JP2003505073A - 制御されたエレクトロポレーションおよび細胞を介した膜物質輸送 - Google Patents

制御されたエレクトロポレーションおよび細胞を介した膜物質輸送

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Abstract

(57)【要約】 個々の生物細胞、複数の生物細胞、または生物組織に対して、本明細書でエレクトロポレーションする細胞中の電流と電圧の比と定義される電気インピーダンスをモニターすることにより制御された様式でエレクトロポレーションを実施する。インピーダンスにより生物細胞のエレクトロポレーション開始が検出され、この情報を用いて、細胞を破壊することなくエレクトロポレーションが生じるように電圧の大きさと時間を制御する。これはエレクトロポレーション一般に適用することができる。さらに、エレクトロポレーションおよび/または細胞膜を介した大量輸送において、2つの槽の間の仕切りに空いた開口部が細胞でふさがれるように該開口部に細胞を固定する、特定の方法および器具を開示する。目的が、孔形成、膜を介した溶質の拡散輸送、またはその両方のいずれかによって、仕切りを電気的に絶縁するか、溶質に対して不浸透性にするか、またはその両方にするかが決定される。エレクトロポレーションは2つの槽の間に電圧をかけることによって実施される。拡散輸送は、細胞周囲の液体と細胞内部の液体との溶質濃度の差、または2つの槽自体の濃度差によって実施される。電流および拡散輸送は開口部を通る流路に制限される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の分野 本発明は全体としてエレクトロポレーションおよび細胞膜を介した物質輸送に
関し、特に細胞膜を介したイオンの輸送に関する。
【0002】 発明の背景 エレクトロポレーションは生物細胞に化学種を導入するのに用いられる技術で
、細胞膜を横断する電位に細胞を曝露することによって実施される。エレクトロ
ポレーションはその機序が完全に理解されているわけではないが、細胞膜の脂質
二重層が破壊されて一過的または永久的な孔が形成され、この孔を通じて化学種
が拡散によって細胞内に入るようになると考えられている。電位は典型的にはパ
ルスで加えられ、孔形成が可逆的なものか不可逆的なものかは、パルスの振幅、
長さ、形状、繰返し数などのパラメータ、ならびに細胞の種類と発育段階によっ
て決定される。細胞に化学種を導入する方法として、エレクトロポレーションは
数多くの利点を有している。使用が簡便であること;細胞集団をすべて同時に処
理できること;本質的にいかなる高分子でも細胞に導入できること;初代培養細
胞および樹立細胞株に幅広く用いることができ、且つ特定の細胞株で特に有効で
あること;細胞の種類および由来による大きな修正や適合の必要なしに原核細胞
にも真核細胞にも使用できることなどである。現在、エレクトロポレーションは
懸濁中または培養中の細胞、ならびに組織および器官中の細胞にも用いられてい
る。
【0003】 現在行われているエレクトロポレーションでは、高電圧電場のパルスを発生す
るジェネレータに接続した2つの電極の間に、懸濁中または組織中の1つまたは複
数の細胞が置かれる。膜の孔形成または透過化は、細胞膜上の電極と直接接する
部位、すなわち膜内外電位差が最も高くなる部位である、細胞の極で起こる。残
念ながら、エレクトロポレーションで生じる透過化の程度は細胞の種類によって
異なり、所定の母集団の細胞でも細胞ごとに異なる。さらに、エレクトロポレー
ションはそれぞれ異なる特性をもつ個々の細胞の大きな母集団に対して行われる
ため、エレクトロポレーションの条件はその細胞母集団の平均的な質に合わせて
決定するしかなく、すなわち現在用いられている方法では、個々の細胞の特定の
特性に適合させることができない。特に問題となるのは、特定の条件下では電位
が低すぎて細胞膜を透過化できず、別の条件下ではエレクトロポレーションによ
り孔が不可逆的に形成され細胞が死に至るということである。例えば高い電場で
は、細胞母集団中の一部の細胞でトランスフェクション効率が高くなる一方、死
ぬ細胞も多くなる。既知の各種エレクトロポレーション法のさらなる問題点とし
て、エレクトロポレーションによるトランスフェクション効率が時として低くな
るということがある。例えばDNAの場合、細胞の形質転換を効果的に行うには、
周囲の媒質にDNAが大量に含まれている必要がある。
【0004】 上述の問題の多くは、個々の細胞および組織におけるエレクトロポレーション
工程をリアルタイムで制御できないことに起因している。現在のところ、細胞が
いつエレクトロポレーション状態に入るのかをリアルタイムで確認する手段はな
い。したがって、エレクトロポレーションプロトコルの成果は、物質輸送工程と
それが細胞に及ぼす影響の最終的な結果から判断するよりほかない。これらは、
エレクトロポレーション時の物質輸送が起こってから長時間を経た後に生ずる。
本発明では、既存のエレクトロポレーション法におけるこれらの欠点およびその
他の欠点を解決する。
【0005】 また、本発明に関することとして、細胞膜を介した物質輸送の研究と制御の既
存の手法がある。正常に機能している細胞についても異常な細胞についても、自
然状態での細胞膜を介した物質輸送に関する知識は、特定の疾患の研究に貴重で
ある。さらに、細胞膜を介した物質輸送を修正および制御することができれば、
現代のバイオテクノロジーおよび医学における研究と治療を行う上で有用なツー
ルとなる。DNAや蛋白質などの化学種を細胞に導入して、または細胞から除去し
て、細胞の機能、生理、または挙動を制御することにより、正常および異常な細
胞の生理学的工程に関する情報が得られる。
【0006】 エレクトロポレーションを用いるか否かに関わらず、細胞膜を介した物質輸送
の実施と研究に最も広く用いられている方法は、細胞膜を介して輸送したい化合
物を含む溶液に細胞を接触させることである。バルク輸送法では、細胞膜を介し
た物質輸送を正確に制御または測定することができない。特定の位置における溶
液の成分構成は未知であり、且つ一定でない。加えて、電場が存在する場合は、
局所的な電界強度が場所によって異なる。さらに、溶液に曝される細胞表面が正
確に定義されていない。所定の集団内の細胞の表面積はそれぞれ異なり、このた
め物質輸送の量は細胞ごとに大きく異なる。この理由から、バルク輸送工程によ
る物質輸送の量は細胞間で均一でなく、特定の細胞に実際に輸送された量を決定
することもできない。
【0007】 バルク輸送法の限界を克服するために行われてきた試みとして、細胞を個々に
処理する技術があり、これには、細胞膜を通じた化合物の機械的注入(マイクロ
インジェクション)または微小電極を用いたエレクトロポレーションが含まれる
。注入技術では、細胞膜に針を刺して化学物質を送達させ、化学物質を注入部位
近傍の小領域に局在させる。これには人の手による細胞の操作が必要であるが、
操作が困難な技術であり、労働力集約的で、且つ再現性の確保も容易ではない。
微小電極を用いたエレクトロポレーションにもこれらの問題があり、また、個々
の細胞におけるエレクトロポレーション開始を検出する手段がない。本発明では
これらの問題点も同様に解決する。
【0008】 発明の概要 細胞膜を介した物質移動の正確なモニタリングを可能にするための装置、シス
テム、および特定の方法を開示する。細胞膜を介した物質移動のモニタリングか
ら得られた情報を直接利用して、細胞および/または細胞膜に関する情報を推論
することができる。あるいは、モニタリングから得られた情報を利用して、電流
の印加を制御するなどにより細胞膜を介した物質移動を制御することができる。
本発明の装置およびシステムにより、荷電分子、特にイオン種を、細胞膜を介し
て移動させることが可能になり、またこの移動の発生を正確にモニタリングする
ことも可能になる。本発明の装置、システム、および方法を用いてエレクトロポ
レーションを実施する際、細胞膜を介した荷電粒子の移動をモニターして得られ
た情報は、細胞膜を介した物質輸送工程を制御するために用いられる。具体的に
は、本発明のシステムは、電流印加により細胞の物質輸送特性が変化する際の、
細胞膜内外間の電気インピーダンスの値と変化を測定するために使用される。こ
うして、電流印加により生じた電気インピーダンスの変化に関する情報をリアル
タイムで利用して、細胞膜を介した荷電分子の移動を制御する。
【0009】 本発明の一つの局面は、第一の点と、生物細胞を含む導電性媒質により第一の
点と隔離されている第二の点との間に電荷の差を生じさせることを含む方法であ
る。次に、第一の点と第二の点との間で第一の電気的パラメータを測定する。次
に、第一の電気的パラメータの測定に基づいて第二の電気的パラメータが調整さ
れる。第一の電気的パラメータは、電流、電圧、および電気インピーダンスから
なる群より選択されるものなど、いかなるパラメータであってもよい。第二の電
気的パラメータは、電流、電圧、または電流と電圧の組合せからなる群より選択
されるものなどの、いかなるパラメータであってもよい(第一の電気的パラメー
タと同じものであっても、または違うものであってもよい)。
【0010】 この方法の好ましい態様では、導電性媒質中にさらに物質を入れ、また、この
物質を生物細胞中に移動させる目的で第二の電気パラメータを調整する。導電性
媒質中に入れる物質は、薬学的活性を持つ化合物もしくは薬剤、ヌクレオチド配
列、蛍光色素、または望ましい方法で細胞に影響するように特別に設計された結
晶などの、いかなる物質であってもよい。本方法に従って、2点間の電位が細胞
を穿孔するのに十分なだけ高くなるように、種々の条件を調整する。しかし、特
に要求のある場合以外は、2点間の条件をさらに調整して、細胞死が起こらない
ように可逆的なエレクトロポレーションを行う。
【0011】 本発明の別の局面は、細胞中へまたは細胞外への物質移動ではなく、細胞また
は細胞群を分析してその組織またはその組織をもつ個体の情報または診断を得る
ことを目的としてエレクトロポレーションを実施することである。本方法に従っ
て、第一の点と、生物細胞を含む導電性媒質により第一の点と隔離されている第
二の点との間に電荷の差を生じさせる。次に、第一の点と第二の点との間で第一
の電気的パラメータを測定する。次に、第一の電気的パラメータの測定値を分析
して、細胞の性質、特に細胞膜の性質を決定する。第一の電気的パラメータはい
かなるパラメータであってもよく、好ましくは電流、電圧、および電気インピー
ダンスからなる群より選択される。第二の電気的パラメータは、好ましくは溶媒
中に存在する1つまたは複数の細胞の細胞膜に影響するような様式で調整される
。第二の電気的パラメータはいかなるパラメータであってもよく、好ましくは電
流、電圧、または電流と電圧の組合せからなる群より選択される。
【0012】 本発明の別の局面は、好ましくは第一の電極、第二の電極、および電源を含む
装置である。電源は、後にこれら電極に接続することができるものであるが、装
置販売時にはついていてもいなくてもよい。この装置はさらに、定められた経路
の電流以外の、第一の電極と第二の電極との間の電流を妨げる手段を含む。さら
にこの装置は、定められた経路における電流、電圧、電気インピーダンスなどの
電気的パラメータを測定する手段を含み、且つ測定した電気的パラメータに基づ
いて電源を調整する手段を含む。電流を妨げる手段は、好ましくは非導電性物質
を含み、定められた経路はそれぞれ直径が生物細胞の直径より小さい1つまたは
複数の開口部を含み、これにより細胞は定められた経路の中に捉えられ、電流は
細胞中を通るが、好ましくは細胞周囲を通らない。
【0013】 本発明の装置およびシステムは、所望の結果を得るために生物細胞内または生
物細胞外へ広範な物質を移動させることを目的として、本方法で用いることがで
きる。その方法は、個々の細胞、細胞群、培養細胞、または、例えば無脊椎動物
、哺乳類を含む脊椎動物、植物などの生きている生物の細胞に対して行うことが
できる。複数の細胞(例えば組織)に対してこの方法を行う場合は、組織の画像
取得と画像に基づくリアルタイムの電流調整との工程を用いることができる。適
用できる画像取得技術の1つは、電気インピーダンストモグラフィ(EIT)である
。この技術は、体内または生物(例えばヒト)の生体電気的特性の差に基づいて
画像を生成する。本発明の方法において、単一の生物細胞に対して本工程を行う
ときに測定段階が用いられるのと同様の様式で、EIT画像を用いることができる
。本質的に、EIT技術により、エレクトロポレーションに起因する電流増加作用
を「見る」ことが可能となり、これから得られる情報を用いて、永久的な破壊を
生じさせることなく細胞膜を透過化できるように電流を正確に調整することがで
きる。
【0014】 本発明のまた別の局面として、第一の点と、組織を含む導電性媒質により第一
の点と隔離されている第二の点との間に電流を流すことを含む方法がある。組織
は、脊椎動物または無脊椎動物などの生きている生物、特に哺乳類およびヒトを
含む生きている生物に存在していてもよい。電流を流した後、組織の電気インピ
ーダンスなど電気的パラメータに基づいて組織の画像を生成する。この画像を指
針として、組織中の生物細胞に望ましい程度のエレクトロポレーションが行われ
るように電気的パラメータを調整する。エレクトロポレーションにより電気イン
ピーダンスが変化し、この変化は生成される画像上に視覚化することができる。
調整される電気パラメータは、電流、電圧、または電流と電圧の組合せなど、い
かなるパラメータであってもよい。好ましい態様では、組織中に注入するなどし
て物質を導電性媒質中に入れ、物質を組織の生物細胞中に移動させるように画像
に基づいて電流の調整を行う。生成される画像は、好ましくは、既知の入力電流
および測定した入力電圧を元に、再構成アルゴリズムを用いて生成されるインピ
ーダンス画像である。インピーダンス画像は、既知の入力電圧、測定した入力電
流、または既知の入力電圧と測定した入力電流の組合せを元に生成することもで
きる。
【0015】 この方法を実施するための装置は本発明のまた別の局面であり、この装置は、
導電性媒質に電流を流す手段を含む。この装置はさらに、画像を生成するために
導電性媒質の第一の電気的パラメータを分析する手段と、導電性媒質中の生物細
胞に望ましい程度のエレクトロポレーションを行うために生成した画像に基づい
て第二の電気的パラメータを調整する手段とを含む。第一の電気的パラメータは
好ましくは電気インピーダンスであり、第二の電気的パラメータは好ましくは電
流、電圧、または両者の組合せからなる群より選択される。電流は、好ましくは
、組織上のエレクトロポレーションを行おうとする位置の近傍に置かれた複数の
電極により生成される。
【0016】 本発明の由来の一つは、生物細胞におけるエレクトロポレーションの開始およ
び範囲が、生物細胞または生物細胞を含む導電性媒質の電位インピーダンス(本
明細書においてこの用語は電圧に対する電流の比を意味する)の変化に相関しう
るという発見である。生物細胞における電圧対電流比の増大は、孔形成もしくは
細胞の損傷、またはその他の様式の細胞膜穿孔によって細胞膜が透過化されたと
きに生じる。同様に、流れている導電性の液体における電圧対電流比の低下は、
液体がフロースルー電気セル中の電極間の領域に生物細胞を引き込んだときに生
じる。したがって、生物細胞のまたは細胞を懸濁した電解液のインピーダンスを
モニターすることによって、細胞膜に孔形成が起こった時点、および孔形成によ
る細胞膜における透過性の相対的程度を検出することができる。この情報を用い
て、所定の細胞に実際にエレクトロポレーションが生じたことを確認することが
でき、または、例えば電圧の強さなどの選択された電気パラメータを制御するこ
とによってエレクトロポレーション工程を制御することができる。またこの発見
は、細胞培養、または脊椎動物、無脊椎動物、もしくは植物中に含まれる多数の
細胞を同時にエレクトロポレーションする上でも有用である。特定の態様ではヒ
トを含む哺乳類に本発明を適用する。この方法により、エレクトロポレーション
が実際に発生したことを示す直接的な指標、および、処理対象の全細胞を平均し
たエレクトロポレーションの程度の指標が得られる。またこの発見は、同じ理由
から、生物組織(連続する膜を持つ生物細胞の塊)のエレクトロポレーションに
も同様に有用である。
【0017】 この方法の恩典として、エレクトロポレーションの開始と程度を高度に制御で
きること、ならびに、特定の個々の細胞または細胞塊における透過化の発生と程
度がより詳細にわかることがある。個々の細胞または一連の個々の細胞に対して
この方法を適用すれば、個々の細胞が確実に透過化され、化学種の導入によって
形質転換される。また、電気的環境のばらつきがあると一部の細胞が破壊されて
、一部の細胞で十分な結果が得られないことがあるが、この方法では、ばらつき
がなくなるためエレクトロポレーションの有効性を増加させることができる。
【0018】 本発明は、生物細胞を中に置くための電気装置またはシステムであって、生物
細胞を迂回する電流が実質的に全く存在しないようにしながら生物細胞を通過す
る電流路に電流を導き、それによってイオンの流れを導くための仕切りを有する
電気装置またはシステムを使用する、単純な態様を説明することによって理解さ
れると思われる。本発明では、これら態様のいくつかにおいて、実質的に電流を
通さない仕切りによって隔離された2つの貯液槽を有する器具が使用される。仕
切りには、生物細胞より小さい開口部があり、生物細胞が開口部に引っかかると
その生物細胞によって開口部が塞がれるか、または閉じられるようになっている
。エレクトロポレーションを実施するため、生物細胞は機械的、化学的、および
/または生化学的な方法で、好ましくは後に生物細胞を損傷のない様式で取り除
くことができるように可逆的な状態で、開口部に固定される。生物細胞が開口部
に固定されると、開口部に固定された生物細胞をはさんで2槽の間に電圧が印加
される。2槽間を流れる電流は開口部通る経路、したがって生物細胞を通る経路
に限定される。電気セル内の電流と電圧の関係をモニターすることによりエレク
トロポレーション開始の検出と孔形成の程度の制御が行われ、これによりエレク
トロポレーションが確実に行われかつ過剰な孔形成と細胞死が回避される。した
がって使用者は、生物細胞膜の状態と変化に関して非常に正確な情報と制御を得
ることができる。
【0019】 別の一連の態様において、本発明は生物細胞内または生物細胞外への化学種の
拡散輸送に有用である。これらの態様でも電気セルは仕切りによって2つの槽に
分けられ、一方の槽から他方の槽への細胞周囲の液体の移動が実質的に妨げられ
るような様式で、生物細胞が仕切りに設けられた開口部に引っかかる。生物細胞
に導入しようとする化学種の溶液を2槽のうちの一方または両方に入れる。溶液
中の化学種の濃度が細胞中の濃度と異なるようにする(化学種を細胞に導入しよ
うとするか、または細胞から除去しようとするかによって、高くするか低くする
かが決定される)。あるいは、溶液中の化学種の濃度が2つの槽で濃度が異なる
ようにする。
【0020】 拡散輸送に本発明を適用した好ましい態様では、拡散輸送の力が槽と生物細胞
にかかるのではなく、むしろ2つの槽の間にかかるように、それぞれの槽に濃度
の異なる溶液を入れる。拡散の進行に伴って経時的または連続的に二槽の各濃度
の把握と制御されたモニタリングを行い、また、開口部の寸法を正確に把握する
ことによって、使用者は化学種が細胞に入っていく速度と量を正確に観察および
制御することができる。拡散時間は、一方の槽または両方の槽の濃度を段階的に
変化させることによって濃度差を生じさせるか、またはなくすことで制御するこ
とができる。特に興味深い応用は、以下の段落に記載するように、この種の化学
種拡散輸送を制御されたエレクトロポレーションと組合せることである。
【0021】 本発明は、エレクトロポレーション技術との関連で有益であるばかりでなく、
電気インピーダンスをモニターすることによって細胞膜の完全性に関する情報を
提供することで、細胞、細胞群、または細胞群を含む組織に関する有益な情報を
提供することができる。具体的には、細胞膜を介した荷電粒子の動きに関する測
定が行われる。これらの測定値は、細胞膜を介した拡散を生じさせるのに必要な
電流の量に関連する。得られた情報は、直接分析するか、同一組織の以前の測定
値と比較するか、または異常組織もしくは正常組織の測定値と比較することがで
き、これにより、測定対象の組織に生じた変化の量(同一組織の以前の測定値に
基づいて)、または測定対象の組織と細胞膜が損傷された組織(例えば異常細胞
)もしくは正常な細胞や組織との差の量の指標が得られる。この方法は、エレク
トロポレーションで用いられるのと同様の方法で行われる。ただし、細胞周囲の
媒質に物質を添加する必要がない。装置は、仕切りで2つの部分に区切られ、一
方に陽電極、他方に陰電極があること、仕切りには開口部があり、開口部と細胞
を通って一方の電極から他方の電極へ荷電粒子が流れるような様式で開口部上に
細胞が位置することにおいて前述の装置と同様である。仕切りによって、開口部
を通る以外の荷電粒子の流れは妨げられるかまたは完全に失われる。電極間の電
気インピーダンスを測定することにより、無傷の膜をもつ細胞と膜が損傷された
細胞とを区別することができる。測定をより正確に行うことにより、損傷された
(例えば異常な)細胞膜と比較した正常な細胞膜の完全性について判断すること
ができる。
【0022】 本発明の様々な態様はそれぞれ、その工程中に、2つもしくはそれ以上(すな
わち複数の)生物細胞に同時に、または動物または植物のものでありうる組織な
どの細胞の塊に用いることができる。前述の器具は、電流または拡散輸送が細胞
を迂回しないようにしながら電流または拡散輸送がすべての細胞を通る経路に限
定されるように仕切りを配置することによって、2つまたはそれ以上の生物細胞
への用途に適合させることができる。本発明の概念のさらなる用途として、流れ
ている液体中に懸濁された生物細胞のエレクトロポレーションがある。電極をフ
ローチャネル中に固定し、電極間の電流をモニターしながら電極間に電圧を印加
する。電極間の領域に入った生物細胞は電流値を低下させて、すなわち、インピ
ーダンスは、この領域に細胞が1つまたは複数存在することの指標となり、さら
には、エレクトロポレーションを実施するのに十分なより高い電圧の印加を開始
するためのシグナルとしても利用することができると考えられる。
【0023】 本発明の装置、システム、および方法のさらなる用途として、哺乳類などの生
きている生物に存在しうる組織中に存在する生物細胞のエレクトロポレーション
がある。組織中に電極を固定して配置し、電極間の電流をモニターしながら電極
間に電圧を印加する。電極間の領域内に無傷の膜をもつ生物細胞がある場合は電
気インピーダンスが増加する。したがって、電気インピーダンスを測定すること
によって、その領域内に1つまたは複数の細胞が存在するかどうかの指標が得ら
れる。エレクトロポレーションによりインピーダンスの測定値が低下すると考え
られる。この方法を組織に対して実施する場合、電気インピーダンスの測定値は
電極間に存在する細胞の統計的平均値となる。
【0024】 細胞膜に形質転換が生じ、膜を通して電流が流れるようになった時期(および
、好ましくはある程度は程度)を決定可能な画像技術を用いて、本発明のエレク
トロポレーション法を生きている生物の組織に実施することができる。好ましい
画像技術は、画像化の対象とする組織の生体電気的特性の差に関する情報を元に
、変化する画像を生成する電気インピーダンストモグラフィ(EIT)である。典
型的なEIT画像は、体内に電流を流し、その結果生じる電圧を電極アレイで測定
することによって取得される。次に、再構成アルゴリズムを用いて、既知の入力
電流および測定した電圧のデータからインピーダンス画像が生成される。EITで
は電気インピーダンスが実際にマッピングされるため、本発明を組織に適用する
のに特に適している。エレクトロポレーションを行おうとする部位はすなわち細
胞の電気インピーダンスがその分変化する部位であり、したがって、EITにより
画像化される。この画像を用いて、細胞膜を損傷することなくエレクトロポレー
ションが生じるような様式で電気パラメータ(例えば電流値)を調整する。
【0025】 先行技術と比較して本発明が有する利点として、細胞を個々に処理できること
、および個々の細胞の必要に合わせて処理条件を適合できることがある。電圧が
印加される態様において、使用者はインピーダンスをモニターすることにより、
孔の有無、孔形成の進行度、および、細胞死につながる可能性のある不可逆的な
孔形成が生じたかどうかを知ることができる。
【0026】 仕切りと開口部を有する器具の利点の1つは、開口部を通る経路に電流を限定
することによるシグナル対雑音(S/N)比の高さである。
【0027】 さらなる利点の一つは、この器具および方法を統合して、各細胞の状態を機器
によってモニターし、モニターした状態に応じたタイミングで個々の細胞を開口
部に捉え、その後取り除くような自動装置を構成できることである。
【0028】 本発明の一つの局面として、検出された電流の変化をリアルタイムに測定し、
これに基づいてシステムに与える電気的パラメータ(例えば電圧および/または
電流)を調整することによって、生物細胞のエレクトロポレーションを制御する
方法がある。
【0029】 本発明の特徴の一つは、本発明の全体的な概念を適用して、1つの細胞、複数
の細胞、組織、または生きている動物中の組織の一部にエレクトロポレーション
を行えることである。
【0030】 本発明の利点の一つは、得られたエレクトロポレーションの量と関連する電流
の変化をリアルタイムに測定し、これに基づいて任意の電気的パラメータ(例え
ば電圧および/または電流)を調整することによって、正確な量のエレクトロポ
レーションが実施され、かつ細胞の損傷が回避できることである。
【0031】 本発明の別の利点は、ヌクレオチド配列を送達のためにウイルスベクターに入
れる必要がなく、したがってベクターの細胞特異性が必要とされないヌクレオチ
ド配列による細胞のトランスフェクションに本発明を利用できることである。
【0032】 さらに他の利点には、本方法が比較的低い技術熟練度でも比較的迅速に行える
ことがある。
【0033】 さらに別の利点には、本方法を用いることによって、免疫反応を起こすことな
く細胞のトランスフェクションが行えることがある。
【0034】 さらに別の利点は、本方法がDNAのサイズ(すなわちDNA配列の長さ)に制限さ
れないこと、および細胞中に運び込まれるDNA量が制御できることである。
【0035】 本発明の別の特徴は、EITなどの画像技術を用いて細胞塊のインピーダンスの
変化を検出できることである。
【0036】 本発明のまた別の特徴は、EITを用いて組織のある領域のインピーダンスをマ
ッピングできることであり、これにより、細胞塊の細胞インピーダンスの変化を
検出して所定の電気的パラメータ(例えば電流および/または電圧)を調整し所
望のエレクトロポレーションを得ることができる。
【0037】 本発明における上述およびその他の特徴、利点、および目的は、後述の説明に
よりさらによく理解されると思われる。
【0038】 発明の説明および態様 本発明の装置およびエレクトロポレーションの実施法を含む方法を説明する前
に、方法および装置は無論さまざまに異なりうるものであるから、本発明は特定
の方法および装置に限定されるものではないことが理解されなければならない。
また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲でのみ限定されるものであり、した
がって、本明細書中の用語は具体的な態様を説明する目的でのみ使用され、本発
明を限定するものではないことも理解されなければならない。
【0039】 ある範囲の値が示される場合、その範囲の上限および下限の間にある各値は特
に断りがない限り下限の単位の10分の1まで具体的に開示されるものと理解され
る。定められた値または定められた範囲中の値と、別の定められた値またはその
定められた範囲中の別の値との間の小範囲は、すべて本発明に含まれる。これら
小範囲の上限および下限はその範囲に入っていても入っていなくてもよく、小範
囲に上限および下限のいずれかまたは両方が含まれるか、またはいずれも含まれ
ない場合の範囲もすべて本発明に含まれ、定められた範囲に特定の除外される限
界がある場合はその対象となる。定められた範囲が一方または両方の限界を含む
場合、これら含まれる限界のいずれか一方または両方を除外した範囲も本発明に
含まれる。
【0040】 特に断りがない限り、本明細書中の技術用語および科学用語はすべて、本発明
が属する分野の当業者に一般的に理解されているのと同じ意味を持つ。本発明の
実施または検証においては本明細書に記載のものと類似または同等のあらゆる方
法および物質が使用可能であるが、以下に好ましい方法および物質を説明する。
本明細書中に挙げる刊行物は、その刊行物と共に引用される方法およびまたは物
質を開示および説明するために参照として本明細書に組み入れられる。
【0041】 本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる名詞の単数形「1つの(a
)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、特に断りがない限り複数形も
含む。したがって、例えば、「1つの生物細胞(a biological cell)」という表
現には複数の生物細胞が含まれ、「電極(an electrocode)」という表現には1
つまたは複数の電極および当業者に既知の同等物が含まれる。他の表現も同様で
ある。
【0042】 本明細書中で言及される刊行物は、本発明の出願日より前の開示の目的でのみ
提供される。本明細書に記載事項のいずれも、本発明が先行発明によりこれら刊
行物の日付を実際より早める権利を有しないことの承認として解釈されるもので
はない。さらに、提供される発表日は実際の発表日と異なる可能性があり、独立
した確認を要する場合がある。
【0043】 定義 「電極」という用語は、その電極から他の電極に電流を生じさせるために用い
られる、あらゆる導電性物質を意味し、好ましくは金属、最も好ましくは非腐蝕
性の金属を意味する。「導電性」とは、例えば電流または電圧などあらゆる形で
参照されうる電気的な流れを伝えることを意味する。電極は種々の異なる導電性
物質で製造され、合金でも純粋な金属であってもよく、銅、金、プラチナ、鉄、
銀、塩化銀などであってもそれらの合金であってもよい。さらに電極は、超小型
回路で使用されるシリコンを基礎とした物質など、導電性の非金属を含んでいて
もよい。組織のエレクトロポレーションに用いられる典型的な電極は、好ましく
は、ロッド形、平板形、または中空針形の構造体である。電極は電流を連続的に
伝えてもよく、またはパルスで伝えてもよい。電極はその用途に非常に特異的で
あってもよく、ステンレス鋼の平行プレート、埋め込みワイヤ、ペアになった針
、および針のアレイからなっていてもよい。当業者は、本発明に従って望ましい
エレクトロポレーションを行うのに特に有用な専用の電極を設計することができ
ると考えられる。
【0044】 「組織」という用語は、複数の細胞を意味する。細胞は同一種類のものでも複
数の異なる種類のものでもよい。これらの細胞は好ましくは特定の機能を果たす
ように組織化されたものである。組織には、生きている生物中の組織も生きてい
る生物から取られた組織も含まれ、また、インビボのものを指すこともインビト
ロのものを指すこともある。さらに組織は、植物および動物を含むいかなる生物
に由来するものでも、または、遺伝子工学を用いてつくられたものでもよく、し
たがって人工的な起源のものでもよい。1つの態様では、ヒトのある明確な領域
に存在する複数の細胞が組織である。
【0045】 「装置」および「エレクトロポレーション装置」という用語は、本明細書中で
互いに置き換え可能でであり、本明細書を通して開示および記載されるあらゆる
装置を指す。装置は、好ましくは第一の電極および第二の電極を含み、第一およ
び第二の電極がそれぞれ正および負の電荷をもつ様式で電源に接続される装置で
ある。また装置は、好ましくは、1つまたは複数の特定の開口部を通る電気の流
れ以外は2つの電極間の電気の流れを妨げる手段を含む。例えば流れを妨げる手
段は、1つまたは複数の開口部を有する非導電性物質で開口部が1つまたは1群の
生物細胞を捉えるように特別に設計されたものでもよい。これにより、電流は必
ず開口部と細胞を通って他方の電極に届く。また装置は、好ましくは電極間の電
流の流れ方を測定する手段を含む。測定の手段には、電圧計、電流計、または任
意の様式で電気の流れを測定することができる当業者に公知のあらゆる装置が含
まれる。さらに、装置は好ましくは電極間の電気の流れの量を調整する手段を含
む。これにより、最適のエレクトロポレーションが得られるように、測定した電
気の流れに基づいて、電圧、電流、またはその他電気の流れに関する所望のパラ
メータを具体的に調整することができる。「エレクトロポレーション」という用
語が用いられる場合は、薬剤またはDNA配列などの化合物を細胞内へ移動させる
ために装置が用いられることを必ずしも意味してはいない。
【0046】 「パワー源」、「電源」、および類似の用語は本明細書中で互いに置き換え可
能であり、電力、電流、または電圧を供給しそれにより電極間に電気の流れを生
じさせるあらゆる手段を指す。装置は好ましくは制御されたモードと振幅を供給
できる能力を有し、一定のDC電流またはAC電流を供給し、またパルス電圧または
連続電圧を供給することができる。装置は、好ましくは電圧、ランプ電圧、ラン
プ電流、またはその他の組合せを指数関数的に減衰できる能力を有する。電源は
例えば、マイクロプロセッサで使用されるタイプのチップと組合せて使用するこ
とも、110Vの交流電流を供給する通常の一般用電源で高速増幅を実現することも
できる。パルス形状は、LabViewプログラム上で動作しその出力をパワー増幅器
に入力することができるToshibaラップトップなどのマイクロプロセッサで生成
することができる。幅広いさまざまな市販の電源で所望の機能を得ることができ
る。通常、エレクトロポレーションのために供給される電位は、組織中の対象領
域に生じ単位V/cmで定義される電圧勾配として表される。その範囲は10 V/cm〜1
00,000 V/cmの範囲を含み、好ましくは100 V/cm〜10,000 V/cmである。しかし、
この範囲は増幅のしかたによるものであり、所望の用途に応じてこれに外れても
よい。電気パルスの範囲は一般にマイクロ秒〜ミリ秒である。しかし、所望の結
果に応じて他の範囲のパルスを使用してもよい。
【0047】 発明の全体像 本発明は様々な構造、方法、および用途に適用することができるが、以下に本
発明に固有の構造および方法を詳しく説明する。この説明により本発明の全体的
な概念が明らかになると思われる。
【0048】 本発明の方法は、幅広い様々な装置およびシステムを使用してを実施すること
ができる。装置は、第一の電圧を有する第一の電極および第二の電圧を有する第
二の電極を含んでいなければならない。さらに装置は、電極間の荷電粒子の流れ
を検出する手段、および、電極間の荷電粒子の流れの変化を検出して得られたデ
ータに基づいて電極間の電流を変化させる手段を含む。好ましくは、装置はさら
に、第一および第二の電極間に置かれた1つまたは複数の生物細胞を通る以外の
電極間の荷電粒子の流れを妨げるか、または大幅に減少させる部品を含む。
【0049】 媒質中に存在する細胞に所望の物質を移動させるため、その物質を媒質に添加
することができる。また本発明は、細胞中に移動させる物質を媒質に加える段階
を必ずしも含まない。本発明の方法は、印加した電流に基づいて細胞膜に生じた
変化を測定するためだけに実施することも可能である。この情報は媒質中に存在
する細胞または細胞群の特性を決定するのに有用となりうるし、特に、正常細胞
および異常細胞の情報との比較に、または以前に検査後の細胞と現在検査中の細
胞との違いの決定に、使用することができる。
【0050】 最初に述べる構造は、1つの生物細胞を保持するための支持体と、電気セル内
の電気の流れをその生物細胞を通る経路に限定する仕切りとを内部に持つ、エレ
クトロポレーションセルである。電圧が印加されていないときは、電圧による孔
形成を行わない単なる拡散輸送にこの構造を用いることができる。
【0051】 仕切りおよび2つの槽を使用する態様における2つの槽を含む構成は、本発明に
おいて不可欠なものではなく、様々に異なっていても本発明の目的および利点を
達成しうる。ただし、生物細胞は大きさが顕微鏡レベルであるため、様々な各形
態で本発明を実施するための器具として好ましいのは、構造全体および/または
槽の大きさがマイクロファブリケーション技術でつくられる電子チップのサイズ
であるものである。マイクロファブリケーション技術としては例えば電子チップ
製造で用いられている技術がある。さらに、槽がフロースルー槽になっていて、
連続流、間欠流、または使用者の指示による流入で液体を通過させることができ
、且つ生物細胞の細胞膜を通過する化学種を精密に制御するため必要に応じて濃
度、圧、およびその他の条件を変えることができることがより好ましい。したが
って、この器具の好ましい構造および製造方法の1つは、接合されたときに流路
を形成する適切な開口部を持った層または小板で器具を構築するものである。
【0052】 フロースルー槽には、個々の細胞を連続で投入および除去させることができ、
したがって大量の細胞を連続処理できるという利点がある。またフロースルー槽
では溶液の溶質が減少した場合に補充が可能であり、したがって必要に応じて濃
度勾配を連続的に維持することができる。フロースルー槽がもつさらなる機能の
1つは圧の増加と減少である。この機能は以下に説明するように様々な目的にお
いて有益となる。
【0053】 この構造における生物細胞の支持体は、生物細胞をある位置に固定し、電流の
通過を可能にするような任意の構造であり得る。最も便利な支持体は、仕切りに
設けられた開口部である。開口部に生物細胞を固定することにより、開口部が閉
鎖、密閉、または塞栓され、これにより電流、拡散輸送、またはその両方の経路
が細胞を通ることになり、細胞周囲の漏れはなくなるかまたは最小限に抑えられ
る。これを達成するのに便利な機械的手段の1つは、開口部を挟んで、開口部に
細胞を押し付ける方向に圧差をかけることである。開口部の直径は細胞の直径よ
り小さくする。器具に入った細胞は2つの槽のどちらかに入る。細胞の入った槽
の圧を高くするか、あるいは他方の槽の圧を下げることにより、細胞が開口部に
押し付けられ開口部をふさぐ。処理が完了したら、2槽の圧を等しくするか、ま
たは圧差を逆にして細胞の入った槽より他方の槽の圧を高くすることにより、細
胞は容易に開口部から離れる。細胞の入った槽の液体の流れにより細胞が開口部
から除去され、開口部には別の細胞が固定できるようになる。
【0054】 開口部を細胞で密閉する別の方法は、細胞膜に結合する物質で仕切りの表面ま
たは開口部の縁に被覆を施すことである。生物細胞の細胞膜は負に帯電している
ため、被覆にはポリリジン、ポリアルギニン、またはポリヒスチジンなどの正に
帯電する物質を用いることができる。生物細胞は開口部を挟んだ圧差によって開
口部に導かれ、そこで被覆によって保持される。処理が完了したら、開口部の細
胞側の槽の液体の流速を瞬間的に増加させることによって、または開口部を挟ん
だ圧差を逆転させて開口部から細胞を動かすことによって、細胞を被覆から離す
ことができる。
【0055】 開口部の大きさは、望ましい程度の物質輸送、電流の通過、またはその両方を
制御可能かつ経済的に妥当な時間内に達成するのに十分な表面積を細胞膜上に確
保できるかぎり、本発明において特に重要ではない。したがって、最適な大きさ
は処理あるいは研究しようとする特定の細胞ごとに異なるであろう。一般的に、
開口部は好ましくは円形またはほぼ円形であり、直径は細胞の大きさによって異
なり、好ましくは約1ミクロン〜約100ミクロン、より好ましくは約1ミクロン〜
約50ミクロン、最も好ましくは約2ミクロン〜約20ミクロンである。2つの槽を隔
てる孔のあいた仕切りは、好ましくは、水にも溶質にも不浸透性で、細胞を開口
部に固定するのに十分な圧差を保持できる硬質の誘導体物質である。マイクロフ
ァブリケーション技術で製造される装置では、仕切りの材料として便利なのは窒
化ケイ素である。同様に機能する他の材料は当業者に容易に明らかになるであろ
う。
【0056】 本発明の好ましい態様におけるさらなる特徴は、透明な物質で作られた器具の
使用である。これにより使用者は、細胞内部および微量拡散とマイクロエレクト
ロポレーションが起こる工程を顕微鏡で観察できる。
【0057】 インビボ治療におけるエレクトロポレーションの使用 本発明のエレクトロポレーション技術は、哺乳類およびヒトを含む、治療を必
要としている生物の治療、分析、または診断において有用である。治療は一般的
に、治療しようとする組織の領域に物質を連続注入あるいは急速大量投与して行
われる。その組織の近傍に電極を設置し、電流または電圧を連続的に印加および
測定して、望ましいレベルのエレクトロポレーションが実施され注入された物質
が治療しようとする組織の細胞中へと移動できるようになったかを調べる。
【0058】 注入する薬学的活性化合物は、低分子と通常呼ばれる従来の薬剤でも、蛋白質
または蛋白質をコードするヌクレオチド配列であってもよい。さらに、組織に注
入する構成物の投与は、エレクトロポレーション装置から電気パルスを印加する
前でも、印加中でも、さらには印加後でもよい。本方法の全体的な目標はエレク
トロポレーションによって孔をあけ、通常は細胞膜を通過しない化合物を細胞内
に導入することである。例えば、ブレオマイシンまたは種々の遺伝子構造体およ
び/もしくはプラスミドを、治療しようとする組織の細胞に導入することができ
る。これは、治療しようとする組織中の細胞に電位と電流を生じさせることによ
って実施され、このとき電位は電気パルスとして生成される。パルスを生成する
には1つの電極より複数の電極を使用するほうが好ましい。
【0059】 有用な電極デザインの1つの例は、幅10 mm、厚さ0.6 mmの2つの平鋼ストリッ
プを含むものである。2つの電極は約6〜7 mm離れており、この距離は固定されて
いる。第二の電極デザインは、2つ〜最大8つの20 mmの正方形平鋼を含むもので
ある。電極はPS15電気パルセータに接続される。パルスは、平面側を皮膚に当て
ることによって、あるいは電極を皮膚腫瘍の周囲に置くことによって伝えられる
。皮膚との接触には、導電性ゲルまたは食塩水など、心電図計測に従来から用い
られている物質を使用することができる。本発明の方法を実施するには患者に1
つまたは複数のパルスを与えることができ、好ましくは複数のパルスを与える。
人体の内部など生物内部の組織にエレクトロポレーションを行うには、すなわち
皮膚の外に電極を置かずに実施するには、様々な構成が可能である。このような
構成は複数の針電極を含む針アレイで構成することもできる。1例として、陽電
極および負電極はそれぞれ、直径0.5 mmでステンレス鋼からなり、長さ1 cmの6
本あるいはそれ以上の針で構成され、BTX 820パルスジェネレータに接続されう
る。この電極を平行に組織に挿入し、エレクトロポレーションを行おうとする細
胞の周囲に設置することができる。電極は範囲5 mm〜1 cmの任意の直径で円形に
配置することもできる。レンジ約1300 V/cmの電圧電極比を使用することができ
る。与えるパルスの数はいくつでもよいが、インターバル1秒間、パルス幅100マ
イクロ秒の約6パルスで始めるのが好ましい。本発明は、細胞内に導入された物
質を追跡するための色素および標識を使用することなくエレクトロポレーション
が生じたかどうかを決定できることができる点で、組織のエレクトロポレーショ
ンに特に適している。
【0060】 図6aおよび図6bに示すように、電流は細胞周囲を通り(図6a)、エレクトロポ
レーションが生じた後は細胞の中を通る(図6b)。本発明の方法により、図6aの
状態と図6bの状態の中間の移行期がいつ起こっているかを決定することが可能と
なり、またさらに、細胞膜に不可逆的な影響が生じるのを避けることが可能とな
る。図8aに示すように、エレクトロポレーションを強く行うと、細胞膜が損傷さ
れその結果、不可逆的な影響が生じることがある。一般的にこれは好ましくない
。しかし、電流の量を調整することにより、細胞膜に有意な損傷を与えることな
くエレクトロポレーションを行うことができ、従って図8bに示すような可逆的な
状態を得ることができる。
【0061】 図6aおよび図6bに示すように、細胞は電気インピーダンスを生じ、本発明はこ
の電気インピーダンスの程度を正確に測定すること、および、エレクトロポレー
ションで所望の結果が得られるように電流を調整することに関する。しかし、組
織中のように多数の細胞が関与する場合は、組織中の複数のセルにエレクトロポ
レーションを行う上で電流のその他の影響を測定する別の機構を用いるのが好ま
しいことがある。電気インピーダンスは電気がある物質をどのように通過するか
の尺度である。電気インピーダンスは物質ごとに異なり、物質の電気的組成で決
定される。電気インピーダンスの高い物質もあれば低い物質もある。悪性疾患の
ある(癌性の)乳房組織は、正常組織または良性(癌性でない)腫瘍より電気イ
ンピーダンスが大幅に低い(電気をよく通す)。
【0062】 インピーダンスは端子間に電圧がかけられたときに電気回路が電気の流れにど
の程度抵抗するかという尺度である。インピーダンスは、1組の端子間を流れる
電流に対する、端子間にかけられた電圧の比であり、オームで表される。直流(
DC)回路ではインピーダンスは抵抗に相当する。交流(AC)回路では、インピー
ダンスは抵抗、インダクタンス、およびキャパシタンスの関数である。インダク
タおよびキャパシタは電流の流れと逆向きの電圧を蓄積する。この対抗性はリア
クタンスと呼ばれ、これと抵抗との組合せでインピーダンスが定義される。イン
ダクタンスにより生じる抵抗はAC電流の周波数に正比例し、キャパシタンスによ
り生じるリアクタンスは周波数に反比例する。
【0063】 上述の基本概念は本発明の基本的な局面で利用され、電気インピーダンストモ
グラフィ(EIT)とも呼ばれる電気インピーダンス画像法を説明するのにも適し
ている。同じ技術を説明するのに多数の異なる用語が使用されうることは注意を
要する。電位印加トモグラフィ(Applied potential tomography:APT)もその1
つである。これらの画像技術により、生物組織の電気的特性の空間的変動に基づ
く画像を得ることが可能である。APTおよびEITなどの技術を利用して、組織にお
いて本発明を実施することができる。電位印加トモグラフィ(APT)の物理的基
礎は、生物物質表面の2点間に電流を印加したときの表面の電位分布の測定であ
る。他の研究者らもこの技術を利用しており、電気インピーダンス画像法、導電
性画像法、電気インピーダンストモグラフィなどの名称で呼んでいる。本明細書
においてはこの技術を主にEITまたは電気インピーダンストモグラフィと呼んで
いる。したがって、以後の開示ではこの技術をEITとのみ称し、実施例3にその1
例を示す。
【0064】 本開示を読んだ当業者は、電流の変化を測定するための様々な方法を考えるで
あろう。組織に対して本発明を実施する際にこれらを測定するための好ましい方
法の1つは画像技術を用いることであり、具体的には試料の生体電気的特性の差
異をモニターし、分析して、画像を生成する電気インピーダンストモグラフィ(
EIT)を用いることである。本発明においては、EIT画像を生成し、所望の結果を
得るためにこの画像を用いて電流を調整することにより、EIT技術を利用するこ
とができる。具体的には、組織中に電流を流し、その結果生じる電圧を電極アレ
イで測定することによってEIT画像が生成される。これにより、再構成アルゴリ
ズムを用いて、既知の入力電流と測定された入力電圧データからインピーダンス
画像を生成することが可能になる。EIT画像では電気インピーダンスのマップが
得られるため、この点において、本発明を組織に適用するうえでEIT技術は特に
好適である。電気インピーダンスのマップにより、本質的に、使用者はエレクト
ロポレーションがいつ開始されたかを視覚化することができる。エレクトロポレ
ーションが開始されたら、使用者は印加する電流の量を安定化させることができ
、これによって、図8aに示すような不可逆的な損傷を細胞に生じさせるような多
量の電流の印加を回避することができる。EIT技術により、モニターしている組
織中の細胞の電気インピーダンスの変化に基づいて、組織中のエレクトロポレー
ションを行う領域を視覚化することが可能になる。
【0065】 図7は、組織試料71に対して本発明の方法を行うのに用いられる、EITシステム
の概念図である。電流源72はシグナル発生器73によって制御され、コンピュータ
制御された1組のマルチプレクサ74、75を介して組織試料71に電流を流すために
使用される。マルチプレクサ74、75は、差動増幅器76と復調器77に接続される。
測定されたシグナルは元のシグナルと比較され、後の画像構成のために振幅と位
相のデータが記録される。制御用コンピュータ78は、典型的には、どの電極ペア
から電流を流すかを選択しながら他の電極の電圧を読み取る。本発明で利用でき
るハードウェア構成はこの他にも多数存在する。
【0066】 図7に示すEITシステムは、電流源および測定用増幅器が1つであることから一
般的にシリアルシステムと呼ばれる。他のシステムでは、様々な程度の並列化(
複数の電流源および電圧測定用増幅器)を用いることにより電流注入システムの
柔軟性およびスピードの向上が図られている。
【0067】 再構成アルゴリズムは、体の関心対象の領域の外側表面で測定した電圧(印加
した電流のデータ)と電極形状に関する情報から、組織71の領域内の組織インピ
ーダンスの空間分布を表す画像を生成するのに用いられる。インピーダンス画像
の生成に使用できる方法は多数ある。静的画像法は絶対インピーダンスの分布を
描出するものである(Cook, R. D.ら、「ACT3: 高速高精度電気インピーダンス
トモグラフィ(ACT3: a high speed, high precision electrical impedance to
mography)」IEEE, Trans. Biomed. Eng. 41, 713-22 (1994))。差分画像法
は2つのデータセットの差に基づいて分布を描出する(Barber, D. C.、「バイオ
メディカルエンジニアリングの進歩(Advances in Biomed Eng.)」(Benek in,
W., Thevenin, V.編) 165-173 (IOS Press, Amsterdam, 1995))。この種の
技術では、インピーダンス分布があるベースライン測定からどのように変化した
かを表す画像が得られる。多周波インピーダンス画像法は、組織インピーダンス
の周波数依存性を利用するものである(Groffiths, H.、「電気インピーダンス
トモグラフィにおける位相測定の重要性(The importance of phase measuremen
t in electrical impedance tomography)」Physics in Medicine and Biology
32,1435-44 (1987))。準静的画像は、低周波数画像をベースラインとしてこ
れらの差分技術を用いて生成することができる。したがって、このシステムによ
り、真の静的画像における困難を伴うことなくある種の静的画像を得ることが可
能になる。
【0068】 再構成そして画像化を行うため、組織中で電流がどのような挙動を示すかとい
う数学的モデルが使用される。一般的に、EITにおける電流の流れに適用される
モデルは、よく知られているポワソンの方程式で得られる。EIT画像再構成およ
び他の多くの医用画像技術で必要とされる数学的分析法は、大きくは境界値問題
として知られる種類に属する。境界値問題を解く方法は多数あるが、これらはす
べて分析法または数値反復法のいずれかに分類することができ、当業者は本発明
の実施に当ってこれらを適用することができる。
【0069】 現在用いられている再構成アルゴリズムの大多数は、ポワソンの方程式に対し
て反復解法を用いたものである。反復アプローチの多くは、組織中のインピーダ
ンス分布を推定して順問題を繰り返し解き(あるインピーダンス分布における電
圧密度および電流密度を算出)、それに応じてインピーダンスの推定値を調整し
、電圧および電流の測定値が計算値と一致するまでこれを行うことによって境界
値問題を解こうとするものである。順問題は数値的に解く必要があり、有限要素
法または差分法が用いられるのが普通である。FEM(有限要素法)は順問題を解
く上で非常に強力でよく用いられる方法であり、このため、多くの学際的分野で
技術的解法として最も広く使われる傾向にある。
【0070】 本発明に従って単一の細胞に対して電場をかけずに細胞膜を介した物質輸送を
行う場合に適した微量拡散器具の一例を図1に示す。この器具の部品は、下から
順に、アクリル製ベース11、2つの液体槽のうち下の槽の側面となる彫り込み部
位13をもつシリコン製中間層12(厚さ1ミクロン)、2つの槽の仕切りとして機能
する窒化ケイ素層14、上部液体槽16の側面となるシリコンワッシャ15、および、
ガラス製カバープレート17である。窒化ケイ素の仕切りにあけられた穴18は開口
部として機能し、図中には1つの細胞あるいは組織のように連続した細胞塊19が
この穴をふさいでいる様子を示している。アクリル製ベースを通るチャネルは、
図中に矢印で示すように、上槽および下槽を通る液体の流入路および流出路とし
て機能する。
【0071】 上槽16内の圧が下槽13内の圧より高い場合、細胞は穴の上に保持され、2つの
槽の液体を隔てる栓として機能する。2槽の溶液の組成が細胞内のそれと異なる
場合は、細胞膜を介して槽と細胞との間で物質輸送が生じる。一方の槽の溶液の
組成が他方の槽のそれと異なる場合は、細胞を介して槽と槽との間で物質輸送が
起こる。2つの槽の溶液の組成を正確に制御することにより、セル内の物質輸送
の速度と方向を正確に制御することができる。穴18の直径は既知であることから
、この穴を通る物質輸送を正確に決定することができる。
【0072】 この微量拡散装置がもつ数多くの用途は容易に理解されるであろう。例えば、
この装置を用いてグリセロールなどの凍結保存剤を細胞内に注入することが可能
であり、それには上槽16を生理食塩水で、下槽13をグリセロールでそれぞれ満た
す。細胞膜を介したグリセロールの物質輸送係数がわかっている細胞19を用いる
場合は、セルに浸透するグリセロールの量を計算して、凍結保存に必要な量を細
胞に注入するための濃度および曝露時間を容易に調整できる。
【0073】 単一の生物細胞に本発明を適用する場合のマイクロエレクトロポレーション器
具の1例を図2に示す。この器具の構造は図1の微量拡散器具と似たものである。
その部品構成は、下から順に、アクリル製ベース21、下部液体槽23の側面となる
彫り込み部位をもつ下部シリコン層22、2つの槽の仕切りとして機能する窒化ケ
イ素層24(厚さ1ミクロン)、上部液体槽26の側面となる上部シリコン層25、お
よび、n+ポリシリコン層(厚さ5,000 Å)27、および窒化ケイ素層(厚さ1ミク
ロン)28を含むガラス製カバーである。窒化ケイ素の仕切り24にあけられた穴29
は開口部として機能し、1つの細胞30(または細胞塊)がこの穴をふさぐ。アク
リル製ベースを通るチャネルは、図中に矢印で示すように、上槽および下槽を通
る液体の流入路および流出路として機能する。さらに、アクリル製ベース21の上
にn+ポリシリコンの層(5,000 Å)31があり、この層は、上槽26の上にあるn+ポ
リシリコン層27とともに2つの電極として機能する。各電極は、電極間に印加す
る電圧の制御と電極間を通る電流の測定とを行うプリント回路基板32に導線で接
続される。
【0074】 図2に示すマイクロエレクトロポレーション器具は、典型的には化学蒸着、マ
スキング、エッチング、およびスパッタリングで用いられている従来のマイクロ
ファブリケーション技術で作製することができる。この器具の動作は図1の微量
拡散器具の動作と類似している。器具内の生物細胞の移動は上槽用の液体に細胞
を懸濁することにより実施され、細胞は2つの槽に圧差をかけることによって1度
に1つずつ開口部に導かれ、開口部に導かれた細胞はこの開口部に保持される。
このような圧差をかけるのに便利な方法の1つは、下槽に注射器を取り付け、上
槽を大気圧に維持したまま注射器のピストンを引くことによって下槽の圧を大気
圧未満に下げることである。細胞を損傷しないところまでに圧差をとどめるよう
に注意が必要である。
【0075】 図3aおよび図3bは、本発明の範囲内の別の器具および方法を示したものである
。この器具と方法では、コンジットまたはフローチャネルを流れる生物細胞の懸
濁液が使用され、細胞はコンジットまたはフローチャネルを通る際に1組の電極
に挟まれた領域を通る。縦断面図である図3aは、チャネルの壁41およびチャネル
の内腔を下方に向かって(矢印の方向に)通過する生物細胞42を示している。横
断面図である図3bはチャネルの断面が長方形であることを示しているが、他の断
面形状であってもよい。電極43、44はチャネル内で対面する2つの壁に被覆とし
て形成される。電極は、インピーダンスの測定と電極に印加する電圧の制御とを
行うプリント回路基板45に導線で接続される。生物細胞42は、2つの電極に挟ま
れた領域を通過しているものとして示されている。
【0076】 チャネルの断面積は、細胞が実質的にチャネル壁に妨げられることなく通過す
るように十分に大きく、かつ、電極間の領域を1度に通過する細胞が1つのみとな
るように十分に小さい。さらに、電極間の領域に細胞が入ると、電極間に印加さ
れた電圧によってこの領域を通っている電流が有意にすなわち測定可能なだけ減
少するように、電極43、44の長さは生物細胞の直径とほぼ等しいかそれよりわず
かに大きくする。同様に、電極のスペーシングすなわち電極間の距離にも同じ考
慮が必要である。生物細胞は、細胞内に導入しようとする化学種の溶液に懸濁し
、この懸濁液をチャネルに通す。懸濁液がチャネルを通るときにある電圧を電極
に印加し、電極間の電流(あるいはインピーダンス)をモニターする。電流の有
意な低下は、電極間の領域に生物細胞が存在することを示す。このように細胞が
検出されたら、電極間の領域に細胞がある間にエレクトロポレーションパルスを
電極に印加し、引き続きインピーダンスをモニターすればエレクトロポレーショ
ンの開始を検出することができる。エレクトロポレーションの結果、溶液に溶解
されている化学種が細胞内に入る。
【0077】 当業者にはこれらの構造および方法に対する変更が容易に明らかになるであろ
う。例えば、前述の仕切りは、生物細胞と同じ大きさまたはそれより小さい微小
電極を用いることによって最小化あるいは排除することが可能である。このよう
な微小電極の例として、高精度マイクロマニピュレータ(例えば東京、ナリシゲ
から入手可能なMWH-3)で用いられるカーボンファイバー微小電極(例えばProCF
E、米国カリフォルニア州フォスターシティ、Axon Instruments)がある。微小
電極は、図2あるいは図3aおよび図3bに示す電極の代わりに使用することができ
る。
【0078】 実施例 以下の実施例は、本発明をどのように利用するかについての完全な開示と説明
を当業者に提供するためのものであり、本発明者らが発明であると考える範囲を
限定するものではなく、また以下の実験が実施された全ての実験または実施され
た実験のみであることを示すものでもない。示した数字(例えば量、温度など)
は正確であるように注意を払っているが、いくつかの実験上の誤差および逸脱は
考慮に入れられるべきである。特に断りがない限り、部分は重さによる部分であ
り、分子量は平均分子量であり、温度の単位は摂氏であり、圧力は大気圧または
大気圧付近である。
【0079】 実施例1 上述および図2に示したマイクロエレクトロポレーション装置を用い、上槽お
よび下槽に循環させる液体用の流速圧力制御ユニット、および圧力計、可変DC電
源、装置に電圧パルスをかけるためのパルスジェネレータおよびパワー増幅器、
パルスをモニターするためのデジタルオシロスコープ、蛍光顕微鏡、CCD(電荷
結合素子)カメラ、ならびに画像処理ソフトウェアおよび波形処理ソフトウェア
を備えたコンピュータと組合せたマイクロエレクトロポレーションシステムを用
いて、一連の実験を行った。装置の2つの槽を生理食塩水で満たし、上槽に細胞
を入れた。上槽および下槽の液体の移動は注射器で行った。上槽内の圧力は大気
圧とし、下槽内の圧力は下槽に接続した注射器の筒を引くことによって大気圧よ
り低くした。電圧は強さ0〜120 V、持続時間2マイクロ秒〜100ミリ秒の範囲の単
一矩形波で印加した。上槽および下槽の電極間の距離は900ミクロンとした。
【0080】 この実施例の試験では、典型的な直径が20ミクロンのND-1ヒト前立腺癌細胞を
用いて行った。マイクロエレクトロポレーション装置の開口部は直径5ミクロン
とした。持続時間60ミリ秒の矩形電圧パルスを印加し、パルスは10 Vから60 Vま
で5 Vずつ振幅を上げて変化させた。各パルスについて開口部を通過する電流を
測定した。実験は細胞について行い、ガラスビーズで開口部をふさいだ場合およ
び開口部に障害物を置かない場合の両方について行った。それぞれの場合の結果
をパルス振幅のボルトに対する電流のマイクロアンペアで表した。これをプロッ
トしたものが図4であり、一番上の曲線(xで示したデータポイント)は開口部を
閉鎖しなかった場合、一番下の曲線(アスタリスクで示したデータポイント)は
開口部にガラスビーズを置いた場合、中間の3本の曲線(中抜き四角、中抜き正
位の三角、および中抜き逆位の三角)はそれぞれ異なるND-1細胞を開口部に置い
た場合のデータを示す。
【0081】 一番上の曲線は、開口部を通る電流の流路に障害物がない場合、電圧の増加に
伴って実質的に安定して電流が増加することを示す。一番下の曲線も、程度はは
るかに低いものの、電圧の増加に伴って実質的に安定して増加することを示す。
一番下の曲線の電流値は装置を流れる迷走電流を示す。開口部にND-1細胞を置い
た場合の曲線から、低電圧では電流値が開口部をガラスビーズでふさいだ場合の
値に近いが、高電圧で場合は電流値が開口部をふさがない場合のレベルまで上昇
することが示される。その変化は急激な上昇となっており、このことは細胞膜に
電流が通過できる孔が形成されたこと、すなわちエレクトロポレーションの開始
を示唆している。3つの細胞すべてにおいて、この変化は電圧30 V〜40 Vの電圧
で起こった。3つの細胞のうち2つ(中抜き四角および中抜き正位の三角)では、
本質的に同じ電圧でエレクトロポレーションが開始されたが、3つ目の細胞(逆
位の三角)では、他の2つより約5 V低い電圧でエレクトロポレーションが開始さ
れた。このことは、最適の結果を得るためには個々の細胞ごとに工程を調整する
ことの重要であることを示している。
【0082】 図4のデータが得られた後、振幅を減少させながらパルスを再印加した結果、
曲線はヒステリシスを示した。すなわち、振幅を漸減した場合に得られる曲線で
は、漸増した場合に得られる曲線より電圧が高くなった。このことはこれらの実
験におけるエレクトロポレーションは不可逆的に起きたことを示している。
【0083】 実施例2 実施例1で使用したものと同じマイクロエレクトロポレーションシステムを用
いて、細胞の典型的な直径は20ミクロンであるラット肝細胞(ATCC #CRL-1439)
に対して一連の実験を行った。マイクロエレクトロポレーション器具の開口部は
直径4ミクロンとした。実施例1と同様に持続時間60ミリ秒の矩形電圧パルスを使
用した。振幅は10 V〜37.5 Vとし、10 V〜30 Vでは5 Vずつ、30 V〜37.5 Vでは2
.5 Vずつ増加させた。実験の一部は振幅の漸増のみで行い、一部は振幅を最初に
漸増し次に漸減して可逆性を評価した。結果は図5a、図5b、図5c、および図5dに
示したグラフに表示する。各グラフにおいて、一番上の曲線(円で示したデータ
ポイント)は開口部に細胞もガラスビーズも置かなかった場合、一番下の曲線(
四角で示したデータポイント)は開口部にガラスビープを置いた場合、中間の曲
線(三角で示したデータポイント)は開口部に肝細胞を置いた場合のデータであ
り、4枚の図はそれぞれ別の肝細胞を用いたデータである。
【0084】 図5aでは、振幅は漸増のみで漸減は行わず、エレクトロポレーションの閾値電
圧は25 Vと30 Vの間を示した。図5bおよび図5cでは、振幅をまず漸増させ次に漸
減して、中間の2本の曲線を得た。漸増時の曲線と漸減時の曲線を区別していな
いが、各図において両者は実質的に同一であり、このことは各々の場合において
各電圧パルスの後に細胞膜が再度塞がれたこと、したがってこの場合の孔形成が
可逆的であったことを示している。図5dに示した試験では、図には示していない
が、印加電圧が37.5 Vを超えると細胞が崩壊した。図5a、図5b、図5c、および図
5dのそれぞれで同じ種類の細胞を使用したにも関わらず、エレクトロポレーショ
ンの閾値電圧が、すべて20 V〜35 Vの範囲に入っていたとはいえ個々の細胞ごと
に異なっていたことは注目に値する。このように電流をモニターして、どの時点
でエレクトロポレーションの閾値が生じるかに注目することによって、個々の細
胞にあわせた処置を容易に実施することができる。このシステムにおける最適な
曝露時間、電圧、周囲の液体中の組成の変化、および他のパラメータを選択する
ことにより、細胞を破壊することなく所望の処理を行うことができる。
【0085】 本明細書に記載した方法は、実験室では生物細胞のエレクトロポレーション特
性の基礎研究を行う上で有用なツールであり、産業においても大量の細胞をフロ
ースルー方式で処理する上で有用なツールである。個々の細胞を流れる電流の観
察と記録を可能にすることによって、電圧パルスの振幅と持続時間を制御して最
適の結果を得ることが可能となる。さらに本明細書に示した本発明の実施に用い
る装置は、透明な部品を用いて、顕微鏡のステージに固定するのに適したサイズ
で構成することができる。これにより、電流の測定値を細胞内部の視覚的観察結
果および蛍光の測定値と相関させることが可能となる。本装置を用いて、細胞膜
の孔形成が起きた時点および細胞が開口部に引っかかった時点を、電流の測定に
より電気的に検出することができる。より大規模で産業的な用途には、本明細書
で記載した種類のマイクロエレクトロポレーション装置を多数並列に配置するこ
とができる。各細胞について、開口部に細胞が捕捉されたことを示す電気的情報
(電流の急激な低下など)を利用してエレクトロポレーションを連続的に開始す
るシグナルを生成することができ、さらにエレクトロポレーションの完了を示す
電気的情報(電流の急激な上昇など)を利用して、その細胞を(例えば圧差を消
失または逆転させるなどして)解放し次の細胞を開口部に導くシグナルを生成す
ることができる。
【0086】 本発明の装置およびシステムは、細胞内または細胞外へ物質を移動させる用途
に加え、診断または分析の様式でも使用することができる。これは媒質中に入れ
た1つまたは複数の細胞の電気インピーダンスを測定し、この測定した電気イン
ピーダンス情報を利用することによって行われる。細胞膜の完全性に関する情報
を導き出すことが可能であり、したがって分析に用いることができる。また、そ
の情報を同じ種類の正常細胞または異常細胞で以前に取得した情報と比較するこ
とが可能であり、したがって診断情報を得ることができる。例えば、無傷の細胞
膜を持つ細胞の電気インピーダンスは細胞膜が損なわれた同じ細胞のインピーダ
ンスよりはるかに高い。このように、本工程から分析的に細胞膜の構造上の完全
性に関する情報が得られる。診断的には、細胞膜の構造上の相対的な完全性に関
する情報が得られる。
【0087】 実施例3 エレクトロポレーションを行った領域の電気インピーダンスマッピング 組織中のEITにおけるエレクトロポレーションのモニタリングにおけるEITの可
能性を示すため、本発明者らはこの問題の数学的シミュレーションを解決した。
【0088】 エレクトロポレーションの画像化シミュレーションに必要なデータを得るため
、まず二次元の微細格子FEMモデル(格子点 約1600、要素 約3100)を用いて模
擬組織像を作成した。図9に示すこの像は、収量を変更できる点状の電極を円周
に沿って等間隔に配置した、筋肉様の円形画像領域(半径20 mm、抵抗率500 Ω
・cm)を含んだ。この画像領域内では、任意の形状の1つのエレクトロポレーシ
ョン領域を異なる抵抗率で定義した。対向する電極電流注入パターンを用いて、
N(N-1)/2(式中、Nは電極の数である)の独立した電圧を測定した。MATLAB's Pa
rtial Differential Equation Toolbox (The Mathworks Inc.)の適合格子生成法
およびFEM解法アルゴリズムを用いてこのモデルを解釈した。与えられた幾何学
的構造に対する格子の1例を図9に示す。像のモジュールにより再構成アルゴリズ
ムへの利用が可能になる情報は、実験の中のエレクトロポレーション中に得られ
たと考えられるデータ、すなわち組織周囲に配置した各電極の電流および電圧を
示すものである。このデータから、本発明者らはこのモデルに入力した組織の原
画像の再構成を試みた。(EITでは通常AC電流が使われるがこの実験では問題を
単純化するためDC注入電流を用いたことは注意を要する。ACの導出および実施は
ここに示す結果をそのまま拡張したものである。)8電極EITシステムのシミュレ
ーションデータ取得段階の、この像内の電圧および電流の典型的な例を図10に示
す。
【0089】 この像から得られたデータを2つのEIT画像アルゴリズムに入力した。1つは有
限要素法、もう1つは境界要素法を用いてインピーダンス画像を生成した。いず
れのアルゴリズムも画像の生成には標準的なニュートン・ラフソン(Newton Raph
son)法を用いている。図11では、2つの異なる電気インピーダンスを有する円形
の画像領域を、有限要素法および境界要素法で再生成した原画像と比較している
【0090】 EITは組織の電気インピーダンスのマップから組織の画像を生成するものであ
り、エレクトロポレーションはインピーダンスの変化を生じさせるものであるこ
とから、電気インピーダンスによる断層撮影法を用いて組織中のエレクトロポレ
ーションが起きた領域を画像化することができる。組織のエレクトロポレーショ
ンの画像化に用いる電極はエレクトロポレーション工程自体に用いる電極と異な
ることもあれば同一であることもある。
【0091】 実施例4 膜の透過性における変化の電気的検出 細胞のエレクトロポレーションに関する研究の一部として、本発明者らは可逆
的および不可逆的なエレクトロポレーション中の細胞の電気的特性を調べた。可
逆的なエレクトロポレーションでは、細胞はエレクトロポレーション工程によっ
て損傷されず、細胞膜は再び塞がれる。不可逆的なエレクトロポレーションでは
、細胞膜が損傷され再度塞がれることはない。ND-1細胞を用いて、マイクロエレ
クトロポレーション中に細胞を通過する電流を測定した一連の実験では、図8aお
よび図8bに示す結果を得た。この結果は、図8aおよび図8bに示した三角形の電気
パルス(一番上の曲線)に細胞を曝露することによって得られたものである。細
胞を流れる電流は図8aおよび図8bの一番下の曲線に示す。図8aは不可逆的にエレ
クトロポレーションされた細胞、図8bは可逆的にエレクトロポレーションされた
細胞に関する。可逆的にエレクトロポレーションされた細胞では、電圧を減少さ
せたときに電圧を上昇させたときと同じ値が保たれていることが容易にわかる。
しかし、不可逆的なエレクトロポレーションが起きた場合、膜が損傷された細胞
を通る電流は無傷の細胞よりも大きくなった。したがって、特にエレクトロポレ
ーションの際だけでなく、細胞を流れる電流によって、一般的には膜の透過性に
おける変化の指標を得ることができ、細胞膜の完全性を測定することができる。
例えば、細胞の生存度は、損傷された膜を通過するトリパンブルーまたは蛍光色
素を用いて測定されることが多い。これらの結果から、膜が損傷された細胞を検
出する別の方法として、細胞における電流と電圧の関係を測定することもありえ
る。同様に、細胞膜の穿孔を誘発する、イオノフォアなど化合物が存在する。細
胞膜における電流と電圧の関係(インピーダンス)を測定することにより、これ
らの化合物によって細胞膜が損傷されたかどうかを検出することも可能である。
電気的測定ではただちに情報が得られることから、電気的測定は細胞膜の損傷を
検出する上で化学的な方法よりも有利である。細胞膜の透過性における変化、特
に損傷された細胞膜における変化を検出する方法として考えられるのが、エレク
トロポレーション工程で記載したエレクトロポレーションチップの利用である。
図8aおよび図8bに示したように、損傷の尺度は、無傷の細胞のインピーダンスと
損傷された細胞のインピーダンスにおける差異であるといえる。組織中において
も、本明細書に記載したエレクトロポレーションの検出法と同様の方法で膜が損
傷された細胞を検出することができると考えられる。
【0092】 以上、特定の態様を参照しながら本発明を説明してきたが、それは本発明の真
の精神と範囲から逸脱することなく、様々な変更や同等物による置換を行いうる
ことは、当業者に理解されるべきである。さらに、特定の状況、物質、物質の組
成、工程、または工程段階を本発明の目的、趣旨、および範囲に適合させるため
に数多くの修正を行うことが可能である。こうした修正はすべて添付の特許請求
の範囲内に入るものと解釈される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 エレクトロポレーションを行うための電流の補助を用いずに生物
細胞に化学種を注入するための、本発明の実施に有用な微小拡散装置の断面図で
ある。
【図2】 生物細胞に孔を形成し、また選択的にエレクトロポレーションの
補助を用いて細胞に化学種を注入するための、本発明の実施に有用なマイクロエ
レクトロポレーション装置の断面図である。
【図3】 図3aは可動性の生物細胞懸濁液用に設計された、本発明に基づ
くエレクトロポレーション装置の縦断面図である。図3bは図3aに示す装置の
横断面図である。
【図4】 図2に示すものと類似の構造のマイクロエレクトロポレーション
装置を用いて行った一連のエレクトロポレーション実験の電圧電流プロット図で
ある。
【図5a,5b,5c,5d】 図2に示すものと類似の構造のマイクロエ
レクトロポレーション装置を用いてさらに行った一連のエレクトロポレーション
実験の電圧電流プロット図である。
【図6】 図6aはエレクトロポレーション前の細胞周囲を流れる電流、図
6bはエレクトロポレーション後(穿孔中)の細胞を通って流れる電流を示す。
【図7】 本発明で用いられる典型的な電気インピーダンストモグラフィ(
EIT)システムを示す。
【図8】 図8aは不可逆的なエレクトロポレーションを生じた細胞を通る
電流の流れ方の像、図8bは可逆的なエレクトロポレーションを生じた細胞を通
る電流の流れ方の像である。
【図9】 電極(黒点)で囲まれた組織の円領域を示す有限要素格子のグラ
フ略図である。この領域は2つの異なるインピーダンスをもつ。
【図10】 典型的な電極構成、電気的計量値、および、電気インピーダン
スの異なる含有物を有する円形領域内の等ポテンシャル曲線を示す略図である。
【図11】 左上は実際の像、右下は差分インピーダンスマッピングを示す
インピーダンスマッピングである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ,VN,YU, ZA,ZW Fターム(参考) 4B024 AA20 CA01 DA02 GA14 4B029 AA24 BB11 CC01 CC03 4B033 NG05 NH02 NH07 NJ01 NK01 NK05 4B065 AA90X BA03 BD50 CA60 4C053 HH01 HH02

Claims (47)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の段階を含む方法: 第一の点と、生物細胞を含む導電性媒質により該第一の点から隔離されている
    第二の点との間に電荷の差を生じさせる段階; 第一の点と第二の点との間で第一の電気的パラメータを測定する段階;および 第一の電気的パラメータの測定結果に基づいて第二の電気的パラメータを調整
    する段階。
  2. 【請求項2】 第一の電気的パラメータが、電流、電圧、および電気インピ
    ーダンスからなる群より選択され、且つ第二の電気的パラメータが、電流、電圧
    、および電流と電圧の組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の方法
  3. 【請求項3】 以下の段階をさらに含む、請求項1に記載の方法: 導電性媒質中に物質を入れる段階、および該物質を生物細胞中に移動させるた
    めに第二の電気的パラメータを調整する段階。
  4. 【請求項4】 第一の点が第一の電極であり、第二の点が第二の電極であり
    、且つ物質が薬学的に活性を有する化合物およびヌクレオチド配列からなる群よ
    り選択される、請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 媒質中の物質が生物細胞中に移動する様な様式で、且つ該生
    物細胞の生存力が持続されるような様式で、測定および調整が実質的に連続して
    、且つ実質的に同時に実施される、請求項3に記載の方法。
  6. 【請求項6】 媒質が複数の生物細胞を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 生物細胞が生きている生物中に存在する組織を含む、請求項
    6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 生きている生物が動物である、請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 動物が無脊椎動物および脊椎動物からなる群より選択される
    、請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 脊椎動物が哺乳類である、請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 哺乳類がヒトである、請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 以下の段階を含む方法: 第一の点と、生物細胞を含む導電性媒質により該第一の点から隔離されている
    第二の点との間に電流を流す段階; 該媒質中で第一の電気的パラメータを測定する段階;および 該第一の電気的パラメータの測定から得られた情報を用いて第二の電気的パラ
    メータを調整する段階。
  13. 【請求項13】 第一の電気的パラメータが、電流、電圧、および電気イン
    ピーダンスからなる群より選択され、且つ第二の電気的パラメータが、電流、電
    圧、および電流と電圧の組合せからなる群より選択される、請求項12に記載の
    方法。
  14. 【請求項14】 細胞膜を破壊することなく該細胞のエレクトロポレーショ
    ンが実施されるような様式で、測定および調整が行われる、請求項12に記載の
    方法。
  15. 【請求項15】 以下の段階をさらに含む、請求項12に記載の方法: 媒質に治療的効果をもつ化合物を添加する段階;および、 該化合物を細胞中に移動させる段階。
  16. 【請求項16】 生物細胞を通過する電流以外は第一の点と第二の点との間
    の電流を実質的に遮断する段階 をさらに含む、請求項14に記載の方法。
  17. 【請求項17】 以下の段階をさらに含む、請求項16に記載の方法: 導電性媒質中に物質を入れる段階、および該物質を生物細胞中に移動させるた
    めに電流を調整する段階。
  18. 【請求項18】 以下の段階を含む、制御された様式で生物細胞にエレクト
    ロポレーションを実施する方法: (a)導電性媒質中に生物細胞を入れる段階、および該媒質に電圧を印加する
    段階; (b)該媒質に印加された電圧に対する、該媒質を通る電流の比を連続的に検
    出する段階;および (c)該生物細胞のエレクトロポレーションを制御された程度で実施するため
    に、検出した電圧対電流比に生じた変化に従って該印加電圧の強さを調整する段
    階。
  19. 【請求項19】 段階(b)が、生物細胞のエレクトロポレーションの指標
    として電圧対電流比を連続的に検出する段階を含み、段階(c)が、特定の望ま
    しい程度のエレクトロポレーションを実施するために該電圧対電流比に従って印
    加電圧の持続時間を調整する段階を含む、請求項18に記載の方法。
  20. 【請求項20】 複数の生物細胞を導電性媒質に入れ、電圧対電流比を複数
    の生物細胞について平均化し、それによって該複数の生物細胞に対して制御され
    た平均的程度のエレクトロポレーションを実施する、請求項18に記載の方法。
  21. 【請求項21】 電圧が2つの微小電極間に印加され、生物細胞が該微小電
    極間に置かれる、請求項18に記載の方法。
  22. 【請求項22】 電圧がフロースルーチャネル内の2つの電極間に印加され
    、該電極が該チャネルを通過する流れを横切る方向に電圧が印加されるように配
    置され、 段階(a)が、生物細胞を媒質中に懸濁する段階と、該媒質を該チャネルに連
    続的に通過させる段階とを含み、 段階(b)が、該電極間に該生物細胞が存在する段階と、該電圧対電流比とを
    相関させる段階とをさらに含み、 段階(c)が、該電極間に該生物細胞が存在する際に該電圧の強さを調整する
    段階を含む、 請求項18に記載の方法。
  23. 【請求項23】 複数の生物細胞を導電性媒質に懸濁する段階、および1度
    に約1つの細胞が電極を通過するように媒質をチャネルに連続的に通過させる段
    階を含む、請求項22に記載の方法。
  24. 【請求項24】 以下の段階を含む、制御された様式で生物組織にエレクト
    ロポレーションを実施する方法: (a)生物組織を導電性媒質中に入れる段階、および媒質に電圧を印加する段
    階; (b)該生物組織におけるエレクトロポレーションの程度の指標として、該媒
    質に印加された電圧に対する、該媒質を通る電流の比を連続的に検出する段階;
    および (c)該生物組織において制御された程度のエレクトロポレーションを実施す
    るために、該電圧対電流比の大きさの変化に従って該印加電圧の強さを調整する
    段階。
  25. 【請求項25】 エレクトロポレーションの開始の検出および制御が可能な
    様式でエレクトロポレーションにより化学物質を生物細胞に注入する方法であっ
    て、以下の段階を含む方法: (a)該化学物質を溶解した液体を含む電気セルであって、電圧が該電気セル
    に印加された場合に、実質的に全電流を迂回させずに該生物細胞に該生物細胞を
    通る流路に電流を限定するように配置された仕切りを含む電気セルの中に、該生
    物細胞を固定する段階; (b)該電気セルに電圧を印加する段階、ならびに該細胞にエレクトロポレー
    ションが起きたことの指標として該細胞を通る電流および該印加電圧の相対的な
    値をモニターする段階。
  26. 【請求項26】 仕切りが電気セル内の第一および第二の電極槽を分け、生
    物細胞の幅より小さな開口部を含み、かつ(a)が、該生物細胞によって該開口
    部を閉じるように該生物細胞を該開口部上に固定する段階を含む、請求項25に
    記載の方法。
  27. 【請求項27】 第一の電極槽が第一の導電性の液体を含み、第二の電極槽
    が第二の導電性の液体を含み、化学物質が該第一および該第二の導電性の液体の
    うちの一方にのみ溶解される、請求項26に記載の方法。
  28. 【請求項28】 第一の電極槽が第一の導電性の液体を含み、第二の電極槽
    が第二の導電性の液体を含み、化学物質が該第一および該第二の導電性の液体の
    両方に溶解される、請求項26に記載の方法。
  29. 【請求項29】 (a)が、開口部を挟んで圧差をかけて該開口部の片面に
    生物細胞を押し付けることにより実施される、請求項26に記載の方法。
  30. 【請求項30】 (a)が、開口部周囲の領域に、仕切りに結合する物質を
    含む被覆を施すことにより実施される、請求項26に記載の方法。
  31. 【請求項31】 第一の電極槽が液体の連続流を許容するように構築および
    配置される請求項26に記載の方法であって、該第一の電極槽を通る第一の導電
    性の液体の連続流を発生させる段階をさらに含む方法。
  32. 【請求項32】 第一および第二の電極槽がそれぞれの槽を独立に通る液体
    の連続流を許容するように構築および配置された請求項26に記載の方法であっ
    て、該第一の電極槽を通る第一の導電性の液体の連続流および該第二の電極槽を
    通る第二の導電性液体の連続流を発生させる段階をさらに含む方法。
  33. 【請求項33】 電気セル内に複数の生物細胞を固定する段階を含み、仕切
    りが実質的に全電流を迂回させずに複数の生物細胞に複数の全ての生物細胞を通
    る流路に電流を限定する、請求項25に記載の方法。
  34. 【請求項34】 電気セル内に1つのみの生物細胞を固定する段階を含み、
    仕切りが実質的に全電流を迂回させずに1つのみの生物細胞に該1つのみの生物
    細胞を通る流路に電流を限定する、請求項25に記載の方法。
  35. 【請求項35】 電気セルが透明である請求項25に記載の方法であって、
    電圧の印加中に生物細胞の変化を観察する段階をさらに含む方法。
  36. 【請求項36】 生物細胞膜を介した選択された速度の物質輸送を実施する
    ために、または該膜の物質輸送特性の決定を容易にするために、制御された様式
    で該膜を介して化学種を通過させる方法であって、以下の段階を含む方法: (a)第一および第二の槽の間の仕切りに存在する開口部であって、該細胞に
    よってふさがれるように該細胞より幅の小さな開口部上に、該細胞を固定する段
    階;および (b)第一の液体を該第一の槽に、第二の液体を該第二の槽に入れる段階であ
    って、溶質が該細胞中へと拡散するように第一および第二の液体のうち少なくと
    も一方は該細胞中の濃度より十分に高い濃度で該溶質を含む段階。
  37. 【請求項37】 開口部を挟んで圧差をかけて該開口部の片面に細胞を押し
    付けることによって、該開口部上へ該細胞の固定が実施される、請求項36に記
    載の方法。
  38. 【請求項38】 膜に結合する物質を含む被覆を開口部周囲の領域に施すこ
    とによって、該開口部上へ該細胞の固定が実施される、請求項36に記載の方法
  39. 【請求項39】 第一および第二の槽がそれぞれの槽を独立に通る液体の連
    続流を許容するように構築および配置され、且つ該第一の槽を通る第一の液体の
    連続流および該第二の槽を通る第二の液体の連続流によって(b)が実施される
    、請求項36に記載の方法。
  40. 【請求項40】 溶質が拡散輸送によって第一の液体から第二の液体へと移
    動するように該第一の液体中の溶質の濃度が該第二の液体中の濃度より十分に高
    く、仕切りが該溶質に対して十分に不透過性であり、かつ拡散輸送が細胞を通る
    拡散経路に限定されるように該細胞が該開口部に十分に固定される、請求項36
    に記載の方法。
  41. 【請求項41】 膜を介した物質輸送係数が既知であるような溶質が選択さ
    れ、かつ該溶質を細胞に注入する方法であって、あらかじめ選択された量の該溶
    質を該細胞に注入するために第一の液体中の該溶質濃度および拡散輸送の継続時
    間を既知の物質輸送係数に基づいて選択する段階をさらに含む、請求項40に記
    載の方法。
  42. 【請求項42】 溶質が細胞内へと拡散している際に細胞の変化をモニター
    する段階をさらに含み、変化が膜を介した該溶質の物質輸送速度を決定する手段
    として該溶質の該細胞への注入の程度を表す、請求項40に記載の方法。
  43. 【請求項43】 仕切りおよび槽が透明な外被に囲まれており、溶質が生物
    細胞内へと拡散する際に生物細胞の変化を観察する段階をさらに含む、請求項3
    6に記載の方法。
  44. 【請求項44】 エレクトロポレーションにより化学物質を生物細胞に注入
    するための器具であって、 生物細胞を保持するための内部支持体および電流に対して実質的に不透過性の
    物質を有する内部仕切りを含む電気セルであって、仕切りが電気セル内の電流を
    内部支持体を横断しかつ該内部支持体に保持されるあらゆる生物細胞を通過する
    経路に限定する電気セル、ならびに 該電気セルに電圧を印加する手段、ならびにそこに保持されるあらゆる生物細
    胞におけるエレクトロポレーションの発生および程度の指標として電流および電
    圧の相対値をモニターする手段 を含む器具。
  45. 【請求項45】 仕切りが電気セルの内部を第一および第二の電極槽に分け
    、内部支持体が該仕切りにおける幅が生物細胞より小さな開口部である、請求項
    44に記載の器具。
  46. 【請求項46】 開口部に生物細胞をつかえさせるために該開口部を挟んで
    圧差をかける手段をさらに含む、請求項44に記載の器具。
  47. 【請求項47】 第一の電極槽がフロースルーチャネルである、請求項44
    に記載の器具。 物質を該生物細胞中へと移動させるための電流
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