JP2003342555A - 混合金属系粒状物 - Google Patents

混合金属系粒状物

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JP2003342555A JP2002156714A JP2002156714A JP2003342555A JP 2003342555 A JP2003342555 A JP 2003342555A JP 2002156714 A JP2002156714 A JP 2002156714A JP 2002156714 A JP2002156714 A JP 2002156714A JP 2003342555 A JP2003342555 A JP 2003342555A
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Akihiko Honda
昭彦 本多
Akira Taguchi
晃 田口
Masabumi Ando
正文 安藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、混合金属系粒状物に関し、特に、塗
装前金属材料表面の酸化皮膜又は既存の塗膜を迅速に除
去し、又該塗料の密着度を強くするような塗装前金属材
料表面状態の形成を安全且つ安価にするための混合金属
系粒状物を提供することを目的とする。 【解決手段】本発明の混合金属系粒状物は、所望の塗料
密着度を得るために金属材料表面に所定粗さを形成する
ことを可能にする所定の粒子径を有する第一の金属系粒
状物と、前記粒子径とは異なる粒子径を有する少なくと
も一種類の第二の金属系粒状物と、を所定の比率で混合
してなる所定の混合金属系粒状物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、混合金属系粒状物に関
し、特に、塗装前金属材料表面の酸化皮膜又は既存の塗
膜を迅速且つ確実に除去し、又、塗料の密着度を強くす
るような塗装前金属材料表面状態の形成を安全且つ安価
にするための混合金属系粒状物に関する。
【0002】
【従来の技術】塗装前の金属材料は圧延後の熱処理時に
その金属表面に酸化皮膜を生じており、この表面酸化皮
膜が付着したまま金属材料表面を塗料により塗装した場
合、金属材料表面に形成された塗膜が酸化被膜とともに
金属材料表面から剥離する原因となる。又、斯かる表面
酸化皮膜が予め十分に除去されていても、金属材料表面
が、所定の表面状態(表面粗さの程度又は均一性等)を
有していない場合には、塗料の密着度が弱くなり塗膜剥
離の原因となる。このような塗膜剥離は金属材料表面の
酸化腐食劣化に繋がる。
【0003】従って、金属材料を塗装する場合には、こ
のような塗膜剥離を防止するために、金属材料表面の表
面酸化皮膜を効率よく確実に除去しておくこと及び塗料
の密着度が強くなるような金属材料表面の形成が重要で
ある。そのため、金属材料を塗装する際には、塗装前に
金属材料表面を表面処理することが行われる。
【0004】斯かる塗装前金属表面処理には大別して、
化学的清浄法及び物理的清浄法がある。化学的清浄法
は、金属材料表面の油分や埃を取り除く「脱脂」、金
属材料を塩酸や硫酸などに浸漬し表面酸化皮膜を除去す
る「酸洗」、塗料の密着度を強くするために金属材料表
面に化学反応により難溶性無機化合物を形成する「化成
処理」、又は上記「脱脂」、「酸洗」、「化成処理」の
二以上を組み合わせて処理する方法である。又、物理的
清浄法は、ブラシや砥石などを用いて、人手により、
表面酸化皮膜の除去及び所定の表面状態を形成する方
法、金属系又は非金属系の粒状物を高速にて金属材料
表面に塗装前処理する方法、金属材料とそれに付着す
る表面酸化皮膜との物理的性質の違いを利用し、火焔を
用いて表面酸化皮膜を除去する方法等がある。
【0005】しかし、前記の化学的清浄法では、金属
材料を酸浴に浸漬させる必要があり、船舶や橋梁などに
用いられる大型の金属材料に使用するには設備が大型に
なるため不向きであるという問題点がある。更に、斯か
る使用後に発生する廃液の処理には環境汚染を考慮する
必要があるなどの問題点がある。
【0006】又、前記物理的清浄法、は、前記化学
的清浄法と比較して、処理後の金属材料表面状態が不均
一となり易く、塗料の密着度が弱くなるという問題点が
ある。
【0007】一方、前記の塗装前処理方法は、上記化
学的清浄法特有の問題点がないばかりか、金属材料の大
きな表面を容易に処理でき、又、他の方法と比較して比
較的安価に行えるため、従来より塗装前処理に広く用い
られてきた。
【0008】ところで、前記の方法において非金属系
粒状物を用いる場合には、多くの場合、砂等の非人工粒
状物が用いられる。しかし、非人工粒状物の粒子径は不
安定なため、塗装前処理後に均一な表面状態を得ること
が困難であり、又、強い塗装密着度を得られない問題点
がある。更に、非人工粒状物の靱性は金属系粒状物の靱
性と比較して乏しいため、金属系粒状物を使用する場合
と比較して使用により該粒状物が早期に破壊する。従っ
て、金属系粒状物を使用する場合と比較して、一回の処
理に多量の非人工粒状物が必要となり、処理コストが大
になるという問題点がある。
【0009】そこで、前記塗装前処理方法に、非金属系
粒状物の靱性と比較して高い靱性を有する金属系粒状物
を使用すれば上記非金属系粒状物使用の場合の問題点を
解決し得る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、単一種
類の金属系粒状物を使用する場合、従来より規定された
粒度分布では、大きさによってそれぞれの特性はあるも
のの塗料の密着度が強い表面状態を得ることが難かしい
という問題点がある。
【0011】又、塗膜剥離の原因となる表面酸化皮膜を
迅速且つ確実に除去しようとすると、塗装前処理の際、
極端に金属材料表面に近づけるか、又は、該処理エネル
ギーを高めるために金属系粒状物の速度を速くする等の
必要がある。しかし、前者の場合では高速で塗装前処理
した金属系粒状物の跳ね返りが強くなるために作業者の
安全面が低下し、又、後者の場合では金属系粒状物自体
の破壊が促進され、一回の処理に多量の金属系粒状物が
必要となり、処理費用が増大するという問題点がある。
【0012】更に、前記塗装前処理方法固有の問題点と
して、前記化学的清浄法と比較して、塗装前処理後の金
属材料表面状態が不均一となりやすいという問題点があ
る。又、前記塗装前処理方法の実現手段によっては表面
酸化皮膜除去に多大な時間を要してしまう問題点があ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めの金属系粒状物は、所望の塗料密着度を得るために金
属材料表面に所定粗さを形成することを可能にする所定
の粒子径を有する第一の金属系粒状物と、前記粒子径と
は異なる粒子径を有する少なくとも一種類の第二の金属
系粒状物と、を所定の比率で混合してなる所定の混合金
属系粒状物であって、金属材料表面の塗装前処理に使用
されて、該金属材料表面の酸化皮膜又は既存の塗膜を除
去するとともに、該金属材料表面粗さの表面状態を形成
することを可能にすることを特徴とする。
【0014】好ましくは、前記第二の金属系粒状物の混
合比率が、前記混合金属系粒状物全体の30乃至70重
量%の範囲である。
【0015】
【発明の実施の形態】図1及び表1は、互いに異なる粒
子径の三種の金属系粒状物A、B、C、及びこれらA、
B、Cを適正混合比率で混合して得た混合金属系粒状物
Dの粒状分布の1例を示す。なお、金属系粒状物A、
B、Cはいずれも鋳鋼であるが、鋳鉄、亜鉛等他の金属
でもよく、又、金属系粒状物A、B、Cは夫々異なる材
質の金属であってもよい。
【0016】
【表1】
【0017】表1中、ふるい寸法は、ふるいの各格子の
1辺の長さ(単位:μm)を表す。同表中の各数字は、
各金属系粒状物について、ふるい寸法の大きいふるいか
ら順番にふるいにかけた場合の、そのふるい寸法のふる
い上に残留した分量の全体に対する重量%である。例え
ば、金属系粒状物Aの粒度分布は、粒子径600〜71
0μm、710〜850μm、850〜1,000μm
の粒子が夫々、20重量%、50重量%、30重量%で
ある。
【0018】ここで、金属系粒状物Aは、所望の塗料密
着度を得るために金属材料表面に所定の表面粗さの形成
を可能とする金属系粒状物の中でも、従来より、特に大
型金属材料に対して使用される可能性の高いものであ
り、その中心粒子径及び平均粒子硬度は夫々、0.7m
m、900Hvである。一方、金属系粒状物Bは、中心
粒子径及び平均粒子硬度は夫々、0.5mm、900H
vである。又、金属系粒状物Cは、中心粒子径及び平均
粒子硬度は夫々、0.3mm、900Hvである。そし
て、混合金属系粒状物DはA、B、Cを夫々、30重量
%、50重量%、20重量%の重量比率で混合したもの
であり、従って、その中心粒子径は0.3〜0.7mm
と分散し且つ平均粒子硬度も当然ながら900Hvであ
る。なお、実施例1においては、金属系粒状物A、金属
系粒状物B及び金属系粒状物Cの平均粒子硬度はすべて
等しく900Hvであるが、金属系粒状物B、金属系粒
状物C及び金属系粒状物Aの平均粒子硬度が夫々異なっ
てもよい。
【0019】塗装後における金属材料表面の酸化腐食劣
化を防止するために実施される金属材料の塗装前処理に
おいては、塗料の密着度を高めるために金属材料表面状
態、即ち表面の凹凸状況が重要である。金属材料表面の
凹凸状況のうち、特に重要な指標は、凹凸の深さ(高
さ)及び凹凸の数である。凹凸の深さ(高さ)について
は、使用者によってその要求値は異なるが、金属材料が
一般構造用圧延鋼材である場合には、一般的に30μm
乃至70μmの範囲にあることが必要とされる。凹凸の
数については、特に要求値は存在しないが、一般的には
凹凸の数が多い程塗料の密着度は高くなる。なお、本実
施形態においては、金属材料は一般構造用圧延鋼材であ
るが、勿論、高張力鋼、造船用鋼等の他の金属であって
もよい。
【0020】ここで、図2乃至5及び表2に、金属系粒
状物A乃至Dを夫々用いた場合の塗料の密着性について
評価するために、同一の金属材料に対し、同一条件下で
金属系粒状物A乃至D夫々を高速で塗装前処理する際の
金属材料表面状態の測定結果を示す。
【0021】図2乃至5は夫々、金属材料表面を金属系
粒状物D、A、B、Cにより塗装前処理した後の金属表
面の表面粗さを記録したものであり、各図中縦軸は表面
の凹凸の深さ(高さ)(単位:μm)を示し、横軸方向
幅は基準長さとしての1インチ(25.4mm)を示
す。
【0022】表2は、図2乃至5で得られた各表面の凹
凸に基づいて得た、十点平均粗さRz及びピークカウン
トPCを用いて表面状態を指標化したものである。ここ
で、十点平均粗さRzとは、前記粗さ曲線(図2乃至5
参照)において、山側の最も高い方から順にP1、P
2、・・P5(図6参照)とし、谷側の最も深い方から
順にV1、V2、・・V5(図6参照)とし、夫々の数
値(μm)の平均値の差を求めたものであり(Rz=1
/5((P1+P2+P3+P4+P5)―(V1+V2+V
3+V4+V5)))、この場合十点平均粗さRzの要求
値は30〜70μmである。又、ピークカウントPCと
は、前記粗さ曲線(図2乃至5参照)において、任意に
定めた上方下限値(P−LEVEL)及び下方上限値
(V−LEVEL)をフィルターとし、これらの限界値
を超える、即ちP−LEVELより高い山の数と、V−
LEVELより深い谷とをプラスした数を測定したもの
であり、凹凸の数を示す値として用いる。
【0023】又、表3は、金属系粒状物A乃至Dを用い
て塗装前処理した金属材料を夫々塗装した場合の塗料の
密着性試験の評価であり、◎はきわめて良好、○は良
好、×は不良を示す(なお、従来から使用されている金
属系粒状物Aを用いた場合を基準にしている)。ここ
で、引張り試験とは、塗装後の試料塗面にボタン程度の
チップを貼り付け、そのチップを引き剥がし塗料の密着
度を測る試験である。引っ掻き試験とは、硬さの異なる
鉛筆を用いて試料塗面を引っ掻き、その塗膜が剥離する
際の鉛筆の硬さを調べることにより塗料の密着度を測る
試験である。碁盤目試験とは、試料塗面に碁盤目状に傷
を付けた後、その傷を付けた部分にテープを貼り、その
テープを引き剥がした際の剥がれた塗膜の升目の数によ
り塗料の密着度を測る試験である。
【0024】次に、以下に示す表2及び表3において、
金属系粒状物Aの各指標を基準に、金属系粒状物B乃至
Dの各指標を比較検討する。
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】表2中、金属系粒状物AのRz、PCは夫
々、40.1μm、41である。金属系粒状物BのR
z、PCは夫々、28.4μm、55である。即ち、金
属系粒状物Bは、金属系粒状物Aと比較してPCは向上
しているものの、絶対必要条件となる十点平均粗さRz
(=28.4μm)が要求値30〜70μmの範囲内に
はない。従って、表3に示すように、塗装後の塗料の密
着性試験において、金属系粒状物Aの評価を下回る。
又、表2中、金属系粒状物CのRz、PCは夫々、1
5.1μm、23である。金属系粒状物Cの中心粒子径
は、金属系粒状物Aの中心粒子径と比較して小さいた
め、PCを測定する際に任意に設定したP−LEVEL
及びV−LEVELを超える凹凸の数が少なくなりPC
は減少する。その結果、十点平均粗さRz(=15.1
μm)が、要求値30〜70μmの下限値を大きく下回
る。そのため、表3に示すように、塗装後の塗料の密着
性試験において金属系粒状物Aの評価を下回り、金属系
粒状物Cは塗装前処理の実用には不向きであると考えら
れる。即ち、表3より、少なくとも金属系粒状物B、C
は本発明の目的にそぐわないことがわかる。これらに対
し、表2中、混合金属系粒状物DのRz、PCは夫々、
39.2μm、58である。混合金属系粒状物Dの十点
平均粗さRz(=39.2μm)は、その要求値30〜
70μmの範囲を満たしており、又、PCについては、
金属形粒状物Aの41に対して、約140%(=58/
41×100)まで上昇している。従って、塗装後の塗
料の密着性試験では、金属系粒状物Aでは成しえなかっ
た強い密着度を得ることが可能となる(表3参照)。
【0028】一方、このような金属材料の塗装前処理に
おいては、塗装後の塗膜の剥離を防止するために、塗装
前の金属材料表面に付着している表面酸化皮膜が残存し
ていないことが好ましい。なぜなら、金属材料表面に表
面酸化皮膜が付着したまま塗装をした場合には、塗装
後、該塗膜が剥離しやすくなるからである。この表面酸
化皮膜を効率良く且つ確実に除去するためには、金属粒
子を金属表面に対して塗装前処理するときの金属材料表
面の単位面積当たりの粒状物の粒子数、即ち被覆率が問
題となる。被覆率とは、金属材料表面の単位面積を例え
ば400の桝目に分けて金属粒子を金属表面の上記単位
面積に対して一定時間塗装前処理したときに、全ての4
00の桝目に1個ずつ粒状物があたったときに被覆率を
100%と呼び、全ての桝目のうち例えば200の桝目
にのみ1個ずつ粒状物が当たったときは被覆率は50%
と呼ぶ。従って、塗装前処理作業は、被覆率の100%
を維持しつつ、しかも単位面積に対する塗装前処理作業
の一定時間を可能な限り短くなるようにして行えば、作
業の確実性及び効率が共に向上することになる。以下、
この被覆率について表4及び図7及び図8を用いて説明
する。
【0029】
【表4】
【0030】表4から明らかな通り、A、B、C、D夫
々の粒子数は、890、2,444、11,316、
3,754(夫々の単位は千個)であり、中心粒径(A
=0.7mm、B=0.5mm、C=0.3mm、D=
0.3〜0.7mm)が小さくなるに従って粒子数も増
加することがわかる。ここで、金属系粒状物Cの粒子数
は、他の金属系粒状物A,B,Dの粒子数と比較して、
本発明になる金属系粒状物Dの粒子数の約3倍(=1
1,316/3,754)と粒子数が多い。従って、金
属系粒状物Cは、塗装前処理される金属材料表面の単位
面積当たりの粒子数が多い、即ち被覆率は大きくなって
この点では好ましいのであるが、上述したように、ピー
クカウントPCが少なく又所望の表面粗さ(Rz)が極
端に不足する(表2参照)ため、前記表3中の×印に示
す如く、塗装前処理には不向きである。又金属系粒状物
Bについては、本発明になる金属系粒状物Dの粒子数の
約0.65倍(=2,444/3,754)と粒子数が
少ないので被覆率は上記金属系粒状物Dより小さくなっ
てしまい、しかも表2及び表3より金属系粒状物Cの場
合と同様に塗装前処理には不向きであるから不適であ
る。
【0031】従って、次に、残る金属系粒状物A(粒子
数=890)及び混合金属系粒状物D(粒子数=3,7
54)について、図7及び図8を使用して検討するが、
同各図は夫々上記表4に示した金属系粒状物A及びDを
所定の金属材料表面に対して高速で塗装前処理した状態
を示す。各図中、処理装置1から飛び出した金属系粒状
物A(又はD)は角度αの円錐頂角をもって広がり、距
離d1の面2を通過して距離d2の面3に塗装前処理さ
れるものと仮定する。
【0032】図7に示す如く、1kg中の粒子数が少な
い(表4参照)金属系粒状物Aを金属材料表面に対して
塗装前処理した場合、金属材料表面が面2aにあって距
離d1が比較的小さいときは、所望の(100%の)被
覆率が確保できるが、金属材料表面が面3aにあって距
離d2が比較的大きいときは、面3aの面積が大きくな
る、即ち、塗装前処理範囲が広がるため被覆率は小さく
なる。つまり、粒子数の少ない金属系粒状物Aでは所望
の被覆率以下の被覆率しか得ることができない。
【0033】一方、図8に示す如く、1kg中の粒子数
が多い混合金属系粒状物D(表4参照)を金属材料に対
して塗装前処理した場合、金属材料表面が面2b(面2
aと同一面積)にあって距離d1が比較的小さいとき
は、被覆率は所望の被覆率(100%)以上なものとな
るが、金属材料表面が面3b(面3aと同一面積)にあ
って距離d2が比較的大きいときは、丁度所望の被覆率
を確保できる。
【0034】従って、金属系粒状物A及び混合金属系粒
状物Dを比較したときに、後者は金属材料表面が距離d
1より大きい距離d2離間したときに所望の被覆率を得
ることが出来るから、そのときの金属材料表面の塗装前
処理される面3bの面積は、面2b(又は2a)の面積
よりも大きくなり、それだけ塗装前処理の作業効率を向
上できる。従って、この点で混合金属系粒状物Dは金属
系粒状物Aよりも有利である。なお、この状態を図9に
示す。同図中、面2a及び面3bは夫々、金属系粒状物
A及び混合金属系粒状物Dにより夫々所望の被覆率を得
た場合の最大塗装前処理面積であり、これによれば明ら
かに混合金属系粒状物Dの方が塗装前処理面積が大きい
ので作業効率が良い。
【0035】次に、表5により、実際に金属系粒状物
A、B、D夫々を用いて、金属材料の表面酸化皮膜除去
を行った際の1時間あたりに表面酸化皮膜を除去しうる
面積を示す。
【0036】
【表5】
【0037】表5中、表面酸化皮膜除去面積は、表面酸
化皮膜の除去率が100%である面積である。ここで、
表面酸化皮膜の除去率は、被覆率と同様の方法により判
定する。すなわち、塗装前処理を行った金属材料表面の
単位面積を、例えば400の桝目に分け、400の桝目
に付着していたすべての表面酸化皮膜が除去された場合
は除去率100%であり、400の桝目の内200の桝
目に付着していた表面酸化皮膜は除去されたが残りの2
00の桝目には表面酸化皮膜が付着したままの場合は除
去率50%である。金属系粒状物Aの表面酸化皮膜除去
面積は、1時間あたり13平方メートル/時間であり、
混合金属系粒状物Dの表面酸化皮膜除去面積は、1時間
あたり20平方メートル/時間である(表5参照)。従
って、混合金属系粒状物Dを用いた場合には、従来から
使用していた金属系粒状物A又はBと比較して、1.5
倍の面積を1時間当たりに表面酸化皮膜を除去すること
ができる。
【0038】上述したように、混合金属系粒状物Dを金
属材料に塗装前処理する場合、金属材料との距離を適度
に離すことにより、金属材料のより広い範囲に亘って表
面酸化皮膜を除去することが可能であるため、金属材料
若しくは塗装前処理装置の移動速度を早くすることによ
り、表面酸化皮膜を迅速に効率よく除去することが可能
である。
【0039】次に、表6により本発明の第2実施例を示
す。表6は、金属系粒状物A、B及びCの混合比率を適
宜変えたときに、塗装前処理後の表面粗さ、表面酸化皮
膜除去面積及び塗装後の塗料密着度の変化を実験した結
果である。
【0040】
【表6】
【0041】まず、表面状態について検証してみると、
表6に示すように、金属系粒状物Aの混合比率が大きい
ときは十点平均粗さRzは概ね大きくかつピークカウン
トPCは概ね小さいが、金属系粒状物Aの混合比率が小
さくなって他の金属系粒状物B又はCの混合比率が大き
くなると、十点平均粗さRzは概ね小さくなりかつピー
クカウント(凹凸数)PCは概ね大きくなる傾向にあ
る。これは、金属系粒状物Aは中心粒子径が大きくかつ
単位重量当たりの粒子数が少ないのでその混合比率が大
きいときは、金属材料の表面粗さは大きくなる反面ピー
クカウントは小さくなり、又金属系粒状物B又はCは金
属系粒状物Aに比して中心粒子径が小さくかつ粒子数が
多いのでその混合比率が大きくなるにつれて、金属材料
の表面粗さは小さくなる反面、ピークカウントは大きく
なるのである。
【0042】次に、金属材料の表面酸化皮膜の除去面積
について検証してみる。表6に示すように、金属材料表
面酸化皮膜の除去面積は、金属系粒状物Aが100重量
%(No.1参照)の場合と比較して、金属系粒状物A
に対して金属系粒状物B及びCを混合する比率を上昇さ
せるに従って概ね向上する。前記実施例1で述べたよう
に、金属系粒状物Aの単位重量あたりの粒子数は少ない
のに対し、金属系粒状物B及びCの粒子数は多いので、
金属系粒状物Aに対して金属系粒状物B及びCの混合比
率を上昇させることにより、その混合金属系粒状物全体
の単位重量当たりの粒子数も上昇し金属材料の単位面積
に対する前記被覆率が高まるからである。
【0043】続いて、塗装後の塗料密着度について検証
してみる。表6に示すように、金属系粒状物B及びCの
混合比率が小さい場合、即ち該混合金属系粒状物全体に
対して0乃至20重量%の範囲の場合は、塗装後の塗料
密着度は悪くはないもののさほど向上しない。これは、
金属系粒状物B及びC混合比率が小さい場合には、塗装
前処理後の金属材料表面のピークカウントPCが小さい
からと考えられる(表6中のNo.1〜5参照)。
【0044】続いて、金属系粒状物B及びCの混合比率
を上昇させた場合、該混合比率が該混合金属系粒状物全
体に対して30乃至70重量%の範囲においては、概ね
塗装後の塗料密着度は良好である。これは、その混合比
率の上昇とともに、塗装前処理後の金属材料表面のピー
クカウントPCが大きくなるからと考えられる(表6中
のNo.6〜19参照)。
【0045】一方、金属系粒状物B及びCの混合比率を
更に上昇させると、即ち該混合比率が該混合金属系粒状
物に対して80乃至100重量%の範囲においては、塗
装後の塗料密着度は悪化し、実用に耐えられない。これ
は、その混合比率の更なる上昇とともに、塗装前処理後
の金属材料表面のピークカウントPCは概ね高水準を維
持するが、金属材料表面の表面粗さ(Rz)が減少する
ことに起因して塗装後の塗料密着度が悪化するからと考
えられる(表6中のNo.20〜25参照)。
【0046】以上の検証の結果より、塗装前の金属材料
表面に形成された酸化皮膜を、金属材料の広範囲にわた
って、迅速に効率よく除去するとともに所望の塗料密着
度を得るために該金属材料表面に所定の表面状態、即
ち、表面粗さ及び金属材料表面の凹凸の数を得るために
もっとも効果的な金属系粒状物Aと金属系粒状物B及び
金属系粒状物Cとの混合比率は、混合金属系粒状物に対
する金属系粒状物B及び金属系粒状物Cの重量比率が、
30乃至70重量%の範囲にある場合である。
【0047】なお、本発明の混合金属系粒状物は、金属
材料表面の酸化皮膜の除去に限ることなく、該金属材料
表面の既存の塗膜を除去することにも適用できる。
【0048】
【本発明の効果】本発明の混合金属系粒状物によれば、
次に示す効果がある。 所望の塗料密着度を得るために金属材料表面に所定粗
さを形成することを可能にする所定の粒子径を有する第
一の金属系粒状物と、前記粒子径とは異なる粒子径を有
する少なくとも一種類の第二の金属系粒状物と、を所定
の比率で混合してなる所定の混合金属系粒状物を用いて
塗装前処理をすることにより、塗装前の金属材料表面に
形成された酸化皮膜又は既存の塗膜を金属材料の広範囲
にわたって迅速に効率よく除去するとともに、所望の表
面粗さ及び金属材料表面の凹凸の数を得ることにより所
望の塗料密着度を得ることができる。これにより、金属
材料表面からの塗膜剥離防止を、迅速に効率よく効果的
にできる効果がある。
【0049】従って、金属材料表面の酸化腐食劣化防止
を、迅速に効率よく効果的にできる効果がある。 前記第二の金属系粒状物の混合比率を前記混合金属系
粒状物の30乃至70重量%の範囲であるような該混合
金属系粒状物を塗装前処理に使用することにより、より
一層、酸化皮膜又は既存の塗膜の除去効率並びに塗料密
着度の向上を計りうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表1に示した金属系粒状物A乃至Dの粒度分布
を示す図である。
【図2】金属材料表面を金属系粒状物Dにより塗装前処
理した後の金属表面の表面粗さを記録したものである。
【図3】金属材料表面を金属系粒状物Aにより塗装前処
理した後の金属表面の表面粗さを記録したものである。
【図4】金属材料表面を金属系粒状物Bにより塗装前処
理した後の金属表面の表面粗さを記録したものである。
【図5】金属材料表面を金属系粒状物Cにより塗装前処
理した後の金属表面の表面粗さを記録したものである。
【図6】金属表面の表面粗さを記録したものにおいて、
最も高い山から順にP1、P2、P3、P4、P5、最
も深い谷から順にV1、V2、V3、V4、V5を表す
図である。
【図7】金属系粒状物Aを金属材料に対して高速で塗装
前処理した際の状態を表す図である。
【図8】混合金属系粒状物Dを金属材料に対して高速で
塗装前処理した際の状態を表す図である。
【図9】金属系粒状物A、Dを夫々、高速において金属
材料表面の一箇所に集中させて塗装前処理した際の金属
材料表面酸化皮膜除去範囲の違いを表す図である。
【符号の説明】
1…処理装置 2a、2b…処理装置から距離d1にある面 3a、3b…処理装置から距離d2にある面

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 混合金属系粒状物において、 所望の塗料密着度を得るために金属材料表面に所定粗さ
    を形成することを可能にする所定の粒子径を有する第一
    の金属系粒状物と、前記粒子径とは異なる粒子径を有す
    る少なくとも一種類の第二の金属系粒状物と、を所定の
    比率で混合してなる所定の混合金属系粒状物であって、 金属材料表面の塗装前処理に使用されて、該金属材料表
    面の酸化皮膜又は既存の塗膜を除去するとともに、該金
    属材料表面粗さの表面状態を形成することを可能にす
    る、 ことを特徴とする混合金属系粒状物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の混合金属系粒状物におい
    て、 前記第二の金属系粒状物の混合比率が、前記混合金属系
    粒状物全体の30乃至70重量%の範囲であることを特
    徴とする混合金属系粒状物。
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