JP3388206B2 - 塗装方法及びその方法で塗装された建築材料 - Google Patents
塗装方法及びその方法で塗装された建築材料Info
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Description
表面に塗装を施す塗装方法及びその方法で塗装された建
築材料に関する。
用され、アルミニウム合金や鋼等を素材とする建築材料
がある。この種の建築材料の素材表面には、所望の色彩
や外観、耐食,防錆、耐候性等を得るために塗装が施さ
れる。
一般に前処理が施される。この種の塗装前処理方法とし
て、次のようなものがある。即ち、先ず素材表面に有機
溶剤、酸、アルカリ等を塗布することにより、その表面
に付着した油脂分等を分解除去する。次に、油脂分等が
除去された素材表面にクロムや亜鉛等の重金属化合物よ
りなる処理薬品により化成被膜を形成させることによ
り、その素材表面を活性化させる。そして、このように
活性化された素材表面に目的の塗料を塗布すれば、建築
材料の表面に所望の色彩や外観、耐食,防錆、耐候性等
を付与することができる。
塗装前処理方法には、次のような欠点があった。即ち、
建築材料の表面処理のために有機溶剤や酸、アルカリ、
重金属化合物等の化学薬品が使われることから、これら
の化学薬品成分を多量に含む排水が拡散され、大気、水
質及び土壌等の汚染を引き起こすおそれがあった。この
ような汚染公害の発生を防ぐためには、上記汚染成分を
含む排水を浄化処理すればよい。しかし、この種の浄化
処理には膨大な設備や多大な費用がかかることから、実
施が容易でない。
素材表面に塗装の前処理を目的としてクロム酸を使用す
ると、クロム酸と素材表面とが化学反応を起こし、素材
表面が微量ながら溶解され表面にエッチングが施され
る。このエッチング部分に塗布された塗料は、アンカー
効果により素材表面に引っかかり、表面に対する密着力
が増す。しかし、ここで問題なのは、複数の金属で構成
されているアルミニウム合金の組成が必ずしも一定、一
様ではないため、本来起きるはずの化学反応が十分でな
く、従って十分エッチングされていない箇所が必ず生ず
ることである。このような不十分なエッチング箇所で
は、当然ながら、アンカー効果による十分な密着力は得
られない。このような現象は、鋼素材に対して行われる
リン酸亜鉛処理の場合にも同様である。
材は、薬品を表面から完全に取り去るために何度も水洗
いされる。これは、表面に薬品が残留していると、その
残留薬品と塗料中の成分とが化学反応を起こすことがあ
り、その結果、塗膜の性能に悪影響を及ぼしたり、労働
衛生面からも人体に有害なガス等が発生したりするおそ
れがあるからである。しかし、水洗いを何度行っても、
完全には残留薬品を取り去ることはできず、取り去る方
法も確立されていないのが現状である。
る汚染公害の要因となることがなく、耐候性、耐熱性及
び耐摩耗性を備えた塗料として、セラミック塗料等の無
機系塗料が使用されるようになっている。しかし、この
種の無機系塗料を単に建築材料の素材表面に塗布しただ
けでは、その表面に対する密着性に充分な効果を期待す
ることができない。しかも、無機系塗料は、塗膜形成
上、その厚みが25〜30μm以上になると、クラック
が生じ易くなり、素材表面との密着性が損なわれること
となる。このクラックを避けるには、塗膜の厚みを20
μm以下にすればよいが、20μm以下の塗膜厚では、
素材に対する塗料の隠蔽力、着色力を十分得ることがで
きず、いわゆる透け現象が起こり、下地素材の色合いが
塗膜上に現れてしまうことになる。この結果、素材表面
を、塗料本来の色彩や外観に仕上げることができなくな
る。即ち、塗料本来の諸機能を発揮させることができな
くなる。
であって、その目的は、汚染公害等の要因となったり塗
膜性能に悪影響を及ぼしたりするおそれのある化学薬品
を一切使用することなく、塗料に対するアンカー効果と
活性化効果を発揮させることにより、塗料に対する密着
力を増大させ、かつ塗料本来の諸機能を有効に発揮させ
ることを可能にした塗装方法及びその方法で塗装された
建築材料を提供することにある。
に、請求項1に記載の発明は、金属製の建築材料の素材
表面に塗装を施す塗装方法であって、素材表面に7〜1
5μmの粒子を高速で吹き付けることにより、その素材
表面に7〜15μmの深さの凹みを無作為に複数形成し
て前処理を施し、その前処理が施された素材表面に無機
系塗料を塗布することにより、凹みを埋める7〜15μ
mの深さの塗料と、素材表面上に形成される15〜20
μmの見かけの厚みの塗料とにより22〜35μmの実
質的な厚みを有する塗膜を形成することを趣旨とする。
表面に粒子が高速で吹き付けられることから、素材表面
に付着した油脂分や塵埃等が除去され、素材表面が活性
化される。又、その素材表面に7〜15μmの深さの複
数の凹みが無作為に形成されることから、これら凹みに
より塗料に対する密着面積が増し、塗料に対するアンカ
ー効果が増し、凹みに対して塗料が密着し易くなる。更
に、素材表面に形成される塗膜の実質的な厚みが、7〜
15μmの凹みの深さの分だけ15〜20μmの見かけ
の厚みよりも増えることになる。ここで、素材表面に吹
き付けられる粒子が7〜15μmに限定されるのは、粒
子が7μmよりも小さくなると、塗料に対する密着面積
やアンカー効果が少なくなり、15μmよりも大きくな
ると、粒子が素材表面に衝突する際の振動と発熱により
素材表面に歪みが生じるようになるからである。7〜1
5μmの範囲であれば、これら不具合が生じ難くなるか
らである。
載の発明は、請求項1の発明の構成において、無機系塗
料は、無機質分96%以上を含むものであることを趣旨
とする。
の作用に加え、無機質分96%以上を含む無機系塗料よ
りなる塗膜にクラックが発生するのを避けるために、塗
膜の見かけ厚みを20μm以下に設定しても、7〜15
μmの深さの凹みを埋める塗料の分だけ塗膜の厚みが実
質的に増え、塗料の隠蔽力及び着色力が十分得られよう
になり、下地素材の色合いが塗膜上に現れることがな
い。
載の発明の建築材料は、請求項1又は請求項2に記載の
発明の塗装方法により塗装されたことを趣旨とする。
分や塵埃等のない活性化したものとなる。又、素材表面
に7〜15μmの深さの複数の微細な凹みがあることか
ら、素材表面における塗料に対する密着面積が増え、塗
料に対するアンカー効果が増し、素材表面に形成される
塗膜の実質的な厚みが凹みの分だけ見かけの厚みよりも
増えることになる。
方法で塗装された建築材料を具体化した一実施の形態を
図面を参照して詳細に説明する。
り処理された塗装前の素材表面1を有する建築材料2を
示す。図2に建築材料2の一部断面を拡大して示す。図
2において、上側面は塗装前処理が施された素材表面1
である。本実施の形態で、建築材料2はアルミニウム合
金又は鋼よりなる板材である。建築材料2は、例えば、
高層建築の外壁等に使われるものであり、その素材表面
1には、塗装前処理により複数の微細な凹み3であって
所定の深さDの無指向性の凹み3が無作為に形成され
る。各凹み3の深さDは「7〜15μm」となってい
る。
説明する。塗装前処理方法として、いわゆる「噴射加工
方法」が採用される。この方法は、先ず、図3に示すよ
うな処理が施される前の建築材料2を準備する。この時
点で、建築材料2の素材表面1は素材本来の平滑面をな
している。
し、噴射加工装置を使用して、「7〜15μm」の球状
の粒子よりなる研磨剤を高速で吹き付けることにより、
図2に示すように素材表面1に複数の微細な凹み3であ
って所定の深さDを有する無指向性の凹み3を無作為に
形成する。このように素材表面1に複数の微細な凹み3
を形成することにより、塗装の下地仕上げを行う。図2
に示すように、各凹み3は、口は狭く中は広い不規則な
断面形状をなしている。
球状の粒子よりなる研磨剤を使用することから、噴射加
工方法として、「ショットブラスト仕上げ」、或いは
「グリットブラスト仕上げ」が採用される。「ショット
ブラスト仕上げ」は、小さい鋼球等を粒子として素材表
面1に高速で吹き付ける方法である。「グリットブラス
ト仕上げ」は、上記鋼球を破砕したものを粒子として素
材表面1に高速で吹き付ける方法である。この「グリッ
トブラスト仕上げ」では、グリットが粉砕されることが
少ないので研削量も多く、長い間の反復使用に堪えると
いう特長を有する。
材表面1には、塗料を塗布することにより塗装が施され
る。図4に示すように、塗装により素材表面1に形成さ
れた塗膜4は、その一部が各凹み3を埋めるようにその
中に入り込む。この塗膜4は、素材表面1から上が見か
けの厚みT1となり、凹み3を埋めた塗料の深さ、即ち
凹みの深さDと見かけの厚みT1との合計が実質的な厚
みTとなる。この実施の形態では、凹み3を埋める塗料
の深さDが「7〜15μm」であり、見かけの厚みT1
が「15〜20μm」に設定される。従って、実質的な
厚みTは「22〜35μm」となる。
料が使用される。無機系塗料として、セラミック塗料が
使用される。セラミック塗料には、例えば、大韓ファイ
ンセラミック社製の「セラミカ」が使用される。この
「セラミカ」は、無機成分のみより構成され、無機系塗
料としての理想的な特長である耐候性、耐熱性及び耐摩
耗性を全て兼ね備えたものである。この「セラミカ」は
無機質分96%以上を含むものである。
装前処理方法によれば、建築材料2の素材表面1に微細
な球状の粒子が高速で吹き付けられることから、その建
築材料2がアルミニウム合金製のものであれば、素材表
面1に付着した油脂分や塵埃、スマット等が除去され、
素材表面1が良好に活性化される。その建築材料2が鋼
製のものであれば、素材表面1に付着した油脂分や塵
埃、ミルスケール等が除去され、素材表面1が良好に活
性化される。ここで、「活性化」とは、素材表面の不働
態を破壊することを目的とする処理を意味する。「不働
態」とは、化学的又は電気化学的に溶解・反応が停止す
るような金属の特殊な表面状態を言う。又、素材表面1
には、複数の凹み3が無作為に形成されることから、こ
れら凹み3により塗料に対する密着面積が増し、塗料に
対するアンカー効果が増し、各凹み3に対して塗料が密
着し易くなる。ここで、「アンカー効果」とは、塗料が
凹み3に引っかかり剥がれ難くなる効果を意味する。更
に、上記したように各凹み3を埋める塗料の分だけ塗膜
4の実質的な厚みTが増えることとなる。これにより、
アルミニウム合金製の建築材料2の素材表面1に対する
セラミック塗料の密着性に関して充分な効果を確保する
ことができるようになる。
ば、素材表面1に形成される塗膜4の見かけの厚みT1
が「15〜20μm」となる。このため、素材表面1に
対してセラミック塗料で塗膜4を形成しても、その塗膜
4にクラックが生じることを防止することができる。し
かも、このように塗膜4の見かけの厚みT1を「20μ
m以下」としても、各凹み3を埋める塗料分だけ塗膜4
の実質的な厚みTを「22〜35μm」に増やすことが
できる。このため、塗膜4は、素材表面1を完全に隠
蔽、着色し、素材表面1そのものの色合いが塗膜4上に
現れることがない。この結果、塗料本来の色彩や外観が
得られ建築材料2の表面を仕上げることができるように
なる。このように、セラミック塗料本来の諸機能を有効
に発揮させることができるようになる。
記のようにセラミック塗料本来の諸機能を有効に発揮さ
せるために、建築材料2の素材表面1を有機溶剤や酸、
アルカリ、重金属化合物等の化学薬品で処理することが
ない。このため、前記従来の塗装前処理方法のように化
学薬品によって大気、水質及び土壌等の汚染公害を引き
起こすことがなく、汚染成分の浄化処理設備を設ける必
要がなく、処理費用の高騰を抑えることができる。特
に、この実施の形態の塗装前処理方法によれば、噴射加
工に使用する研磨剤を集塵装置で回収することにより、
その研磨剤を再利用することができるので、必要な処理
費用を従来方法の処理費用の約30分の1程度に抑える
ことができるようになる。
ば、建築材料2の素材表面1に微細な球状の粒子が高速
で吹き付けて複数の凹み3を素材表面2に無作為に形成
することにより、塗料に対するアンカー効果を増大させ
るようにしている。このため、前記従来の塗装前処理方
法のように素材表面を化学薬品によりエッチングする場
合と異なり、常に確実なアンカー効果を確保することが
できるようになる。
ば、化学薬品を一切使用していないことから、前記従来
の塗装前処理方法のように素材表面に残留した化学薬品
が化学反応を引き起こして塗膜性能に悪影響を及ぼした
り、有害ガス等を発生させたりするようなことがない。
によれば、化学薬品を一切使用していないことから、建
築材料2の素材物性を全く損なうことがなく、その素材
表面1に塗装を施すことにより、その素材表面1に強靱
な保護塗膜4を形成することができるようになる。
磨剤の球状の粒子が「7〜15μm」であることから、
その粒子により形成される凹み3の深さDが「7μm」
より小さくなることがない。このため、素材表面1の塗
料に対する密着面積やアンカー効果を充分に確保するこ
とができる。又、その粒子が「15μm」より大きくな
いので、粒子が素材表面1に衝突して生じる振動と発熱
を最小限に抑えることができ、素材表面1の歪みの発生
を抑えることができる。仮に「15μm」より大きい球
状の粒子で素材表面1にショットブラストをかけたとす
ると、傷が深くなり過ぎて塗膜の表面にまでその窪みが
表出してしまい、塗膜肌の仕上がりが悪くなってしま
う。この状態は、見た目は塗膜が波打っているようであ
り、光の反射の影響で色つやにムラがあるように見えて
しまう。この実施の形態では、「15μm」以下の球状
の粒子でショットブラストをかけているので、上記のよ
うな不具合が生じることがない。
より処理された素材表面1を有する建築材料2は、その
素材表面1が油脂分や塵埃等のない活性化したものとな
る。又、その素材表面1に複数の微細な凹み3があるこ
とから、素材表面1のセラミック塗料に対する密着面積
が増え、セラミック塗料に対するアンカー効果が増し、
セラミック塗料に対する良好な密着性が得られる。更
に、素材表面1に形成される塗膜4の実質的な厚みT
が、各凹み3の深さDの分だけ見かけの厚みT1よりも
増える。これにより、素材表面1のセラミック塗料に対
する密着力を増大させることができ、かつセラミック塗
料本来の上記諸機能を有効に発揮させることができる塗
膜4をその素材表面1に形成することができるようにな
る。
る。この試験は、本実施の形態の塗装前処理方法で処理
された建築材料と、従来の塗装前処理方法で処理された
建築材料とにつき、無機系塗料(セラミック塗料)によ
り塗膜を施した場合の密着性を比較したものである。
いアルミニウム合金板及び鋼板であってJIS規格に適
合したものをそれぞれ10枚用意した。そのうちアルミ
ニウム合金板及び鋼板のそれぞれ5枚の試料には、本実
施の形態における塗装前処理方法としてショットブラス
トを施し、残りのそれぞれ5枚の試料には、従来の塗装
前処理方法としてアルミニウム合金板にはクロム酸処理
を、鋼板にはリン酸亜鉛処理をそれぞれ施した。処理の
施されたそれぞれの試料に対し、予め製作した色見本板
との色差が感じられない程度まで無機系塗料をスプレー
により塗装し、所定の温度で硬化させた後、室温で冷却
させた。その後、JISK5400で定められた塗膜に
関する以下の第1及び第2の試験を行った。 [第1試験] 碁盤目セロテープ(登録商標)法による
粘着性試験 要旨:試料片上の塗膜を貫通して、素地面に達する切り
傷を1mm方眼の碁盤目状に付け、この碁盤目の上に粘
着テープを貼り、剥がした後の塗膜の付着状態を目視に
より観察する試験。 [第2試験] 沸騰水中に1時間浸漬した後の碁盤目セ
ロテープ法による試験要旨:試料を沸騰水中に1時間浸
漬した後、上記碁盤目セロテープ法による粘着性試験を
行う試験。
す各表中、「100/100」は塗膜が完全に密着した状態を
意味し、「0/100」は塗膜が全く密着していない状態を
意味する。
ように、アルミニウム合金板及び鋼板の何れについて
も、本実施の形態の塗装前処理方法により完全な密着状
態が得られ、従来の塗装前処理方法では密着状態が全く
得られないことが分かる。即ち、本実施の形態の塗装前
処理を施した試料では、塗膜の密着性が良好で、沸騰水
による1時間の強制加熱を受けても受けなくても強制剥
離に対して塗膜が全く剥がれないことが分かる。これに
対し、従来の塗装前処理を施した試料では、塗膜の密着
性が極めて悪く、沸騰水による1時間の強制加熱を受け
ても受けなくても強制剥離に対して塗膜が全て剥がれて
しまうことが分かる。このことから、無機系塗料の密着
性について、本実施の形態の塗装前処理方法が従来の塗
装前処理方法に比べて顕著な優位性を持つことが証明さ
れた。
る。この試験は、粒径の異なる研磨剤を使用した噴射加
工方法による複数の塗装前処理につき、無機系塗料より
なる塗膜の密着性を比較したものである。
ミニウム合金板であってJIS規格に適合した板厚
「2.5mm」のものを試料として合計100枚用意し
た。そして、それら100枚の試料を20枚ずつの第1
群〜第5群の試料に分け、各群の試料毎にそれぞれ以下
のような塗装前処理を施した。
方法による塗装前処理 第3群:粒径10〜15μmの研磨剤を使用した噴射加
工法による塗装前処理 第4群:粒径20〜30μmの研磨剤を使用した噴射加
工法による塗装前処理 第5群:粒径35〜50μmの研磨剤を使用した噴射加
工法による塗装前処理
全てにつき、色見本板との色差が感じられない程度まで
無機系塗料の塗装を施し、所定の温度で強制乾燥させた
後、室温で冷却させた。その後、第1群〜第5群の各試
料を5枚ずつ4組に分けて、各組毎に以下の第1〜第4
の試験を行った。 [第1試験] JISK5400による碁盤目セロテー
プ法による粘着性試験要旨:上記第1の密着試験におけ
る第1試験と同様の試験。 [第2の試験] 沸騰水中に1時間浸漬した後の碁盤目
セロテープ法による試験 要旨:上記第1の密着試験における第2試験と同様の試
験。 [第3試験] 耐冷熱繰り返し性試験 要旨:試料を80℃で1時間加熱した後、−20℃で1
時間冷却する。これを1サイクルとして10サイクル繰
り返した後、第1試験と同様の碁盤目セロテープ法によ
り塗膜の付着状態を評価する試験。 [第4試験] 耐高湿性試験 要旨:試料を相対湿度95%、温度50℃の雰囲気中に
200時間放置した後、第1試験と同様の碁盤目セロテ
ープ法により塗膜の付着状態を評価する試験。
10μmの研磨剤を使用した噴射加工法による塗装前処
理、並びに、第3群の粒径10〜15μmの研磨剤を使
用した噴射加工法による塗装前処理により、完全な密着
状態が得られたことが分かる。これに対し、第4群の粒
径20〜30μmの研磨剤を使用した噴射加工法による
塗装前処理では、完全な密着状態が得られず、第1群の
従来の塗装前処理、並びに、第5群の粒径35〜50μ
mの研磨剤を使用した噴射加工法による塗装前処理で
は、密着状態が全く得られなかったことが分かる。この
ことから、第1試験では、粒径7〜15μmの研磨剤を
使用した噴射加工法による塗装前処理方法が無機系塗料
の密着性に対して有効であることが分かる。
2群及び第3群の塗装前処理により、完全な密着状態が
得られたことが分かる。これに対し、第4群の塗装前処
理では、完全な密着状態が得られず、第1群の従来の塗
装前処理、並びに、第5群の塗装前処理では、全面剥離
が生じたことが分かる。このことから、第2試験では、
粒径7〜15μmの研磨剤を使用した噴射加工法による
塗装前処理方法が無機系塗料の密着性に対して有効であ
ることが分かる。
2群及び第3群の塗装前処理により、完全な密着状態が
得られたことが分かる。これに対し、第4群の塗装前処
理では、密着状態が全く得られず、第1群の従来の塗装
前処理では、2サイクル終了後に全試料で全面剥離が生
じ、第5群の塗装前処理では、6サイクル終了後に全試
料で全面剥離が生じたことが分かる。このことから、第
3試験では、粒径7〜15μmの研磨剤を使用した噴射
加工法による塗装前処理方法が無機系塗料の密着性に対
して有効であることが分かる。
2群及び第3群の塗装前処理により、完全な密着状態が
得られたことが分かる。これに対し、第1群、第4群及
び第5群の塗装前処理では、密着状態が全く得られなか
ったことが分かる。このことから、第4試験では、粒径
7〜15μmの研磨剤を使用した噴射加工法による塗装
前処理方法が無機系塗料の密着性に対して有効であるこ
とが分かる。
らかなように、何れの試験においても、粒径7〜15μ
mの研磨剤を使用した噴射加工法による塗装前処理方法
が無機系塗料の密着性に対して有効であることが分か
る。ここで、粒径7〜15μmの研磨剤を使用した噴射
加工法による塗装前処理方法とは、本実施の形態の塗装
前処理方法に相当するものである。ここで、7μm未満
の研磨剤を使用した噴射加工法による塗装前処理につい
ての試験が行われていないのは、前述したように研磨剤
の粒子が7μmよりも小さくなると、素材表面の塗料に
対する密着面積やアンカー効果が少なくなるという経験
則から、7μm未満の粒径を除外することができるため
である。ここで、粒径20〜50μmの研磨剤を使用し
た噴射加工法により塗装前処理を施した場合に、塗膜に
完全な密着状態が得られないのは、素材表面に無作為に
作られた凹みが必要以上に大きく深いために塗膜が厚く
なってクラックが生じ、それが完全な密着状態になり得
なかったことによるものと考えられる。このことから、
粒径7〜15μmの研磨剤を使用した本実施の形態の塗
装前処理方法が無機系塗料の密着性に対して有効である
ことが証明されたと考えられる。
るものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲
で以下のように実施することもできる。
料を使用したが、セラミック塗料以外の無機系塗料を使
用してもよい。
用したが、曲折性の低い有機塗料を使用してもよい。
球状の粒子を高速で吹き付けるようにしたが、粒子は球
状以外の形状であってもよい。
素材表面に7〜15μmの粒子を高速で吹き付けること
により、その素材表面に7〜15μmの深さの凹みを無
作為に複数形成して前処理を施したので、汚染公害等の
要因となったり塗膜性能に悪影響を及ぼしたりするおそ
れのある化学薬品を一切使用することなく、塗料に対す
るアンカー効果と活性化効果を発揮させることにより、
塗料に対する密着力を増大させ、かつ塗料本来の諸機能
を有効に発揮させることができる素材表面を得ることが
できるという効果を発揮する。又、前処理が施された素
材表面に無機系塗料を塗布することにより、凹みを埋め
る7〜15μmの深さの塗料と、素材表面上に形成され
る15〜20μmの見かけの厚みの塗料とにより22〜
35μmの実質的な厚みを有する塗膜を形成するように
したので、素材表面に無機系塗料で塗膜を形成しても、
その塗膜にクラックが生じることを防止することがで
き、無機系塗料本来の色彩や外観が得られ建築材料の表
面を仕上げることができる。
求項1の発明の構成において、無機系塗料を無機質分9
6%以上を含むものとしたので、請求項1に記載の発明
の効果に加え、無機系塗料としての理想的な特徴である
耐候性、耐熱性及び耐摩耗性を全て兼ね備えたものとな
る。
求項1又は請求項2に記載の発明の塗装方法により塗装
された建築材料であることから、無機系塗料を含む塗料
の本来の諸機能を有効に発揮させることができる塗膜を
その素材表面に形成したものとすることができるという
効果を発揮する。
ある。
面図である。
面図である。
た状態を示す拡大断面図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 金属製の建築材料の素材表面に塗装を施
す塗装方法であって、 前記素材表面に7〜15μmの粒子を高速で吹き付ける
ことにより、その素材表面に7〜15μmの深さの凹み
を無作為に複数形成して塗料が密着し易くなる前処理を
施し、 前記前処理が施された素材表面にセラミック塗料を塗布
することにより、前記凹みを埋める7〜15μmの深さ
の塗料と、前記素材表面上に形成される15〜20μm
の見かけの厚みの塗料とにより22〜35μmの実質的
な厚みを有する塗膜を形成することにより、前記見かけ
の厚みにより前記塗膜にクラックが生じることを防止
し、前記実質的な厚みにより前記素材表面を完全に隠蔽
し、着色することを特徴とする建築材料の塗装方法。 - 【請求項2】 前記セラミック塗料は、無機質分96%
以上を含むものであることを特徴とする請求項1に記載
の建築材料の塗装方法。 - 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の塗装方法
により塗装されたことを特徴とする建築材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24494499A JP3388206B2 (ja) | 1999-08-31 | 1999-08-31 | 塗装方法及びその方法で塗装された建築材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24494499A JP3388206B2 (ja) | 1999-08-31 | 1999-08-31 | 塗装方法及びその方法で塗装された建築材料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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