JP2003344366A - 溶接鋼管溶接部の超音波探傷方法及び装置 - Google Patents
溶接鋼管溶接部の超音波探傷方法及び装置Info
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Abstract
面側の水のり等による誤検出を低減し、少ない数の超音
波探触子で有害きずを溶接部全断面にわたって精度良く
確実に検出し、厚肉材でも溶接部全断面のきずを精度良
く確実に検出でき、溶接鋼管両端の不感帯部分を低減
し、溶接部中心を正確に検知して超音波探触子群を追従
できるようにする。 【解決手段】超音波探触子群のうち縦割れ検出用の超音
波探触子4を先頭に配置し、この探触子4による外面き
ずの探傷に際して溶接部2の真上の横割れ検出用の超音
波探触子5の接触媒質の水を誤検出しないようにする。
探触子4は1つの探触子で溶接部の内面、外面、中央位
置の縦方向きず等を検出できる配列型等の屈折角可変の
探触子を用いる。溶接鋼管先端部、後端部を2つのレー
ザ光を用いた溶接部検出器3で検出し、溶接鋼管を低速
で搬送し、かつ、超音波探触子群を高速で追従させ、溶
接鋼管両端の不感帯部分を低減する。
Description
超音波探傷方法及び装置であり、溶接部に内在するきず
を精度良く探傷できる超音波探傷方法及び装置に関する
ものである。
条件により様々なきずが発生し、溶接部の品質低下の原
因となる。このため、X線や超音波を用いた非破壊検査
が行われている。X線は、ピンホールやスラグ巻き込み
などの点状きずを容易に検出することができ、検査実績
も多いが、能率が低く、設備コストが高い、安全性など
の問題がある。一方、超音波探傷は、割れきずや融合不
良などの面状きずを検出するのに適した方法であり、検
査能率、設備コスト、安全性の面からもX線検査より優
れるため、両管端部の数10mmを除いて、溶接部全面
の検査を担っている。
(鉄鋼協会品質管理部会(NDI部門)編)(1999年 2
月22日発行)の5.2 UOE鋼管(pp.95〜100)に記載され
ているように、サブマージドアーク溶接(SAW)鋼管
では、超音波探傷を行った後、超音波できず有りと判定
された部位および両管端部のみをX線検査している。こ
の超音波探傷やX線検査にて有害きずが検出された場合
には、溶接補修を行うか、切断することによりきず部を
除去する。さらに、溶接補修した箇所が、補修後、X線
検査あるいはさらに超音波探傷により再検査される。
超音波探傷装置は、鋼管の軸方向に伸びたきず(以下、
縦方向きずという)と鋼管の周方向に伸びたきず(以
下、横方向きず)の各々について内面きず、外面きず検
出用の複数の探触子(送受信探触子)を配置し、溶接部
に発生する様々なきずを見逃すことなく検出できるよう
に工夫されている(図6参照) 。また、横方向きずの検
出を強化するため、溶接線上を長手方向に向かって探傷
する探触子を設置する場合もある。
て、「溶接鋼管の超音波探傷法」(鉄鋼協会品質管理部
会(NDI部門)編)(1999年 2月22日発行)の4.5.2
(pp.74〜76) に記載されているように、サブマージドア
ーク溶接(SAW)鋼管では、鋼管の溶接部を常時監視
し、該鋼管溶接部の真上からのずれを検出して、上記探
触子群を常に溶接部から所定の位置に配置できるように
しながら、鋼管を直線搬送しつつ探傷する方法が採られ
ている。ここで、溶接位置の検出方法には、電磁誘導法
や光学的方式が用いられている。
倣い方法を示したものであり、この方式は、溶接部の輝
度の違いを利用するものである。具体的には、2個の投
光器70によって照射される光が2枚のミラー71を介
して溶接部2の両端をそれぞれ照らすようにし、照らさ
れた部分をITVカメラ72で覗き、ビデオモニター7
3に映像を出す。カメラ72のビジコンに映る溶接シー
ム映像の一定の幅を走査して、溶接部2の両端の光って
いる部分を2本の電圧パルスに変換する。この2本のパ
ルスが走査の始端と次の始端のパルス中央に来るように
してある正負の電圧をサーボ増幅器74で増幅して直流
サーボモータ75を作動させ、探触子移動機構76でシ
ーム追従を行わせる。
置関係は、「溶接鋼管の超音波探傷法」(鉄鋼協会品質
管理部会(NDI部門)編)(1999年 2月22日発行)の
4.5.1 (pp.72〜73) の電縫鋼管シーム倣い装置の構成で
示されるように、探触子ヘッドの上流側に溶接部検出器
が設置されている(図8参照)。図8において、溶接鋼
管1は図の矢印方向に移送されており、探触子ヘッド8
0による探傷に先立ってCCDカメラ等の溶接部検出器
81で溶接シーム2が検出される。
は、探傷周波数、振動子径などによって規定される指向
角で拡がりながら材料中を伝搬する。一般的なKフォー
ム配置における縦方向きず用の斜角探触子の場合を例示
すると、図9(a) のようになる。ここで、鋼管溶接部の
外面きずと内面きず狙いの2探触子では、溶接部中央部
の超音波信号強度が弱くなり、きず検出能が低下する。
この傾向は厚肉材ほど顕著になる。よって、特に厚肉材
の時は、図9(b) に示すように、伝搬距離が長くなるに
伴い超音波信号が拡散することを利用している。
溶接部の超音波探傷方法では、以下の課題がある。先ず
第1に、溶接部の検出方法において、光学式方法では外
乱光や材料表面光沢の違いの影響を受けるといった問題
がある。さらに、近年では、溶接部の高さが低くなり、
溶接部境界での光量が減少し、溶接部中心を正確に検知
できない問題がある。
の手前に設置されている。これは、なるべく溶接鋼管先
端より探傷するため、まず溶接部中心位置を検出し、追
従してから探傷するためである。一方、超音波探触子群
の配置において、溶接部直上より溶接部長手方向に超音
波を送受信する超音波探触子は、溶接部検出器の直後に
配置する必要がある。この理由は、他の超音波探触子に
比べ、溶接部中心位置からずれた位置で超音波を送受信
すると、図10に示すように、探傷感度の劣化が著しい
ためである。
方向に超音波を送受信する超音波探触子を上流側に配置
すると、溶接部上及びその近傍に接触媒質である水が散
乱した状態となり、溶接部長手方向に対して直角方向に
超音波を送受信する超音波探触子や溶接部長手方向に対
して所定の角度をもった方向に超音波を送受信する超音
波探触子で外面きずを狙った超音波が、その残り水を誤
検出してしまう問題がある。
傷検査しているため、被検査管の寸法変更時の調整に時
間がかかり、設備コストも増大する。
(b) の方法を利用するが、超音波伝播距離に比例して単
位面積あたりの超音波信号強度が低下するため、きずか
らの反射エコー強度も低下し、最悪の場合、きずエコー
がノイズ信号に埋没する危険がある。
なされたもので、その目的は、溶接鋼管溶接部の超音波
探傷に際し、 鋼管外面側の水のり等による誤検出を
低減することができ、 従来よりも少ない数の超音波
探触子で有害きずを溶接部全断面にわたって精度良く確
実に検出することができ、設備コストも低減できると共
に、鋼管寸法が変更された時の調整時間も短縮すること
ができ、 厚肉材であっても溶接部全断面のきずを精
度良く確実に検出することができ、 溶接鋼管両端の
不感帯部分を低減することができ、溶接部のほぼ全長に
わたって水のり等による誤検出のない探傷が可能とな
り、 溶接部中心を正確に検知して超音波探触子群を
追従させることができ、高精度な探傷が可能となる溶接
鋼管溶接部の超音波探傷方法及び装置を提供することに
ある。
接鋼管の溶接部を複数の超音波探触子で構成された超音
波探触子群により探傷する方法において、超音波探触子
群は、外面側のきずを検出する超音波探触子を先頭に配
置することを特徴とする溶接鋼管溶接部の超音波探傷方
法である。
り等を誤検出し易い溶接鋼管溶接部の外面側のきずを検
出する超音波探触子を他の超音波探触子よりも先頭側
(溶接鋼管が進入してくる方向の先端側)に配置するも
のである。この請求項1によれば、外面きず用の超音波
探触子の先頭側における溶接部上やその近傍には接触媒
質である水等が存在しないため、外面きずを狙った超音
波が残り水等を誤検出することがない。
音波探傷方法において、複数個の超音波探触子は、溶接
鋼管長手方向の直角方向に超音波を送受信する超音波探
触子と、溶接鋼管長手方向に対して所定の角度をもった
方向に超音波を送受信する超音波探触子と、溶接部の真
上から溶接鋼管長手方向に超音波を送受信する超音波探
触子のうち、少なくとも2つを組合わせて構成すること
を特徴とする溶接鋼管溶接部の超音波探傷方法である。
1に示す配置あるいは図6に示す一般的なKフォーム配
置やXフォーム配置などにより、溶接鋼管の軸方向に伸
びた縦方向きず、溶接鋼管の周方向に伸びた横方向き
ず、あるいはピンホール等の球状きず等を探傷する場合
である。図1に示す配置の場合には、縦方向きず検出用
の超音波探触子4を、溶接部直上から溶接部長手方向に
超音波を送受信する横方向きず検出用の超音波探触子5
よりも先頭側に配置し、超音波探触子4で外面きずを検
出する際に超音波探触子5の接触媒質である水等を誤検
出しないようにする。図6に示す一般的なKフォーム配
置やXフォーム配置などの場合にも、外面きず用の超音
波探触子を内面きず用の超音波探触子よりも先頭側に配
置し、外面きず用の超音波探触子で外面きずを検出する
際、内面きず用の超音波探触子の接触媒質である水等を
誤検出しないようにする。
音波探傷方法において、溶接鋼管長手方向の直角方向に
超音波を送受信する超音波探触子は、複数の異なる屈折
角で探傷し得る超音波探触子であることを特徴とする溶
接鋼管溶接部の超音波探傷方法である。
他に、複数の異なる屈折角で探傷し得る屈折角可変の超
音波探触子を用いる場合である。この屈折角可変の超音
波探触子は、例えば、複数個の超音波振動子が凸曲面上
に配列され、この超音波振動子群のうち、ある一定数の
振動子群を同時に励起し、その振動子群で超音波ビーム
を送受信した後、この振動子群を所定の間隔で順次切り
替えて走査することで、超音波ビームの入射角度を変え
るように構成された配列型(振動子群)超音波探触子を
用いることができる。また、これに限らず、例えば、超
音波ビームの入射角度が異なる超音波振動子を通常のく
さび上に複数個配列して構成することもできる。本発明
では、通常型の超音波探触子のみを用いてもよいし、屈
折角可変の超音波探触子のみを用いてもよいし、両者を
組み合わせて用いてもよい。また、横方向きずの検出に
は、溶接部真上に配設した通常型の超音波探触子を用い
ることもできる。
波探触子は、図2に示すように、設定した所定数の選択
超音波振動子を順次切り替えることで、超音波ビームの
屈折角度θを変えることができるため、被検査材溶接部
の内面、外面、中央位置の縦方向きずや横方向きず等を
1つの超音波探触子で確実に検出することが可能とな
る。また、通常型の超音波探触子を溶接部真上に配設し
た場合、図3に示すように、溶接部の真上から超音波ビ
ームを溶接部長手方向に送受信することにより、被検査
材溶接部の内面、外面、中央位置の横方向きずを1つの
超音波探触子で確実に検出することが可能となる。図6
の配置では溶接部の両側に縦方向きず検出用と横方向き
ず検出用の超音波探触子を鋼管外面きず用と鋼管内面き
ず用に計8個必要となるのに対して、図1の例では縦方
向きず検出用と横方向きず検出用の計4個の超音波探触
子でよく、超音波探触子の数を少なくすることができ、
設備コストを低減し、セッティング時間を短縮すること
ができる。さらに、超音波探触子の数が少ないため、ま
た、屈折角可変の超音波探触子の場合、任意の屈折角度
の超音波ビームを容易に得ることができるため、鋼管寸
法が変更されても極めて短時間に容易に対応することが
できる。
びの凸曲面上に配列した超音波振動子群のうちのある一
定数の振動子群を順次選択的に動作させる超音波探触子
を用いることにより、任意の屈折角度の超音波ビームを
容易に得ることができ、厚肉材であっても溶接部全断面
のきずを精度良く確実に検出することができる。また、
略扇形くさびを用いることで、超音波通過部の面積を小
さくすることができ、探傷面の曲面形状による感度低下
を小さくすることができ、また局部水浸ホルダ寸法を小
さくすることができる。
記載の超音波探傷方法において、各々の方向(溶接鋼管
長手方向の直角方向、溶接鋼管長手方向に対して所定の
角度をもった方向、あるいは溶接部の真上から溶接鋼管
長手方向)に超音波を送受信する超音波探触子は、探傷
箇所を跨いで両側から超音波を送受信するように配置す
ることを特徴とする溶接鋼管溶接部の超音波探傷方法で
ある。
接部を挟んで2個以上配置することにより、また、溶接
部直上に2個以上配置することにより、溶接部全断面の
きずをより確実に検出することができる。さらに、溶接
部を挟んで直角方向の左右一対の超音波探触子を溶接部
長手方向にずらして配設し、好ましくは該超音波探触子
の寸法以上ずらして配設することにより、同時に超音波
を送信しても干渉することがなく、1個当りの超音波の
送信繰り返し速度を上げることができ、高速で搬送され
る溶接鋼管でも、溶接部全断面の縦方向きずを確実に検
出することが可能となる。
たは4に記載の超音波探傷方法において、溶接鋼管先端
部が超音波探触子群を通過するまでは溶接鋼管を低速で
搬送し、通過後は溶接鋼管を高速で搬送することを特徴
とする溶接鋼管溶接部の超音波探傷方法である。
4または5に記載の超音波探傷方法において、溶接鋼管
後端部が超音波探触子群に入る直前までは溶接鋼管を高
速で搬送し、その後は溶接鋼管を低速で搬送することを
特徴とする溶接鋼管溶接部の超音波探傷方法である。
端部または後端部を例えば2つの材料検知センサを使用
して判定し、溶接鋼管先端部または後端部においては溶
接鋼管の搬送速度を低速(例えば10m/分以下)にし
て探傷を行う。この請求項5または6によれば、溶接鋼
管の両端部分を低速で探傷するため、溶接鋼管両端の不
感帯部分を低減することができ、溶接部のほぼ全長にわ
たって水のり等による誤検出のない探傷が可能となる。
4、5または6に記載の超音波探傷方法において、溶接
部にレーザ光を照射し、その照射した溶接部の位置の画
像から溶接部中心位置を求め、その結果に基づき超音波
探触子群を追従させることを特徴とする溶接鋼管溶接部
の超音波探傷方法である。
法で溶接部を照射し、溶接部照射位置近傍をカメラで撮
影し、溶接部断面画像を表示し、溶接部中心を算出し、
溶接部中心位置と探傷手段のずれ量に基づいて探傷手段
を追従制御する。なお、溶接部中心を算出できなかった
時には、検査員がその表示した画像を基に溶接部中心に
倣うように探傷手段を追従させる。この請求項7によれ
ば、レーザ光を用いた溶接部断面画像により溶接部中心
を正確に検知して追従させることができるため、高精度
な探傷が可能となる。
4、5、6または7に記載の超音波探傷方法において、
溶接鋼管先端部では超音波探触子群を高速で追従させ、
溶接鋼管先端部以降では超音波探触子群を低速で追従さ
せることを特徴とする溶接鋼管溶接部の超音波探傷方法
である。
4、5、6、7または8に記載の超音波探傷方法におい
て、溶接鋼管先端部以降では超音波探触子群を低速で追
従させ、溶接鋼管後端部では超音波探触子群を高速で追
従させることを特徴とする溶接鋼管溶接部の超音波探傷
方法である。
または後端部を例えば2つの材料検知センサを使用して
判定し、溶接鋼管先端部または後端部においては超音波
探触子群を高速(例えば5mm/秒)で追従移動させ
る。この請求項8または9によれば、超音波探触子群を
高速で追従移動させるため、溶接鋼管両端の不感帯部分
を低減することができ、溶接部のほぼ全長にわたって水
のり等による誤検出のない探傷が可能となる。
3、4、5、6、7、8または9に記載の超音波探傷方
法において、超音波探触子群の入側で溶接鋼管先端部の
溶接部中心位置を検出し、超音波探触子群の中央で溶接
鋼管先端部以降の溶接部中心位置を検出することを特徴
とする溶接鋼管溶接部の超音波探傷方法である。
よる溶接部検出器を超音波探触子群の入側と中央に配置
し、入側の溶接部検出器により超音波探触子群の手前で
溶接鋼管先端部の溶接部中心位置を算出して超音波探触
子群を高速追従させ、中央の溶接部検出器により溶接鋼
管先端部以降の溶接部中心位置を算出して超音波探触子
群を低速追従させ、さらに溶接鋼管後端部の溶接部中心
位置を算出して超音波探触子群を高速追従させる。な
お、溶接部直上より溶接部長手方向に超音波を送受信す
る超音波探触子を用いる場合には、その手前に中央の溶
接部検出器を配置する。また、これら2つの溶接部検出
器を利用して溶接鋼管先端部と後端部の判定を行い、溶
接鋼管先端部が超音波探触子群を通過するまでは低速で
搬送し、通過後から溶接鋼管後端部が超音波探触子群に
入る前まで高速搬送し、溶接鋼管後端部が超音波探触子
群に入ったら再度低速で搬送する。
または後端部を例えば2つの溶接部検出器を使用して判
定し、溶接鋼管先端部または後端部においては溶接鋼管
を低速で搬送し、かつ、超音波探触子群を高速で追従さ
せることができ、溶接鋼管両端の不感帯部分を低減する
ことができ、溶接部のほぼ全長にわたって水のり等によ
る誤検出のない探傷が可能となる。さらに、溶接部直上
より溶接部長手方向に超音波を送受信する超音波探触子
を用いた場合には、その手前に配置された中央の溶接部
検出器により追従制御が行われるため、図10に示す探
傷感度の劣化を防止することができる。
触子で構成された探傷手段と、レーザ光を照射する手段
と、照射した位置を撮影する手段と、溶接部中心位置を
算出する手段と、算出結果に基づき超音波探触子群を追
従させる手段とを具備していることを特徴とする溶接鋼
管溶接部の超音波探傷装置である。
に、溶接鋼管溶接部にレーザ光を所定の角度で照射し、
カメラで照射位置を撮影し、例えば図1に示すように、
演算部において、画像データから溶接部中心位置を算出
し、算出結果に基づき追従制御装置により超音波探触子
群を追従移動させるものである。この請求項11によれ
ば、レーザ光を用いた溶接部断面画像により溶接部中心
を正確に検知して追従させることができ、比較的簡易な
装置構成により高精度な探傷が可能となる。
態に基づいて詳細に説明する。この実施形態は、UOE
鋼管などのストレートシーム大径溶接鋼管の溶接部の超
音波探傷に本発明を適用した例である。図1は、本発明
で使用する超音波探傷装置の装置構成の1例を示したも
のである。図2は、本発明で使用する縦方向きず検出用
の超音波探触子の1例を示したものであり、図3は、本
発明で使用する横方向きず検出用の超音波探触子の1例
を示したものである。図4は、本発明で使用する溶接部
検出器の1例を示したものである。
入してくる方向を先頭にして、溶接鋼管先端部の溶接部
検出器3Aを配置し、次に縦方向きず(縦割れ)検出用
の複数個の超音波振動子を併設させた配列型(振動子
群)超音波探触子4を溶接鋼管溶接部2を跨いで2個配
置し、次に溶接鋼管先端部以降の溶接部検出器3Bを配
置し、最後に横方向きず(横割れ)検出用の通常型超音
波探触子5を溶接部2の真上に2個配置する。
は、図1に示すように、溶接鋼管1の溶接部2の側方に
おける鋼管外面上に設置され、溶接部2の長手方向の直
角方向に超音波を送受信して溶接部2の縦方向きずを検
出するものであり、図2に示すように、側面視で半円状
等の略扇形のくさび10と、この扇形くさび10の円弧
上面に配列された多数の超音波振動子12からなる超音
波振動子群11とから構成され、各超音波振動子12か
ら超音波が発信され、扇形くさび10を介して被検査材
に超音波が入射され、反射波が受信される。超音波振動
子12は、溶接部長手方向に長い棒状の振動子であり、
ニオブ酸鉛系磁器、チタン酸鉛系磁器、ニオブ酸リチウ
ム系磁器等の圧電振動子が用いられる。扇形くさび10
は溶接部長手方向に長い略1/4円断面の円筒であり、
アクリル樹脂、ポリスチロール樹脂等が用いられる。
て、n個の超音波振動子群11のうち、例えばある一定
数(k個)の超音波振動子群を同時に励振し、その振動
子群で超音波を送受信した後、この振動子群を所定の間
隔で順次切り替えて走査することで、指向性超音波ビー
ムの屈折角度(入射角度)θを任意に変えることができ
る。これにより、被検査材の溶接部2の内面、外面、中
央位置に発生する縦方向きず6を1つの探触子で検出す
ることが可能となる。また、扇形くさび10を用いるこ
とにより超音波通過部の面積を小さくすることができ、
探傷面の曲面形状による感度低下が小さくなり、また局
部水浸ホルダ寸法を小さくすることができる。
ように、従来と同様に、溶接部2を挟んで左右一対で配
設することにより、より確実な探傷を行えるようにして
いる。この場合、左右一対の配列型超音波探触子4A,
4Bは、溶接部2の長手方向に超音波振動子12の寸法
以上ずらして配置し、同時に超音波を送信しても干渉し
ないようにしている。
は、図3に示すように、例えば略直方体形状のくさび2
0と円形の超音波振動子21からなる一般に使用されて
いる探触子であり、超音波振動子21から発信された超
音波がくさび20を介して被検査材に入射され、反射波
が受信される。この通常型超音波探触子5も、配列型と
同様に、超音波振動子21には、ニオブ酸鉛系磁器、チ
タン酸鉛系磁器、ニオブ酸リチウム系磁器等の圧電振動
子が用いられ、くさび20には、アクリル樹脂、ポリス
チロール樹脂等が用いられる。
溶接部2の直上から超音波を入射することにより、被検
査材の溶接部2の内面、外面、中央位置に発生する横方
向きず7を1つの探触子で検出することが可能となる。
なお、この場合も、溶接部2の長手方向に2個対向設置
し、より確実な探傷を行えるようにしている。
列型超音波探触子4の各超音波振動子12には、パルサ
ーレシーバー群30の各パルサーレシーバ31がぞれぞ
れ接続され、このパルサーレシーバー群30に加算器3
2、増幅器33、きず評価器34が順に接続されてい
る。
された所定数(k個)の超音波振動子12を1つのグル
ープとする超音波振動子群を選択し、これらに対応する
パルサーレシーバー31により送信電圧を印加すること
で、扇形くさび10を介して被検査材に超音波信号が送
信される。
順で行われる。それぞれの超音波振動子12に受信され
た信号は、パルサーレシーバ群30に入力された後、加
算器32で加算される。次に、増幅器33で所定の増幅
後、きず評価器34において予め決めておいた閾値と比
較することで、きずの有無を評価する。
する選択超音波振動子群(k個)を所定間隔で順次切り
替え走査することで、超音波信号を偏向させ、溶接部2
の全断面が探傷可能となる。
は、パルサーレシーバーと振動子により超音波を送受信
し、図1に示すように、増幅器41で所定の増幅後、き
ず評価器42において予め決めておいた閾値と比較する
ことで、きずの有無を評価する。
するものであり、図4に示すように、レーザ光源50と
カメラ51からなる。レーザ光源50から溶接部中心線
に沿って所定の角度で照射し、照射した位置をカメラ5
1で撮影する。
部の形状画像であり、この画像において、図5(b) に示
すように、溶接鋼管1の外径、肉厚等毎に予め設定して
おいた溶接部分のみを計測できる計測ウインドウ52を
自動的に付与し、ウインドウ52内にある画像データに
より溶接部中心位置を算出する。この方法は、処理する
データ数をできる限り少なくすることにより、溶接部中
心位置を算出する1方法であり、撮影した画像から他の
計測手法を用いて溶接部中心位置を算出して問題ないこ
とは言うまでもない。
器3A、3Bには、それぞれ演算部55が接続され、こ
れら演算部55に画像切換部56・画像表示部57およ
び追従制御装置58が接続されている。溶接鋼管1は、
内面溶接・外面溶接等が終了すると、ローラ等により搬
送されるが、この2つの溶接部検出器3A、3Bで溶接
鋼管先端部か先端部以降なのかを判定し、溶接部検出器
3A、3Bを適宜選択する。溶接鋼管先端部の場合は、
先頭の溶接部検出器3Aを使用し、先端部以降の場合
は、中間の溶接部検出器3Bを使用し、算出された溶接
部中心位置と超音波探傷手段のずれ量を算出し、その量
を追従制御装置58に送信する。
機構を制御し、超音波探傷手段を溶接部2の長手方向の
直角方向に追従移動させるものであり、先頭の溶接部検
出器3Aで算出した場合、即ち溶接鋼管1の先端部で
は、超音波探傷手段を高速で追従移動させ、中間の溶接
部検出器3Bで算出した場合、即ち溶接鋼管1の先端部
以降では、低速で追従移動させる。さらに、溶接鋼管1
の後端部では高速に戻して追従させる。具体的な追従速
度は、例えば、高速追従が5mm/秒、低速追従が1m
m/秒に設定される。
部が超音波探触子群(配列型超音波探触子4及び通常型
超音波探触子5)を通過するまでは、例えば10m/分
以下の低速とし、超音波探触子群を順次着管させ、探傷
を開始する。鋼管先端部の通過後は、例えば15m/分
程度の高速で搬送し、鋼管後端部が超音波探触子群を通
過する直前に再度10m/分以下の低速で搬送し、超音
波探触子群を順次離管させ、探傷を終了する。
する方向が、溶接鋼管長手方向に対して直角方向と、溶
接部直上から溶接鋼管長手方向の場合を例示したが、溶
接鋼管長手方向に対して所定の角度を持った方向でもよ
い(図6に示す一般的なKフォーム配置やXフォーム配
置など)。また、これら3方向の超音波探触子は、配列
型超音波探触子4でも、通常型超音波探触子5でもよ
い。屈折角可変の超音波探触子は、配列型超音波探触子
に限らず、複数の異なる屈折角で探傷し得るものであれ
ばよい。なお、平面視における溶接線に対する入射角度
は、どのような組み合わせでもよいが、45〜90°、
好ましくは60〜90°が好ましい。
音波探傷装置(図1)を用いた。縦方向きず検出用の配
列型超音波探触子は、アクリル樹脂製の扇形くさび(円
筒の1/4、曲率50mm×幅15mm)の凸曲面上に
超音波振動子(長さ1mm×幅10mm)を32個配設
し、頂点側が第1CH、90度側が第32CHである。
各々の超音波振動子にパルサーレシーバー群が接続され
ている。屈折角度制御器により予め設定された所定数の
振動子を1つのグループとする振動子群(16個)を選
択し、パルサー群により送信電圧を印加することで、扇
形くさびを介して材料中に超音波ビームを送信する。横
方向きず検出用の通常形超音波探触子は、直径10mm
の超音波振動子を用いた。パルサーレシーバーより超音
波ビームを送信し、所定の増幅後にきず評価器で予め決
めておいた閾値と比較することで信号の有無を評価し
た。
波探触子を先頭に配置して外面きずを溶接部真上の通常
形超音波探触子よりも手前で探傷し、また、図3の溶接
部検出器により溶接部中心位置を検出し、溶接鋼管の先
端部および後端部において、超音波探触子群を5mm/
秒で高速追従させ、かつ、溶接鋼管を10m/分以下の
低速で搬送し、溶接鋼管の中間部において、超音波探触
子群を1mm/秒で低速追従させ、かつ、溶接鋼管を1
5m/分程度の高速で搬送し、探傷を行ったところ、表
1の結果が得られた。この表1から明らかなように、本
発明は、従来方法に比べて、 外面きず検出に際し、
残り水等がないため、誤検出率を大幅に低減でき、
レーザ光による溶接部検出により、追従不良による再検
率を0にすることができ、 配列型超音波探触子と溶
接部真上の通常形超音波探触子の使用により設備コスト
を低減でき、 高速追従と低速搬送により、両管端不
感帯を減少させることができた。
管について説明したが、これに限らず、その他の溶接鋼
管の溶接部の探傷にも本発明を適用できることはいうま
でもない。
出し易い溶接鋼管溶接部の外面側のきずを検出する超音
波探触子を他の超音波探触子よりも先頭側(溶接鋼管が
進入してくる方向の先端側)に配置することにより、外
面きず用の超音波探触子の先頭側における溶接部上やそ
の近傍には接触媒質である水等が存在しないため、外面
きずを狙った超音波が残り水等を誤検出することがな
く、誤検出率を大幅に低減することができる。
を用いれば、溶接部の内面、外面、中央位置の縦方向き
ずや横方向きず等を1つの超音波探触子で確実に検出す
ることができ、また、溶接部の真上に配置した通常型の
超音波探触子を用いれば、溶接部の内面、外面、中央位
置の横方向きずを1つの超音波探触子で確実に検出する
ことができ、超音波探触子の数を従来よりも少なくする
ことができる。これにより、設備コストを削減すること
ができ、またセッティング時間を短縮することができ
る。さらに、超音波探触子の数が少ないため、また、屈
折角可変の超音波探触子では、任意の屈折角度の超音波
ビームを容易に得ることができるため、鋼管寸法が変更
されても極めて短時間に容易に対応することができ、探
傷作業を迅速に行うことができる。
波振動子群のうちのある一定数の振動子群を順次選択的
に動作させる配列型超音波探触子を用いることにより、
任意の屈折角度の超音波ビームを容易に得ることがで
き、厚肉材であっても溶接部全断面のきずを精度良く確
実に検出することができる。
いることで、超音波通過部の面積を小さくすることがで
き、探傷面の曲面形状による感度低下を小さくすること
ができ、また局部水浸ホルダ寸法を小さくすることがで
きる。
子および横方向きず検出用の超音波探触子を2個以上配
置することにより、溶接部全断面のきずをより確実に検
出することができる。
超音波探触子を溶接部長手方向にずらして配設し、好ま
しくは該超音波探触子の寸法以上ずらして配設すること
により、同時に超音波を送信しても干渉することがな
く、1個当りの超音波の送信繰り返し速度を上げること
ができ、高速で搬送される溶接鋼管でも、溶接部全断面
の縦方向きずを確実に検出することが可能となる。
方向を、溶接鋼管長手方向に対して直角方向、溶接鋼管
長手方向に対して所定の角度をもった方向、溶接部の真
上における溶接鋼管長手方向に沿う方向のうちの少なく
とも2方向とすることにより、縦方向きず、横方向き
ず、ピンホール等の球状きずの全てを誤検出すること無
く確実に検出することができる。
り溶接部中心を正確に検知して追従させることができる
ため、高精度な探傷が可能となる。
溶接部検出器を使用して判定し、溶接鋼管先端部または
後端部においては溶接鋼管を低速で搬送し、かつ、超音
波探触子群を高速で追従させることにより、溶接鋼管両
端の不感帯部分を低減することができ、溶接部のほぼ全
長にわたって水のり等による誤検出のない探傷が可能と
なる。
の配置と装置構成の一例を示す平面図である。
触子を示す斜視図である。
触子であり、(a) は平面図、(b) は鉛直断面図である。
図である。
す図である。
法を示したものであり、(a) は溶接部の断面図、(b) は
溶接部の平面図、(c) は装置のブロック図である。
示す概略側面図である。
音波ビームの伝搬挙動を示す断面図、(b) はスキップを
変えた縦方向きず検出用の探触子の配置とその超音波ビ
ームの伝搬挙動を示す断面図である。
のずれによる探傷性能を示すグラフである。
Claims (11)
- 【請求項1】 溶接鋼管の溶接部を複数の超音波探触子
で構成された超音波探触子群により探傷する方法におい
て、超音波探触子群は、外面側のきずを検出する超音波
探触子を先頭に配置することを特徴とする溶接鋼管溶接
部の超音波探傷方法。 - 【請求項2】 請求項1に記載の超音波探傷方法におい
て、複数個の超音波探触子は、溶接鋼管長手方向の直角
方向に超音波を送受信する超音波探触子と、溶接鋼管長
手方向に対して所定の角度をもった方向に超音波を送受
信する超音波探触子と、溶接部の真上から溶接鋼管長手
方向に超音波を送受信する超音波探触子のうち、少なく
とも2つを組合わせて構成することを特徴とする溶接鋼
管溶接部の超音波探傷方法。 - 【請求項3】 請求項2に記載の超音波探傷方法におい
て、溶接鋼管長手方向の直角方向に超音波を送受信する
超音波探触子は複数の異なる屈折角で探傷し得る超音波
探触子であることを特徴とする溶接鋼管溶接部の超音波
探傷方法。 - 【請求項4】 請求項2または3に記載の超音波探傷方
法において、各々の方向に超音波を送受信する超音波探
触子は探傷箇所を跨いで両側から超音波を送受信するよ
うに配置することを特徴とする溶接鋼管溶接部の超音波
探傷方法。 - 【請求項5】 請求項1、2、3または4に記載の超音
波探傷方法において、溶接鋼管先端部が超音波探触子群
を通過するまでは溶接鋼管を低速で搬送し、通過後は溶
接鋼管を高速で搬送することを特徴とする溶接鋼管溶接
部の超音波探傷方法。 - 【請求項6】 請求項1、2、3、4または5に記載の
超音波探傷方法において、溶接鋼管後端部が超音波探触
子群に入る直前までは溶接鋼管を高速で搬送し、その後
は溶接鋼管を低速で搬送することを特徴とする溶接鋼管
溶接部の超音波探傷方法。 - 【請求項7】 請求項1、2、3、4、5または6に記
載の超音波探傷方法において、溶接部にレーザ光を照射
し、その照射した溶接部の位置の画像から溶接部中心位
置を求め、その結果に基づき超音波探触子群を追従させ
ることを特徴とする溶接鋼管溶接部の超音波探傷方法。 - 【請求項8】 請求項1、2、3、4、5、6または7
に記載の超音波探傷方法において、溶接鋼管先端部では
超音波探触子群を高速で追従させ、溶接鋼管先端部以降
では超音波探触子群を低速で追従させることを特徴とす
る溶接鋼管溶接部の超音波探傷方法。 - 【請求項9】 請求項1、2、3、4、5、6、7また
は8に記載の超音波探傷方法において、溶接鋼管先端部
以降では超音波探触子群を低速で追従させ、溶接鋼管後
端部では超音波探触子群を高速で追従させることを特徴
とする溶接鋼管溶接部の超音波探傷方法。 - 【請求項10】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
8または9に記載の超音波探傷方法において、超音波探
触子群の入側で溶接鋼管先端部の溶接部中心位置を検出
し、超音波探触子群の中央で溶接鋼管先端部以降の溶接
部中心位置を検出することを特徴とする溶接鋼管溶接部
の超音波探傷方法。 - 【請求項11】 複数個の超音波探触子で構成された探
傷手段と、レーザ光を照射する手段と、照射した位置を
撮影する手段と、溶接部中心位置を算出する手段と、算
出結果に基づき超音波探触子群を追従させる手段とを具
備していることを特徴とする溶接鋼管溶接部の超音波探
傷装置。
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JP2002147483A JP3800133B2 (ja) | 2002-05-22 | 2002-05-22 | 溶接鋼管溶接部の超音波探傷方法及び装置 |
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WO2007145200A1 (ja) * | 2006-06-13 | 2007-12-21 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | 超音波探傷方法、溶接鋼管の製造方法及び超音波探傷装置 |
JP2008089344A (ja) * | 2006-09-29 | 2008-04-17 | Hitachi Ltd | 超音波探傷装置 |
-
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- 2002-05-22 JP JP2002147483A patent/JP3800133B2/ja not_active Expired - Fee Related
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