JP2971475B2 - 赤血球及び血小板のための合成された、血漿を含まない輸血可能な貯蔵媒体 - Google Patents

赤血球及び血小板のための合成された、血漿を含まない輸血可能な貯蔵媒体

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JP2971475B2 JP63508500A JP50850088A JP2971475B2 JP 2971475 B2 JP2971475 B2 JP 2971475B2 JP 63508500 A JP63508500 A JP 63508500A JP 50850088 A JP50850088 A JP 50850088A JP 2971475 B2 JP2971475 B2 JP 2971475B2
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【発明の詳細な説明】 発明の背景 1.技術分野 本発明は、赤血球及び血小板のための合成された、血
漿を含まない輸血可能な貯蔵媒体に関する。さらに詳細
に言うと、本発明は、(1)血漿及び他のタンパク質を
含まず、(2)赤血球及び血小板の輸血のための貯蔵可
能期間を、これらの成分の濃縮物の品質を維持したまま
延長することができ、そして(3)必須的でない有機化
合物を含まない、赤血球及び血小板のための合成され
た、血漿を含まない輸血可能な保存媒体に関する。
2.従来技術 血液は2つの主な部分から成り立っている。これらの
部分は血液試料を採取し、凝固を妨げた時に認識するこ
とができる。試料を含む容器の底部で凝固する部分は
「血餅」(formed elements)と呼ばれる。血餅は、赤
血球並びに白血球及び血小板のような他の血球成分を含
む。血小板はまたトロンボサイトとも呼ばれる。血餅は
通常、正常ヒト血清の40%〜50%を占める。血液試料に
おいて凝固しない濁った液体は血漿と呼ばれる。血漿は
主に水から成るが、無機及び有機物質並びに溶解ガス及
び雑多な外来物質を含む。血漿に含まれる無機物質は主
として電解質である。正常なヒト血漿中に通常見出され
る最も有意義な電解質を濃度と共に表1に示す。
表1 ナトリウム 142.0mEq/l カリウム 4.3mEq/l カルシウム 5.0mEq/l マグネシウム 3.4mEq/l 塩化物 104.0mEq/l 炭酸水素化物 27.0mEq/l リン酸化物 2.3mEq/l 硫化物 0.6mEq/l 血漿中に見出される最も有意義な有機物質は乳酸、ア
ミノ酸、クレアチニン、グルコール、ホルモン、タンパ
ク質、アルブミン及びグロブリンである。
現在医学において、生体内で血液に添加され及び/又
は生体外で血液と混合される溶液が開発されつつある。
生体内の血液に添加されるものは主として、寝たきり患
者のための静脈内点滴、医薬賦形剤及び/又は電解質交
換のために用いられる。これらの溶液は主として水及び
デキストロースを含み、さらに任意的に電解質を含む。
デキストロースはこれらの溶液中に通常5%程度存在
し、血球細胞及び組織細胞に栄養を与える。これらの溶
液中に含まれる電解質は大きく異なる。血漿に最もよく
似た溶液は、表1に示した複数の電解質を含む。デキス
トロース及び電解質を含む、生体内添加に適した溶液の
1例としてロッケーリンゲル溶液(Locke−Ringer's so
lution)を挙げることができる。ロッケーリンゲル溶液
の組成を表2に示す。
表2 塩化ナトリウム試薬 9.0 g 塩化カリウム試薬 0.42g 塩化カルシウム試薬 0.24g 塩化マグネシウム試薬 0.2 g 炭酸水素ナトリウム 0.5 g デキストロース 0.5 g 高湿ガラスフラスコから希釈された新鮮な水全量を1000
mlにする量 生体内の血液に添加するために適した他の溶液は、Re
mington's Pharamaceutical Sciences,Mack Publishng
Company,14版(1970)、815〜847ページに記載されてい
る。
生体外の血液に添加される溶液は単に全血又は分離さ
れた血液成分を限られた期間だけ保存することを主な目
的として抗凝固栄養剤又は赤血球、血小板、白血球若し
くはこれらの成分の混合物の保存期間を延長するために
最適化された特定の栄養溶液である。赤血球と共に回収
され生体外で保存される血液の1成分として血小板が含
まれる場合には、活性の低い抗凝固剤を用いることが望
ましい。
採取された全血に添加される抗凝固剤として最もよく
用いられているものは、「酸−クエン酸塩−デキストロ
ース」又は「ACD」として知られている。この抗凝固剤
溶液は抗凝固剤と栄養素との混合物であって、具体的に
は(1)非生理的なpHを創出することなくカルシウムを
キレートするのに十分な最適濃度のクエン酸及びクエン
酸ナトリウム、並びに(2)血液又はその成分、特に赤
血球を短時間保存するために十分な濃度のデキストロー
スを含む。全血及び他の細胞性画分を保存するために望
ましいものであることがわかったより酸性の低い溶液は
「クエン酸塩−リン酸塩−デキストロース抗凝固溶液」
又は「CPD」として知られている。クエン酸塩−リン酸
塩−デキストロース抗凝固溶液の組成は表3に示されて
いる。
表3 クエン酸(無水) 3.0 g クエン酸ナトリウム(二水塩) 26.3 g リン酸二水素ナトリウム(一水塩、NaH2PO4・H2O) 2.22g デキストロース 25.5 g 注射用水 全量を1000mlにする量 血球成分の特定の要素は分離することができ、種々の
温度において後で輸血するためにより良く保存され得
る。白血球及び血小板を採取及び保存するためにハイド
ロキシアパタイト単純な分離方法を採用することがで
き、これらは赤血球にとって好適な保存温度である4℃
ではなく22℃で最も良く保存される。
輸血のために赤血球を4℃で貯蔵すると、時間が経つ
につれて細胞が劣化する。この細胞の劣化は「貯蔵障
害」と呼ばれ、これは溶血が増加し、輸血後の赤血球細
胞の生存率が減少することにより特徴づけられる。ある
いは、貯蔵障害に付随する現象として、カリウムイオン
の減少、ナトリウム及びカルシウムイオンの増加、2,3
−ジホスホグリセレート(2,3DPG)の損失及びそれに伴
う酸素輸送特性の変化、アデノシン三リン酸(ATP)の
減少並びに膜骨格の変化及びそれに伴う柔軟性の減少及
び脆性の増加等の細胞内変化を包含する。
赤血球は従来、通常、1部の栄養素−抗凝固剤と7部
の血漿(酸−クエン酸塩−デキストロース)から成る混
合栄養素−抗凝固剤混合物中で保存されていた。貯蔵障
害の進行により赤血球の貯蔵可能期間は限定される。赤
血球の貯蔵可能期間は一般的に21日に限定されている。
より最近、血漿及び血小板を除去した後の赤血球と混
合される添加剤により、赤血球の貯蔵可能期間が49日ま
で延長された。通常、これらの添加剤溶液は、アデニ
ン、グルコース及び溶血及び2,3DPGの損失を遅らせるた
めに添加される他の微量成分が添加された食塩水から成
る。これらの添加溶液と共に用いられる主な容器は、便
利さのために上記CPOを加えた単純な抗凝固剤のみを含
む。採血後、抗凝血処理された全血が遠心され、血小板
を豊富に含む血漿及び赤血球細胞がサテライトバッグ
(satellite bag)に移される。赤血球添加溶液が次に
赤血球と混合される。添加溶液を、分離された赤血球細
胞と混合することにより、赤血球細胞添加溶液が他の分
離された血球成分で汚染されることが防止される。赤血
球の所望の流体性は、適量の添加溶液を用いることによ
って維持される。
赤血球細胞のための添加溶液としては多くのものが市
販され又は研究室内で用いられている。赤血球のための
典型的な添加溶液は、食塩−アデニン−グルコース(SA
G)媒体から誘導される。SAGは1970年代の半ばにスウェ
ーデンで開発されたものであり、従来の抗凝固剤−栄養
素混合物を用いて可能であった21日に比べ、赤血球の貯
蔵可能期間を35日間と許容できる水準にまで延長したも
のである。SAGは、35日間の貯蔵期間にわたってATP濃度
を許容可能な範囲内に維持する。SAG中で35日間赤血球
細胞を貯蔵すると、貯蔵最終日における平均溶血は約1
%であり、これはCPD又はACDを用いた場合に通常起きる
0.1%に比べてはるかに大きいものである。クエン酸ナ
トリウム、デキストロース、クエン酸及び一塩基性リン
酸ナトリウム並びに現在ではアデニン(CPDA−1)が補
強されて貯蔵可能期間が35日まで延長された単純な溶液
中で保存する場合に比べて、SAG中で赤血球を保存した
場合に溶血が増加する原因は、血漿タンパク質の非存在
下において白血球プロテアーゼが赤血球膜に対して作用
すること、あるいは非生理的は貯蔵溶液に起因する浸透
圧的不安定化によるものと信じられる。
修飾SAGはマニトール(29mM)を含み、記号SAG−Mと
して知られている。この添加剤溶液は、膜の安定化をも
たらし溶血を減少させる。SAG−Mと類似の組成を有す
るもとしてADSOL(登録商標)ブランドの貯蔵媒体が知
られている。米国内での市販が許可されたADSOL(登録
商標)は、750mg/dlのマニトールに加えて、SAG−Mよ
りも50%多くのアデニンと150%多くのグルコースを含
む。この製品はバクスター社、イリノイ州60015ディア
フィールド、レーククックロードにより生産されてい
る。ADSOL(登録商標)ブランドの貯蔵媒体の組成は表
4に示されている。
表4 デキストロース 2.2 g 塩化ナトリウム 900.0mg マニトール 750.0mg アデニン 27.0mg 水 全量を100.0mlにする量 ADSOL(登録商標)ブランドの貯蔵媒体中のマニトー
ルの存在により、白血球プロテアーゼが存在下において
さえ溶血が減少する。ADSOL(登録商標)ブランドの貯
蔵媒体中の高濃度のデキストロースは、他の赤血球パラ
メーター対して望ましい効果を与えるものと信じられ
る。ADSOL(登録商標)ブランドの貯蔵媒体を用いる
と、赤血球を有効に42日間貯蔵することができる。
しかしながら、現在の赤血球貯蔵媒体には欠点及び問
題点がある。これらの媒体は、唯一のカチオンとしてナ
トリウムのみを含んでおり、イオン的なアンバランスを
有している。赤血球細胞の能動カチオン輸送システムは
低温下で阻害されるので、カチオンの受動的拡散により
赤血球細胞中での正常な濃度勾配が損なわれる。これに
より、細胞が膨潤し、最終的に溶解され得る。マニトー
ルやソルビトールのような膜安定化剤、すならち「浸透
圧調節剤」をこれらの溶液に添加することによっては、
これらの溶液中での赤血球細胞の環境的悪影響を完全に
補償することはできない。
現在の赤血球添加溶液は、緩衝能力が限定されてい
る。緩衝能力が低いために、4℃で約42日間赤血球濃縮
物を貯蔵するとpHが6.5にまで低下する。このようなpH
レベルにおいては、ATP減少を伴うグリコリシスのため
に、貯蔵中の赤血球細胞の生存率が低下する。2,3DPG濃
度もまた、貯蔵中のpHの低下には非常に感受性が高い。
2,3DPGが欠損すると、赤血球の酸素結合特性が変化す
る。
特殊な添加溶液中での赤血球の貯蔵は、特殊な、すな
わち「第2世代」容器中において一般に行なわれる。こ
れらの容器は、ポリ塩化ビニル(PVC)で作られた「第
1世代」の血液貯蔵容器よりもガス透過性である。これ
らの特殊な容器を使うと、血液成分の貯蔵中に二酸化炭
素(CO2)ガスを逃がすことができる。CO2ガスが逃げる
ことにより、貯蔵溶液中での貯蔵中における炭酸の生成
が減少する。溶液中の炭酸が減少することにより、貯蔵
溶液中で生理的に許容できるpHが維持される期間が延長
される。
ロックらに与えられた米国特許第4,447,415号は血小
板を貯蔵するための無血漿の液体貯蔵媒体を開示してい
る。該発明の媒体は、食塩水、抗凝固剤デキストロース
含有溶液であって望ましくはCPD−チロード溶液を形成
するものに1又は2以上の添加物を加えたものから成
る。該発明において開示された、適当な添加物は(1)
インドメタシン、グイナクリン又はビタミンEのような
有機化合物である可逆的阻害剤及び(2)プロスタグラ
ンジンE1、D2又はI2のような、サイクリックアデノシン
−リン酸濃度を高める物質を包含する。これらの添加物
の多くは人体に輸血するための安全性及び基準適合性を
欠いており、従って、実験的使用又は生体外での使用に
ついてのみ適当である。該発明において用いるのが適当
であると開示されている他の添加剤は(1)フラクトー
ス及び他の糖、アデニン又はアセチルCoA及び(2)リ
ン酸及びある種のアミノ酸緩衝液のような緩衝液を包含
する。栄養素とされる有機化合物又は添加剤によって
は、媒体中にデキストロースが存在する必要性はなくな
らない。添加剤及び血漿に随伴されるグルコースの組合
わせによって、5日間までの貯蔵期間について血小板の
栄養要求が満足され、緩衝剤とされる添加剤によって
は、この期間を越えて血小板を貯蔵した場合の適正なpH
を維持することはできない。このグルコース濃度は明ら
かに赤血球貯蔵のためには不十分であるし、これらの緩
衝剤では、4±2℃の温度下で貯蔵される生きた懸濁赤
血球細胞によって生産される乳酸を十分に緩衝すること
ができないので、pH低下による細胞の死滅が起き易い。
従って、この溶液は、血小板に対しては潜在的に許容で
きるが、赤血球細胞の貯蔵には用いることができない。
従って、上記開示は、赤血球についてのものではない。
産業界には、血漿及び有機化合物を含まず、長期間に
わたって赤血球細胞及び血小板を貯蔵することができ、
人体にも安全に適用できる血液細胞貯蔵添加媒体がな
い。
図面の簡単な説明 第1図は、本発明の種々の実施例の赤血球細胞貯蔵媒
体中又は対照の貯蔵媒体中で赤血球を49日間貯蔵した際
のATPの損失率百分率をグラフ的に比較する図である。
第2図は、本発明の種々の実施例の赤血球細胞貯蔵媒
体中又は対照の貯蔵媒体中で赤血球を49日間貯蔵した際
の溶血の百分率をグラフ的に比較する図である。
第3図は、本発明の種々の実施例の赤血球細胞貯蔵媒
体中又は対照の貯蔵媒体中で赤血球を49日間貯蔵した際
のpHをグラフ的に比較する図である。
第4図は、本発明の種々の実施例の赤血球細胞貯蔵媒
体中又は対照の貯蔵媒体中で赤血球を49日間貯蔵した際
の2,3DPGの損失百分率をグラフ的に比較する図である。
発明の概要 本発明は、赤血球細胞及び/又は別個に若しくは赤血
球と一緒に長蔵される血小板を包含する血液成分のため
の、無菌の、無血漿の貯蔵培地に関する。本発明の最も
望ましい実施例は、無菌の、無血漿の赤血球細胞貯蔵媒
体である。この赤血球細胞貯蔵媒体は、生理的に適合性
のある電解質水溶液を包含する。この電解質溶液1リッ
トル中には3.0グラムないし25.0グラムのデキストロー
スと、3.0グラムないし6.0グラムのクエン酸ナトリウム
と、2.0グラムないし4.2グラムの炭酸水素ナトリウムを
含む。この赤血球細胞貯蔵媒体は、貯蔵される血液と等
張であり、6.8ないし7.4のpHを有する。この赤血球貯蔵
媒体は、少なくとも4℃の温度下で少なくとも49日赤血
球を貯蔵及び保存することを可能にする。本発明の最も
好ましい実施例においては、約27mg/dlのアデニンが含
まれる。
この赤血球細胞貯蔵媒体は、媒体1リットル中6.4グ
ラムないし7.6グラムの塩化ナトリウムと、0.2グラムな
いし0.4グラムの塩化カリウムと、0.1グラムないし0.4
グラムの塩化カルシウムと、0.2グラムないし0.4グラム
の硫酸マグネシウムと、0.1グラムないし0.6グラムの一
塩基性リン酸ナトリウムとを含むことができる。
本発明はまた、赤血球を無菌の、無血漿貯蔵培地中で
保存する方法をも提供する。
発明の詳細な説明 本発明は、赤血球細胞及び血小板を包含する血液成分
のための、無菌の、無血漿貯蔵媒体に関する。本発明の
最も望ましい実施例は、無菌の、無血漿赤血球細胞貯蔵
媒体である。この赤血球細胞貯蔵媒体は生理的に適合性
を有する電解質水溶液を包含する。この電解質溶液1リ
ットル中には、3.0グラムないし25.0グラムのグルコー
ス又はより好ましくはデキストロースと、3.0グラムな
いし6.0グラムのクエン酸ナトリウムと、2.0グラムない
し4.2グラムの炭酸水素ナトリウムとを含む。赤血球貯
蔵培地は、ヒト又は他の貯蔵される血液と等張であり6.
8ないし7.4のpHを有する。好ましくはデキストロースで
ある栄養源となる糖、クエン酸又はクエン酸誘導体及び
炭酸水素ナトリウム並びにいくつかの実施例におけるア
デニンを除いては、本発明の赤血球貯蔵媒体は有機物添
加剤を含まない。この明細書において「生きた」赤血球
細胞とは、赤血球細胞貯蔵培地中に懸濁された分離され
た血小板のうちのかなりのものが、赤血球細胞が輸血の
ために適しており、受容者に輸血された後に機能する程
度に、その正常な本来の生理的、機能的及び構造的性質
を維持していることを意味する。
本発明の生理的に適合性を有する電解質水溶液は、貯
蔵能力に対する些細な効果においてのみ異なることがで
きる。この赤血球細胞貯蔵媒体の最も望ましい具体例に
おいては、血漿中に見出される最も有意義な電解質が含
まれる。電解質は、この赤血球細胞貯蔵媒体中に、正常
な血漿中とほぼ同じ濃度で含まれる。最も望ましい電解
質はクエン酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウ
ム、硫酸マグネシウム及び一塩基性リン酸ナトリウムを
包含する。
上記したような電解質及び他の電解質は水溶液の形態
で受容者に注射又は点滴することができる。赤血球細胞
貯蔵媒体の調製において、これらの電解質の濃度は公知
の方法により変化させて等張液を得ることができる。赤
血球細胞貯蔵媒体の好ましい実施例では、1リットルの
媒体中に、約6.4グラムないし約7.6グラムの塩化ナトリ
ウムと、約0.2グラムないし約0.4グラムの塩化カルシウ
ムと、約0.2グラムないし約0.4グラムの硫酸マグネシウ
ムと、約0.1グラムないし約0.6グラムの一塩基性リン酸
ナトリウムとを含む。
赤血球細胞のための好ましい貯蔵溶液は、血液に最も
類似した電解質を含むものである。無タンパク質血漿を
真似るイオン環境を採用することにより、赤血球貯蔵細
胞に対して膜への悪影響がより小さくなり溶血も少なく
なる。より安定な膜により、ATP及び2.3DPGが維持さ
れ、乳酸の生産量が減少するというように赤血球細胞の
正常な代謝を改善する。正常な代謝により、アデニン、
マニトール及び高濃度グルコースのような特殊な赤血球
細胞添加剤を用いる必要性が少なくなる。
デキストロースの形態にあるグルコースは赤血球細胞
にとっての天然の栄養素である。デキストロースは、35
日を越えて赤血球を貯蔵するための、貯蔵媒体の能力に
有意に寄与する。本発明の赤血球細胞貯蔵媒体は、貯蔵
赤血球細胞のための唯一の有意な栄養素としてデキスト
ロースを用いている。他の栄養素が少量存在したりラセ
ミ体のグルコースが存在しても本発明の赤血球細胞貯蔵
媒体の有効性は認識できる程度に変化しない。他の栄養
素が存在することは好ましくない。なぜなら、他の栄養
素は赤血球細胞の長期保存においてデキストロースほど
に有効ではないからである。
本発明の赤血球細胞貯蔵媒体中のデキストロースの濃
度は、全血又は血液成分について用いられる溶液中での
典型的な濃度よりも、より高濃度のデキストロースは、
全貯蔵期間を通して貯蔵赤血球に栄養を供給するのに十
分でなければならない。デキストロースは、赤血球細胞
貯蔵媒体中に望ましくは少なくとも約3.0グラム/、
最も望ましくは約7.2グラム/である。通常、1リッ
トル当り約4.0グラムないし約25.0グラムのデキストロ
ース濃度が本発明に従って貯蔵される赤血球に対して少
なくとも約49日間にわたって栄養を供給するのに十分で
ある。本発明の実施例におけるデキストロース濃度は少
なくとも1リットル当り約3.0グラムであり、望ましく
は約3.0グラムないし約7.5グラムである。
本発明の赤血球細胞貯蔵媒体の緩衝系は少なくとも約
49日間赤血球を貯蔵することを成功させるために重要で
ある。実質的な量の炭酸水素ナトリウムを用いることに
より、赤血球細胞貯蔵中に生成される乳酸の多くを中和
することができる。炭酸水素ナトリウムの濃度は、全貯
蔵期間を通じて、約6.5を越えるpHを維持するために十
分でなければならない。約6.5未満のpHは、生体外での
パラメーターに現われているように貯蔵赤血球細胞に損
傷を与え得る。これらの生体外パラメーターは、(1)
赤血球細胞膜の変化及びそれに伴う柔軟性の欠如及び脆
性の増加並びに溶血、(2)ATPの不足並びに(3)2,3
DPGの欠如及びそれに伴う酸素輸送特性の変化を包含す
る。研究により、赤血球懸濁培地に高濃度(110mM)の
炭酸水素ナトリウムを加えることによって貯蔵赤血球細
胞のpHレベルを維持することができ、2,3DPGの濃度を安
定化することができることがわかった。このように高
い、非生理的な濃度の炭酸水素ナトリウムを用いるため
には、代謝及び膜への悪影響を紡糸するためにアデニン
及びマニトールが溶液中に存在していることが必要であ
る。
本発明の赤血球細胞貯蔵媒体は、主たるアルカリ剤と
して炭酸水素ナトリウムを用いている。炭酸水素ナトリ
ウムは、赤血球細胞を貯蔵する間中、緩衝剤を沈殿せし
めることなく所望のpHを維持するのに十分な量用いられ
る。好ましくは、炭酸水素ナトリウムは、1の赤血球
細胞貯蔵媒体中約2.0グラムないし約4.2グラム存在す
る。本発明の赤血球細胞貯蔵媒体の緩衝系は、好ましく
は一塩基性リン酸ナトリウムを含む。他の低濃度の塩も
本発明における緩衝系に用いることができる。
本発明の赤血球細胞貯蔵媒体に用いられる抗凝固剤は
クエン酸ナトリウムを含む。本発明の最も好ましい実施
例においては、クエン酸が含まれる。本発明において、
抗凝固剤は、長期貯蔵期間中、赤血球が実質的に凝固す
ることを防止するのに十分な濃度存在していなければな
らない。好ましくは、赤血球細胞貯蔵媒体1中にクエ
ン酸ナトリウムが約3.0グラムないし約6.0グラム、クエ
ン酸が約0.4グラムないし約0.6グラム存在する。低濃度
の他の抗凝固剤も本発明の赤血球細胞貯蔵媒体に採用す
ることが可能である。
本発明の赤血球細胞貯蔵媒体は、好ましくは表5に示
す化学成分から成る。本発明の最も好ましい実施例で
は、赤血球細胞貯蔵媒体はこれらの化合物から本質的に
成り、他のあらゆる化合物を実質的な濃度で含まない。
他の化合物を本発明の赤血球細胞貯蔵媒体から排除する
ことは、受容者の感作を防止し、赤血球細胞の貯蔵期間
を最大化するために望ましい。
溶液中のここのイオン濃度をmEq/lで示すと表6のよ
うになる。
赤血球細胞貯蔵媒体のpHは6.8ないし7.4の範囲内に維
持される。貯蔵媒体のpHは、容器中に存在するCO2の量
により変化し得る。高濃度のCO2が存在すると、貯蔵媒
体のpHは下がる。貯蔵媒体のpHが高いと、デキストロー
スを炭酸水素ナトリウム含有貯蔵媒体とは別個に滅菌す
る必要が生じ得る。なぜならデキストロースは約6.4以
上のpHでは容易に滅菌されないからである。
本発明の赤血球細胞貯蔵媒体を調製するために用いる
のに適当な基本溶液及び成分は、無菌の、非発熱性の注
射可能な多くの市販のものから得ることができる。成分
の製造者は、例えば、メディカル・エコノミクス・カン
パニー・インコーポレーテッド、ニュージャージー州オ
ラデルから出版されている「Physician's Desk Referen
ce」や「Red Book」のような一般的な出版物に記載され
ている。以下に例示する市販の成分は、本発明に用いる
ことができる。米国薬局方リンゲル注射液は、注射のた
めの無菌の非発熱性の水1中に8.6グラムの塩化ナト
リウム、0.3グラムの塩化カリウム及び0.33グラムの塩
化カルシウムを含む。注射のための滅菌水は静脈内点滴
のための非発熱性の水である。米国薬局方硫酸マグネシ
ウム注射液は、注射のための無菌の非発熱性の水中に50
%の硫酸マグネシウムを含む。米国薬局方炭酸水素ナト
リウム注射液は、注射用の無菌、非発熱性の水中に8.4
%の炭酸水素ナトリウムを含む。米国薬局方デキストロ
ース注射液は、注射のための無菌の非発熱性の水中に50
%のデキストロースを含む。米国薬局方塩化カリウム注
射液は、注射のための無菌の非発熱性の水中に22%の塩
化カリウムを含む。クエン酸塩−リン酸塩−デキストロ
ース抗凝固剤溶液は、1の無菌の非発熱性の水中に3.
0グラムのクエン酸と、26.3グラムのクエン酸ナトリウ
ムと、2.22グラムの炭酸水素ナトリウムと、25.5グラム
のデキストロースを含み、500mlの全血に対し70ml用い
られる。アデニンは、合成及び天然の供給源から粉末状
のものが入手可能である。
上記列挙した成分は、本発明の好ましい実施例におい
ては以下の量づつ混合される。赤血球細胞貯蔵媒体溶液
は、750mlのリンゲル液、170mlのCPD、40mlの炭酸水素
ナトリウム、5.4mlのデキストロース注射液、0.7mlの塩
化カリウム、0.4mlの硫酸マグネシウム溶液、33.5mlの
注射用滅菌水及び270mgのアデニンを含む。全ての成分
は無菌条件下で混合される。赤血球細胞貯蔵媒体に赤血
球を接種する前に、該混合物は、組織培養培地の真空ろ
過のために設計された0.2ミクロンフィルターユニット
を用いて滅菌される。
本発明の赤血球細胞貯蔵媒体の好ましい組成とCPD−
血漿の組成を比較したものを表7に示す。
*この濃度は、クエン酸塩、クエン酸及びリン酸塩が赤
血球細胞内に入らず、ヘマトクリットが42.5で血清中の
化学組成がハーパーのレビュー・オブ・バイオケミスト
リーに記載されているような正常値の範囲内である全血
500mlに対して70mlのCPD−抗凝固剤溶液を用いたと仮定
した場合の値である。
赤血球細胞貯蔵媒体を調製した後、赤血球細胞の保存
及び貯蔵の方法においては、赤血球細胞を他の血液成分
から分離することが必要である。血漿は「絞り出され」
(expressed off)、サテライトバッグ中に回収され
る。次いで、赤血球細胞を収容している容器に赤血球細
胞貯蔵媒体を輸送することができる。この輸送は、赤血
球細胞貯蔵媒体を収容するサテライトバッグと管を通じ
ることによって、あるいは回収バッグセットにもともと
ついていない容器から媒体を輸送することができる、市
販の無菌接続装置により行なうことができる。赤血球細
胞を赤血球細胞貯蔵媒体中に懸濁した後、赤血球細胞は
4℃で貯蔵される。
従来のPL−732赤血球細胞容器は高いCO2透過性を有す
る。市販の薄いポリ塩化ビニル(PVC)バッグのような
ガス透過性の容器中で赤血球を保存すると、CO2を逃が
すことができるので、赤血球細胞貯蔵媒体中での炭酸水
素ナトリウムの必要性が小さくなる。なぜなら、容器か
らCO2が逃げることによって、収容される溶液中に保持
される炭酸の量が少なくなるからである。血小板貯蔵容
器を用いた血小板貯蔵の研究において、30mMの乳酸を中
和して最終pHを6.8以上とするのに40mMの炭酸水素ナト
リウムで十分であった。4℃で42日間赤血球を貯蔵する
とpHは6.8になると予想される。本発明の赤血球細胞貯
蔵媒体は、血小板の貯蔵に用いられるCO2透過性容器の
ような、ジエチルヘキシルフタレート(DEHP)で可塑化
された薄いポリビニル貯蔵容器中での貯蔵を可能にす
る。これらの容器を用いると、より多量のCO2を容器か
ら逃げ、少ない炭酸が溶液中に溶解されるので、炭酸水
素ナトリウムの必要性が少なくなる。容器中にDEHPが可
塑剤として存在することにより、貯蔵される赤血球細胞
の品質が高められる。
実施例8ないし15及び比較例J これらの実施例及びこの比較例において全血からの赤
血球細胞の分離は、常法により、採血後、抗凝血処理し
た全血を遠心処理し、サテライトバック中に回収するこ
とにより行った。実施例8ないし15は、本発明の赤血球
細胞貯蔵媒体の例を示す。比較例Jは、赤血球細胞貯蔵
媒体の現在の技術水準を示す。比較例Jは、ADSOL(登
録商標)の商標で市販されている赤血球細胞貯蔵媒体を
用いている。
なお、実施例8ないし17において、用いた赤血球細胞
貯蔵媒体は、各実施例において明示的に記載されている
成分以外の成分については、上記表5に記載された成分
を同表の「好ましい濃度」の欄に記載された濃度に含む
ものである。
実施例8ないし15及び比較例Jは、CPD抗凝固剤中に
回収された10個の単位であって、無菌的に4つのサブユ
ニットに分けられた合計40個の試験単位について行なっ
たものである。血液は、150mlのFenwal PL−146プラス
チック輸送パック中に回収した。血液を遠心した後、十
分な量のろ過、滅菌した貯蔵媒体を、最終へマトクリッ
トが60±50%になるように注射した。
実施例8は、1当り7グラムのデキストロースを含
む低グルコース濃度(LG)の本発明の赤血球細胞貯蔵媒
体中で赤血球細胞を貯蔵することに関する。
実施例9は、1当り20グラムのデキストロースを含
む高グルコース濃度(HG)の本発明の赤血球細胞貯蔵媒
体中で赤血球細胞を貯蔵することに関する。
実施例10は、実施例8の低グルコース濃度及び2.5グ
ラム(30mM)の炭酸水素ナトリウムを有する本発明の赤
血球細胞貯蔵媒体(LG/B)中での赤血球細胞の貯蔵に関
する。
実施例11は、実施例9の高グルコース濃度及び2.5グ
ラム(30mM)の炭酸水素ナトリウムを有する本発明の赤
血球細胞貯蔵媒体(HG/B)中での赤血球細胞の貯蔵に関
する。
実施例12は、実施例8の低グルコース濃度と1当り
270ミリグラムのアデニンを有する本発明の赤血球細胞
貯蔵媒体(LG/A)中での赤血球細胞の貯蔵に関する。
実施例13は、実施例9の高グルコース濃度と1当り
270ミリグラムのアデニンを有する本発明の赤血球細胞
貯蔵媒体(HG/A)中での赤血球の貯蔵に関する。
実施例14は、実施例8の低グルコース濃度並びに1
当り2.5グラムの炭酸水素ナトリウム及び270ミリグラム
のアデニンを有する本発明の赤血球細胞貯蔵媒体(LG/B
+A)中での赤血球細胞の貯蔵に関する。
実施例15は、実施例9の高グルコース濃度並びに1
当り2.5グラムの炭酸水素ナトリウムと270ミリグラムの
アデニンを有する本発明の赤血球細胞貯蔵媒体(HG/B+
A)中での赤血球細胞の貯蔵に関する。
比較例Jは、1当り9グラムの塩化ナトリウムと、
7.5グラムのマニトールと、22グラムのデキストロース
と、270ミルグラムのアデニンとを含む、ADSOL(登録商
標)の商標で販売されている赤血球細胞貯蔵媒体中での
赤血球細胞の貯蔵に関する。
上記実施例及び比較例のそれぞれにおいて、6mlづつ
貯蔵赤血球細胞の試料を生化学的分析のために採取し
た。これらの試料は、それぞれの貯蔵溶液中で4℃で7
日、14日、21日、35日及び49日間培養した赤血球細胞と
共に調製した後直ちに試料を採取した。生化学的分析に
おいてはATPの損失百分率、溶血百分率、溶液のpH及び
赤血球細胞の2,3DPGの損失百分率を測定した。
第1図ないし第4図は、49日の貯蔵期間後に行なった
上記4つの生化学的分析の結果をグラフ的に示す。これ
らの図は、実施例8ないし15に用いた赤血球細胞貯蔵媒
体の8つの実施例のそれぞれについての5つの実験結果
の平均値±標準偏差を示す。これらのデータは、ADSOL
(登録商標)ブランドの貯蔵培地中で貯蔵された6サブ
ユニットの血液についての平均値と比較される。
第1図及び第2図に示されるように、これらの実施例
及び比較例の結果は、炭酸水素ナトリウム及びアデニン
を補充した貯蔵媒体中で貯蔵した赤血球細胞がADSOL
(登録商標)ブランドの貯蔵媒体中で貯蔵された赤血球
細胞よりも49日後のATPの維持率が高く、溶血も少ない
ことを示している。驚くべきことに、良好なATP濃度
は、アデニンを含まない本発明の赤血球細胞貯蔵媒体に
おいて達成された。これらの実施例において観察された
結果は、ADSOL(登録商標)媒体について観察された結
果よりもわずかに少なかった。
第1図及び第2図に示されるこれらの実施例及び比較
例の結果は、炭酸水素ナトリウムを補充した貯蔵媒体中
で貯蔵された赤血球細胞は、所望の高pH及び2,3DPG濃度
を有していることを示している。本発明の赤血球細胞貯
蔵媒体におけるグルコース濃度の高低は、ADSOL(登録
商標)ブランドの貯蔵媒体中で貯蔵する場合に比べると
有意な違いをもたらさなかった。
これらの実施例及び比較例は、炭酸水素ナトリウム及
びアデニンを補充した本発明の赤血球細胞貯蔵媒体が貯
蔵期間中所望のATP濃度を維持することを示している。
実施例16及び比較例KないしO 実施例16において採用した全血からの赤血球細胞の分
離及び貯蔵媒体の調製は、1中のデキストロースが7.
0グラムであり、炭酸水素ナトリウムが3グラムである
ことを除いては上記と同様に行なった。比較例Lないし
Oは発明者の実験室で行なったわけではなく、他人によ
って報告されたデータを示している。
この実施例及び比較例のデータは、標準的な血液銀行
の方法によって5人の提供者から採取され処理された全
血について行なった試験から得られた。実施例において
は、1当り270ミリグラムのアデニンを含む好ましい
実施例の血小板貯蔵媒体の100ml中に赤血球細胞を懸濁
した。懸濁赤血球細胞は、600ml中のFenwal PL−146プ
ラスチックバッグ中に4℃で56日間貯蔵した。この実施
例及び比較例において得られた結果は表22及び23に示し
た。
この実施例及び比較例の結果は、本発明の赤血球細胞
貯蔵媒体中で49日を超えて貯蔵された赤血球細胞は、他
の赤血球細胞貯蔵媒体中で貯蔵された赤血球細胞に比べ
て、より望ましいATP濃度を与え溶血も少ないことを示
している。
実施例17 実施例17で用いた全血からの赤血球の分離方法及び貯
蔵媒体の調製方法は上記のものと同じである。
実施例16について記載した試験では、1当り3グラ
ムの炭酸水素ナトリウムを含む血小板貯蔵媒体及びPL−
146プラスチック容器を用いた。その結果、貯蔵28日後
の赤血球細胞溶液のpHは6.6未満に下がった。
実施例17においては、実施例16の方法に従って赤血球
細胞を貯蔵したが、薄いポリ塩化ビニル(PVC)プラス
チックとジエチルヘキシルフタレート(DEHP)とから成
るテルモXT−612血小板容器をPL−146容器の代わりに用
いた。さらに、赤血球細胞を、実施例16の場合の半分の
厚さで貯蔵し、炭酸水素ナトリウムを1当り4グラム
に高めた。400mlテルモXT−612中で用いた赤血球細胞の
体積は元の体積の2/3であった。これは、容器の容積に
対する赤血球細胞の体積を、実施例16において600mlのP
L−146を用いたのと同じにする。
テルモ容器の高いCO2透過性によって、貯蔵後のpHが
高く維持され赤血球の品質が高められるか否かを調べる
ための5つの実験を行なった。テルモXT−612容器を用
いた場合のpHは6.42±0.08であり、PL−146容器を用い
た場合の6.39±0.09よりもわずかに高いだけであった。
驚くべきことに、テルモの容器中で貯蔵された赤血球細
胞は、PL−146容器中で貯蔵された赤血球細胞に比べてA
TP濃度が高く溶血も少なかった。56日間の貯蔵後、平均
ATP濃度は2.54±0.57μmol/gHbであり、溶血は0.38±19
%であった。この実施例は、本発明の貯蔵媒体を用いる
と、他の市販の保存溶液を用いた場合よりも赤血球細胞
を長く貯蔵できることを示している。さらに、この実施
例は、血小板及び赤血球細胞を同一種類のプラスチック
容器中で貯蔵できることを示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ホルメ・シュタイン アメリカ合衆国、バージニア州 23452、 バージニア・ビーチ、キング・リチャー ド・コート 3349 (72)発明者 ヒートン・ウィリアム・アンドリュー・ ランバート アメリカ合衆国、バージニア州 23505、 ノーフォーク、サー・オリバー・ロード 257 (56)参考文献 特開 昭48−53589(JP,A) 特表 昭62−503029(JP,A) 国際公開87/5468(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 35/14 - 35/18 A01N 1/00 - 1/02

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1リットル当り3.0グラムないし25.0グラ
    ムのデキストロースと、3.0グラムないし6.0グラムのク
    エン酸ナトリウムと、2.0グラムないし4.2グラムの炭酸
    水素ナトリウムとを含む生理的に適合性を有する電解質
    水溶液を含む無菌で、血漿を含まず、等張で、そのpHが
    6.8ないし7.4であり、少なくとも4℃の温度下で少なく
    とも49日間赤血球を保存することができる赤血球細胞貯
    蔵媒体。
  2. 【請求項2】1リットル当り0.51グラムのクエン酸及び
    0.26グラムないし0.28グラムのアデニンをさらに含み、
    前記デキストロースの濃度が1リットル当り7.035グラ
    ムであり、前記クエン酸ナトリウムの濃度が1リットル
    当り4.471グラムであり、前記炭酸水素ナトリウムの濃
    度が1リットル当り3.0グラムである請求項1記載の赤
    血球細胞貯蔵媒体。
  3. 【請求項3】前記電解質溶液は1リットル当り6.4グラ
    ムないし7.6グラムの塩化ナトリウムと、0.2グラムない
    し0.4グラムの塩化カリウムと、0.1グラムないし0.4グ
    ラムの塩化カルシウムと、0.2グラムないし0.4グラムの
    硫酸マグネシウムと、0.1グラムないし0.6グラムの一塩
    基性リン酸ナトリウムを含む請求項1記載の赤血球細胞
    貯蔵媒体。
  4. 【請求項4】前記電解質溶液は6.45グラムの塩化ナトリ
    ウムと、0.375グラムの塩化カリウムと、0.248グラムの
    塩化カルシウムと、0.2グラムの硫酸マグネシウムと、
    0.355グラムの一塩基性リン酸ナトリウムとを含む請求
    項3記載の赤血球細胞貯蔵媒体。
  5. 【請求項5】1リットル当り0.51グラムのクエン酸及び
    0.26グラムないし0.28グラムのアデニンをさらに含み、
    前記デキストロースの濃度は1リットル当り7.2グラム
    であり、前記クエン酸ナトリウムの濃度は1リットル当
    り4.471グラムであり、前記炭酸水素ナトリウムの濃度
    は1リットル当り3.0グラムである請求項4記載の赤血
    球細胞貯蔵媒体。
  6. 【請求項6】ヒト赤血球細胞濃厚物をさらに含む請求項
    5記載の赤血球細胞貯蔵媒体。
  7. 【請求項7】1リットル当り3.0グラムないし25.0グラ
    ムのデキストロースと、3.0グラムないし6.0グラムのク
    エン酸ナトリウムと、0.4グラムないし0.6グラムのクエ
    ン酸と、2.0グラムないし4.2グラムの炭酸水素ナトリウ
    ムと、0.26グラムないし0.28グラムのアデニンを含む生
    理的に適合性を有する電解質水溶液から本質的になり、
    血漿を含まず、等張で、そのpHが6.8ないし7.4であり、
    少なくとも4℃の温度下で少なくとも49日間赤血球を保
    存することができる赤血球細胞貯蔵媒体。
  8. 【請求項8】前記デキストロースの濃度は1リットル当
    り7.2グラムであり、前記クエン酸ナトリウムの濃度は
    1リットル当り4.471グラムであり、前記クエン酸の濃
    度は1リットル当り0.51グラムであり、前記炭酸水素ナ
    トリウムの濃度は1リットル当り3.0グラムである請求
    項8記載の赤血球細胞貯蔵媒体。
  9. 【請求項9】前記電解質溶液は1リットル当り6.4グラ
    ムないし7.6グラムの塩化ナトリウムと、0.2グラムない
    し0.4グラムの塩化カリウムと、0.1グラムないし0.4グ
    ラムの塩化カルシウムと、0.2グラムないし0.4グラムの
    硫酸マグネシウムと、0.1グラムないし0.6グラムの一塩
    基性リン酸ナトリウムを含む請求項7記載の赤血球細胞
    貯蔵媒体。
  10. 【請求項10】前記電解質溶液は6.45グラムの塩化ナト
    リウムと、0.375グラムの塩化カリウムと、0.248グラム
    の塩化カルシウムと、0.2グラムの硫酸マグネシウム
    と、0.355グラムの一塩基性リン酸ナトリウムとを含む
    請求項9記載の赤血球細胞貯蔵媒体。
  11. 【請求項11】前記デキストロースの濃度は1リットル
    当り7.2グラムであり、前記クエン酸ナトリウムの濃度
    は1リットル当り4.471グラムであり、前記クエン酸の
    濃度は1リットル当り0.51グラムであり、前記炭酸水素
    ナトリウムの濃度は1リットル当り3.0グラムである請
    求項10記載の赤血球細胞貯蔵媒体。
  12. 【請求項12】1リットル当り6.4グラムないし7.6グラ
    ムの塩化ナトリウムと、0.2グラムないし0.4グラムの塩
    化カリウムと、0.1グラムないし0.4グラムの塩化カルシ
    ウムと、0.2グラムないし0.4グラムの硫酸マグネシウム
    と、0.1グラムないし0.6グラムの一塩基性リン酸ナトリ
    ウムと、3.0グラムないし25.0グラムのデキストロース
    と、3.0グラムないし6.0グラムのクエン酸ナトリウム
    と、2.0グラムないし4.2グラムの炭酸水素ナトリウム
    と、0.26グラムないし0.28グラムのアデニンを含む蒸留
    水から本質的になり、等張で、6.8ないし7.4のpHを有す
    る、無菌の、血漿を含まい赤血球細胞貯蔵媒体。
  13. 【請求項13】前記デキストロースの濃度は1リットル
    当り20.0グラムであり、前記クエン酸ナトリウムの濃度
    は1リットル当り4.471グラムであり、前記クエン酸の
    濃度は1リットル当り0.51グラムであり、前記炭酸水素
    ナトリウムの濃度は1リットル当り3.0グラムである請
    求項12記載の赤血球細胞貯蔵媒体。
  14. 【請求項14】前記電解質溶液は6.45グラムの塩化ナト
    リウムと、0.375グラムの塩化カリウムと、0.248グラム
    の塩化カルシウムと、0.2グラムの硫酸マグネシウム
    と、0.355グラムの一塩基性リン酸ナトリウムとを含む
    請求項13記載の赤血球細胞貯蔵媒体。
  15. 【請求項15】1リットル当り3.0グラムないし25.0グ
    ラムのデキストロースと、3.0グラムないし6.0グラムの
    クエン酸ナトリウムと、2.0グラムないし4.2グラムの炭
    酸水素ナトリウムとを含む生理的に適合性を有し、等張
    で、そのpHが6.8ないし7.4である電解質水溶液を調製す
    る工程と、 該溶液に赤血球細胞を懸濁し、少なくとも4℃の温度下
    で少なくとも49日間、前記赤血球細胞のかなりの部分を
    生かしたまま貯蔵する工程とを含む、無菌の、血漿を含
    まない赤血球細胞貯蔵媒体中で赤血球細胞を保存する方
    法。
  16. 【請求項16】1リットル当り0.51グラムのクエン酸及
    び0.26グラムないし0.28グラムのアデニンをさらに含
    み、前記デキストロースの濃度が1リットル当り7.2グ
    ラムであり、前記クエン酸ナトリウムの濃度が1リット
    ル当り4.471グラムであり、前記炭酸水素ナトリウムの
    濃度が1リットル当り3.0グラムである請求項15記載の
    方法。
  17. 【請求項17】前記電解質溶液は1リットル当り6.4グ
    ラムないし7.6グラムの塩化ナトリウムと、0.2グラムな
    いし0.4グラムの塩化カリウムと、0.1グラムないし0.4
    グラムの塩化カルシウムと、0.2グラムないし0.4グラム
    の硫酸マグネシウムと、0.1グラムないし0.6グラムの一
    塩基性リン酸ナトリウムとを含む請求項16記載の方法。
  18. 【請求項18】前記電解質溶液は6.45グラムの塩化ナト
    リウムと、0.375グラムの塩化カリウムと、0.248グラム
    の塩化カルシウムと、0.2グラムの硫酸マグネシウム
    と、0.355グラムの一塩基性リン酸ナトリウムとを含む
    請求項17記載の方法。
  19. 【請求項19】請求項15に記載された方法による生成
    物。
  20. 【請求項20】請求項18に記載された方法による生成
    物。
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