JP2003504045A - 止血障害処置のための治療組成物に使用するためのリガンド - Google Patents

止血障害処置のための治療組成物に使用するためのリガンド

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Abstract

(57)【要約】 本発明はリガンドおよびその製造方法ならびに前記リガンドを含む医薬製剤からなる。本リガンドは、ヒトまたはヒト化モノクローナル抗体ならびにその断片、誘導体およびホモログでありうる。これらは思いがけない「プラトー効果」(すなわち、モル過剰な場合でさえ、個別にまたは共同して、止血(特に凝固カスケード)に関与する因子のもっぱら部分的な不活化を達成すること)を示しうる。本リガンドは、因子または因子の複合体に結合し、その結果、モル過剰の状態であっても、前記因子または因子複合体の生理学的機能部位の機能を部分的にのみ損ないうる。それゆえ、本リガンドは、出血の危険を最小限に抑えつつ凝固障害および凝固障害に起因する血栓性病態を処置するのに、とりわけ適している。リガンドがモル過剰に存在しても、影響を受ける部位の生理学的機能をいくらか残すためには、本発明のリガンドの性質は特に有用である。本リガンドは、第VIII因子または第VIII因子複合体に結合して第VIII因子の活性を少なくとも部分的に阻害する抗第VIII因子抗体、または第VIII因子複合体に対する抗体、特にヒトまたはヒトハイブリッドモノクローナル抗体であることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規細胞株に関する。また本発明は前記細胞株から得ることができる
リガンド、すなわちヒトおよび/またはヒト化モノクローナル抗体、ならびにそ
の断片、例えばFab、Fab'、F(ab')2、scFv、単一可変ドメイン、相補性決定領
域、誘導体、ホモログおよびそれらの組み合わせに関する。さらに本発明は前記
リガンドを含む医薬組成物に関する。また本発明は、ヒトの凝固障害および凝固
障害に起因する血栓性病態を予防および処置する方法であって、その必要がある
患者への前記リガンドの投与による方法に関する。また本発明は特異的な哺乳類
抗体を取得する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
血餅の形成は負傷時に出血を制限(止血)するだけでなく、アテローム硬化性
疾患との関連で、重要な動脈または静脈の閉塞により、重篤な器官損傷および死
をもたらす場合もある。このように血栓症は間違った時期および場所での血餅形
成である。血餅形成では循環血液タンパク質(凝固因子)、血球(特に血小板)
および損傷した血管壁の構成要素の間に複雑で統制のとれた生化学反応のカスケ
ードが起こる。抗凝固および抗血栓処置の目的は、例えば心筋梗塞、発作、末梢
動脈疾患による四肢の喪失または肺塞栓症などといった危険な帰結を防止するた
めに、血餅の形成を阻害することにある。これらの疾患の重要性を考えると、抗
血栓療法が長年にわたって数少ない薬物、すなわち血小板を阻害するためのアス
ピリン、第IX、XおよびII(トロンビン)因子を間接的に阻害するヘパリン、お
よびビタミンK依存性因子(VII、IX、X、IIおよびプロテインC)を阻害する経口
ワルファリンに頼ってきたことは、かなり驚くべきことである。最近、低分子量
ヘパリン(第X因子および第II因子をさまざまな程度に阻害する)は、主に適用
が容易である(1日1回の皮下注射、モニタリングは必要ない)という理由で、
好んで選択される抗凝固剤になっている。血栓症に関与する過程の理解が増すに
つれて、開発される凝固因子の特異的インヒビターはますます多くなっている。
しかし、今までのところ、それら新規インヒビターでは、より良い効力と安全性
のバランスは得られていない。特に直接的トロンビンインヒビターは大規模な臨
床試験で出血合併症の増加と関連づけられている。
【0003】 アスピリンは血栓症に対する保護作用も提供する。アスピリンは、わずか30〜
75mgの用量で、ヒト血小板酵素プロスタグランジンHシンターゼ(PGHS-1)のシ
クロオキシゲナーゼ活性を阻害することにより、臨床的には出血時間の延長とし
て検出できる血小板の持続的な機能欠損を誘発する。アスピリンの胃腸副作用は
用量依存的であるらしく、また二次予防にはアスピリンによる処置が無期限に推
奨されるので、最小有効量を選択することには実用上の理由がある。また低用量
(1日量30mg)の方が抗血栓性は高いかもしれないという推測もなされているが
、至適投与量を確認しようとする試みからは矛盾する結果が得られている。血小
板凝集を完全に抑制するのに必要なアスピリンの用量は、脳血管疾患患者では健
常被検者よりも高く、同じ患者でも時間と共に変動するらしいと述べられている
。しかし1日量30mg以上のアスピリンは主要な血管性症状の危険を最大でも20
%低下させるに過ぎず、改善の余地はまだまだある。
【0004】 また、アスピリンの阻害作用は血栓症の予防につながると共に過剰出血にもつ
ながる。2者の間のバランスは患者の絶対的な血栓リスク対出血リスクに決定的
に依存する。
【0005】 急性心筋梗塞患者では、梗塞サイズの減少、心室機能の保全および死亡率の低
下が様々な血栓溶解剤で実証されている。しかしこれらの薬剤には、大量の治療
量が必要であること、フィブリン特異性が不足していること、付随する出血傾向
が著しいことなどの重大な欠点が残っている。組換え組織プラスミノゲン活性化
因子(t-PA)が患者の半分強で完全な開存性を回復するのに対し、ストレプトキ
ナーゼはこの目的を1/3未満の患者でしか達成しない。また、Verheugtら, J. Am. Coll. Cardiol. (1996)27:618-627によれば、血栓溶解療法後の再閉塞は入
院中に5〜10%の症例で、また最初の1年以内に30%までの症例で起こる。そこ
で急性心筋梗塞患者に対する補助的抗トロンビン療法の効果が数多くの研究によ
って調べられている。一例として米国特許第5,589,173号には、閉塞性血栓を溶
解し、その再形成を防止する方法であって、血栓溶解剤の補助として、組織因子
タンパク質アンタゴニスト(これはモノクローナルまたはポリクローナル抗体で
ありうる)を投与することからなる方法が開示されている。
【0006】 モノクローナル抗体に抗血栓剤としての治療的価値があることは既に明らかに
されている。この分野における最初の認可薬は、血小板GPIIbIIIaレセプターに
対するマウスモノクローナル抗体(7E3)のヒト化Fab断片であるアブシキシマブ
(Abciximab)(ReoPro(商標))だった。マウス抗体には、ヒト治療へのマウ
ス抗体の使用を厳しく制限しうる特徴がある。Jaffersら, Transplantation(19
86)41:572によって教示されているように、マウス抗体は、外来タンパク質とし
て、ヒト抗マウス抗体(HAMA)と呼ばれる抗免疫グロブリン反応を誘発し、それ
がマウス抗体の治療効力を低下させもしくは破壊し、かつ/または患者のアレル
ギー反応もしくは過敏反応を惹起する。血栓塞栓性障害の治療における再投与の
必要性は、上記のような免疫反応の可能性を増加させる。ヒトモノクローナル抗
体の使用はこの制限に対処するものではあるが、そのような抗体を従来のハイブ
リドーマ技術によって大量に製造するのは困難なことがわかっている。
【0007】 そこで、マウスモノクローナル抗体の高い結合親和力を保っているがヒト体内
で低下した免疫原性を示す「ヒト化」抗体が、組換え技術を使って構築されてい
る。具体的には、非ヒト抗体の可変領域(V)をヒト抗体の定常(C)領域と組み
合わせたキメラ抗体が提案されている。一例として、マウスFc断片を7E3から除
去し、ヒト定常免疫グロブリンG Fab領域で置換することにより、c7E3 Fabまた
はアブシキシマブとして知られているキメラが形成された。このようなキメラ免
疫グロブリンを得る方法は、米国特許第5,770,198号に詳述されている。
【0008】 モノクローナル抗体7E3 FabによるGPIIb/IIIa阻害と血栓溶解療法との相乗作
用の可能性は、Kleimanら, J. Am. Coll. Cardiol.(1993)22:381-389によって
評価された。この研究では大出血が頻繁に起こった。したがって、この強力な抗
血栓化合物の併用では、生命を危険にさらす出血の可能性が大きな懸念であるこ
とは明らかである。
【0009】 ネズミ抗体の免疫原性を低下させる最近の試みでは、Vドメイン全体ではなく
相補性決定領域(CDR)、すなわちV領域中の超可変領域を、ヒト抗体に移植する
。このようなヒト化抗体はCDR移植抗体として知られている。そのようなCDR移植
抗体の一つを比較的単純なニトロフェナセチル抗原に対して構築することは成功
しているが、より複雑な抗原を認識するCDR移植抗体の構築では、結合活性が無
改変非ヒト抗体よりかなり低い抗体が得られている。単に非ヒトCDRをヒト抗体
に導入するだけでは、完全な結合活性を保つには不十分であることが、数多くの
例で実証されている。ヒト化抗体の設計に際して考慮すべき重要アミノ酸を同定
して、そのような設計のための理論的指針を提案するには、関係のあるマウス抗
体の精密なコンピューターモデルが必要であるが、いずれの場合も、作業を関係
のある特定の非ヒト抗体に適合させ、最適化しなければならない。
【0010】 組織因子(TF)は、第VII因子および第VIIa因子のレセプターとして機能する
ことによって前記外因系経路を開始させる膜糖タンパク質であり、抗凝固療法の
標的として研究されている。TFは、この役割の他にも、血管疾患およびグラム陰
性菌敗血症ショックなどの病態に関連づけられている。マウスモノクローナル抗
体の抗凝固能力を特徴づけようとする研究では、評価したモノクローナル抗体の
大半によるTF機能の阻害は、TFが血漿と接触した時に迅速に形成されるTF/VIIa
複合体の解離に依存することが明らかになった。WO96/40,921に開示されている
ように、モノクローナル抗体の一つであるTF8-5G9は、複合体の解離を伴わずにT
F/VIIa複合体を阻害する能力を持ち、よって血漿中で速やかな抗凝固作用を与え
た。
【0011】 標的となる凝固因子は中分子量範囲(約45,000〜160,000)を示し、かつ比較
的高い正常血漿濃度(少なくとも0.01μmol/L)を示す。
【0012】 利用できる全ての抗血栓剤に伴う一つの打ち消しがたい懸念は、過量投与の危
険、すなわち生命を脅かす過剰出血の危険である。それゆえ最新の抗血栓剤には
患者の綿密なモニタリングが欠かせない。
【0013】 したがって、過量投与が起こりえず、モニタリングを必要とせず、出血問題を
伴わない、凝固障害の処置に有効な化合物が必要とされている。抗体に基づく治
療剤の場合、理想的な化合物は、免疫原性を誘発しない完全な抗凝固効力を有す
るヒト抗体だろう。
【0014】 第VIII因子は重要な凝固補因子活性を与えるタンパク質であり、かなり高い分
子量(265,000)と極めて低い正常血漿濃度(0.0007μmol/L)を持つヒト凝固因
子の一つである。2,332アミノ酸残基を持つ第VIII因子は、最も長い既知ポリペ
プチド鎖の一つであり、肝臓、脾臓および胎盤で合成される。第VIII因子の遺伝
子は186,000ヌクレオチドを含むことが明らかになっている。
【0015】 第VIII因子は不活性血漿タンパク質として循環している。第V因子と第VIII因
子は、三つのAドメインと二つのCドメインならびにA2ドメインとA3ドメインをつ
なぐ構造的に異なるBドメインという構造上共通する構成を持つ相同なタンパク
質である。第VIII因子は1nmol/Lの濃度でフォン・ウィルブランド因子と強固に
会合した多数の断片分子種として循環している。第VIII因子活性化はA1ドメイン
とA2ドメインの間の切断によって起こり、不安定なヘテロ三量体第VIIIa因子分
子が生成する。第VIIIa因子は酸性リン脂質を含有する膜に強固に結合する。Ara
iら, J. Clin. Invest.(1989)83:1978によれば、第VIII因子はC2ドメイン内
のアミノ酸2302と2332の間にリン脂質結合部位を持っている。ShimaらのThrom. Haemost. (1993)69:240およびJ. Biol. Chem.(1994)269:11601によれば、同
じ第VIII因子領域には、A3ドメイン中のアミノ酸残基1645〜1689と共同して作用
するフォン・ウィルブランド因子結合部位も存在する。
【0016】 第VIII因子の補因子活性を阻害するポリクローナル抗体は、第VIII因子を完全
(I型)にまたは部分的(II型)に阻害するというその能力に従って、I型インヒ
ビターまたはII型 インヒビターに分類されている。Gawrylら, Blood(1982)60
:1103-9によれば、ヒトII型自己抗体による第VIII因子の低い不活化は、フォン
・ウィルブランド因子の立体効果によるものであると考えられる。モノクローナ
ル抗体には言及がなく、今までに、このようなII型インヒビターが治療的に使用
されたことはなかった。Biggsら, Br. J. Haematol.(1972)23:137は、以前に
、II型阻害パターンは低い親和力に関係するのではないかという、ヒトポリクロ
ーナル抗体を使って得られたデータから導いた解釈を提出している。B. Lyら, S candinavian Journal of Haematology (1982)28:132-140には第VIII因子に対す
るポリクローナル抗体が開示されており、それらの抗体は、同種抗体を産生する
血友病患者でも、自身の第VIII因子に対する自己抗体を持っている稀な患者でも
、IgGクラスに属するものが最も多い。これらのポリクローナル抗体は、Biggsら
(1972)およびHoyerら(1982)に記載の抗体と同様に、第VIII因子活性を部分
的に不活化する。患者のポリクローナル抗体が示した第VIII因子不活性化パター
ンを、モノクローナル抗体で再現できるかどうかは、この文書でも言及されてい
ない。ここでもモノクローナル抗体は言及されていない。
【0017】 欧州特許出願EP-A-123,945、EP-A-152,746およびEP-A-432,134は全て、ハイブ
リドーマ細胞株によって産生され第VIIIc因子ポリペプチド断片との特異的反応
パターンを持つモノクローナル抗体を開示している。これらのモノクローナル抗
体は、血漿中の第VIIIc因子および関連ポリペプチドの存在をイムノアッセイ法
によって検出するのに役立つとされているが、これらの文書に潜在的な治療的使
用を示唆する記載はない。
【0018】 J. Battleら, Annals of Hematology(1997)75:111-115には、フォン・ウィ
ルブランド因子に対するウサギポリクローナル抗体と同様に、血漿第VIII因子に
対して部分的な阻害活性を示す、重度フォン・ウィルブランド病患者由来のポリ
クローナル同種抗体が開示されている。したがってこれらのポリクローナル抗第
VIII因子抗体は、血友病A患者に見いだされる抗第VIII因子II型抗体に似たパタ
ーンに従って、第VIII因子を不活化する(Gawrylら, Blood(1982)60:1103-9
)。しかし、前記ヒト同種抗体中には第VIII因子抗体は検出されなかったことか
ら、非特異的阻害であることが示唆された。
【0019】 J. Ingerslevら, Clinica Chimica Acta(1988)174:65-82には、ヒトフォン
・ウィルブランド因子に対する一連のマウスモノクローナル抗体が開示されてい
る。免疫グロブリンイソタイプIgG1に属するそのうちの2つは、前記文書の表I
に示されているように、極めて低い第VIII因子の阻害(1.3BU/mg免疫グロブリン
)を示す。これに対し、インヒビターを持つ血友病A患者に由来するヒトモノク
ローナル抗体BO2C11は、7,000BU/mgタンパク質という比活性を持つ(Jacquemin
ら, Blood(1998)92:496-506)。これは、Ingerslevが記載したような抗体の動
物またはヒトへの投与は、極めて大量の抗体(数百mg/ml)が血漿中に存在しな
い限り、第VIII因子活性にはおそらく影響を及ぼさないことを示している。著者
らは、これらの抗体が、大過剰に使用した場合に、Gawrylら, Blood(1982)60:
1103-9に記載されているインヒビターを初めとするI型またはII型(すなわち部
分的不活化)ポリクローナルヒト第VIII因子インヒビターと同様に、阻害活性を
示すかどうかを開示していない。
【0020】 Maraganoreら, Circulation(1992)86:413は、第VIII因子の残基1675-1686に
相当する合成12アミノ酸ペプチドが、第VIII因子の凝血促進活性の活性化に必要
なトロンビンによる重鎖の切断と、第VIII因子をフォン・ウィルブランド因子か
ら解離させるために必要な軽鎖の切断とを阻害すること、および前記ペプチドの
チロシン硫酸化は第VIII因子による前記ペプチドの認識を強化することを明らか
にした。
【0021】 J. Clin. Invest(1988)82:206-211には、ウサギにヒト抗第VIII因子抗体を
注入することによって血友病Aの動物モデルを得ることが記載されている。WO95/
01570に従ってヒトまたはブタ第VIII因子の軽鎖に対する抗体を第1の動物で産
生させた後、得られた精製単一特異性抗体を使って第2の動物で一過性の血友病
が誘発された。米国特許第5,804,159号にも、いくつかの血液凝固因子に作用す
る抗血漿抗体製剤(例えばヒトフォン・ウィルブランド因子および第VIII因子に
対する抗体または第VIII因子/フォン・ウィルブランド因子複合体に対する抗体
または凝血原に対する抗体、抗凝固薬、血餅構造因子、線維素溶解因子およびリ
ン脂質を含む製剤)を使った哺乳動物における一過性凝固障害の誘発が開示され
ている。
【0022】 しかし、第VIII因子が関与する上記の抗体化合物はいずれも治療用としては記
載されていない。事実、当業者の間には、抗血栓療法のために抗第VIII因子抗体
を研究することに偏見がある。なぜなら、第VIII因子の欠乏は血友病Aの病因な
ので、そのような抗体は出血状態を誘発するだろうと考えているからである。
【0023】 WO97/26010には、血栓性障害用の医薬組成物に有用な、凝固因子に対して自己
抑制的中和活性を有するモノクローナル抗体が開示されている。この文書におけ
る自己抑制的中和活性とは、限定的凝固調節が起こるような形でヒト凝固因子に
結合し血栓形成を抑制する抗体の活性と定義されている。また限定的凝固調節と
は、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)の延長によって測定される凝固
時間の増加であって、モノクローナル抗体濃度の増加にもかかわらず血漿が凝血
能を保ち、aPTTがある最大値(好ましくは35〜100秒)に達するものと定義され
ている。このようにaPTTは抗血栓剤の効力対出血傾向の一次評価基準として使用
されている。
【0024】 さらに具体的に述べると、前掲の文書は、第VIII因子に対するヒツジポリクロ
ーナル(SAF8C-IG、Affinity Biologicals社から購入)がaPTTの自己抑制的延長
を誘発すること(aPTTは約65秒の最大値まで増加した)を実証している。しかし
本発明者らは、SAF8C-IGはヒト第VIII因子の活性を完全に阻害すること(図10
参照)、すなわちSAF8C-IGはGawrylら, Blood(1982)60:1103-9の分類における
I型インヒビターであることを実証した。これは、一定の最大値までの凝固時間
の限定的増加は必ずしも凝固因子の部分的不活性とは相関せず、まして出血の危
険の減少とはさらに相関しないことを示している。例えば、凝固因子が完全に欠
損している患者は通常60〜100秒の範囲のaPTTの限定的延長を示すが、それでも
著しい出血の危険にさらされていることはよく知られている(Hathawayら, Am J
Clin Pathol(1979)71:22-25およびHoffmannら, Thromb Haemostas(1978)39
:640-645)。
【0025】 逆に、延長したAPTTが血栓症リスクの低下の確実なパラメーターにならないこ
とは、よく知られている。特に、内因系凝固経路のもう一つの凝固因子である第
XII因子の欠乏は、最高6倍に延長されたAPTTをもたらす(Hathawayら, Am J Cl
in Pathol(1979)71:22-25およびHoffmannら, Thromb Haemostas(1978)39:64
0-645)。しかし、この欠乏症を持つ患者のうち、かなりの数の患者が心筋梗塞
または血栓塞栓症を経験していることから、APTTの顕著な延長にもかかわらず、
第XII因子欠乏症患者は血栓性疾患から保護されていないことがわかる(McPhers
on RA, Am J Clin Pathol(1977)68:420およびGlueck HIら, Ann Intern Med(
1966)64:390)。
【0026】 JacqueminらはBlood(1998)92:496-506で、インヒビターを持つ血友病A患者
のメモリーB細胞由来の細胞株によって産生される第VIII因子特異的ヒトIgG4モ
ノクローナル抗体(BO2C11)に言及している。B02C11は第VIII因子のC2ドメイン
を認識し、当該Cドメインのフォン・ウィルブランド因子への結合とリン脂質へ
の結合をどちらも阻害するとされている。これは7,000ベセスダ単位/mgの比活性
で無改変および活性化第VIII因子の凝固促進活性を完全に阻害するとされている
。本発明者らは、BO2C11がヒト第VIII因子の活性を完全に阻害する一方で、aPTT
によって測定される凝固時間を約110秒延長することをさらに明らかにした。こ
れは、一定の最大値までの凝固時間の増加が必ずしも凝固因子の部分的不活化と
は相関しないことを、再び実証している。このような第VIII因子レベルの低下は
、重度血友病A患者の場合と同様に、患者を重大な出血リスクにさらすことにな
る(Levine PH, Ann NY Acad Sci(1975)240:201、Gilbert MS, Mount Sinai J
Med(1977)44:339)。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、止血に関与する因子(特に凝固カスケードの因子または因子群、よ
り具体的には第VIII因子またはその複合体)に結合する新規リガンド、すなわち
新規モノクローナルヒトまたはヒト化抗体、その断片、誘導体およびホモログ;
止血に関与する因子または因子群に結合するポリペプチドまたは他の分子;前記
モノクローナル抗体の供給源となりうる新規細胞株;前記リガンドを含む医薬組
成物;ならびにヒトの凝固障害および凝固障害に起因する血栓性病態を予防およ
び処置する方法であって、その必要がある患者への前記リガンドの投与による方
法に関する。
【0028】 したがって本発明の第1の主目的は、哺乳動物(より具体的にはヒト)におけ
る出血の危険を低下させる効果的かつ安全な抗血栓療法を提供することである。
【0029】 本発明のもう一つの目的は、哺乳動物(より具体的にはヒト)における出血の
危険を低下させる効果的な抗血栓療法をもたらす治療組成物を提供することであ
る。
【0030】 本発明のさらにもう一つの目的は、今までに知られていた治療法および組成物
よりも安全に使用できる抗血栓療法および抗血栓治療組成物を提供することであ
る。
【0031】
【課題を解決するための手段】
本発明の一側面は、止血(特に凝固カスケード)に関与するヒトタンパク質因
子、より具体的には第VIII因子またはその複合体を、特異的リガンドを使用して
標的とすることである。好ましくは、(ポリクローナル抗体以外の)これらのリ
ガンドは、リガンドをモル過剰に使用した場合でも当該因子の残存活性が残るよ
うに、標的因子の機能を部分的にのみ阻害することによって、治療的に有用なプ
ラトーレベルを与える。特定の標的因子に関して本発明リガンドの阻害作用を表
す曲線を前記リガンドの濃度に対して作成し、少なくとも1%、好ましくは少な
くとも2%の最小残存因子活性がまだ存在する濃度を決定することができる。こ
の濃度の5倍の濃度における残存因子活性は、最小点での残存活性とは実質的に
相違しないべきである。また特に、止血(特に凝固カスケード)に関与する因子
または因子群、より具体的には第VIII因子またはその複合体を、リガンドがモル
過剰である場合でも、部分的にのみ不活化する能力を持つ高親和性モノクローナ
ル抗体(ヒト抗体およびヒト化抗体)ならびにその断片、誘導体およびホモログ
を提供し、よって過量投与および過量投与に起因する出血合併症の危険を防止す
ることは、本発明のさらなる一側面である。本発明のさらにもう一つの側面は、
各ヒトモノクローナル抗体を産生する新規細胞株を提供することである。
【0032】 本発明は上記の抗体またはその断片をコードするポリヌクレオチド配列も包含
する。遺伝コードの縮重の結果として本発明の範囲に包含されるヌクレオチド配
列が多数存在することは理解されるだろう。また本発明は、上記モノクローナル
抗体またはその断片に対応する相補配列も包含する。特に本発明は上記モノクロ
ーナル抗体もしくはその断片または上記ポリヌクレオチドもしくは相補配列から
構築されるプローブを包含する。
【0033】 また本発明は、ヒト体内での凝固を減弱する方法であって、止血(特に凝固カ
スケード)に関与する因子または因子群、より具体的には第VIII因子またはその
複合体を、リガンドがモル過剰であっても部分的にのみ不活化する能力を有する
(ポリクローナル抗体以外の)リガンド、例えばヒトもしくはヒト化モノクロー
ナル抗体、その断片、誘導体またはホモログを、凝固の減弱を必要とする患者に
投与することからなる方法を提供する。また本発明は、哺乳動物(具体的にはヒ
ト)における血栓性病態を処置または予防する方法であって、止血(特に凝固カ
スケード)に関与する因子または因子群、より具体的には第VIII因子または第VI
II因子を含む複合体を、リガンドがモル過剰であっても部分的にのみ不活化する
能力を有する(ポリクローナル抗体以外の)リガンド、例えばヒトもしくはヒト
化モノクローナル抗体、その断片、誘導体またはホモログを、前記処置または予
防を必要とする哺乳動物に治療上有効な量投与することからなる方法を提供する
。好ましい一態様として、上記血栓性病態は、例えば血管内凝固、動脈血栓症、
動脈再狭窄、静脈血栓症および動脈硬化症などから選択することができる。
【0034】 本発明のもう一つの態様は、止血(特に凝固カスケード)に関与する因子また
は因子群、より具体的には第VIII因子または第VIII因子を含む複合体上のある部
位に結合して、リガンドがモル過剰であっても前記因子を部分的にのみ不活化す
る能力を有する(ポリクローナル抗体以外の)リガンドを、医薬的に許容できる
担体との混合物として含んでいる医薬組成物に向けられる。前記リガンドは、好
ましくは、ヒトもしくはヒト化またはハイブリッド化高親和性抗第VIII因子また
は抗第VIII因子-フォン・ウィルブランド因子複合体モノクローナル抗体または
その断片、誘導体もしくはホモログである。本発明の医薬組成物は所望により治
療有効量の血栓溶解剤をさらに含んでもよい。
【0035】 本発明のもう一つの態様は、特異的モノクローナル抗体の選択方法に向けられ
る。マウスなどの動物を第VIII因子などのタンパク質で免疫する従来の方法では
、第VIII因子分子上のいくつかのエピトープが関係しうる免疫学的反応が誘発さ
れる。本発明は、野生型タンパク質のエピトープに対する特異的モノクローナル
抗体を得るためのより選択的な方法を提供する。まず、野生型タンパク質が少な
くとも部分的に機能修飾された形のタンパク質を持つドナー(例えばヒトなどの
哺乳動物)を用意する(すなわち選択する)。当該タンパク質の一ドメインに存
在する前記修飾は、任意の理由(例えば人種または系統)、先天的な遺伝的欠陥
、病気または人的干渉(例えば機能修飾型に対する免疫寛容)によるものである
ことができる。次に上記哺乳動物ドナーに免疫反応を惹起するために野生型タン
パク質を投与する。この段階では、十分量の野生型タンパク質(例えば第VIII因
子)を免疫反応が生じるまで投与することが重要である。次に、本方法の最終段
階として、上記哺乳動物ドナー由来のB細胞の選択を行うと、例えば野生型タン
パク質を部分的にのみ不活化する抗体を産生するドナー由来のBリンパ球を選択
することなどにより、修飾された領域中のエピトープに対するモノクローナル抗
体が得られる可能性は、はるかに大きくなる。
【0036】 第VIII因子阻害の抗凝固処置としての可能性は、今まで探求されてこなかった
。その理由は、おそらく、第VIII因子活性を完全に(重度血友病)または大きく
(中等度血友病)欠く血友病A患者で起こる出血合併症がよく知られているから
だろう。しかし血友病Aは、制限的凝固補因子としての第VIII因子の重要性を示
すだけでなく、凝固とアテローム性動脈硬化の間の既存の関連も示している。ア
テローム性動脈硬化およびその血栓性合併症は血友病A患者の間ではかなり稀で
あることが実際にわかっている。出血を防ぐのに十分な止血は可能であるが、病
的な血管内血栓形成を妨げるレベルに第VIII因子活性を拮抗することは、血栓形
成促進性疾患、例えば深部静脈血栓症(DVT)、肺塞栓症(PE)、術後、妊娠中
、冠状動脈疾患(CAD)、脳血管疾患(CVD)、末梢動脈疾患(PAD)および血管
介入処置中などにおける安全な血液凝固阻止にとって、かなり有望である。
【0037】 本発明は新規リガンド、すなわち新規ヒトおよびヒト化モノクローナル抗体な
らびにその断片、誘導体およびホモログの驚くべき決定に基づいている。これら
のリガンドは、思いがけない「プラトー効果」(すなわち、たとえリガンドが過
剰であっても、個別にまたは共同して、止血(特に凝固カスケード)に関与する
因子のもっぱら部分的な不活化を達成すること)を示しうる。リガンドは因子ま
たは因子の複合体に結合し、その結果、前記因子または因子複合体の生理学的機
能部位の機能を部分的にのみ損ないうる。この「プラトー効果」ゆえに、本リガ
ンドは、特にWO97/26010に記載されている自己抑制的中和活性を持つ抗体と比較
して、出血の危険を最小限に抑えつつ凝固障害および凝固障害に起因する血栓性
病態を処置するのに、とりわけ適している。したがって、WO97/26010に開示され
ている凝固因子に対する抗体の自己抑制的中和活性と、本発明が包含する臨床的
に意味のあるプラトー阻害(KRIX-1などの抗第VIII因子抗体は第VIII因子活性を
85%以下しか阻害しない)との間には、著しい相違がある。
【0038】 リガンドがモル過剰に存在しても、影響を受ける部位の生理学的機能をいくら
か残すためには、本発明のリガンドの性質は特に有用である。本リガンドは、第
VIII因子または第VIII因子複合体に結合して第VIII因子の活性を少なくとも部分
的に阻害する抗第VIII因子抗体、または第VIII因子複合体に対する抗体、特にヒ
トまたはヒトハイブリッドモノクローナル抗体であることができる。データは、
II型インヒビターがI型抗体とは異なる抗原決定基と反応すること、そしてこれ
らの決定基は第VIII因子/フォン・ウィルブランド因子複合体では部分的にブロ
ックされることを示している。
【0039】 以下、添付の図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0040】
【発明の実施の形態】
(定義) 「抗体」という用語は、該当する因子またはその因子のドメインのエピトープ
決定基に結合する能力を有する完全な分子およびその断片、例えばFab、Fab'、F
(ab')2またはFvなどを指す。
【0041】 本明細書で使用する「ヒト化抗体」という用語は、ヒト抗体により良く類似す
るように非抗原結合領域のアミノ酸が置換されている抗体分子を指す。
【0042】 本明細書で使用する「再構成ヒト抗体」または「ヒトハイブリッド抗体」とい
う用語は、抗原結合領域のアミノ酸が本発明の配列、例えばヒト抗体のレパート
リーから得られたCDRまたは可変領域の他の部分で置換されているヒト抗体を指
す。
【0043】 本発明のリガンドに関して本明細書で使用する「相同(な)」という用語は、
ある本発明リガンドの標的部位への結合と競合するかまたはある本発明リガンド
の標的部位への結合を阻害する分子を指す。結合は特異的でなければならない。
すなわち代替分子の結合は、本発明リガンドと同じように当該部位に対して特異
的でなければならない。本発明のリガンドがアミノ酸配列を含む場合は、相同と
して、例えば問題のリガンドと少なくとも80%、より好ましくは90%、最も好ま
しくは95%のアミノ酸配列一致度を持つことを挙げることができる。
【0044】 (詳細な説明) 特定の態様および特定の図面を参照して本発明を説明するが、本発明はこれら
に限定されるわけではなく、本発明は特許請求の範囲によってのみ限定される。
具体的には、本発明を主に第VIII因子に対するリガンドに関して説明するが、本
発明はこれらに限定されるわけではない。本発明は、特定のモノクローナル抗体
を選択することで、止血に関与する因子を部分的にのみ不活化することにより、
治療的に有用な「プラトー阻害」を得ること、ならびにそのようなヒトもしくは
ヒト化モノクローナル抗体またはその断片、誘導体もしくはホモログを製造し、
これらを抗血栓療法および抗血栓療法組成物に使用することという一般概念に関
する。これらのリガンドおよび組成物は、リガンドがモル過剰に存在する場合で
さえ因子の不活化は部分的でしかないという有利な性質を持ちうる。これは、た
とえ標的因子を完全に不活化してしまうと予想されそうな量でリガンドを使用し
ても、不活化がなお不完全であることを意味する。
【0045】 本発明は、ヒト第VIII因子と反応するヒトモノクローナル抗体を産生する特別
な細胞株を提供する。より具体的には、本発明は、タンパク質加水分解切断部位
またはフォン・ウィルブランド因子またはテンナーゼ複合体反応に干渉すること
によって、または第VIII因子の三次元的コンフォメーション変化を誘発すること
によって、特に第VIII因子のあるドメインを標的とし、前記ドメイン内にあるエ
ピトープを認識することによって、ヒト第VIII因子の補因子活性を不活化する能
力を有するヒトモノクローナル抗体を産生する特別な細胞株を提供する。好まし
いドメインの一つは第VIII因子のC1ドメインであるが、本発明はこれに限定され
ない。第VIII因子のC2ドメイン上の部位も部分的に阻害することができる。本発
明には、フォン・ウィルブランド因子からの第VIII因子の遊離速度を低下させる
ポリクローナル抗体以外のリガンド、特にモノクローナル抗体も包含される。こ
れらのモノクローナル抗体は、フォン・ウィルブランド因子に結合している第VI
II因子を特異的に標的とし、ゆえに第VIII因子とフォン・ウィルブランド因子の
複合体に伴うエピトープを標的とする。本発明は、上記モノクローナル抗体の断
片、例えばFab、Fab'、F(ab')2、scFv、CDR、単一可変ドメインなど、ならびに
これらの誘導体、ホモログおよび組み合わせも提供する。より具体的には、これ
らのモノクローナル抗体および断片は、第VIII因子の一ドメイン(特に第VIII因
子のC1ドメイン)を標的とすることができる。またこれらは第VIII因子のC2ドメ
イン上の一部位を部分的に阻害してもよい。またこれらは、フォン・ウィルブラ
ンド因子と第VIII因子の複合体に伴うエピトープを標的としてもよい。したがっ
て本発明の一側面は、機能的な第2部位(例えばリン脂質との結合を担っている
第VIII因子のC2ドメイン中の部位)から遠く離れた第1部位(例えば第VIII因子
のC1ドメイン中の部位)に、リガンドがモル過剰かつ治療的に過量に存在する場
合でさえ第2部位の機能が部分的にしか損なわれないような形で結合する、ポリ
クローナル抗体以外のリガンドを提供することである。
【0046】 本発明のモノクローナル抗体を産生するKRIX1という名の細胞株は、BCCM/LMBP
(Belgian Co-ordinated Collections of Microorganisms/Plasmid Collection
Laboratorium voor Moleculaire Biologie、ヘント大学(ベルギー、B-9000ヘン
ト、K. L. Ledeganckstraat 35))に、受託番号LMBP5089CBとして1999年7
月1日に寄託された。
【0047】 また本発明は、上記寄託細胞株から得られるヒトモノクローナル抗体の反応性
と実質的に類似する反応性を有するヒトモノクローナル抗体を産生する細胞株な
らびにこれらのさらなる細胞株から得ることができるヒトモノクローナル抗体も
提供する。
【0048】 また本発明は、ヒト抗体のレパートリーに由来する要素のみを含む、第VIII因
子または第VIII因子とフォン・ウィルブランド因子とを含む複合体に結合してそ
れを部分的にのみ不活化する再構成ヒトモノクローナル抗体またはヒトハイブリ
ッドモノクローナル抗体も提供する。ヒトハイブリッドモノクローナル抗体とは
、ヒト抗体と本発明の可変領域とから構築されるハイブリッド抗体を意味する。
従来、当技術分野では、動物(例えばマウス)由来の第VIII因子に対する抗体を
得るか、またはヒト抗体とマウス抗体由来の可変領域とからキメラ抗体を構築す
ることしかできなかった。
【0049】 また本発明は、止血(特に血液の凝固カスケード)に関与する因子(または前
記因子を含む複合体)、好ましくは第VIII因子または第VIII因子を含む複合体を
、前記因子または複合体のある部位に結合することによって部分的にのみ不活化
する能力(このもっぱら部分的な不活化は本発明のリガンドが前記因子に対して
モル過剰である場合でも起こる)を有する(ポリクローナル抗体以外の)リガン
ドを提供する。リガンドが結合する部位は、前記因子または複合体の生理学的相
互作用に直接的または実質的に関与する場合も、直接的または実質的には関与し
ない場合もある。例えばリガンドは前記因子の生理学的機能部位から所定の距離
にある部位に結合しうる。部分的「プラトー」不活化とは、本明細書では、例え
ばCoatest(登録商標)(Kabi Vitrum(ベルギー、ブリュッセル))またはChro
mogenix AB(スウェーデン、メルンダル)から入手できる発色アッセイなどの適
切な試験法による決定で、多くて98%の不活化、好ましくは多くて95%の不活化
を意味するものとする。必要な活性化のレベルは止血に関与する因子の生理学的
機能に依存する。一方、治療的に有用であるために、血液因子の不活化は、上記
と同じ試験法で決定して、少なくとも約65%、好ましくは少なくとも約70%でな
ければならない。本発明のリガンドが、従来から第VIII因子に対するII型抗体に
ついて想定されていた機序とは異なる方法で働くことは理解されるだろう。従来
の機序の一つは、もう一つの因子(例えばフォン・ウィルブランド因子)との競
合という機序である。競合機序の速度論では、ある分子種が他の分子種と比較し
て高濃度である(例えばモル過剰である)場合、阻害は事実上完全であることに
なる。これに対し、本発明のリガンドは、過剰のリガンドとは実質上無関係に、
問題の因子の不活化がプラトーに達する。II型抗体に従来から想定されているも
う一つの機序は、低親和性という機序であるが、この場合も、過量は反応を完全
な阻害に至らせる。
【0050】 標的とする血液因子が第VIII因子である場合、本発明のリガンドは、寄託され
た細胞株KRIX1から得ることができ、第VIII因子の補因子活性を部分的にのみ不
活化する能力を有する(好ましくはIgGクラスの)ヒトモノクローナル抗体であ
ることができる。より具体的に述べると、本発明は、好ましい一態様として、第
VIII因子のC1ドメイン内にあるエピトープを認識することができる、上記の起源
に由来するヒトモノクローナル抗体に関する。一つの説明または理論に拘泥する
わけではないが、このようなヒトモノクローナル抗体の結合により、補因子活性
の発現にとって必須の一段階であるリン脂質への活性化第VIII因子の結合が、部
分的に損なわれると考えられる。
【0051】 また本発明は、上記の特徴と実質的に同じ特徴を持ち、動物(好ましくはマウ
ス)の意図的免疫化によって(例えばマウスにヒト第VIII因子を注射した後、そ
の脾臓リンパ球をマウス骨髄腫細胞株と融合し、次いで抗第VIII因子抗体を産生
する培養細胞を同定し、クローニングすることによって)製造されるモノクロー
ナル抗体を提供する。次に、例えば非ヒトモノクローナル抗体由来の結合相補性
決定領域(「CDR」)を、JonesらがNature(1986)321:522にまたはRiechmannが
Nature(1988)332:323に開示しているようなヒトフレームワーク領域(特にヒ
ト遺伝子の定常C領域)と結合することによって、動物が産生したモノクローナ
ル抗体をヒト化する。
【0052】 また本発明は、上記モノクローナル抗第VIII因子抗体の断片および誘導体、特
に相補性決定領域(「CDR」)ならびにそのホモログも提供する。例えば本発明
は、当技術分野周知の方法(例えばStanworthら, Handbook of Experimental Im munology (1978)第1巻、第8章(Blackwell Scientific Publications)記載
の方法など)による前記モノクローナル抗体のタンパク質加水分解的消化によっ
て生成する抗原結合性断片Fab、Fab'およびF(ab')2を提供する。抗体結合部位を
含有するこれらの断片は、補体活性化またはFcγレセプターへの結合能などとい
った親抗体の性質のいくつかを失っている。本発明には、抗体の一本鎖可変領域
断片(scFv)、単一可変ドメイン断片、ならびにこれらの断片および上記の断片
の組み合わせも包含される。
【0053】 また本発明は、上記モノクローナル抗体の可溶型または膜固定型一本鎖可変部
分およびそれらを下記のように取得する方法も提供する。ヒト重鎖および軽鎖の
可変部分のDNA配列を個別の反応で増幅し、クローニングする。15アミノ酸リン
カー配列、例えば(Gly4 Ser)3を、例えばDieffenbachおよびDveksler著「PCR Pr
imer, a laboratory manual」(1995)(Cold Spring Harbour Press, 米国ニュ
ーヨーク州プレーンビュー)などに従って、2段階ポリメラーゼ連鎖反応(PCR
)により、VHとVLの間に挿入する。次に、一本鎖可変領域断片(scFv)を可溶型
またはファージディスプレー型ポリペプチドとして発現させるのに適したベクタ
ーに、上で得た断片を挿入する。これは、例えばGillilandら, Tissue Antigens (1996)47:1-20に記載の方法など、当業者に周知の方法によって達成できる。
また本発明には、Applied Biosystemsの合成装置、Milligen(USA)から入手で
きるモデル9050などのポリペプチド合成装置、または関連技術によるモデルを使
った合成によって得ることができ、単独でまたは他のもしくは類似の超可変領域
と共同して親抗体の性質に似た性質を発揮する、モノクローナル抗体の超可変領
域を表すペプチドを含んでなるリガンドも包含される。
【0054】 また本発明は、ヒトの止血障害、特に凝固カスケードの障害およびその障害に
起因する血栓性病態を予防または処置するための医薬組成物であって、活性成分
として、ポリクローナル抗体以外のリガンド(好ましくは上述したようなヒトモ
ノクローナル抗体)を、医薬的に許容できる担体との混合物の形で含有する医薬
組成物も提供する。前記モノクローナル抗体は、ベルジアン・コーディネイテッ
ド・コレクションズ・オブ・マイクロオーガニズムス(Belgian Co-ordinated C
ollections of Microorganisms)に受託番号LMBP5089CBとして寄託された細胞株
KRIX1から得ることができるヒトモノクローナル抗体、またはその断片、誘導体
もしくはホモログであることが、より好ましい。前記モノクローナル抗体との相
同性の程度は、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは90%、最も好ましく
は95%であり、その相同性は特に抗体の相補性決定領域に関するものであること
が好ましい。本発明のリガンドは、等価な効力を持つ合成ポリペプチドも包含し
うる。本発明の医薬組成物は、例えば処置または予防法に関して以下にしめすよ
うな治療有効量の上記成分を含むべきである。
【0055】 本発明の医薬組成物は、いわゆる補助的抗血栓処置の観点から、治療有効量の
血栓溶解剤をさらに含んでもよい。そのような血栓溶解剤は、その種類に依存す
る通常の投与量と共に、当業者にはよく知られている。本発明の医薬組成物に含
めることができる数多くの血栓溶解剤例のなかでは特に、t-PA、ストレプトキナ
ーゼ、レプチラーゼ、TNK-t-PAまたはスタフィロキナーゼを、非限定的に挙げる
ことができる。
【0056】 本発明の医薬組成物での使用に適した医薬担体は、例えばRemington's Pharma
ceutical Sciences、第16版(1980)などに記載されており、その製剤は当業者
にはよく知られている。これには、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング
、抗細菌および抗真菌剤(例えばフェノール、ソルビン酸、クロロブタノール)
、等張化剤(例えば砂糖、塩化ナトリウム)などが包含される。組成物中のモノ
クローナル抗体活性成分の作用持続時間を制御するために、追加の成分を含めて
もよい。したがって、制御放出組成物は、例えばポリエステル、ポリアミノ酸、
ポリビニルピロリドン、エチレンビニルアセテートコポリマー、メチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、プロタミン硫酸などの適当なポリマー担体を
選択することによって達成できる。薬物の放出速度および作用持続時間は、ヒド
ロゲル、ポリ乳酸、ヒドロキシメチルセルロース、ポリメタクリル酸メチル、お
よび他の上記ポリマーなどといったポリマー物質製の粒子(例えばマイクロカプ
セル)に、モノクローナル抗体活性成分を組み込むことによって制御することも
できる。このような方法にはリポソーム、ミクロスフェア、マイクロエマルショ
ン、ナノ粒子、ナノカプセルなどのコロイド薬物送達系が含まれる。投与経路に
よっては、活性成分を含む医薬組成物を保護コーティングする必要があるかもし
れない。注射に適した剤形には、滅菌水性溶液または分散液および即時調合剤用
の滅菌散剤がある。したがって典型的担体としては生体適合性の水性緩衝液、エ
タノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよ
びその混合物が挙げられる。
【0057】 また本発明は、ポリクローナル抗体以外の(上記)リガンドの医薬としての使
用も提供する。より好ましくは、本発明で使用される医薬は、哺乳動物(好まし
くはヒト)の止血障害(特に凝固障害)および他の血栓性病態を予防および/ま
たは処置するための手段である。前記リガンドは当技術分野周知の任意の手段に
よって、すなわち経口的、鼻腔内、皮下、筋肉内、皮内、静脈内、動脈内もしく
は非経口的に、またはカテーテル法によって、患者に投与することができる。本
発明によれば、リガンドは、他の医薬(例えば上記医薬組成物の項に記載したよ
うな血栓溶解剤)と共に、医薬として使用することもできる。
【0058】 したがって本発明は、止血、凝固障害または血栓性病態を処置および/または
予防する方法ならびに哺乳動物(好ましくはヒト)における凝固を減弱する方法
であって、そのような処置もしくは予防または凝固の減弱を必要とする哺乳動物
に、上述したようなポリクローナル抗体以外のリガンドの治療有効量を投与する
ことからなる方法を提供する。前記リガンドは、Belgian Co-ordinated Collect
ions of Micro-organismsに受託番号LMBP5089CBとして寄託された細胞株KRIX1か
ら得ることができるヒトまたはヒト化モノクローナル抗体であるか、抗原結合性
断片Fab、Fab'またはF(ab')2、相補性決定領域(CDR)、可溶型または膜固定型
一本鎖可変部分(scFv)、単一の可変ドメインもしくは誘導体、またはこれらの
要素の組み合わせであることが好ましい。
【0059】 本明細書にいう治療有効量とは、処置すべき哺乳動物の体重1キログラムにつ
き約1マイクログラム〜約10ミリグラム、より好ましくは約10マイクログラム〜
約1ミリグラムを意味する。ほとんどのIgGヒト抗体は長い半減期を持つことを考
えると、IgGクラスのモノクローナル抗体である本発明のリガンドは、患者の快
適さに寄与する定期的処置の恩恵を享受できるだろうことは理解できるだろう。
【0060】 予防または処置すべき前記血栓性病態の好ましい態様としては、血管内凝固、
動脈血栓症(これは急性心筋梗塞および脳卒中の原因になりうる)、動脈再狭窄
、静脈血栓症(偶発的外傷もしくは手術による外傷または運動抑制の結果として
末梢静脈でよく起こる)または動脈硬化症を挙げることができる。最も好ましい
処置方法では、その患者の臨床状態を確定する基準に応じて医師によって決定さ
れる投与量のボーラス(静脈内注射)が患者に施される。
【0061】 本発明の処置および/または予防方法は、上記医薬組成物の項に記載したよう
な血栓溶解剤の治療有効量を患者に投与(好ましくは逐次的に投与)することに
よる、同じ血栓性病態のさらなる処置または予防を含んでもよい。本明細書にい
う「逐次的に」とは、本発明のリガンドと既知の血栓溶解剤とが、同時にではな
く逐次的に患者に投与されることを意味する。
【0062】 また本発明は、 a)あるタンパク質ドメインに野生型タンパク質と比較して修飾を有する少なく
とも部分的に機能的な生理活性タンパク質を持っている非ヒト哺乳動物を選択す
る工程、 b)免疫反応を誘発するために前記非ヒト哺乳動物に野生型タンパク質を投与す
る工程、および c)野生型タンパク質を部分的にのみ不活化する抗体を産生する上記非ヒト哺乳
動物由来のBリンパ球を選択する工程、 を含む、非ヒト哺乳動物由来のモノクローナル抗体の取得方法も提供する。この
方法では、非ヒト動物を屠殺し、工程(c)を行うためにその脾臓を摘出するこ
とが、一般に行われる。
【0063】 また本発明は、あるタンパク質ドメインに野生型タンパク質と比較して修飾を
有する少なくとも部分的に機能的な生理活性タンパク質を持ちかつ野生型タンパ
ク質を投与されたヒトの血液からモノクローナル抗体を取得する方法であって、
前記ヒトの血液から野生型タンパク質を部分的にのみ不活化する抗体を産生する
Bリンパ球を選択する工程を含む方法も提供する。
【0064】 本発明は、上述したさまざまな側面に体現されているように、多くの利点を有
する。本発明のヒトモノクローナル抗体の治療的使用の主な利点は、その処置が
想定している免疫反応に高度に特異的なことである。凝固亢進状態では、本発明
のヒトモノクローナル抗体の特異性により、凝固カスケード経路内の相互作用が
当該抗体によって認識される因子に確実に限定される。
【0065】 より具体的には、上記の好ましい特徴を持つ抗第VIII因子抗体の使用により、
第VIII因子のターゲティングに関わる利点、第VIII因子阻害の特徴に関わる利点
および抗体の使用に関わる利点のユニークな組み合わせが得られる。すなわち、
・第VIII因子のターゲティングによって、補因子活性(例えば第VIII因子の補因
子活性)の中和には、当該補因子活性が増進する酵素活性を完全に阻害してしま
う危険がなくなることになり、その結果、第IX因子などの酵素を直接ターゲット
とする方法に比べて有利になる。 ・上述したインヒビターの態様は、第VIII因子の補因子活性を効率よくしかし部
分的にのみ阻害して、本発明のモノクローナル抗体を100倍以上過剰に使用し
ても、治療的に有用なプラトーに至らせるという特徴を共通して持っている。本
発明のモノクローナル抗体は第VIII因子の不活化に関してプラトー効果をもたら
し、それがボーラス適用を可能にし、モニタリングの必要または過量投与の危険
を伴わずに数週間にわたって安全な抗血栓的保護を与える。 ・ヒトIgG抗体は3週間(IgG3は例外で1週間)という長い半減期を示すので、
極めて安定した血漿抗血栓剤レベルを与え、投与頻度の劇的な減少を可能にする
。また、ヒト抗体または誘導体の使用により、免疫反応を誘発する危険が最小限
に抑えられる。
【0066】 例示のみを目的として記載する以下の実施例によって本発明をさらに説明する
【0067】 実施例1−血友病A患者由来のモノクローナル抗体の作成 望ましい特異性および特徴を持つヒトモノクローナル抗体は、血友病Aまたは
後天性血友病を患っている患者の末梢血から得られるBリンパ球の形質転換によ
って作成される。患者の選択方法は本発明の一態様である。より特異的な免疫学
的反応を誘発するために、機能が損なわれた生理活性タンパク質(例えば第VIII
因子)を持つ患者を探す。「損なわれた」とは、多少の残存機能を利用すること
はできるが、その残存機能は同じタンパク質の野生型について知られている機能
よりも低いことを意味する。自己タンパク質と野生型タンパク質とを比較すると
、それら2つのタンパク質間に(好ましくは関係のある領域またはドメインに)
相違が認められるはずである。この相違は欠失であるかもしれないし、1または
複数のアミノ酸の、他のアミノ酸による置換であるかもしれない。次に、免疫学
的反応を誘発するのに十分な野生型タンパク質を、上記患者に投与する。次に、
Bリンパ球をその患者から抽出し、望ましい性質を持つ抗体の産生に基づいて選
択する。上の説明では「患者」に言及したが、この態様による方法は哺乳動物一
般に適用できる。上記の方法により、欠陥を含有するドメインを標的とする抗体
を獲得する可能性が高くなる。
【0068】 当業者に周知の技術を用いてエプスタイン・バーウイルスの感染および表面抗
原の活性化によってB細胞を形質転換する。適当な抗体を含有する細胞上清を、
以下の詳述するような特異的アッセイ法によって同定する。
【0069】 例えば、第VIII因子に対する抗体は、上清を、第VIII因子または第VIII因子/
フォン・ウィルブランド因子複合体でコーティングしたポリスチレン製マイクロ
タイタープレートと反応させることによって同定される。特異的抗体の結合は、
酵素に結合された非ヒトIgG試薬の添加によって検出される。前記酵素の存在下
で着色化合物に変換される酵素基質の添加によって、特異的抗体を検出すること
ができる。酵素結合免疫測定法(ELISA)と呼ばれるこのような方法は当業者には
よく知られており、例えばCurrent Protocols in Immunologyの第2章(John Wi
ley & Sons)(1994)などに詳述されている(その内容は参照により本明細書に
組み込まれるものとする)。
【0070】 より具体的に述べると、この例では、抗第VIII因子IgG抗体の結合を、ヒトFc
γに特異的な西洋ワサビペルオキシダーゼ標識マウスモノクローナル抗体の添加
によって検出した。抗第VIII因子抗体のIgGサブクラスを図1に示すようにELISA
によって検出した。第VIII因子機能活性の阻害を機能的凝固アッセイで以下のよ
うに試験した。等体積の細胞培養上清とプール正常血漿とを37℃で2時間インキ
ュベートした後、残存第VIII因子活性を測定した。第VIII因子活性を有意に阻害
する抗体を図1に星印で示す。
【0071】 次に、抗第VIII因子抗体を産生するB細胞(BO2C11など)を増殖させ、例えばC
urrent Protocols in Immunology(上記参照)に記載されているような限界希釈
法によってクローニングする。上述のように第VIII因子の凝固促進活性を阻害す
る能力を持つ抗第VIII因子抗体は、Dade(ドイツ、Duechingen)製の第VIII因子
発色アッセイまたはKabi Vitrum(ベルギー、ブリュッセル)もしくはChromogen
ix AB(スウェーデン、メルンダル)から市販されているCoatest(登録商標)な
どの発色アッセイキットを使って同定される。
【0072】 等体積のモノクローナル抗体BO2C11とプール正常血漿とを37℃で2時間インキ
ュベートした。混合前のBO2C11濃度をX軸上に示す。第VIII因子活性の低下を凝
固アッセイで測定し、抗体の不在下で得られる活性の百分率として表した(図2
参照)。残存活性は0に漸近した(完全な阻害)。
【0073】 本発明の更なる一態様として、十分な親和性で第VIII因子機能を阻害するが抗
体大過剰で使用した場合でさえ第VIII因子凝固促進活性を完全には阻害しない抗
体を選択した。そのような抗体の代表例を図3に示す。図3では、等体積のKRIX
1と組換え第VIII因子または正常血漿とを37℃で2時間インキュベートし(血漿と
混合する前のKRIX1の濃度(単位μg/ml)は表示のとおり)、上記の発色アッセ
イを用いて残存第VIII因子活性を測定した。図3は、興味深いことに濃度0.1μg
/mlにおける約60%の第VIII因子阻害を示しており、また、さらに興味深いこと
に、0.5〜300μg/mlの全濃度範囲で約80%に漸近する第VIII因子阻害を示してい
る。
【0074】 次に、このようにして選択した抗体をバルク培養で産生させ、当業者に周知の
方法によりアフィニティークロマトグラフィーで精製する。
【0075】 非限定的な製造法の詳細は次のとおりである。ヒト組換え第VIII因子(比活性
4000IU/mg)はHyland(カリフォルニア州グレンデール)から実験用試薬として
入手した。イオン交換クロマトグラフィーで精製した血漿由来(pd)第VIII因子
-フォン・ウィルブランド因子複合体(比活性±160IU/mgタンパク質、フォン・
ウィルブランド因子対第VIII因子のw/w比は15:1)および精製第VIII因子-枯渇(
depleted)フォン・ウィルブランド因子(フォン・ウィルブランド因子対第VIII
因子のw/w比は4800:1;ロット951016)はベルギー赤十字社(ベルギー、ブリュ
ッセル)から入手した。
【0076】 軽度血友病を患っていてインヒビターを持つドナーから末梢血試料を集めた。
末梢血単核細胞(PBMC)をEBV感染によって不死化すると共に、表面抗原の活性
化を行った。480細胞株をELISAによって第VIII因子に対する抗体の産生に関して
スクリーニングした。例えばある細胞株(KRIX1と命名)の限界希釈法によるク
ローニングに成功した。抗体重鎖および軽鎖のV領域をコードするmRNAのRT-PCR
増幅によってクローン性を検証したところ、10クローンのPCR産物から単一の配
列が得られた。KRIX1細胞培養上清をプロテインA-セファロースに通すことによ
って、精製抗体を得た。IgGサブクラス特異的および軽鎖特異的抗体を使って行
ったELISAにより、KRIX-1はIgG4κと同定された。
【0077】 固定化プロテインA(high-TRAP(登録商標)Protein A、Pharmacia(スウェー
デン、ウプサラ))への吸着によってヒトモノクローナル抗体を精製した。パパ
イン消化によってヒトモノクローナル抗体のFab断片を調製した。50mmol/L L-シ
ステイン(Sigma)、1mmol/L EDTA(Merck)および10μgのパパイン(Sigma)を
含有するリン酸緩衝液(40mmol/L KH2PO4、60mM Na2HPO4・2H2O、0.15M NaCl)
に、選択した抗体1mgを500μg/mlになるように希釈した。その混合物を連続的に
撹拌しながら37℃で3時間インキュベートした。ヨードアセトアミドを最終濃度7
5mmol/Lになるように室温で30分間添加することによって反応を停止した。消化
された抗体をリン酸緩衝食塩水(140mmol/L NaCl、67mmol/L KCl、20mmol/L Na2 HPO4、4.4mmol/L KH2PO4、pH7.4)に対して透析した。次に、プロテインAセファ
ロース(Hi-Trap Protein A、Pharmacia)を通過させることによって、未消化の
IgGとFc断片とを除去した。得られたFab断片をSuperdex200(Pharmacia)でのゲ
ル濾過クロマトグラフィーによってさらに精製した。
【0078】 抗第VIII因子IgG抗体の検出、IgGサブクラスの決定、およびフォン・ウィルブ
ランド因子への第VIII因子結合の阻害の評価には、従来の方法を使用した。Fab
および無改変抗体による選択した抗体への組換え第VIII因子の結合の阻害を解析
するために、グリシン緩衝食塩水(20mmol/Lグリシン、34mmol/L NaCl、pH9.2)
に5μg/mlになるように希釈した抗体50μlで、Maxisorbポリスチレンプレート(
Nunc)を2時間コーティングした。洗浄後、Tris-カゼイン(150mmol/L NaClと0.
5%カゼインとを含有する10mmol/Lトリス(ヒドロキシメチル)アミノエタン、pH7
.3)に1μg/mlになるように希釈したビオチン標識組換え第VIII因子50μlを、様
々な希釈率のヒトIgG 50μlと37℃で1時間混合した。その混合物のうち50μlを
室温で2時間、プレートに加えた。洗浄後、アビジンペルオキシダーゼとOPDを逐
次添加することによって、ビオチン化組換え第VIII因子の結合を検出した。
【0079】 組換え第VIII因子(最終濃度0.2μg/mL)を様々な濃度のヒトIgG抗体と共に37
℃で2時間インキュベートし、残存第VIII因子活性を発色アッセイ(Coatest Fac
tor VIII、Chromogenix AB(スウェーデン、メルンダル)またはKabi Vitrum(
ベルギー、ブリュッセル))によって評価した。血漿第VIII因子活性の阻害はク
エン酸三ナトリウム緩衝液中に採取した正常血漿プールを第VIII因子源として使
用するベセスダ法によって測定した。残存第VIII因子活性は発色アッセイまたは
一段階凝固アッセイによって評価した。
【0080】 実施例2−動物の免疫化によるモノクローナル抗体の作成 もう一つの選択肢として、実施例1に開示した特徴と同じ特徴を持つモノクロ
ーナル抗体を、動物の意図的免疫化によって作成することもできる。例えばマウ
スにフロインドアジュバント中のヒト第VIII因子を注射する。
【0081】 次に、脾臓リンパ球をマウス骨髄腫細胞株と融合することにより、モノクロー
ナル抗ヒト因子第VIII抗体を得る。Current Protocols in Immunology(上記参
照)に記載の方法を使って、限界希釈法により、抗第VIII抗体を産生する細胞培
養上清を同定し、クローニングする。第VIII因子の凝固促進活性を阻害する所望
の能力を有するインヒビターのさらなる選択は、実施例1に記載した通りに行わ
れる。
【0082】 次に、マウスで産生されたモノクローナル抗体をヒト化する。例えば、マウス
重鎖および軽鎖の可変部分の配列をヒト免疫グロブリン可変領域と整列して、フ
レームワーク領域で最大のホモロジーを持つヒト抗体を同定する。次に、ヒト化
可変領域をコードするDNA断片を、例えばSatoら, Cancer Research(1993)53:8
51-6に記載のPCRに基づくCDR(相補性決定領域)移植法によって合成する。ヒト
化抗体の重鎖可変部分をコードする最終PCR産物を消化して、第1発現プラスミ
ド中のヒトCγ-1遺伝子の上流にサブクローニングする。最終構築物のヒト化軽
鎖可変領域は第2発現プラスミド中のCκ遺伝子の上流に挿入される。次に、こ
れら2つの構築物をCOS細胞発現系に同時トランスフェクトする。
【0083】 実施例3−抗第VIII因子抗体の特徴づけ ヒト(実施例1)または動物(実施例2)起源のモノクローナル抗体は、リン
脂質への第VIII因子の結合を阻害するその能力を評価するアッセイ系を用いて特
徴づけられる。例えばポリスチレンマイクロタイタープレートをホスファチジル
-L-セリンでコーティングする。最終濃度2μg/mlの可溶型組換え第VIII因子を、
様々な濃度の評価対象抗体と共に37℃で30分間混合する。次にその混合物をトロ
ンビンですばやく活性化し、ホスファチジル-L-セリン被覆プレートに添加する
。次に、そのプレートを21℃で2分間インキュベートし、抗第VIII因子A1ドメイ
ンmAb F14A2を2分間添加した後、HRP結合ヤギ抗マウスFcγと共に2分間インキュ
ベートすることによって、第VIII因子の結合を検出した。この実験の結果を細胞
株KRIX1から産生されたモノクローナル抗体に関して図4に示す。この図には、
抗体の不在下(黒いシンボル)または存在下(白いシンボル)での活性化第VIII
因子結合の三重試料の平均値および標準偏差を示す。第VIII因子不在下での対照
群は0.05未満のOD490値を与えた。図4から、細胞株KRIX1から産生されるモノク
ローナル抗体はリン脂質への第VIII因子の結合を有意に阻害するが、たとえ大過
剰添加しても不完全な阻害しか引き起こさないことが、明らかである。
【0084】 血漿の不在下でKRIX1がドナーの突然変異型第VIII因子軽鎖を認識しないこと
を実証するために、野生型および突然変異型第VIII因子軽鎖をコードするDNA断
片を合成した。対応するタンパク質を網状赤血球溶解液中で発現させた。無改変
軽鎖および突然変異型軽鎖の正しい折り畳みは、第VIII因子軽鎖のカルボキシ末
端部分にあるコンフォメーション依存エピトープを認識するヒトモノクローナル
抗体BO2C11を用いる免疫沈降によって決定した。免疫沈降実験から、BO2C11は野
生型およびArg2150His軽鎖を結合するが、KRIX1はもっぱら野生型軽鎖だけを補
足することがわかった。SDS-PAGEゲルをオートラジオグラフィーフィルムに長時
間ばく露しても、突然変異型軽鎖へのKRIX1の有意な結合は検出できなかった。
対照実験では、第VIII因子または第VIII因子断片以外のアッセイ試薬への結合は
認められず、可溶型組換え第VIII因子とのプレインキュベーションにより、メチ
オニン標識第VIII因子断片への結合が妨害されたことから、結合特異性が確認さ
れた。
【0085】 KRIX1はウェスタンブロット法では第VIII因子を認識しなかったことから、認
識されるエピトープはコンフォメーション依存エピトープであることがわかる。
そこで、網状赤血球溶解液中で生成させた第VIII因子断片を使って、さらなるエ
ピトープマッピングを行った。このようなアプローチが第VIII因子ドメインの合
成にとって効率がよいことは、予備実験によってわかっていた。網状赤血球溶解
液中で生成させた標識第VIII因子ドメインを用いる免疫沈降法を、ヒトモノクロ
ーナル抗体BO2C11によって認識されるエピトープのマッピングによって確認した
。網状赤血球溶解液中で生成させた第VIII因子C2欠失断片への結合と、大腸菌ま
たはCOS細胞中で生成させた組換え断片への結合との間には、完全な一致が認め
られた。KRIX1は完全長軽鎖、A3C1、C1C2および単離されたC1 ドメインに相当す
る断片に結合した。これに対して、KRIX1は、置換Arg2150Hisを持つC1またはC1C
2ドメインには結合しなかったが、対照実験ではArg2150His C1C2ドメインは、そ
の正常型と同様にBO2C11によって結合された。
【0086】 KRIX1の結合を変化させうる軽鎖中の他の突然変異を検索した。表1に示すよう
に、KRIX1は、突然変異Arg2150Hisを持つものを除いて、今までに試験した全て
の突然変異型第VIII因子分子の活性を阻害した。
【0087】
【表1】
【0088】 第VIII因子を部分的に阻害するための医薬としてKRIX1を使用する場合、第VII
I因子の軽微な突然変異は、治療の有効性に影響を与えないだろう。
【0089】 KRIX1はフォン・ウィルブランド因子への第VIII因子の結合を用量依存的に阻
害した。第VIII因子結合の50%阻害を達成するのに必要なKRIX1の濃度(IC50
は0.25μg/mLであり、20μg/mLのKRIX1では95%を超える阻害が得られた。KRIX1
のFab断片も、フォン・ウィルブランド因子への第VIII因子の結合を阻害した。
しかし、フォン・ウィルブランド因子への第VIII因子結合の50%を阻害するのに
必要なFabの量は、モル換算で無改変KRIX1の15倍だった。KRIX1 Fab断片が完全
な抗体または部分消化された抗体をまだ含んでいる可能性を排除するために、追
加実験を行った。プロテインA吸着およびゲルろ過クロマトグラフィーによって
精製したFab断片のSDS-PAGE解析は単一のバンドを示した。痕跡量のFcγ断片がF
ab断片に結合した状態で残留している可能性はELISAで排除された。不溶化した
第VIII因子を含むウェルを無改変またはFab KRIX1と共にインキュベートした。
ペルオキシダーゼ標識抗κ軽鎖IgGを添加したところ、Fab KRIX1の結合と無改変
KRIX1の結合をどちらも検出することができた。これに対して、ペルオキシダー
ゼ標識抗FcγIgGを添加した場合は、100μg/mlのFab調製物をウェルに入れても
、特異的結合は認められなかった。これに比べて、0.1μg/mlの無改変抗体の添
加は、有意な結合をもたらした。ELISAでは、不溶化第VIII因子へのビオチン化K
RIX1の結合を50%阻害するには、無改変抗体より15倍高濃度のFabが必要だっ
たことから、Fab KRIX1断片は無改変抗体より第VIII因子に対する親和性が低い
ことがわかった。したがって、フォン・ウィルブランド因子への第VIII因子結合
を阻害するには無改変抗体よりも高濃度のKRIX1 Fabが必要であることは、第VII
I因子へのKRIX1 Fab断片の親和性が低いことに起因すると考えるべきである。
【0090】 KRIX1がドナー由来のポリクローナル抗体の典型であるかどうかを決定するた
めに、競合アッセイを使用した。不溶化第VIII因子へのビオチン化KRIX1の結合
を、様々な濃度のKRIX1、ドナー由来のポリクローナルIgGまたは対照ポリクロー
ナルIgGの存在下で測定した。ドナー由来のIgGは第VIII因子へのKRIX1結合を用
量依存的に阻害した。第VIII因子へのビオチン化KRIX1の結合を50%阻害するKRI
X1およびドナー由来IgGの濃度は、それぞれ0.3μg/mlおよび170μg/mlだったが
、対照IgGでは阻害は観察されなかった。
【0091】 実施例4−第VIII因子-フォン・ウィルブランド因子複合体に結合する血友病A 患者由来のモノクローナル抗体の作成 もう一つの選択肢として、フォン・ウィルブランド因子からの第VIII因子の遊
離速度を低下させる抗体を以下のように確認する。ポリスチレンマイクロタイタ
ープレートをフォン・ウィルブランド因子に対する特異的抗体でコーティングす
る。フォン・ウィルブランド因子(5μg/mL)に複合体化したビオチン化組換え
第VIII因子(0.5μg/mL)の溶液を様々な濃度のドナー(例えばKRIX1を得た上記
の患者と同じドナー)由来のIgG(図5の黒い四角)、MoAb4H1D7、または非血友
病被検者由来のIgG(図5の黒い三角)と混合する。フォン・ウィルブランド因
子に対するマウス抗体MoAb4H1D7でコーティングしたマイクロタイタープレート
に、表示の濃度のIgGを添加して、室温で2時間インキュベートした。洗浄後、第
VIII因子を37℃で2分間、トロンビンによって活性化した。アビジンペルオキシ
ダーゼの添加により、フォン・ウィルブランド因子に結合した第VIII因子を検出
した。対照として、トロンビン消化不在下で結合したビオチン化第VIII因子の検
出(OD450=460+47.7SD)および抗体不在下でトロンビン消化後のビオチン化組
換え第VIII因子の検出(OD450=160+16.0SD)を含めた。
【0092】 これらの実験の結果をポリクローナル抗体に関して図5に示す。この図には三
重試料の平均値と標準偏差を示す。図5は、抗体濃度を増加させるとプレートに
結合した状態で留まる活性化第VIII因子の割合が有意に高くなることを示してい
る。すなわち、図5は、フォン・ウィルブランド因子に結合した第VIII因子を認
識するインヒビター抗体の存在下で、フォン・ウィルブランド因子からの活性化
第VIII因子の解離が減少することを明らかにしている。モノクローナル抗体は本
発明に記載の方法に従ってこれらのポリクローナル抗体から得られた。これは、
本発明を、第VIII因子/フォン・ウィルブランド因子複合体に結合するモノクロ
ーナル抗体ならびにその断片および誘導体に拡大できることを示している。
【0093】 実施例5−抗体可変ドメインの配列決定 抗体可変ドメインの配列決定は以下のように行った。EBV不死化ヒトB細胞株か
らのRNAの単離は、TRIzol Reagentを使用し、製造者の説明書(Life Technologi
es)に従って行った。cDNAは第1鎖cDNA合成にSuperScriptプレアンプリフィケー
ションシステムを使って合成した。重鎖可変領域遺伝子(VH)をコードするcDNA
は、Bakkusら, Blood, 80:2326, 1992に記載されているように、VHファミリーの
リーダー配列とCγ領域の最初のエキソンとに特異的なプライマーを使って、ポ
リメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅した。アニーリングは60℃で行い、40PC
Rサイクルした。適切なサイズ(460bp)のPCR産物を1.5%アガロースゲルから単
離し、TA Cloning Kit(Invitorogen BV(オランダ、リーク))を使ってクロー
ニングした。関係あるVH遺伝子ファミリーに対応するプライマー対を使ったPCR
スクリーニングを、無作為に選択したコロニーの培養物に対して行った。陽性コ
ロニーのプラスミドDNAをWizard Plus Minipreps(Promega(カリフォルニア州
メンロパーク)を使って単離し、Sequenase(US Biochemical(オハイオ州クリ
ーブランド))により、製造者の説明書に従って両方向に配列決定した。可変遺
伝子配列の解析は、V BASE Sequence Directory(Tomlinsonら, MRC Centre for
Protein Engineering(英国ケンブリッジ))を使って行った。
【0094】 実施例1に記載した抗体BO2C11のVHおよびVLの全配列は、それぞれアクセッシ
ョン番号AJ224083およびAJ224084として、EMBL Nucleotide Sequence Database
に提出された。
【0095】 図6および7に示すアミノ酸配列は、重鎖および軽鎖のそれぞれに3つのCDR
を含む抗体BO2C11のVHおよびVL領域を定義づけている。また、これらの領域をコ
ードするポリヌクレオチド配列も記載されている。配列番号2および3はそれぞ
れBO2C11の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列であり、配列番号5および6はこれら
の可変領域をコードするポリヌクレオチド配列である。
【0096】 図8および9に示すアミノ酸配列は、短鎖および長鎖のそれぞれに3つのCDR
1〜3を含む抗体KRIX-1のVHおよびVL領域を定義づけている。また、これらの領域
をコードするポリヌクレオチド配列も記載されている。配列番号8および1はそ
れぞれKRIX-1の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列であり、配列番号7および4はこ
れらの可変領域をコードするポリヌクレオチド配列である。
【0097】 実施例6(比較例)−抗体SAF8C-Igによる第VIII因子活性の阻害 機能アッセイにおける第VIII因子のレベルを、様々な濃度の抗体SAF8C-Igと共
に37℃で2時間インキュベートしてから、実施例1に記載の発色アッセイ法で測定
する。図10に示すように、残存第VIII因子活性は用量依存的に低下する。残存
第VIII因子活性は、100μg/mlのSAF8C-Igで既に、正常活性の1%未満である。こ
のように低い第VIII因子レベルは、例えばLevin, Ann. NY Acad. Sci.(1975)2
40:201およびGilbert, Mount Sinai J. Med.(1977)44:339などからよく知ら
れているように、患者を高い自発的出血リスクにさらすことになる。
【0098】 実施例7−KRIX1によるハムスターにおける静脈血栓症の抑制 色素ローズベンガルを頸静脈に注射し、大腿静脈をキセノンランプの緑色光に
4分間ばく露することにより、麻酔したハムスターの大腿静脈に血栓症を実験的
に誘発した(Kawazakiら, Thromb Haemost(1999)81:306-11)。血管照射の結
果として、色素は分解してラジカルを生成し、そのラジカルが血管内皮細胞を損
傷する。このようにして内皮下構造が血液循環にさらされ、血栓形成が開始され
る。形成される血栓の量を、損傷した血管の徹照によって測定し(Kawazakiら, Thromb Haemost (1999)81:306-11)、血管を透過する白色光の量によって定量
化する。図11に示すように、この実験を対照動物群で行った場合、13匹のハ
ムスターで測定された平均血栓サイズは220,000±32,575(平均±SEM)任意光単
位(Arbitrary light Units=A.U.)だったが、KRIX-1で12匹のハムスターか
らなる群を処置したところ(400〜800μg/kg、血栓誘発前にボーラスととして
投与)、平均血栓サイズは122,000±27,100A.U.に減少した(p=0.0188、マン-
ホイットニー検定)。
【0099】 また、KRIX-1による第VIII因子阻害の速度論を生体外で以下のように解析した
。ハムスターにKRIX-1(1600μg/kg)を静脈内注射した。注射前および注射後の
様々な時点で採取した血漿を使って、第VIII因子:cのレベルを、発色アッセイ(
Coatest Factor VIII(登録商標)(Chromogenix AB(スウェーデン、メルンダ
ル))およびFactor VIII Chromogenic Assay(Dade(スイス、デューディンゲ
ン)))で測定した。図12は、これらのハムスターでは、抗体注射の30分後に
は既に第VIII因子活性が1.6IU/mlから0.3IU/mlに低下することを示しており、KR
IX-1が第VIII因子を部分的にのみ阻害することが確認された。
【0100】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 ELISAにおける第VIII因子へのIgG抗体結合の形で表現した、血友
病A患者由来のヒトモノクローナル抗体の産生結果を表す図。
【図2】 モノクローナル抗体BO2C11による第VIII因子活性の阻害を表す図
【図3】 細胞株KRIX1から産生されるモノクローナル抗体による第VIII因
子活性の阻害を表す図。
【図4】 細胞株KRIX1から産生されるモノクローナル抗体によるホスファ
チジル-L-セリンへの活性型第VIII因子の結合の阻害を表す図。
【図5】 活性型第VIII因子のフォン・ウィルブランド因子からの解離に対
する特定のポリクローナル抗体の影響を表す図。
【図6】 BO2C11モノクローナル抗体の重鎖可変領域VHに関するアミノ酸配
列(下側の行)およびヌクレオチド配列(上側の行)。それぞれ本発明の具体的
一態様に従う具体的一ポリペプチドリガンドである3つの相補性決定領域(CDR
)も示してある。
【図7】 BO2C11モノクローナル抗体の軽鎖可変領域VLに関するアミノ酸配
列(下側の行)およびヌクレオチド配列(上側の行)。それぞれ本発明の具体的
一態様に従う具体的一ポリペプチドリガンドである3つの相補性決定領域(CDR
)も示してある。
【図8】 KRIX1モノクローナル抗体の重鎖可変領域VHに関するアミノ酸配
列(下側の行)およびヌクレオチド配列(上側の行)。それぞれ本発明の具体的
一態様に従う具体的一ポリペプチドリガンドである3つの相補性決定領域(CDR
)も示してある。
【図9】 KRIX1モノクローナル抗体の軽鎖可変領域VLに関するアミノ酸配
列(下側の行)およびヌクレオチド配列(上側の行)。それぞれ本発明の具体的
一態様に従う具体的一ポリペプチドリガンドである3つの相補性決定領域(CDR
)も示してある。
【図10】 WO97/26010に記載の抗体SAF8C-Igによる第VIII因子活性の阻害
を表すグラフ。
【図11】 KRIX-1による第VIII因子阻害の速度を表す図。
【図12】 ハムスターモデルにおけるKRIX-1による静脈血栓症の抑制を表
す図。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成13年8月16日(2001.8.16)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項26】 第VIII因子のC1ドメインを標的とすることによって第VIII 因子の補因子活性を不活化する能力を有する、請求項2に記載のモノクローナル 抗体。
【手続補正書】
【提出日】平成14年3月12日(2002.3.12)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0100
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0100】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> D. COLLEN RESEARCH FOUNDATION VZW <120> LIGANDS FOR USE IN THERAPEUTIC COMPOSITIONS FOR THE TREATMENT OF HEMOSTATIS DISORDERS <130> K1564-PCT <140> PCT/EP00/06677 <141> 2000-07-13 <150> GB 9916450.1 <151> 1999-07-14 <150> US 60/143,891 <151> 1999-07-14 <160> 8 <170> PatentIn Ver. 3.1 <210> 1 <211> 143 <212> PRT <213> human monoclonal antibody <400> 1 Met Glu Thr Pro Ala Gln Leu Leu Phe Leu Leu Leu Leu Trp Leu Pro 1 5 10 15 Asp Thr Thr Gly Glu Ile Val Leu Thr Gln Phe Pro Gly Thr Leu Ser 20 25 30 Leu Ser Pro Gly Glu Arg Ala Thr Leu Ser Cys Arg Ala Ser Gln Ser 35 40 45 Val Ala Ser Ala Tyr Leu Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ala 50 55 60 Pro Arg Leu Leu Ile Tyr Gly Ala Ser Ser Arg Ala Thr Asp Ile Pro 65 70 75 80 His Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile 85 90 95 Ser Arg Leu Glu Pro Glu Asp Phe Ala Val Tyr Tyr Cys Gln Gln Tyr 100 105 110 Gly Thr Ser Ala Leu Leu Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Val Glu Ile 115 120 125 Lys Arg Thr Val Ala Ala Pro Ser Val Phe Ile Phe Pro Pro Ser 130 135 140 <210> 2 <211> 150 <212> PRT <213> human monoclonal antibody <400> 2 Met Asp Trp Thr Trp Arg Ile Leu Phe Leu Val Ala Ala Ala Thr Gly 1 5 10 15 Thr His Ala Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys 20 25 30 Pro Gly Ala Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Val Ser Gly Tyr Thr Leu 35 40 45 Thr Glu Leu Pro Val His Trp Val Gly Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu 50 55 60 Glu Trp Val Gly Ser Phe Asp Pro Glu Ser Gly Glu Ser Ile Tyr Ala 65 70 75 80 Arg Glu Phe Gln Gly Ser Val Thr Met Thr Ala Asp Thr Ser Thr Asp 85 90 95 Ile Ala Tyr Met Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Asp Asp Thr Ala Val 100 105 110 Tyr Tyr Cys Ala Val Pro Asp Pro Asp Ala Phe Asp Ile Trp Gly Gln 115 120 125 Gly Thr Met Val Thr Val Ser Ser Ala Ser Thr Lys Gly Pro Ser Val 130 135 140 Phe Pro Leu Gly Ser Arg 145 150 <210> 3<211> 142 <212> PRT <213> human monoclonal antibody <400> 3 Met Glu Thr Pro Ala Gln Leu Leu Phe Leu Leu Leu Leu Trp Leu Pro 1 5 10 15 Asp Thr Thr Gly Glu Ile Ala Leu Thr Gln Ser Pro Gly Thr Leu Ser 20 25 30 Leu Ser Pro Gly Glu Arg Ala Thr Leu Ser Cys Arg Ala Ser Gln Ser 35 40 45 Phe Ser Ser Ser Tyr Leu Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ala 50 55 60Pro Arg Leu Leu Ile Tyr Gly Ala Ser Thr Arg Ala Thr Gly Ile Pro 65 70 75 80 Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile 85 90 95 Ser Arg Leu Glu Pro Glu Asp Phe Ala Val Tyr Tyr Cys Gln Lys Tyr 100 105 110 Gly Thr Ser Ala Ile Thr Phe Gly Gln Gly Thr Arg Leu Glu Ile Lys 115 120 125 Gly Thr Val Ala Ala Pro Ser Val Phe Ile Phe Pro Pro Ser 130 135 140 <210> 4 <211> 429 <212> DNA <213> human monoclonal antibody <220> <221> V_region <222> (1)..(429) <223> <220> <221> misc_feature <222> (127)..(162) <223> complementary determining region number one <220> <221> misc_feature <222> (205)..(225) <223> complementary determining region number two <220> <221> misc_feature <222> (325)..(354) <223> complementary determining region number three <400> 4 atggaaaccc cagctcagct tctcttcctc ctgctactct ggctcccaga taccaccgga 60 gaaattgtgt tgacgcagtt cccaggcacc ctgtctttgt ctccagggga aagagccacc 120 ctctcctgca gggccagtca gagtgttgcc agcgcctact tagcctggta ccagcaaaaa 180 cctggccagg ctcccaggct cctcatctat ggtgcatcca gtagggccac cgacatccca 240 cacaggttca gtggcagtgg gtctgggaca gacttcactc tcaccatcag cagactggag 300 cctgaagatt ttgcagtgta ctactgtcag caatatggta cctcagcctt actcactttc 360 ggcggaggga ccaaggtgga gatcaaacga actgtggctg caccatctgt cttcatcttc 420 ccgccatct 429 <210> 5 <211> 450 <212> DNA <213> human monoclonal antibody <220> <221> V_region <222> (1)..(450) <223> <220> <221> misc_feature <222> (130)..(159) <223> complementary determining region number one <220> <221> misc_feature <222> (202)..(258) <223> complementary determining region number two <220> <221> misc_feature <222> (343)..(375) <223> complementary determining region number three <400> 5 atggactgga cctggaggat cctcttcttg gtggcagcag ctacaggcac ccacgcccag 60 gtccaactgg tacagtctgg ggctgaggtg aagaagcctg gggcctcagt gaaggtctcc 120 tgcaaggttt ccggatacac cctcactgaa ttacccgtgc actgggtcgg acaggctcct 180 ggaaaagggc ttgagtgggt gggaagtttt gatcctgaaa gtggagaatc aatctacgca 240 cgggagttcc agggcagcgt caccatgacc gcggacacat ctacagacat agcctacatg 300 gagctgagca gcctgagatc tgacgacacg gccgtgtatt actgtgcagt ccctgaccct 360 gatgcttttg atatctgggg ccaagggaca atggtcaccg tctcttcagc ctccaccaag 420 ggcccatcgg tcttccccct gggatcccgt 450 <210> 6 <211> 426 <212> DNA <213> human monoclonal antibody <220> <221> V_region <222> (1)..(426) <223> <220> <221> misc_feature <222> (7)..(162) <223> complementary determining region number one <220> <221> misc_feature <222> (205)..(225) <223> complementary determining region number two <220> <221> misc_feature <222> (325)..(351) <223> complementary determining region number three <400> 6 atggaaaccc cagctcagct tctcttcctc ctgctactct ggctcccaga taccaccgga 60 gaaattgcgt tgacgcagtc tccaggcacc ctgtctttgt ctccagggga aagagccacc 120 ctctcctgca gggccagtca gagttttagc agcagctact tagcctggta tcagcagaaa 180 cctggccagg ctcccaggct cctcatctat ggtgcatcca ccagggccac tggcatccca 240 gacaggttca gtggcagtgg gtctgggaca gacttcactc tcaccatcag cagactggag 300 cctgaagatt ttgcagtgta ttactgtcag aagtatggta cgtcagcgat caccttcggg 360 caagggacac gactggagat taaaggaact gtggctgcac catctgtctt catcttcccg 420 ccatct 426 <210> 7 <211> 468 <212> DNA <213> human monoclonal antibody <220> <221> V_region <222> (1)..(468) <223> <220> <221> misc_feature <222> (124)..(192) <223> complementary determining region number one <220> <221> misc_feature <222> (232)..(285) <223> complementary determining region number two <220> <221> misc_feature <222> (282)..(435) <223> complementary determining region number three <400> 7 atggactgga cctggaggat cctcttcttg gtggcagcag ccacaggagc ccactcccag 60 gtgcaactgg tgcaatctgg ggctgaggtg aagaagcctg gggcctcagt gaaggtctcc 120 tgcaagacct ctggatacaa cttcaccggc tactctgctt ctggacatat cttcaccgcc 180 tactctgtgc actgggtgcg acaggcccct ggacaagggc ttgagtggat gggaaggatc 240 aaccctaaca gtggtgccac agactatgca cataaatttc agggcagggt caccatgtcc 300 agggacacgt ccatcagcac agcctacatg gaactgagca ggctgacatc tgacgacacg 360 gccatgtatt actgtgcgag agccgacaac tatttcgata ttgtgactgg ctatacttct 420 cattactttg actactgggg ccggggaacc ctggtcaccg tctcctca 468 <210> 8 <211> 156 <212> PRT <213> human monoclonal antibody <400> 8 Met Asp Trp Thr Trp Arg Ile Leu Phe Leu Val Ala Ala Ala Thr Gly 1 5 10 15 Ala His Ser Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys 20 25 30 Pro Gly Ala Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Thr Ser Gly Tyr Asn Phe 35 40 45 Thr Gly Tyr Ser Ala Ser Gly His Ile Phe Thr Ala Tyr Ser Val His 50 55 60 Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met Gly Arg Ile 65 70 75 80 Asn Pro Asn Ser Gly Ala Thr Asp Tyr Ala His Lys Phe Gln Gly Arg 85 90 95 Val Thr Met Ser Arg Asp Thr Ser Ile Ser Thr Ala Tyr Met Glu Leu 100 105 110 Ser Arg Leu Thr Ser Asp Asp Thr Ala Met Tyr Tyr Cys Ala Arg Ala 115 120 125 Asp Asn Tyr Phe Asp Ile Val Thr Gly Tyr Thr Ser His Tyr Phe Asp 130 135 140 Tyr Trp Gly Arg Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser 145 150 155
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 9/10 101 C07K 16/36 4H045 C07K 16/36 19/00 19/00 C12P 21/08 C12N 5/10 C12N 15/00 ZNAA 15/02 5/00 B C12P 21/08 15/00 C (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 サン−レミィ,ジャン−マリー・アール ベルギー、ベー−1390 グレ−ドワソ、リ ュ・ドゥ・ランベ、79 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 AA20 BA44 CA02 DA02 DA03 EA02 EA04 GA03 GA11 GA27 HA03 HA20 4B064 AG27 CA10 CA19 CA20 CC01 CC24 CE12 DA01 DA13 4B065 AA90X AA91X AA91Y AA94X AA94Y AA95Y AB01 AB05 AC14 BA01 BA08 BA24 BD14 CA25 CA44 CA46 4C084 AA17 MA52 MA55 MA59 MA65 NA14 ZA45 ZA53 ZA54 4C085 AA14 CC03 CC23 DD23 GG01 GG02 GG03 GG04 GG05 GG08 GG10 4H045 AA11 AA20 AA30 BA10 BA41 CA40 DA76 EA20 EA50 FA72 FA74 GA26

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベルジアン・コーディネイテッド・コレクションズ・オブ・
    マイクロオーガニズムス(Belgian Coordinated Collections of Microorganism
    s)に受託番号LMBP5089CBとして寄託されたKRIX1という名称の細胞株。
  2. 【請求項2】 請求項1の細胞株から得られるヒトモノクローナル抗体と実
    質的に同じ反応性を持つヒトモノクローナル抗体を産生する細胞株。
  3. 【請求項3】 ポリクローナル抗体以外のリガンドであって、前記リガンド
    が生理学的に過剰に存在する時に、止血に関与する因子または2以上の因子の複
    合体を、前記因子または前記複合体のある部位に結合することによって、部分的
    にのみ不活化する能力を持つリガンド。
  4. 【請求項4】 前記リガンドの結合部位が前記因子または前記複合体の生理
    学的相互作用に直接的または実質的には関与しない、請求項3に記載のリガンド
  5. 【請求項5】 前記因子または前記複合体が血液の凝固カスケードに関与す
    る、請求項3に記載のリガンド。
  6. 【請求項6】 前記因子が第VIII因子であるか、または第VIII因子が前記複
    合体に含まれる、請求項5に記載のリガンド。
  7. 【請求項7】 タンパク質加水分解切断部位またはフォン・ウィルブランド
    因子またはテンナーゼ複合体反応に干渉することによって、または第VIII因子の
    三次元的コンフォメーション変化を誘発することによって、または第VIII因子の
    あるドメイン(特に第VIII因子のC1ドメイン)を標的とすることによって、また
    は第VIII因子-フォン・ウィルブランド因子複合体中の第VIII因子を標的とする
    ことによって、第VIII因子の補因子活性を不活化する能力を持つ、請求項6に記
    載のリガンド。
  8. 【請求項8】 請求項1または請求項2の細胞株から得ることができるヒト
    モノクローナル抗体である、請求項3に記載のリガンド。
  9. 【請求項9】 IgGクラスに属する、請求項8に記載のリガンド。
  10. 【請求項10】 第VIII因子のC1ドメイン内にあるエピトープを認識するこ
    とができる、請求項3〜9のいずれか一項に記載のリガンド。
  11. 【請求項11】 請求項8に記載のリガンドと実質的に同じ特徴を持ち、動
    物の意図的免疫化によって産生されるモノクローナル抗体である、請求項3〜7
    のいずれか一項に記載のリガンド。
  12. 【請求項12】 前記因子の生理学的機能部位から所定の距離にある部位に
    結合する能力を持つ、請求項3〜11のいずれか一項に記載のリガンド。
  13. 【請求項13】 請求項11のモノクローナル抗体から得ることができるヒ
    ト化モノクローナル抗体。
  14. 【請求項14】 請求項8〜12のいずれか一項に記載のモノクローナル抗
    体または請求項13に記載のヒト化モノクローナル抗体の抗原結合性断片Fab、F
    ab'もしくはF(ab')2、相補性決定領域、可溶型もしくは膜固定型一本鎖可変部分
    、単一可変ドメイン、または誘導体。
  15. 【請求項15】 哺乳動物の止血障害および止血障害に起因する病態を予防
    または処置するための医薬組成物であって、活性成分として、請求項3〜12の
    いずれか一項に記載のリガンドまたは請求項13に記載のヒト化モノクローナル
    抗体または請求項14に記載の抗原結合性断片Fab、Fab'もしくはF(ab')2または
    可溶型もしくは膜固定型一本鎖可変部分または単一可変ドメインまたは誘導体を
    、医薬的に許容できる担体との混合物の形で含有する医薬組成物。
  16. 【請求項16】 前記活性成分による止血に関与する因子または2以上の因
    子の複合体のもっぱら部分的な不活化が、98%以下の不活化である治療的に有用
    なプラトーレベルをもたらす、請求項15に記載の医薬組成物。
  17. 【請求項17】 前記活性成分による止血に関与する因子または2以上の因
    子の複合体のもっぱら部分的な不活化が、少なくとも65%の不活化である、請求
    項15または請求項16に記載の医薬組成物。
  18. 【請求項18】 治療有効量の血栓溶解剤をさらに含む、請求項15〜17
    のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  19. 【請求項19】 第VIII因子または第VIII因子を含む複合体に結合して前記
    因子または前記複合体を部分的にのみ不活化し、かつヒト抗体のレパートリーに
    由来する要素だけを含む、ヒトハイブリッドまたは再構成ヒトモノクローナル抗
    体。
  20. 【請求項20】 前記抗体が、タンパク質加水分解切断部位またはフォン・
    ウィルブランド因子またはテンナーゼ複合体反応に干渉するか、または第VIII因
    子の三次元的コンフォメーション変化を誘発するか、または第VIII因子のあるド
    メイン(特に第VIII因子のC1ドメイン)を標的とするか、または第VIII因子-フ
    ォン・ウィルブランド因子複合体中の第VIII因子を標的とする、請求項19に記
    載のヒトハイブリッドまたは再構成ヒトモノクローナル抗体。
  21. 【請求項21】 請求項14に記載の抗原結合性断片Fab、Fab'もしくはF(a
    b')2、または相補性決定領域、または可溶型もしくは膜固定型一本鎖可変部分、
    または単一可変ドメイン、または誘導体をコードするポリヌクレオチド。
  22. 【請求項22】 非ヒト哺乳動物からモノクローナル抗体を取得する方法で
    あって、 a)あるタンパク質ドメインに野生型タンパク質と比較して修飾を有する少なく
    とも部分的に機能的な生理活性タンパク質を持っている非ヒト哺乳動物を選択す
    る工程、 b)免疫反応を誘発するために前記非ヒト哺乳動物に野生型タンパク質を投与す
    る工程、および c)野生型タンパク質を部分的にのみ不活化する抗体を産生する上記非ヒト哺乳
    動物由来のBリンパ球を選択する工程、 を含む方法。
  23. 【請求項23】 あるタンパク質ドメインに野生型タンパク質と比較して修
    飾を有する少なくとも部分的に機能的な生理活性タンパク質を持ちかつ野生型タ
    ンパク質を投与されたヒトの血液からモノクローナル抗体を取得する方法であっ
    て、前記ヒトの血液から野生型タンパク質を部分的にのみ不活化する抗体を産生
    するBリンパ球を選択する工程を含む方法。
  24. 【請求項24】 野生型タンパク質が生化学反応のカスケードに関与するタ
    ンパク質である請求項22または請求項23に記載の方法。
  25. 【請求項25】 野生型タンパク質が止血に関与する因子または2以上の因
    子の複合体である、請求項22〜24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 【請求項26】 野生型タンパク質が血液の凝固カスケードに関与する因子
    または2以上の因子の複合体である、請求項22〜25のいずれか一項に記載の
    方法。
  27. 【請求項27】 野生型タンパク質が第VIII因子または第VIII因子を含む複
    合体である、請求項22〜26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 【請求項28】 野生型タンパク質がタンパク質加水分解カスケードに関与
    するタンパク質である、請求項22〜24のいずれか一項に記載の方法。
  29. 【請求項29】 野生型タンパク質が補体因子である、請求項22、23、
    24および28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 【請求項30】 止血、凝固障害または血栓性病態を処置および/または予
    防するか、または哺乳動物における凝固を減弱する方法であって、そのような処
    置もしくは予防または凝固の減弱を必要とする哺乳動物に、請求項3〜12のい
    ずれか一項に記載のリガンド、請求項13に記載のヒト化モノクローナル抗体、
    請求項14に記載の抗原結合性断片Fab、Fab'もしくはF(ab')2、相補性決定領域
    、可溶型もしくは膜固定型一本鎖可変部分、単一可変ドメインおよび誘導体から
    選択される活性成分の治療有効量を投与することからなる方法。
  31. 【請求項31】 血栓性病態が血管内凝固、動脈血栓症、動脈再狭窄、静脈
    血栓症および動脈硬化症から選択される、請求項30に記載の方法。
  32. 【請求項32】 活性成分が経口、鼻腔内、皮下、筋肉内、皮内、静脈内、
    動脈内もしくは非経口投与によって、またはカテーテル法によって前記哺乳動物
    に投与される、請求項30または請求項31に記載の方法。
  33. 【請求項33】 前記哺乳動物に治療有効量の血栓溶解剤を同時にまたは逐
    次的に投与することをさらに含む、請求項30〜32のいずれか一項に記載の方
    法。
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