JP2003519334A - 燃料噴射弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 燃料噴射弁（１）であって、特に内燃機関の燃料噴射装置のための噴射弁であって、アーマチュアと協働するマグネットコイルと、弁閉鎖体（２２）を操作するための、弁座面（２４）とともにシール座を形成する弁ニードル（１５）とが設けられている。この場合、弁ニードル（１５）の長手方向軸線（２８）が、弁ケーシング（１１）の長手方向軸線（２９）に対して、所定の角度（γ）だけ傾斜している。アーマチュア（４）は、操作体（１２）と接続されており、この操作体（１２）の長手方向軸線（２９）が、弁ニードル（１５）の長手方向軸線（２８）に対して傾斜しており、操作体（１２）が、弁ニードル（１５）に、液圧装置（１３）を介して作用する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 背景技術 本発明は、請求項１の上位概念部に記載の燃料噴射弁に関する。

【０００２】 ドイツ連邦共和国特許出願公開第１９７１２５９１号明細書により、請求項１
の上位概念部に記載の燃料噴射弁がすでに公知である。この刊行物に記載された
燃料噴射弁は、アーマチュアによって弁ニードルを介して操作可能な弁閉鎖体を
有しており、この弁閉鎖体は、弁座面と、シール座を形成するように協働する。
燃料噴射弁は、この場合、接続部分と機能部分とを有している。接続部分には、
電気的な接続部と燃料接続部とが設けられている。機能部分は、アクチュエータ
と、押しばねと、弁座体とを有しており、この弁座体には、弁座面が形成されて
いる。これにより、機能部分には、燃料噴射弁を操作するために必要な操作装置
が全て収容されている。機能部分と接続部分とを接続する際には、機能部分の電
気的なコンタクトピンが接続部分のブシュに差し込まれ、これにより、アクチュ
エータが、接続部分の電気的な接続部に接続される。さらに、機能部分の燃料通
路は、接続部分の燃料通路に密に接続される。接続部分は、機能部分に接続され
る接続面で傾斜しているので、機能部分は、固定された旋回角度を有して接続部
分と接続され得る。

【０００３】 ドイツ連邦共和国特許出願公開第１９７１２５９１号明細書により公知のこの
燃料噴射弁において不都合であるのは、特に弁ケーシングの折れ曲がりである。
これにより、燃料噴射弁を内燃機関の収容孔に設けるが困難となる。それという
のは、燃料噴射弁を、たとえば円筒状の接続管片にねじ込むことができないから
である。特に、この燃料噴射弁は、内燃機関の燃料室内に直接的に噴射を行う燃
料噴射弁で必要であるようなシリンダヘッドの円筒状の受容孔に挿入することが
できない。また、燃料噴射弁が接続部分と機能部分とに分割されていて、この場
合、機能部分に操作装置が全て収容されているので、より大きな製作コストがか
かる。

【０００４】 発明の利点 請求項１の特徴部に記載の構成を備えた本発明による燃料噴射弁は、前述の背
景技術に対して、次のような利点を有する。すなわち、傾斜角度を、弁ケーシン
グの、外側から見た形状とは無関係に変化させることが可能となり、これにより
、燃料噴射弁を、一般的に、つまり様々なケースで使用することが可能となると
いうことである。さらに、操作装置は、燃料噴射弁内に設けられた弁ニードルの
アングル位置とは無関係に配置されていてよく、これにより、本発明の構成は、
任意のアクチュエータを備えた任意の燃料噴射弁に適している。この場合、特に
、燃料噴射弁のケーシングが折れ曲がっていないことが有利である。これにより
、燃料噴射弁が、たとえば内燃機関のシリンダヘッドの円筒状の収容孔に挿入可
能となる。

【０００５】 請求項２以下に記載の特徴により、請求項１に記載した燃料噴射弁の発展的な
実施例が可能となる。

【０００６】 傾斜角度の変化は、燃料噴射弁の個々の構成部材を製作時にわずかに変化させ
ることにより可能となり、この場合、製作プロセス全体を適合させる必要はない
。

【０００７】 燃料噴射弁の操作に用いられる液圧装置は、アングル変換のためだけでなく、
操作体のストロークを伝達もしくは増幅させるために使用することができる。こ
れにより、操作体のより大きなストロークが可能となる。

【０００８】 有利には、挿入構成部分としての液圧装置が製作技術上有利に製作され、構成
部材全体を燃料噴射弁内に挿入することができる。したがって、液圧装置には、
組み付けの際、損傷の危険はあまり生じない。

【０００９】 次に本発明の実施例を、図面に基づき詳細に説明する。

【００１０】 図１に、本発明による燃料噴射弁１の実施例を、部分的な軸方向断面図により
示す。この燃料噴射弁１は、外方に向かって開く燃料噴射弁１として形成されて
おり、特に混合気圧縮型火花点火式の内燃機関の燃料室（図示せず）へ燃料を直
接的に噴射するために適している。

【００１１】 この燃料噴射弁１は、マグネットコイル２を有していて、このマグネットコイ
ル２は、磁束帰路体３により周りを囲まれており、さらにアーマチュア４を有し
ていて、このアーマチュア４は、コア５と接続部材６との間に配置されていてマ
グネットコイル２と協働する。燃料は、燃料供給部７を介して中央に供給され、
アーマチュア４に設けられた燃料通路８ａと、燃料噴射弁１の中央の切欠き９と
、噴射側の端部に設けられた挿入構成部分１０とを介して、シール座に誘導され
る。燃料噴射弁１は、噴射側で、弁ケーシング区分１１により取り囲まれており
、この弁ケーシング区分１１内には、挿入構成部分１０が、挿入可能になってい
る。アーマチュア４は、摩擦結合式にプッシュロッド状のもしくは弁ニードルに
類する操作体１２と結合されており、この操作体１２は、噴射側の端部で挿入体
１０に作用する。挿入構成部分１０は、弁ケーシング区分１１内の弁座体２３に
対して正しい位置で固定されている。

【００１２】 挿入構成部分１０は、主に、液圧装置１３と、この液圧装置１３の周りを囲ん
でいる挿入部分本体１４と、弁ニードル１５と、シール座２２，２４とから構成
されている。個々の構成部材については、図２に基づき詳細に説明する。

【００１３】 図２に、図１のＩＩで示した、本発明による燃料噴射弁１の噴射側の端部の詳
細を、拡大した断面図により示す。

【００１４】 液圧装置１３は、次のように構成されている。すなわち、操作体１２が、挿入
構成部分１０の供給側の端部に形成された第１の中空部３５内に突き出ており、
この第１の中空部３５は、図示の実施例では、円筒状の横断面を有しており、さ
らにこの第１の中空部３５内には第１の波形管１７が設けられている。この場合
、第１の波形管１７は、ポット状に形成されていて、その縁部３０で、挿入構成
部分１０の供給側の端面３１に載置している。波形管１７の縁部３０は、挿入構
成部分１０の端面３１に特に溶接されていてもよい。波形管１７と中空部３５の
壁部との間の第１の室１６は、燃料に対してシールされている。燃料は、弁ケー
シング区分１１と挿入構成部分１０との間に設けられた燃料通路８ｂを介してシ
ール座２２，２４に誘導される。操作体１２は、下側の端面１８で、第１の波形
管１７の底部に支持されている。第１の中空部３５の壁部と第１の波形管１７と
の間のスペースは、第１の室１６を形成していて、液圧媒体で充填されている。

【００１５】 第１の室１６は接続通路１９の上方に位置し、第２の室２０と接続されている
。接続通路１９は、やはり円筒状に形成されていてよく、液圧媒体で充填されて
いる。第２の室２０は、挿入構成部分１０の噴射側の端部に形成されている。特
に円筒状に成形された第２の中空部３６内には、やはりポット状に形成された第
２の波形管２１が、第１の室１６内に設けられた第１の波形管１７と同じように
、配置されている。第２の波形管２１は、縁部３２で、挿入構成部分１０の、噴
射側の端面３３に載置していて、この端面３３に、第２の室２０を燃料に対して
シールするために、特に溶接されていてよい。第２の室２０には、弁ニードル１
５が突き出ている。この場合、弁ニードル１５は、片側で第２の室３６内の拡開
部２５で、第２の波形管２１の底部に支持されている。弁ニードル１５には、噴
射方向に、弁閉鎖体２２が形成されている。弁座体２３には、弁座面２４が形成
されており、これにより、弁閉鎖体２２は、弁座面２４とともにシール座を形成
している。拡開部２５と、弁ニードル１５が貫通していて燃料通路８ｃを有して
いる対向支承部２６との間には、閉鎖ばね２７が配置されている。対向支承部２
６は、この実施例においては、プレート状に形成されている。この対向支承部２
６は、弁座体２３と一体的に形成されていてもよいし、弁座体２３の切欠き３４
内に配置されていてもよい。閉鎖ばね２７は、マグネットコイル２が給電されて
いない状態では、燃料噴射弁１を閉鎖状態に保つ。

【００１６】 弁ニードル１５の長手方向軸線２８は、燃料噴射弁１もしくは操作体１２の長
手方向軸線に対して、角度γだけ傾けられている。この傾斜角γおよびひいては
燃料噴射弁１の噴射方向は、弁座体２３の形状と液圧装置１３の周りを囲んでい
る挿入部分本体１４の形状とだけにしか依存しない。図示の実施例では、挿入構
成部分１０の供給側の端面３１は、操作体１２の長手方向軸線２９に対して垂直
に延びており、その一方で、挿入構成部分１０の噴射側の端面３３は、長手方向
軸線２９に対して９０°の角度を成す位置から、特に角度γだけずらされて方向
付けされている。別の傾斜角γを得ようとする場合には、上記の部材において相
応な修正をするだけでよく、この場合、燃料噴射弁１の外側の形状は変わらない
。

【００１７】 マグネットコイル２に電気的な励起電流が供給されると、アーマチュア４は、
噴射方向にマグネットコイル２の方へ引き込まれる。これにより、アーマチュア
４と作用結合されている操作体１２が、同様に噴射方向へ動かされる。操作体１
２の端面１８が、第１の波形管１７に当接しているので、第１の波形管１７は、
噴射方向へと伸ばされて、これにより、第１の波形管１７と第１の室１６の壁部
との間の液圧媒体を押し退ける。このようにして、アーマチュア４のストローク
は、操作体１２を介して液圧装置１３に伝達される。

【００１８】 操作体１２の作用によって、第１の室１６から液圧媒体が押し退けられると、
この液圧媒体は、接続通路１９および第２の室２０へと逃出する。第２の室２０
で液圧媒体が体積増加することによって、第２の波形管２１に圧力がかかり、こ
れにより、拡開部２５で第２の波形管２１に当接している弁ニードル１５は、閉
鎖ばね２７の力に抗して噴射方向に移動せしめられる。燃料は、燃料通路８ａと
燃料噴射弁１の中央の切欠き９とを介して挿入構成部分１０の方向に流れ、挿入
構成部分１０に設けられた燃料通路８ｂと、対向支承部２６に設けられた燃料通
路８ｃとを介してシール座へと案内され、弁の開放時には、吸気管または内燃機
関の燃焼室へと噴射され得る。

【００１９】 マグネットコイル２を励起していた電流が遮断されると、操作体１２によって
第１の波形管１７に及ぼされていた圧力は低下する。これにより、液圧媒体は、
第２の室１６から、接続通路１９を介して第１の室１６へと流れて補償する。こ
れにより、第２の波形管２１は再び弛緩し、弁ニードル１５は閉鎖状態へと戻る
。

【００２０】 第１の室１６および第２の室２１の有利には円形の横断面は、アーマチュア４
のストロークから液圧装置１３へのアングル変換しか所望されない場合には、同
じ大きさに選択されていてもよい。しかし、第２の室２０の横断面を、第１の室
１６の横断面よりも小さく選択することも可能であり、これにより、小さなアー
マチュアストロークを、これより大きな弁ニードルストロークへ増幅変換させる
ことができる。

【００２１】 本発明は、上記の実施例に制限されることはなく、特に任意の噴射角度にも、
内側に向かって開放される燃料噴射弁１にも適している。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による燃料噴射弁の実施例の軸方向断面図である。

【図２】 本発明による燃料噴射弁の図１に示した実施例の、噴射側の領域の図１のＩＩ
で記された詳細部分を示す図である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｆ０２Ｍ 61/20 Ｆ０２Ｍ 61/20 Ｎ

Claims (11)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 燃料噴射弁（１）であって、特に内燃機関の燃料噴射装置の
   ためのものであって、励起可能なアクチュエータと、弁閉鎖体（２２）の操作の
   ための弁ニードル（１５）とが設けられており、この弁ニードル（１５）が、弁
   座面（２４）と共にシール座を形成しており、弁ニードル（１５）の長手方向軸
   線（２８）が、弁ケーシング（１１）の長手方向軸線（２９）に対して、所定の
   角度（γ）だけ傾斜している形式のものにおいて、 アーマチュア（４）が、操作体（１２）と接続されており、この操作体（１２
   ）の長手方向軸線（２９）が、弁ニードル（１５）の長手方向軸線（２８）に対
   して傾斜しており、操作体（１２）が、弁ニードル（１５）に、液圧装置（１３
   ）を介して作用することを特徴とする、燃料噴射弁。
2. 【請求項２】 液圧装置（１３）が、第１の室（１６）と、第２の室（２０
   ）と、これらの第１の室（１６）および第２の室（２０）を接続している接続通
   路（１９）とから成っており、接続通路（１９）が、液圧媒体で充填されている
   、請求項１記載の燃料噴射弁。
3. 【請求項３】 第１の室（１６）、第２の室（２０）および接続通路（１９
   ）が、挿入構成部分（１０）内に形成されており、この挿入構成部分（１０）が
   、燃料噴射弁の中央の切欠き（９）に挿入可能および固定可能である、請求項２
   記載の燃料噴射弁。
4. 【請求項４】 第１の室（１６）が、挿入構成部分（１０）の供給側の端部
   に形成されている、請求項３記載の燃料噴射弁。
5. 【請求項５】 操作体（１２）の端面（１８）が、第１の波形管（１７）に
   当接しており、この第１の波形管（１７）が、第１の室（１６）を、供給側で閉
   鎖している、請求項４記載の燃料噴射弁。
6. 【請求項６】 第１の波形管（１７）が、縁部（３０）で、挿入構成部分（
   １０）の供給側の端面（３１）に載置していて、第１の室（１６）を燃料に対し
   てシールするように形成されている、請求項５記載の燃料噴射弁。
7. 【請求項７】 第２の室（２１）が、挿入構成部分（１０）の噴射側の端部
   に形成されている、請求項３から６までのいずれか１項記載の燃料噴射弁。
8. 【請求項８】 弁ニードル（１５）が、第２の波形管（２１）に当接してお
   り、この第２の波形管（２１）が、第２の室（２１）を噴射側で閉鎖している、
   請求項７記載の燃料噴射弁。
9. 【請求項９】 第２の波形管（２１）が、端部（３２）で、挿入構成部分（
   １０）の噴射側の端面（３３）に載置していて、第２の室（２２）を燃料に対し
   てシールするように形成されている、請求項８記載の燃料噴射弁。
10. 【請求項１０】 第２の室（２０）の横断面が、第１の室（１６）の横断面
    よりも小さくなっている、請求項２から９までのいずれか１項記載の燃料噴射弁
    。
11. 【請求項１１】 挿入構成部分（１０）の供給側の端面（３１）が、操作体
    （１２）の長手方向軸線（２９）に対して垂直に延びているのに対し、挿入構成
    部分（１０）の噴射側の端面（３３）が、長手方向軸線（２９）に対して９０°
    の位置から、角度（γ）の大きさだけ偏差して方向付けられている、請求項６か
    ら８までのいずれか１項記載の燃料噴射弁。