JP2003507075A - D−グルコノラクトンオキシダーゼ遺伝子および組換えd−グルコノラクトンオキシダーゼの製造方法 - Google Patents

D−グルコノラクトンオキシダーゼ遺伝子および組換えd−グルコノラクトンオキシダーゼの製造方法

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JP2003507075A
JP2003507075A JP2001518885A JP2001518885A JP2003507075A JP 2003507075 A JP2003507075 A JP 2003507075A JP 2001518885 A JP2001518885 A JP 2001518885A JP 2001518885 A JP2001518885 A JP 2001518885A JP 2003507075 A JP2003507075 A JP 2003507075A
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glucose
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アンドレイ ミアスニコフ、
トゥオマス サルスヤルヴィ、
ヘイッキ オヤモ、
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ダニスコ カルター アメリカ、インコーポレイテッド
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、D−グルコノラクトンの変換によるエリソルビン酸の製造に有用な酵素D−グルコノラクトンオキシダーゼ(D−GLO)をコード化する核酸分子の分離に関する。天然型D−GLOの酵素活性を保持するコード化タンパク質や、上記核酸分子の各種変種も本発明に包含される。適切な発現ベクターによって形質転換された各種宿主細胞において、本発明の核酸を利用してD−グルコノラクトンオキシダーゼを製造する組換え方法が好ましい。グルコースの変換および特に、D−グルコノラクトンのエリソルビン酸への変換のプロセスにおいて、本発明のD−GLOを利用する方法も意図されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、エリソルビン酸および関連する塩の製造方法において有用な酵素で
あって、D−グルコノラクトンオキシダーゼをコード化する新規核酸分子に関す
る。
【0002】 エリソルビン酸はアスコルビン酸のC−5エピマーであり、抗酸化活性を含め
て実質的に同一の化学的特性を有する。しかし、エリソルビン酸のビタミンC活
性はアスコルビン酸と比べて非常に低く、実際の使用では、ビタミンとは見なさ
れない。エリソルビン酸はGRASの地位を有し、食品や他の多くの用途で抗酸
化剤として使用される。エリソルビン酸製造で現在使用されている化学的方法は
、2−ケトグルコン酸のエステル化と、それに続くエステルの塩基性触媒環化に
よりエリソルビン酸ナトリウムを産生することに基づいている。
【0003】 ペニシリウム属に属するある野生種の菌類が、グルコースで培養した場合に少
量のエリソルビン酸を生成することが1960年代から知られている[Yagi
J.ら., Agric. Biol. Chem.31(3) 340−3
45(1967)]。広範な化学的突然変異誘起/選択プログラムを通じて、グ
ルコースを最大40%の収率でエリソルビン酸に変換可能なペニシリウム ナタ
タム(Penicillium notatum)菌株が分離された[Shim
izu K.ら., Agric. Biol. Chem 31(3) 34
6−352(1967)]。しかし、変換を完了させるのに必要な発酵時間が非
常に長いため(1−2週間)、このプロセスの産業への応用は非実用的であった
【0004】 ペニシリウムのグルコース−エリソルビン酸経路の酵素学に関するその後の研
究により、経路が2つの反応より成ることが確認された[Takahashi
T. Biotechnology and Bioengineering
11, 1157−1171(1969)]。第一の反応は、周知の、グルコー
スオキシダーゼによるグルコースのグルコノラクトンへの酸化である。この経路
における第2の反応は、エリソルビン酸および過酸化水素を生成するD−グルコ
ノラクトンの酸素分子による酸化である。この反応は、数個の菌類でのみ検出さ
れる酵素である、D−グルコノラクトンオキシダーゼ(D−GLO)によって触
媒される。Takahashiと共同研究者[Takahashi T.ら A
gric Biol.Chem. 40, 121−129(1976)]は、
ペニシリウム シアネオフルバム(Penicillium cyaneofu
lvum)の菌株(後にペニシリウム グリセオロゼアム(Penicilli
um griseoroseum) ATCC1043として再分類)由来のD
−GLOの基本的な酵素特性を決定している。
【0005】 経済的に許容可能な値段でグルコースをエリソルビン酸に直接変換することに
関係する問題は、未解決のままである。本発明は、エリソルビン酸およびその塩
を製造するバイオテクノロジープロセスで有用なD−GLOをコード化する、分
離された核酸を提供する。
【0006】 本発明は、エリソルビン酸および関連する塩の製造に有用な酵素D−グルコノ
ラクトンオキシダーゼ(D−GLO)をコード化する核酸分子の分離および同定
に関する。
【0007】 したがって1つの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:1(c
DNA)、SEQ ID NO:2(コード化)およびSEQ ID NO:3
(成熟)によって定義される、新規に分離された核酸分子に関する。本発明はさ
らに、ストリンジェントな条件下で、SEQ ID. NOS. 1−3のいず
れか1つにハイブリダイズする核酸分子を包含する。
【0008】 本発明の別の実施形態において、本明細書で示す核酸分子のいずれか1つを含
むベクターも、そのようなベクターによって形質転換される宿主細胞と同様に提
供される。D−GLOを生成する同定された核酸を用いた組換え方法も本発明に
よって包含される。
【0009】 本発明のさらに別の実施形態は、SEQ IDNO:4によって示されるタン
パク質および70%以上の配列がSEQ ID NO:4と同一であるタンパク
質を含む、本明細書で示す核酸分子によってコード化されるD−GLOタンパク
質に関する。
【0010】 本発明の別の実施形態において、本発明のD−GLOを用いたグルコースおよ
び/またはD−グルコノラクトンの変換によって、エリソルビン酸および関連す
る塩を製造する方法も提供される。
【0011】 本発明は、菌類起源のD−GLOをコード化する、分離された核酸分子に関す
る。菌類は、たとえばペニシリウム グリセオロゼアム、ペニシリウム ナタタ
ム、ペニシリウム シアネウム(Penicillium cyaneum)お
よびペニシリウム デカンベンス(Penicillium decumben
s)などのペニシリウム属である。本明細書で使用されているように「D−グル
コノラクトンオキシダーゼ」(D−GLO)という語は、菌類D−GLOの天然
型または人工型のいずれかの変種に関し、それらを含む。たとえば、菌類D−G
LOをコード化する本発明の核酸分子は、SEQ ID NO:1、SEQ I
D NO:2またはSEQ ID NO:3の配列を持つことが可能である;ま
たはストリンジェントな条件下で、SEQ ID NO:1、SEQ ID N
O:2またはSEQ ID NO:3の配列を持つ、分離された核酸分子にハイ
ブリダイズする配列を持つことが可能である;またはSEQ ID NO:4で
示されるアミノ酸配列に比較した場合、約70%以上同一の配列を持つタンパク
質をコード化する配列を持つことが可能である。約70%以上のアミノ酸配列の
同一性は、プログラムのデフォルトパラメータ(マトリクス=Blosum62
;ギャップ存在コスト=11、ギャップ拡張コスト=1)を用いた検索で、イン
ターネットサイトhttp://www.ncbi.n/m.nih.gov/
egi−gin/BLASTで実装可能なBLASTPアルゴリズムによって示
される陽性のパーセンテージとして定義できる。
【0012】 さらに詳細には、本発明の核酸分子は、欠失、挿入、付加および変異などの、
SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2およびSEQ ID NO:
3の変形を含み、そのような配列は、天然型D−GLOの酵素活性、すなわちD
−グルコノラクトンをエリソルビン酸に変換する能力を保持するタンパク質をコ
ード化する。
【0013】 本発明のそのような核酸分子を含むベクターおよび形質転換宿主細胞または遺
伝子導入生物も、本発明の範囲内に含まれる。「ベクターまたは発現ベクター」
とは、これに限定されるわけではないが、原核若しくは真核細胞または生物での
発現を目的とする調節要素またはレポータ遺伝子を含む核酸分子またはウィルス
を意味する。「形質転換宿主細胞」とは、分子生物学的技法によって好ましくは
菌類源から、最も好ましくはペニシリウム属からD−GLOをコード化する核酸
が導入された宿主細胞(若しくは、その祖先において導入がなされた宿主細胞)
を意味する。細胞内に導入された後、この核酸は染色体外に存在するか、宿主ゲ
ノム内に組込まれる。広範にわたる宿主細胞において、本発明の核酸分子によっ
てコード化されるD−GLOタンパク質を発現および分泌させるために、本発明
の核酸分子が望ましいプロモータに作動可能に結合されて配置された発現ベクタ
ーを作成することは、当業者には日常的である。Sambrook,ら,(Mo
lecular Cloning,A Laboratory Manual,
Sambrook, J., Fritsch,E.F., and Mani
atis,T., 第2版(1989)Cold Spring Harbor
Laboratory Press)。
【0014】 本発明を実施するのに有用な宿主細胞は、形質転換手順に適した入手可能など
の宿主細胞でもよい。たとえば、エッシェリシア、エルウィニア(Erwini
a)、パントエア(Pantoea)、バシラス(Bacillus)、乳酸菌
またはシュードモナス属に属する細菌などの、細菌細胞は使用できる。酵母も宿
主細胞として使用可能であり、たとえばサッカロマイセス、クリュイベロマイセ
ス(Kluyveromyces)、ピッチア(Pichia)、ハンセヌラ、
カンジダ菌、シュワンニオマイセス(Schwanniomyces)属に属す
る酵母も用い得る。
【0015】 たとえばシネコシスティス(Synechosystis)、クラミドモナス
およびユーグレナ属などの単細胞藻類も使用できる。それより高等な植物細胞も
、本発明の分離された核酸によって形質転換できる。そのままのDNAによって
、または外来遺伝子に作動可能に結合して植物中で機能するプロモータを含むベ
クターによって植物細胞を形質転換する方法は、当業界で周知である。植物の例
としては、ダイズ、トウモロコシ、ジャガイモ、トマト、サトウダイコンなどが
挙げられる。哺乳類細胞も宿主細胞として使用できる。発現GLOは培地、また
は空胞、葉緑体、ミクロソーム、ペルオキシソームなどの細胞小器官の1つを指
向することが好ましい。
【0016】 「核酸または核酸分子」という語は、cDNA、ゲノムDNAおよび合成(た
とえば化学合成または修飾)DNAを含む、RNAとDNAの両方を意図する。
本発明の核酸分子は、二重鎖でも単鎖でもよい。単鎖の場合、核酸はセンス鎖ま
たはアンチセンス鎖でもよい。「分離された核酸」という語は、プラスミドまた
はウィルスなどの非天然型配列によってフランキングされる核酸も指す。したが
って核酸は、コード化配列に隣接している5’非コード化(たとえばプロモータ
)配列を含まないか、一部またはすべてを含むことがある。したがってこの語は
たとえば、自律的複製プラスミド若しくはウィルスを含むベクター内に組み込ま
れるか、またはペニシリウム以外の原核若しくは真核生物のゲノムDNA内に組
み込まれるか、あるいは他の配列とは無関係な独立分子(たとえばcDNA、ま
たはPCR若しくは制限エンドヌクレアーゼ処理によって生成されたゲノムDN
Aフラグメント)として存在する組換えDNAを含む。この語は、付加的なポリ
ペプチド配列もコード化するハイブリッド遺伝子の一部である組換えDNAまた
はRNAも含む。さらにこの語は、フラグメントとして天然には産出せず、自然
状態では発見されない核酸フラグメントを含むことになっている。
【0017】 これらの組換え核酸はさらに、各種の組換え宿主におけるD−GLOコード化
配列の転写を増進、調節または修飾する各種の配列;すなわち構造性または調節
プロモータ、転写エンハンサ及びターミネータ、並びに転写抑制因子の結合、ア
テニアーションまたはアンチアテニエーションなどの既知の機構によってD−G
LOの発現を調節する他の配列を含むことがある。
【0018】 「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」とは、厳密と見なされ、
Sambrook,ら,(Molecular Cloning,A Labo
ratory Manual, Sambrook,J., Fritsch,
E. F., and Maniatis,T., 第2版(1989)Co
ld Spring Harbor Laboratory Press)で述
べられているような低塩および高温の条件下で、溶液または固体担体中で核酸が
SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:
3の核酸と安定で、配列特異的な非共有結合を形成する条件を意味する。たとえ
ば、SEQ ID NO:1などの参照核酸はニトロセルロースフィルタに固定
化することが可能であり、0.2 x SSC(1.75g/l NaCl、0
.88g/l クエン酸ナトリウムニ水和物;pH7.0)および0.1%(w
/v)ドデシル硫酸ナトリウムの存在下で、68℃において、固定化参照核酸に
特異的且つ非共有的に結合される他の核酸は、ストリンジェントな条件下でハイ
ブリダイズされると見なされる。
【0019】 本発明の核酸分子によって形質転換された宿主細胞から得られるGLO調製物
またはD−GLOタンパク質も、本発明の範囲内に含まれる。本発明の核酸分子
によって形質転換される宿主細胞は培養可能であり、D−GLOは培養細胞から
回収し得る。D−GLOは分泌または宿主細胞内で発現される;D−GLOコー
ド化領域全体またはコード化領域の一部は、追加の修飾を行わずに、または開始
コドン或いはオリゴヒスチジン配列などの各種のC−およびN−末端延長を加え
た後に、発現可能である。D−GLOの酵素活性を保持するような、D−GLO
と他のタンパク質との融合体は、本明細書で示すD−GLO関連タンパク質すべ
ての変異形と同様に、本発明の範囲内である。これらの変異形はランダムまたは
指向性突然変異誘起によって得られる。D−GLOを活性を持つ、そのようなタ
ンパク質の調製物は、粗生成物のまま、または精製して溶液中で使用するか、当
業界で既知の各種担体に固定される。同様に、前記タンパク質を発現する組換え
宿主細胞を用いて、宿主の発酵中に、あるいは宿主の休止状態においてさえ、D
−グルコノラクトンのエリソルビン酸への変換を触媒することができる。特筆す
べきは、本発明の殺された組換え宿主細胞も、グルコースおよび/またはD−グ
ルコノラクトンのエリソルビン酸への変換におけるD−グルコノラクトン酸化の
触媒として使用できる。詳細には、グルコースは、グルコースオキシダーゼまた
はグルコースデヒドロゲナーゼの存在下でD−グルコノラクトンに変換すること
ができる;D−グルコノラクトンは次に、エリソルビン酸生成に十分な時間と条
件下で、D−グルコノラクトン基質を本発明のD−GLOと接触させることによ
って、エリソルビン酸に変換することができる。D−グルコノラクトンは、本発
明のD−GLOの基質として、グルコン酸の化学変換によって、またはグルコー
スオキシダーゼ若しくはグルコースデヒドロゲナーゼによるグルコースの変換に
よって調製できる。それゆえD−グルコノラクトンは、エリソルビン酸生成に十
分な条件下で十分な時間、該基質をD−GLOに接触させることによってエリソ
ルビン酸に変換される。
【0020】 全長D−GLOコード化配列は、修飾なしで使用されるか、当業界で周知の方
法によって修飾して使用される。たとえば、N−またはC−末端アミノ酸配列は
削除されるか、適切な宿主におけるD−GLOの分泌を改良する各種の既知のプ
レ−またはプレプロ−ペプチド(シグナルペプチド)によって置換される。D−
GLOポリペプチドのソーティングおよびターゲティングを調節する他の各種ア
ミノ酸配列は、全長D−GLOまたはGLO活性を有するD−GLOコード化配
列の一部に融合できる。
【0021】 本発明のD−GLOも、融合タンパク質として発現させることができる。特に
、グルコースオキシダーゼ、カタラーゼなどの、補助および/または関連酵素活
性などを提供するタンパク質ドメインに融合することができる。
【0022】 同様にD−GLOは、特定のリガンドに対する高い親和性(たとえばストレプ
トアビジン、マルトース結合タンパク質、セルロースおよび他の多糖類結合ドメ
イン)、または融合タンパク質の向上した安定性および/または溶解性など(た
とえばスーパーオキシドディスムターゼまたはグルタチオニンS−トランスフェ
ラーゼ)の、他の既知の有用な機能を提供するドメインに融合することができる
【0023】 エリソルビン酸は、好ましくは糸状菌類(たとえばアスペルギルスまたはペニ
シリウム属に属する菌類)、または高い分泌能力を持つ酵母種(たとえばPic
hiaまたはハンセヌラに属する酵母)などの適切な宿主細胞内での、グルコー
スをエリソルビン酸に変換する酵素プロセスにおいて、本発明の組換えD−GL
Oを主要な要素として用いて製造できる。D−GLO以外に、このようなプロセ
スは、好ましくはグルコースオキシダーゼ(または、グルコースデヒドロゲナー
ゼ、ヘキソースオキシダーゼまたはピラノースオキシダーゼなどの、重複特異性
を持つ酵素)およびカタラーゼを含む2個以上の他の酵素を含み得る。グルコー
スオキシダーゼおよびGLOに基づくプロセスの基礎を成す化学反応のシーケン
スを図3に示す。簡潔に言えば、グルコースは分子状酸素によってD−グルコノ
−δ−ラクトンに酸化される。この反応はグルコースオキシダーゼ(またはヘキ
ソースオキシダーゼ、ピラノースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼな
ど)によって触媒され、副生成物として過酸化水素を生成する。D−GLOは続
いて、D−グルコノ−δ−ラクトンのエリソルビン酸への変換を触媒する。この
反応でも分子状酸素が消費され、過酸化水素が形成される。水溶液中のD−グル
コノ−δ−ラクトンは、グルコン酸およびD−グルコノ−γ−ラクトンと平衡状
態にあることが既知である。D−グルコノ−γ−ラクトンも、D−GLOの基質
である。両方のD−グルコノラクトンはGLOによって同じ生成物、すなわちエ
リソルビン酸に酸化される。グルコノラクトン加水分解の自発的反応は比較的遅
く、反応混合物中のGLOおよび分子状酸素の濃度が十分に高い場合、該加水分
解反応は最小限になる。さらに、本反応は可逆的であるため、グルコン酸は最終
的に、エリソルビン酸に酸化することが可能なラクトンを生成する。グルコース
オキシダーゼが触媒する反応とD−GLOが触媒する反応はどちらも、副生成物
として過酸化水素を生成する。過酸化水素は反応性の高い物質で、プロセスに関
与する酵素を不活性化することができる。したがって、過酸化水素は反応混合物
から連続的に除去する必要がある。過酸化水素を除去する好ましい方法は、カタ
ラーゼの使用による。スーパーオキシドディスムターゼなどの、各種の活性酸素
種を除去する他の既知の捕捉剤の使用も本発明の実施に有利である。
【0024】 グルコースデヒドロゲナーゼをグルコースのグルコラクトンへの変換を触媒す
るのに使用する場合、過酸化水素の除去は、グルコースデヒドロゲナーゼ触媒反
応で消費されるNAD+の再生に結びつけることができる。図4は、本発明のこ
の特定の実施の反応方式全体を示す。本発明によるグルコースのエリソルビン酸
への好ましい変換方法は、1個の反応器内で、グルコースの酸化およびグルコノ
ラクトンの酸化が同時に進行するプロセス全体を実施することである。しかし、
グルコースのグルコノラクトンへの変換およびグルコノラクトンのエリソルビン
酸への変換が個別に行われるような実施も許容できる。本発明の組換えD−GL
Oを用いたエリソルビン酸の製造に、グルコノラクトン、グルコン酸またはその
2つの混合物を開始物質として使用することも申し分ない。
【0025】 本発明のD−GLO核酸は、グルコースをグルコノラクトンにすでに変換する
ことのできる宿主内で発現させることも可能である。当業界では、このような微
生物宿主が多数知られている。通常、そのような微生物(たとえばアスペルギル
スおよびペニシリウム属に属する多くの菌類種)はグルコースオキシダーゼまた
はグルコースデヒドロゲナーゼを用いて、グルコースをグルコノラクトンに酸化
する。膜結合グルコースデヒドロゲナーゼを生成する複数の属に属する多くの細
菌種が適している。十分に高レベルのカタラーゼも発現する宿主を選択するのも
有利である。GLOを発現するそのような組換え宿主を、グルコース含有培地上
で発酵させると、エリソルビン酸がグルコースから直接得られる。
【0026】 さらに、本発明の組換えD−GLO発現宿主は、グルコースオキシダーゼ、グ
ルコースデヒドロゲナーゼおよび/またはカタラーゼを発現する異なった宿主と
共培養することができる。本実施形態において、エリソルビン酸は1ステップ混
合発酵で製造できる。
【0027】 グルコースのエリソルビン酸への直接発酵には、2種類の組換え宿主、すなわ
ち酵母と糸状菌類が特に適している。
【0028】 この点に関して、実施例9はD−GLO遺伝子がピッチア パストリス(Pi
chia pastoris)などの酵母内で効率的に発現されることを示して
いる。外来タンパク質の十分な分泌をサポートすることが知られている他の酵母
宿主、たとえばハンセヌラ ポリモルファまたはクリュイベロマイセス マルキ
アナス(Kluyveromyces marxianus)も使用できる。実
施例9で使用される発現系は、グルコース抑制プロモータに基づいているため、
グルコースをエリソルビン酸に発酵させる組換え宿主の作成にはあまり適してい
ない。しかし、グルコースによって抑制されない強力なプロモータに基づくP.
pastorisの同様に有効な発現系、たとえばStratageneの発
現pGAPZベクターシリーズに基づく発現系などが知られており、そのような
宿主の作成に使用し得る。解糖遺伝子の他のプロモータも使用できる。
【0029】 GLO遺伝子の発現に加えて、本発酵プロセスで使用される組換え酵母宿主も
、グルコースオキシダーゼを発現し、たとえばアスペルギルス ニガー由来のグ
ルコースオキシダーゼは酵母内で効率的に発現することが知られている(De
Baetselier A.ら, Fermentation of a ye
ast production A.niger glucose oxida
te...Bio/Technology9, 559−561(1991)。
また、優先的に分泌されるカタラーゼの遺伝子の過剰発現は、グルコースをエリ
ソルビン酸に発酵させる酵母宿主の、非常に有用なもう1つの遺伝的な形質であ
る。
【0030】 酵母宿主に対して、多くの野生種糸状菌類は高レベルのグルコースオキシダー
ゼおよびカタラーゼを発現する。したがって、これら2つの酵素をコード化する
遺伝子の遺伝子組換えによる過剰発現は、酵母宿主の場合ほど必須ではない。D
−GLOの(過剰)発現の場合、高度に発現される解糖遺伝子のプロモータが適
している。たとえば菌類TEF1プロモータなどの、グルコースでの培養中に高
い活性を保持する他のプロモータも使用できる。
【0031】 酵母とは異なり、多くの糸状菌類はグルコノラクトナーゼを生成する。たとえ
ば通気の良い状態で培養したアスペルギルス ニガーでは、グルコノラクトナー
ゼレベルはきわめて高い(Whtteveen C. F. B.,ら. In
duction of glucose oxidate, catalase
and lactose in Aspergillus niger, C
urr. Genetics24, 408−416(1993))。グルコノ
ラクトナーゼは共通の基質であるグルコノ−δ−ラクトンに対してGLOと競合
し、そのためにグルコースのエリソルビン酸への変換を阻害する。したがってグ
ルコノラクトナーゼは不活性化されることが望ましい。不活性化は、グルコノラ
クトナーゼ遺伝子の突然変異による遺伝子的手段によって、あるいはGLOでは
なくグルコノラクトナーゼを選択的に阻害する発酵状態を選択することによって
行える。不活性化を実施する1つの好ましい方法は、グルコノラクトナーゼの選
択的阻害剤を発酵培養液に加えることである。
【0032】 本発明の別の実施形態において、エリソルビン酸は、グルコノラクトン、グル
コン酸またはこれら2つの基質の混合物から、十分に高いレベルの組換えD−G
LOを発現する微生物宿主を用いてそれぞれを発酵させることによって製造され
る。
【0033】 本発明は、これに限定されるわけではないが、以下の例によってさらに説明さ
れる。
【0034】 (実施例1) Glo活性 GLOの活性は、基質としてグルコノ−δ−ラクトン、グルコノ−γ−ラクト
ン(D−グルコノラクトン)およびグルコン酸の平衡混合物を用いて測定した。
この混合物は、結晶性グルコノ−δ−ラクトンを水に50%の濃度(w/v)に
溶解し、50℃にて数日放置して調製した。反応は、2mMのヒドロキシキノリ
ン、12μMの2,6−ジクロロフェノールインドフェノールおよび70mMの
基質を含む、50mMバイフタル酸カリウム緩衝液、pH5.6中で行った。2
,6−ジクロロフェノールインドフェノールおよび基質は両方とも、測定の直前
に原液の形で反応溶液に加えた。実験で使用される基質溶液のアリコートは、ま
た、使用直前にpH5.8に迅速に調整した。酵素反応に続いて、エリソルビン
酸による2,6−ジクロロフェノールインドフェノールの減少によって引き起こ
された600nmにおける吸収の時間経過を記録した。検定前に酵素溶液を2分
間煮沸させた点だけが反応溶液と異なる対照も含めた。反応で生じたエリソルビ
ン酸の量は、既知量のエリソルビン酸を反応混合物に加えて求めた検量線を用い
て計算した。活性は上述の条件下で、30℃にて1分間に生成されたエリソルビ
ン酸のμmoleとして表した。
【0035】 (実施例2) P. グリセオロゼアムによる均質なGLOの精製 P. グリセオロゼアム菌株ATCC10431由来のGLOは、以前発表さ
れた方法(Takahashi T, らAgric. Biol. Chem
. 40, 121−129(1976))に似た手順を用いて均質になるまで
精製した。
【0036】 複数個の2リットル エルレンマイヤーフラスコに200mlづつYEPD培
地(2%バクト−ペプトン、1%酵母エキス、2%グルコース)を入れ、ポテト
デキストロース寒天(Difco)プレートで1週間培養したP. グリセオロ
ゼアムの胞子の懸濁液2mlを播種した。培養液は回転振盪器で30℃にて18
0rpmで2日間培養し、この培養物の0.5lを用いて15lの発酵槽内の1
0lの誘発培地(8%グルコース、0.2%KHPO、0.1%(NH SO、0.1%(NHCO、0.1%NaNO、0.1%MgSO ・7HO、1%MnSO・7HO、0.001%ZnSO・7H
、0.5%CaCO、pH5.5)に接種した。細菌汚染の危険を防止するた
めに、クロラムフェニコール(2.5mg/l)およびテトラサイクリン(3m
g/l)を一部の発酵で用いた。発酵は30℃にて60時間進行させた(通気−
5l/分、撹拌−300rpm)。
【0037】 菌糸は焼結ガラスフィルタで濾過して収集し、水と緩衝液A(10mMリン酸
緩衝液、pH6.5、0.1mM EDTAを含む)で洗浄した。細胞は、1m
Mフッ化フェニルメチルスルホニルを含む同じ緩衝液中でガラスビーズミルを用
いて破砕した。破砕プロセスはサイクル的に行い、サイクル間とサイクル中に氷
水冷却を用いた。サイクルの長さは、懸濁液の温度を4℃−22℃の範囲に維持
するように調整し、サイクル数は細胞破壊が90%以上(顕微鏡による評価)と
なるように調整した。得られたホモジネートは19000xgにて30分間遠心
分離を行い、上清を酵素の精製に使用した。
【0038】 細胞抽出物1リットル当たり約80mlのDEAE−Sepharose F
F(Pharmacia)を加え、懸濁液は静かに撹拌しながら4℃にて一晩イ
ンキュベートした。濾過によって樹脂を除去し、濾液は同じ条件下で新しいDE
AE−SEpharaoseによって処理した。この処理によって、余計なタン
パク質が高い割合で除去されたが、樹脂に吸収されたGLOはわずかな量であっ
た。GLOは硫酸アンモニウム(60−100%飽和)を用いて濾液から沈殿さ
せた。硫酸アンモニウム沈殿物を、緩衝液Aを数回交換して透析した。透析した
酵素溶液を十分な緩衝液Aを用いて希釈し、伝導率を1.25mSとし、同じ緩
衝液を用いて平衡にしたDEDA−Sepharose FFのカラム(サンプ
ル1ml当たり約5mlのカラム床体積)に供した。カラムは緩衝液Aを用いて
、280nmにおける吸収がバックグラウンド値に低下するまで0.15床体積
/時間にて溶出させ、次いで緩衝液A中のNaClの直線濃度勾配を用いて溶出
させた(0−100mM NaCl、勾配総体積=2カラム床体積)。有効ピー
ク画分をプールし、Amicon限外濾過装置およびXM50膜を用いて濃縮し
、緩衝液Aを用いて平衡にしたSephacryl S−300HR(Phar
macia)の200cmカラム上部に供した。カラムは0.5cm/分の線速
度で溶出させた。ゲル濾過カラムによる有効画分を収集し、緩衝液Aを用いて平
衡にしたヒドロキシアパタイトカラム(Bio−Gel HT、Bio−Rad
)の上部に加えた。カラム床体積はサンプル体積の0.13であり、溶出速度は
1分当たり0.1床体積であった。GLOは緩衝液A中の硫酸アンモニウムの直
線濃度勾配(0−7.5%)を用いてカラムから溶出させた。勾配の総体積は約
36カラム床体積であった。GLOの最高活性を有する画分をプールし、プール
をポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分析した。見かけの分子量60−8
0kDaに相当する1個の強力な拡散バンドと約34kDaにおける非常に弱い
バンドが確認された。代表的な精製実験の結果を表1にまとめる。
【0039】 (実施例3) GLOのアミノ酸配列分析 分析は、ヘルシンキのバイオテクノロジー研究所のタンパク質分析実験室の商
用サービスとして行われた。実施例2の精製GLO調製物は、N−末端配列分析
によって均一であることがわかった。以下のN−末端配列が見つかった:Tyr
Arg Trp Phe Asn Trp Gln Phe Glu Val
Thr Nnn Gln Ser Asp Ala Tyr Ile Ala
Pro His Asn Glu His...(SEQ ID No.:5
)(「Nnn」はこの位置に解釈可能な信号が見られなかったことを意味し、こ
のことは非誘導体化されたシステイン残基またはグリコシル化アミノ酸残基の存
在によって最も確実に説明される)。タンパク質はさらに4−ビニルピリジンに
よってアルキル化し、Lys−C−プロテアーゼによって消化し、逆相HPLC
を用いて消化物から複数のペプチドを分離した。質量分析法によって、以下のペ
プチド配列が決定された: ペプチド1−Glu His Asp Arg Met Thr Val Cy
s Gly Pro His Phe Asp Tyr Asn Ala Ly
s(SEQ ID NO:6) ペプチド2−Glu Tyr Ile Cys Tyr Asp Glu Va
l Thr Asp Ala Ala Ser Cys Ser Pro Gl
n Gly Val Val(SEQ ID NO:7) ペプチド3−Cys Gln Phe Val Asn Glu Phe Le
u Val Glu Gln Leu Gly Ile Thr Arg(SE
Q ID NO:8) (実施例4) P. グリセオロゼアム染色体DNAの分離 P. グリセオロゼアムは実施例2で述べたように、YEPD培地で培養した
。菌糸は水と緩衝液A(実施例2)で洗浄し、凍結乾燥した。約50gの乾燥菌
糸を液体窒素下の乳鉢で破砕した。細かく破砕した菌糸を500μlの抽出緩衝
液(250mM NaCl、25mM EDTA、200mM TrisHCl
、pH8.5、0.5%SDS)中で懸濁させ、350μlのフェノールを加え
て、混合物を振盪して均質な懸濁液を生成させた。150μlのクロロホルムを
懸濁液に加えた後、1時間高速で遠心分離にかけた(卓上小型遠心分離機で13
500rpm)。水相を新しい試験管に移し、10μlの10%リボヌクレアー
ゼA溶液を加えた。混合物を37℃にて1時間インキュベートした。インキュベ
ーション後、1/10量の5M酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.4)を溶液に加
えた後、0.6倍量のイソプロパノールを加えた。DNAを遠心分離によって回
収し(10分、13500rpm)、70%エタノールで2回洗浄し、真空乾燥
して、100μlの水に溶解させた。
【0040】 (実施例5) GLOをコード化する染色体DNAのフラグメントのクローニング GLO SEQ ID NO:5−SEQ ID NO:8の部分アミノ酸配
列に基づいて、多数のオリゴヌクレオチドを合成し、テンプレートとしてP.
グリセオロゼアムの染色体DNA(実施例4)を用いたPCRでプライマーとし
て試験した。
【0041】 PCRは以下のプログラムを用いて、PTC−255 DNA Engine
装置(MJ Research Inc., 米国マサチューセッツ州)で行っ
た;94℃で2分;10サイクルの(94℃で30秒;50℃で45秒;72℃
で3分)の後、30サイクルの(94℃で30秒;60℃で45秒;72℃で3
分)。各反応は、約25ngのテンプレートDNA、0.75単位のTaqDN
Aポリメラーゼ(ベーリンガー・マンハイム)、0.75μMの各オリゴヌクレ
オチドプライマー、200μMの4種類それぞれのデオキシヌクレオシド三リン
酸(dATP、dTTP、dCTP、dGTP)、1.5μlの10 x 緩衝
液濃縮物(Taqポリメラーゼの製造者から供給)を含む15μlの溶液中で行
った。PCRの生成物は、従来技法を用いたアガロースゲル電気泳動によって分
析した[Maniatis, T.ら.(1982) Molecular c
loning Cold Spring Harbor Laboratory
]。
【0042】 1対のオリゴヌクレオチドプライマーから最良の結果が得られた。センスオリ
ゴヌクレオチドTAYCGITGGTTYAAYTGGCA(SEQ ID N
O:9)およびアンチセンスオリゴヌクレオチドCCIARYTGYTCIAC
IARRAAYTCRTTIACRAAYTGRCA(SEQ ID NO:1
0)。これらの配列において、「I」はイノシンリン酸残基を、Rはアデノシン
およびグアノシンリン酸残基の混合物を、Yはチミジンおよびシトシンリン酸残
基の混合物を表す。このオリゴヌクレオチド対によって得られたPCR生成物(
約1.2kb)を、アガロースゲル電気泳動によって精製し、pCR2.1−T
OPOベクター(Invitrogen)内に同じ製造者から供給されたTOP
O TAクローニングキットを用いてクローニングして、プラスミドpCR(G
LO)を得た。
【0043】 (実施例6) P. グリセオロゼアムcDNAライブラリの作成 GLO生成を誘起する条件(実施例2)下にて無機培地で培養したP. グリ
セオロゼアム菌糸から総RNAを分離した。菌糸(−70℃にて凍結保存)を液
体窒素下の乳鉢で破砕した。3gの細かく破砕した菌糸を10mlの氷冷RNA
抽出緩衝液(4Mグアニジンチオシアネート、0.5%ラウリルサルコシンナト
リウム、25mMクエン酸ナトリウム、100mMβ−メルカプトエタノール)
中で激しく振盪して懸濁させた。混合物を4℃にて10000rpm(SS−3
4ロータ、Sorvall)で6分間遠心分離にかけた。10mlの上澄を新し
い試験管に移し、4gのCsClを加えた。次のステップで使用するすべての溶
液は、ジエチルピロカーボネート処理水とガラス器具を用いて調製した。RNA
含有溶液を1.2mlの5.7M CsCl、0.1M EDTA、pH7の上
に加え、15℃、33000rpmにて約20時間遠心分離にかけた。沈殿物を
少量の水で迅速にすすぎ、100μlの水に溶解させた。Oligotex M
idi Kit(Qiagen)を製造者の指示どおりに使用して、mRNAを
この調製物から分離した。cDNAライブラリは、StratagenのcDN
A合成キットおよびλZAP−cDNA Gigapack III Gold
クローニングキットを、これらのキットに添付された製造者の指示どおりに使用
して、P. グリセオロゼアム mRNAから調製した。
【0044】 (実施例7) P.グリセオロゼアムcDNAライブラリからの全長GLO cDNAの分離
染色体GLO遺伝子の一部を含む1.2kbのDNAフラグメントは、Eco
RI制限および分取アガロースゲル電気泳動によって、プラスミドpCR(GL
O)(実施例5)から分離した。制限酵素消化、プラスミドDNAおよびDNA
フラグメントの分離などは、標準遺伝子組換え技法を用いた[Maniatis
, T.ら.(1982)Molecular Cloning .Cold
Spring Harbor Laboratory]。このフラグメントに、
Random Primed DNA標識キット(ベーリンガー・マンハイム)
および[αP32]−dCTPを用いて、放射線標識を付けた。
【0045】 実施例6のλ−ファージライブラリをプレーティングし、Stratagen
eによってλZAP−cDNA GigapackIII Goldクローニン
グキットとともに提供されたマニュアルに従って、標識1.2kbフラグメント
を用いてDNAハイブリダイゼーションによってスクリーニングした。多数の陽
性プラークが同定され、そのうち20個の組換えファージを精製し、同じマニュ
アルのプロトコルに従ってプラスミド形に変換した。これら20個のプラスミド
をEcoRIおよびXhoIを用いた制限によって分析すると、異なるサイズの
挿入物を持つことがわかった。1個の小型DNAフラグメントはすべてのプラス
ミドに存在し、このことはすべてのcDNAクローンが同じ遺伝子に由来するこ
とを示唆した。最大のプラスミド(pGLO1.8と命名)は、約1.8kbサ
イズの挿入物を含んでいた。挿入物全体は、Eurogentec Bel.
S. A.(ベルギー)の商用サービスを用いて配列決定した。配列分析によっ
て、プラスミドpGLO 1.8の挿入物が、GLO cDNAの完全なコード
化領域(1443bp、停止コドンを含む)、70bpの5’−未翻訳配列およ
び261bpの3’−未翻訳配列(SEQ ID NO:1)を含むことが明ら
かになった。この配列は、480個のアミノ酸残基のタンパク質をコード化した
(SEQ ID NO:4)。
【0046】 インターネットでGenBankが提供するBLASTサービス(http:
//www.ncbi.nlm.nih.gov/cgi−bin/BLAST
/nph−newblast?Jform=0)を用いて、P. グリセオロゼ
アム GLOの推定アミノ酸配列を既知のタンパク質アミノ酸配列と比較した。
多数の相同タンパク質配列が同定された。設定された機能を持つタンパク質のみ
を考慮する場合、カンジダ・アルビカンス由来のD−アラビノノラクトンオキシ
ダーゼやラット由来のL−グロノラクトンオキシダーゼなどの、他のラクトンオ
キシダーゼと最も高い相同性が確認された。
【0047】 P.グリセオロゼアム(実施例3、SEQ ID NO:5)からの精製GL
Oを用いて決定されたN−末端アミノ酸配列は、アミノ酸残基21から開始する
GLOの推定配列(SEQ ID NO:4)と同一である。この観察結果と、
翻訳GLOコード化配列の領域1−20内の疎水性アミノ酸残基の優勢によって
、P.グリセオロゼアム GLOがN−末端シグナルペプチドを含むことが強く
示唆される。GLO内にシグナルペプチドが存在することは、他のラクトンオキ
シダーゼがシグナルペプチドを持たず、分泌することが知られていないため、予
想外であった。さらに、P.グリセオロゼアム GLOの推定配列は8個の仮想
結合グリコシル化部位を含む。分離GLOはポリアクリルアミドゲル上に拡散バ
ンドとして現れ、このことはそれが確かに糖タンパク質であることを示唆してい
る。しかし、我々はP.グリセオロゼアムの細胞抽出物からGLOを分離してい
る。その本来の宿主においては、GLOはゴルジ体から細胞内細胞小器官の1つ
に誘導されているか、分泌されているかのどちらかであるが、細胞と結合したま
まであることが考えられる。
【0048】 (実施例8) 異種宿主におけるP.グリセオロゼアム GLO遺伝子の発現 GLOの推定配列が分泌タンパク質の多くの特徴を示したため、酵母分泌発現
はクローン化GLO cDNAの機能の試験に最も適していると思われる。GL
Oの発現に用いる発現ベクターは、周知の酵母−E.coliシャトルベクター
pJDB207に基づいている[Beggs. J. D. 、Wiliams
on R.,(編)Genetic Engineering 2, Acad
emic Press(1981)より]。発現ベクターの作成は2つのステッ
プで行った。最初に、3個のDNAフラグメントを同時に連結してpAC109
を作成した:(1) サッカロマイセス セレヴィシエ PHO5遺伝子のプロ
モータ領域由来0.45kb BamHI−Eco47IIIフラグメント (
2) MFα1遺伝子の3’−非コード化領域の116bpと、該酵母α因子前
駆体タンパク質のプレプロペプチド(Mfα1−プレプロペプチド)の配列に相
当するコード化領域の一部を含む、サッカロマイセス セレヴィシエ MFα1
遺伝子由来0.38kb HaeIII−HindIIIフラグメント (3)
BamHIおよびHindIIIによる制限によって得られたpJDB207
の約6.5kbフラグメント。第2に、合成ポリリンカをpAC109のHin
dIII部位に挿入する。
【0049】 ポリリンカは2個のオリゴヌクレオチドから構成された:上部鎖ヌクレオチド
AGCTCTCGAGATCTCCCGGGA(SEQ ID NO:11)お
よび下部鎖ヌクレオチドAGCTTCCCGGGAGATCTCGAG(SEQ
ID NO:12)。HindIII部位がMfα1プレプロ領域に近接して
配置される方向でポリリンカが挿入されたプラスミドを選択し、pGTYと命名
した。
【0050】 テンプレートとしてのプラスミドpGLO1.8と、2個のオリゴヌクレオチ
ドプライマー、すなわち「センス」プライマー:GAAGAAGCTTACCG
GTGGTTCAATTGGCAGTTTTTGGT(SEQ ID NO:1
3 )およびCACGACGTTGTAAAACGACGGCCAG(SEQ
ID NO:14 )を用いてPCRを実施し、GLO遺伝子のベクター下流で
アニーリングして、クローン化GLO遺伝子のDNA配列をMf α1−プレプ
ロペプチドとの融合を作成するのに適した形に修飾した。このステップで、修飾
はGLO遺伝子内に導入した。すべての5’−非コード化配列と推定GLOコー
ド化配列のアミノ酸残基1−20に相当する配列は削除され、Mfα1−プレプ
ロペプチドおよび成熟GLOの枠内融合を可能にする位置にHind III部
位が導入された。このPCR反応の生成物をHind IIIおよびXhoIで
消化し、同じ制限酵素対で消化されたpGTYを用いて連結した。
【0051】 生じたプラスミドpGTY(GLO)(図1)は、Mfα1 プレプロペプチ
ドおよびP.グリセオロゼアムGLOの推定成熟部分(SEQ ID NO:1
5)より成る融合タンパク質をコード化する。
【0052】 サッカロマイセス セレヴィシエ菌株GRF18(ATCC 64667、遺
伝子型:MATα、leu2−3、leu2−112、his3−11、his
3−11、his3−15)を、「リチウム」形質転換法を用いてロイシン原栄
養株に形質転換した[Sherman F. ら., Laboratory
Course Manual for Methods in Yeast G
enetics pp121−122,Cold Spring Harbor
Laboratory(1986)]。
【0053】 形質転換クローンの1つは、対照として用いるレシピエント菌株と同様に、0
.3l SC−his培地(0.67%酵母窒素ベースw/oアミノ酸、Dif
co、2%グルコース、100mg/1ヒスチジン;非形質転換対照菌株には、
100mg/lのロイシンも加えた)中で初期定常相(回転振盪器、180rp
m、30℃)まで培養した。これらの培養物による酵母細胞を用いて、それぞれ
10lの低リン酸塩(PEP)培地を含む2つの同一の15l発酵槽に播種した
。PEP培地を調製するために、バクト−ペプトン(Difco)の8%溶液を
CaCl(0.4Mの濃度まで添加)を用いて、pH11および100℃にて
5分間処理した。ペプトン溶液を室温まで冷却して、pH5.5に調整し、濾紙
と0.4μm孔径の膜で濾過して、リン酸塩枯渇ペプトン原液として使用した。
PEP培地は2%のリン酸塩枯渇ペプトン原液と、5%グルコースを含んでいた
。発酵条件は次のとおりであった:撹拌−300rpm、通気−5l/分、pH
は4M NaOHを加えて5.5に維持。培養液のサンプルは適切な間隔で採取
した。細胞密度は、600nmにおける吸収を測定して追跡した。GLO活性は
、遠心分離によって細胞を除去し、セントリプラス膜(Amicon)を用いて
培地のサンプルを約500倍に濃縮して、使い捨てのEconoPack 10
DGミニカラム(BioRad)を用いたゲル濾過によって発酵培地の低分子
量成分を除去した後に測定した。GLOのピークレベル(約2.4mU/ml)
は、発酵の約60−70時間後に検出された。未形質転換レシピエント菌株の対
照発酵には、GLO活性は見られなかった。
【0054】 この実験の結果は結論として、プラスミドpGLO1.8内のGLO遺伝子の
cDNAクローンが確かに機能していることを示している。サッカロマイセス
セレヴィシエは、外来タンパク質の分泌に関しては比較的非効率的な宿主である
ことが知られている。したがって、GLO遺伝子を他の菌類種−より高い分泌可
能性を持つ糸状菌類または他の酵母に導入すれば、組換えGLOがはるかに高い
レベルで発現することが予想される。
【0055】 (実施例9) メタノール資化性酵母におけるGLO遺伝子の発現 GLO遺伝子のコード化領域は、オリゴヌクレオチドプライマー:CAAAG
CTTCTAGAGCCTCAGACCACTCATATCACATC(SEQ
ID NO:14)およびCCAACAATTGATGCTGAGCCCTA
AGCCGGCTTTCCTGC(SEQ ID NO:16)を用いてPCR
によって増幅した。生じたDNAフラグメントは制限エンドヌクレアーセXba
lおよびMfeIによって消化し、AvrIIおよびEcoRIによって消化し
たプラスミドpPIC3.5K(Multi−Copy Pichia Exp
ression Kit, Invitrogen Corp.)に連結した。
生じたプラスミドpPIC3.5K(GLO51−3)は、P.pastori
s AOXIプロモータに制御されたGLO遺伝子の完全なコード化領域を含む
(図5)。
【0056】 P.pastoris菌株GS115は、Invitrogenが推奨する方
法を用いて、pPIC3.5K(GLO51−3)によって形質転換した。
【0057】 独立に得られた複数の形質転換クローンは、BMGY(酵母エキス−1%ペプ
トン−2%リン酸カリウム緩衝液、pH6.0−100mM、1%グリセロール
、1.34%酵母窒素ベース(Difco)、0.4mg/lビオチン)中で回
転振盪器(30℃、200rpm)を用いて培養した。初期定常相に達した後、
細胞を低速(4000rpm)遠心分離によって収集し、グリセロールの代わり
に0.5%メタノールを用いたことを除きBMGYと同一である同体積のBMM
Y中で再懸濁させ、一晩培養した。
【0058】 これらの実験において培養上澄中で測定された最高のGLO発現レベルは約0
.4−0.5U/mlであった。
【0059】 この値は、サッカロマイセス セレヴィシエにおけるGLO発現レベルより約
200倍高い。
【0060】 (実施例10) P.パストリスにより生産された組み換えGLOの精製 組換えGLOの分取分離のため、実質的に(K. Sreckrishna,
ら. Biochemistry, 1989, 28, 4117−4125
)で述べたような供給バッチ方式を用いて、組換えP.pastoris菌株G
S115:pPIC3.5(GLO51−3)を101発酵槽で培養した。
【0061】 培養後、細胞を遠心分離によって分離し、澄んだ培地のpHを6.5に調整し
、500mlのDEAE Sepharose FFを加えた。懸濁液を4℃に
て一晩撹拌した後、DEAE Sepharoseを沈殿によって回収してカラ
ムに詰め、1mM EDTAを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.
5)中のNaClの0−0.2M勾配を用いて溶出させた。
【0062】 GLOの最高活性を含む画分をプールし、実施例2で述べた条件下でヒドロキ
シアパタイトクロマトグラフィーにかけた。GLOの最高活性を含む画分は、ア
クリルアミドゲル電気泳動によって分析し、ほぼ均質のGLO調製物を含むこと
がわかった(Coomassie Brilliant Blue G250染
色の強度から判断して、約80−90%の純度)。
【0063】 この調製物の特異活性は約24U/mgタンパク質、すなわちP.シアネオ−
フルバスから精製された均質GLOの特異活性の約4倍以上であった。
【0064】 (実施例11) 組換えGLOの固定化 1mlのN−ヒドロキシスクシンイミド活性化Sepharose 4 FF
(Pharmacia)を、実施例10に従って精製し、pHを8.0に調整し
た0.35mg/ml GLO溶液0.5mlとともにインキュベートした。結
合反応と、それに続く処理は樹脂の製造者の指示に従って実施した。
【0065】 固定化GLOの活性は、我々の標準検定法(実施例1)を少し変更して測定し
た。1mlのGLO−Sepharoseを10mlの基質溶液(実施例1)と
ともに30分間静かに振盪し、沈殿によって樹脂を分離し、2,6−ジクロロフ
ェノールインドフェノールとの反応で、生成されたエリソルビン酸を測定した。
【0066】 GLO、固定GLOの活性(約2.5U/ml樹脂)および未結合のままのG
LO活性(5.5U)は、反応で使用された酵素の量にほぼ一致した。したがっ
て、GLOは、N−ヒドロキシスクシンイミド活性化Sepharoseへの固
定化後にその酵素活性の大半を維持している。それゆえ、固定化GLOはグルコ
ノラクトンからのエリソルビン酸の製造に使用できる。
【0067】 (実施例12) グルコースのエリソルビン酸への酵素変換 600U/mlグルコースオキシダーゼ、1.2U/mlカタラーゼ、1%グ
ルコースを100mMリン酸カリウム緩衝溶液、pH6.0に含む、120μl
の反応混合物を35℃にて1時間インキュベートした。この点で、120μlの
フタル酸カリウム緩衝液、pH5.6と、100μlの、約0.8活性単位を含
む精製組換えGLO溶液(実施例10)を加え、反応をさらに1時間進行させた
。凍結により反応を終了させ、(L.W. Doner, K. Hicks, Anal. Biochem. 115, 225−230(1981)で述
べた条件を用いて)エリソルビン酸をHPLCによって、または2,6−ジクロ
ロフェノールインドフェノールの減少を測定して分析した。反応混合物中には約
1.5mg/mlのエリソルビン酸があり、これは約40%の収率に相当した。
【0068】 別の実験では、0.1mg/mlグルコース、0.06U/ml GLO、2
4U/MLカタラーゼ、800U/ml グルコースオキシダーゼを0.1Mリ
ン酸カリウム緩衝液中に含む1mlの反応混合物を、蓋のない試験管で室温にて
インキュベートした。約0.3mg/mlのエリソルビン酸が生成し、これは約
30%の収率に相当した。
【0069】 変換収率を最適にするための試みは、明らかに、これらの実験では行わなかっ
た。たとえば、エリソルビン酸の収率は、自動pH制御および当業者に周知の他
のプロトコルを導入することによってさらに向上するであろう。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、MFα1プレプロペプチドおよびP.グリセオロゼアム GLOの成
熟部分をコード化するプラスミドpGTY(GLO)の図示である。
【図2】 図2は、未形質転換サッカロマイセス セレヴィシエおよびpGTY(GLO
)によって形質転換されたサッカロマイセス セレヴィシエの細胞密度およびG
LO活性をグラフで示す。
【図3】 図3は、グルコースオキシダーゼおよびD−GLOを用いた、グルコースのD
−エリソルビン酸への変換の略図である。
【図4】 図4は、グルコースデヒドロゲナーゼおよびD−GLOを用いた、グルコース
のD−エリソルビン酸への変換の略図である。
【図5】 図5は、P.パストリス(P.pastoris)プロモータの制御下にある
D−GLO遺伝子の完全なコード化領域を含む、プラスミドpPIC3.5K(
GLO)の図示である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12P 7/58 C12N 15/00 ZNAA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ,VN,YU, ZA,ZW (72)発明者 オヤモ、 ヘイッキ フィンランド国 エフアイエヌ−08100 ローヤ クルレルヴォンカトゥ 4 Fターム(参考) 4B024 AA03 AA05 BA80 CA01 DA11 DA12 GA11 GA16 HA20 4B050 CC03 DD03 EE10 LL05 4B064 AD40 CA05 CA06 CA19 CC24 CD09 DA10 4B065 AA58X AA67Y AA72X AB01 AC14 BA02 BB15 CA10 CA28 CA41

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 D−グルコノラクトンオキシダーゼをコード化する分離され
    た核酸分子。
  2. 【請求項2】 菌類から分離された、請求項1に記載の核酸分子。
  3. 【請求項3】 ペニシリウム属から分離された、請求項2に記載の核酸分子
  4. 【請求項4】 ペニシリウム グリセオロゼアム、ペニシリウム ナタタム
    、ペニシリウム シアネウムまたはペニシリウム デカムベンの種から分離され
    た、請求項3に記載の核酸分子。
  5. 【請求項5】 ペニシリウム グリセオロゼアムの種から分離された、請求
    項4に記載の核酸分子。
  6. 【請求項6】 SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2またはS
    EQ ID NO:3を含む分離された核酸分子。
  7. 【請求項7】 SEQ ID NO:4のアミノ酸配列と比較した場合に約
    70%以上の配列同一性を有するタンパク質をコード化する分離された核酸分子
  8. 【請求項8】 ストリンジェントな条件下で、請求項6に記載の核酸のいず
    れか1つにハイブリダイズする分離された核酸分子。
  9. 【請求項9】 請求項1から8のいずれか1つに記載の核酸分子を含む発現
    ベクター。
  10. 【請求項10】 請求項9の発現ベクターを含む形質転換宿主細胞。
  11. 【請求項11】 1以上の付加、欠失、挿入または変異をさらに含む請求項
    6に記載の分離された核酸分子であって、酵素学的に活性なD−グルコノラクト
    ンオキシダーゼをコード化する核酸分子。
  12. 【請求項12】 請求項1から8および11のいずれか1つに記載の核酸分
    子によってコード化されるD−グルコノラクトンオキシダーゼタンパク質。
  13. 【請求項13】 請求項10の細胞を培養すること及び、該培養物からD−
    グルコノラクトンオキシダーゼを回収することを含む、D−グルコノラクトンオ
    キシダーゼの製造方法。
  14. 【請求項14】 SEQ ID NO:4を有するD−グルコノラクトンオ
    キシダーゼ。
  15. 【請求項15】 D−グルコノラクトンを生成するためにグルコースをグル
    コースオキシダーゼに接触させること及び、前記D−グルコノラクトンを、請求
    項1から8および11に記載の核酸によってコード化されたD−グルコノラクト
    ンオキシダーゼに、エリソルビン酸を製造するのに十分な時間と条件で接触させ
    ることを含む、グルコースをエリソルビン酸に変換する方法。
  16. 【請求項16】 D−グルコノラクトンをエリソルビン酸に変換する方法で
    あって、該D−グルコノラクトンを請求項1から8および11に記載のD−グル
    コノラクトンオキシダーゼに、エリソルビン酸を製造するのに十分な時間と条件
    で接触させることを含む方法。
  17. 【請求項17】 さらにエリソルビン酸を回収することを含む、請求項15
    に記載の方法。
  18. 【請求項18】 さらにエリソルビン酸を回収することを含む、請求項16
    に記載の方法。
  19. 【請求項19】 請求項15に記載の方法によって製造されたエリソルビン
    酸。
  20. 【請求項20】 請求項16に記載の方法によって製造されたエリソルビン
    酸。
  21. 【請求項21】 前記グルコースを前記グルコースオキシダーゼに、カタラ
    ーゼの存在下で接触させる、請求項15に記載の方法。
  22. 【請求項22】 さらにグルコースオキシダーゼを発現する遺伝子を含む、
    請求項10に記載の形質転換宿主細胞。
  23. 【請求項23】 さらにカタラーゼを発現する遺伝子を含む、請求項20に
    記載の形質転換宿主細胞。
  24. 【請求項24】 宿主細胞が酵母である、請求項10に記載の形質転換宿主
    細胞。
  25. 【請求項25】 宿主細胞が糸状菌類である、請求項10に記載の形質転換
    宿主細胞。
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US60/150,134 1999-08-20
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