JP2003504044A - アテローム性動脈硬化に関連する遺伝子 - Google Patents

アテローム性動脈硬化に関連する遺伝子

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JP2003504044A JP2001509468A JP2001509468A JP2003504044A JP 2003504044 A JP2003504044 A JP 2003504044A JP 2001509468 A JP2001509468 A JP 2001509468A JP 2001509468 A JP2001509468 A JP 2001509468A JP 2003504044 A JP2003504044 A JP 2003504044A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、新規のアテローム性動脈硬化関連遺伝子及びそれらをコードするポリペプチドを提供する。本発明はまた、発現ベクター及び宿主細胞、抗体を提供する。更に本発明は、アテローム性動脈硬化の診断方法や治療方法、または予防方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、既知のアテローム性動脈硬化遺伝子との同時発現によって同定され
た34のアテローム性動脈硬化関連ポリヌクレオチド及びそれらの遺伝子産物に
関連する。本発明はまた、これらの生体分子を用いたアテローム性動脈硬化に関
連する疾患の診断、予後、予防、治療、治療、および治療の評価に関連する。
【0002】 (発明の背景) アテローム性動脈硬化とは、動脈内膜における細胞の変化と、脂質の細胞内及
び細胞外の沈積を含む動脈中のプラーク形成とによって特徴付けられる疾患であ
る。この疾患によって動脈壁が厚くなって動脈内腔が狭くなり、これが、殆どの
冠状動脈疾患、大動脈瘤、末梢血管疾患、および卒中の発症における病理学的条
件となっている。分子のカスケードが、アテローム硬化病変を引き起こす細胞の
形態形成、細胞増殖、細胞遊走に関与する(Libby 他. (1997) Int J Cardiol 6
2:23-29)。
【0003】 正常な動脈は3層からなる。血管と接触している内皮細胞の一重の層によって
ライニングされた血管内膜には、細胞外マトリックスの平滑筋細胞が存在する。
内側の弾性膜は、内膜と中膜との間の境界を形成している。この中膜には、コラ
ーゲン及びエラスチンの豊富な細胞外マトリックスによって囲まれた平滑筋細胞
の層が含まれる。外側の弾性膜は、中膜と外膜との間の境界を形成している。こ
の外膜は、神経細胞及びある種の肥満細胞を含み、血液を中膜の外側の層に供給
する脈管の脈管の元となるものである。
【0004】 アテローム硬化病変は、高血圧、糖尿病、高脂血症、振動性ずり応力、喫煙、
または移植後の拒絶反応による血管内皮細胞の傷害によって形成され始める場合
が多い。血管内皮細胞は、傷害を受けると、反応して細胞破壊性パーオキシナイ
トライトラジカルを形成する酸化窒素及びスーパーオキシドアニオンを局部的に
放出し、それによって中膜の内皮細胞及び筋細胞が傷害を受ける。この細胞傷害
によって、局部及び全身に作用する様々な分子が発現される。傷害に対する最初
の応答には、炎症のメディエーターの放出が含まれる。このメディエーターには
、サイトカイン、補体成分、プロスタグランジン、および下流の転写因子等が含
まれる。これらの分子は、単球の血管内膜への浸潤を促進させ、それによって単
球の傷害を受けた内皮細胞への接着を容易にする作用がある接着分子がアップレ
ギュレートされる。さらに、コラーゲンを含む細胞外マトリックスの成分、フィ
ブリノーゲン、およびマトリックスGlaタンパク質が誘導され、単球の付着部位
となる。アネキシン、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1、および
酸化窒素シンターゼがトリガされ、これらの作用に拮抗作用する。
【0005】 病変に浸潤する単球が、CD36及びマクロファージスカベンジャー1型などのス
カベンジャー受容体を介して、変性低密度リポ蛋白脂質を蓄積する。多量の変性
低密度リポ蛋白脂質は、アテローム発生の因子となり、修飾酵素による影響を受
ける。このような修飾酵素には、リポタンパク質、リパーゼ、カルボキシルエス
テルリパーゼ(carboxyl ester lipase)、血清アミロイドP成分、LDL受容体関
連タンパク質、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質、パラオキソナーゼ
(paraoxonase)などの血清エステラーゼ等が含まれる。脂質代謝は、コレステ
ロール生合成酵素によってコントロールされる。コレステロール生合成酵素には
、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルコエンザイムAシンターゼ、アポリポタン
パク質遺伝子の遺伝子産物が含まれる。修飾された脂質の安定化及び蓄積は、pe
rilipin及びα2マクログロブリンによって助けられる。
【0006】 単球が病変に集積すると、遊離したコレステロール、サイトカイン、および凝
血原を破壊して周囲の環境に放出する。このプロセスによってプラークが発生す
る。プラークは、脂質蓄積単球(lipid-engorged monocytes)の塊と線維層によ
って覆われた高脂質壊死中心からなる。プラークの成長の段階的な進行は、不安
定狭心症、心筋梗塞、および卒中などの症状を誘導する血栓が形成され、中断さ
れる。血栓形成は、偶発性プラーク破壊によって始まる。偶発性プラーク破壊が
起こると、流れている血液が、凝固を誘導する組織因子及び血小板を活性化する
コラーゲンに曝される。アテローム硬化病変の形成が始まると、メタロプロテイ
ナーゼ及びカテプシンK等の細胞外マトリックス成分を分解する酵素がアップレ
ギュレートされ、それらのインヒビターがダウンレギュレートされる。それによ
って、アテローム硬化病変が不安定化し、心筋梗塞、狭心症、および卒中を含む
合併症が起こりうる。さらに、動脈の閉塞及び浸潤は、凝固因子の発現、及びそ
れらのインヒビター、抗トロンビンIII、リポタンパク質関連凝固インヒビター
のダウンレギュレーションによって進行する。
【0007】 平滑筋細胞は、動脈内膜で形成され、アテローム硬化病変及び再狭窄病変にお
ける主な細胞型の1つである。平滑筋細胞は、高い柔軟性を有し、分化した収縮
性表現型と分化が進んでいない合成性表現型との間をシフト可能である。この転
形は、血管障害部位の細胞から分泌される因子に応答して起こり、筋フィラメン
トの損失で構造が再構築されたり、小胞体及び巨大ゴルジ複合体が大量に生成さ
れたりする。酸性高システイン分泌タンパク質(SPARC:secreted protein, aci
dic and rich in cysteine)及びエンドセリン-1をコードする遺伝子がこれら
のイベントに寄与する。同時に、細胞内の骨格タンパク質(カルポニン、ミオシ
ン、デスミン、およびその他の遺伝子産物等)の発現量が変化する。その結果、
平滑筋細胞がその収縮性を失い、内膜から中膜への遊走、増殖、および動脈内膜
を厚くする細胞外マトリックス成分が分泌されるようになる。
【0008】 アテローム硬化病変の形成の開始及び進行には、様々分子経路の相互作用が必
要である。これらのプロセスに関与する多くの遺伝子は既知であり、動物モデル
実験、in vitroアッセイ、および疫学的研究によって、その内の幾つかの遺伝子
はアテローム硬化病変の発生に直接関与することが分かった(Krettek 他 (1997
) Arterioscler Thromb Vasc Biol 17:2897-2903; Fisher 他 (1997) Atheroscl
erosis 135:145-159; Shih 他 (1998) Circulation 95:2684-2693; and Bocan
他 (1998) Atherosclerosis 139:21-30)。
【0009】 本発明は、アテローム性動脈硬化に関連する疾患の診断、予後、治療、予防、
および治療の評価に有用な新規の組成物を提供することで当分野へのニーズに応
えることができる。遺伝子発現パターンを分析して、66の既知のアテローム性
動脈硬化関連遺伝子との同時発現によって、34のアテローム性動脈硬化関連遺
伝子を同定した。
【0010】 (発明の要約) 本発明は、生体サンプルにおいて1或いは複数の既知のアテローム性動脈硬化
関連遺伝子と同時発現する遺伝子を含む実質的に精製されたポリヌクレオチドを
提供する。既知のアテローム性動脈硬化関連遺伝子は、22kDaのヒト平滑筋タン
パク質、カルポニン、デスミン、平滑筋ミオシン重鎖、αトロポミオシン、ヒト
組織メタロプロテイナーゼ3インヒビター、ヒト組織メタロプロテイナーゼ2イン
ヒビター、ヒト組織メタロプロテイナーゼ4インヒビター、I型プロコラーゲンα
-1、I型コラーゲンα-2、I型コラーゲンα-6、V型プロコラーゲンα-2、VI型コ
ラーゲンα-2、VI型コラーゲンα-3、III型プロコラーゲンα-1、V型プロコラー
ゲンα-1、IV型コラーゲン/マトリックスメタロプロテイナーゼ9/ゼラチナー
ゼB、マトリックスGlaタンパク質、カテプシンK、フィブリノーゲンβ鎖遺伝子
、フィブリノーゲンγ鎖遺伝子、プレプロ・フォンウィルブランド因子、凝固II
因子/プロトロンビン、凝固XII因子、凝固VII因子、血小板内皮細胞接着分子、
リポタンパク質関連凝固インヒビター、抗トロンビンIII変異型、プラスミノー
ゲンアクチベーターインヒビター1、リポタンパク質リパーゼ、α2マクログロ
ブリン、アポリポ蛋白AI、アポリポ蛋白AII、アポリポ蛋白B-100、リポ蛋白アポ
CII、プレアポリポ蛋白CIII、アポリポ蛋白アポC-IV、マクロファージスカベン
ジャー1型、ヒト抗CD36遺伝子、血清アミロイドP成分、カルボキシルエステル
リパーゼ遺伝子、パラオキソナーゼ1、パラオキソナーゼ2、パラオキソナーゼ3
、LDL受容体関連タンパク質、肝性トリグリセリドリパーゼ、3-ヒドロキシ-3-メ
チルグルタリルコエンザイムAシンターゼ、超低密度リポ蛋白受容体、ミクロソ
ームトリグリセリド輸送タンパク質、ペリリピン、エンドセリン1、エンドセリ
ン受容体A、インターロイキン6、インターロイキン1、補体タンパク質C8α、補
体成分C9、プロスタグランジンD2シンターゼ、アネキシンII/リポコルチンII、
アネキシンI/リポコルチン、プロスタグランジン-エンドペルオキシドシンター
ゼ2、インスリン様成長因子結合タンパク質-1、酸性高システイン分泌タンパク
質、ヒトNF-κ-B転写因子、アンギオテンシノーゲン、酸化窒素シンターゼ3、酸
化窒素シンターゼ2(human 22kDa smooth muscle protein, calponin, desmin,
smooth muscle myosin heavy chain, alpha tropomyosin, human tissue inhibi
tor of metalloproteinase 3, human tissue inhibitor of metalloproteinase-
2, human tissue inhibitor of metalloproteinase-4, pro alpha 1(I) collage
n, collagen alpha-2 type I, collagen alpha-6 type I, procollagen alpha 2
(V), collagen VI alpha-2, type VI collagen alpha3, pro-alpha-1 type 3 co
llagen, pro-alpha-1 (V) collagen, collagenase type IV/ matrix metallopro
teinase 9/gelatinase B, matrix Gla protein, cathepsin K, fibrinogen beta
chain gene, fibrinogen gamma chain gene, pre-pro-von Willebrand factor,
coagulation factor II/prothrombin, coagulation factor XII, coagulation
factor VII, platelet endothelial cell adhesion molecule, lipoprotein-ass
ociated coagulation inhibitor, antithrombin III variant, plasminogen act
ivator inhibitor-1, lipoprotein lipase, alpha-2-macroglobulin, apolipopr
otein AI, apolipoprotein AII, apolipoprotein B-100, lipoprotein apoCII,
pre-apolipoprotein CIII, apolipoprotein apo C-IV, macrophage scavenger r
eceptor type I, human antigen CD36 gene, serum amyloid P component, carb
oxyl ester lipase gene, paraoxonase 1, paraoxonase 2, paraoxonase 3, LDL
-receptor related protein, hepatic triglyceride lipase, 3-hydroxy-3-meth
ylglutaryl coenzyme A synthase, very low density lipoprotein receptor, m
icrosomal triglyceride transfer protein, perilipin, endothelin-1, endoth
elin receptor A, interleukin 6, interleukin 1, complement protein C8 alp
ha, complement component C9, prostaglandin D2 synthase, annexin II/lipoc
ortinII, annexin I/lipocortin, prostaglandin-endoperoxide synthase 2, in
sulin-like growth factor binding protein-1, secreted protein, acidic and
rich in cysteine, human NF-kappa-B transcription factor, angiotensinoge
n, nitric oxide synthase 3, and nitric oxide synthase 2)を含み、コード
する。
【0011】 本発明はまた、複数のサンプルにおいて1或いは複数の既知のアテローム性動
脈硬化関連遺伝子と同時発現する遺伝子を含む実質的に精製されたポリヌクレオ
チドを提供する。一実施態様では、このポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:1乃至S
EQ ID NO:34(SEQ ID NO:1−34)から選択されたペプチドをコードするポリヌク
レオチド、SEQ ID NO:1−34のポリヌクレオチド配列に相補的なポリヌクレオチ
ド配列、及びSEQ ID NO:1−34のポリヌクレオチド配列の連続する少なくとも1
8個のヌクレオチドを含むプローブまたはその相補配列から選択されたポリヌク
レオチド配列を含む。本発明はさらに、このポリヌクレオチド及び医薬担体を含
む医薬組成物を提供する。
【0012】 本発明はまた、ポリヌクレオチドを使用する方法を提供する。第1の方法は、
このポリヌクレオチドを用いて分子または化合物のライブラリをスクリーニング
して、前記ポリヌクレオチドと特異的に結合する少なくとも1つのリガンドを同
定する方法であって、特異的結合が許容される条件下で、前記ポリヌクレオチド
を分子または化合物のライブラリと結合させるステップと、特異的な結合を検出
して、前記ポリヌクレオチドに特異的に結合するリガンドを同定するステップと
を含む。この第1の方法では、ライブラリが、DNA分子、RNA分子、PNA、擬態、
およびタンパク質から選択され、この方法で同定されたリガンドを用いて、前記
ポリヌクレオチドの活性を調節し得る。第2の方法は、このポリヌクレオチドを
用いて、このポリヌクレオチドと特異的に結合するリガンドを精製する方法であ
って、特異的な結合が許容される条件下で、前記ポリヌクレオチドをサンプルと
結合させるステップと、前記ポリヌクレオチドとリガンドと間の特異的な結合を
検出するステップと、結合した前記ポリヌクレオチドを回収するステップと、前
記ポリヌクレオチドを前記リガンドから分離して、精製されたリガンドを得るス
テップとを含む。第3の方法は、このポリヌクレオチドを用いて、複数の生体サ
ンプルにおいて1或いは複数の既知のアテローム性動脈硬化関連遺伝子と同時発
現する遺伝子の発現の変化と関連する疾患や症状の診断方法であって、1或いは
複数のハイブリダイゼーション複合体が形成される条件下で、前記ポリヌクレオ
チドとサンプルとを結合させるステップと、ハイブリダイゼーション複合体を検
出するステップと、このハイブリダイゼーション複合体のレベルを非病変サンプ
ルにおけるハイブリダイゼーション複合体のレベルと比較するステップとが含ま
れ、前記非病変サンプルのハイブリダイゼーション複合体のレベルに対する前記
ハイブリダイゼーション複合体のレベルの相違が、前記疾患或いはその症状の存
在を示唆する。第4の方法は、このポリヌクレオチドを用いて、ポリペプチドを
生成する方法であって、前記ポリペプチドが発現する条件下で、前記ポリヌクレ
オチドを有する発現ベクターを含む宿主細胞を培養するステップと、培養細胞か
ら前記ポリペプチドを回収するステップとを含む。
【0013】 本発明はまた、複数のサンプルにおいて1或いは複数の既知のアテローム性動
脈硬化関連遺伝子と同時発現する遺伝子の遺伝子産物を含む実質的に精製された
ポリペプチドを提供する。本発明はまた、SEQ ID NO:1−34によってコードされ
るポリペプチド、およびSEQ ID NO:1−34によってコードされるポリペプチド配
列の連続する少なくとも6個のアミノ酸を含むオリゴペプチド配列から選択され
たポリペプチド配列を含むポリペプチドを提供する。本発明はまた、SEQ ID NO:
35のアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。本発明はさらに、ポリペプチ
ド及び医薬担体を含む医薬組成物を提供する。
【0014】 さらに、本発明はポリペプチドを使用する方法を提供する。第1の方法は、こ
のポリペプチドを用いて、分子または化合物のライブラリをスクリーニングして
、前記ポリペプチドと特異的に結合する少なくとも1つのリガンドを同定する方
法であって、特異的な結合が許容される条件下で、前記ポリペプチドを前記分子
または化合物のライブラリと結合させるステップと、前記ポリペプチドとリガン
ドとの間の特異的な結合を検出して、前記ポリペプチドに特異的に結合するリガ
ンドを同定するステップとを含む。この方法では、前記ライブラリが、DNA分子
、RNA分子、PNA、擬態、ポリペプチド、アゴニスト、アンタゴニスト、および抗
体から選択され、この方法で同定されたリガンドを用いて、前記ポリペプチドの
活性を調節する。第2の方法は、このポリペプチドを用いて、サンプルからリガ
ンドを精製する方法であって、特異的な結合が許容される条件下で、前記ポリペ
プチドをサンプルと結合させるステップと、前記ポリペプチドとリガンドと間の
特異的な結合を検出するステップと、結合した前記ポリペプチドを回収するステ
ップと、前記ポリペプチドを前記リガンドから分離して、精製されたリガンドを
得るステップとを含む。第3の方法は、このポリペプチドを用いて、1或いは複
数の既知のアテローム性動脈硬化関連遺伝子と同時発現する遺伝子の発現の変化
と関連する疾患の治療方法または予防方法であって、前記ポリペプチドを含む医
薬組成物を効果的な量、患者に投与することを含む治療方法または予防方法。
【0015】 本発明はさらに、このポリペプチドに特異的に結合する抗原結合部位を含む抗
体またはFabフラグメントを提供する。本発明はまた、1或いは複数の既知のア
テローム性動脈硬化関連遺伝子と同時発現する遺伝子の発現の変化と関連する疾
患の治療方法であって、前記抗体または前記Fabフラグメントを好適な量、患者
に投与することを含む治療方法を提供する。本発明はまた、薬剤に結合させた抗
体またはFabフラグメントの抗原結合部位を含む免疫複合体を提供する。本発明
はさらに、1或いは複数の既知のアテローム性動脈硬化関連遺伝子と同時発現す
る遺伝子の発現の変化と関連する疾患の治療方法であって、前記免疫複合体を効
果的な量、患者に投与することを含む治療方法を提供する。
【0016】 (本発明の記載について) 本明細書において、単数形の「或る」及び「その(この)」の表記は、文脈に
明確に記載されていない場合以外は、複数の意味も含むことに注意されたい。従
って、例えば「或る宿主細胞」の表記には、複数のそのような宿主細胞が含まれ
、「ある抗体」の表記は、1またはそれ以上の抗体及び当業者に周知のそれらの
等価物なども表している。
【0017】 (定義) 「アテローム性動脈硬化関連遺伝子」は、アテローム性動脈硬化の診断、治療
、予後、および予防に有用な既知のアテローム性動脈硬化関連遺伝子と統計的に
有意な同時発現パターンを有する遺伝子を指す。
【0018】 「既知のアテローム性動脈硬化関連遺伝子」は、アテローム性動脈硬化の診断
、治療、予後、および予防に有用な既に同定されている配列を指す。この中には
、22kDaのヒト平滑筋タンパク質、カルポニン、デスミン、平滑筋ミオシン重鎖
、αトロポミオシン、ヒト組織メタロプロテイナーゼ3インヒビター、ヒト組織
メタロプロテイナーゼ2インヒビター、ヒト組織メタロプロテイナーゼ4インヒビ
ター、I型プロコラーゲンα-1、I型コラーゲンα-2、I型コラーゲンα-6、V型プ
ロコラーゲンα-2、VI型コラーゲンα-2、VI型コラーゲンα-3、III型プロコラ
ーゲンα-1、V型プロコラーゲンα-1、IV型コラーゲン/マトリックスメタロプ
ロテイナーゼ9/ゼラチナーゼB、マトリックスGlaタンパク質、カテプシンK、フ
ィブリノーゲンβ鎖遺伝子、フィブリノーゲンγ鎖遺伝子、プレプロ・フォンウ
ィルブランド因子、凝固II因子/プロトロンビン、凝固XII因子、凝固VII因子、
血小板内皮細胞接着分子、リポタンパク質関連凝固インヒビター、抗トロンビン
III変異型、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1、リポタンパク質
リパーゼ、α2マクログロブリン、アポリポ蛋白AI、アポリポ蛋白AII、アポリ
ポ蛋白B-100、リポ蛋白アポCII、プレアポリポ蛋白CIII、アポリポ蛋白アポC-IV
、マクロファージスカベンジャー1型、ヒト抗CD36遺伝子、血清アミロイドP成
分、カルボキシルエステルリパーゼ遺伝子、パラオキソナーゼ1、パラオキソナ
ーゼ2、パラオキソナーゼ3、LDL受容体関連タンパク質、肝性トリグリセリドリ
パーゼ、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルコエンザイムAシンターゼ、超低密
度リポ蛋白受容体、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質、ペリリピン、
エンドセリン1、エンドセリン受容体A、インターロイキン6、インターロイキン1
、補体タンパク質C8α、補体成分C9、プロスタグランジンD2シンターゼ、アネキ
シンII/リポコルチンII、アネキシンI/リポコルチン、プロスタグランジン-エ
ンドペルオキシドシンターゼ2、インスリン様成長因子結合タンパク質-1、酸性
高システイン分泌タンパク質、ヒトNF-κ-B転写因子、アンギオテンシノーゲン
、酸化窒素シンターゼ3、酸化窒素シンターゼ2が含まれる。一般に、これらの既
知の遺伝子は、正常即ち非病変動脈内膜や他の任意の組織と較べ、アテローム硬
化性病変において高いレベルで発現される(即ち、転写物がより多い)。
【0019】 「リガンド」は、ポリヌクレオチドやポリペプチドの相補的な部位に特異的に
結合する分子、物質、または化合物を指す。このようなリガンドは、本発明のポ
リヌクレオチド及びポリペプチドの活性を安定化または調節する。例えば、リガ
ンドは、核酸、タンパク質、ペプチド、炭水化物、脂肪、および脂質等の無機及
び有機の分子や化合物である。
【0020】 「NSEQ」は通常、SEQ ID NO:1−34を含む本発明のポリヌクレオチド配列を指
す。「PSEQ」は通常、SEQ ID NO:35を含む本発明のポリペプチド配列を指す。
【0021】 「断片」は、好ましくはヌクレオチド20個の長さ、更に好ましくはヌクレオ
チド40個の長さ、最も好ましくはヌクレオチド60個の長さの核酸配列であり
、例えばSEQ ID NO:1−34の1−50及び51−400、401−4,000、4,001−12,000のヌ
クレオチドなどからなる断片を含む。
【0022】 「遺伝子」は、5'若しくは3'非翻訳領域を含む遺伝子の部分的な或いは完全な
コーディング配列を指す。遺伝子は、センス鎖或いはアンチセンス鎖(相補的な
配列)に含まれ得る。
【0023】 「ポリヌクレオチド」は核酸分子、核酸配列、オリゴヌクレオチド、ヌクレオ
チド、またはそれらの任意の断片を指す。「ポリヌクレオチド」は、ゲノム起源
または合成起源の二本鎖若しくは一本鎖のDNA若しくはRNAであり得、炭水化物、
脂質、タンパク質、またはその他の物質と結合して特定の活性を有するようにな
ったり、有用な組成物を形成し得る。「オリゴヌクレオチド」は、アンプリマー
(amplimer)及びプライマー、オリゴマー、要素、プローブなどの用語と実質的
に同一である。
【0024】 「ポリペプチド」は、自然発生或いは合成の何れかのアミノ酸、アミノ酸配列
、オリゴペプチド、ペプチド、タンパク質、またはそれらの一部分を指す。
【0025】 「ペプチド配列の一部分」は、好ましくは少なくとも約5個から15個のアミ
ノ酸の長さであり、最も好ましくは少なくとも10個のアミノ酸の長さであり、
例えばSEQ ID NO:35のある部分のある種の生物学的或いは免疫学的活性を保持し
ているペプチド配列を指す。
【0026】 「サンプル」は、その最も広い意味で用いられる。核酸を含むサンプルは、体
液と、細胞からの抽出物、細胞から単離された染色体やオルガネラ、または膜と
、溶液中の或いは基板に結合されたゲノムDNAやRNA、またはcDNAと、細胞と、組
織と、組織プリントなどを含み得る。
【0027】 「実質的に精製された」は、その自然環境から取り出した核酸若しくはアミノ
酸配列であって、単離或いは分離され、それと共に自然に存在する他の成分が少
なくとも約60%、好ましくは約75%、最も好ましくは約90%取り除かれた
ものを指す。
【0028】 「基板」は、ポリヌクレオチド或いはポリペプチドが結合する任意の好適な固
体或いは半固体の支持物を指し、膜或いはフィルター、チップ、スライド、ウエ
ハ、ファイバー、磁気または非磁気ビード、ゲル、毛細管や他のチューブ、プレ
ート、ポリマー、微小粒子が含まれ、それらの基板の表面形態は、壁状及び溝状
、ピン、チャネル、細孔などである。
【0029】 「変異体」は、SEQ ID NO:1−34から分岐した配列のポリヌクレオチド若しく
はポリペプチドを指す。ポリヌクレオチド配列の分岐は、コドンの読み枠が変わ
り得る1つ或いはそれ以上のヌクレオチドの欠失や付加、または置換などの突然
変異による変化によって起こり得る。このような変異はそれぞれ、単独或いは組
み合わせで起こり得る。また、ある配列において1回或いは2回以上起こり得る
【0030】 (発明) 本発明は、特定の疾患或いは調節経路、細胞内区画、細胞の種類、種に関連す
る生体分子を同定する方法を提供する。特に、アテローム性動脈硬化の診断及び
予後、治療、予防、治療の評価に有用なポリヌクレオチドを同定する方法を提供
する。制限するものではないが、このアテローム性動脈硬化の中には、卒中、心
筋梗塞、高血圧症、一過性脳虚血、腸間膜虚血、冠状動脈疾患、狭心症、末梢血
管疾患、間欠性跛行、腎動脈狭窄、および高血圧症が含まれる。
【0031】 この方法は、まず複数のcDNAライブラリで発現されるポリヌクレオチドを同定
する。同定されたポリヌクレオチドには、特定の疾患プロセスにおいて或いは細
胞内区画、細胞の種類、組織の種類、種において発現する機能が既知或いは未知
の遺伝子が含まれる。機能が既知の遺伝子の発現パターンを機能が未知の遺伝子
の発現パターンと比較して、所定の同時発現確率の閾値を満たすか調べる。この
比較によって、既知の遺伝子に対して高い同時発現確率を有するポリヌクレオチ
ドの一群を同定できる。高い同時発現確率は、好ましくは0.001未満、より好ま
しくは0.00001未満の所定の同時発現確率の閾値と相関性を有する。
【0032】 本ポリヌクレオチドは、限定するものではないが、ヒト及びマウス、ラット、
イヌ、サル、植物、酵母などの真核生物、細菌やウイルスなどの原核生物を含む
様々な種に由来するcDNAライブラリから得た。本ポリヌクレオチドは、限定する
ものではないが、発現遺伝子配列断片(EST)及び構築ポリヌクレオチド配列、完
全長の遺伝子コーディング領域、プロモーター、イントロン、エンハンサー、5'
非翻訳領域、3'非翻訳領域を含む様々な種類の配列から選択することができる。
本ポリヌクレオチドが少なくとも3つのcDNAライブラリで発現すれば、統計的に
有用な分析結果となる。
【0033】 本発明の同時発現解析に用いられるcDNAライブラリは、副腎及び胆管、血球、
血管、骨髄、脳、気管支、軟骨、クロム親和系、結腸、結合組織、培養細胞、胚
性幹細胞、内分泌腺、上皮、食道、胎児、神経節、心臓、視床下部、免疫系、腸
、ランゲルハンス島、腎臓、喉頭、肝臓、肺、リンパ節、筋肉、神経、卵巣、膵
臓、陰茎、末梢神経系、食細胞、胎盤、胸膜、前立腺、唾液腺、精嚢、骨格、脾
臓、胃、精巣、胸腺、舌、尿管、子宮などから作製することができる。選択され
るcDNAライブラリの数は、わずか3個から10,000個以上の範囲を取り得る
。500以上のcDNAライブラリが好ましい。
【0034】 好適な実施例では、1つの転写物から構築される配列断片などの関連配列から
遺伝子が構築される。本配列の構築は、限定するものではないが、EST或いは延
長配列、ショットガン配列を含む様々な配列を用いて行うことができる。最も好
適な実施例では、本ポリヌクレオチド配列は、1999年3月25日に出願され
た名称「Database and System for Storing, Comparing and Displaying Relate
d Biomolecular Sequence Information」の米国特許出願09/276,534に開示され
たアルゴリズムを用いて構築されたヒト配列に由来する。なお、前記特許出願に
言及することを以て本明細書の一部とする。
【0035】 経験的に、ポリヌクレオチドの異なる発現は、限定するものではないが空間固
定或いはゲル電気泳動法によるディファレンシャルディスプレイ、ゲノム不一致
スキャニング、差を提示する分析、及び転写物イメージングを含む方法によって
評価することが可能である。更に、マイクロアレイ技術によっても異なる発現を
評価することができる。これらの方法は単独或いは組み合わせて用いることが可
能である。
【0036】 既知のアテローム性動脈硬化関連遺伝子は、診断マーカーや予後マーカーとし
て、或いは治療標的として用いるなど、その使用目的に基づいて選択される。
【0037】 この既知の各アテローム性動脈硬化関連遺伝子は、ウロモジュリン及びNKCC2
、NCCT、アルドラーゼB、ROMK1、ATP1G1、PDZK1、NPT-1、カルビンジン、キニノ
ーゲン、CIC-Kbからなる一群から選択れるのが好ましい。
【0038】 既知のアテローム性動脈硬化関連遺伝子と統計的に有用な同時発現パターンを
有する新規遺伝子を同定する方法は次の通りである。まず、cDNAライブラリにお
ける遺伝子の存在の有無を決定する。すなわち、ある遺伝子に対応する少なくと
も1つのcDNA断片がcDNAライブラリからのcDNAサンプル内で検出された場合は、
そのライブラリにその遺伝子が存在し、対応するcDNA断片がそのサンプル内で検
出されない場合は、ライブラリにその遺伝子が存在しない。
【0039】 次に、確率による方法を用いて偶然による同時発現の確率を測定し、遺伝子同
時発現の有意性を評価する。確率による方法には、Fisher厳正検定(Fisher exa
ct test)或いはカイ2乗検定、κ検定(kappa test)を用いることが可能であ
る。これらの検定及びこれらの適用例は当業者には周知であり、標準的な統計学
の文献に示されている(Agresti (1990) Categorical Data Analysis, John Wil
ey & Sons, New York NY; Rice (1988) Mathematical Statistics and Data Ana lysis , Duxbury Press, Pacific Grove CA)。ボンフェローニ補正(Rice, 前出
p 384)は、他の多数の遺伝子に対して1つの遺伝子の統計結果を補正する確率
法の1つと組み合わせて用いることができる。好適な実施例では、偶然の一致に
よる確率がFisher厳正検定によって測定され、偶然の一致による確率の閾値は、
好ましくは0.001未満であり、更に好ましくは0.00001未満に設定される。
【0040】 2つの遺伝子A及びBが類似の同時発現パターンを有するかを調べるために、表
1に示すように出現データのベクトルを作成する。遺伝子があるライブラリで少
なくとも1回出現する場合を1とし、ライブラリに出現しない場合を0とした。
【0041】
【表1】
【0042】 ある1組の遺伝子に対する表1の出現データを、2×2の分割表で表す。
【0043】
【表2】
【0044】 表2は、合計30のライブラリにおける遺伝子A及び遺伝子Bの同時出現データ
を示す。遺伝子A及び遺伝子Bはそれぞれ、30のライブラリにおいて10回出現
する。表2は、(1)1つのライブラリに遺伝子A及び遺伝子Bの両方が存在する
回数、(2)1つのライブラリに遺伝子A及び遺伝子Bの両方が存在しない回数、
(3)1つのライブラリに遺伝子Aが存在して遺伝子Bが存在しない回数、(4)
1つのライブラリに遺伝子Bが存在して遺伝子Aが存在しない回数を表す。左上の
数値8は、2つの遺伝子が1つのライブラリで共に出現した回数を示し、中央右
の数値18は1つのライブラリでどちらの遺伝子も存在しない回数を示す。対角
線上の各数値8は、1つのライブラリで一方の遺伝子が出現して他方の遺伝子が
出現しない回数である。両方の遺伝子A及びBが存在するのは8回であり、両方が
存在しないのは18回である。遺伝子Aが存在しないで遺伝子Bが存在するのは2
回であり、遺伝子Bが存在して遺伝子Aが存在しないのも2回である。Fisher厳正
検定を用いて計算した偶然の一致によって上記の関係となる確率(p値)は0.000
3である。p値が0.01未満の場合は、一般にその関係に有意性があるとされる(Ag
resti, 前出; Rice, 前出)。
【0045】 2つの遺伝子の同時発現の確率を評価するこの方法は、いくつかの仮定を立て
る。この方法は、各ライブラリは独立したものであり、全く同一にサンプリング
されたと仮定する。しかしながら実際には、選択されたcDNAライブラリは、2つ
以上のライブラリが1人の被検者或いは1つの組織から得られる可能性があるた
め完全には独立していない。また、それぞれのライブラリには異なった数のcDNA
が構築され得るため、全く同一にサンプリングされるわけではない。構築された
cDNAの数は、通常は1つのライブラリにつき5,000〜10,000の範囲であ
る。更に、Fisher厳正同時発現確率は、構築された45,233の他の構築され
た遺伝子に対する各遺伝子について計算するため、複数の統計的検定にボンフェ
ローニ補正が必要である。
【0046】 本発明では、アテローム性動脈硬化に特異的な既知の遺伝子と密接な関係を示
す34の新規のアテローム性動脈硬化関連ポリヌクレオチドを同定した。結果が
表4に示されているように、34の新規のアテローム性動脈硬化関連ポリヌクレ
オチドの発現は、既知のアテローム性動脈硬化関連遺伝子の発現と直接或いは間
接的に関連する。従って、これらの新規のアテローム性動脈硬化関連ポリヌクレ
オチドは、アテローム性動脈硬化の診断、治療、予後、予防、またはアテローム
性動脈硬化の治療の評価に用いることが可能である。更に、これらの新規のアテ
ローム性動脈硬化関連ポリヌクレオチドの遺伝子産物は、アテローム性動脈硬化
に対する潜在的な治療薬或いは治療の標的である。
【0047】 従って一実施例では、本発明はSEQ ID NO:1−34の配列を含むポリヌクレオチ
ド配列を包含する。本発明の方法によって、これら34のポリヌクレオチドが、
既知のアテローム性動脈硬化関連遺伝子に対して及び相互に強い同時発現の関連
を有することが示された。本発明はまた、本ポリヌクレオチド配列の変異体や相
補配列、或いは上記した配列の連続する18個のヌクレオチド配列を含む。ヌク
レオチド配列の変異体は、NSEQと少なくとも約75%、好ましくは約85%、最
も好ましくは少なくとも約95%のポリヌクレオチド配列同一性を有する。
【0048】 NSEQまたはコードされたPSEQを用いて、GenBank霊長類(pri)及び齧歯類(rod)
、哺乳動物(mam)、脊椎動物(vrtp)、真核生物(eukp)データベース、SwissProt、
BLOCKS(Bairoch 他 (1997) Nucleic Acids Res 25:217-221)、PFAM、或いは既
に同定され注釈(アノテーション)の付いたモチーフ及び配列、遺伝子機能を含
む他のデータベースに対して検索することができる。二次構造ギャップペナルテ
ィで一次配列パターン(Smith 他 (1992) Protein Engineering 5:35-51)を検
索する方法、及びBasic Local Alignment Search Tool (BLAST; Altschul (1993
) J Mol Evol 36:290-300; Altnehul etal. (1990) J Mol Biol 215:403-410)、
BLOCKS (Henikoff and Henikoff (1991) Nucleic Acids Research 19:6565-6572
)、隠れマルコフモデル(HMM; Eddy (1996) Cur Opin Str Biol 6:361-365; Sonn
hammer 他. (1997) Proteins 28:405-420)などのアルゴリズムなどを用いて、ヌ
クレオチド及びアミノ酸配列を操作或いは分析することができる。これらのデー
タベースやアルゴリズム、またはその他の方法は、当業者には周知であり、Ausu
bel 他 (1997; Short Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N
ew York NY, unit 7.7) 及びMeyers (1995; Molecular Biology and Biotechnol ony , Wiley VCH, New York NY, P 856-853)に記載されている。
【0049】 本発明はまた、ストリンジェントな条件の下でSEQ ID NO:1−34及びそれらの
断片とハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド配列を含む。ストリンジェントな
条件とは、塩濃度及び温度、当業者には周知のその他の化学薬品及び条件によっ
て定義できる。各条件は、例えば、プレハイブリダイゼーションやハイブリダイ
ゼーションにおける、または洗浄液における塩の濃度を変えることによって、或
いはハイブリダイゼーションや洗浄の温度を変えることによって選択することが
できる。いくつかの基質と共に、プレハイブリダイゼーション及びハイブリダイ
ゼーション反応液にホルムアミドを加えてその温度を低下させることができる。
【0050】 ハイブリダイゼーションは、1%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む5xSSC
などの緩衝液において60℃の低いストリンジェントな条件で行うこともできる
が、いくつかの不一致を含む2つの核酸配列の複合体が形成され得る。続く洗浄
は、完全に相補的な配列の複合体のハイブリダイゼーションのみを残すべく、4
5℃(中程度のストリンジェンシー)或いは68℃(高いストリンジェンシー)
の0.1%のSDSを含む0.2xSSCなどの緩衝液で、高いストリンジェンシーで行わ
れる。バックグラウンドシグナルは、SDS或いはSarcosyl、Triton X-100(Sigma
-Aldrich, St. Louis MO)などの界面活性剤及び/またはサケ精子DNAなどの遮
断薬を用いて低減することができる。ハイブリダイゼーションの方法は、Ausube
l (前出, units 2.8-2.11,3.18-3.19 及び 4-6-4.9) 及びSambrook 他 (1989; M olecular Cloning. A Laboratory Manual , Cold Spring Harbor Press, Plainvi
ew NY)に詳しく記載されている。
【0051】 NSEQの延長は、部分的なヌクレオチド配列を用いて、プロモーターや他の調節
要素などの上流の配列を検出するための当分野で周知の様々なPCR系の方法を用
いて行うことができる(たとえば、Dieffenbach and Dveksler (1995) PCR Prim er, a Laboratory Manual , Cold Spring Harbor Press, Plainview NYを参照)
。更に、XL-PCRキット(PE Biosystems, Foster City CA)及び入れ子状プライマ
ー(nested primer)、市販のcDNAリブラリ(Life Technologies, Rockville MD
)或いはゲノムライブラリ(Clontech, Palo Alto CA)を用いて配列を延長する
ことも可能である。全てのPCR系の方法では、OLIGO 4.06 プライマー分析ソフト
ウェア(National Biosciences, Plymouth MN)或いは他のプログラムなどの市
販のソフトウェアを用いて、長さがヌクレオチド約18〜30個、GC含量が約5
0%、約68〜72℃の温度でハイブリダイゼーション複合体が形成されるよう
にプライマーを設計する。
【0052】 本発明の別の実施態様では、宿主細胞においてPSEQやその構造的或いは機能的
部分の発現を誘発する組み換えDNA分子に、NSEQをクローニングすることができ
る。遺伝子コードの縮重により、実質的に同一或いは機能的に等価のアミノ酸配
列をコードする別のDNA配列を作製することができ、それを用いてNSEQによって
コードされるポリペプチドを発現させることができる。限定するものではないが
クローニングやプロセシングの調節、または遺伝子産物の発現の変更を含む様々
な目的に合うように本発明のヌクレオチド配列を変更するために、当技術分野で
周知の様々な方法を用いてポリヌクレオチドを組み換えることができる。ランダ
ムな断片化によるDNAシャフリングや遺伝子断片及び合成オリゴヌクレオチドのP
CR再構築によって、ヌクレオチド配列を組み換えることができる。例えば、オリ
ゴヌクレオチド媒介性特定部位突然変異誘発を利用して、新しい制限部位や改変
グリコシル化パターン、コドン選択の変更、スプライスバリアントが生じるよう
に突然変異を起こすことができる。
【0053】 生物学的に活性なタンパク質を発現させるために、NSEQやその誘導体を、好適
な発現ベクターに導入することが可能である。好適な発現ベクターとは、即ち特
定の宿主に導入されたコーディング配列の転写及び翻訳の調節に要素を含むベク
ターである。これらの要素には、エンハンサー及び構成的及び誘導的プロモータ
ー、5'及び3'非翻訳領域などの調節配列が含まれる。当業者に周知の方法で、こ
のような発現ベクターを作製することができる。これらの方法には、in vitro
み換えDNA技術及び合成技術、in vivo遺伝子組み換えが含まれる(例えば、Samb
rook、前出、及びAusubel、前出を参照)。
【0054】 様々な発現ベクター/宿主細胞系を用いてNSEQを発現させることができる。こ
れらの中には、限定するものではないが組み換えバクテリオファージやプラスミ
ド、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌などの微生物と、酵
母発現ベクターで形質転換された酵母と、バキュロウイルスベクターに感染した
昆虫細胞系と、ウイルス或いは細菌発現ベクターで形質転換された植物細胞系と
、動物細胞系とが含まれる。哺乳動物系で組み換えタンパク質を長期に渡って産
生させるためには、細胞株における安定した発現が好ましい。例えば、発現ベク
ターを用いてNSEQを細胞株に導入することができる。この発現ベクターには、同
一或いは別のベクター内にウイルスの複製開始点及び/または内在性の発現要素
、選択マーカー遺伝子や可視マーカー遺伝子を含めることができる。本発明は、
用いるベクターや宿主細胞によって制限されるものではない。
【0055】 一般に、PSEQを発現するNSEQを含む宿主細胞は、当業者に周知の様々な方法で
同定することができる。これらの方法には、限定するものではないが、核酸若し
くはタンパク質配列を検出し、及び/または定量するための膜または溶液、チッ
プをベースにした技術を含むタンパク質バイオアッセイ或いはイムノアッセイ技
術、DNA-DNA若しくはDNA-RNAハイブリダイゼーション、PCR増幅が含まれる。特
定のポリクローナル或いはモノクローナル抗体の何れか一方を用いて、PSEQの発
現を検出及び測定する免疫学的な方法は当技術分野では周知である。このような
技術には、酵素結合免疫吸着法(ELISA)及びラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光活
性化セルソーター(FACS)が含まれる。
【0056】 培養細胞からタンパク質が発現しその回収に好適な条件の下で、NSEQで形質転
換された宿主細胞を培養することができる。組み換え細胞によって産生されたポ
リペプチドは、用いられる配列及び/またはベクターによって、分泌されるか細
胞内に留まるかが決まる。当業者には明らかなように、NSEQを含む発現ベクター
は、原核細胞膜や真核細胞膜を通過してポリペプチドを分泌させるシグナル配列
を含むように設計することができる。
【0057】 更に、挿入配列の発現を調節する能力或いは発現されたタンパク質を目的通り
に修飾する能力を有するように宿主細胞株を選ぶことができる。このようなペプ
チドの修飾には、限定するものではないが、アセチル化及びカルボキシル化、グ
リコシル化、リン酸化、脂質化、アシル化が含まれる。ポリペプチドの「プレプ
ロ(prepro)」型を切断する翻訳後プロセシングを利用して、タンパク質のター
ゲッティング、折りたたみ及び/または活性を明らかにすることができる。翻訳
後の活性のための特定の細胞機構及び特徴的な機序を有する様々な宿主細胞(例
えば、CHO及びHeLa、MDCK、HEK293、W138)は、American Type Culture Collect
ion (ATCC, Manasas VA)から入手可能であり、発現したタンパク質を正確に修飾
及びプロセシングするものを選択することができる。
【0058】 本発明の別の実施例では、天然核酸配列や改変核酸配列、組み換え核酸配列を
異種の配列に結合して、前記した任意の宿主系において異種のタンパク質部分を
含む融合ポリペプチドが翻訳されるようにする。このような異種のタンパク質部
分によって、市販のアフィニティーマトリクス(affinity matrix)を用いた融
合タンパク質の精製が容易になる。このような部分には、限定するものではない
が、グルタチオンSトランスフェラーゼ及びマルトース結合タンパク質、チオレ
ドキシン、カルモジュリン結合ペプチド、6-His、FLAG、c-myc、赤血球凝集素、
モノクローナル抗体エピトープが含まれる。
【0059】 別の実施例では、当技術分野で周知の化学的或いは酵素的方法で核酸配列全て
或いはその一部を合成する(Caruthers 他 (1980) Nucl Acids Symp Ser (7) 21
5-233; Ausubel、前出)。例えば、種々の固相技術(Roberge et al. (1995) Sc
ience 269:202-204)を用いてペプチドを合成することができる。また、ABI 431
A ペプチドシンセサイザー(PE Biosystems)などの装置を用いれば自動合成する
ことができる。所望に応じて、アミノ酸配列を合成中に改変し、かつ/または他
のタンパク質の配列と結合させてタンパク質の変異体を作製することもできる。
【0060】 別の実施例では、本発明はSEQ ID NO:35のアミノ酸配列を含む実質的に精製さ
れたポリペプチド及びその断片を含む。
【0061】 (スクリーニング、診断、および治療) 本ポリヌクレオチド配列を用いて、アテローム性動脈硬化の診断、予後、治療
、予防、および治療法の選択及び評価を行うことができる。制限するものではな
いが、このアテローム性動脈硬化の中には、卒中、心筋梗塞、高血圧症、一過性
脳虚血、腸間膜虚血、冠状動脈疾患、狭心症、末梢血管疾患、間欠性跛行、腎動
脈狭窄、および高血圧症が含まれる。
【0062】 本ポリヌクレオチド配列を用いて、特異的な結合親和性を調べるべく分子のラ
イブラリをスクリーニングすることが可能である。このアッセイを用いて、生体
系において本ポリヌクレオチド配列の活性を調節するDNA分子、RNA分子、PNA、
ペプチド、リボザイム、抗体、アゴニスト、アンタゴニスト、免疫グロブリン、
インヒビター、転写因子を含むタンパク質、エンハンサー、リプレッサー、薬剤
等のライブラリをスクリーニングすることができる。このアッセイには、分子の
ライブラリを準備するステップと、本ポリヌクレオチド配列またはその断片を、
特異的な結合が許容される条件下で、分子のライブラリと結合させるステップと
、特異的な結合を検出して、本ポリヌクレオチド配列と特異的に結合する少なく
とも1つの分子を同定するステップとが含まれる。
【0063】 同様に、本ポリペプチド配列またはその一部を用いて、任意のスクリーニング
アッセイで、分子のライブラリをスクリーニングすることが可能である。このス
クリーニングに用いられる本ポリペプチドの一部は、溶液に遊離しているか、或
いは非生物からなる基板若しくは生物からなる基板に結合されているか、または
細胞内に位置しうる。本ポリペプチドと分子との間の特異的な結合を測定するこ
とが可能である。このアッセイを用いて、本ポリペプチドに特異的に結合するDN
A分子、RNA分子、PNA、ペプチド、擬態、リボザイム、抗体、アゴニスト、アン
タゴニスト、免疫グロブリン、インヒビター、ペプチド、ポリペプチド、薬剤等
のライブラリをスクリーニングすることができる。極微量のアッセイ用量及び極
微量の検査化合物を用いるハイスループット型の1つの方法が、米国特許第5,87
6,946号に記載されている。この方法は、酵素阻害または受容体結合について多
数の分子をスクリーニングすることができる。また、この米国特許第5,876,946
に言及することを持って本明細書の一部とする。
【0064】 好適な一実施例では、本ポリヌクレオチド配列を診断目的で用いて、本ポリペ
プチドの存在するか否か、および過剰な発現を決定する。本ポリヌクレオチドは
、少なくとも18個のヌクレオチドの長さであって、相補的なRNA及びDNA分子、
分岐核酸、及び/またはペプチド核酸(PNA)からなり得る。別法では、本ポリヌ
クレオチドを用いて、NSEQの発現が疾患と関連性を有するサンプルにおいて遺伝
子の発現を検出及び定量する。更なる別法では、NSEQを用いて、疾患に関連した
遺伝子の多型を検出することができる。これらの多型は、cDNA転写産物において
検出することが可能である。
【0065】 プローブの特異性は、そのプローブがユニーク領域からまたは調節領域から、
或いは保存されたモチーフから作製されたかによって決まる。プローブの特異性
及び診断におけるハイブリダイゼーションや増幅の厳密性(最大、高い、中程度
、低い)の双方によって、そのプローブが、自然発生の全く相補的な配列のみと
結合するか、或いはアレル変異体や関連配列とも結合するかが決まる。関連配列
を検出するために設計されたプローブは、PSEQをコードする任意のポリヌクレオ
チドと少なくとも75%の配列同一性を有することが望ましい。
【0066】 ハイブリダイゼーションプローブの作製方法には、ベクターの中に核酸配列を
クローニングしてmRNAプローブを作製することが含まれる。このようなベクター
は当分野で周知であり市販されおり、このようなベクターを用いて、RNAポリメ
ラーゼ及び標識されたヌクレオチドを加えてin vitroでRNAプローブを合成する
ことができる。限定するものではないが32P若しくは35Sなどの放射性核種、アビ
ジン/ビオチン結合系によってプローブに結合されたアルカリホスファターゼな
どの酵素標識、蛍光標識などを含む様々なレポーター群によって標識されたヌク
レオチドをハイブリダイゼーションプローブに組み込むことができる。標識され
たポリヌクレオチド配列は、患者からのサンプルを用いてPSEQの発現の変化を検
出するサザーン分析やノーザン分析、またはドットプロット若しくは他の膜系技
術、PCR技術、マイクロアレイに利用することができる。
【0067】 標準的な方法でNSEQを標識し、ハイブリダイゼーション複合体の形成及び検出
に好適な条件の下で患者からのサンプルに加える。インキュベーションの後サン
プルを洗浄し、ハイブリッド複合体の形成に関連するシグナルを定量し、標準値
と比較する。この標準値は、通常はその疾患に感染していない任意のコントロー
ルサンプルから得る。患者からのサンプル内のシグナル量が標準値と異なる場合
は、サンプル内の発現レベルの変化が疾患の存在を示す。患者のサンプル内に形
成されたハイブリダイゼーション複合体を所定の標準値と比較する質的及び量的
方法は当技術分野では周知である。
【0068】 このようなアッセイはまた、動物実験や臨床試験における特定の治療計画の効
果の評価、または患者の治療のモニタリングに利用することができる。疾患の存
在が確認されて治療プロトコルを開始したら、ハイブリダイゼーション或いは増
幅アッセイを定期的に行って、患者の発現レベルが健康な患者の発現レベルに近
づき始めたかを調べる。連続したアッセイによって得られたデータから、数日か
ら数年に渡る期間における治療効果を確認することができる。
【0069】 本ポリヌクレオチドを、アテローム性動脈硬化に関連した様々な疾患の診断に
用いることができる。限定するものではないがアテローム性動脈硬化には、卒中
、心筋梗塞、高血圧症、一過性脳虚血、腸間膜虚血、冠状動脈疾患、狭心症、末
梢血管疾患、間欠性跛行、腎動脈狭窄、および高血圧症が含まれる。
【0070】 本ポリヌクレオチドをマイクロアレイにおける標的として用いることもできる
。マイクロアレイを用いて、多数の遺伝子の発現パターンを同時にモニタリング
し、スプライスバリアント及び変異、多型を同定することができる。発現パター
ンの分析から得られた情報を用いて、遺伝子機能の決定や疾患の遺伝子ベースで
の理解、疾患の診断、並びに疾患の治療に用いられる治療薬の開発及びその活性
をモニタリングすることができる。また、マイクロアレイを用いて、ゲノムレベ
ルでの遺伝子多様性、即ち特定の集団を特徴付け得る一塩基多型(SNP)を検出
することができる。
【0071】 更なる別法では、本ポリヌクレオチドを用いて、自然発生のゲノム配列のマッ
ピングに有用なハイブリダイゼーションプローブを作製することもできる。in s itu 蛍光ハイブリダイゼーション(FISH)は、Heinz-Ulrich 他 (In: Meyers, 前
出、 pp 965-968)に記載されているような遺伝子マップデータや他の物理的な染
色体マッピング技術と相関し得る。
【0072】 別の実施例では、PSEQに特異的に結合する抗体結合部位を含む抗体やFabフラ
グメントを用いて、PSEQの発現の低下或いは過剰な発現によって特徴付けられる
疾患の診断を行うことができる。ELISA及びRIA、FACSを含むPSEQを測定する様々
なプロトコルは、当技術分野では周知であり、発現レベルの変化や異常の診断基
準を提供する。PSEQの発現の標準値は、複合体が形成される条件下で、健康な被
験体好ましくはヒトから採取されたサンプルとPSEQの抗体とを結合させて決定し
た。形成された複合体の収量は、様々な方法好ましくは光度測定法によって定量
される。病変サンプルに発現したPSEQの量を標準値と比較する。標準値と患者の
値との偏差によって、疾患の診断やモニタリングの指標を決定する。別法では、
こ本ポリペプチドと結合させるために、PSEQと特異的に結合可能な中和抗体が検
査化合物と競合する競合薬剤スクリーニングアッセイを用いることもできる。抗
体を用いて、PSEQと1以上の抗原決定基を共有する任意のペプチドの存在を検出
することができる。一実施態様では、本発明の抗PSEQ抗体を用いて、アテローム
性動脈硬化の治療或いはモニタリング、治療の評価をすることができる。
【0073】 別の実施態様では、NSEQ或いはその相補配列を治療目的で用いて、mRNAやポリ
ペプチドを発現させたり、或いは逆にmRNAの転写や翻訳を遮断することができる
。発現ベクターは、レトロウイルスやアデノウイルス、ヘルペス若しくはワクシ
ニアウイルス、細菌性プラスミドなどの要素を用いて作製することができる。こ
れらのベクターを用いて、ヌクレオチド配列を特定の標的の器官や組織、細胞集
団に輸送することができる。当業者に周知の方法を用いて、核酸配列或いはその
相補配列を発現するベクターを作製することができる(例えば、Maulik 他 (199
7) Molecular Biotechnology, Therapeutic Applications and Strategies, Wil
ey-Liss, New York NY.を参照)。別法では、NSEQ或いはその相補配列を用いて
、体細胞或いは幹細胞遺伝子治療を行うことができる。ベクターは、in vivo
in vitroex vivoで導入することが可能である。ex vivoでの治療のために、
患者から採取された幹細胞の中にベクターを導入し、得られた遺伝子導入細胞を
クローニング的に増殖させて、その患者に自己移植する。トランスフェクション
やリポソーム注入、またはポリカチオンアミノポリマーによるNSEQの輸送は、当
技術分野で周知の方法で達成することができる(例えば、Goldman 他 (1997) Na
ture Biotechnology 15:462-466を参照)。更に、相同組み換え法を用いて不活
性の遺伝子配列をNSEQのコーディング領域或いはその他の標的領域に挿入し、NS
EQの内因性の発現を不活化することができる(例えば、Thomas 他 (1987) Cell
51:503-512を参照)。
【0074】 NSEQを含むベクターで細胞或いは組織を形質転換して、喪失したポリペチドを
発現させたり、機能を持たないポリペチドと置換したりすることができる。同様
に、NSEQの相補配列を発現するように作製されたベクターで細胞を形質転換して
、PSEQの過剰な発現をダウンレギュレートすることもできる。相補配列即ちアン
チセンス配列は、転写開始部位(ATGの概ね−10位から+10位のヌクレオチ
ドのオリゴヌクレオチド)から成るのが好ましい。同様に、三重らせん塩基対形
成を用いて阻害することもできる。三重らせん塩基対形成(トリプレックス法)
は、ポリメラーゼや転写因子、或いは調節分子が結合するのに十分な二重らせん
の巻き戻し能を阻害するため有用である。トリプレックスDNAを用いた近年の治
療の進歩が文献に記載されている(例えば、Gee 他 In: Huber and Carr(1994) Molecular and Immunologic Approaches . Futura Publishing, Mt. Kisco NY, p
p 163-177を参照)。
【0075】 RNA酵素分子であるリボザイムを用いてmRNAの切断を触媒し、本発明のポリヌ
クレオチド配列を含むmRNAなどの特定のmRNAのレベルを低下させることができる
(例えば、Rossi (1994) Current Biology 4:469-471を参照)。リボザイムは、
特定の切断部位でmRNAを切断し得る。別法では、リボザイムは、標的mRNAと相補
的な塩基対を形成するフランキング領域によって指定された位置でmRNAを切断し
得る。リボザイムの作製及び生産は当技術分野では周知であり、Meyers(前出)
に記載されている。
【0076】 RNA分子を改変して、細胞内の安定性を高めて半減期を長くすることが可能で
ある。可能な改変には、限定するものではないが分子の5'及び/または3'末端に
おけるフランキング配列の付加や、分子の背骨となるホスホジエステル結合の代
わりにホスホロチオネート若しくは2'Oメチルを用いた骨格の形成が含まれる。
別法では、内在性のエンドヌクレアーゼによって容易には認識されない、アセチ
ル化及びメチル化、チオ化、または類似の修飾を受けたアデニン及びシチジン、
グアニン、チミン、ウリジンや、イノシン、queosine、及びワイブトシンなどの
従来のものでない塩基が含まれ得る。
【0077】 更に、PSEQに特異的に結合するアンタゴニストや抗体を、アテローム性動脈硬
化の治療或いは予防のために患者に投与することが可能である。アンタゴニスト
や抗体及びそれらの断片を直接用いてこれらのポリペチドの活性を阻害したり、
間接的に用いてPSEQを発現する細胞や組織に治療薬を輸送することが可能である
。抗体やアンタゴニストのPSEQ結合部位及び治療薬を含むイムノコンジュゲート
を、疾患の治療または予防のために患者に投与することも可能である。この治療
薬には、限定するものではないがアブリン、リシン、ドキソルビシン、ダウノル
ビシン、タキソール、臭化エチジウム、マイトマイシン、エトポシド、tenoposi
de、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ジヒドロキシアントラシン
ジオン(dihydroxy anthracin dione)、アクチノマイシンD、ジフテリア毒素、シ
ュードモナスエキソトキシンA及び40、放射性同位元素及び糖質コルチコイドか
らなる一群から選択された細胞毒性薬剤を用いることが可能である。
【0078】 PSEQの抗体は、当技術分野で周知の方法で生産することができる。このような
抗体には、限定するものではないがポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体
、キメラ抗体、一本鎖抗体、Fab断片、Fab発現ライブラリによって作製された断
片が含まれる。二量体の形成を阻害するような中和抗体は治療において特に有効
である。PSEQのモノクローナル抗体は、培地における連続培養によって抗体分子
を産生する任意の方法で生産することができる。これらの技術には、限定するも
のではないがハイブリドーマ及びヒトB細胞ハイブリドーマ技術、EBVハイブリド
ーマ技術が含まれる。更に、キメラ抗体の作製のために開発された技術を利用す
ることもできる(例えば、Pound (1998) Immunochemical Protocols, Methods M
ol Biol, Vol 80を参照)。別法では、開示された一本鎖抗体の作製技術を用い
ることもできる。PSEQに対して特異的に結合する部位を含むFabフラグメントを
作製することもできる。様々なイムノアッセイを用いて、目的の特異性を有する
抗体を同定することができる。特定の特異性を有するポリクローナル抗体或いは
モノクローナル抗体の何れか一方を用いる競合的な結合アッセイ或いは免疫放射
線アッセイの様々なプロトコルは当技術分野では周知である。
【0079】 更に、PSEQの発現や寿命の低下或いは活性の低下に関連した疾患の治療または
予防のために、PSEQのアゴニストを患者に投与することが可能である。
【0080】 本発明の別の実施態様は、上記した全ての治療のために、医薬品組成物や滅菌
組成物を医薬的に容認できる担体と共に投与することに関連する。このような医
薬品組成物は、PSEQ、本ポリペプチドの抗体や擬似化合物(mimetic)、アゴニ
スト、アンタゴニスト、インヒビターからなり得る。この組成物は単独で投与す
るか、或いは少なくとも1つの別の薬剤と共に投与することができる。この別の
薬剤とは、限定するものではないが食塩水及び緩衝食塩水、ブドウ糖、水を含む
滅菌した生体適合性の任意の医薬用担体に混入することができる安定化剤などで
ある。この組成物は単独で、或いは他の薬剤やホルモンと共に患者に投与するこ
とが可能である。
【0081】 本発明に用いられる医薬品組成物は、様々な経路を用いて投与することが可能
である。この経路には、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、クモ膜下、心
室内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸内、局所、舌下、または直腸が含まれる
がこれらに限定されるものではない。
【0082】 活性処方成分に加えて、これらの医薬品組成物には、活性化合物を医薬的に使
用可能な薬剤にするのを容易にする、医薬品添加物及び補助剤を含む薬学的に許
容できる担体が含まれ得る。製剤及び投与についての更に詳しい技術については
、最新版のRemington's Pharmaceutical Sciences (Maack Publishing, Easton
PA)に記載されている。
【0083】 治療に効果的な薬用量はどのような組成物であっても、初めに細胞培養アッセ
イ、或いはマウスやラット、ウサギ、イヌ、ブタなどの動物モデルかの何れかで
評価することができる。また動物モデルを用いて、濃度範囲や投与経路を決定す
ることができる。このような情報を基に、ヒトに有効な薬用量及び投与経路を決
定することができる。
【0084】 医学的に有効な薬用量とは、症状や容態を回復させる活性処方成分の量を指す
。薬用有効度及び毒性は、ED50(服用に対して集団の50%に医薬的効果がある
用量)及びLD50(服用に対して集団の50%に致命的である容量)の統計値を計
算して比較するなどの動物実験や、細胞培養における標準的な製薬法によって決
定することができる。上記した全ての医薬品組成物を、限定するものではないが
そのような治療が必要な任意の被検体(イヌやネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サル
、ヒトを含むがヒトが最も望ましい)に投与することができる。
【0085】 (実施例) 本発明は、記載した特定の装置及び機械、物質、方法に限定されるものではな
いことを理解されたい。特定の実施例について説明するが、同等の実施例を用い
て本発明を具現することも可能である。以下に記載する実施例は、本発明を例示
するためのものであって本発明を限定するものではない。
【0086】 1 cDNAライブラリの作製 cDNAライブラリSMCCNOS01を例に用いて、既知のアテローム性動脈硬化関連遺
伝子に関連する本ポリヌクレオチドが由来するcDNAライブラリの作製方法を説明
する。サブトラクション済み冠状動脈平滑筋細胞ライブラリであるSMCCNOS01は
、SMCCNOT02ライブラリからの7.56×106個のクローンに対して、SMCCNOT01から
の6.12×106個のクローンで48時間のサブトラクションハイブリダイゼーショ
ンを2回行って作製した。SMCCNOT02ライブラリは、3歳の白人男児から採取し
た冠状動脈平滑筋細胞から単離したRNAを用いて作製した。この細胞は、各10 ng
/mlのTNFα及びIL-1βで20時間処理した。SMCCNOT01は、同一ドナーから採取
した未処理の冠状動脈平滑筋細胞から単離したRNAを用いて作製した。サブトラ
クション・ハイブリダイゼーションの条件は、Swaroop他1991; Nucleic Acids R
es 19:1954)及びBonaldo他(1996; Genome Res 6:791)の方法に基づいて決定
した。
【0087】 SMCCNOT01及びSMCCNOT02の各cDNAライブラリを作製するために、まず、凍結し
た冠状動脈平滑筋細胞(50〜100 mg)をGTC緩衝液(4.0M グアニジンチオシアネ
ート、0.1M Tris-HCl(pH 7.5)、1% 2-メルカプトエタノール)においてホモ
ジナイズした。2倍量の結合緩衝液(0.4M LiCi、0.1M Tris-HCl(pH 7.5)、0.
02M EDTA)を加え、その混合液を毎分13,000回転でボルテックスした。その上清
を取り除き、オリゴd(T)25結合ストレプトアビジン粒子(MPG)と結合させた。
室温で遠心器にかけた後、mRNA-オリゴd(T)25結合ストレプトアビジン粒子を上
清から分離し、ハイブリダイゼーション緩衝液(0.15M NaCl、0.01M Tris-HCl(
pH 8.0)、1mM EDTA、0.1% lauryl sarcosinate)で2回洗浄した。この時、各
ステップで上清からその粒子を取り除くべく磁気分離させた。結合したmRNAを、
溶出液を用いて65℃でその粒子から溶出させた。溶出したmRNAを含む上清をそ
の粒子から磁気的に分離し、cDNAライブラリの作製に用いた。
【0088】 SUPERSCRIPTプラスミドシステム(Life Technologies)の推奨プロトコルに従
って、このRNAでcDNAを合成し、cDNAライブラリを作製した。これらのcDNAを、S
EPHAROSE CL4Bカラム(Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway NJ)上で断片
化し、400 bpを超える大きさのcDNAをpINCY 1プラスミド(Incyte Pharmaceutic
als, Palo Alto CA)に結合した。この組換えプラスミドを、DH5αコンピテント
細胞(Life Technologies)の中に形質転換した。
【0089】 2 cDNAクローンの単離及びシークエンシング REAL Prep 96プラスミドキット(Qiagen, Valencia CA)を用いて、プラスミ
ドDNAを細胞から遊離して精製した。以下の点を除いて推奨プロトコルに従った
。(1)細菌を、25mg/Lのカルベニシリン及び0.4%のグリセロールを含む1
mlの無菌Terrific Broth 培地(BD Biosciences, Sparks MD)で培養した。(2
)接種の後、細胞を19時間インキュビレートし、インキュベーションの最後に
細胞を0.3mlの溶解緩衝液に溶解した。(3)イソプロパノール沈殿の後、プラ
スミドDNAのペレットを0.1mlの蒸留水に再懸濁し、その後サンプルを96穴ブロ
ックに移して4℃で保管した。
【0090】 cDNAは、MICROLAB 2200 (Hamilton, Reno NV)とDNA ENGINEサーマルサイクラ
ー(PTC200; MJ Research, Watertown MA)を組み合わせて用いて作製した。cDNA
は、ABI PRISM 377 DNAシークエンシングシステム(PE Biosyssems)或いはMEGABA
SE 1000シークエンシングシステム(Amersham Pharmacia Biotech)を用いて、San
ger及びCoulson(1975, J. Mol. Biol. 94:441f)の方法でシークエンシングした
【0091】 本明細書に開示した殆どの配列は、標準的なABIプロトコル及びABIキット(PE
Biosystems)を用いてシークエンシングした。溶液の容量は0.25x〜1.0xの濃度で
用いた。また、本明細書に開示した配列の中には、APBの溶液及び染料を用いて
作製したものもある。
【0092】 3 配列の選択及び構築、特徴付け 同時発現の分析に用いた配列は、EST配列、5'及び3'ロングリード配列(longre
ad sequences)及び完全長コーディング配列から構築した。選択された構築配列
は、少なくとも3つのcDNAライブラリで発現した。
【0093】 構築方法を以下に記載する。EST配列のクロマトグラムを処理して検証した。
質のスコアをPHRED (Ewing et al. (1998) Genuine Res 8:175-185; Ewing and
Green (1998) Genome Res 8:186-194)を用いて求め、編集した配列を関係データ
ベース管理システム(RDBMS)に加えた。この配列を、BLASTを用いて、積スコア5
0でクラスター化した。2つ以上の配列の全てのクラスターがビンを形成し、1
つの転写された遺伝子を表す。
【0094】 各ビン内の構成要素配列の構築は、公衆が入手可能な公共のDNA断片構築プロ
グラムPhrapを改変したものを用いて行った(Green, University of Washington
, Seattle WA)。任意のコンセンサス配列間の局部的な対合アライメントが82
%を示したビンは1つにまとめた。
【0095】 各ビンのコンセンサス配列をNCBIのGBpri及びGenPeptなどの公共のデータベー
スに対してスクリーニングしてビンにアノテーション(annotation)をつけた。
アノテーションをつけるプロセスにはGenBankのGBpriデータベースに対するFAST
nスクリーンが含まれる。同一性が75%以上でアライメントの長さが100塩
基対以上のヒットは相同ヒットとして記録した。残りのアノテーションのついて
いない配列は、GenPeptに対してFASTxでスクリーニングした。E値が10-8以下の
ものは相同ヒットとして記録した。
【0096】 次に配列を、アミノ酸配列と核酸配列とを高速で比較及びデータベース検索(
Green, 前出)するプログラムであるCross-Match及びBLASTnを用いて連続的に再
クラスター化した。スコアが150を超える配列とコンセンサス配列とのBLAST
アライメントは全て、Cross-Matchを用いて再度アライメントした。この配列を
、82%以上の同一性を有する局部的なアライメントの中でコンセンサス配列の
Smith-Waterman スコア(Smith 他、前出)が最も高いビンに加えた。一致しな
い配列を新しいビンに移し、その新しいビンについて構築プロセスを行った。
【0097】 4 既知のアテローム性動脈硬化関連遺伝子の同時発現分析 アテローム性動脈硬化に密接に関連した新規遺伝子を同定するために、66の
既知のアテローム性動脈硬化関連遺伝子を選択した。これら既知のアテローム性
動脈硬化関連遺伝子を分析し、それらの機能の簡単な説明を表3の1−8に示す
【0098】
【表3】
【0099】
【表4】
【0100】
【表5】
【0101】
【表6】
【0102】
【表7】
【0103】
【表8】
【0104】
【表9】
【0105】
【表10】
【0106】 合計45,233の構築された遺伝子配列から66の既知のアテローム性動脈
硬化関連遺伝子と密接な関連性を示す34の新規遺伝子を同定した。初めに、0.
00001未満のカットオフp値を用いて確率値によって関連性の程度を計算した。確
率値検査にパスした遺伝子が新規のアテローム性動脈硬化関連遺伝子と密接な関
係にあることを確かめるために更に配列を分析した。66の既知のアテローム性
動脈硬化関連遺伝子と34の新規遺伝子の同時発現パターンの詳細を表4に示す
。表4に示されている数値は、2つの遺伝子の同時発現に対するp値(−log p)で
ある。同定された新規アテローム性動脈硬化関連遺伝子はSEQ ID NO:で示され、
既知の遺伝子は表3の1−8のように省略形で示されている。都合上、表4の全
ての遺伝子に識別番号1から20を付した。
【0107】 5 アテローム性動脈硬化に関連する新規遺伝子 同時発現分析方法を用いて、34の新規遺伝子(SEQ ID NO:1−34)を同定し
た。これらの新規遺伝子は、66の既知のアテローム性動脈硬化関連遺伝子と密
接な関連(即ち同時発現)を有する。
【0108】 本発明のSEQ ID NO:1−34のコンセンサス配列を含むポリヌクレオチドは、イ
ンサイト社のビンから初めに同定され、本実施例の3に説明したように構築され
た。本実施例の6に説明するようにSEQ ID NO:1−34に対してBLAST検索及び他の
モチーフ検索を実施した。完全長の配列及び5'が完全な配列を翻訳し、既知の
配列に対する配列同一性を調べた。
【0109】 本発明のSEQ ID NO:35は、SEQ ID NO:11の核酸によってコードされた。SEQ ID
NO:35は、SEQ ID NO:11によってコードされた366個のアミノ酸を有する。SE
Q ID NO:35のモチーフ分析によって、S343残基における1つのサイクリックAMP
依存性及びサイクリックGMP依存性プロテインキナーゼリン酸化部位と、S179及
びT351残基における2つの潜在的なカゼインキナーゼIIリン酸化部位と、T29、S
85、T269、及びT324残基における4つの潜在的なプロテインキナーゼCリン酸化
部位とを有する。加えて、SEQ ID NO:35は、L201からS217残基における潜在的な
糖輸送タンパク質シグネチャ配列を含む。
【0110】 6 アテローム性動脈硬化関連ポリヌクレオチド及びポリペプチドに対する相 同性検索 ポリヌクレオチド配列SEQ ID NO:1−34及びポリペプチド配列SEQ ID NO:35をG
enBankやSwissProtなどの情報源から得たデータベースに対して問合せた。既に
同定されてアノテーションがつけられた配列を含むこれらのデータベースにおい
て、BLAST (Altschul, 前出)を用いて類似領域を検索した。BLASTによって配列
の一致を探索し、ヌクレオチド配列に対して10-25以下の確率閾値及びポリペプ
チド配列に対して10-8以下の確率閾値を満たすもののみを報告した。
【0111】 本ポリペプチド配列はまた、MOTIFS及びSPSCAN、BLIMPS、HMMに基づいたプロ
トコルに従って、既知のモチーフパターンに対して解析した。MOTIFS (Genetics
Computer Group, Madison WI)によって、Prosite Dictionary of Protein Site
s and Patterns (Bairoch, 前出)で定義されたものに一致するパターンに対して
ポリペプチド配列を検索し、見つかった配列パターン及び対応する文献の要約を
表示する。SPSCAN (Genetics Computer Group)によって、重み付けマトリックス
法(Nielsen et al. (1997) Prot Eng 10:1-6)を用いて、潜在的なシグナルペ
プチド配列に対して検索する。スコアが5以上のヒットは考慮に入れた。重み付
けマトリックス解析アルゴリズムを用いてBLIMPSによって、BLOCKS(PROSITEデ
ータベース(Henikoff. 前出; Bairoch, 前出)から編集され、短いアミノ酸セグ
メント或いはアミノ酸3個〜60個の長さのブロックからなるデータベース)に
含まれるポリペプチド配列、及びPRINTS(SwissProt及びGenBank、PIR、NRL-3D
(Attwood, 他 (1997) J. Chem Inf Comput Sci 37:417-424)などの情報源から得
た非重複配列に基づいたタンパク質フィンガープリントデータベース)のポリペ
プチド配列と、本ポリペプチド配列との間の配列類似性を検索する。本発明の目
的のために、BLIMPS検索によって、カットオフスコアが1000以上でかつカッ
トオフ確率値が1.0×10-3を満たした配列を報告した。確率法に基づいたHMMを基
にしたプロトコルで、タンパク質配列の遺伝子ファミリー(Eddy, 前出; Sonnham
mer, 前出)のコンセンサス一次構造を検索した。本発明に用いるためにカットオ
フスコアが10〜50ビットの500以上の既知のタンパク質ファミリーを選択
した。
【0112】 7 プローブの標識及びハイブリダイゼーション分析 基板の準備 以下に示す1つの方法によって、標準的なハイブリダイゼーションプロトコル
に用いるべく核酸を生体試料から単離し、好適な基板に固定する。ゲノムDNAを
制限酵素で消化して作製した標的核酸の混合液を、1x TAE(トリス-アセテート-
エチレンジアミン4酢酸(EDTA))緩衝液において、0.7%アガロースゲルを
用いた電気泳動法によって分別し、20xクエン酸ナトリウム(SSC)を用いて毛管輸
送によってナイロン膜に移す。別法では、標的核酸を個別にベクターに結合させ
、細菌宿主細胞に挿入してライブラリを作製する。標的核酸を以下の方法の1つ
によって基板上に並べる。第1の方法では、個々のクローンを含む細菌細胞を機
械的に選んでナイロン膜上に並べる。カルベニシリンを含むLB寒天の細菌増殖培
地にこのナイロン膜を置き、37℃で16時間インキュべートする。細菌コロニ
ーをタンパク質分解酵素Kで変性及び中和、消化する。STRATALINKER UVクロスリ
ンカー(Stratagene, La Jolla CA)において、ナイロン膜をUV照射してDNAをその
膜に架橋結合させる。
【0113】 第2の方法では、挿入物に近接するベクター配列に相補的なプライマーを用い
てPCRを30回繰り返し、標的核酸を細菌ベクターから増幅する。増幅した標的
核酸をSEPHACRYL-400 (Amersham Pharmacia Biotech)を用いて精製する。精製し
た標的核酸をガラス製の顕微鏡スライド上に機械的に並べる(Corning Science
Products, Corning NY)。このスライドは、0.05%のアミノプロピルシラン
(Sigma-Aldrich, St Louis MO)のコーティングが施してから110℃で硬化さ
れものである。ガラススライドのアレイ(マイクロアレイ)を、STRATALINKER U
Vクロスリンカー(Stratagene)においてUV照射する。
【0114】 プローブの作製 cDNAプローブ配列は、鋳型mRNAから作製される。5μgのmRNAを1μgのランダ
ムプライマー(Life Technologies)と混合し、70℃で10分間インキュべート
してから凍結乾燥する。この凍結乾燥したサンプルを、dNTP混合物及び[α-32P]
dCTP、ジチオスレイトール、MMLV逆転写酵素(Stratagene)を含む50μlの1x
第1鎖緩衝液(cDNA Synthesis system; Life Technologies)に再懸濁し、42℃
で1〜2時間インキュべートする。インキュべートした後、プローブを42μlの
蒸留水で希釈して95℃で3分間加熱し、その後氷上で冷却する。プローブのmR
NAをアルカリ分解によって除去する。このプローブを中和し、PROBEQUANT G-50
MicroColumn (Amersham Pharmacia Biotech)を用いて変性したmRNAや組み込まれ
なかったヌクレオチドを除去する。放射性核種[32P]dCTPの代わりにCy3-dCTP或
いはCy5-dCTP蛍光マーカー(Amersham Phamacia Biotech)でプローブを標識する
こともできる。
【0115】 ハイブリダイゼーション ハイブリダイゼーションは、0.5Mリン酸ナトリウム(pH7.2)及び7%SDS、1 mM
EDTAを含むハイブリダイゼーション緩衝液において65℃で行う。ハイブリダ
イゼーション緩衝液において、基板を少なくとも2時間65℃でインキュべート
した後、この緩衝液をプローブを含む新しい緩衝液10 mlに取り替える。65℃
で18時間インキュべートした後、ハイブリダイゼーション緩衝液を除去し、最
大40 mMのリン酸ナトリウム及び1%SDS、1 mM EDTA、65℃の条件に徐々にス
トリンジェンシーを増しながら、連続的に基板を洗浄する。膜上のハイブリダイ
ズした放射線標識したプローブによって生成されるシグナルを検出するために、
基板をPHOSPHORIMAGERカセット(Amersham Phamacia Biotech)に曝し、その画像
をIMAGEQUANTデータ解析ソフトウェア(Amersham Phamacia Biotech)を用いて解
析する。マイクロアレイ上のハイブリダイズした蛍光プローブによって生成され
るシグナルを検出するために、この基板を共焦点レーザ顕微鏡検査によって検査
し、GEMTOOLS遺伝子発現解析ソフトウエア(Incyse Pharmaceuticals)を用いて画
像を修正し解析する。
【0116】 8 相補的ポリヌクレオチド 本ポリヌクレオチドに相補的な分子またはその断片を用いて、遺伝子の発現を
検出したり、低下させたり、または阻害したりする。約18〜約60の塩基対を
含むオリゴヌクレオチドを用いる方法について説明するが、それより小さい断片
或いは大きい断片、またはその誘導体(PNA)についても同じ方法を利用できる
。オリゴヌクレオチドは、OLIGO 4.06ソフトウェア(National Biosciences)及
びSEQ ID NO:1−34またはそれらの断片を用いて設計した。プロモーターの結合
を阻害することによって転写を阻害するために、相補的なオリゴヌクレオチドを
設計して、最もユニークな5'配列に結合させる。ただし、最も好ましいのは、
オープンリーディングフレームの開始コドンの前の約10個のヌクレオチドであ
る。翻訳を阻害するために、相補的なオリゴヌクレオチドを設計して、本ポリペ
プチドをコードするmRNAがリボソームに結合しないようにする。
【0117】 9 特異的抗体の生産 ポリアクリルアミドゲル電気泳動法或いはその他の精製技術によって実質的に
精製した、SEQ ID NO:1−34によってコードされるポリペプチドまたはその断片
を用いて、Pound (前出)に記載された標準プロトコルに従ってウサギを免疫して
抗体を生産する。
【0118】 別法では、アミノ酸配列をLASERGENEソフトウェア(DNASTAR, Madison WI)を
用いて解析して免疫原性の高い領域を決定し、対応するオリゴペプチドを合成し
、これを用いて当業者に周知の方法で抗体を産生させる。C末端付近や隣接する
親水性領域などのエピトープの選択方法は、当分野で周知である。通常、約15
残基の長さのオリゴペプチドを、ABI 431Aペプチドシンセサイザー(PE Biosyst
ems)を用いてFmocケミストリにより合成し、N−マレイミドベンゾイル−N−
ヒドロキシスクシンイミドエステル(Ausubel, 前出)との反応によりキーホー
ルリンペットヘモシニアン(KLH Sigma-Aldrich)に結合させて免疫原性を高め
る。フロイント完全アジュバントにおけるオリゴペプチド−KLH複合体でウサギ
を免疫化する。得られた抗血清の抗ペプチド活性を検査するために、例えばこの
ペプチドをプラスチックに結合し、1%BSAを用いてブロックし、ウサギ抗血清
と反応させて洗浄し、さらに放射性ヨウ素標識されたヤギ抗ウサギIgGと反応さ
せる。
【0119】 10 本ポリヌクレオチドまたはポリペプチドと特異的に結合する分子のスク リーニング 本ポリヌクレオチドまたはその断片、または本ポリペプチド配列若しくはその
断片を、32P-dCTP、Cy3-dCTP、Cy5-dCTP (APB)、またはBIODIPYやFITC (Molecul
ar Probes, Eugene OR)でそれぞれ標識する。予め基板上に配列した候補分子の
ライブラリを、標識したポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の存在下でイ
ンキュベートする。アミノ酸配列または核酸配列の何れかに好適な条件下でイン
キュベートした後、基板を洗浄し、特異的な結合若しくは複合の形成を示唆する
標識が保持された基板上の全ての部分をアッセイし、結合している分子を同定す
る。様々な濃度のポリヌクレオチドまたはポリペプチドで得られたデータを用い
て、標識した核酸若しくはタンパク質と候補分子との親和性を計算する。
【0120】 (配列表の簡単な説明) この配列表は、SEQ ID NO:1−34のポリヌクレオチド配列及びSEQ ID NO:35の
ポリペプチド配列を含む具体的なアテローム性動脈硬化関連遺伝子配列を示す。
それぞれの配列は、配列識別番号(SEQ ID NO)によって識別できる。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】平成14年1月17日(2002.1.17)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の名称】 アテローム性動脈硬化に関連する遺伝子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/15 C12N 1/21 4C084 1/19 C12P 21/02 C 4H045 1/21 C12Q 1/68 A 5/10 G01N 33/15 Z C12P 21/02 33/50 Z C12Q 1/68 33/53 M G01N 33/15 33/566 33/50 37/00 102 33/53 C12N 15/00 ZNAA 33/566 5/00 A 37/00 102 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU, AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB ,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL, IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,L C,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG ,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT, RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,T J,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN ,YU,ZA,ZW (72)発明者 ウォーカー、マイケル・ジー アメリカ合衆国カリフォルニア州94089・ サニーベイル・#80・ボレガスアベニュー 1050 Fターム(参考) 2G045 AA25 AA40 DA12 DA13 DA14 DA36 DA77 FA16 FB02 FB03 FB07 HA16 4B024 AA01 AA11 BA80 CA04 EA04 GA11 HA12 4B063 QA01 QA18 QA19 QQ20 QQ43 QQ52 QQ79 QQ91 QR32 QR36 QR56 QR84 QS34 4B064 AG01 CA01 CA19 CC24 DA01 4B065 AA90Y AC14 BA02 CA24 CA44 4C084 AA02 AA07 BA01 BA08 BA22 BA23 CA18 CA25 DC50 MA01 NA14 ZA451 ZB212 4H045 AA10 AA30 CA40 EA20 FA72 FA73 FA74

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のサンプルにおいて1或いは複数の既知のアテローム
    性動脈硬化関連遺伝子と同時発現する単離されたポリヌクレオチドを含む組成物
    であって、 (a)SEQ ID NO:1乃至SEQ ID NO:34(SEQ ID NO:1−34)から選択された核酸
    配列と、 (b)SEQ ID NO:35をコードする核酸配列と、 (c)前記(a)若しくは前記(b)と相補的な核酸とからなる一群から選択
    されることを特徴とするポリヌクレオチド。
  2. 【請求項2】 SEQ ID NO:8の核酸配列またはその相補配列を含むポリヌ
    クレオチド。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のポリヌクレオチドを含む組成物。
  4. 【請求項4】 ポリヌクレオチドを用いて、分子または化合物のライブラ
    リをスクリーニングして、前記ポリヌクレオチドと特異的に結合する少なくとも
    1つのリガンドを同定する方法であって、 (a)特異的結合が許容される条件下で、請求項1に記載のポリヌクレオチド
    を前記分子または化合物のライブラリと結合させるステップと、 (b)特異的な結合を検出して、前記ポリヌクレオチドに特異的に結合するリ
    ガンドを同定するステップとを含むことを特徴とするリガンド同定方法。
  5. 【請求項5】 前記ライブラリが、DNA分子、RNA分子、PNA、擬態、およ
    びタンパク質から選択されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の方法で同定されたリガンドであって、前
    記ポリヌクレオチドの活性を調節することを特徴とするリガンド。
  7. 【請求項7】 ポリヌクレオチドを用いて、当該ポリヌクレオチドと特異
    的に結合するリガンドを精製する方法であって、 (a)特異的な結合が許容される条件下で、請求項1に記載のポリヌクレオチ
    ドをサンプルと結合させるステップと、 (b)前記ポリヌクレオチドとリガンドと間の特異的な結合を検出するステッ
    プと、 (c)結合した前記ポリヌクレオチドを回収するステップと、 (d)前記ポリヌクレオチドを前記リガンドから分離して、精製されたリガン
    ドを得るステップとを含むことを特徴とするリガンド精製方法。
  8. 【請求項8】 サンプルにおいて1或いは複数の既知のアテローム性動脈
    硬化関連遺伝子と同時発現するポリヌクレオチドの発現の変化と関連する疾患や
    症状の診断方法であって、 (a)1或いは複数のハイブリダイゼーション複合体が形成される条件下で、
    請求項1に記載の組成物とサンプルとを結合させるステップと、 (b)ハイブリダイゼーション複合体を検出するステップと、 (c)前記ハイブリダイゼーション複合体のレベルを非病変サンプルにおける
    ハイブリダイゼーション複合体のレベルと比較するステップとが含まれ、前記非
    病変サンプルのハイブリダイゼーション複合体のレベルに対する前記ハイブリダ
    イゼーション複合体のレベルの相違が、前記疾患或いはその症状の存在を示唆す
    ることを特徴とする診断方法。
  9. 【請求項9】 請求項2に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  11. 【請求項11】 ポリペプチドを生成する方法であって、 (a)前記ポリペプチドが発現する条件下で、請求項10の宿主細胞を培養す
    るステップと、 (b)培養細胞から前記ポリペプチドを回収するステップとを含むことを特徴
    とするポリペプチド生成方法。
  12. 【請求項12】 複数のサンプルにおいて1或いは複数の既知のアテロー
    ム性動脈硬化関連遺伝子と同時発現する遺伝子の遺伝子産物を含む実質的に精製
    されたポリペプチド。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載のポリペプチドであって、 (a)SEQ ID NO:1−34によってコードされるポリペプチド、及び (b)前記(a)のポリペプチド配列の少なくとも6個の連続するアミノ酸を
    含むオリゴペプチド配列から選択されることを特徴とするポリペプチド。
  14. 【請求項14】 SEQ ID NO:35のアミノ酸配列を含むポリペプチド。
  15. 【請求項15】 請求項12に記載のポリペプチド及び医薬担体を含むこ
    とを特徴とする医薬組成物。
  16. 【請求項16】 ポリペプチドを用いて、分子または化合物のライブラリ
    をスクリーニングして、前記ポリペプチドと特異的に結合する少なくとも1つの
    リガンドを同定する方法であって、 (a)特異的な結合が許容される条件下で、請求項12に記載のポリペプチド
    を前記分子または化合物のライブラリと結合させるステップと、 (b)前記ポリペプチドとリガンドとの間の特異的な結合を検出して、前記ポ
    リペプチドに特異的に結合するリガンドを同定するステップとを含むことを特徴
    とするリガンド同定方法。
  17. 【請求項17】 前記ライブラリが、DNA分子、RNA分子、PNA、擬態、タ
    ンパク質、アゴニスト、アンタゴニスト、および抗体から選択されることを特徴
    とする請求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 請求項16に記載の方法で同定されたリガンドであって
    、前記ポリペプチドの活性を調節することを特徴とするリガンド。
  19. 【請求項19】 ポリペプチドを用いて、サンプルからリガンドを精製す
    る方法であって、 (a)特異的な結合が許容される条件下で、請求項12に記載のポリペプチド
    をサンプルと結合させるステップと、 (b)前記ポリペプチドとリガンドと間の特異的な結合を検出するステップと
    、 (c)結合した前記ポリペプチドを回収するステップと、 (d)前記ポリペプチドを前記リガンドから分離して、精製されたリガンドを
    得るステップとを含むことを特徴とするリガンドの精製方法。
  20. 【請求項20】 1或いは複数の既知のアテローム性動脈硬化関連遺伝子
    と同時発現する遺伝子の発現の変化と関連する疾患の治療方法であって、請求項
    15に記載の医薬組成物を効果的な量、患者に投与することを含むことを特徴と
    する治療方法。
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