JP2003508682A - 燃料高圧蓄圧器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は内燃機関のコモンレール式燃料噴射システムのための燃料高圧蓄圧器であって、複数の接続開口、特に燃料の供給および排出のための複数の接続開口並びにセンサおよび弁などのための接続開口を有している形式のものに関する。燃料高圧蓄圧器の強度を高めるために、燃料高圧蓄圧器が振動減衰装置（１４）を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 背景技術 本発明は内燃機関のコモンレール式燃料噴射システムのための燃料高圧蓄圧器
であって、複数の接続開口、特に燃料の供給および排出のための複数の接続開口
並びにセンサおよび弁などのための接続開口を有している形式のものに関する。

【０００２】 コモンレール式燃料噴射システムでは、高圧ポンプが、場合により予備フィー
ドポンプに助成されて、噴射されるべき燃料をタンクからコモンレールと呼ばれ
る中央の燃料高圧蓄圧器内へ供給する。レールからは、高圧導管が機関シリンダ
に対応して配置された個々のインゼクタへ通じている。インゼクタは燃料を内燃
機関の燃焼室内へ噴射するために内燃機関の運転パラメータに依存して個々に機
関電子装置によって起動制御される。燃料高圧蓄圧器によって圧力発生と噴射と
が互いに分割されている。

【０００３】 従来一般の燃料高圧蓄圧器は例えばドイツ連邦共和国特許第１９６４０４８０
号明細書に記載されている。この公知の燃料高圧蓄圧器は、インゼクタとも呼ば
れる燃料噴射弁に燃料を供給するための複数の接続部を備えた縦長の管状体から
成る。この管状体は、容積を介した振動減衰の機能と、接続部を介した燃料の分
配の機能とを同時に有している。システム内のチューニングに応じて、特に管の
内径が小さく、かつ管の長さが大きい場合に圧力振動が生じる。圧力振動の発生
の結果、多くのインゼクタが定常波の形成にもとづき極めてわずかにしか噴射し
なくなる。その上、圧力波がレール内で往復動することにより、インゼクタが交
番にまたは推計学的に極めてわずかな燃料量を噴射するようになる。レール内の
振動を減衰するためには、比較的大きな容積が必要である。このような大きな容
積はレールの耐高圧性の設計を困難にしかつ高価にする。

【０００４】 本発明の課題は従来一般の燃料高圧蓄圧器に比して強度が高いと共に耐用寿命
が長いような冒頭に記載した形式の燃料高圧蓄圧器を提供することにある。しか
し、それにもかかわらず本発明による燃料高圧蓄圧器は構築が簡単であると共に
安価に製作可能でなければならない。

【０００５】 この課題は、内燃機関のコモンレール式燃料噴射システムのための燃料高圧蓄
圧器であって、複数の接続開口、特に燃料の供給および排出のための複数の接続
開口並びにセンサおよび弁などのための接続開口を有している形式のものにおい
て、燃料高圧蓄圧器が振動減衰装置を備えていることにより解決される。振動減
衰装置によって燃料高圧蓄圧器の容積は明らかに削減されることができる。この
ことにより、運転中に発生する調和振動が減衰され、これにより燃料高圧蓄圧器
の耐高圧性が向上する。

【０００６】 本発明の特別な１実施形は、振動減衰装置が干渉ジオメトリ（Ｓｔｏｅｒｇｅ
ｏｍｅｔｒｉｅｎ）によって形成されていることを特徴とする。干渉ジオメトリ
によって燃料高圧蓄圧器内の圧力波の拡散が少なくとも妨げられる。干渉ジオメ
トリは種々に形成されることができる。干渉ジオメトリを、別体の部分によって
形成することが可能である。しかしまた、干渉ジオメトリを燃料高圧蓄圧器と一
体に形成することも可能である。

【０００７】 本発明の別の特別な１実施形は、燃料高圧蓄圧器が内室を備えたケーシングを
有しており、この内室内に干渉ジオメトリが受容されていることを特徴とする。
内室は例えば孔から形成することができる。孔は貫通孔として、または盲孔とし
て形成されることができる。孔の開放された一方の端部もしくは両方の端部は干
渉ジオメトリの挿入後、適当な閉鎖エレメントによって高圧密に閉鎖されること
ができる。代替的に、内室は球状の室によって形成されることができる。内室が
球状である場合には、干渉ジオメトリの挿入は２部分構成のケーシングによって
可能である。

【０００８】 本発明のさらに別の特別な１実施形は、干渉ジオメトリが、少なくとも１つの
ねじられた薄板、切欠かれた横壁を備えた軸、線材絡み合わせ体、切欠を備えた
少なくとも１つの薄板ストリップおよびまたは切欠を備えた管によって形成され
ていることを特徴とする。干渉ジオメトリの形状については、干渉ジオメトリに
よって燃料高圧蓄圧器の容積が削減されることが考慮されなければならない。そ
れゆえ、容積のわずかな干渉ジオメトリが優先される。

【０００９】 本発明のさらに別の特別な１実施形は、干渉ジオメトリが、接続開口または付
加的な開口を通して外からケーシングの内室内へ突入していることを特徴とする
。干渉ジオメトリは例えば燃料高圧蓄圧器の外側にねじはめられるか、または溶
接される。燃料高圧蓄圧器内での干渉ジオメトリの配分は要求に応じて規則的ま
たは不規則的であることができる。

【００１０】 本発明のさらに別の特別な１実施形は、振動減衰装置が少なくとも１つの偏位
ピストンによって形成されており、偏位ピストンがばねに抗して往復運動可能に
燃料高圧蓄圧器内に受容されていることを特徴とする。偏位ピストンによって能
動的な振動減衰が可能である。このことにより、上述の受動的な振動減衰よりも
良好な成果を得ることができる。

【００１１】 本発明のさらに別の特別な１実施形は、振動減衰装置が少なくとも１つの偏位
ピストンによって形成されており、偏位ピストンがばねに抗して往復運動可能に
、燃料高圧蓄圧器に取付けられた少なくとも１つのブッシュ内に受容されている
ことを特徴とする。この実施形が提供する利点は、偏位ピストンの組付けが簡単
化されることにある。さらに、この実施形は特別な変更なしに従来一般の燃料高
圧蓄圧器に援用されることができる。

【００１２】 本発明のさらに別の特別な１実施形は、偏位ピストンが貫通孔を備えているこ
とを特徴とする。貫通孔によって、燃料高圧蓄圧器もしくはブッシュの、偏位ピ
ストンによってよって仕切られた領域同士の間の静的な圧力補償が行われる。

【００１３】 本発明のさらに別の特別な１実施形は、貫通孔の、ばねに面した方の側が、流
れを有利にする装置を備えていることを特徴とする。流れを有利にする装置は丸
み付けまたは凹所であることができる。貫通孔の他方の端部は鋭利な縁状に形成
されることができる。このことにより、燃料高圧蓄圧器内に圧力衝撃が発生した
際に偏位ピストンの偏位運動がばねに抗して行われる。

【００１４】 本発明のさらに別の特別な１実施形は、偏位ピストンがばねによって行程スト
ッパに予負荷されている。このことにより、圧力差に依存して、所定の強さ以上
の圧力衝撃だけが減衰される。

【００１５】 本発明の別の利点、特徴およひ詳細は、図面を参照して本発明の複数の実施例
を詳細に説明した以下の記載から生じる。その場合、請求項および以下の記載で
言及した特徴はそれぞれそれ自体単独で、または任意の組合せで発明の高度性を
有している。

【００１６】 実施例の説明 図１に縦長の管状のケーシング１を備えた燃料高圧蓄圧器が示されている。管
状のケーシング１内で貫通孔２が燃料のための蓄圧室を形成している。貫通孔２
はその両端で閉鎖栓３，４によって高圧密に閉鎖されている。さらに、ケーシン
グ１は１列に配置された接続部５〜１０を備えている。接続部５〜１０は燃料高
圧蓄圧器を高圧ポンプと個々のインゼクタとに接続するために役立つ。さらに、
ケーシング１には、燃料高圧蓄圧器を内燃機関に固定するのに役立つ複数の固定
エレメント１１〜１３が設けられている。

【００１７】 貫通孔２内には両方の閉鎖ねじ３，４の間に振動減衰装置１４が緊定されてい
る。もちろん、この振動減衰装置１４は片側で緊定され、もしくは半径方向で支
持されていてもよい。

【００１８】 図２〜６には振動減衰装置１４の種々の変化実施形が示されている。図２には
図１の振動減衰装置１４だけが単独に示されている。これから分かるように、こ
の振動減衰装置１４は螺旋状にねじられた薄板から成る。

【００１９】 図３には振動減衰装置１４が軸１６を有していて、この軸上に横壁１７が均一
間隔で配置されていことが見られる。燃料の導通を可能にするために、横壁１７
には複数の切欠１８が設けられている。

【００２０】 図４には線材絡み合わせ体２０によって形成された振動減衰装置が示されてい
る。線材絡み合わせ体２０は不規則的に互いにからみあった複数の線材を有して
いる。その場合、個々の線材の間には、燃料の導通を可能にするために十分な隙
間が設けられている。

【００２１】 図５に示された振動減衰装置は、１列に配置された切欠を備えた薄板ストリッ
プ２２によって形成されており、図５にはそのうちの２つだけが例示的に指示符
号２３，２４によって示されている。その場合、切欠２３，２４は薄板片２５，
２６の切込み曲げ起こしによって形成されている。曲げ起こされた薄板片２５，
２６は燃料高圧蓄圧器内に存在する燃料のための案内羽根を形成している。

【００２２】 図６に示された振動減衰装置は薄板から成る管３０から形成されている。管３
０には多数の孔３１〜３３が配置されている。さらに、多数の舌片３４〜３６が
管３０の外套面から外向きに曲げ起こされている。孔３１〜３３は燃料の導通に
役立つ。舌片３４〜３６は燃料のための案内羽根としてして役立つ。

【００２３】 図７に示された本発明による燃料高圧蓄圧器の実施形は図１に示された実施形
にほぼ相応している。それゆえ、簡単のため同じ部分を示すために同じ指示符号
が使用されている。反復を回避するために、図１に示された実施例の前述の記載
が援用される。

【００２４】 図７に示された実施形では、１列に配置されていて半径方向で貫通孔内に突入
した細長い減衰エレメントによって振動減衰が行われる。この細長い減衰エレメ
ントの１つはピン４２によって形成されており、このピンは付加的な接続孔４１
内に受容されている。このピン４２は接続孔４１内にねじ込まれ、溶接され、ろ
う接され、または、はめ合わされていてもよい。接続孔４１は外方に向かって閉
鎖栓４３によって高圧密に閉鎖されている。さらに、接続孔５，６，７，８内に
栓４４が受容されている。これらの栓４４はピン４２と同様に貫通孔２内へ突入
している。しかし、ピン４２と違って栓４４はそれぞれ１つの内孔４５を備えて
いる。内孔４５は燃料の導通を、ひいては接続部５，６，７，８の機能を可能に
している。

【００２５】 図８には本発明による燃料高圧蓄圧器のさらに別の１実施形の管状のケーシン
グ１の一部だけが示されている。ケーシング１は一端で閉鎖栓３によて閉鎖され
た貫通孔２を有している。貫通孔２は複数の接続部を介して高圧ポンプと個々の
インゼクタとに接続されている。図８には図面簡単の理由で１つの接続部５だけ
が示されている。

【００２６】 貫通孔２内に偏位ピストン（Ａｕｓｗｅｉｃｈｋｏｌｂｅｎ）５０が往復運動
可能に受容されている。この偏位ピストン５０と閉鎖栓３との間にばね５１が配
置されている。偏位ピストン５１は軸方向の貫通孔５２を備えている。貫通孔５
２の、ばね５１に面した方の端部に凹所５５が設けられている。貫通孔５２はば
ね５１とは逆の側の端部では鋭利な縁状に形成されている。このことから、凹所
５５を備えた側よりも、ばね５１とは逆の側の環状面５４が若干大きくなってい
る。

【００２７】 偏位ピストン５０内の貫通孔５２によって静的な圧力補償が行われる。貫通孔
５２の入口の凹所５５は一方向の流れに有利なように形成されている。偏位ピス
トン５０の、ばね５１とは逆の側へ圧力衝撃が負荷された際に偏位ピストン５０
は圧縮ばね５１の力に抗して偏位する。その際、ばね側に存在する燃料量は貫通
孔５２を通して、偏位ピストン５０の、ばね５１とは逆の側へ押し出される。

【００２８】 図９に示された実施形では、偏位ピストン５０が行程ストッパ６０に当接して
いる。さらに、ばね５１が偏位ピストン５０を予負荷している。この実施形では
所定の圧力差以上の圧力衝撃のみが減衰される。この実施形ではさらに、偏位ピ
ストン５０には案内６１も形成されており、この案内は偏位ピストン５０の外径
の減少によって形成されている。

【００２９】 図１０に示された実施形では、振動減衰装置が、燃料高圧蓄圧器の接続部５に
ねじはめられたブッシュ６５内に組み込まれている。閉鎖栓６６によってこのブ
ッシュ６５は周囲に対してシールされている。ブッシュ６５内に偏位ピストン５
０が往復運動可能に受容されている。偏位ピストン５０と閉鎖栓６６との間には
圧縮ばね５１が設けられている。この実施形でも偏位ピストン５０は貫通孔２内
に受容された偏位ピストンとまったく同様に機能する。図１０に示された偏位ピ
ストン５０は前述の偏位ピストンと全く同様に凹所５５を備えた貫通孔５２を有
している。

【００３０】 次のパラメータ、すなわち、受圧面、ばね強さ、ばねプレロード、内孔直径、
および孔の丸み付けによって振動減衰装置の機能が最良にされることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による燃料高圧蓄圧器の第１実施形の縦断面図である。

【図２】 図１で使用された振動減衰装置の１変化実施形を分離して示す図である。

【図３】 図１で使用された振動減衰装置の別の１変化実施形を分離して示す図である。

【図４】 図１で使用された振動減衰装置のさらに別の１変化実施形を分離して示す図で
ある。

【図５】 図１で使用された振動減衰装置のさらに別の１変化実施形を分離して示す図で
ある。

【図６】 図１で使用された振動減衰装置のさらに別の１変化実施形を分離して示す図で
ある。

【図７】 本発明による燃料高圧蓄圧器の第２実施形の縦断面図である。

【図８】 本発明による燃料高圧蓄圧器のさらに別の１実施形の１部分を示す図である。

【図９】 本発明による燃料高圧蓄圧器のさらに別の１実施形の１部分を示す図である。

【図１０】 本発明による燃料高圧蓄圧器のさらに別の１実施形の１部分を示す図である。

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内燃機関のコモンレール式燃料噴射システムのための燃料高
   圧蓄圧器であって、複数の接続開口（５〜１０）、特に燃料の供給および排出の
   ための複数の接続開口並びにセンサおよび弁などのための接続開口を有する形式
   のものにおいて、燃料高圧蓄圧器が振動減衰装置（１４）を備えていることを特
   徴とする燃料高圧蓄圧器。
2. 【請求項２】 振動減衰装置（１４）が干渉ジオメトリによって形成されて
   いることを特徴とする請求項１記載の燃料高圧蓄圧器。
3. 【請求項３】 燃料高圧蓄圧器が内室（２）を備えたケーシング（１）を有
   しており、この内室内に干渉ジオメトリが受容されていることを特徴とする請求
   項２記載の燃料高圧蓄圧器。
4. 【請求項４】 干渉ジオメトリが、少なくとも１つのねじられた薄板（１４
   ）、切欠かれた横壁（１７）を備えた軸（１６）、線材絡み合わせ体（２０）、
   切欠（２３，２４）を備えた少なくとも１つの薄板ストリップ（２２）およびま
   たは切欠（３１〜３３）を備えた管によって形成されていることを特徴とする請
   求項２または３記載の燃料高圧蓄圧器。
5. 【請求項５】 干渉ジオメトリが、接続開口（５〜１０）または付加的な開
   口（４１）を通して外からケーシング（１）の内室（２）内へ突入していること
   を特徴とする請求項２または３記載の燃料高圧蓄圧器。
6. 【請求項６】 振動減衰装置が少なくとも１つの偏位ピストン（５０）によ
   って形成されており、偏位ピストンがばね（５１）に抗して往復運動可能に燃料
   高圧蓄圧器内に受容されていることを特徴とする請求項１記載の燃料高圧蓄圧器
   。
7. 【請求項７】 振動減衰装置が少なくとも１つの偏位ピストン（５０）によ
   って形成されており、偏位ピストンがばね（５１）に抗して往復運動可能に、燃
   料高圧蓄圧器に取付けられた少なくとも１つのブッシュ（６５）内に受容されて
   いることを特徴とする請求項１記載の燃料高圧蓄圧器。
8. 【請求項８】 偏位ピストン（５０）が貫通孔（５２）を備えていることを
   特徴とする請求項６または７記載の燃料高圧蓄圧器。
9. 【請求項９】 貫通孔（５２）の、ばね（５１）に面した側が、流れを有利
   にする装置（５５）を備えていることを特徴とする請求項７または８記載の燃料
   高圧蓄圧器。
10. 【請求項１０】 偏位ピストン（５０）がばね（５１）によって行程ストッ
    パ（６０）に予負荷されていることを特徴とする請求項６から９までのいずれか
    １項記載の燃料高圧蓄圧器。