JP2008529550A - 赤血球の保存のための組成物及び方法 - Google Patents

赤血球の保存のための組成物及び方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長期の保存期間、より優れた回収率、及び注入されたRBCの生理的な性能の向上を可能にするような優れたRBC保存のための組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、赤血球の保存のための水性組成物を提供する。前記組成物は、本質的には、アデニンと、デキストロースと、少なくとも1つの膜保護糖と、具体的に定義されたpH緩衝系を提供する。また、赤血球を保存するためのより優れた方法、並びに保存された赤血球のアポトーシス、溶血、及び再注入後のクリアランスを抑制すると同時に生存率、膜維持、及び回収率を増大させる方法をも提供する。これらの方法には、本発明の新規の組成物が使用される。
【選択図】図1

Description

本件の一部は、米国軍との契約(契約番号DAMD17−95−C−5029)に基づいて行われたので、米国政府が本発明の所有権を有し得る。
本発明は、一般的には、赤血球(red blood cell:RBC)の保存に関する組成物及び方法に関連する。具体的には、本発明は、改善されたRBCの保存組成物及び方法、及びそれらの利用法に関連する。
患者へ再注入するための赤血球(RBC)の保存方法は、現代手術の先駆けであり、比較的最近開発された技術である。この赤血球保存は科学的には困難であり、長期の保存期間の達成及び再注入される良質の赤血球の獲得のためのステップは追加されてきた。赤血球は、ドナーから採取されるとすぐに凝固し、栄養不足となり、ATP、2,3−DPG、膜の表面積及び完全性、並びにヘモグロビン(hemoglobin:Hb)を失い、死に始める。1916年にRous及びTurner、並びに1917年にRobertsonが初めて全血の保存に成功した。その後、抗凝固剤としてのクエン酸と赤血球に使用される唯一の栄養素であるデキストロースとを含む酸−クエン酸−デキストロース(Acid-citrate-dextrose:ACD,1943)、並びに代謝物質としての及び膜の維持のためのリン酸をさらに含むクエン酸−リン酸−デキストロース溶液(Citrate-phosphate-dextrose solution:CPD,1957)の使用が全血の21日間の保存に承認された。その後、アデニンを有するCPD(CPDA−1,1979)が全血及び濃厚RBCの保存期間を最大5週間までに延長するのに導入され、使用された。
当初は、最終生産工程に行われる熱滅菌の際にグルコースがキャラメル化するのを防止するために、保存組成物は酸性になるように設計されていた。1950年代にアデニンが添加物として有用であることが判明した。アデニンは、脱アミノ反応によって損失したアデニンを補う。1970年代には、血小板の除去及び血漿製剤の作成のために、採取された全血から血漿を除去することが望ましくなった。しかし、これにより、得られる「濃厚RBC」の回収率が減少した。
これを回避するために、添加液(additive solutions:AS)として当該技術分野で公知の組成物が、RBC保存液の容量、栄養素及び他の有用なRBCの安定剤を再構築する目的で開発された。全血液から単離された赤血球(RBC)を保存するための添加液の組成は、RBCの必要性に合わせて作成される。1981年には、開発されたある添加液でRBCを6週間までに保存することが可能となった。しかしながら、これらの溶液に保存された赤血球(RBC)は、6週間後には常に劣化した。これは、人間のドナーへ再注入された赤血球の75%が24時間以内に循環系において生存できないことにより断定された。赤血球の冷蔵保存を継続すると、グルコースの消費が低下し、代謝廃棄物(すなわち、乳酸及び水素イオン)が増加することが確認された。このようなグルコースの代謝低下により、アデノシン三リン酸(adenosine tri phosphate:ATP)が枯渇する。ATPは、循環系に戻される際のRBCの回収率に直接関連する。Adsol.RTM(AS−1)、Nutricel.RTM(AS−3)、Optisol.RTM(AS−5)、及びErythroSol.RTMなどの添加液は、1〜6℃でのRBCの保存を延長するように考案されている。米国で認可された3つの全てのAS(AS−1,AS−3、及びAS−5)は、食塩水、アデニン、グルコース、並びに「細胞膜の保護剤」としての少量のクエン酸及び/又はマンニトールを含む。また、AS−3は、モノナトリウムリン酸塩をも含む。米国で認可されたそれぞれのASは、RBCの6週間保存への使用のための認可の必要条件を満たすが、RBCを7週間保存することはできない。現在認可されているRBC添加液の組成物は、保存損傷(storage lesion)(ここでは、RBCの生存及び/又は機能を制限する保存の総合効果として定義する)がアポトーシス過程であると判明する以前に開発された。
現在、採取される全血は各成分に分けられ、RBC画分は濃厚RBCとして保存される。添加液系に取り込まれる血液に関しては、遠心分離によってRBCが濃縮され、RBCが容量の80%を構成するように血漿が除去され、100mlの添加液が無菌的に加えられる。得られる懸濁液のRBCの容量分率は、約55%である。RBCは、FDAに認可された従来の添加液では6週間のみ保存可能であり、その期間中には許容されるインビボ回収率(体内に注入された24時間後)を示す。
保存期間後に患者に再注入されるRBCの許容されるインビボ回収率の程度を増大させるために、添加液及び保存方法を改善する試みが行われた。「Studies In Red blood cell Preservation-7. In vivo and in vitro Studies With A Modified Phosphate-Ammonium Additive Solution(Greenwalt et al., Vox. Sang. 65:87-94, 1993)」では、著者らは、20mMのNHCL、30mMのNaHPO、2mMのアデニン、110mMのデキストロース、55mMのマンニトールを含む実験的な添加液(EAS−2)(pH=7.15)が人間のRBCの保存期間を現行基準である5〜6週間から8〜9週間に延長するのに有用であると断定した。しかしながら、EAS−2に存在するアンモニウムにより、この添加液に保存された濃厚RBCを直接注入することはできず、輸血の前に洗浄工程で上精を除去する必要がある。
「Studies in Red blood cell Preservation-8; Liquid Storage of Red Cells in Glycerol-Containing Additive Solution(Greenwalt et al., Vox. Sang. 67:139-143, 1994)」では、著者らは、9週間後において73%の濃厚赤血球の回収率を可能にする添加液(EAS−25)を示した。しかしながら、得られるRBC液は、約1パーセントのグリセロールを含む。したがって、人間にこのRBC液を大量に注入するのは安全ではない。
「Extending the Storage of Red Cells at 4.degree. C.(Meryman et al., Transfus. Sci. 15:105-115, 1994)」では、非常に希薄な懸濁液に低へマトクリット値で27週間ほど保存されたRBCは、許容範囲の生存率を示した。しかしながら、このように保存されたRBCは、カリウム及びアンモニアの高い含量並びにRBCの低い容量分率により、直接注入できない。この有効性を実現するためには、200mLのRBCに対して5Lの添加溶液が必要であり、これは、臨床的に実施できない。
認可及び市販されている製品に関しては、米国で現在認可されている添加液は、約6週間のみ保存効果があり、約80%のRBC回収率を示す。現在ヨーロッパで認可されている2つの添加液は、約7週間の保存効果があり、平均して77%の回収率(Baxter Healthcare(La Chatre, France)市販のErythroSol)及び75%の回収率(Maco Pharma市販のPAGGSマンニトール)を示す。Kurupら(Vox Sang 2003: 85:253-261)によって示された新規の添加液は、低濃度のATPにより、保存期間はより短いと思われる。
従来の発見の欠点に対応するために、本発明者らは、低量のリン酸2ナトリウムを含み、採取される血液に対するCPD(citrate-phosphate-dextrose:クエン酸塩−リン酸−デキストロース)などの酸性抗凝固液の効果を中和したアルカリ性の試験的な添加液(experimental additive solution:EAS)を開発した。これらのEASは、RBCのATPの濃度を改善し、溶血を減少させ、RBC膜の形態変化及び損失を減少させた(米国特許第6,150,085号及び第6,447,987号(Hess 及び Greenwalt)を参照(参照により本明細書に組み込まれるものとする))。様々なEASが9〜12週間の保存に有効であることが判明した。これらのEASは、より優れた性能結果を示したが、塩化ナトリウムを含むと共に比較的大量に使用されるように構成されている。その結果、保存されるRBCは著しく希釈されるので、大量に輸血される患者の血液が希釈される危険性が高まる。また、塩化ナトリウムを含んでいることにより、望ましい量で溶液系に溶解できるはずの緩衝塩及びリン酸の溶解度が制限される。
輸血可能な血液の需要が高いが、断続的である期間(戦時中など)、及び輸血可能な血液が必要だが、その需要が非一貫的及び散発的である地域では、RBC保存期間の延長は重要である。実際には、一般的な需要を把握する以前に安全な保存期間の終了のために多くのRBC製剤が無駄に廃棄されていると報告されており、それを考えると、RBCを安全に保存できる保存期間の延長は普遍的な課題である。
したがって、従来の添加液の量と同様に低量でRBCの回収率及び性能を維持又は高めるように構成されたRBCの保存組成物が必要である。長期の保存期間、より優れた回収率、及び注入されたRBCの生理的な性能の向上を可能にするような優れたRBC保存のための血液保存及び輸血の技術が常に必要である。したがって、より優れたRBC保存組成物及びその作成方法が必要になってくる。また、添加組成物が加えられたRBC懸濁液を人間に直接注入できるようにし、かつRBCの生理的な機能を高め、そのクリアランスの程度を低下させ、許容範囲の回収率を可能にする添加組成物も常に必要である。
したがって、本発明は、採取された赤血球の保存に適切な新規の組成物を提供する。従来、塩化ナトリウムは、保存組成物の適切な作用に必要であると考えられた。しかし、本発明者らは、このような組成物から塩化ナトリウムを実質的に除去すると、組成物の性質が向上し、pH緩衝液系の機能が高まることを発見した。このpH緩衝液系の機能の高まりにより、保存及び再注入される赤血球の完全性及び機能性質の点、並びに必要な回収率を維持した状態及び認可のために規制法が制限するレベルを越えない溶血レベルを有する状態でRBCが保存される保存期間の点に関する利点が得られる。また、本発明の組成物は、従来の量において優れた性能を維持するので、とりわけ大量の輸血を必要とする患者に注入される赤血球の保存に適切である。
本発明のある実施形態は、約1〜6℃における赤血球の保存のための組成物を提供する。組成物は、本質的には、アデニンと、デキストロースと、少なくとも1つの非代謝性の膜保護糖と、pH緩衝液系とを含む。pH緩衝液系は、重炭酸ナトリウムとリン酸2ナトリウムとを含み、組成物が約8〜9のpHを有するのに十分な量で存在する。pH緩衝系は、1,3−DPGからの2,3−ジホスホグリセレート(DPG)の合成よりも解糖を優先する赤血球内の反応平衡を保存期間中に確立及び維持するのに十分な量の組成物が加えられる赤血球懸濁液のpHを前記組成物が維持する働きをするのに十分な量で存在し、それによって、保存期間中に反応平衡でATP合成が発生する。本発明の他の実施形態では、組成物は塩化ナトリウムを実質的に有しない。
本発明に係る組成物のより具体的な実施形態は、特定の組成物及びその量と、組成物のオスモル濃度及びpHの範囲とを対象にしている。他の具体的な実施形態は、赤血球のpHを特定の値の範囲で維持する働きのある本発明に係る組成物を対象にする。
本発明のさらなる実施形態は、本発明に係る組成物を含む赤血球の懸濁液を対象にする。
また、本発明の方法の実施形態も提供される。このような実施形態の1つは、保存期間に赤血球(RBC)を保存する方法を対象にする。前記方法は、(a)保存するRBCと血漿とを含む採取された全血のサンプルを抗凝固液と混合し、それによって、採取された全血の懸濁液を作成するステップと、(b)血漿を除去し、RBCを濃縮するために前記採取された全血を処理し、それによって、濃厚RBCを作成するステップと、(c)前記濃厚RBCを、約35〜70容量%のRBCを有するRBC懸濁液を作成するのに十分な量の組成物と混合するステップと、(d)前記RBC懸濁液を1〜6℃に冷却するステップと、(e)前記冷却したRBC懸濁液を血液銀行の標準的な方法にしたがって保存するステップとを含む。組成物は、本質的には、アデニンと、デキストロースと、少なくとも1つの非代謝性の膜保護糖と、pH緩衝液系とを含む。pH緩衝液系は、重炭酸ナトリウムとリン酸2ナトリウムとを含み、組成物が約8〜9のpHを有するのに十分な量で存在する。pH緩衝系は、1,3−DPGからの2,3−ジホスホグリセレート(DPG)の合成よりも解糖を優先する赤血球内の反応平衡を保存期間中に確立及び維持するのに十分な量の組成物が加えられる赤血球懸濁液のpHを前記組成物が維持する働きをするのに十分な量で存在し、それによって、保存期間中に反応平衡でATP合成が発生する。さらに具体的な実施形態を示す。
さらなる実施形態は、赤血球(RBC)膜の維持の向上及び保存期間中のRBCのアポトーシスの抑制と、赤血球(RBC)の脆弱性を低下させ、保存期間中の溶血を抑制することと、保存期間後及び赤血球(RBC)の注入を必要とする患者への注入後の赤血球(RBC)の生存能力を増大させ、注入後のRBCの患者によるクリアランスの比率を減少させることとのために本発明に係る組成物を使用する方法を対象にする。
本発明にしたがって作成された組成物及びRBC懸濁液は、注入後に十分な治療量のRBCが回収される保存期間を提供する。また、RBC注入のために確立及び承認されている公知の標準的な処理を行うことなく、RBC懸濁液を直接注入することができる。
本発明のこれらの及びさらなる実施形態及び態様は、下記の図面、発明を実施するための最良の形態、及び実施例により、さらに理解されるであろう。
本発明は、一般的に、赤血球(RBC)の保存に関する組成物及び方法に関連する。とりわけ、本発明は、新規の添加液と、クエン酸塩−リン酸−デキストロース(citrate phosphate dextrose:CPD)溶液、その溶液の異種型、クエン酸塩−リン酸−デキストロース2デキストロース(citrate phosphate double dextrose:CP2D)溶液、又はアフェレーシス(患者又はドナーからの全血液の除去)で酸−クエン酸−デキストロース(acid citrate dextrose:ACD)溶液若しくは同様な溶液に採取された全血から分離されたRBCの保存に関する方法とに関連する。
本発明の目的上、「回収」という用語は、保存されたRBCの一部分が人間に再注入された後の24時間の間に循環系に留まることを示す意味で本明細書で使用されている。
本明細書で使用されている「塩化物」は、アニオン性塩化物を意味する。したがって、「塩化物」という用語は、アニオン性塩化物及びそれらの塩(塩素アニオンと生理学的に許容されるカチオンとから作成される塩など)を含む。「塩化物」という用語は、塩素原子が共有結合している化合物(例えば、炭素原子と塩素とが共有結合した有機分子)を意味するものではない。
本明細書に使用されている「生理学的に許容される緩衝剤」は、人間の血液、血漿、若しくは血清に存在する、又は人間の体内に導入される際に耐容されるカチオン及びアニオンを発生させる緩衝剤を意味する。適切なカチオンとしては、陽子、アンモニウムカチオン、及び金属カチオンがある。適切な金属カチオンとしては、これらに限定されるものではないが、例えば、カチオン型のナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムがある。尚、ナトリウム及びカリウムの方が好ましく、その中でもナトリウムのカチオンが最も好ましい。アンモニウムカチオン(つまり、一般式Rの化合物(尚、Rは水素又は有機基である)は、生理学的に許容される限り使用され得る。好ましい実施形態では、カチオンは、水素(すなわち、水素イオン)と、カリウムと、アンモニウムと、マグネシウムと、それらの組み合わせとから選択される。本明細書で使用される「緩衝剤」は、組成物のpHを調整及び制御する物質を意味する。
本明細書に開示されている本発明に係る組成物は、水性である(つまり、水で調製されている)。本発明に係る好ましい水は、発熱物質(pyrogen)を本質的に含まないように処理されている(つまり、無菌である)。
本明細書に使用されている「mEq/L」は、水の量に比例して存在する特定の化合物(溶質)の濃度を意味する。さらに具体的には、mEq/Lは、1リットルの水当たりの溶質のミリ当量を意味する。1リットル当たりのミリ当量は、1リットル当たりの溶質のモル数に荷電種(群)の価数を掛け、それに1000を掛けたものである。
本発明のある実施形態は、赤血球を約1〜6℃で保存するための水性組成物を提供する。前記組成物は、本質的には、アデニンと、デキストロースと、少なくとも1つの非代謝性の膜保護糖と、pH緩衝系とを含む。pH緩衝系は、生理学的に許容される緩衝剤の組み合わせを含み、重炭酸アニオンを提供する少なくとも1つの物質と、リン酸アニオンを提供する少なくとも1つの物質と、ナトリウムカチオンを提供する少なくとも1つの物質とを含む必要がある。本発明では、ある単一の緩衝塩がこれらの要求の2つ以上を満たすことができると考えられる。
赤血球の保存技術では、赤血球の懸濁液系におけるATPの濃度が系の健全性に最も関連するものであることがよく知られている。赤血球は、解糖でd−グルコース(デキストロース)を最終的に乳酸に変換することでATPを生成する。したがって、乳酸の濃度曲線は、ATP合成に対しても良い指標になる。系の保存能力に関わらず、赤血球は限られた寿命を有する。採取された赤血球は様々な年齢を有し、その中には、自然死に近いものもある。保存系に新しいRBCが入ることがないので、再注入後の必要な回収率を維持できる保存期間には限度がある。したがって、系のATP産出能力全体は時間と共に減少する。しかし、添加液を加えると、その添加液が自然の濃度よりも高い濃度の栄養物質を提供するので、最初はATPが増加することがよくある。また、RBCは、最初は「膨張」する。これは、ATPの使用の減少にも関連する。
RBCを本発明に係る添加液に保存すると、理論的制約にとらわれずに、栄養溶液の容量の増加によって基質の供給が許容される濃度内で増加し、代謝廃棄物が希釈されるので、グルコース代謝に対するフィードバック阻害が減少すると考えられる。さらに、本発明に係る添加液は、初期にRBCの膨張を引き起こす特徴があると考えられる。その後の保存の間にRBCの容量は次第に減少する。
このような工程は、「調節性容量減少」と呼ばれる。この工程の間にRBCに存在するチロシンホスファターゼ活性が阻害される、又はチロシン・キナーゼが活性化されると考えられる。これらの酵素は、RBCの膜に大量に存在することが示された(Zipser, Y. and Kosower, N. S. (1996) Biochem. J. 314:881; Mallozzi C. et al. (1997) FASEB J. 11 :1281)。RBC膜のバンド3タンパクのリン酸化反応により、バンド3タンパクに結合しているホスホフルクトキナーゼ、アルドラーゼ、及びグリセロアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼが細胞質に放出されると考えられる(Harrison, M. L. et al. (1991) J. Biol. Chem. 266:4106; Cossins, A. R. and Gibson J. S. (1997) J. Exper. Biol. 200:343; Low, P. S. et al. (1993) J. Biol. Chem. 268:14627; Low, P. S. et al. (1995) Protoplasma 184:1961)。解凍経路にこれらの3つの酵素が作用すると、RBCによるグルコースの代謝が増加し、それにより、ATPの合成が増大し、RBC内のATPの濃度が増加すると考えられる。したがって、添加液組成物の調製の目的は、ATPの合成ができる限り高い率でできる限り長く維持されることである。
本発明者らは、ATP合成を最大限にするための手掛かりがRBCの細胞内のpHを7.2に到達させることなく、できる限りその近くに維持することであると発見した。ATPの濃度は、保存の初期には一定に維持する又は一時的に増加さえするが、その後、減少する。RBCのATP濃度が2μmol/g Hbよりも低下すると、RBCの回収率は通常、75%未満になる。RBCは、保存の初期に2,3−DPGを失う。一般的に、ATPの初濃度は、約15μmol/g Hb又は約1.1mol/mol Hbである。7〜10日目には、濃度は通常、初濃度の10分の1に低下する。2,3−DPGの合成速度は、pHに比例する。pHが7.2よりも高い場合は、前記合成は著しく行われるが、それよりも低い場合は、低下する。保存系のpHを上昇させることで2,3−DPG合成を増大させると、2,3−DPG分子が合成されるごとにATP合成が1モルずつ減少するので、この試みには限界がある。したがって、従来望ましいと考えられたRBCの2,3−DPG濃度の上昇は、実際には、RBCの保存期間を減少させる。
保存系の環境が酸性になればなるほど、RBCの代謝は低下する。pHが7.2のときには、ラパポート・シャント(Rappaport shunt)(「Alkaline CPD and the preservation of red blood cell 2,3−DPG(Hess et al, (2002) Transfusion, 42:747-752」を参照(参照により本明細書に含まれるものとする))として知られる機構が起きる。この機構では、1,3−DPGから2,3−DPGが合成され、ATP合成に必要なリン酸が消費され、解糖的に2分子のATPを合成する解糖ステップが回避される。系に対するこの機構の正味の影響は、ATPの枯渇である。細胞内pHが7.2未満である場合は、シャントは効果的に遮断され、ATP合成が最大限になる。自然状態では、シャントはある程度機能し、2,3−DPGは他の細胞機構に対して重要である。しかしながら、本発明者らは、インビボ環境外での保存期間中に赤血球を保存するためには、シャント作用の最小化が望ましいと発見した。
したがって、本発明に係る組成物の実施形態では、pH緩衝系は、1,3−DPGからの2,3−ジホスホグリセレート(DPG)の合成よりも解糖を優先する赤血球内の反応平衡を保存期間中に確立及び維持するのに十分な量の組成物が加えられる赤血球懸濁液のpHを前記組成物が維持する働きをするのに十分な量で存在し、それによって、保存期間中に反応平衡でATP合成が発生する。本発明に係る組成物のある具体的な実施形態では、組成物は、その組成物が加えられた赤血球(RBC)懸濁液のpHを約6.4〜7.4の間に維持する働きがある。さらに具体的な実施形態では、組成物は、その組成物が加えられた赤血球(RBC)懸濁液のpHを約7.0〜7.2の間に維持する働きがある。さらに具体的な実施形態では、組成物は、その組成物が加えられた赤血球(RBC)懸濁液のpHを約7.1よりも高く、約7.2よりも低い値に維持する働きがある。
本発明者らは、塩化物を実質的に含まない添加液を作成した。意外なことに、塩化物の不在は系に対して悪影響を及ぼすことなく、むしろそれにより、緩衝効果を増大させるために緩衝系をさらに追加することができる。本発明のある実施形態は、約1〜6℃での赤血球の保存のための水性組成物をも対象にしている。この組成物は、アデニンと、デキストロースと、少なくとも1つの非代謝性の膜保護糖と、pH緩衝液系とを含む。pH緩衝系は、重炭酸アニオンを提供する少なくとも1つの物質と、リン酸アニオンを提供する少なくとも1つの物質と、及びナトリウムカチオンを提供する少なくとも1つの物質とを含む生理学的に許容される緩衝剤の組み合わせを含む。pH緩衝系は、1,3−DPGからの2,3−ジホスホグリセレート(DPG)の合成よりも解糖を優先する赤血球内の反応平衡を保存期間中に確立及び維持するのに十分な量の組成物が加えられる赤血球懸濁液のpHを前記組成物が維持する働きをするのに十分な量で存在し、それによって、保存期間中に反応平衡でATP合成が発生する。組成物は、外部由来の塩化物イオンを実質的に含まない。本明細書に使用されている「外部由来の塩化物イオンを実質的に含まない」は、組成物に塩化物イオンを発生させる物質が一切加えられていないことを意味する。
さらなる実施形態は、本発明に係るいずれかの組成物を含み、かつ患者に直接注入するのに適切な赤血球の懸濁液を対象にしている。
本発明に係る組成物のさらなる実施形態では、ナトリウムカチオンを提供する少なくとも1つの物質は、重炭酸ナトリウムと、リン酸2ナトリウムと、それらの組み合わせとから成る群から選択される。さらに具体的な実施形態では、重炭酸アニオンを提供する少なくとも1つの物質は、重炭酸ナトリウムである。さらなる実施形態では、リン酸アニオンを提供する少なくとも1つの物質は、リン酸ナトリウムと、リン酸2ナトリウムと、リン酸3ナトリウムと、それらの組み合わせとから成る群から選択される。さらに具体的な実施形態では、リン酸アニオンを提供する少なくとも1つの物質は、リン酸2ナトリウムである。本発明に係る組成物の他の実施形態では、生理学的に許容される緩衝剤の組み合わせは、Hと、カリウムと、アンモニウムと、マグネシウムと、それらの組み合わせとから成る群から選択される生理学的に許容されるカチオンを提供する少なくとも1つの物質をさらに含む。
本発明に係る組成物のさらなる実施形態では、少なくとも1つの非代謝性の膜保護糖は、マンニトールである。幾つかの糖アルコールは、特に単糖由来の糖アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール)は、親水性の低分子であり、脂質バリアを介して容易に拡散し、細胞の安定性に重要な働きをし得る。特にマンニトールは、インビボでヒドロキシルラジカルのスカベンジャーとして作用する抗酸化物質として知られている。マンニトールは、細胞膜の完全性の維持に重要な役割を担い、膜保護糖として見なされている。他の低分子のポリオールもまた、膜保護糖として機能する。グルコース及びマンニトールが同じ分子量(180g/モル)を有することを留意されたい。糖アルコールは、赤血球によって代謝されることはない。
本明細書に使用されているオスモル濃度は、実験的に求められる値である。オスモル濃度は、溶液によって完全な半透過性膜(水を通過させるが、溶質を通過させない)にかかる浸透圧の純水と比較した測定値である。オスモル濃度は、溶液中の溶質の数に依存するが、溶質の特性に依存しない。単純な溶液のオスモル濃度は、1分子の解離するパーティクルの数をモル濃度に掛けたものに等しい。実際の溶液に関しては、オスモル濃度の求め方は、より複雑である。1L当たりの当量が大きいタンパクは、「大きなパーティクル」を少量しか含まないのでオスモル濃度に少ししか寄与しないことがある。溶液中では、全ての分子が解離しているわけではない。カチオンは、他のアニオン又はタンパクに結合していることがある。溶液の容量全てが水に由来するものではない。正確に測定するためには、これらの要因を計算に加える必要がある。
張度は、オスモル濃度に非常に関連し、かつ生物細胞の状態を説明するのにより有用な値であり、物質によって細胞膜に発生する浸透圧の血漿と比較した測定値である。オスモル濃度は、浸透圧物質を完全な非透過性と過程した際の水の有効勾配を測定した値である。オスモル濃度は、単純に溶解した「パーティクル」の数である。例えば、300mMのグルコース溶液と150mMのNaCL溶液は同じオスモル濃度を示す。しかしながら、これらの溶液に置かれた細胞は、非常に異なる作用をする。張度は、溶液が細胞内容量の膨張を抵抗する傾向を示す機能的用語である。
さらなる実施形態では、本発明に係る組成物のオスモル濃度は、約200〜310mOsmの間である。さらに具体的な実施形態では、本発明に係る組成物のオスモル濃度は、約221〜280mOsmの間である。非常に具体的な実施形態では、オスモル濃度は、約270mOsmである。
上記に説明したように、RBCはグルコース(d−グルコース=「デキストロース」)を代謝し、ATPを合成する。廃棄物は、乳酸及び水素イオンである。水素イオンは次第に蓄積し、pHを下げ、さらなる代謝を阻害する。重炭酸塩は、水素イオンと結合し、RBCの炭酸脱水酵素によって水及び二酸化炭素に変換される緩衝系として示された。二酸化炭素の放散(diffusion)を可能にする保存容器では、逆反応は防止され、反応はCOの形成へと進行する。重炭酸塩系の緩衝系は、非常に有用である。添加液において生理的濃度で存在する重炭酸は、pCOを発生させる。このpCOにより、600mLの塩化ビニル袋から一週間に1〜2mmolのCOが放散される。しかしながら、重炭酸を用いたRBC保存添加液作成の以前の試みは、ATP合成の増加及び保存期間の延長という点では失敗した。例えば、Beutler(BAG-PM)は、RBC保存液に重炭酸を添加したが、高pHを制御することができず、それにより、ATPが枯渇した。
RBC添加液の組成物に食塩水が不要であることと、ATP合成に悪影響を及ぼすことなくデキストロースの濃度を低下させることができることとを発見したことにより、本発明者は、溶液パラメータに生じた「余裕」を利用して、pH緩衝系を増加及び微調整することができた。本明細書に開示されている緩衝液系は、添加液組成物に対して適切な初期pHをもたらすだけでなく、RBCのATP合成を最大限にする細胞内pHを調整するpHをもたらす。緩衝系は、保存期間中にこれらのpH制御を行うことができる。したがって、pH緩衝系の緩衝能力は意図的に調整されている。本発明に係る組成物のある実施形態では、組成物のpHは、約8〜9である。さらに具体的な実施形態では、組成物のpHは、約8.2〜8.8である。なおさらに具体的な実施形態では、組成物のpHは、約8.4〜8.6である。非常に具体的なある実施形態では、組成物のpHは、約8.5である。他の実施形態は、6週間の保存期間中に6.5〜7.2の間のpHで少なくとも2mEq増加する組成物が加えられる赤血球(RBC)懸濁液において緩衝能力を示す緩衝系の前記組成物を対象にしている。本明細書に開示している緩衝系は、少なくともこの値の緩衝能力を示すが、RBC懸濁液に対してさらに大きな緩衝能力を示すことができる。それにより、保存期間はさらに延長する。
本発明者らは、本明細書で開示されている利点を可能にするために、組成物の必要な成分の範囲を決定した。本発明に係る組成物のある実施形態では、組成物は、約1〜3mMのアデニンと、約20〜115mMのデキストロースと、約15〜60mMの非代謝性の膜保護糖と、約20〜130mMの重炭酸ナトリウムと、約4〜20mMのリン酸2ナトリウムとを含む。さらに具体的な実施形態では、組成物は、約2mMのアデニンと、約60〜100mMのデキストロースと、約40〜60mMの非代謝性の細胞膜保護糖と、約22〜40mMの重炭酸ナトリウムと、約7〜15mMのリン酸2ナトリウムとを含む。なおさらに具体的な実施形態では、組成物は、約2mMのアデニンと、約80mMのデキストロースと、約55mMの非代謝性の膜保護糖と、約26mMの重炭酸ナトリウムと、約12mMのリン酸2ナトリウムとを含み、約8.5のpHを有する。
また、本発明は、方法の実施形態をも提供する。ある実施形態では、保存期間中に赤血球(RBC)を保存する方法が提供される。前記方法は、(a)保存するRBCと血漿と含む採取された全血のサンプルを抗凝固液と混合し、それによって、採取した全血の懸濁液を作成するステップと、(b)血漿を除去し、RBCを濃縮するために前記採取された全血を処理し、それによって、濃厚RBCを作成するステップと、(c)前記濃厚RBCを、約35〜70容量%のRBCを有するRBC懸濁液を作成するのに十分な量の組成物と混合するステップと、(d)前記RBC懸濁液を1〜6℃に冷却するステップと、(e)前記冷却したRBCの懸濁液を、当該技術分野で公知の血液銀行の標準的な方法にしたがって保存するステップとを含む。水性組成物は、本質的には、アデニンと、デキストロースと、少なくとも1つの非代謝性の膜保護糖と、pH緩衝液系とを含む。pH緩衝系は、重炭酸アニオンを提供する少なくとも1つの物質と、リン酸アニオンを提供する少なくとも1つの物質と、ナトリウムカチオンを提供する少なくとも1つの物質とを含む生理学的に許容される緩衝剤の組み合わせを含む。pH緩衝系は、1,3−DPGからの2,3−ジホスホグリセレート(DPG)の合成よりも解糖を優先する赤血球内の反応平衡を保存期間中に確立及び維持するのに十分な量の組成物が加えられる赤血球懸濁液のpHを前記組成物が維持する働きをするのに十分な量で存在し、それによって、保存期間中に反応平衡でATP合成が発生する。製造中には、滅菌工程の間にデキストロースとリン酸と重炭酸とを分離するように溶液は分けられる。
本発明に有用なRBCは、血漿から分離され、通常の成分製造の過程で抗凝固液に再懸濁されたRBCである。簡単に説明すると、RBCと血漿とを含む標準の全血サンプル(450±45ml)を約63mlの抗凝固液と混合し、全血の懸濁液を作成する。ドナーの血液量に応じて、溶液量を比例的に増加又は減少させることができる(400±40ml〜500±50ml)。その後、濃厚RBCを作成するために、RBCを血漿から分離し、全血の懸濁液を遠心分離する。従来の技術を用いて白血球を減少させると、全工程の結果がさらに向上する。
適切な凝固剤として、RBCの保存に使用される従来の凝固剤がある。好ましくは、抗凝固剤は、クエン酸を含み、5.5〜8.0のpHを有する。(例えば、CPD、2倍に希釈されたCPDなど)。最も好ましい抗凝固剤は、CPDである。
その後にRBC懸濁液は、通常、収集バッグ又は分割量に応じた様々な大きさのPVCトランスファーパックを使用してポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride:PVC)の標準血液保存バッグに保存する。RBC懸濁液は、「Clinical-Practice of Blood Transfusion(editors: Petz & Swisher, Churchill-Livingston publishers, N. Y., 1981)」に記載されている血液銀行の標準的な方法にしたがって、約1〜6℃で保存される。本明細書で引用されている全ての文献は、参照により、本明細書に組み込まれるものとする。本発明に係る方法のある具体的な実施形態では、RBCの懸濁液は、その直接注入を必要とする患者への直接注入に適切である。PVC血液保存バッグは本業界で承認された標準規格だが、本発明では、RBC懸濁液の保存に適切な様々なバッグ(例えば、必要な可塑剤などを含んだもの)での保存も考えられる。本明細書では、RBCの保存技術に関するバッグ又は容器に関連する成分についての説明はないが、本発明を実施するために様々な容器技術が使用され得ることは当業者に明白になるであろう。
凍結乾燥されたRBCを再水和する、又は保存された凍結血液又は血液成分(例えば、RBC)を解凍するためにも本発明に係る添加液を使用することができる。
本発明に係るRBC保存方法の具体的な実施形態では、少なくとも1つの非代謝性の膜保護糖は単糖由来のアルコール糖であり、さらに具体的な実施形態では、非代謝性の膜保護糖はマンニトールである。本発明に係る方法のさらなる実施形態では、ナトリウムカチオンを提供する少なくとも1つの物質は、重炭酸ナトリウムと、リン酸2ナトリウムと、それらの組み合わせとから成る群から選択される。具体的な実施形態では、重炭酸アニオンを提供する少なくとも1つの物質は、重炭酸ナトリウムである。RBCの保存方法に関するさらなる実施形態では、リン酸アニオンを提供する少なくとも1つの物質は、リン酸ナトリウムと、リン酸2ナトリウムと、リン酸3ナトリウムと、それらの組み合わせとから成る群から選択される。さらに具体的な実施形態では、リン酸アニオンを提供する少なくとも1つの物質は、リン酸2ナトリウムである。本発明に係る方法の他の実施形態では、生理学的に許容される緩衝剤の組み合わせは、Hと、カリウムと、アンモニウムと、マグネシウムと、それらの組み合わせとから成る群から選択される生理学的に許容されるカチオンを提供する少なくとも1つの物質をさらに含む。
RBCの保存方法に関するさらなる実施形態では、組成物は、約200〜310mOsmのオスモル濃度を有する。具体的な実施形態では、オスモル濃度は約221〜280mOsmであり、さらに具体的な実施形態では、オスモル濃度は約270mOsmである。本発明に係る方法の他の実施形態では、組成物は、約8〜9のpHを有する。具体的な実施形態では、組成物のpHは約8.2〜8.8であり、他のさらに具体的な実施形態では、組成物のpHは約8.4〜8.6である。なおさらに具体的な実施形態では、組成物のpHは約8.5である。本発明に係るRBC保存方法のさらなる実施形態では、緩衝系は、6週間の保存期間中に6.5〜7.2の間のpHで少なくとも2mEq増加する組成物が加えられる赤血球(RBC)懸濁液において緩衝能力を示す。
本発明に係るRBC保存方法のある実施形態では、組成物は、前記組成物が加えられた赤血球(RBC)懸濁液のpHを約6.4〜7.4の間に維持する働きがある。具体的な方法の実施形態では、組成物は、前記組成物が加えられた赤血球(RBC)懸濁液のpHを7.0以上約7.2未満に維持する働きがある。また、なおさらに具体的な方法の実施形態では、組成物は、前記組成物が加えられた赤血球(RBC)懸濁液のpHを7.1よりも高く、7.2よりも低い値に維持する働きがある。
組成物に必要な成分の量の具体的な範囲を対象にする本発明に係る方法をも提供する。ある実施形態では、組成物は、約1〜3mMのアデニンと、約20〜115mMのデキストロースと、約15〜60mMの非代謝性の膜保護糖と、約20〜130mMの重炭酸ナトリウムと、約4〜20mMのリン酸2ナトリウムとを含む。さらに具体的な実施形態では、組成物は、約2mMのアデニンと、約60〜100mMのデキストロースと、約40〜60mMの非代謝性の細胞膜保護糖と、約22〜40mMの重炭酸ナトリウムと、約7〜15mMのリン酸2ナトリウムとを含む。なおさらに具体的な実施形態では、組成物は、約2mMのアデニンと、約80mMのデキストロースと、約55mMの非代謝性の膜保護糖と、約26mMの重炭酸ナトリウムと、約12mMのリン酸2ナトリウムとを含み、8.5のpHを有する。
本発明に係る方法では、添加液は、治療効果のあるRBC回収量を提供するのに必要な量で濃厚RBC懸濁液に加えられる。添加液は、好ましくは約60m〜400ml、さらに好ましくは約100ml〜150ml、最も好ましくは約110mlの量で加えられる。溶液は、通常、採取された全血に対して1:4.5の容量比で使用される(450mLの全血に対して100mL、500mLの全血に対して111mLなど)。本発明に係るRBC保存方法の具体的な実施形態では、組成物と全血との容量比は、それぞれ約1:4.5である。さらに具体的な実施形態では、組成物の容量は約110mLであり、採取された全血の容量は500mLである。
RBC懸濁液におけるRBCの容積率(すなわち、添加液の添加後)は、全懸濁液の約27〜70%である。より好ましくは、細胞懸濁液におけるRBCの容積率は、約35〜50%である。最も好ましくは、細胞懸濁液におけるRBCの容積率は、全懸濁液の約43%である。
本発明者らは、保存期間中に赤血球の健康状態に関するデータをモニター及び回収した。図1及び2で示されているように、本発明に係る保存方法により、より長期間の間により少量の液体量で赤血球の性質を向上させることができた。上記で説明したように、血液保存「損傷」は、アポトーシス事象であり、赤血球の膜は、プログラム化された細胞死にしたがって生理的及び形態的な変化をする。保存期間中の間に、赤血球膜表面積が減少することが知られている。その結果、赤血球の形状が、容量当たりの最大表面積を可能にし、それによりガス及び栄養物の拡散を可能にする両凹の形状から死ぬ脆弱な細胞の特徴である球状に変化する。赤血球の膜は、初期には柔軟であり、変形可能なので、毛細血管を通過できる。この形状の全体的な変化の間には、赤血球の膜が摘まれたようになり、外面に針状体が形成される。この工程の終期には、観察上、細胞はハリネズミ(urchin)のような形状になる(したがって、この工程は、エキノサイト変化(echinocytic change)と呼ばれ、リーシス前の最終形状は、エキノサイトと呼ばれる)。その結果、細胞は脆弱になり、リーシス及び死を迎える。溶血度を測定することにより、この細胞死の比率及び重度を示すことができる。これらの形態的な変化は、保存中に許容できない程度の溶血を引き起こすだけでなく、この保存された赤血球を注入された患者でクリアランス機構を引き起こし、注入後の赤血球の回収率及び輸血の効率を低下させる。
本発明のある実施形態は、保存期間中に赤血球(RBC)の膜維持の向上及びRBCアポトーシスを抑制する方法を提供する。その方法は、保存期間中に、本発明に係る組成物が加えられた懸濁液にRBCを保存するステップを含む。ある具体的な実施形態では、AS−3を含むRBC懸濁液で同じ保存期間中に保存された赤血球よりも、微小胞濃度(microvesicular concentration)が75%減少した。
本発明の他の実施形態は、保存期間中に赤血球(RBC)の脆弱性を低下する方法及びRBCの溶血を抑制する方法を提供する。その方法は、保存期間中に、本発明に係る組成物が加えられた懸濁液にRBCを保存するステップを含む。さらなる実施形態は、保存期間後及び患者への注入後の赤血球の生存率を増加させる方法、並びに患者による注入後の赤血球のクリアランスを減少させる方法を対象にしている。その方法は、保存期間中に、本発明に係る組成物が加えられた懸濁液にRBCを保存するステップを含む。
本発明に係る添加液組成物は、従来技術の添加液よりも幾つかの点で優れている。赤血球を本発明に係る添加液に保存すると、現在認可されている添加液で保存するときよりも、さらに長く保存することができる(少なくとも8週間)。その際、放射性クロムで標識したRBCを使用して注入の24時間後におけるインビボ回収率を測定したところ、従来の添加液で保存したRBCのものよりも優れていた。本発明に係る組成物を使用すると、明らかに保存損傷の比率及び重度を減少させることができる。保存期間中、本発明に係る添加液に懸濁した赤血球は、許容範囲の溶血を示す。その溶血は、6週間目には、0.2%であり、8週間目には、0.4%である。これら全ては、FDAの制限値である1%(認められた保存期間終了の際)よりも低い。本発明に係る添加液で保存された赤血球が微小胞体膜の濃度の低さ及び浸透圧脆弱性の低さを示すことから、保存期間中でのその膜の損失が低いことが示される。
保存中に膜が維持されたRBCは、膜をほとんど失ったものよりもより優れた流動性を有すると考えられる。膜の通常の生理機能を保持することによって、赤血球を注入された患者の体内での、赤血球の循環系からのクリアランス及び破壊を引き起こす機構をも抑制することができる。それによって、再注入された赤血球は患者の体内でさらに長く留まり、その長期的な回収率はさらに高まる。また、注入された赤血球の長期的な生存率が高まることにより、輸血の繰り返しが減少し、輸血に伴う患者に対する危険性が低下する。また、本発明に係る添加液により、保存期間の後期にRBCのATPを高濃度に保つことが可能となり、これにより、RBCのATPの分泌が向上する。したがって、体内に注入された後の赤血球の流動性及び寿命が向上する。実践的には、本発明に係る添加液は、新鮮凍結血漿及びランダムドナー由来の血小板の製造又は緊急時の新鮮全血の採取のための従来の採取方法(CPD又はCP2Dに全血を採取する)と共に使用する際には有用である。
下記の実施例は、例示するためであって、特許請求の範囲によって定義されている本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
表1:試験された添加液の組成物
Figure 2008529550
[実施例1]
この実施例は、EAS−81(表1を参照)として表す本発明に係る添加液のある実施形態の性能の分析結果及び利点を説明するためである。EAS−81及びその比較対象であるAS−3(Nutricel, Pal Biomedical製造)は従来の容量で使用されており、一方、比較対象EAS−61及びEAS−76v6は希釈された状態及びさらに大きな容量で使用されている。EAS−81及びEAS−76v6は、両方とも重炭酸塩を含む。図1では、重炭酸塩を含む組成物は丸印で表されており、重炭酸塩を含まないものはダイアモンド印で表されている。容量の大きい組成物は塗りつぶされた印で表されており、従来と同じ容量の組成物は中空の印で表されている。本明細書で開示されている添加液の全ての容量は全血500mL当たりであり、添加液と全血との比は1:4.5である。
第1の実施例は、PVCバッグでの10週間に及ぶ保存の際の、RBC代謝及び完全性に対する保存液成分の効果を評価するためのプーリング研究(pooling study)として行われた。プーリングにより、従来の血液保存研究における相違の最大の原因(異なるドナーから採取されたRBCの本来の違い)を減少させることができる。プーリングでは、各ドナーから採取された細胞の一部が従来のユニット容量(unit size)で研究の各群に使用される。間接抗グロブリン試験(indirect antiglobulin test:IAT)に反応しないRBCユニットを4つのABO式血液型ユニットのセットに分類する。次に、それぞれのセットをプール及び混合し、同一の4つのプール・ユニットに等分する。各プールの1ユニットを本研究のぞれぞれの4つの群に使用する。
AS−3及びEASの組成物は、表1に開示されている。「The effects of phosphate, pH, and AS volume on RBC stored in saline-adenine-glucose-mannitol solutions(Hess et al., Transfusion, vol. 40: 1000-1006, Aug. 2000)」(参照により本明細書に組み込まれるものとする)に示されているように、EASは、USP市販のアデニンと、Sigma Chemicals社(St. Louis, MO)市販の糖及び塩とから作成し、1リットルの保存バッグ(Code 4R2032, Baxter Healthcare, Deerfield, IL)に無菌的にフィルターする。保存バッグを37℃で2週間静置する。次に、溶液をさらに2週間インキュベートする。7日目及び14日目に細菌及びカビの不在で無菌性を確認する(SeptiCheck, Becton-Dickinson Microbiology Systems, Sparks, MD)。次に、溶液を600mLのPVCバッグ(品目番号 4R2023, Baxter Healthcare Corp, Deerfield, IL)に重量で等分する。全ての連結部には、無菌の連結器具を使用する(SCD 312, Terumo Medical Corp, Elkton, MD)。
RBCユニットの作成:
トリプルバッグ回収システム(triple-bag collection system)(品目番号 #127-23, Pall Corporation, East Hills, NY)内の70mLのCP2D溶液に標準ユニットの血液(500±55mL)を回収した。それぞれのユニットの白血球を内部白血球フィルターで除去した。遠心分離を5分間行い、血漿を65mLだけ残し、それ以外の血漿を除去し、表示した容量のAS又はEASを無菌的に加える。各ユニットを直立状態で10週間に1〜6℃で保存する(毎週の混合及び15mLのサンプル採取のときを除いて)。
インビトロ測定:
白血球除去(全血からの白血球の除去)は、フローサイトメトリー法で確認する。全ヘモグロビン(Hb)濃度は、血液分析装置(Hematology Cell Counter System Series 9110+, Baker, Allentown, PA)で測定する。細胞の平均容積(Mean cell volume:MCV)は、RBCの数の測定及び保存懸濁液のミクロへマトクリット値で求める。「A micromodification of the Drabkin hemoglobin assay for measuring plasma hemoglobin in the range of 5 to 2000 mg/dl(Moore et al., Biochem Med 26:167-173, 1981)」(参照により本明細書に組み込まれるものとする)で記載されているように、上精Hbは、分光光度法を用いて改良ドラブキン・アセイ(modified Drabkin assay)で測定する。溶血のパーセンテージは、全Hbに対する遊離のHbの比及びヘマトクリット値を測定することによって求める。
RBCのATPの濃度は、脱タンパクしたPRBCの上精から測定する。細胞のアリコートを冷却した10%のトリクロロ酢酸と混合し、血液タンパクを沈澱させ、2700xgで10分間遠心分離する。次に、タンパクの無い上精を測定するときまでに−80℃で冷凍する。市販の測定キット(Procedures 366-UV, Sigma Diagnostics, St. Louis, MO)を使用してATPを酵素的に分析する。
血液ガス、重炭酸、及びpHは、血液ガス測定装置(Corning 855, Ithica, NY)を使用して測定する。したがって、pHを37℃で測定する。細胞外ナトリウム、塩化物、リン酸、乳酸、及びグルコースは、プログラム可能な化学分析器(Hitachi 902 Analyzer, Boehringer Mannheim Corporation, Indianapolis, IN)を使用して測定する。「Morphology of stored, rejuvenated human erythrocytes(Usry, Moore, and Manolo, Vox Sang 28:176-183, 1975)」(参照により本明細書に含まれるものとする)に記載の方法したがって、円盤状〜ウニ状〜球状のRBCの形状変化の平均度を測定する。微小胞は、保存期の後期に上精から測定する。血漿を超遠心分離し、微小胞の沈澱を食塩水で3回洗浄し、ブラッドフォード法(BioRad, Richmond, CA)を使用して全タンパク量を測定する。
4つのRBC保存溶液の比較試験の結果は、図1及び2に示されている。全ての保存溶液では、1週目にRBCのATPの濃度が上昇した(図1(A))。EASでは、ATP濃度は、2週目にも上昇し続け、本試験の全期間中にはAS−3のATP濃度よりも高い状態を維持した。EAS−81は、8週目及びそれ以降には、それよりも容量の大きいEAS61と同じ濃度のATPを有していた。一方、重炭酸の緩衝系を有する容量のより大きいEAS−78では、ATPの濃度は少し高かった。
全ての保存溶液では、溶血(赤血球の破壊)は、保存期間と共に増加する(図1(B))。しかしながら、AS−3は、全ての時間において他の溶液よりも高い溶血率を示した。溶血は、EAS81でわずかに減少し、他のEASでさらに減少した。容量がより大きい溶液では、重炭酸の存在で溶血がさらに減少することはなかった。予想通りに、容量がより少ない溶液のヘマトクリット値は他の溶液のものよりも高かった(図1(C))。また、RBCは、保存期間中には全ての溶液で容積を失った。
全ての時点において、重炭酸を含むEASにおける乳酸の濃度は、より高かった(図1(D))。8週間の保存期間で合成された全乳酸は、AS−3で9mMであり、EAS−61で12mMであり、EAS−81で13mMであり、EAS−78で15mMであった。RBC外のpH及びRBC内のpHに関しても同様に、全ての時点において、重炭酸を含むEASの方が高かったが、RBC内pHの違いには統計的有意性は無い(図1(E)及び図1(F))。緩衝能力の原因となる、重炭酸の損失並びにPCOの増加及び減少は、図1(G)で示されている。
一般的に本発明に係るEAS−81で保存された細胞は、AS−3で保存された細胞と比較して、エネルギー利用が優れており、それによりATP濃度が高く、溶血の程度が低く、形態が優れており、微小胞が少なく、pHがわずかに高かった。EAS−81よりも古いEAS、特にEAS−76v6は、幾つかの点において、より優れた作用をするが、使用される容量が多いために、保存RBCがさらに希釈され、大量に輸血される患者に対して血液希釈を引き起こしかねない。
[実施例2]
本実施例は、従来の容量でEAS製剤を使用することでRBCを8週間保存することができ、かつその際には6週間の保存に使用される従来の溶液よりも、RBCの回収率が良く、溶血率が低く、RBCの膜がさらに維持されることを示すものである。
米国食品医薬品局(United States Food and Drug Administration:FDA)及びアメリカ血液銀行協会(American Association of Blood Banks)のドナー基準を満たす12人のボランティアのドナーを選択した。ドナーらは500mL(1ユニット)の全血を提供した。提供された全血をCP2Dバッグ(品目番号 #127-23, Pall Corporation, East Hills, NY)に回収し、白血球を除去し、65mLの血漿だけを残し、その残りの血漿を除去した。110mLのEAS−81を加え、濃厚RBC溶液のサンプルの半分(n=6)を6週間、残りの半分(n=6)を8週間1〜6℃で保存した。保存終了の1週間前に一定ユニットを無菌的にサンプリングし、培養した。細菌の生育が示されなかった場合には、少量のRBCを51−Cr標識し、ドナーに戻し、モーオフ・プロトコル(Moroff protocol)を使用して単標識測定(single label measurement)を行うことでRBC回収率を測定した。
表計算プログラムソフトウエア(Excel, Microsoft, Redmond, WA)を使用して、平均グラフ及び標準誤差を作成し、保存群の記述統計を計算した。各保存系の乳酸合成を最初から測定し、ヘモグロビン及び血清タンパクの含有量を測定するために乳酸の最終濃度及び保存系の容量の差異を調節した。SyStat Ver. 6(SPSS Inc., Chicago, IL)を使用してRBCの回収値の箱髭図を作成した。
CP2D/EAS−81で6週間保存した白血球除去済みのRBCの24時間(再注入後)におけるインビボ自己回収率は85±5%であり、8週間保存したものの回収率は87±2%である(図2)。保存期間がより長かったRBCの回収率がさらに高かったわけだが、この回収率の異常な増加は、本試験の規模が小さいため、及び異なるドナーから採取された血液が異なる維持能力を有するためであろう。しかしながら、これらの回収率は、現在認可されている全ての保存溶液のものよりも高く、米国及びヨーロッパでの認可のための基準を満たす(つまり、米国の回収率基準である75%を越える回収率及び米国の溶血率の制限基準である1%よりも低い溶血率を示し、ヨーロッパの回収率基準である75%を越える回収率及びヨーロッパの溶血率の制限基準である0.8%よりも低い溶血率を示す)。本試験でのRBC溶血率は、6週間目で0.2±0.2であり、8週間目で0.4±0.2であった。RBCの微小胞タンパクの濃度は、6週間目で8±4mg/dLであり、8週間目で12±6mg/dLであり、わずか約5%のRBCヘモグロビン損失に相当する。
保存期間及び注入される赤血球のより優れた生理機能に関して、本発明に係るEAS−81の優れた保存能力は、幾つかの点に由来すると思われる。第1に、新規のpH制御系は、細胞内の反応平衡がATPを消費する2,3−DPG合成を回避し、解糖に向かうのに必要な細胞内pHを維持するのに必要な懸濁液pHを保存期間中に維持することができる。また、高濃度の細胞外リン酸によって細胞外Ca++濃度が制限されるので、リン脂質のスクランブリング並びに膜変形及び損失などのアポトーシス工程が抑制される。これにより、注入後のRBCの回収率が向上し、RBC膜の質がさらに良くなる。したがって、注入された患者での急速なインビボ・クリアランスの発生が減少し、注入後の長期間における回収可能なRBCのパーセンテージが高くなる。EAS−81製剤は、NaClを含まずにその代わりに特定の緩衝化合物をさらに多く含み、適切なオスモル濃度を保持する。このEAS−81製剤により、RBC懸濁液のpHはより効果的なものとなり、その制御もより長く存続し、Ca++濃度の上昇及びATP濃度の低下に関連する細胞の有害な反応を最小限にするのに必要なリン酸が生じる。また、EAS−81を従来の量で使用できるので、大量の輸血を必要とする患者への使用に適切である。
プーリング研究のグラフ表示図であり、下記の4つの溶液におけるRBCの保存効果を時間(週)の関数として示す。1)110mLのAS−3(−◇−)、170mLのEAS−61(−◆−)、170mLのEAS−78(−●−)、及び110mLのEAS−81(−○−)。パネルAで示されているように、重炭酸を含む組成物(丸印)は、重炭酸を含まない同量の組成物(ダイアモンド印)よりも高いATP濃度を示した。また、重炭酸を含む組成物は、乳酸(パネルD)、細胞外及び細胞内のpH(パネルE及びF)、並びに重炭酸及びPCO濃度(パネルE及びF)に関してもより高い値を示した。容量のより大きな組成物は(塗りつぶされた印)では、溶血率及びヘマトクリット値が低下した(それぞれパネルB及びC) 体内への再注入から24時間後に抽出された赤血球のインビボ回収率を示す図である。尚、RBCは、再注入前にEAS−81で6週間(n=6)及び8週間(n=6)で保存され、その回収率の結果は歴史的対象と比較(1985年にSimonらに報告されたAS−3に関する研究)される。各試験では、51Cr単標識の方法が使用された。

Claims (52)

  1. 赤血球を約1〜6℃で保存するための水性組成物であって、
    前記組成物は、アデニンと、デキストロースと、少なくとも1つの非代謝性の膜保護糖と、pH緩衝系とを本質的に含んでおり、
    前記pH緩衝系は、重炭酸アニオンを提供する少なくとも1つの物質と、リン酸アニオンを提供する少なくとも1つの物質と、ナトリウムカチオンを提供する少なくとも1つの物質とを含む生理学的に許容される緩衝剤の組み合わせを有し、
    前記pH緩衝系は、1,3−DPGからの2,3−ジホスホグリセレート(DPG)の合成よりも解糖を優先する赤血球内の反応平衡を保存期間中に確立及び維持するのに十分な量の前記組成物が加えられる赤血球(RBC)懸濁液のpHを前記組成物が維持する働きをするのに十分な量で存在し、それによって、保存期間中に反応平衡でアデノシン三リン酸(ATP)合成が発生することを特徴とする水性組成物。
  2. 赤血球を約1〜6℃で保存するための水性組成物であって、
    前記組成物は、アデニンと、デキストロースと、少なくとも1つの非代謝性の膜保護糖と、pH緩衝系とを本質的に含んでおり、
    前記pH緩衝系は、重炭酸アニオンを提供する少なくとも1つの物質と、リン酸アニオンを提供する少なくとも1つの物質と、ナトリウムカチオンを提供する少なくとも1つの物質とを含む生理学的に許容される緩衝剤の組み合わせを有し、
    前記pH緩衝系は、1,3−DPGからの2,3−ジホスホグリセレート(DPG)の合成よりも解糖を優先する赤血球内の反応平衡を保存期間中に確立及び維持するのに十分な量の前記組成物が加えられる赤血球懸濁液(RBC)のpHを前記組成物が維持する働きをするのに十分な量で存在し、それによって、保存期間中に反応平衡でアデノシン三リン酸(ATP)合成が発生し、
    前記組成物は、外部由来の塩化物イオンを実質的に含まないことを特徴とする水性組成物。
  3. 赤血球の懸濁液であって、
    請求項1に記載の組成物を含むことを特徴とする懸濁液。
  4. 請求項3に記載の懸濁液であって、
    前記赤血球の懸濁液の直接注入を必要とする患者への直接注入に適切であることを特徴とする懸濁液。
  5. 請求項1に記載の組成物であって、
    前記ナトリウムカチオンを提供する少なくとも1つの物質は、重炭酸ナトリウムと、リン酸2ナトリウムと、それらの組み合わせとから成る群から選択されることを特徴とする組成物。
  6. 請求項1に記載の組成物であって、
    前記重炭酸アニオンを提供する少なくとも1つの物質は、重炭酸ナトリウムであること特徴とする組成物。
  7. 請求項1に記載の組成物であって、
    前記リン酸イオンを提供する少なくとも1つの物質は、リン酸ナトリウムと、リン酸2ナトリウムと、リン酸3ナトリウムと、それらの組み合わせとから成る群から選択されることを特徴とする組成物。
  8. 請求項1に記載の組成物であって、
    前記リン酸イオンを提供する少なくとも1つの物質は、リン酸2ナトリウムであることを特徴とする組成物。
  9. 請求項1に記載の組成物であって、
    前記生理学的に許容される緩衝剤の組み合わせは、水素と、カリウムと、アンモニウムと、マグネシウムと、それらの組み合わせとから成る群から選択される生理学的に許容されるカチオンを提供する少なくとも1つの物質をさらに含むことを特徴とする組成物。
  10. 請求項1に記載の組成物であって、
    前記少なくとも1つの非代謝性の膜保護糖は、マンニトールであることを特徴とする組成物。
  11. 請求項1に記載の組成物であって、
    約200〜310mOsmのオスモル濃度を有することを特徴とする組成物。
  12. 請求項11に記載の組成物であって、
    前記オスモル濃度は、約221〜280mOsmであることを特徴とする組成物。
  13. 請求項12に記載の組成物であって、
    前記オスモル濃度は、約270mOsmであることを特徴とする組成物。
  14. 請求項1に記載の組成物であって、
    約8〜9のpHを有することを特徴とする組成物。
  15. 請求項14に記載の組成物であって、
    前記組成物のpHは、約8.2〜8.8であることを特徴とする組成物。
  16. 請求項15に記載の組成物であって、
    前記組成物のpHは、約8.4〜8.6であることを特徴とする組成物。
  17. 請求項16に記載の組成物であって、
    前記組成物のpHは、約8.5であることを特徴とする組成物。
  18. 請求項1に記載の組成物であって、
    前記緩衝系は、6週間の保存期間中に6.5〜7.2の間のpHで少なくとも2mEq増加する組成物が加えられる前記赤血球(RBC)懸濁液において緩衝能力を有することを特徴とする組成物。
  19. 請求項1に記載の組成物であって、
    前記組成物が加えられた前記赤血球(RBC)懸濁液のpHを約6.4〜7.4の間に維持する働きがあること特徴とする組成物。
  20. 請求項1に記載の組成物であって、
    前記組成物が加えられた前記赤血球(RBC)懸濁液のpHを約7.0〜7.2未満の間に維持する働きがあること特徴とする組成物。
  21. 請求項1に記載の組成物であって、
    前記組成物が加えられた前記赤血球(RBC)懸濁液のpHを約7.1よりも高く、7.2よりも低い値に維持する働きがあることを特徴とする組成物。
  22. 請求項5に記載の組成物であって、
    約1〜3mMのアデニンと、約20〜115mMのデキストロースと、約15〜60mMの非代謝性の膜保護糖と、約20〜130mMの重炭酸ナトリウムと、約4〜20mMのリン酸2ナトリウムとを含むことを特徴とする組成物。
  23. 請求項22に記載の組成物であって、
    約2mMのアデニンと、約60〜100mMのデキストロースと、約40〜60mMの非代謝性の膜保護糖と、約22〜40mMの重炭酸ナトリウムと、約7〜15mMのリン酸2ナトリウムとを含むことを特徴とする組成物。
  24. 請求項23に記載の組成物であって、
    約2mMのアデニンと、約80mMのデキストロースと、約55mMの非代謝性の膜保護糖と、約26mMの重炭酸ナトリウムと、約12mMのリン酸2ナトリウムとを含み、さらに、約8.5のpHを有することを特徴とする組成物。
  25. 赤血球(RBC)を保存期間中に保存する方法であって、
    (a)保存するRBCと血漿とを含む採取された全血のサンプルを抗凝固液と混合し、それによって、採取された全血の懸濁液を作成するステップと、(b)血漿を除去し、RBCを濃縮するために前記採取された全血を処理し、それによって、濃厚RBCを作成するステップと、(c)前記濃厚RBCを、約35〜70容量%のRBCを有するRBC懸濁液を作成するのに十分な量の水性組成物と混合するステップと、(d)前記RBC懸濁液を約1〜6℃に冷却するステップと、(e)前記冷却したRBC懸濁液を血液銀行の標準的な方法にしたがって保存するステップとを含み、
    前記水性組成物は、アデニンと、デキストロースと、少なくとも1つの非代謝性の膜保護糖と、pH緩衝系とを本質的に含んでおり、
    前記pH緩衝系は、重炭酸アニオンを提供する少なくとも1つの物質と、リン酸アニオンを提供する少なくとも1つの物質と、ナトリウムカチオンを提供する少なくとも1つの物質とを含む生理学的に許容される緩衝剤の組み合わせを有し、
    前記pH緩衝系は、1,3−DPGからの2,3−ジホスホグリセレート(DPG)の合成よりも解糖を優先する赤血球内の反応平衡を保存期間中に確立及び維持するのに十分な量の前記組成物が加えられる前記赤血球(RBC)懸濁液のpHを前記組成物が維持する働きをするのに十分な量で存在し、それによって、保存期間中に反応平衡でATP合成が発生することを特徴とする方法。
  26. 請求項25に記載のRBCを保存する方法であって、
    前記RBC懸濁液は、前記RBC懸濁液の直接注入を必要とする患者への直接注入に適切であることを特徴とする方法。
  27. 請求項25に記載のRBCを保存する方法であって、
    前記少なくとも1つの非代謝性の膜保護糖は、マンニトールであることを特徴とする方法。
  28. 請求項25に記載のRBCを保存する方法であって、
    前記ナトリウムカチオンを提供する少なくとも1つの物質は、重炭酸ナトリウムと、リン酸2ナトリウムと、及びそれらの組み合わせとから成る群から選択されることを特徴とする方法。
  29. 請求項25に記載のRBCを保存する方法であって、
    前記重炭酸アニオンを提供する少なくとも1つの物質は、重炭酸ナトリウムであることを特徴とする方法。
  30. 請求項25に記載のRBCを保存する方法であって、
    前記リン酸アニオンを提供する少なくとも1つの物質は、リン酸ナトリウムと、リン酸2ナトリウムと、リン酸3ナトリウムと、及びそれらの組み合わせからと成る群から選択されることを特徴とする方法。
  31. 請求項25に記載のRBCを保存する方法であって、
    前記リン酸アニオンを提供する少なくとも1つの物質は、リン酸2ナトリウムであることを特徴とする方法。
  32. 請求項25に記載のRBCを保存する方法であって、
    前記生理学的に許容される緩衝剤の組み合わせは、Hと、カリウムと、アンモニウムと、マグネシウムと、それらの組み合わせとから成る群から選択される生理学的に許容されるカチオンを提供する少なくとも1つの物質をさらに含むことを特徴とする方法。
  33. 請求項25に記載のRBCを保存する方法であって、
    前記組成物は、約200〜310mOsmのオスモル濃度を有することを特徴とする方法。
  34. 請求項33に記載のRBCを保存する方法であって、
    前記オスモル濃度は、約221〜280mOsmであることを特徴とする方法。
  35. 請求項34に記載のRBCを保存する方法であって、
    前記オスモル濃度は、約270mOsmであることを特徴とする方法。
  36. 請求項25に記載のRBCを保存する方法であって、
    前記組成物は、約8〜9のpHを有することを特徴とする方法。
  37. 請求項36に記載のRBCを保存する方法であって、
    前記組成物のpHは、約8.2〜8.8であることを特徴とする方法。
  38. 請求項36に記載のRBCを保存するための方法であって、
    前記組成物のpHは、約8.4〜8.6であることを特徴とする方法。
  39. 請求項36に記載のRBCを保存する方法であって、
    前記組成物のpHは、約8.5であることを特徴とする方法。
  40. 請求項25に記載のRBCを保存する方法であって、
    前記緩衝系は、6週間の保存期間中に6.5〜7.2の間のpHで少なくとも2mEq増加する前記組成物が加えられる赤血球(RBC)懸濁液において緩衝能力を有することを特徴とする方法。
  41. 請求項25に記載のRBCを保存する方法であって、
    前記組成物は、前記組成物が加えられた赤血球(RBC)懸濁液のpHを約6.4〜7.4の間に維持する働きがあること特徴とする方法。
  42. 請求項25に記載のRBCを保存する方法であって、
    前記組成物は、前記組成物が加えられた赤血球(RBC)懸濁液のpHを約7.0〜7.2未満の間に維持する働きがあること特徴とする方法。
  43. 請求項25に記載のRBCを保存する方法であって、
    前記組成物は、前記組成物が加えられた赤血球(RBC)懸濁液のpHを約7.1よりも高く、7.2よりも低い値に維持する働きがあることを特徴とする方法。
  44. 請求項28に記載のRBCを保存する方法であって、
    前記組成物は、約1〜3mMのアデニンと、約20〜115mMのデキストロースと、約15〜60mMの非代謝性の膜保護糖と、約20〜130mMの重炭酸ナトリウムと、約4〜20mMのリン酸2ナトリウムとを含むことを特徴とする方法。
  45. 請求項44に記載のRBCを保存する方法であって、
    前記組成物は、約2mMのアデニンと、約60〜100mMのデキストロースと、約40〜60mMの非代謝性の膜保護糖と、約22〜40mMの重炭酸ナトリウムと、約7〜15mMのリン酸2ナトリウムとを含むことを特徴とする方法。
  46. 請求項45に記載のRBCを保存する方法であって、
    前記組成物は、約2mMのアデニンと、約80mMのデキストロースと、約55mMの非代謝性の膜保護糖と、約26mMの重炭酸ナトリウムと、約12mMのリン酸2ナトリウムとを含み、さらに、約8.5のpHを有することを特徴とする方法。
  47. 請求項45に記載のRBCを保存するの方法であって、
    前記組成物と前記採取された全血との比は、それぞれ約1:4.5であることを特徴とする方法。
  48. 請求項45に記載のRBCを保存する方法であって、
    前記組成物の容量は約110mLであり、前記採取された全血の容量は500mLであることを特徴とする方法。
  49. 保存期間中に赤血球(RBC)の膜維持を向上する、及びRBCのアポトーシスを抑制する方法であって、
    前記RBCを、請求項1に記載の組成物が加えられた懸濁液に保存期間中に保存するステップを含むことを特徴とする方法。
  50. 保存期間中に赤血球(RBC)の膜維持を向上する、及びRBCのアポトーシスを抑制する方法であって、
    前記膜維持の指標は、保存期間終了の際のRBCにおける微小胞の濃度の測定値であり、前記微小胞の濃度は、約50〜75%減少することを特徴とする方法。
  51. 保存期間中に赤血球(RBC)の脆弱性を低下させる、及びRBCの溶血を抑制する方法であって、
    前記RBCを、請求項1に記載の組成物が加えられた懸濁液に保存期間中に保存するステップを含むことを特徴とする方法。
  52. 保存期間後及びRBC注入を必要とする患者への注入後の赤血球(RBC)の生存能力を増大させる、並びに前記患者による前記RBCの注入後のクリアランスの程度を低下させる方法であって、
    保存期間中に前記RBCを、請求項1に記載の組成物が加えられた懸濁液に保存するステップを含むことを特徴とする方法。
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