JP2003505706A - リバーシブル腕時計 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、背中合わせに搭載され、かつ他方のケースに取り外し可能なように取り付けられるベースおよび固定要素を各々有する第一（１）および第二（２）ケースを包含するリバーシブル・ウォッチに関する。ある特定実施形態において、ケースは各々、バー（８、９）が横断する取っ手（５）を包含する。バーは、第一ケースを第二ケース上に固定する手段と、ブレスレット（１５）の両端（１２、１３）の各々を第一および第二ケースによって形成されるアッセンブリに固定する手段とを同時に提供する。別の実施形態においては、両ケースのベースは相互に固定し合う要素を包含し、二つのケースのアッセンブリは、リバーシブルではないブレスレットに連結された固定支持具上でリバーシブルに搭載される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は、第一ディスプレイを制御する構成要素を封入する第一ケースと、第
二ディスプレイを制御する構成要素を封入する第二ケースとを含み、第一ケース
と第二ケースは各々裏蓋を有し、かつ背中合わせに配置されているような、リバ
ーシブル腕時計に関する。

【０００２】 多かれ少なかれ上記の定義に応ずるようなリバーシブル・ウォッチは、すでに
いくつか提案されている。

【０００３】 スイス特許第６４６ ５６９号に開示されている時計は、互いに固定し合い、
かつ各々リバーシブル・ウォッチの両面のうち一方を構成するような二つの部分
から形成されている。上記二つの部分は、バンドの両端の一方を収容している二
つのバーに、六時の正午軸に沿ってピボット止めされた単一の防水ケースを形成
する。上記ケースは、その端部の一端において上記ケースにヒンジ接合されされ
、作動位置において上記時計ケースの側縁部を覆う二つの側部カバーを含む。こ
の構造においては、上記腕時計の二つの部分におけるそれぞれの中間パーツは、
互いにネジで固定されている。一般に、上記提案された構造は複雑なものであり
、上記中間パーツを固定するため、およびこれによって形成されるアッセンブリ
に上記バンド端部を取り付けるための両者の目的で、多くの構成部品が必要とさ
れることを意味している。上記腕時計の二つの部分が作動するのにバッテリが必
要である場合、上記二つの部分を接続しているすべてのネジをあらかじめ外すこ
となくバッテリに接触する方法を会得することは困難であり、通常のユーザがこ
れを行うことは容易ではない。

【０００４】 欧州特許第０ ３５９ １８１号は、背中合わせの両面に配置された二つのディ
スプレイを備えたケースであって、バンドに固定されたベース・プレート上にヒ
ンジ接合によって搭載されたケースを有する腕時計を開示している。これにより
上記ケースは、背面に配置されたディスプレイを読み取るために起こすことが可
能となるが、すぐに損傷を受けるため、他のことを行っている間は上記位置のま
ま装着されるようなことがないことは明らかである。

【０００５】 米国特許第５，４７９，３８１号は、少なくとも二つの背中合わせの面と少な
くとも一つの作動機構とを有するリバーシブル・ウォッチを開示している。中間
パーツは、腕時計の装着者が腕から時計を外す必要なく一方の面から他方の面に
移行させられるよう、ホーンによって伸張バンドに固定されている。しかし上記
説明は、単一ケースに搭載された作動機構を頼りとするものであって、それ自体
がバンドに固定されているような二つの別個のケースを取り付けるための方法を
見出すことのできるようなものではない。

【０００６】 スイス特許第６８０ ３２９号もまた、上記前文において述べられている種類
のリバーシブル計時器を示している。この計時器には、外側を向いたダイヤルを
備えた完全な腕時計が各側に搭載されているような中央部が含まれる。各腕時計
はこの中央部にヒンジ接合されており、上記中央部はバンドを取り付けるための
ホーンを有している。この構成によると、上記中央部が存在するため、かなり分
厚い時計になることは明らかである。

【０００７】 また、交互にバンドに固定された固定支持具であって、スライド路を備えたゆ
りかご型固定支持具上で連動する単一ケースから成る「Reverso（登録商標）」
という名称のリバーシブル・ウォッチも公知である。ここで提案されている構成
によると、電気的作動機構を使用するとバッテリの交換のためにケースを開ける
か、または上記時計の両側面に各々ディスプレイが取り付けられている場合には
側部のバッテリ・ハッチを開けるかのいずれかが必要となるため、概して機械的
作動機構のみを備えたかなり分厚い腕時計となる。この種の腕時計は、その最も
単純な実施態様がフランス特許第７１２ ８６８号に開示されている。

【０００８】 したがってリバーシブル腕時計分野の現在の到達技術水準においては、一方で
単一ケースを備えた腕時計が提案されており、他方で二つのケースを備えた腕時
計が提案されていると思われる。上記最初種類は、両面ケースという特別な構造
と、これに適切なように両面ディスプレイを備えた作動機構とを有するという理
由から概してコストが高くなるという欠点を有すると共に、電気的作動機構の場
合にはバッテリ交換に関する問題点を有している。スイス特許第６８０ ３２９
号によって説明されている第二の種類は、アッセンブリがかなり分厚く、かつ共
通固定支持具への上記ケースの搭載が複雑になるという欠点を特に有している。

【０００９】 本発明は上記第二の種類の腕時計に関し、安いコストで製造可能であると共に
非常に快適に使用できるような適度な厚みの腕時計の作製を提案する。またこの
ことは、電気バッテリを含む腕時計の場合には、腕時計の外観の美しさや製造コ
ストに著しい影響を与えることなくユーザが簡単にバッテリを交換できるような
構造を創出することを意味する。

【００１０】 したがって本発明は、二つのケースの各々が、取り外し可能な態様において他
方のケースの対応する固定要素に取り付けられるようになされた少なくとも一つ
の固定要素を含むことを特徴とする、上記前文に示された種類のリバーシブル腕
時計に関する。

【００１１】 このため、上記二つのケースの間に配置される固定支持具などの何らかの中間
構成要素は省略され、これによって上記アッセンブリの厚みが実質的に減少され
ると共に、最終的なアッセンブリが簡素化される。上記二つのケースは、各々都
合のいいように個別にシーリングすることが可能であり、また共通した種類の単
面腕時計ケースに、一方のケースを他方のケースに固定するための構成要素のみ
を追加して設計することも可能である。上記固定要素は、上記二つのケースの裏
蓋部分に隠されていても構わないし、むきだしのまま見えるような形で、または
見えないような形で上記二つのケースの縁部近くに配されていても構わない。ま
た上記各ケースのいずれか一方が電気バッテリを含んでいる必要がある場合、そ
のケースの裏蓋には、他方のケースによって隠されているものの、相互固定手段
を取り外せば上記二つのケースを容易に分離することができるためユーザが簡単
に接触できるという状態が保たれているような、通常のバッテリ・ハッチが含ま
れていてもよい。これにより、バッテリ交換は通常の腕時計の場合と同様に行わ
れる。

【００１２】 特定の実施態様においては、上記各ケースの固定要素はバーが通るホーンを含
んでおり、これらのバーは、第一のケースを第二のケースに固定する手段として
、およびバンドの各端部を前記第一ケースと前記第二ケースによって形成される
アッセンブリに固定する手段として作動する。

【００１３】 これとは別に上記固定構成要素は、たとえばあり溝継手型のスライドするアッ
センブリの形で上記ケースの裏蓋上に配置しても構わない。

【００１４】 別の特定の実施態様においては、互いに固定されている二つのケースが、バン
ドに取り付けられる固定支持具にピボット回転およびスライドするように取り付
けられる可動ケースを形成し、上記固定支持具は二つの平行な側部バーを有して
おり、上記側部バー間には上記可動ケースが二つの互いに対向する使用位置に配
置されており、その位置においては上記可動ケースの二つの対向する側面が前記
バーに沿って延びている。このケースの長所となる構成は、各支持バーが、上記
可動ケースの対応する側面のスライド路に係合する結合トラニオンであって、上
記スライド路においては、各ケースの裏蓋の縁部に沿って各々配置されるＬ字型
の輪郭を有する二つの凹部を並置することによって形成されるような結合トラニ
オンを備えているということである。各トラニオンは、バンド取り付けバーによ
って支持される着脱部に固定することが可能であり、これによってユーザは、た
とえば上記二つのケースの一方を変更するため、またはバッテリを交換するため
に、上記可動ケースを上記固定支持具から簡単に取り外して上記二つのケースを
分離することが可能となる。

【００１５】 本発明のその他の特徴および利点は、添付の図面を参照すると共に、説明的な
ただし限定的ではないような例を用いて本発明の長所となる種々の実施形態を示
している以下の記述から明らかになるであろう。

【００１６】 図１から３で示されるように、リバーシブル腕時計は、第一ディスプレイ３を
制御する構成要素（図示しない）を封入する第一ケース１と、第二ディスプレイ
（ケース２の下に位置するため図示されない）を制御する構成要素（図示しない
）を封入する第二ケース２とを有する。第一ケースおよび第二ケースは、それら
のケースによって形成されるアッセンブリの両側に二つのディスプレイが現れる
ように、二つのケースが背中合わせに配置されている。ここで示されるディスプ
レイ３はアナログ・ディスプレイであるが、たとえばデジタルなどのその他あら
ゆる形式のものであることが可能である。図示されずケース２に作用するディス
プレイは、デジタルまたはアナログのいずれであっても構わない。ケース１およ
び２は、たとえばケース１が現地時間を、ケース２がその他の時間帯を表すなど
といったように、時間をディスプレイ表示することが可能であるということも述
べておく。ただし、たとえば時間間隔（ストップウォッチ機能）やメッセージ（
ポケットベル（登録商標）機能）などの時間以外のものをディスプレイ表示する こともできるであろう。また、種々に組み合わることができると理解すべきであ る。

【００１７】 図１から３によるリバーシブル腕時計は、ケース１および２の各々が、図１の
第一実施形態においては参照符号４が付され、図２および３の第二実施形態にお
いては参照符号５が付されたホーン形の固定要素と、第一実施形態においてはホ
ーンを貫通する取り外し可能なバー６および７、第二実施形態においては取り外
し可能なバー８および９とを含むことを特徴とする。図において示されているよ
うに、バーは二元的な機能を実行する。すなわちバーは、第一ケース１を第二ケ
ース２に固定する手段として作用し、その一方でバンドの各端部を第一および第
二ケースによって形成されるアッセンブリに固定する手段として作用する。した
がって第一実施形態（図１）のバンド１４の端部１０および１１は、それぞれバ
ー６および７によってケース１および２によって形成されるアッセンブリに固定
される。同様に第二実施形態（図２および３）のバンド１５の端部１２および１
３は、それぞれバー９および８によってケース１および２によって形成されるア
ッセンブリに固定される。

【００１８】 要約すると二つのバーは、取り外し可能な態様で互いに二つのケースを固定し
、かつ二つのケースによって形成されるアッセンブリにバンド端部を固定できさ
えすればよい。出願人の知る限りにおいては、このような構成がこれまでに提案
されたことはない。このような構成は、腕時計のアッセンブリを行う際にかかる
時間および取り扱われる部品数の両者に関してアッセンブリを相当簡素化するも
のである。

【００１９】 上述の原理を実行する本発明の二つの実施形態について、これから例を用いて
詳細に説明する。

【００２０】 第一の実施形態は図１に示されている。リバーシブル腕時計は、ディスプレイ
３を備えた第一ケース１と、時間設定制御クラウン８０と、ディスプレイが示さ
れていない第二ケース２とを含んでおり、第二ケース２は、自身の時間設定制御
クラウン８１を有している。二つのケース１および２は背中合わせに構成されて
おり、このためそれぞれの裏蓋８５および８６は隣り合っている。第一ケース１
は、６時に一対のホーン１６および１７を、１２時に別の一対のホーン２０およ
び２１を含んでいる。第二ケース２は、６時に一対のホーン１８および１９を、
１２時に別の一対のホーン２２および２３を含んでいる。各ホーンには、参照番
号２４、２５、２８、２９、２６、２７、３０、および３１がそれぞれ付されて
いる孔が設けられている。各孔の直径は、バー６および７の直径に適合されてい
る。第一ケース１の各ホーンは、第二ケース２の対応するホーンと並置されてい
る。したがってホーン１６はホーン１８の隣に、ホーン１７はホーン１９の隣に
、ホーン２０（図示されない）はホーン２２の隣に、そしてホーン２１はホーン
２３の隣に位置している。対応するホーンが並置されている場合、すなわちケー
ス１および２が背中合わせに配置されている場合、６時には凹部３２が作り出さ
れ、バンド１４の端部１１でそれが塞がれる。また１２時には凹部３３が作り出
され、バンド１４の端部１０で塞がれる。バンド１４の端部１１および１０には
、それぞれ参照番号３４および３５が付された孔が設けられている。これらの孔
３４および３５は、ホーンの内側をスライドして挿入されるバー７および６を収
容するためにホーンの孔と一列に並ぶように配置されており、これによってバー
は、一旦挿入されると第一ケースを第二ケースに固定し、バンド１４をケースに
よって形成されるアッセンブリに固定するようになされている。

【００２１】 図１に示される実施形態において、ケース１はその平面上で１８０°回転させ
てもケース２上に取り付け可能であることがわかる。この場合、リバーシブル腕
時計には不適切な誤った取り付けとなるかもしれない。これは、第二ケース２の
ホーンに対して第一ケース１のホーンが対称的な配置である場合である。これを
避けるため、たとえばケース１のホーン１６および１７をそのケース１の外側に
移動させ、ケース２のホーン１８および１９をそのケース２の内側に移動させる
などして対称を崩すことが可能である。

【００２２】 第二実施形態は図２および３において説明されている。この実施形態において
第一ケース１および第二ケース２は、６時および１２時に４つのホーン５を含む
。二つのケースが背中合わせに配置されている場合、第一ケースの各ホーンは第
二ケースのホーン上に重ねられ、かつこの中に入れられている。この時、６時お
よび１２時においては３つの凹部が作り出される。すなわち６時においては凹部
３６、３７、および３８、１２時においては凹部３９、４０、および４１が作り
出される。凹部３６、３７、および３８は、３つのセクション４２、４３、およ
び４４に分割されるバンド１５の端部１３によって塞がれる。凹部３９、４０、
および４１は、３つのセクション４５、４６、および４７に分割されるバンド１
５の端部１２によって塞がれる。

【００２３】 第一ケース１は６時において順に、第一雄ホーン４８、第二と第三雌ホーン５
１、５２および第四雄ホーン５７を有する。第一雄ホーン４８は孔４９が設けら
れ、かつ第二ケース２の第一雌ホーン５０内に入れられる。第二と第三雌ホーン
５１、５２は、それぞれ参照符号５５および５６が付された孔を各々備える第二
ケース２の第二ホーン５３と第三雄ホーン５４内にそれぞれ入れられる。第四雄
ホーン５７は、孔５８が設けられ、かつ第二ケース２の第四雌ホーン５９内に入
れられる。第一ケース１は１２時に、順に、同様に、孔６２が設けられた第二ケ
ース２の第一雄ホーン６１に入れられる第一雌ホーン６０と、それぞれ参照符号
６５および６６が付された孔を各々備え、かつ第二ケース２の第二雌ホーン６７
および第三雌ホーン６８内にそれぞれ入れられる第二雄ホーン６３および第三雄
ホーン６４と、孔７１が設けられ、かつ第二ケース２の第四雄ホーン７０に入れ
られる第四雌ホーン６９とを有する。バンド１５の端部１３の３つのセクション
４２、４３、および４４には、それぞれ参照番号７２、７３、および７４が付さ
れた孔が設けられており、バンド１５の端部１２の３つのセクション４５、４６
、および４７には、それぞれ参照番号７５、７６、および７７が付された孔が設
けられている。これらの孔はホーンの孔と一列に並ぶように構成され、第一ケー
ス１を第二ケース２に固定し、ケースによって形成されるアッセンブリにバンド
１５を固定するような取り外し可能なバー８および９を収容する。

【００２４】 図２および３に示される実施形態においては、ケース１はケース２上に一方向
にしか搭載することができず、そのためケース１の平面上を１８０°回転し、そ
の後これをケース１上に搭載することはできないということがわかるであろう。
これは、配列および雄ホーンと雌ホーンが交互に設けられていることによる。実
際、ケース１が誤った方向に回転すると、ケース１の雄ホーン６３および６４は
他の雄ホーン、この場合はケース２の雄ホーン５３および５４とぶつかる。

【００２５】 図２に示される実施形態では、ケース２の裏蓋８６内にバッテリ・ハッチ８３
を閉じる蓋８２が示されている。この蓋がケース２の裏面の高さを越えてもいい
ようにするため、図２および３に示されるようにケース１の裏蓋８５の部分８４
に凹部を形成させている。この部分８４の凹部は、ケース１の裏蓋内に位置する
目に見えないバッテリ・ハッチ蓋を収容することを意図したものである。

【００２６】 図２および３に示される実施形態は、スウォッチ（Swatch）（登録商標）の腕
時計の構造を用いたものであり、バンドの両端は各々３つのセクションと２掛け
る４ホーンのケースとを含んでいることが示されている。

【００２７】 最後に本発明は、厚みの少ない二つのケース、たとえばSwatch Skin（登録商
標）という名称の記号が付される二つのケースなどが選択される場合は特に、非
常に薄いリバーシブル・ウォッチを提供するものであることを述べておく。

【００２８】 バンド１４および１５の製造方法については、ここでは説明しない。バンドは
、米国特許第５，４７９，３８１号に開示されているような伸張バンドであって
もよいし、またはドイツ特許第３５ １２ ３６９号に開示されているようなピボ
ット回転するバックルが設けられた革のストラップであってもよい。

【００２９】 第一および第二ケース１および２に電源バッテリが装着される場合、本発明が
提案する構成では、バッテリを容易に交換することが可能であることがわかるで
あろう。ケースを分離してバッテリ・ハッチに接触するには、バーを取り外すだ
けでよい。時計の一方側のホーンは、さらにヒンジを形成するように構成するこ
とも可能であり、これによりケースを分離して各バッテリ・ハッチに接触するに
は、反対側からバーを取り外すだけでよい。

【００３０】 図４から７に示される実施形態において、リバーシブル腕時計は、たとえばア
ナログタイプの第一ディスプレイ１０３が設けられた第一時計作動ムーブメント
を封入する第一ケース１０１と、たとえばデジタルタイプの第二ディスプレイ１
０４が設けられた第二時計作動ムーブメントを封入する第二ケース１０２とを組
み合わせて形成されたリバーシブル可動ケース１００を含む。ケース１０１およ
び１０２は概して正方形または矩形で背中合わせに構成されており、その結果デ
ィスプレイ１０３および１０４は、それぞれ可動ケース１００の背中合わせの両
面に現れる。先の実施形態と同様に、二つのディスプレイは時間をディスプレイ
表示するようにしてもよいが、一方または他方が、たとえば計測時間やアラーム
時間、記憶データ、無線を介して受信されるメッセージ、またはその他英数字デ
ータ、もしくはこれら要件の組み合わせなど、何か時間以外のものをディスプレ
イ表示することも可能である。

【００３１】 可動ケース１００は、リバーシブルであるかもしれないし、ないかもしれない
ようなバンド１０８の二つの端部１０６および１０７に固定される堅い固定支持
具１０５でピボット回転およびスライドするように搭載される。この固定支持具
は図６に詳細に示されている。固定支持具は底面プレート１１２によって接続さ
れる二つの平行バー１１０を含んでおり、そのため固定支持具１０５は長手方向
にゆりかご型をしており、その内側は可動ケース１００によって塞がれる。各バ
ー１１０は先の例と同じ方法で、すなわち、これもまたバンドの端部１０６およ
び１０７の孔１０９を貫通する二つの取り外し可能なバー１１５を用いてバンド
１０８に取り付けるための孔１１４が設けられたホーン１１３を含む。

【００３２】 各バー１１０には、反対側のバー１１０と対向する、バーの内部垂直面１１７
内に広がるスルーホール１６が含まれる。各ホール１１６は、バー１１０の凹部
１２０内に収容される着脱部１１９に固定される円筒形トラニオン１１８の通路
となるよう意図されている。一方、ホール１１６を通して係合されるトラニオン
１１８は、バーの面１１７から突出し、結合ピボットを形成する。各部材１１９
はホーン１１３と同一の外形を有しており、ホーン１１３と同様にバー１１５の
通路となる孔１２１を含む。これによりこのバーは、図４（ｅ）からわかるよう
に、バー１１０内の適切な位置に部材１１９を保持する。また、固定支持具１０
５の内部プレート１１２は、バー１１０の全長を超えて延びることはないが、ト
ラニオン１１８の下側の空間を解放するため、スルーホール１１６を通る垂線か
らは引っ込んだ縁部１２２を有するということも示されている。この理由につい
て以下に説明する。

【００３３】 図５における二つのケース１０１および１０２は、それぞれの裏蓋１２５およ
び１２６が見えるように示されている。裏蓋にはバッテリ・ハッチ１２７および
１２８が設けられ、時計作動ムーブメントに動力を供給するバッテリの交換が容
易になるようになされている。ケース１０１上には制御クラウン１２９が、ケー
ス１０２上には制御クラウン１３０が通常の位置に設けられている。各ケースは
、クラウンの反対側に小さな凹部１３１、１３２を有する。この凹部は、図４か
らわかるように両ケースが組立てられる際に、ユーザがクラウンを引っ張るため
にクラウンの下に爪を挿入できるようにするものである。第一ケース１０１の裏
蓋の対向する他の二つの縁部にはその縁に沿って、Ｌ字型の輪郭を有し、かつケ
ースの側長の大部分と重なるように対称的に延びる二つの細長い凹部１３３が設
けられている。第二ケース１０２の裏蓋１２６の二つの対向する縁部にも縁に沿
って、二つの同様な細長い凹部１３４が配されている。また、あり溝の輪郭を有
するワイド溝１３５が、第一ケース１０１の裏蓋１２５の中央ゾーンを完全に貫
通している。同様に第二ケース１０２の裏蓋１２６の中央ゾーンには溝１３５に
対応するありの輪郭を有するワイド・リブ１３６があり、両ケースが背中合わせ
にされるとリブは溝１３５の中に滑り込み、この中に入れられる。このように溝
１３５およびリブ１３６は、いかなる中間構成要素も挿入することなく一方のケ
ースを他方に直接固定するための構成要素を構成する。

【００３４】 図７からわかるように、のように二つのケース１０１および１０２が組み合わ
せられた場合、可動ケース１００の各側部に沿って並置されているケースのそれ
ぞれの細長い凹部１３３および１３４は、可動ケースの各側面１４１内に閉塞端
１４２および１４３を有する長手方向のスライド路１４０を形成している。可動
ケース１００が固定支持具１０５の二つのバー１１０間に位置する場合、二つの
互いに対向するトラニオン１１８はそれぞれが可動ケース１００のスライド路１
４０の一方に係合し、これによって可動ケース１００はトラニオン上でピボット
回転およびスライドすることが可能となる一方で、二つのケースはバー１１０の
面１１７によって横向きに保持される。スライドは、スライド路の両端１４２お
よび１４３の一方または他方によって停止させられる。可動ケースが図４に示さ
れる二つの位置（ａ）および（ｅ）の一方において固定支持具１０５内に平坦に
位置する場合、スライド路１４０に係合するバーの両面１１７から現れる二つの
対抗するつめ１４４によって、ピボット回転およびスライドしないようになされ
る。この種のつめは、先端が球面のばねの上に載せられているピンによって形成
しても構わない。

【００３５】 図４は、ユーザが可動ケース１００を裏返す場合の、可動ケース１００の５つ
の連続した位置（ａ）から（ｅ）を示している。位置（ａ）は、第一ケース１０
１がそのアナログ・ディスプレイ１０３を見せている第一使用位置である。可動
ケースの左縁部１４５を持ち上げると、爪１４４による拘束が解除され、可動ケ
ースはトラニオン１１８上でピボット回転して傾斜位置（ｂ）とされる。すると
可動ケースの右縁部１４６が、固定支持具１０５のバー１１０間を、中央プレー
ト１１２が延びていないゾーンまで降ろされる。位置（ｃ）に到達するよう、可
動ケースは、スライド路１４０の対応する端部までトラニオン上をスライドする
ように後ろ向きに引っ張られる。すると可動ケースの縁部１４６はプレート１１
２の高さよりも高くなる。ケース１００はその後水平位置（ｄ）までピボット回
転され、プレート１１２の上を左側まで水平にスライドさせられ、ケース１０２
が上面にあってそのデジタル・ディスプレイ１０４を表している第二使用位置（
ｅ）になる。その後再び爪１４４がスライド路１４０と係合し、可動ケース１０
０を安定させる。

【００３６】 位置（ｅ）から位置（ａ）への移行の際にも、同じ動作が繰り返される。

【００３７】 上述した構造によると、平均的なユーザにとっても時計屋にとってもケース１
０１および１０２に含まれたバッテリを交換することが容易となる。二つのケー
スは、図６に示されるように二つのバー１１５を取り外し、二つの部分１１９を
取り外して可動ケース１００を固定支持具１０５から分離し、その後あり継手を
スライドさせることによって二つのケースを分離することにより、分離可能であ
る。すると二つのバッテリ・ハッチ１２７および１２８は、通常の腕時計と同じ
ように接触可能となる。次に、リバース機能によって腕時計の再組立てを行う。

【００３８】 図４から７に示された例においては、トラニオン１１８を搭載した取り外し可
能な部分１１９は、バンドと固定支持具との間で力を伝達することができないた
め、およびバーの端部に適切にガイドされることがないため、トラニオン１１８
が固定支持具のバー１１０の一端に近接することはないということが示されてい
る。しかし、トラニオン１１８が、ケースの二つの使用位置においてスライド路
１４０の一端に隣接するようにバーの端部の非常に近くに位置するような変形物
を設計することは可能である。たとえば各トラニオンは、バーを貫通するネジの
端部に設けることが可能である。

【００３９】 図４から７に示される腕時計はまた、可動ケースが図４の位置（ａ）および（
ｅ）を超えて左側まで移動することがないように、抑止部材を含むことも可能で
ある。たとえばスライド路１４０の端部１４２および１４３は、つめ１４４がよ
り深く係合するように局部的に深くするまたは広げることができる。別の解決策
は、バー１１０の各面１１７の左端において突出している少なくとも一つの抑止
装置を設け、可動ケースの抑止装置として作動させるというものである。この種
の抑止装置もまた、堅いＵ字型フレームを形成するように二つのバーの左端を接
続する構成要素によって形成する可能である。

【００４０】 バンドに対して垂直方向に固定支持具上の可動ケースをスライドさせる代わり
にバンドの普遍的方向に対して平行な軸の周りにピボット回転させれば、本発明
の範囲から離れることなく、上記とは反対の構成を提供する、すなわちバンドと
平行な方向にケースをスライドさせることが可能である。この場合、後に矩形フ
レームの形を有するような固定支持具１０５のホーン１１３は、バー１１０の延
長線上に配されるホーンと置き換える、または二つのバーの端部を接続し、かつ
各々バンドの一端に取り付けられるような二つのハンドルと置き換えることが可
能である。ハンドルにもまた、図４から６に示されるホーン１１３と同様のいく
つかのホーンを設けることが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明によるリバーシブル・ウォッチの第一実施形態を形成する種々の構成要
素の拡大斜視図である。

【図２】 本発明によるリバーシブル・ウォッチの第二実施形態を形成する種々の構成要
素の拡大斜視図である。

【図３】 異なる角度における図２に示された第二実施形態を示す図である。

【図４】 本発明によるリバーシブル・ウォッチの第三実施形態において、５つの連続位
置における背中合わせに構成された二つのケースから成る可動ケースを示す斜視
図である。

【図５】 図４における腕時計の二つのケースを示す斜視図である。

【図６】 図４における腕時計を示す拡大斜視図である。

【図７】 図６における矢印VIIに沿った、可動ケースの側面図である。

Claims (12)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 第一ディスプレイ（３、１０３）を制御する要素を封入する
   第一ケース（１、１０１）と第二ディスプレイ（１０４）を制御する要素を封入
   する第二ケース（２、１０２）とを含むリバーシブル腕時計であって、前記第一
   および第二ケースが各々裏蓋（８５、８６；１２５、１２６）を有し、かつ背中
   合わせに配置されているようなリバーシブル腕時計であって、上記二つのケース
   （１、２；１０１、１０２）の各々は、それぞれの裏蓋が隣接するような位置に
   上記二つのケースを一緒に固定するように、取り外し可能な態様で他方のケース
   の対応する固定要素に固定されるよう構成される、少なくとも一つの固定要素（
   ４、５；１３５、１３６）を含むことを特徴とするリバーシブル腕時計。
2. 【請求項２】 各ケースは電気バッテリを含み、かつ裏蓋内にバッテリ・ハ
   ッチ（８３、１２７、１２８）を含んでいることを特徴とする請求項１に記載の
   腕時計。
3. 【請求項３】 前記ケース（１、２）の各々の固定要素はバー（６、７；８
   、９）が通るホーン（４、５）を含み、前記バーは上記第一ケース（１）を上記
   第二ケース（２）に固定する手段と、上記バンド（１４、１５）の端部（１０、
   １１；１２、１３）の各々を前記第一および第二ケースによって形成されるアッ
   センブリに固定する手段との双方の手段として作動することを特徴とする請求項
   １または２に記載の腕時計。
4. 【請求項４】 前記第一（１）および第二（２）ケースは６時および１２時
   において、孔（２４、２５；２６、２７；２８、２９；３０、３１）が設けられ
   た一対のホーン（１６、１７；１８、１９；２０、２１；２２、２３）を含み、
   上記第一ケース（１）の各ホーン（１６、１７；２０、２１）は、前記二つのケ
   ースが背中合わせに配置されたことによってバンド（１４）の対応する端部（１
   １、１０）によって塞がれる凹部（３２、３３）が６時および１２時において形
   成されたとき上記第二ケース（２）のホーン（１８、１９；２２、２３）と並置
   され、前記端部（１１、１０）には、上記ホーンの孔と一列に配置されて上記第
   一ケースを上記第二ケースに、および上記バンドを上記ケースによって形成され
   るアッセンブリに固定するバー（７、６）を収容する孔（３４、３５）が設けら
   れていることを特徴とする、請求項３に記載の腕時計。
5. 【請求項５】 前記第一（１）および第二（２）ケースは６時および１２時
   において４つのホーン（５）を含み、前記二つのケースが背中合わせに配置され
   て、３つのセクション（４２、４３、４４；４５、４６、４７）に分割される上
   記バンド（１５）の対応する端部（１３、１２）によって塞がれる３つの凹部（
   ３６、３７、３８；３９、４０、４１）を６時および１２時において形成したと
   きに、上記第一ケースの各ホーンが上記第二ケースのホーン上に重ねられかつ中
   に入れられ、上記第一ケースは、６時の位置に順に、孔（４９）が設けられかつ
   上記第二ケース（２）の第一雌ホーン（５０）内に入れられる第一雄ホーン（４
   ８）と、上記第二ケース（２）の第二（５３）および第三（５４）雄ホーンにそ
   れぞれ入れられ、それぞれホール（５５、５６）を有する第二（５１）および第
   三（５２）雌ホーンと、ホール（５８）が設けられ上記第二ケース（２）の第四
   雌ホーン（５９）に入れられる第四雄ホーン（５７）とを備え、さらに、前記第
   一ケース（１）は、１２時の位置に順に、第二ケース（２）の孔（６２）を有す
   る第一雄ホーン（６１）に入れられる第一雌ホーン（６０）と、各々孔（６５、
   ６６）が設けられ、それぞれ上記第二ケースの第二（６７）および第三（６８）
   雌ホーンに入れられる第二（６３）および第三（６４）雄ホーンと、上記第二ケ
   ース（２）の孔（７１）が設けられた第四雄ホーン（７０）に入れられる第四雌
   ホーン（６９）とが設けられ、前記バンド（１５）の端部（１３、１２）の３つ
   のセクション（４２、４３、４４；４５、４６、４７）の各々には、上記ホーン
   の孔が一列に配されて前記第一ケース（１）を第二ケース（２）に、上記バンド
   （１５）を上記ケースによって形成されるアッセンブリに固定するバー（８、９
   ）を収容するような孔（７２、７３、７４；７５、７６、７７）が設けられるこ
   とを特徴とする請求項３に記載の腕時計。
6. 【請求項６】 前記固定要素（１３５、１３６）は各ケースの裏蓋上に配さ
   れていることを特徴とする請求項１に記載の腕時計。
7. 【請求項７】 前記固定要素（１３５、１３６）は上記あり溝継手タイプの
   アッセンブリ要素を含むことを特徴とする請求項６に記載の腕時計。
8. 【請求項８】 前記互いに固定される二つのケースは、バンド（１０８）に
   固定される固定支持具（１０５）にピボット回転およびスライドするように搭載
   された可動ケース（１００）を形成し、前記固定支持具は二つの平行な側部バー
   を有し、それらのバーの間に相互に逆転される二つの使用位置とされる上記可動
   ケースが配置され、上記可動ケースの二つの対向する側面（１４１）がバーに沿
   って延びていることを特徴とする請求項１、２、６、および７のいずれかに記載
   の腕時計。
9. 【請求項９】 前記固定支持具の各バー（１１０）には、上記可動ケースの
   対応する側面（１４１）のスライド路（１４０）に係合する結合トラニオン（１
   １８）が設けられ、および、前記スライド路（１４０）は、各ケースの裏蓋の縁
   部に沿って各々配されるＬ字型輪郭の二つの凹部（１３３、１３４）を並置する
   ことによって形成されていることを特徴とする、請求項８に記載の腕時計。
10. 【請求項１０】 前記固定支持具の各バー（１１０）には、固定支持具をバ
    ンドに固定するための取り外し可能なバー（1１５）を含む固定手段が設けられ
    、および、前記トラニオン（１１８）は上記取り外し可能なバー（1１５）を用
    いて上記バー（１１０）の所定位置に保持される取り外し可能な部分（１１９）
    に固定されていることを特徴とする請求項９に記載の腕時計。
11. 【請求項１１】 前記可動ケース（１００）は、上記固定支持具に沿って上
    記バンドに垂直な方向にスライドすることを特徴とする請求項８に記載の腕時計
    。
12. 【請求項１２】 前記可動ケースは、上記固定支持具に沿って上記バンドに
    平行な方向にスライドすることを特徴とする請求項８に記載の腕時計。