JP2003517834A5 - - Google Patents

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Description

【書類名】 明細書
【発明の名称】 微生物の不活化方法
【特許請求の範囲】
【請求項1】 微生物を不活化する方法であって、該微生物に、架橋剤を別の不活化剤と共に同時に適用する工程を含む方法。
【請求項2】 該架橋剤がアルデヒドを含む、請求項1による方法。
【請求項3】 該アルデヒドがジアルデヒドである、請求項2による方法。
【請求項4】 該アルデヒドがホルムアルデヒド(FA)である、請求項3による方法。
【請求項5】 該不活化剤がアジリジン化合物である、請求項1〜4のいずれか1項による方法。
【請求項6】 該アジリジン化合物がエチレンイミンである、請求項5による方法。
【請求項7】 該エチレンイミンがバイナリーエチレンイミン(BEI)である、請求項6による方法。
【請求項8】 該不活化プロセスを停止する更なる工程を含む、請求項1〜7のいずれか1項による方法。
【請求項9】 該不活化プロセスを、チオ硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、およびトリスヒドロキシメチルアミノメタン(トリス緩衝剤)のいずれか1種またはそれ以上の添加により停止させる、請求項8による方法。
【請求項10】 実質的に本明細書に記載され且つ例示されたようにする、微生物の不活化方法。
【請求項11】 請求項1〜10のいずれか1項による方法により不活化された微生物を含むワクチン。
【請求項12】 ワクチンを製造する方法であって、病原体を提供する工程、及び該病原体に架橋剤を別の不活化剤と同時に適用することにより該病原体を不活化する工程を含む方法。
【請求項13】 該架橋剤がアルデヒドを含む、請求項12による方法。
【請求項14】 該アルデヒドがジアルデヒドである、請求項13による方法。
【請求項15】 該アルデヒドがホルムアルデヒド(FA)である、請求項14による方法。
【請求項16】 該不活化剤がアジリジン化合物である、請求項12〜15のいずれか1項による方法。
【請求項17】 該アジリジン化合物がエチレンイミンである、請求項16による方法。
【請求項18】 該エチレンイミンがバイナリーエチレンイミン(BEI)である、請求項17による方法。
【請求項19】 該不活化プロセスを停止する更なる工程を含む、請求項12〜18のいずれか1項による方法。
【請求項20】 該不活化プロセスを、チオ硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、およびトリスヒドロキシメチルアミノメタン(トリス緩衝剤)のいずれか1種またはそれ以上の添加により停止させる、請求項19による方法。
【請求項21】 実質的に本明細書に記載され且つ例示されたようにする、ワクチンの製造方法。
【請求項22】 請求項12〜21のいずれか1項による方法で製造されたワクチン。
【請求項23】 ウイルスの不活化及びウイルス性病原体のためのワクチンの製造における、請求項12〜21のいずれか1項による方法の使用。
【請求項24】 該ウイルスがピコルナ・ヴィリダ(picorna viridae)科のウイルスである、請求項23による使用。
【請求項25】 請求項1〜10のいずれか1項により不活化された微生物を含むテストキット。
【請求項26】 不活化微生物が、ELISAで使用するためのアレルゲンまたは抗原の形態である、請求項25によるテストキット。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【序論および発明の背景】
本発明は、微生物を不活化し且つワクチンを製造する方法、このような方法によって製造されるワクチン、およびこのような不活化微生物を包含するキットに関する。より詳しくは、しかしながら制限するわけではなく、本発明は、ウイルスを不活化し且つウイルスワクチンを製造する方法、およびこのような方法から製造されるワクチンに関する。
ウイルスの不活化および安全性試験は、不活化ワクチンの製造において最も臨界的段階である。口蹄疫(FMD)ワクチンの場合、特に、どのような発症も、動物および動物製品の全輸出業の封鎖を引き起こすので、安全性保障は不可欠である。
FMDウイルスを不活化し且つFMDワクチンを製造する古典的方法は、Waldmann et al.: Waldmann O, Pyl G, Hobohm KO, Mohlmann H:“Die Entwicklung des Riemser Adsorbatimpfstoffes gegen Maul- und Klauenseuche und seine Herstellung”. Zbl Baktl Orig 148: 1,1941 によって記載のように、ホルムアルデヒドを用いる。
過去において、この方法は、FMDワクチンの製造において用いられ、例えば、Frenkel 培養物;Frenkel S:“Modifications de la methode de culture du virus aphteuse selon Frenkel. Valeur des vaccins selon les donnees du laboratoire”. Bull OIE 61:985,1964 に基づくワクチンの製造において応用された。
【0002】
ホルムアルデヒドは、タンパク質の架橋作用(固定)について知られているが、これが、FA不活化(Frenkel)ワクチンの、5年間までまたはそれ以上の高い安定性および長い保存寿命をもたらしたと考えられる。
いくつかの研究により、Waldmann によって記載されたFA濃度では、不活化プロットは直線的ではなく、しばしば、不完全な不活化を引き起こすことがありうる“消失(tailing off)”を示すということが分かった。これは、次の公報で示された。
− Graves JH:“Formaldehyde inactivation of foot-and-mouth disease virus as applied to vaccine preparation”, Am J Vet Res 24,1131;
− Weslen,T. and Dinter,Z.:“The inactivation of foot-and-mouth disease virus by formalin”, Arch.Ges.Virusforsch. 1957,7,394;
− Barteling SJ, Woortmeijer R, Visser N:“Innocuity testing of foot-and-mouth disease vaccines. I. Formaldehyde-inactivated alhydrogel vaccines”, J Biol.Stand. 1983,11,297。
【0003】
ホルムアルデヒド不活化ワクチンは、充分な免疫を引き起こし、そして充分に規定された条件下では、FAを用いて直線的不活化プロットを得ることができるということが示された(Barteling SJ, Woortmeijer R:“Formaldehyde inactivation of foot-and-mouth disease virus. Conditions for the preparation of safe vaccine”,Arch Virol. 1984,80,103)。しかしながら、FAを用いた不活化にはまだ疑いがあり、直線的不活化プロットを伴ってより急速に不活化するアジリジン(例えば、アセチルエチレンイミン,AEI)による不活化が、選択された方法となった。
AEIを用いた不活化は、次の公報に記載されている。
−Brown F, Hyslop NSG, Crick J, Morrow AW:“The use of acetyl-ethyleneimine in the production of inactivated foot-and-mouth disease vaccines”, J Hyg (camb) 1963b,61:337。
アジリジンによってFMDウイルスを不活化するのに広く用いられる方法は、H.G.Bahnemann:“Inactivation of viral antigens for vaccine preparation with particular reference to the application of binary ethylenimine”. Vaccine, 1999,8,299 によって記載されている。
【0004】
しかしながら、FAとは異なり、アジリジンには架橋反応性がなく、若干不安定なFMD(ワクチン)株から製造されるワクチンは、短い保存寿命を示した。したがって、若干の反応活性ワクチン株を、最初に、FAを用いて固定した後、BEIのようなアジリジン化合物を用いて不活化を完了する。この方法は、次の3件の公報に記載されている。
−Rowlands et al. (1972) - Stabilizing the immunizing antigen of foot-and-mouth disease virus by fixation with formaldehyde. Arch.Ges.Virusforsch. 39,274-283;
−Mowat et al. (1973) - Enhancement of immunizing potency of foot-and-mouth disease virus for cattle by treatment of the antigen with formaldehyde. Arch.ges.Virusforsch. 41,365-370;および
−M M Rweyemamu et al. (1989) - Effect of formaldehyde (FA) and binary ethyleneimine (BEI) on the integrity of foot-and-mouth disease virus capsid. Rev.sci.tech.Off.Int.Epiz. 8,747-767。
【0005】
最初にBEIを用いてウイルスを不活化し、その後、FAを用いて不活化ウイルス粒子または抗原、例えば、SAT2 Zim7/83株のFMDウイルス抗原を架橋または固定することも知られている。
既知の方法の欠点は、納得のいく不活化レベルを得るのに、比較的長時間(+/−2日間)を要し、ウイルス抗原の一部分が分解するかもしれない結果を伴うということである。したがって、このような不活化ウイルス抗原から製造されるワクチンは、比較的使用にあまり有効ではない。
更に、BEIは、必ずしも納得のいく不活化を生じるとは限らない。実際上、推定される結果は、時々、不活化の最後に(48時間に)、生存ウイルスがなおバッチ中に存在する可能性があるということを示している。これは、このようなバッチは許容できないし、破棄されなければならないということを意味する。
【0006】
【発明の目的】
本発明の目的は、微生物を不活化する方法とワクチンを製造する方法を提供すること、このような方法によって製造されるワクチンを提供すること、およびこのような不活化微生物を包含するキットを提供することであり、これらは、既知の方法、ワクチンおよびキットの改良である。
【発明の要旨】
本発明の第1の側面により、微生物を不活化する方法であって、この微生物に、架橋剤を別の不活化剤と共に同時に適用する工程を含む方法を提供する。
本出願人は、驚くべきことに、架橋剤を不活化剤と共に同時に用いることにより、相乗的なまたは増加的な作用を達成し、それによって微生物が、より完全に不活化されるみならず、先行技術の方法と比較して相対的に非常に短時間で不活化されることを発見した。
本出願人は、更に、本発明によって製造されるワクチンは、おそらくは、不活化時間が比較的短く且つ架橋剤で微生物の抗原が固定されることに起因して、それらが利用可能になるので、使用に効果的であることを発見した。本出願人は、それら抗原がこのようにして保存されて分解されないので、本発明によって製造されるワクチンは、公知のワクチンより長い保存寿命で一層安定であることが期待されると考えている。更に、本出願人は、これらワクチンは、当該技術分野における輸送および使用中に厳しいコールドチェーン条件に左右されなくなるであろうとも考えている。
【0007】
その架橋剤は、アルデヒドを含むことができる。
そのアルデヒドは、ジアルデヒドであり得る。
好ましくは、アルデヒドはホルムアルデヒド(FA)である。
本出願人は、更に、少なくともFAの場合、その架橋剤で、不活化剤による不活化のためのウイルスが調製されると考えている。
その不活化剤は、アジリジン化合物であることができる。アジリジン化合物はエチレンイミンであり得る。
好ましくは、エチレンイミンはバイナリーエチレンイミン(BEI)である。
この方法は、不活化プロセスを停止する更なる工程を含むことができる。
不活化プロセスは、チオ硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウムおよびトリスヒドロキシメチルアミノメタン(トリス緩衝剤)のいずれか1種またはそれ以上の添加により停止することができる。
【0008】
本発明の第2の側面により、本発明の第1の側面による上の方法によって不活化される微生物を含めたワクチンを提供する。
本発明の第3の側面により、ワクチンを製造する方法であって、
−病原体を提供し;
−その病原体に、架橋剤を別の不活化剤と共に同時に適用することによってその病原体を不活化する工程を含み;
−その架橋剤も、病原体を(その架橋活性によって)不活化することができる方法を提供する。
【0009】
その架橋剤は、アルデヒドを含むことができる。
アルデヒドは、ジアルデヒドであり得る。
好ましくは、アルデヒドはホルムアルデヒド(FA)である。
その不活化剤はアジリジン化合物であり得る。アジリジン化合物はエチレンイミンであり得る。
好ましくは、エチレンイミンはバイナリーエチレンイミン(BEI)である。
この方法は、不活化プロセスを停止する追加の工程を含むことができる。
不活化プロセスは、チオ硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウムおよびトリスヒドロキシメチルアミノメタン(トリス緩衝剤)のいずれか1種またはそれ以上の添加によって停止することができる。
【0010】
本出願人は、更に、本発明による上の方法が、ウイルスの不活化およびウイルス病原体のためのワクチンの製造において特に有効であるということを発見した。
そのウイルスは、ピコルナ・ヴィリダ(picorna viridae)科であることができる。
好ましくは、ウイルスは口蹄疫ウイルスであるが、本発明による方法が、大部分のウイルスに関しておよび他の微生物にも有効であると理解されるであろう。
本発明のもう1つの側面により、本発明の上の方法によって不活化される微生物を含めたテストキットを提供する。不活化微生物は、ELISAで用いるためのアレルゲンまたは抗原の形態であり得る。
【0011】
本発明の好適な態様を、非制限実施例によってここに記載する。
BEIの作用をFMDウイルスへのFAと比較して研究するために、二つの群のウイルス、すなわち、試験群および対照群を下記のように不活化した。
【実施例】
ホルムアルデヒド(FA)とバイナリーエチレンイミン(binary ethyleneimine:BEI)との組み合わせによる口蹄疫ウイルス(FMDV)の不活化の本発明による方法を以下に述べる。FMDワクチンを製造する目的のためにFMDVを不活化する標準操作手順(SOP)も以下において詳細に説明される。試験群において取られた手順だけに言及される。しかし、試験群の場合と対照群の場合で、試験群ではBEIとFAとが同時に適用され、一方対照群ではBEIがそれだけで不活化剤として用いられたことを除けば、実質的に同じ手順が取られた。
【0012】
使用される定義および略号:以下の通り
BEI: バイナリーエチレンイミン
BEA: 2−ブロモエチルアミン・ヒドロブロミド
NaOH: 水酸化ナトリウム
STS: チオ硫酸ナトリウム
FA: ホルムアルデヒド
ITT 1: 第1不活化タンク
ITT 2: 第2不活化タンク
化学薬品
水酸化ナトリウムペレット(NaOH)p.a.−メルク社(Merck)
2−ブロモエチルアンモニウムブロミド(BrCH2CH2NH3Br)−メルク社
β−ナフトールバイオレット溶液
約37%のホルムアルデヒドを含むホルマリンp.a.溶液−メルク社
材料および装置
メスシリンダー、1000mL
5リットルの滅菌試薬瓶
滅菌攪拌磁石
滅菌蒸留水
10mLの滅菌マッカーシー(McCarthy)瓶
ヒュームフード
pHメーター(コンバインド電極:combined electrode)・オリオン(Orion)
秤量天秤
磁気攪拌子
オートクレーブ
【0013】
方法
濾過したクロロホルム処理SAT 2−Zim 7/83ウイルス培養物を30℃の温度にし、次いでBEIとFAとの組み合わせ(BEI−FA)により不活化する。この組み合わせはFMDを非常に速やかに(>2log10ID50/時)不活化する。
上記培養物はタンクの中に入っていた。BEI−FAは浸漬パイプのようなタンクのある部分に入ることはないだろうということのために、上記ウイルスは完全には不活化されないかもしれないし、またこのプロセスの終点においては不活化されたウイルス抗原を汚染するかもしれない。従って、約4時間後に、この不活化混合物全体を(24時間後にはBEIだけを有する)第2不活化タンクに移す。
不活化を監視し、そして回帰直線の正しい形を確かめるために、試料を20分毎に採取する。本発明の方法では、150リットルのバッチで、外挿不活化プロットは不活化の終点(24時間時点)において−6.3log10ID50より下に達しなければならない。不活化はBEIを中和する2%のSTSの添加によって停止される。
【0014】
BEIおよびホルムアルデヒドは共に有毒な物質であり、従って注意して取り扱われるべきである。BEIはヒュームフード中で製造される。BEI溶液は極めて有毒で、おそらくは発癌性であるので、環化(以下を参照されたい)後にその溶液は最高度に注意して取り扱われるべきである。残るBEIはそれを捨てる前に20%STS溶液で中和されなければならない。
注:例えばpHの補正のためにトリス(Tris)または他の四級アンモニウム塩を使用することは、それら塩はFAと反応するので控えるべきである。トリスは、また、FAによるさらなる架橋/不活化を停止させるために使用することもできる。
【0015】
BEIおよびBEI−FAの調製(300Iウイルス収穫のため)
BEI−FA溶液の調製は、ヒュームフード(室温)中で、次のように行われなければならない:
−2970mLの滅菌蒸留水を5リットルの滅菌試薬瓶に配分する。
−21gのNaOHを上記3リットルの蒸留水に加える。
−滅菌磁石を加え、そしてNaOHが全て溶解されるまで攪拌する。(時間を節約するために、NaOHはBEIが必要とされる前日に調製することができる。)
−NaOH溶液のpHを測り、その実測pH値をその瓶および記録シートに書き留める。
−61.5gのBEIを上記3リットルのNaOH溶液に加える。
−1.5mLの1%β−ナフトールバイオレット溶液を上記BEIに加える。
−BEIの環化を磁気攪拌子で37℃において1時間行わせる。
−環化後のpHを測定する。(10〜11のpH範囲。)
−溶液の色をチェックする。
−環化後にβ−ナフトールバイオレットの色は紫色からオレンジ色に変化している。
−BEI−FAの組み合わせによる不活化のために、30mLのホルマリン溶液を加える。
【0016】
BEIだけによる不活化の手順
−ウイルス収穫物1リットルにつき10mLの0.1M BEIを加えて1mMの最終濃度に達せしめる。
−不活化の初めの6時間中に試料(30mL、以下を参照されたい)を1時間毎に採取する。
−ウイルスの力価がゼロより低く(ウイルス粒子1個/mL未満に)なると予想されるときは、24時間の不活化後に同量のBEIを加え、そしてその不活化混合物を第2不活化タンク(ITT 2)に移す。
−100mLの試料を採取する。
−試料のpHをチェックする。
−48時間時点に10%の20%STS溶液を加え、そして攪拌する(最終STS濃度:2%)。
−pHをチェックするために、また「試験管内」安全性、146Sおよび滅菌の各試験(それぞれのSOPを参照されたい)のために600mLの試料を採取する。
−ITT 2を、そのジャケットを通して冷水をどっと流すことによって冷却する。
−今や、不活化された抗原はさらに処理するための「検疫ゾーン」に移すことができる。
【0017】
BEI−FAの組み合わせによる不活化の手順
−ウイルス収穫物1リットル当たり10mLの0.1M BEI−FAを加えて、1mM BEIおよび0.04%FA(約1mM)の最終濃度に達せしめる。
−初めの3時間中に20分毎に試料を採取する。
−ウイルスの力価がゼロより低く(ウイルス粒子1個/mL未満に)なると予想されるときは、4時間の不活化後にその不活化混合物を第2不活化タンク(ITT 2)に移す。
−100mLの試料を採取する。
−20時間の不活化後に10%の20%STS溶液を加え、そして攪拌する(最終STS濃度:2%)。
−pHをチェックするために、また「試験管内」安全性、146Sおよび滅菌の各試験(それぞれのSOPを参照されたい)のために600mLの試料を採取する。
−ITT 2を、そのジャケットを通して冷水をどっと流すことによって冷却する。
−今や、不活化された抗原はさらに処理するための「緩衝液ゾーン」に移すことができる。
【0018】
不活化プロセスの監視
一般原則
両不活化タンクに、サンプリング間に蒸気滅菌されるサンプリング装置を備え付ける。
サンプリングおよび滴定
−少なくとも30mLの試料を採取する(以下を参照されたい)。
−各試料を直ちに8mLずつの3つの分量に分割し、そして、それらを、1mLの20%STS、および抗FMDウイルス活性がない1mLのウシ胎児血清を含んでいる試料瓶に加えると、FBS10%およびSTS2%の最終濃度が与えられる。1つの試料を4℃で、また2つの試料を予備として残すために−70℃で貯蔵する。
−4時間の時点において100mLの試料を採取し、その後に不活化混合物を第2不活化タンクに移し、そしてpHを測定する。
−不活化の終点において600mLの最終試料を採取する。
−微量定量プレート中でIBRS細胞により滴定することによりウイルス力価の低下を監視する。力価は10のlog単位/mLとして表され(例えば、100万感染用量/mLは力価6となる)、そしてグラフとしてプロットされる。
下流の処理
不活化ウイルス抗原を通常の限外濾過により約2リットルまで濃縮した。この濃縮抗原の試料を採取し、そして通常の検査および対照(滅菌、146S抗原収量、およびELISA)のために出した。他の試料、および濃縮抗原の大部分を−70℃で貯蔵した。
【0019】
実験ワクチン
全5株のFA−BEI不活化ワクチン株の混合物から実験用Al(OH)3−サポニンワクチンを調製した。これらワクチンは、1.6μgが加えられたSAT3 KNP90/3を除けば、用量3mL当たり各ワクチン株の146S抗原0.8μgを含んでいた。5匹のウシにある用量(0.75mL)の1/4をワクチン注射した。このワクチン注射後に採取した血清試料をウイルス中和検定法で試験した。
【0020】
本発明で得られた結果
BEI単独で得られた代表的な不活化プロットを図1aに示す。我々の実験では、BEI単独で、不活化速度は、1時間あたり0.4および1.0対数の間で異なり(Bahnemann、1990も参照されたい)、そしてときに、低い不活化速度では、一次プロットは、ある程度の「減少(tailing off)」を示唆する。
通常、不活化は48時間行う。24時間で、BEIの第2の部分を添加する。したがって、最低不活化速度であっても、十分な安全性を期待することが可能であり、そして最後の安全性試験を通過する。
添付の図1aからfに、SATワクチン株の1つについてのBEI単独で得られた不活化プロット(a)と、5つのワクチン株についてのBEI−FAで得られた不活化プロット(b−f)を示す。
不活化速度は、1時間あたり2.0(SAT1−SAR9/81、図1b)から3対数以上(SAT2−ZIM 7/83およびSAT2 KNP−19/89/2、それぞれ図1dおよび1e、表1)まで異なった。したがって、不活化は、FAを添加すると、20倍以上から100倍以上である。
【0021】
【表1】
Figure 2003517834
【0022】
何がこの相乗効果を引き起こすのか述べるのは難しい。最適条件下で、FA単独では、およそ0.3対数/時間の速度でしか不活化しない(Barteling、1984)。したがって、いかなる付加も、BEIのより速い不活化が予期されるものではない。
これらのグラフから、FA−BEIの組み合わせにより、直線プロットが得られ、そしてウイルス力価は、1時間あたり2対数以上減少することが見出されたことが明らかである。したがって、すでに8時間以内に、許容しうる安全性で、十分な不活化に達した。したがって、6時間後に採取された多量(200ml)の試料中に生存しているウイルスはなく、最終試料(20時間時点のもの)の場合も同様であった。
【0023】
マイクロタイター系において、未希釈および10倍希釈試料が細胞変性効果を引き起こしたことに注目すべきであるが、これは、ホルムアルデヒドの毒性(またはFA−BEIの組み合わせ)のためであり、そしてこれらのカップから、ウイルスは増殖不能であった。
したがって、この不活化は、BEI単独での不活化に必要とされる48時間の代わりに、作業日またはたった一晩の時間内で行うことが可能である。これは、毎週の産生計画により大きな融通性を与える。
BEI単独では、抗原収量(SAT株のもの)は、しばしば、不活化48時間中に、10から30パーセント減少した。FA−BEIでの不活化24時間後に、146 S抗原濃度の減少は観察されなかった。条件が他の点で同一であった場合、BEIで観察されるところのおよそ半分の減少を期待することができた。最適収量は、おそらく、FAの架橋作用による抗原の固定化に起因する(Barteling、1984)。
5つのBEI−FA不活化抗原から調製したワクチンでの5頭のウシのワクチン接種後に得られた結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
Figure 2003517834
【0025】
曝露(ワクチン接種3週間後)は、SAT 1 KNP 196/91−1で行った。5頭の動物のうち2頭が保護され、そして1頭が部分的に保護された(1病変)。
ワクチン中に取り込まれた抗原(およびアジュバント)が少量であったことを考慮すると、ワクチンは非常によく機能した。ワクチンは、FMDワクチン株あたり、3ml用量あたり、0.8μgを含み、そして用量の1/4(0.75ml)を注射した。
ワクチン接種2週間後、最低中和抗体反応は、SAT 1 KNP 91/1に対してであり(1.8対数の平均力価)、そしてしたがって、この株を曝露株として選択した(表2)。2頭の動物は保護され、そして1頭は部分的に保護され、保護レベルがおよそ50%(1 PD 50)であることが示された。注射されたワクチン用量は、FMDウイルス種(例えばSAT1)あたりおよそ0.4μgを含んだため、これらの結果は、(最も弱い抗原に関して)1μgあたり、産業標準に比較して、驚くほど優れた、およそ2.5 PD 50の保護レベルを期待することが可能であることを示す。
【0026】
146 S抗原の安定性は、新規ワクチン株を選択するのに重要なパラメーターである。146 S抗原を安定化させる、FAの架橋作用により、このパラメーターは、より重要でなくなり、そしてしたがって、BEI−FA不活化法は、比較的早く、新規ワクチン株の迅速な導入を行うであろう。
FAの架橋作用による抗原の固定化のため、出願者らは、ワクチンがより優れた安定性のものであることを予期する。これは、コールドチェイン条件の維持が常に可能ではない発展途上国(例えばアフリカ)で特に重要である。
【0027】
本発明にしたがった不活化法は、不活化速度を非常に増大させ、既知の方法での+/−2時間に比較し、およそ8時間以下で、十分な安全性レベルに達する、非常に増大した不活化速度を示す。したがって、本発明の方法での20時間の不活化は、バッチの安全性に対して、いかなる論争の可能性も残さない。
本発明にしたがった新規不活化法は、少なくとも1日、ワクチン製造過程を短くする。これは、ワクチン製造システムをよりはるかに融通の効くものにし、そしてこの過程を(クロロホルム処理も含む)週4日作業内に収める。
出願者らはさらに、本発明にしたがった方法に際し、不活化の間にFAがウイルス抗原を固定化するので、比較的長い貯蔵寿命を持ち、相対的にはより有効なワクチンをもたらすであろうと考える。
【0028】
BEI単独での不活化が、好ましい条件下で1時間あたり0.5−1.0対数の不活化速度を生じるところにおいて(Rweyemamuら)、これまで研究した5つのワクチン株では、本発明にしたがった方法が2.0から3.3対数(図2b−2f、表1)の不活化速度を示すと示された。したがって、本発明の方法は、8時間以内に十分な不活化の保証を与えることが可能である。これはまた、作業日の時間枠内で、不活化を行うことが可能であることも意味する。これは、先行技術にしたがって、現在まで、週全作業時間内になんとか収まるのみであったワクチン産生過程(ワクチン産生、採取、清澄化、不活化、および抗原濃縮)において、非常に有益である。
出願者らは、本発明の上述の方法にしたがって不活化した微生物を含むテストキットを調製することが可能であることを予測する。テストキットにおいて、不活化微生物は、アレルゲンの形態であっても、またはELISAで使用するための抗原の形態であってもよい。
付随する請求項の範囲から逸脱することなく、本発明にしたがった方法、ワクチン、およびキットに、細部に渡る変動が可能であることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1a〜fは、SATワクチン株の1つに関してBEI単独で得られた不活化プロット(a)と、5つのワクチン株に関してBEI−FAで得られた不活化プロット(b−f)を示す。図1aは、BEI単独で得られた代表的な不活化プロットを示す。
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