JP2003507017A - B2アベルメクチン:b1アベルメクチンの比を指示するストレプトミセス・アベルミティリス遺伝子 - Google Patents

B2アベルメクチン:b1アベルメクチンの比を指示するストレプトミセス・アベルミティリス遺伝子

Info

Publication number
JP2003507017A
JP2003507017A JP2001516908A JP2001516908A JP2003507017A JP 2003507017 A JP2003507017 A JP 2003507017A JP 2001516908 A JP2001516908 A JP 2001516908A JP 2001516908 A JP2001516908 A JP 2001516908A JP 2003507017 A JP2003507017 A JP 2003507017A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nucleotide
amino acid
seq
avec
avec allele
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001516908A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3884651B2 (ja
Inventor
チェン ヤン
グスタフソン クライス
クレベール アンケ
ステファン マインシュル ジェレミー
アイ レイラード サン
ジョネル ステュッツマン−イングウォル キム
Original Assignee
ファイザー・プロダクツ・インク
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ファイザー・プロダクツ・インク filed Critical ファイザー・プロダクツ・インク
Publication of JP2003507017A publication Critical patent/JP2003507017A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3884651B2 publication Critical patent/JP3884651B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/11DNA or RNA fragments; Modified forms thereof; Non-coding nucleic acids having a biological activity
    • C12N15/52Genes encoding for enzymes or proenzymes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P17/00Preparation of heterocyclic carbon compounds with only O, N, S, Se or Te as ring hetero atoms
    • C12P17/18Preparation of heterocyclic carbon compounds with only O, N, S, Se or Te as ring hetero atoms containing at least two hetero rings condensed among themselves or condensed with a common carbocyclic ring system, e.g. rifamycin
    • C12P17/181Heterocyclic compounds containing oxygen atoms as the only ring heteroatoms in the condensed system, e.g. Salinomycin, Septamycin
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/88Lyases (4.)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P19/00Preparation of compounds containing saccharide radicals
    • C12P19/44Preparation of O-glycosides, e.g. glucosides
    • C12P19/60Preparation of O-glycosides, e.g. glucosides having an oxygen of the saccharide radical directly bound to a non-saccharide heterocyclic ring or a condensed ring system containing a non-saccharide heterocyclic ring, e.g. coumermycin, novobiocin
    • C12P19/62Preparation of O-glycosides, e.g. glucosides having an oxygen of the saccharide radical directly bound to a non-saccharide heterocyclic ring or a condensed ring system containing a non-saccharide heterocyclic ring, e.g. coumermycin, novobiocin the hetero ring having eight or more ring members and only oxygen as ring hetero atoms, e.g. erythromycin, spiramycin, nystatin
    • C12P19/623Avermectin; Milbemycin; Ivermectin; C-076

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本発明は、S.アベルミティリスの発酵培養物において産生されるクラス2アベルメクチン:クラス1アベルメクチンの比または量を変化させるために用いられうるポリヌクレオチド分子である、aveC遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子に関する。本発明はさらに、産生されるアベルメクチンのクラス2:クラス1の比または量を変化させるためにaveC遺伝子が不活性化された、または変異された、ベクター、宿主細胞、およびS.アベルミティリスの変異株に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】1. 発明の分野 本発明は、アベルメクチンを産生するための組成物および方法を対象とし、主
として動物保健の分野にある。より詳細には、本発明は、ストレプトミセス・ア
ベルミティリス(Streptomyces avermitilis)の培養物の発酵によって産生され
るアベルメクチンのクラス2:クラス1比を調節するために用いうる、AveC遺伝子
産物をコードするヌクレオチド配列を含むヌクレオチド分子、ならびにこのよう
なヌクレオチド分子のスクリーニングのための組成物および方法に関する。本発
明はさらに、産生されるアベルメクチンのクラス2:クラス1比が調節されるよう
にaveC遺伝子が変異した、ベクター、形質転換宿主細胞およびS.アベルミティリ
スの新規変異株に関する。
【0002】2. 発明の背景 2.1. アベルメクチン ストレプトミセス属は強力な駆虫作用および殺虫作用を有する、一連の8種類
の関連する16員環大環状ラクトンから構成されるアベルメクチン類を含む、多種
多様な二次代謝産物を産生する。別個の、しかし密接に関連した8種類の化合物
は、A1a、A1b、A2a、A2b、B1a、B1b、B2aおよびB2bと呼ばれている。化合物の「
a」シリーズは、C25位の置換基が(S)-sec-ブチル基である天然アベルメクチンを
意味し、「b」シリーズはC25位の置換基がイソプロピル基である化合物を意味す
る。「A」および「B」という名称は、C5位の置換基がそれぞれメトキシ基および
ヒドロキシ基であるアベルメクチンを意味する。数字の「1」は二重結合がC22位
とC23位に存在するアベルメクチンを意味し、数字の「2」は、C22位に水素を有
し、C23位にヒドロキシ基を有するアベルメクチンを意味する。関連するアベル
メクチンのうち、B1型のアベルメクチンは最も効果的な駆虫作用および殺虫作用
を有するものとして認識されており、このため、商業的に最も望ましいアベルメ
クチンである。
【0003】 アベルメクチンおよび、S.アベルミティリスの菌株の好気性発酵によるその産
生は、米国特許第4,310,519号および第4,429,042号に記載されている。天然のア
ベルメクチンの生合成は、イソ酪酸およびS-(+)-2-メチル酪酸のCoAチオエステ
ル類似体から内因的に開始されると考えられている。
【0004】 ランダム突然変異誘発による菌株の改良と外因的に入手した脂肪酸の利用の両
方を組み合わせることにより、アベルメクチン類似体の効率的産生がもたらされ
ている。分枝鎖2-オキソ酸デヒドロゲナーゼが欠損したS.アベルミティリスの変
異株(bkd欠損変異株)は、発酵物に脂肪酸を供給した場合にのみアベルメクチ
ンを産生しうる。分枝鎖デヒドロゲナーゼ活性に欠損のある変異株(例えば、S.
アベルミティリス、ATCC 53567株)のスクリーニングおよび分離は、欧州特許(
EP)第276103号に記載されている。外因的に入手した脂肪酸の存在下におけるこ
の種の変異株の発酵によって産生されるのは、用いた脂肪酸に対応する4種類ず
つのアベルメクチンのみである。すなわち、S.アベルミティリス(ATCC 53567株
)の発酵物にS-(+)-2-メチル酪酸を補充すると天然アベルメクチンA1a、A2a、B1
aおよびB2aが産生され、発酵物にイソ酪酸を補充すると天然アベルメクチンA1b
、A2b、B1bおよびB2bが産生され、発酵物にシクロペンタンカルボン酸を補充す
ると4種類の新規シクロペンチルアベルメクチンであるA1、A2、B1およびB2が産
生される。
【0005】 他の脂肪酸を加えた場合には新規アベルメクチンが産生される。800種を上回
る前駆物質候補のスクリーニングにより、60種を上回る他の新規アベルメクチン
が同定されている(例えば、Duttonら、1991、J. Antibiot. 44:357〜365;お
よびBanksら、1994、Roy. Soc. Chem. 147:16〜26を参照されたい)。さらに、
5-O-メチルトランスフェラーゼ活性に欠損のあるS.アベルミティリスの変異株は
、本質的にはアベルメクチンB類似体のみを産生する。このため、分枝鎖2-オキ
ソ酸デヒドロゲナーゼ活性および5-O-メチルトランスフェラーゼ活性をいずれも
欠くS.アベルミティリス変異株は発酵物への補充に用いた脂肪酸に対応するアベ
ルメクチンBのみを産生する。したがって、この種の二重変異株にS-(+)-2-メチ
ル酪酸を補充すると天然のアベルメクチンB1aおよびB2aのみが産生され、一方、
イソ酪酸またはシクロペンタンカルボン酸を補充すると、天然のアベルメクチン
B1bおよびB2b、または新規シクロペンチルB1アベルメクチンおよびシクロペンチ
ルB2アベルメクチンがそれぞれ産生される。二重変異株にシクロヘキサンカルボ
ン酸を補充することは、商業的に重要な新規アベルメクチンであるシクロヘキシ
ルアベルメクチンB1(ドラメクチン)を産生するための好ましい方法の一つであ
る。この種の二重変異株、例えばS.アベルミティリス(ATCC 53692株)の分離お
よび特徴は、欧州特許第276103号に記載されている。
【0006】2.2. アベルメクチン生合成に関与する遺伝子 多くの場合、二次代謝産物の産生に関与する遺伝子および特定の抗生物質をコ
ードする遺伝子は染色体上にクラスター化して認められる。これには例えば、ス
トレプトミセスポリケチドシンターゼ遺伝子クラスター(PKS)の場合がある(H
opwoodおよびSherman、1990、Ann. Rev. Genet. 24:37〜66を参照されたい)。
したがって、生合成経路における遺伝子をクローニングするための1つの戦略は
、薬剤耐性遺伝子を単離し、続いて染色体の隣接領域をその特定の抗生物質の生
合成に関連した他の遺伝子に関して試験することである。重要な代謝産物の生合
成に関与する遺伝子をクローニングするためのもう1つの戦略は、変異体の相補
性である。例えば、特定の代謝産物を産生しうる生物体由来のDNAライブラリー
の一部を非産生性変異体に導入し、形質転換体を代謝産物の産生に関してスクリ
ーニングする。さらに、他のストレプトミセス属に由来するプローブを用いるラ
イブラリーのハイブリダイゼーションも生合成経路における遺伝子の同定および
クローニングのために用いられている。
【0007】 アベルメクチン生合成に関与する遺伝子(ave遺伝子)は、ストレプトミセス
の他の二次代謝産物(例えば、PKS)の生合成のために必要な遺伝子のように、
染色体上にクラスター化して認められる。アベルメクチン生合成が阻止されてい
るS.アベルミティリス変異株を補完するベクターを用いて数多くのave遺伝子の
クローニングが成功している。この種の遺伝子のクローニングは米国特許第5,25
2,474号に記載されている。さらに、イケダ(Ikeda)ら、1995、J. Antibiot. 4
8:532〜534は、C22とC23の脱水過程にかかわる染色体領域(aveC)がS.アベル
ミティリスの4.82KbのBamHI断片に局在すること、およびB2aが単一成分である産
生株の産生をもたらすaveC遺伝子の変異に関して記載している。強力な駆虫性化
合物であるイベルメクチンはアベルメクチンB2aから化学合成されるため、この
ようなアベルメクチンB2aの単一成分産生株はイベルメクチンの商業産生のため
に特に有用であると考えられる。
【0008】 例えばアベルメクチンのB2:B1比を低下させる変異などの、アベルメクチン産
生の複雑性を最小化するようなaveC遺伝子における変異の同定により、商業的に
重要なアベルメクチンの産生および精製が簡略化されると考えられる。
【0009】3. 発明の概要 本発明は、S.アベルミティリスの完全なaveC ORFまたはその実質的な部分を含
む単離されたポリヌクレオチド分子であって、S.アベルミティリス染色体におい
てインサイチューのaveC ORFの下流に位置する次の完全なORFを欠く単離された
ポリヌクレオチド分子を提供する。本発明の単離されたポリヌクレオチド分子は
、好ましくは、プラスミドpSE186(ATCC 209604)のS.アベルミティリスAveC遺
伝子産物をコードする配列と同じ、または図1のaveC ORFのヌクレオチド配列(
配列番号:1)もしくはその実質的な部分と同じであるヌクレオチド配列を含む
。本発明はさらに、配列番号:1のヌクレオチド配列またはその縮重変異体を含
む単離されたポリヌクレオチド分子を提供する。
【0010】 本発明はさらに、プラスミドpSE186(ATCC 209604)のS.アベルミティリスAve
C遺伝子産物をコードする配列と相同な、または図1に示したaveC ORFのヌクレオ
チド配列(配列番号:1)もしくはその実質的な部分と相同なヌクレオチド配列
を有する単離されたポリヌクレオチド分子を提供する。
【0011】 本発明はさらに、プラスミドpSE186(ATCC 209604)のAveC遺伝子産物をコー
ドする配列によってコードされるアミノ酸配列と相同な、または図1のアミノ酸
配列(配列番号:2)もしくはその実質的な部分と相同なアミノ酸配列を有する
ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチド
分子を提供する。
【0012】 本発明はさらに、AveC相同体遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む
、単離されたポリヌクレオチド分子を提供する。1つの好ましい態様において、
単離されたポリヌクレオチド分子は、S.ハイグロスコピカス(S. hygroscopicus
)由来のAveC相同体遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含み、相同体遺
伝子産物は配列番号:4のアミノ酸配列または実質的な部分を含む。1つの好まし
い態様において、S.ハイグロスコピカスのAveC相同体遺伝子産物をコードする本
発明の単離されたポリヌクレオチド分子は、配列番号:3のヌクレオチド配列ま
たはその実質的な部分を含む。
【0013】 本発明はさらに、配列番号:3のS.ハイグロスコピカスのヌクレオチド配列と
相同なヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド分子を提供する。
本発明はさらに、配列番号:4のアミノ酸配列を有するS.ハイグロスコピカスのA
veC相同体遺伝子産物と相同なポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含
む、単離されたポリヌクレオチド分子を提供する。
【0014】 本発明はさらに、図1のヌクレオチド配列(配列番号:1)もしくは配列番号:
3を有するポリヌクレオチド分子とハイブリダイズする、または図1のヌクレオチ
ド配列(配列番号:1)もしくは配列番号:3の相補物であるヌクレオチド配列を
有するポリヌクレオチド分子とハイブリダイズするオリゴヌクレオチド分子を提
供する。
【0015】 本発明はさらに、S.アベルミティリスのaveC ORFまたはaveC相同体ORFを含む
ポリヌクレオチド分子を含む本発明のポリヌクレオチドのクローニングまたは発
現に有用な、組換えクローニングベクターおよび発現ベクターを提供する。1つ
の非制限的な態様において、本発明は、S.アベルミティリスのaveC遺伝子の全OR
Fを含むプラスミドpSE186(ATCC 209604)を提供する。本発明はさらに、本発明
のポリヌクレオチド分子または組換えベクターを含む形質転換宿主細胞、および
それに由来する新規細胞株または細胞系を提供する。
【0016】 本発明はさらに、 実質的に精製または単離された、組換え発現がなされたAve
C遺伝子産物もしくはAveC相同体遺伝子産物またはそれらの実質的な部分、さら
にはそれらの相同体を提供する。本発明はさらに、以下の段階を含む、組換えAv
eC遺伝子産物の産生のための方法を提供する:組換え発現ベクターがAveC遺伝子
産物またはAveC相同体遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を有するポリヌ
クレオチド分子を含み、ポリヌクレオチド分子が宿主細胞におけるポリヌクレオ
チド分子の発現を制御する1つまたは複数の調節因子と機能的に関連している、
組換え発現ベクターにより形質転換された宿主細胞を、組換えAveC遺伝子産物ま
たはAveC相同体遺伝子産物の産生が誘導される条件下で培養する段階;および細
胞培養物からAveC遺伝子産物またはAveC相同体遺伝子産物を回収する段階。
【0017】 本発明はさらに、野生型aveC対立遺伝子が不活性化されておりかつ変異型ヌク
レオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を発現するS.アベルミティリスATCC 5
3692株の細胞が、野生型aveC対立遺伝子のみを発現するS.アベルミティリスATCC
53692株の細胞によって産生されるものとは異なる比または量のアベルメクチン
を産生するような、1つまたは複数の変異をさらに含む点を除き、S.アベルミテ
ィリスAveC対立遺伝子もしくはプラスミドpSE186(ATCC 209604)のAveC遺伝子
産物をコードする配列もしくはその縮重変異体、または図1に示されたS.アベル
ミティリスのaveC ORFのヌクレオチド配列(配列番号:1)もしくはその縮重変
異体と同じであるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を提供する。本
発明によれば、このようなポリヌクレオチド分子を用いて、野生型aveC対立遺伝
子のみを発現する同じ菌株と比べてアベルメクチン産生において検出可能な変化
を呈するS.アベルミティリスの新規株を作製することができる。1つの好ましい
態様において、このようなポリヌクレオチド分子は、野生型aveC対立遺伝子のみ
を発現する菌株によるものと比べて低いクラス2:クラス1比のアベルメクチンを
産生するS.アベルミティリスの新規株を作製するために有用である。1つのさら
に好ましい態様において、このようなポリヌクレオチド分子は、単一の野生型av
eC対立遺伝子のみを発現する同じ菌株と比べてアベルメクチンの産生レベルが高
いS.アベルミティリスの新規株を作製するために有用である。1つのさらに好ま
しい態様において、このようなポリヌクレオチド分子は、aveC遺伝子が不活性化
されたS.アベルミティリスの新規株を作製するために有用である。
【0018】 本発明は、産生されるアベルメクチンの比および/または量を変化させうるS.
アベルミティリスのaveC ORFの変異を同定するための方法を提供する。1つの好
ましい態様において、本発明は、以下の段階を含む、産生されるアベルメクチン
のクラス2:クラス1比を変化させうるaveC ORFの変異を同定するための方法を提
供する:段階(a)のS.アベルミティリス細胞によって産生されるアベルメクチ
ンのクラス2:クラス1比が段階(b)のS.アベルミティリス細胞によって産生さ
れるアベルメクチンのクラス2:クラス1比と異なるならばアベルメクチンのクラ
ス2:クラス1比を変化させうるaveC ORFの変異が同定されるような、(a)本来
のaveC対立遺伝子が不活性化されかつ変異型aveC遺伝子産物をコードするヌクレ
オチド配列を含むポリヌクレオチド分子が導入されて発現されているS.アベルミ
ティリスの菌株の細胞によって産生されるアベルメクチンのクラス2:クラス1比
を決定する段階;(b)野生型aveC対立遺伝子もしくは図1のORF(配列番号:1)
またはそれらと相同なヌクレオチド配列のみを発現する、段階(a)と同じS.アベ
ルミティリスの菌株の細胞によって産生されるアベルメクチンのクラス2:クラ
ス1比を決定する段階;および(c)段階(a)のS.アベルミティリス細胞によっ
て産生されるアベルメクチンのクラス2:クラス1比を段階(b)のS.アベルミテ
ィリス細胞によって産生されるアベルメクチンのクラス2:クラス1比と比較する
段階。1つの好ましい態様において、アベルメクチンのクラス2:クラス1比は変
異によって減少する。
【0019】 1つのさらに好ましい態様において、本発明は、以下の段階を含む、産生され
るアベルメクチンの量を変化させうる、aveC ORFまたはaveC ORFを含む遺伝子構
築物の変異を同定するための方法を提供する:段階(a)のS.アベルミティリス
細胞によって産生されるアベルメクチンの量が段階(b)のS.アベルミティリス
細胞によって産生されるアベルメクチンの量とは異なるならばアベルメクチンの
量を変化させうるaveC ORFの変異または遺伝子構築物が同定されるような、(a
)本来のaveC対立遺伝子が不活性化されかつ変異型aveC遺伝子産物をコードする
ヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子、またはAveC遺伝子産物をコード
するヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物を含むポリヌクレオチド分子が導入さ
れ発現されている、S.アベルミティリスの菌株の細胞によって産生されるアベル
メクチンの量を決定する段階;(b)図1のORFのヌクレオチド配列(配列番号:1
)またはそれと相同なヌクレオチド配列を有する単一のaveC対立遺伝子のみを発
現する、段階(a)と同じS.アベルミティリスの菌株の細胞によって産生される
アベルメクチンの量を決定する段階;および(c)段階(a)のS.アベルミティリ
ス細胞によって産生されるアベルメクチンの量を段階(b)のS.アベルミティリ
ス細胞によって産生されるアベルメクチンの量を比較する段階。1つの好ましい
態様において、産生されるアベルメクチンの量は変異によって増加する。
【0020】 本発明はさらに、アベルメクチンの産生が変化したS.アベルミティリスの新規
株を作製するために有用な組換えベクターを提供する。例えば、本発明は、相同
組換えによるaveC対立遺伝子もしくはORFまたはそれらの一部への挿入またはそ
れらとの置換を目的として、本発明の変異型ヌクレオチド配列を含むポリヌクレ
オチド分子のいずれかをS.アベルミティリス染色体のaveC遺伝子の部位にターゲ
ティングさせるために用いることができるベクターを提供する。しかし本発明に
よれば、本明細書で提供する本発明の変異型ヌクレオチド配列を含むポリヌクレ
オチド分子は、S.アベルミティリス染色体のaveC遺伝子以外の部位に挿入された
場合、またはS.アベルミティリス細胞にエピソームとして維持された場合にもア
ベルメクチン生合成を調節する働きをする。したがって、本発明は、ポリヌクレ
オチド分子をS.アベルミティリス染色体のaveC遺伝子以外の部位に挿入するため
、またはエピソームとして維持させるために用いうるベクターである、本発明の
変異型ヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含むベクターも提供する
。1つの好ましい態様において、本発明は、野生型aveC対立遺伝子のみを発現す
る同じ菌株の細胞と比べて低いクラス2:クラス1比でアベルメクチンを産生する
細胞の新規株を作製することを目的として、変異型aveC対立遺伝子をS.アベルミ
ティリス染色体に挿入するために用いうる遺伝子置換ベクターを提供する。
【0021】 本発明はさらに、以下の段階を含む、変異型aveC対立遺伝子を発現し、野生型
aveC対立遺伝子のみを発現するS.アベルミティリスの同じ菌株と比べて産生され
るアベルメクチンの比および/または量が変化している細胞を含む、S.アベルミ
ティリスの新規株を作製するための方法を提供する。1つの好ましい態様におい
て、本発明は、変異型aveC対立遺伝子を発現しかつ野生型aveC対立遺伝子のみを
発現するS.アベルミティリスの同じ菌株の細胞と比べて産生されるアベルメクチ
ンのクラス2:クラス1比が変化している細胞を含む、S.アベルミティリスの新規
株を作製するための方法を提供する:野生型aveC対立遺伝子のみを発現する同じ
菌株の細胞と比べて変異型対立遺伝子を発現するS.アベルミティリスの菌株の細
胞によって産生されるアベルメクチンのクラス2:クラス1比を変化させる遺伝子
産物をコードする変異型aveC対立遺伝子を有するベクターを用いて、S.アベルミ
ティリスの菌株の細胞を形質転換する段階;および、野生型aveC対立遺伝子を発
現する菌株の細胞によって産生されるクラス2:クラス1比と比べてクラス2:ク
ラス1比が変化しているアベルメクチンを産生する形質転換細胞を選択する段階
。1つの好ましい態様において、新規株の細胞において産生されるアベルメクチ
ンのクラス2:クラス1比は減少する。
【0022】 1つのさらに好ましい態様において、本発明は、以下の段階を含む、産生され
るアベルメクチンの量が変化した細胞を含むS.アベルミティリスの新規株を作製
するための方法を提供する:発現により、野生型aveC対立遺伝子のみを発現する
同じ菌株の細胞と比べて変異型aveC対立遺伝子または遺伝子構築物を発現するS.
アベルミティリスの菌株の細胞によって産生されるアベルメクチンの量の変化が
もたらされるaveC対立遺伝子を含む、変異型aveC対立遺伝子または遺伝子構築物
を有するベクターを用いて、S.アベルミティリスの菌株の細胞を形質転換する段
階;および、野生型aveC対立遺伝子のみを発現する菌株の細胞によって産生され
るアベルメクチンの量と比べて量が変化したアベルメクチンを産生する形質転換
細胞を選択する段階。1つの好ましい態様において、新規株の細胞では産生され
るアベルメクチンの量が増加する。
【0023】 1つのさらに好ましい態様において、本発明は、以下の段階を含む、不活性化
されたaveC対立遺伝子を細胞が含むS.アベルミティリスの新規株を作製するため
の方法を提供する:aveC対立遺伝子を不活性化するベクターを用いて、任意のav
eC対立遺伝子を発現するS.アベルミティリスの菌株の細胞を形質転換する段階;
および、aveC対立遺伝子が不活性化された形質転換細胞を選択する段階。
【0024】 本発明はさらに、本発明の変異型ヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分
子またはベクターのいずれかによって形質転換がなされた細胞を含む、S.アベル
ミティリスの新規株を提供する。1つの好ましい態様において、本発明は、野生
型aveC対立遺伝子のみを発現する同じ菌株の細胞と比べて新規株の細胞が産生す
るアベルメクチンのクラス2:クラス1比が変化している、野生型aveC対立遺伝子
に対して代替的または追加的に変異型aveC対立遺伝子を発現する細胞を含むS.ア
ベルミティリスの新規株を提供する。1つのさらに好ましい態様において、新規
株の細胞が産生するアベルメクチンのクラス2:クラス1比は、野生型aveC対立遺
伝子のみを発現する同じ菌株の細胞と比べて低い。このような新規株は、ドラメ
クチン(doramectin)などの商業的に望ましいアベルメクチンの大規模産生に有
用である。
【0025】 1つのさらに好ましい態様において、本発明は、野生型aveC対立遺伝子のみを
発現する同じ菌株の細胞によって産生されるアベルメクチンの量と比べて細胞に
よって産生されるアベルメクチンの量の変化を引き起こす変異型aveC対立遺伝子
またはaveC対立遺伝子を含む遺伝子構築物を本来のaveC対立遺伝子に対して代替
的または追加的に発現する、S.アベルミティリスの新規株を提供する。1つの好
ましい態様において、新規細胞が産生するアベルメクチンの量は増加する。
【0026】 1つのさらに好ましい態様において、本発明は、aveC遺伝子が不活性化された
細胞を含む、S.アベルミティリスの新規株を提供する。このような菌株は、これ
らが産生する、野性株と比べて異なる範囲のアベルメクチンに関して、及びaveC
遺伝子の標的突然変異誘発またはランダム突然変異誘発がアベルメクチン産生に
影響を及ぼすか否かを判定するための、本明細書に記載された相補性スクリーニ
ングアッセイ法の両方において有用である。
【0027】 本発明はさらに、以下の段階を含む、アベルメクチンを産生するための方法を
提供する:細胞が、変異型aveC対立遺伝子を発現せずに野生型aveC対立遺伝子の
みを発現する同じ菌株の細胞と比べて、変異型aveC対立遺伝子を発現するS.アベ
ルミティリスの菌株の細胞によって産生されるアベルメクチンのクラス2:クラ
ス1比を変化させる遺伝子産物をコードする変異型aveC対立遺伝子を発現する、S
.アベルミティリスの菌株の細胞を、アベルメクチンの産生が可能となるまたは
誘導される条件下で培地中で培養する段階;および、該アベルメクチンを培養物
から回収する段階。1つの好ましい態様において、変異を発現する細胞によって
産生されるアベルメクチンのクラス2:クラス1比は低くなる。本方法は、ドラメ
クチンなどの商業的価値のあるアベルメクチンの産生効率を高める。
【0028】 本発明はさらに、以下の段階を含む、アベルメクチンを産生するための方法を
提供する:細胞が、変異型aveC対立遺伝子または遺伝子構築物を発現せずに野生
型aveC対立遺伝子のみを発現する同じ菌株の細胞と比べて、変異型aveC対立遺伝
子または遺伝子構築物を発現するS.アベルミティリスの菌株の細胞によって産生
されるアベルメクチンの量の変化を引き起こす変異型aveC対立遺伝子またはaveC
対立遺伝子を含む遺伝子構築物を発現する、S.アベルミティリスの菌株の細胞を
、アベルメクチンの産生が可能となるまたは誘導される条件下で培地中で培養す
る段階;および該アベルメクチンを培養物から回収する段階。1つの好ましい態
様において、変異または遺伝子構築物を発現する細胞によって産生されるアベル
メクチンの量は増加する。
【0029】 本発明はさらに、変異型aveC対立遺伝子を発現せずに野生型aveC対立遺伝子の
みを発現するS.アベルミティリスの同じ菌株の細胞によって産生されるアベルメ
クチンのクラス2:クラス1比と比べて低いクラス2:クラス1比でアベルメクチン
が産生される、本発明の変異型aveC対立遺伝子を発現するS.アベルミティリスの
菌株によって産生されるアベルメクチンの新規組成物を提供する。新規アベルメ
クチン組成物は、発酵培養液中に産生された状態で存在することもでき、または
そこから回収されることができ、かつそこから部分的もしくは実質的に精製され
ることもできる。
【0030】5. 発明の詳細な説明 本発明は、ストレプトミセス・アベルミティリス由来のAveC遺伝子産物をコー
ドするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド分子の同定および特徴決定、
アベルメクチン産生に対する影響に関する変異型aveC遺伝子産物のスクリーニン
グのために用いうるS.アベルミティリスの新規株の作製、ならびにS.アベルミテ
ィリスによって産生されるアベルメクチンB2:アベルメクチンB1の比を低下させ
うる特定の変異型aveC遺伝子産物の発見に関する。例証のために、プラスミドpS
E186(ATCC 209604)のS.アベルミティリスAveC遺伝子産物をコードする配列と
同じヌクレオチド配列または図1のORFのヌクレオチド配列(配列番号:1)を有
するポリヌクレオチド分子、ならびにそれに由来する変異型ヌクレオチド配列を
有するポリヌクレオチド分子およびそれらの縮重変異体に関して、以下の項にお
いて本発明を説明する。しかし、本発明に記載された原理は、特にS.ハイグロス
コピカスおよびS.グリセオクロモゲネス(griseochromogenes)などを含む他の
ストレプトミセス属に由来するaveC相同体遺伝子を含む、他のポリヌクレオチド
分子にも同様に適用可能である。
【0031】5.1. S.アベルミティリスAveC遺伝子産物をコードするポリヌクレオチド分子 本発明は、S.アベルミティリスの完全なaveC ORFまたはその実質的な部分を含
む単離されたポリヌクレオチド分子であって、S.アベルミティリス染色体におい
てインサイチューのaveC ORFの下流に位置する次の完全なORFを欠く単離された
ポリヌクレオチド分子を提供する。
【0032】 本発明の単離されたポリヌクレオチド分子は、好ましくは、プラスミドpSE186
(ATCC 209604)のS.アベルミティリスAveC遺伝子産物をコードする配列と同じ
、または図1のaveC ORFのヌクレオチド配列(配列番号:1)もしくはその実質的
な部分と同じであるヌクレオチド配列を含む。本明細書で用いる、S.アベルミテ
ィリスAveC遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌク
レオチド分子の「実質的な部分」とは、図1に示された完全なaveC ORF配列(配
列番号:1)の少なくとも約70%を含み、機能的に等価なAveC遺伝子産物をコー
ドする、単離されたポリヌクレオチド分子を意味する。この点に関して「機能的
に等価な」AveC遺伝子産物は、本来のaveC対立遺伝子が不活性化されたS.アベル
ミティリスATCC 53692株で発現された場合に、S.アベルミティリスATCC 53692株
にとって本来の野生型の機能的なaveC対立遺伝子のみを発現するS.アベルミティ
リスATCC 53692株によって産生されるものと実質的に同じ比および量のアベルメ
クチンの産生をもたらす遺伝子産物と定義される。
【0033】 aveC ORFのヌクレオチド配列に加えて、本発明の単離されたポリヌクレオチド
分子は、S.アベルミティリスにおいてインサイチューのaveC遺伝子に天然に隣接
するヌクレオチド配列、例えば図1に示されたヌクレオチド配列(配列番号:1)
に隣接するヌクレオチド配列などをさらに含みうる。
【0034】 本発明はさらに、配列番号:1のヌクレオチド配列またはその縮重変異体を含
む、単離されたポリヌクレオチド分子を提供する。
【0035】 本明細書で用いる「ポリヌクレオチド分子」「ポリヌクレオチド配列」「コー
ド配列」「オープンリーディングフレーム」および「ORF」という用語は、適切
な調節因子の制御下に置かれた場合に適切な宿主細胞発現系において、AveC遺伝
子産物、または、以下に述べるように、AveC相同体遺伝子産物もしくは、AveC遺
伝子産物もしくはAveC相同体遺伝子産物と相同なポリペプチドへと、転写および
翻訳されうる(DNA)または翻訳されうる(RNA)、一本鎖または二本鎖のいずれ
でもありうる、DNA分子およびRNA分子の両方を指すことが意図されている。コー
ド配列には、原核生物配列、cDNA配列、ゲノムDNA配列ならびに化学合成されたD
NA配列およびRNA配列が非制限的に含まれうる。
【0036】 図1に示されたヌクレオチド配列(配列番号:1)は、42位、174位、177位およ
び180位の塩基にある4つの異なるGTGコドンを含む。以下の第9項に述べる通り、
これらのコドンのうちどれがaveC ORFにおけるタンパク質発現のための開始部位
であるかを定義する一助として、aveC ORF(図1;配列番号:1)の5'領域に多数
の欠失を作製した。42位の塩基にある第1のGTG部位が欠失してもAveC活性は消失
しなかった。これに加えて174位、177位および180位の塩基にあるすべてのGTGコ
ドンが欠失するとAveC活性が消失したことから、この領域がタンパク質発現に必
要であることが示された。したがって、本発明にはさまざまな長さのaveC ORFが
含まれる。
【0037】 本発明はさらに、プラスミドpSE186(ATCC 209604)のS.アベルミティリスAve
C遺伝子産物をコードする配列と相同な、または図1に示されたaveC ORFのヌクレ
オチド配列(配列番号:1)もしくはその実質的な部分と相同なヌクレオチド配
列を有するポリヌクレオチド分子を提供する。S.アベルミティリスAveC遺伝子産
物をコードする配列と相同なポリヌクレオチド分子について言及するために用い
る場合、「相同な」という用語は、以下のヌクレオチド配列を有するポリヌクレ
オチド分子を意味する:(a)遺伝暗号の縮重性に従ってヌクレオチド配列に1つ
もしくは複数のサイレントな(silent)変化を含む点を除き、プラスミドpSE186
(ATCC 209604)のS.アベルミティリスAveC遺伝子産物をコードする配列と同じA
veC遺伝子産物をコードする、もしくは図1に示されたaveC ORFのヌクレオチド配
列(配列番号:1)と同じAveC遺伝子産物をコードする(すなわち縮重変異体)
;または(b)中程度のストリンジェントな条件下、すなわちフィルターに結合
したDNAとの0.5M NaHPO4、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mM EDTA中、65
℃でのハイブリダイゼーションおよび0.2×SSC/0.1%SDS中、42℃での洗浄によ
り(Ausubelら(編)、1989、「分子生物学における最新プロトコール(Current
Protocols in Molecular Biology)」、第I巻、Green Publishing Associates,
Inc.およびJohn Wiley & Sons, Inc.、New York、p.2.10.3を参照されたい)、
プラスミドpSE186(ATCC 209604)のAveC遺伝子産物をコードする配列によって
コードされるアミノ酸配列をコードする、または図1に示されたアミノ酸配列(
配列番号:2)をコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド分子の
相補物とハイブリダイズし、さらに上記で定義された機能的に等価なAveC遺伝子
産物をコードする。1つの好ましい態様において、相同なポリヌクレオチド分子
は、高度にストリンジェントな条件下、すなわちフィルターに結合したDNAとの0
.5M NaHPO4、7%SDS、1mM EDTA中、65℃でのハイブリダイゼーション、および0.
1×SSC/0.1%SDS中、68℃での洗浄(Ausubelら、1989、上記)により、プラスミ
ドpSE186(ATCC 209604)のAveC遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列の相
補物、または図1に示されたaveC ORFのヌクレオチド配列(配列番号:1)もしく
はその実質的な部分の相補物とハイブリダイズし、さらに上記で定義された機能
的に等価なAveC遺伝子産物をコードする。
【0038】 AveC遺伝子産物およびその潜在的な機能的等価物の活性は、以下の実施例で説
明する通り、発酵産物のHPLC分析によって決定されうる。S.アベルミティリスAv
eC遺伝子産物の機能的等価物をコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレ
オチド分子には、S.アベルミティリスの他の菌株に存在する天然のaveC遺伝子、
ストレプトミセス属の他の種に存在するaveC相同体遺伝子、および天然でも操作
されていてもよい変異型aveC対立遺伝子が含まれる。
【0039】 本発明はさらに、プラスミドpSE186(ATCC 209604)のAveC遺伝子産物をコー
ドする配列によってコードされるアミノ酸配列、または図1のアミノ酸配列(配
列番号:2)もしくはその実質的な部分と相同なアミノ酸配列を有するポリペプ
チドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を提供する。本
明細書で用いる、図1のアミノ酸配列(配列番号:2)の「実質的な部分」とは、
図1に示されたアミノ酸配列(配列番号:2)の少なくとも約70%を含み、上記で
定義された機能的に等価なAveC遺伝子産物であるポリペプチドを意味する。
【0040】 S.アベルミティリス由来のAveC遺伝子産物のアミノ酸配列と相同なアミノ酸配
列に言及するために本明細書で用いる「相同な」という用語は、BLASTPアルゴリ
ズム(GENBANK、NCBI)などの任意の標準的なアミノ酸配列同一性アルゴリズム
により決定された、前記アミノ酸配列のプラスミドpSE186(ATCC 209604)のAve
C遺伝子産物をコードする配列によってコードされるポリペプチドまたは図1のア
ミノ酸配列(配列番号:2)とのアミノ酸配列の同一性が少なくとも約70%、よ
り好ましくは少なくとも約80%、最も好ましくは少なくとも約90%であり、この
ような保存的置換によって上記で定義された機能的に等価な遺伝子産物が生じる
ような、1つまたは複数のアミノ酸残基が異なるアミノ酸残基によって保存的に
置換されている点を除いて図1のアミノ酸配列(配列番号:2)を有するポリペプ
チドを指す。保存的アミノ酸置換は当技術分野で周知である。このような置換を
作製するための規則には、例えばデイホフ(Dayhof, M.D.)、1978、Nat. Biome
d. Res. Found.、Washington、D.C.、Vol. 5、Sup. 3によって記載されたものが
含まれる。より詳細には、保存的アミノ酸置換は、酸性度または極性について関
連するアミノ酸のファミリー内部で一般に起こるものである。遺伝子にコードさ
れたアミノ酸は一般に以下の4つの群に分けられる:(1)酸性=アスパラギン酸
、グルタミン酸;(2)塩基性=リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性
=アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、
メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性=グリシン、アスパラギ
ン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシン。フェニルアラニ
ン、トリプトファンおよびチロシンはまとめて芳香族アミノ酸としても分類され
る。任意の特定の群の内部での1つまたは複数の置換、例えばイソロイシンもし
くはバリンによるロイシンの置換、またはグルタミン酸によるアスパラギン酸の
置換、またはセリンによるトレオニンの置換、または構造的に関連したアミノ酸
残基、例えば酸性度もしくは極性が類似したもしくはそれらの何らかの組み合わ
せに類似性のあるアミノ酸残基による任意の他のアミノ酸残基の置換は、一般に
、ポリペプチドの機能に有意な影響を及ぼさないと考えられる。
【0041】 本発明はさらに、AveC相同体遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む
、単離されたポリヌクレオチド分子を提供する。本明細書で用いる「AveC相同体
遺伝子産物」は、BLASTPアルゴリズム(GENBANK、NCBI)などの任意の標準的な
アミノ酸配列同一性アルゴリズムにより決定された、プラスミドpSE186(ATCC 2
09604)のAveC遺伝子産物をコードする配列によってコードされるアミノ酸配列
または図1に示されたアミノ酸配列(配列番号:2)を含むS.アベルミティリスの
AveC遺伝子産物とのアミノ酸配列の同一性が少なくとも約50%である遺伝子産物
として定義される。1つの非制限的な態様において、AveC相同体遺伝子産物はS.
ハイグロスコピカス(欧州特許出願第0298423号に記載;寄託番号FERM BP-1901
)由来であり、配列番号:4のアミノ酸配列またはその実質的な部分を含む。配
列番号:4のアミノ酸配列の「実質的な部分」とは、配列番号:4のアミノ酸配列
の少なくとも約70%を含み、機能的に等価なAveC相同体遺伝子産物であるポリペ
プチドを意味する。「機能的に等価な」AveC相同体遺伝子産物とは、本来のaveC
相同体対立遺伝子が不活性化されたS.ハイグロスコピカスFERM BP-1901株で発現
された場合に、S.ハイグロスコピカスFERM BP-1901株にとって本来の野生型の機
能的なaveC相同体対立遺伝子のみを発現するS.ハイグロスコピカスFERM BP-1901
株によって産生されるものと実質的に同じ比および量のミルベマイシンの産生を
もたらす遺伝子産物と定義される。1つの非制限的な態様において、S.ハイグロ
スコピカスAveC相同体遺伝子産物をコードする本発明の単離されたポリヌクレオ
チド分子は、配列番号:3のヌクレオチド配列またはその実質的な部分を含む。
この点に関して、配列番号:3のヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレ
オチド分子の「実質的な部分」とは、配列番号:3のヌクレオチド配列の少なく
とも約70%を含み、すぐ前に定義した機能的に等価なAveC相同体遺伝子産物をコ
ードする、単離されたポリヌクレオチド分子を意味する。
【0042】 本発明はさらに、配列番号:3のS.ハイグロスコピカスヌクレオチド配列と相
同なヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を提供する。配列番号:3のS
.ハイグロスコピカスAveC相同体遺伝子産物をコードする配列と相同なヌクレオ
チド配列を含むポリヌクレオチド分子に言及するために用いる場合、「相同な」
という用語は、以下のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド分子を意味す
る:(a)遺伝暗号の縮重性に従ってヌクレオチド配列に1つまたは複数のサイレ
ントな変化を含む点を除き、配列番号:3のヌクレオチド配列と同じ遺伝子産物
をコードする(すなわち縮重変異体);または(b)中程度のストリンジェント
な条件下、すなわちフィルターに結合したDNAとの0.5M NaHPO4、7%SDS、1mM ED
TA中、65℃でのハイブリダイゼーション、および0.2×SSC/0.1%SDS中、42℃で
の洗浄により(Ausubelら、上記を参照されたい)、配列番号:4のアミノ酸配列
をコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド分子の相補物とハイブ
リダイズし、さらに上記で定義された機能的に等価なAveC相同体遺伝子産物をコ
ードする。1つの好ましい態様において、相同なポリヌクレオチド分子は、高度
にストリンジェントな条件下、すなわちフィルターに結合したDNAとの0.5M NaHP
O4、7%SDS、1mM EDTA中、65℃でのハイブリダイゼーション、および0.1×SSC/0
.1%SDS中、68℃での洗浄(Ausubelら、1989、上記)により、配列番号:3のAve
C相同体遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列の相補物とハイブリダイズし
、さらに上記で定義された機能的に等価なAveC相同体遺伝子産物をコードする。
【0043】 本発明はさらに、S.ハイグロスコピカスAveC相同体遺伝子産物と相同なポリペ
プチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を提供する。
S.ハイグロスコピカス由来の配列番号:4のAveC相同体遺伝子産物と相同なポリ
ペプチドに言及するために本明細書で用いる「相同な」という用語は、BLASTPア
ルゴリズム(GENBANK、NCBI)などの任意の標準的なアミノ酸配列同一性アルゴ
リズムにより決定された、前記アミノ酸配列の配列番号:4のポリペプチドとの
アミノ酸配列の同一性が少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、
最も好ましくは少なくとも約90%であり、このような保存的置換によって上記で
定義された機能的に等価なAveC相同体遺伝子産物が生じるような、1つまたは複
数のアミノ酸残基が異なるアミノ酸残基によって保存的に置換されている点を除
いて配列番号:4のアミノ酸配列を有するポリペプチドを指す。
【0044】 本発明はさらに、図1(配列番号:1)もしくは配列番号:3のヌクレオチド配
列を有するポリヌクレオチド分子、または図1(配列番号:1)もしくは配列番号
:3ののヌクレオチド配列の相補物であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレ
オチド分子とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを提供する。このようなオ
リゴヌクレオチドは、少なくとも約10ヌクレオチド長、好ましくは約15ヌクレオ
チド長〜約30ヌクレオチド長であり、高度にストリンジェントな条件下、すなわ
ち6×SSC/0.5%ピロリン酸ナトリウム中で、14塩基以下のオリゴに関しては37℃
前後、17塩基以下のオリゴに関しては48℃前後、20塩基以下のオリゴに関しては
55℃前後、及び23塩基以下のオリゴに関しては60℃前後での洗浄により、前記の
ポリヌクレオチド分子の1つとハイブリダイズする。1つの好ましい態様において
、本オリゴヌクレオチドは、前記のポリヌクレオチド分子の1つの一部に対して
相補的である。これらのオリゴヌクレオチドは、遺伝子調節において有用なアン
チセンス分子、またはaveCもしくはaveC相同体をコードするポリヌクレオチド分
子の増幅におけるプライマーをコードする目的、またはそれらとして作用する目
的を含む、さまざまな目的に有用である。
【0045】 本明細書に開示されたポリヌクレオチド分子またはオリゴヌクレオチドを既知
の技法とともに用いて、さらにほかのaveC相同体遺伝子を、ストレプトミセス属
の他の種または菌株において同定することができる。例えば、図1のS.アベルミ
ティリスのヌクレオチド配列(配列番号:1)の一部、または配列番号:3のS.ハ
イグロスコピカスのヌクレオチド配列の一部を含むオリゴヌクレオチド分子に検
出可能な標識を施して、関心対象の生物体に由来するDNAから作製したゲノムラ
イブラリーのスクリーニングに用いることができる。ハイブリダイゼーション条
件のストリンジェンシーは、基準生物(この例ではS.アベルミティリスまたはS.
ハイグロスコピカス)と関心対象の生物体との関係に基づいて選択される。さま
ざまなストリンジェンシー条件に関する必要条件は当業者に周知であり、このよ
うな条件はライブラリーおよび標識配列の由来である特定の生物体に応じて予測
可能な形で変化すると考えられる。このようなオリゴヌクレオチドは好ましくは
少なくとも約15ヌクレオチド長であり、例えば、以下の実施例で述べるものが含
まれる。相同体遺伝子の増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの標準的な
技法を適用することにより、上記およびその他のオリゴヌクレオチドを用いて行
うことができるが、リガーゼ連鎖反応などの当技術分野で知られたその他の増幅
法を用いることもできる。
【0046】 aveC相同体ヌクレオチド配列を含むものとして同定されたクローンは、機能的
なAveC相同体遺伝子産物をコードする能力に関して検査することができる。この
目的のためには、クローンを適切なリーディングフレームならびに開始および終
結シグナルを同定するための配列解析にかける。代替的または追加的に、クロー
ニングしたDNA配列を適切な発現ベクター、すなわち挿入されたタンパク質コー
ド配列の転写および翻訳のために必要な要素を含むベクターに挿入することがで
きる。以下に述べる通り、プラスミド発現ベクター、バクテリオファージ発現ベ
クターまたはコスミド発現ベクターなどの細菌系を非制限的に含む種々の宿主/
ベクター系のうち任意のものを用いうる。潜在的なaveC相同体コード配列を含む
このようなベクターによって形質転換がなされた適切な宿主細胞を、例えば以下
の第7項に述べる通り、続いて発酵産物のHPLC分析などの方法を用いてAveC型活
性に関して分析することができる。
【0047】 本明細書に開示するポリヌクレオチド分子の作製および操作は当技術分野の範
囲に含まれ、例えば、マニアティス(Maniatis)ら、1989、「分子クローニング
、実験マニュアル(Molecular Cloning、Laboratory Manual)」、Cold Spring
Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY;アウスユーベル(Ausubel
)ら、1989、「分子生物学における最新プロトコール(Current Protocols In M
olecular Biology)」、Greene Publishing Associates & Wiley lnterscience
、NY;サムブルック(Sambrook)ら、1989、「分子クローニング:実験マニュア
ル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」、第2版、Cold Spring Harbo
r Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY;イニス(Innis)ら(編)、199
5、「PCRの戦略(PCR Strategies)」、Academic Press, Inc.、San Diego;お
よびエルリッヒ(Erlich)(編)、1992、「PCR技術(PCR Technology)」、Oxf
ord University Press、New Yorkに記載された組換え法に従って行うことができ
、これらはすべて参照として本明細書に組み入れられる。AveC遺伝子産物または
AveC相同体遺伝子産物をコードするポリヌクレオチドクローンは、以下の第7項
で述べる方法を非制限的に含む、当技術分野で知られた任意の方法を用いて同定
されうる。aveCおよびaveC相同体コード配列に関するゲノムDNAライブラリーの
スクリーニングは、バクテリオファージライブラリーに関してはベントン(Bent
on)およびデービス(Davis)、1977、Science 196:180に、プラスミドライブ
ラリーに関してはグルンスタイン(Grunstein)およびホグネス(Hogness)、19
75、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、72:3961〜3965に記載された方法などの技法
を用いて行うことができる。aveC ORFを含むことが現時点で知られているヌクレ
オチド配列を有するポリヌクレオチド分子、例えば、プラスミドpSE186(ATCC 2
09604)またはプラスミドpSE119(以下の第7項に記載)中のものを、これらのス
クリーニング実験におけるプローブとして用いることができる。または、精製さ
れたAveC相同体遺伝子産物の部分的または完全なアミノ酸配列から推定されるヌ
クレオチド配列に対応するオリゴヌクレオチドプローブを合成することもできる
【0048】5.2. 組換え系 5.2.1. クローニングベクターおよび発現ベクター 本発明はさらに、例えばS.アベルミティリスaveC ORFまたは任意のaveC相同体
ORFを含む本発明のポリヌクレオチド分子のクローニングまたは発現に有用な組
換えクローニングベクターおよび発現ベクターを提供する。1つの非制限的な態
様において、本発明は、S.アベルミティリスのaveC遺伝子の完全なORFを含むプ
ラスミドpSE186(ATCC 209604)を提供する。
【0049】 S.アベルミティリス由来のaveC ORF、またはS.アベルミティリス由来のaveC O
RFもしくはその一部を含むポリヌクレオチド分子、またはS.アベルミティリスAv
eC遺伝子産物に関する以下のすべての説明は、明確にまたは文脈によって示され
ない限り、aveC相同体およびAveC相同体遺伝子産物に関する言及でもある。
【0050】 ストレプトミセスにおける特定的用途のために、例えばファージ、高コピー数
プラスミド、低コピー数プラスミドおよび大腸菌-ストレプトミセスシャトルベ
クターを含む多種多様なベクターが開発されており、これらの任意のものを本発
明の実践に用いることができる。薬剤耐性遺伝子もストレプトミセスから数多く
クローニングされており、これらの遺伝子のいくつかは選択マーカーとしてベク
ターに組み込まれている。ストレプトミセスに用いるための現在のベクターの例
は、例えばハッチンソン(Hutchinson)、1980、Applied Biochem. Biotech. 16
:169〜190に示されている。
【0051】 本発明の組換えベクター、特に発現ベクターは、好ましくは、ポリペプチドの
産生のため、本発明のポリヌクレオチド分子に関するコード配列が、コード配列
の転写および翻訳のために必要な1つまたは複数の調節因子と機能的に関連して
いるように構築される。本明細書で用いる「調節因子」という用語には、誘導性
および非誘導性プロモーター、エンハンサー、オペレーター、ならびにポリヌク
レオチドコード配列の発現の発動または調節に役立つ当技術分野で知られた他の
要素をコードするヌクレオチド配列が非制限的に含まれる。また、本明細書で用
いられるように、調節因子がコード配列の転写もしくはそのmRNAの翻訳またはそ
の両方を効果的に調節する、または可能にする場合、コード配列は、1つまたは
複数の調節因子と「機能的に関連している」。
【0052】 本発明のポリヌクレオチド分子を含むように操作しうる典型的なプラスミドベ
クターには、例えば、pCR-Blunt、pCR2.1(Invitrogen)、pGEM3Zf(Promega)
およびシャトルベクターpWHM3(Varaら、1989、J. Bact. 171:5872〜5881)が
含まれる。
【0053】 適切な調節因子と機能的に関連した特定のコード配列を含む組換えベクターを
構築するための方法は当技術分野で周知であり、これらは本発明を実践するため
用いられうる。これらの方法には、インビトロ組換え法、合成法およびインビボ
遺伝子組換えが含まれる。例えば、マニアティス(Maniatis)ら、1989、上記;
アウスユーベル(Ausubel)ら、1989、上記;サムブルック(Sambrook)ら、198
9、上記;イニス(Innis)ら、1995、上記;およびエルリッヒ(Erlich)、1992
、上記を参照されたい。
【0054】 これらのベクターの調節因子の強度および特異性はさまざまである。用いる宿
主/ベクター系に応じて、任意の数多くの適切な転写および翻訳要素を用いるこ
とができる。細菌用の転写調節領域またはプロモーターの非制限的な例には、β
-galプロモーター、T7プロモーター、TACプロモーター、λ左方向プロモーター
および右方向プロモーター、trpプロモーターおよびlacプロモーター、trp-lac
融合プロモーターが含まれ、特にストレプトミセス用としてはプロモーターermE
、melCおよびtipAなどが含まれる。以下の第11項で述べる1つの特定の態様では
、サッカロポリスポラ・エリスリア(Saccharopolyspora erythraea)由来の強
力な構成性ermEプロモーターに隣接してクローニングされたaveC ORFを含む発現
ベクターを作製した。このベクターをS.アベルミティリスの形質転換に用いたと
ころ、その後の発酵産物のHPLC分析により、野生型aveC対立遺伝子のみを発現す
る同じ菌株による産生と比べて、産生されるアベルメクチンの力価が上昇してい
ることが示された。
【0055】 融合タンパク質発現ベクターを、AveC遺伝子産物-融合タンパク質を発現させ
るために用いることができる。精製された融合タンパク質は、AveC遺伝子産物に
対する抗血清を産生させるため、AveC遺伝子産物の生化学的特性を試験するため
、異なる生化学活性を有するAveC融合タンパク質を組換え作製するため、または
発現されたAveC遺伝子産物の同定もしくは精製に役立てるために用いられうる。
考えられる融合タンパク質発現ベクターには、β-ガラクトシダーゼおよびtrpE
融合物、マルトース結合タンパク質融合物、グルタチオン-S-トランスフェラー
ゼ融合物およびポリヒスチジン融合物(担体領域)をコードする配列が組み入れ
られたベクターが非制限的に含まれる。1つの代替的な態様では、AveC遺伝子産
物またはその一部を、ストレプトミセス属の別の種または菌株、例えばS.ハイグ
ロスコピカスまたはS.グリセオクロモゲネスに由来するAveC相同体遺伝子産物ま
たはその一部と融合させることができる。以下の第12項で述べ、図7に示した1つ
の特定の態様では、S.アベルミティリスaveC ORFの相同な564bp領域がS.ハイグ
ロスコピカスaveC相同体ORFの564bp領域によって置換されたものを含むキメラ型
プラスミドを構築した。このようなハイブリッドベクターをS.アベルミティリス
細胞の形質転換に用い、例えば、産生されるアベルメクチンのクラス2:クラス1
比に対するその影響を評価するために用いることができる。
【0056】 精製のために有用な領域を含むようにAveC融合タンパク質を操作することがで
きる。例えば、AveC-マルトース結合タンパク質融合物はアミロース樹脂を用い
て精製されうり、AveC-グルタチオン-S-トランスフェラーゼ融合タンパク質はグ
ルタチオン-アガロースビーズを用いて精製されうり、AveC-ポリヒスチジン融合
物は二価ニッケル樹脂を用いて精製されうる。または、担体タンパク質またはペ
プチドに対する抗体を融合タンパク質のアフィニティークロマトグラフィー精製
のために用いることもできる。例えば、モノクローナル抗体の標的エピトープを
コードするヌクレオチド配列を調節因子と機能的に関連するように発現ベクター
中に導入し、発現されるエピトープがAveCポリペプチドと融合するように配置す
ることができる。例えば、親水性マーカーペプチドであるFLAG(登録商標)エピ
トープタグ(International Biotechnologies Inc.)をコードするヌクレオチド
配列を、標準的な技法により、例えばAveCポリペプチドのカルボキシ末端に対応
する発現ベクター中の箇所に挿入しうる。続いて、市販の抗FLAG(登録商標)抗
体を用いて、発現されるAveCポリペプチド-FLAG(登録商標)エピトープ融合産
物の検出およびアフィニティー精製を行うことができる。
【0057】 AveC融合タンパク質をコードする発現ベクターを、発現されたAveCポリペプチ
ドが特異的プロテアーゼを用いた処理によって担体領域または融合パートナーか
ら放出されるように、特異的なプロテアーゼ切断部位をコードするポリリンカー
配列を含むように操作することも可能である。例えば、融合タンパク質ベクター
に、トロンビンまたは第Xa因子切断部位などをコードするDNA配列を含めること
ができる。
【0058】 発現された遺伝子産物の輸送および分泌を促すために、既知の方法により、発
現ベクター中のaveC ORFの上流かつリーディングフレームの内部にシグナル配列
を導入することもできる。シグナル配列の非制限的な例には、例えばα因子、免
疫グロブリン、外膜タンパク質、ペニシリナーゼ、およびT細胞受容体などが含
まれる。
【0059】 本発明のクローニングベクターまたは発現ベクターによる形質転換またはトラ
ンスフェクションがなされた宿主細胞の選択に役立つように、レポーター遺伝子
産物または他の選択マーカーに関するコード配列をさらに含むようにベクターを
操作することもできる。このようなコード配列は、上記の調節因子コード配列と
機能的に関連していることが好ましい。本発明において有用なレポーター遺伝子
は当技術分野で周知であり、これには例えば、緑色蛍光タンパク質、ルシフェラ
ーゼ、xylEおよびチロシナーゼをコードするものなどが含まれる。選択マーカー
をコードするヌクレオチド配列は当技術分野で周知であり、これには抗生物質も
しくは代謝拮抗物質に対する耐性を付与する遺伝子産物をコードするもの、また
は栄養要求性をもたらすものが含まれる。このような配列の例には、例えば、エ
リスロマイシン、チオストレプトンまたはカナマイシンに対する耐性をコードす
るものなどが含まれる。
【0060】5.2.2. 宿主細胞の形質転換 本発明はさらに、本発明のポリヌクレオチド分子または組換えベクターを含む
形質転換宿主細胞、およびそれに由来する新規株または細胞系を提供する。本発
明の実践において有用な宿主細胞は、好ましくはストレプトミセス細胞であるが
、他の原核細胞または真核細胞を用いることもできる。このような形質転換宿主
細胞には一般に、例えば、組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAもしく
はコスミドDNAベクターにより形質転換された細菌、または組換えベクターによ
り形質転換された酵母などの微生物が非制限的に含まれる。
【0061】 本発明のポリヌクレオチド分子はストレプトミセス細胞で機能することを意図
しているが、例えば、クローニングまたは発現の目的のために、他の細菌細胞ま
たは真核細胞の形質転換に用いることもできる。典型的には、例えば、アメリカ
ンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)(ATCC
)、Rockville、MD、USA(アクセッション番号31343)および販売元(Stratagen
e)から入手しうるDH5α株などの大腸菌の菌株を用いることができる。好ましい
真核生物宿主細胞には酵母細胞が含まれるが、哺乳動物細胞または昆虫細胞も有
効に用いうる。
【0062】 本発明の組換え発現ベクターは、好ましくは、実質的に均一な細胞培養物であ
る1つまたは複数の宿主細胞への形質転換またはトランスフェクションに用いら
れる。発現ベクターは一般に、プロトプラスト形質転換、リン酸カルシウム沈降
法、塩化カルシウム処理、微量注入法、電気穿孔法、組換えウイルスとの接触に
よるトランスフェクション、リポソームを介したトランスフェクション、DEAE-
デキストラントランスフェクション、形質導入、接合または微粒子銃法などの既
知の技法に従って宿主細胞に導入される。形質転換体の選択は、上記の通り、組
換えベクターに付随する抗生物質耐性などの選択マーカーを発現する細胞を選択
することなどによる、標準的な手順によって行うことができる。
【0063】 ひとたび発現ベクターが宿主細胞に導入されれば、宿主細胞の染色体またはエ
ピソームにおけるaveCコード配列の組み込みまたは維持を、例えばサザンハイブ
リダイゼーション分析、制限酵素分析、逆転写酵素PCR(rt-PCR)を含むPCR分析
によって、または発現された遺伝子産物を検出するための免疫学的アッセイによ
って確認することができる。組換えaveCコード配列を含有および/または発現す
る宿主細胞は、当技術分野で周知の以下の少なくとも4種類の一般的アプローチ
のいずれかによって同定可能である:(i)DNA-DNA、DNA-RNAまたはRNA-アンチ
センスRNAハイブリダイゼーション;(ii)「マーカー」遺伝子機能の存在の検
出;(iii)宿主細胞におけるaveC特異的mRNA転写物の発現によって計測される
転写レベルの評価;および(iv)例えばイムノアッセイまたはAveC生物活性(例
えば、S.アベルミティリス宿主細胞などにおけるAveC活性の指標となる特定の比
および量のアベルメクチンの産生)の存在によって計測される、成熟ポリペプチ
ド産物の存在の検出。
【0064】5.2.3. 組換えAveC遺伝子産物の発現および特徴決定 ひとたびaveCコード配列が適切な宿主細胞に安定的に導入されれば、形質転換
宿主細胞をクローン増殖させ、その結果得られた細胞をAveC遺伝子産物の最大の
産生が誘導される条件下で増殖させることができる。このような条件には一般に
、細胞を高密度で増殖させることが含まれる。発現ベクターが誘導性プロモータ
ーを含む場合には、例えば、温度変化、栄養分の除去、無償性誘導物質(例えば
、イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)などの炭水化物類似体)
の添加、余剰代謝副産物の蓄積などの適切な誘導条件を、発現を誘導するために
必要に応じて用いる。
【0065】 発現されたAveC遺伝子産物が宿主細胞内に保持される場合には、細胞の回収お
よび溶解を行い、例えば4℃などのタンパク質分解が最小化される当技術分野で
知られた抽出条件下もしくはプロテアーゼ阻害剤の存在下またはその両方の下で
、溶解液由来の産物の単離および精製を行う。発現されたAveC遺伝子産物が宿主
細胞から分泌される場合には、栄養分が消費された培養液を単に回収し、それか
ら産物を単離することができる。
【0066】 発現されたAveC遺伝子産物は、以下の方法を非制限的に含む標準的な方法を適
宜用いて、細胞溶解液または培地から単離または実質的に精製することができる
:硫酸アンモニウム沈殿法、サイズ分画、イオン交換クロマトグラフィー、HPLC
、密度勾配遠心およびアフィニティークロマトグラフィー。発現されたAveC遺伝
子産物が生物活性を示す場合には、適切なアッセイを用いることにより、精製手
順の各段階で調製物の純度の上昇をモニターすることができる。発現されたAveC
遺伝子産物が生物活性を示すか否かにかかわらず、サイズ、またはAveCに対して
特異的な抗体との反応性、または融合タグの存在に基づいてそれを検出すること
ができる。本明細書で用いる場合、AveC遺伝子産物が「実質的に精製された」と
は、産物が特定の調製物におけるタンパク質の約20wt%を上回る割合を占めるこ
とをいう。また、本明細書で用いる場合、AveC遺伝子産物が「単離された」とは
、産物が特定の調製物におけるタンパク質の少なくとも約80wt%を占めることを
いう。
【0067】 したがって、本発明は、プラスミドpSE186(ATCC 209604)AveC遺伝子産物を
コードする配列によってコードされるアミノ酸配列、または図1のアミノ酸配列
(配列番号:2)もしくはその実質的な部分およびそれらの相同体を含む、組換
え発現されて単離または実質的に精製されたS.アベルミティリスAveC遺伝子産物
を提供する。
【0068】 本発明はさらに、配列番号:4のアミノ酸配列またはその実質的な部分および
それらの相同体を含む、組換え発現されて単離または実質的に精製されたS.ハイ
グロスコピカスAveC相同体遺伝子産物を提供する。
【0069】 本発明はさらに、AveC遺伝子産物を産生するための方法であって、ベクターが
AveC遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド分子を
含み、そのポリヌクレオチド分子が宿主細胞におけるポリヌクレオチド分子の発
現を制御する1つまたは複数の調節因子と機能的に関連している、前記組換え発
現ベクターにより形質転換された宿主細胞を、組換えAveC遺伝子産物の産生が誘
導される条件下で培養すること、および細胞培養物からAveC遺伝子産物を回収す
ることを含む方法を提供する。
【0070】 組換え発現されたS.アベルミティリスAveC遺伝子産物は、AveC遺伝子産物の機
能を変化させ、それによってアベルメクチン生合成を調節する化合物をスクリー
ニングする目的、およびAveC遺伝子産物に対する抗体を作製する目的を含む、さ
まざまな目的に有用である。
【0071】 ひとたび十分な純度のAveC遺伝子産物が得られれば、SDS-PAGE、サイズ排除ク
ロマトグラフィー、アミノ酸配列分析、アベルメクチン生合成経路において適切
な産物を産生する生物活性を含む標準的な方法によってその特徴を決定すること
ができる。例えば、AveC遺伝子産物のアミノ酸配列は、標準的なペプチド配列決
定法を用いて決定しうる。AveC遺伝子産物の疎水性および親水性領域を同定する
ために、親水性分析(例えば、HoppおよびWoods、1981、Proc. Natl. Acad. Sci
. USA 78:3824を参照されたい)または類似のソフトウエアアルゴリズムを用い
てAveC遺伝子産物の特徴決定をさらに行うことができる。特定の二次構造が推定
されるAveC遺伝子産物の領域を同定するために構造分析を行うこともできる。Av
eC遺伝子産物とその基質との間の相互作用部位のマッピングおよび試験のために
は、X線結晶学(Engstrom、1974、Biochem. Exp. Biol. 11:7〜13)、コンピュ
ータモデル化(FletterickおよびZoller(編)、1986、分子生物学における最近
の情報交流(Current Communications in Molecular Biology)、Cold Spring H
arbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY)および核磁気共鳴(NMR)などの
生物物理学的方法を用いることができる。これらの試験によって得られた情報は
、より望ましいアベルメクチン産生特性を有するS.アベルミティリスの新規株を
開発する一助として、aveC ORFにおける変異に関して新たな部位を選択するため
に用いることができる。
【0072】5.3. AveC変異株の作製および使用 本発明は、野生型aveC対立遺伝子が不活性化されておりかつ変異型ヌクレオチ
ド配列またはその縮重変異体を含むポリヌクレオチド分子を発現するS.アベルミ
ティリスATCC 53692株の細胞が、野生型aveC対立遺伝子のみを発現するS.アベル
ミティリスATCC 53692株の細胞によって産生されるものとは異なる比または量の
アベルメクチンを産生するような、1つまたは複数の変異をさらに含む点を除き
、S.アベルミティリスAveC対立遺伝子もしくはその縮重変異体、またはプラスミ
ドpSE186(ATCC 209604)のAveC遺伝子産物をコードする配列もしくはその縮重
変異体、または図1に示されたS.アベルミティリスのaveC ORFのヌクレオチド配
列(配列番号:1)もしくはその縮重変異体と同じであるヌクレオチド配列を含
むポリヌクレオチド分子を提供する。
【0073】 本発明によれば、このようなポリヌクレオチド分子を用いて、野生型aveC対立
遺伝子のみを発現する同じ菌株と比べてアベルメクチン産生において検出可能な
変化を呈するS.アベルミティリスの新規株を作製することができる。1つの好ま
しい態様において、このようなポリヌクレオチド分子は、野生型aveC対立遺伝子
のみを発現する菌株によるものと比べて低いクラス2:クラス1比でアベルメクチ
ンを産生するS.アベルミティリスの新規株を作製するために有用である。1つの
さらに好ましい態様において、このようなポリヌクレオチド分子は、単一の野生
型aveC対立遺伝子のみを発現する同じ菌株と比べてアベルメクチンの産生レベル
が高いS.アベルミティリスの新規株を作製するために有用である。1つのさらに
好ましい態様において、このようなポリヌクレオチド分子は、aveC遺伝子が不活
性化されたS.アベルミティリスの新規株を作製するために有用である。
【0074】 aveC対立遺伝子またはコード配列に対する変異には、AveC遺伝子産物に1つも
しくは複数のアミノ酸欠失、付加もしくは置換を導入する、またはAveC遺伝子産
物の切断を引き起こす、またはそれらの任意の組み合わせ、および望ましい結果
を生じる、任意の変異が含まれる。このような変異型aveC対立遺伝子配列には、
その任意の縮重変異体も含まれるものとする。例えば、本発明は、AveC遺伝子産
物における選択された位置で1つのアミノ酸残基が1つの異なるアミノ酸残基によ
って置換されたものをコードする1つまたは複数の変異をさらに含む、aveC対立
遺伝子のヌクレオチド配列もしくはその縮重変異体、またはプラスミドpSE186(
ATCC 209604)のAveC遺伝子産物をコードする配列もしくはその縮重変異体、ま
たは図1に示されたS.アベルミティリスのヌクレオチド配列(配列番号:1)もし
くはその縮重変異体を含むポリヌクレオチド分子を提供する。いくつかの非制限
的な態様において(そのいくつかを以下に例示する)、このような置換は、配列
番号:2のアミノ酸部位38、48、55、89、99、111、136、138、139、154、179、2
28、230、238、266、275、289もしくは298またはそれらのいくつかの組み合わせ
に対応するAveC遺伝子産物の任意のアミノ酸部位で行うことができる。
【0075】 aveCコード配列に対する変異は、誤りの多い(error-prone)PCRの使用、カセ
ット式変異誘発を含む、さまざまな既知の方法のうち任意のものによって加える
ことができる。例えば、1つまたは複数の制限部位または終止コドンがaveC対立
遺伝子またはORFの内部の特定の領域に導入されるような規定された形でaveC対
立遺伝子またはORFを改変するために、オリゴヌクレオチド定方向変異誘発を用
いることができる。aveC変異をコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレ
オチドの大規模ライブラリーを作製するために、ランダム断片化、反復的な変異
誘発サイクルおよびヌクレオチドシャフリングを用いる、米国特許第5,605,793
号、米国特許第5,830,721号および米国特許第5,837,458号に記載されたものなど
の方法を用いることもできる。
【0076】 標的変異(targeted mutation)は、特にAveC遺伝子産物における1つまたは複
数の保存アミノ酸残基を改変するために役立てる場合には有用なことがある。例
えば、図6に示したS.アベルミティリス(配列番号:2)、S.グリセオクロモゲネ
ス(配列番号:5)およびS.ハイグロスコピカス(配列番号:4)由来のAveC遺伝
子産物およびAveC相同体遺伝子産物の推定アミノ酸配列の比較により、これらの
種の間でアミノ酸残基が著しく保存されている部位が示される。これらの保存ア
ミノ酸残基の1つまたは複数に変化を引き起こす標的変異誘発は、アベルメクチ
ン産生に関して望ましい変化を示す新規変異株を作製する上で特に有効である。
【0077】 ランダム変異誘発も有用なことがあり、これはS.アベルミティリスの細胞に紫
外線もしくはX線を照射すること、またはN-メチル-N'-ニトロソグアニジン、エ
チルメタンスルホネート、亜硝酸もしくはナイトロジェンマスタードなどの化学
的変異原に曝露させることによって行うことができる。変異誘発法の概説につい
ては、例えば、アウスユーベル(Ausubel)、1989、上記を参照されたい。
【0078】 ひとたび変異型ポリヌクレオチド分子が作製されれば、それらがS.アベルミテ
ィリスにおけるアベルメクチン生合成を調節しうるか否かを明らかにするために
そのスクリーニングを行う。1つの好ましい態様では、変異型ヌクレオチド配列
を有するポリヌクレオチド分子の検査を、aveC遺伝子が不活性化されてaveC陰性
(aveC)バックグラウンドを獲得したS.アベルミティリスの菌株を補完させる
ことによって行う。1つの非制限的な方法では、変異型ポリヌクレオチド分子を
、形質転換細胞の選択を可能とする1つまたは複数の薬剤耐性遺伝子を好ましく
はさらに含むプラスミドである発現プラスミド中に、 1つまたは複数の調節因子
と機能的に関連するようにスプライス導入する。続いて、既知の方法を用いてこ
のベクターをaveC-宿主細胞に形質転換し、形質転換細胞を選択して、アベルメ
クチン産生が可能となるまたは誘導される条件下で適切な発酵培地中で培養する
。続いて、変異型ポリヌクレオチド分子が宿主細胞を補完する能力を明らかにす
るために、発酵産物をHPLCによって分析する。pSE188、pSE199、pSE231、pSE239
およびpSE290〜pSE297を含む、アベルメクチンのB2:B1比を低下させうる変異型
ポリヌクレオチド分子を有するいくつかのベクターの例を、以下の第8.3項に示
している。
【0079】 本発明は、産生されるアベルメクチンの比および/または量を変化させうるS.
アベルミティリスaveC ORFの変異を同定するための方法を提供する。1つの好ま
しい態様において、本発明は、産生されるアベルメクチンのクラス2:クラス1比
を変化させうるaveC ORFの変異を同定するための方法であって、(a)本来のave
C対立遺伝子が不活性化され、変異型aveC遺伝子産物をコードするヌクレオチド
配列を含むポリヌクレオチド分子が導入され発現されているS.アベルミティリス
の菌株の細胞によって産生されるアベルメクチンのクラス2:クラス1比を決定す
ること、(b)野生型aveC対立遺伝子もしくは図1のORF(配列番号:1)またはそ
れらと相同なヌクレオチド配列のみを発現するS.アベルミティリスの同じ菌株の
細胞によって産生されるアベルメクチンクラス2:クラス1比を段階(a)と同じ
ように決定すること、および(c)段階(a)のS.アベルミティリス細胞によって
産生されるアベルメクチンのクラス2:クラス1比を段階(b)のS.アベルミティ
リス細胞によって産生されるアベルメクチンのクラス2:クラス1比と比較するこ
とであって、段階(a)のS.アベルミティリス細胞によって産生されるアベルメ
クチンのクラス2:クラス1比が段階(b)のS.アベルミティリス細胞によって産
生されるアベルメクチンのクラス2:クラス1比と異なる場合にアベルメクチンの
クラス2:クラス1比を変化させうるaveC ORFの変異が同定されたことになるよう
な比較、を含む方法を提供する。1つの好ましい態様において、アベルメクチン
のクラス2:クラス1比は変異によって減少する。
【0080】 1つのさらに好ましい態様において、本発明は、産生されるアベルメクチンの
量を変化させうるaveC ORFの変異またはaveC ORFを含む遺伝子構築物を同定する
ための方法であって、(a)本来のaveC対立遺伝子が不活性化され、変異型aveC
遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子、または
AveC遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物を含むポリヌ
クレオチド分子が導入され発現されているS.アベルミティリスの菌株の細胞によ
って産生されるアベルメクチンの量を決定すること、(b)野生型aveC対立遺伝
子またはそれと相同なヌクレオチド配列のみを発現するS.アベルミティリスの同
じ菌株の細胞によって産生されるアベルメクチンの量を段階(a)と同じように
決定すること、および(c)段階(a)のS.アベルミティリス細胞によって産生さ
れるアベルメクチンの量を段階(b)のS.アベルミティリス細胞によって産生さ
れるアベルメクチンの量を比較することであって、段階(a)のS.アベルミティ
リス細胞によって産生されるアベルメクチンの量が段階(b)のS.アベルミティ
リス細胞によって産生されるアベルメクチンの量とは異なる場合にアベルメクチ
ンの量を変化させうるaveC ORFの変異または遺伝子構築物が同定されたことにな
るような比較、を含む方法を提供する。1つの好ましい態様において、産生され
るアベルメクチンの量は変異によって増加する。
【0081】 変異を同定するための前記の方法はいずれも、好ましくはシクロヘキサンカル
ボン酸を補充した発酵培地を用いて行われるが、表1に挙げた脂肪酸前駆体のい
ずれか1つなどの、他の適切な脂肪酸前駆体を用いることもできる。
【0082】 アベルメクチン産生を望ましい方向に調節する変異型ポリヌクレオチド分子が
ひとたび同定されれば、ヌクレオチド配列における変異の位置を決定することが
できる。例えば、変異型aveC遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を有する
ポリヌクレオチド分子をPCRによって単離し、既知の方法を用いてDNA配列解析に
かけることができる。変異型aveC対立遺伝子のDNA配列を野生型aveC対立遺伝子
のものと比較することにより、アベルメクチン産生の変化の原因となる変異を決
定しうる。本発明の特定的であるが非制限的な態様において、残基55(S55F)、
138(S138T)、139(A139T)もしくは230(G230D)のいずれかに単一のアミノ酸
置換を含む、または138位(S138T)および139位(A139TまたはA139F)に二重置
換を含むS.アベルミティリスAveC遺伝子産物により、産生されるアベルメクチン
のクラス2:クラス1比が変化するようにAveC遺伝子産物の機能に変化が生じてお
り(以下の第8項を参照されたい)、なお、ここに列挙したアミノ酸部位は図1に
示されたもの(配列番号:2)に対応している。さらに、以下の7通りの変異の組
み合わせはそれぞれアベルメクチンのクラス2:クラス1比を効果的に低下させる
ことが示されている:(1)D48E/A89T;(2)S138T/A139T/G179S;(3)Q38P/L1
36P/E238D;(4)F99S/S138T/A139T/G179S;(5)A139T/M228T;(6)G111V/P28
9L;(7)A139T/K154E/Q298H。本明細書で用いる場合、A139Tなどの前記の表記
は、一文字表記による本来のアミノ酸残基(この例ではアラニン(A))、ポリ
ペプチドにおける位置(この例では139位(配列番号:2参照されたい))、その
後に本来のアミノ酸残基を置換するアミノ酸残基(この例ではトレオニン(T)
)を示している。したがって、アミノ酸部位38、48、55、89、99、111、136、13
8、139、154、179、228、230、238、266、275、289もしくは298(図1参照された
い)またはそれらの任意の組み合わせの1つまたは複数の箇所にアミノ酸置換ま
たは欠失を含む変異型S.アベルミティリスAveC遺伝子産物をコードするヌクレオ
チド配列を有するポリヌクレオチド分子は、本発明に含まれる。
【0083】 1つの好ましい態様において、このような変異は、以下からなる群の1つまたは
複数から選択されるアミノ酸置換をコードする: (a)PまたはPの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された38位のアミノ
酸残基Q; (b)EまたはEの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された48位のアミノ
酸残基D; (c)TまたはTの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された89位のアミノ
酸残基A; (d)SまたはSの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された99位のアミノ
酸残基F; (e)VまたはVの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された111位のアミノ
酸残基G; (f)PまたはPの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された136位のアミノ
酸残基L; (g)TまたはTの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された138位のアミノ
酸残基S; (h)TもしくはFまたはTもしくはFの保存的置換物であるアミノ酸によって置換
された139位のアミノ酸残基A; (i)EまたはEの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された154位のアミノ
酸残基K; (j)SまたはSの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された179位のアミノ
酸残基G; (k)TまたはTの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された228位のアミノ
酸残基M; (l)DまたはDの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された238位のアミノ
酸残基E; (m)LまたはLの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された289位のアミノ
酸残基P; (n)HまたはHの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された298位のアミノ
酸残基Q。なお、保存的アミノ酸置換物は上記の第5.1項で定義した通りである。
【0084】 1つのさらに好ましい態様において、このような変異は、以下からなる群から
選択されるアミノ酸残基置換の組み合わせである、アミノ酸置換の組み合わせを
含む: (a)アミノ酸残基S138およびA139; (b)アミノ酸残基D48およびA89; (c)アミノ酸残基S138、A139およびG179; (d)アミノ酸残基Q38、L136およびE238; (e)アミノ酸残基F99、S138、A139およびG179; (f)アミノ酸残基A139およびM228; (g)アミノ酸残基G111およびP289;ならびに (h)アミノ酸残基A139、K154およびQ298。
【0085】 1つのさらに好ましい態様において、本発明に従ってアベルメクチンのクラス2
:クラス1比を効果的に低下させるのに有効な、aveC対立遺伝子における変異の
具体的な組み合わせは、以下からなる群の1つまたは複数から選択される: (a)S138T/A139T; (b)S138T/A139F; (c)D48E/A89T; (d)S138T/A139T/G179S; (e)Q38P/L136P/E238D; (f)F99S/S138T/A139T/G179S; (g)A139T/M228T; (h)G111V/P289L;及び (i)A139T/K154E/Q298H。
【0086】 本発明はさらに、アベルメクチン産生の変化を引き起こす変異型aveC対立遺伝
子を細胞が含む、S.アベルミティリスの新規株を作製するための組成物を提供す
る。例えば本発明は、本発明の変異型ヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド
分子のいずれかをS.アベルミティリス染色体のaveC遺伝子部位にターゲティング
させ、相同組換えによりaveC ORFもしくはその一部へ挿入または置換するために
用いることができる組換えベクターを提供する。しかし、本発明によると、本明
細書で提供する本発明の変異型ヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子は
、S.アベルミティリス染色体のaveC遺伝子以外の部位に挿入された場合、または
S.アベルミティリス細胞にエピソームとして維持された場合にもアベルメクチン
生合成を調節する機能を果たす。したがって、本発明は、ポリヌクレオチド分子
をS.アベルミティリス染色体のaveC遺伝子以外の部位に挿入するため、またはエ
ピソームとして維持させるために用いうるベクターである、本発明の変異型ヌク
レオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含むベクターも提供する。
【0087】 1つの好ましい態様において、本発明は、変異型aveC対立遺伝子またはその縮
重変異体をS.アベルミティリスの菌株の細胞に導入し、それによってその細胞が
野生型aveC対立遺伝子のみを発現する同じ菌株の細胞と比べて低いクラス2:ク
ラス1比でアベルメクチンを産生するS.アベルミティリスの新規株を作製するた
めに用いることができる、遺伝子置換ベクターを提供する。1つの好ましい態様
において、その細胞によって産生されるアベルメクチンのクラス2:クラス1比は
低くなる。このような遺伝子置換ベクターは、例えばpSE188、pSE199およびpSE2
31などの、本明細書で提供する発現ベクター中に存在する変異型ポリヌクレオチ
ド分子を用いて構築することができ、これらの発現ベクターの例を以下の第8項
に示している。
【0088】 1つのさらに好ましい態様において、本発明は、変異型aveC対立遺伝子または
その縮重変異体をS.アベルミティリスの菌株の細胞に挿入し、野生型aveC対立遺
伝子のみを発現する同じ菌株の細胞と比べてアベルメクチンの産生量が変化して
いる細胞からなる新規株を作製するために用いることができるベクターを提供す
る。1つの好ましい態様において、この細胞によって産生されるアベルメクチン
の量は増加する。1つの特異的であるが非制限的な態様において、このようなベ
クターは、例えばaveC対立遺伝子の上流に位置し、それと機能的に関連している
サッカロポリスポラ・エリスリア由来の強力な構成性ermEプロモーターなどの当
技術分野で知られた強力なプロモーターをさらに含む。このようなベクターは以
下の実施例11に記載するプラスミドpSE189であってもよく、またはプラスミドpS
E189の変異型aveC対立遺伝子を用いて構築することもできる。
【0089】 1つのさらに好ましい態様において、本発明は、S.アベルミティリスの野性株
におけるaveC遺伝子の不活性化に有用な遺伝子置換ベクターを提供する。1つの
非制限的な態様では、以下の第8.1項で例示するプラスミドpSE180(ATCC 209605
)中に存在する変異型ポリヌクレオチド分子を用いて、このような遺伝子置換ベ
クターを構築することができる(図3)。本発明はさらに、例えば図1に示された
ヌクレオチド配列(配列番号:1)に隣接するものを含む、S.アベルミティリス
染色体においてインサイチューのaveC遺伝子に自然下で隣接するヌクレオチド配
列からなる、またはそれを含むポリヌクレオチド分子を含む遺伝子置換ベクター
を提供し、それらのベクターはS.アベルミティリスaveC ORFを欠失させるために
用いられうる。
【0090】 本発明はさらに、変異型aveC対立遺伝子を発現し、野生型aveC対立遺伝子のみ
を発現するS.アベルミティリスの同じ菌株と比べて産生されるアベルメクチンの
比および/または量が変化している細胞を含む、S.アベルミティリスの新規株を
作製するための方法を提供する。1つの好ましい態様において、本発明は、変異
型aveC対立遺伝子を発現し、野生型aveC対立遺伝子のみを発現するS.アベルミテ
ィリスの同じ菌株の細胞と比べて産生されるアベルメクチンのクラス2:クラス1
比が変化している細胞を含む、S.アベルミティリスの新規株を作製するための、
以下の段階を含む方法を提供する:野生型aveC対立遺伝子のみを発現する同じ菌
株の細胞と比べて変異型対立遺伝子を発現するS.アベルミティリスの菌株の細胞
によって産生されるアベルメクチンのクラス2:クラス1比を変化させる遺伝子産
物をコードする変異型aveC対立遺伝子を有するベクターにより、S.アベルミティ
リスの菌株の細胞を形質転換する段階;および野生型aveC対立遺伝子のみを発現
する菌株の細胞によって産生されるクラス2:クラス1比と比べて産生されるアベ
ルメクチンのクラス2:クラス1比が変化している形質転換細胞を選択する段階。
1つのさらに好ましい態様において、本発明は、以下の段階を含む、S.アベルミ
ティリスの新規株を作製するための方法を提供する:aveC対立遺伝子に対する変
異が、コードされるAveC遺伝子産物において配列番号:2の38位、48位、55位、8
9位、99位、111位、136位、138位、139位、154位、179位、228位、230位、238位
、266位、275位、289位または298位のアミノ酸残基に対応する1つまたは複数の
アミノ酸部位に異なるアミノ酸残基による置換を引き起こし、aveC対立遺伝子が
そのように変異したS.アベルミティリス株の細胞が、野生型aveC対立遺伝子のみ
を発現する同じS.アベルミティリス株の細胞によって産生される比とは異なるク
ラス2:クラス1比のアベルメクチンを産生するような細胞のaveC対立遺伝子に、
変異を導入しうるベクターを用いてS.アベルミティリスの菌株の細胞の形質転換
を行う段階。1つの好ましい態様において、アベルメクチンのクラス2:クラス1
比は減少する。
【0091】 本明細書で用いる場合に、S.アベルミティリス染色体内または本発明のベクタ
ーもしくは単離されたポリヌクレオチド分子内のaveC対立遺伝子によってコード
されるアミノ酸残基が配列番号:2の特定のアミノ酸残基に「対応する」と言及
する場合、またはアミノ酸置換が配列番号:2のアミノ酸残基の特定の番号のも
のに「対応する」特定の位置で起こると言及する場合、これはAveC遺伝子産物に
おける同じ相対的位置にあるアミノ酸残基に言及することを意図しており、当業
者は本明細書の配列番号:2に示されたアミノ酸配列を参照することによってそ
れを直ちに決定することができる。
【0092】 本発明はさらに、特定の変異をコードするaveC対立遺伝子における特定の変異
が、配列番号:1に示された特定のヌクレオチド部位に「対応する」aveC対立遺
伝子における特定のヌクレオチド部位にある塩基変化として列挙される、新規株
を作製するための方法を提供する。対応するアミノ酸部位に関しては上記と同様
に、aveC対立遺伝子におけるヌクレオチド部位が配列番号:1における特定のヌ
クレオチド部位に「対応する」と言及する場合、これはAveCヌクレオチド配列に
おける同じ相対的位置にあるヌクレオチドに言及することを意図しており、当業
者は本明細書の配列番号:1に示されたヌクレオチド配列を参照することによっ
てそれを直ちに決定することができる。
【0093】 1つのさらに好ましい態様において、本発明は、以下の段階を含む、アベルメ
クチンの産生量が変化した細胞を含むS.アベルミティリスの新規株を作製するた
めの方法を提供する:発現により、野生型aveC対立遺伝子のみを発現する同じ菌
株の細胞と比べて、変異型aveC対立遺伝子または遺伝子構築物を発現するS.アベ
ルミティリスの菌株の細胞によって産生されるアベルメクチンの量の変化を引き
起こす変異型aveC対立遺伝子またはaveC対立遺伝子を含む遺伝子構築物を有する
ベクターによって、S.アベルミティリスの菌株の細胞を形質転換する段階;およ
び野生型aveC対立遺伝子のみを発現する菌株の細胞によって産生されるアベルメ
クチンの量と比べてアベルメクチンの産生量が変化している形質転換細胞を選択
する段階。1つの好ましい態様において、形質転換細胞で産生されるアベルメク
チンの量は増加する。
【0094】 1つのさらに好ましい態様において、本発明は、以下の段階を含む、細胞が不
活性化されたaveC対立遺伝子を含む、S.アベルミティリスの新規株を作製するた
めの方法を提供する:aveC対立遺伝子を不活性化するベクターにより、任意のav
eC対立遺伝子を発現するS.アベルミティリスの菌株の細胞を形質転換する段階;
およびaveC対立遺伝子が不活性化された形質転換細胞を選択する段階。1つの非
制限的な好ましい態様では、S.アベルミティリスの菌株の細胞を、変異または異
種遺伝子配列によるaveC対立遺伝子の一部の置換によって不活性化されたaveC対
立遺伝子を有する遺伝子置換ベクターを用いて形質転換し、本来のaveC対立遺伝
子が不活性化されたaveC対立遺伝子によって置換されている形質転換細胞を選択
する。aveC対立遺伝子の不活性化は、以下に記載するように、発酵産物のHPLC分
析によって決定しうる。以下の第8.1項で説明する1つの特定的ではあるが非制限
的な態様において、aveC対立遺伝子は、aveC ORFへのサッカロポリスポラ・エリ
スリア由来のermE遺伝子の挿入によって不活性化される。
【0095】 本発明はさらに、本発明のポリヌクレオチド分子またはベクターのいずれかに
よって形質転換がなされた細胞を含む、S.アベルミティリスの新規株を提供する
。1つの好ましい態様において、本発明は、、野生型aveC対立遺伝子のみを発現
する同じ菌株の細胞によって産生されるアベルメクチンのクラス2:クラス1比と
比べて新規株の細胞が産生するアベルメクチンのクラス2:クラス1比が変化して
いる、野生型aveC対立遺伝子に代わってまたは追加的に変異型aveC対立遺伝子ま
たはその縮重変異体を発現する細胞を含むS.アベルミティリスの新規株を提供す
る。1つのさらに好ましい態様において、新規細胞によって産生される変化した
クラス2:クラス1比は低くなる。このような新規株は、ドラメクチンなどの商業
的に望ましいアベルメクチンの大規模産生に有用である。1つのさらに好ましい
態様において、本発明は、aveC対立遺伝子において上記に示したものに対応する
ヌクレオチド部位にある、または別の形でAveC遺伝子産物において前記のアミノ
酸置換のいずれかをコードする、前記の変異もしくは変異の組み合わせのいずれ
かを含む、S.アベルミティリスの細胞を提供する。このような変異は、このよう
な細胞内のプラスミドなどの染色体外要素にも存在しうるが、このような変異は
S.アベルミティリス染色体上に位置するaveC対立遺伝子に存在することが好まし
い。1つの好ましい態様において、本発明は、菌株において野生型aveC対立遺伝
子を発現する同じS.アベルミティリス株の細胞によって産生される比とは異なる
クラス2:クラス1比のアベルメクチンを細胞が産生する、配列番号:2の38位、4
8位、55位、89位、99位、111位、136位、138位、139位、154位、179位、228位、
230位、238位、266位、275位、289位または298位のアミノ酸残基に対応する1つ
または複数のアミノ酸部位に置換を有するAveC遺伝子産物をコードする、aveC対
立遺伝子における変異を有する細胞を含むストレプトミセス・アベルミティリス
の菌株を提供する。
【0096】 本明細書に記載のスクリーニングアッセイの1つの主要な目的は、S.アベルミ
ティリス細胞における発現によって、産生されるアベルメクチンのクラス2:ク
ラス1比を変化させる、中でも特に低下させる、aveC遺伝子の変異型対立遺伝子
を同定することである。1つの好ましい態様において、本発明の変異型aveC対立
遺伝子またはその縮重変異体を発現する本発明の新規S.アベルミティリス株の細
胞によって産生されるアベルメクチンのB2:B1比は約1.6:1以下である。1つの
さらに好ましい態様において、この比は約1:1以下である。1つのさらに好まし
い態様において、この比は約0.84:1以下である。1つのさらに好ましい態様にお
いて、この比は約0.80:1以下である。1つのさらに好ましい態様において、この
比は約0.75:1以下である。1つのさらに好ましい態様において、この比は約0.73
:1以下である。1つのさらに好ましい態様において、この比は約0.68:1以下で
ある。1つのさらにより好ましい態様において、この比は約0.67:1以下である。
1つのさらに好ましい態様において、この比は約0.57:1以下である。1つのさら
により好ましい態様において、この比は約0.53:1以下である。1つのさらにより
好ましい態様において、この比は約0.42:1以下である。1つのさらにより好まし
い態様において、この比は約0.40:1以下である。
【0097】 以下に記載する1つの特定の態様において、本発明の新規細胞はシクロヘキシ
ルB2アベルメクチン:シクロヘキシルB1アベルメクチンを1.6:1未満の比で産生
する。以下に記載する1つの異なる特定の態様において、本発明の新規細胞はシ
クロヘキシルB2アベルメクチン:シクロヘキシルB1アベルメクチンを約0.94:1
の比で産生する。以下に記載する1つのさらに異なる特定の態様において、本発
明の新規細胞はシクロヘキシルB2アベルメクチン:シクロヘキシルB1アベルメク
チンを約0.88:1の比で産生する。以下に記載する1つのさらに異なる特定の態様
において、本発明の新規細胞はシクロヘキシルB2アベルメクチン:シクロヘキシ
ルB1アベルメクチンを約0.84:1の比で産生する。以下に記載する1つのさらによ
り異なる特定の態様において、本発明の新規細胞はシクロヘキシルB2アベルメク
チン:シクロヘキシルB1アベルメクチンを約0.75:1の比で産生する。以下に記
載する1つのさらにより異なる特定の態様において、本発明の新規細胞はシクロ
ヘキシルB2アベルメクチン:シクロヘキシルB1アベルメクチンを約0.73:1の比
で産生する。以下に記載する1つのさらにより異なる特定の態様において、本発
明の新規細胞はシクロヘキシルB2アベルメクチン:シクロヘキシルB1アベルメク
チンを約0.68:1の比で産生する。以下に記載する1つのさらにより異なる特定の
態様において、本発明の新規細胞はシクロヘキシルB2アベルメクチン:シクロヘ
キシルB1アベルメクチンを約0.67:1の比で産生する。以下に記載する1つのさら
により異なる特定の態様において、本発明の新規細胞はシクロヘキシルB2アベル
メクチン:シクロヘキシルB1アベルメクチンを約0.57:1の比で産生する。以下
に記載する1つのさらにより異なる特定の態様において、本発明の新規細胞はシ
クロヘキシルB2アベルメクチン:シクロヘキシルB1アベルメクチンを約0.53:1
の比で産生する。以下に記載する1つのさらにより異なる特定の態様において、
本発明の新規細胞はシクロヘキシルB2アベルメクチン:シクロヘキシルB1アベル
メクチンを約0.42:1の比で産生する。以下に記載する1つのさらにより異なる特
定の態様において、本発明の新規細胞はシクロヘキシルB2アベルメクチン:シク
ロヘキシルB1アベルメクチンを約0.40:1の比で産生する。
【0098】 1つのさらに好ましい態様において、本発明は新規株の細胞が野生型aveC対立
遺伝子のみを発現する同じ菌株の細胞と比べて変化した量のアベルメクチンを産
生するような、変異型aveC対立遺伝子もしくはその縮重変異体またはaveC対立遺
伝子もしくはその縮重変異体を野生型aveC対立遺伝子に代わってもしくは追加的
に含む遺伝子構築物を発現する細胞を含む、S.アベルミティリスの新規株を提供
する。1つの好ましい態様において、新規株が産生するアベルメクチンの量は増
加する。1つの非制限的な態様において、遺伝子構築物は、aveC ORFの上流に位
置し、それと機能的に関連しているサッカロポリスポラ・エリスリア由来の強力
な構成性ermEプロモーターなどの強力なプロモーターをさらに含む。
【0099】 1つのさらに好ましい態様において、本発明は、aveC遺伝子が不活性化された
細胞を含むS.アベルミティリスの新規株を提供する。このような菌株は、野性株
と比べて異なる範囲のアベルメクチンが産生されることに関しても、aveC遺伝子
の標的変異誘発またはランダム変異誘発がアベルメクチン産生に影響を及ぼすか
否かを判定するための相補性スクリーニングアッセイにおいても有用である。以
下に記載する1つの特定の態様では、不活性化されたaveC遺伝子を含むようにS.
アベルミティリス宿主細胞の遺伝子操作を行った。例えば、遺伝子置換プラスミ
ドpSE180(ATCC 209605)(図3)を用いて以下の実施例で説明するSE180-11株を
作製したが、これはaveC翻訳領域へのermE耐性遺伝子の挿入によってS.アベルミ
ティリスaveC遺伝子を不活性化するために作製したものである。
【0100】 本発明はさらに、前記の本発明のポリヌクレオチド分子のいずれかによってコ
ードされる組換え発現された変異型S.アベルミティリスAveC遺伝子産物、および
それを調製するための方法を提供する。
【0101】 本発明はさらに、以下の段階を含む、アベルメクチンを産生するための方法を
提供する:野生型aveC対立遺伝子のみを発現する同じ菌株の細胞と比べて、変異
型aveC対立遺伝子を発現するS.アベルミティリスの菌株の細胞によって産生され
るアベルメクチンのクラス2:クラス1比を変化させる遺伝子産物をコードする変
異型aveC対立遺伝子を発現する、S.アベルミティリスの菌株の細胞をアベルメク
チンの産生が可能となるまたは誘導される条件下で培地中で培養する段階;およ
び前記アベルメクチンを培養物から回収する段階。1つの好ましい態様において
、変異を発現する細胞によって産生されるアベルメクチンのクラス2:クラス1比
は減少する。本方法は、ドラメクチンなどの商業的価値のあるアベルメクチンの
産生効率を高める。
【0102】 本発明はさらに、変異型aveC対立遺伝子または遺伝子構築物を発現せずに野生
型aveC対立遺伝子のみを発現する同じ菌株の細胞と比べて、変異型aveC対立遺伝
子または遺伝子構築物を発現するS.アベルミティリスの菌株の細胞によって産生
されるアベルメクチンの量の変化を引き起こす変異型aveC対立遺伝子またはaveC
対立遺伝子を含む遺伝子構築物を発現する、S.アベルミティリスの菌株をアベル
メクチンの産生が可能となるまたは誘導される条件下で培地中で培養する段階;
および前記アベルメクチンを培養物から回収する段階を含む方法を提供する。1
つの好ましい態様において、変異型aveC対立遺伝子、縮重変異体または遺伝子構
築物を発現する細胞によって産生されるアベルメクチンの量は増加する。
【0103】 本発明はさらに、野生型aveC対立遺伝子のみを発現する同じ菌株の細胞と比べ
て変異型aveC対立遺伝子またはその縮重変異体を発現するS.アベルミティリスの
菌株の細胞によって産生されるアベルメクチンのクラス2:クラス1比を低下させ
る遺伝子産物をコードする変異型aveC対立遺伝子またはその縮重変異体を発現す
るS.アベルミティリスの菌株によって産生されるアベルメクチンの新規組成物を
提供し、新規組成物中におけるアベルメクチンは野生型aveC対立遺伝子のみを発
現するS.アベルミティリスの同じ菌株の細胞によって産生されるアベルメクチン
のクラス2:クラス1比と比べて低いクラス2:クラス1比で産生される。新規アベ
ルメクチン組成物は、枯渇した発酵培養液中に産生された状態で存在することが
でき、またはそこから回収されることもできる。新規アベルメクチン組成物は、
硫酸アンモニウム沈殿、透析、サイズ分画、イオン交換クロマトグラフィー、HP
LCなどによる既知の生化学的精製法により、培養液から部分的または実質的に精
製することができる。
【0104】5.4.アベルメクチンの用途 アベルメクチンは、駆虫薬、外寄生生物撲滅薬、殺虫薬および殺ダニ剤として
特に有用な、強い活性のある抗寄生虫薬である。本発明の方法に従って産生され
たアベルメクチン化合物は、これらのいずれの目的にも有用である。例えば、本
発明に従って産生されるアベルメクチン化合物は、ヒトの種々の疾患または状態
、特に当技術分野で知られた寄生虫感染症によって引き起こされる疾患または状
態を治療するために有用である。例えば、イケダ(Ikeda)およびオオムラ(Omu
ra)、1997、Chem. Rev. 97(7):2591〜2609を参照されたい。より詳細には、
本発明に従って産生されるアベルメクチン化合物は、ヒト、家畜、ブタ、ヒツジ
、家禽、ウマまたはウシを感染させうる寄生性線虫などの内部寄生体によって引
き起こされる種々の疾患または状態の治療に有効である。
【0105】 より詳細には、本発明に従って産生されるアベルメクチン化合物は、ヒトなら
びにさまざまな種の動物を感染させる線虫類に対して有効である。このような線
虫類には、十二指腸虫(Ancylostoma)、鈎虫(Necator)、回虫(Ascaris)、
糞線虫(Strongyloides)、旋毛虫(Trichinella)、毛頭虫(Capillaria)、鞭
虫(Trichuris)、蟯虫(Enterobius)、イヌ糸状虫(Dirofilaria)などの消化
管寄生虫、ならびに、フィラリアならびに糞線虫(Strongyloides)および旋毛
虫(Trichinella)腸管外状態(extract intestinal state)などの血液または
他の組織もしくは臓器に認められる寄生虫が含まれる。
【0106】 本発明に従って産生されるアベルメクチン化合物は、例えば、マダニ、ダニ、
シラミ、ノミ、クロバエ、刺咬性昆虫、またはウシおよびウマに罹患する移動性
の双翅目昆虫の幼虫によって引き起こされる哺乳類および鳥類への節足動物侵入
症を含む、治療外寄生生物感染症の治療にも有用である。
【0107】 本発明に従って産生されるアベルメクチン化合物は、例えば、ゴキブリ、イガ
、カツオブシムシおよびイエバエといった家庭内害虫、ならびにハダニ、アリマ
キ、毛虫といった貯蔵穀物および農業用植物の害虫、およびバッタなどの直翅目
昆虫に対する殺虫薬としても有用である。
【0108】 本発明に従って産生されるアベルメクチン化合物によって治療しうる動物には
、ヒツジ、ウシ、ウマ、シカ、ヤギ、ブタ、家禽を含む鳥類ならびにイヌおよび
ネコが含まれる。
【0109】 本発明に従って産生されるアベルメクチン化合物は、意図する特定の用途、治
療しようとする宿主動物の個々の種、およびかかわっている寄生虫または昆虫に
応じた適切な製剤の形で投与される。殺寄生虫薬として用いる場合には、本発明
に従って産生されるアベルメクチン化合物をカプセル剤、丸薬、錠剤または水薬
の形態で経口投与することができ、または注入もしくは注射、またはインプラン
トとして投与することもできる。このような製剤は標準的な獣医学の診療行為に
準拠した通常の様式で調製される。すなわち、カプセル剤、丸薬または錠剤は、
有効成分を、デンプン、ラクトース、タルク、ステアリン酸マグネシウムなどの
崩壊剤および/または結合剤を追加的に含む適した微粒希釈剤または担体と混合
することによって調製しうる。水薬製剤は有効成分を分散剤または湿潤剤などと
ともに水溶液中に分散させることによって調製しうる。注射用製剤は滅菌溶液の
形態に調製することができ、これには溶液を血液と等張にするのに十分な塩およ
び/またはグルコースなどの他の物質を含めることができる。
【0110】 このような製剤は、有効化合物の重量の点では、治療しようとする患者または
宿主動物の種、感染症の重症度および種類、ならびに宿主の体重に応じてさまざ
まであると考えられる。一般に、経口投与の場合には、患者または動物の体重1k
g当たり約0.001〜10mgの用量の有効化合物を単回投与または1〜5日の期間にわた
る分割投与として投与すれば十分であると考えられる。しかし、臨床症状に基づ
いて医師または獣医が判断して、さらに高い用量または低い用量が適応とされる
場合もあると考えられる。
【0111】 別の選択肢として、本発明に従って産生されるアベルメクチン化合物を動物の
飼料に混ぜて投与することもでき、この目的のために通常の動物飼料と混合する
ための濃縮飼料添加物またはプレミックスを調製することもできる。
【0112】 殺虫薬として、および農作物の害虫を処理するために用いる場合には、本発明
に従って産生されるアベルメクチン化合物を、標準的な農業の実務作業に従って
噴霧剤、粉剤、乳濁剤などとして適用することができる。
【0113】6. 実施例:ストレプトミセス・アベルミティリスの発酵およびB2アベルメクチ
ン:B1アベルメクチンの分析 分枝鎖2-オキソ酸デヒドロゲナーゼおよび5-O-メチルトランスフェラーゼ活性
の両方を欠く菌株は、発酵培地に脂肪酸を補充しなければアベルメクチンを産生
しない。本実施例は、このような変異株において種々の異なる脂肪酸の存在下で
生合成を開始させると、広範囲にわたるB2:B1比のアベルメクチンが得られるこ
とを示す。
【0114】6.1. 材料および方法 ストレプトミセス・アベルミティリスATCC 53692株は、デンプン(Nadex、Lai
ng National)‐20g;ファルマメディア(Pharmamedia)(Trader's Protein、M
emphis、TN)‐15g;アーダマインpH(Ardamine pH)(Yeast Products Inc.)
‐5g;炭酸カルシウム‐1gを含む播種培地中に調製した全ブロス(broth)とし
て-70℃で保存した。水道水で最終容量を1リットルに調整し、pHを7.2に調整し
て、培地を121℃で25分間、加圧滅菌した。
【0115】 上記の調製物を解凍した懸濁液2mlを、同じ培地50mlを含むフラスコへの接種
に用いた。180rpmに設定した回転振盪器上で28℃にて48時間インキュベートした
後、デンプン‐80g;炭酸カルシウム‐7g;ファルマメディア(Pharmamedia)‐
5g;リン酸水素二カリウム‐1g;硫酸マグネシウム‐1g;グルタミン酸‐0.6g;
硫酸第一鉄・七水和物‐0.01g;硫酸亜鉛‐0.001g;硫酸マンガン‐0.001gを含
む産生培地50mlを含むフラスコに、ブロス2mlを接種した。水道水で最終容量を1
リットルに調整し、pHを7.2に調整して、培地を121℃で25分間、加圧滅菌した。
【0116】 種々のカルボン酸基質(表1参照されたい)をメタノール中に溶解し、接種24
時間後に発酵培地に添加して、最終濃度を0.2g/リットルとした。発酵培地を28
℃で14日間インキュベートした後 、培養液を遠心し(2,500rpmで2分間)、上清
を廃棄した。菌糸体ペレットをアセトン(15ml)で、続いてジクロロメタン(30
ml)で抽出し、有機相を分離して濾過した後、蒸発によって乾燥させた。残留物
をメタノール(1ml)中に採取し、240nmに設定した走査型ダイオードアレイ検出
器を装着したヒューレットパッカード(Hewlett-Packard)1090A型液体クロマト
グラフ装置を用いたHPLCによって分析した。用いたカラムは、40℃に維持したベ
ックマンウルトラスフィア(Beckman Ultrasphere)C-18、5μm、4.6mm×25cmカ
ラムであった。上記のメタノール溶液25μlをカラム上に注いだ。溶出はメタノ
ール対水が80:20から95:5までの直線勾配により、0.85/ml・分で40分間かけて
行った。検出器の反応を較正するために2種類の標準濃度のシクロヘキシルB1を
用い、B2およびB1アベルメクチンの曲線下の面積を計測した。
【0117】6.2. 結果 B2およびB1アベルメクチンに関して得られたHPLC滞留時間、および2:1比を表
1に示す。
【0118】
【表1】
【0119】 表1に示したデータではB2アベルメクチン:B1アベルメクチン産物比が極めて
広範囲にわたることが示されており、このことは供給する脂肪酸側鎖出発ユニッ
トの性質に応じて、クラス2化合物のクラス1化合物への脱水性転換の結果にかな
りの差異があることを示している。これは、AveCタンパク質の変化に起因するB2
:B1比の変化が個々の基質に対して特異的でありうることを示す。したがって、
個々の基質で得られたB2:B1比に変化を示す変異株のスクリーニングは、その基
質の存在下で行う必要がある。以下に続く実施例では、スクリーニング用基質と
してシクロヘキサンカルボン酸を用いる。しかし、この基質は単にその能力を例
示するために用いるものであり、本発明の適用可能性を限定するためのものでは
ない。
【0120】7. 実施例:aveC遺伝子の単離 本実施例では、AveC遺伝子産物をコードするストレプトミセス・アベルミティ
リスの染色体領域の単離および特徴決定について述べる。以下に示すように、産
生されるシクロヘキシル-B1アベルメクチンに対するシクロヘキシル-B2アベルメ
クチン(B2:B1)の比を改変しうるものとしてaveC遺伝子を単離した。
【0121】7.1.材料および方法 7.1.1. DNA単離のためのストレプトミセスの増殖 ストレプトミセスの増殖に関しては以下の方法に従った。S.アベルミティリス
ATCC 31272株の単一コロニー(2番目の単一コロニー分離株)を、ディフコ(Dif
co)酵母抽出物‐5g;ディフコ(Difco)バクトペプトン‐5g;デキストロース
‐2.5g;MOPS‐5g;ディフコ(Difco )バクトアガー‐15gを含む1/2濃度のYPD-
6上で単離した。最終容量をdHOで1リットルに調整し、pHを7.0に調整して、培
地を121℃で25分間、加圧滅菌した。
【0122】 上記の培地中で増殖した菌糸体を、25mm×150mmチューブに入れた10mlのTSB培
地(1リットルのdHO中に、Difco Tryptic Soy Broth‐30g、121℃で25分間加
圧滅菌した)への接種に用い、これを振盪(300rpm)しながら48〜72時間28℃で
保温した。
【0123】7.1.2. ストレプトミセス由来の染色体DNAの単離 上記のように増殖させた菌糸体のアリコート(0.25mlまたは0.5ml)を1.5mlの
微小遠心管に入れ、12,000×g、60秒の遠心分離によって細胞を濃縮した。上清
を廃棄し、細胞を2mg/mlリゾチームを含む0.25mlのTSE緩衝液(20mlの1.5Mスク
ロース、2.5mlの1M Tris-HCl、pH 8.0、2.5mlの1M EDTA、pH 8.0および75mlのdH O)中に再懸濁した。試料を37℃で振盪しながら20分間インキュベートし、オ
ートジェン540(AutoGen 540)(登録商標)自動核酸分離装置(Integrated Sep
aration Systems、Natick、MA)に投入し、サイクル159(Cycle 159)(付属ソ
フトウエア)を製造者の指示に従って用いてゲノムDNAを単離した。
【0124】 または、5mlの菌糸体を17mm×100mmチューブに入れ、3,000rpm、5分間の遠心
分離によって細胞を濃縮し、上清を除去した。細胞を1mlのTSE緩衝液中に再懸濁
し、3,000rpm、5分間の遠心分離によって濃縮した上で上清を除去した。2mg/ml
リゾチームを含む1mlのTSE緩衝液中に細胞を再懸濁し、37℃で振盪しながら30〜
60分間インキュベートした。インキュベート後に0.5mlの10%ドデシル硫酸ナト
リウム(SDS)を添加し、溶菌が完了するまで細胞を37℃でインキュベートした
。溶解液を65℃で10分間インキュベートし、室温に冷却した後に2本の1.5ml エ
ッペンドルフ(Eppendorf)チューブに分け、0.5mlのフェノール/クロロホルム
(0.5M Tris、pH 8.0であらかじめ平衡化した50%フェノール;50%クロロホル
ム)で1回抽出した。水相を採取し、クロロホルム:イソアミルアルコール(24
:1)で2〜5回抽出した。1/10倍容量の3M酢酸ナトリウム、pH 4.8を添加し、混
合物を氷上で10分間インキュベートし、混合物を15,000rpm、5℃で10分間遠心し
た上で上清を採取して新たなチューブに移し、それに1倍容量のイソプロパノー
ルを添加して、DNAを沈殿させた。続いて、上清及びイソプロパノールの混合物
を氷上で20分間インキュベートし、15,000rpm、5℃で20分間遠心した上で上清を
除去し、DNAペレットを70%エタノールで1回洗浄した。ペレットが乾燥した後に
DNAをTE緩衝液(10mM Tris、1mM EDTA、pH 8.0)中に再懸濁した。
【0125】7.1.3. ストレプトミセス由来のプラスミドDNAの単離 菌糸体のアリコート(1.0ml)を1.5mlの微小遠心管に入れ、12,000×g、60秒
の遠心分離によって細胞を濃縮した。上清を廃棄し、細胞を1.0mlの10.3%スク
ロース中に再懸濁し、12,000×g、60秒間の遠心分離によって濃縮した上で、上
清を廃棄した。続いて、2mg/mlリゾチームを含む0.25mlのTSE緩衝液中に細胞を
再懸濁し、37℃で振盪しながら20分間インキュベートし、オートジェン540(Aut
oGen 540)(登録商標)自動核酸分離装置に投入した。サイクル159(Cycle 159
)(付属ソフトウエア)を製造者の指示に従って用いて、プラスミドDNAを単離
した。
【0126】 または、1.5mlの菌糸体を1.5mlの微小遠心管に入れ、12,000×g、60秒の遠心
分離によって細胞を濃縮した。上清を廃棄し、細胞を1.0mlの10.3%スクロース
中に再懸濁し、12,000×g、60秒間の遠心分離によって濃縮した上で、上清を廃
棄した。2mg/mlリゾチームを含む0.5mlのTSE緩衝液中に細胞を再懸濁し、37℃で
15〜30分間インキュベートした。インキュベート後に0.25mlのアルカリSDS(0.3
N NaOH、2%SDS)を添加し、細胞を55℃で15〜30分間または溶液が透明になるま
でインキュベートした。酢酸ナトリウム(0.1ml、3M、pH 4.8)をDNA溶液に加え
た後、これを氷上で10分間インキュベートした。DNA試料を14,000rpm、5℃で10
分間遠心した。上清を採取して新しいチューブに移し、0.2mlのフェノール:ク
ロロホルム(50%フェノール:50%クロロホルム)を添加してゆっくりと混合し
た。DNA溶液を14,000rpm、5℃で10分間遠心し、上層を新たなエッペンドルフチ
ューブに移した。イソプロパノール(0.75ml)を添加し、溶液をゆっくりと混合
した後に室温で20分間インキュベートした。DNA溶液を14,000rpm、5℃で15分間
遠心し、上清を除去した上でDNAペレットを70%エタノールで洗浄し、乾燥させ
てTE緩衝液中に再懸濁した。
【0127】7.1.4. 大腸菌由来のプラスミドDNAの単離 形質転換がなされた単一の大腸菌コロニーを5mlのルリア-ベルターニ(LB)培
地(1リットルdHO中に、バクトトリプトン‐10g、バクト酵母抽出物‐5gおよ
びNaCl‐10g、pH 7.0、121℃で25分間加圧滅菌し、100μg/mlアンピシリンを補
充したもの)中に接種した。培養物を一晩インキュベートし、1mlのアリコート
を1.5ml微小遠心管に入れた。培養試料をオートジェン540(AutoGen 540)(登
録商標)自動核酸分離装置に投入し、サイクル159(Cycle 159)(付属ソフトウ
エア)を製造者の指示に従って用いてプラスミドDNAを単離した。
【0128】7.1.5. S.アベルミティリスのプロトプラストの調製および形質転換 S.アベルミティリスの単一コロニーを1/2濃度のYPD-6上で単離した。菌糸体を
25mm×150mmチューブに入れた10mlのTSB培地への接種に用い、これを振盪(300r
pm)しながら28℃で48時間インキュベートした。1mlの菌糸体を50mlのYEME培地
への接種に用いた。YEME培地は1リットル当たり以下のものを含む:ディフコ酵
母抽出物‐3g;ディフコバクトペプトン‐5g;ディフコ麦芽エキス‐3g;スクロ
ース‐300g。121℃で25分間加圧滅菌した後に以下のものを添加した:2.5M MgCl ・ 6HO(121℃で25分間、別に加圧滅菌した)‐2ml;およびグリシン(20%)
(濾過滅菌した)‐25ml。
【0129】 菌糸体を30℃で48〜72時間増殖させ、50ml遠心管(Falcon)内で3,000rpm、20
分間の遠心分離によって回収した。上清を廃棄し、スクロース‐205g;KSO
‐0.25g;MgCl・6HO‐2.02g;HO‐600ml;KPO(0.5%)‐10ml;微量
元素溶液*‐20ml;CaCl2・2HO(3.68%)‐100ml;およびMES緩衝液(1.0M、pH
6.5)‐10mlを含むP緩衝液中に菌糸体を再懸濁した(*微量元素溶液は1リット
ル当たり以下のものを含む:ZnCl‐40mg;FeCl・6HO‐200mg;CuCl・2H O‐10mg;MnCl・4HO‐10mg;NaBO・10HO‐10mg;(NH)MoO24
4HO‐10mg)。pHを6.5に調整し、最終容量を1リットルに調整した上で、培地
を0.45ミクロンフィルターで濾過した。
【0130】 菌糸体を3,000rpm、20分間の遠心分離によって沈殿させ、上清を廃棄して、2m
g/mlリゾチームを含む20mlのP緩衝液中に菌糸体を再懸濁した。菌糸体を35℃で
振盪しながら15分間インキュベートし、プロトプラスト形成の程度を判断するた
めに顕微鏡下で観察した。プロトプラスト形成が完了した時点で、プロトプラス
トを8,000rpmで10分間遠心した。上清を除去し、プロトプラストを10mlのP緩衝
液中に再懸濁した。プロトプラストを8,000rpmで10分間遠心して上清を除去し、
プロトプラストを2mlのP緩衝液中に再懸濁して、約1×10個のプロトプラスト
を2.0mlの低温貯蔵バイアル(Nalgene)に分配した。
【0131】 1×10個のプロトプラストを含むバイアルを8,000rpmで10分間遠心し、上清
を除去してプロトプラストを0.1mlのP緩衝液中に再懸濁した。2〜5μgの形質転
換用DNAをプロトプラストに添加し、その直後に0.5mlのT作業緩衝液を添加した
。T緩衝塩基は以下のものを含む:PEG-1000(Sigma)‐25g;スクロース‐2.5g
;HO‐83ml。1N NaOH(濾過滅菌した)でpHを8.8に調整し、T緩衝塩基を濾過
滅菌して4℃で保存した。使用日と同じ日に作成したT作業緩衝液は、T緩衝塩基
‐8.3ml;KPO(4mM)‐1.0ml;CaCl・2HO(5M)‐0.2ml;およびTES(1M
、pH 8)‐0.5mlとした。T作業緩衝液の各成分は個別に濾過滅菌した。
【0132】 T緩衝液をプロトプラストに添加して20秒以内に1.0mlのP緩衝液も添加し、プ
ロトプラストを8,000rpmで10分間遠心した。上清を廃棄し、プロトプラストを0.
1mlのP緩衝液中に再懸濁した。続いて、スクロース‐205g;KSO‐0.25g;Mg
Cl・6HO‐10.12g;グルコース‐10g;ディフコ(Difco)カザミノ酸‐0.1g;
ディフコ酵母抽出物‐5g;ディフコオートミールアガー‐3g;ディフコバクトア
ガー‐22g;dHO‐800mlを含むRM14培地上にプロトプラストを播いた。溶液は1
21℃で25分間加圧滅菌した。加圧滅菌後に以下の滅菌貯蔵液を添加した:KPO
(0.5%)‐10ml;CaCl・2HO(5M)‐5ml;L-プロリン(20%)‐15ml;ME
S緩衝液(1.0M、pH 6.5)‐10ml;微量元素溶液(上記と同じ)‐2ml;シクロヘ
キシミド貯蔵液(25mg/ml)‐40ml;および1N NaOH‐2ml。25mlのRM14培地を各
プレートに均等に分け、使用の24時間前にプレートを乾燥させた。
【0133】 プロトプラストを湿度95%にて30℃で20〜24時間インキュベートした。チオス
トレプトン耐性形質転換体を選別するために、125μg/mlのチオストレプトンを
含む1mlのオーバーレイ緩衝液をRM14再生プレート上に均等に広げた。オーバー
レイ緩衝液は100ml当たり以下のものを含む:スクロース‐10.3g;微量元素溶液
(上記と同じ)‐0.2ml;およびMES(1M、pH 6.5)‐1ml。チオストレプトン耐
性(Thior)コロニーが現れるまで、プロトプラストを湿度95%にて30℃で7〜14
日間インキュベートした。。
【0134】7.1.6. ストレプトミセス・リビダンスのプロトプラストの形質転換 いくつかのケースでは、S.リビダンス(S. lividans)TK64株(John Innes In
stitute、Norwich、UKにより提供)を形質転換に用いた。S.リビダンスの増殖、
プロトプラスト形成および形質転換のための方法および組成は、ホプウッド(Ho
pwood)ら、1985、「ストレプトミセスの遺伝子操作、実験マニュアル(Genetic
Manipulation of Streptomyces、Laboratory Manual)」、John Innes Foundat
ion、Norwich、U.K.に記載されており、そこに記載されている通りに行った。上
記の第7.1.3項における記載の通りに、S.リビダンス形質転換体からプラスミドD
NAを単離した。
【0135】7.1.7. S.アベルミティリス株の発酵分析 1/2濃度のYPD-6上で4〜7日間増殖させたS.アベルミティリス菌糸体を、8mlの
予備培地および2個の5mm径ガラスビーズを含む1×6インチのチューブに接種した
。予備培地は、可溶性デンプン(希薄加熱デンプンまたはKOSO、日本コーンスタ
ーチ株式会社(Japan Corn Starch Co.)、名古屋)‐20g/L;ファルマミディア
(Pharmamedia)‐15g/L;アーダマインpH(Ardamine pH)‐5g/L(Champlain I
nd.、Clifton、NJ);CaCO‐2g/L;2×bcfa(「bcfa」は分枝鎖脂肪酸を表す
)を含み、培地中に最終濃度50ppmの2-(+/-)-メチル酪酸、60ppmのイソ酪酸およ
び20ppmのイソ吉草酸を含む。pHを7.2に調整し、培地を121℃で25分間、加圧滅
菌した。
【0136】 チューブを17゜の角度で215rpm、29℃で3日間振盪した。播種培養物の2mlのア
リコートを、デンプン(希薄加熱デンプンまたはKOSO)‐160g/L;ニュートリソ
イ(Nutrisoy)(Archer Daniels Midland、Decatur、IL)‐10g/L;アーダマイ
ンpH(Ardamine pH)‐10g/L;KHPO‐2g/L;MgSO・4HO‐2g/L;FeSO・7
HO‐0.02g/L;MnCl‐0.002g/L;ZnSO・7HO‐0.002g/L;CaCO‐14g/L;
2×bcfa(上記の通り);およびシクロヘキサンカルボン酸(CHC)(pH 7.0の20
%溶液として調製)‐800ppmを含む25mlの産生培地を含む、300mlの三角フラス
コへの接種に用いた。pHを6.9に調製し、培地を121℃で25分間、加熱滅菌した。
【0137】 接種後にフラスコを200rpmで振盪しながら29℃で12日間インキュベートした。
インキュベート後に2mlの試料をフラスコから採取し、8mlのメタノールで希釈し
て混合し、混合物を1,250×gで10分間遠心してペレット片とした。その後ベック
マンウルトラスフィア(Beckman Ultrasphere)ODSカラム(25cm×内径4.6mm)
を流速0.75ml/分で用い、240nmの吸光度により検出するHPLCによって上澄みを定
量した。移動相は86/8.9/5.1のメタノール/水/アセトニトリルとした。
【0138】7.1.8. S.アベルミティリスPKS遺伝子の単離 S.アベルミティリス(ATCC 31272、SC-2)染色体DNAのコスミドライブラリー
を調製し、サッカロポリスポラ・エリスリア(Saccharopolyspora erythraea)
ポリケチドシンターゼ(PKS)遺伝子の断片から作製したケトシンターゼ(KS)
プローブとハイブリダイズさせた。コスミドライブラリーの調製に関する詳細な
説明は、サムブルック(Sambrook)ら、1989、上記に記載されている。ストレプ
トミセス染色体DNAライブラリーの調製に関する詳細な説明は、ホプウッド(Hop
wood)ら、1985、上記に記載されている。ケトシンターゼとハイブリダイズする
領域を含むコスミドクローンを、pEX26(Dr. P. Leadlay、Cambridge、UKにより
寄贈)由来の2.7Kb NdeI/Eco47III断片とのハイブリダイゼーションによって同
定した。約5ngのpEX26をNdeIおよびEco47IIIを用いて消化した。反応混合物を0.
8%シープラーク(SeaPlaque)GTGアガロースゲル(FMC BioProducts、Rockland
、ME)にロードした。2.7KbのNdeI/Eco47III断片を電気泳動後にゲルから切り出
し、ファーストプロトコール(Fast Protocol)を用いてエピセンターテクノロ
ジーズ(Epicentre Technologies)社のGELase(登録商標)を使用し、ゲルから
DNAを回収した。BRLニック翻訳システム(BRL Life Technologies, Inc.、Gaith
ersburg、MD)を業者の指示に従って用い、2.7KbのNdeI/Eco47III断片を[α-32P
]dCTP(デオキシシチジン5'-リン酸、テトラ(トリエチルアンモニウム)塩、[
α-32P]-](NEN-Dupont、Boston、MA)で標識した。典型的には0.05mlの容量中
で反応を行った。5μlの停止緩衝液を添加した後に、G-25セファデックスクイッ
クスピン(Sephadex Quick Spin)(登録商標)カラム(Boehringer Mannheim)
を業者の指示に従って用いて、取り込まれなかったヌクレオチドから標識DNAを
分離した。
【0139】 約1,800個のコスミドクローンをコロニーハイブリダイゼーションによりスク
リーニングした。サッカロポリスポラ・エリスリア(Sacc. erythraea)KSプロ
ーブと強くハイブリダイズした10個のクローンが同定された。コスミドDNAを含
む大腸菌コロニーをLB液体培地中で増殖させ、オートジェン540(AutoGen 540)
(登録商標)自動核酸分離装置内にある各培養物から、サイクル3(Cycle 3)(
付属ソフトウエア)を製造者の指示に従って用いて、コスミドDNAを単離した。
制限酵素マッピングおよびサザンブロットハイブリダイゼーション分析により、
クローンのうち5つが重複する染色体領域を含むことが明らかになった。重複す
るコスミドの分析およびハイブリダイゼーションにより、5つのコスミド(すな
わち、pSE65、pSE66、pSE67、pSE68、pSE69)のS.アベルミティリスのゲノムBam
HI制限酵素地図を作成した(図4)。
【0140】7.1.9.アベルメクチンB2:アベルメクチンB1比を調節するDNAの同定、およびave C ORFの同定 pSE66コスミドクローンに由来するサブクローニングされた断片を、AveC変異
株におけるアベルメクチンB2:アベルメクチンB1比を調節する能力に関して試験
するために、以下の方法を用いた。pSE66(5μg)をSacIおよびBamHIで消化した
。反応混合物を0.8%シープラーク(SeaPlaque)GTGアガロースゲル(FMC BioPr
oducts、Rockland、ME)にロードし、2.9KbのSacI/BamHI断片を電気泳動後にゲ
ルから切り出し、GELase(登録商標)(Epicentre Technologies)をファースト
プロトコール(Fast Protocol)にて用いてゲルからDNAを回収した。約5μgのシ
ャトルベクターpWHM3(Varaら、1989、J. Bacteriol. 171:5872〜5881)をSacI
およびBamHIで消化した。約0.5ngの2.9Kb挿入物および0.5μgの消化したpWHM3を
混合し、業者の指示に従い、リガーゼ(New England Biolabs, Inc.、Beverly、
MA)1単位とともに総容量20μlにおいて15℃で一晩インキュベートした。インキ
ュベート後に5μlの連結混合物を70℃で10分間インキュベートし、室温に冷却し
た上で、製造者の指示に従ってコンピテント大腸菌DH5α細胞(BRL)の形質転換
に用いた。
【0141】 プラスミドDNAをアンピシリン耐性形質転換体から単離し、2.9KbのSacI/BamHI
挿入物の存在を制限酵素処理分析によって確認した。このプラスミドをpSE119と
命名した。
【0142】 S.アベルミティリス1100-SC38株(Pfizer社自社株)のプロトプラストを調製
し、上記の第7.1.5項における記載の通りにpSE119による形質転換を行った。110
0-SC38株は、シクロヘキサンカルボン酸を補充した際にアベルメクチンシクロヘ
キシル-B1型と比べてアベルメクチンシクロヘキシル-B2型を著しく多く産生する
変異株である(B2:B1比が約30:1)。S.アベルミティリスのプロトプラストの
形質転換に用いたpSE119は、大腸菌GM2163株(Dr. B. J. Bachmann、Curator、E
. coli Genetic Stock Center、Yale Universityから入手)、大腸菌DM1株(BRL
)またはS.リビダンスTK64株のいずれかから単離した。1100-SC38株のチオスト
レプトン耐性形質転換体を単離し、発酵産物のHPLC分析によって分析した。pSE1
19を含むS.アベルミティリス1100-SC38株の形質転換体は、アベルメクチンシク
ロヘキシル-B2:シクロヘキシル-B1が約3.7:1という異なる比を産生した(表2
)。
【0143】 pSE119はあるAveC変異株においてアベルメクチンB2:アベルメクチンB1比を調
節しうることが確認されているため、挿入DNAの配列決定を行った。プラスミドD
NA単離キット(Qiagen、valencia、CA)を製造者の指示に従って用いて約10μg
のpSE119を単離し、ABI 373A自動DNAシークエンサー(Perkin Elmer、Foster Ci
ty、CA)を用いて配列を決定した。配列データのアセンブルおよび編集は遺伝子
コンピュータグループプログラム(Genetic Computer Group program)(GCG、M
adison、WI)を用いて行った。DNA配列およびaveC ORFは図1に示されている(配
列番号:1)。
【0144】 pSE118と命名した新たなプラスミドを以下の通りに構築した。約5μgのpSE66
をSphIおよびBamHIで消化した。反応混合物を0.8%シープラーク(SeaPlaque)G
TGアガロースゲル(FMC BioProducts)にロードし、2.8KbのSphI/BamHI断片を電
気泳動後にゲルから切り出し、GELase(登録商標)(Epicentre Technologies)
をファーストプロトコール(Fast Protocol)にて用いて、ゲルからDNAを回収し
た。約5μgのシャトルベクターpWHM3をSphIおよびBamHIで消化した。約0.5μgの
2.8Kb挿入物および0.5μgの消化したpWHM3を混合し、業者の指示に従い、リガー
ゼ(New England Biolabs)1単位とともに総容量20μlにおいて15℃で一晩イン
キュベートした。インキュベート後に5μlの連結混合物を70℃で10分間インキュ
ベートし、室温に冷却した上で、製造者の指示に従ってコンピテント大腸菌DH5
α細胞(BRL)の形質転換に用いた。プラスミドDNAをアンピシリン耐性形質転換
体から単離し、2.8KbのSphI/BamHI挿入物の存在を制限酵素処理分析によって確
認した。このプラスミドをpSE118と命名した。pSE118およびpSE119における挿入
DNAは、約838ヌクレオチドが重複する(図4)。
【0145】 上記のpSE118により、S.アベルミティリス1100-SC38株のプロトプラストの形
質転換を行った。1100-SC38株のチオストレプトン耐性形質転換体を単離し、発
酵産物のHPLC分析によって分析した。pSE118を含むS.アベルミティリス1100-SC3
8株の形質転換体では、1100-SC38株と比べて、アベルメクチンシクロヘキシル-B
2:アベルメクチンシクロヘキシル-B1の比は変化していなかった(表2)。
【0146】7.1.10. S.アベルミティリス染色体DNA由来のaveC遺伝子のPCR増幅 上記のようにして得たaveCヌクレオチド配列に基づいて設計したプライマーを
用いたPCR増幅により、aveC ORFを含む約1.2Kbの断片をS.アベルミティリス染色
体DNAから単離した。PCRプライマーはジェノシスバイオテクノロジーズ社(Geno
sys Biotechnologies, Inc.)(Texas)により入手した。右方向プライマーは とし、左方向プライマーは とした。PCR反応は、ディープベント(Deep Vent)(登録商標)ポリメラーゼ(
New England Biolabs)を用いて製造者により提供された緩衝液中で行い、最終
容量100μl中における300μM dNTP、10%グリセロール、200pmolの各プライマー
、0.1μgのテンプレートおよび2.5単位の酵素の存在下で、パーキンエルマー・
シータス(Perkin-Elmer Cetus)サーマルサイクラーを用いて行った。最初のサ
イクルの加熱プロフィールは、95℃ 5分間(変性段階)、60℃ 2分間(アニーリ
ングの段階)および72℃ 2分間(伸長段階)とした。続く24サイクルでは、変性
段階を45秒間に短縮し、アニーリングの段階を1分間に短縮した以外は同様の加
熱プロフィールを用いた。
【0147】 1%アガロースゲルにてPCR産物の電気泳動を行ったところ、約1.2Kbに単一のD
NAバンドが検出された。このDNAをゲルから精製し、製造者の指示に従い、ベク
ター対挿入物のモル比を1:10として25ngの線状平滑末端pCR-Bluntベクター(In
vitrogen)と連結させた。製造者の指示に従って、連結混合物をワンショット(
One Shot)(登録商標)コンピテント大腸菌細胞(Invitrogen)の形質転換に用
いた。プラスミドDNAをアンピシリン耐性形質転換体から単離し、1.2Kbの挿入物
の存在を制限酵素処理分析によって確認した。このプラスミドをpSE179と命名し
た。
【0148】 BamHI/XbaIによる消化によってpSE179から挿入DNAを単離し、電気泳動後によ
って分離した上でゲルから精製し、総DNA濃度1μgにてベクター-挿入物のモル比
を1:5として、同じくBamHI/XbaIで消化したシャトルベクターpWHM3と連結させ
た。製造者の指示に従い、連結混合物をコンピテント大腸菌DH5α細胞の形質転
換に用いた。プラスミドDNAをアンピシリン耐性形質転換体から単離し、約1.2Kb
の挿入物の存在を制限酵素処理分析によって確認した。pSE186(図2、ATCC 2096
04)と命名したこのプラスミドを大腸菌DM1株に形質転換し、アンピシリン耐性
形質転換体からプラスミドDNAを単離した。
【0149】7.2. 結果 pSE119から得た2.9KbのSacI/BamHI断片は、S.アベルミティリス1100-SC38株に
形質転換すると、B2アベルメクチン:B1アベルメクチン産生の比を著しく変化さ
せることが確認された。S.アベルミティリス1100-SC38株のB2:B1比は通常は約3
0:1であるが、2.9Kb SacI/BamHI断片を含むベクターにより形質転換されるとB2
アベルメクチン:B1アベルメクチンの比は約3.7:1に低下した。形質転換体の培
養物の発酵後分析により、形質転換DNAの存在が立証された。
【0150】 2.9KbのpSE119断片の配列を決定したところ、B2産物のみを産生するように別
の箇所ですでに変異させたPstI/SphI断片を含む(Ikedaら、1995、上記)、約0.
9KbのORFが同定された(図1)(配列番号:1)。このORFまたはこれに対応する
推定ポリペプチドと既知のデータベース(GenEMBL、SWISS-PROT)との比較では
、既知のDNAまたはタンパク質配列との強い相同性は認められなかった。
【0151】 表2は、種々のプラスミドにより形質転換されたS.アベルミティリス1100-SC38
株の発酵分析を示している。
【0152】
【表2】
【0153】8. 実施例:S.アベルミティリスAveC変異株の作製 本実施例では、上記の組成物および方法を用いたいくつかの異なるS.アベルミ
ティリスAveC変異株の作製について述べる。ストレプトミセスの遺伝子に変異を
導入するための一般的な説明は、キーザー(Kieser)およびホプウッド(Hopwoo
d)、1991、Meth. Enzym. 204:430〜458に記載されている。より詳細な説明は
、アンザイ(Anzai)ら、1988、J. Antibiot. XLI(2):226-233およびステュ
ッツマン-エングウォール(Stutzman-Engwall)ら、1992、J. Bacteriol. 174(
1):144〜154に示されている。これらの参考文献はその全体が参照として本明
細書に組み入れられる。
【0154】 8.1. S.アベルミティリスaveC遺伝子の不活性化 以下に記載するいくつかの方法を用いて、不活性化されたaveC遺伝子を含むAv
eC変異株を作製した。
【0155】 第1の方法では、pSE119(上記の第7.1.9項で説明したプラスミド)中のaveC遺
伝子の内部の640bpのSphI/PstI断片を、サッカロポリスポラ・エリスリア由来の
ermE遺伝子(エリスロマイシン耐性に関するもの)により置換した。BglIIおよ
びEcoRIによる制限酵素消化によってpIJ4026(John Innes Institute、Norwich
、U.Kにより提供;Bibbら、1985、Gene 41:357〜368も参照のこと)からermE遺
伝子を単離し、電気泳動を行ってゲルから精製した。この約1.7Kbの断片をBamHI
およびEcoRIで消化したpGEM7Zf(Promega)中に連結し、連結混合物を製造者の
指示に従ってコンピテント大腸菌DH5α細胞に形質転換した。プラスミドDNAをア
ンピシリン耐性形質転換体から単離し、約1.7Kbの挿入物の存在を制限酵素処理
分析によって確認した。このプラスミドをpSE27と命名した。
【0156】 pSE118(上記の第7.1.9項で説明)をSphIおよびBamHIで消化し、消化産物の電
気泳動を行って約2.8KbのSphI/BamHI挿入物をゲルから精製した。pSE119をPstI
およびEcoRIで消化し、消化産物の電気泳動を行って約1.5KbのPstI/EcoRI挿入物
をゲルから精製した。シャトルベクターpWHM3はBamHIおよびEcoRIで消化した。p
SE27はPstIおよびSphIで消化し、消化産物をの電気泳動を行って約1.7KbのPstI/
SphI挿入物をゲルから精製した。4つの断片のすべて(すなわち、約2.8Kb、約1.
5Kb、約7.2Kb、約1.7Kb)を四通りに互いに連結させた。製造者の指示に従って
、連結混合物をコンピテント大腸菌DH5α細胞に形質転換した。プラスミドDNAを
アンピシリン耐性形質転換体から単離し、正しい挿入物の存在を制限酵素処理分
析によって確認した。このプラスミドをpSE180(図3;ATCC 209605)と命名した
【0157】 pSE180をS.リビダンスTK64株に形質転換し、チオストレプトンおよびエリスロ
マイシンに対する耐性によって形質転換コロニーを同定した。pSE180をS.リビダ
ンスから単離し、S.アベルミティリスのプロトプラストの形質転換に用いた。4
種のチオストレプトン耐性S.アベルミティリス形質転換体を同定し、プロトプラ
ストを調製して、非選択条件下でRM14培地上に播いた。プロトプラストが再生し
た後に、不活性化されたaveC遺伝子の染色体への組み込み、および遊離レプリコ
ンの消失を示す、エリスロマイシン耐性の存在及びチオストレプトン耐性の欠如
に関して、単一コロニーをスクリーニングした。Erm Thio形質転換体を1つ
同定し、SE180-11株と命名した。SE180-11株から全染色体DNAを単離し、制限酵
素BamHI、HindIII、PstIまたはSphIによって消化し、0.8%アガロースゲル上で
の電気泳動によって分離させた後にナイロン膜に移し、ermEプローブとハイブリ
ダイズさせた。これらの分析により、ermE耐性遺伝子の染色体への組み込みと同
時に640bpのPstI/SphI断片の欠失が二重交差事象によって起こったことが示され
た。SE180-11株の発酵産物のHPLC分析により、通常のアベルメクチンは産生され
ていないことが示された(図5A)。
【0158】 aveC遺伝子を不活性化するための第2の方法では、S.アベルミティリスSE180-1
1株の染色体から1.7KbのermE遺伝子を除去し、aveC遺伝子に640bp PstI/SphIの
欠失が生じさせた。遺伝子置換プラスミドは以下のように構築した:pSE180をXb
aIで部分的に消化し、約11.4Kbの断片をゲルから精製した。約11.4Kbのバンドは
1.7KbのermE耐性遺伝子が欠如している。その後DNAを連結し、大腸菌DH5α細胞
に形質転換した。プラスミドDNAをアンピシリン耐性形質転換体から単離し、正
しい挿入物の存在を制限酵素処理分析によって確認した。pSE184と命名したこの
プラスミドを大腸菌DM1株に形質転換し、プラスミドDNAをアンピシリン耐性形質
転換体から単離した。このプラスミドをS.アベルミティリスSE180-11株のプロト
プラストの形質転換に用いた。SE180-11株のチオストレプトン耐性形質転換体か
らプロトプラストを調製し、単一コロニーとしてRM14上に播いた。プロトプラス
トが再生した後に、不活性化されたaveC遺伝子の染色体の組み込みおよびermE遺
伝子を含む遊離レプリコンの消失を示す、エリスロマイシン耐性およびチオスト
レプトン耐性の両方の欠如に関して、単一コロニーをスクリーニングした。Erm
Thio形質転換体を1つ同定し、SE184-1-13株と命名した。SE184-1-13株の発
酵分析により、通常のアベルメクチンは産生されておらず、SE184-1-13株がSE18
0-11株と同じ発酵プロフィールを有することが示された。
【0159】 aveC遺伝子を不活性化するための第3の方法では、PCRを用いて471位のヌクレ
オチドCの後に2つのGを付加することによって染色体aveC遺伝子にフレームシフ
トを導入し、それによってBspE1部位を作製した。作製したBspE1部位の存在は遺
伝子置換事象の検出に有用であった。aveC遺伝子にフレームシフト変異を導入す
るためのPCRプライマーを設計し、ジェノシスバイオテクノロジーズ社(Genosys
Biotechnologies, Inc)から供給された。右方向プライマーは とし、左方向プライマーは とした。PCR条件は上記の第7.1.10項に記載した通りとした。666bpのPCR産物をS
phIで消化し、それぞれ278bpおよび388bp2つの断片を得た。388bの断片をゲルか
ら精製した。
【0160】 遺伝子置換プラスミドは以下の通りに構築した:シャトルベクターpWHM3をEcoRI
およびBamHIで消化した。pSE119をBamHIおよびSphIで消化し、消化産物の電気泳
動を行って約840bpの断片をゲルから精製した。pSE119はEcoRIおよびXmnIで消化
し、消化産物の電気泳動を行って約1.7Kbの断片をゲルから精製した。4つの断片
のすべて(すなわち、約7.2Kb、約840bp、約1.7Kbおよび388bp)を四通りに連結
させた。製造者の指示に従って、連結混合物をコンピテント大腸菌DH5α細胞に
形質転換した。プラスミドDNAをアンピシリン耐性形質転換体から単離し、正し
い挿入物の存在を制限酵素処理分析およびDNA配列解析によって確認した。pSE18
5と命名したこのプラスミドを大腸菌DM1株に形質転換し、プラスミドDNAをアン
ピシリン耐性形質転換体から単離した。このプラスミドをS.アベルミティリス11
00-SC38株のプロトプラストの形質転換に用いた。1100-SC38株のチオストレプト
ン耐性形質転換体を単離し、発酵産物のHPLC分析によって分析した。S.アベルミ
ティリス1100-SC38株に形質転換した場合、pSE185はB2アベルメクチン:B1アベ
ルメクチン比を有意に変化させなかった(表2)。
【0161】 pSE185をS.アベルミティリスのプロトプラストの形質転換に用いて、染色体の
aveC遺伝子中にフレームシフト変異を作製した。チオストレプトン耐性形質転換
体からプロトプラストを調製し、単一のコロニーとしてRM14上に播いた。プロト
プラストが再生した後に、単一コロニーを、チオストレプトン耐性が存在しない
点に関してスクリーニングした。チオストレプトン感受性コロニーから染色体DN
Aを単離し、染色体に組み込まれたフレームシフト変異の存在に関してPCRによっ
てスクリーニングした。aveCヌクレオチド配列に基づいてPCRプライマーを設計
し、ジェノシスバイオテクノロジーズ社(Genosys Biotechnologies, Inc.)(T
exas)から入手した。右方向PCRプライマーは 、左方向PCRプライマーは とし、PCR条件は上記の第7.1.10項に記載された通りとした。得られたPCR産物は
543bpであり、BspE1で消化すると368bp、96bpおよび79bpの3つの断片が認められ
、このことから不活性化されたaveC遺伝子の染色体への組み込み、および遊離レ
プリコンの消失が示された。
【0162】 aveC遺伝子中にフレームシフト変異を含むS.アベルミティリス変異株の発酵分
析により、通常のアベルメクチンは産生されておらず、これらの変異株がSE180-
11株およびSE184-1-13株と同じ発酵HPLCプロフィールを有することが示された。
ThiosST形質転換体を1つ同定し、SE185-5a株と命名した。
【0163】 さらに、520位のヌクレオチドをGからAに変化させ、トリプトファン(W)をコ
ードする116位のコドンを終止コドンに変化させるaveC遺伝子における変異を作
製した。この変異を有するS.アベルミティリス株は通常のアベルメクチンを産生
せず、SE180-11株、SE184-1-13株およびSE18S-5a株と同じ発酵プロフィールを有
していた。
【0164】 さらに、(i)970位のヌクレオチドをGからAに変化させ、266位のアミノ酸を
グリシン(G)からアスパラギン酸(D)に変化させる、および(ii)996位のヌ
クレオチドをTからCに変化させ、275位のアミノ酸をチロシン(Y)からヒスチジ
ン(H)に変化させる、両方の変化を生じるaveC遺伝子における変異を作製した
。これらの変異(G256D/Y275H)を有するS.アベルミティリス株は通常のアベル
メクチンを産生せず、SE180-11株、SE184-1-13株およびSE18S-5a株と同じ発酵プ
ロフィールを有した。
【0165】 S.アベルミティリスaveC不活性化変異株であるSE180-11、SE184-1-13、5E185-
5aおよび本明細書で提供する他の株により、aveC遺伝子における他の変異の影響
を評価するためのスクリーニング法が提供される。aveC遺伝子の野生型コピーを
含むpSE186を大腸菌DM1株に形質転換し、プラスミドDNAをアンピシリン耐性形質
転換体から単離した。このpSE186 DNAをS.アベルミティリスSE180-11株のプロト
プラストの形質転換に用いた。SE180-11株のチオストレプトン耐性形質転換体を
単離し、エリスロマイシン耐性の存在を判定して、Thior Ermr形質転換体を発酵
産物のHPLC分析によって分析した。イントランスの(in trans)機能的aveC遺伝
子の存在により、SE180-11株は通常のアベルメクチン産生能を回復した(図5B)
【0166】8.2. クラスB2:B1比を変化させるaveC遺伝子における変異の分析 上記のように、不活性型aveC遺伝子を含むS.アベルミティリスSE180-11株は、
機能的aveC遺伝子を含むプラスミド(pSE186)の形質転換によって補完された。
以下に記載するように、SE180-11株を、aveC遺伝子における他の変異の特徴決定
のための宿主株としても用いた。
【0167】 染色体DNAを1100-SC38株から単離し、aveC遺伝子のPCR増幅用のテンプレート
として用いた。aveCヌクレオチド配列に基づいて設計したプライマーを用いたPC
R増幅により、1.2KbのORFを単離した。右方向プライマーは配列番号:6、左方向
プライマーは配列番号:7とした(上記の第7.1.10項を参照されたい)。PCRおよ
びサブクローニングの条件は第7.1.10項に記載した通りとした。1.2KbのORFのDN
A配列解析により、337位のヌクレオチドをCからTに変化させ、55位のアミノ酸を
セリン(S)からフェニルアラニン(F)に変化させるaveC遺伝子における変異が
示された。このS55F変異を含むaveC遺伝子をpWHM3中にサブクローニングしてpSE
187と命名したプラスミドを作製し、S.アベルミティリスSE180-11株のプロトプ
ラストの形質転換に用いた。SE180-11株のチオストレプトン耐性形質転換体を単
離し、エリスロマイシン耐性の存在を判定して、Thior Ermr形質転換体を発酵産
物のHPLC分析によって分析した。アミノ酸残基55の変化(S55F)をコードするav
eC遺伝子により、SE180-11株は通常のアベルメクチン産生能を回復した(図5C)
。しかし、pSE186により形質転換されたSE180-11株ではシクロヘキシルB2:シク
ロヘキシルB1比が約1.6:1であったのに対して(表3)、B2: B1比は約26:1で
あり、これはこの単一の変異(S55F)が、シクロヘキシル-B1に対してシクロヘ
キシル-B2の産生量を相対的に調節することを示している。
【0168】 862位のヌクレオチドをGからAに変化させ、230位のアミノ酸をグリシン(G)
からアスパラギン酸(D)に変化させる、aveC遺伝子におけるもう1つの変異が同
定された。この変異(G230D)を有するS.アベルミティリス株は約30:1のB2:B1
比でアベルメクチンを産生した。
【0169】8.3. B2:B1比を低下させる変異 シクロヘキシル-B1に対してシクロヘキシル-B2の産生量を相対的に低下させる
いくつかの変異を以下の通りに作製した。
【0170】 588位のヌクレオチドをGからAに変化させ、139位のアミノ酸をアラニン(A)
からトレオニン(T)に変化させる、aveC遺伝子における変異が同定された。こ
のA139T変異を含むaveC遺伝子をpWHM3中にサブクローニングして、pSE188と命名
したプラスミドを作製し、S.アベルミティリスSE180-11株のプロトプラストの形
質転換に用いた。SE180-11株のチオストレプトン耐性形質転換体を単離し、エリ
スロマイシン耐性の存在を判定して、Thior Ermr形質転換体を発酵産物のHPLC分
析によって分析した。アミノ酸残基139の変化(A139T)をコードする変異型aveC
遺伝子によって、SE180-11株は通常のアベルメクチン産生能を回復した(図5D)
。しかし、B2:B1比は約0.94:1であり、これはこの変異がシクロヘキシル-B1に
対してシクロヘキシル-B2の産生量を相対的に減少させることを示す。上記の変
異の結果と同様に、公表されている結果では、aveC遺伝子の不活性化またはB1型
と対比してのB2型アベルメクチン産生の増加のいずれかのみが示されていたこと
から、この結果は予想外であった(表3)。
【0171】 A139T変異がB2:B1比をよりB1が有意な方向に変化させたことから、アミノ酸1
38位でセリンの代わりにトレオニンをコードする変異を作製した。すなわち、pS
E186をEcoRIで消化し、EcoRIで消化したpGEM3Zf(Promega)中にサブクローニン
グした。pSE186aと命名したこのプラスミドをApaIおよびKpnIで消化し、DNA断片
をアガロースゲルで分離して、約3.8Kbおよび約0.4Kbの2つの断片をゲルから精
製した。pSE186由来の約1.2Kbの挿入DNAを、585位のヌクレオチドに単一の塩基
変化を導入するためのPCRテンプレートとして用いた。585位のヌクレオチドに変
異を導入するためのPCRプライマーを設計し、ジェノシスバイオテクノロジーズ
社(Genosys Biotechnologies, Inc.)(Texas)から入手した。右方向PCRプラ
イマーは とし、左方向PCRプライマーは とした。PCR反応はアドバンテージ(Advantage)GCゲノムPCRキット(Clonetech
Laboratories、Palo Alto、CA)を製造者により提供された緩衝液中で用い、最
終容量50μl中にて200μM dNTP、200pmolの各プライマー、50ngのテンプレートD
NA、1.0M GC-Meltおよび1単位のクレンタック(KlenTaq)ポリメラーゼミックス
の存在下で行った。加熱プロフィールは、最初のサイクルを94℃ 1分間、続いて
94℃ 30秒間および68℃ 2分間を25サイクル、ならびに68℃ 3分間を1サイクルと
した。295bpのPCR産物をApaIおよびKpnIで消化して254bp断片を遊離させ、これ
を電気泳動によって分離させてゲルから精製した。3つの断片のすべて(約3.8Kb
、約0.4Kbおよび254bp)を三者間連結によって互いに連結させた。連結混合物を
コンピテント大腸菌DH5α細胞に形質転換した。プラスミドDNAをアンピシリン耐
性形質転換体から単離し、正しい挿入物の存在を制限酵素処理分析によって確認
した。このプラスミドをpSE198と命名した。
【0172】 pSE198をEcoRIで消化し、EcoRIで消化したpWHM3中にサブクローニングして、
大腸菌DH5α細胞に形質転換した。プラスミドDNAをアンピシリン耐性形質転換体
から単離し、正しい挿入物の存在を制限酵素処理分析およびDNA配列解析によっ
て確認した。このプラスミドDNAを大腸菌DM1株に形質転換し、プラスミドDNAを
アンピシリン耐性形質転換体から単離して、正しい挿入物の存在を制限酵素処理
分析によって確認した。pSE199と命名したこのプラスミドをS.アベルミティリス
SE180-11株のプロトプラストの形質転換に用いた。SE180-11株のチオストレプト
ン耐性形質転換体を単離し、エリスロマイシン耐性の存在を判定して、Thior Er
mr形質転換体を発酵産物のHPLC分析によって分析した。アミノ酸残基138での変
化(S138T)をコードする変異型aveC遺伝子の存在により、SE180-11株はアベル
メクチン産生能を回復した。しかし、B2:B1比は0.88:1であり、これはこの変
異がシクロヘキシル-B1に対するシクロヘキシル-B2の産生量を相対的に減少させ
ることを示している(表3)。このB2:B1比は、上記のpSE188によるSE180-11株
の形質転換によって生じるA139T変異で認められる0.94:1という比よりもはるか
に低い。
【0173】 138位および139位のアミノ酸の両方にトレオニンを導入するために別の変異を
作製した。pSE186由来の約1.2Kbの挿入DNAをPCRテンプレートとして用いた。585
位および588位のヌクレオチドに変異を導入するためのPCRプライマーを設計し、
ジェノシスバイオテクノロジーズ社(Genosys Biotechnologies, Inc.)(Texas
)から入手した。右方向PCRプライマーは とし、左方向PCRプライマーは とした。PCR反応は、直前の項に記載した通りの条件を用いて行った。449bpのPC
R産物をApaIおよびKpnIで消化して254bp断片を遊離させ、これを電気泳動によっ
て分離させてゲルから精製した。pSE186aをApaIおよびKpnIで消化し、DNA断片を
アガロースゲルで分離して、約3.8Kbおよび約0.4Kbの2つの断片をゲルから精製
した。3つの断片のすべて(約3.8Kb、約0.4Kbおよび254bp)を三者間連結によっ
て互いに連結させ、連結混合物をコンピテント大腸菌DH5α細胞に形質転換した
。プラスミドDNAをアンピシリン耐性形質転換体から単離し、正しい挿入物の存
在を制限酵素処理分析によって確認した。このプラスミドをpSE230と命名した。
【0174】 pSE230をEcoRIで消化し、EcoRIで消化したpWHM3中にクローニングして大腸菌D
H5α細胞に形質転換した。プラスミドDNAをアンピシリン耐性形質転換体から単
離し、正しい挿入物の存在を制限酵素処理分析およびDNA配列解析によって確認
した。このプラスミドDNAを大腸菌DM1株に形質転換し、プラスミドDNAをアンピ
シリン耐性形質転換体から単離して、正しい挿入物の存在を制限酵素処理分析に
よって確認した。pSE231と命名したこのプラスミドをS.アベルミティリスSE180-
11株のプロトプラストの形質転換に用いた。SE180-11株のチオストレプトン耐性
形質転換体を単離し、エリスロマイシン耐性の存在を判定して、Thior Ermr形質
転換体を発酵によって分析した。S138T/A139Tをコードする二重変異型aveC遺伝
子の存在により、SE180-11株は通常のアベルメクチン産生能を回復した。しかし
、B2:B1比は0.84:1であり、これはこの変異が、上記のpSE188またはpSE199に
よるSE180-11株の形質転換体における減少を上回って、シクロヘキシル-B1と対
比したシクロヘキシル-B2の産生量をさらに減少させることを示している(表3)
【0175】 シクロヘキシル-B1と対比したシクロヘキシル-B2の産生量をさらに減少させる
ために、別の変異を作製した。S138T/A139T変異がB2:B1比をよりB1が優位な方
向に変化させたことから、アミノ酸138位にトレオニンを導入し、アミノ酸139位
にフェニルアラニンを導入するための変異を作製した。pSE186由来の約1.2Kbの
挿入DNAをPCRテンプレートとして用いた。585位(TがAに変化)、588位(GがTに
変化)および589位(CがTに変化)のヌクレオチドに変異を導入するためのPCRプ
ライマーを設計し、ジェノシスバイオテクノロジーズ社(Genosys Biotechnolog
ies, Inc.)(Texas)から入手した。右方向PCRプライマーは とし、左方向PCRプライマーは とした。PCR反応はアドバンテージ(Advantage)GCゲノムPCRキット(Clonetech
Laboratories、Palo Alto、CA)を製造者により提供された緩衝液中で用い、最
終容量50μl中にて200μM dNTP、200pmolの各プライマー、50ngのテンプレートD
NA、1.1mM酢酸マグネシウム、1.0M GC-Meltおよび1単位のTth DNAポリメラーゼ
の存在下で行った。加熱プロフィールは、最初のサイクルを94℃ 1分間、続いて
94℃ 30秒間および68℃ 2分間を25サイクル、ならびに68℃ 3分間を1サイクルと
した。449bpのPCR産物をApaIおよびKpnIで消化して254bp断片を遊離させ、これ
を電気泳動によって分離させてゲルから精製した。3つの断片のすべて(約3.8Kb
、約0.4Kbおよび254bp)を三者間連結によって互いに連結させた。連結混合物を
コンピテント大腸菌DH5α細胞に形質転換した。プラスミドDNAをアンピシリン耐
性形質転換体から単離し、正しい挿入物の存在を制限酵素処理分析によって確認
した。このプラスミドをpSE238と命名した。
【0176】 pSE238をEcoRIで消化し、EcoRIで消化したpWHM3中にサブクローニングして、
大腸菌DH5α細胞に形質転換した。プラスミドDNAをアンピシリン耐性形質転換体
から単離し、正しい挿入物の存在を制限酵素処理分析およびDNA配列解析によっ
て確認した。このプラスミドDNAを大腸菌DM1株に形質転換し、プラスミドDNAを
アンピシリン耐性形質転換体から単離して、正しい挿入物の存在を制限酵素処理
分析によって確認した。pSE239と命名したこのプラスミドをS.アベルミティリス
SE180-11株のプロトプラストの形質転換に用いた。SE180-11株のチオストレプト
ン耐性形質転換体を単離し、エリスロマイシン耐性の存在を判定して、Thior Er
mr形質転換体を発酵産物のHPLC分析によって分析した。S138T/A139Fをコードす
る二重変異型aveC遺伝子の存在により、SE180-11株は通常のアベルメクチン産生
能を回復した。しかし、B2:B1比は0.75:1であり、これはこの変異が、上記のp
SE188、pSE199またはpSE231によるSE180-11株の形質転換体における減少を上回
って、シクロヘキシル-B1と対比したシクロヘキシル-B2の産生量をさらに減少さ
せることを示している(表3)。
【0177】
【表3】
【0178】 シクロヘキシル-B1と対比したシクロヘキシル-B2の産生量をさらに減少させる
ために、ステンマー(Stemmer)、1994、Nature 370:389〜391;およびステン
マー(Stemmer)、1994、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:10747〜10751に記載
され、米国特許第5605793号、第5811238号、第5830721号および第5837458号にも
さらに記載されている、DNAシャフリング技術を用いて別の変異を作製した。
【0179】 変異型aveC遺伝子を含む、DNAがシャフリングされたプラスミドをコンピテン
トdam dcm大腸菌細胞に形質転換した。プラスミドDNAをアンピシリン耐性形質転
換体から単離し、S.アベルミティリスSE180-11株のプロトプラストの形質転換に
用いた。SE180-11株のチオストレプトン耐性形質転換体を単離し、産生されるア
ベルメクチンのシクロヘキシル-B2:シクロヘキシル-B1比が1:1以下という条件
でスクリーニングした。1:1以下のB2:B1比でアベルメクチンを産生するSE180-
11形質転換体由来のプラスミドDNAのDNA配列を決定した。
【0180】 シクロヘキシル-B1と対比したシクロヘキシル-B2の産生量が減少している8種
類の形質転換体が同定された。これらの形質転換体で得られたB2:B1比のうち最
も低かったものは04:1であった(表4)。8種の形質転換体のそれぞれからプラ
スミドDNAを単離し、aveC遺伝子における変異を同定するためにDNA配列を決定し
た。変異は以下の通りである。
【0181】 pSE290は、317位のヌクレオチドにTからA、353位のヌクレオチドにCからA、43
8位のヌクレオチドにGからA、及び1155位のヌクレオチドにTからAという4つのヌ
クレオチド変異を含む。317位のヌクレオチドでのヌクレオチド変化は48位のア
ミノ酸をDからEに変化させ、438位のヌクレオチドでのヌクレオチド変化は89位
のアミノ酸をAからTに変化させる。このプラスミドを有する細胞によって産生さ
れるB2:B1比は0.42:1であった(表4)。
【0182】 pSE291は、272位のヌクレオチドにおいてGからA、585位のヌクレオチドにおい
てTからA、588位のヌクレオチドにおいてGからA、及び708位のヌクレオチドにお
いてGからAという4つのヌクレオチド変異を含む。585位のヌクレオチドでのヌク
レオチド変化は138位のアミノ酸をSからTに変化させ、588位のヌクレオチドでの
ヌクレオチド変化は139位のアミノ酸をAからTに変化させ、708位のヌクレオチド
でのヌクレオチド変化は179位のアミノ酸をGからSに変化させる。このプラスミ
ドを有する細胞によって産生されるB2:B1比は0.57:1であった(表4)。
【0183】 pSE292は、pSE290と同じ4つのヌクレオチド変異を含む。このプラスミドを有
する細胞によって産生されるB2:B1比は0.40:1であった(表4)。
【0184】 pSE293は、24位のヌクレオチドにおいてAからG、286位のヌクレオチドにおい
てAからC、497位のヌクレオチドにおいてTからC、554位のヌクレオチドにおいて
CからT、580位のヌクレオチドにおいてTからC、及び886位のヌクレオチドにおい
てAからTという6つのヌクレオチド変異を含む。286位のヌクレオチドでのヌクレ
オチド変化は38位のアミノ酸をQからPに変化させ、580位のヌクレオチドでのヌ
クレオチド変化は136位のアミノ酸をLからPに変化させ、886位のヌクレオチドで
のヌクレオチド変化は238位のアミノ酸をEからDに変化させる。このプラスミド
を有する細胞によって産生されるB2:B1比は0.68:1であった(表4)。
【0185】 pSE294は、469位のヌクレオチドにおいてTからC、585位のヌクレオチドにおい
てTからA、588位のヌクレオチドにおいてGからA、708位のヌクレオチドにおいて
GからA、833位のヌクレオチドにおいてCからT、及び1184位のヌクレオチドにお
いてGからAという6つのヌクレオチド変異を含む。さらに、173位、174位および1
75位のヌクレオチドは欠失している。469位のヌクレオチドでのヌクレオチド変
化は99位のアミノ酸をFからSに変化させ、585位のヌクレオチドでのヌクレオチ
ド変化は138位のアミノ酸をSからTに変化させ、588位のヌクレオチドでのヌクレ
オチド変化は139位のアミノ酸をAからTに変化させ、708位のヌクレオチドでのヌ
クレオチド変化は179位のアミノ酸をGからSに変化させる。このプラスミドを有
する細胞によって産生されるB2:B1比は0.53:1であった(表4)。
【0186】 pSE295は、588位のヌクレオチドにおいてGからA、及び856位のヌクレオチドに
おいてTからCという2つのヌクレオチド変異を含む。588位のヌクレオチドでのヌ
クレオチド変化は139位のアミノ酸をAからTに変化させ、856位のヌクレオチドで
のヌクレオチド変化は228位のアミノ酸をMからTに変化させる。このプラスミド
を有する細胞によって産生されるB2:B1比は0.80:1であった(表4)。
【0187】 pSE296は、155位のヌクレオチドにおいてTからC、505位のヌクレオチドにおい
てGからT、1039位のヌクレオチドにおいてCからT、1202位のヌクレオチドにおい
てCからT、及び1210位のヌクレオチドにおいてTからCという5つのヌクレオチド
変異を含む。505位のヌクレオチドでのヌクレオチド変化は111位のアミノ酸をG
からVに変化させ、1039位のヌクレオチドでのヌクレオチド変化は289位のアミノ
酸をPからLに変化させうる。このプラスミドを有する細胞によって産生されるB2
:B1比は0.73:1であった(表4)。
【0188】 pSE297は、377位のヌクレオチドにおいてGからT、588位のヌクレオチドにおい
てGからA、633位のヌクレオチドにおいてAからG、及び1067位のヌクレオチドに
おいてAからTという4つのヌクレオチド変異を含む。588位のヌクレオチドでのヌ
クレオチド変化は139位のアミノ酸をAからTに変化させ、633位のヌクレオチドで
のヌクレオチド変化は154位のアミノ酸をKからEに変化させ、1067位のヌクレオ
チドでのヌクレオチド変化は298位のアミノ酸をQからHに変化させる。このプラ
スミドを有する細胞によって産生されるB2:B1比は0.67:1であった(表4)。
【0189】
【表4】
【0190】9. 実施例:5'欠失変異株の作製 上記の第5.1項で説明した通り、図1に示されたS.アベルミティリスのヌクレオ
チド配列(配列番号:1)は、開始部位の可能性がある42位、174位、177位およ
び180位の塩基に4つの異なるGTGコドンを含む。この項では、これらのコドンの
うちどれがaveC ORFにおけるタンパク質発現の開始部位として機能するかを明ら
かにする一助とするための、aveC ORF(図1;配列番号:1)の5'領域における多
数の欠失体の作製に関して記載する。
【0191】 5'末端にさまざまな欠失のあるaveC遺伝子の断片をPCR増幅によってS.アベル
ミティリス染色体DNAから単離した。aveC DNA配列に基づいてPCRプライマーを設
計し、ジェノシスバイオテクノロジーズ社(Genosys Biotechnologies, Inc)か
ら入手した。右方向プライマーは とした。左方向プライマーは とした。PCR反応は上記の第8.3項における記載の通りに行った。
【0192】 PCR産物を1%アガロースゲル中での電気泳動によって分離し、約1.0Kbまたは
約1.1Kbの単一のDNAバンドを検出した。PCR産物をゲルから精製し、製造者の指
示に従い、ベクター対挿入物のモル比を1:10として25ngの線状pCR2.1ベクター
(Invitrogen)と連結させた。製造者の指示に従って、連結混合物をワンショッ
ト(One Shot)(登録商標)コンピテント大腸菌細胞(Invitrogen)の形質転換
に用いた。プラスミドDNAをアンピシリン耐性形質転換体から単離し、挿入物の
存在を制限酵素処理分析およびDNA配列解析によって確認した。これらのプラス
ミドをpSE190(プライマーD1F1により入手)、pSE191(プライマーD1F2により入
手)、pSE192(プライマーD1F3により入手)およびpSE193(プライマーD2F2によ
り入手)と命名した。
【0193】 挿入DNAをそれぞれBamHI/XbaIで消化し、電気泳動によって分離させてゲルか
ら精製して、総DNA濃度1μgにてベクター対挿入物のモル比を1:5として、BamHI
/XbaIで消化したシャトルベクターpWHM3と個別に連結させた。連結混合物をコン
ピテント大腸菌DH5α細胞の形質転換に用いた。プラスミドDNAをアンピシリン耐
性形質転換体から単離し、挿入物の存在を制限酵素処理分析によって確認した。
pSE194(D1F1)、pSE195(D1F2)、pSE196(D1F3)およびpSE197(D2F2)と命名
したこれらのプラスミドをそれぞれ別個に大腸菌DM1株に形質転換し、アンピシ
リン耐性形質転換体からプラスミドDNAを単離して、正しい挿入物の存在を制限
酵素処理分析によって確認した。このDNAをS.アベルミティリスSE180-11株のプ
ロトプラストの形質転換に用いた。SE180-11株のチオストレプトン耐性形質転換
体を単離し、エリスロマイシン耐性の存在を判定し、Thior Ermr形質転換体を発
酵産物のHPLC分析によって分析して、どのGTG部位がaveCの発現に必要であるか
を決定した。この結果、いずれも42位のGTG部位が欠失しているものの174、177
および180位の3つのGTG部位を含むpSE194、pSE195およびpSE196のそれぞれは、S
E180-11株に形質転換すると通常のアベルメクチン産生が回復したことから、42
位にあるGTG部位を除去してもAveC活性には影響を与えないことが示された。4つ
のGTG部位がすべて欠失したpSE197によりSE180-11株を形質転換しても通常のア
ベルメクチン産生は回復しなかった(表5)。
【0194】
【表5】
【0195】10. 実施例:S.ハイグロスコピカスおよびS.グリセオクロモゲネス由来のaveC相 同体のクローニング 本発明により、アベルメクチンまたはミルベマイシンを産生する他のストレプ
トミセス種由来のaveC相同体遺伝子の同定およびクローニングが可能となる。そ
の例として、S.ハイグロスコピカス(FERM BP-1901)ゲノムDNAのコスミドライ
ブラリーを上記のS.アベルミティリス由来の1.2Kb aveCプローブとハイブリダイ
ズさせた。強くハイブリダイズするいくつかのコスミドクローンが同定された。
これらのコスミドから染色体DNAを単離し、aveCプローブとハイブリダイズした4
.9KbのKpnI断片を同定した。このDNAの配列を決定し、S.アベルミティリスのave
C ORFと明らかな相同性を有するORF(配列番号:3)を同定した。S.ハイグロス
コピカスaveC相同体ORFから推定されるアミノ酸配列(配列番号:4)を図6に示
している。
【0196】 さらに、S.グリセオクロモゲネスゲノムDNAのコスミドライブラリーを上記のS
.アベルミティリス由来の1.2Kb aveCプローブとハイブリダイズさせた。強くハ
イブリダイズするいくつかのコスミドクローンが同定された。これらのコスミド
から染色体DNAを単離し、aveCプローブとハイブリダイズした5.4KbのPstI断片を
同定した。このDNAの配列を決定し、S.アベルミティリスのaveC ORFと有意な相
同性を有するaveC相同体のORFの一部を同定した。推定されるアミノ酸配列(配
列番号:5)を図6に示している。
【0197】 S.ハイグロスコピカスおよびS.グリセオクロモゲネス由来のDNA配列およびア
ミノ酸配列の解析により、これらの領域がお互いにかつS.アベルミティリスaveC
ORFとも有意な相同性(アミノ酸レベルで約50%の配列同一性)を有し、AveC遺
伝子産物を共有することが示された(図6)。
【0198】11. 実施例:ermEプロモーターの後方にaveC遺伝子を有するプラスミドの構築
pSE186由来の1.2KbのaveC ORFを、シャトルベクターpWHM3のKpnI/BamHI部位に
300bpのermEプロモーターがKpnI/BamHI断片として挿入されているシャトルベク
ターpWHM3であるpSE34中にサブクローニングした(Wardら、1986、Mol. Gen. Ge
net. 203:468〜478を参照されたい)。pSE186をBamHIおよびHindIIIで消化し、
消化産物を電気泳動によって分離させて1.2Kbの断片をアガロースゲルから単離
し、BamHIおよびHindIIIで消化したpSE34と連結させた。製造者の指示に従って
連結混合物をコンピテント大腸菌DH5α細胞に形質転換した。プラスミドDNAをア
ンピシリン耐性形質転換体から単離し、1.2Kb挿入物の存在を制限酵素処理分析
によって確認した。pSE189と命名したこのプラスミドを大腸菌DM1株に形質転換
し、プラスミドDNAをアンピシリン耐性形質転換体から単離した。pSE189により
、S.アベルミティリス1100-SC38株のプロトプラストの形質転換を行った。1100-
SC38株チオストレプトン耐性形質転換体を単離し、発酵産物のHPLC分析により分
析した。
【0199】 pSE189を含むS.アベルミティリス1100-SC38株の形質転換体では、1100-SC38株
の場合と比べて(約34:1)、産生されるアベルメクチンシクロヘキシル-B2:ア
ベルメクチンシクロヘキシル-B1の比が変化し(約3:1)、pSE119により形質転
換された1100-SC38株と比べてアベルメクチン総産生量が約2.4倍に増加した(表
6)。
【0200】 野生型S.アベルミティリス株のプロトプラストにもpSE189を形質転換した。チ
オストレプトン耐性形質転換体を単離し、発酵産物のHPLC分析によって分析した
。pSE189により形質転換された野生型S.アベルミティリスによって産生されるア
ベルメクチンの総量は、pSE119により形質転換された野生型S.アベルミティリス
と比べて約2.2倍に増加した(表6)。
【0201】
【表6】
【0202】12. 実施例:S.アベルミティリスaveC ORFおよびS.ハイグロスコピカスaveC相同 体の双方に由来する配列を含むキメラ型プラスミド S.ハイグロスコピカスaveC相同体の564bp部分によってS.アベルミティリスave
C ORFの564bpの相同部分が置換されたものを含む、pSE350と命名したハイブリッ
ドプラスミドを以下の通りに作製した(図7)。pSE350は、両方の配列に保存さ
れているBsaAI制限部位(aveC 225位)およびS.アベルミティリスaveC遺伝子に
存在するKpnI制限部位(aveC 810位)を用いて作製した。右方向プライマー および左方向プライマー (Genosys Biotechnologiesにより供給)を用い、上記の第7.1.10項に記載したP
CR条件を用いたPCRにより、KpnI部位をS.ハイグロスコピカスDNA中に導入した。
PCR産物をBsaAIおよびKpnIで消化し、1%アガロースゲル中での電気泳動によっ
て断片を分離させ、564bpのBsaAI/KpnI断片をゲルから単離した。pSE179(上記
の第7.1.10項に記載)をKpnIおよびHindIIIで消化し、1%アガロースゲル中での
電気泳動によって断片を分離させ、約4.5Kbの断片をゲルから単離した。pSE179
をHindIIIおよびBsaAIで消化し、1%アガロースゲル中での電気泳動によって断
片を分離させ、0.2KbのBsaAI/HindIII断片をゲルから単離した。約4.5KbのHindI
II/KpnI断片、約0.2KbのBsaAI/HindIII断片およびS.ハイグロスコピカス由来の5
64bpのBsaAI/KpnI断片を三者間連結によって互いに連結させ、連結混合物をコン
ピテント大腸菌DH5α細胞に形質転換した。プラスミドDNAをアンピシリン耐性形
質転換体から単離し、正しい挿入物の存在をKpnIおよびAvaIを用いる制限酵素処
理分析によって確認した。このプラスミドをHindIIIおよびXbaIで消化して1.2Kb
挿入物を遊離させ、続いてこれをHindIIIおよびXbaIで消化したpWHM3と連結させ
た。連結混合物をコンピテント大腸菌DH5α細胞に形質転換し、プラスミドDNAを
アンピシリン耐性形質転換体から単離して、正しい挿入物の存在をHindIIIおよ
びAvaIを用いる制限酵素処理分析によって確認した。このプラスミドDNAを大腸
菌DM1株に形質転換し、プラスミドDNAをアンピシリン耐性形質転換体から単離し
て、正しい挿入物の存在を制限酵素処理分析およびDNA配列解析によって確認し
た。このプラスミドをpSE350と命名し、S.アベルミティリスSE180-11株のプロト
プラストの形質転換に用いた。SE180-11株のチオストレプトン耐性形質転換体を
単離し、エリスロマイシン耐性の存在を判定して、Thior Ermr形質転換体を発酵
産物のHPLC分析によって分析した。この結果、S.アベルミティリス/S.ハイグロ
スコピカスのハイブリッドプラスミドを含む形質転換体の平均B2:B1比は約109
:1であることが示された(表7)。
【0203】
【表7】
【0204】生物材料の寄託 以下の生物材料を1998年1月29日にアメリカンタイプカルチャーコレクション
(American Type Culture Collection)(ATCC)、12301 Parklawn Drive、Rock
ville、MD、20852、USAに寄託し、以下のアクセッション番号の指定を受けた:
【0205】 以上に引用したすべての特許、特許出願および刊行物は、その全体が参照とし
て本明細書に組み入れられる。
【0206】 本発明の範囲は本明細書で記載した特定の態様によっては制限されず、それら
は本発明の個々の面を単に例示したものであり、機能的に等価な方法および組成
物も本発明の範囲に含まれる。実際に、以上の説明および添付の図面によって、
当業者には本明細書で提示および記載したものに加えて本発明のさまざまな変更
が明らかになると考えられる。このような変更も添付の特許請求の範囲に含まれ
るものとする。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 S.アベルミティリスaveC ORFを含むDNA配列(配列番号:1)およ
び推定アミノ酸配列(配列番号:2)である。
【図2】 S.アベルミティリスのaveC遺伝子の全ORFを含むプラスミドベク
ターpSE186(ATCC 209604)である。
【図3】 S.アベルミティリスのaveC ORF中に挿入されたサッカロポリスポ
ラ・エリスリア(Sacc. erythraea)のermE遺伝子を含む、遺伝子置換ベクターp
SE180(ATCC 209605)である。
【図4】 S.アベルミティリス由来のアベルメクチンポリケチドシンターゼ
遺伝子クラスターのBamHI制限酵素地図を、重複する同定された5つのコスミドク
ローン(すなわち、pSE65、pSE66、pSE67、pSE68、pSE69)とともに示すもので
ある。pSE118およびpSE119の関連も示している。
【図5Aから図5D】 S.アベルミティリス菌株によって産生された発酵産
物のHPLC分析である。ピークの定量化は標準量のシクロヘキシルB1との比較によ
って行った。シクロヘキシルB2の滞留時間は7.4分〜7.7分、シクロヘキシルB1の
滞留時間は11.9分〜12.3分であった。図5Aは、不活性化aveC ORFを有するS.アベ
ルミティリスSE180-11株である。図5Bは、pSE186(ATCC 209604)により形質転
換されたS.アベルミティリスSE180-11株である。図5Cは、pSE187により形質転換
されたS.アベルミティリスSE180-11株である。図5Dは、pSE188により形質転換さ
れたS.アベルミティリスSE180-11株である。
【図6】 S.アベルミティリスのaveC ORF(配列番号:2)、S.グリセオク
ロモゲネス(S. griseochromogenes)由来のaveC相同体の部分ORF(配列番号:5
)およびS.ハイグロスコピカス由来のaveC相同体ORF(配列番号:4)によってコ
ードされる推定アミノ酸配列の比較である。太字のバリン残基はタンパク質の推
定開始部位である。保存された残基を、3つの配列すべてにおける相同性に関し
ては大文字で示し、3つの配列中2つにおける相同性に関しては小文字で示してい
る。アミノ酸配列は、約50%の配列同一性を有する。
【図7】 S.アベルミティリスaveC ORF中のBsaAI/KpnI部位に挿入されたS.
ハイグロスコピカスaveC相同体遺伝子由来の564bp BsaAI/KpnI断片を含む、ハイ
ブリッドプラスミド構築物である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (C12P 19/44 C12R 1:465) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU, AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EE ,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR, HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,K P,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU ,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX, MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,S E,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT ,TZ,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZA, ZW (72)発明者 アンケ クレベール アメリカ合衆国 カリフォルニア州 94043 マウンテン・ビュー市 ロック・ ストリート #1 1935 (72)発明者 ジェレミー ステファン マインシュル アメリカ合衆国 カリフォルニア州 94025 メンロ・パーク市 ハルモッサ・ ウェイ 842 (72)発明者 サン アイ レイラード アメリカ合衆国 カリフォルニア州 94043 マウンテン・ビュー市 トロフィ ー・ドライブ 964 (72)発明者 キム ジョネル ステュッツマン−イング ウォル アメリカ合衆国 コネチカット州 06340 グロトン市 イースタン・ポイント・ロ ード (番地なし) ファイザー・セント ラル・リサーチ Fターム(参考) 4B024 AA01 BA67 CA06 DA08 EA04 GA11 HA01 4B064 AF41 CA04 CA19 CC24 DA02 4B065 AA50X AA50Y AA99Y AB01 AC14 BA02 CA19 CA44 CA48

Claims (81)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 野生型aveC対立遺伝子が不活性化されておりかつ変異型ヌク
    レオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を発現するストレプトミセス・アベル
    ミティリス(Streptomyces avermitilis)ATCC 53692株の細胞が、野生型aveC対
    立遺伝子のみを代わりに発現するS.アベルミティリスATCC 53692株の細胞によっ
    て産生される比とは異なるクラス2:クラス1比のアベルメクチンを産生するよう
    に、配列番号:2の38位、48位、89位、99位、111位、136位、154位、179位、228
    位、238位、289位または298位のアミノ酸に対応する1つまたは複数のアミノ酸残
    基においてアミノ酸置換をコードする1つまたは複数の変異をヌクレオチド配列
    がさらに含む点を除き、S.アベルミティリスaveC対立遺伝子、プラスミドpSE186
    (ATCC 209604)のS.アベルミティリスAveC遺伝子産物をコードする配列もしく
    は図1に示されたS.アベルミティリスのaveC ORFのヌクレオチド配列(配列番号
    :1)、またはそれらの縮重変異体と同じであるヌクレオチド配列を含む、ポリ
    ヌクレオチド分子。
  2. 【請求項2】 クラス2アベルメクチン:クラス1アベルメクチンがシクロヘ
    キシルB2アベルメクチン:シクロヘキシルB1アベルメクチンである、請求項1記
    載のポリヌクレオチド分子。
  3. 【請求項3】 異なるクラス2:クラス1比のアベルメクチンが、野生型aveC
    対立遺伝子のみを発現するS.アベルミティリスATCC 53692株の細胞によって産生
    されるクラス2:クラス1比と比べて減少している、請求項2記載のポリヌクレオ
    チド分子。
  4. 【請求項4】 アベルメクチンのクラス2:クラス1比が約0.8:1以下である
    、請求項3記載のポリヌクレオチド分子。
  5. 【請求項5】 アベルメクチンのクラス2:クラス1比が約0.68:1以下であ
    る、請求項3記載のポリヌクレオチド分子。
  6. 【請求項6】 アベルメクチンのクラス2:クラス1比が約0.53:1以下であ
    る、請求項3記載のポリヌクレオチド分子。
  7. 【請求項7】 アベルメクチンのクラス2:クラス1比が約0.42:1以下であ
    る、請求項3記載のポリヌクレオチド分子。
  8. 【請求項8】 アベルメクチンのクラス2:クラス1比が約0.40:1以下であ
    る、請求項3記載のポリヌクレオチド分子。
  9. 【請求項9】 ヌクレオチド配列が、配列番号:2の138位および139位のア
    ミノ酸に対応する一方又は両方のアミノ酸残基においてアミノ酸置換をコードす
    る1つまたは複数の変異をさらに含む、請求項1記載のポリヌクレオチド分子。
  10. 【請求項10】 アミノ酸置換が、以下からなる群の1つまたは複数から選
    択される、請求項2記載のポリヌクレオチド分子: (a)PまたはPの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された38位のアミノ
    酸残基Q; (b)EまたはEの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された48位のアミノ
    酸残基D; (c)TまたはTの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された89位のアミノ
    酸残基A; (d)SまたはSの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された99位のアミノ
    酸残基F; (e)VまたはVの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された111位のアミノ
    酸残基G; (f)PまたはPの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された136位のアミノ
    酸残基L; (g)EまたはEの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された154位のアミノ
    酸残基K; (h)SまたはSの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された179位のアミノ
    酸残基G; (i)TまたはTの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された228位のアミノ
    酸残基M; (j)DまたはDの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された238位のアミノ
    酸残基E; (k)LまたはLの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された289位のアミノ
    酸残基P;および (l)HまたはHの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された298位のアミノ
    酸残基Q。
  11. 【請求項11】 アミノ酸残基の組み合わせが変異しており、その組み合わ
    せが以下からなる群の1つまたは複数から選択される、請求項2記載のポリヌクレ
    オチド分子: (a)アミノ酸残基D48およびA89; (b)アミノ酸残基S138、A139およびG179; (c)アミノ酸残基Q38、L136およびE238; (d)アミノ酸残基F99、S138、A139およびG179; (e)アミノ酸残基A139およびM228; (f)アミノ酸残基G111およびP289;ならびに (g)アミノ酸残基A139、K154およびQ298。
  12. 【請求項12】 アミノ酸置換の組み合わせが、以下からなる群の1つまた
    は複数から選択される、請求項11記載のポリヌクレオチド分子: (a)D48E/A89T; (b)S138T/A139T/G179S; (c)Q38P/L136P/E238D; (d)F99S/S138T/A139T/G179S; (e)A139T/M228T; (f)G111V/P289L;及び (g)A139T/K154E/Q298H。
  13. 【請求項13】 D48E/A89TをコードするaveC配列における変異が、配列番
    号:1の317位のヌクレオチドに対応するヌクレオチド部位でのTからAへの塩基変
    化、および配列番号:1の438位のヌクレオチドに対応するヌクレオチド部位での
    GからAへの塩基変化を含む、請求項12記載のポリヌクレオチド分子。
  14. 【請求項14】 配列番号:1の353位のヌクレオチドに対応するヌクレオチ
    ド部位でのCからAへの塩基変化、および配列番号:1の1155位のヌクレオチドに
    対応するヌクレオチド部位でのTからAへの塩基変化をさらに含む、請求項13記載
    のポリヌクレオチド分子。
  15. 【請求項15】 S138T/A139T/G179SをコードするaveC配列における変異が
    、配列番号:1の585位のヌクレオチドに対応するヌクレオチド部位でのTからAへ
    の塩基変化、配列番号:1の588位のヌクレオチドに対応するヌクレオチド部位で
    のGからAへの塩基変化、および配列番号:1の708位のヌクレオチドに対応するヌ
    クレオチド部位でのGからAへの塩基変化を含む、請求項12記載のポリヌクレオチ
    ド分子。
  16. 【請求項16】 配列番号:1の272位のヌクレオチドに対応するヌクレオチ
    ド部位でのGからAへの塩基変化をさらに含む、請求項15記載のポリヌクレオチド
    分子。
  17. 【請求項17】 Q38P/L136P/E238DをコードするaveC配列における変異が、
    配列番号:1の286位のヌクレオチドに対応するヌクレオチド部位でのAからCへの
    塩基変化、配列番号:1の580位のヌクレオチドに対応するヌクレオチド部位での
    TからCへの塩基変化、および配列番号:1の886位のヌクレオチドに対応するヌク
    レオチド部位でのAからTへの塩基変化を含む、請求項12記載のポリヌクレオチド
    分子。
  18. 【請求項18】 配列番号:1の24位のヌクレオチドに対応するヌクレオチ
    ド部位でのAからGへの塩基変化、配列番号:1の497位のヌクレオチドに対応する
    ヌクレオチド部位でのTからCへの塩基変化、および配列番号:1の554位のヌクレ
    オチドに対応するヌクレオチド部位でのCからTへの塩基変化をさらに含む、請求
    項17記載のポリヌクレオチド分子。
  19. 【請求項19】 F99S/S138T/A139T/G179SをコードするaveC配列における変
    異が、配列番号:1の173位、174位および175位のヌクレオチドに対応するヌクレ
    オチド部位での3塩基対欠失、配列番号:1の469位のヌクレオチドに対応するヌ
    クレオチド部位でのTからCへの塩基変化、配列番号:1の585位のヌクレオチドに
    対応するヌクレオチド部位でのTからAへの塩基変化、配列番号:1の588位のヌク
    レオチドに対応するヌクレオチド部位でのGからAへの塩基変化、ならびに配列番
    号:1の708位のヌクレオチドに対応するヌクレオチド部位でのGからAへの塩基変
    化を含む、請求項12記載のポリヌクレオチド分子。
  20. 【請求項20】 配列番号:1の833位のヌクレオチドに対応するヌクレオチ
    ド部位でのCからTへの塩基変化、および配列番号:1の1184位のヌクレオチドに
    対応するヌクレオチド部位でのGからAへの塩基変化をさらに含む、請求項19記載
    のポリヌクレオチド分子。
  21. 【請求項21】 A139T/M228TをコードするaveC配列における変異が、配列
    番号:1の588位のヌクレオチドに対応するヌクレオチド部位でのGからAへの塩基
    変化、および配列番号:1の856位のヌクレオチドに対応するヌクレオチド部位で
    のTからCへの塩基変化を含む、請求項12記載のポリヌクレオチド分子。
  22. 【請求項22】 G111V/P289LをコードするaveC配列における変異が、配列
    番号:1の505位のヌクレオチドに対応するヌクレオチド部位でのGからTへの塩基
    変化、および配列番号:1の1039位のヌクレオチドに対応するヌクレオチド部位
    でのCからTへの塩基変化を含む、請求項12記載のポリヌクレオチド分子。
  23. 【請求項23】 配列番号:1の155位のヌクレオチドに対応するヌクレオチ
    ド部位でのTからCへの塩基変化、配列番号:1の1202位のヌクレオチドに対応す
    るヌクレオチド部位でのCからTへの塩基変化、および配列番号:1の1210位のヌ
    クレオチドに対応するヌクレオチド部位でのTからCへの塩基変化をさらに含む、
    請求項22記載のポリヌクレオチド分子。
  24. 【請求項24】 A139T/K154E/Q298HをコードするaveC配列における変異が
    、配列番号:1の588位のヌクレオチドに対応するヌクレオチド部位でのGからAへ
    の塩基変化、配列番号:1の633位のヌクレオチドに対応するヌクレオチド部位で
    のAからGへの塩基変化、および配列番号:1の1067位のヌクレオチドに対応する
    ヌクレオチド部位でのAからTへの塩基変化を含む、請求項12記載のポリヌクレオ
    チド分子。
  25. 【請求項25】 配列番号:1の377位のヌクレオチドに対応するヌクレオチ
    ド部位でのGからTへの塩基変化をさらに含む、請求項24記載のポリヌクレオチド
    分子。
  26. 【請求項26】 請求項1記載のポリヌクレオチド分子を含む組換えベクタ
    ー。
  27. 【請求項27】 請求項1記載のポリヌクレオチド分子または請求項26記載
    の組換えベクターを含む宿主細胞。
  28. 【請求項28】 ストレプトミセス細胞である、請求項27記載の宿主細胞。
  29. 【請求項29】 S.アベルミティリスの新規株を作製するための方法であっ
    て、以下の段階を含む方法: 変異が、aveC遺伝子産物内において、配列番号:2の 38位、48位、89位、99位、
    111位、136位、138位、139位、154位、179位、228位、238位、289位または298位
    のアミノ酸残基に対応する1つまたは複数のアミノ酸部位におけるアミノ酸残基
    の置換をもたらし、aveC対立遺伝子が変異しているS.アベルミティリス株の細胞
    が、野生型aveC対立遺伝子のみを代わりに発現する同じS.アベルミティリス株の
    細胞によって産生される比とは異なるクラス2:クラス1比のアベルメクチンを産
    生するように、S.アベルミティリスの菌株の細胞におけるaveC対立遺伝子を変異
    させる段階。
  30. 【請求項30】 クラス2アベルメクチン:クラス1アベルメクチンがシクロ
    ヘキシルB2アベルメクチン:シクロヘキシルB1アベルメクチンである、請求項29
    記載の方法。
  31. 【請求項31】 アベルメクチンの異なるクラス2:クラス1比が減少してい
    る、請求項30記載の方法。
  32. 【請求項32】 aveC対立遺伝子が変異したS.アベルミティリス株の細胞に
    よって産生されるアベルメクチンのクラス2:クラス1比が約0.8:1以下である、
    請求項31記載の方法。
  33. 【請求項33】 aveC対立遺伝子がそのように変異したS.アベルミティリス
    株の細胞によって産生されるアベルメクチンのクラス2:クラス1比が約0.68:1
    以下である、請求項31記載の方法。
  34. 【請求項34】 aveC対立遺伝子がそのように変異したS.アベルミティリス
    株の細胞によって産生されるアベルメクチンのクラス2:クラス1比が約0.53:1
    以下である、請求項31記載の方法。
  35. 【請求項35】 aveC対立遺伝子がそのように変異したS.アベルミティリス
    株の細胞によって産生されるアベルメクチンのクラス2:クラス1比が約0.42:1
    以下である、請求項31記載の方法。
  36. 【請求項36】 aveC対立遺伝子がそのように変異したS.アベルミティリス
    株の細胞によって産生されるアベルメクチンのクラス2:クラス1比が約0.40:1
    以下である、請求項31記載の方法。
  37. 【請求項37】 配列番号:2の138位および139位のアミノ酸に対応する一
    方又は両方のアミノ酸残基においてアミノ酸置換をコードするaveC対立遺伝子に
    1つまたは複数の変異を導入する段階をさらに含む、請求項31記載の方法。
  38. 【請求項38】 アミノ酸置換が、以下からなる群の1つまたは複数から選
    択される、請求項30記載の方法: (a)PまたはPの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された38位のアミノ
    酸残基Q; (b)EまたはEの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された48位のアミノ
    酸残基D; (c)TまたはTの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された89位のアミノ
    酸残基A; (d)SまたはSの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された99位のアミノ
    酸残基F; (e)VまたはVの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された111位のアミノ
    酸残基G; (f)PまたはPの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された136位のアミノ
    酸残基L; (g)EまたはEの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された154位のアミノ
    酸残基K; (h)SまたはSの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された179位のアミノ
    酸残基G; (i)TまたはTの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された228位のアミノ
    酸残基M; (j)DまたはDの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された238位のアミノ
    酸残基E; (k)LまたはLの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された289位のアミノ
    酸残基P;および (l)HまたはHの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された298位のアミノ
    酸残基Q。
  39. 【請求項39】 aveC対立遺伝子がアミノ酸部位の組み合わせにおいてアミ
    ノ酸置換をコードするように変異されており、組み合わせが以下からなる群の1
    つまたは複数から選択される、請求項30記載の方法: (a)アミノ酸残基D48およびA89; (b)アミノ酸残基S138、A139およびG179; (c)アミノ酸残基Q38、L136およびE238; (d)アミノ酸残基F99、S138、A139およびG179; (e)アミノ酸残基A139およびM228; (f)アミノ酸残基G111およびP289;ならびに (g)アミノ酸残基A139、K154およびQ298。
  40. 【請求項40】 アミノ酸置換の組み合わせが、以下からなる群の1つまた
    は複数から選択される、請求項39記載の方法: (a)D48E/A89T; (b)S138T/A139T/G179S; (c)Q38P/L136P/E238D; (d)F99S/S138T/A139T/G179S; (e)A139T/M228T; (f)G111V/P289L;および (g)A139T/K154E/Q298H。
  41. 【請求項41】 D48E/A89TをコードするaveC対立遺伝子における変異が、
    配列番号:1の317位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド
    部位でのTからAへの塩基変化、および配列番号:1の438位のヌクレオチドに対応
    するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位でのGからAへの塩基変化を含む、請求
    項40記載の方法。
  42. 【請求項42】 配列番号:1の353位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺
    伝子中のヌクレオチド部位でのCからAへの塩基変化、および配列番号:1の1155
    位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位でのTからAへ
    の塩基変化を導入する段階をさらに含む、請求項41記載の方法。
  43. 【請求項43】 S138T/A139T/G179SをコードするaveC対立遺伝子における
    変異が、配列番号:1の585位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌク
    レオチド部位でのTからAへの塩基変化、配列番号:1の588位のヌクレオチドに対
    応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位でのGからAへの塩基変化、および配
    列番号:1の708位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部
    位でのGからAへの塩基変化を含む、請求項40記載の方法。
  44. 【請求項44】 配列番号:1の272位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺
    伝子中のヌクレオチド部位でのGからAへの塩基変化を導入する段階をさらに含む
    、請求項43記載の方法。
  45. 【請求項45】 Q38P/L136P/E238DをコードするaveC対立遺伝子における変
    異が、配列番号:1の286位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレ
    オチド部位でのAからCへの塩基変化、配列番号:1の580位のヌクレオチドに対応
    するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位でのTからCへの塩基変化、および配列
    番号:1の886位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位
    でのAからTへの塩基変化を含む、請求項40記載の方法。
  46. 【請求項46】 配列番号:1の24位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺
    伝子中のヌクレオチド部位でのAからGへの塩基変化、配列番号:1の497位のヌク
    レオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位でのTからCへの塩基変
    化、および配列番号:1の554位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌ
    クレオチド部位でのCからTへの塩基変化を導入する段階をさらに含む、請求項45
    記載の方法。
  47. 【請求項47】 F99S/S138T/A139T/G179SをコードするaveC対立遺伝子にお
    ける変異が、配列番号:1の173位、174位および175位のヌクレオチドに対応する
    aveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位での3塩基対欠失、配列番号:1の469位の
    ヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位でのTからCへの塩
    基変化、配列番号:1の585位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌク
    レオチド部位でのTからAへの塩基変化、配列番号:1の588位のヌクレオチドに対
    応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位でのGからAへの塩基変化、ならびに
    配列番号:1の708位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド
    部位でのGからAへの塩基変化を含む、請求項40記載の方法。
  48. 【請求項48】 配列番号:1の833位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺
    伝子中のヌクレオチド部位でのCからTへの塩基変化、および配列番号:1の1184
    位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位でのGからAへ
    の塩基変化を導入する段階をさらに含む、請求項47記載の方法。
  49. 【請求項49】 A139T/M228TをコードするaveC対立遺伝子における変異が
    、配列番号:1の588位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチ
    ド部位でのGからAへの塩基変化、および配列番号:1の856位のヌクレオチドに対
    応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位でのTからCへの塩基変化を含む、請
    求項40記載の方法。
  50. 【請求項50】 G111V/P289LをコードするaveC対立遺伝子における変異が
    、配列番号:1の505位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチ
    ド部位でのGからTへの塩基変化、および配列番号:1の1039位のヌクレオチドに
    対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位でのCからTへの塩基変化を含む、
    請求項40記載の方法。
  51. 【請求項51】 配列番号:1の155位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺
    伝子中のヌクレオチド部位でのTからCへの塩基変化、配列番号:1の1202位のヌ
    クレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位でのCからTへの塩基
    変化、および配列番号:1の1210位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中
    のヌクレオチド部位でのTからCへの塩基変化を導入する段階をさらに含む、請求
    項50記載の方法。
  52. 【請求項52】 A139T/K154E/Q298HをコードするaveC対立遺伝子における
    変異が、配列番号:1の588位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌク
    レオチド部位でのGからAへの塩基変化、配列番号:1の633位のヌクレオチドに対
    応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位でのAからGへの塩基変化、および配
    列番号:1の1067位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド
    部位でのAからTへの塩基変化を含む、請求項40記載の方法。
  53. 【請求項53】 配列番号:1の377位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺
    伝子中のヌクレオチド部位でのGからTへの塩基変化を導入する段階をさらに含む
    、請求項52記載の方法。
  54. 【請求項54】 野生型aveC対立遺伝子のみを発現する同じS.アベルミティ
    リス株の細胞によって産生される比とは異なるクラス2:クラス1比のアベルメク
    チンを産生する細胞である、配列番号:2の38位、48位、89位、99位、111位、13
    6位、154位、179位、228位、238位、289位または298位のアミノ酸残基に対応す
    る1つまたは複数のアミノ酸部位に置換を有するAveC遺伝子産物をコードする変
    異型aveC対立遺伝子を有するストレプトミセス・アベルミティリス細胞。
  55. 【請求項55】 クラス2アベルメクチン:クラス1アベルメクチンがシクロ
    ヘキシルB2アベルメクチン:シクロヘキシルB1アベルメクチンである、請求項54
    記載のS.アベルミティリス細胞。
  56. 【請求項56】 アベルメクチンの異なるクラス2:クラス1比が減少してい
    る、請求項55記載のS.アベルミティリス細胞。
  57. 【請求項57】 約0.8:1以下のクラス2:クラス1比のアベルメクチンを産
    生する、請求項56記載のS.アベルミティリス細胞。
  58. 【請求項58】 約0.68:1以下のクラス2:クラス1比のアベルメクチンを
    産生する、請求項56記載のS.アベルミティリス細胞。
  59. 【請求項59】 約0.53:1以下のクラス2:クラス1比のアベルメクチンを
    産生する、請求項56記載のS.アベルミティリス細胞。
  60. 【請求項60】 約0.42:1以下のクラス2:クラス1比のアベルメクチンを
    産生する、請求項56記載のS.アベルミティリス細胞。
  61. 【請求項61】 約0.40:1以下のクラス2:クラス1比のアベルメクチンを
    産生する、請求項56記載のS.アベルミティリス細胞。
  62. 【請求項62】 aveC対立遺伝子が、配列番号:2の138位および139位のア
    ミノ酸に対応する一方又は両方のアミノ酸残基におけるアミノ酸置換をさらにコ
    ードする、請求項55記載のS.アベルミティリス細胞。
  63. 【請求項63】 アミノ酸置換が、以下からなる群の1つまたは複数から選
    択される、請求項55記載のS.アベルミティリス細胞: (a)PまたはPの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された38位のアミノ
    酸残基Q; (b)EまたはEの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された48位のアミノ
    酸残基D; (c)TまたはTの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された89位のアミノ
    酸残基A; (d)SまたはSの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された99位のアミノ
    酸残基F; (e)VまたはVの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された111位のアミノ
    酸残基G; (f)PまたはPの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された136位のアミノ
    酸残基L; (g)EまたはEの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された154位のアミノ
    酸残基K; (h)SまたはSの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された179位のアミノ
    酸残基G; (i)TまたはTの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された228位のアミノ
    酸残基M; (j)DまたはDの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された238位のアミノ
    酸残基E; (k)LまたはLの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された289位のアミノ
    酸残基P;および (l)HまたはHの保存的置換物であるアミノ酸によって置換された298位のアミノ
    酸残基Q。
  64. 【請求項64】 aveC対立遺伝子がアミノ酸部位の組み合わせにおいてアミ
    ノ酸置換をコードするように変異され、かつ組み合わせが以下からなる群の1つ
    または複数から選択される、請求項55記載のS.アベルミティリス細胞: (a)アミノ酸残基D48およびA89; (b)アミノ酸残基S138、A139およびG179; (c)アミノ酸残基Q38、L136およびE238; (d)アミノ酸残基F99、S138、A139およびG179; (e)アミノ酸残基A139およびM228; (f)アミノ酸残基G111およびP289;ならびに (g)アミノ酸残基A139、K154およびQ298。
  65. 【請求項65】 アミノ酸置換の組み合わせが、以下からなる群の1つまた
    は複数から選択される、請求項64記載のS.アベルミティリス細胞: (a)D48E/A89T; (b)S138T/A139T/G179S; (c)Q38P/L136P/E238D; (d)F99S/S138T/A139T/G179S; (e)A139T/M228T; (f)G111V/P289L;および (g)A139T/K154E/Q298H。
  66. 【請求項66】 D48E/A89TをコードするaveC対立遺伝子における変異が、
    配列番号:1の317位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド
    部位でのTからAへの塩基変化、および配列番号:1の438位のヌクレオチドに対応
    するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位でのGからAへの塩基変化を含む、請求
    項65記載のS.アベルミティリス細胞。
  67. 【請求項67】 D48E/A89TをコードするaveC対立遺伝子における変異が、
    配列番号:1の353位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド
    部位でのCからAへの塩基変化、および配列番号:1の1155位のヌクレオチドに対
    応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位でのTからAへの塩基変化をさらに含
    む、請求項66記載のS.アベルミティリス細胞。
  68. 【請求項68】 S138T/A139T/G179SをコードするaveC対立遺伝子における
    変異が、配列番号:1の585位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌク
    レオチド部位でのTからAへの塩基変化、配列番号:1の588位のヌクレオチドに対
    応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位でのGからAへの塩基変化、および配
    列番号:1の708位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部
    位でのGからAへの塩基変化を含む、請求項65記載のS.アベルミティリス細胞。
  69. 【請求項69】 S138T/A139T/G179SをコードするaveC対立遺伝子における
    変異が、配列番号:1の272位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌク
    レオチド部位でのGからAへの塩基変化をさらに含む、請求項68記載のS.アベルミ
    ティリス細胞。
  70. 【請求項70】 Q38P/L136P/E238DをコードするaveC対立遺伝子における変
    異が、配列番号:1の286位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレ
    オチド部位でのAからCへの塩基変化、配列番号:1の580位のヌクレオチドに対応
    するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位でのTからCへの塩基変化、および配列
    番号:1の886位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位
    でのAからTへの塩基変化を含む、請求項65記載のS.アベルミティリス細胞。
  71. 【請求項71】 Q38P/L136P/E238DをコードするaveC対立遺伝子における変
    異が、配列番号:1の24位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレ
    オチド部位でのAからGへの塩基変化、配列番号:1の497位のヌクレオチドに対応
    するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位でのTからCへの塩基変化、および配列
    番号:1の554位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位
    でのCからTへの塩基変化をさらに含む、請求項70記載のS.アベルミティリス細胞
  72. 【請求項72】 F99S/S138T/A139T/G179SをコードするaveC対立遺伝子にお
    ける変異が、配列番号:1の173位、174位および175位のヌクレオチドに対応する
    aveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位での3塩基対欠失、配列番号:1の469位の
    ヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位でのTからCへの塩
    基変化、配列番号:1の585位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌク
    レオチド部位でのTからAへの塩基変化、配列番号:1の588位のヌクレオチドに対
    応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位でのGからAへの塩基変化、ならびに
    配列番号:1の708位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド
    部位でのGからAへの塩基変化を含む、請求項65記載のS.アベルミティリス細胞。
  73. 【請求項73】 F99S/S138T/A139T/G179SをコードするaveC対立遺伝子にお
    ける変異が、配列番号:1の833位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中の
    ヌクレオチド部位でのCからTへの塩基変化、および配列番号:1の1184位のヌク
    レオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位でのGからAへの塩基変
    化をさらに含む、請求項72記載のS.アベルミティリス細胞。
  74. 【請求項74】 A139T/M228TをコードするaveC対立遺伝子における変異が
    、配列番号:1の588位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチ
    ド部位でのGからAへの塩基変化、および配列番号:1の856位のヌクレオチドに対
    応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位でのTからCへの塩基変化を含む、請
    求項65記載のS.アベルミティリス細胞。
  75. 【請求項75】 G111V/P289LをコードするaveC対立遺伝子における変異が
    、配列番号:1の505位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチ
    ド部位でのGからTへの塩基変化、および配列番号:1の1039位のヌクレオチドに
    対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位でのCからTへの塩基変化を含む、
    請求項65記載のS.アベルミティリス細胞。
  76. 【請求項76】 G111V/P289LをコードするaveC対立遺伝子における変異が
    、配列番号:1の155位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチ
    ド部位でのTからCへの塩基変化、配列番号:1の1202位のヌクレオチドに対応す
    るaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位でのCからTへの塩基変化、および配列番
    号:1の1210位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位
    でのTからCへの塩基変化をさらに含む、請求項75記載のS.アベルミティリス細胞
  77. 【請求項77】 A139T/K154E/Q298HをコードするaveC対立遺伝子における
    変異が、配列番号:1の588位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌク
    レオチド部位でのGからAへの塩基変化、配列番号:1の633位のヌクレオチドに対
    応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド部位でのAからGへの塩基変化、および配
    列番号:1の1067位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌクレオチド
    部位でのAからTへの塩基変化を含む、請求項65記載のS.アベルミティリス細胞。
  78. 【請求項78】 A139T/K154E/Q298HをコードするaveC対立遺伝子における
    変異が、配列番号:1の377位のヌクレオチドに対応するaveC対立遺伝子中のヌク
    レオチド部位でのGからTへの塩基変化をさらに含む、請求項77記載のS.アベルミ
    ティリス細胞。
  79. 【請求項79】 請求項55記載の細胞を、アベルメクチンの産生が可能とな
    るまたは誘導される条件下で培地中で培養する段階、および培養物から該アベル
    メクチンを回収する段階を含む、アベルメクチンの産生のための方法。
  80. 【請求項80】 細胞が培養される培地中に約0.68:1以下の比のシクロヘ
    キシルB2アベルメクチン:シクロヘキシルB1アベルメクチンを含む、ストレプト
    ミセス・アベルミティリスの細胞によって産生されるシクロヘキシルB2アベルメ
    クチン:シクロヘキシルB1アベルメクチンの組成物。
  81. 【請求項81】 細胞が培養される培地中に約0.68:1以下の比のシクロヘ
    キシルB2アベルメクチン:シクロヘキシルB1アベルメクチンを含む、変異型aveC
    対立遺伝子を発現せずに野生型aveC対立遺伝子のみを発現するS.アベルミティリ
    スの同じ菌株の細胞と比べて、細胞によって産生されるシクロヘキシルB2アベル
    メクチン:シクロヘキシルB1アベルメクチンのクラス2:クラス1比の減少をもた
    らす遺伝子産物をコードする変異型aveC対立遺伝子を発現するストレプトミセス
    ・アベルミティリスの菌株の細胞によって産生されるシクロヘキシルB2アベルメ
    クチン:シクロヘキシルB1アベルメクチンの組成物。
JP2001516908A 1999-08-12 2000-07-24 B2アベルメクチン:b1アベルメクチンの比を指示するストレプトミセス・アベルミティリス遺伝子 Expired - Lifetime JP3884651B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US14864599P 1999-08-12 1999-08-12
US60/148,645 1999-08-12
PCT/IB2000/001017 WO2001012821A1 (en) 1999-08-12 2000-07-24 Streptomyces avermitilis gene directing the ratio of b2:b1 avermectins

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003507017A true JP2003507017A (ja) 2003-02-25
JP3884651B2 JP3884651B2 (ja) 2007-02-21

Family

ID=22526696

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001516908A Expired - Lifetime JP3884651B2 (ja) 1999-08-12 2000-07-24 B2アベルメクチン:b1アベルメクチンの比を指示するストレプトミセス・アベルミティリス遺伝子

Country Status (39)

Country Link
US (3) US6632673B1 (ja)
EP (1) EP1200606B1 (ja)
JP (1) JP3884651B2 (ja)
KR (1) KR100489856B1 (ja)
CN (1) CN1186446C (ja)
AP (1) AP2002002418A0 (ja)
AR (1) AR022646A1 (ja)
AT (1) ATE341632T1 (ja)
AU (1) AU778837B2 (ja)
BG (1) BG65902B1 (ja)
BR (1) BRPI0013119B8 (ja)
CA (1) CA2380872C (ja)
CO (1) CO5290295A1 (ja)
CY (1) CY1105778T1 (ja)
CZ (1) CZ304402B6 (ja)
DE (1) DE60031126T2 (ja)
DK (1) DK1200606T3 (ja)
EA (1) EA200200056A1 (ja)
ES (1) ES2272299T3 (ja)
GT (1) GT200000136A (ja)
HK (1) HK1046710B (ja)
HR (1) HRP20020130A2 (ja)
HU (1) HU230600B1 (ja)
IL (2) IL147563A0 (ja)
IS (1) IS6250A (ja)
MA (1) MA26813A1 (ja)
MX (1) MXPA02001513A (ja)
NO (1) NO20020664D0 (ja)
NZ (1) NZ516517A (ja)
OA (1) OA11998A (ja)
PA (1) PA8499501A1 (ja)
PE (1) PE20010690A1 (ja)
PL (1) PL203818B1 (ja)
PT (1) PT1200606E (ja)
SK (1) SK288086B6 (ja)
TN (1) TNSN00171A1 (ja)
UY (1) UY26286A1 (ja)
WO (1) WO2001012821A1 (ja)
ZA (1) ZA200201072B (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015523865A (ja) * 2012-06-20 2015-08-20 ジェネンテック, インコーポレイテッド 細胞培養培地中のウイルス及び細菌の不活性化の方法

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3884651B2 (ja) * 1999-08-12 2007-02-21 ファイザー・プロダクツ・インク B2アベルメクチン:b1アベルメクチンの比を指示するストレプトミセス・アベルミティリス遺伝子
RU2293117C2 (ru) * 2002-02-12 2007-02-10 Пфайзер Продактс Инк. Ген streptomyces avermitilis и его применение для изменения соотношения авермектинов b2:b1
US7943160B2 (en) * 2002-05-09 2011-05-17 Scimetrics Limited Corp. Pest control methods
KR102657859B1 (ko) 2021-04-07 2024-04-16 윤재식 일체형 내화 소켓

Family Cites Families (21)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5525506A (en) 1987-01-23 1996-06-11 Pfizer Inc. Process for production of avermectins and cultures therefor
US5238848A (en) 1987-01-23 1993-08-24 Pfizer Inc Cultures for production of avermectins
IN167980B (ja) * 1987-01-23 1991-01-19 Pfizer
US5234831A (en) 1987-01-23 1993-08-10 Pfizer Inc Cultures for production of B avermectins
ES2054822T3 (es) 1987-10-23 1994-08-16 Pfizer Procedimiento para la produccion de agliconas de avermectinas y sus cultivos.
US5240850A (en) 1987-10-23 1993-08-31 Pfizer Inc. Cultures for production of avermectin aglycones
DE69023036T2 (de) 1989-03-31 1996-06-13 Merck & Co Inc Klonierung von Streptomyces avermitilis Genen zur Biosynthese von Avermectin und Verfahren zu ihrer Verwendung.
US5252474A (en) 1989-03-31 1993-10-12 Merck & Co., Inc. Cloning genes from Streptomyces avermitilis for avermectin biosynthesis and the methods for their use
WO1995004150A1 (en) 1993-07-30 1995-02-09 Pfizer Inc. Genes encoding branched-chain alpha-ketoacid dehydrogenase complex from streptomyces avermitilis
FI942725A (fi) 1993-12-16 1995-06-17 Pfizer Haaraketjuista alfaketohappodenydrogenaasikompleksia koodaavia geenejä Streptomyces avermitiliksesta
US5605793A (en) 1994-02-17 1997-02-25 Affymax Technologies N.V. Methods for in vitro recombination
US6335160B1 (en) 1995-02-17 2002-01-01 Maxygen, Inc. Methods and compositions for polypeptide engineering
US5837458A (en) 1994-02-17 1998-11-17 Maxygen, Inc. Methods and compositions for cellular and metabolic engineering
US6117679A (en) 1994-02-17 2000-09-12 Maxygen, Inc. Methods for generating polynucleotides having desired characteristics by iterative selection and recombination
US6096548A (en) 1996-03-25 2000-08-01 Maxygen, Inc. Method for directing evolution of a virus
EP0964922A4 (en) 1996-09-27 2000-10-25 Maxygen Inc METHOD FOR OPTIMIZING GENE THERAPY BY REPEATING SEQUENCE MIXING AND SELECTION
EP1007732B1 (en) 1997-01-17 2006-07-26 Maxygen, Inc. EVOLUTION OF procaryotic WHOLE CELLS BY RECURSIVE SEQUENCE RECOMBINATION
EP1030861A4 (en) 1997-10-31 2001-09-05 Maxygen Inc MODIFICATION OF VIRAL TROPISM AND THE DIVERSITY OF HOST SPECIES BY RECOMBINATION OF THE VIRAL GENOME
US6248579B1 (en) * 1998-02-13 2001-06-19 Pfizer Inc Streptomyces avermitilis gene directing the ratio of B2:B1 avermectins
BR9907893A (pt) * 1998-02-13 2000-11-14 Pfizer Prod Inc Gene de streptomyces avermitilis que dirige a proporção de avermectinas b2:b1
JP3884651B2 (ja) * 1999-08-12 2007-02-21 ファイザー・プロダクツ・インク B2アベルメクチン:b1アベルメクチンの比を指示するストレプトミセス・アベルミティリス遺伝子

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015523865A (ja) * 2012-06-20 2015-08-20 ジェネンテック, インコーポレイテッド 細胞培養培地中のウイルス及び細菌の不活性化の方法
JP2018019711A (ja) * 2012-06-20 2018-02-08 ジェネンテック, インコーポレイテッド 細胞培養培地中のウイルス及び細菌の不活性化の方法
US10184106B2 (en) 2012-06-20 2019-01-22 Genentech, Inc. Methods for viral inactivation and other adventitious agents

Also Published As

Publication number Publication date
CN1373809A (zh) 2002-10-09
HUP0202487A3 (en) 2004-07-28
BR0013119B1 (pt) 2014-02-25
BG65902B1 (bg) 2010-04-30
NO20020664L (no) 2002-02-11
UY26286A1 (es) 2001-03-16
AP2002002418A0 (en) 2002-03-31
PL353874A1 (en) 2003-12-01
BRPI0013119B8 (pt) 2021-05-25
US7858340B2 (en) 2010-12-28
BG106479A (bg) 2002-10-31
SK1392002A3 (en) 2002-12-03
ES2272299T3 (es) 2007-05-01
CO5290295A1 (es) 2003-06-27
CN1186446C (zh) 2005-01-26
PA8499501A1 (es) 2001-12-14
MA26813A1 (fr) 2004-12-20
CZ304402B6 (cs) 2014-04-16
CA2380872C (en) 2007-11-27
KR100489856B1 (ko) 2005-05-17
PT1200606E (pt) 2006-12-29
CY1105778T1 (el) 2011-02-02
KR20020029379A (ko) 2002-04-18
ZA200201072B (en) 2003-04-30
OA11998A (en) 2006-04-18
US20040009560A1 (en) 2004-01-15
HUP0202487A2 (en) 2002-10-28
JP3884651B2 (ja) 2007-02-21
EP1200606B1 (en) 2006-10-04
DK1200606T3 (da) 2007-01-08
HK1046710A1 (en) 2003-01-24
PE20010690A1 (es) 2001-07-06
HK1046710B (zh) 2005-05-13
HU230600B1 (hu) 2017-02-28
AU5838600A (en) 2001-03-13
ATE341632T1 (de) 2006-10-15
DE60031126T2 (de) 2007-02-08
EP1200606A1 (en) 2002-05-02
CA2380872A1 (en) 2001-02-22
DE60031126D1 (de) 2006-11-16
AU778837B2 (en) 2004-12-23
BR0013119A (pt) 2002-04-23
IL147563A0 (en) 2002-08-14
PL203818B1 (pl) 2009-11-30
IS6250A (is) 2002-01-25
US20030232415A1 (en) 2003-12-18
NO20020664D0 (no) 2002-02-11
HRP20020130A2 (en) 2003-06-30
AR022646A1 (es) 2002-09-04
GT200000136A (es) 2002-02-01
EA200200056A1 (ru) 2002-06-27
MXPA02001513A (es) 2002-07-02
US6632673B1 (en) 2003-10-14
SK288086B6 (sk) 2013-06-03
IL147563A (en) 2009-06-15
WO2001012821A1 (en) 2001-02-22
CZ2002296A3 (cs) 2002-08-14
TNSN00171A1 (fr) 2005-11-10
NZ516517A (en) 2003-10-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2005198658A (ja) B2:B1アベルメクチン比率を支配するStreptomycesavermitilis遺伝子
KR100499214B1 (ko) 아베르멕틴의 b2:b1의 비를 제어할 수 있는 스트렙토마이세스 아베르미틸리스 유전자
US20090017508A1 (en) Streptomyces Avermitilis Gene Directing The Ratio of B2:B1 Avermectins
JP3884651B2 (ja) B2アベルメクチン:b1アベルメクチンの比を指示するストレプトミセス・アベルミティリス遺伝子

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050526

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20050825

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20050908

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051124

RD13 Notification of appointment of power of sub attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7433

Effective date: 20051124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051202

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060116

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060221

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060519

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060620

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060810

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20060927

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061019

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20061117

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 3884651

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101124

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101124

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111124

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111124

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121124

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121124

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131124

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131124

Year of fee payment: 7

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term