JP2003518569A - 低コンシステンシーな水−繊維懸濁液の脱水方法 - Google Patents

低コンシステンシーな水−繊維懸濁液の脱水方法

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Abstract

(57)【要約】 低コンシステンシーな水−繊維懸濁液の脱水方法を提供する。本方法では、水−繊維懸濁液を、孔を有する濾過表面に供給する。本方法では、粗大繊維を最初に水−繊維懸濁液から分離し、濾過表面に供給して別途の濾過層を形成させ、粗大繊維で形成された前記の濾過層を通して、水−繊維懸濁液を流す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、低コンシステンシーな水−繊維懸濁液の脱水方法に関し、この方法
では、その水−繊維懸濁液を、水、短繊維物質および場合によっては存在しうる
粒子状固形物を通過させることが可能な孔を含む濾過表面(8)に導入する。
【0002】 (背景技術) 製紙プロセスでは、繊維を含有する水性懸濁液で、そのコンシステンシーが低
く、すなわち、繊維質の紙料の量が少なく、またその懸濁液には短繊維や、場合
によっては存在しうる填料に起因する粒子状固形物が大量に含まれているような
懸濁液を処理するケースがある。このタイプの水性懸濁液を濃縮するのは極めて
困難で、実際のところ、既存のシックナーや濾過器を使用するのでは効率よく達
成することは不可能である。このタイプの水性懸濁液は、たとえば、サーモメカ
ニカル法の場合に得られ、その場合には、得られる紙料の濾水度はおおよそ70
〜80mlであり、そのコンシステンシーは低く、通常はおおよそ1%である。
さらに、同じような状況は、製紙プロセスでリサイクルされるプロセス用水を処
理する際にも発生し、紙匹製造で紙匹を脱水する際に、特に短繊維や製紙工程で
使用された粒子状固形物が水中に残存している場合である。
【0003】 (発明の開示) 本発明の目的は、短繊維および/または填料を、水−繊維懸濁液から従来法よ
りも効率よく濾過し、従来法よりも清澄な濾液を得て、プロセス循環水とする方
法を提供することである。本発明の方法が特徴とするところは、初めに粗大繊維
物質を前記の水−繊維懸濁液から分離し、その分離された粗大繊維物質を濾過表
面に導入して別途の濾過層を形成させ、そして、水−繊維懸濁液を前記の濾過層
を通過させると、短繊維物質および、場合によっては存在しうる粒子状固形物の
少なくとも一部が、前記の粗大繊維で形成された濾過層中に捕捉されることであ
る。
【0004】 本発明の基本的な考え方は、粗大繊維物質を最初に水性懸濁液から分離し、こ
れをシックナーに供給して濾過層とし、濃縮すべき懸濁液をそのシックナーまた
は濾過器に供給して、懸濁液がこのようにして形成された濾過層を通過するよう
にし、それによって、微細繊維および粒子状固形物がその濾過層の中に捕捉され
、実質的には濾過表面を通過しないようにすることである。このようなタイプの
粗大繊維としては、その濾水度が200〜400mlのものが好ましく、そのよ
うなものであれば、充分に密度の高い層が形成され、しかも水をよく透過させる
【0005】 本発明の実施態様の基本的な考え方では、粗大繊維物質で2つの濾過層を形成
させ、懸濁液をその間に供給するのが好ましい。
【0006】 本発明によって供せられる利点を述べれば、簡単な補助的な装置を使うだけで
、1種類で同一の処理すべき水−繊維懸濁液から、濾過層を形成させ、この濾過
層が微細繊維および場合によっては存在しうる粒子状固形物を非常に効率よく保
持して濃縮を助け、それによりシックナーの濾液の固形分含量が30mg/リッ
トル未満にもすることが可能となることである。この方法で、充分に清澄な濾液
の水、すなわち繊維物質および粒子状固形物をほんの少量しか含まない水を得る
ことができ、これは製紙プロセスの種々の段階で使用することが可能である。
【0007】 (発明を実施するための最良の形態) 本発明を、添付の図面によってさらに詳しく説明する。
【0008】 図1には、入口流路1が示されているが、これを通して、処理すべき、低コン
システンシーな水−繊維懸濁液を装置に供給し、濾過器、たとえばシックナー2
に送る。水−繊維懸濁液の一部、この場合はおおよそ10%、を流路1から、流
路3を通して別の洗浄器4に供給し、ここで、濾水度が、たとえばおおよそ30
0〜400mlの粗大繊維を分離する。使用する装置や必要な費用の面から、粗
大繊維を直接入口の水−繊維懸濁液から分離することも可能であるが、その場合
には、必要な量だけの粗大繊維だけを分離し、余ったものは水−繊維懸濁液に戻
すことができる。洗浄器4で分離された濾液には、繊維および粒子状固形物がお
そらく残存しているが、これを入り口流路1に戻し、また、洗浄器4で分離され
た粗大繊維物質は、流路5を介して濾過器、たとえばシックナー2に送る。粗大
繊維物質は、シックナー2の中に送り込んで、シックナー2の濾過表面の上に濾
過層を形成させる。流路1から来る水−繊維懸濁液は、その濾過層を必ず通過し
てから、シックナー2の濾過表面を通るようにする。すると、循環している水の
中の微細繊維、すなわち短繊維、および粒子状固形物は、その粗大繊維の層に捕
捉され、実質的にはそこを通過することができず、そのため、シックナー2から
得られる濾液は非常に清澄なものとなる。濾過後の水の大部分は流路6を通して
製紙プロセスに戻されるが、その一部を流路7を通して、洗浄器4からシックナ
ー2のラインに戻して、粗大繊維物質を流す流路5での流れを良くするのに使う
ことができる。シックナー2の濾過表面の上に蓄積する濾過物質およびそこで濾
過された微細繊維および粒子状固形物は、プロセスから排出させるか、あるいは
、さらなる処理にかける。
【0009】 図2に、本発明の方法を使用して実施される濾過部分の詳細が図示されている
。この図では、濾過表面8は、各種の濾過器やシックナーから当然公知となって
いるものなので、詳細についてここで述べる必要もない。濾過表面8は孔を有す
る材料で作られており、流体、たとえば水、およびその流体中の一部の物質は、
濾過表面の片側から反対側へ濾過表面の孔を通って流れることができる。本発明
によれば、この濾過表面8に、粗大繊維物質により形成された濾過層9が存在し
、この濾過層が濾過表面8の表面に、一層細かな孔を有する、密な層を形成して
いる。濾過または濃縮すべき水−繊維懸濁液は、濾過器またはシックナーの、粗
大繊維物質により形成された濾過層9のある側に供給されるが、そのことにより
、懸濁液中の繊維物質、微細すなわち短い繊維および、場合によっては存在しう
る粒子状固形物はその濾過層を通過することができず、その中に捕捉されるが、
他方、水は濾過層9および濾過表面8のいずれをも通過して流れる。このために
、この濾過器またはシックナーから得られる濾過水は、繊維や粒子状固形物をほ
んの少量しか含まず、したがって非常に清澄なので、製紙プロセスの各種の段階
で使用できる。それに対応して、水−繊維懸濁液中の繊維物質および、場合によ
っては存在しうる粒子状固形物は捕捉され、状況に応じてさらなる処理に回した
り、必要があればプロセスから排出させたりすることができる。
【0010】 図3には、本発明の方法によるまた別の濾過部分の図が示されている。この場
合には、2つの濾過表面8を使用して、隙間様構造を形成している。連続した金
網のような、2枚の濾過表面を手段として形成されるこのタイプのギャップフィ
ルターは、一般によく知られており、当業熟練者には自明なものであるので、そ
のため、本明細書でさらに詳しく述べる必要はない。この実施態様では、粗大繊
維物質による濾過層9は、濾過層9が互いに向き合っている濾過表面8の間にあ
るように、両側の濾過表面9の上に形成される。次いで、水−繊維懸濁液を、こ
の濾過層9の隙間に供給して、水は両方の方向に向かって両側の濾過層を通過し
濾過表面を通って流れるが、他方、繊維物質および、場合によっては存在しうる
粒子状固形物は両側の濾過層に蓄積されるようにする。これにより、効率的な濾
過/濃縮が可能となる。
【0011】 図に示した設備では、濾過器/シックナー2および洗浄器4は、それらによっ
て所望の粗大繊維を分離することが可能であり、それにしたがい、その粗大繊維
によって形成される濾過層を通すことによって、製紙プロセスで使用可能なほど
に充分に清澄な濾液を作るのに適してさえいれば、どのようなタイプの装置でも
構わない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法の概略図である。
【図2】 濾過部分の詳細図である。
【図3】 本発明の別の実施態様による濾過部分の詳細図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低コンシステンシーな水−繊維懸濁液の脱水方法であって、
    その方法では、その水−繊維懸濁液を、水、短繊維物質、および場合によっては
    存在しうる粒子状固形物を通過させることが可能な孔を有する濾過表面(8)に
    導入し、その濾過表面の上に別途の粗大繊維物質による濾過層(9)を形成させ
    、そして、水−繊維懸濁液をその濾過層(9)に供給して、それにより、短繊維
    物質および場合によっては存在しうる粒子状固形物の少なくとも一部を、粗大繊
    維により形成された濾過層(9)で捕捉させるが、ここで、初めに粗大繊維物質
    を前記の水−繊維懸濁液から分離し、その分離された粗大繊維物質を濾過表面(
    8)に導入して、前記の別途の濾過層(9)を形成させることを特徴とする方法
  2. 【請求項2】 前記の濾過層(9)を形成させるために、水−繊維懸濁液か
    ら、濾水度の値がおおよそ200〜400mlの繊維物質を分離することを特徴
    とする請求項1に記載された方法。
  3. 【請求項3】 脱水のために、2つの濾過表面(8)により形成される隙間
    様構造を有するシックナー(2)を使用し、粗大繊維からなる前記の濾過層(9
    )を両方の濾過表面(8)の上に形成させ、この濾過層を互いに対面した形に設
    置して、そして、水−繊維懸濁液を形成された濾過層(9)の間に供給して、濾
    過層(9)および濾過表面(8)の両方を通して脱水することを特徴とする請求
    項1または2に記載された方法。
  4. 【請求項4】 粗大繊維を分離するために、水−繊維懸濁液の一部だけを、
    別の分離装置に導入し、粗大繊維を分離してから、分離後の水−繊維懸濁液をプ
    ロセスに戻し、残りの水−繊維懸濁液と共に脱水することを特徴とする請求項1
    から3のいずれかに記載された方法。
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