JP2003501630A - リポタンパク質画分を連続的に測定するための同時試験 - Google Patents

リポタンパク質画分を連続的に測定するための同時試験

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JP2003501630A JP2001500866A JP2001500866A JP2003501630A JP 2003501630 A JP2003501630 A JP 2003501630A JP 2001500866 A JP2001500866 A JP 2001500866A JP 2001500866 A JP2001500866 A JP 2001500866A JP 2003501630 A JP2003501630 A JP 2003501630A
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アラン ティー. リマリー,
モーリーン エル. サンプソン,
ジョージー クサコ,
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、1つの試料中に存在するLDL−C量、HDL−C量および総コレステロール量を測定するための新規の同時試験を提供する。本方法は、第1のリポタンパク質画分を、抗体などの複合体形成試薬と複合体を形成すること、非複合体形成リポタンパク質画分において、コレステロールを検出するために酵素を使用すること、第1のコレステロール値を得るために、非複合体形成画分のコレステロール量を測定すること、次に、コレステロールを酵素基質として利用できるようにするために、複合体を形成したリポタンパク質画分を、複合体形成試薬から解離させることを包含する。次いで、試料中の総コレステロール量を測定し得る。さらに、試料中に存在する第1のリポタンパク質画分値を得るために、得られた第1のコレステロール値を総コレステロール値から差し引き得る。必要に応じて、同じ管の試料中でトリグリセリドアッセイもまた行い得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (関連出願に対する引用) 本出願は、本明細書中で参考として援用されている、1999年5月28日に
出願された、米国仮特許出願第60/136,709号の一部継続出願である。
【0002】 (連邦の後援を受けた研究および開発の元で行われた発明に対する権利に関す
る供述書) この発明は、米国政府により所有される。
【0003】 (発明の背景) 血清総コレステロール(総−C)は、冠状動脈疾患の重要なリスク要素である
(Wilson,Pら、Circulation 97:1837−47(19
98))。しかしながら、様々なリポタンパク質画分がアテローム動脈硬化症の
進展に対して同じような影響を持っているという訳ではないため、各リポタンパ
ク質画分のコレステロール含量の測定は、冠状動脈疾患のリスクを知るために、
より価値がある。低密度リポタンパク質(「LDL」、LDLと結合するコレス
テロールは低密度リポタンパク質コレステロールとして公知であり、「LDL−
C」と言う)は前アテローム形成リポタンパク質画分であり、総−Cよりも冠状
動脈疾患に対するリスクとより密接に相関する。対照的に、高密度リポタンパク
質(「HDL」、HDLと結合するコレステロールは高密度リポタンパク質コレ
ステロールとして公知であり、「HDL−C」と言う)はアテローム動脈硬化の
ネガティブリスク因子である(Gordon Tら、Am J Med 62:
707−14(1997))。HDLは、コレステロールの逆行性の輸送を増加
させる、つまり過剰なコレステロールを排出するために末梢細胞から肝臓へとコ
レステロールを輸送する経路へと導く能力を持つ(Badimon J.J.ら
、Circulation 86:86−94(1992))という理由から、
動脈硬化の過程を逆転させるために有用であると考えられている。最近、LDL
−CおよびHDL−C両方を測定することが、冠状動脈疾患のリスク要素として
のコレステロールのスクリーニングに推奨されている(The Expert
Panel.JAMA 269:3015−23(1993))。
【0004】 最近まで、最も一般的なLDL−CおよびHDL−Cの測定方法には、総―C
の測定、総トリグリセリドの測定およびHDL−Cの測定の3つの試験を行う必
要があった。HDL−Cは、しばしば、遠心分離によるアポB含有リポタンパク
質(アポB含有リポタンパク質は、カイロミクロン、LDLおよび超低密度リポ
タンパク質、すなわち「VLDL」と考えられている)の沈殿および物理的除去
後に測定されている。例えば、Polymedco(Cortland Man
or,NY)により、マグネティックビーズ沈殿法に基づいた試験が提供されて
いる。Friedwald式(Friedwald W.T.ら、Clin C
hem 18:499−502(1972))を用いて、総−C、HDL−Cお
よびトリグリセリド値からLDL−Cを算出し得る。しかしながら、特にHDL
−Cの測定において、複数の試験が必要とされ、そして試験が煩雑であることか
ら、上記の方法にはいくつかの制限があり(Schectman G.ら、Cl
in Chem 42:732−737(1996))、スクリーニング試験と
して使用する場合、比較的コストが高い。
【0005】 HDL測定に対して、Kerscher、米国特許第4,892,815号(
「Kerscher I」)および、Kerscher、米国特許第4,851
,335号(「Kerscher II」)で記述されているような様々なさら
なるアプローチが行われてきた。リポタンパク質コレステロール画分測定におけ
る最近の1つの進展は、HDL−Cについての同時(homogenous)ア
ッセイの使用である。すなわち、このアッセイでは、測定を行うためにHDLま
たはアポB含有リポタンパク質を物理的に分離する必要がない。同時HDL−C
アッセイは一本のチューブで行うことができるため、以前の方法より操作が容易
で、より容易に自動化でき、より低いコストで行うことが可能であり、さらに優
れたアッセイ性能を提供する(Lin M.ら、Clin Chem 44:1
050−52(1998));Rifai N.ら、Clin Chem 44
:1452−58(1998));Nauck M.ら、Clin Chem
44:144−51(1998))。Ziegenhorn、米国特許第4,5
44,630号および、Miki、欧州特許出願 EP 0 754 948
A1もまた参照のこと。
【0006】 HDL−Cを同時に測定するために採られるアプローチの1つは、抗体−抗原
複合体を形成させるために血清に抗−アポB抗体を添加し、その後HDL−Cを
測定することである。例えば、Sigma Diagnostics(St.L
ouis,MO)から、EZ−HDLTMコレステロール試薬キットが市販されて
いる。このキットは、抗−アポB抗体を用いて、複合体を形成したアポB−含有
画分が、次に添加されるコレステロール測定酵素混合溶液へ接近できないように
し、その後、存在するHDL−Cレベルを標準的酵素測定法で測定することによ
りHDL−C測定を可能にする(そのために、予め混合された試薬が提供されて
いる)。典型的に、HDL−Cとコレステロールエステラーゼとを反応させて、
HDLに結合しているコレステロールエステルを遊離させ、次に、この遊離コレ
ステロールとコレステロールオキシダ−ゼおよび酸素とを反応させて、過酸化水
素を生じさせることによって、HDL−Cを測定する。次いで、過酸化水素を、
様々な方法で測定し得る。
【0007】 日本国公開特許広報平6−242110において、測定する必要のないリポタ
ンパク質画分を適切な抗体と複合体を形成させている。次にコレステロール含量
の測定に必要な酵素を添加し、コレステロールの遊離および酸化を起こし、そし
て試薬を添加して、呈色変化により過酸化水素を測定する。この呈色変化(これ
は、抗体−抗原複合体の存在によって引き起こされる濁りにより阻害を受ける)
を容易に読みとるために、界面活性剤を添加して、複合体を可溶化する。リポタ
ンパク質画分の測定は、抗体−抗原複合体から遊離したリポタンパク質画分によ
り影響を受けることを防ぐために、同時に重金属を添加して、酵素を不活性化し
、そして酵素反応を停止させる。
【0008】 HDL画分を測定することができるように、抗体以外の試薬をまた、非−HD
Lリポタンパク質が酵素反応に加わることを困難にする目的で使用する。例えば
、Roche Diagnostics(Basel,Switzerland
)により、硫酸化α−シクロデキストリン、デキストランサルフェートおよびM
gCl2と、試料中に存在する非−HDLリポタンパク質との水溶性複合体を形
成させ、その後ポリエチレングリコール(「PEG」)化コレステロールエステ
ラーゼおよびコレステロールオキシダ−ゼを導入するといった、ポリエチレング
リコールを基にした系が提供されている。非−HDL複合体はPEG修飾酵素に
は接近できないため、HDL画分を測定できる。
【0009】 その他の同時アッセイは、Genzyme Diagnostics(San
Carlos,CAおよびCambridge MA)により、Liquid
N−geneous(登録商標)HDLという商品名で提供される。この方法
において、合成ポリアニオンが非−HDLリポタンパク質の表面に吸着して、こ
れらがコレステロールエステラーゼに接近できないようにし、その一方で、HD
L画分を可溶化し、そして従来の酵素反応を起こす。HDLに対する様々な同時
アッセイが、例えば、Nauckら、Clin Chem 44:1143−1
451(1998)およびHarrisら、Clin Chem 43:816
−823(1997)において検討および比較されている。N−geneous
(登録商標)系がリンタングステン酸沈殿と、例えば、Halloranら、A
rch Path Lab Med 123:317−326(1999)およ
びHubbardら、Am J Clin Path 110:495−502
(1998)において比較されている。リポタンパク質画分を複合体化するため
に他のポリアニオンを使用することもまた公知である。例えば、Burstei
nら、J.Lipid Res 11:583−595(1970)を参照のこ
と。
【0010】 LDL−Cを測定するための参照方法は、β−定量法である。この方法は、へ
パリンおよび、マンガン、マグネシウムまたはカルシウムなどの2価陽イオンを
用いた化学沈殿、ならびに上清中のHDL画分を除去する超遠心により、LDL
−C測定に成功している。次に、存在する量を測定するために、上清を除去し、
LDLを可溶化し、反応させ得る。LDL−C値はまた、一旦、総−C、トリグ
リセリドおよびHDL−Cを測定した後、Friedewald式により得られ
る。
【0011】 さらに最近、LDL−Cについての二つの同時アッセイが開発された。1つは
、Roche Diagnostics(Basel,Switzerland
)により導入されたもので、非−LDL画分が、酵素的測定で使用される酵素を
利用できないようにするために、MgCl2、硫酸化α−シクロデキストリンお
よびデキストランサルフェートなどの試薬を用いる。次に、選択的にLDL−C
を可溶化するために非イオン性界面活性剤を導入し、従来の酵素反応により測定
する。もう1つは、Genzyme(Cambridge,MA)より市販され
ているもので、界面活性剤で非−LDL画分を選択的に可溶化し、次に、色素標
識の非存在下で、酵素と反応させる。非−LDL−Cを反応させた後、色素物質
存在下で、第2の界面活性剤によりLDL−Cを可溶化し、従来の酵素反応によ
るLDL−C測定を可能にする。これらの方法の相対的なメリットおよび問題点
は、例えば、NauckおよびRifai,Clinica Chimica
Acta 294:77−92(2000)にて検討され、そして比較されてい
る。
【0012】 (発明の要旨) 本発明は、試料中に存在するリポタンパク質と会合するコレステロールの連続
的な同時アッセイを行う方法に関する。本方法は、次のような順で、以下の工程
を包含する:試料中の第1のリポタンパク質画分と、この第1のリポタンパク質
画分と選択的に複合体を形成する複合体形成薬剤とを接触させて、薬剤−第1の
リポタンパク質画分複合体を形成する工程であって、ただし、この複合体がコレ
ステロールエステラーゼの基質ではない、工程;コレステロールエステラーゼお
よびコレステロールオキシダ−ゼを用いることによって、この試料中に存在する
第2のリポタンパク質画分と会合する任意のコレステロールの量を測定して、第
1のコレステロール値を得る工程;第1のリポタンパク質画分を、第1のリポタ
ンパク質/薬剤複合体から解離する工程;ならびに試料中に存在する総コレステ
ロール量を測定する工程。いくつかの実施形態において、複合体はまた、コレス
テロールオキシダ−ゼに対する基質ではなく、また、他の実施形態において、コ
レステロールデヒドロゲナーゼに対する基質ではない。
【0013】 さらに、総−C値から、第1のリポタンパク質画分について得られた値を差し
引くことにより、第2のリポタンパク質画分の量もまた決定し得る。従って、本
発明の方法を用いて、HDLおよび総−Cを測定し、このことにより試料中の非
−HDL−Cを算出するか、または、試料中のLDL−Cおよび総Cを測定して
、非−LDL−Cを算出する。
【0014】 複合体形成薬剤は、例えば、第1のリポタンパク質画分に選択的に結合する抗
体、ポリアニオン、または硫酸化シクロデキストリンであり得る。適切なポリア
ニオンとしては、へパリン、デキストランサルフェート、リンタングステン酸、
ポリビニルスルフェート、へパリン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸お
よび硫酸化オリゴサッカリドが挙げられる。
【0015】 いくつかの実施形態において、複合体形成薬剤から第1のリポタンパク質を解
離させるために非−変性界面活性剤を使用する。好適な実施形態において、その
ような界面活性剤はデオキシコレートである。
【0016】 本発明の方法は、測定されるリポタンパク質画分中の全てのコレステロールが
遊離コレステロールの形をとるように、その画分のコレステロールエステルとコ
レステロールエステラーゼとを反応させ、第1および第2のリポタンパク質画分
に存在するコレステロールの量を測定する工程を包含する。実施者により選択さ
れる系に依存して、次に、遊離コレステロールを典型的に、コレステロールオキ
シダ−ゼまたはコレステロールデヒドロゲナーゼと反応させる。必要であれば、
第1のリポタンパク質画分で得られた値を、総コレステロール値について得られ
た値から差し引く。
【0017】 いくつかの実施形態において、試料中に存在するコレステロール量を光学的な
手段により測定する。好適な実施形態において、光学的な手段は、指示薬分子の
吸収(absorption)スペクトルまたは放出(emission)スペ
クトルの変化である。いくつかの好適な実施形態において、指示薬分子は染料で
ある。他のいくつかの好適な実施形態において、指示薬分子はNADまたはNA
DPである。
【0018】 本発明のさらに他の局面において、この方法は、さらに、試料中に存在する任
意のトリグリセリドの量を測定する工程を包含する。
【0019】 他の局面において、本発明は、複合体形成薬剤、非変性界面活性剤および本発
明方法を実施するための説明書から構成される、試料中に存在するコレステロー
ル量を測定するためのキットに関する。複合体形成薬剤は、例えば、抗−アポB
抗体または抗−アポAI抗体または抗−アポAII抗体であり得る。複合体形成
薬剤は、あるいは、合成ポリアニオンまたは硫酸化シクロデキスリンであり得る
。非変性界面活性剤は、例えば、デオキシコレートであり得る。さらに本キット
は、コレステロールまたはトリグリセリド測定に有用な、リパーゼ、グリセロー
ルキナーゼ、グリキナーゼ(glykinase)、グリセロールホスフェート
デヒドロゲナーゼ、グリセロールホスフェートオキシダ−ゼ、ペルオキシダ−ゼ
、ピルビン酸キナーゼおよび乳酸デヒドロゲナーゼのような、1つ以上の酵素を
含み得る。
【0020】 (詳細な説明) (I.導入) 本発明は、一連の簡易な工程で、患者の血清試料などの試料中に存在する様々
なリポタンパク質画分と会合するコレステロール量を測定するための新規な方法
を提供する。それぞれの工程が簡易であるにもかかわらず、組み合わせることで
、単一の液層において、単一のチューブで、単一の試料から、HDL−Cおよび
総―C、またはLDL−Cおよび総−Cの測定を行うことが可能となる。必要に
応じて、存在するトリグリセリドのレベルもまた測定し得る。本発明者らはまず
、HDLおよび総コレステロール値を測定するアッセイ、従って、二重HDL/
総コレステロールアッセイ(すなわち、「DHT」アッセイ)と名付けた。この
方法を、LDL−Cおよび総−C、および特別な工程としてトリグリセリドを測
定する場合にも使用し得るが、本発明者らは、便宜上、本発明者らの方法をこの
名前で呼ぶこととする。
【0021】 4つの工程で、順番どおり、標準的DHTアッセイを行う。まず、第1の工程
で、選択された試料中に存在し得るリポタンパク質画分(複合体形成薬剤と選択
的に複合体を形成するリポタンパク質画分を、本明細書中以降、「第1のリポタ
ンパク質画分」と呼ぶ)と選択的に複合体を形成し得る薬剤を添加する。例えば
、試料中に存在するアポB含有リポタンパク質(LDL、VLDLおよびカイロ
ミクロン)と複合体を形成させるために、抗−アポB抗体を添加し得る。このこ
とにより、HDL−Cリポタンパク質が複合体を形成しないようにする。または
、HDLのような、アポAIまたはアポAII含有リポタンパク質と抗体複合体
を形成させるために、抗−アポAIまたは抗−アポAII抗体を使用し得る。複
合体形成薬剤は、リポタンパク質画分(これは、複合体形成薬剤と反応する)が
コレステロールエステラーゼ、および好適にはコレステロール含量の通常のアッ
セイで使用される、コレステロールオキシダ−ゼまたはコレステロールデヒドロ
ゲナーゼ酵素のうちの少なくとも1つとの酵素反応に利用されないようにされる
【0022】 第2の工程において、複合体を形成しないままであるリポタンパク質画分(「
第2のリポタンパク質画分」)の測定を行う。従って、直前で言及される例にお
いて、複合体形成薬剤が抗−アポB抗体である場合、試料中のHDL−Cは複合
体を形成しないままであり、測定に供される。典型的に、従来の酵素反応により
測定が行われる。これらの従来のアッセイの1形態において、リポタンパク質を
まず、コレステロールエステラーゼと接触させる。典型的に遊離コレステロール
およびコレステロールエステルとして存在するリポタンパク質中の全てのコレス
テロールを、酵素によって、遊離コレステロールへ変換する。次に、コレステロ
ールオキシダ−ゼとの反応産物がある場合指示薬分子の呈色変化を誘導するレポ
ーター酵素(典型的にはペルオキシダ−ゼ)の存在下で、遊離コレステロールを
コレステロールオキシダ−ゼと反応させる。「NAD」法と呼ばれる第2の従来
の方法において、コレステロールエステラーゼとの反応に続いて、コレステロー
ルをコレステロールデヒドロゲナーゼと反応させる。これによって、NADをN
ADHに還元し、またその結果、コレステロール含量と相関し得る溶液の吸光度
プロファイルが変化する。例えば、Kayamoriyら、Clin Chem
45:2158−63(1999)を参照のこと。この方法の変法として、N
ADの代わりにNADPを利用してアッセイが行われる。
【0023】 複合体を形成しているリポタンパク質に結合するコレステロールを、選択した
方法の酵素との反応から立体構造的に妨害し、酵素基質として利用できないよう
にする。従って、酵素は、試料中に存在する任意のHDL−C画分とも結合する
コレステロール(非−HDL−Cが複合体を形成する場合)、または試料中に存
在する任意のLDL−C画分とも結合するコレステロール(HDL−Cが複合体
形成薬剤と複合体を形成する場合)とのみ反応する。
【0024】 一度酵素が効果的に十分に第2のリポタンパク質画分(複合体形成薬剤と複合
体を形成しなかった画分)に存在するコレステロールと反応したら、第3の工程
を行う。第3の工程において、試薬−リポタンパク質複合体を、酵素を変性させ
ることなく破壊し得る界面活性剤を試料に添加し、初めに薬剤と複合体を形成し
ていたリポタンパク質画分(第1のリポタンパク質画分)と結合するコレステロ
ールの酵素的測定を可能にする。酵素が変性していないため、その酵素を、第1
のリポタンパク質画分におけるコレステロールとの反応に利用することができる
。さらに、第2のリポタンパク質画分中の全ての、または実質的に全てのコレス
テロールを、界面活性剤添加前に反応させたので、界面活性剤添加後に酵素と反
応する任意のさらなるコレステロールが第1のリポタンパク質画分由来のもので
あると考えられる。
【0025】 第4の工程において、工程1から工程3の終わりまでのベースラインからの吸
光度における変化を測定する。この変化は総−Cに比例する。次に、総コレステ
ロール測定の結果(工程4)を、第2のリポタンパク質画分の測定値(工程2)
から差し引くことにより、第1のリポタンパク質画分のコレステロール(初めに
複合体形成薬剤と複合体を形成させたコレステロール)を算出し得る。DHTア
ッセイの理論的反応プロフィールの線図を図1に示す。注意すべきことは、本方
法が便宜上および明瞭に説明するために4工程で記述されている一方で、実際は
、いくつかの工程を組み合わせ、そして一緒に行い得ることである。例えば、工
程1および2、または工程3および4を組合わせ得る。
【0026】 第1のリポタンパク質画分で得た測定値を、総−Cから差し引くことによって
、第2のリポタンパク質画分の量がまた算出できる。従って、本発明の方法を用
いて、例えば、HDLおよび総−Cを測定し、試料中のLDL−CおよびVLD
L−Cを算出し得るか、またはLDLおよび総−Cを測定し、このことにより試
料中の非LDL−Cを算出し得る。注意すべきことは、試料中の非LDL−C値
の算出は、試料中のHDL−C(通常、次の目的のリポタンパク質画分)と、V
LDL−Cおよび他の微量のリポタンパク質画分とが合わさっていることである
。同様に、本発明の方法によりHDL−Cを測定する場合、従って、非−HDL
−Cが複合体を形成している場合、VLDL−Cは、概してLDL−C(このア
ッセイにおいて、HDL−Cの次に最も目的のリポタンパク質画分)と複合体を
形成している。
【0027】 必要に応じて、さらに他の局面において、トリグリセリドレベルを測定し得る
。これは通常、リパーゼ、グリセロールホスフェートデヒドロゲナーゼ、グリセ
ロールホスフェートオキシダ−ゼおよびペルオキシダーゼ(ペルオキシダーゼを
使用したコレステロール含量アッセイのように、呈色変化を与える)を用いて、
あるいは、代わりにリパーゼ、グリセロールキナーゼ、ピルビン酸キナーゼおよ
び乳酸デヒドロゲナーゼ(コレステロール含量を測定するNAD法のように、溶
液の吸収プロファイル変化与え、存在するトリグリセリドの量に対する相関を可
能にする)を用いて、「NAD」法により行われる。トリグリセリドを測定する
ために、様々な従来法のアッセイが当該分野において公知である。例えば、約9
種類の市販のアッセイが、Sampsonら、Clin. Chem.40:2
21−226(1994)にて比較されている。
【0028】 さらに、存在するトリグリセリド測定により、本アッセイの価値が広げられる
。例えば、本方法がHDL−C、次に総−C、次にトリグリセリドの測定に使用
される場合、Friedewald式によってLDL−Cを算出し得る。逆に、
本方法がLDL−C、次に総―Cおよび必要に応じてトリグリセリドの測定に使
用される場合、Friedewald式によって非LDL−Cを算出し得る。従
って、本方法は融通がきき、単一のチューブ内で同時に、全ての一般的に測定さ
れるリポタンパク質画分を測定することを可能にする。
【0029】 多数のアッセイにおいて得られた結果および標準的アッセイ(図2〜6で示す
ような)との比較を基にして、DHTアッセイは満足いく分析性能を持ち、標準
的アッセイと類似の結果を生じる。しかし、DHTアッセイによりリポタンパク
質画分のコレステロール含量測定のアプローチが簡易化される。DHT試験の他
に、リポタンパク質画分のコレステロール含量測定のために総トリグリセリドの
アッセイのみが必要とされる。DHT試験は同時試験であるため、単一チューブ
中で本アッセイが行われ得、そして沈殿および遠心などの前処理を必要としない
。一度HDLまたはLDLを測定した後、総コレステロールを測定するためのさ
らなるレポーター酵素が全く必要ないため、DHT試験はまた、コスト効果が優
れている。リポタンパク質画分分析は、冠状動脈疾患リスクを持つ集団のスクリ
ーニングのため、および治療の指針のための両方に広く使用されるので、このア
ッセイを行うにあたって、全体的な煩雑さおよびコストを減少させることは重要
である。さらに、LDL−CまたはHDL−Cのどちらかをアッセイするために
同じ試験手順を使用し得る。直接的にHDLをアッセイすることを選択した場合
、LDLを第一リポタンパク質画分とするように、抗−アポB抗体のような、L
DLと複合体を形成する複合体形成薬剤を使用する。直接的にLDLをアッセイ
することを選択した場合、試料中のHDLを第一リポタンパク質画分とするよう
に、抗−アポAI抗体または抗−アポAII抗体のような、HDLと複合体を形
成する複合体形成薬剤を使用する。
【0030】 要するに、DHT試験は、HDL−Cおよび総コレステロール、またはLDL
−Cおよび総コレステロール、また必要であればトリグリセリドの、二重測定に
ついての比較的簡易な方法である。この方法により、コレステロールリポタンパ
ク質画分アッセイをかわりのコスト効率を提供する。またDHT試験は融通がき
き、異なるタイプの複合体形成薬剤を使用することも可能である。下記の実施例
1および2において、複合体形成薬剤として抗体を用いた本発明の使用を示す。
実施例3および4において、合成ポリアニオンを用いて満足する結果が得られて
いることを示す。実施例5において、複合体形成薬剤として硫酸化シクロデキス
トリンを用いて満足する結果が得られていることを示す。
【0031】 下記の考察により、本明細書中で使用される用語の定義に関するさらなる情報
が提供される。次に、本発明における使用に適した複合体形成薬剤、工程1で形
成された複合体形成薬剤−第1のリポタンパク質画分複合体を破壊するために使
用し得る界面活性剤、それぞれのリポタンパク質画分に存在するコレステロール
レベルの測定系、および本発明の方法を用いる際に、必要に応じた一連の工程と
してのトリグリセリド測定アッセイの考察を進める。
【0032】 (II.定義) 他に特に定義しない場合、本明細書中で使用する全ての科学的および技術的な
用語は、本発明が属する当業者により一般的に理解される意味と同じ意味を持つ
。本発明の実際において、本明細書中で記述されているものと同じまたは同等の
物質および方法を使用し得るが、好適な方法および物質を記述する。本発明の目
的のために以下の用語が以下に記載される。
【0033】 Stedman’s Medical Dictionary(ステッドマン
医学辞典)(Hensyl編、第25版、Williams & Wilkin
s,Baltimore MD,1999)(「Stedman’s」)による
と、「リポタンパク質」とは、脂質およびタンパク質を含む複合体または化合物
を意味する。血漿中のほとんど全ての脂質がリポタンパク質の形態をとっている
ということがStedman’sに記載されている。Stedman’sの88
6ページ、「リポタンパク質」の定義を参照のこと。
【0034】 Stedman’sではリポタンパク質をその浮上定数または密度(「d」)
で、次のように分類している。即ち、キロミクラ、<1.006;超低密度リポ
タンパク質(「VLDL」),1.006−1.019;低密度リポタンパク質
(「LDL」),1.019−1.063;高密度リポタンパク質,1.063
−1.121,および超高密度リポタンパク質(「VHDL」),>1.21.
Id である。動脈硬化を防ぐためには、VHDL画分の効果に対しての関心が
大きくなるにも関わらず、VHDLは通常、HDLとともに測定される。他に文
脈において特定または明白になっていない限り、本明細書中で意味する「HDL
」には、また、存在し得るVHDLが含まれる。
【0035】 本明細書中で使用されるように、「HDL」および「HDL−C」は、特に示
されるか、または状況によって必要とされない限り、一般的に同義語として使用
される。
【0036】 本明細書中で使用されるように、「LDL」および「LDL−C」は、特に示
されるか、または状況によって必要とされない限り、一般的に同義語として使用
される。
【0037】 「結合する」なる語は、特定のリポタンパク質画分のコレステロール含有物に
関して、考察下で特定のリポタンパク質画分に属するような、浮上係数で分類さ
れている粒子において、コレステロールがタンパク質と複合体を形成するという
ことを意味する。
【0038】 リポタンパク質における「コレステロール」は、遊離コレステロールおよびコ
レステロールエステルの両方の形で存在する。典型的に、リポタンパク質中のコ
レステロールエステルを遊離コレステロールに変換するために、コレステロール
エステラーゼとリポタンパク質を反応させる。リポタンパク質中の全てのコレス
テロールがさらなる反応に利用され得る。特に文脈において示されないかまたは
必要とされない限り、リポタンパク質画分中の「コレステロール」が本明細書中
で意味するのは、遊離コレステロールおよびコレステロールエステルとして存在
するコレステロールの両方である。
【0039】 「複合体形成試薬」なる語(しばしば、単に「試薬」と記述する)は、例えば
、HDLまたはLDL、非−アポB含有リポタンパク質、または非−アポAIま
たは非−アポAII含有リポタンパク質など、特定のリポタンパク質画分に選択
的に結合できる化合物または分子を意味する。しばしば、複合体形成試薬は、抗
−アポB抗体のような抗体である。選択されたリポタンパク質画分と結合するた
めに、ポリアニオンおよび硫酸化シクロデキストリンがまた、使用され得る。好
適には、複合体形成試薬の結合により、その試薬が結合または複合体を形成して
いるリポタンパク質画分を変化も破壊もしない。さらに、より好適に、本試薬は
立体構造的に、その試薬が複合体を形成しているリポタンパク質の、コレステロ
ールエステラーゼ、コレステロールオキシダ−ゼ、またはその両方との相互作用
を妨害する。
【0040】 本明細書中で使用されるように、「非変性界面活性剤」は、(1)抗体のよう
な複合体形成試薬とリポタンパク質画分とにより形成された複合体を溶解し得、
(2)コレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダ−ゼを不活性化し
ないか、または標準的試薬を用いた、コレステロール量の比色定量に重大な影響
を与えない界面活性剤である。
【0041】 「指示薬分子」とは、反応を追跡するために使用し得る分子を意味する。典型
的に、これは、関心ある酵素反応産物の存在下で吸光度(absorbance
)や放出スペクトル(emission spectra)が変わる色素のよう
な分子を用いて行われる。ペルオキシダーゼを組み合わせた反応の場合、色素の
酸化によりその吸収スペクトルが変わる。NADおよびNADP反応系の場合、
指示薬分子がそれぞれNADまたはNADPであり、NADHまたはNADPH
にそれぞれ還元された時、その吸光度が変化する。
【0042】 本明細書中で使用されるように、「測定(determining)」には、
第2の値を得るために値に足すまたは値から差し引くことを含めて、「測定(m
easuring)」という意味が含まれる。
【0043】 「解離する(dissociating)」とは、複合体形成試薬およびリポ
タンパク質画分により形成された複合体に関して、典型的に、複合体を分解また
は溶解することによって複合体を引き離すことを意味する。
【0044】 「抗−アポAI抗体」または「抗−アポAII抗体」とは、アポリポタンパク
質AIまたはAIIをそれぞれ特異的に認識し複合体を形成する抗体または抗体
断片を意味する。
【0045】 本明細書中で使用されるように、「抗−アポB抗体」とは、キロミクロン、V
LDLおよびLDL上の抗原性決定因子を特異的に認識し複合体を形成する抗体
または抗体断片を意味する。特に、この語は、アポリポタンパク質Bを認識する
抗体に関連する。
【0046】 「抗−アポC抗体」は、アポリポタンパク質Cを特異的に認識する抗体または
抗体断片である。同様に、「抗−アポE抗体」とは、アポリポタンパク質Eを特
異的に認識する抗体または抗体断片である。
【0047】 「特異的に結合する」とは、抗体などの複合体形成試薬に関して、その試薬が
好適に示される画分のリポタンパク質と結合し、全くあるいはごく微量しか、他
のリポタンパク質と結合しないことを意味する。特に抗体に関して、分子および
非−標的リポタンパク質の間で、ある一定の程度の非特異的相互作用が起こり得
るということが認識される。それにもかかわらず、抗原の特異的認識を用いて、
特異的な結合を区別し得る。
【0048】 本明細書中で使用されるように、「抗体」とは、結合タンパク質として機能的
な面で、および、抗体を産生する動物の免疫グロブリンをコードする遺伝子の枠
組み構造領域に由来するものとして当業者によって認識されるアミノ酸配列から
構成されるもとして構造的に定義されるタンパク質を意味する。抗体は、免疫グ
ロブリン遺伝子または免疫グロブリン遺伝子断片によって実質的にコードされる
1つ以上のポリペプチドからなり得る。認識される免疫グロブリン遺伝子には、
kappa,lambda,alpha,gamma,delta,epsil
onおよびmu定常領域遺伝子と同時に、無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子
が含まれる。軽鎖は、kappaまたはlambdaのどちらかに分類される。
重鎖は、gamma,mu,alpha,deltaまたはepsilon(順
に免疫グロブリンクラスIgG,IgM,IgA,IgDおよびIgEとしてそ
れぞれ定義される)に分類される。
【0049】 典型的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、四量体から構成されることが公
知である。それぞれの四量体は、それぞれのペアが1つの「軽」鎖(およそ25
kD)および1つの「重鎖」(およそ50−70kD)を持つ、ポリペプチド鎖
の二つの同一のペアから構成される。それぞれの鎖のN−末端は、主として抗原
認識に関わる、およそ100〜110またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を規
定する。可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)なる語は、これらの軽鎖およ
び重鎖をそれぞれ意味する。
【0050】 抗体は、そのままの免疫グロブリンまたは様々なペプチドを消化することによ
り生成された、いくつもの良く特徴付けられた断片として存在する。従って、例
えば、ジスルフィド結合によりVH−CH1と連結した軽鎖である、F(ab)
’2、Fabの二量体を産生するために、ヒンジ領域におけるジスルフィド結合
において、ペプシンで抗体を消化する。ヒンジ領域におけるジスルフィド結合を
壊すために、穏やかな状態で、F(ab)’2は還元され得る。このヒンジ領域
におけるジスルフィド結合の破壊によって、F(ab)’2二量体がFab’単
量体に変換される。Fab’単量体は基本的に、ヒンジ領域の一部を持つFab
である(Fundamental Immunology、W.E.Paul編
、Raven Press、N.Y.(1993)参照、またさらなる詳細な他
の抗体断片の説明として)。様々な抗体断片が、そのままの抗体の消化物として
定義されている一方で、当業者は、そのようなFab’断片を化学的にまたは組
換えDNA法を用いてde novo合成し得るということを理解する。従って
、抗体なる語は、また、抗体全体を改変させることによって産生されたか、ある
いは組換えDNA法を用いてde novo合成した抗体断片をも含み、また、
一本鎖抗体(ポリペプチド単鎖として存在する抗体)をも含む。この語は、また
、連続的なポリペプチドを形成するために可変重鎖および可変軽鎖を一緒に連結
する(直接的に、またはペプチドリンカーを通して)単鎖Fγ抗体(sFvまた
はscFv)を含む。単鎖Fγ抗体は、直接またはペプチドコードリンカーによ
って連結されているのいずれかでVH−およびVL−コード配列を含む核酸から
発現され得るVH−VLヘテロ二量体と共有結合している。(Hustonら、
(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:5879
−5883)。VHおよびVLがそれぞれ、ペプチド単鎖として結合する一方で
、VHおよびVLドメインが非共有結合で結合する。好適な抗体には、scFv
、Fv、Fabおよびジスルフィド結合したFvが含まれる(Reiterら、
(1995)Protein Eng.8:1323−1331)。抗体はまた
、ジ抗体(diantibody)および小分子抗体が含まれ得る。
【0051】 ポリクローナルおよびモノクローナル抗体を作製する方法は、当業者により公
知である。Coligan(1991),CURRENT PROTOCOLS
IN IMMUNOLOGY,Wiley/Greene,NY;およびHa
rlowおよびLane;Stitesら、(編)BASIC AND CLI
NICAL IMMUNOLOGY(第4版)Lange Medical P
ublication,Los Altos,CAおよびそこに含まれる参考文
献;Goding(1986),MONOCLONAL ANTIBODIES
:PRINCIPLES AND PRACTICE(第2版)Academi
c Press,New York,NY;およびKohlerおよびMils
tein(1975),Nature,256:495−497を参照のこと。
このような技術には、ファージまたは同様のベクターの組換え抗体ライブラリか
らの抗体の選択による抗体調製が含まれる。Huseら、(1989),Sci
ence,246:1275−1281;およびWardら(1989),Na
ture,341:544−546を参照のこと。
【0052】 (III.複合体形成試薬) 本発明での使用に適した複合体形成試薬は、特定のアッセイにおいて測定され
るもの以外に、リポタンパク質画分の構造的決定因子を特異的に認識し、立体構
造的に、複合体に対するコレステロールエステラーゼの接近および典型的にコレ
ステロールオキシダ−ゼの接近を妨害するものである。さらに、複合体形成試薬
と、それが複合体を形成するリポタンパク質画分との間に形成される複合体は解
離され得るべきであり、一旦、その試薬とリポタンパク質との間の複合体が解離
すると、その試薬によりリポタンパク質が破壊も分解もされるべきではなく、ま
たリポタンパク質に対してコレステロールエステラーゼまたはコレステロールオ
キシダ−ゼとの反応を妨げるような形で働くべきではない。
【0053】 ある重要な一連の好適な実施形態において、複合体形成試薬は抗体である。抗
−アポB抗体は、本発明において有用な、重要な一連の抗体から構成される。ア
ポリポタンパク質Bまたは「アポB」はキロミクロン、VLDLおよびLDLと
関連している。従って、試料に添加された抗−アポB抗体は、全ての非−HDL
リポタンパク質画分と複合体を形成する。低密度リポタンパク質は、現在、一部
で、その関連タンパク質によって区別し得る、関連のあるリポタンパク質グルー
プから構成されると考えられている。
【0054】 抗−アポAIおよび抗−アポAII抗体は、本発明において有用な、一連の2
番目に重要な抗体から構成される。アポAIはHDLリポタンパク質の75−8
0%を構成し、全てのHDL種で見出される。従って、LDLおよびHDLレベ
ルの好適な概算値を得るために、抗−アポAI抗体を単独で使用し得る。より正
確に読み取るために、抗−アポAII抗体を使用し得る。アポリポタンパク質A
IIは、総HDLタンパク質のおよそ20%を構成する。またLDL種にも数%
存在する。しかしながら、試料中に存在する数%のLDLと複合体を形成するこ
とは、試験の全体的な精密さには重大な影響を与えることはないし、例えば、全
体的なHDL測定の正確性がNational Cholesterol Ed
ucation Program(例として、WarnickおよびWood,
Clin.Chem.41:1427−33(1995)を参照のこと)により
許容されるものとして置かれるレベル以下になることはないと推測される。従っ
て、抗−アポAIおよび抗−アポAII抗体は、HDL画分と複合体を形成し、
本明細書中の方法を用いてLDL−Cおよび総―Cを測定したい場合、使用され
る。
【0055】 本発明が、試料中に存在するHDL、LDLおよび総−Cレベルを測定するた
めにもっともよく使用される一方、場合によっては、存在するリポタンパク質の
特定のサブ画分を測定することが望ましい。本発明方法を用いて、関心あるリポ
タンパク質画分と複合体を形成する複合体形成試薬を使用し、このようなサブ画
分を測定し得る。例えば、それらの決定因子を持つ存在するリポタンパク質量を
測定するために、アポE、アポCまたはアポリポタンパク質Jを認識する抗体を
使用し得る。
【0056】 抗体の使用により、複合体となったリポタンパク質が、コレステロールを測定
するために用いる酵素、典型的に、コレステロールエステラーゼおよびコレステ
ロールオキシダ−ゼ、と相互作用をすることを立体構造的に妨害するような抗体
/リポタンパク質複合体が形成される。次に、非複合体形成画分において有効な
全てのコレステロールが反応するに至るまで、複合体を形成しないリポタンパク
質画分におけるコレステロールを測定する。次に、複合体を溶解し、酵素基質と
して使用できるようにするために複合体を形成していたリポタンパク質画分を解
離させ、次いで、遊離コレステロール量を測定し得る。
【0057】 複合体形成試薬として、抗体の他に、合成ポリマー、特にポリアニオンを使用
し得る。好適な実施形態において、GenzymeよりN−geneous(登
録商標)HDL test kitで供給される合成ポリアニオンによって、本
発明方法で使用するために十分であることが証明されている。カルシウム、マグ
ネシウムおよび塩化マンガンなどの2価陽イオンとともに、へパリン、デキスト
ランサルフェート、リンタングステン酸およびポリビニル硫酸などいくつものポ
リアニオンが、当該分野において公知である。例として、Kerscher,米
国特許第4,746,605号(例えば、分子量および好適な濃度範囲を明らか
にしている);Karl,米国特許第5,804,450号(例えば、さらなる
ポリアニオンを明らかにしている);およびHino,米国特許第5,773,
304号(例えば、界面活性剤存在下におけるポリアニオンまたは2価陽イオン
の使用を明らかにしている)を参照のこと。Miki,米国特許第5,925,
534号もまた、より知られているポリアニオン、へパリン、リンタングステン
酸およびデキストランサルフェートおよびそれらの塩が好適であることを述べて
いるが、硫酸化シクロデキストリン、へパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヒア
ルロン酸、硫酸化オリゴサッカリド、硫酸化ポリアクリルイミド、カルボキシル
メチル化ポリアクリルアミドおよびポリアニオンとしてのこれらの塩を列挙して
いる。患者の試料と混合する試薬中のポリアニオンの濃度は通常、0.0001
%〜10%(w/v)であり、好適には、0.001%〜1%(w/v)という
ことが示される。さらに、ポリアニオンを単独で、または他のものと組み合わせ
て使用し得るということを述べている。
【0058】 ‘534特許では、おそらく硫酸基による付与される電荷のために、ポリアニ
オンとして硫酸化シクロデキストリンを挙げている。非硫酸化シクロデキストリ
ンは、リポタンパク質と複合体を形成するが、硫酸化シクロデキストリンは、そ
の荷電ゆえに、より選択的に、複合体を形成する。下記実施例5でさらに考察し
ているように、α−シクロデキストリンおよびRoche LDL−C測定系の
他の試薬を用いて行ったDHTアッセイにより、LDL−Cおよび総―Cを好適
に測定し、非−LDL−Cを算出でき、LDL−Cそのものまたは、総―Cその
ものを測定する標準的アッセイと匹敵した。
【0059】 コレステロールエステラーゼおよびコレステロールオキシダ−ゼの複合体を形
成しているリポタンパク質画分との反応を妨害するための、シクロデキストリン
、ポリアニオン、または抗−アポB抗体のような、任意の特定の複合体形成試薬
の適切性および使用量は、既知の量の、特定の複合体形成試薬と結合する性質を
持つ精製リポタンパク質画分を用いて「範囲」アッセイを行うことによって決定
され得る。この目的のために、下記のように、通常ステップ1で添加する複合体
形成試薬を初めに添加せずに、コレステロールアッセイを行い得る。範囲アッセ
イから得られたコレステロール測定により、LDLの総コレステロール含量が示
されるはずである。その後、それぞれの連続するアッセイに、先行アッセイにお
いて使用された量よりも多量の複合体形成試薬が含まれる、一連のさらなるアッ
セイを行い得る。複合体形成試薬が複合体を形成し、試薬の接近を妨げるならば
、この結果、測定されるコレステロールの量を連続的に減少させるはずである。
【0060】 使用される複合体形成試薬量は、複合体に意図されるリポタンパク質画分から
コレステロールの検出を完全に妨害するために十分なはずである。上記の一連の
アッセイにより、この有用性が提供され得る。使用する抗体量を確実に十分にす
るために、上記範囲アッセイで使用するリポタンパク質の濃度は、起こり得るそ
のリポタンパク質の濃度の上限におさまるべきである。通常の、それぞれのリポ
タンパク質画分の範囲、および疾患状態または異常な遺伝的状態にある個体が持
つ異常な値は当該分野において公知である。例えば、LDL−Cに関して、およ
そ500mg/dLの値は十分に高値である。
【0061】 (IV.酵素) DHTアッセイで使用する酵素には、コレステロールエステラーゼ、コレステ
ロールオキシダ−ゼ、ペルオキシダ−ゼが含まれ、トリグリセリドアッセイで使
用される酵素としては、リパーゼ、グリセロールキナーゼ、グリセロールリン酸
デヒドロゲナーゼおよびグリセロールリン酸オキシダ−ゼが含まれる。これらの
酵素は、Sigma Diagnostics(St.Louis,MO)、R
oche Molecular Biochemicals(Indianap
olis,IN)、Wako Chemicals(Richmond,VA)
およびICN Biomedicals(Costa Mesa,CA)などの
、いくつもの供給者から市販されている。ほとんどの、または全ての商業的に販
売されている酵素は細菌由来である。Pseudomonas由来コレステロー
ルエステラーゼ(「CHE」)およびリパーゼ、Nocardia由来コレステ
ロールオキシダーゼ(「CO」)およびCandida由来グリセロールキナー
ゼを本アッセイにおいて十分使用できる。グリセロールリン酸オキシダーゼは、
標準的な参照において、E.C.1.1.3.21.である。
【0062】 どのような特定の供給源由来の酵素を用いたアッセイにおいても問題が示され
ていないが、望ましければ、既知の濃度のコレステロール、トリグリセリドまた
はその両方に対してアッセイを行い、その結果が既知の値に対して許容可能な範
囲にあるかどうかを決定することによって、DHTアッセイまたは、DHTおよ
びトリグリセリドアッセイのような、本明細書中で記載されるアッセイにおいて
、ある酵素の使用が適合性を持つかどうかについて試験し得る。Rocheおよ
びSigma Diagnosticsなどのいくつもの供給者から、既知の量
のコレステロールおよびトリグリセリドを含む試薬を入手し使用し得る。
【0063】 下記の実施例1および2において、本アッセイのステップ1および2において
使用する試薬はSigma DiagnosticsのEZ−HDLTMコレステ
ロール測定キットの試薬1および2である。しかしながら、所望であれば、この
キットに含まれる試薬(試薬1の場合、抗―ヒトアポB抗体およびレポーター化
合物ペルオキシダーゼ(POD)および4−アミノアンチピリン(「4AA」)
、試薬2の場合、CHEおよびCOおよびFDAOS(N−エチル−N−(2−
ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシ−4−フルオロアナリ
ン、ナトリウム塩)を別々に添加し得る。使用するべき抗体量の決定は、前のセ
クションにて記述したアッセイにより決定し得る。レポーター化合物および酵素
の適正量は、既知の濃度のリポタンパク質画分を含む、市販されている試薬を用
いた一連の試験アッセイを行うことによって決定し得る。実施例3、4および5
において、HDL−Cおよび総−C、またはLDL−Cおよび総−Cを測定する
ために異なる複合体形成試薬を用いたアッセイ結果を報告する。これらのアッセ
イに使用された酵素は、上記のような、同様の供給源より得たものであった。
【0064】 トリグリセリド測定は、最も一般的には、グリセロールキナーゼ、グリセロー
ルリン酸デヒドロゲナーゼ、グリセロールリン酸オキシダ−ゼおよびペルオキシ
ダーゼを用いて行われる。しかしながら、トリグリセリドを測定するための他の
酵素的アッセイは本明細書中で教示した方法で援用され得る。例えば、「NAD
」法では、トリグリセリド測定のためにグリセロールキナーゼ、ピルビン酸キナ
ーゼ、および乳酸デヒドロゲナーゼを使用する。これらの酵素もすべて、Sig
maおよび他の供給者から市販されている。
【0065】 (V.界面活性剤) 試料の非複合体形成リポタンパク質成分の測定に続いて、複合体を二つに解離
させるために、複合体形成試薬および複合体形成リポタンパク質画分の間の複合
体を処理する。本明細書中で教示した方法の目的のために、複合体を、好適に、
非変性界面活性剤を用いて複合体を溶解することにより解離させる。界面活性剤
は複合体を溶解するために十分な作用を持つべきであるが、リポタンパク質また
はトリグリセリドアッセイの過程に使用する酵素を変性させないように十分穏や
かに作用するものであるべきである。本発明において使用するために適切な非変
性界面活性剤は、従って、(1)複合体形成試薬および複合体形成リポタンパク
質画分の間の複合体を溶解する、および(2)コレステロールエステラーゼ、コ
レステロールオキシダ−ゼまたはペルオキシダーゼを不活性化せず、存在するコ
レステロール量の測定を妨害しないものである。例えば、米国特許第5,766
,629号において教示されるような、その親水性、親油性バランスによって、
界面活性剤の強度を測定、および性質を特定し得る。
【0066】 本発明での使用に好適な界面活性剤は、デオキシコレート、NP−40および
オクチルグルコシドであり、最も好適であるのは、デオキシコレートである。し
かし、上記試験に適合する任意の非変性界面活性剤が使用され得る。本発明での
使用に十分適しているかどうかを調べるために、どのような特定の界面活性剤を
も容易に試験し得る。例えば、抗−アポB抗体とLDL成分を複合体形成させ、
HDLをCHEおよびCOと反応させ、次に候補となっている界面活性剤を使用
することによって、既知の濃度のHDLおよびLDLを含む試料を試験し得る。
LDL成分測定の結果が既知の濃度に対して許容可能な範囲内である場合、界面
活性剤は、複合体形成試薬/複合体形成リポタンパク質複合体をうまく溶解し、
測定を阻害しない。存在する既知のLDL量を下回る値だった場合、それは界面
活性剤が試験のある部分の条件を満たしておらず、使用に不十分であることを示
す。便利には、どのような問題もが候補となる界面活性剤に関するものであり、
設備または実験的な間違いに関するものではないということを実証するために、
界面活性剤としてデオキシコレートを用いて、試料の一部を試験することと平行
して、同じ試料の一部で界面活性剤を試験する。以前示したように、既知の濃度
のコレステロールを含む試薬(当該分野において、しばしばコレステロール検量
液として知られる)は、RocheおよびSigma Diagnostics
を含むいくつかの供給源から市販されている。
【0067】 (VI.光学的測定系) 好適な実施形態において、存在するコレステロール量を光学的な方法で測定す
る。比色アッセイにおいて、試料中に存在する基質(究極的にコレステロール)
の量に対して検定する色の変化が起こる色素による光吸収量を測定するための試
薬を使用する。蛍光アッセイにおいて、ある波長の光によって励起し、異なる波
長の色の光を発光するような試薬を添加し、基質の量、最終的には存在するコレ
ステロール量に対して較正する。化学発光アッセイにおいて、基質の量に応答す
る試薬によって光を自発的に発光させ、存在するコレステロール量の測定が可能
になる。
【0068】 特定の好適な実施形態において、600nmで検出器に達する光の量に対して
較正して、試料溶液の吸光度の変化によって存在するコレステロール量を測定す
る、発色団系を使用する。典型的に、コレステロールエステラーゼおよびコレス
テロールオキシダーゼは、H22およびO2存在下でコレステロールと反応して
、コレステノン、脂肪酸およびH22を形成する。4−アミノアンチピリン(「
4AA」)および3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)
またはそのスルホン化誘導体のような、H22の存在を検出するために使用し得
る発色団系が周知である。例として、米国特許第4,851,335号を参照の
こと。さらなる試薬として、FDAOS(N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−
3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシ−4−フルオロアナリン、ナトリウ
ム塩)などが、反応速度を上げるために商業的試薬キット中にしばしば含まれる
【0069】 NADおよびNADP系において、試料を含む溶液にそれぞれ存在するNAD
またはNADP分子の還元により、その溶液の吸収プロファイルの変化が引き起
こされる(典型的に、340nmで測定される)。この吸光度変化は、試料中に
存在するコレステロールまたはトリグリセリド量に比例し、色素の存在を必要と
しない。
【0070】 (VII.トリグリセリド測定) トリグリセリドは、グリセロール骨格と結合する脂肪酸分子で構成される。例
として、Stryer,Biochemistry、W.H.Freeman
and Co.New York(第3版、1988)、第20章を参照のこと
。トリグリセリド値を測定する古典的な酵素反応において、グリセロール骨格由
来の脂肪酸を切断するためにリパーゼを使用する。ATPを添加し、グリセロー
ルをリン酸化するために、グリセロールキナーゼを使用する。次いで、グリセロ
ールリン酸オキシダ−ゼによってグリセロールおよびH22が生成する。それ以
外のアッセイ方式において、リパーゼ、グリセロールキナーゼ、ピルビン酸キナ
ーゼおよび乳酸デヒドロゲナーゼを使用する。例として、Sampsonら、C
lin.Chem.40:221−226(1994)を参照のこと。本発明方
法のステップ4に従ってトリグリセリド測定を行い得る。グリセロールリン酸オ
キシダ−ゼを使用した古典的反応を用いる場合、以前の章で考察したように、リ
ポタンパク質画分測定と関連して既にチューブ中に存在する、添加した発色団系
によって、反応により形成されたH22を検出し得る。
【0071】 レポーター化合物とともにトリグリセリド測定のための酵素を含む試薬キット
は、SigmaおよびWakoなど、いくつかの供給者から市販されている。
【0072】 (VIII.自動化アッセイ方式に対する改変) 試薬を2種類のみ添加するために、Genzyme N−geneousR
DLsystemなどの、いくつかの自動化アッセイデバイスを設計する。試薬
1には、ポリアニオンが含まれ、そして試薬2には、コレステロールエステラー
ゼ、コレステロールオキシダーゼおよびHDL画分中のコレステロール含量の比
色定量に使用される他の酵素試薬が含まれる。界面活性剤を二番目の試薬として
添加できるように、ポリアニオンおよび酵素を1つの試薬中で組み合わせること
により、このような系において本発明方法を実施し得る。本発明者らの研究室で
行われるような例示的なアッセイは実施例において示される。
【0073】 2つ以上の試薬を添加できる自動化システムは、改変を加えることなく本発明
方法を行うということにおいて、使用に適しているはずである。この自動化シス
テムで2つの試薬のみ加えることが可能で、ポリアニオン以外の複合体形成試薬
を使用する場合、複合体形成試薬およびコレステロールの遊離および測定に使用
する酵素と、結果に有意な影響を与えずに組み合わせ得ることを確認するために
試験を行うべきである。これは、既知の量のLDL−CまたはHDL−Cを含む
試料を用い、二つの部分に分割することによって簡単に遂行し得る。1つの部分
を、その系の標準的方法論に従う系でアッセイし、もう1つの部分は、この系で
提供される試薬を1つの試薬にまとめ、2番目の試薬として添加される界面活性
剤を用いる系で試験を行う。二つのアッセイ結果における相違が、製造業者によ
り測定されるような系の標準偏差により許容される相違よりも大きい場合、本明
細書中で教示されるアッセイにおける使用ために、その系により供給された試薬
は1つの試薬中に組み合わせることができないということを示す。
【0074】 (IX.キット) 本発明方法を実行するために必要な、または有用な試薬を従来通りにキットと
して与え得る。典型的に、本キットにより、抗−アポB抗体または抗−アポAI
抗体、シクロデキストリン、またはポリアニオンのような、1つ以上の複合体形
成試薬を含む容器が提供される。このキットは、界面活性剤(例えば、デオキシ
コレート)を保持する容器をさらに提供し得る。さらに本キットにより、コレス
テロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼのような、コレステロール
の酵素的測定に必要な1つ以上の酵素を含む容器が提供され、また、コレステロ
ールエステラーゼによるリポタンパク質画分からのコレステロール遊離に対する
コレステロールオキシダーゼの作用により生成される過酸化水素の形成を検出す
るためのレポーター色素も提供され得る。
【0075】 さらに、本キットにより、トリグリセリド測定に必要な1つ以上の酵素を含む
容器が提供され得る。標準的アッセイに対して、これらの酵素には、リパーゼ、
グリセロールキナーゼ、グリセロールホスフェートデヒドロゲナーゼ、グリセロ
ールホスフェートオキシダ−ゼおよびペルオキシダ−ゼが含まれ得る。あるいは
、またはさらに、本キットにより、トリグリセリドを測定するNAD法に有用な
酵素、特にリパーゼ、グリセロールキナーゼ、ピルビン酸キナーゼおよび乳酸デ
ヒドロゲナーゼが提供され得る。
【0076】 (実施例) (実施例1) この実施例において、試料中のHDL−Cおよび総コレステロール含量を測定
する本発明の方法の使用について説明する。
【0077】 (材料と方法) 以前に記載されたような密度勾配超遠心によりHDL(d=1.063−1.
21g/dL)およびLDL(d=1.009−1.063g/dL)を得た(
Schumaker,V.N.ら、Academic Press Inc.,
London 128:155−169(1986))。Sigma Diag
nostics(St.Louis,MO)よりデオキシコレートおよび同時的
HDL−コレステロールキット(EZ−HDLTM)を入手した。Roche(I
ndianapolis,IN)より総コレステロールのためのコレステロール
測定器(calibrator)および試薬を入手し、Hitachi917ア
ナライザー(Roche)により実施した。PolyMedco(Cortla
nd Manor,NY)からの試薬を用いてHDL沈殿法を行い、そしてCo
bas Fara analyzerで、Rocheより入手した試薬を用いて
コレステロールを測定した。
【0078】 Cobas Fara II analyzer(Roche)で、Sigm
a homogenous HDL cholesterol assay k
itを改変することによって、表1で示されるパラメーターを用いてDHT試験
を行った。3つのレベル(50,200および400mg/dL)で、Prec
iset cholesterol calibrators(Roche)を
使用してHDL−Cを測定した。Cobas 工程2により生成した係数(勾配
)をとり、工程3で得た生データに対して当てはめて総−Cを測定した。
【0079】
【表1】 (結果) HDL、LDLの精製画分および血清のDHTアッセイの反応プロファイルを
図2にて示す。図2のそれぞれのパネルにおいて、“工程2”に対する矢印は、
試料と抗−アポB抗体の混合物に酵素を添加した時間点を表す。それぞれのパネ
ルにおいて、“工程3”は、界面活性剤を添加しさらに比色定量を行った時間点
を表す。図2Aで示すように、2番目の工程だけでHDL−Cを検出するが、そ
の一方で3番目の工程で界面活性剤を添加した後でのみLDL−Cが検出された
ことを図2Bで示す。HDLおよびLDLの混合物をアッセイした場合、コレス
テロールを工程2および工程3の両方で検出した(図2C)。同様に、上清をア
ッセイした場合、工程2および工程3の両方でコレステロールに対する陽性反応
を検出した(図2D)。37oCでのそれぞれの工程におけるコレステロールを
検出することを目的とした酵素反応はおよそ5分で完了した。
【0080】 DHT反応のそれぞれの工程の間に、HDL−CおよびLDL−Cの交差反応
性を、精製HDLおよびLDL画分を用いて証明した(図3を参照のこと)。図
3Aにおいて、増加するLDL−C(X軸で示す)量の存在下で、固定した濃度
のHDL−Cを測定した。図3Bにおいて、増加するHDL−C(X軸で示す)
量の存在下で、固定した濃度のLDL−Cを測定した。図3Aで見られ得るよう
に、工程2で測定した場合のHDL−C濃度は、試料中のLDL−C濃度が増加
するように有意に変化しなかった。工程2の間のLDL−C量の増加は検出され
なかったが、工程4において測定された。同様に、HDL−Cの量の増加は、工
程3でのLDL−Cの測定に有意に影響しなかった(図3B)。HDL−Cおよ
び非HDL−Cの合計は、工程1から工程4の吸光度における全体的な変化によ
って測定されたように、総−C測定値と等しかった。
【0081】 DHTアッセイについてのHDL−Cおよび総−コレステロールの直線性を図
4に示す。本アッセイのHDL−Cおよび総−コレステロール部分の両方が、血
清HDL−Cおよび総コレステロール濃度の典型的な範囲を通して直線的であっ
た。凍結血清プールについて、DHTアッセイでの試験内および試験間の精度を
、図5にて示す。本アッセイのHDL−Cおよび総コレステロール部分の両方は
、他のHDL−Cおよび総コレステロールアッセイと比較して、相対的に優れた
精度を示した。
【0082】 DHTアッセイにより測定されるようなHDL−Cおよび総コレステロールの
測定を、広範囲のリポタンパク質値を有する患者からの血清において、標準的ア
ッセイと比較した(図6)。本アッセイのHDL−Cおよび総コレステロール部
分の両方は標準的アッセイと勝るとも劣らず匹敵した。さらに、DHTアッセイ
により算出した非−HDLコレステロールおよび算出したLDL−Cはまた、標
準的アッセイと密接な相関も示した。
【0083】 (考察) コレステロールエステラーゼおよびコレステロールオキシダーゼを使用して、
血清中の総コレステロールを典型的に、酵素的に測定する。コレステロールエス
テラーゼ(「CE」または「CHE」)により、コレステロールエステルを遊離
コレステロールに変換する。次いで、遊離コレステロールをコレステロールオキ
シダーゼ(“CO”)により酸化し、過酸化水素分子を生成する。次いで、ペル
オキシダ−ゼによる様々な色素の酸化によって、過酸化水素の生成を検出する。
レポーター色素の酸化により、吸収スペクトルの変化を生じる。この変化を、総
コレステロール濃度の測定に使用する。総コレステロールのアッセイには、典型
的に、コレステロールエステラーゼおよびコレステロールオキシダーゼ活性に対
して不都合な影響を与えないが、コレステロールエステラーゼおよびコレステロ
ールオキシダーゼが利用できる基質を増加させることによって反応速度を促進す
る界面活性剤が含まれる。界面活性剤によって、リポタンパク質は小さいミセル
に解離され、溶解される。これによって、脂質界面の表面領域が増加し、コレス
テロールエステラーゼおよびコレステロールオキシダーゼ反応速度が増加する。
しかし、本手順の初めに界面活性剤を添加することにより、最初の測定において
HDL−Cを測定する能力を阻害する。従って、本方法において、HDL−Cの
読み取りが完了するまで界面活性剤を添加しない。
【0084】 HDL−Cに対する同時アッセイにおいて、アポB含有リポタンパク質に対す
るコレステロールエステラーゼおよびコレステロールオキシダーゼ反応をブロッ
クする様々なストラテジーを使用する(Nauck M.ら、Clin Che
m 44:144−51(1998))。DHTアッセイを設計するために改変
した、元の同時的HDL−Cアッセイにおいて、コレステロールエステラーゼお
よびコレステロールオキシダーゼに対するアポB含有リポタンパク質の反応性を
立体構造的にブロックするためにアポBに対して指向される抗体を使用する。ア
ポB含有リポタンパク質に対する抗体の相互作用の任意の崩壊を防ぐために、界
面活性剤なしでそのアッセイを行う。本発明DHTアッセイにおいて、工程2に
おけるHDL−C測定終了後、非変性界面活性剤であるデオキシコレートを添加
する。図2で示し得るように、およそ5分後、コレステロールエステラーゼおよ
びコレステロールオキシダーゼの、HDLとの反応が完了する。これは、酵素が
もはや活性を持たないからではないし、または酸化されない色素の消費による理
由でもなく、酵素が試料中に存在するHDLのコレステロールを消耗しているか
らである。デオキシコレートの添加により、抗体−アポB複合体が解離され、ア
ポBリポタンパク質のコレステロールの酵素反応からの吸光度のさらなる増加を
生じる。
【0085】 (実施例2) この実施例では、DHTアッセイのトリグリセリドについてのアッセイとの連
結について記載する。トリグリセリドアッセイを適応させるために使用した改変
と同様に、DHTアッセイのために本発明者らが行った標準的プロトコルを示す
【0086】 DHTアッセイおよびトリグリセリドアッセイを連続的にCobas Far
a II analyzerで行い得る。分析器の自動ピペッターによる操作が
可能な試料体積に関する限界に起因して、および、特定の濃度レベル以上の色素
の吸光度を読み取るためのデバイスの能力に関する拘束に起因して、トリグリセ
リドアッセイをDHTアッセイに従って行う場合、本発明者らは、試料を10倍
希釈する(25μL血清+225μL生理食塩水)ことが有用であることを見出
した。次いで、本分析器を、12.5μLの(これは、DHTアッセイのみを行
っている場合に使用される2.5μLの5倍である)試料をピペッティングで分
取するようにセットする。その結果、適切な化合物を既に混合した溶液である、
EZ−HDLTMコレステロール測定キット(Sigma,Diagnostic
s)の試薬I225μLと共に、試料の最終希釈液は、DHTアッセイに使用す
る濃度の半分となる。
【0087】 4分間のインキュベーションおよび1回目の読み取り後、本分析器は、75μ
Lの試薬2(Sigma,Diagnostics、EZ−HDLTM)を添加し
、これは、CHEおよびCOおよびFDAOSを含む。5分間のインキュベーシ
ョン後、2回目の読み取りを行い、次に15μLの100mmol/L デオキ
シコレートを添加する。5分間のインキュベーション後、3回目の読み取りを行
い、そして50μLのリパーゼ(2500U/L)、グリセロールキナーゼ(1
250U/L)、グリセロールホスフェートデヒドロゲナーゼ(2000U/L
)、およびグリセロールホスフェートオキシダ−ゼ(2500U/L)の混合物
を添加する。これは、GPO Trinder反応を用いたトリグリセリド測定
に必要な酵素を含む。注意すべき点として、1回目の読み取りのために添加した
4AA、PODおよびFDAOSがまだ、試料混合物中に残っており、そしてm
g/dLで表される、存在するトリグリセリドのレベルの比色測定が可能なよう
に作用するという点が挙げられる。
【0088】 図で示されている読み取りについて、既知の量のコレステロールおよびトリグ
リセリドの吸光度によって測定したデバイスにおいて600nmでの吸光度を読
み取ることにより、種々のリポタンパク質画分量を決定した。
【0089】 (実施例3) この実施例において、本発明の、Genzyme N−geneous(登録
商標)HDL測定キットとの適合性を検討した。本発明の工程1および2を行う
ために、つまり、リポタンパク質画分を複合体化し(N−geneous(登録
商標)キット、LDL−画分の場合)、そしてHDL値を得るために、製造説明
書に従ってN−geneous(登録商標)キットを使用した。次いで、本方法
の残りの工程を行った。次の表において手順を示す。
【0090】
【表2】 (結果) GenzymeN−geneous(登録商標)系は完全に、本発明方法と適
合性があった。LDLとの複合体形成のために使用される合成ポリアニオンを容
易に界面活性剤、デオキシコレートで可溶化することができ、これは総−Cの読
み取りを可能にした。次いで、所望であれば、HDL−C値を工程4で得られた
総−C値から差し引くことにより、非−HDL−Cを算出し得た。
【0091】 (実施例4) この実施例において、GenzymeN−geneous(登録商標)HDL
−C測定系を改変した。本系は2つの試薬の添加のために設計する。本発明の方
法では、さらなる試薬として界面活性剤を用いているので、界面活性剤を2番目
の試薬として添加できるように、Genzyme系に用いられる試薬を組み合わ
せた。次の表に示すように、改変系を試験した。
【0092】
【表3】 (結果) 改変GenzymeN−geneous(登録商標)系は、完全に本方法と適
合性があった。組み合わせた試薬(LDLと複合体化するために使用された合成
ポリアニオンおよびHDL−C測定用酵素)を同時に添加することが可能であり
、界面活性剤、デオキシコレートにより、LDL−ポリアニオン複合体を容易に
可溶化し、総−Cを測定できた。次に、所望であれば、HDL−C値を、工程4
で得られた総−Cの読み取りから得られたHDL−C値を差し引くことにより、
非−HDL−Cを算出し得る。
【0093】 (実施例5) この実施例では、LDL−Cを測定するための本発明のアッセイの使用を示す
。Roche LDL−Cアッセイでは、アポB含有リポタンパク質を複合体化
するために硫酸化α−シクロデキストリンを使用する。Cobas Fara
II分析器で、Roche試薬を用いて本アッセイを行った。
【0094】 アッセイ手順を次の表で示す。
【0095】
【表4】 多数の患者試料の試験は、DHTアッセイにより得られたLDLおよび総−C
測定値と、標準的試験を用いたLDLおよび総−Cに対して得られる測定値との
間の十分な一致を示した。
【0096】 この明細書に引用されている全ての発表および特許出願は、それぞれ個々の発
表または特許出願が詳細におよび個々に参考として援用されることを示されてい
るように、本明細書で参考として援用されている。
【0097】 先の発明が、明確に理解されることを目的として、例示および実施例の方法で
いくらか詳細に記述されているが、追加の特許請求の範囲の精神および範囲から
外れることなくある変更および改良がそれに対してなされ得ることは、本発明の
教示の観点から当業者に容易に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、DHT反応プロフィールの線図である。
【図2】 図2は、DHTアッセイの反応プロフィールである。パネルA:HDL(50
mg/dL);パネルB:LDL(150mg/dL);パネルC:HDL(5
0mg/dL)およびLDL(150mg/dL);パネルD:血清。矢印は、
DHTアッセイにおいて、工程2および工程3の試薬を添加した時点を示す。
【図3】 図3は、DHTアッセイのリポタンパク質交差反応性。パネルA:HDL−C
を50mg/dLに固定し、X軸で示される濃度でLDL−Cを添加した。工程
2におけるHDL−C(白丸)、および工程4におけるLDL−C(白三角)、
および総−C(白四角)の測定値をY軸で示す。パネルB:LDL−Cを100
mg/dLに固定し、X軸で示される濃度でHDL−Cを添加した。工程2にお
けるHDL−C(白丸)、および工程4におけるLDL−C(白三角)、および
総−C(白四角)の測定値をY軸で示す。結果を、平均値±1S.D.として示
す。
【図4】 図4は、DHTアッセイに対するHDL−Cおよび総−Cの直線性である。パ
ネルA:HDLの濃縮試料の希釈により、直線性を決定した。X軸上の指定され
たHDL−C濃度に対するY軸上の測定HDL−C値として示す。パネルB:L
DLの濃縮試料の希釈により、直線性を決定した。X軸軸上の指定されたLDL
−C濃度に対するY軸上の測定総−C値として示す。結果を、平均値±1S.D
.として示す。
【図5】 図5は、DHTアッセイの精度である。ラン内(n=20)およびラン間(n
=20)の精度に関して、HDL−Cおよび総−Cの結果を示す。結果を、変動
係数(CV)として示す。
【図6】 図6は、標準的アッセイとDHTアッセイとの比較である。パネルA:DHT
法により測定された非HDL−C(Y軸)を、PolyMedco法により得ら
れた結果(X軸)と比較した。パネルB:DHT法により測定された総−C(Y
軸)を、Roche法により得られた結果(X軸)と比較した。パネルC:DH
T法により測定された非HDL−C(Y軸)を、HDL−C(PolyMedc
o法)から総コレステロール(Roche法)を差し引くことにより得られた結
果(X軸)と比較した。パネルD:DHT法により測定されたHDL−Cおよび
総−コレステロールを用いてFriedewald式により計算されたLDL−
C(Y軸)を、HDL−C(PolyMedco)および総−コレステロール(
Roche)についての標準的アッセイを用いて、計算されたLDL−C(X軸
)と比較した。結果を、平均値±1S.D.として示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM, HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,K G,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT ,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW, MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S D,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR ,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN,YU, ZA,ZW (72)発明者 サンプソン, モーリーン エル. アメリカ合衆国 メリーランド 20906, シルバー スプリング, アルダートン レーン 1324 (72)発明者 クサコ, ジョージー アメリカ合衆国 メリーランド 20849, ロックビル, ピー.オー. ボックス 10576 Fターム(参考) 2G045 AA13 AA25 CA25 CA26 DA62 DA63 DA64 DA69 FB01 FB03 4B063 QA01 QA18 QQ03 QQ70 QQ76 QR03 QR12 QS02 QX02

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料中に存在するリポタンパク質画分におけるコレステロー
    ルの量を決定する方法であって、以下の順序で、以下の工程: (a)複合体形成薬剤と、試料中の第1のリポタンパク質画分を接触させ、該
    第1のリポタンパク質画分と該複合形成薬剤との複合体を形成する工程であって
    、但し、該複合体は、コレステロールエステラーゼに対する基質ではない、工程
    ; (b)該試料中に存在する第2のリポタンパク質画分と結合するコレステロー
    ルの量を測定し、第1のコレステロール値を得る工程; (c)該第1のリポタンパク質画分を、該複合体形成薬剤から解離する工程;
    および、 (d)該試料に存在するコレステロールの総量を測定し、従って、該試料中に
    存在する該第1および第2のリポタンパク質画分におけるコレステロールの量を
    決定する工程、 を包含する、方法。
  2. 【請求項2】 さらに、工程(a)の複合体がコレステロールオキシダーゼ
    に対する基質でない、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 さらに、工程(a)の複合体がコレステロールデヒドロゲナ
    ーゼに対する基質でない、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記第1のリポタンパク質画分がHDL−Cであり、そして
    前記第2のリポタンパク質画分が非HDL−Cである、請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記第1のリポタンパク質画分がLDL−Cであり、そして
    前記第2のリポタンパク質画分が非LDL−Cである、請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記複合体形成薬剤が、前記第1のリポタンパク質画分のリ
    ポタンパク質に選択的に結合する抗体、ポリアニオン、および硫酸化シクロデキ
    ストリンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記ポリアニオンが以下からなる群から選択される、請求項
    6に記載の方法:ヘパリン、デキストランサルフェート、リンタングステン酸、
    ポリビニルサルフェート、へパリン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸お
    よび硫酸化オリゴサッカリド。
  8. 【請求項8】 前記第1のリポタンパク質が非変性界面活性剤により前記複
    合体形成薬剤から解離される、請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記界面活性剤がデオキシコレートである、請求項8に記載
    の方法。
  10. 【請求項10】 工程(b)および工程(d)に存在するコレステロールの
    量を測定する工程が、コレステロールエステラーゼと、試料中のコレステロール
    エステルを反応させることにより実行される、請求項1に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記コレステロールがコレステロールオキシダーゼまたは
    コレステロールデヒドロゲナーゼと反応される、請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 さらに、前記第1のコレステロール値がコレステロールの
    総量から差し引きされる、請求項1に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記試料中に存在する前記リポタンパク質の量が光学手段
    により決定される、請求項1に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記光学手段が指示薬分子の吸収スペクトルまたは放出ス
    ペクトルにおける変化である、請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記指示薬分子が染料である、請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記試料中に存在する任意のトリグリセリドの量を決定す
    る工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記第1のリポタンパク質画分が、前記試料中の任意のア
    ポB含有リポタンパク質からなる、請求項1に記載の方法。
  18. 【請求項18】 さらに、前記複合体形成薬剤が抗アポB抗体である、請求
    項17に記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記第1のリポタンパク質画分が、前記試料中に存在する
    任意のHDL−Cからなる、請求項1に記載の方法。
  20. 【請求項20】 さらに、前記複合体形成薬剤がHDLリポタンパク質に特
    異的に結合する抗体である、請求項19に記載の方法。
  21. 【請求項21】 前記抗体がアポAIまたはアポAIIに特異的に結合する
    、請求項20に記載の方法。
  22. 【請求項22】 試料中に存在するコレステロールの量を決定するためのキ
    ットであって、該キットが複合体形成薬剤および非変性界面活性剤を含む、キッ
    ト。
  23. 【請求項23】 請求項22に記載のキットであって、コレステロールエス
    テラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、およびコレステロールデヒドロゲナー
    ゼからなる群から選択される1つ以上の酵素をさらに含む、キット。
  24. 【請求項24】 前記複合体形成薬剤が抗アポB抗体である、請求項22に
    記載のキット。
  25. 【請求項25】 前記複合体形成薬剤が抗アポAI抗体または抗アポAII
    抗体である、請求項22に記載のキット。
  26. 【請求項26】 前記複合体形成薬剤が合成ポリアニオンである、請求項2
    2に記載のキット。
  27. 【請求項27】 前記複合体形成薬剤が硫酸化シクロデキストリンである、
    請求項22に記載のキット。
  28. 【請求項28】 請求項22に記載のキットであって、リパーゼ、グリセロ
    ールキナーゼ、グリセロールホスフェートデヒドロゲナーゼ、グリセロールホス
    フェートオキシダーゼ、およびペルオキシダーゼからなる群から選択される1つ
    以上の酵素をさらに含む、キット。
  29. 【請求項29】 請求項22に記載のキットであって、ピルビン酸キナーゼ
    、および乳酸デヒドロゲナーゼからなる群から選択される1つ以上の酵素をさら
    に含む、キット。
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