JP2003501421A - 10,11−メタノベンゾスべラン誘導体 - Google Patents

10,11−メタノベンゾスべラン誘導体

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    • C07D215/20Oxygen atoms

Abstract

(57)【要約】 本発明は、10,11−(必要に応じて置換)メタノジベンゾスベラン誘導体の製造方法を提供する。また本発明は、この方法における中間体を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本出願は、1999年6月3日に出願された米国仮出願60/137283の
利益を請求するものである。
【0002】 ガンの化学療法およびマラリアの薬物療法といったような、あるタイプの薬物
療法が直面している問題は、治療養生法に対する耐性という現象である。耐性と
は、たとえば、特定の薬物または薬物群に対して最初はよく応答していたガン腫
瘍が、後に、その薬物に対する耐性を発達させることを意味する。薬物耐性は、
疾患が治療薬物または薬物群に応答しないという状況に与えられた名称である。
薬物耐性は、内因性(疾患がかつてその薬物に応答したことがないことを意味す
る)または後天的(疾患がこれまでに応答したことがある薬物または薬物群に応答
するのをやめることを意味する)のいずれかである。マルチ薬物耐性は、1種以
上の機能的および/または構造的に関連のない薬物に対する交差耐性を特徴とす
る薬物耐性の特殊なタイプである。ガンの分野におけるマルチ薬物耐性は、Kuzm
ichおよびTewの“抗ガン剤に対する毒性緩和メカニズムおよび腫瘍細胞耐性”(
特に、セクションVII“マルチ薬物耐性現象”において)、Medical Research Rev
iews、Vol.11、No.2、185−217(特に208−213)(1991);お
よびGeorges、SharomおよびLingの“マルチ薬物耐性および化学感作:ガン化学
療法のための治療上の掛り合い”、Advences Pharmacology、Vol.21、185
−220(1990)において、非常に詳細に論じられている。
【0003】 薬物耐性およびマルチ薬物耐性の代表的な処置として、疾患の治療に適した薬
物および種々のメカニズムによって疾患の治療に適した薬物に治療剤としての機
能を開始および/または継続を引き起こすように作用する化合物を共同投与する
ことが挙げられる。 米国特許5654304(以降、’304)(これは全体を参考文献として本発
明に援用される)は、現行のガンの化学療法の効力の増強およびマルチ薬物耐性
の処置において有用な一連の10,11−(必要に応じて置換)メタノジベンゾス
ベラン誘導体を開示している。’304には、(2R)−アンチ−5−[3−[4−
(10,11−ジフルオロメタノジベンゾスベル−5−イル)ピペラジン−1−イ
ル]−2−ヒドロキシプロポキシ]キノリン・トリヒドロクロリドが開示されてお
り、目下、医薬製剤として開発中である。
【0004】 患者に投与するために簡便に製剤しうる、この化合物の結晶形体が、非常に望
ましい。したがって、きびしい医薬必要条件および仕様を満たすための、純粋な
十分に結晶化した固体として、(2R)−アンチ−5−[3−[4−(10,11−
ジフルオロメタノジベンゾスベル−5−イル)ピペラジン−1−イル]−2−ヒド
ロキシプロポキシ]キノリン・トリヒドロクロリドを製造する必要がある。 このような結晶性化合物が容易に形成され、都合のよいバルク特性または都合
のよい医薬的特性をもつのが好ましい。都合のよいバルク特性の例は、乾燥時間
、濾過性、溶解性、内因性分解性、熱安定性および吸湿性である。都合のよい医
薬的特性の例は、純度および効力である。ある程度は、溶媒の機能としてレシピ
エントに対する潜在的溶媒毒性という理由により、結晶構造内に有機溶媒が少な
いのが好ましい。さらに、結晶性化合物の製造方法にとって、商業的規模で簡便
に行ないうることも必要である。
【0005】 ’304に教示された手順によって製造された10,11−メタンジベンゾス
ベランは、医薬品として使用しうるけれども、“どの化合物が多形性となるか予
測することができない”(FlorenceおよびAttwoodのPhysicochemical Principles
of Pharmacy、第2版、チャップマン・アンド・ホール、ニューヨーク、NY、
1988、p23−24)ので、上記の有利な特性をもつより結晶性の高い(2R
)−アンチ−5−[3−[4−(10,11−ジフルオロメタノジベンゾスベル−5
−イル)ピペラジン−1−イル]−2−ヒドロキシプロポキシ]キノリン・トリヒ
ドロクロリドを発見することが非常に望ましく、有利である。本発明の新規結晶
性形体の製造は、これらの望ましい特徴を満たすものである。 さらに、たとえば’304などで用いられたこれまでの規模よりもさらに大き
い規模の処理に、より有効であり、適合しうる、10,11−(必要に応じて置
換)メタノジベンゾスベラン誘導体の改良された製造方法が必要である。改善さ
れた方法の利点は、たとえば、改善された立体選択性、純度および収量である。
【0006】 本発明は、式(1):
【化27】 [式中、Aは、−CH−CH−、−CH−CHR−CH−、−CH
−CHR−CH−CH−およびRはOH; Rは、H、F、ClまたはBr; Rは、H、F、ClまたはBr;および Rは、それぞれF、Cl、Br、CF、CN、NOまたはOCHFで必
要に応じて置換されたヘテロアリールまたはフェニルである] の化合物またはその医薬的に許容しうる塩の製造方法であって、 (a)式(4):
【化28】 の化合物を求核試薬源と反応させて、式(5):
【化29】 [式中、Xは、脱離可能基である] の化合物を形成し; (b)式(5)の化合物をピラジンと反応させて、式(6):
【化30】 の化合物を形成し; (c)式(6)の化合物を還元して、式(8):
【化31】 の化合物を形成し; (d)式(8)の化合物を (i)式(9):
【化32】 [式中、Rは前記と同意義であり、nは1または2の整数である] のエポキシ化合物;または (ii)式(10):
【化33】 [式中、Rは前記と同意義、Xはハロであり、mは2、3または4である] のハロ化合物のいずれかと反応させ;次いで (e)必要に応じて、ステップ(d)で製造された化合物から医薬的に許容しうる
塩を形成する; ステップを含む方法を提供する。
【0007】 また本発明は、式(4):
【化34】 の化合物の改良された製造方法であって、ジベンゾスベレノンをトリハロ酢酸ア
ルカリと反応させて、中間体10,11−(必要に応じて置換)メタノジベンゾス
ベロンを形成し、該中間体を還元する[ここで、両方の反応は1つの操作ステッ
プで行う]ことを含む方法を提供する。
【0008】 両方の反応を1つの操作ステップで行えるということは、ジグリム中のジベン
ゾスベレノン(2)およびジグリム中のトリハロ酢酸ナトリウム(クロロジフルオ
ロ酢酸ナトリウムなど)から10,11−(必要に応じて置換)メタノジベンゾス
ベロンを製造および単離し、次いで、中間体10,11−(必要に応じて置換)
メタノジベンゾスベロン(2)を還元して、対応する10,11−(必要に応じて
置換)メタノジベンゾスベロールを得ることを教示する米国特許5654304
に優る利点である。
【0009】 さらに、本発明は、式(6):
【化35】 [式中、RおよびRは独立して、H、F、ClまたはBrであり、XはBr
、Cl、OMsおよびOTsから選ばれる脱離可能基である] の化合物を企図する。
【0010】 さらに本発明は、dスペーシングに対応する7.95+/−0.04オングス
トローム(22±2℃、相対湿度31±10%、銅放射源の場合)のピークを含
むX線回折パターンをもつ(2R)−アンチ−5−[3−[4−(10,11−ジフ
ルオロメタノジベンゾスベル−5−イル)ピペラジン−1−イル]−2−ヒドロキ
シプロポキシ]キノリン・トリヒドロクロリドの新規水和物結晶体(水和物(I)
)を提供する。 また本発明は、9.93、4.45および3.36+/−0.04オングスト
ローム(22±2℃、相対湿度31±10%、銅放射源の場合)のピークをさら
に含むX線回折パターンをもつ上記の新規水和物を提供する。
【0011】 さらに本発明は、治療を必要とする哺乳動物に、耐性調節量の水和物(I)お
よび有効量の薬物耐性疾患用の治療薬を共投与することを含む薬物耐性疾患の治
療方法を提供する。 さらに本発明は、治療を必要とする哺乳動物に、マルチ耐性調節量の水和物(
I)および有効量のマルチ薬物耐性疾患用の治療薬を共投与することを含むマル
チ薬物耐性疾患の治療方法を提供する。 さらに本発明は、治療を必要とする哺乳動物に、治療有効量の薬物および該薬
物が血液脳関門を越えて脳へ入るようにするのに十分な水和物(I)を共投与す
ることを含む脳への薬物のバイオアベイラビリティの増強方法を提供する。
【0012】 さらに本発明は、治療を必要とする哺乳動物に、治療有効量の薬物および該薬
物が胃腸管を通って血流へ入るようにするのに十分な水和物(I)を共投与する
ことを含む薬物のバイオアベイラビリティの増強方法を提供する。 さらに本発明は、(2R)−アンチ−5−[3−[4−(10,11−ジフルオロ
メタノジベンゾスベル−5−イル)ピペラジン−1−イル]−2−ヒドロキシプロ
ポキシ]キノリン・トリヒドロクロリドの溶媒和物を提供する。
【0013】 (発明の詳細な記述)定義および一般的パラメーター 以下の定義は、本明細書において本発明を説明するために用いられる種々の語
句の意味および範囲を説明し、定義付けするためのものである。 一般に、形容詞として用いる場合、語句「医薬的」は、生きている生物体にと
って実質的に非毒性であることを意味する。たとえば、語句「医薬的塩」は、生
きている生物体にとって実質的に非毒性である式(I)の化合物の塩を意味する。
たとえば、Berge,S.M.、Bighley,L.D.およびMonkhouse,D.C.の“Pharmaceutical
Salts”、J.Pharm.Sci.、66:1、1977を参照。典型的な医薬的塩は、式
(I)の化合物を無機もしくは有機酸または塩基と反応させることにより製造され
た塩を包含する。このような塩は、それぞれ酸付加または塩基付加塩として公知
である。これらの医薬的塩はしばしば、誘導元の化合物と比べて溶解性が増強さ
れており、したがって、液剤または乳液剤として製剤しやすい。
【0014】 語句「ガン治療剤」は、抗ガン治療効果を持つ化合物を意味する。このような
化合物は、アドリアマイシン、ダウノマイシン、ドクソルビシンまたはアクラシ
ノマイシンAといったようなアンスラサイクリングループの抗生物質;アクチノ
マイシンCまたはDといったようなアクチノマイシングループの抗生物質;ミス
ラマイシンまたはトヨマイシンといったようなクロモマイシングループの抗生物
質;ヴィンクリスチンまたはヴィンブラシチンといったようなヴィンコアルカロ
イド;メイタンシン;VP16−213といったようなポドフィロトキシン誘導
体;ホモハリントニン;アングウィンジン;ブルセアンチン;ネオカルシノスタ
チン;アンスロマイシン;ミトマイシンC;およびシスプラチンなどの非−代謝
拮抗物である。さらに他のガン治療剤を、GoodmanおよびGilmanの「The Pharmac
ological Basis of Therapeutics」第7版、p1240−1306(1985)
のセクションXIII“Chemotherapy of Neoplastic Diseases”などの医学文献に
見出すことができる。
【0015】 語句「バイオアベイラビリティ」は、薬物または他の物質が哺乳動物内の標的
組織に対して有効になる度合いおよび割合を意味する。 「共投与」は、疾患治療約と水和物(I)を哺乳動物に与えることを意味する
。薬物と水和物(I)は同時に、または別々に与える。 「薬物耐性」は、疾患が治療薬に応答しなくなる状況を意味する。薬物耐性は
、内因性(疾患がかつてその薬物に応答したことがないことを意味する)または後
天的(疾患がこれまでに応答したことがある薬物または薬物群に応答するのをや
めることを意味する)のいずれかである。 「マルチ薬物耐性」は、1種以上の機能的および/または構造的に関連のない
薬物に対する交差耐性を特徴とする薬物耐性の特殊なタイプを意味する。マルチ
薬物耐性は、内因性または後天的のいずれかである。
【0016】 語句「酸付加塩」は、式(I)の化合物を鉱物もしくは有機酸と反応させること
により製造された塩を意味する。医薬的酸付加塩の例としては、Berge,S.M.、Bi
ghley,L.D.およびMonkhouse,D.C.の“Pharmaceutical Salts”、J.Pharm.Sci.、
66:1、1977などを参照。本発明化合物は塩基性であるりうるので、多く
の無機および有機酸のいずれかと反応して、医薬的酸付加塩を形成する。 酸付加塩を形成するのに通常用いられる酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素
酸、硫酸、リン酸などの無機酸およびp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン
酸、蓚酸、p−ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、スクシン酸、クエン酸、安息
香酸、酢酸、モノまたはジおよびトリカルボン酸などの有機酸である。このよう
な医薬的に許容しうる塩の例は、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、リ
ン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物
、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸
塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、蓚
酸塩、マロン酸塩、スクシン酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、
マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジオン酸塩、ヘキシン−1,6−ジオン酸塩、
安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒド
ロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレン
スルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、ク
エン酸塩、乳酸塩、β−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタン
スルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタ
レン−2−スルホン酸塩、マンデル酸塩などである。
【0017】 本明細書の一般的化学式において、一般的化学用語は、それらの通常の意味で
ある。たとえば、語句「ハロ」は、フルオロ、ブロモ、クロロおよびヨードなど
のハロゲンを意味する。 語句「アルキル」は、炭素および水素のみを含む完全飽和一価基を意味し、環
式、分枝または直鎖基であってよい。この語句はさらに、メチル、エチル、t−
ブチル、ペンチル、ピバリル、ヘプチルおよびアダマンチルなどの基によって例
示される。 語句「低級アルキル」は、炭素原子数1〜6個の分枝または直鎖一価アルキル
基および必要に応じて炭素原子数3〜6個の環式一価アルキル基を意味する。こ
の語句はさらに、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、
t−ブチル、i−ブチル(または2−メチルプロピル)、シクロプロピル−メチ
ル、i−アミル、n−アミルおよびヘキシルなどの基によって例示される。
【0018】 語句「アルキレン」は、炭素および水素のみを含む完全飽和二価基を意味し、
分枝または直鎖基であってよい。この語句はさらに、メチレン、エチレン、n−
プロピレン、t−ブチレン、i−ペンチレンおよびn−ヘプチレンなどの基によ
って例示される。 語句「低級アルキレン」は、炭素原子数1〜6個の分枝または直鎖二価アルキ
ル基を意味する。この語句はさらに、メチレン、エチレン、n−プロピレン、i
−プロピレン、n−ブチレン、t−ブチレン、i−ブチレン(または2−メチル
プロピレン)、イソアミレン、ペンチレンおよびn−ヘキシレンなどの基によっ
て例示される。
【0019】 語句「アリール」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、シア
ノ、ニトロおよびジフルオロメトキシからなるグループから独立して選ばれる1
〜3個の置換基で必要に応じて置換されてよいフェニルまたはナフチル基を意味
する。 語句「ヘテロアリール」は、キノリニル、ベンゾフラニル、ピリジル、ピラジ
ニル、カルバゾリル、ノルハルマニル、ハルマニル、インダゾリル、5−ニトロ
インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、アンスラニリル、ル
チジニル、コリジニル、アクリジニルおよびイソキノリンニルといったような環
内に少なくとも1個のN、OまたはSなどのヘテロ原子を有する一価芳香族炭素
環式基を意味する。ヘテロアリール基は、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフル
オロメチル、シアノ、ニトロおよびジフルオロメトキシからなるグループから独
立して選ばれる1〜3個の置換基で必要に応じて置換されてよい。
【0020】 「必要に応じた」または「必要に応じて」は、続いて記述された出来事または
状況が、起こっても起こらなくてもよく、この記述が、該出来事または状況が起
こる場合または起こらない場合を含むことを意味する。 本明細書で用いる語句「脱離可能基」は、反応ステップ中に基体分子から切断
しうる基を意味し、当業界で脱離可能基として公知のハロ基、スルホネート(メ
シレート(OMs)またはトシレート(OTs)など)などを含む。 本明細書で用いる語句「求核源」は、アルコールにおいて、求核性置換をもた
らす能力を有する基を意味する。このような基には、HCl、HBrまたはHI
などのハロゲン酸およびスルホン酸、スルホン酸無水物または塩化メタンスルホ
ン酸などのハロゲン化スルホン酸が含まれる。
【0021】 本明細書で用いる語句「水和物」は、保管状況における相対湿度に応じた可変
量の水を含有しうる結晶格子を意味する。水和物(I)が、約9%〜約13%の水
および約1%より少ない有機溶媒を含むのが好ましい。 本明細書で用いる語句「5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−オン」
および「ジベンゾスベレノン」は、同意義である。 本明細書で用いる語句および略語は、他に特記しない限り、通常の意味をもち
、たとえば、℃は摂氏の温度を意味し、Nは正常または標準性を意味し、mmolは
ミリモルを意味し、gはグラムを意味し、dは密度を意味し、min.は分を意味し
、mLはミリリットルを意味し、Mはモルを意味し、HPLCは高性能エキタイ
クロマトグラフィーを意味し、mmはミリメーターを意味し、cmはセンチメー
ターを意味し、nmはナノメーターを意味し、tは保持時間を意味する。
【0022】 本発明は、式(1):
【化36】 [式中、Aは、−CH−CH−、−CH−CHR−CH−、−CH
−CHR−CH−CH−およびRはOH; Rは、H、F、ClまたはBr; Rは、H、F、ClまたはBr;および Rは、それぞれF、Cl、Br、CF、CN、NOまたはOCFで必要
に応じて置換されたヘテロアリールまたはフェニルである] の化合物またはその医薬的に許容しうる塩の製造方法であって、 (a)式(4):
【化37】 の化合物を求核試薬源と反応させて、式(5):
【化38】 [式中、Xは、脱離可能基である] の化合物を形成し; (b)式(5)の化合物をピラジンと反応させて、式(6):
【化39】 の化合物を形成し; (c)式(6)の化合物を還元して、式(8):
【化40】 の化合物を形成し; (d)式(8)の化合物を (i)式(9):
【化41】 [式中、Rは前記と同意義であり、nは1または2の整数である] のエポキシ化合物;または (ii)式(10):
【化42】 [式中、Rは前記と同意義、Xはハロであり、mは2、3または4の整数で
ある] のハロ化合物のいずれかと反応させ;次いで (e)必要に応じて、ステップ(d)で製造された化合物から医薬的に許容しうる
塩を形成する; ステップを含む方法を提供する。
【0023】 好ましい態様において、本発明は、ジベンゾスベレノンから1つの操作ステッ
プで10,11−(必要に応じて置換)メタノジベンゾスベロールを得るための反
応工程式1に示す方法である。反応工程式1
【化43】 本発明のこの具体例は、米国特許5654304の教示に優る、効率の利点、
操作の容易さ、製造コスト減少および環境へのやさしさを提供する。これらの利
点は、トリハロ酢酸塩の使用および溶解度の増加によって可能になる。リチウム
塩の溶解度の増加に付随する高い反応濃度および先行文献と比較して溶媒量が減
少したことは、スループットおよび反応速度を増加した。これらの利点はまた、
トリグリムの使用によって可能になる、反応速度を増大する高い反応温度によっ
て可能になる。特定の反応条件は、反応工程式4のステップ(a)および(b)を参
照のこと。 1−(アリールオキシまたはヘテロアリールオキシ)−2,3−エポキシプロパ
ン、1−(アリールオキシまたはヘテロアリールオキシ)−3,4−エポキシブタ
ンもしくはアリールオキシまたはヘテロアリールオキシハライドと1−[10,
11−(必要に応じて置換)メタノジベンゾスベル−5−イル]ピペラジンを合わ
せて、対応する式(1)の10,11−(必要に応じて置換)メタノジベンゾスベラ
ン誘導体を得る。
【0024】 本発明のさらなる具体例は、式(6)の新規10,11−(必要に応じて置換)メ
タノジベンゾスベリルピラジニウム塩化合物のアンチ異性体の製造方法を提供す
る。本発明のこの具体例を以下の反応工程式2で説明する。反応工程式2
【化44】 この具体例では、式(4)の10,11−(必要に応じて置換)メタノジベンゾス
ベロール化合物を、臭化水素、塩酸またはメタンスルホン酸といったような強酸
などの求核源と反応させる。最初のヒドロニウムイオンをインシトゥにおいてブ
ロミドイオンまたはクロリドイオンまたはメタンスルホネートイオンなどの酸の
求核性複合体塩基と置換して、式(5)の化合物[ここで、Xはブロミド、クロリ
ドまたはメタンスルホネートである]を形成する。(5)のスルホネートエステル
類縁体は、対応するスルホン酸無水物またはスルホン酸ハライドの使用によって
アクセスされるのが好ましい。式(5)の化合物をピラジンと反応させて、式(6)
の化合物を形成する。式(6)の化合物は新規であり、本発明のさらなる具体例で
ある。
【0025】 ジベンゾ[5.1.0]ビシクロオクタジエン誘導体およびその関連環系誘導体
が安定なカルボカチオンを形成することが見出されている。2,3,5,6−ジ
ベンゾ−4−ヒドロキシ[5.1.0]ビシクロオクタ−2,5−ジエンを、−7
8℃にてフルオロ硫酸、または室温にて硫酸で処理すると、NMRによって特徴
付けられる対応するジベンゾホモトロピリウムイオンの溶液が得られることが報
告されている[Childs,R.F.;Brown,M.A.;Anet,F.A.L.;Winstein,S.のJ.Am.Chem
.Soc.、1972、94、2175を参照。Berti,G.のJ.Org.Chem.、1957、
22、230およびLooker,J.J.のJ.Org.Chem.、1968、33、1304も参
照]。典型的には、これらの系のベンゾイル位置における求核反応が、S1型
メカニズムによって先ず起こり、カルボカチオン中間体を経てシンおよびアンチ
生成物の混合物が得られる。しかし、本発明は、シンアルコール先駆体(4)から
、良好な収量にて排除的生成物として得られる(5)のアンチブロミド類縁体を提
供する。対応するアンチアルコールもまた、同じ臭素化条件下、排除的に(5)の
アンチブロミド類縁体になる。アルコールのハロゲン化またはスルホン化の一般
的教示は、March,J.のAdvanced Organic Chemistry、3版、1985、ジョン・
ウイリー・アンド・サンズ、ニューヨーク、ニューヨークおよびLarock R.C.のC
omprehensive Organic Transformation、1989、VCH・パブリッシャーズ
、ニューヨーク、ニューヨークなどに記載されている。 次いで、上記のようにして得られた10,11−(必要に応じて置換)メタノジ
ベンゾスベリルハライドまたはスルホネート(5)を、ジクロロメタンなどの適当
な溶媒中、ピラジンと反応させて、式(6)のピラジニウム塩化合物を形成する。
窒素含有芳香族複素環、特にピラジンの、(5)のブロミド類縁体との求核反応か
ら、たとえば、式(6)のピラジニウム塩化合物などのアンチ第4級塩の排除的形
成が得られる。
【0026】 本発明のさらなる具体例を反応工程式3にて説明する。反応工程式3
【化45】 本発明のこの具体例は、前記本発明方法から得られた式(6)の10,11−(
必要に応じて置換)メタノジベンゾスベリルピラジニウム塩化合物を用いる。こ
の具体例では、ピラジン環を還元しうる条件を用いて、式(6)の10,11−(
必要に応じて置換)メタノジベンゾスベリルピラジニウム塩化合物を還元して、
式(8)のピペラジン化合物を得る。式(6)のピラジニウム塩化合物の還元は、水
素添加または水素化リチウムテトラヒドロアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウ
ムおよび当業者に公知の他の類似の還元剤などの金属水素化物還元によって達成
することができる。本発明の目的に好ましい還元剤には、水素化ホウ素リチウム
および水素化ホウ素ナトリウムが含まれる。水素化ホウ素リチウムまたはナトリ
ウムを用いる還元は、典型的に、トリフルオロ酢酸の添加によって促進される。
還元生成物は、典型的に、生成物溶液を濃塩酸などの濃酸水溶液または酸無水物
で処理することにより酸塩として単離される。ピラジニウム塩およびピリジニウ
ム塩の還元が、文献に報告されている。Dykstra,S.J.;Minielli,J.L.;Lawson,
J.E.のJ.Med.Chem.、1973、16、1015などを参照。Bugle,R.C.;Oster
young,R.A.のJ.Org.Chem.、1979、44、1719。Ashcroft,W.R.;Joule,
J.A.のHeterocycles、1981、16、1883。
【0027】 水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸塩、炭酸カリウムなどの無機塩基
を用い、10,11−(必要に応じて置換)メタノジベンゾスベリルピペラジン酸
塩(7)を中和して、式(8)の遊離塩基化合物を得る。エタノールなどのプロトン
性溶媒中での粉末炭酸カリウムの使用が最も好ましい。当業者であれば、水性無
機塩基を用いてもよいことを知っている。さらに、当業者であれば、トリエチル
アミンなどのマイルドな有機塩基を使用しても、この中和が成し遂げられること
を理解できる。
【0028】 式(8)の化合物を式(9)の化合物または式(10)の化合物のいずれかと反応さ
せて式(1)の化合物を得る。式(8)および式(9)の化合物の製造は、米国特許5
643909および5654304に記載されている(これらは全体を参考文献
として本発明に援用される)。Rがキノリニル基である式(8)の化合物が好ま
しい。Rがキノリン−5−イル基である式(8)の化合物が最も好ましい。R がキノリン−5−イル基である式(8)の好ましい具体例を製造するための改良さ
れた方法を以下に開示する。式(1)の化合物は、必要に応じて医薬的に許容しう
る酸と反応させて、酸塩を形成する。好ましい酸には、塩酸、臭化水素酸、硫酸
カンファースルホン酸などが含まれる。
【0029】 本発明にしたがって、式(1)の化合物の一般的製造経路を反応工程式4に示す。反応工程式4
【化46】 本発明の種々の具体例が反応工程式4に組込まれている。たとえば、反応工程
式4において、ステップ(a)および(b)、ステップ(a)〜(d)、さらにステップ
(a)〜(g)がそれぞれ本発明の1つの具体例をなしており、それら具体例はすべ
て、先述したものである。本発明の目的のための出発物質は、5H−ジベンゾ[
a,d]シクロヘプテン−5−オン(ジベンゾスベレノン)であり、市販のもの
(たとえば、Aldrich Chemical Company、ミルウォーキー、ウィスコンシンから
)を入手することができる。他の反応物も同様に市販のものを入手することがで
きるが、あるいは当業者であれば容易に調製することができる。
【0030】 ステップ(a):トリハロ酢酸アルカリの溶液を、ジベンゾスベレノンの溶液に
、窒素下で攪拌しながら、反応温度を好ましくは約160〜約165℃に維持し
、約4〜約8時間、好ましくは約6時間かけて加える。反応混合物を室温にし、
次いで水に注ぎ入れて、好ましくはエーテルで抽出する。所望の10,11−(
必要に応じて置換)メタノジベンゾスベロンを単離し、慣例の方法で精製する。
たとえば、有機相を水で洗浄し、好ましくはNaSOで乾燥し、蒸発し、次
いで残渣を再結晶させる。 ステップ(a)で用いるトリハロ酢酸アルカリの例は、クロロジフルオロ酢酸ナ
トリウム、トリクロロ酢酸メチル、トリフルオロ酢酸エチルである。好ましいト
リハロ酢酸アルカリは、所望の置換基RおよびRに応じて変わる。 好ましい溶媒は、ジグリム、ベンゼンおよび石油エーテルである。 当業者であれば、反応物に応じて、他の反応温度を採用することができること
が理解されよう。たとえば、CoyneおよびCusicの“アミノアルキルジベンゾ[a
,e]シクロプロパ([c]シクロヘプテン誘導体;A Series of Potent Antidepr
essants”、J.Med.Chem.、1974、Vol.17、No.1、72−75を参照。 別法として、RがHおよびRがClといったようなRおよびRが同一
でない10,11−メタノジベンゾスベロン化合物は、前記Coyneらの方法によ
って製造することができる。RがHおよびRが共に水素である式(2)の化合
物は、前記CoyneおよびCusicの方法によって製造することができる。
【0031】 ステップ(b):溶媒中(好ましくはメタノール中のテトラヒドロフランなど)
のステップ(a)からの10,11−(必要に応じて置換)メタノジベンゾスベロン
の溶液を冷却し、還元を達成するのに十分な還元剤(好ましくは水素化ホウ素リ
チウムまたは水素化ホウ素ナトリウム)を分割して加える。反応混合物を室温に
し、約1〜約5時間、好ましくは約2時間攪拌し、次いで、水に注ぐ。生成物を
単離し、慣例の方法で精製して、対応する式(3)の10,11−(必要に応じて
置換)メタノジベンゾスベロールを得る。 当業者であれば、キラルおよびアキラル還元剤などの他の水素化物還元剤および
制御された水素添加によって、この還元を達成しうることが理解されよう。
【0032】 ステップ(a)および(b)を合わせた方法:約180℃〜約210℃に加熱した
トリエチレングリコールジメチルエーテル中の5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘ
プテン−5−オン(ジベンゾスベレノン)の溶液に、エチレングリコールジメチ
ルエーテル中のクロロジフルオロ酢酸のリチウム塩をゆっくりと加える。塩添加
を進行しながら、反応物からエチレングリコールジメチルエーテルエーテルを蒸
留する。ジベンゾスベレノンが消費された後(当業者に公知の分析方法によって
決定される)、反応物をおよそ周囲温度まで冷却し、次いで、酢酸エチルと珪藻
土の混合物と合わせる。濾過して固体を除去し、酢酸エチルで洗浄する。洗液と
濾液を合わせ、源或る濃縮により酢酸エチルを除去する。濃縮液を約15〜約3
0℃まで冷却し、次いで水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化ホウ素リチウム溶
液を加える。約2時間攪拌した後、反応物にメタノール/水中の濃塩酸(約5−
20%)の溶液を注意深く加えて反応を停止する。懸濁液を約30分攪拌し、粗
生成物を濾過により集める。濾過ケーキをメタノール/水(1:1)で洗浄し、
乾燥して濃褐色固体を得る。次いで、粗生成物を塩化メチレンにてスラリー化し
、濾過し、乾燥してシン−10,11−(必要に応じて置換)メタノジベンゾスベ
ロールを得る。
【0033】 ステップ(c):溶媒(好ましくはヘプタン)中のステップ(b)からの10,1
1−(必要に応じて置換)メタノジベンゾスベロールの溶液を冷却し、次いで、ハ
ロゲン化水素、塩化メタンスルホン酸などの脱離可能基源を加える。たとえば、
温度を約30℃〜約100℃に維持しながら臭化水素を添加することにより、約
2〜5時間、好ましくは約4時間、臭素化を行う。次いで、反応混合物を蒸発乾
固し、対応する5−ブロモ−10,11−(必要に応じて置換)メタノジベンゾス
ベランを得る。 選択的にアンチ立体異性体を得るには、塩化水素または塩化チオニルなどのハ
ロゲン化剤よりも臭化水素の使用が好ましい。5−ハロ−10,11−ジフルオ
ロメタノジベンゾスベランを、さらに精製することなくピラジンと反応させる。
別法として、ピラジンとの処理に付す前に、対応する5−ハロ−10,11−(
必要に応じて置換)メタノジベンゾスベランのアンチ異性体を精製し、単離して
もよい。トリフルオロメタンスルホン酸クロリドまたはp−トルエンスルホン酸
クロリドまたは対応する無水物を用いて、Xがトリフルオロメチルまたはp−ト
ルエンスルホン酸エステルである対応する式(5)の化合物を得る。
【0034】 ステップ(d):式(5)のアンチ−5−ハロ−10,11−(必要に応じて置換)
メタノジベンゾスベラン化合物またはそのスルホネート類縁体とピラジンとの反
応において、溶媒はあってもなくてもよい。好ましい溶媒は、ジメチルスルホキ
シド、ジメチルスルホキシド/メチレンクロリド、メチレンクロリド、酢酸エチ
ルおよびテトラヒドロフランを含む。反応混合物を蒸発乾固して、所望の式(6)
のアンチ−1−[10,11−(必要に応じて置換)メタノジベンゾスベル−5−
イル]ピラジニウム塩化合物を単離し、精製する。
【0035】 ステップ(c)および(d)を合わせた方法:蒸留溶媒交換に続いて、5−ハロ−
10,11−(必要に応じて置換)メタノジベンゾスベランまたはそのスルホネー
ト類縁体の形成を行い、次いで、ピラジンの添加を行うことにより、式(5)の5
−ハロ−10,11−(必要に応じて置換)メタノジベンゾスベランまたはそのス
ルホネート類縁体の形成ステップと次に続く1−[10,11−(必要に応じて置
換)メタノジベンゾスベル−5−イル]ピラジニウム塩(式(6))の形成ステップを
合わせて、1つの操作ステップにすることができる。
【0036】 ステップ(e):式(6)のアンチ−1−[10,11−(必要に応じて置換)メタ
ノジベンゾスベル−5−イル]ピラジニウム塩を、水素化物還元剤などで還元し
て、所望の式(8)のピペラジン化合物にするのが好ましい。還元剤が水素化ホウ
素ナトリウムまたは水素化ホウ素リチウムであるのが好ましい。しかし、当業者
であれば、他の還元剤によって、所望の還元を達成しうることが理解されよう。 たとえば、塩化水素または臭化水素で反応混合物を処理して、結晶性塩として
の単離が容易な対応する式(7)の塩を形成する。当業者であれば、制御された水
素添加を行うか、またはキラル還元剤などの他の還元剤、生体触媒性還元剤また
は他の当業界で公知の方法を用いてピラジニウム塩の還元を行って式(8)のピラ
ン化合物を獲得し得ることに留意すべきである。
【0037】 ステップ(f):溶媒(水性エタノールまたは水性プロパノールまたはイソプ
ロパノールなど)中の式(7)のアンチ−1−[10,11−(必要に応じて置換)
メタノジベンゾスベル−5−イル]ピペラジン酸塩および水酸化カリウムの溶液
を約0.5〜約2時間、好ましくは約1時間還流し、次いで、冷却する。冷却し
た反応混合物を濃縮し、水で希釈し、抽出し、乾燥(KCOが好ましい)し
、次いで、有機相を蒸発して、対応する式(8)のアンチ−1−[10,11−(必
要に応じて置換)メタノジベンゾスベル−5−イル]ピペラジン化合物を得る。
【0038】 ステップ(f)および(g)を合わせた方法:本発明にしたがって、反応工程式4
のステップ(f)および(g)の方法を連続的に行うか、または1つの操作ステップ
で行うことによって、所望の式(1)の化合物を製造することができる。別法とし
て、実施例および当業界で公知の方法(米国特許5654304に記載の方法な
ど)にしたがって、本発明の化合物(7)を用いて、式(1)の化合物を製造するこ
とができる。 たとえば、N,N−ジメチルホルムアミドまたは水性水酸化ナトリウム中の式
(7)の化合物であるアンチ−1−[10,11−(必要に応じて置換)メタノジベ
ンゾスベル−5−イル]ピペラジン酸塩および粉末炭酸ナトリウムの懸濁液を室
温にて1〜3時間、好ましくは1時間攪拌する。式(9)の(2R)−1−(5−キ
ノリニルオキシ)−2,3−エポキシプロパン化合物を加え、反応混合物を約4
0℃〜約100℃、好ましくは約65℃で、約10〜30時間、好ましくは約1
9時間加熱する。温度および時間は、用いた試薬に応じて変えることができる。
HPLC分析を用いて、式(8)のピペラジニル化合物の総消費が示される。混合
物をおよそ室温まで冷却し、シリカゲルプラグで濾過し、エタノールで溶出する
。濾液を濃縮し、約65℃に加熱しながら攪拌する。HClのエタノール溶液を
約10分かけて滴下し、得られる生成物溶液をシードし、トリヒドロクロリド塩
を沈澱させる。混合物を周囲温度に冷却し、約2時間攪拌する。沈澱を濾過し、
エタノールで洗浄し、約50℃で減圧乾燥し、得られる粗トリヒドロクロリド塩
をメタノール/酢酸エチルから再結晶して精製して、RおよびRが、それぞ
れフッ素の場合、(2R)−アンチ−1−[4−(10,11−ジフルオロメタノ1
0,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−イル)ピペ
ラジン−1−イル]−3−キノリン−5−イルオキシ)プロパン−2−オール・
トリヒドロクロリドを得る。当業者であれば、式(8)の化合物を直接、式(9)ま
たは式(10)の化合物と反応させて式(1)の化合物を得ることができるというこ
とを理解すべきである。
【0039】 本発明の好ましい具体例は、R基が、“キノリン−5−イル”基であって、
窒素原子から数えて5位の位置に結合点をもつ構造:
【化47】 によって示され、“5−キノリル”が同義語として用いられる化合物である。
【0040】 RおよびRがフルオロである式(1)の化合物を製造する本発明方法が好ま
しい。Aが2−ヒドロキシプロピレンであり、Rがキノリン−5−イルである
式(1)の化合物を製造する本発明方法もまた好ましい。上記言及した特徴をあわ
せもつ方法がさらに好ましい。
【0041】 本発明の別の好ましい態様は、1−[10,11−(必要に応じて置換)メタノ
ジベンゾスベロール(4)から、1つの操作ステップで、1−[10,11−(必要
に応じて置換)メタノジベンゾスベル−5−イル]ピラジニウム塩(式(6))を得る
ための、反応工程式4のステップ(c)および(d)を合わせた方法を提供する。 (2R)−5−[3−[4−(10,11−ジフルオロメタノジベンゾスベル−5
−イル)ピペラジン−1−イル]−2−ヒドロキシプロポキシ]キノリン化合物を
製造する本発明方法が好ましい。 本発明の最も好ましい具体例は、式(1b):
【化48】 [ここで、HXは、塩化水素、臭化水素、メタンスルホン酸、p−トルエンスル
ホン酸および硫酸からなるグループから選ばれる酸である] で示される(2R)−アンチ−5−[3−[4−(10,11−ジフルオロメタノジ
ベンゾスベル−5−イル)ピペラジン−1−イル]−2−ヒドロキシプロポキシ]
キノリン酸塩(1b)の製造を含む。
【0042】 式(1)の塩の任意の製造 式(1)の化合物を対応する酸付加塩に変換することができる。変換は、化学量
論的量の適当な酸(たとえば、トリヒドロクロリド塩を製造するための3モル当
量)で処理することによって達成される。典型的には、遊離塩基を、メタノール
またはエタノールなどの極性有機溶媒に溶解し、酸を水、メタノールまたはエタ
ノールに加える。温度を0℃〜50℃に維持する。対応する塩は、同時に沈澱す
るか、または極性のより弱い溶媒の溶液からもたらされ得る。 式(1)の化合物の酸付加塩は、過剰の適当な塩基で処理することにより、対応
する遊離塩基に分解することができる。適当な塩基として、アンモニアおよび重
炭酸ナトリウムが挙げられ、典型的には水性溶媒の存在下、0℃〜50℃の間の
温度で行う。遊離塩基は、有機溶媒による抽出などの慣例の手段で単離する。
【0043】 (実施例) 以下の製造例および実施例は、説明のためのみであり、いかなる点においても
本発明の範囲を限定することを企図するものではない。製造例1 (R)−1−(5−キノリニルオキシ)−2,3−エポキシプロパン
【化49】 5−ヒドロキシキノリン(5.60g、38.6ミリモル)、(R)−グリシジ
ルノシレート(10.0g、38.6ミリモル)、粉末炭酸カリウム(11.7g
、84.9ミリモル)およびN,N−ジメチルホルムアミド(100ml)の混
合物を、HPLC分析(アセトニトリル40%/0.5%水性酢酸アンモニウム
溶液60%、1ml/分、l=230nm、Zorbax RX−C8 25c
m×4.6mmカラム)がグリシジルノシレートの完全消失を指示するまで、周
囲温度で攪拌する(およそ6時間)。反応混合物をろ紙で濾過し、フィルターケ
ーキをMTBEと塩化メチレンの混合物(3:1)200mlで洗浄する。濾液
を水200mlで洗浄し、水相をMTBE/塩化メチレン(3:1)100ml
で4回抽出する。有機層を合わせ、硫酸マグネシウム(30g)で乾燥し、次い
で、無水溶液を塩基性アルミナ50gとともに30分間攪拌する。アルミナを濾
去し、フィルターケーキをMTBE/塩化メチレン(3:1)200mlで洗浄
する。ろ液を100mlまで濃縮する。MTBE300mlを加え、溶液を再度
80mlに濃縮する。50℃に加熱した後、溶液をヘプタン150mlで15分
にわたって滴下処理し、40℃に放冷し、種晶を入れ、結晶性沈澱を形成させる
。混合物を周囲温度で2時間攪拌し、次いで、0〜5℃にてさらに2時間攪拌す
る。結晶を濾過し、冷ヘプタンで洗浄し、乾燥して(2R)−1−(5−キノリニ
ルオキシ)−2,3−エポキシプロパンを白色針状物(5.68g、収率73.2
%)で得る。
【数1】
【0044】製造例2 1−(4−ベンゾフラザニルオキシ)−2,3−エポキシプロパン ジメチルホルムアミド(30ml)中のベンゾフラザン−4−オール(1.74
g)に水素化ナトリウム(620mg;60%分散油)を加える。混合物を50
℃で30分加熱する。エピブロモヒドリン(1.6ml)を加え、混合物を60
℃で2時間加熱する。反応混合物を水に注ぎ入れ、酢酸エチルで抽出する。有機
相を水で洗浄し、乾燥(NaSO)し、蒸発させる。残渣をシリカゲルクロ
マトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン)に付して、1−(4−ベンゾフ
ラザニルオキシ)−2,3−エポキシプロパン(1.6g)を得る。mp75℃。
【0045】実施例1 (2R)−アンチ−1−[4−(10,11−ジフルオロメタノ−10,11−ジ
ヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−イル)ピペラジン−1−
イル]−3−キノリン−5−イルオキシ)−プロパン−2−オール・トリヒドロ
クロリド
【化50】 上記化合物の製造は、以下の製造ステップにて具現化される。 ステップa 10,11−ジフルオロメタノジベンゾスベロン
【化51】 窒素下、反応温度を160〜165℃に維持し、オーバーヘッド攪拌しながら
、ジグリム(1400ml)中のクロロジフルオロ酢酸ナトリウム(350g)
の溶液を、ジグリム(500ml)中のジベンゾスベレノン(25g)の溶液に、
4〜8時間、好ましくは6時間にわたって滴下する。ガスクロマトグラフィーま
たは薄層クロマトグラフィーなどの当業者が公知の分析技術により測定して、ジ
ベンゾスベレノンが十分に消費されるまで(90〜100%)加熱を継続する。
次いで、反応混合物を室温まで冷却し、水(1.8リットル)に注ぎ入れ、エーテ
ル(1.8リットル)で抽出する。有機相を水で洗浄し、乾燥(NaSO)し
、蒸発させる。残渣をエタノールから再結晶し、次いで、アセトン/へキサンか
ら再結晶して、10,11−ジフルオロメタノジベンゾスベロン(14g)を得
る。mp149.6℃。母液を合わせ、20%アセトン/へキサンで溶離するフ
ラッシュシリカゲルクロマトグラフィーに付し、さらに所望物質(6.5g)を
得る。 ガスクロマトグラフィー(GC)条件:JWサイエンティフィックDB−1、開
始温度150℃で5分間、10℃/分で昇温、最終温度250℃で5分間、t :所望生成物11.5分;出発物質12.3分。
【0046】 ステップb 10,11−ジフルオロメタノジベンゾスベロール
【化52】 THF/MeOH(1:2、900ml)中の10,11−ジフルオロメタノ
ジベンゾスベロン(20.4g)の溶液を氷浴で冷却する。水素化ホウ素ナトリ
ウム(12g)を分割して加える。冷却浴を取り外し、反応混合物を周囲温度で
2時間攪拌し、水に注ぐ。生成物を濾過し、水で洗浄し、乾燥してシン−10,
11−ジフルオロメタノジベンゾスベロール(20g)を得る。mp230.1
−230.6℃。
【0047】 ステップaおよびbを合わせた任意のステップ (10,11−ジフルオロメタノジベンゾスベロール)
【化53】 180℃に加熱したトリエチレングリコールジメチルエーテル(515ml)
中のジベンゾスベレノン(2)(103.1g、0.500モル)の溶液に、ク
ロロジフルオロ酢酸リチウム塩(293.3g、2.15モル)(エチレングリ
コールジメチルエーテル中の53重量%溶液として)を7時間にわたって加える
。塩添加を始めると同時に、エチレングリコールジメチルエーテルを反応物から
留去する。アリコートのGC分析により、すべてのジベンゾスベレノンが消費さ
れたことがわかる。反応物を周囲温度まで冷却し、次いで、酢酸エチル(400
ml)および珪藻土(75g)と合わせる。固体を濾去し、酢酸エチル300m
lで洗浄する。洗液と濾液を合わせ、減圧濃縮して酢酸エチルを除去し、暗色の
液体(635g)を得る。暗色の液体を18℃に冷却し、これに水素化ホウ素ナ
トリウム(6.62g、0.175モル)(14MのNaOH中の12重量%溶
液として)を15分かけて加える。2時間攪拌後、反応物に濃塩酸:メタノール
:水(1:3.5:4.5)の溶液(900ml)を注意深く加えて反応を停止
する。懸濁液を30分攪拌し、粗生成物を濾過により集め、メタノール:水(1
:1)(600ml)で洗浄し、乾燥して暗茶色固体(126.4g)を得る。粗
生成物を塩化メチレン(600ml)でスラリー化し、塩化メチレン(150m
l部)で2回洗浄し、乾燥して、10,11−ジフルオロメタノジベンゾスベロ
ール(91.6g、収率71%)を固体で得る。 ガスクロマトグラフィー(GC)条件:JWサイエンティフィックDB−1、開
始温度150℃で5分間、10℃/分で昇温、最終温度250℃で5分間、t :中間体11.5分;所望生成物(アルコール)11.9分;出発物質12.3
分。
【0048】 ステップc 5−ブロモ−10,11−ジフルオロメタノジベンゾスベラン
【化54】 ヘプタン(24ml)中の10,11−ジフルオロメタノジベンゾスベロール(
3.0g、11.6ミリモル、1.0当量)のスラリーを48%HBr(1.5
8ml、14.0ミリモル、1.2当量)で処理し、反応物を激しく攪拌しなが
ら2.5時間加熱還流する。次いで、およそ9mlの蒸留液が得られるまで、溶
媒を大気蒸留にて除去する(bp95−98℃)。反応物を冷却し、EtOAc
(15ml)、NaSO(1.5g)および活性炭(750mg)で処理する
。混合物を室温にて15分間攪拌し、ハイフロで濾過する。フィルターケーキを
EtOAc:ヘプタン(50:50)(3×30ml)で洗浄し、濾液を減圧濃
縮して生成物を結晶性固体で得る。
【数2】 元素分析(CH1611BrFとして) 計算値:C59.84;H3.45; 実測値:C60.13;H3.50。
【0049】 ステップcおよびd アンチ−1−[10,11−ジフルオロメタノジベンゾスベル−5−イル]ピラ
ジニウム・ヒドロブロミド塩
【化55】 ヘプタン(420ml)中の10,11−ジフルオロメタノジベンゾスベロー
ル(91.8重量%の56.2gまたは0.2モルの51.6g)のスラリーを
攪拌しながら、48%HBr(27.2ml、0.24モル、1.2当量)で処
理し、濃厚なスラリーを激しく攪拌しながら加熱還流する。1.5時間還流後、
溶媒を大気蒸留にて除去し、およそ50%の濃度にする。反応物を冷却し、Et
OAcで希釈する。活性炭および乾燥NaSOを加える。室温にて1時間攪
拌した後、ハイフロパッドで混合物を濾過し、フィルターケーキをEtOAc:
ヘプタン(50:50)で濯ぐ。濾液を減圧蒸留にて濃縮する。残渣をEtOA
c(200ml)で希釈し、蒸留液が〜200mlになるまで減圧濃縮する。残
渣を100mlに希釈し、ピラジン(48.0g、0.6モル、3.0当量)お
よびDMSO(50ml)で処理すると、吸熱が起こり、6℃になる。溶液を3
0〜32℃に温め、18時間攪拌する。反応混合物をメチルt−ブチルエーテル
(MTBE)(500ml)で希釈し、15分攪拌する。明黄色固体を濾過し、
MTBE(200ml)で洗浄し、乾燥してピラジニウム塩類縁体であるアンチ
−1−[10,11−ジフルオロメタノジベンゾスベル−5−イル]ピラジニウム
・ヒドロブロミドを得る。
【数3】 元素分析(CH2015BrFとして) 計算値:C59.87;H3.77;N6.98; 実測値:C59.84;H3.66;N6.83。 別法として、ピラジンで処理する前に製造例3の手順によって5−ハロ−10
,11−(必要に応じて置換)メタノジベンゾスベランのハロゲン化生成物のア
ンチ異性体を製造し、単離することができる。
【0050】 ステップe 1,1−ジフルオロ−6−[1−ピペラジニル]−1,1aa,6a,10ba
−テトラヒドロジベンゾ[a,e]シクロプロパ[c]シクロヘプテン・ヒドロクロ
リドまたは ((6S,1aS、10bR)−1,1−ジフルオロ−1,6,10b,1a−
テトラヒドロジベンゾ[b,e]シクロプロパ[1,2−f][7]アヌレン−6−イ
ル)ピペラジン・ヒドロクロリド
【化56】 EtOAc(50ml)中の前記ピラジニウム塩のスラリーを攪拌しながら、
NaBH(2.07g、54.8ミリモル、2.2当量)で直接処理し、スラ
リーを15℃に冷却する(冷水浴)。添加中定期的に冷却(冷水浴)して反応温
度を22〜25℃に維持しながら、トリフルオロ酢酸(6.34ml、82.3
ミリモル、3.30当量)を18分かけて滴下する。添加完了後、反応物を周囲
温度で1.5時間攪拌する。この時点で、反応物を10℃に冷却し、2.5Mの
NaOH(50ml)を注意深く加えて反応を停止する。混合物を室温にて15
分攪拌し、層を分離する。有機相を2.5MのNaOH(2×50ml)、50
%飽和NaCl溶液(50ml)で洗浄し、乾燥(NaSO−6g)する。種
々のトランスファーおよびウォッシャーから上記ワークアップ中、有機相にEt
OAc(50ml)を加え、ワークアップの終わりには総体積80〜100ml
のEtOAcを得る。この溶液を濃塩酸(12M溶液2.08ml、24.9ミ
リモル、1.0当量)で処理し、スラリーを室温にて2時間攪拌し、次いで、0
〜5℃で15分攪拌する。白色固体を濾過し、冷EtOAc(10ml)で洗浄
し、乾燥して生成物を粉末で得る。mp274−278℃(分解)(効力85.
6%で7.67gまたは遊離塩基81%で6.56g)。
【数4】 元素分析(C2021ClFとして) 計算値:C66.20;H5.83;N7.72; 実測値:C66.08;H5.90;N7.72。
【0051】 ステップfおよびg (2R)−アンチ−1−[4−(10,11−ジフルオロメタノ−10,11−ジ
ヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−イル)ピペラジン−1−
イル]−3−キノリン−5−イルオキシ)−プロパン−2−オール・トリヒドロ
クロリド 3Aエタノール(54ml)中の1,1−ジフルオロ−6−[1−ピペラジニル
]−1,1aa,6a,10ba−テトラヒドロジベンゾ[a,e]シクロプロパ[
c]シクロヘプテン・ヒドロクロリド(5.41g、14.9ミリモル)および粉
末炭酸ナトリウム(3.16g、29.8ミリモル)の懸濁液を周囲温度で1時
間攪拌する。(2R)−1−(5−キノリニルオキシ)−2,3−エポキシプロパン
(3.00g、14.9ミリモル)を1度に加え、反応混合物を65℃で19時
間加熱する。HPLC分析[溶媒A(アセトニトリル)および溶媒B(0.1%
トリエチルアミンを含む0.02Mのモノリン酸ナトリウム緩衝液、リン酸でp
H3.5に調節)を用いた以下の勾配システム:0〜12分、溶媒A30%/溶
媒B70%;12〜30分、溶媒A30〜55%/溶媒B70〜45%の直線勾
配;30〜35分、溶媒A55%/溶媒B45%;1ml/分、l=240nm
、Synchropak SCD−100 25cm×4.6mmカラム]により
、出発物質の全消費が示される。混合物を室温まで冷却し、予湿(EtOH)シ
リカゲルプラグ14gを通して濾過し、さらにエタノール(90ml)で溶離す
る。濾液を濃縮して、約60mlの体積にし、攪拌しながら65℃に加熱する。
HClのエタノール溶液(0.135g/gの溶液で16.1g、59.6ミリ
モル)を10分かけて滴下し、得られる生成物溶液に種晶を入れ、トリヒドロク
ロリド塩を沈澱させる。混合物を周囲温度まで冷却し、ゆっくりと2時間攪拌す
る。沈澱を濾過し、エタノールで洗浄し、50℃で減圧乾燥して、粗トリヒドロ
クロリド塩を得、これをメタノール/酢酸エチルから再結晶してさらに精製し、
(2R)−アンチ−1−[4−(10,11−ジフルオロメタノ−10,11−ジヒ
ドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−イル)ピペラジン−1−イ
ル]−3−キノリン−5−イルオキシ)−プロパン−2−オール・トリヒドロク
ロリド(7.45g、収率78.4%)を固体で得る。
【0052】 シン−10,11−ジフルオロジベンゾメタノスベロールおよびアンチ−ブロ
モ−10,11−ジフルオロメタノジベンゾスベランの使用を上記に説明したが
、当業者であれば、式(6)のアンチ−ピラジニウム塩化合物の形成を、式(5)の
5−ハロ−10,11−(必要に応じて置換)メタノジベンゾスベラン化合物の
シンまたはトランス異性体のいずれかを用いて有効に達成しうることを理解する
であろう。このことは、式(6)のアンチ−ピラザニウム塩化合物の形成における
、10,11−(必要に応じて置換)メタノジベンゾスベラントロピリウムイオ
ンの中間性の力により可能である。
【0053】 同様に、当業者であれば、シン−10,11−(必要に応じて置換)メタノジ
ベンゾスベロール(4)の使用が、本発明の実施において決定的なものではないこ
とを承知している。10,11−(必要に応じて置換)メタノジベンゾスベロー
ルのアンチ異性体も同等に有効である。このことは、5−ハロ−10,11−(
必要に応じて置換)メタノジベンゾスベラン(5)の形成が、本発明方法によって
、ブロミドの場合、好ましくは式(5)の化合物のアンチ異性体を提供する対応す
るトロピリウムイオン中間体を介して進行するからである。
【0054】 さらに、本発明は、(2R)−アンチ−5−[3−[4−(10,11−ジフルオ
ロメタノジベンゾスベル−5−イル)ピペラジン−1−イル]−2−ヒドロキシプ
ロポキシ]キノリン・トリヒドロクロリド新規な水和物結晶体(水和物(I))を
提供する。有機化合物の結晶体の特徴決定には多くの方法が利用可能である。こ
れらの方法には、示差走査カロリメトリー、固相NMRスペクトロメトリー、赤
外線スペクトロスコピーおよびX線粉末回折がある。X線粉末回折パターンは、
化合物の異なる結晶体を区別するのに非常に有用である。 X線粉末回折は、以下のように、容易に行うことができる。サンプルをメノウ
乳鉢および乳棒で軽くすりつぶした後、サンプルをX線粉末回折測定用のサンプ
ルホルダーに入れる。CuKα源(λ=1.54056オングストローム)を備
えたジーメンスD5000X線粉末回折計を用いてX線粉末回折パターンを測定
する。NISTトレーサブルデジタル湿度計(モデル11−661−16)を用
いてサンプル室内の実際の相対湿度を測定する。により、少なくとも1週間サン
プルをPで予備乾燥することにより、0%R.H.X線回折パターンが得
られる。二重導関数ピークピッキング法を用いて、平面間格子間隔および最も突
出した特徴のピーク強度を測定する。水和物(I)は、以下の平面間格子間隔(
d)(オングストロ−ム)典型的なX線回折パターンをもつ(ここで、平面間格
子間隔は以下の典型的な相対強度(I/I)をもつ。測定誤差は、±0.04
オングストロームである。I/Iが5%以上であるX線のピークを表1に記載
する。カットオフは任意に選ぶ。
【0055】
【表1】
【0056】 どのような既知の結晶体に対しても、回折ピークの相対強度が、特定の結晶形
態に起因する優先的方向決定および粒子サイズの影響などの多数のファクターに
よって変化することは結晶学界において公知である。優先的方向決定および/ま
たは粒子サイズの影響が存在する場合、ピーク強度(すなわち、I/I値)は
、変更されるが、同質異像の特徴的なピーク位置は、変化しない。たとえば、米
国薬局方#23、国定処方集#18、p1843〜1844を参照。
【0057】 優先的方向決定の影響は、十分にすりつぶされたサンプルの使用といったよう
なこの影響を最小化するような仕方で調製されたサンプルを用いて多いに減少さ
せることができる。水和物(I)は、以下のd格子間隔に対応するピークを含むX
線回折パターンを持つとみなすことができる:22±2℃、相対湿度31±10
%において銅放射線源から得られる場合、7.95±0.04オングストローム
。好ましくは、水和物(I)の好適に調製されたサンプルは、以下のd格子間隔に
対応するピークを含むX線回折パターンを持つとみなすことができる:22±2
℃、相対湿度31±10%において銅放射線源から得られる場合、9.93、7
.95、4.45および3.36±0.04オングストローム。
【0058】 さらに、当業者であれば理解しうるように、水和物(I)は、固相NMRによ
って特徴付けることもできる。完全固体アクセサリーおよびVarian7mm VT
CP/MASプローブを備え、炭素振動数10.580MHzで作動するVarian
Unity 400MHzスペクトロメーターを用いて固相NMR(13C)分析を
行う。捕捉パラメーターは、以下のとおりである:90°プロトンr.f.パル
ス幅4.0μs、接触時間1.0ms、パルス反復時間5s、MAS振動数7.
0kHz、スペクトル幅50kHzおよび捕捉時間50ms。化学シフトは、サ
ンプル交換によって、ヘキサメチルベンゼンのメチル基(δ=17.3ppm)
を参照する。固相13C化学シフトは、水和物(I)の分子構造を反映するばかり
でなく、結晶における分子の電気的環境も反映する。100〜160ppmの化
学シフトレンジに現れる水和物(I)の診断的13C共鳴は、105.7、106
.5、111.0、113.0、118.8、119.5、130.0、132
.3、133.7、134.7、136.4、136.7、141.3、142
.6、145.8、148.1、152.6および153.6ppmである。
【0059】 水和物(I)が形成される正確な条件は、経験的に決定することができ、実施に
適することがわかっている多数の方法を与えることのみが可能である。したがっ
て、たとえば、水和物(I)は、制御された条件下で結晶化することによって製造
することができる。本発明方法は、その水和状態または結晶状態に関係なく、(
2R)−アンチ−5−[3−[4−(10,11−ジフルオロメタノジベンゾスベル
−5−イル)ピペラジン−1−イル]−2−ヒドロキシプロポキシ]キノリン・ト
リヒドロクロリドを利用しうることが理解される。特に、水和物(I)は、(2
R)−アンチ−5−[3−[4−(10,11−ジフルオロメタノジベンゾスベル−
5−イル)ピペラジン−1−イル]−2−ヒドロキシプロポキシ]キノリン・トリ
ヒドロクロリドから製造するか、または予め単離した(2R)−アンチ−5−[3
−[4−(10,11−ジフルオロメタノジベンゾスベル−5−イル)ピペラジン
−1−イル]−2−ヒドロキシプロポキシ]キノリン・トリヒドロクロリドの再結
晶化によって製造することができる。水和物(I)の結晶化のために、水および水
混和性溶媒を用いる。一般に、アセトン、ブタノンなどのアルキルケトン;アセ
トニトリル、プロピオニトリルなどのアルキルニトリル;およびメタノール、エ
タノール、イソプロパノールなどのアルキルアルコールといったような水混和性
溶媒の使用が好ましい。出発物質を溶解するために、溶媒系を温めるのが有益で
ある。
【0060】 結晶化を誘発するために、溶液に水和物(I)の“種晶”を加えるのが有益であ
る。水和物(I)は、容易に溶け、要すれば冷却後、結晶化溶液から濾去すること
ができ、洗浄し、乾燥する。要すれば、上記のように製造した水和物(I)は、
上記結晶化を行ったのと同様な条件を用いてさらに結晶化することができる。 以下の製造例および実施例は、説明のためのみであり、いかなる点においても
本発明の範囲を限定することを企図するものではない。 前記方法にしたがって、実施例1の化合物を結晶化することにより、エタノー
ルウェットケーキとして水和物(I)を製造し、減圧乾燥し、次いで、加湿して、
エタノールを置き換える。したがって、さらに本発明は、a)(2R)−アンチ−
5−[3−[4−(10,11−ジフルオロメタノジベンゾスベル−5−イル)ピペ
ラジン−1−イル]−2−ヒドロキシプロポキシ]キノリン・トリヒドロクロリド
のエタノールウェットケーキを形成し;b)エタノールウェットケーキを減圧乾
燥して無水(2R)−アンチ−5−[3−[4−(10,11−ジフルオロメタノジ
ベンゾスベル−5−イル)ピペラジン−1−イル]−2−ヒドロキシプロポキシ]
キノリン・トリヒドロクロリドを得;次いで、c)無水(2R)−アンチ−5−[
3−[4−(10,11−ジフルオロメタノジベンゾスベル−5−イル)ピペラジ
ン−1−イル]−2−ヒドロキシプロポキシ]キノリン・トリヒドロクロリドを加
湿して水和物(I)を得ること;を含む水和物(I)の製造方法を包含する。 加湿して有機溶媒を置き換えることにより以下の溶媒を水和物(I)に変換する
ことができる。この溶媒のリストは、例示のためのみのものである。当業者であ
れば、再結晶に用いた有機溶媒が、非特異的であり、多数の組合せが可能である
ことを理解しえよう。
【0061】 実施例1の化合物をMeOH(10ml)に周囲温度にて攪拌しながら溶解す
ることによって、メタノール/HO溶媒和物を調製する。攪拌溶液に、EtO
Ac(20ml)を加える。減圧濾過により生成物ウェットケーキを単離し、E
tOAc(15ml)で洗浄し、周囲温度にて〜16時間減圧乾燥する。収量=
579mg。 実施例1の化合物を3A EtOH(20ml)に懸濁することによって、エ
タノール/HO溶媒和物を調製する。攪拌懸濁液を加熱還流し、さらに3A
EtOH(10ml)を加え、固体を溶解する。溶液を〜20分間還流(78.
5℃)し、熱源を停止し、溶液を室温までゆっくりと放冷する。〜36℃で溶液
は濁るようになる。微結晶生成物を減圧濾過により単離し、3A EtOH(2
〜3ml)で洗浄し、風乾する。収量=141mg(有意な生成物損失が高静電
粒子の移入にともなう)。
【0062】 実施例1の化合物をMeOH(10ml)に周囲温度にて攪拌しながら溶解す
ることによって、IPA/HO溶媒和物を調製する。攪拌溶液に、IPA(1
0ml)を滴下し、結晶化を誘発する。減圧濾過により固体生成物を単離し、I
PA(20ml)で洗浄し、ブフナーロート上にて気流乾燥する。収量=509
mg。 実施例1の化合物をHO(1ml)およびn−PrOH(1ml)に溶解する
ことによって、n−プロパノール/HO溶媒和物を調製する。攪拌溶液に、n
−PrOH(68ml)を加える。次いで、溶液を回転蒸発器にて乾燥し、粘性
固体を得る。n−PrOH(20ml)を加え、減圧濾過により固体生成物を単
離し、n−PrOH(5ml)で洗浄し、風乾する。収量=293mg。
【0063】 実施例1の化合物をMeOH(10ml)に周囲温度にて攪拌しながら溶解す
ることによって、THF/HO溶媒和物を調製する。攪拌溶液に、THF(2
0ml)を滴下し、結晶化を誘発する。減圧濾過により固体生成物を単離し、T
HF(20ml)で洗浄し、ブフナーロート上にて気流乾燥する。収量=520
mg。 実施例1の化合物をMeOH(10ml)に周囲温度にて攪拌しながら溶解す
ることによって、アセトン/HO溶媒和物を調製する。攪拌溶液に、アセトン
(20ml)を滴下し、結晶化を誘発する。減圧濾過により固体生成物を単離し
、アセトン(15ml)で洗浄し、ブフナーロート上にて気流乾燥する。収量=
472mg。
【0064】 実施例1の化合物をACN(25ml)に懸濁することによって、アセトニト
リル/HO溶媒和物を調製する。次いで、攪拌懸濁液を加熱し、HO(3m
l)を加えて固体を溶解する。EtOAc(50ml)を滴下しながら、溶液を
周囲温度まで冷却する。減圧濾過により固体生成物を単離し、EtOAc(5m
l)で洗浄し、風乾する。収量=555mg。 実施例1の化合物をDMAC(5ml)に周囲温度にて攪拌しながら溶解する
ことによって、DMAC/アセトン/HO溶媒和物を調製する。重力濾過によ
り少量の溶けていないゴム状の固体を除去する。次いで、攪拌溶液にアセトン(
20ml)を滴下し、得られる固体を一夜放置してスラリーにする。酢酸セルロ
ース濾紙上での減圧濾過により黄色の固体を単離し、アセトンで洗浄する。収量
=389mg。
【0065】 実施例1の化合物をDMF(13ml)に懸濁することによって、DMF/H
O溶媒和物を調製し、攪拌懸濁液にHO(〜0.2ml)を滴下して固体を
すばやく溶かす。PrOAc(15ml)を滴下して結晶化を誘発し、24時
間スラリー化を継続する。減圧濾過により固体生成物を単離し、PrOAcで
洗浄する。粘着性の黄色固体がウェットケーキとして得られる。 実施例1の化合物をDMSO(3ml)に室温にて攪拌しながら溶解すること
によって、DMSO/アセトニトリル/HO溶媒和物を調製する。次いで、攪
拌溶液にACN(20ml)を滴下し、酢酸セルロース濾紙上での減圧濾過によ
り固体生成物を単離し、アセトニトリル数mlで洗浄する。得られるウェットケ
ーキを50℃で20分間乾燥し、明黄色粉末(284g)を得る。
【0066】 さらに本発明は、治療を必要とする哺乳動物に、耐性調節量の水和物(I)およ
び有効量の薬物耐性疾患用治療薬を共投与することを含む、薬物耐性疾患の治療
方法を提供する。疾患がガンであるのが好ましい。治療薬がガンの化学療法剤で
あるのが好ましい。 さらに本発明は、治療を必要とする哺乳動物に、マルチ耐性調節量の水和物(
I)および有効量のマルチ薬物耐性疾患用の治療薬を共投与することを含むマル
チ薬物耐性疾患の治療方法を提供する。治療薬がガンの化学療法剤であるのが好
ましい。
【0067】 さらに本発明は、治療を必要とする哺乳動物に、治療有効量の薬物および該薬
物が血液脳関門を越えて脳へ入るようにするのに十分な水和物(I)を共投与す
ることを含む、脳への医薬的活性剤のバイオアベイラビリティの増強方法を提供
する。活性剤がHIVプロテアーゼインヒビターであるのが好ましい。本発明に
よって企図されるこのようなプロテアーゼインヒビターの例として、NELFI
NAVIR(1日3回750mgをメシレート塩として投与するのが好ましい)
(米国特許5484926、これは全体を参考文献として本発明に援用される)
;RITONAVIR(1日2回600mgを投与するのが好ましい)(米国特
許5484801、これは全体を参考文献として本発明に援用される);SAQ
UINAVIR(1日3回1200mgを投与するのが好ましい)(米国特許5
196438、これは全体を参考文献として本発明に援用される);INDIN
AVIR(1日3回800mgを投与するのが好ましい)(米国特許54139
99、これは全体を参考文献として本発明に援用される);およびAMPREN
AVIR(1日2回1200mgを投与するのが好ましい)(米国特許5585
397、これは全体を参考文献として本発明に援用される)が挙げられる。さら
に、当業者であれば、患者へのプロテアーゼインヒビターの投与が、好ましいも
の以外にも存在しうることが理解できるであろう。
【0068】 さらに本発明は、薬物耐性疾患の治療薬を製造するための、有効量の治療薬と
組み合わせての水和物(I)またはその医薬的に許容しうる塩の使用を提供する。
疾患がガンであるのが好ましい。治療薬がガン化学療法剤であるのが好ましい。 さらに本発明は、マルチ薬物耐性疾患の治療薬を製造するための、有効量の治
療薬と組み合わせての水和物(I)またはその医薬的に許容しうる塩の使用を提供
する。治療薬がガン化学療法剤であるのが好ましい。
【0069】 さらに本発明は、治療を必要とする哺乳動物に、治療有効量の薬物および該薬
物が血液脳関門を越えて脳へ入るようにするのに十分な水和物(I)を共投与す
ることを含む、脳への医薬的活性剤のバイオアベイラビリティの増強薬を製造す
るための、有効量の活性剤と組み合わせての水和物(I)またはその医薬的に許容
しうる塩の使用を提供する。活性剤がHIVプロテアーゼインヒビターであるの
が好ましい。 好ましくは、本発明は、水和物(I)、1種またはそれ以上の担体、希釈剤また
は賦形剤、必要に応じて、治療薬を含む医薬製剤に関する。
【0070】 医薬として用いる場合、水和物(I)は通常、医薬組成物の形体で投与する。
これらの組成物は、経口、経腸、経皮および鼻腔内などの種々の経路によって投
与することができる。このような組成物は、製薬業界で公知の方法で製造され、
水和物(I)を含む。 「実質的に純粋」とは、水和物(I)の結晶相純度を意味する。実際問題とし
て、我々は、少量の他の結晶形体が、水和物(I)の利点に悪影響を及ぼさない
ことを見出している。本発明にしたがって、実質的に純粋とは、90%以上、好
ましくは95%以上が総結晶物質である水和物(I)を意味する。 また本発明は、水和物(I)(以降、“活性成分”という)ならびに医薬的に
許容しうる担体を含む医薬組成物を包含する。本発明に係る組成物の製造にあた
り、活性成分は通常、賦形剤と混合し、または担体により希釈し、または、カプ
セル、サシェー、紙もしくはその他の容器の形であってよい担体中に封入する。
賦形剤が希釈剤としての役割を有する場合、それは、活性成分のためにビヒクル
、担体もしくは媒体として働く固体、半固体または液体材料であってよい。した
がって、本組成物は、錠剤、丸剤、散剤、トローチ剤、サシェー剤、カシェー剤
、乳剤、溶液、エアゾール、軟膏(10重量%以下の活性化合物をふくむ)、軟
および硬ゼラチンカプセル剤、坐剤、無菌充填粉末等の形とすることができる。
【0071】 適当な賦形剤として、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトー
ル、マンニトール、澱粉、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ト
ラガカントゴム、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニル
ピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップおよびメチルセルロースが挙げられ
る。製剤は、さらに、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱物油などの滑
沢剤;湿潤剤;乳化剤および懸濁化剤;メチルおよびプロピルヒドロキシベンゾ
エートなどの保存剤;甘味剤;および香味剤を包含することができる。本発明組
成物は、当業界で公知の方法により、患者への投与後に、活性成分の迅速な、持
続的な、または遅延された放出を行うように製剤化することができる。
【0072】 単位投与剤形あたり、約5〜約100mg、より好ましくは約10〜約30m
gの活性成分を含むように製剤するのが好ましい。「単位投与剤形」とは、ヒト
患者または他の哺乳動物のための単位投薬量として適当な物理的に別個の単位を
意味し、各単位は所望の治療効果を生み出すように計算された予定量の活性物質
ならびに適当な医薬的賦形剤を含む。医薬的に不活性な担体とのバランスにおい
て、水和物(I)が、医薬組成物の約20重量%以下で用いられるのが好ましく
、約15重量%以下であるのがより好ましい。
【0073】 水和物(I)は、広範囲に有効であり、医薬的有効量にて一般に投与される。
しかし、実際に投与される化合物の量は、治療される身体状態、選択された投与
経路、実際の投与された化合物、個々の患者の年齢、体重および応答、患者の症
状の重篤度などの関連する状況を考慮して、医師によって決定されることが理解
されよう。 錠剤などの製剤を製造するには、活性成分を医薬的賦形剤と混合して、本発明
化合物の均質混合物を含有する固体の予備製剤組成物を製造する。これらの予備
製剤組成物を均質という場合、組成物が、錠剤、丸剤およびカプセル剤などの等
しく有効な単位投与剤形に容易に細分されるように、活性成分が組成物中に均等
に分散されることを意味する。次いで、この固体予備製剤を、たとえば本発明活
性成分0.1〜約500mgを含む上記タイプの単位投与剤形に細分する。
【0074】 本発明の錠剤または丸剤は、コーティングするか、あるいは持続性作用という
利点が得られる剤形を提供するように配合することができる。たとえば、錠剤ま
たは丸剤は、内側投薬成分と外側投薬成分からなり、後者は、前者を包む形とな
る。2つの成分は、胃の中で分解せず、内側成分を十二指腸へ無傷で通過させる
かまたは放出を遅延化させる腸溶性層で分離することができる。種々の物質が、
このような腸溶性層またはコーティングに用いることができ、多くのポリマー酸
およびポリマー酸とセラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースなどの物
質との混合物などが挙げられる。
【0075】 吸入または通気用組成物には、液剤、懸濁液剤および散剤が含まれる。液体ま
たは固体組成物は、前述の適当な医薬的に許容しうる賦形剤を含むことができる
。局所的または全身的効果には、組成物が、経口または経鼻呼吸経路によって投
与されるのが好ましい。好ましくは医薬的に許容しうる溶媒中の組成物を不活性
ガスの使用によって噴霧してもよい。噴霧液を噴霧装置から直接吸入してもよい
し、あるいは噴霧装置を顔マスクテントまたは間欠圧力呼吸機に取り付けてもよ
い。液剤、懸濁液剤および散剤組成物は、好適な方法で製剤をデリバリーする装
置から、経口または経鼻投与されるのが好ましい。 以下の製剤例は、活性成分として水和物(I)を含む本発明医薬組成物をさら
に詳しく説明するものである。
【0076】 製剤例1:以下の成分を含有する硬ゼラチンカプセル剤を製造する: 成分 mg/カプセル 活性成分 30.0 乾燥澱粉 305.0 ステアリン酸マグネシウム 5.0 上記成分を混合し、硬ゼラチンカプセルに340mgを充填する。
【0077】 製剤例2:錠剤を以下の成分を用いて製造する: 成分 mg/錠 活性成分 25.0 微結晶セルロース 200.0 コロイド状二酸化珪素 10.0 ステアリン酸 5.0 成分を混和し圧縮して、各々240mg重量の錠剤を製造する。
【0078】 製剤例3:以下の成分を含有する乾燥粉末吸入製剤を製造する: 成分 重量% 活性成分 5 ラクトース 95 活性成分をラクトースと混合し、混合物を乾燥粉末吸入器械に入れる。
【0079】 製剤例4:活性成分30mgを各々含有する錠剤を以下のように製造する: 成分 (mg/錠) 活性成分 30.0mg 澱粉 45.0mg 微結晶セルロース 35.0mg ポリビニルピロリドン(10%滅菌水溶液として) 4.0mg カルボキシメチル澱粉ナトリウム 4.5mg ステアリン酸マグネシウム 0.5mg タルク 1.0mg 計 120mg 活性成分、澱粉およびセルロースをNo.20メッシュU.S.篩に通し、完全に混
合する。ポリビニルピロリドンの溶液を、得られる粉末と混合し、次いでこの混
合物をNo.16メッシュU.S.篩に通す。このようにして製造した顆粒を50〜6
0℃で乾燥し、No.16メッシュU.S.篩に通す。次に、予めNo.30メッシュU.S.
篩に通しておいたカルボキシメチル澱粉ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム
およびタルクをこの顆粒に加え、混合後、打錠機で圧縮して、各々150mg重量
の錠剤を得る。
【0080】 製剤例5:活性成分40mgを各々含有するカプセル剤を以下のように製造す
る: 成分 (mg/錠) 活性成分 40.0mg 澱粉 109.0mg ステアリン酸マグネシウム 1.0mg 計 150.0mg 活性成分、澱粉、およびステアリン酸マグネシウムを混和し、No.20メッシ
ュU.S.篩にかけ、150mgの量を硬ゼラチンカプセル中に充填する。
【0081】 製剤例6:活性成分25mgを各々含有する坐剤を以下のように製造する: 成分 量 活性成分 25mg 飽和脂肪酸グリセリド 2000mg 活性成分をNo.60メッシュU.S.篩にかけ、予め必要最小限の熱で融解した飽
和脂肪酸グリセリドに懸濁する。次いで混合物を公称2g容量の坐剤鋳型中に注
ぎ、放冷する。
【0082】 製剤例7: 成分 (mg/錠) 活性成分 15.0mg 澱粉 407.0mg ステアリン酸マグネシウム 3.0mg 計 425.0mg 活性成分、澱粉、およびステアリン酸マグネシウムを混和し、No.20メッシ
ュU.S.篩にかけ、560mgの量を硬ゼラチンカプセル中に充填する。
【0083】 製剤例9:皮下製剤を以下のように製造する: 成分 量 活性成分 1.0mg コーン油 1ml
【0084】 製剤例10:局所製剤を以下のように製造する: 成分 量 活性成分 1−10g 乳化ワックス 30g 液体パラフィン 20g 白色軟パラフィン 合わせて100g 白色軟パラフィンを融けるまで加熱する。液体パラフィンおよび乳化ワックス
を加え、溶解するまで攪拌する。活性成分を加え、分散するまで攪拌を続ける。
次いで、混合物を固体化するまで冷却する。
【0085】 本発明方法で用いる他の好ましい製剤は、経皮デリバリー手段(パッチ)を用
いる。このような経皮パッチを用いて、本発明化合物の量を制御しながら連続的
または不連続的に浸出させることができる。薬剤のデリバリーのための経皮パッ
チの構成および使用当業界で公知である。米国特許5023252(1991年
6月11日登録)(これは全体を参考文献として本発明に援用される)を参照せ
よ。このようなパッチを薬剤の連続的、断続的適用のため、あるいは要求デリバ
リー用に構成してもよい。
【0086】 医薬組成物を脳に直接または間接的に導入することが望ましいかまたは必要で
あることがしばしばある。直接導入の技術は、通常、血液脳関門患者をバイパス
するための脳室系への薬物デリバリーカテーテルの設置である。身体の特定の構
造上の領域への生物学的因子の輸送に用いる、このような移植可能なデリバリー
システムの1つが、米国特許5011472に記載されており、これは全体を参
考文献として本発明に援用される。 一般的に好ましい、間接導入技術は、通常、親水性の薬物を脂溶性薬物に変換
することによる薬物の潜在化を提供する組成物の製造である。潜在化は、一般に
、薬物に存在するヒドロキシ、カルボニル、スルフェートおよび第1アミン基を
ブロックして、薬物の脂溶性の程度を増加し、血液脳関門を通る輸送をしやすく
することによって達成される。別法として、親水性の薬物のデリバリーは、一時
的に血液脳関門を開くことができる高張溶液の動脈内注入によって増加される。 本発明で用いる他の適当な配合物は、Remington's Pharmaceutical Science、
メイス・パブリッシング・カンパニー、フィラデルフィア、PA、17版(19
85)に見出すことができる。
【0087】 上述したように、水和物(I)は、前記種々のドラッグデリバリーシステムに
適している。さらに、本発明化合物のインビボ血清半減期を延ばすために、カプ
セルに入れたり、リポゾームの内腔に導入したり、コロイドとして調製してもよ
く、あるいはかごうぶつの血清半減期を延ばし得る他の常套の技術を用いてもよ
い。たとえば、Szokaらの米国特許4235871、4501728および48
37028(これらは全体を参考文献として本発明に援用される)に記載されて
いるように、リポソームを製造するのに種々の方法が有用である。 患者に投与される水和物(I)の量は、予防または治療といったような投与の
目的、患者の健康状態、投与方法などに応じて変化する。治療的適用においては
、すでにアルツハイマー病に罹っている患者に、疾患およびその合併症の症状の
攻撃を少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で、組成物を投与する。これを
成し遂げるのに適切な量は、「治療有効用量」として定義される。この用途に有
効な量は、患者の疾患の度合いまたは重篤度、患者の年齢、体重および一般的な
身体状態などのファクターに応じて担当医の行う判断によって変わる。治療薬と
して用いる場合、水和物(I)を約1〜約500mg/kg/日の用量範囲で投
与するのが好ましい。 本発明は、水和物(I)が得られる条件下で、水および混和性溶媒から(2R)
−アンチ−5−[3−[4−(10,11−ジフルオロメタノジベンゾスベル−5
−イル)ピペラジン−1−イル]−2−ヒドロキシプロポキシ]キノリン・トリヒ
ドロクロリドを結晶化することを含む、水和物(I)を製造する方法を提供する
【図面の簡単な説明】
【図1】 水和物(I)の代表的な固相NMRスペクトルである。
【図2】 水和物(I)の代表的なXRDパターンを示す。
【図3】 水和物(I)の格子内の可変含水量の作用としてのピーク位置の規
則正しいシフトを示すXRDパターンを示す。
【図4】 代表的な溶媒和物の代表的な固相NMRスペクトルである。
【図5】 代表的な溶媒和物の代表的なXRDパターンを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 29/143 C07C 29/143 35/37 35/37 35/52 35/52 C07D 241/10 C07D 241/10 295/06 295/06 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM, HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,K G,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT ,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW, MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S D,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR ,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN,YU, ZA,ZW (72)発明者 マイケル・エドワード・ル・トゥールノー アメリカ合衆国46254インディアナ州イン ディアナポリス、マックレラン・コート 6024番 (72)発明者 トーマス・マイケル・ウィルソン アメリカ合衆国46224インディアナ州スピ ードウェイ、グリーンローン1193番 (72)発明者 ジュリー・ケイ・ブッシュ アメリカ合衆国46038インディアナ州フィ ッシャーズ、レッド・ベリー・コート 10671番 (72)発明者 スーザン・マリー・ルーツェル−エデンズ アメリカ合衆国46254インディアナ州イン ディアナポリス、イーグルズ・ウォッチ・ レイン4824番 Fターム(参考) 4C031 DA04 4C084 AA17 MA02 MA05 ZB26 ZC75 4C086 AA01 AA03 AA04 BC50 GA07 GA12 GA13 GA15 MA02 MA04 MA05 NA05 NA14 ZB26 ZC75 4H006 AA02 AC21 AC41 BE23 FC56 FE12 FE72 FE74

Claims (36)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1): 【化1】 [式中、Aは、−CH−CH−、−CH−CHR−CH−、−CH
    −CHR−CH−CH−およびRはOH; Rは、H、F、ClまたはBr; Rは、H、F、ClまたはBr;および Rは、それぞれF、Cl、Br、CF、CN、NOまたはOCHFで必
    要に応じて置換されたヘテロアリールまたはフェニルである] の化合物またはその医薬的に許容しうる塩の製造方法であって、 (a)式(4): 【化2】 の化合物を求核試薬源と反応させて、式(5): 【化3】 [式中、Xは、脱離可能基である] の化合物を形成し; (b)式(5)の化合物をピラジンと反応させて、式(6): 【化4】 の化合物を形成し; (c)式(6)の化合物を還元して、式(8): 【化5】 の化合物を形成し; (d)式(8)の化合物を (i)式(9): 【化6】 [式中、Rは前記と同意義であり、nは1または2の整数である] のエポキシ化合物;または (ii)式(10): 【化7】 [式中、Rは前記と同意義、Xはハロであり、mは2、3または4である] のハロ化合物のいずれかと反応させ;次いで (e)必要に応じて、ステップ(d)で製造された化合物から医薬的に許容しうる
    塩を形成する; ステップを含む方法。
  2. 【請求項2】 ステップ(a)の脱離可能基がBr、Cl、OMsおよびOT
    sから選ばれる請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 RおよびRがそれぞれFであり、XがBrである請求項
    1記載の方法。
  4. 【請求項4】 Rがキノリン−5−イルである請求項1、2または3記載
    の方法。
  5. 【請求項5】 式(1)の化合物の塩がトリヒドロクロリド塩である請求項4
    記載の方法。
  6. 【請求項6】 式(6): 【化8】 の化合物の製造方法であって、 (a)式(4): 【化9】 の化合物を求核試薬源と反応させて、式(5): 【化10】 [式中、Xは、脱離可能基である] の化合物を形成し; (b)式(5)の化合物をピラジンと反応させて、式(6): 【化11】 の化合物を形成する; ステップを含む方法。
  7. 【請求項7】 式(6)の化合物を還元して、式(8): 【化12】 の化合物を形成することをさらに含む請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 式(6): 【化13】 [式中、RおよびRは独立して、H、F、ClまたはBrであり、XはI、
    Br、Cl、OMsおよびOTsから選ばれる脱離可能基である] の化合物。
  9. 【請求項9】 RおよびRの両方がFであり、XがBrである請求項8
    記載の化合物。
  10. 【請求項10】 式(4): 【化14】 の化合物の製造方法であって、トリグリム中のジベンゾスベレノンをトリハロ酢
    酸リチウムと反応させて、中間体10,11−(必要に応じて置換)メタノジベン
    ゾスベロンを形成し、該中間体を還元する[ここで、両方の反応は1つの操作ス
    テップで行う]ことを含む方法。
  11. 【請求項11】 式(6)の化合物を還元して、式(8): 【化15】 の化合物を形成する方法。
  12. 【請求項12】 RおよびRの両方がFである請求項11記載の化合物
  13. 【請求項13】 dスペーシングに対応する7.95+/−0.04オング
    ストローム(22±2℃、相対湿度31±10%、銅放射源の場合)のピークを
    含むX線回折パターンをもつ(2R)−アンチ−5−[3−[4−(10,11−ジ
    フルオロメタノジベンゾスベル−5−イル)ピペラジン−1−イル]−2−ヒドロ
    キシプロポキシ]キノリン・トリヒドロクロリドの水和物結晶体(水和物(I))
  14. 【請求項14】 9.93、4.45および3.36+/−0.04オング
    ストローム(22±2℃、相対湿度31±10%、銅放射源の場合)のピークを
    さらに含む請求項13記載の(2R)−アンチ−5−[3−[4−(10,11−ジ
    フルオロメタノジベンゾスベル−5−イル)ピペラジン−1−イル]−2−ヒドロ
    キシプロポキシ]キノリン・トリヒドロクロリドの水和物結晶体。
  15. 【請求項15】 請求項13または14記載の結晶体化合物、1種またはそ
    れ以上の医薬的担体、希釈剤または賦形剤、必要に応じて、治療薬を含む医薬製
    剤。
  16. 【請求項16】 治療を必要とする哺乳動物に、耐性調節量の請求項13ま
    たは14記載の結晶体化合物および有効量の薬物耐性疾患用の治療薬を共投与す
    ることを含む薬物耐性疾患の治療方法。
  17. 【請求項17】 疾患がガンである請求項16記載の方法。
  18. 【請求項18】 治療薬が、ガンの化学療法剤である請求項16記載の方法
  19. 【請求項19】 治療を必要とする哺乳動物に、マルチ耐性調節量の請求項
    13または14記載の結晶体化合物および有効量のマルチ薬物耐性疾患用の治療
    薬を共投与することを含むマルチ薬物耐性疾患の治療方法。
  20. 【請求項20】 治療薬が、ガンの化学療法剤である請求項19記載の方法
  21. 【請求項21】 治療を必要とする哺乳動物に、治療有効量の薬物および該
    薬物が血液脳関門を越えて脳へ入るようにするのに十分な請求項13または14
    記載の結晶体化合物を共投与することを含む脳への医薬的活性剤のバイオアベイ
    ラビリティの増強方法。
  22. 【請求項22】 治療を必要とする哺乳動物に、治療有効量の薬物および該
    薬物が胃腸管を通って血流へ入るようにするのに十分な請求項13または14記
    載の結晶体化合物を共投与することを含む薬物のバイオアベイラビリティの増強
    方法。
  23. 【請求項23】 (2R)−アンチ−5−[3−[4−(10,11−ジフルオ
    ロメタノジベンゾスベル−5−イル)ピペラジン−1−イル]−2−ヒドロキシプ
    ロポキシ]キノリン・トリヒドロクロリドの溶媒和物。
  24. 【請求項24】 a)(2R)−アンチ−5−[3−[4−(10,11−ジフ
    ルオロメタノジベンゾスベル−5−イル)ピペラジン−1−イル]−2−ヒドロキ
    シプロポキシ]キノリン・トリヒドロクロリドのエタノールウェットケーキを形
    成し;b)エタノールウェットケーキを減圧乾燥して無水(2R)−アンチ−5−
    [3−[4−(10,11−ジフルオロメタノジベンゾスベル−5−イル)ピペラジ
    ン−1−イル]−2−ヒドロキシプロポキシ]キノリン・トリヒドロクロリドを得
    ;次いで、c)無水(2R)−アンチ−5−[3−[4−(10,11−ジフルオロ
    メタノジベンゾスベル−5−イル)ピペラジン−1−イル]−2−ヒドロキシプロ
    ポキシ]キノリン・トリヒドロクロリドを加湿して水和物(I)を得ること;を含
    む水和物(I)の製造方法。
  25. 【請求項25】 薬物耐性疾患の治療薬を製造するための、有効量の治療薬
    と組み合わせての水和物(I)またはその医薬的に許容しうる塩の使用。
  26. 【請求項26】 疾患がガンである請求項25記載の使用。
  27. 【請求項27】 治療薬がガン化学療法剤である請求項25または26記載
    の使用。
  28. 【請求項28】 マルチ薬物耐性疾患の治療薬を製造するための、有効量の
    治療薬と組み合わせての水和物(I)またはその医薬的に許容しうる塩の使用。
  29. 【請求項29】 治療薬がガン化学療法剤である請求項28記載の使用。
  30. 【請求項30】 ステップ(a)および(b)を組み合わせて、1つの操作ステ
    ップで、1−[10,11−(必要に応じて置換)メタノジベンゾスベロールから
    1−[10,11−(必要に応じて置換)メタノジベンゾスベル−5−イル)ピペラ
    ジニウム塩を得る請求項1記載の方法。
  31. 【請求項31】 式(1): 【化16】 [式中、Aは、−CH−CH−、−CH−CHR−CH−、−CH
    −CHR−CH−CH−およびRはOH; Rは、H、F、ClまたはBr; Rは、H、F、ClまたはBr;および Rは、それぞれF、Cl、Br、CF、CN、NOまたはOCHFで必
    要に応じて置換されたヘテロアリールまたはフェニルである] の化合物またはその医薬的に許容しうる塩の製造方法であって、 (a)式(6): 【化17】 の化合物を還元して、式(8): 【化18】 の化合物を形成し; (d)式(8)の化合物を (i)式(9): 【化19】 [式中、Rは前記と同意義であり、nは1または2の整数である] のエポキシ化合物;または (ii)式(10): 【化20】 [式中、Rは前記と同意義、Xはハロであり、mは2、3または4である] のハロ化合物のいずれかと反応させ;次いで (e)必要に応じて、ステップ(d)で製造された化合物から医薬的に許容しうる
    塩を形成する; ステップを含む方法。
  32. 【請求項32】 式(1): 【化21】 [式中、Aは、−CH−CH−、−CH−CHR−CH−、−CH
    −CHR−CH−CH−およびRはOH; Rは、H、F、ClまたはBr; Rは、H、F、ClまたはBr;および Rは、それぞれF、Cl、Br、CF、CN、NOまたはOCHFで必
    要に応じて置換されたヘテロアリールまたはフェニルである] の化合物またはその医薬的に許容しうる塩の製造方法であって、 (a)式(6)の化合物を反応させて式(7): 【化22】 の化合物を得; (b)式(7)の塩を変換して、式(8): 【化23】 の化合物を形成し; (d)式(8)の化合物を (i)式(9): 【化24】 [式中、Rは前記と同意義であり、nは1または2の整数である] のエポキシ化合物;または (ii)式(10): 【化25】 [式中、Rは前記と同意義、Xはハロであり、mは2、3または4である] のハロ化合物のいずれかと反応させ;次いで (e)必要に応じて、ステップ(d)で製造された化合物から医薬的に許容しうる
    塩を形成する; ステップを含む方法。
  33. 【請求項33】 RおよびRがそれぞれFであり、XがBrである請求
    項31または32記載の方法。
  34. 【請求項34】 Rがキノリン−5−イルである請求項31、32または
    33記載の方法。
  35. 【請求項35】 式(1)の化合物の塩がトリヒドロクロリド塩である請求項
    34記載の方法。
  36. 【請求項36】 請求項1、6、31または32記載の方法によって製造さ
    れる式(1): 【化26】 の化合物。
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