JP2003342357A - 共重合ポリエステル樹脂および無延伸シート並びに延伸フィルム - Google Patents

共重合ポリエステル樹脂および無延伸シート並びに延伸フィルム

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JP2003342357A
JP2003342357A JP2002157381A JP2002157381A JP2003342357A JP 2003342357 A JP2003342357 A JP 2003342357A JP 2002157381 A JP2002157381 A JP 2002157381A JP 2002157381 A JP2002157381 A JP 2002157381A JP 2003342357 A JP2003342357 A JP 2003342357A
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copolyester resin
polyalkylene ether
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Koichi Tamura
浩一 田村
Hiroshi Kato
浩 加藤
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Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Polyester Film Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Polyester Film Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】柔軟性に優れると共に機械的特性や透明性に優
れた無延伸シート、耐熱性や耐薬品性に優れた延伸フィ
ルムを得ることが出来る共重合ポリエステル樹脂を提供
する。 【解決手段】50モル%以上がテレフタル酸であるジカ
ルボン酸成分(A)、50モル%以上がエチレングリコ
ールであるジオール成分(B)及びポリアルキレンエー
テルグリコール成分(C)を主成分とする共重合ポリエ
ステル樹脂であって、共重合ポリエステル樹脂中におけ
るポリアルキレンエーテルグリコール成分(C)の割合
が1〜50重量%であり、ミクロ相分離構造に基づくポ
リアルキレンエーテルグリコール部分の凝集相の平均分
散粒径が1μm以下である共重合ポリエステル樹脂。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、共重合ポリエステ
ル樹脂および無延伸シート並びに延伸フィルムに関す
る。本発明の共重合ポリエステル樹脂によれば、柔軟性
に優れると共に機械的特性や透明性に優れた無延伸シー
ト、これらの特性と共に更に耐熱性や耐薬品性に優れた
延伸フィルムを得ることが出来る。斯かる無延伸シート
又はフィルムは、工業用部品、工業製品、飲食品、医薬
品などを被覆、包装、保持、支持、保護するためのフィ
ルム、表示や密封シールのためのフィルム、カード類の
支持体または被覆材などとして有用である。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリエステル樹脂から成る無
延伸シートや延伸フィルムは、良好な機械的特性を利用
して種々の工業材料、被覆材、飲食品などの包装容器な
どとして広く使用されている。特に、ポリエチレンテレ
フタレート樹脂から成る無延伸シートや延伸フィルム
は、優れた透明性、衛生性などの面から注目され、広く
使用されている。
【0003】しかしながら、ポリエチレンテレフタレー
ト樹脂から成る無延伸シートや延伸フィルムは、柔軟性
に欠けるため、一定形状に成形した後は外力に対する変
形追従性を有することは出来ず、用途が限定されてい
る。
【0004】外力に対する変形追従性を有するポリエス
テル樹脂としては、従来より、ポリアルキレンエーテル
グリコール成分を共重合したポリブチレンテレフタレー
ト系樹脂が知られているが、当該樹脂は結晶性が高いた
めに透明度の高い成型品を得ることが困難であり、更に
は、延伸成形すること自体が困難である。
【0005】柔軟かつ延伸成形が可能なポリエステル樹
脂としては、ポリアルキレンエーテルグリコール成分を
共重合したポリエチレンテレフタレート系樹脂が提案さ
れている。例えば、特開昭50−139194号公報に
は白色度の優れた樹脂が提案され、特開昭51−383
92号公報には真珠様表面光沢を有する樹脂が提案され
ているが、これらは透明性を特徴とするものではない。
【0006】柔軟かつ透明性の高いポリエステル樹脂と
しては、ポリエーテル成分およびイソフタル酸を共重合
したポリエチレンテレフタレート系樹脂が提案されてい
る(特開平6−298918号公報参照)が、この樹脂
を使用した場合であっても、肉厚な無延伸シートや延伸
フィルムにおいては、常に良好な透明性を得るに至って
いないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであり、その目的は、柔軟性に優れる
と共に機械的特性や透明性に優れた無延伸シート、これ
らの特性と共に更に耐熱性や耐薬品性に優れた延伸フィ
ルムを得ることが出来る共重合ポリエステル樹脂を提供
することにある。また、本発明の他の目的は、上記の共
重合ポリエステル樹脂から成る無延伸シート及び延伸フ
ィルムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
を重ねた結果、所定割合のポリアルキレンエーテルグリ
コールを共重合してなる共重合ポリエステル樹脂におい
て、ミクロ相分離構造に基づくポリアルキレンエーテル
グリコール部分の凝集相の平均分散粒径をある値以下に
制御することにより、上記の目的を容易に達成し得ると
の知見を得、本発明の完成に到った。
【0009】すなわち、本発明の第1の要旨は、50モ
ル%以上がテレフタル酸であるジカルボン酸成分
(A)、50モル%以上がエチレングリコールであるジ
オール成分(B)及びポリアルキレンエーテルグリコー
ル成分(C)を主成分とする共重合ポリエステル樹脂で
あって、共重合ポリエステル樹脂中におけるポリアルキ
レンエーテルグリコール成分(C)の割合が1〜50重
量%であり、ミクロ相分離構造に基づくポリアルキレン
エーテルグリコール部分の凝集相の平均分散粒径が1μ
m以下であることを特徴とする共重合ポリエステル樹脂
に存する。
【0010】そして、本発明の第2の要旨は、上記の共
重合ポリエステル樹脂から成ることを特徴とする無延伸
シートに存し、第3の要旨は、上記の共重合ポリエステ
ル樹脂から成ることを特徴とする延伸フィルムに存す
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の共重合ポリエステル樹脂は、50モル%以上が
テレフタル酸であるジカルボン酸成分(A)、50モル
%以上がエチレングリコールであるジオール成分(B)
及びポリアルキレンエーテルグリコール成分(C)を主
成分とする。
【0012】テレフタル酸以外のジカルボン酸成分
(A)としては、例えば、イソフタル酸、オルトフタル
酸、フェニレンジオキシジ酢酸、4,4’−ジフェニル
ジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボ
ン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、
4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、1,5−
ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸などの芳香族ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサ
ンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸
などの脂環式ジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、アジ
ピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカル
ボン酸が挙げられる。これらの中では、イソフタル酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカ
ルボン酸の群から選択される1種以上が好適である。な
お、本発明において、ジカルボン酸成分は、原料の段階
では、例えば、炭素数1〜4程度のアルキルエステル等
のエステル形成性誘導体をも含むものとする。
【0013】テレフタル酸以外のジカルボン酸成分の割
合は、全ジカルボン酸成分の50モル%未満、好ましく
は40モル%以下、更に好ましくは30モル%以下であ
り、共重合する場合の下限は、通常1モル%以上、好ま
しくは5モル%以上である。テレフタル酸以外のジカル
ボン酸成分の共重合により、柔軟性や透明性が向上する
場合があるが、共重合量が前記範囲超過の場合は、得ら
れる共重合ポリエステル樹脂を無延伸シート又は延伸フ
ィルムとした場合に機械的特性や耐熱性が劣ることとな
る。
【0014】エチレングリコール以外のジオール成分
(B)(但し、ポリアルキレンエーテルグリコールは別
途に取り扱うために除外する)としては、例えば、1,
2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、
1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、1,10−デカンジオール、2,2−ジメチル−
1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール等の
脂肪族ジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノー
ル、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シ
クロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジ
メタノール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4
−シクロヘキサンジオール等の脂環式ジオール、4,
4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−
ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−
β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒド
ロキシエトキシフェニル)スルホン酸などの芳香族ジオ
ール等が挙げられる。これらの中では、1,4−ブタン
ジオール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキ
サンジメタノール、2,2−ジメチル−1,3−プロパ
ンジオールの群から選択される1種以上が好適である。
なお、本発明において、ジオール成分は、原料の段階で
はエステル形成性の誘導体をも含むものとする。
【0015】エチレングリコール以外のジオール成分の
割合は、全ジオール成分の50モル%未満、好ましくは
40モル%以下、更に好ましくは30モル%以下であ
り、共重合する場合の下限は、通常1モル%以上、好ま
しくは5モル%以上である。エチレングリコール以外の
ジオール成分の共重合により、柔軟性や透明性が向上す
る場合があるが、共重合量が前記範囲超過の場合は、得
られる共重合ポリエステル樹脂を無延伸シート又は延伸
フィルムとした場合に機械的特性が劣ることとなる。
【0016】なお、本発明においては、本発明の効果を
損なわない範囲で、更に、例えば、グリコール酸、p−
ヒドロキシ安息香酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息
香酸などのヒドロキシカルボン酸やアルコキシカルボン
酸、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ベンジルア
ルコール、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ベンゾイル
安息香酸などの単官能成分、トリカルバリル酸、ヘキサ
ントリカルボン酸、トリメリト酸、トリメシン酸、ピロ
メリト酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ナフタレ
ンテトラカルボン酸、1,2,6−ヘキサントリオー
ル、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロール
プロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソル
ビトール、ジペンタエリスリトール、ポリグリセロール
等の3官能以上の多官能成分が共重合されていてもよ
い。
【0017】ポリアルキレンエーテルグリコール成分
(C)としては、具体的には、例えば、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレ
ンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグ
リコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール、エ
チレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック又
はランダム共重合体などが挙げられる。これらの中で
は、ポリエチレングリコール又はポリテトラメチレンエ
ーテルグリコールが機械的特性および透明性の点で好ま
しく、特にポリテトラメチレンエーテルグリコールが好
ましい。上記のポリアルキレンエーテルグリコールは2
種以上組み合わせて使用することも出来る。
【0018】ポリアルキレンエーテルグリコール成分
(C)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィーによるポリスチレン換算の値として、その
下限は、通常300、好ましくは400、更に好ましく
は500であり、その上限は、通常1800、好ましく
は1500、更に好ましくは1200である。数平均分
子量が前記範囲未満での場合は、共重合ポリエステル樹
脂の耐熱性が劣る傾向となり、一方、前記範囲超過の場
合は、共重合ポリエステル樹脂の透明性が低下する傾向
となる。
【0019】ポリアルキレンエーテルグリコール成分
(C)は、数平均分子量の異なるものを複数併用するこ
とも出来る。複数併用する場合は、均一に混合した状態
での数平均分子量が前記範囲であればよい。
【0020】ポリアルキレンエーテルグリコール成分
(C)の使用割合は、共重合ポリエステル樹脂中におけ
る割合として1〜50重量%であるが、その下限は、好
ましくは3重量%、更に好ましくは5重量%であり、そ
の上限は、好ましくは40重量%、更に好ましくは30
重量%である。ポリアルキレンエーテルグリコール成分
(C)の共重合量が前記範囲未満の場合は、共重合ポリ
エステル樹脂の柔軟性が劣る傾向となり、一方、前記範
囲超過の場合は、共重合ポリエステル樹脂自体の製造が
困難となる。
【0021】更に、分子量5000以上のポリアルキレ
ンエーテルグリコール成分(C)は、共重合ポリエステ
ル樹脂中における割合として、通常10重量%以下、好
ましくは8重量%以下、更に好ましくは5重量%以下の
割合で共重合するのがよい。分子量5000以上のポリ
アルキレンエーテルグリコール成分(C)の共重合量が
前記範囲超過の場合は、共重合ポリエステル樹脂の透明
性が悪化する場合がある。
【0022】本発明の共重合ポリエステル樹脂は、ポリ
エステル樹脂の慣用の製造方法、すなわち、直接重合
法、エステル交換法などにより、回分式または連続式に
製造することが出来る。ここで、ポリアルキレンエーテ
ルグリコール成分(C)及び任意で使用するテレフタル
酸およびエチレングリコール以外の共重合成分は、重縮
合反応過程の任意の段階で添加することが出来る。更
に、本発明の共重合ポリエステル樹脂は、予め、ポリエ
ステル連鎖を構成するジカルボン酸およびジオールから
成る低重合度のオリゴマーを製造し、当該オリゴマーと
ポリアルキレンエーテルグリコール成分(C)とを重縮
合することにより得ることも出来、この様にして得られ
る共重合ポリエステル樹脂が好ましい。
【0023】エステル化反応またはエステル交換反応
は、通常200〜270℃、1×10 5〜4×105Pa
の条件で行われる。重縮合反応は、通常、最終的な温度
として、通常200〜300℃、好ましくは240〜2
80℃、更に好ましくは250〜270℃、最終的な減
圧度として、通常10〜1000Pa、好ましくは25
〜700Pa、更に好ましくは50〜500Paの条件
で行なうのがよい。斯かる条件の採用により、副反応や
劣化反応を抑制することが出来る。
【0024】重縮合反応により得られた樹脂は、通常、
重縮合反応槽の底部に設けられた抜き出し口からストラ
ンド状に抜き出し、水冷しながら若しくは水冷後、カッ
ターで切断されてペレット状とされる。更に、この重縮
合後のペレットを加熱処理して固相重縮合させることに
より、更に高重合度化させ得ると共に、反応副生物のア
セトアルデヒドや低分子オリゴマー等を低減化すること
も出来る。
【0025】前記の製造方法において、エステル化反応
は、必要に応じ、例えば、三酸化二アンチモンや、アン
チモン、チタン、マグネシウム、カルシウム等の有機酸
塩や有機金属化合物、金属酸化物などのエステル化触媒
の存在下で行なわれ、エステル交換反応は、必要に応
じ、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネ
シウム、カルシウム、マンガン、チタン、亜鉛などの有
機酸塩や有機金属化合物、金属酸酸化物などのエステル
交換触媒の存在下で行なわれる。また、重縮合反応は、
例えば、正燐酸、亜燐酸、次亜燐酸、ポリ燐酸、これら
のエステルや有機酸塩等の燐化合物の存在下、および、
例えば、三酸化二アンチモン、二酸化ゲルマニウム、四
酸化ゲルマニウム等の金属酸化物、或いは、アンチモ
ン、ゲルマニウム、亜鉛、チタン、コバルト等の有機酸
塩や有機金属化合物などの重縮合触媒の存在下で行なわ
れる。重縮合触媒としては、特に、テトラブトキシチタ
ネート、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムの群か
ら選択される1種以上が好適に使用される。更に、重縮
合過程での消泡を促進するため、シリコーンオイル等の
消泡剤を添加することが好ましい。
【0026】共重合ポリエステル樹脂中のポリアルキレ
ンエーテルグリコール連鎖の数平均分子量は、基本的に
は原料として使用した時点でのポリアルキレンエーテル
グリコール成分(C)の数平均分子量を保持している
が、その確認は、例えば、共重合ポリエステル樹脂をア
ルコール分解、または、必要に応じ酸性またはアルカリ
性とした状態で加水分解した後、前記のゲルパーミエー
ションクロマトグラフィーで測定する方法で行なうこと
が出来る。
【0027】本発明の共重合ポリエステル樹脂の固有粘
度(フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン
(重量比=1/1)の混合溶媒中で30℃で測定した
値)は、通常0.4〜1.5dl/g、好ましくは0.
5〜1.2dl/g、更に好ましくは0.6〜1.0d
l/gである。固有粘度が前記範囲未満の場合は、共重
合ポリエステル樹脂の機械的特性が劣る傾向となり、一
方、前記範囲超過の場合は、共重合ポリエステル樹脂の
成形が困難となる。
【0028】本発明の共重合ポリエステル樹脂は、ミク
ロ相分離構造に基づくポリアルキレンエーテルグリコー
ル部分の凝集相の平均分散粒径が1μm以下であること
を特徴とする。すなわち、本発明の共重合ポリエステル
樹脂は、前述のジカルボン酸成分(A)とジオール成分
(B)から成るポリエステル連鎖とポリアルキレンエー
テルグリコール部分とから形成され、ポリアルキレンエ
ーテルグリコール部分のブロックが上記のポリエステル
連鎖に帰属するマトリックス相中に分散して島状の凝集
相を形成している。因に、斯かるミクロ相分離構造は、
ブロック共重合体やグラフト共重合体に形成され、当業
者にとっては周知である。
【0029】そして、本発明の共重合ポリエステル樹脂
は、ポリアルキレンエーテルグリコール部分の凝集相の
平均分散粒径が1μm以下であることにより透明度が高
いとという特性を有する。上記の凝集相の平均分散粒径
は、好ましくは0.5μm以下、更に好ましくは0.3
μm以下、特に好ましくはである。そして、上記の凝集
相の平均分散粒径が小さいほど透明性が良好となるが、
0.02μm以下では機械的強度が劣る場合がある。
【0030】また、ポリアルキレンエーテルグリコール
部分の凝集相の最大粒径は、通常5μm以下、好ましく
は2μm以下、更に好ましくは1μm以下、特に好まし
くは0.5μm以下とされる。凝集相の最大粒径が前記
範囲超過の場合は、透明度の高い成型品を得ることが困
難となる。
【0031】上記の様な凝集相を示す本発明の共重合ポ
リエステル樹脂は、ポリエーテルの含有率の他、好まし
くは、ポリアルキレンエーテルグリコール成分(C)の
数平均分子量を前記の様に制御し、更に好ましくは、分
子量が5000以上のポリアルキレンエーテルグリコー
ル成分(C)の割合を前記の様に制御することにより、
製造することが出来る。
【0032】ポリアルキレンエーテルグリコール部分の
凝集相の平均分散粒径の測定は、例えば、ミクロトー
ム、ウルトラミクロトーム等により、共重合ポリエステ
ル樹脂を切り出して平滑薄膜切片を作成し、これを透過
型電子顕微鏡で観察することにより測定することが出来
る。この際、例えば、イオンエッチング等によって平滑
薄膜切片を処理した後に観察するならば、相のコントラ
ストが良好となる場合がある。上記の凝集相の分散形状
は、必ずしも球状ではないため、前記の平均粒径は、平
滑薄膜切片における凝集相の面積を円形として換算した
場合の直径を意味する。また、凝集相が微少なため透過
型電子顕微鏡での観察が困難な場合は、走査型電子顕微
鏡、原子間力顕微鏡、X線回折などで確認することも出
来る。そして、成形方法によっては成形品における凝集
相の分散形状に著しい異方性が生じる場合があるが、斯
かる場合は、互いに直行する3方向での平均粒径を更に
平均した値を採用する。
【0033】本発明の共重合ポリエステル樹脂は、延伸
フィルム等とした際に、耐ブロッキング性、易滑性など
を付与できることから、無機粒子および/または有機粒
子を含有しているのが好ましい。粒子の含有量は、組成
物全体に対し、通常0.005〜1重量%、好ましくは
0.01〜0.6重量%、更に好ましくは0.02〜
0.5重量%である。
【0034】上記の無機粒子としては、例えば、シリ
カ、アルミナ、チタニア、カオリン、クレー、炭酸カル
シウム、燐酸カルシウム、弗化リチウム、カーボンブラ
ックの他、ポリエステル重合時のアルカリ金属、アルカ
リ土類金属、燐化合物などの触媒などに起因する析出物
が挙げられ、有機粒子としては、例えば、各種架橋ポリ
マー等が挙げられる。
【0035】粒子の平均粒子径は、通常0.001〜6
μm、好ましく、0.005〜4μm、更に好ましくは
0.01〜3μmである。なお、ここで平均粒子径と
は、レーザー回折法、動的光散乱法などの電磁波散乱
法、遠心沈降法などの方法で測定した50%体積平均粒
子径(d50)を意味するが、測定方法によって差異が
生じる場合は、レーザー回折法による値を使用する。
【0036】本発明の共重合ポリエステル樹脂に上記の
粒子を含有させるには、通常、共重合ポリエステル樹脂
の重縮合過程で添加することによるが、触媒などに起因
する析出物以外の粒子については、共重合ポリエステル
樹脂の成形過程で添加することによってもよい。
【0037】本発明の共重合ポリエステル樹脂は、本発
明の効果を損なわない範囲で、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、それらの無水マレイン酸変性物、アイオノマー
等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ
ーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂などの他の熱可
塑性樹脂や熱可塑性エラストマー、ポリエステル樹脂に
共重合されないポリアルキレンエーテルグリコール等を
含有していてもよい。
【0038】更に、本発明の共重合ポリエステル樹脂
は、本発明の効果を損なわない範囲で、ヒンダードフェ
ノール系、亜燐酸エステル系、チオエーテル系などの酸
化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、
ベンゾエート系、ヒンダードアミン系、シアノアクリレ
ート系などの光安定剤、無機系および有機系の結晶核
剤、分子量調整剤、耐加水分解剤、帯電防止剤、滑剤、
離型剤、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、発泡剤、着色剤、
分散助剤などの添加材、ガラス繊維、カーボンファイバ
ー、マイカ、チタン酸カリファイバー等の強化材を含有
していてもよい。
【0039】本発明の共重合ポリエステル樹脂に上記の
各種の任意成分を含有させるには、共重合ポリエステル
樹脂の重縮合過程で添加することによってもよいが、共
重合ポリエステル樹脂の成形過程で添加することによっ
てもよい。
【0040】本発明の共重合ポリエステル樹脂は、熱可
塑性樹脂の慣用の成型方法によって各種の成形体とする
ことが出来、例えば、押出成形による無延伸シートや延
伸フィルム、或いは、それらを他材料との積層構造とし
た成形体、若しくは、無延伸シートを真空成形、圧空成
形などの熱成形に付した成形体、又は、射出成形、中空
成形、圧縮成形などによる各種成形体として使用され
る。
【0041】本発明の共重合ポリエステル樹脂を無延伸
シートに成形する場合は、通常、Tダイを備えた押出成
型機で平板状に溶融押出し、冷却ロール表面に、静電密
着法(ピニング法)又はキャスティングロール法によっ
て密着させることにより、冷却、固化させて得ることが
出来る。溶融押出しの際の樹脂温度は、通常180〜2
80℃、好ましくは200〜250℃、冷却ロール表面
の温度は、通常0〜60℃、好ましくは10〜40℃で
ある。更には、Tダイの代わりに環状ダイを使用して押
出した成形体を切り開いて無延伸シートとすることも出
来る。
【0042】本発明の共重合ポリエステル樹脂から成る
無延伸シートの厚さは、通常0.05〜10mm、好ま
しくは0.1〜2mm、更に好ましくは0.2〜1mm
である。無延伸シートの厚さが上記範囲未満の場合は、
機械的強度が劣る傾向となり、上記範囲超過の場合は、
透明性が不十分な傾向となる。本発明の共重合ポリエス
テル樹脂を他の樹脂層との積層構造体における1層とし
て使用する場合も上記の厚さにするのがよい。
【0043】本発明の共重合ポリエステル樹脂から成る
無延伸シートの厚さ1mmでのヘーズ(JIS K71
05に準拠して測定した値)は、通常60%以下、好ま
しくは50%以下、更に好ましくは40%以下、特に好
ましくは25%以下である。無延伸シートのヘーズが前
記範囲にある場合、包装容器やラベル材などに使用した
際、透明性が良好であると共に、意匠性にも優れる傾向
となる。厚さが1mmでない場合のヘーズは1mmでの
値に換算して判断する。
【0044】本発明の共重合ポリエステル樹脂を一軸延
伸フィルムに成形する場合は、通常、前記と同様に無延
伸シートを得た後、これを、通常20〜100℃、好ま
しくは30〜70℃に再加熱し、延伸ロールによって押
出方向に、通常1.2〜6倍、好ましくは2〜5倍の延
伸を行う方法が採られる。また、テンター等の延伸装置
によって押出方向と直交する方向に一軸延伸して得るこ
とも出来る。
【0045】本発明の共重合ポリエステル樹脂を二軸延
伸フィルムに成形する場合は、通常、前記の延伸ロール
による一軸延伸に引き続き、テンター等の延伸装置によ
り、これと直交する方向に、通常30〜110℃、好ま
しくは40〜80℃の延伸温度で、通常1.2〜5倍、
好ましくは2〜4倍の延伸倍率で延伸を行う逐次延伸方
法が採られる。また、異なる二方向への同時延伸によっ
て二軸延伸フィルムを得ることも出来る。更には、環状
ダイで円筒状に押出した成形体を引き続き延伸すること
により、一軸または二軸延伸処理を施す方法によっても
よい。この際、延伸方法として、マンドレル等で物理的
に延伸することも出来るが、円筒内部を気体で加圧する
ことにより延伸することも出来る。
【0046】前記の様な一軸または二軸の延伸工程を得
たフィルムは、そのまま冷却することにより熱収縮性フ
ィルムとして使用することが出来るが、更には、一般
に、延伸工程の最終段階において、通常120〜220
℃、好ましくは160〜210℃、更に好ましくは18
0〜200℃の熱処理を行うことにより、加熱収縮の小
さなフィルムを得ることが出来る。
【0047】本発明の共重合ポリエステル樹脂から成る
一軸または二軸延伸フィルムの厚さは、用途により異な
るが、通常0.5〜1500μm、好ましくは1〜75
0μm、更に好ましくは2〜500μm、特に好ましく
は10〜200μmである。延伸フィルムの厚さが上記
範囲未満の場合は機械的強度が劣る傾向となり、前記範
囲超過の場合は成形が困難となる傾向となる。
【0048】また、本発明の共重合ポリエステル樹脂か
ら成る延伸フィルムの厚さ25μmでのヘーズ(JIS
K7105に準拠して測定した値)は、通常25%以
下、好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以
下、特に好ましくは8%以下である。延伸フィルムのヘ
ーズが上記範囲にある場合、包装容器やラベル材などに
使用した際、透明性が良好であると共に、意匠性にも優
れる傾向となる。厚さが25μmでない場合のヘーズは
25μmに換算して判断する。
【0049】本発明の共重合ポリエステル樹脂から成る
成形体(無延伸シート、延伸フィルム等)の製造におい
ては、前述の共重合ポリエステル樹脂をシート、フィル
ム、繊維、成形容器、ボトル等の種々の成形品に成形加
工する過程で発生した端材などのリサイクル品を原料と
して使用することが出来る。これらは、粉砕物などをそ
のまま原料として使用する以外に、一度溶融してペレッ
ト形状などにして使用することも出来る。
【0050】本発明の共重合ポリエステル樹脂から成る
成形体は、柔軟性に優れると共に機械的特性や透明性に
優れるため、特に、工業用部品、工業製品、飲食品、医
薬品などを被覆、包装、保持、支持、保護するためのフ
ィルム、表示や密封シールのためのフィルム、カード類
の支持体または被覆材などとして好適に使用される。
【0051】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。なお、以下の諸例で採
用した物性測定方法は次の通りである。
【0052】(1)固有粘度:フェノール/1,1,
2,2−テトラクロロエタン(重量比=50/50)を
溶媒とし、ウベローデ型粘度計を使用し30℃で測定し
た。
【0053】(2)共重合量:d化トリフルオロ酢酸を
溶媒とし、1H−NMR(JEOL社製「GSX400
型」)によって測定した。ポリアルキレンエーテルグリ
コール量は、共重合ポリエステル樹脂中の重量%とし、
他の共重合成分に関しては、全ジカルボン酸または全ジ
オール(ポリアルキレンエーテルグリコールを除く)に
対するモル%とした。
【0054】(3)ポリアルキレンエーテルグリコール
部分の凝集相の平均分散粒径:ウルトラミクロトームで
共重合ポリエステル樹脂を切り出して平滑薄膜切片を作
成し、これをイオンエッチング処理した後、透過型電子
顕微鏡で観察した。平均分散粒径は、倍率2万倍で写真
撮影し、各分散相の面積を円形として換算した場合の直
径を平均して算出した。10視野を観察し、各視野の平
均値として算出した。
【0055】(4)ポリアルキレンエーテルグリコール
部分の凝集相の最大分散粒径:ウルトラミクロトームで
共重合ポリエステル樹脂を切り出して平滑薄膜切片を作
成し、これをイオンエッチング処理した後、透過型電子
顕微鏡で観察した。最大分散粒径は、倍率2万倍で写真
撮影し、各分散相の面積を円形として換算した場合の直
径の最大値とした。10視野を観察し、各視野での最大
値の平均として算出した。
【0056】(5)ヘーズ:JIS K7105に準拠
してヘーズを測定した。無延伸シートの場合は、厚さ1
mmのシート1枚でのヘーズ値、延伸フィルムの場合
は、厚さ25μmのフィルム1枚でのヘーズ値を測定し
た。
【0057】実施例1 重縮合槽にエチレングリコール25.8kg、ジメチル
テレフタル酸40.4kgを投入し、150℃で60分
間撹拌して均一状態とし、これに酢酸マグネシウム4.
4gを添加し、窒素下、常圧にて、180分間に240
℃まで昇温しつつ撹拌した。途中、副生するメタノール
を、蒸留塔を通して系外へ留去した。240℃に到達し
た時点で、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数
平均分子量1000)10.0kgを投入し、更に、5
分間隔で、平均粒径2.4μmの無定形シリカ(富士シ
リシア社製「サイリシア320」)を50g、テトラブ
トキシチタネートを3.2g、正リン酸を1.3g、酢
酸コバルトを10.0g添加した。添加して10分後に
減圧を開始し、70分後に400Paとなるよう徐々に
減圧した。併せて、減圧開始10分後より昇温し、80
分後に270℃となるよう昇温した。減圧を開始して
2.0時間後、共重合ポリエステル樹脂を重縮合槽より
ストランド状に抜き出し、これを冷却後、ペレタイザー
でカットすることによりペレット形状で回収した。
【0058】得られた共重合ポリエステル樹脂の固有粘
度は0.79、ポリテトラメチレンエーテルグリコール
の共重合量は19.3重量%、ポリテトラメチレンエー
テルグリコール部分の凝集相の平均分散粒径は0.25
μm、最大分散粒径は0.35μmであった。
【0059】得られた共重合ポリエステル樹脂ペレット
を、Tダイを備えた2軸スクリュー型の押出成型機(バ
レル直径30mm)に供給して、温度250℃、200
Paのベント減圧下で溶融押出した後、静電密着装置を
備え、表面温度20℃に設定された冷却ロールに密着さ
せて固化することにより、厚さ1mmの無延伸シートを
得た。また、上記と同様の操作により、厚さ250μm
の無延伸シートを得た後、連続的に、シート表面温度6
0℃で押出方向に約3.5倍のロール延伸を施し、更
に、シート表面温度75℃で押出方向に対して垂直方向
に約3.5倍のテンター延伸を施し、更に、200℃の
熱処理を行うことにより、厚さ25μmの延伸フィルム
を得た。得られた無延伸シート及び二軸延伸フィルは、
何れも、柔軟かつ強靱であった。無延伸シート(厚さ1
mm)及び二軸延伸フィルム(厚さ25μm)について
ヘーズを測定した結果を表4に示した。
【0060】実施例2〜7及び比較例1〜2 実施例1において、表2及び表3に示す原料を使用した
以外は実施例1と同様の方法で重縮合することにより、
共重合ポリエステル樹脂を得た。なお、実施例1で使用
していない共重合成分に関しては、エチレングリコール
及びジメチルテレフタル酸と同時期に添加した。比較例
2におけるPTMG−2及びPTMG−3の混合物の数
平均分子量は2800であった。
【0061】上記で得られた共重合ポリエステル樹脂の
固有粘度、各共重合成分の共重合量、ポリテトラメチレ
ンエーテルグリコールの共重合量、ポリテトラメチレン
エーテルグリコール部分の凝集相の平均分散粒径および
最大分散粒径を表2に示した。
【0062】更に、表2及び表3に示す延伸温度とした
以外は実施例1と同様の方法により、上記で得られた共
重合ポリエステル樹脂を成形し厚さ1mmの無延伸シー
トおよび厚さ25μmの二軸延伸フィルムを得た。無延
伸シート及び二軸延伸フィルムについて、実施例1と同
様の方法でヘーズを測定した結果を表4及び表5に示し
た。
【0063】実施例8 実施例1において、平均粒径2.4μmの無定形シリカ
(富士シリシア社製「サイリシア320」)を添加しな
かった以外は、実施例1と同様の方法で重縮合すること
により、共重合ポリエステル樹脂を得、実施例1と同様
に成形、評価した。
【0064】実施例9 実施例2において、平均粒径2.4μmの無定形シリカ
(富士シリシア社製「サイリシア320」)を添加しな
かった以外は、実施例2と同様の方法で重縮合すること
により、共重合ポリエステル樹脂を得、実施例1と同様
に成形、評価した。
【0065】実施例10 テレフタル酸34.6kgとエチレングリコール15.
5kgとでスラリーを調製し、これを、予め、1.2k
gのビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを2
50℃の温度に保持したエステル化槽に4時間かけて供
給した。供給終了後、1時間エステル化反応を進行さ
せ、エステル化反応率95%にて反応物を重縮合槽に移
した後、重縮合槽にポリテトラメチレンエーテルグリコ
ール(数平均分子量1000)10kgを投入し、更
に、5分間隔で、平均粒径2.4μmの無定形シリカ
(富士シリシア社製「サイリシア320」)を50g、
テトラブトキシチタネートを3.2g、正リン酸を1.
3g、酢酸コバルトを10.0gを各々のエチレングリ
コール溶液またはスラリーにて添加した。添加して10
分後に減圧を開始し、70分後に400Paとなるよう
徐々に減圧した。併せて、減圧開始10分後より昇温
し、80分後に270℃となるよう昇温した。減圧を開
始して2.0時間後、共重合ポリエステル樹脂を重縮合
槽よりストランド状に抜き出し、これを冷却後、ペレタ
イザーでカットすることによりペレット形状で回収し
た。得られた共重合ポリエステル樹脂を実施例1と同様
に評価した。結果を表5に示す。
【0066】比較例3 重縮合槽に1,4−ブタンジオール37.5kg、ジメ
チルテレフタル酸40.4kgを投入し、150℃で6
0分間撹拌して均一状態とし、これにテトラブトキシチ
タネート35.2gを添加し、窒素下、常圧にて、90
分間に210℃まで昇温しつつ撹拌した。途中、副生す
るメタノールを、蒸留塔を通して系外へ留去した。21
0℃に到達した時点で、ポリテトラメチレンエーテルグ
リコール(数平均分子量1000)10.0kgを投入
し、更に、5分後に、平均粒径2.4μmの無定形シリ
カ(富士シリシア社製「サイリシア320」)を50g
添加した。添加して10分後に減圧を開始し、70分後
に400Paとなるよう徐々に減圧した。併せて、減圧
開始10分後より昇温し、80分後に245℃となるよ
う昇温した。減圧を開始して3.5時間後、共重合ポリ
エステル樹脂を重縮合槽よりストランド状に抜き出し、
これを冷却後、ペレタイザーでカットすることによりペ
レット形状で回収した。
【0067】共重合ポリエステル樹脂の固有粘度、ポリ
テトラメチレンエーテルグリコールの共重合量を表5に
示した。実施例1と同様の方法でポリアルキレンエーテ
ルグリコール部分の凝集相の平均分散粒径および最大分
散粒径の測定を試みたたが、凝集相は確認できなかっ
た。
【0068】上記で得られた共重合ポリエステル樹脂
を、温度230℃にて、表2に示す延伸温度とした以外
は、実施例1と同様の方法で成形することにより、厚さ
1mmの無延伸シートを得た。一方、二軸延伸フィルム
は、延伸過程でフィルムが破断したため作成することが
出来なかった。無延伸シートについて、実施例1と同様
の方法でヘーズを測定した結果を表5に示した。
【0069】比較例4 実施例1において、ジメチルテレフタル酸20.2k
g、エチレングリコール12.9kg、ポリテトラメチ
レンエーテルグリコール(数平均分子量1000)3
0.0kgを原料とした以外は、実施例1と同様の方法
で重縮合を行ったが、重合度が上がらず、抜き出し可能
な共重合ポリエステル樹脂を得ることが出来なかった。
【0070】後述の表2〜表5中に使用した略号の内容
は次の表1に示す通りである。表1中の数平均分子量は
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリス
チレン換算値である。また、PTMG−1及びPTMG
−3の分子量分布を図1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
【表5】
【0076】
【発明の効果】本発明によれば、柔軟性に優れると共に
機械的特性や透明性に優れた無延伸シート、これらの特
性と共に更に耐熱性や耐薬品性に優れた延伸フィルムを
得ることが出来る共重合ポリエステル樹脂、および、そ
れから成る無延伸シートと延伸フィルムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で使用したPTMG−1及びPTMG−
3の分子量分布を示すチャートである。
フロントページの続き (72)発明者 加藤 浩 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA44 AA76 AF02 AF26 AF30Y AF45 AH04 AH05 BA01 BB03 BB05 BB06 BB07 BB09 BC01 BC12 4J029 AA03 AB01 AC02 AD10 AE03 BA02 BA03 BA04 BA05 BA07 BA08 BA10 BB10A BB13A BD03A BD07A BF09 BF25 BF28 BH02 CA02 CA03 CA04 CA06 CB04A CB05A CB06A CB09A CC05A CD03 CF08 CF13 DB13 EA03 EB05A EB06A FA02 FA06 FB02 FB04 FB07 FB11 FC03 FC04 FC05 FC08 FC12 FC35 FC36 HA01 HB01 JA023 JA063 JA123 JA263 JA283 JA293 JE00 JE182

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 50モル%以上がテレフタル酸であるジ
    カルボン酸成分(A)、50モル%以上がエチレングリ
    コールであるジオール成分(B)及びポリアルキレンエ
    ーテルグリコール成分(C)を主成分とする共重合ポリ
    エステル樹脂であって、共重合ポリエステル樹脂中にお
    けるポリアルキレンエーテルグリコール成分(C)の割
    合が1〜50重量%であり、ミクロ相分離構造に基づく
    ポリアルキレンエーテルグリコール部分の凝集相の平均
    分散粒径が1μm以下であることを特徴とする共重合ポ
    リエステル樹脂。
  2. 【請求項2】 イソフタル酸、ナフタレンジカルボン
    酸、シクロヘキサンジカルボン酸の群から選択される1
    種以上がジカルボン酸中に50モル%未満の割合で共重
    合されている請求項1に記載の共重合ポリエステル樹
    脂。
  3. 【請求項3】 1,4−ブタンジオール、ジエチレング
    リコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ジメ
    チル−1,3−プロパンジオールの群から選択される1
    種以上がジオール中に50モル%未満の割合で共重合さ
    れている請求項1又は2に記載の共重合ポリエステル樹
    脂。
  4. 【請求項4】 ポリアルキレンエーテルグリコールがポ
    リテトラメチレンエーテルグリコールである請求項1〜
    3の何れかに記載の共重合ポリエステル樹脂。
  5. 【請求項5】 ポリアルキレンエーテルグリコールの数
    平均分子量が300〜1800である請求項1〜4の何
    れかに記載の共重合ポリエステル樹脂。
  6. 【請求項6】 分子量5000以上のポリアルキレンエ
    ーテルグリコールが共重合ポリエステル中に10重量%
    以下の割合で共重合されている請求項1〜5の何れかに
    記載の共重合ポリエステル樹脂。
  7. 【請求項7】 ポリアルキレンエーテルグリコール部分
    の凝集相の平均分散粒径が0.5μm以下である請求項
    1〜6の何れかに記載の共重合ポリエステル樹脂。
  8. 【請求項8】 ポリアルキレンエーテルグリコール部分
    の凝集相の最大分散粒径が5μm以下である請求項1〜
    7の何れかに記載の共重合ポリエステル樹脂。
  9. 【請求項9】平均粒径が0.001〜6μmの無機粒子
    および/または有機粒子を0.005〜1重量%含有し
    ている請求項1〜8の何れかに記載の共重合ポリエステ
    ル樹脂。
  10. 【請求項10】請求項1〜9の何れかに記載の共重合ポ
    リエステル樹脂から成ることを特徴とする無延伸シー
    ト。
  11. 【請求項11】厚さ1mmでのヘーズが60%以下であ
    る請求項10に記載の無延伸シート。
  12. 【請求項12】請求項1〜9の何れかに記載の共重合ポ
    リエステル樹脂から成ることを特徴とする延伸フィル
    ム。
  13. 【請求項13】厚さ25μmでのヘーズが25%以下で
    ある請求項12に記載の延伸フィルム。
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