JP2003337421A - 直描型水なし平版印刷版原版 - Google Patents

直描型水なし平版印刷版原版

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JP2003337421A
JP2003337421A JP2003067657A JP2003067657A JP2003337421A JP 2003337421 A JP2003337421 A JP 2003337421A JP 2003067657 A JP2003067657 A JP 2003067657A JP 2003067657 A JP2003067657 A JP 2003067657A JP 2003337421 A JP2003337421 A JP 2003337421A
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Japan
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heat
sensitive layer
weight
glycol
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JP2003067657A
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Koichi Nagase
公一 長瀬
Tomoyuki Yoshida
智之 吉田
Masaki Yashiro
正樹 矢代
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Publication date
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41CPROCESSES FOR THE MANUFACTURE OR REPRODUCTION OF PRINTING SURFACES
    • B41C2210/00Preparation or type or constituents of the imaging layers, in relation to lithographic printing forme preparation
    • B41C2210/16Waterless working, i.e. ink repelling exposed (imaged) or non-exposed (non-imaged) areas, not requiring fountain solution or water, e.g. dry lithography or driography

Landscapes

  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)
  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】画像再現性が良好で、基板との接着性が良好で
あり、かつ耐傷性が良好な直描型水なし平版印刷版を提
供する。 【解決手段】基板上に、少なくとも感熱層およびインキ
反発層をこの順に有する直描型水なし平版印刷版原版に
おいて、該基板の引張強さが100N/mm2以上、2
00N/mm2以下であることを特徴とする直描型水な
し平版印刷版原版。さらに、基板上に直接感熱層が積層
されていることを特徴とする前記の直描型水なし平版印
刷版原版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザー光で直接
製版できる直描型平版印刷版原版に関するものであり、
特に湿し水を用いずに印刷が可能な直描型水なし平版印
刷版原版に関するものである。
【0002】
【従来の技術】製版用フィルムを使用しないで、原稿か
ら直接オフセット印刷版を作製する、いわゆる直描型製
版は、熟練度を必要としない簡易性、短時間で印刷版が
得られる迅速性、多様なシステムから品質とコストに応
じて選択可能である合理性などの特徴を生かして、軽印
刷業界のみでなく、一般オフセット印刷、フレキソ印刷
の分野にも進出し始めている。
【0003】特に最近では、プリプレスシステムやイメ
ージセッター、レーザープリンタなどの出力システムの
急激な進歩によって新しいタイプの各種直描型平版印刷
版が開発されている。
【0004】これらの直描型平版印刷版を製版方法から
分類すると、レーザー光を照射する方法、サーマルヘッ
ドで書き込む方法、ピン電極で電圧を部分的に印加する
方法、インクジェットでインキ反撥層またはインキ着肉
層を形成する方法などが挙げられる。なかでも、レーザ
ー光を用いる方法は解像度、および製版速度の面で他の
方式よりも優れており、その種類も多い。
【0005】このレーザー光を用いる印刷版はさらに、
光反応によるフォトンモードのものと、光熱変換を行っ
て熱反応を起こさせるヒートモードの2つのタイプに分
けられる。特にヒートモードの方式は、明室で取り扱え
るといった利点があり、また光源となる半導体レーザー
の急激な進歩によって、最近その有用性が見直されてき
ている。
【0006】例えば、特許文献1、特許文献2、特許文
献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献
7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献
11、特許文献12および特許文献13、特許文献1
4、特許文献15、特許文献16、特許文献17にはレ
ーザー光を光源として用いる直描型水なし平版印刷版原
版およびその製版方法などが記載されている。
【0007】この熱破壊方式の印刷版原版の感熱層は、
レーザー光吸収化合物として主としてカーボンブラック
を用い、熱分解化合物としてニトロセルロースを使用し
ている。そしてこのカーボンブラックがレーザー光を吸
収することによって熱エネルギーに変換され、その熱で
感熱層が破壊される。そして最終的に、現像によってこ
の部分を除去することによって、表面のシリコーンゴム
層が同時に剥離され、インキ着肉部となる。
【0008】しかしながらこの印刷版は、感熱層を破壊
して画像を形成することから画線部のセルの深さが深く
なり、微少網点でのインキ着肉性が悪く、インキマイレ
ージが悪いという問題点があった。更に、感熱層を熱破
壊させ易くするために、架橋構造を形成しており印刷版
の耐刷性が悪いという問題もあった。更にこの印刷版は
感度が低く、感熱層を破壊させるために高いレーザー光
の強度が必要という問題点もあった。
【0009】このような欠点を改良するために、特許文
献18、特許文献19、特許文献20などでは、レーザ
ー光を熱に変換することによりシリコーンゴム層との密
着性が低下することによって画像が形成できるヒートモ
ードの湿し水不要平版印刷原版が提案されている。
【0010】しかしながら、このような提案では、印刷
版の取扱時での傷の発生、印刷時に異物による傷の発生
などが生じ易いという問題があった。
【0011】
【特許文献1】米国特許第5339737号明細書
【特許文献2】米国特許第5353705号明細書
【特許文献3】特開平6−55723号公報
【特許文献4】米国特許第5378580号明細書
【特許文献5】特開平7−164773号公報
【特許文献6】特開平6−186750号公報
【特許文献7】特開平7−309001号公報
【特許文献8】特開平9−104182号公報
【特許文献9】特開平9−146264号公報
【特許文献10】特開平9−146265号公報
【特許文献11】特開平9−236927号公報
【特許文献12】特開平9−244228号公報
【特許文献13】米国特許第5487338号明細書
【特許文献14】米国特許第5385092号明細書
【特許文献15】米国特許第5649486号明細書
【特許文献16】米国特許第5704291号明細書
【特許文献17】米国特許第5570636号明細書
【特許文献18】特開平11−221977号公報
【特許文献19】特開平11−227353号公報
【特許文献20】特開平11−352673号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる従来技
術のすべての欠点を解消し、インキマイレージを良好に
保持したまま、画像再現性が良好で、基板との接着性が
良好であり、かつ印刷版の傷に対する耐性が改良された
直描型水なし平版印刷版を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は主として次の構成を有する。すなわち、
「本発明は基板上に、少なくとも感熱層およびインキ反
発層をこの順に有する直描型水なし平版印刷版原版にお
いて、該基板の引張強さが100N/mm2以上、20
0N/mm2以下であることを特徴とする直描型水なし
平版印刷版原版。」である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳しく説明する。
【0015】本発明の特徴とするところは、基板上に、
少なくとも感熱層およびインキ反発層をこの順に有する
直描型水なし平版印刷版原版において、該基板の引張強
さが100N/mm2以上、200N/mm2以下である
ことである。
【0016】本発明における直描型平版印刷版原版の基
板としては、寸法的に安定な板状物が用いられる。この
ような寸法的に安定な板状物としては、従来印刷版の基
板として使用されたものが含まれ、それらを好適に使用
することができる。かかる基板としては、紙;アルミニ
ウム、マグネシウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、鉄
などの金属板;ステンレス、アルミニウム合金などの金
属合金板;ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレ
ンなどのプラスチックフィルム;アルミニウムなどの金
属がラミネートもしくは蒸着された紙もしくはプラスチ
ックフィルムなどが含まれる。これらの基板のうち、純
アルミニウム板及びアルミニウム合金板は寸法安定性に
優れており、しかも安価であるので特に好ましい。なか
でも純アルミニウム板及びアルミニウム合金板のうちJ
IS規格の1000番台、3000番台からなる基板を
用いることが好ましい。純アルミニウム板及びアルミニ
ウム合金板は塩酸または硝酸溶液中での電解エッチング
またはブラシ研磨による砂目立て処理、硫酸溶液中での
陽極酸化処理、および必要に応じて封孔処理等の表面処
理を施すことも可能である。これらの表面処理に先立
ち、前処理として圧延油の除去と表面の清浄等が一般に
行われる。経済的な利点からは、前処理のみを行い、表
面処理を施さないことが好ましい。
【0017】本発明に使用する基板の表面の粗さはJI
S B0601に規定される表面粗さRaが0.4μm
以下であることが好ましく、0.3μm以下であること
がより好ましい。
【0018】本発明の特徴は基板の引張強さが100N
/mm2以上、200N/mm2以下であることであり、
好ましくは130N/mm2以上、180N/mm2以下
である。
【0019】引張強さが100N/mm2以上であれ
ば、寸法安定性に優れており、200N/mm2以下で
あれば耐傷性に優れている。
【0020】本発明が見いだされるに至った理由は、ア
ルミ基板を用いた製品の間に耐傷性に差があることが指
摘された点に始まる。当初耐傷性すなわちインキ反発層
の傷の付き易さについては、インキ反発層組成物のバラ
ツキを中心に種種検討をすすめていたが、これらの点か
らは原因を明確化することができなかった。このため、
傷の形状の観察、傷発生のメカニズムについて検討を加
えていったところ、最初思いもかけなかった基板の物理
特性が関係しているのではないかという考えに至り、基
板の引張強さと傷の発生の関係を検討したところ、本発
明の知見に到達したものである。
【0021】基板の引張強さについては、例えば基板が
アルミニウムの場合、アルミニウムハンドブック(19
94年7月社団法人 軽金属協会)に記されているよう
に、本件請求項に規定する範囲内のものは公知である。
しかし、インキ反発層でもって画像を形成する水なし平
版印刷版においては、基板の引張強さと耐傷性の関係は
知られておらず、特に基板上に直接感熱層およびインキ
反発層が積層されているタイプの水なし平版には、基板
の引張強さが耐傷性に与える影響は大きく、引張強さに
よる基板の選択は耐傷性の改良に極めて有効な手段であ
る。本発明は、基板の引張強さを100N/mm2
上、200N/mm2以下とすることによって初めて耐
傷性に優れた直描型水なし平版印刷版を得ることができ
たものである。
【0022】ここで引張強さの測定方法は、JIS H
4000に従って行う。この引張強さが200N/mm
2以下であれば耐傷性に優れている理由は、インキ反発
層表面に異物から力が加わった場合に、基板の引張強さ
が200N/mm2以下であれば異物からの力がアルミ
基板に伝達され、インキ反発層に直接加わる力が低減す
る。このため、インキ反発層が損傷することなく、耐傷
性が向上すると考える。
【0023】次に本発明の直描型水なし平版印刷版原版
の感熱層について説明する。
【0024】該感熱層は、(a)レーザー照射の作用で
分解し得る化合物および(b)熱硬化性の化合物を含有
することが好ましい。
【0025】(a)レーザー照射の作用で分解し得る化
合物としては、(1)その化合物自体はレーザー光を吸
収しないが、レーザー光を吸収する別の化合物の作用に
より化合物が分解する場合と、(2)その化合物自体が
レーザー光を吸収して分解する場合が挙げられる。
【0026】(1)その化合物自体はレーザー光を吸収
しないが、レーザー光を吸収する別の化合物の作用によ
り分解する化合物としては、硝酸アンモニウム、硝酸カ
リウム、硝酸ナトリウム、炭酸エステル化合物、ニトロ
セルロース等のニトロ化合物や、過酸化ベンゾイル、過
安息香酸エステルなどの有機過酸化物、無機過酸化物、
ポリビニルピロリドン、アゾジカルボンアミド、アゾビ
スイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、N,N’−ジ
ニトロペンタメチレンテトラミンなどのニトロソ化合
物、アジド化合物、ジアゾ化合物あるいはp−トルエン
スルホニルヒドラジン、p,p’−オキシビス(ベンゼ
ンスルホヒドラジン)などのスルホニルヒドラジド化合
物、さらにはその他の低分子、高分子ヒドラジン誘導
体、などを挙げることができる。さらには、レーザー光
の作用で酸やアミンを発生する化合物と、発生した酸あ
るいはアミンの作用で分解する化合物も、本発明に使用
することができる。このような化合物は、感熱層中の全
固形分に対し、0.1〜70重量%、好ましくは1〜5
0重量%、さらに好ましくは5〜30重量%を添加する
ことができる。
【0027】また、レーザー光を吸収する別の化合物と
しては、公知の光熱変換物質を挙げることができる。光
熱変換物質の具体例としては、カーボンブラック、チタ
ンブラック、アニリンブラック、シアニンブラックなど
の黒色顔料、フタロシアニン、ナフタロシアニン系の緑
色顔料、カーボングラファイト、ジアミン系金属錯体、
ジチオール系金属錯体、フェノールチオール系金属錯
体、メルカプトフェノール系金属錯体、結晶水含有無機
化合物、硫酸銅、硫化クロム、珪酸塩化合物や、酸化チ
タン、酸化バナジウム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コ
バルト、酸化タングステンなどの金属酸化物、これらの
金属の水酸化物、硫酸塩などを挙げることができる。こ
れらのなかでも、光熱変換率、経済性および取り扱い性
の面から、カーボンブラックが好ましい。
【0028】また、赤外線または近赤外線を吸収する色
素、特に染料が光熱変換物質として好ましく使用され
る。特に好ましい色素としては、シアニン系、フタロシ
アニン系、ナフタロシアニン系、ジチオール金属錯体
系、ピアズレニウム系、スクアリリウム系、クロコニウ
ム系、アゾ系分散色素、ビスアゾ系、ビスアゾスチルベ
ン系、ナフトキノン系、アントラキノン系、ペリレン
系、ポリメチン系、インドアニリン金属錯体染料、分子
間型CT系、ベンゾチオピラン系、スピロピラン系、ニ
グロシン系、チオインジゴ系、ニトロソ系、キノリン
系、フルギド系の色素、特に染料などが挙げられる。
【0029】これら光熱変換物質の含有量は、全感熱層
組成物に対して1〜40重量%が好ましく、より好まし
くは5〜25重量%である。1重量%よりも少ない場合
にはレーザー光に対する感度の向上効果が見られず、4
0重量%よりも多い場合には印刷版の耐刷性が低下しや
すい。
【0030】(2)レーザー光を吸収してそれ自体が分
解する化合物としては、上記の光熱変換作用を示す染
料、顔料のうち、比較的分解しやすいものを挙げること
ができる。特に好ましい色素としては、シアニン系、フ
タロシアニン系、ナフタロシアニン系、ジチオール金属
錯体系、ピアズレニウム系、スクアリリウム系、クロコ
ニウム系、アゾ系分散色素、ビスアゾ系、ビスアゾスチ
ルベン系、ナフトキノン系、アントラキノン系、ペリレ
ン系、ポリメチン系、インドアニリン金属錯体染料、分
子間型CT系、ベンゾチオピラン系、スピロピラン系、
ニグロシン系、チオインジゴ系、ニトロソ系、キノリン
系、フルギド系の色素、特に染料などが挙げられる。こ
れら化合物の含有量は、全感熱層組成物に対して1〜4
0重量%が好ましく、より好ましくは5〜25重量%で
ある。1重量%よりも少ない場合にはレーザー光に対す
る感度の向上効果が見られず、40重量%よりも多い場
合には印刷版の耐刷性が低下しやすい。
【0031】このような(a)レーザー照射の作用で分
解し得る化合物としては、ポリメチン系近赤外吸収染
料、フタロシアニン系近赤外吸収染料、シアニン系近赤
外吸収染料、ジチオール金属錯体系近赤外吸収染料など
が好ましく、さらにはこれら近赤外吸収染料と有機過酸
化物、アゾ化合物、アジド化合物、ジアゾ化合物、ヒド
ラジン誘導体から選ばれる少なくとも1種の組み合わせ
が好ましい。
【0032】本発明においては、感熱層中に(b)熱硬
化性の化合物を含有することが好ましい。従来、感熱
層、インキ反発層をこの順に有する直描型平版印刷版に
おいて、重合や架橋などの技術を応用してレーザー照射
で感熱層とインキ反発層の接着性が向上するタイプの印
刷版を作製しようとする試みはいくつかなされてきた。
一方、レーザー照射で感熱層とインキ反発層の接着性が
低下する、いわゆるネガ型の印刷版原版において、熱硬
化性化合物を利用した例は、原版の製造時に感熱層に架
橋構造を導入するために用いた例があるだけである。
【0033】本発明における(b)熱硬化性の化合物と
は、印刷版原版の感熱層中にあって、レーザー照射の作
用で直接あるいは間接的に熱硬化し得る性能を依然とし
て有している化合物群のことを言う。このような(b)
熱硬化性の化合物としては、フェノール、クレゾール、
キシレノールなどのフェノール類とホルムアルデヒドの
縮合反応により得られるノボラック樹脂やレゾール樹
脂、フェノール・フルフラール樹脂、フラン樹脂、不飽
和ポリエステル、アルキド樹脂、ユリア樹脂、メラミン
樹脂、グアナミン樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレ
ート樹脂、不飽和ポリウレタン樹脂、ポリイミド前駆体
などを挙げることが出来るが、これらに限定されるもの
ではない。
【0034】また、上記のごとく樹脂自体が反応するも
のの他に、反応性の官能基を有する化合物に熱反応性の
架橋剤を添加した組成物も、(b)熱硬化性の化合物と
して本発明に使用することができる。架橋剤としては架
橋性を有する公知の多官能性化合物が挙げられ、多官能
ブロックドイソシアネート、多官能エポキシ化合物、多
官能アクリレート化合物、金属キレート化合物、多官能
アルデヒド、多官能メルカプト化合物、多官能アルコキ
シシリル化合物、多官能アミン化合物、多官能カルボン
酸、多官能ビニル化合物、多官能ジアゾニウム塩、多官
能アジド化合物、ヒドラジンなどが挙げられる。また、
上記架橋剤の反応を促進するために公知の触媒を添加し
てもよい。これらの架橋剤は単独または2種以上を混合
して使用することも可能である。
【0035】さらには、熱の作用で酸やアミンを発生す
る化合物と、発生した酸あるいはアミンの作用で硬化す
る化合物も本発明に使用することができる。このような
熱硬化性の化合物の中では、フェノール樹脂と金属キレ
ート化合物の組み合わせが特に好ましい。
【0036】このような(b)熱硬化性の化合物の感熱
層中に占める割合としては、感熱層の全固形分の10〜
95重量%、さらには30〜70重量%であることが好
ましい。熱硬化性の化合物の量が10重量%より少ない
場合は、感熱層の熱硬化による画線部感熱層の耐溶剤性
の向上効果が乏しくなることがある。一方、95重量%
より多い場合には、相対的に熱分解性化合物や光熱変換
物質が少なくなるためレーザー照射による画像形成性に
問題を生じる場合があるためである。
【0037】その他、感熱層中にはバインダーポリマー
や界面活性剤、各種添加剤を含有してもよい。バインダ
ーポリマーの具体例としては、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリブチルメタクリレートなどのアクリル酸エステ
ル、メタクリル酸エステルの単独重合体および共重合
体、ポリスチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシス
チレンなどのスチレン系モノマーの単独重合体および共
重合体、イソプレン、スチレン−ブタジエンなどの各種
合成ゴム類、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニルなどのビニル
エステル類の単独重合体および共重合体、ポリエチレン
オキサイド、ポリプロピレンオキシドなどのポリオキシ
ド類(ポリエーテル類)、ポリエステル類、ポリウレタ
ン類、ポリアミド類、エチルセルロース、セルロースア
セテートなどのセルロース誘導体類、フェノキシ樹脂、
メチルペンテン樹脂、ポリパラキシリレン樹脂、ポリフ
ェニレンスルファイド樹脂などが挙げられる。
【0038】これらのバインダーの含有量は、全感熱層
組成物に対して5〜70重量%が好ましく、より好まし
くは10〜50重量%である。含有量が5重量%よりも
少ないと耐刷性や塗液の塗工性に問題が生じやすく、7
0重量%よりも多いと画像再現性に悪影響を与えやす
い。
【0039】感熱層の厚さは、被覆層にして0.1〜1
0g/m2であると、印刷版の耐刷性や、希釈溶剤を揮
散し易く生産性に優れる点で好ましく、より好ましくは
0.5〜7g/m2である。
【0040】このような感熱層を有する直描型水なし平
版印刷版原版にレーザーが照射されると、感熱層表面
(インキ反発層と接する側の表面)においては、光熱変
換物質の働きで(a)レーザー光の作用で分解する化合
物が分解する。光熱変換物質自体がレーザー光の作用で
分解する場合もある。また、その際、窒素、酸素などの
ガスを発生することが好ましい。このような化合物の分
解さらにはガスの作用で、インキ反発層と感熱層間の接
着力が弱められる。一方、レーザー照射部の感熱層内部
においては、(b)熱硬化性の化合物の硬化が進行す
る。その結果、レーザー照射部の感熱層の耐溶剤性が高
められる。これらの結果、その後の現像処理によりレー
ザー照射部の感熱層の極表面(インキ反発層と接する側
の表面)とインキ反発層のみが剥離された印刷版が得ら
れる。
【0041】このようにして得られた版においては、画
線部感熱層の耐溶剤性は高く、残存しているため、微小
網点の再現性やインキマイレージが良好であるというメ
リットを有する。
【0042】本発明のインキ反発層としては、ビニルア
ルコール類などからなる親水性層、アクリル酸やアクリ
ル酸塩、スルホン酸やスルホン酸塩などを含む親水性
層、特開平8−282142号公報、特開平8−282
144号公報、特開平8−292558号公報、特開平
9−54425号公報などで提案されている親水性膨潤
層や、シリコーンゴム層、フッ素化合物を含有する層な
どを用いることが出来るが、好ましくはシリコーンゴム
層である。シリコーンゴム層としては、付加反応型のも
の、縮合反応型のものいずれでも用いられる。
【0043】付加反応型のシリコーンゴム層を構成する
成分としては、ビニル基含有ポリジメチルシロキサン、
SiH基含有ポリシロキサン、さらには硬化速度を制御
する目的で反応抑制剤、および硬化触媒を含む。
【0044】ビニル基含有ポリジメチルシロキサンは、
下記一般式(I)で表される構造を有し、分子末端およ
び/もしくは主鎖中にビニル基を有するものである。
【0045】
【化1】
【0046】(式中、nは2以上の整数を示し、R1
2は炭素数1〜50の置換あるいは非置換のアルキル
基、炭素数2〜50の置換あるいは非置換のアルケニル
基、炭素数4〜50の置換あるいは非置換のアリール基
の群から選ばれる少なくとも1種の基を示し、それぞれ
同一であっても異なっていてもよい。)。
【0047】上記式中のR1、R2は全体の50%以上が
メチル基であることが、印刷版のインキ反発性の面で好
ましい。また、分子量としては数千〜数十万のものが使
用できるが、その取扱い性や得られた印刷版のインキ反
発性、耐傷性などの観点から重量平均分子量1万〜10
0万、さらには5万〜60万のものを用いることが好ま
しい。
【0048】SiH基含有ポリシロキサンとしては、分
子鎖中、または末端にSiH基を有する、例えば下記一
般式(II)〜(V)で表されるような化合物を挙げることが
できる。
【0049】
【化2】
【0050】
【化3】
【0051】
【化4】
【0052】
【化5】
【0053】(上記各式中、nは2以上の整数、mは1
以上の整数を示す。)。
【0054】SiH基含有ポリシロキサン中におけるS
iH基の量としては、2個以上、さらには3個以上であ
ることが好ましい。SiH基含有ポリシロキサンの添加
量としては、シリコーンゴム層全組成物の0.1〜20
重量%であることが好ましく、さらに好ましくは1〜1
5重量%である。ポリジメチルシロキサンとの量比とい
うことで言えば、SiH基/ポリジメチルシロキサンの
ビニル基のモル比が1.5〜30であることが好まし
く、さらに好ましくは10〜20である。このモル比が
1.5未満である場合には、シリコーンゴム層の硬化が
不足する場合があり、逆に30よりも大きい場合にはゴ
ムの物性がもろくなり、印刷版の耐傷性などに悪影響を
与え易くなるためである。
【0055】反応抑制剤としては、含窒素化合物、リン
系化合物、不飽和アルコールなどが挙げられるが、アセ
チレン基含有のアルコールなどが好ましく用いられる。
反応抑制剤の好ましい添加量としては、シリコーンゴム
組成物中の0.01〜10重量%、さらには0.1〜5
重量%である。
【0056】硬化触媒としては、III族遷移金属化合
物、好ましくは、白金化合物であり、具体的には白金単
体、塩化白金、塩化白金酸、オレフィン配位白金、白金
のアルコール変性錯体、白金のメチルビニルポリシロキ
サン錯体などを一例として挙げることができる。このよ
うな硬化触媒の量は、シリコーンゴム層中に固形分とし
て0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量
%であることが好ましい。添加する触媒量が0.01重
量%未満である場合にはシリコーンゴム層の硬化が不十
分となり、さらに感熱層との接着性に問題を生じる場合
があるためである。他方20重量%より多い場合にはシ
リコーンゴム層溶液のポットライフに悪影響をもたらす
ためである。シリコーンゴム層組成物中における白金な
どの金属の量で言えば、10〜1000ppm、好まし
くは100〜500ppmであることが好ましい。
【0057】また、これらの組成物の他に、縮合反応型
シリコーンゴム層の組成物である水酸基含有オルガノポ
リシロキサンや加水分解性官能基含有シランもしくはシ
ロキサン、ゴム強度を向上させる目的でシリカなどの公
知の充填剤、接着性を向上させる目的で公知のシランカ
ップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニ
ウム系カップリング剤などを含有してもよい。シランカ
ップリング剤としては、アルコキシシラン類、アセトキ
シシラン類、ケトキシミンシラン類等が好ましく、特に
ビニル基を有するものや、ケトキシミンシラン類が好ま
しい。
【0058】また、縮合重合型のシリコーンゴム層を構
成する成分としては、水酸基含有ポリジメチルシロキサ
ン、架橋剤(脱酢酸型、脱オキシム型、脱アルコール
型、脱アミン型、脱アセトン型、脱アミド型、脱アミノ
キシ型など)、および硬化触媒を含む。
【0059】水酸基含有ポリジメチルシロキサンも、上
記一般式(I)で表される構造を有する。水酸基は分子
末端および/もしくは主鎖中に位置することができる
が、好ましく用いられるものは分子量末端に水酸基を有
するものである。一般式中のR 1、R2については、同様
に全体の50%以上がメチル基であることが、印刷版の
インキ反発性の面で好ましい。分子量としては数千〜数
十万のものが使用できるが、その取扱い性や得られた印
刷版のインキ反発性、耐傷性などの観点から重量平均分
子量1万〜20万、さらには3万〜15万のものを用い
ることが好ましい。
【0060】縮合反応型のシリコーンゴム層で用いられ
る架橋剤としては、下記一般式(VI)で表される、アセ
トキシシラン類、アルコキシシラン類、ケトキシミンシ
ラン類、アリロキシシラン類などを挙げることができ
る。 (R34-nSiXn (VI) (式中、nは2〜4の整数を示し、R3は炭素数1以上
の置換もしくは非置換のアルキル基、アルケニル基、ア
リール基、またはこれらの組み合わされた基を示す。X
はハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケト
キシミン基、アミノオキシ基、アミド基、アルケニルオ
キシ基から選ばれる官能基を示す。)上記式において、
加水分解性基の数nは3または4であることが好まし
い。
【0061】具体的な化合物としては、メチルトリアセ
トキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルト
リアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチ
ルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エ
チルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テト
ラプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニ
ルトリフェノキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、
アリルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシ
シラン、ビニルトリスイソプロペノキシシラン、ビニル
メチルビス(メチルエチルケトキシミン)シラン、メチ
ルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン、ビニルト
リ(メチルエチルケトキシミン)シラン、テトラ(メチ
ルエチルケトキシミン)シラン、ジイソプロペノキシジ
メチルシラン、トリイソプロペノキシメチルシラン、テ
トラアリロキシシラン、などが挙げられるが、これらに
限定されるものではない。これらの中では、シリコーン
ゴム層の硬化速度、取扱い性などの観点から、アセトキ
シシラン類、ケトキシミンシラン類が好ましい。
【0062】一般式(VI)で表される架橋剤の添加量と
しては、シリコーンゴム層全組成物の1.5〜20重量
%であることが好ましく、さらに好ましくは3〜10重
量%である。ポリジメチルシロキサンとの量比というこ
とで言えば、官能基X/ポリジメチルシロキサンの水酸
基のモル比が1.5〜10.0であることが好ましい。
このモル比が1.5未満である場合には、シリコーンゴ
ム層溶液のゲル化が起こり易く、逆に10.0よりも大
きい場合にはゴムの物性がもろくなり、印刷版の耐傷性
などに悪影響を与え易くなるためである。
【0063】硬化触媒としては、酢酸、プロピオン酸、
マレイン酸などの有機カルボン酸、トルエンスルホン
酸、ホウ酸等の酸類、水酸化カリウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化リチウム等のアルカリ、アミン、およびチタ
ンテトラプロポキシド、チタンテトラブトキシドなどの
金属アルコキシド、鉄アセチルアセトナート、チタンア
セチルアセトナートジプロポキシドなどの金属ジケテネ
ート、金属の有機酸塩などを挙げることが出来る。これ
らの中では、金属の有機酸塩を添加することが好まし
く、特に錫、鉛、亜鉛、鉄、コバルト、カルシウム、マ
ンガンから選ばれる金属の有機酸塩であることが好まし
い。このような化合物の具体例の一部としては、ジブチ
ル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル
錫ジラウレート、オクチル酸亜鉛、オクチル酸鉄などを
挙げることが出来る。このような硬化触媒の量は、シリ
コーンゴム層中に固形分として0.01〜20重量%、
好ましくは0.1〜10重量%であることが好ましい。
添加する触媒量が0.01重量%未満である場合にはシ
リコーンゴム層の硬化が不十分となり、さらに感熱層と
の接着性に問題を生じる場合があるためである。他方2
0重量%より多い場合にはシリコーンゴム層溶液のポッ
トライフに悪影響をもたらすためである。
【0064】また、これらの組成物の他に、ゴム強度を
向上させる目的でシリカなどの公知の充填剤、さらには
公知のシランカップリング剤を含有してもよい。これら
シリコーンゴム層の膜厚は0.5〜20g/m2が好ま
しく、さらに好ましくは1〜4g/m2である。膜厚が
0.5g/m2よりも小さい場合には印刷版のインキ反
撥性や耐傷性、耐刷性が低下する傾向があり、20g/
2よりも大きい場合には経済的見地から不利であるば
かりでなく、現像性、インキマイレージが悪くなるとい
う問題がある。
【0065】本発明における直描型水なし平版印刷版原
版の製造方法は、基板上に、リバースロールコーター、
エアーナイフコーター、グラビアコーター、ダイコータ
ー、メーヤバーコーターなどの通常のコーターあるいは
ホエラーのような回転塗布装置を用い、必要に応じて断
熱層組成物を塗布し100〜300℃で数分間加熱ある
いは活性光線照射により硬化させた後、感熱層組成物を
塗布し50〜180℃で数十秒から数分間加熱処理し
て、感熱層を得る。
【0066】この後、シリコーンゴム組成物を塗布し5
0〜200℃の温度で数分間加熱処理してシリコーンゴ
ム層を得る。
【0067】その後、必要に応じてインキ反発層を保護
する目的で保護フィルムをラミネートするかあるいは保
護層を形成してもよい。保護フィルムとしてはポリエス
テルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリビニルア
ルコールフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化
物フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルムなどが挙げら
れる。このようにして得られた直描型水なし平版印刷版
原版を、保護フィルムを剥離してから、あるいは保護フ
ィルム上からレーザー光で画像状に露光する。
【0068】かくして得られた、基板上に、少なくとも
感熱層およびインキ反発層をこの順に有する直描型水な
し平版印刷版原版から、レーザー照射の作用で感熱層表
面に分解物を生じさせる工程、および、レーザー照射の
作用で感熱層内部の硬化を進める工程により直描型平版
印刷版を製造することができる。
【0069】本発明の製版露光工程で用いられるレーザ
ー光源としては、発光波長領域が300nm〜1500
nmの範囲にあるものが用いられるが、これらの中でも
近赤外領域付近に発光波長領域が存在する半導体レーザ
ーやYAGレーザーが好ましく用いられる。具体的に
は、明室での版材の取扱い性などの観点から、780n
m、830nm、1064nmの波長のレーザー光が製
版に好ましく用いられる。
【0070】本発明においては、レーザー照射により感
熱層表面に分解物を生じさせ、さらにレーザー照射によ
り感熱層内部の硬化を進める。
【0071】本発明のレーザー照射後の製版方法は、少
なくとも(1)レーザー照射部のシリコーンゴム層、感
熱層間の接着力を低下させる「前処理工程」、および
(2)レーザー照射部のシリコーンゴム層を剥離させる
「現像工程」からなる。また、(3)画線部の感熱層を
染色液で染色する「後処理工程」、および(4)処理液
や染色液を完全に洗い落とす「水洗工程」を加えてもよ
い。
【0072】(1)前処理工程 前処理工程は、所定温度に保持した処理液中に、一定時
間だけ版を浸漬させる工程である。レーザーを照射する
と、その部位においてなんらかの変性(感熱層の分解物
が生じたり、感熱層の耐溶剤性が変化するなど)を起こ
す。レーザーの照射エネルギーが大きければ、前処理工
程を経ずに、そのまま現像工程に進んでも、レーザー照
射部のシリコーンゴム層を剥離させることは可能であ
る。しかし、照射エネルギーが小さい場合には、感熱層
の変性が小さいため、現像工程のみでレーザー照射のO
N/OFFを感知することは難しく、現像不能となりや
すい。この場合の印刷版のパターン形成に必要なエネル
ギーは大きなものとなり、版の感度は低くなってしま
う。また、あまり大きなエネルギーのレーザーを照射す
ると、感熱層は破壊され、現像後には感熱層が残存しに
くくなり、先に述べた印刷時の不利を被ることになる。
そこで、レーザー照射のON/OFFの差を増幅し、低
エネルギーのレーザー照射部の現像を行うためには、処
理液で版を処理する工程が必要となる。前処理工程で
は、30〜60℃の温度の前処理液に版を10〜100
秒浸漬させることが好ましい。30℃未満の温度の前処
理液に浸漬した場合、もしくは10秒未満の時間浸漬し
た場合には、感熱層の膨潤あるいは溶解が十分でなく、
シリコーンゴム層と感熱層間の接着力を十分に低下させ
ることができない。また、60℃を超えた温度の前処理
液に浸漬した場合、もしくは100秒を超える時間浸漬
した場合には、感熱層が基板から剥離するなどの問題が
生じる。
【0073】処理液中に版を浸漬させると、処理液はシ
リコーンゴム層中に浸透し、やがて感熱層まで到達す
る。照射部の感熱層はその上部において、熱分解物が生
じていたり、あるいは処理液に対する溶解性が向上して
いたりするので、感熱層上部は処理液によって膨潤する
かあるいは一部溶解してシリコーンゴム層、感熱層間の
接着力が低下する。この状態で印刷版面を軽く擦ると、
照射部のシリコーンゴム層は剥離し、下層の感熱層は露
出してインキ着肉層となる。一方、未照射部の感熱層は
処理液に対して不溶あるいは難溶なため、感熱層と強力
に接着しているシリコーンゴム層は、強く擦っても剥が
れない。このようにして、未照射部のシリコーンゴム層
は現像されることなく、この部分がインキ反撥層とな
り、水なし平版印刷版の画像形成がなされる。
【0074】このような機構によって印刷版の高感度化
が行われるため、処理液の選択は重要である。感熱層の
溶解能が高い処理液を用いると、未照射部のシリコーン
ゴム層が剥離し、その度合いによっては感熱層までもが
現像されてしまい、その結果、処理液などを汚染するこ
とによって、処理液の寿命を縮める。一方、感熱層の溶
解能が低い処理液を用いると、照射部のシリコーンゴム
層さえも現像する事ができず、印刷版の高感度化は果た
されない。
【0075】このような処理液としては、水にアルコー
ルやケトン、エステル、カルボン酸、アミンなどの極性
溶媒を添加したものや、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化
水素類などの少なくとも1種類からなる溶媒に極性溶媒
を少なくとも1種類添加したもの、あるいは極性溶媒が
用いられる。さらに、下記一般式(VII)で示されるグ
リコール化合物あるいはグリコールエーテル化合物を主
成分として用いることが好ましい。
【0076】
【化6】
【0077】(ここで、R4は水素原子あるいは炭素数
1〜5のアルキル基を示し、R5およびR6は水素原子あ
るいは炭素数1〜15のアルキル基を示し、kは1〜1
2の整数である。)。
【0078】概して、グリコール化合物に比べると、グ
リコールエーテル化合物の方が感熱層に対する溶解能は
高い。よって、両者の中で適当な化合物を選択するか、
両者を混合することによって、感熱層の硬化具合の異な
る版材に対して、最適な選択的溶解性を有する処理液を
得ることができる。処理液としての効果は、感熱層の選
択的溶解性だけでなく、シリコーンゴム層の膨潤能も加
味される。シリコーンゴム層が膨潤すると、シリコーン
ゴムを剥がしやすくなるため、たとえ感熱層の溶解性が
低い処理液でも現像しやすくなる。ただし、シリコーン
が膨潤しすぎると現像時に擦り傷が付きやすくなるの
で、適当な範囲にとどめる必要がある。具体的には、シ
リコーンゴムの膨潤率が30%以下のものが好ましく、
さらに好ましくは10%以下である。グリコール化合物
によるシリコーンゴム層の膨潤率はほぼ0%であり、ほ
とんどシリコーンゴム層を膨潤させないので、単に感熱
層の選択的溶解性のみが処理液としての適性に影響す
る。一方、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド
などの繰り返し単位が少なく、R5やR6にある程度長い
直鎖の官能基を導入すると、シリコーンゴム層の膨潤能
が高くなる。グリコールモノエーテルとグリコールジエ
ーテルとでは、ジエーテルの方が、シリコーンゴムの膨
潤能が一般的に高い。このような場合には、感熱層の選
択的溶解性とシリコーンゴムの膨潤能の両者を考慮して
処理液の設計を行う。
【0079】グリコール化合物として、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ブチレングリコール
(1,2−ブタンジオール)、2,3−ブタンジオー
ル、k=2〜12のポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール等が挙げられる。これらのグリコール
化合物は単独あるいは2種以上混合して用いることがで
きる。これらの中で、選択的溶解性の面から、k=2〜
4であるジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリ
コールが処理液として好ましく用いられる。
【0080】グリコールエーテル化合物として、上記グ
リコール化合物のモノアルキルエーテルおよびジアルキ
ルエーテルが挙げられる。R5やR6のアルキル基とし
て、メチル基、エチル基、プロピル基、iso-プロピル
基、ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、ヘプチ
ル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチ
ルヘキシル基、ノニル基、デカニル基、ウンデカニル
基、ドデカニル基が挙げられる。好ましく用いられるグ
リコールエーテル化合物としては、ジエチレングリコー
ルモノメチルエーテル(メチルカルビトール)、ジエチ
レングリコールモノエチルエーテル(エチルカルビトー
ル)、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル(プ
ロピルカルビトール)、ジエチレングリコールモノブチ
ルエーテル(ブチルカルビトール)、ジエチレングリコ
ールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ
−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコール
ジメチルエーテル(ジグライム)、ジエチレングリコー
ルメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチ
ルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリ
エチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレ
ングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコ
ールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモ
ノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコ
ールジメチルエーテル(トリグライム)、トリエチレン
グリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコ
ールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノ
メチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチル
エーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエー
テル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、
テトラエチレングリコールモノヘキシルエーテル、テト
ラエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、
テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグ
ライム)、テトラエチレングリコールメチルエチルエー
テル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、ジ
プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレ
ングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコ
ールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモ
ノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘキシ
ルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−2−エチル
ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチ
ルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエー
テル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテ
ル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、ト
リプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、トリプ
ロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテ
ル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテル、
テトラプロピレングリコールモノエチルエーテル、テト
ラプロピレングリコールモノプロピルエーテル、テトラ
プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロ
ピレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラプロピ
レングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル等が
挙げられる。
【0081】上記一般式(VII)で表されるグリコール
化合物あるいはグリコールエーテル化合物の処理液中の
含有量は、50重量%〜100重量%が好ましく、70
重量%〜95重量%がより好ましい。50重量%より少
ないと感熱層の選択的溶解性に劣るため画像を再現する
ことが困難になる。
【0082】また、本発明で使用する処理液には、アミ
ン化合物を共存させることも好ましい。アミン化合物は
選択的溶解性には劣るが、感熱層の溶解能が高いため、
高感度化の目的で、処理液中に副成分として加えてもよ
い。
【0083】アミン化合物として、エチレングリコール
アミン、ジエチレングリコールアミン、トリエチレング
リコールアミン、テトラエチレングリコールアミン、プ
ロピレングリコールアミン、ジプロピレングリコールア
ミン、トリプロピレングリコールアミンのようなグリコ
ールアミン化合物や、メチルアミン、エチルアミン、ジ
メチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、ト
リエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アミ
ルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミ
ルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、メ
チルジエチルアミン、エチレンジアミン、トリメチレン
ジアミン、テトラメチレンジアミン、ポリエチレンイミ
ン、ベンジルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミ
ン、N,N−ジエチルベンジルアミン、N,N−ジプロ
リルベンジルアミン、o−、またはm−、p−メトキ
シ、またはメチルベンジルアミン、N,N−ジ(メトキ
シベンジル)アミン、β−フェニルエチルアミン、γ−
フェニルプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、アニ
リン、モノメチルアニリン、ジメチルアニリン、トルイ
ジン、αまたはβナフチルアミン、o−、またはm−、
またはp−フェニレンジアミン、アミノ安息香酸、2−
(2−アミノエチル)エタノール、2−アミノ−2−メ
チル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−1,3
−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチ
ル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
【0084】アミン化合物の処理液中の含有量は、25
重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好まし
い。25重量%より多いと、感熱層に対する溶解力がか
なり強くなるため、画線部のシリコーンゴム層のみでな
く、非画線部まで剥離しやすくなるため、画像を再現す
ることが困難になる。
【0085】また処理液中には、必要に応じて、水、ア
ルコール類、カルボン酸類、エステル類、脂肪族炭化水
素類(ヘキサン、へプランなど)、脂肪族炭化水素類
(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類
(トリクレンなど)を添加してもよい。また、現像時に
版面を擦るときに、傷が入るのを防止するために、処理
液中に硫酸塩、燐酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩な
どの界面活性剤を加えてもよい。
【0086】(2)現像工程 前処理により、レーザー照射部では、感熱層表面が膨潤
あるいは一部溶解しているため、選択的にシリコーンゴ
ム層が剥がれやすくなっている。本発明では、水、その
他の溶剤を用いて版面を擦ることにより現像を行う。処
理液は親水性のグリコール化合物を主成分としているた
め、印刷版に浸透している処理液を水で洗い落とすこと
ができるため、水による現像が排液の点からも最も好ま
しい。温水や水蒸気を版面に噴射することによっても現
像を行ってもよい。現像性を上げるために、水に処理液
を加えたものを用いてもよい。現像液の温度は任意でよ
いが、10℃〜50℃が好ましい。
【0087】(3)後処理工程 現像により画線部が形成され、現像の確認を容易にする
ために染色液で染色する後処理工程を設けてもよい。本
発明の染色液に用いられる染料としては、塩基性染料、
酸性染料、直接染料、分散染料、および反応性染料など
の中から単独で、あるいは2種以上のものを混合して用
いることができる。なかでも、水溶性の塩基性染料およ
び酸性染料が好ましく用いられる。
【0088】塩基性染料としては、”クリスタルバイオ
レット”、”エチルバイオレット”、”ビクトリアピュ
アブルー”、”ビクトリアブルー”、”メチルバイオレ
ット”、”DIABACIS MAGENTA”(三菱化学(株)
製)、”AIZEN BASIC CYANINE 6GH”(保土ヶ谷化学工
業(株)製)、”PRIMOCYANINE BX CONC.”(住友化学
(株)製)、”ASTRAZON BLUE G”(FARBENFARRIKEN BA
YER 製)、”DIACRYL SUPRABRILLIANT 2B”(三菱化学
(株)製)、”AIZEN CATHILON TURQUOISE BLUE LH”
(保土ヶ谷化学工業(株)製)、”AIZEN DIAMOND GREE
N GH”(保土ヶ谷化学工業(株)製)、”AIZEN MALACH
ITE GREEN”(保土ヶ谷化学工業(株)製)などが用い
られる。
【0089】酸性染料としては、”ACID VIORET 5B”
(保土ヶ谷化学工業(株)製)、”KITON BLUE A”(CI
BA 製)、”PATENT BLUE AF”(BASF 製)、”RAKUTO B
RILLIANT BLUE FCF”(洛東化学工業(株)製)、”BRI
LLIANT ACID BLUE R”(GEIGY製)、”KAYANOL CYANINE
6B”(日本化薬(株)製)、”SUPRANOL CYANINE G”
(FARBENFARRIKEN BAYER 製)、”ORIENT SOLUBLE BLUE
OBB”(オリエント化学工業(株)製)、”ACID BRILL
IANT BLUE 5G”(中外化成(株)製)、”ACID BRILLIA
NT BLUE FFR”(中外化成(株)製)、”ACID GREEN GB
H”(高岡化学工業(株)製)、”ACID BRILLIANT MILL
ING GREEN B”(保土ヶ谷化学工業(株)製)などが用
いられる。
【0090】これら染料の染色液中の含有量は、0.0
1重量%〜10重量%が好ましく、0.1重量%〜5重
量%がより好ましい。
【0091】本発明に用いられる染色液の溶媒として
は、水、アルコール類、グリコール類、グリコールモノ
アルキルエーテル類、グリコールジアルキルエーテル類
が用いられ、これらの溶媒は単独あるいは2種以上混合
して用いられる。グリコール類、グリコールモノアルキ
ルエーテル類、グリコールジアルキルエーテル類は処理
液としての効果を有するので、仮に現像工程でレーザー
照射部のシリコーンゴム層が現像できず付着していて
も、後処理工程で現像させることもできる。
【0092】その他、染色助剤、有機酸、無機酸、消泡
剤、可塑剤、界面活性剤を任意に添加してもよい。
【0093】染色液の温度は任意でよいが、10℃〜5
0℃が好ましい。また、現像液中に上記染料を添加して
おいて、現像と同時に画像部の染色化を行うこともでき
る。
【0094】(4)水洗工程 版面に処理液や染色液が浸透したままになっていると、
経時により非画線部のシリコーンゴム層が剥離しやすく
なる場合があるため、処理液や染色液を版面から完全に
洗い落とす水洗工程を設けてもよい。水洗水の温度は任
意でよいが、10℃〜50℃が好ましい。
【0095】これまで述べてきた工程による現像方法と
しては、手による現像でも自動現像装置による現像のど
ちらでも良い。手による現像では、これらの処理液、現
像液および染色液を順次不織布、脱脂綿、布、スポンジ
などに含浸させて版面を拭き取ることによって行うこと
が出来る。自動現像装置を用いる場合には、前処理部、
現像部および後処理部がこの順に設けられているものが
好ましい。場合によっては後処理部の後方にさらに水洗
部が設けられていてもよい。このような自動現像機とし
ては東レ(株)製の”TWL−1160”、”TWL−
650”、あるいは特開平4−2265号や特開平5−
2272号、特開平5−6000号などに開示されてい
る現像装置が挙げられる。
【0096】なお、耐傷性の評価は、新東科学(株)製
連続加重式引掻強度試験機(Type−HEIDON1
8)により直径0.3mmのサファイア針を用いて加重
をかけながら10cm/分のスピードで傷をつけ、引掻
傷が発生する加重を測定して行った。耐加重が高いほ
ど、印刷中の異物などによる傷の発生が低い。
【0097】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳しく説明
する。
【0098】実施例1 1100−H18の材質からなる引張強さが165N/
mm2の、厚さ0.24mmの脱脂したアルミ板(Ra
=0.26μm)上に下記の組成よりなる感熱層溶液を
10番手のワイヤーバーコーター(松尾産業(株)製)
で塗布した。乾燥膜厚は1.5g/m2 、熱処理は15
0℃×80秒間である。
【0099】<感熱層溶液> (a)赤外線吸収染料“YKR−2900”(山本化成
(株)製):10重量部 (b)ジブトキシチタンビスアセチルアセトナートの1
−ブチルアルコール溶液“ナーセムチタン”(日本化学
産業(株)製):22重量部 (c)フェノールノボラック樹脂“スミライトレジン”
PR54652(住友デュレズ(株)製):60重量部 (d)ポリウレタン溶液“サンプレン”LQT1331
D(三洋化成工業(株)製):10重量部 (e)m−キシリレンジアミン/グリシジルメタクリレ
ート/3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン=
1/3/1mol比付加反応物:15重量部 (f)テトラヒドロフラン:800重量部 (g)ジメチルホルムアミド:100重量部。
【0100】<m−キシリレンジアミン/グリシジルメ
タクリレート/3−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン=1/3/1mol比付加反応物の合成>還流管
と撹拌装置を取り付けた容量2,000mlのフラスコ
にm−キシリレンジアミン136.2g(分子量13
6.2、和光純薬工業(株))、フェノチアジン0.0
16g(分子量199.3、和光純薬工業(株))、ヒ
ドロキノンモノメチルエーテル0.28g(分子量12
4.1、和光純薬工業(株))を入れ、テトラヒドロフ
ラン800gに溶解した。この溶液にグリシジルメタク
リレート426.5g(分子量142.2、和光純薬工
業(株))および3−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン236.1g(分子量236.1、東レ・ダウ
コーニング・シリコーン(株))を加え、還流下で5時
間攪拌した。この操作によってm−キシリレンジアミン
/グリシジルメタクリレート/3−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン=1/3/1mol比付加反応物
の50重量%濃度のテトラヒドロフラン溶液を得た。
【0101】<感熱層溶液の調製>容量250mlのガ
ラス瓶にフェノールノボラック樹脂“スミライトレジ
ン”PR54652を11.27g(60重量部)入
れ、テトラヒドロフラン147.45g(785重量
部)で溶解した。この溶液にポリウレタン溶液“サンプ
レン”LQT1331Dを1.88g(10重量部)、
およびm−キシリレンジアミン/グリシジルメタクリレ
ート/3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン=
1/3/1mol比付加反応物2.82(15重量部)
とテトラヒドロフラン2.82g(15重量部)からな
る溶液を加え、30分間攪拌した。さらに、この溶液に
赤外線吸収染料“YKR−2900”1.88g(10
重量部)をジメチルホルムアミド18.78g(100
重量部)に溶解した染料溶液を加え、30分間攪拌し
た。その後、ジブトキシチタンビスアセチルアセトナー
トの1−ブチルアルコール溶液“ナーセムチタン”を
4.13g(22重量部)加え、1時間攪拌して感熱層
溶液とした。
【0102】この感熱層上に、下記のシリコーンゴム層
溶液を14番手のワイヤーバーコーター(松尾産業
(株)製)で塗布した。乾燥条件125℃×80秒間で
処理し、乾燥膜厚2.0g/m2のシリコーンゴム層を
設け、直描型水なし平版印刷版原版を得た。
【0103】<シリコーンゴム層溶液> (a)α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサンDMS
V52(重量平均分子量110,000、GELEST
Inc.製):100重量部 (b)両末端メチル(メチルハイドロジェンシロキサ
ン)(ジメチルシロキサン)共重合体、SiH基含有ポ
リシロキサンHMS−151(MeHSiOのモル%:
15〜18%、GELEST Inc.製):7重量部 (c)ビニルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラ
ン:3重量部 (d)白金触媒”SRX−212”(東レダウコーニン
グシリコーン(株)製):5重量部 (e)“アイソパー”E(エッソ化学(株)製):10
35重量部。
【0104】<シリコーンゴム層溶液の調製>容量25
0mlのガラス瓶にα,ω−ジビニルポリジメチルシロ
キサンDMSV52を10.0g(100重量部)入
れ、これに“アイソパー”Eを103.5g(1035
重量部)加え、攪拌溶解した。この溶液にSiH基含有
ポリシロキサンHMS−151を0.7g(7重量
部)、ビニルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン
を0.3g(3重量部)加え、30分間攪拌した。さら
に、白金触媒”SRX−212”を0.5g(5重量
部)加え、30分間攪拌してシリコーンゴム層溶液とし
た。
【0105】得られた直描型水なし平版印刷版原版は、
製版機”GX−3600”(東レ(株)製)に装着し、
半導体レーザー(波長830nm)を用いて照射エネル
ギー150mJ/cm2で露光を行った。
【0106】続いて、自動現像機”TWL−860KI
I”(東レ(株)製、前処理液:”NP−1”(東レ
(株)製)、現像液:水、後処理液:”NA−1”(東
レ(株)製))により、前処理時間30秒という条件
で、上記露光済み版の現像を行い、直描型水なし平版印
刷版を得た。
【0107】得られた印刷板をルーペで観察したとこ
ろ、1〜99%の網点を再現しており、良好な画像再現
性を有していた。
【0108】この印刷版をHEIDON試験機でもって
耐傷性の評価を行ったところ、100g以上の耐加重が
あり、良好な耐傷性を示すことが分かった。
【0109】実施例2 実施例1のアルミ板を材質1350−H19からなる引
張強さが185N/mm2のアルミ板(Ra=0.23
μm)に変えた以外は実施例1と同様の操作で直描型水
なし平版印刷版を得た。
【0110】得られた印刷板をルーペで観察したとこ
ろ、1〜99%の網点を再現しており、良好な画像再現
性を有していた。
【0111】この印刷版をHEIDON試験機でもって
耐傷性の評価を行ったところ、100g以上の耐加重が
あり、良好な耐傷性を示すことが分かった。
【0112】実施例3 実施例1のアルミ板を材質3003−H16からなる引
張強さが175N/mm2のアルミ板(Ra=0.29
μm)に変えた以外は実施例1と同様の操作で直描型水
なし平版印刷版を得た。
【0113】得られた印刷板をルーペで観察したとこ
ろ、1〜99%の網点を再現しており、良好な画像再現
性を有していた。
【0114】この印刷版をHEIDON試験機でもって
耐傷性の評価を行ったところ、100g以上の耐加重が
あり、良好な耐傷性を示すことが分かった。
【0115】実施例4 実施例1のアルミ板を材質1060−H18からなる引
張強さが130N/mm2のアルミ板(Ra=0.20
μm)に変えた以外は実施例1と同様の操作で直描型水
なし平版印刷版を得た。
【0116】得られた印刷板をルーペで観察したとこ
ろ、1〜99%の網点を再現しており、良好な画像再現
性を有していた。
【0117】この印刷版をHEIDON試験機でもって
耐傷性の評価を行ったところ、100g以上の耐加重が
あり、良好な耐傷性を示すことが分かった。
【0118】比較例1 実施例1のアルミ板を材質3004−H34からなる引
張強さが240N/mm2のアルミ板(Ra=0.26
μm)に変えた以外は実施例1と同様の操作で直描型水
なし平版印刷版を得た。
【0119】得られた印刷板をルーペで観察したとこ
ろ、1〜99%の網点を再現しており、良好な画像再現
性を有していた。
【0120】この印刷版をHEIDON試験機でもって
耐傷性の評価を行ったところ、耐加重が22gであり、
容易に傷が付きやすいことが分かった。
【0121】比較例2 実施例1のアルミ板を材質1060−Oからなる引張強
さが70N/mm2のアルミ板(Ra=0.22μm)
に変えた以外は実施例1と同様の操作で直描型水なし平
版印刷版を得た。
【0122】得られた印刷板をルーペで観察したとこ
ろ、1〜99%の網点を再現しており、良好な画像再現
性を有していた。
【0123】この印刷版をHEIDON試験機でもって
耐傷性の評価を行ったところ、100g以上の耐加重が
あり、耐傷性が良好であることが分かった。
【0124】しかし、印刷機に取り付け時に、印刷版に
力を加えて引っ張ったところ、印刷版が変形し、4色の
見当がずれ、良好な印刷物が得られなかった。
【0125】
【発明の効果】本発明によれば、画像再現性が良好で、
基板との接着性が良好であり、かつ耐傷性が良好な直描
型平版印刷版が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA01 AA12 AB04 AC08 DA37 FA10 2H096 AA11 EA04 2H114 AA05 AA24 BA05 BA10 EA01 EA02 FA02 GA01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、少なくとも感熱層およびインキ
    反発層をこの順に有する直描型水なし平版印刷版原版に
    おいて、該基板の引張強さが100N/mm2以上、2
    00N/mm2以下であることを特徴とする直描型水な
    し平版印刷版原版。
  2. 【請求項2】基板上に直接感熱層が積層されていること
    を特徴とする請求項1記載の直描型水なし平版印刷版原
    版。
  3. 【請求項3】請求項1または2のいずれかに記載の直描
    型水なし平版印刷版原版を製版して得られる直描型水な
    し平版印刷版。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024181121A1 (ja) * 2023-02-27 2024-09-06 東レ株式会社 直描型水なし平版印刷版原版およびそれを用いた水なし平版印刷版の製造方法

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