JP2003341332A - 自動車の減衰力可変式サスペンション装置 - Google Patents

自動車の減衰力可変式サスペンション装置

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JP2003341332A
JP2003341332A JP2002154963A JP2002154963A JP2003341332A JP 2003341332 A JP2003341332 A JP 2003341332A JP 2002154963 A JP2002154963 A JP 2002154963A JP 2002154963 A JP2002154963 A JP 2002154963A JP 2003341332 A JP2003341332 A JP 2003341332A
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damping force
orifice
damper
piston rod
adjusting valve
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JP2002154963A
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Ryoji Toda
良二 戸田
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Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動車の前輪2を支持する減衰力可変式のサ
スペンション装置3において、簡単な構造でコストの増
加を招くことなく、良好な乗り心地を確保しながら様々
な走行状態で十分に高い操縦安定性を得る。 【解決手段】 ストラットダンパー7のピストンロッド
13を車体にボールベアリング20を介して支持する一
方、ダンパー本体11をホイルサポート5に固定する。
ピストン34に伸び側の減衰力を発生させる第1オリフ
ィス37を形成する。ピストンロッド13を軸線方向に
貫通するコントロールロッド26を設け、該コントロー
ルロッド26の上端部をホイルエプロン8に固定し、下
端部に第1オリフィス37の絞り量を可変とする減衰力
調整バルブ25を固定する。減衰力調整バルブ25に
は、前輪2が所定舵角となったときに第1オリフィス3
7の絞り量を増加させるスリット25a,25bを形成
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の操舵輪を
支持するサスペンション装置に関し、特に、ダンパーの
減衰力を変化させる構造の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車のサスペンション装置
においては、高い操縦安定性を得るためにダンパーの減
衰力を伸び側及び縮み側の両方で比較的高く設定するこ
とが行われている。すなわち、ダンパーの縮み側の減衰
力を高めることで旋回時の外輪のストローク速度を遅く
するとともに、そのときの内輪のストローク速度が外輪
のストローク速度とバランスするように伸び側の減衰力
も高める。
【0003】一方で、そのようにダンパーの減衰力が高
いと上下振動の吸収性が悪く乗り心地の悪化は避けられ
ない。そこで、例えば、特開平10−217732号公
報に開示されるように、自動車の走行状態に応じてダン
パーの減衰力を変化させるようにしたサスペンション装
置がある。このものでは、車体に加速度センサや舵角セ
ンサ等を配設し、該各センサからの信号を制御ユニット
で演算処理し、その結果に基づいてダンパーの減衰力調
整用のアクチュエータを作動させるようにしており、例
えば直進時に減衰力を比較的低くして乗り心地を良好に
し、旋回時には減衰力を比較的高くして高い操縦安定性
を得ることができる。
【0004】ところで、前記従来例(特開平10−21
7732号)のサスペンション装置では、良好な乗り心
地と高い操縦安定性とを両立させるためにセンサやアク
チュエータが必要となるのでコストが大幅に増加し、搭
載できる車両は限定される。従って、そのようなサスペ
ンション装置が搭載されない車両では、まず、狙いとす
る操縦安定性を確保するためにダンパーの伸び側及び縮
み側の減衰力を前記したように比較的高めに設定し、そ
の状態から伸び側の減衰力のみを低くして上下振動の吸
収性を確保するようにしている。すなわち、操縦安定性
に関しては縮み側の減衰力を比較的高めに設定しておく
ことで、旋回時の外輪のストローク速度を規制して効果
的に略狙いとする性能を得ることができる一方、乗り心
地に関してはダンパーの伸び側及び縮み側の一方の減衰
力を低くすることで上下振動の吸収性を高めることがで
きるので、伸び側の減衰力のみを前記操縦安定性により
決定した減衰力よりも低くするようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、そのよ
うに操縦安定性により決定した減衰力を伸び側のみ低く
すると、前記した旋回時の外輪のストローク速度と内輪
のストローク速度とのバランスが崩れてしまい、スラロ
ーム走行のように車両の旋回方向が急に変わるような場
合では車両の挙動が不安定になる。つまり、様々な走行
状態において十分に高い操縦安定性を得ることができな
い。
【0006】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、狙いとする操縦安定性
を確保するために設定したダンパーの伸び側及び縮み側
の減衰力のうち、伸び側の減衰力のみを低めにして良好
な乗り心地を得るようにする場合に、操舵輪を支持する
ストラット式サスペンションでは操舵時にダンパーが車
体に対して変位することに着目して、簡単な構造でコス
トの増加を招くことなく、様々な走行状態において十分
に高い操縦安定性を得ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の解決手段では、ピストンロッドを貫通して
車体に固定されたコントロールロッドを設け、そのピス
トンロッドとコントロールロッドとの相対変位により伸
び側の減衰力のみを変化させるようにした。
【0008】具体的には、請求項1の発明では、減衰力
可変式のストラットダンパーを備え、該ストラットダン
パーのピストンロッドの上端側を車体に支持し、ダンパ
ー本体を操舵輪のホイルサポートに固定した自動車の減
衰力可変式サスペンション装置を前提とする。そして、
前記ピストンロッドの上端側を軸受を介して車体に回転
可能に支持し、前記ピストンロッドを軸線方向に貫通し
て上端側が車体に回転不能に固定されたコントロールロ
ッドを設け、該コントロールロッドには、前記操舵輪の
舵角が所定舵角以上となったときに前記ストラットダン
パーの伸び側の減衰力のみを変化させる減衰力調整バル
ブを設ける構成とする。
【0009】この構成によれば、操舵輪が操舵されると
ストラットダンパーのピストンロッドが車体に固定され
たコントロールロッドに対して変位する。このときの操
舵輪の舵角が所定舵角以上となるとコントロールロッド
に設けられた減衰力調整バルブにより伸び側の減衰力の
みが変化する。
【0010】このことで、操縦安定性を確保するために
ダンパーの縮み側の減衰力を比較的高めに設定する一
方、伸び側の減衰力は比較的低めに設定することで良好
な乗り心地を得るようにする場合に、アクチュエータ等
を用いることなく、即ちコストの増加を招くことなく車
両の旋回時に伸び側の減衰力のみを高くすることがで
き、これにより旋回時の左右両輪のストローク速度をバ
ランスさせて十分に高い操縦安定性を得ることができ
る。
【0011】請求項2の発明では、請求項1の発明にお
いて、減衰力調整バルブを、略円盤状に形成してピスト
ンのオリフィスの開口に近接して配置するとともに、コ
ントロールロッドの下端側に固定し、この減衰力調整バ
ルブには、オリフィスの開口面積を可変とするスリット
を形成するものとする。このことで、操舵輪が操舵され
ると、減衰力調整バルブとピストンとが相対回動してピ
ストンのオリフィスが減衰力調整バルブにより絞られる
ので、簡単な構造で減衰力を可変とすることができる。
【0012】請求項3の発明では、請求項1または2の
いずれかの発明において、減衰力調整バルブを、操舵輪
の舵角に応じて減衰力が段階的に変化するように構成す
るものとする。このことで、自動車の走行状態に対応し
た減衰力を得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。
【0014】図1は、本発明に係る減衰力可変式サスペ
ンション装置を乗用車のフロントサスペンションに適用
した実施形態を示す。この乗用車の車体前部の下端には
サスペンションクロスメンバ1が取り付けられており、
このサスペンションクロスメンバ1の左右両側(車幅方
向両側)には、それぞれ左右の前輪2を支持するストラ
ット式のサスペンション装置3が配設されている。尚、
このストラット式サスペンション装置3は左右ともに略
同じ構造であるので、以下、左側のものについて説明す
る。
【0015】前記サスペンションクロスメンバ1の左端
部には、サスペンションアーム4の車体内方側が車体前
後方向に延びる揺動軸を有するように取り付けられてい
る。このサスペンションアーム4の車体外方側にはホイ
ルサポート5が連結されている。該ホイルサポート5に
は前輪2が締結固定されており、その下端部に設けられ
たボールジョイント6が前記サスペンションアーム4に
連結される一方、上端部はストラットダンパー7を介し
て車体のホイルエプロン8(図2に示す)上部に支持さ
れるようになっている。また、図示しないが、前記ホイ
ルサポート5はタイロッドによりステアリングギアボッ
クスに連結されている。
【0016】前記ストラットダンパー7は、その外周を
囲むように形成されたコイルスプリング10を有してい
る。該コイルスプリング10は下端部がストラットダン
パー7のダンパー本体11の上下方向略中央部に固定さ
れたロアブラケット12により支持される一方、上端部
はストラットダンパー7のピストンロッド13上端側に
固定されたアッパブラケット15により支持されてい
る。
【0017】前記アッパブラケット15の略中心部に
は、図2に示すように、前記ストラットダンパー7のピ
ストンロッド13が貫通して嵌合する孔部15aが形成
されており、これによりピストンロッド13とアッパブ
ラケット15とは相対回動しないように固定される。ま
た、前記アッパブラケット15及びロアブラケット12
はそれぞれコイルスプリング10の端部の形状に合致す
る形状とされ、コイルスプリング10を組み付けると該
コイルスプリング10によりアッパブラケット15及び
ロアブラケット12がピストンロッド13の軸線X周り
に一体的に回動するようになる。
【0018】前記ピストンロッド13におけるアッパブ
ラケット15よりも上側にはストラットマウント17が
取り付けられている。該ストラットマウント17は、前
記ピストンロッド13の軸線X方向に延びかつホイルエ
プロン8に固定される外筒部材18と、該外筒部材18
の内周側で同軸方向に延びかつ外筒部材18の内周面に
防振ゴムGを介して固着される内筒部材19とを有して
おり、該内筒部材19にピストンロッド13が支持され
るようになっている。前記外筒部材18は上側ほど縮径
するテーパ状に形成され、その下端部には外方へ延びる
フランジ18aが設けられており、このフランジ18a
がホイルエプロン8に締結固定されるようになってい
る。前記内筒部材19の下端側には、該内筒部材19と
同軸上に位置するようにボールベアリング(軸受)20
が嵌入されており、該ボールベアリング20の内周面に
よりピストンロッド13の外周面が支持されていて、該
ピストンロッド13は車体に対して回転可能とされてい
る。
【0019】前記ボールベアリング20の内周側部材2
0aとアッパブラケット15との間にはカラー部材21
が配設されている。そして、前記ピストンロッド13は
ボールベアリング20よりも上方に突出しており、その
突出部分にナット22を螺合させることで、ピストンロ
ッド13、ボールベアリング20の内周側部材20a、
カラー部材21及びアッパブラケット15が一体的に締
結固定されるようになっている。
【0020】前記ピストンロッド13には、軸線X方向
に貫通する貫通孔13aが形成されており、この貫通孔
13aには後述する減衰力調整バルブ25を備えたコン
トロールロッド26が挿通するようになっている。該コ
ントロールロッド26は、前記ピストンロッド13に対
して軸線X周りに回動可能に構成されており、その上端
側はピストンロッド13の上端部よりも上方へ突出して
いて該突出部分が前記内筒部材19に固定されている。
このコントロールロッド26の固定構造について詳しく
は、前記内筒部材19の上端部には、該内筒部材19の
上端開口を覆うように形成された略円盤状の固定部材2
7が固定されており、コントロールロッド26は固定部
材27の略中心部を貫通して上方へ突出するとともに、
その突出部分にナット28が螺合されて前記固定部材2
7に締結固定されており、このことで、コントロールロ
ッド26は車体に対して回転不能とされている。
【0021】すなわち、この車両のフロントサスペンシ
ョンでは、前輪が操舵されるとそれに伴って前記ホイル
サポート5に固定されたストラットダンパー7のダンパ
ー本体11が回動し、前記コイルスプリング10により
ダンパー本体11のロアブラケット12と一体的に連結
されたアッパブラケット15及びピストンロッド13が
回動する。このとき、コントロールロッド26は固定部
材27によりホイルエプロン8に固定されているので、
前記ピストンロッド13がコントロールロッド26に対
して軸線X周りに相対回動することとなる。
【0022】前記アッパブラケット15の下方には、ピ
ストンロッド13が貫通する筒状のバンプストッパ29
が配設されている。該バンプストッパ29は、アッパブ
ラケット15の下面に接合された取付部材30に固定さ
れており、該取付部材30には、バンプストッパ29の
外周側でピストンロッド13の略全体を囲むように形成
されたカバー部材31が取り付けられている。
【0023】前記ストラットダンパー7の内部構造につ
いて、図3及び図4に基づいて詳しく説明すると、該ス
トラットダンパー7のダンパー本体11の上端はキャッ
プ部材33により閉塞されており、このダンパー本体1
1及びキャップ部材33により形成される空間内にはオ
イルが充填されている。前記ピストンロッド13は前記
キャップ部材33を上下に貫通していて、該ピストンロ
ッド13の下端部にはダンパー本体11に嵌挿されるピ
ストン34が固定されている。このピストン34により
前記ダンパー本体11内の空間は上部室35と下部室3
6との2つに区画されている。
【0024】前記ピストン34には、上部室35と下部
室36とを連通させる第1オリフィス37及び第2オリ
フィス38が上下方向に貫通するように形成されてい
る。第1オリフィス37は、ピストン34の中心から径
方向一側でその径方向に互いに離れて3つ(径方向外方
から内方へ順に37a,37b,37cとする)形成さ
れる一方、第2オリフィス38はその反対側でピストン
34の径方向外側寄りに1つ形成されている。
【0025】前記コントロールロッド26の下端側は、
前記ピストン34を貫通して下方へ突出しており、その
下端部には前記第1オリフィス37の絞り量を変化させ
るための減衰力調整バルブ25が設けられている。該減
衰力調整バルブ25は、ピストン34の下面形状に略対
応した円形板状のもので、その上面がピストン34の下
面に近接した状態で配置されて中心部がナット39によ
りコントロールロッド26の下端部に締結固定されるよ
うになっている。
【0026】前記減衰力調整バルブ25には、図4に示
すように、前記ピストンロッド13の軸線X方向に見
て、第1オリフィス37a,37b,37cの下端開口
にそれぞれ重なるように3つのスリット25a,25
b,25cが形成されている。該3つのスリット25
a,25b,25cは、それぞれ、ピストン34を減衰
力調整バルブ25に対して軸線X周りに回動させたとき
の第1オリフィス37a,37b,37cの開口の軌跡
に沿って円弧状に形成されている。3つのスリット25
a,25b,25cの長さは、詳しくは後述するが、前
記減衰力調整バルブ25の最も内方に位置するスリット
25cが最も長く形成されており、外方に位置するもの
ほど短くされている。また、減衰力調整バルブ25にお
けるスリット25a,25b,25cと反対側には、そ
れらと同様に前記第2オリフィス38の開口と重なるよ
うにスリット25dが形成されている。これらスリット
25a,25b,25c,25dの幅は、対応するオリ
フィス37,38の開口寸法と略同じとされている。
【0027】また、図3に示すように、前記第1オリフ
ィス37に対応するスリット25a,25b,25cか
ら下方へ所定距離離間した位置には下部室36のオイル
がスリット25a,25b,25cを通って第1オリフ
ィス37へ流入することを阻止する下側閉止板40が設
けられている。一方、前記第2オリフィス38の上端開
口から上方へ所定距離離間した位置には、前記第1オリ
フィス37の下側閉止板40と同様な上側閉止板41が
設けられており、これにより上部室35のオイルが第2
オリフィス38へ流入することを阻止している。
【0028】すなわち、前記ピストンロッド13が伸び
側にストロークすると、前記上側閉止板41が下方へ撓
んで第2オリフィス38の開口を閉止する一方、上部室
35のオイルが第1オリフィス37のみから下部室36
へ流れ、このときの抵抗により伸び側の減衰力が発生す
る。反対に前記ピストンロッド13が縮み側にストロー
クすると、前記下側閉止板40がスリット25a,25
b,25cの開口を閉止する一方、下部室36のオイル
が第2オリフィス38のみから上部室35へ流れ、この
ときに縮み側の減衰力が発生する。つまり、このストラ
ットダンパー7は、第1オリフィス37及び第2オリフ
ィス38の絞り量をそれぞれ変更すれば伸び側及び縮み
側の減衰力を独立して変えることができる。
【0029】前記ピストン34の第1及び第2オリフィ
ス37,38と減衰力調整バルブ25との位置関係につ
いて説明する。前記ストラットダンパー7が車体に取り
付けられて前輪2の舵角が略0゜(車両が略直進状態と
なる角度)にあるときには、図4(a)に示すようにピ
ストンロッド13の軸線X方向に見て、前記第1オリフ
ィス37及び第2オリフィス38がそれぞれ対応するス
リット25a,25b,25c,25dの長さ方向略中
央部に位置するように、ピストン34と減衰力調整バル
ブ25との相対位置が設定されている。このときの伸び
側の減衰力特性は、図5に示すようにT0となり、縮み
側の減衰力特性がC1となる。
【0030】前記した舵角0゜の状態の前輪2が左右い
ずれかに所定角度操舵されると、第1オリフィス37の
外側オリフィス37aの開口が減衰力調整バルブ25の
外側スリット25aからずれてオイルが流通する開口の
面積が縮小され、このことで減衰力が高まる。この状態
から舵角が増えて、図4(b)に示すようにピストンロ
ッド13の回動角度がαとなると、外側オリフィス37
aは略完全に閉止されて、伸び側の減衰力特性は、図5
に符号T1で示すように高くなる。さらに舵角が増え
て、図4(c)に示すように、ピストンロッド13の回
動角度がβとなると、中間オリフィス37bが絞られて
外側オリフィス37a及び中間オリフィス37bの両方
が減衰力調整バルブ25により閉止される。この外側オ
リフィス37a及び中間オリフィス37bが閉止される
と、伸び側の減衰力特性は図5にT2で示すようにな
る。
【0031】また、前記内側スリット25cの長さは、
前輪2が左側の最大舵角から右側の最大舵角の間のどの
舵角にあるときも内側オリフィス37cの開口を閉止し
ないように長く設定されている。また、前記第2オリフ
ィス38に対応するスリット25dの長さも前記内側ス
リット25cと同様に前輪2がどの舵角にあるときもオ
イルが第2オリフィス38の開口全体から流通するよう
に設定されている。つまり、このストラットダンパー7
は、前輪2の舵角が増大することによって伸び側の減衰
力のみが高くなる一方、縮み側の減衰力は変化しないよ
うに構成されている。
【0032】前記ストラットダンパー7の減衰力の設定
について具体的に説明する。
【0033】一般に、ストラットダンパーの伸び側及び
縮み側の減衰力は、旋回時の外輪のストローク速度と内
輪のストローク速度とが略等しくなるように、それぞれ
設定することが好ましい。例えば、図5に示すように、
伸び側の減衰力特性を減衰力が比較的低いT0(乗り心
地重視)とした場合には、縮み側の減衰力特性もそれに
バランスする比較的低い減衰力特性のC0とすること
で、旋回方向が急に変わるようなスラローム走行にある
ときの左右両輪のストローク速度を略同じにして車両の
挙動を安定させることができる。しかしながら、そのよ
うに伸び側及び縮み側の減衰力特性を旋回時の左右両輪
のストローク速度がバランスするように設定すると、車
両の特性は乗り心地重視と操縦安定性重視とのいずれか
に偏った特性となる。
【0034】そこで、この実施形態では、伸び側の減衰
力特性は前輪2の舵角が略0゜の状態では、乗り心地を
重視した特性T0に設定して上下振動の吸収性を確保し
ている。一方、そのときの縮み側の減衰力特性は、減衰
力の比較的高いC1(操縦安定性重視)に設定にしてお
き、このことで、旋回時の外輪のストローク速度を規制
して操縦安定性を確保するようにしている。このように
設定すると旋回時には左右両輪のストローク速度がバラ
ンスしないので、スラローム走行では安定性を十分に確
保できないことが考えられる。このことに対して、この
実施形態では前輪2の操舵に伴って伸び側の減衰力のみ
を高めて、旋回時には左右両輪のストローク速度をバラ
ンスさせるようにしている。
【0035】詳しくは、前輪2が直進状態から例えば左
側に操舵されると、前記ストラットダンパー7の減衰力
調整バルブ25により外側オリフィス37aが閉止され
るとともに、車両が旋回状態となり、右前輪2のストラ
ットダンパー7は縮み側にストロークする一方、左前輪
2のストラットダンパー7は伸び側にストロークする。
このストラットダンパー7のストローク時には、伸び側
の減衰力特性がT1となっており縮み側の減衰力特性C
1と略バランスするようになるので、右前輪2のストロ
ーク速度と左前輪2のストローク速度との差は小さくな
る。また、前輪2がさらに大きく左側へ操舵されると、
減衰力調整バルブ25により中間オリフィス37bが閉
止されて伸び側の減衰力特性がT2となり、右前輪2の
ストローク速度と左前輪2のストローク速度とが略同じ
となる。
【0036】すなわち、前輪2が直進状態から操舵され
ると、伸び側の減衰力のみが高くなり、左右両輪2,2
のストローク速度がバランスするようになるので、車両
の旋回方向が急に変わるような走行状態であっても車両
の挙動が安定する。また、このとき、縮み側の減衰力は
舵角によって変化しないので、旋回方向が変わる間もス
トローク速度を連続的に同じように規制できる。
【0037】さらに、前輪2の舵角に応じて減衰力特性
が段階的に変化するので、自動車の走行状態に応じて適
切な減衰力を得ることができる。
【0038】以上説明したように、ストラットダンパー
7のダンパー本体11を前輪2のホイルサポート5に固
定し、ピストンロッド13をストラットマウント17に
より車体に支持するようにした減衰力可変式のサスペン
ション装置3において、ピストンロッド13の上端部を
ボールベアリング20により車体に対して回転可能に支
持し、そのピストンロッド13を軸線X方向に貫通する
コントロールロッド26の上端部をホイルエプロン8に
回転不能に固定し、このコントロールロッド26の下端
部に減衰力調整バルブ25を設けて、前輪2の操舵によ
りピストン34の第1オリフィス37の絞り量を増加さ
せるようにしたので、アクチュエータ等を用いることな
く、簡単な構造で前輪2の舵角に応じてストラットダン
パー7の減衰力を可変とすることができる。
【0039】また、前記ストラットダンパー7の縮み側
の減衰力を操縦安定性を重視した高めの値とし、伸び側
の減衰力を乗り心地を重視した低めの値としたので、操
縦安定性を効果的に高めながら、良好な乗り心地を確保
できる。そして、前輪2の舵角が略0゜から所定角度操
舵されたときに、減衰力調整バルブ25によって伸び側
の減衰力のみを高めて左右両輪のストローク速度をバラ
ンスさせるようにしたので、様々な走行状態で十分に高
い操縦安定性を得ることができる。
【0040】尚、この実施形態では、減衰力調整バルブ
25をピストン34の下方に配置しているが、ピストン
34の上方に配置するようにしてもよい。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
係る自動車の減衰力可変式サスペンション装置による
と、減衰力可変式ストラットダンパーのピストンロッド
上端側を車体に支持し、ダンパー本体を操舵輪のホイル
サポートに固定したものにおいて、前記ピストンロッド
の上端側を車体に回転可能に支持し、このピストンロッ
ドを軸線方向に貫通して上端側が車体に回転不能に固定
されたコントロールロッドを設け、該コントロールロッ
ドには、操舵輪の舵角が所定舵角以上となったときに伸
び側の減衰力のみを変化させる減衰力調整バルブを設け
たので、低コストでストラットダンパーの減衰力を変化
させることができる。さらに、ストラットダンパーの縮
み側の減衰力を比較的高めに設定して操縦安定性を確保
しつつ、伸び側の減衰力を低めにして良好な乗り心地を
得るようにする場合に、減衰力調整バルブにより伸び側
の減衰力のみを高めることができ、これにより、旋回時
の左右両輪のストローク速度をバランスさせて十分に高
い操縦安定性を得ることができる。
【0042】請求項2記載の発明によると、減衰力調整
バルブをピストンのオリフィスの開口に近接して配置さ
れた円盤状に形成するとともに、コントロールロッドの
下端側に固定し、その減衰力調整バルブには、オリフィ
スの開口面積を可変とするスリットを形成したので、簡
単な構造で舵角に対応した減衰力を得ることができる。
【0043】請求項3記載の発明によると、操舵輪の舵
角に応じて減衰力が段階的に変化するので、自動車の走
行状態に対応した減衰力を得ることができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る減衰力可変式サスペン
ション装置を車体前方から見た斜視図である。
【図2】ストラットダンパーの上部断面図である。
【図3】ストラットダンパーの内部構造を示す断面図で
ある。
【図4】減衰力調整バルブ及びピストンの位置関係を示
す下面図であり、(a)は車両が略直進状態にあるとき
を示し、(b)は前輪の舵角が比較的小さい状態にある
ときを示し、(c)は比較的大きい状態にあるときを示
す図である。
【図5】ストラットダンパーの減衰力特性を示す図であ
る。
【符号の説明】
2 前輪(操舵輪) 3 サスペンション装置 5 ホイルサポート 7 ストラットダンパー 8 ホイルエプロン(車体) 11 ダンパー本体 13 ピストンロッド 20 ボールベアリング(軸受) 25 減衰力調整バルブ 25a,25b スリット 26 コントロールロッド 34 ピストン 37 第1オリフィス

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 減衰力可変式のストラットダンパーを備
    え、該ストラットダンパーのピストンロッドの上端側を
    車体に支持し、ダンパー本体を操舵輪のホイルサポート
    に固定した自動車の減衰力可変式サスペンション装置に
    おいて、 前記ピストンロッドの上端側は軸受を介して車体に回転
    可能に支持され、 前記ピストンロッドを軸線方向に貫通して上端側が車体
    に回転不能に固定されたコントロールロッドが設けら
    れ、 前記コントロールロッドには、前記操舵輪の舵角が所定
    舵角以上となったときに前記ストラットダンパーの伸び
    側の減衰力のみを変化させる減衰力調整バルブが設けら
    れていることを特徴とする自動車の減衰力可変式サスペ
    ンション装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 減衰力調整バルブは、略円盤状に形成されてピストンの
    オリフィスの開口に近接して配置されるとともに、コン
    トロールロッドの下端側に固定され、 前記減衰力調整バルブには、オリフィスの開口面積を可
    変とするスリットが形成されていることを特徴とする自
    動車の減衰力可変式サスペンション装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2のいずれかにおいて、 減衰力調整バルブは、操舵輪の舵角に応じて減衰力が段
    階的に変化するように構成されていることを特徴とする
    自動車の減衰力可変式サスペンション装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20150130034A (ko) * 2014-05-13 2015-11-23 양영희 댐핑력 조절이 가능한 이판 슬라이딩 방식의 복동 실린더형 대형 캐비넷용 양방향 쇼크 옵서버 및 양방향 쇼크 옵서버를 장착한 캐비넷
CN114987620A (zh) * 2022-04-28 2022-09-02 南通浩盛汽车科技有限公司 一种用于汽车减震的多弹簧减震器

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