JP2956998B2 - 移植器官潅流保存液および移植器官潅流保存法 - Google Patents

移植器官潅流保存液および移植器官潅流保存法

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    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/10Dispersions; Emulsions
    • A61K9/127Liposomes

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、移植器官の保存に使用される灌流保存液に
関するものである。
(従来の技術および問題点) 腎臓移植が初めて臨床で行われてから30年あまりがた
ち、この間手術手技の向上、移植患者の適応基準の検
討、免疫学的検査の進歩ならびに免疫抑制剤の開発など
により、移植成績は著しく向上し、欧米では既に移植が
一般的な医療として定着している。現在では、腎臓のみ
ならず、心臓、肝臓、膵臓などの移植も広く行われるよ
うになってきている。この臓器移植成績の向上には、臓
器保存法の進歩が大きく寄与している。特に近年、急激
な移植症例数の増加により臓器の供給が不足しており、
また移植後、臓器の機能不全が起こった場合、再移植が
極めて難しくなっている。そのため、移植臓器の機能を
低下させずに長時間の保存が可能な方法の確立が強く求
められている。
現在、臨床的に用いられている臓器保存法は、低温浸
漬法〔Lancet 2 1219〜1222(1969)〕と低温灌流保存
法〔Lancet 2 536(1967)〕に大別される。近年、死体
腎移植が広範に普及するに伴い、臓器を長期間保存可能
な低温灌流保存法が重要性をましてきており、この保存
法に使用される灌流液の開発、改良が盛んに行われてい
る。
低温灌流保存法の目的は、臓器をより生理的な条件に
近づけて保存することにある。すなわち、低温灌流保存
法とは、組織を低温下(一般には10℃以下)におくこと
により代謝を抑制し、灌流によって必要な酸素および栄
養素を補助し、代謝産物を除去する方法であるといえ
る。
ここで、一般に血液そのもの灌流液として使用する
と、粘性の増加、赤血球破壊による遊離ヘモグロビンの
組織沈着、血小板、脂質、フィブリノーゲンによる血栓
形成などがおこることが知られている。
ベルツァらは、血漿を凍結融解し、フィブリノーゲン
をできるだけ除いた低温沈澱血漿(Cryoprecipitated p
rasma)を灌流液として用い、犬の腎臓を72時間保存す
ることに成功した。〔Lancet ,536,(1967)〕さら
に、トレドーペレイラ等は、シリカゲルで処理した低温
沈澱血漿中に残存するフィブリノーゲン、β−リポプロ
テインを完全に除去し、更に不溶性脂質画分であるトリ
グリセライドの量を1/3まで減少させた灌流液を開発し
た。
しかしながら、これらの低温沈澱血漿は、不溶性脂質
画分が完全に除去されていないため、灌流中に脂質栓塞
が生じる危険性があること、また血漿中に含まれる肝炎
ウイルスの不活性操作(加熱処理)ができないため、肝
炎ウイルス感染の危険性を伴うという欠点を有するもの
であった。
これらの欠点を補うものとして、グルドマンらは、ク
レブスーリンゲル液に6%濃度に人アルブミンを加えて
灌流液を用い、犬腎を低温において96時間灌流し、自家
移植を行い、80%以上の成着率を得ることに成功した。
〔Grundman et al;Transpl.,17299〜305(1974)〕 しかしながら、このような灌流液を用いた低温灌流保
存法には、以下のような問題がある。
すなわち、細胞はATPを消費しながらNaポンプを動か
し形態を保っている。しかし、組織が低温状態になると
血管内皮のATPaseの活性が低下するため、エネルギーが
供給されず、Naポンプが働かなくなり、細胞は浮種をお
こす。保存器官が延長するに従い、血管内皮およびその
周辺の浮種は顕著になり、移植後、微少循環障害を引き
起こすと考えられている。〔Jacbsen IA.Pegg DE:Kidne
y.In;Organ preservation for transplantation Karow
AM.Pegg DE(eds).p556〜558.Marcel Dekker Inc.New
York.1981〕 一方、完全フッ素化有機化合物(パーフルオロカーボ
ン化合物)は、非常に良く酸素を溶解する液体で、乳剤
の型において酸素運搬体として作用する。このパーフル
オロカーボン乳剤を用いて、ナカヤらは、家兎腎を室温
で9時間灌流し、腎の生存力を生化学的手法で検討し
た。〔Proceeding of Symposium on perfluoro−chemic
al artificial blood,Kyoto 1975,187〜201〕また、ベ
ルコウイツらは、アルブミンで安定化したパーフルオロ
カーボン乳剤で腎を灌流し、移植後の成績について検討
した。その結果、腎の生着率はほぼ100%と良好な結果
を得たと報告している。〔J.Surg.Res.20595〜600(197
6)〕 しかしながら、このパーフルオロカーボン乳剤を灌流
液として応用した場合においては、灌流液に十分に酸素
を溶解させるために、メンブランタイプあるいはバブリ
ングタイプ等のオキシジェネターにより灌流液中の酸素
分圧を十分高く維持しながら循環させなければならず装
置が複雑化することが避けられない。また、サウザード
らは、犬腎の低温灌流実験で、灌流液の酸素分圧を高く
すると、血管内皮細胞中のミトコンドリアの機能が低下
することを報告している。〔Southard JH et al:Toxici
ty of oxygen to mitochondrial respiratory activity
in hypothermical perfused canine kidneys.Transpla
ntation 29:459,1980〕従って、パーフルオロカーボン
乳剤を灌流液として応用した場合には、過度の酸素化に
よる障害と、灌流圧による血管の障害が起こる危険性を
有するものであった。
(発明が解決しようとする課題) 従って、本発明は、低温灌流保存法に見られるATPase
活性の低下、パーフルオロカーボン乳剤を応用した場合
における血管障害等の危険性を有さず、しかも、灌流に
よって必要な酸素や栄養を十分に補助することが可能で
ある新規な灌流保存液を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段) 従って、上記課題を解決する本発明は、内部にヘモグ
ロビンを封入したリポソームを含有してなり、ヘモグロ
ビン濃度が7〜15重量%に調整されたことを特徴とする
移植器官灌流保存液である。
前記保存液は、膠質浸透圧が25〜35mmHgに調整されて
いることが好ましい。
また、前記保存液を灌流させるにあたっては、35〜38
℃の温度下で行うことが好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。
しかして本発明に係る移植器官灌流保存液(以下、単
に保存液という。)は、内部にヘモグロビンを封入した
リポソームを含有してなることを特徴とするものであ
る。
内部にヘモグロビンを内包したリポソーム(以下、ヘ
モグロビン内包リポソームという)およびその製造方法
は、既に、特開昭52−151758号、同58−183625号、同61
−37735号、同62−178521号、同63−209746号、同63−2
11230号、同63−275522号、同64−61426号、同64−7541
8号、特開平1−180245号公報に開示されている。
以下、ヘモグロビン内包リポソームについて説明す
る。
リポソーム膜を形成する脂質は特に制限はなく、リポ
ソームを形成するものであれば天然または合成の脂質が
使用可能である。特にリン脂質が好適に使用され、その
例としては、ホスファチジルエタノールアミン、ホスフ
ァチジルセリン、スフィンゴミエリン、ホスファチジル
コリン等に代表されるリン脂質で卵黄、大豆その他の天
然材料に由来するもの、または有機化学的な合成手段に
より得られるものを単独または混合して主成分とするこ
とができる。さらに膜安定化剤としてコレステロール、
コレスタノール等のステロール類や、架電物質としてホ
スファチジン酸、ジセチルホスフェート、高級脂肪酸等
を添加してもよい。
本発明の保存液においては、そのヘモグロビン濃度が
7〜15%に調整してなることが必要である。このような
値に調整することにより、組織を常温下におくことによ
り代謝が活発になっても、これを補うに十分な酸素を補
助することができる。
ヘモグロビンを酸素運搬物質として使用しこれを移植
組織灌流保存液に応用する試みとしては、ヘモグロビン
にポリオキシエチレンを結合させた安定化ヘモグロビン
が知られている。[岩崎 敬治、山川 孝、岩下 雄
二:人工臓器 17(2)、704〜707(1988)] 前述したように、本発明の保存液においては、ヘモグ
ロビンがリポソーム内にカプセル化されてなるため、膠
質浸透圧はヘモグロビン濃度の影響を受けない。従っ
て、ヘモグロビン濃度を7〜15%まで高めることによ
り、常温下においても十分に必要とされる酸素を供給す
ることが可能になる。また、灌流中のメトヘモグロビン
の生成も効率的に抑えられる。
これに対し、ポリオキシエチレン結合ヘモグロビンを
主成分とする保存液を適用した場合には、ヘモグロビン
がカプセル化されていないため、組織が許容する膠質浸
透圧を維持するためには、ヘモグロビン濃度は6重量%
程度が限界であり、常温下で灌流を行うには酵素運搬能
が不十分であるという問題があった。また、この保存液
を常温下で灌流させた場合には、メトヘモグロビン生成
が顕著である(24時間で20%)ことが指摘されており、
従って、この保存液を用いて灌流を行う場合には、組織
をある程度低温下(20℃)において、代謝を抑制する必
要があるものであった。
リポソーム内部に取り込まれるヘモグロビン溶液の濃
度および粘度は、特に限定されるものではないが、粘度
が10〜3,000cp(4℃)、ヘモグロビン濃度は30〜60%
(w/v)が望ましい。膠質浸透圧が、生体血液の正常な
膠質浸透圧に比べて極端に低すぎる場合には、血管外の
細胞が浮種を起こす虞れがあり、また高すぎる場合に
は、血管外の細胞が脱水状態になる虞れがある。本発明
の保存液は、膠質浸透圧調整剤を添加する等して浸透圧
調整がなされたものであること、具体的には25〜35mmHg
に調整されたものであることが望まれる。
このような膠質浸透圧調整剤としては、アルブミン、
グロブリン等の天然血漿由来の蛋白質、あるいはアカシ
アゴム、修飾ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デキス
トラン、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセ
ルロース、ヒドロキシエチルデンプン等の人工的な水溶
性高分子化合物が挙げられる。
保存液の粘度としては、ずり速度が383sec-1、温度が
37℃において、天然血液と同等かそれ以下の粘度、すな
わち4.5cp以下に調整されてなることが望ましい。
また、本発明の人工血液においては、電解質組成は、
リンゲル液、乳酸リンゲル液あるいはコリンズ液等の電
解質溶液を用いて天然血液とほぼ同様の組成に調整され
てなることが好ましい。
次に本発明の保存液の製造方法について説明する。
ヘモグロビン内包リポソームを製造するには、公知の
方法が用いられ得るが、好ましくは、リポソーム膜形成
脂質を凍結乾燥した均一混合粉末に蒸留水を添加し、50
〜80℃に加温して脂質を水和させ、該水和物にヘモグロ
ビン水溶液を加え、5〜10℃で高速撹拌機を用いて混合
物中の懸濁粒子の平均粒径が180〜300nmとなるまで撹拌
することにより達成される。
リポソーム膜形成脂質とヘモグロビン水溶液の混合・
撹拌は、撹拌型細胞破砕機(ワーリングブレンダー)を
用いて懸濁粒子の外径が180〜300nmになるまで撹拌する
ことによって実施される。撹拌は、回転数10,000〜20,0
00rpmで6〜10分間行うことが望ましい。
このようにして得られたリポソーム懸濁液は、常法に
従って洗浄・濃縮される。
洗浄・濃縮されたリポソーム懸濁液には、膠質浸透圧
が25〜35mmHg、ヘモグロビン濃度が7〜15%となるよう
に膠質浸透圧調整剤および電解質溶液が添加・混合さ
れ、本発明の保存液とされる。なお、膠質浸透圧調整剤
は、原料粉末の形状で、リポソームの水懸濁液中に添加
・溶解してもよい。
次に本発明の保存液を用いた移植器官保存法について
説明する。
すなわち、臓器提供者より提供された移植臓器は、修
正コリンズ液あるいは乳酸リンゲル液により洗浄された
後、市販の灌流保存装置を用いて本発明の保存液に接続
され、35〜38℃にて所定時間(概ね、24〜72時間)灌流
を行いながら保持される。この際の循環速度は、通常、
10〜200ml/g(腎)/時間とされる。灌流保存は終えた
後は、修正リンゲル液あるいは乳酸リンゲル液により洗
浄され、移植に供される。
次に実施例および比較例を示して本発明をさらに具体
的に説明する。
〔実施例〕 ヘモグロビン内包リポソーム懸濁液の作成 水素添加率90%の精製大豆ホスファチジルコリン、コ
レステロール、ミリスチン酸、ビタミンEの均一凍結乾
燥粉末〔プレソーム:日本精化株式会社製〕108gに等量
の蒸留水を加えて、60℃60分の水和処理を行った。得ら
れた水和脂質にヘモグロビン濃度50%(w/w)の赤血球
膜除去ヘモグロビン溶液60mlを加え、5℃に冷却しなが
ら高速撹拌機〔アジホモミキサー:特殊機化工業株式会
社製〕を用いて、10.000rpm、60分の撹拌処理を行っ
た。
得られたリポソーム懸濁液を生理食塩水で10倍に希釈
して、0.45μフィルターを用いて除菌および粒子制御を
行った、濾液を血漿分離器で処理し、リポソームに取り
込まれなかったヘモグロビンおよび微小粒子を除去し
た。濾液にヘモグロビンが検出されなくなるまで生理食
塩水を追加して、循環洗浄を繰り返し、最終的にヘモグ
ロビン濃度が5%となるまで濃縮した。得られたリポソ
ーム懸濁液の容量は1200mlであった。
修正リンゲル液の調整 NaCl6.51g/、MgSO40.4g/、KCl0.8g/、NaHCO30.
24g/、Na2HPO40.14g/、グルコース6.0g/の割合で
蒸留水に溶解し、電解質組成が、Na=112、K=11、Mg
=7、Cl=118、HCO=3、HPO4=2、SO4=7、グルコ
ース=33(各単位はmEq/)である溶液を調整した。
市販のヒドロキシエチルデンプン(サリンヘス:杏林製
薬株式会社製〕をで得られた溶液に溶解せしめ、さら
にこれにで得られた修正リンゲル液を添加して、ヘモ
グロビン濃度15%、ヒドロキシエチルデンプン濃度6%
(w/v)に調整し、灌流液(実施例)を作成した。
得られた灌流液の膠質浸透圧は28mmHg、晶質浸透圧は
290mOsm、粘度は3.2cp(ずり速度383sec-1、温度37℃)
であった。
〔比較例:ポリオキシエチレン結合ヘモグロビン含有灌流保存液〕
モノメトキシポリオキシエチレンコハク酸モノエステ
ル(平均分子量5000)5g、N−ヒドロキシコハク酸イミ
ド0.23g、ジシクロヘキシルカルボジイミド0.42gを、30
0mlのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、室温で一夜
撹拌した。
生成したジシクロヘキシル尿素を濾過し、濾液に600m
lのエチルエーテルを加え、生成したモノメトキシポリ
エチレングリコールモノ(サクシイミジルサクシネー
ト)結晶を濾過し、エーテルで洗浄した後乾燥し、4.6g
の白色結晶を得た。ピリドキサールリン酸結合ヘモグロ
ビン0.5gを100mlのホウ酸緩衝液(pH8.5)に溶解した液
に、氷冷下上記活性エステル0.5gを加えた。氷冷下4時
間撹拌した後、分子量阻止3万の限外濾過膜により限外
濾過を繰り返し、未反応の活性エステルまたはその分解
物を除去することにより6%修飾ヘモグロビン溶液(比
較例)5mlを得た。
得られた修飾ヘモグロビン溶液の膠質浸透圧は25mmH
g、晶質浸透圧は290mOsm、粘度は3.2cp(ずり速度383se
c-1、温度37℃)であった。
[メトヘモグロビン生成実験] ホロファイバー型人工肺キャピオックスII(テルモ社
製)2個を用い、一方Aには純酸素を、もう一方のBに
は5.2%酸素(酸素分圧40mmHg)を200ml/分の速さで流
した。この系において、実施例および比較例の灌流保存
液を37℃において100ml/分の速さで灌流し、メトヘモグ
ロビン比率を可視吸収により経時的に測定した。その結
果、比較例の灌流保存液を灌流した例においては、24時
間で初期値に比べ20%上昇したのに対し、実施例の灌流
保存液を灌流した場合においては、初期値に比べ12%し
か上昇しなかった。
[移植腎灌流保存実験] 実施例および比較例の灌流保存液を用いて移植腎灌流
保存実験を行った。実験は次の手順で行った。
体重10kgの雑種成犬10匹をペントバルビタールナトリ
ウムを30mg/kgの割合で静注して麻酔し、腹部正中線切
開にて開腹して左腎臓を摘出した。摘出した腎の尿管、
動脈および静脈にカニューレを挿入した後、カニューレ
内に冷修正コリンズ液を導入して洗浄し、次いでカニュ
ーレ内に実施例および比較例の灌流保存液を導入して、
37℃において48時間灌流を行った。
保存を終えた後、再び修正コリンズ液を用いて洗浄
し、これを大腿部へ自家移植した。さらに、移植1週間
目に対側腎を摘出した。
その後、60日間以上生存したものを生存と判定し、60
日未満の死亡で腎機能不全を伴ったものは、腎保存不良
による死亡と判定した。その結果、実施例の灌流保存液
を用いた例においては、10匹中9匹が生存したのに対
し、比較例の灌流保存液を用いた例においては10匹中4
匹しか生存しなかった。
(発明の効果) 以上、詳述したように、本発明の移植器官灌流保存液
は、内部にヘモグロビンを封入したリポソームを含有し
てなり、ヘモグロビン濃度が7〜15重量%に調整された
ことを特徴とするので、低温灌流保存法に見られるATPa
se活性の低下、パーフルオロカーボン乳剤を応用した場
合における血管障害等の危険性を有さず、しかも、灌流
によって必要な酸素や栄養を十分に補助することが可能
である効果を奏する。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部にヘモグロビンを封入したリポソーム
    を含有してなり、ヘモグロビン濃度が7〜15重量%に調
    整されたことを特徴とする移植器官灌流保存液。
  2. 【請求項2】膠質浸透圧が25〜35mmHgに調整されてなる
    請求項1記載の移植器官灌流保存液。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の移植器官灌流保
    存液を35〜38℃の温度下で灌流させることを特徴とする
    移植器官灌流保存法。
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