JP2003509098A - 医用移植片のセンシング、インタロゲーティング、記憶、遠隔機器を用いた通信、測定および応答 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 圧力、流体流、分析物の濃度、ｐＨ、および他の変数に応答するセンサであって、フィードバックループと、移植片が患者の体内に配置された後にセンサを用いて行った測定に応答して、移植片を改変する手段とを含むセンサを備えた移植片が開発されている。センサからのフィードバックは、容器の直径が経時的に変化した場合、または移植片が使用不能になったり移動したりした場合に必要であり得る、移植片の膨張などの変化を知らせる。別の実施形態において、移植片は、生物的に活性な薬剤、予防薬、診断薬、またはｐＨ改変剤を含む。移植片は、温度またはｐＨ応答材料によって形成されており、それにより、温度またはｐＨが変化すると上記薬剤が放出される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 （発明の背景） 本開示は、一般に、物理変数、細胞変数、および他の変数を検知するか、また
はインタロゲートすることができるセンサを含む移植片の分野であり、情報を収
集し、増幅し、記憶し、遠隔機器を用いて通信するための手段およびフィードバ
ックループ、ならびにセンサを用いて行なわれる測定に応答して、患者体内に配
置された後の移植片を改変するための手段を含む。

【０００２】 本出願は、米国特許シリアルナンバー第６０／１５４，６３７号（１９９９年
９月１７日出願）に対する優先権を主張する。

【０００３】 医用移植片は、インターベンショナルラジオロジー、胃腸病学、泌尿器科学お
よび心臓病学、ならびに他の内科学および外科学の分野において、長年に渡って
用いられてきた。通常、これらのデバイスは、静的であり、双方向性ではない。
すなわち、これらのデバイスは、特定の目的のために移植されており、バイスタ
ンダー（ｂｙｓｔａｎｄｅｒ）腐食または生分解を除いて、長い年月の間、変化
は生じず、問題が発生した場合には取り除かれる。通常、従来の移植片は、医用
レベルのステンレス鋼、例えば、ダクロン（Ｒ）またはテフロン（Ｒ）等のコン
パチブルポリマーあるいはセラミックから構成される。より高度な移植片は、形
状記憶金属および形状記憶ポリマーを用いて開発されている。形状記憶は、機械
的変形の後、または冷却および加熱することによって、その元の形状を記憶する
材料の性能である。これらの材料は、血管移植片、医用ガイドワイヤ、矯正装置
用ワイヤ等を含む様々な利用法のために提示されてきた。

【０００４】 最近、移植片を、単純構造、または増強性の非双方向性デバイスであることか
ら移植片を移動させる試みにおいて、センサ、例えば、心臓が活動するためのセ
ンサ、または血流を監視するためのセンサを含むための改変が行われている。セ
ンサは、流れ、圧力、および／またはひずみを測定する。ほとんどは、遠隔式「
インタロゲートが可能」ではなく、これは、体内の移植後にデータを遠隔式で抽
出することはできないという意味であると理解される。しかしながら、いくつか
は遠隔式で双方向性である。例えば、特に、ペースメーカ患者に関して、電池は
非浸襲性で再充電され得る。いくつかのセンサは、移植片の場所において双方向
性であるが、遠隔性ではない。ほとんどのセンサは、デバイスをプログラムする
か、データを抽出するためにいくつかの「ハードワイヤリング」型を必要とする
。Ｗｉｎｓｔｏｎらの米国特許第５，４１１，５５１号は、遠隔監視デバイスに
直接的に接続された拡張可能なステント壁の内部に配置されたセンサを含むステ
ントを記載する。Ｓｑｕｉｒｅらの米国特許第６，０９１，９８０号は、ステン
トが元の位置からすべるか、または移動すると、信号を生成するための複数の伝
導性パッドを含むステントを記載する。

【０００５】 ステントを配置する際に支援するための、遠隔式でアクセス可能なセンサを含
むステントの１例は、Ｓｃｈｎｅｉｄｅｒ（米国）Ｉｎｃ．による欧州特許第０
８５０６５４号に記載され、Ｃｉｍｏｃｈｏｗｓｋｉらの米国特許第５，８０７
，２５９号、Ｇｏｖａｒｉらの米国特許第６，０５３，８７３号、およびＳｃｈ
ｗａｒｔｚらの米国特許第６，０１５，３８７号は、血管、移植片または人工器
官における流れおよび／または圧力を監視するための移植可能なデバイスを記載
する。圧力センサ‘２５９および‘８７３は、変換機による超音波として伝送さ
れるデータを遠隔式でアクセスするための無線コイルを含む。センサ‘３８７は
、関連する血管内の血流レートを示す電磁周波数信号、超音波周波数信号および
／または無線周波数信号を生成する。Ｋｏｖａｃｓらの米国特許第５，８３３，
６０３号は、温度、ひずみ、圧力、磁力、加速、電離放射線、音波または化学薬
品のためのセンサを含む移植可能な応答器を記載し、この場合、センサは移植さ
れた人工器官または移植片と関連付けられ得る。データはリモートリーダに伝送
される。脈拍調整器ＡＢに割り当てられた、Ｂｕｄｇｉｆｖａｒｓらの米国特許
第５，７０９，２２５号は、適切な医学治療を決定するための電磁場の存在にお
ける変化を検出する蓄電センサを有する電磁場検出器を含む医用移植片、および
遠隔式検出が可能な信号を生成するための手段を記載する。Ａｃｋｅｒらの米国
特許第５，９２８，２４８号は、ステントの位置付けを支援するために、試験中
の変換器（単数または複数）と外部変換器との間の非電離場をプローブで伝送す
るシステムを含むステントを記載する。

【０００６】 しかしながら、これらのデバイスのいずれも、センサによって収集されたデー
タに応答するものではない。これらのデバイスのいずれも、内在インタロゲーシ
ョン手段または外在のインタロゲーション手段を介してのリピートインタロゲー
ション、インターバルイントロゲーションまたはプログラムインタロゲーション
の手段を組み込まない。これらのデバイスのいずれも、デバイス内に信号処理お
よび信号解釈するための手段を含まない。これらのデバイスのいずれも、生デー
タまたは処理されたデータを記憶するための手段を含まない。これらのデバイス
のいずれも、変化に対する組み込まれた手段または近似手段を含んでいない。す
なわち、収集された情報の結果としての局所的環境の変化、または局所的治療ま
たは遠距離治療の変更手段である。これらのデバイスのいずれも、例えば、単一
または複数の（例えば、入れ子にされた）情報伝達のループとして存在するデー
タ伝送またはデータ通信手段と遠隔機器を用いて通信し、かつ双方向通信する性
能を有しない。したがって、本発明の目的は、患者の体内に移植する方法、デバ
イスおよびシステムを提供することであり、移植片は、データを収集し、および
／またはデータを処理し、および／またはデータを記憶するための手段を含む。

【０００７】 本発明の別の目的は、患者の体内に移植するそのようなデバイスを含む方法、
デバイスおよびシステムを提供することであり、移植されたデバイスは、次に続
くデータ伝送手段またはデータ通信手段と双方向通信するためのデータの遠隔測
定手段または通信手段を単一または複数の（例えば「入れ子された」情報伝達ル
ープにおいて含む。

【０００８】 本発明の別の目的は、患者の体内に移植するそのようなデバイスを含む方法、
デバイスおよびシステムを提供することであり、移植片は、収集された局所的デ
ータ、または外部の独立信号もしくは非独立信号に基づく、例えば、治療活動の
監視等の応答するための手段を含む。

【０００９】 （発明の要旨） データ測定のためのセンサ、および／またはデータ分析器、および／またはデ
ータ格納手段、および／または情報転送の隔離または入れ子にされたレベルの複
数のレベルにおける通信手段を含むデータ遠隔測定／伝達手段などの移植可能な
デバイス（すなわち、移植片）が開発されてきた。これらのデバイスは、センサ
を使用して行われる測定に応じて、移植片を一時変異させる手段、または応答を
高めるため（例えば、局所または全身の薬物送達）の手段を組み込み得る。これ
らは、特に、泌尿器科学、肝臓学、または心臓学に有用であり、ここで、移植片
は、経時的に変化する変数（例えば、流体流の変化を示す圧力、および移植片が
取り付けられる尿管、胆管、または血管の直径）に応答するセンサを１つ以上含
む。センサ（単数または複数）からのフィードバックは、直接的または間接的の
いずれかによって、患者の外部にある監視手段を介して、必要とされる信号変化
（例えば、経時的に組織管腔の直径が変化する場合、または移植片が不安定にな
るかもしくは移動する場合の移植片の膨張）を示す信号を送る。別の実施形態に
おいて、移植片は、生物活性剤、予防剤、診断剤、またはｐＨ調整剤を含む。一
実施形態において、移植片は、温度またはｐＨ応答材料によって形成され、その
結果、温度またはｐＨが変化するとｐＨ調整薬は放出される。

【００１０】 これらのシステムは、また、患者を遠隔なデータ記憶または操作システムに接
続させるために使用され得、これらのシステムは、時計のようなデバイス、小さ
なポータブルデバイス、皮内移植片または皮外移植片、電話システムデバイス（
携帯電話、伝言サービス、ポケットベル（登録商標）、オフィスファックスシス
テム）、ポータブルコンピュータ、携帯情報端末（例えば、Ｐａｌｍ Ｐｉｌｏ
ｔ（Ｒ）システムなどのＰＤＡ）、または移植片と遠隔的に相互作用するために
医師もしくは看護婦によって監視もしくは使用可能なインターネット（ｗｏｒｌ
ｄ ｗｉｄｅ ｗｅｂ）もしくはデバイスを介してアクセス可能なコンピュータ
などを含む。

【００１１】 （発明の詳細な説明） （Ｉ．スマートで応答性の移植片または移植片） （Ａ．移植片） 一般的に理解されるように、移植片は、多種多様の形および構成であり得る。
一般に、形状は、内部移植片の位置および機能によって決定される。移植された
デバイスは、多くの形式であり得る。例えば、このようなデバイスは、末端管腔
（ｅｎｄｏｌｕｍｉｎａｌ）ステント、ステント移植片、移植片（バイパス移植
片を含む）、リング、フック、縫合、ワイヤ、および組織導管などの種々のステ
ントを含み得る。このようなデバイスは、動脈、静脈、静脈瘻、胆管、尿管、卵
管、および、外科手術によって生成された人工空間などの位置に移植され得る。
本明細書中で想定される移植片は、針、套管針、経波移植、外科移植、および内
視鏡を含む種々の方法によって移植され得る。移植片は、好適には、免疫学的反
応を誘発しない材料から作製され、そして、組織の内殖が所望でない場合、汚損
に抵抗する材料から作製される。

【００１２】 この点で、移植片の機能は、厳密に感知すること、データを感知し、且つデー
タを格納すること、データを感知し、格納し、且つ増幅するかまたはデータを処
理すること、あるいは、情報を感知し、格納し、処理し、且つ電気、電磁気、光
学、無線、化学、超音波、熱、もしくは他の手段によって情報を送信するかもし
くは通信することであり得る。診断および送信の機能の他に、移植片は、生得支
持、隣接する移植帯組織を直接調整するか、または周辺帯もしくは少し離れた所
において機能を変更する増強もしくは治療の機能を有し得る。

【００１３】 診断移植片は、簡単な球体、ペレット、ウェハ、スライバ、チップ、または、
これらの形もしくは他の形をしたウィーブ、繊維、もしくはスタンプのようなア
レイであり得る。簡単な支持移植片（ｓｕｐｐｏｒｔ ｉｍｐｌａｎｔ）の例は
、管腔を開いたままにするため、且つ狭窄または外部圧搾による閉鎖を予防する
ために、体の管腔、血管、または通路に挿入されている金属またはプラスチック
から作製されるチューブである。移植片は、一般に、膵臓癌または胆管癌の治療
のために胆管を開いたままにするためか、狭窄または癌の治療のために食道を開
いたままにするためか、腎臓または血管（すなわち、冠状または周辺の動脈）か
らの排流（ｄｒａｉｎａｇｅ）を維持するために尿管を開いたままにするために
使用される。

【００１４】 本明細書中で使用されるように、移植片は、また、組織、結合組織、または骨
の修復または置換のための人工器官を参照し得、ここで、デバイスは、手術によ
る損傷、外傷、もしくは病気の支持または密封を行うか、または、デバイスは、
組織または組織の損傷を修復あるいは置換するために、細胞を接種する。

【００１５】 移植片は、一般に、生物学的適合性の材料から作製され、生物学的適合性の材
料は、生物分解性であり得るか、さらに典型的には、非生物分解性であり得る。
例示的な材料は、チタン、ニチノールおよび外科用ステンレス鋼（ｓｕｒｇｉｃ
ａｌ ｓｔａｉｎｌｅｓｓ ｓｔｅｅｌ）などの金属、セラミック、および合成
ポリマー材料を含む。非生物分解性の材料は、ポリエチレン、ＴＥＦＬＯＮ（Ｒ
）、および熱分解炭素を含む。好適な生物分解性のポリマーは、ポリ乳酸（ｐｏ
ｌｙｌａｃｔｉｃ ａｃｉｄ）、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン（ｐｏ
ｌｙｃａｐｔｏｌａｃｔｏｎｅ）、およびそれらのコポリマーを含む。

【００１６】 （Ｂ．センサ） 移植片の中、その上、またはその一部として、１つ以上のセンサが位置付けら
れ得る。これらのセンサは、温度、機械力（応力および歪、圧力、ならびに動力
など）、流量特性（流速およびせん断など）、電磁界、ならびに化学要素または
変数を測定するために使用され得、化学要素または変数は、ｐＨ、イオン濃度、
酵素（他の要素を測定するための酵素の存在、酵素の活量、または酵素の使用）
、および分析物の濃度またはその分布を含む。センサは、また、体積に基づく細
胞もしくは組織の濃度もしくは分布の変化、または細胞もしくは組織の特性（剛
性、弾性、表面の接着力、および表面の電荷、代謝産物の変化、抗原性の変化、
もしくは細胞表面圧搾（ｃｅｌｌ ｓｕｒｆａｃｅ ｅｘｐｒｅｓｓｉｏｎ）な
ど）、および異物沈積（無機、有機、および微生物の材料を含む）の存在を監視
するために使用され得る。

【００１７】 これらのセンサの用途例は、肢節などの領域にわたる、脂肪細胞の体積および
脂肪質量／リピドにおける変化を測定することによって、重量の変化を測定する
こと、および腱の硬さ、皮膚の硬さ、あるいは筋肉の緊張または硬直における変
化のように、組織の線維症を測定することを含む。

【００１８】 経時的な移植片の汚損に関する他の用途は、胆汁ステント上のタンパク質堆積
または細菌膜の形成に関連した測定を含み、尿ステントの石灰化を増長し、動脈
ステントの新生内膜を肥厚させ、これにより、厚み、質量および壁剪断が増加す
る。

【００１９】 センサは、移植片への導管（中実、中空または多孔）を介して、表面上、移植
の中空壁または多孔壁内部、あるいは身体組織と連絡するデバイス内部に設ける
ことが可能である。これらのセンサは、主に、変換器の４つのクラス：電位差滴
定、電流滴定、光および生理化学のうちの一つ以上を含む。電子が生体システム
と電極との間で交換されると、電流滴定センサが生成された電流を監視する。血
液グルコースセンサはしばしば、この種のものである。例えば、Ｓｑｕｉｒｅら
に対する米国特許第６，０９１，９８０号に記載されるように、電位差滴定セン
サは、その上で測定が行われるべき領域内で、相互から離れて位置決めされた電
極間の電位における変化を測定する。

【００２０】 センサは、監視手段、または直接、動作手段に信号を伝送する手段を含み得る
。信号を伝送する手段は、ハードワイヤードされ得るか、または電波または磁気
、または機械的手段を介して、伝送され得る。

【００２１】 用いられ得るセンサは、Ｃｉｍｏｃｈｏｗｓｋｉらに対する米国特許第５，８
０７，２５９号、Ｋｏｖａｃｓらに対する米国特許第５，８３３，６０３号、Ｂ
ｕｄｇｉｆｖａｒｓらに対する米国特許第５，７０９，２２５号に記載されるセ
ンサを含み、米国特許第５，８０７，２５８号は、血管の移植片の状態を監視す
る超音波センサを記載する。流体フローの状態を示すパラメータは、管、自然移
植片、または合成移植片内において、遠隔で監視される。一つ以上の変換器は、
合成移植片の壁、または管に隣接した壁、または自然移植片の壁のいずれかに設
けられて、パラメータを監視する。コンフォーマルアレイ変換器または傾斜要素
は、変換器によって生成される超音波上の流体効果に基づいて、移植片または管
を通る流体フローまたは流体速度を監視するために用いられる。コンフォーマル
アレイ変換器は、移植片または管の周囲でカーブし、移植可能な電子回路によっ
て提供される入力信号で励起された、複数の要素から形成され、移植片または管
内を流れる流体内に伝播する超音波を生成する。移行時間測定またはドップラー
測定は、適切な数のこれらの変換器を用いてなされ、これにより、流体フローま
たは流体速度が判定される。選択された変換器が、駆動され、超音波信号、また
は変換器が監視する流体フローの状態を示す圧力信号を受信することを可能にす
る、種々の移植可能な電子回路が提供される。移植された電子回路を、移植され
た無線周波数（ＲＦ）コイルに接続してもよい。パワーサプライおよび監視コン
ソールに接続された外部コイルは、移植されたＲＦコイルに結合されて、電力を
伝え、かつ、監視されるパラメータを示す変換器からデータ信号を受信する。

【００２２】 米国特許第５，８３３，６０３号は、温度センサ、ひずみセンサ、電圧センサ
、磁気センサ、加速センサ、電離放射線センサ、音響波センサ、ダイレクト化学
センサおよびダイベースの化学センサを含む化学センサ、画像装置（ｉｍａｇｅ
ｒ）および組み込まれた分光光度計を含むフォトセンサを用いた、移植可能な変
換器を記載する。変換器は、リモートのエネルギーソースでデバイスに無線でエ
ネルギーを与えるエネルギーカプラと、バイオセンサを制御し、アクセスするた
め、および識別データを格納するための制御回路とを含む。エネルギーカプラは
、電磁エネルギーを結合するための誘導回路、光エネルギーを結合するためのフ
ォト電子変換器、または超音波エネルギーを結合するための圧電変換器であり得
る。制御回路は、ランダムまたは固定された時間ごとに、感知されたパラメータ
値を示すデータの伝送を遅延するように構成され得、これにより、隣接しそうな
デバイスによるデータ衝突が防がれる。 米国特許第５，７０９，２２５号は、磁界がある場合に、その静電容量が所定の
強度によって変化するセンサを備えた磁界検出器、およびセンサに接続された静
電容量制御ユニット（ｃａｐａｃｉｔａｎｃｅ−ｃｏｎｔｒｏｌｌｅｄ ｕｎｉ
ｔ）を記載する。静電容量制御ユニットは、測定信号を検出ユニットに送信する
。静電容量によって影響を受ける測定信号パラメータが、所定の時間にわたって
特定の変化を示す場合、検出信号は、検出ユニットによって生成されて、磁界が
あることを示す。センサの静電容量は、センサが移動する際にも変化し、これは
、静電容量制御ユニットに接続されたアクティビティ測定回路内におけるアクテ
ィビティを測定するため、および測定信号に基づいて、アクティビティ信号を生
成するために利用される。 米国特許第５，８６５，９７２号は、水性の環境において、有機性、無機性、中
性またはイオンの形態の、小さなサイズまたは小さな分子量で、濃度の判定また
は少なくとも一つの化合物の濃度プロファイルの判定を可能にする、化学分析用
に組み込まれた電気化学マイクロセンサを記載する。マイクロセンサは、絶縁基
板によって支持されるチップ上に組み立てられ、測定装置への接続を可能にする
コンタクトに絶縁層によって保護される少なくとも一つのコンダクタによってリ
ンクされた、マイクロ電極のアレイを含む。米国特許第５，８９８，００４号は
、結晶コロイドアレイセンサを開示する。ヒドロゲルは、そこに付与される特定
の刺激に応答して、収縮および膨張が可能である。ヒドロゲルは、収縮または膨
張するため、その中に組み込まれたＣＣＡの格子構造が変化し、これにより、Ｃ
ＣＡによって回折された光波長が変化する。したがって、回折波長における変化
を監視することによって、刺激の濃度が判定される。ゲルを改変して、種々の異
なる刺激を感知させることが可能である。米国特許第５，８８３，３１０号は、
マイクロマシン熱線剪断応力センサを記載する。速い応答時間を有し、従来の熱
線風力計より感度の高いマイクロマシンの熱線風力計は、基板と支持との間に設
けられた一つ以上の絶縁層を含む基板から、カンチレバーされたシリコン支持上
に供されたドープポリシリコンワイヤーをマイクロマシンすることによって提供
される。マイクロマシンポリシリコンの熱線風力計は、表面マイクロマシン技術
を用いて製造される。剪断応力センサは、マイクロマシンされて、ダイヤフラム
の下にある基板内に規定されるキャビティ上に薄いダイヤフラムを規定する。キ
ャビティは、ダイヤフラム上に設けられ、空にされ、封入された、サーミスタで
ある。したがって、サーミスタは、基板から熱的に遮断され、フロー表面上の境
界層のフロー速度を測定する低いプロファイル剪断応力センサを提供する。米国
特許第５，５１１，４２８号、第５，５１２，８８２号、第５，５２６，７０３
号、第５，５３６，９６３号、第６，０５３，８７３号、第５，４１１，５１１
号、および第ＥＰ ０ ８５０ ６５４ Ａ１号も参照されたい。

【００２３】 センサは、ＭＥＭＳ技術、および例えば、Ｓａｎｔｉｎｉらの米国特許第５，
７９７，８９８号またはＧｅｏｒｇｉａ Ｔｅｃｈ Ｒｅｓｅａｒｃｈ Ｃｏｒ
ｐｏｒａｔｉｏｎによる国際公開広報第ＷＯ９９／６４５８０号に記載に記載さ
れるようなマイクロ素子製造手段（ｍｉｃｒｏｆａｂｒｉｃａｔｉｏｎ ｍｅａ
ｎｓ）を用いて製造された超微小機械であり得る。このようなセンサは、作製さ
れたチップの微細構造に組み込まれ得る。単一または複数のチップ、もしくはチ
ップのアレイは、移植片（ｉｍｐｌａｎｔ）の本体に形成または作製され得る。
これらのアレイは、円筒形または球形構成の内腔外面または内腔内面（ｅｃｔｏ
ｌｕｍｉｎａｌ ｏｒ ｅｎｄｏｌｕｍｉｎａｌ ｓｕｒｆａｃｅｓ）上にあり
得る。

【００２４】 センサはまた、データ格納手段を備え得る。標準的なフォトリソグラフィ技術
または他の製造技術を用いて準備されたシリコンウエハは、徐々に、センサが移
植されている間に定期的にアクセスされ得るか、またはセンサを含む移植片の除
去後にダウンロードされ得る、データ格納のためのセンサに含まれ得る。

【００２５】 （Ｃ．監視手段） 外部および内部デバイスの両方を含む、多数のデバイスが、センサからアクチ
ュエータへの信号を受信および送信するために用いられ得る。これらは、無線変
換器、光または音波受信機および送信機であり得るか、もしくはデバイスにハー
ドワイヤ接続され得る。

【００２６】 例えば、米国特許第５，８０７，２５８号に記載の超音波センサは、移植血管
（ｖａｓｃｕｌａｒ ｇｒａｆｔ）の状態を監視するために用いられ得る。１以
上のトランスデューサが、パラメータを監視するために、移植片の側壁内または
移植片に隣接して設けられる。コンフォーマルアレイトランスデューサまたは傾
斜素子が、トランスデューサにより生成された超音波への流体効果に基づいて、
移植片を通る流体フローまたは流体速度を監視するために用いられる。コンフォ
ーマルアレイトランスデューサは、移植片の周りで曲がる複数の素子を備え、移
植可能電子回路により生成される入力信号により励起され、移植血管または血管
内を流れる流体内に伝播する超音波を提供する。通過時間またはドップラー測定
が、流体フローまたは流体速度のいずれかを判定するために、適切な数のトラン
スデューサを用いて行われる。選択されたトランスデューサが駆動され、トラン
スデューサにより監視される流体フローの状態を示す超音波信号または圧力信号
を受信することを可能にする、種々の移植可能な電子回路が設けられる。この移
植された電子回路は、移植された無線周波数（ＲＦ）コイルに接続される。電源
および監視コンソールに接続された外部コイルが、電力を伝え、監視されている
パラメータを示すデータ信号をトランスデューサから受信するために、移植され
たＲＦコイルに結合される。

【００２７】 好適な実施形態では、監視手段が、格納されたデータのオンラインによる監視
を提供するために、データ通信および／または格納手段に接続される。データは
、移植片内、または離れた場所に格納され得る。この情報にアクセスし、データ
をダウンロードするための手段は、手当てをする医師または看護婦が長期間患者
を監視し、必要であれば、移植片に矯正を行うことができるように統合される。
上記のとおり、格納手段は、センサまたは移植片内のシリコンチップの形態であ
り得る。あるいは、（１つまたは複数の）センサに接続される監視手段は、デー
タ格納手段を含む。これは、通常、インターネットまたは電話回線に接続され得
るコンピュータであり得るため、データは、（ポケットベルを含む）電話回線、
他のコンピュータ、または携帯情報端末（ＰＤＡ）を介してリモートからアクセ
スされ得る。

【００２８】 （Ｄ．アクチュエータ） アクチュエータは、通常、ミクロ機械加工されたデバイスからなるか、または
移植片の一部を形成する。あるいは、それらは、リザーバ、スイッチ、またはバ
ルブの形態であり得る。

【００２９】 米国特許第５，５３６，９６３号は、厚さが０．１〜１０マイクロメータのＰ
ＺＴ等の強誘電体薄膜セラミック材料の圧電特性、焦電特性、および電歪特性に
基づく、ミクロ機械的構造またはマイクロアクチュエータ、およびその製造方法
を記載している。この薄膜セラミック材料は、第１電極および第２電極の間に挟
まれ、中間電気絶縁薄膜を含み得る。この電極を備えた構造は、半導体基板また
はバルクセラミック基板と一体の変形可能かつ移動可能構造上に形成される。こ
れらの上側電極と下側電極との間に電気接続が確立される。電位差、すなわち、
電圧が、圧力変形、運動変形、または機械的変形を生成するために、電気相互接
続点間に確立される。この特許はまた、このようなミクロ機械的構造またはマイ
クロアクチュエータを作製する方法を開示している。

【００３０】 移植片は、流体、溶質、電荷、光、または他の物質のための導管として機能し
得る。１つの実施形態では、移植片壁内に中空が形成され、または移植片自体が
中空化され、その中空のなかに、移植片に関連づけられたセンサ機能を有する、
ゲル等の物質で充填され得る。基質への結合、または酵素が媒介する反応に基づ
く感知のための用途では、基質または酵素が、統合ニードル／センサを形成する
ために、移植片の内部に固定され得る。

【００３１】 導波路は、例えば、特定の位置に、または色評価用のｐＨ染料等の手段を用い
た検出用に（ｆｏｒ ｄｅｃｔｉｏｎ）光を方向づけるために、デバイスに組み
込まれ得る。同様に、熱、電気、光、または他のエネルギー形式が、特定の組織
または介在物を直接刺激する、損傷を与える、または治療する（例えば、皮膚の
色が濃い人に対する刺青の除去）ため、もしくはＩＲスペクトルに基づく、また
はクロマトグラフィ手段による血糖グルコースの測定等の診断目的のために正確
に伝送され得、適切な基質と結合した固定されたグルコースオキシダーゼが存在
することによる色の変化を測定する。

【００３２】 （Ｅ．システム） このセンサは、その周囲環境の１以上の物理特性を検出し、検出された物理特
性の出力信号を制御回路に提供する。次いで、制御回路が、エネルギーカプラ、
または異なるエネルギーカプラを備えたリモートリーダに検出された物理特性を
示すデータを送信する。制御回路は、インプランテーションの前または後に、識
別データを用いてコード化され得る。このようなデータは、センサ、デバイスが
移植された患者、またはその両方に関連し得る。この識別データはまた、パソコ
ン、またはリモートリーダ内のメモリデバイス等のリモートデータバンク内に格
納されたデータにアクセスするための固有のタグであり得る。よって、（１つま
たは複数の）センサを備えた移植片の移植後でさえも、識別データは、感知され
たパラメータ値に対応するデータを取り出さすことができるように、非侵襲性の
方法で、制御回路から取り出され得る。

【００３３】 超音波および光学結合は、変換器を作動させ、コマンド信号を変換器に提供し
、固有のタグを含む識別データを変換器からリモートリーダに送信するために用
いられ得る。変換器は、特に、ある形態のエネルギーでセンサを作動させ、他の
形態のエネルギーを用いてデータを送信することが有用である場合、１つより多
いエネルギーカプラを含み得る。所望される場合、第３のエネルギーカプラを用
いて、変換器を作動させ、そこからデータを送信するために用いられるエネルギ
ーの形態と、同じ形態または異なる形態のエネルギーを用いて、外部ソースから
制御コマンドを受信してもよい。

【００３４】 図１は、最も典型的な実施形態における、移植片（Ｉ）、単数または複数のセ
ンサ（Ｓ）、監視手段（Ｍ）、および起動手段（Ａ）の間の相互作用の流れを示
す図である。図２は、移植片Ｉが、センサＳと、エネルギーカプラおよび制御回
路を含む変換器（例えば、米国特許第５，８３３，６０３号に記載されているよ
うに、まとめてバイオセンサ変換器と呼ばれる）とに接続されている、より複雑
な実施形態の流れを示す図である。これは、移植片を動作させるように、信号を
アクチュエータに送信するリモートリーダ（または、監視デバイス）にも接続さ
れる。図３は、システムが移植片、センサおよび起動手段を含む、最も簡略的な
実施形態の流れを示す図である。

【００３５】 本明細書に記載のシステムのある実施形態は、入れ子状通信ループのリモート
測定システムである。センサは、移植されたデバイスに関連するアクチュエータ
のような隣接するデバイス、移植されたデバイス、または、自立型電子通信デバ
イス、または、ワールドワイドウェブにアクセスするコンピュータと通信し得る
。ある実施形態において、これらのデバイス全ては、互いに、または特定の階層
において、通信し得る。

【００３６】 移植片の処理機器は、専用の機能を有する集積回路であり得る。センサ機器も
、一般的に「バイオチップ」として公知である、専用の集積回路であり得る。

【００３７】 移植片内には、センサによって検出された状況に応答して、信号を生成するセ
ンサが含まれ得る。センサ内には、状況についての情報を格納するメモリ手段と
、送信および受信手段と、センサによって感知された状況に対する応答を、移植
片によって実行する起動手段と、電源とが含まれ得る。センサは、必要に応じて
、情報処理手段を含む。様々なセンサが、採用されて、特に、機械的、音波は、
電気、化学、温度および光学状態を検出し得る。感知された機械的状態は、圧力
、寸法、流れ、および振動を含む。センサは、前記状況、どの信号が送信器に送
信されるか、または、どの信号がメモリ手段に格納され得るかを感知した後、信
号を生成する。送信器は、電源からの電力を用いて、光ファイバ、有線、または
無線で信号を送信し得る。センサは、連続的に送信するようにプログラムされて
もよいが、より高い可能性として、センサは、エネルギーを保存するため規則的
なスケジュールで送信するようにプログラムされ、ある特定の状況を感知する場
合により頻繁に送信を行う。本発明のある実施形態において、電源は、バッテリ
ーであってもよい。光送信は、光ファイバを介して行われ得るが、有線の送信は
、電気導電体を用いた電気送信を介して行われ得る。無線送信は、電波信号を介
して、または、超音波で行われ得る。本発明のある実施形態において、標準通信
プロトコル、例えば、Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ特別利益団体（３Ｃｏｍ、ＩＢＭ、Ｉ
ｎｔｅｌ、Ｌｕｃｅｎｔ、Ｍｉｃｒｏｓｏｆｔ、Ｎｏｋｉａ、その他を含む）に
よって発表されているＢＬＵＥＴＯＯＴＨ（Ｒ）のあるバージョンが、採用され
得る。本発明のある実施形態において、センサは、情報の送信および受信の両方
を行い得る。

【００３８】 ある実施形態において、移植片を有する人物は、リピーター機器を身につける
か、または、近くに置いておき、リピーター機器が、移植されたセンサによって
生成される信号を強化する。このようにして、センサは、より小さい電源を含み
、よりコンパクトにすることができる。また、リピート機器は、移植片機器より
感度の高い受信器も含み得、移植されたセンサに送り返すことに役立ち得る。

【００３９】 ある実施形態において、医者、または、患者のような人物は、ＰＤＡ、携帯用
コンピュータ、インターネットアプライアンス、携帯電話、双方向ラジオ、ウェ
ブイネーブルテレビ、またはウォッチ発信器等の携帯用デバイスを用いたセンサ
からの送信を監視し得る。他の実施形態において、個人は、コマンドメニューに
結合された通常の電話、スピーチからテキスト、テキストからスピーチにする能
力を有し、または、ユーザが所望のデータ提示をリクエストすることを可能にす
る電話を用いて、センサからの送信を監視し得る。他の実施形態において、セン
サは、患者または医者によってアクセス可能なウェブページに移植片センサによ
って送信された情報を掲示し得る受信機器に送信し得る。他の実施形態において
、ウェブページは、パスワードを用いることによってのみアクセス可能であり、
デバイスにコマンドを発する能力は、パスワードによってさらに保護され得る。

【００４０】 ある実施形態において、移植片センサによって送信された情報を監視する人物
は、情報を、移植片センサに送り返し得る。このような情報は、アクチュエータ
を介して実行されるコマンドであり得る。例えば、ステント上のセンサが、内部
通路が機械的に狭くなっているという情報を検出する場合、医者は、この情報を
ウェブ掲示から読み、ステントに対するコマンドをアクチュエータに送り返して
、通路を広げる。この場合、アクチュエータは、ステントがより広く開くように
力を及ぼす、ステント内の小さい機構であり得る。他の実施例において、光セン
サは、ステントの内部において望ましくない細胞蓄積があるかどうかを検出する
。医者はこの情報を読み、この蓄積を分解するために少量のプロテアーゼを放出
するように、ステントに対するコマンドをアクチュエータに送信し得る。この場
合、エフェクターは、プロテアーゼを含むリザーバであり、ここで、リザーバの
放出機構が、測定された量のプロテアーゼを放出する。他の実施形態において、
移植片は、患者の身体深部の膿瘍内の移植片であってもよい。移植片は、治療を
促進する伸長式の発泡樹脂包帯であってもよい。センサは、感染の有無を評価す
るために、局所的温度を監視し得る。監視している医者は、明らかに熱が上がっ
ていることを観察した場合、アクチュエータに、ある特定量の抗生物質溶液を放
出させ得る。

【００４１】 また、医師等の人物は、特定の条件が感知された場合、センサと通信を行って
、センサに警報を発行するように命令することもできる。例えば、血管の過大縮
小または血管を通る異常な流速の感知は、医師がセンサに警報を発するよう命令
する条件となり得る。

【００４２】 センサによって記録される情報の量に応じて、センサは、センサ外部に情報を
永久保存するために送信器を介して情報をダウンロードするように様々なタイミ
ングで命令され得る。これにより、センサ中のメモリスペースの空きが多くなる
。

【００４３】 別の実施形態において、情報処理手段は、特定の条件が感知されるのに応答し
てアクチュエータに特定のアクションを実行させるようにプログラムされ得る。
このプログラミングは、医師による送信によって実行され得る。例えば、医師は
、遠隔送信によってセンサをプログラムして、特定の抗生物質を放出する予定を
実行することができる。あるいは、医師は、センサをプログラムして、特定の温
度が感知された場合に抗生物質の放出を１回の予定で行うようにするか、または
、別の温度が感知された場合により頻度の低い予定を実行するようにすることも
できる。例えば、センサをプログラムして、アクチュエータに、華氏１０２度の
温度が感知された場合にペニシリンの放出を０．５ｍｌ／１０時間の速度で行わ
せ、かつ、この温度が華氏９９．９度に低下した場合にこのペニシリン放出予定
を０．３ｍｌ／２０時間に低減させることが可能である。

【００４４】 図４ａに示すように、本システムの一実施形態において、センサに結合された
移植片は、表示手段を備えるコンピュータに情報を送信する。コンピュータは、
情報の受信を行う能力のある任意の数のデバイスでよく、そのようなデバイスと
しては、例えば、上述したようなパーソナルデジタルアシスタント、ページャ、
電話、インターネットアプリケーション、通信機能付きの時計（ｗａｔｃｈ ｃ
ｏｍｍｕｎｉｃａｔｏｒｓ）、およびウェブイネーブルされるテレビなどがある
。通信は、特定の標準的なプロトコル（例えば、ＢＬＵＥＴＯＯＴＨ（Ｒ））に
よって行われ得る。ユーザは、コマンドまたは問い合わせを直接移植片に返送す
ることができる。

【００４５】 図４ｂに示すように、センサに結合された移植片は、ここでもコンピュータに
対して送信を行う。しかし、この場合、コンピュータは、インターネットサイト
上の（恐らくはパスワードで保護された）ウェブページに情報を流す。患者また
は医師は、通信デバイスを用いて当該ウェブサイトにアクセスすることにより、
この情報にアクセスすることができる。コマンドの送信は、アクセス元のデバイ
スから移植片に直接行われるか、またはウェブページおよびウェブページ上のプ
ロンプトを介して行われることが可能である（図４ｂは、直接的なコマンドによ
るルートのみを図示している）。

【００４６】 図４ｃに示すように、移植片はセンサに結合され、センサは、患者が装着して
いるかまたは患者の近隣に配置された中継器ユニットに対して送信を行う。この
中継器ユニットは、送出送信物および入来送信物を増幅し、外部のコンピュータ
との通信状態にある。

【００４７】 図５に示すように、移植片（１０）と、体内デジタルデバイス（１６０）と、
体外デジタルデバイス（１７０）と、通信デバイス（１８０）とは、移植片（１
０）およびワールドワイドウェブ（１５０）との通信を（好適にはウェブページ
（図示せず）への情報入力を行うことによって）行う。この工程は、「入れ子状
ループ」と呼ばれる場合がある。別の実施形態において、体内デジタルデバイス
（１６０）、体外デジタルデバイス（１７０）および通信デバイス（１８０）の
全てが相互通信を行うこともある（図示せず）。これらの通信は、移植片（１０
）と関連付けられたセンサ（図示せず）から受信される情報と、移植片（１０）
のアクチュエータ（図示せず）に与えられるコマンドとを含み得る。

【００４８】 （Ｆ．薬物および薬物放出手段） 天然もしくは合成の、有機もしくは無機の任意の分子またはその混合物を、送
達することが可能である。一実施形態において、移植片を用いて、当該薬剤を必
要とする患者に対する薬物の送達をシステム的に行う。別の実施形態において、
薬物をシステム的に送達すると薬物の効力が過大になる場合、患者内に移植片を
構築および配置すると、薬物の放出を局所的に行うことが可能となる。本明細書
中において用いられるように、薬物は、有機分子または無機分子である。そのよ
うな薬剤としては、例えば、生物活性効果を持つタンパク質、核酸、多糖類と、
合成された有機分子（例えば、麻酔剤、ワクチン、化学療法剤、ホルモン、代謝
産物、糖類、免疫調節剤、抗酸化剤、イオンチャンネル調節剤、および抗生物質
）がある。これらの薬物は、単一の薬物または薬物混合物の形態をとり得、薬剤
として受容可能なキャリアを含み得る。別の実施形態において、例えば分析化学
または医学的診断の分野において１つ以上の分子を少量だけ（すなわち、ミリグ
ラム〜ナノグラム単位で）制御しながら放出することが必要な場合、分子は任意
のシステムにおいてインビトロで放出される。分子は、ｐＨ緩衝剤、診断剤およ
び試薬として有効であり得る。 Ｓａｎｔｉｎｉらに付与された米国特許第５，７９７，８９８号に、様々な種類
の分子の送達するための移植片についての記載がある。移植片（単数または複数
）は、集積回路製造技術（例えば、紫外線（ＵＶ）フォトリソグラフィ、反応性
イオンエッチング、および電子ビームによる蒸発）において一般的に用いられる
方法を用いて構築される小型デバイスである。移植片を用いると、分子を放出す
る速度と、放出を開始するタイミングとを制御することができる。放出時間は、
受動的または能動的に制御可能である。

【００４９】 本明細書中に記載の実施形態の最も簡単な形態において、移植片は、材料その
ものが環境（例えば、温度またはｐＨ）に対して反応性である材料で形成される
。このような環境は、材料に変化（例えば、細孔サイズの増加）を起こさせ、こ
れにより、生物活性剤、予防剤または診断剤を必要に応じて送出させる。このよ
うな状況の一例として、移植片周囲の組織に感染が発生したために温度およびｐ
Ｈの両方に変化が発生した場合がある。温度増加に伴って多孔度を増す温度反応
性材料を用いて、感染が発生した場合にのみまたは感染が高いレベルで発生した
場合にのみ抗生物質の送出を行うことが可能である。

【００５０】 （Ｇ．慢性心臓収縮不全を治療するためのデバイス） 本明細書中に記載のマイクロマシンアクチュエータを用いて、鬱血性心不全を
患っている患者の体内の心臓壁の筋肉を支援または強化することも可能である。
これらのデバイスは、心筋中に移植され、センサ手段およびアクチュエータ手段
の両方を含む。これらのセンサ手段およびアクチュエータ手段は、心臓壁の筋肉
に取り付けられたデバイスの膨張および収縮を、機能不全を起こしている心臓壁
の通常の収縮および膨張と同期させる。心臓が機能するように支援することによ
り、そのような手段が無ければ死亡を免れない患者の病状（例えば、肺のうっ血
または腹部、肝臓および脚部のうっ血）に対して安心感を与えることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 図１は、移植片（Ｉ）、センサ（Ｓ）、監視手段（Ｍ）、およびアクチュエー
タ（Ａ）のフローチャートであり、本明細書中で説明されるデバイスのフィード
バックパスを示す。

【図２】 図２は、移植片ＩがセンサＳに接続され、エネルギーカプラおよび制御回路を
含む変換器がリモートリーダ（または、監視デバイス）に接続され、移植片に作
用するためにリモートリーダがアクチュエータに信号を送るフローチャートであ
る。

【図３】 図３は、システムが、移植片、センサ、および動作手段を含む簡単な実施形態
のフローチャートである。

【図４ａ】 図４ａは、遠隔通信および／またはデータ格納の手段に接続されたシステムの
略図である。図４ａに示すように、センサは、表示手段を有するコンピュータに
情報を送信する。

【図４ｂ】 図４ｂは、遠隔通信および／またはデータ格納の手段に接続されたシステムの
略図である。図４ｂに示すように、センサは、また、コンピュータに情報を送信
し、コンピュータは、インターネットサイト上のウェブページに情報を書き込む
。

【図４ｃ】 図４ｃは、遠隔通信および／またはデータ格納の手段に接続されたシステムの
略図である。図４ｃに示すように、センサは、患者が着用しているレピータユニ
ットに、またはその近傍に情報を送信する。レピータユニットは、出および入り
の送信を増幅し、外部コンピュータと通信する。

【図５】 図５は、移植片、体内デジタルデバイス、体外デジタルデバイス、通信デバイ
ス、およびワールドワイドウェブの略図である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ， ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，Ｋ Ｅ，ＬＳ，ＭＷ，ＭＺ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＴＺ，ＵＧ ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ， ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＥ，ＡＧ，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ， ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＢＺ，Ｃ Ａ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＲ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＤＭ ，ＤＺ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＤ，ＧＥ，ＧＨ， ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ，ＪＰ，Ｋ Ｅ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＡ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ， ＭＷ，ＭＸ，ＭＺ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，Ｒ Ｕ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ ，ＴＲ，ＴＴ，ＴＺ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ， ＺＡ，ＺＷ

Claims (34)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 移植されたデバイスの環境を監視しそれに応答するシステム
   であって、 該デバイスまたは患者の体内での該デバイスの環境の電気特性、磁気特性、機
   械特性、流体流特性、化学特性、および熱特性からなる群より選択された変数に
   関するデータを監視する１以上のセンサと、 該データに対する応答を該デバイスにインプリメントする監視および／または
   作動手段と、 を備えたシステム。
2. 【請求項２】 データ格納手段を備えた、請求項１に記載のシステム。
3. 【請求項３】 前記データ格納手段が、前記デバイス上にあるか、該デバイ
   スに隣接するか、または前記患者の体内にある、請求項２に記載のシステム。
4. 【請求項４】 遠隔測定手段を備えた、請求項１に記載のシステム。
5. 【請求項５】 前記遠隔測定手段が、アナログまたはディジタルの電子デバ
   イスである、請求項４に記載のシステム。
6. 【請求項６】 情報交換の一連の入れ子状ループのうちの１つに通信する手
   段を備えた、請求項１に記載のシステム。
7. 【請求項７】 前記ループを介して接続されて、前記デバイス内の、前記作
   動手段からの変化を実現させる外部入力を備えた、請求項１に記載のシステム。
8. 【請求項８】 前記監視システムが前記患者の外部にある、請求項１に記載
   のシステム。
9. 【請求項９】 前記センサが、ｐＨ、温度、イオン濃度、または分析物濃度
   の変化を検出する、請求項１に記載のシステム。
10. 【請求項１０】 前記センサが、温度、寸法、振動、乱れ、圧力、湿度、磁
    気、電位、および電流、ならびに機械または流体流特性の変化を検出する、請求
    項１に記載のシステム。
11. 【請求項１１】 前記機械特性が応力、歪み、剪断、流速、または圧力であ
    る、請求項１６に記載のシステム。
12. 【請求項１２】 前記センサが、前記デバイスの位置変化を検出する、請求
    項１に記載のシステム。
13. 【請求項１３】 前記作動手段が、前記センサからの信号に応答して移植片
    の形状または位置を改変するマイクロマシンである、請求項１に記載のシステム
    。
14. 【請求項１４】 前記デバイスが、前記環境に放出される、生物的に活性な
    薬剤、診断薬、予防薬またはｐＨ改変剤である、請求項１に記載のシステム。
15. 【請求項１５】 前記薬剤が、拡散によって放出される、請求項１４に記載
    のシステム。
16. 【請求項１６】 前記拡散の速度が、前記環境の変数の変化によって上昇す
    る、請求項１５に記載のシステム。
17. 【請求項１７】 前記薬剤が、前記センサからの信号に応答して放出される
    、請求項１４に記載のシステム。
18. 【請求項１８】 前記作動手段が、前記薬剤を送達または保持する開手段に
    よって、該因子を機械的に放出する、請求項１４に記載のシステム。
19. 【請求項１９】 前記センサに対する送受信手段を備えた、請求項１に記載
    のシステム。
20. 【請求項２０】 前記監視手段と前記作動手段とが同一のデバイスである、
    請求項１に記載のシステム。
21. 【請求項２１】 データ格納手段を備えた、移植可能センサ。
22. 【請求項２２】 前記データに遠方からアクセスする手段をさらに備えた、
    請求項２１に記載のセンサ。
23. 【請求項２３】 前記センサが、コンピュータまたは電話通信手段とデータ
    を送受信する手段に接続されている、請求項２１に記載のシステム。
24. 【請求項２４】 前記センサが、細胞または組織の集中または分布の変化、
    該細胞または組織の特性の集中または分布の変化、代謝生成物の変化、抗体性ま
    たは細胞表面発現の変化、ならびに無機、有機および微生物材料を含む異物沈着
    の存在を監視するために用いられ得る、請求項１または２１に記載のセンサ。
25. 【請求項２５】 前記センサが、重量の変化を測定するために用いられ得る
    、請求項１または２１に記載のセンサ。
26. 【請求項２６】 前記センサが、組織線維症を、腱の堅さ、皮膚の堅さ、ま
    たは筋肉の緊張または剛性の変化として、測定するために用いられ得る、請求項
    １または２１に記載のセンサ。
27. 【請求項２７】 前記センサが、前記デバイスまたはセンサの経時的腐敗を
    測定するために用いられ得る、請求項１または２１に記載のセンサ。
28. 【請求項２８】 前記センサが、厚みおよび質量および壁剪断の増加という
    結果になる、胆管ステント上の細菌フィルムのタンパク質堆積または形成、尿ス
    テントのカルシウム沈着の増加、および動脈ステントの新しい内膜の厚みの増加
    を測定し得る、請求項１または２１に記載のセンサ。
29. 【請求項２９】 生物的に活性な薬剤、予防薬、診断薬、またはｐＨ改変剤
    を備えた移植片であって、該移植片が、温度またはｐＨ応答材料によって形成さ
    れており、温度またはｐＨが変化すると該薬剤が放出される、移植片。
30. 【請求項３０】 請求項１に記載のシステムであって、 （ａ）前記移植片の概略環境を監視する１以上のセンサと、 （ｂ）監視手段と、 （ｃ）該環境に応答する作動手段と、 を備え、該センサが、該監視手段に対して、および該センサどうしで、情報を
    通信し、該センサが該作動手段にコマンドを通信する、システム。
31. 【請求項３１】 前記センサが、コンピュータに情報を通信し、該コンピュ
    ータがインターネットを介して別のコンピュータに該情報を送信する、請求項３
    ０に記載のシステム。
32. 【請求項３２】 前記インターネットを介した別のコンピュータへの送信が
    、ワールドワイドウェブへのポスティングを介する、請求項３１に記載のシステ
    ム。
33. 【請求項３３】 外部監視および／または作動手段およびコンピュータと相
    互作用する１以上のセンサを備えた、移植可能デバイス。
34. 【請求項３４】 患者を診断するか処置するために、請求項１から３３のい
    ずれかに記載のシステムまたは移植片を使用する方法。