JP2003516896A - ランフラットタイヤ用の剛性可変のくさび形インサート - Google Patents
ランフラットタイヤ用の剛性可変のくさび形インサートInfo
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Abstract
Description
ラットタイヤに関する。
それ以上損傷するのを極力抑えるように、また、タイヤを交換できる場所まで運
転する際に乗物の操縦性を損なうことなく、安全に連続的に運転可能にする、さ
まざまな方法が考案されてきた。タイヤ圧の損失は、釘などの異物によるパンク
を含むさまざまな原因によって生じ得る。「膨らんでいない(フラットな)」と
き、または膨らみ不足のときに運転を持続できるように設計された空気入りタイ
ヤは、「フラットな」状態で作動させることができるので、ランフラットタイヤ
とも呼ばれている。また、それらは、走行距離延長技術(Extended Mobility Te
chnology)タイヤ、すなわちEMTタイヤとも呼ばれている。従来の空気入りタ
イヤは、膨らんでないときに乗物の重量を支えると、それ自体が潰れてしまう。
タイヤのサイドウォールの、トレッドが地面に接するタイヤの外周部が外側に撓
み、タイヤが「フラット」になる。
させられるときに、タイヤ構造だけで、特にサイドウォール構造で乗物の重さを
支えるのに十分な強度および剛性を備えるように設計されたタイヤを表すために
使用されている。このようなランフラットタイヤ、すなわちEMTタイヤのサイ
ドウォールおよび内面は、その剛性により、潰れたり撓んだりすることはないが
、このようなタイヤの一般的な設計では、タイヤが潰れるのを防ぐための別の支
持構造または支持装置を別に含んだり使用したりはしない。このような別の支持
構造の例としては、タイヤ内部に含まれており、通常の膨らんだ状態の運転中は
荷重を受けない装置がある。
交換できるような妥当な時間まで、タイヤ自体および乗物の操縦性への悪影響を
最小限に抑え、膨らんでいないタイヤによってタイヤの重さを支えられるように
、厚くおよび/または高剛性のサイドウォールが組み込まれている。サイドウォ
ールを厚くして高剛性にするために用いられる一般的な方法として、タイヤの、
垂直方向の荷重のもとで変形に対する抵抗が常に最も低い領域である、カーカス
のサイドウォール部の内周面に、周方向に配置されたくさび形インサートを組み
込むことがある。このようなランフラットタイヤの設計では、各サイドウォール
の、ビードとトレッドショルダの間の領域を厚くする。各サイドウォール内のく
さび形インサートは、サイドウォールの形状にぴったり合うように、断面がほぼ
三日月形である。このようなくさびで補強されたサイドウォールは、膨らんでい
ない状態で作動させられたときに、サイドウォールの、トレッドが道路に接触す
る部分に最も近い領域に、正味圧縮荷重を受ける。特に、サイドウォールに加わ
る曲げ応力は、ランフラット運転中、補強されたサイドウォールの軸線方向の最
も外側の部分が引張応力を受け、一方、軸線方向の内側の部分が圧縮応力を受け
るような曲げ応力である。
082)は、ランフラット時の剛性を向上させるために多数のくさび形インサー
トを各サイドウォール内に用いている、扁平率の低いランフラット空気入りラジ
アルプライタイヤを開示している。膨らんでいないこのタイヤで800ポンド(
lb.)の荷重を支持するには、タイヤ1本当たり約6ポンドの重量追加が必要
であった。この先行発明は、それ以前のランフラットタイヤ設計の試みよりも優
れてはいるものの、依然として重量に関する不利益を負うものであったが、この
不利益は、スペアタイヤやタイヤジャッキを無くすことによって一部相殺するこ
とができた。しかしながら、この重量に関する不利益は、扁平率の高いタイヤの
構造ではなおさら問題になる。特許’082号は、タイヤが、2つのプライと、
インナーライナと、各サイドウォール内の2つの補強用くさび形インサートとか
ら構成されている、ランフラットタイヤのサイドウォール構造を教示している。
各サイドウォール内の2つのインサートは、一方のインサートが2つのプライの
間に位置し、他方のインサートがインナーライナと第1のプライ、すなわち最も
内側のプライの間に位置するように配置されている。
件の米国特許第5,427,166号および第5,511,599号は、タイヤ
のランフラット性能を特許’082号よりもさらに高めるために、追加の第3の
プライとサイドウォール内の第3のインサートとを組み込んだミシュランタイヤ
を示している。これらのウィラード特許は、タイヤの膨らんでいない状態で生じ
る荷重の係わりのいくつかについて論じ、特許’082号で教示されている考え
方を、多数の追加のプライならびに各サイドウォール内の追加のくさび形インサ
ートにも適用できることを示している。
な大量のゴムは、ランフラット運転中のタイヤの破損につながる、撓みによる発
熱の要因となる。これは、膨らみが小さいかゼロのときにタイヤが高速で作動さ
せられる場合に顕著である。したがって、ランフラットタイヤの設計の目標の1
つは、各サイドウォールの剛性を高めるために使用されるくさび形インサートの
数と、ランフラットタイヤに使用されるくさび形インサート材の総量を最小限に
することである。
受けるタイヤの潰れに対する必要な抵抗が得られるが、多数のプライと各サイド
ウォール内の1つ以上の補強用くさび形インサートを使用することは、前記した
タイヤ重量の増加と、撓みによって生じる熱の上昇を含む欠点を有する。このよ
うな設計は、製造管理および品質管理に悪影響を及ぼすという点でタイヤの複雑
さを増す。
操縦性ならびにランフラット運転中の十分な耐用期間をもたらす、低価格で軽量
のタイヤを提供することである。
強用くさび形インサートによってそれぞれが補強されている2つのサイドウォー
ルとを有する、空気入りラジアルプライランフラットタイヤに関する。各補強用
くさび形インサートは、サイドウォールの圧縮の増大に伴って増大する構造的な
慣性モーメントを生じる2つ以上の異なる材料から構成されている。
は、可撓性を有し低ヒステリシスの第1の材料からなり、第1の材料より高剛性
の第2の材料からなり周方向に配置されている1つ以上の層によって分離されて
いる、半径方向に積層され周方向に配置されている複数の領域を有していてもよ
い。
で45から70の間の硬度を有し、高剛性の材料からなる層は、可撓性を有し低
ヒステリシスの材料よりわずかに大きい硬度と非常に大きい硬度の間の硬度を有
している。
ヒステリシスの複合材からなる領域と、高剛性の第2の材料からなる層は、いず
れも断面が三角形状である。半径方向に交互に並んで周方向に配置されている三
角形状の、可撓性を有し低ヒステリシスの材料からなる領域と、その間に介在し
て周方向に配置されている、三角形状の、高剛性の材料からなる層は、三角形状
の、可撓性を有し低ヒステリシスの材料からなる各領域の1つの頂点が、タイヤ
の赤道面に向かって軸線方向内側に向き、また、周方向に配置され、三角形状で
、交互に並んでいる高剛性の材料からなる各層の1つの頂点が、タイヤの赤道面
から半径方向外側に向き得るように、配置されていてもよい。
の2つのインサートが複合材(すなわち、可撓性を有する領域と高剛性の領域が
積層されたもの)であって、外側のインサートが複合材でなくてもよい。あるい
は、外側のインサートが複合材であって内側のインサートが複合材でなくてもよ
く、また、内側のインサートと外側のインサートがいずれも複合材であってもよ
い。
で理解することにより明らかになるであろう。
を考慮して、より明らかになるであろう。
し部の間に配置されているエラストマのフィラーを意味する。
の輪郭のことも指す。例えば、ロープロファイルタイヤ(扁平タイヤ)は扁平率
が低い。
を意味する。
関連する、半径方向内側のビードの環状の引張部材を有するタイヤの一部分を意
味し、ビードは、プライコードに被覆されて形作られており、フリッパ、チッパ
、エイペックスすなわちフィラー、トウガード、およびチェーファなどの他の補
強部材を備えていても、備えていなくてもよい。
ドの下に存在し、ビードに固定されておらず、タイヤの赤道面に対して18°〜
30°の範囲内の左と右のコード角を有する、織物または不織布の平行なコード
の少なくとも2つの環状の層すなわちプライを意味する。
ドとは別の、ビードを含むタイヤ構造を意味する。
いる円形のラインまたは方向のことを意味することが最も多く、断面で見たとき
に半径がトレッドの軸線方向の湾曲を形成する数組の互いに隣接する円曲線の方
向のことを指すこともできる。
せた繊維の1つを意味する。
わち、トレッドの周方向の中心線を含む平面を意味する。
gy tire)を意味し、「ランフラットタイヤ」と同義である。
流体を収容する、エラストマまたはその他の材料の単層または複数層を意味する
。
般的に用いられる、三日月形またはくさび形の補強材である「くさび形インサー
ト」と同義であり、トレッドの下に存在するエラストマの非三日月形のインサー
トのことも指す。
タイヤのサイドウォールなどのその他の構造の構造的な剛性のことを言う。タイ
ヤのサイドウォールなど、大きな慣性モーメントを有する構造は、小さい慣性モ
ーメントを有する類似の構造よりも高剛性である。
の設計上の膨張圧と荷重を意味する。
された層を意味する。
転軸線に向かうまたは離れる方向を意味する。
して65°から90°の間の角度に向けられた補強用コードを有する、1つ以上
のカーカスプライを意味する。
おりタイヤの赤道面に対して65°から90°の間のコード角度で配置されたコ
ードを有する、ベルトが巻かれた、または周方向に拘束された空気入りタイヤを
意味する。
たは膨らみが不十分なときに、限られた働きをするように設計された空気入りタ
イヤである。
の距離を意味する。
の後の、荷重のかかっていない状態での、ラベル、装飾、または保護バンドによ
るサイドウォールの隆起を除く、両サイドウォールの外側の間の、タイヤ軸線と
平行な直線の最大距離を意味する。
に使用されるサイドウォールの補強材である。
の断面が示されている。タイヤ10は、トレッド12と、ベルト24,26を含
むベルト構造14と、一対のサイドウォール16,18と、一対のビード領域2
0a,20bと、カーカス構造22とを有する。カーカス22は、第1のプライ
30および第2のプライ32と、気体を通さないインナーライナ34を有する。
ビード領域20a,20bは、一対のビード36a,36bと、一対のビードフ
ィラーエイペックス21a,21bを有する。サイドウォール16,18はそれ
ぞれ、軸線方向の最も内側の、第1の対のサイドウォールくさび形インサート4
0a,40bと、軸線方向の最も外側の第2の対のインサート42a,42bを
含んでいる。最も内側のくさび形インサート40a,40bは、インナーライナ
34と第1のプライ30の間に配置されており、一方、第2のくさび形インサー
ト42a,42bは、第1のプライ30と第2のプライ32の間に配置されてい
る。織物である上張り28が、トレッド12の下、すなわちトレッド12の半径
方向内側で、ベルト構造14の上、すなわちベルト構造14の半径方向外側に配
置されている。くさび形インサート40a,40b,42a,42bは、ランフ
ラット運転中に両サイドウォールに強いられる変形に抵抗するため、大きな構造
的な慣性モーメント、すなわち大きな捩り剛性をサイドウォールに付与する。し
たがって、カーカス構造22の、補強されたサイドウォール部16,18は、限
られたランフラット性能をタイヤ10に与える。
により、サイドウォール部16,18の全体の厚さが実質的に増大する。この従
来技術の一般的なランフラットタイヤの構造は、ランフラットタイヤの構造を特
徴づける、だいたい均一に厚くされたサイドウォールを示している。インサート
で補強されたサイドウォールは、タイヤ10が膨らんでいない状態のときに、サ
イドウォールの最小限の変形でタイヤの荷重を支えるように設計されている。こ
のようなランフラットタイヤの設計により、完全に膨らんだ状態のもとでは、優
れた乗物の操縦性および性能がもたらされ、タイヤが膨らんでいないときには、
許容できるランフラット時の乗物の操縦性と限られたランフラット運転寿命がも
たらされる。
ヤの構造では、サイドウォールの曲げ剛性が大きいために、通常の膨らんだ状態
の運転中の乗り心地が悪くなる。当然のことながら、くさび形インサートの存在
によるサイドウォールの構造的な慣性モーメント、すなわち捩り剛性の増大によ
り、より大きな曲げ剛性が生じる。より理想的には、ランフラットタイヤの両サ
イドウォールは、捩り剛性を付加するのが重要なランフラット運転中よりも、通
常の膨らんだ状態の運転中に、より柔軟であるべきである。
高剛性になるように設計されたくさび形インサートを提供する。この目的を達成
するために、関連する2つの方法が用いられる。両方法とも、くさび形インサー
ト内で、高剛性のエラストマ材料の層と可撓性を有するエラストマ材料の層が交
互に並ぶことが必須である。
膨張する傾向が、比較的高剛性のエラストマ(すなわち弾性ポリマー材)などの
比較的高剛性の材料、または非常に高剛性の合成樹脂の、周方向に配置された層
を、くさび形インサートの大部分を形成する可撓性エラストマなどの可撓性材料
内に組み込むことによって抑えられる。このように軸線方向の膨張を抑えること
によって、くさび形インサートがランフラット運転中にサイドウォールのたわみ
に関連する半径方向の圧縮荷重を受けるときの、くさび形インサートの剛性が大
きくなる。このように、サイドウォールを補強するくさび形インサートは、通常
の膨らんだ状態の運転中よりも、ランフラット運転中の方が高剛性になる。第2
の方法では、断面が三角形である、比較的高剛性のエラストマなどの比較的高剛
性の材料のセグメントが、くさび形インサート内に周方向に配置され、やはり断
面が三角形でくさび形インサート内に周方向に配置されている、可撓性のある材
料のセグメントと交互に並んでいる。この後者の方法では、比較的高剛性のセグ
メントが、くさび形インサートがランフラット運転に関連する半径方向の圧縮荷
重を受けたときに軸線方向に膨張するのを抑える。さらに、以下に詳述する形状
設計により、比較的高剛性の部分(すなわち比較的高剛性のセグメント)が、ラ
ンフラット運転中の慣性モーメントの増大に寄与し得る。いずれの方法でも、く
さび形インサートで補強されたサイドウォールの慣性曲げモーメントが、ランフ
ラット運転に関連する周期的な軸線方向の荷重のもとで、サイドウォールの変形
として事実上増大するように作用する。
明では、サイドウォール18と同じ作用がサイドウォール16にあるものとする
。ランフラット運転中、サイドウォールの、トレッドが地面と接する部分に最も
近接する部分が、図2Aに示されている視点では縦方向である、半径方向の正味
圧縮荷重を受ける。このような各サイドウォール16,18(図1)の圧縮荷重
と、それぞれの補強用くさび形インサート40a,40b,42a,42bによ
って、サイドウォールが軸線方向外側に曲げられ、それによって、図2Aに示さ
れているように、くさび形インサート40bの全部でなくとも大部分を含む、サ
イドウォールの軸線方向の最も内側の部分が、半径方向の圧縮応力を受け、一方
、くさび形インサート42bの全部でなくとも大部分を含む、サイドウォールの
軸線方向の最も外側の部分が、相応の半径方向の引張応力を受ける。言い換える
と、サイドウォールの正味荷重は圧縮荷重であるが、各サイドウォール内に作用
する曲げ力は、曲げ中立軸の片側に引張応力を導き、同じ曲げ中立軸の反対側に
圧縮応力を導く。曲げ中立軸は、本発明を説明するために、図2Aに示されてい
るサイドウォールの断面図の中央付近にあるものと仮定できる、サイドウォール
構造内のどこかの位置にある。すなわち、実際には、曲げ中立軸の正確な位置は
、タイヤのサイドウォールの各構成要素の相対的な強度と曲げ剛性の複雑な関数
であるが、サイドウォール18内の曲げ中立軸は、第1のプライ30と一致する
と考えることもできる。したがって、圧縮力の位置の説明を簡単にするために、
図2Aに示されている内側のくさび形インサート40bは、曲げ中立軸と名目上
一致する第1のプライ30からの半径方向内向きの距離が長くなるのに伴って強
度が増大する、半径方向の圧縮応力を受けると考えることができる。
ヤ10の内側のくさび形インサート40b内の圧縮力の作用を調べるためにつけ
られている。円柱体Vは、図2Bと2Cにさらに詳しく示されている。図2Aの
円柱体Vは、サイドウォール18がたわむ間に半径方向に圧縮されて荷重を受け
る位置にある。たわみを引き起こすこのような圧縮は、通常の膨らんだ状態の運
転中にも生じるが、特に、たわみの大きさが最大であるランフラット運転中に発
生する。通常の膨らんだ状態の運転中、図2Aに示されている円柱体Vは、タイ
ヤの回転に伴って周期的な圧縮応力を受ける。すなわち、通常の膨らんだ状態の
運転中、円柱体Vの中に含まれている材料は、トレッドの、円柱体Vに最も近接
する部分が地面に接するときに、最大の圧縮応力を受ける。しかしながら、ラン
フラット運転中の最大の圧縮応力は、通常の膨らんだ状態の運転中よりもはるか
に大きい。ランフラット運転中、サイドウォールの、トレッドの地面に接してい
る部分に最も近接している部分で、サイドウォールは最大の曲げ変形および応力
を受ける。
料の円柱体Vを示す。図2Bの円柱体Vは、長さがL1で直径がD1である。図2
Cに、軸線方向に加わる圧縮力FCの円柱体Vの直径に対する作用を示す(この
文章中の「軸線」という用語は、タイヤの回転軸ではなく、円柱体Vの軸線のこ
とを言う。したがって、円柱体Vに作用する圧縮力FCの方向は、タイヤの回転
軸に対する半径方向である)。圧縮力がかかっていない図2Bの場合の円柱体V
の直径D1は、圧縮力FCがかかっているときの同じ円柱体Vの最大直径D2より
も小さい(圧縮力FCは、上面および下面50,52の全域に均等に作用し、上
面および下面50,52はそれぞれ、圧縮中に材料が横方向に膨張するのに伴っ
て、面積が増大して上面および下面51,53になる)。図2Cに、軸線方向の
圧縮荷重FCの影響を受けている円柱体Vを示す。したがって、円柱体Vの形状
は、図2Cに示されるように、図2Bに示される形状とは異なっている。特に、
円柱体Vの材料は異なる長さと直径を有し、図2Cに示されている長さL2が図
2Bの長さL1より短く、図2Cに示されている長さ直径D2が、図2Bに示され
ている、圧縮荷重を受けていないときの円柱体Vの直径D1より大きい。
Cに示されている。直径は長さが短くなるのに伴って大きくなる。しかしながら
、直径の増大すなわち膨張が抑えられると、円柱体Vに作用する圧縮力の変形作
用が変化する。特に、軸線方向の圧縮荷重がかかっている間、直径の膨張が抑え
られると、長さを、図2BのL1から図2Cに示されている短い長さL2まで同じ
ように減少させるためには、力FCを増大させなくてはならない。言い換えると
、このような円柱体Vの直径方向の膨張を抑える物が置かれると、円柱体V内の
材料は、所与の圧縮荷重FCを受けて変形に対する抵抗が増す。実際の効果とし
て、円柱体Vは圧縮荷重に対してより強くなる。
運転中にくさび形インサートが最も顕著に受ける圧縮力の方向に対し直角な方向
において、可撓性を有する材料の膨張を抑えることによって、くさび形インサー
トがランフラット運転に関係する半径方向の荷重を受けるときの、くさび形イン
サートの剛性を増大させることである。言い換えると、くさび形インサートがラ
ンフラット運転に関係する圧縮力を受けるときの、くさび形インサートの膨張を
抑えることによって、くさび形インサートの慣性モーメント(ランフラット運転
に関係する曲げ変形に対する抵抗)が、変形の増大に伴って増大する。あるいは
、本発明の作用を別の見方をすると、くさび形インサートを、断面を見たときに
一端に荷重を受ける湾曲した梁と考えると、その構造的な慣性モーメント、すな
わち曲げ変形に対する抵抗が増大し、それによってサイドウォールは、通常の膨
らんだ状態の運転中よりランフラット運転中の方が高剛性になるというものであ
る。このくさび形インサート構造の構造的な慣性モーメントの増大について、以
下に詳述する。しかしながら、一般に、このような圧縮によって引き起こされる
、加えられた圧縮力の方向に対して横方向の膨張を抑える方法は、新規な方法の
使用を伴う。特に、本発明の抑制方法は、横方向の膨張に対する抑制が、圧縮力
が最小であるときはごく小さな効果しかないが、圧縮力が増大するのに伴って抑
制効果が増大していくものである。すなわち、くさび形インサートは、加えられ
る圧縮力の大きさに正比例して剛性が増大する。
料54の円柱体が、周方向に配置された伸びない金属の3本の拘束用ワイヤ56
で巻かれた状態が示されている。図3Bに、軸線方向の圧縮力FCを受けている
円柱体54が示されている。円柱体54の直径は、拘束用ワイヤ56の作用から
最も遠く離れている領域Uで、最も大きく増大する可能性がある。 しかしながら、実際のタイヤでは、図3Aおよび3Bに示されているこのよう
な伸びない筒状の拘束物は、サイドウォールのくさび形インサート補強材など圧
縮荷重を受ける部材の膨張を抑制するのに適した方策ではない。そこで図4Aに
、圧縮力を受けるであろうくさび形インサート材の円柱部58の膨張を抑える別
の方策を概略断面図で示している。円柱部58は、交互に並んでいる、高剛性材
料60の層と低剛性材料62の層を有する。図4Bに示されているように、円柱
体58が一連の力FCのもとで軸線方向の圧縮荷重を受ける間、高剛性の(硬い
)部分60が、低剛性の部分62の直径の膨張を抑える。実際の効果は、図3A
および3Bに示されている伸びない金属の拘束物56を用いた場合と同等である
。図4Bに、軸線方向の圧縮力FCがかけられている場合に生じる変形を示す。
重のときよりも小さな圧縮荷重のときの方が、可撓性および柔軟性が大きく、剛
性が小さいという利点を有する。言い換えると、図4Aと4Bに示される積層材
では、低い捩り剛性とヒステリシスを有する材料(すなわち材料62)を、高い
捩り剛性とヒステリシスを有する材料(材料60)に、低圧縮荷重の状態のとき
に低い捩り剛性の特性を有し圧縮荷重が増大するにつれて捩り剛性が増大する複
合材を形成するように、組み合わせることが可能である。また、可撓性のある材
料62が低ヒステリシスであることは、円柱部58の周期的な圧縮荷重の間、た
わみによる発熱を最小限に抑えられるという利点がある。実際、このような材料
の配置により、低剛性材料だけのものよりも高い弾性率を有し、圧縮力の増大に
伴って弾性率が大きくなる複合材が得られる。言い換えると、このような複合材
は、圧縮荷重の増大に伴って、高剛性になり、圧縮変形に対する抵抗が大きくな
る。また、さらに言い換えると、横方向に拘束される材料の曲げ剛性は、高剛性
材料からなる層が存在することによって増大するだけでなく、荷重が増大し歪み
が増大するのにも伴って増加する。したがって、このような複合構造の総合的な
特性の1つは、体積弾性係数が歪みに伴って増大するように変化し得ることであ
る。
強するためのくさび形インサートの構造に適用されると、ランフラット運転に関
係する、端部に荷重をかける半径方向の圧縮力が増大するのに伴って増大する可
変の慣性モーメントを、サイドウォールのくさび形インサート構造にもたらすと
いう効果がある。明らかな利点は、交互に並んでいる、周方向に配置された高剛
性の層と、間に挟まれる可撓性のある層とを有する、くさび形インサートで補強
されたサイドウォールで、ランフラット運転中よりも通常の膨らんだ状態の運転
中の方が比較的低い剛性を生じることである。後者の状態では、ランフラット運
転中のように、サイドウォールの地面に接する部分に最も近接する領域でサイド
ウォールの曲げ変形が大きいとき、補強されたサイドウォールの、曲げ変形に対
する抵抗が、通常の膨らんだ状態の運転中よりも大きくなることである。このよ
うに、本発明は、通常の膨らんだ状態の運転中には柔軟な乗り心地を提供し、ま
た、ランフラット運転中には、良好なサイドウォールの構造的な剛性を提供する
。
ドウォールのくさび64の概略図である。高剛性材料の層68は、周方向に配置
されたくさび形インサート64の中に周方向に配置され、可撓性を有し低ヒステ
リシスの材料66を間に挟んでいる。図5を参照すると、通常の膨らんだ状態の
運転中は、可撓性を有し低ヒステリシスの材料66が、タイヤのサイドウォール
に優れた柔軟性を与える。ランフラット運転中、変形が最も大きくなると、くさ
び形インサートの膨張を抑える、高剛性の層68が、積層された複合材であるく
さび形インサート64の剛性の増大に寄与し、さらに圧縮変形に対する抵抗を増
大させる。このように、くさび形インサート、したがってサイドウォールの構造
的な慣性モーメントが、曲げ変形に伴って増大する。また、低ヒステリシスの材
料66がより多く存在することにより、ランフラット運転中にたわみによって引
き起こされる熱が低減する。このように、ランフラット運転中は低ヒステリシス
が高い剛性と組合わされ、それでもなお、通常の膨らんだ状態の運転中に可撓性
を有するサイドウォールを提供できる。
で補強されたエラストマ、金属製補強材を備えている、または備えていない熱可
塑性樹脂、金属、および合金を含むグループの中の比較的高剛性の材料からなる
、半径方向に配置された複数の層68によって分離された、エラストマ(弾性ポ
リマー)などの可撓性を有し低ヒステリシスの材料62からなる領域66を有す
るものと表される。ヤング率は、引張時または圧縮時の応力‐ひずみ曲線の原点
における接線の傾きと定義される。高剛性の層68のヤング率は、可撓性材料6
6の2〜50,000倍である。可撓性材料66は、一般にショア硬度のAスケ
ールで45から70の間の硬度を有し、一般にインサート64の総体積の5%〜
99%を構成する。高剛性材料の層68は、可撓性材料66よりわずかに大きい
硬度から非常に大きい硬度までの間のいずれかの硬度を有する。層68は平行な
上面と下面を有し、くさび形インサート内に周方向に配置されている。インサー
ト64内の層68の数と、高剛性の層68と可撓性材料66の層のそれぞれの相
対的な厚さは、タイヤ構造を最終的に意図される用途に合わせるようにタイヤ設
計者が選択できる。
ット運転中には十分なサイドウォールの剛性をもたらすという同じ目的に対する
別の解決策の概略断面図を示す。図6Aにおいて、比較的高剛性のエラストマか
ら作られ、くさび形インサートの中に配置される三角形の断面を有する単一の「
抑制物」72が組み込まれた、複合材のくさび形インサート70が示されている
。このくさび形インサート70は、主に、くさび形インサートに一般に使用され
る種類の、可撓性を有し低ヒステリシスの材料から作られる。抑制物72は、「
エイペックス」72aがタイヤの赤道面から軸線方向の外向きに存在するくさび
形インサート70の表面70a上に配置され、底辺72bが表面70aから赤道
面に向かって軸線方向の内向きに存在する表面70bの一部を形成するように配
置されている。図6Bに、くさび形インサートが圧縮力FCを受けるときの、抑
制物72の高剛性材料の、くさび形インサート70に対する作用を示す。このよ
うな半径方向の圧縮荷重は、圧縮距離CDが、抑制物72の高剛性材料が存在し
ない場合よりも大きいままであるように、くさび形インサート部材70の変形を
引き起こす。同時に、(くさび形インサート70の上部73Uの)厚さE1と(く
さび形インサートの下部73Lの)厚さE2は、高剛性部材73が存在しない状態
で受けるべき膨張の大きさより大きくならないように抑え、それによって、73 U および73Lの可撓性材料の近傍の横方向の膨張が抑えられる。この厚さE1お
よびE2で特徴づけられる横方向の膨張の抑制は、もちろん、高剛性部材73に
最も近接するこれらの部分73Uおよび73Lにおいて最大になる。
、高剛性材料78の領域が交互に並んでいる状態になっているくさび形インサー
ト74を概略断面図で示す。したがって、図7には、図6Aおよび6Bで示され
ている一般的な原理の特定の応用例が示されている。
並んでいる、可撓性部分76の領域と高剛性部分78の領域とを有している。そ
れぞれの部分76,78は、断面がほぼ三角形で、周方向に配置されたくさび形
インサート74内に周方向に配置されている。これらの部分76,78は、タイ
ヤの半径方向に交互に並んでいるという意味で、半径方向に交互に並んでいる。
ほぼ三角形の可撓性部分76の1つの頂点77が、タイヤの赤道面を向いている
(すなわち、ほぼ軸線方向の内向きに方向付けられている)。また、周方向に配
置され、ほぼ三角形状の高剛性部分78の1つの頂点79が、(タイヤの赤道面
から)外側に向いている。ほぼ三角形状の、可撓性を有し低ヒステリシスの部分
76は、ショア硬度のAスケールで約45から約70の間の硬度を有する。ほぼ
三角形状の高剛性部分78は、(エラストマなどの)可撓性部分76よりわずか
に大きい硬度から、(金属などの)非常に大きい硬度の間のいずれかの硬度を有
している。高剛性領域78および可撓性領域76の数と、ほぼ三角形状の断面の
領域の特定の形状は、タイヤの特性を、乗用車または軽量トラックなどのような
、その特定の用途に合わせるように変更することが可能である。
成により、ランフラットタイヤの構造に有利な、2通りの作動形態がもたらされ
る。一方の作動形態は、図5に示されている積層された複合構造に関連して表さ
れ、図6Bの説明で寸法E1、E2に関して述べられたように、くさび形インサー
ト74の横方向の膨張に対する抑制である。他方の作用については、図8Aおよ
び8Bを参照して説明する。
大して示す。拡大されたセグメント80は、ほぼ三角形状の、可撓性を有し低ヒ
ステリシスの領域76が間隔をおいて配置されている、ほぼ三角形状の、高剛性
の抑制物78を含んでいる。セグメント80は、半径方向に圧縮荷重を受け、曲
率半径R1を有する。高剛性の抑制物78は、84の個所で互いに接している。
示されているセグメント80の一部分81を示す。この部分81は、タイヤが膨
らんでいないときに、タイヤのトレッドの地面と接する部分に最も近接するサイ
ドウォール部に発生する力のベクトルFCによって、半径方向の圧縮荷重を受け
る。したがって、圧縮荷重の曲げ作用によって、図8Bに示されている曲率半径
R2は、図8Aに示されている曲率半径R1よりも小さい。図8Bでは、高剛性の
抑制物78は、圧縮力FCの曲げ作用によって領域82に沿って変形しているよ
うに示されている。したがって、圧縮力FCによって引き起こされる曲げの作用
は、高剛性の抑制物の部分78を、その初期の接点84に近接する位置で、ぴっ
たりと接触させるようにする作用である。82で示される領域は、接点84に最
も近く、より剛性の小さい部分76の頂部83が圧縮されるように圧縮変形され
る。
って生じる曲がりの実質的な影響は、圧縮に関係する曲げモーメントが増加し、
領域82が、可撓性材料76の頂部83に加わる圧縮力に対応するように広がる
(長くなる)作用である。言い換えると、圧縮力が増大するのに伴って、抑制物
78の、位置84に最も近い領域82が、可撓性領域76の圧縮された頂部83
に隣接する領域82の面積を増大させるように、互いに接近する。
96と、インナーライナ100と、2つの伸びない環状ビード102a,102
bと、2つのサイドウォール88a,88bとを有する、ランフラットラジアル
プライ空気入りタイヤ86における本発明の一実施形態の断面図が示されている
。ベルト構造103が、トレッド87とカーカス96の間に配置されている。こ
のラジアルプライランフラット空気入りタイヤ86の各サイドウォール88a,
88bは、高剛性の(硬い)多数または少なくとも1つ以上の層91a,91b
によってそれぞれ分離された、半径方向に交互に並ぶ、可撓性を有し低ヒステリ
シスの材料の領域90a,90bをそれぞれ有する、単一のサイドウォール補強
用くさび形インサート89a,89bを含んでいる。半径方向に積層され、周方
向に配置された複数の領域(90a,90b)は、この領域90a,90bの材
料よりも剛性の大きい材料からなる、周方向に配置された複数の層(91a,9
1b)によって分離されている。
乗心地をもたらし、一方、ランフラット運転中の高剛性のサイドウォール補強材
をもたらしもする。くさび形インサート89a,89bは、図5に示されている
実施形態を組み込んでいるように示されているが、図7に示されているくさび形
インサートの実施形態に置き換えられる。
ーカス116と、インナーライナ112と、2つの伸びない環状ビード114a
,114bと、2つのサイドウォール116a,116bとを有する、ランフラ
ットラジアルプライタイヤ104における、本発明の別の実施形態の断面図で示
されている。ベルト構造117が、トレッド106とカーカス108の間に配置
されている。このラジアルプライランフラットタイヤ104の各サイドウォール
116a,116bは、内側の第1のサイドウォール補強用くさび形インサート
118a,118b(図6Bの74と同様)と、外向きに配置された第2のサイ
ドウォールくさび形インサート120a,120bとを収容している。第1のサ
イドウォール補強用くさび形インサート118a,118bはそれぞれ、ほぼ三
角形状の、高剛性材料の多数の領域124a,124b(78と同様)によって
それぞれ分離された、半径方向に交互に並ぶ、ほぼ三角形状の、可撓性を有し低
ヒステリシスの材料の領域122a,122b(76と同様)を有する。ほぼ三
角形状の、可撓性を有し低ヒステリシスの材料の領域122a,122bと、高
剛性材料の領域124a,124bは、可撓性を有し低ヒステリシスの三角形状
の各領域122a,122bの1つの頂点が、タイヤの赤道面EPに向かってほ
ぼ軸線方向内側に向き、また、ほぼ三角形状の、間隔をおいて配置された高剛性
材料の各領域124a,124bの1つの頂点が、タイヤの赤道面からほぼ軸線
方向外側に向いている。タイヤ104は、通常の膨らんだ状態の運転中は柔軟な
サイドウォールと優れた乗心地をもたらし、一方、ランフラット運転中は高剛性
のサイドウォールによる補強を実現する。くさび形インサート118a,118
bは図7に示されている実施形態として示されているが、図5に示されているタ
イプのくさび形インサートに置き換えることも本発明の範囲内である。
層された可撓性領域122a,122bと、高剛性領域124a,124bから
なる)であり、外側のインサート120a,120bは複合材ではないが、外側
のインサートは複合材で内側のインサートは複合材でない場合や、また内側のイ
ンサートおよび外側のインサートがいずれも複合材である場合も、本発明の範囲
内である。
内容を考慮して、数多くの変更、修正、および変形が当業者にとって自明である
ことは明白である。したがって、本発明は、添付された特許請求の範囲の主旨お
よび範囲に入る、このようなすべての変更、修正、および変形を含む。
多数のプライを組み込んだ、従来技術のランフラットタイヤ設計の断面図である
。
セグメントを示す図である。
。
品として組み込んだ、図3Aに示されている概念の変形例の断面図である。
形インサートを示す図である。
る。
a,90b,122a,122b)は、ショア硬度のAスケールで45から70
の間の硬度を有し、前記高剛性の材料からなる層(91a,91b,124a,
124b)は、前記可撓性を有し低ヒステリシスの材料よりわずかに大きい硬度
と非常に大きい硬度の間の硬度を有する、請求項1に記載のタイヤ(86,10
4)。
b)内の少なくとも1つの前記補強用くさび形インサート(89a,89b,1
18a,118b)から軸線方向外側に配置されている、第2の補強用くさび形
インサート(120a,120b)を含む、請求項1に記載のタイヤ(86,1
04)。
有し低ヒステリシスの材料からなる領域(122a,122b)と、前記高剛性
の第2の材料からなる層(124a,124b)は、いずれも断面が三角形状で
ある、請求項1に記載のタイヤ(104)。
の、前記可撓性を有し低ヒステリシスの材料からなる領域(122a,122b
)と、その間に介在して周方向に配置されている、三角形状の、材料からなる層
(124a,124b)は、三角形状の、前記可撓性を有し低ヒステリシスの材
料からなる各領域の1つの頂点が、タイヤの赤道面(EP)に向かって軸線方向
内側に向き、また、周方向に配置され、三角形状で、交互に並んでいる前記高剛
性の材料からなる各層のもう1つの頂点が、タイヤの赤道面(EP)から軸線方
向外側に向くように配置されている、請求項4に記載のタイヤ(104)。
2a,122b)は、ショア硬度のAスケールで45から70の間の硬度を有す
る材料の中から選択されている、請求項5に記載のタイヤ(104)。
記可撓性を有し低ヒステリシスの材料よりもわずかに大きい硬度と非常に大きい
硬度の間の硬度を有する材料の中から選択されている、請求項6に記載のタイヤ
(104)。
少なくとも1つの前記くさび形インサート(118a,118b)から軸線方向
外側に配置されている第2の補強用くさび形インサート(120a,120b)
をさらに含む、請求項7に記載のタイヤ(104)。
に配置されているもの(202)は、柔軟性の低いエラストマからなる。特に、
支持するように形成された部分(20)はそれぞれ、柔軟性の異なる、組み立て られた2つの部分から構成されている。組み立てられた2つの部分は、半径方向 に同じ高さを有する。この組立体20を側面から見たときの慣性撓みモーメント の中立線は、内側の部分201の中に、または、2つの部分の接合面の近傍にあ
る。 明らかに、ランフラットタイヤの設計の目標は、ランフラット時の優れた車両
操縦性ならびにランフラット運転中の十分な耐用期間をもたらす、低価格で軽量
のタイヤを提供することである。
ット運転中には十分なサイドウォールの剛性をもたらすという同じ目的に対する
別の解決策の概略断面図を示す。図6Aにおいて、比較的高剛性のエラストマか
ら作られ、くさび形インサートの中に配置される三角形の断面を有する単一の「
抑制物」72が組み込まれた、複合材のくさび形インサート70が示されている
。このくさび形インサート70は、主に、くさび形インサートに一般に使用され
る種類の、可撓性を有し低ヒステリシスの材料から作られる。抑制物72は、「
エイペックス」72aがタイヤの赤道面から軸線方向の外向きに存在するくさび
形インサート70の表面70a上に配置され、底辺72bが表面70aから赤道
面に向かって軸線方向の内向きに存在する表面70bの一部を形成するように配
置されている。図6Bに、くさび形インサートが圧縮力FCを受けるときの、抑
制物72の高剛性材料の、くさび形インサート70に対する作用を示す。このよ
うな半径方向の圧縮荷重は、圧縮距離CDが、抑制物72の高剛性材料が存在し
ない場合よりも大きいままであるように、くさび形インサート部材70の変形を
引き起こす。同時に、(くさび形インサート70の上部73Uの)厚さE1と(く
さび形インサートの下部73Lの)厚さE2は、高剛性部材72が存在しない状態
で受けるべき膨張の大きさより大きくならないように抑え、それによって、73 U および73Lの可撓性材料の近傍の横方向の膨張が抑えられる。この厚さE1お
よびE2で特徴づけられる横方向の膨張の抑制は、もちろん、高剛性部材72に
最も近接するこれらの部分73Uおよび73Lにおいて最大になる。
ーカス116と、インナーライナ112と、2つの伸びない環状ビード114a
,114bと、2つのサイドウォール116a,116bとを有する、ランフラ
ットラジアルプライタイヤ104における、本発明の別の実施形態の断面図で示
されている。ベルト構造110が、トレッド106とカーカス108の間に配置
されている。このラジアルプライランフラットタイヤ104の各サイドウォール
116a,116bは、内側の第1のサイドウォール補強用くさび形インサート
118a,118b(図6Bの74と同様)と、外向きに配置された第2のサイ
ドウォールくさび形インサート120a,120bとを収容している。第1のサ
イドウォール補強用くさび形インサート118a,118bはそれぞれ、ほぼ三
角形状の、高剛性材料の多数の領域124a,124b(78と同様)によって
それぞれ分離された、半径方向に交互に並ぶ、ほぼ三角形状の、可撓性を有し低
ヒステリシスの材料の領域122a,122b(76と同様)を有する。ほぼ三
角形状の、可撓性を有し低ヒステリシスの材料の領域122a,122bと、高
剛性材料の領域124a,124bは、可撓性を有し低ヒステリシスの三角形状
の各領域122a,122bの1つの頂点が、タイヤの赤道面EPに向かってほ
ぼ軸線方向内側に向き、また、ほぼ三角形状の、間隔をおいて配置された高剛性
材料の各領域124a,124bの1つの頂点が、タイヤの赤道面からほぼ軸線
方向外側に向いている。タイヤ104は、通常の膨らんだ状態の運転中は柔軟な
サイドウォールと優れた乗心地をもたらし、一方、ランフラット運転中は高剛性
のサイドウォールによる補強を実現する。くさび形インサート118a,118
bは図7に示されている実施形態として示されているが、図5に示されているタ
イプのくさび形インサートに置き換えることも本発明の範囲内である。
Claims (9)
- 【請求項1】 トレッド(87,106)と、ラジアルプライ構造(98,
110)を含むカーカス(96,108)と、少なくとも1つの補強用くさび形
インサート(89a,89b,118a,118b,120a,120b)によ
ってそれぞれが補強されている2つのサイドウォール(88a,88b,116
a,116b)とを有する、空気入りラジアルプライランフラットタイヤ(86
、104)において 少なくとも1つの前記補強用くさび形インサート(89a,89b,118a
,118b,120a,120b)が、前記サイドウォールの応力の増大に伴っ
て増大する構造的な慣性モーメントを生じる2つ以上の異なる材料から構成され
ていることを特徴とする、空気入りラジアルプライランフラットタイヤ。 - 【請求項2】 前記各サイドウォール(88a,88b,116a,116
b)内の少なくとも1つの前記補強用くさび形インサート(89a,89b,1
18a,118b,120a,120b)が、可撓性を有し低ヒステリシスの第
1の材料からなり、前記第1の材料より高剛性の第2の材料からなり周方向に配
置されている1つ以上の層(91a,91b,124a,124b)によって分
離されている、半径方向に積層され周方向に配置されている複数の領域(90a
,90b,122a,122b)をそれぞれ有している、請求項1に記載のタイ
ヤ(86,104)。 - 【請求項3】 前記可撓性を有し低ヒステリシスの材料からなる領域(90
a,90b,122a,122b)は、ショア硬度のAスケールで45から70
の間の硬度を有し、前記高剛性の材料からなる層(91a,91b,124a,
124b)は、前記可撓性を有し低ヒステリシスの材料よりわずかに大きい硬度
と非常に大きい硬度の間の硬度を有する、請求項2に記載のタイヤ(86,10
4)。 - 【請求項4】 前記各サイドウォール(88a,88b,116a,116
b)内の少なくとも1つの前記補強用くさび形インサート(89a,89b,1
18a,118b)から軸線方向外側に配置されている、第2の補強用くさび形
インサート(120a,120b)を含む、請求項2に記載のタイヤ(86,1
04)。 - 【請求項5】 半径方向に積層され周方向に配置されている、前記可撓性を
有し低ヒステリシスの材料からなる領域(122a,122b)と、前記高剛性
の第2の材料からなる層(124a,124b)は、いずれも断面が三角形状で
ある、請求項2に記載のタイヤ(104)。 - 【請求項6】 半径方向に交互に並んで周方向に配置されている、三角形状
の、前記可撓性を有し低ヒステリシスの材料からなる領域(122a,122b
)と、その間に介在して周方向に配置されている、三角形状の、材料からなる層
(124a,124b)は、三角形状の、前記可撓性を有し低ヒステリシスの材
料からなる各領域の1つの頂点が、タイヤの赤道面(EP)に向かって軸線方向
内側に向き、また、周方向に配置され、三角形状で、交互に並んでいる前記高剛
性の材料からなる各層のもう1つの頂点が、タイヤの赤道面(EP)から軸線方
向外側に向くように配置されている、請求項5に記載のタイヤ(104)。 - 【請求項7】 前記可撓性を有し低ヒステリシスの材料からなる領域(12
2a,122b)は、ショア硬度のAスケールで45から70の間の硬度を有す
る材料の中から選択されている、請求項6に記載のタイヤ(104)。 - 【請求項8】 前記高剛性の材料からなる層(124a,124b)は、前
記可撓性を有し低ヒステリシスの材料よりもわずかに大きい硬度と非常に大きい
硬度の間の硬度を有する材料の中から選択されている、請求項7に記載のタイヤ
(104)。 - 【請求項9】 それぞれ前記各サイドウォール(116a,116b)内の
少なくとも1つの前記くさび形インサート(118a,118b)から軸線方向
外側に配置されている第2の補強用くさび形インサート(120a,120b)
をさらに含む、請求項8に記載のタイヤ(104)。
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