて2日以内に正常 に歩くことができ、他者により頻繁に気付かれ、報告される問題である後肢衰弱 の兆候を示さなかった。対照的に、II群から生き残った2つは回復の遅い速度 を示し、後肢衰弱及び視力の減退などのいくつかの弱(mil d)から中(moderate)の神経学的欠損を示した。これらの欠損は1週 間以内に消散されるようであった。 神経学的欠損得点は術後1及び2日において、実験群(I群)の場合は0であ り、それと比較して参照標準群(II群)の場合は1.5±0.5であり;術後 1週間において、NDS得点はそれぞれ2群に関して0±0対1.0±1.0で あった。実施例4 I群及びII群の処置犬からの血液試料を集め、低体温代用血液処置に暴露す る前及び後の広範囲の生化学的及び血液学的パラメーターに関し、分析した。試 料はそれぞれ1、2及び3日、ならびに1、2及び3週においても集めた。 ヘマトクリット、ヘモグロビン及び赤血球数は、すべての生き残った犬におい て術後2週間の間、わずかに低かった。血小板数は術後に減少したが、1週間後 までに正常となった。プロトロンビン時間は増加せず、低体温の直後を除いてフ ィブリノーゲンは正常であった。 実験的処置にかかわらずすべての犬は、処置に続いて正常な電解質量を示した 。マグネシウム濃度のみが手術の直後の期間、正常な量から変動したが、これら は術後1日目までに正常に戻った。同様に、血清グルコース量は、両群の動物か らの最初の術後試料において増加したが、1日目までに犬の正常な範囲となった 。血液尿素窒素(BUN)、クレアチニン及びビリルビンなどの肝腎機能の指標 はすべて、術後の追跡の間を通じてすべての犬において正常な範囲内に留まった 。コレステロール、トリグリセルド及びアミラーゼ量も正常であった。 筋肉、肝臓、心臓及び脳などの生体組織における損傷を明らかにし得 る酵素の測定は、以下の変化を示した:ラクテートデヒドロゲナーゼ(LDH) は、維持溶液で潅流されたI群の動物において、いずれの時点でも正常値を越え なかった。しかし図1に示す通り、浄化溶液のみで潅流された犬の場合のLDH 値は非常に上昇し、術後の最初の2週間以内の各試料採取時点において有意に大 きかった(P<0.05)。他の診断的酵素は両群の動物において上昇したが、 維持溶液で潅流されたI群の動物における増加の程度は、浄化溶液のみで潅流さ れたII群の動物において測定された非常な上昇と比較して一般に穏やかであっ た。結果を表2に示す。 クレアチニンキナーゼ(CK)及びそのイソザイム類の血清量は、特定の器官 及び組織における損傷及び疾患の敏感な指標として臨床的に用いられる。図2a 〜2dは、骨格筋(CK−MM)、脳(CK−BB)及び心臓(CK−MB)に 関するCK及びそのイソザイム類の量における増加が、II群の生き残った参照 標準動物において記録された大きく、より長期間の増加と比較して、I群の動物 においては短期的に穏やかに上昇したことを示す。 II群の1対の生き残り者と比較してI群の動物における血清酵素の増加の短 期性が図3に示されている。測定された5つの酵素の中の3つがI群の動物にお いて1週間以内に正常量に戻ったが、アルカリ性ホスファターゼのみはII群の 動物において同じ期間内に正常に戻った。さらにクレアチニンキナーゼのみがI 群において最高3週間高いままであったが、LDH、SGPT及びCKがII群 において最高3週間、正常範囲より高いままであった。CKはI群の動物におい て術後2週間以上正常量より高いままであった唯一の酵素であったが、実際の上 昇の量は、 生き残っている参照標準の犬(II群)に関する値と比較して非常に穏やかであ った。表2は7日後、参照標準(II群)の場合に6.3±2.5倍高いことと 比較して、I群の動物において合計CKが術前値より1.8±0.5倍しか大き くなかったことを示す。CKイソザイム類の測定は、イソザイム放出における平 均比例増加(mean proportional increase)が筋肉 (CK−MM)及び心臓(CK−MB)の場合に脳(CK−BB)の場合より大 きく、脳はI群の動物において1日目に3倍の増加しか示さなかったことを明ら かにした。参照標準犬の場合、血清CKの脳画分における平均比例増加は、1日 目において1桁大きかった。表2は、CKの心臓及び骨格筋画分がI群の動物に おいて1週間以内に術前量に戻ったが、参照標準群においては4〜5倍高いまま であったことも示している。測定された多様な酵素の放出により判断される、I 群における組織生化学の常態へのより早い復帰は、参照標準群からの蘇生犬と比 較した、I群の犬の顕著に早い神経学的回復と関連している。 2つの生き残っている参照標準犬及びI群からの長期間生き残っている犬の1 つをそれぞれ18、26及び76週において犠牲にした。全体的検死は、参照標 準動物からの心臓にける場合を除いて、両群の犬のからの組織のいずれにおいて も異常を明らかにしなかった。両方の場合に重症の瘢痕組織(scar tis sue)が右及び左心室において多く見られ、複数の心筋梗塞からの修復を示し た。組織病理学は、心内膜の血栓症を伴う複数の微細な病変を示した。これらの 観察は、血清CK−MB(心臓画分)がI群の犬においてわずかしか上昇せず、 術後1週間以内に正常値が記録されたことを示した酵素の側面と一致している。 これは、第1日目にCK−MBにおける146±19倍の増加があり、1週間後 も5倍の持続的上昇があった、生き残っている参照標準の場合と顕著に対照的で ある。 実施例5 この実施例はヒト皮膚の保存のための無−細胞低体温代用血液(維持)溶液の 利用を例示する。ヒト皮膚を当該技術分野において既知であり、文献に記載され ている方法に従って培養において生育した。そのような皮膚は当該技術分野にお いてヒト表皮モデル(HEM)皮膚として知られている。この実験においてはH EM皮膚はState University of New Yorkにおい てDr.Rob Van Buskirkにより調製された。 HEMを(a)HTS−M又は(b)従来の培地、すなわちケラチノサイト生 育培地(KGM)中で、4℃において1週間保存した。 典型的に、従来の培地中で冷蔵条件下においてHEMを保存すると、最初の7 日以内に真皮から細胞破片を生じ、回りの培地中に存在する。表皮は4℃におい てわずか2日後に収縮する。表皮細胞は核濃縮性となり、長期間の保存(3週間 )の後、表皮は完全に真皮から分離してしまう。 この実験において、HEMを加温した後にCalcein−AMで標識するこ とにより原形質膜一体性を調べた。Calceinのその場量(in situ level)を蛍光プローブを用いて測定した(蛍光多重終点アッセイ(fl uorescence multiple end point assay) )。結果を図4Aにおいて(a)HTS−M中における保存、(b)KGM中に おける保存、又は(c)新しい参照標準組織(HEM)に関して示す。各欄上の 棒は平均の標準誤差を示す、n=3。図4Bは、(c)新しい参照標準組織(H EM)と比較された、4℃で1週間保存した後の表皮透過性(表皮障壁機能)へ の培地(a)及び(b)のそれぞれにおける保存の影響を示す。 図4Aから、HEMにおける皮膚ケラチノサイトの原形質膜一体性は、KGM 中における保存の後に重度に損なわれたことがわかる。しかしHTS−M保存H EMにおける蛍光プローブの保持は、新しい参照標準組織と有意な差がない。 同様に図4Bから、KGM中で保存されたHEMのヒト表皮層は不利に損なわ れた(組織層を横切って測定室内へのナトリウムフルオレセインの高い透過性) ことがわかる。非常に対照的に、HTS−M中で保存されたHEMは新しい参照 標準組織と等しい障壁機能を保持していた。 いくらかの組織を運搬し、次いで数日保存し、低体温的に保存された細胞が輸 送の後に生存したままでいる能力を評価した。これらの細胞も復温の後に一体性 を維持していた。HEMを蛍光アッセイの後に透過型電子顕微鏡用に調製した。 KGM培地中で1週間保存されたHEMの顕微鏡写真は参照標準(新しい)試料 と比較して劇的な超構造的(ultrastructural)変化を示した。 先端表面(apical surface)はそのままであったが、隣接細胞の 間に大きな細胞間間隙があった。ケラチンフィラメントは基底表面(basal surface)において組織が非常に破壊され、空胞(empty ves icles)及び脂胞(lipid vesicles)が現れ、基底膜は不規 則であった。 対照的に、HTS−M中で4℃において1週間保存されたHEMの場合、顕微 鏡写真は先端表面がまだ微小絨毛を示すことを描写している。KGM中で保存さ れた試料と比較して先端細胞間の空間は少なかった。隣接細胞間にデスモソーム が存在した。ケラチンフィラメントは細胞の 周界近辺においてまだ平行列に組織されていた。HTS−M保存HEMの基底表 面は多数の小胞を示し、時々脂胞があり、ケラチンフィラメントは平行な束とし て存在した。要するに、HTS−Mにより保護された細胞は生存性を維持してい た。実施例6 この実施例は単離され、鼓動している(working)ウサギ心臓を用いた 器官の保存における、上記実施例2に従う本発明の維持代用血液溶液HTS−M の利用を例示する。この実施例は、心筋保護のためのグルタチオン及び又、アデ ノシンの重要性も示す。かくして下表において、「HTS−M−」は、アデノシ ン(A)(2mM)及びグルタチオン(G)(3mM)が省略された本発明のH TS−M組成物(「+」により同定)を示す。この研究において、心筋保存の質 を、7℃において3時間保存されたウサギ心臓を用いて生体外で評価した。Ne w Zealand Whiteウサギ(3〜4kg)の心臓を麻酔下で手術に より取り出し、潅流回路上における支持のためにカニュールを入れた。標準的左 −鼓動心臓標本(standard left−working heart preparation)(Neely)を用い、大動脈拍出量(AO)を含む 血流力学的パラメーターを、Krebs−Henseleit緩衝液を用いた適 温潅流の間に測定した。各心臓に関して低温−虚血後の値を虚血−前の値と比較 し、標準化された回復指数を算出した。さらに心臓を低温保存の最後、又は適温 再潅流/再鼓動段階の最後に凍結−クランプした(freeze−clampe d)。続いて凍結試料を生化学(高エネルギーリン酸及び酵素)、ならびに組織 学用に処理した。このモデルにおける心筋保護へのそれらの影響を、種 々の既知の溶液、あるいはA/Gを含む(+)又は含まない(−)本発明の(H TS)溶液中で保存された心臓の回復を比較することにより評価した: これらの結果は、アデノシン及びグルタチオンが低温−保存心臓器官の最適回 復に重要であることを示すのみでなく、A/Gを含んでも含まなくても、他の既 知の、及び商業的に入手可能な器官保存溶液と比較して、本発明の維持溶液が優 れていることも示している。実施例7 この実施例は、犬のモデルにおける超−超低体温及びショック蘇生における本 発明の代用血液の利用を示す。 雑種の成犬(10〜15kg)を、全身麻酔下における閉−胸(closed −chest)末梢カニュール挿入(peripheral cannulat ion)を用いて体外バイパス用に準備した。制御された低血圧出血性ショック (MABP<50mmHg)を常(室)温において30分間起こさせ、続いて約 10分間のクリスタロイド輸液を用いて一時的に蘇生させた。以前に記載した処 置を用い、次いで犬を外部から27℃に冷却してから体外ポンプを介してHTS −Mを用いた血液 置換を開始した。10℃以下にさらに冷却する間に心臓が停止し、HTS−Mを 2時間再循環させた。復温の間に動物は自己輸血し、ポンプから切り離し、回復 させた。すべての犬(n=5)は優れた神経学的回復を以て生き残った:Neu rological Deficit Scoringに関する案を用いると( NDS:正常=0から深い昏睡=100)、3つの犬がわずかな運動失調の故に 術後1日目にNDS=2と指定され、2つの犬はNDS=0の得点であった。2 日目からすべての犬は、2週間後の選択的犠牲又は採択(adoption)ま でNDS=0の得点であった。多様な血液学的及び生化学的パラメーターにおけ る変化に関する側面は、同じ低体温処置(すなわち上記実施例3)を施したがそ の前に循環血漿量減少ショックに会わせなかった正常な犬の群(n=11)にお いて観察されたものと類似であった。処置の直後に測定されたクレアチンキナー ゼの脳及び心臓イソザイム画分のみが「ショック」犬において有意に高く、追加 の低血圧障害を反映していた。傷の抗張力は参照標準(低体温なし、ショックな し)におけると同じであった。全体的病理学的変化が3つの循環停止犬のすべて において見いだされたが、5つの継続的潅流犬のいずれにおいても見いだされな かった。処置の直後の血液生化学における参照標準及びショック動物の間の有意 な差(平均;p<0.05)は以下を含む: 見掛け上正常な神経学的、生理学的及び生化学的回復を示す犬が一貫して生き 残っていることは、本発明の保護的低体温代用血液を用いた超低体温が、現在処 置しにくい外傷の場合に治療による蘇生のための時間を与えることができ、ショ ック期間の後でさえ、手に負えない損傷を有する外傷患者に安全に手術をするた めに用いることができることを支持している。実施例8 この実施例は、脳死器官ドナー(死体)からの多−器官回復における本発明の 代用血液溶液の利用を例示する。 脳死器官ドナーを100%酸素で通気する。動脈圧決定のために大腿又は右と う骨動脈にカテーテルを入れ、薬物の配達のために大腿又はとう骨静脈にカテー テルを入れる。25,000単位のヘパリンを静脈カテーテルを介して投与する 。肺動脈楔入圧の決定のために、5−Gカテーテルを頸静脈を介して肺動脈の末 端分枝(terminal branch)中に挿入する。器官ドナーの体を砕 氷のおけの中に下げ、その温度を30℃に下げる。30℃において右又は左頸動 脈又は大腿動脈及び頸静脈又は大腿静脈にカニュールを入れ、ローラーポンプ又 は他の適した汲み出し手段及び中空繊維、膜又はバブル型のオキシゲネーター( 一体化熱交換器を有する)を含む心肺バスパス回路にカニュールを連結する。ベ ンチレーター1回拍出量を、温度が下降したら減少させる。楔入圧が増加したら 、血液を大腿動脈から採取する。 次いで氷−水浴により温度をさらに25℃まで下げ、循環をバイパスに循環さ せ、本発明の浄化溶液、例えばHTS−P又は他の浄化溶液を加えることにより 、ヘマトクリットが正常の50%に低下するまで血液 を希釈する。肺を7mmHg PEEP上に置く。肺楔入圧を15mmHgより 低く維持する。次いで患者を20℃まで、又は心臓細動が起こる時までさらに冷 却する。この時点で、見積もられた血液体積及びバイパス回路中の体積(本明細 書において系体積として定義)に等しい量のHTS−Pを加える。この後、2体 積の維持溶液、例えばHTS−Mを加える。冷却され、酸素付加されたHTS− Mを、氷点に近い温度に達するまで回路中に循環させる。系体積のHTS−Mで 20分毎に180分まで回路を通して洗浄し、流出液を排液する。各洗浄の前及 び後にpH及び血液ガスを監視する。移植のために器官が必要とされた時、又は 温度が氷点に達した時、HTS−Mを系体積のHTS−Pにより置換する。この 時点で器官を、それらが必要とされている順に移植のために取り出す。この方法 は器官を回復させ、温虚血時間を含まずに長期間、例えば8〜48時間かそれ以 上、保存することを可能にする。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI A61K 31/70 8314−4C A61K 31/70 31/715 8314−4C 31/715 33/00 8314−4C 33/00 33/06 8314−4C 33/06 38/00 9455−4C 37/02

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.(1)35〜45mMの濃度範囲におけるカリウムイオン類、80〜12 0mMの濃度範囲におけるナトリウムイオン類、2〜10mMの濃度範囲におけ るマグネシウムイオン類及び0.01〜0.1mMの濃度範囲におけるカルシウ ムイオン類を含む電解質の水溶液、 (2)循環系からの脱出を制限するのに十分に大きい寸法を有し、血漿のそれに 等しい膠質浸透圧の維持に有効であり、ヒト血清アルブミン、多糖類及びコロイ ド澱粉から成る群より選ばれる巨大分子状腫脹剤、 (3)生理学的及び低体温条件下で有効な生物学的pH緩衝液、 (4)栄養的有効量の少なくとも1種の栄養単糖、 (5)不透過性及びヒドロキシル基掃去有効量のマンニトール、 (6)細胞膜に不透過性であり、低温暴露の間の細胞膨潤に対抗するために有効 であり、ラクトビオネート、グルコネート、シトレート及びグリセロホスフェー トから成る群より選ばれる少なくとも1つである不透過性アニオン、及び (7)アデノシン、フルクトース、リボース及びアデニンから成る群から選ばれ る少なくとも1つであるATPの再生のために有効な基質、ならびに場合により (8)グルタチオン を含む無−細胞低体温代用血液。 2.(1)電解質の該水溶液; (2)ヒト血清アルブミン、分子量が約30,000〜約70,000の範囲の 多糖及び人工コロイド性ワックス状澱粉から成る群より選ばれる、血漿のそれに 等しい膠質浸透圧の維持に有効な量の該コロイド状巨 大分子状腫脹剤; (3)該生物学的pH緩衝液; (4)約1mM〜約1Mの該栄養糖; (5)約10mM〜約20mMのマンニトール; (6)低温暴露の間の細胞膨潤に対抗するために有効な量の該不透過性アニオン ; (7)約0.5mM〜約2mMの該ATP基質; 及び (8)最高約5mMのグルタチオン を含む請求の範囲第1項に記載の代用血液。 3.(1)電解質の該水溶液; (2)正常なヒト血清のそれに近いコロイド圧を与えるのに十分な量の、分子量 が約30,000〜約70,000の範囲の不透過性多糖; (3)該生物学的pH緩衝液; (4)約1mM〜約10mMのグルコース; (5)約10mM〜約20mMのマンニトール; (6)約80mM〜約120mMのラクトビオネート; (7)約0.5mM〜約2mMのアデノシン;及び (8)約1mM〜約5mMのグルタチオン を含み、該組成物が約300〜370ミリオスモルの範囲のオスモル濃度を有す る請求の範囲第1項に記載の代用血液。 4.電解質の該水溶液におけるカルシウムイオン類の濃度が約0.01〜0. 07mMであり、マグネシウムイオン類の濃度が約2.5〜7.5mMであり、 電解質の該水溶液がさらに約2.5〜7.0mMの範囲 の濃度におけるクロリドイオン類を含む請求の範囲第3項に記載の代用血液。 5.該溶液がさらに少なくとも1種の高速チャンネル阻害剤を含む請求の範囲 第1項に記載の代用血液。 6.該溶液がさらに緩衝量のH2PO4 -及びHCO3 -を含む請求の範囲第1項 に記載の代用血液。 7.(1)大体生理学的濃度の電解質の第1水溶液、(2)巨大分子状腫脹剤、 (3)生理学的温度及び低体温条件において有効な生物学的pH緩衝液、(4) 栄養単糖、及び(5)ATPの再生のための基質を含む(A)浄化溶液、ならび に、 (1)35〜45mMの濃度範囲におけるカリウムイオン類、80〜120mM の濃度範囲におけるナトリウムイオン類、2〜10mMの濃度範囲におけるマグ ネシウムイオン類、15〜20mMのクロリドイオン類、及び0.01〜0.1 mMの濃度範囲におけるカルシウムイオン類を含む電解質の第2水溶液、 (2)細胞膜に不透過性であり、低温暴露の間の細胞膨潤に対抗するために有効 であり、ラクトビオネート、グルコネート、シトレート及びグリセロホスフェー トから成る群より選ばれる不透過性アニオン、 (3)不透過性及びヒドロキシル基掃去有効量のマンニトール、 (4)循環からの脱出を制限するのに十分に大きい寸法を有し、血漿のそれに等 しい膠質浸透圧の維持に有効であり、ヒト血清アルブミン、多糖及びコロイド澱 粉から成る群より選ばれる巨大分子状腫脹剤、 (5)栄養的有効量の少なくとも1種の栄養単糖 (6)アデノシン、フルクトース、リボース及びアデニンから成る群か ら選ばれるATPの再生のために有効な基質、及び (7)生理学的及び低体温条件下で有効な生物学的pH緩衝液、ならびに場合に より (8)グルタチオン を含む(B)維持溶液を含む、20℃より低い温度において患者又はその器官を 維持することができる代用血液。 8.該浄化溶液がさらに(6)1.0〜3mMの濃度のH2PO4 -及び(7) 20〜30mMの濃度のHCO3 -を含み、該維持溶液がさらに(9)5〜15m Mの濃度のH2PO4 -及び(10)3〜7mMの濃度のHCO3 -を含む請求の範 囲第7項に記載の代用血液。 9.該浄化及び該維持溶液の巨大分子状腫脹剤が、分子量が30,000〜7 0,000の範囲の多糖である請求の範囲第7項に記載の代用血液。 10.該浄化溶液及び該維持溶液がそれぞれさらに少なくとも1種の高速チャ ンネル阻害剤又はカルシウムチャンネル阻害剤、あるいはそれらの混合物を含む 請求の範囲第7項に記載の代用血液。 11.該維持溶液の該不透過性アニオンがラクトビオネートである請求の範囲 第8項に記載の代用血液。 12.移植されるべき器官を、 (1)35〜45mMの濃度範囲におけるカリウムイオン類、80〜120mM の濃度範囲におけるナトリウムイオン類、2〜10mMの濃度範囲におけるマグ ネシウムイオン類及び0.01〜0.1mMの濃度範囲におけるカルシウムイオ ン類を含む電解質の水溶液、 (2)循環系からの脱出を制限するのに十分に大きい寸法を有し、血漿 のそれに等しい膠質浸透圧の維持に有効であり、ヒト血清アルブミン、多糖類及 びコロイド澱粉から成る群より選ばれる巨大分子状腫脹剤、 (3)生理学的及び低体温条件下で有効な生物学的pH緩衝液、 (4)栄養的有効量の少なくとも1種の栄養単糖、 (5)不透過性及びヒドロキシル基掃去有効量のマンニトール、 (6)細胞膜に不透過性であり、低温暴露の間の細胞膨潤に対抗するために有効 であり、ラクトビオネート、グルコネート、シトレート及びグリセロホスフェー トから成る群より選ばれる少なくとも1つである不透過性アニオン、及び (7)アデノシン、フルクトース、リボース及びアデニンから成る群から選ばれ る少なくとも1つであるATPの再生のために有効な基質、ならびに場合により (8)グルタチオン を含む保存的有効量の細胞内維持溶液を用いて輸液することを含む、移植用の器 官の保存の方法。 13.(a)患者の核心体温を、氷点より高く、心臓細動を引き起こすには不 十分な温度に下げ; (b)本質的に患者の循環血のすべてを除去するのに十分な量の、大体生理学的 濃度の電解質の第1水溶液、巨大分子状腫脹剤、生理学的温度及び低体温におい て有効な生物学的pH緩衝液、栄養単糖、ATPの再生のための基質及びグルタ チオンを含む第1潅流液で患者を潅流し、第2潅流液で置換するまで潅流を続け 、 (c)該循環している第1潅流液の本質的にすべてを、心臓収縮活動を急激に停 止させるのに十分な35〜45mMの濃度範囲におけるカリウ ムイオン類、80〜120mMの濃度範囲におけるナトリウムイオン類、2〜1 0mMの濃度範囲におけるマグネシウムイオン類及び0.01〜0.07mMの 濃度範囲におけるカルシウムイオン類を含む電解質の第2水溶液、循環系から脱 出するのを制限するのに十分に大きい寸法を有し、血漿のそれと等しい膠質浸透 圧の維持に有効であり、ヒト血清アルブミン、多糖及びコロイド澱粉から成る群 より選ばれる巨大分子状腫脹剤、生理学的温度及び低体温条件下において有効な 生物学的pH緩衝液、栄養的有効量の少なくとも1種の栄養単糖、不透過性及び ヒドロキシル基掃去有効量のマンニトール、細胞膜に不透過性であり、低温暴露 の間の細胞膨潤に対抗するために有効であり、ラクトビオネート、グルコネート 、シトレート及びグリセロホスフェートから成る群より選ばれる1つである不透 過性アニオン、ATPの再生のために有効であり、アデノシン、フルクトース、 リボース及びアデニンから成る群より選ばれる少なくとも1つである基質、なら びに場合によりグルタチオンを含む第2潅流液で置換し; (d)患者に低体温処置を行い; (e)循環している第2潅流液の本質的にすべてを第1潅流液で置換し; (f)患者に血液を再導入する 段階を含む無血低体温処置を、それが必要な適温患者に行う方法。
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