JP2003342627A - スラグの粉化抑制方法 - Google Patents
スラグの粉化抑制方法Info
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- JP2003342627A JP2003342627A JP2002144462A JP2002144462A JP2003342627A JP 2003342627 A JP2003342627 A JP 2003342627A JP 2002144462 A JP2002144462 A JP 2002144462A JP 2002144462 A JP2002144462 A JP 2002144462A JP 2003342627 A JP2003342627 A JP 2003342627A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 本発明は、スラグの粉化を抑制することを課
題とし、スラグの有効利用を目的とする。 【解決手段】 溶融したスラグを、該スラグ成分中の酸
化カルシウム、酸化ケイ素、酸化鉄として存在する鉄の
質量%を、各々(%CaO)、(%SiO2)、(%F
e)で表したとき、下記式1: 【数1】 で導き出される冷却速度V(℃/秒)以上の速度で冷却
凝固させることを特徴とするスラグの粉化抑制方法であ
る。
題とし、スラグの有効利用を目的とする。 【解決手段】 溶融したスラグを、該スラグ成分中の酸
化カルシウム、酸化ケイ素、酸化鉄として存在する鉄の
質量%を、各々(%CaO)、(%SiO2)、(%F
e)で表したとき、下記式1: 【数1】 で導き出される冷却速度V(℃/秒)以上の速度で冷却
凝固させることを特徴とするスラグの粉化抑制方法であ
る。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スラグの粉化を抑
制する技術に関し、詳細にはスラグの資源化に利用でき
るスラグの粉化を抑制する技術に関する。 【0002】 【従来の技術】酸化カルシウムと酸化ケイ素を含有する
スラグ(以下、単にスラグとも称する)では、酸化ケイ
素に対する酸化カルシウムの含有量比が大きくなると、
粉化する場合がある。これは2CaO・SiO2(以下
C2Sと略記する)が結晶転移により膨張崩壊すること
に起因すると考えられている。しかし下記に示すように
適当な物質がC2Sに固溶体などのようにして取り込ま
れると、結晶転移が抑制されスラグが粉化しないことが
知られている。 【0003】スラグの粉化を抑制するためには、溶融ス
ラグへ各種物質を添加混合する方法が一般的である。例
えば特開平01−37444号公報、特開平01−25
9114号公報、特公平07−14828号公報には、
硼素含有物を添加する方法が開示されている。また特開
昭59−13651号公報には、燐酸塩含有物質を添加
する方法が開示されている。また特開平05−1397
94号公報ではアルカリ金属化合物を添加する方法、特
開2001−164313号公報ではMgO含有物質を
添加する方法が開示されている。 【0004】一方、酸化ケイ素に対する酸化カルシウム
の含有量比を下げて、C2Sの生成を抑制する方法も提
案されている。例えば特開昭60−235750号公報
ではSiO2を含有する砂を添加する方法、特開平04
−292444号公報では長石系粒子などを添加する方
法が開示されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述した
ような従来の方法において、凝固し易い溶融スラグに添
加物を均一に混合することは困難であり、粉化を抑制で
きるスラグの歩留まりはあまり高くない。また製錬する
金属の品質への影響を避けるために、精錬炉からスラグ
を排出して混合しようとすると、スラグの温度が低下し
て更に混合が困難となって、効率的な粉化抑制ができな
いという問題があった。また急冷による粉化抑制効果は
従来知られていたが、スラグによって結果が異なる問題
があり実用に供されていなかった。 【0006】そこで本発明は、従来のこのような問題点
を克服したスラグ粉化抑制方法を提供することを目的と
する。 【0007】 【課題を解決するための手段】すなわち本発明者等は、
従来の技術のようにスラグに添加物を混合することでは
なく、C2Sの生成に関係するスラグ成分にもとづいて
冷却速度を適正に制御することによって、粉化抑制でき
ることを見出し、本発明を完成するに至った。 【0008】すなわち本発明は、溶融したスラグを、該
スラグ成分中の酸化カルシウム、酸化ケイ素、鉄化合物
として存在する鉄の質量%を、各々(%CaO)、(%
SiO2)、(%Fe)で表したとき、下記式1: 【0009】 【数2】 【0010】で導き出される冷却速度V(℃/秒)以上
の速度で冷却凝固させることを特徴とするスラグの粉化
抑制方法である。 【0011】 【発明の実施の形態】以下、本発明をより詳細に説明す
る。なお、本明細書中、%CaO、%Fe、%SiO2
等の記載におけるパーセント(%)は、質量%を示すも
のとする。 【0012】本発明者等がスラグの粉化に影響する成分
を調査したところ、粉化原因であるC2Sを構成する酸
化カルシウム、酸化ケイ素の他に、最も大きく粉化に影
響したのは酸化鉄であることがわかった。そこで化学成
分の異なるスラグについて冷却速度を変えて処理したと
ころ、(%CaO)/(%SiO2)値、すなわち塩基
度が低いスラグは、より遅い速度で冷却しても粉化が抑
制でき、更には酸化鉄の含有量が多いほど粉化しにくい
ことが判明した。スラグの上記3成分と冷却速度との関
係において、粉化と固化の境界を鋭意調査したところ、
図1に示すように、{(%CaO)−(%Fe)}/
(%SiO2)と冷却速度V(℃/秒)との対数の関係
において直線で表せる境界線を見いだした(図1に記載
のグラフ中の直線参照)。該境界線は、下記式1: 【0013】 【数3】【0014】で示すことができ、該境界線以上の冷却速
度では固化し、境界線未満の冷却速度では粉化すること
を見出した。なお本発明において、少なくとも、スラグ
が溶融状態からβ型C2Sが生成する状態になるまでの
温度域が、上記式1で規定される冷却速度で冷却制御さ
れていればよい。もちろん、上記温度域を超えて冷却制
御されていることがより好ましい。ここで、溶融状態の
スラグ温度は、スラグの組成等により様々であり得るた
め特には限定されないが、C2Sがα型で存在し得る1
450℃から、製錬温度の高々2000℃であることが
好ましい。一方、β型C2Sが生成する温度は、文献に
より多少異なるが、本発明における制御温度域として
は、500℃〜常温であることが好ましい。 【0015】従って本発明は、粉化に影響する化学成分
として、酸化カルシウム、酸化ケイ素、および鉄化合物
中の鉄の3成分から上記式1で導き出される冷却速度V
(℃/秒)以上の速度で冷却凝固させることによって、
スラグの粉化を抑制するものである。さらに好ましく
は、本発明の抑制方法において、上記塩基度を低くする
ことである。さらに好ましくは、本発明の抑制方法にお
いて、スラグ中の酸化鉄の含有量を高くすることであ
る。 【0016】本発明の抑制方法は、上記3成分を少なく
とも含むスラグであれば適用可能であるが、好ましくは
これらの3成分の合計含有量がスラグ全量中70質量%
以上のスラグに対して効果的に適用できる。ここで、
(%Fe)とは、スラグ中に含まれるすべての鉄化合
物、例えば酸化鉄(FeO、Fe2O3、Fe3O4など)
やその他の結合形態の鉄化合物中に含まれるFeの質量
%の合計を意味する。更に発明者等が鋭意試験したとこ
ろでは、(%CaO)−(%Fe)≦0の化学成分を有
するスラグでは、冷却速度を制御せず放冷してもある程
度は粉化を防げるが、本発明を適用することによってよ
り効果的に粉化を抑制することが可能である。 【0017】本発明の制御方法において、スラグを上記
式1で導き出される冷却速度以上の速度で冷却凝固する
ことによって粉化を防ぐことができる。なお、当該冷却
速度の上限値は特に規定するものではない。但し、上記
式1の右辺最後の定数2.8が、好ましくは2.4、よ
り好ましくは2の場合に得られる冷却速度を上限値とす
ることもでき、これは発明者等の試験において確認され
ている。 【0018】本発明の制御方法において冷却を行う際、
スラグ中で既に凝固の始まっている部分がある場合に本
発明の粉化抑制効果が低下する恐れがあるため、スラグ
ができる限り十分に溶融した状態から冷却を行うことが
好ましい。冷却方法は、上記式1によって得られた冷却
速度が実現できる方法であれば特には限定されず、従来
のいかなる方法でも利用可能である。比較的冷却速度が
遅い場合は、畑(スラグを徐冷する土地)にそのまま放
流したり、鉄板上に溶融スラグを薄く放流して散水した
りする方法が用いられる。具体的にいえば、畑にそのま
ま放流する方法におけるスラグの冷却速度は、1〜0.
01℃/秒程度と思われる。また、鉄板上に放流して散
水する方法におけるスラグの冷却速度は、10〜0.1
℃/秒程度と思われる。またその際に、スラグの放流塊
の大きさ、厚みや、散水量を調整することで冷却速度を
制御することができる。冷却速度が速い場合は、回転ド
ラムに溶融スラグを流下してはじき飛ばして微粒化する
方法、風砕方法や水砕方法を用いることができる。これ
らの方法では、回転ドラムの回転数や風量、水量などを
調整して冷却速度を制御することができる。例えば、冷
却速度を700〜5℃/秒に制御したい場合は、これら
方法を用いることが好ましい。 【0019】 【実施例】表1に本発明の実施例、表2に比較例を示
す。表1に示すように、実施例1〜12のスラグにおい
て、CaO、SiO2、Feの質量%が同一のものは同
じスラグであり、すなわち実施例1、3、5、7、10
の成分組成に代表される5種類のスラグを用い試験し
た。実施例1〜4は比較的酸化鉄含有量が少ないスラグ
であり、実施例5、6は酸化鉄含有量が多いスラグであ
る。実施例7〜12は、実施例5、6より(%CaO)
/(%SiO2)値(塩基度)の高いスラグを実施例
5、6のスラグに混合して合成したスラグで、塩基度や
酸化鉄含有量の異なるスラグの例とした。 【0020】冷却開始前のスラグ温度は、実施例1〜4
のスラグで約1550℃、実施例5〜12は約1500
℃とした。表1に示すように各実施例のスラグに対し、
これらの温度より、冷却速度として約50、20、1
0、5、2、1、0.5、0.05℃/秒で冷却処理を
行った。また、実施例1、3、7、10と同じ成分組成
のスラグを用いて、それぞれ10、2、0.5、5℃/
秒の速度で冷却したものを比較例1〜4とした。冷却制
御は、冷却処理の下限温度を500℃目安として、冷却
開始時のスラグ温度から約500℃までの平均冷却速度
で制御した。即ち約500℃になるまでの時間を制御し
た。具体的な処理は、50、20、10℃/秒の場合
は、回転ドラムにスラグを流下してはじき飛ばして微粒
化したスラグを散水冷却する際の水冷条件を調整するこ
とによって冷却制御した。具体的には回転ドラムの回転
は200〜500rpmであり、水冷条件はスラグ量
(トン)当たりの水量として、0.6〜2(トン)とし
た。また、5、2、1℃/秒の場合は、鉄板上に薄く放
流して散水量をしながら調整することによって冷却制御
した。さらに、0.5℃/秒の場合は畑に薄く放流し、
0.05℃/秒の場合は畑にまとめて放流し、いわゆる
徐冷を行うことによって制御した。 【0021】表1、2及び図1に粉化性の有無を示し
た。これらの表および図中、○は固化、△はほぼ全量固
化、●は殆どが粉化したことを表す。実施例1、2のス
ラグは、実施例1の50℃/秒や実施例2の20℃/秒
では固化したが、同じスラグ成分である比較例1の10
℃/秒では粉化した。実施例3、4のスラグは塩基度が
やや低く、実施例3の10℃/秒や実施例4の5℃/秒
では固化したが、同じスラグ成分である比較例2の2℃
/秒では粉化した。 【0022】実施例5、6のスラグは塩基度が比較的高
いものの酸化鉄含有量が多く、実施例5の0.5℃/秒
や実施例6の0.05℃/秒でも粉化しなかった。実施
例7〜12は、実施例5のスラグに対し塩基度を高く
し、酸化鉄含有量を少なくしたスラグである。実施例7
〜9のスラグは1〜5℃/秒で固化したが、同じスラグ
成分である比較例3の0.5℃/秒では粉化した。実施
例10〜12のスラグは更に固化しやすく、10〜50
℃/秒では固化したが、同じスラグ成分である比較例4
の5℃/秒では粉化した。 【0023】 【表1】 【0024】 【表2】 【0025】 【発明の効果】本発明により、従来粉化していたために
用途のなかったスラグを、冷却速度を調節することによ
って固化したことで、未利用のスラグを減少させ、路盤
材等に有効活用を可能とするものである。
制する技術に関し、詳細にはスラグの資源化に利用でき
るスラグの粉化を抑制する技術に関する。 【0002】 【従来の技術】酸化カルシウムと酸化ケイ素を含有する
スラグ(以下、単にスラグとも称する)では、酸化ケイ
素に対する酸化カルシウムの含有量比が大きくなると、
粉化する場合がある。これは2CaO・SiO2(以下
C2Sと略記する)が結晶転移により膨張崩壊すること
に起因すると考えられている。しかし下記に示すように
適当な物質がC2Sに固溶体などのようにして取り込ま
れると、結晶転移が抑制されスラグが粉化しないことが
知られている。 【0003】スラグの粉化を抑制するためには、溶融ス
ラグへ各種物質を添加混合する方法が一般的である。例
えば特開平01−37444号公報、特開平01−25
9114号公報、特公平07−14828号公報には、
硼素含有物を添加する方法が開示されている。また特開
昭59−13651号公報には、燐酸塩含有物質を添加
する方法が開示されている。また特開平05−1397
94号公報ではアルカリ金属化合物を添加する方法、特
開2001−164313号公報ではMgO含有物質を
添加する方法が開示されている。 【0004】一方、酸化ケイ素に対する酸化カルシウム
の含有量比を下げて、C2Sの生成を抑制する方法も提
案されている。例えば特開昭60−235750号公報
ではSiO2を含有する砂を添加する方法、特開平04
−292444号公報では長石系粒子などを添加する方
法が開示されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述した
ような従来の方法において、凝固し易い溶融スラグに添
加物を均一に混合することは困難であり、粉化を抑制で
きるスラグの歩留まりはあまり高くない。また製錬する
金属の品質への影響を避けるために、精錬炉からスラグ
を排出して混合しようとすると、スラグの温度が低下し
て更に混合が困難となって、効率的な粉化抑制ができな
いという問題があった。また急冷による粉化抑制効果は
従来知られていたが、スラグによって結果が異なる問題
があり実用に供されていなかった。 【0006】そこで本発明は、従来のこのような問題点
を克服したスラグ粉化抑制方法を提供することを目的と
する。 【0007】 【課題を解決するための手段】すなわち本発明者等は、
従来の技術のようにスラグに添加物を混合することでは
なく、C2Sの生成に関係するスラグ成分にもとづいて
冷却速度を適正に制御することによって、粉化抑制でき
ることを見出し、本発明を完成するに至った。 【0008】すなわち本発明は、溶融したスラグを、該
スラグ成分中の酸化カルシウム、酸化ケイ素、鉄化合物
として存在する鉄の質量%を、各々(%CaO)、(%
SiO2)、(%Fe)で表したとき、下記式1: 【0009】 【数2】 【0010】で導き出される冷却速度V(℃/秒)以上
の速度で冷却凝固させることを特徴とするスラグの粉化
抑制方法である。 【0011】 【発明の実施の形態】以下、本発明をより詳細に説明す
る。なお、本明細書中、%CaO、%Fe、%SiO2
等の記載におけるパーセント(%)は、質量%を示すも
のとする。 【0012】本発明者等がスラグの粉化に影響する成分
を調査したところ、粉化原因であるC2Sを構成する酸
化カルシウム、酸化ケイ素の他に、最も大きく粉化に影
響したのは酸化鉄であることがわかった。そこで化学成
分の異なるスラグについて冷却速度を変えて処理したと
ころ、(%CaO)/(%SiO2)値、すなわち塩基
度が低いスラグは、より遅い速度で冷却しても粉化が抑
制でき、更には酸化鉄の含有量が多いほど粉化しにくい
ことが判明した。スラグの上記3成分と冷却速度との関
係において、粉化と固化の境界を鋭意調査したところ、
図1に示すように、{(%CaO)−(%Fe)}/
(%SiO2)と冷却速度V(℃/秒)との対数の関係
において直線で表せる境界線を見いだした(図1に記載
のグラフ中の直線参照)。該境界線は、下記式1: 【0013】 【数3】【0014】で示すことができ、該境界線以上の冷却速
度では固化し、境界線未満の冷却速度では粉化すること
を見出した。なお本発明において、少なくとも、スラグ
が溶融状態からβ型C2Sが生成する状態になるまでの
温度域が、上記式1で規定される冷却速度で冷却制御さ
れていればよい。もちろん、上記温度域を超えて冷却制
御されていることがより好ましい。ここで、溶融状態の
スラグ温度は、スラグの組成等により様々であり得るた
め特には限定されないが、C2Sがα型で存在し得る1
450℃から、製錬温度の高々2000℃であることが
好ましい。一方、β型C2Sが生成する温度は、文献に
より多少異なるが、本発明における制御温度域として
は、500℃〜常温であることが好ましい。 【0015】従って本発明は、粉化に影響する化学成分
として、酸化カルシウム、酸化ケイ素、および鉄化合物
中の鉄の3成分から上記式1で導き出される冷却速度V
(℃/秒)以上の速度で冷却凝固させることによって、
スラグの粉化を抑制するものである。さらに好ましく
は、本発明の抑制方法において、上記塩基度を低くする
ことである。さらに好ましくは、本発明の抑制方法にお
いて、スラグ中の酸化鉄の含有量を高くすることであ
る。 【0016】本発明の抑制方法は、上記3成分を少なく
とも含むスラグであれば適用可能であるが、好ましくは
これらの3成分の合計含有量がスラグ全量中70質量%
以上のスラグに対して効果的に適用できる。ここで、
(%Fe)とは、スラグ中に含まれるすべての鉄化合
物、例えば酸化鉄(FeO、Fe2O3、Fe3O4など)
やその他の結合形態の鉄化合物中に含まれるFeの質量
%の合計を意味する。更に発明者等が鋭意試験したとこ
ろでは、(%CaO)−(%Fe)≦0の化学成分を有
するスラグでは、冷却速度を制御せず放冷してもある程
度は粉化を防げるが、本発明を適用することによってよ
り効果的に粉化を抑制することが可能である。 【0017】本発明の制御方法において、スラグを上記
式1で導き出される冷却速度以上の速度で冷却凝固する
ことによって粉化を防ぐことができる。なお、当該冷却
速度の上限値は特に規定するものではない。但し、上記
式1の右辺最後の定数2.8が、好ましくは2.4、よ
り好ましくは2の場合に得られる冷却速度を上限値とす
ることもでき、これは発明者等の試験において確認され
ている。 【0018】本発明の制御方法において冷却を行う際、
スラグ中で既に凝固の始まっている部分がある場合に本
発明の粉化抑制効果が低下する恐れがあるため、スラグ
ができる限り十分に溶融した状態から冷却を行うことが
好ましい。冷却方法は、上記式1によって得られた冷却
速度が実現できる方法であれば特には限定されず、従来
のいかなる方法でも利用可能である。比較的冷却速度が
遅い場合は、畑(スラグを徐冷する土地)にそのまま放
流したり、鉄板上に溶融スラグを薄く放流して散水した
りする方法が用いられる。具体的にいえば、畑にそのま
ま放流する方法におけるスラグの冷却速度は、1〜0.
01℃/秒程度と思われる。また、鉄板上に放流して散
水する方法におけるスラグの冷却速度は、10〜0.1
℃/秒程度と思われる。またその際に、スラグの放流塊
の大きさ、厚みや、散水量を調整することで冷却速度を
制御することができる。冷却速度が速い場合は、回転ド
ラムに溶融スラグを流下してはじき飛ばして微粒化する
方法、風砕方法や水砕方法を用いることができる。これ
らの方法では、回転ドラムの回転数や風量、水量などを
調整して冷却速度を制御することができる。例えば、冷
却速度を700〜5℃/秒に制御したい場合は、これら
方法を用いることが好ましい。 【0019】 【実施例】表1に本発明の実施例、表2に比較例を示
す。表1に示すように、実施例1〜12のスラグにおい
て、CaO、SiO2、Feの質量%が同一のものは同
じスラグであり、すなわち実施例1、3、5、7、10
の成分組成に代表される5種類のスラグを用い試験し
た。実施例1〜4は比較的酸化鉄含有量が少ないスラグ
であり、実施例5、6は酸化鉄含有量が多いスラグであ
る。実施例7〜12は、実施例5、6より(%CaO)
/(%SiO2)値(塩基度)の高いスラグを実施例
5、6のスラグに混合して合成したスラグで、塩基度や
酸化鉄含有量の異なるスラグの例とした。 【0020】冷却開始前のスラグ温度は、実施例1〜4
のスラグで約1550℃、実施例5〜12は約1500
℃とした。表1に示すように各実施例のスラグに対し、
これらの温度より、冷却速度として約50、20、1
0、5、2、1、0.5、0.05℃/秒で冷却処理を
行った。また、実施例1、3、7、10と同じ成分組成
のスラグを用いて、それぞれ10、2、0.5、5℃/
秒の速度で冷却したものを比較例1〜4とした。冷却制
御は、冷却処理の下限温度を500℃目安として、冷却
開始時のスラグ温度から約500℃までの平均冷却速度
で制御した。即ち約500℃になるまでの時間を制御し
た。具体的な処理は、50、20、10℃/秒の場合
は、回転ドラムにスラグを流下してはじき飛ばして微粒
化したスラグを散水冷却する際の水冷条件を調整するこ
とによって冷却制御した。具体的には回転ドラムの回転
は200〜500rpmであり、水冷条件はスラグ量
(トン)当たりの水量として、0.6〜2(トン)とし
た。また、5、2、1℃/秒の場合は、鉄板上に薄く放
流して散水量をしながら調整することによって冷却制御
した。さらに、0.5℃/秒の場合は畑に薄く放流し、
0.05℃/秒の場合は畑にまとめて放流し、いわゆる
徐冷を行うことによって制御した。 【0021】表1、2及び図1に粉化性の有無を示し
た。これらの表および図中、○は固化、△はほぼ全量固
化、●は殆どが粉化したことを表す。実施例1、2のス
ラグは、実施例1の50℃/秒や実施例2の20℃/秒
では固化したが、同じスラグ成分である比較例1の10
℃/秒では粉化した。実施例3、4のスラグは塩基度が
やや低く、実施例3の10℃/秒や実施例4の5℃/秒
では固化したが、同じスラグ成分である比較例2の2℃
/秒では粉化した。 【0022】実施例5、6のスラグは塩基度が比較的高
いものの酸化鉄含有量が多く、実施例5の0.5℃/秒
や実施例6の0.05℃/秒でも粉化しなかった。実施
例7〜12は、実施例5のスラグに対し塩基度を高く
し、酸化鉄含有量を少なくしたスラグである。実施例7
〜9のスラグは1〜5℃/秒で固化したが、同じスラグ
成分である比較例3の0.5℃/秒では粉化した。実施
例10〜12のスラグは更に固化しやすく、10〜50
℃/秒では固化したが、同じスラグ成分である比較例4
の5℃/秒では粉化した。 【0023】 【表1】 【0024】 【表2】 【0025】 【発明の効果】本発明により、従来粉化していたために
用途のなかったスラグを、冷却速度を調節することによ
って固化したことで、未利用のスラグを減少させ、路盤
材等に有効活用を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のスラグの粉化抑制方法において、
{(%CaO)−(%Fe)}/(%SiO2)と冷却
速度V(℃/秒)との対数の関係を示すグラフである。
{(%CaO)−(%Fe)}/(%SiO2)と冷却
速度V(℃/秒)との対数の関係を示すグラフである。
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Fターム(参考) 4G072 AA50 GG03 QQ16 QQ20 TT01
UU30
4K013 CF01
4K014 AE01
4K063 CA02 HA02 HA03 HA10
4K070 AB11 BC15 EA30
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 溶融したスラグを、該スラグ成分中の酸
化カルシウム、酸化ケイ素、鉄化合物として存在する鉄
の質量%を、各々(%CaO)、(%SiO 2)、(%
Fe)で表したとき、下記式1: 【数1】 で導き出される冷却速度V(℃/秒)以上の速度で冷却
凝固させることを特徴とするスラグの粉化抑制方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002144462A JP2003342627A (ja) | 2002-05-20 | 2002-05-20 | スラグの粉化抑制方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002144462A JP2003342627A (ja) | 2002-05-20 | 2002-05-20 | スラグの粉化抑制方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003342627A true JP2003342627A (ja) | 2003-12-03 |
Family
ID=29766273
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002144462A Withdrawn JP2003342627A (ja) | 2002-05-20 | 2002-05-20 | スラグの粉化抑制方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2003342627A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
TWI663258B (zh) * | 2017-01-23 | 2019-06-21 | 日商新日鐵住金股份有限公司 | 抑制爐渣起泡的方法及轉爐精煉方法 |
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2002
- 2002-05-20 JP JP2002144462A patent/JP2003342627A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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TWI663258B (zh) * | 2017-01-23 | 2019-06-21 | 日商新日鐵住金股份有限公司 | 抑制爐渣起泡的方法及轉爐精煉方法 |
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