JP2003504300A - セラミックの連続的マイクロ波乾燥装置および方法 - Google Patents

セラミックの連続的マイクロ波乾燥装置および方法

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microwave heating
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、マイクロ波放射洩れが僅かしかないか、または全く洩れない、セラミック物品の連続的な乾燥が可能な装置に関するものである。この乾燥装置は、入口(14)および出口を有しかつセラミックがそれに沿って搬送される材料移動軸を備えた、セラミックを加熱するためのマイクロ波加熱室(12)を有する。入口端および出口端をそれぞれ備えた第1および第2減衰室が、上記マイクロ波加熱室の入口(14)端および出口端にそれぞれ隣接して配置されている。材料移動通路を備えた取入れ室が第1減衰室の入口端に連結され、上記材料移動通路の少なくとも一部は上記移動軸に対してある角度をなす。第2減衰室の出口端には、第2の材料移動通路を備えた取出し室が連結され、上記材料移動通路の少なくとも一部も上記移動軸に対してある角度をなす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本願は、1999年7月7日付けでAraya外 によって提出された米国仮特許出
願第60/142609号「セラミックの連続マイクロ波乾燥装置および方法」
の優先権を主張した出願である。
【0002】発 明 の 背 景 1.発明の分野 本発明は、セラミック材料の製造方法および装置に関するものである。特に本
発明は、セラミックの連続的なマイクロ波加熱および乾燥のための、実質的にマ
クロ波の放射洩れのない装置および方法に関するものである。
【0003】 2.関連技術の説明 セラミック材料の製造においては、ガスの対流による、またはガスの対流と輻
射または電気的な抵抗加熱との組み合わせによる従来の加熱または乾燥法が一般
に用いられている。しかしながら、これら従来の加熱法に伴う緩慢な加熱速度お
よび貧弱な温度制御が、高いエネルギー消費と製品品質の不揃いとを招いている
。さらに、これら二種類の加熱モードが、材料の表面にのみ加えられ、かつセラ
ミック体の熱伝導性に依存して表面下から中心部まで発熱させるという事実によ
って、これら二種類の加熱モードを用いると、一般にセラミック体内で温度差が
生じる。
【0004】 通常のセラミックの乾燥を促進させるために、マイクロ波照射による加熱が工
業的にたくみに使用されてきた。マイクロ波加熱は、従来の加熱法に比較すると
、より良好な温度制御をもって十分に熱を吸収させることができるので、加熱速
度が速く、その結果、エネルギー消費量が低く、より優れた製品が得られる可能
性を秘めている。さらに、マイクロ波エネルギーを利用すると、上述した対流と
輻射による加熱モードを用いた物品表面の加熱でなく、セラミック物品に対し一
様にエネルギーを印加することができる。最後に、マイクロ波加熱は、マイクロ
波エネルギーとセラミック体との相互作用によってセラミック体を直接的に加熱
するために、従来の乾燥法よりも遥かに乾燥速度が速い。
【0005】 マイクロ波加熱は、対流加熱および輻射加熱のような従来の加熱法よりもより
高速でより効率的ではあるけれども、マイクロ波加熱の一つの欠点は、マイクロ
波の放射洩れである。このような放射洩れは、関連取締り機関(例えば、OSH
A,FCC,CEPT)によって制定された放射洩れ制限規定を満たすために、
制御(すなわち大気から遮蔽)しなければならない。理想的には、マイクロ波乾
燥作業は、放射洩れがほぼゼロの環境を保って行なわれなければならない。通常
、マイクロ波乾燥作業におけるマイクロ波の遮蔽は、減衰トンネルまたは水トラ
ップを用いて行なわれ、さらにはアルミニウムカーテンを用いて行なわれて、減
衰トンネルを越えて洩出する放射洩れを減衰させている。減衰トンネル、水トラ
ップおよびアルミニウムカーテンを用いると、マイクロ波の放射洩れを十分に遮
蔽することができるものの、乾燥させることができるセラミック物品のサイズも
、セラミック物品の装填量全体も制限される。さらに、減衰トンネル、および水
トラップおよびカーテンを用いると、セラミック物品を乾燥させる間、乾燥空洞
/室を大気から機械的に密閉しなければならず、かつ一旦マイクロ波乾燥が完了
すると開けなければならないことから、乾燥作業が不連続的になる。
【0006】 PCT出願公開第93/17449号には、通常の不連続的乾燥作業とともに
マイクロ波硬化(すなわち急速乾燥)を用いてセラミックの未焼成物品を形成す
る方法が開示されている。この乾燥工程は、マイクロ波のスイッチを切り、マイ
クロ波炉のドアを開放し、乾燥済みのセラミック物品を収容したパレットをマイ
クロ波炉から出すと同時に、セラミック物品を収容したパレットをマイクロ波炉
に入れ、しかる後にマイクロ波炉のドアを閉じるという態様で行なわれる。この
閉鎖/密閉および開放/マイクロ波のスイッチオフ(すなわち不連続的乾燥)は
、マイクロ波の作動時にマイクロ波を大気に洩れないように密閉し、かつマイク
ロ波が発生していないときにマイクロ波炉の開放を許容するために行なわれるも
ので、これによって、マイクロ波の放射洩れを防止している。
【0007】発 明 の 概 要 したがって、本発明は、従来のマイクロ波加熱の欠点を克服した、セラミック
の連続的マイクロ波加熱装置および方法を提供することを目的とするものである
。特に本発明によれば、セラミック物品の連続的な乾燥が可能で、かつマイクロ
波放射洩れが僅かであるか、あるいは全く洩れない装置が提供される。
【0008】 本発明は、セラミックのマイクロ波加熱装置を提供するものであって、この装
置は、入口および出口を有しかつセラミックがそれに沿って搬送されるセラミッ
ク材料移動軸を備えたマイクロ波加熱室を有する。入口端および出口端をそれぞ
れ備えた第1および第2減衰室が、上記マイクロ波加熱室の入口端および出口端
にそれぞれ隣接して配置されている。材料移動通路を備えた取入れ室が第1減衰
室の入口端に連結され、上記材料移動通路の少なくとも一部は上記移動軸に対し
てある角度をなしている。第2減衰室の出口端には、第2の材料移動通路を備え
た取出し室が連結され、上記材料移動通路の少なくとも一部も上記移動軸に対し
てある角度をなしている。上記取入れ室および取出し室をそれぞれ第1および第
2減衰室から隔離するゲート機構を備えていることが好ましく、これらゲート機
構は、マイクロ波の放射洩れを阻止するために設けられる。最後に、この乾燥装
置は、セラミック物品を上記取入れ室、第1減衰室、マイクロ波加熱室、第2減
衰室および取出し室のそれぞれを通って連続的に搬送するための搬送システムを
備えている。
【0009】 本発明の第2の態様は、セラミック物品を支持するためのエアクッションを提
供する空気ベアリングを形成する支持体上にセラミック物品を置くことを含むセ
ラミック材料の乾燥方法である。支持されたセラミック物品は、次に搬送システ
ム(例えばコンベア)上に置かれ、最初に取入れ室を、次いで第1減衰室を通過
せしめられる。次にセラミック物品はマイクロ波加熱室に入り、調整可能なマイ
クロ波パワー発生源からの電磁マイクロ波の照射によって所定の熱エネルギー初
期量にさらされる。しかる後、セラミック物品は第2減衰室を、最後に取出し室
を連続的に通過せしめられる。
【0010】発明の実施の形態 図1に示された、セラミック材料を連続的に乾燥させるための本発明による乾
燥装置10は、内部でセラミック材料がマイクロ波にさらされて乾燥されるマイ
クロ波加熱室12を備えている。このマイクロ波加熱室12は、入口領域14お
よび出口領域16と、高い導電性を有するのが好ましいマイクロ波を通さない非
磁性材料であって200℃の範囲での動作において耐酸化性を有する材料で形成
された側壁18および頂壁20とを備えている。加熱室の頂壁および側壁のそれ
ぞれは、内側シェルおよび外側シェルと、それら間に配置された絶縁層(例えば
ガラス繊維)とからなる。加熱室は、大量のセラミック66が加熱および乾燥さ
れる際に、マイクロ波加熱室の線A−Bで示された材料移動軸に沿って連続的に
内部を通過することが可能なような形状を有する。この移動軸は、マイクロ波加
熱室を通過するセラミック材料の移動方向に近い。換言すれば、ここに記載され
た乾燥装置は、連続処理型のマイクロ波加熱室である。
【0011】 マイクロ波パワーをマイクロ波加熱室内に向けるマイクロ波発生源22がマイ
クロ波加熱室に連結されている。マイクロ波発生源22は、直接的または間接的
にマイクロ波加熱室に連結された、パワー調整可能なマイクロ波発生器または発
生源であることが好ましい。これに加えて、この装置は、マイクロ波パワーを連
続的に調整および制御するためのマイクロ波パワー制御システム(図示せず)を
備えていることが好ましい。この制御システムは、同時係属の同一譲渡人による
米国仮特許出願第60/142610号に詳細に記載されている。さらに、上記
加熱室が所定の周波数範囲において多数の共振モードを支える多モード式である
ことが好ましく、より好ましい実施の形態においては、マイクロ波加熱室内部に
おける電場分布を一様にするモード撹拌機を備えている。
【0012】 第1減衰室24および第2減衰室26がマイクロ波加熱室12の入口端14お
よび出口端16の近傍に隣接してそれぞれ配置され、各減衰室は入口端28およ
び出口端30を備えている。図示の実施の形態では、第1および第2減衰室24
,26は、マイクロ波加熱室12の材料移動軸A−Bの延長直線上に配置されて
いる。各減衰室は、上記材料移動軸に対してある角度をなしていてもよい。
【0013】 これらの減衰室は、マイクロ波加熱室からのマイクロ波の放射洩れを最小にす
るような、すなわちマイクロ波を減衰させるような材料で構成されている。減衰
室も、マイクロ波加熱室と同様に、内側シェルおよび外側シェルと、それら間に
配置された絶縁層とからなる。さらに、減衰室は、25℃の平均加熱速度で最高
約200℃の温度に耐えるように設計されている。
【0014】 減衰室は、マイクロ波エネルギーを吸収して、これを熱に変えてエネルギーを
消散させることができる減衰装置(図示せず)を備えていてもよい。この減衰装
置の一例は、水を連続的に流している連続したコイル状ホースを単に備えたのみ
の水トラップ装置からなる。水トラップ装置の他の実例は、水を通すことができ
る低損失材料、例えばテフロン(登録商標)または類似の材料のブロックからな
る。いずれの実施例においても、NaClのような可溶性塩を加えることによっ
て、マイクロ波吸収能力をより効果的にすることができる。さらに、いずれの実
施例においても、水を冷却ループを通じて循環させるのがよい。
【0015】 別の実施の形態においては、減衰装置が、単純に減衰室の壁に配置された炭化
シリコン材料の部分からなる。
【0016】 これに代わる減衰装置としては、減衰室の壁に取り付けられた複数本の非磁性
材料(例えばアルミニウム)のロッドを備えたスパイクトラップ減衰装置がある
。このスパイクトラップ減衰装置は、マイクロ波のエネルギーの放射洩れを最小
にするように作用するマイクロ波のエネルギーに対する蛇行した反応通路を提供
する。
【0017】 好ましい実施の形態においては、上記第1および第2の減衰室のそれぞれが、
スパイクトラップ装置と水トラップ装置との双方を備えており、スパイクトラッ
プ装置はマイクロ波加熱室に隣接して配置され、水トラップ装置は減衰室の入口
端と出口端に隣接して配置される。
【0018】 乾燥装置10はさらに、線C−Dで示されている材料移動通路を備えた取入れ
室34を備えている。この材料移動路を備えた取入れ室は、移動通路C−Dの少
なくとも一部が上述の移動軸A−Bに対して角度α (0°と90°の間)を
なすように第1減衰室24の入口端に連結されている。乾燥装置はさらに、線E
−Fで示されている第2の材料移動通路を備えた取出し室36を備えている。こ
の第2の材料移動路を備えた取出し室は、第2減衰室26の出口端に連結されて
いる。取入れ室に類似したこの取出し室は、移動通路E−Fの少なくとも一部が
上述の移動軸A−Bに対して角度α (0°と90°の間)をなすように連結
されている。取入れ室および取出し室の移動通路の移動軸A−Bに対する角度(
α およびα )は、少なくとも45°でなければならず、90°がより好ま
しい。取入れ室および取出し室の移動通路の少なくとも一部が、マイクロ波加熱
室の移動軸に対してある角度をなす構成は、標準的なマイクロ波システムに比較
して、換言すれば、取入れ室および取出し室を備えていても全移動通路が角度0
°をなすシステム、および取入れ室および取出し室を備えていないシステムに比
較して、マイクロ波の放射洩れに対して、より蛇行した通路を提供する機能を有
する。双方の移動通路の少なくとも一部が、マイクロ波エネルギーが伝播する移
動軸に対して角度をなす第1および第2の移動通路を備えていることによって、
マイクロ波エネルギーが大気に達するまでに伝播しなければならない距離が長く
なる。電磁エネルギーは、エネルギー伝播距離の二乗で減衰するので、この構成
の結果、乾燥室から洩れるエネルギーを最少にすることができる。
【0019】 この乾燥装置は、取入れ室34および取出し室36をそれぞれ第1および第2
減衰室24,26から隔離するために、取入れ室34と第1減衰室24の間、お
よび取出し室36と第2減衰室26との間にそれぞれ配置されたゲート機構32
A,32Bを備えていることが好ましい。これらゲート機構は、取入れ室および
取出し室の移動通路が移動軸に対してある角度をなしているのと同様に、セラミ
ック材料66が減衰室24,36に出入する際におけるマイクロ波の放射洩れを
阻止する。このゲート機構は、第1ゲート38および第2ゲート40からなる一
対の回転ゲートを備えている。図2A〜図2Cはゲート機構の順次の動作を示す
。第1ゲート38は、セラミック材料がゲート機構を通過して減衰室24に入る
まで、取入れ室34内におけるセラミック材料の移動通路に沿ってスライドし、
次いで上方へ回動してセラミック材料通路から逸れ(矢示A)、次に第2ゲート
40が下方へ回動してセラミック材料通路へ入る(矢示B)。これらのゲートは
非磁性材料からなり、好ましい実施の形態においては、第1および第2ゲートが
フレキシブルな銅材の薄板からなる。
【0020】 図3に示された好ましい実施の形態では、乾燥装置10が同様の加熱室と第1
および第2減衰室を備えているが、それらに加えて、ゲート機構42A,42B
によってそれぞれ隔離された各2個ずつの連続した取入れ室34A,34Bおよ
び取出し室36A,36Bの組を備えていることが追加された特徴である。付加
的な取入れ室および取出し室ならびに一対の付加的なゲート機構が図1の実施の
形態と異なるのみであるため、図3の同じ構成要素には、図1に示された乾燥装
置の構成要素と同じ参照符号を付してある。本実施の形態の利点は、本実施の形
態で用いられているゲートが、単純に圧搾空気で、または好ましい実施の形態で
は、サーボモータまたはステップモータにより制御されて、完全に閉じたまたは
完全に開いた位置、例えば完全に上昇または下降した位置、または左方または右
方位置、の間での動作範囲を有する非磁性材料(例えばアルミニウム)からなる
ゲートであることである。
【0021】 本実施の形態においては、各取入れ室34A,34Bおよび取出し室36A,
36Bの2組のゲート機構32A,42Aと32B,42Bとが開/閉位置を互
い違いに動作し、すなわち、一方の取入れ室のゲートが完全に開いているときに
は、他方のゲートが完全に閉じるようになっている。このように各取入れ室群お
よび取出し室群のゲートが交互に開閉することは、マイクロ波の動作がドアを閉
じた条件においてのみ行なわれることを保証する。換言すれば、すべてのマイク
ロ波動作時間内では、乾燥室の入口および出口の少なくとも一つのドアが閉じて
おり、これによって、マイクロ波の放射洩れが遮断されるので、ゼロに近い放射
洩れ規定を守ることができる。本実施の形態においても、上述したゲート機構3
2A,32Bおよび42A,42Bを利用できることに注目されたい。
【0022】 図4Aは、図1に示された乾燥装置の変形例を示し、取入れ室および取出し室
のそれぞれが第1および第2減衰室に隣接して配置されており、さらなる特徴は
、取入れ室−第1減衰室および取出し室−第2減衰室がそれぞれ蛇行した材料移
動通路を形成していることである。これら取入れ/取出し室と減衰室との組合わ
せからなる蛇行構造により、図1の実施の形態で詳細に説明したような、取入れ
室および取出し室が減衰室および材料移動軸に対して90°の角度をなすことを
必ずしも必要としない。本実施の形態の利点は、より省スペース効果を有しなが
ら、図1の実施の形態と同様の、マイクロ波エネルギーが大気に洩れることを最
小限にする機能を有することである。図4Aにおける類似の構成要素には、図1
に詳細に示された乾燥装置の構成要素と同じ参照符号を付してある。
【0023】 図4Bは、図3に示された乾燥装置の変形例を示す。本実施の形態においては
、個々の取入れ室組および取出し室組がそれぞれの減衰室に隣接して配置されて
いる。各取入れ室組および取出し室組は蛇行した材料移動通路を形成している。
先の実施の形態と同様に、本実施の形態の利点は、より省スペース的な効果を有
しながら、図3の実施の形態と同様の、マイクロ波エネルギーが大気に洩れるこ
とを最小限にする機能を有することである。図4Bにおける類似の構成要素にも
、図3に示された乾燥装置の構成要素と同じ参照符号を付してある。
【0024】 図4Cは、乾燥装置の別の実施の形態の側面図を示し、図4Bに示された乾燥
装置の変形例を示す。各取入れ室組および取出し室組がそれぞれ第1および第2
減衰室に隣接して配置され、かつ互いに他方の上に垂直に重ねられて垂直方向に
蛇行した材料移動通路を形成している。本実施の形態も、必要とする、マイクロ
波エネルギーが大気に洩れることを最小限にする機能を有しながら、省スペース
的により効果的である。図4Cにおける類似の構成要素にも、図3の乾燥装置に
詳細に示された構成要素と同じ参照符号を付してある。
【0025】 上述した数々の実施の形態のそれぞれは、各取入れ室、第1減衰室、マイクロ
波加熱室、第2減衰室および取出し室を通ってセラミック物品を連続的に搬送す
るための搬送システムをさらに備えている。この搬送システムは、コンベア手段
と、このコンベア手段によって乾燥装置を通って運ばれる複数のセラミック支持
体とを含む。適当なコンベア手段は、ベルトまたはチェインで駆動されるコンベ
ア手段を含んでいる。好ましい材料支持体は、セラミック材料をエアクッション
を介して支持することが可能な空気ベアリングを形成する支持体である。図5は
、空気ベアリングを形成する支持体の一実施の形態68を示し、セラミック物品
を支持するために、空気が支持体の下部に供給され、一連の配送チャンネルを通
じて支持体内を通過することができ、矢印70は、セラミック材料のためのエア
クッションを提供する空気を示す。
【0026】 移動通路の一部が移動軸に対してある角度をなし、かつ非磁性材料のゲートに
よって第1および第2減衰室から隔離された取入れ室および取出し室を利用する
構成は、マイクロ波の放射洩れ僅かまたはゼロの、すなわち、マイクロ波の放射
洩れを工業基準の許容限界である10mW/cm よりも低レベルにすること
を可能にする。
【0027】 本発明に好ましい実施の形態においては、加熱室12の理想的な寸法が、幅6
5.5インチ(166.4cm),高さ51.4インチ(130.8cm),長
さ71インチ(180.0cm)であった。マイクロ波加熱室12の内シェルお
よび外シェルに厚さ1/8インチ(3mm)のアルミニウムシートが選択され、
内シェルと外シェルとの間に配置される絶縁材料としてガラスファイバが選択さ
れた。好ましい減衰室の寸法は、減衰室全体で、長さが87.5インチ(222
cm)(スパイクトラップ部分が36インチ(91cm)、水トラップの部分が
51.5インチ(131cm))、幅48インチ(122cm)、高さ51.5
インチ(131cm)であった。スパイクトラップ領域では、それぞれ3/8イ
ンチ(9mm)の両端が丸いアルミニウム製のロッドからなる25本のスパイク
が平行な5列を形成するものであった。これらロッドは、各列のロッドの中心線
の間隔が約1.75インチ(4.4cm)になるように取り付けられ、このよう
に構成されたスパイクトラップ装置は、減衰室の壁に取り付けられたときに、上
から下まで約12.5インチ(31.8cm)であった。
【0028】 マイクロ波を発生させるのに用いられるマイクロ波発生源は、パワー調整機能
を備えた従来の磁電管で構成することができる。入射マイクロ波は約1GHzよ
りも高い周波数を用いることが好ましく、米国で工業用帯域に指定されている約
1GHzと2.45GHzとの間の周波数範囲を用いることがより好ましい。他
国では、100MHzから10000MHzまでの波長が用いられている。さら
に、入射マイクロ波のパワーは、上述のように、セラミック物品を乾燥させるた
めに効果的な温度にセラミック物品の温度を上昇させるのに十分なパワーよりも
大きくないことが必要である。さらに詳細には、マイクロ波のパワー源が1kW
から75kWまでの間の可変パワーレベル範囲を持っていなければならない。こ
の形式の磁電管は、セラミック体内に十分な熱を発生させて温度を急速に、例え
ば1分から10分の間に約150℃までの乾燥レベルに上昇させることができる
【0029】 動作時には、セラミック材料が空気ベアリング支持体上に置かれ、エアクッシ
ョンによって支持される。セラミック物品を支持した空気ベアリング支持体は搬
送システム(例えばコンベア)上に置かれ、セラミック材料は、最初に取入れ室
を、次いで第1減衰室を通過せしめられる。しかる後、セラミック材料はマイク
ロ波加熱室を通過せしめられ、調整可能なマイクロ波パワー発生源からの電磁マ
イクロ波の照射によって所定の熱エネルギー初期量にさらされる。この熱エネル
ギー初期量は、セラミック物品の温度を、このセラミック物品を乾燥させるのに
効果的な温度にまで上昇させるのに十分な量と定義される。しかる後、セラミッ
ク物品は第2減衰室を、最後に取出し室を連続的に通過せしめられる。
【0030】 好ましい実施の形態においては、0.1%から100%までの範囲の湿度を有
する乾燥雰囲気中で実行される。この湿気を含んだ雰囲気を用いることの利点は
、一般に壁の薄いセラミック体の表面上に形成される乾燥溝が排除されることで
ある。
【0031】 この乾燥装置は、それぞれ同様の可能パワー出力を備えた単数または複数の付
加的マイクロ波加熱室を本来のマイクロ波加熱室12に隣接して設けた構成とす
ることができるように考慮される。これら付加的マイクロ波加熱室を設けると、
セラミック物品を「加熱輪郭」を伴う態様で、すなわち、セラミック物品の表皮
部を速熱するための速熱室と、その後の第2のマイクロ波加熱室内における正常
な、より低い温度での加熱、あるいはこの逆(緩/速加熱)という態様で加熱す
ることができる。
【0032】 セラミック物品を妥当な時間内で乾燥させるのに必要なマイクロ波放射量は、
当業者の知識の範囲内である。セラミックの組成、セラミック体の寸法、乾燥器
の能力を含む諸ファクターは、妥当な乾燥サイクルを達成するのに十分な乾燥工
程のパラメータを設定する場合に考慮される。例えば、長さが9インチ(23c
m)から36インチ(91cm)までの範囲、直径が3.0インチ(7.6cm
)から7.0インチ(17.8cm)の範囲寸法を有し、セル壁の厚さ4.0ミ
ル(0.1mm)、1平方インチ当り400個から1600個(1cm 当り
62個から248個)の範囲のセル密度を備えた円筒状薄壁セラミック体のため
の乾燥サイクルは、初期パワー50kW、パワー範囲35kWから60kWまで
、周波数915MHzで上記セラミック体にマイクロ波照射を行なうことを含む
。このような薄壁体のための全乾燥時間は5分程度が好ましい。
【0033】 ここに記載された方法は、薄壁セラミック体の乾燥に用いるのに特に適してい
る。ここで用いられている乾燥とは、セラミック体の液体含有分を所望の値に低
減させることであり、この乾燥は、セラミック物品を、何等の損傷あるいは容認
できない変形をも伴うことなしに取り扱うことができる程度にまで行なうことが
好ましい。例えば、取り扱いのために十分に乾燥された乾燥物品である薄壁円筒
体形式のセラミック物品は、最初の未焼成状態における水分の5%未満、好まし
くは1%未満しか含まないセラミック物品である。
【0034】 以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施
の形態に限定されるものではなく、請求項の範囲内で種々の形態が実施可能であ
る。
【0035】 本発明が特定の実施の形態に関して詳細に説明されたが、本発明はこれに限定
されるものではなく、添付の請求の範囲の精神から離れることなしに、種々の変
形が可能であることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を示す乾燥装置の概略図
【図2】 図2A〜図2Cは、本発明による乾燥装置のゲート機構の順次の動作の説明図
【図3】 本発明の第2の実施の形態を示す乾燥装置の概略図
【図4】 図4Aは図1の乾燥装置の変形例を示す概略図、図4Bは図3の乾燥装置の変
形例を示す概略図、図4Cは本発明の第3の実施の形態を示す乾燥装置の概略図
【図5】 図1,図3,図4A〜図4Cの装置に用いられる空気ベアリングを備えた支持
体の断面図
【符号の説明】
10 乾燥装置 12 マイクロ波加熱室 14 マイクロ波加熱室の入口端 16 マイクロ波加熱室の出口端 24 第1減衰室 26 第2減衰室 32A,32B,42A,42B ゲート機構 34 取入れ室 36 取出し室 38 第1ゲート 40 第2ゲート 66 セラミック材料 68 支持体

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入口および出口を有しかつセラミックがそれに沿って搬送さ
    れるセラミック材料移動軸を備えたマイクロ波加熱室と、 マイクロ波パワーを前記マイクロ波加熱室内に向けるためのマイクロ波発生源
    と、 前記マイクロ波加熱室の入口端に隣接して配置された第1減衰室、および前記
    マイクロ波加熱室の出口端に隣接して配置された第2減衰室と、 材料移動通路を備えて前記第1減衰室に隣接して配置され、前記材料移動通路
    の少なくとも一部が前記移動軸に対してある角度をなす取入れ室と、 第2の材料移動通路を備えて前記第2減衰室に隣接して配置され、前記第2の
    材料移動通路の少なくとも一部が前記移動軸に対してある角度をなす取出し室と
    、 セラミック物品を、前記取入れ室、第1減衰室、マイクロ波加熱室、第2減衰
    室および取出し室のそれぞれを通って連続的に搬送するための搬送システムと、
    を備えていることを特徴とするセラミックのマイクロ波加熱装置。
  2. 【請求項2】 前記マイクロ波発生源の最大パワーが1kWを超え、かつ、
    75kW未満であり、前記セラミック物品がさらされるマイクロ波エネルギーの
    周波数が約1.0GHzよりも高いことを特徴とする請求項1記載の装置。
  3. 【請求項3】 前記第1および第2減衰室が、マイクロ波エネルギーを吸収
    して該マイクロ波エネルギーを消散させることが可能な材料からなる減衰装置を
    備えていることを特徴とする請求項1記載の装置。
  4. 【請求項4】 前記減衰装置が、水トラップシステム、またはスパイクトラ
    ップシステム、または両者の組合せからなることを特徴とする請求項3記載の装
    置。
  5. 【請求項5】 前記スパイクトラップ減衰装置が、前記マイクロ波加熱室に
    隣接して配置され、前記水トラップ減衰装置が、前記取入れ室または前記取出し
    室にそれぞれ隣接して配置されていることを特徴とする請求項4記載の装置。
  6. 【請求項6】 前記取入れ室および前記取出し室の材料移動通路の少なくと
    も一部が、前記移動軸に対して少なくとも45°を超える角度をなしていること
    を特徴とする請求項1記載の装置。
  7. 【請求項7】 前記取入れ室および前記取出し室の材料移動通路の少なくと
    も一部が、前記移動軸に対して90°の角度をなしていることを特徴とする請求
    項1記載の装置。
  8. 【請求項8】 前記取入れ室および前記取出し室の材料移動通路が蛇行形状
    を有することを特徴とする請求項1記載の装置。
  9. 【請求項9】 マイクロ波の放射洩れを阻止するために、前記取入れ室およ
    び前記取出し室をそれぞれ前記第1および第2減衰室から隔離するゲート機構を
    備えていることを特徴とする請求項1記載の装置。
  10. 【請求項10】 前記ゲート機構が、フレキシブルな銅材料からなる一対の
    回転ゲートを備えていることを特徴とする請求項9記載の装置。
  11. 【請求項11】 前記取入れ室および前記取出し室が、それぞれ互いに隣接
    して配置された連続する室からなり、かつ各連続する室が、完全に開いた位置と
    完全に閉じた位置との間で移動することが可能でかつ非磁性材料からなるゲート
    を備えたゲート機構により互いに隔離されていることを特徴とする請求項1記載
    の装置。
  12. 【請求項12】 前記ゲートがアルミニウムからなることを特徴とする請求
    項11記載の装置。
  13. 【請求項13】 前記搬送システムが、コンベア手段と、前記セラミック材
    料をエアクッションを介して支持する空気ベアリングを形成する複数の支持体と
    を備えていることを特徴とする請求項1記載の装置。
  14. 【請求項14】 前記第1および第2減衰室が材料移動通路を備え、該材料
    移動通路の少なくとも一部が、前記マイクロ波加熱室の材料移動軸に対してある
    角度をなしていることを特徴とする請求項1記載の装置。
  15. 【請求項15】 前記第1および第2減衰室の材料移動通路が蛇行形状を有
    することを特徴とする請求項14記載の装置。
  16. 【請求項16】 セラミック物品を支持するためのエアクッションを提供す
    る空気ベアリングを形成する支持体上にセラミック物品を支持させて、セラミッ
    ク材料を取入れ室および第1減衰室を連続的に通過させ、しかる後、前記セラミ
    ック材料をマイクロ波加熱室内に入れ、該セラミック材料に調整可能なマイクロ
    波パワー発生源からの電磁マイクロ波を照射することによって、該セラミック物
    品を所定の熱エネルギー初期量にさらし、この場合、前記熱エネルギー初期量は
    、前記セラミック物品を乾燥させるのに効果的な温度にまで該セラミック物品の
    温度を上昇させるのに十分なマイクロ波照射量であり、しかる後、該セラミック
    材料を第2減衰室および取出し室を連続的に通過させることを特徴とするセラミ
    ック材料の乾燥方法。
  17. 【請求項17】 前記マイクロ波加熱室が材料移動軸を備え、前記取入れ室
    および前記取出し室がそれぞれ材料移動通路を備え、該材料移動通路の少なくと
    も一部が前記材料移動軸に対してある角度をなしていることを特徴とする請求項
    16記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記セラミック物品を乾燥させるのに十分な時間前記マイ
    クロ波加熱室内にマイクロ波照射を行ない、これにより未焼成状態における水分
    の少なくとも約95%が除去されることを特徴とする請求項16記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記セラミック物品を乾燥させるのに十分な時間前記マイ
    クロ波加熱室内にマイクロ波照射を行ない、これにより未焼成状態における水分
    の少なくとも約99%が除去されることを特徴とする請求項18記載の方法。
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