JP2003337216A - 回折素子 - Google Patents
回折素子Info
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- JP2003337216A JP2003337216A JP2002144226A JP2002144226A JP2003337216A JP 2003337216 A JP2003337216 A JP 2003337216A JP 2002144226 A JP2002144226 A JP 2002144226A JP 2002144226 A JP2002144226 A JP 2002144226A JP 2003337216 A JP2003337216 A JP 2003337216A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 本発明は、本来の波面収差を無くすような理
想的な曲面からのずれを最小にするような回折素子を形
成することを目的とする。 【解決手段】 本発明の回折素子は、所定の段差と複数
の段数で構成される周期を複数備えた領域を組み合わせ
て構成され、各領域ごとに段数を異ならせて階段状断面
を形成する回折素子であって、領域のそれぞれにおい
て、各周期における最初の段差の開始位置が他の領域の
最初の段差の開始位置と異なって配置されたことを特徴
とする。
想的な曲面からのずれを最小にするような回折素子を形
成することを目的とする。 【解決手段】 本発明の回折素子は、所定の段差と複数
の段数で構成される周期を複数備えた領域を組み合わせ
て構成され、各領域ごとに段数を異ならせて階段状断面
を形成する回折素子であって、領域のそれぞれにおい
て、各周期における最初の段差の開始位置が他の領域の
最初の段差の開始位置と異なって配置されたことを特徴
とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光を集光または発
散させるためレンズ作用をもたせた回折素子に関するも
のである。
散させるためレンズ作用をもたせた回折素子に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、回折素子には、フォトリソグラフ
ィ技術を用いて階段状の断面をもつものがある。回折素
子は本来、波面収差を最小にするような曲線的な断面を
もつのが理想であるが、これを微小な領域に、あるいは
微小な格子間隔を、しかも大量に形成するのは困難であ
る。これを解決するために、フォトリソグラフィ技術を
用い、曲線(あるいは直線)的な断面を階段状の断面で
近似することによって、ガラスなどの光学基板に、一度
に大量に、微小な領域に微小な格子間隔をもつ回折素子
を形成する方法が提案された。
ィ技術を用いて階段状の断面をもつものがある。回折素
子は本来、波面収差を最小にするような曲線的な断面を
もつのが理想であるが、これを微小な領域に、あるいは
微小な格子間隔を、しかも大量に形成するのは困難であ
る。これを解決するために、フォトリソグラフィ技術を
用い、曲線(あるいは直線)的な断面を階段状の断面で
近似することによって、ガラスなどの光学基板に、一度
に大量に、微小な領域に微小な格子間隔をもつ回折素子
を形成する方法が提案された。
【0003】図4はフォトリソグラフィ技術により作成
された回折素子の例の断面模式図である。この図4にお
いては、便宜上、上下方向と左右方向の縮尺比は同じで
はない。また、この図4では一例として段数が2ステッ
プ型、4ステップ型、8ステップ型のものをあげてい
る。例えば、1回のフォトリソグラフィとエッチング工
程によって2段の凹凸をもったいわゆるバイナリー型の
回折素子が形成できる。また、更に2回のフォトリソグ
ラフィとエッチング工程によって最大4段の階段状の断
面をもつ回折素子が形成でき、更に3回のフォトリソグ
ラフィとエッチング工程によって最大8段の階段状の断
面をもつ回折素子が形成できる。このように、n回のフ
ォトリソグラフィとエッチング工程の繰り返しによっ
て、最大2のn乗の段数の階段状の断面をもつ回折素子
が形成できる。
された回折素子の例の断面模式図である。この図4にお
いては、便宜上、上下方向と左右方向の縮尺比は同じで
はない。また、この図4では一例として段数が2ステッ
プ型、4ステップ型、8ステップ型のものをあげてい
る。例えば、1回のフォトリソグラフィとエッチング工
程によって2段の凹凸をもったいわゆるバイナリー型の
回折素子が形成できる。また、更に2回のフォトリソグ
ラフィとエッチング工程によって最大4段の階段状の断
面をもつ回折素子が形成でき、更に3回のフォトリソグ
ラフィとエッチング工程によって最大8段の階段状の断
面をもつ回折素子が形成できる。このように、n回のフ
ォトリソグラフィとエッチング工程の繰り返しによっ
て、最大2のn乗の段数の階段状の断面をもつ回折素子
が形成できる。
【0004】しかし、このようなフォトリソグラフィ技
術によって形成できる階段状の段差の1段の幅には、装
置やエッチング技術の分解能といった技術上の制限があ
る。このため、レンズ作用をもたせる必要から一定間隔
ではない極めて微小な格子間隔をもつ回折素子におい
て、その格子領域の一部分でフォトリソグラフィ工程に
おける分解能を超えてしまい、同一の段数で形成できな
くなることがある。すなわち、このような回折素子では
段数の異なる領域が形成されることとなる。
術によって形成できる階段状の段差の1段の幅には、装
置やエッチング技術の分解能といった技術上の制限があ
る。このため、レンズ作用をもたせる必要から一定間隔
ではない極めて微小な格子間隔をもつ回折素子におい
て、その格子領域の一部分でフォトリソグラフィ工程に
おける分解能を超えてしまい、同一の段数で形成できな
くなることがある。すなわち、このような回折素子では
段数の異なる領域が形成されることとなる。
【0005】図5は、フォトリソグラフィ技術により作
成された回折素子の模式図である。3は光学基板であ
る。なお、図5においても説明の便宜上、上下方向と左
右方向の縮尺比は同じではない。図5に示すように、光
学基板の外部からみて凹面の作用をする回折素子が形成
され、1つの回折素子内に8ステップ、4ステップおよ
び2ステップの領域が形成されている。これは、図5に
示すように凹面の同心円の中心である光軸から離れるに
従って格子の形成周期が狭くなり、フォトリソグラフィ
工程における分解能を超えてしまって、同一の段数で形
成できなくなったためである。
成された回折素子の模式図である。3は光学基板であ
る。なお、図5においても説明の便宜上、上下方向と左
右方向の縮尺比は同じではない。図5に示すように、光
学基板の外部からみて凹面の作用をする回折素子が形成
され、1つの回折素子内に8ステップ、4ステップおよ
び2ステップの領域が形成されている。これは、図5に
示すように凹面の同心円の中心である光軸から離れるに
従って格子の形成周期が狭くなり、フォトリソグラフィ
工程における分解能を超えてしまって、同一の段数で形
成できなくなったためである。
【0006】図6は、フォトリソグラフィ技術により作
成された回折素子の作成フローを示した断面模式図であ
る。この図6においても説明の便宜上、特徴を強調する
ため上下方向と左右方向の縮尺比は同じではない。図6
においては一例として図5のような段数が8ステップ、
4ステップ、2ステップで形成されたものをあげる。
成された回折素子の作成フローを示した断面模式図であ
る。この図6においても説明の便宜上、特徴を強調する
ため上下方向と左右方向の縮尺比は同じではない。図6
においては一例として図5のような段数が8ステップ、
4ステップ、2ステップで形成されたものをあげる。
【0007】まず、図6(a)(b)に示すように、第
1のマスクを用いたフォトリソグラフィ工程とエッチン
グ工程よって、8ステップ領域の最も狭い幅の段差を形
成する。次に図6(c)(d)に示すように、第2のマ
スクを用いたフォトリソグラフィ工程とエッチング工程
よって、4ステップ領域の幅の段差を形成する。最後に
図6(e)(f)に示すように、第3のマスクを用いた
フォトリソグラフィ工程とエッチング工程よって、2ス
テップ領域の最も広い幅の段差を形成する。このように
して図6(g)に示すような段数が8ステップ、4ステ
ップ、2ステップで形成された階段状の断面を有する回
折素子を形成することができる。
1のマスクを用いたフォトリソグラフィ工程とエッチン
グ工程よって、8ステップ領域の最も狭い幅の段差を形
成する。次に図6(c)(d)に示すように、第2のマ
スクを用いたフォトリソグラフィ工程とエッチング工程
よって、4ステップ領域の幅の段差を形成する。最後に
図6(e)(f)に示すように、第3のマスクを用いた
フォトリソグラフィ工程とエッチング工程よって、2ス
テップ領域の最も広い幅の段差を形成する。このように
して図6(g)に示すような段数が8ステップ、4ステ
ップ、2ステップで形成された階段状の断面を有する回
折素子を形成することができる。
【0008】ここで8ステップ領域の深さを1とする
と、後述の図3の段数からも分かるように、4ステップ
領域の深さは6/7、2ステップ領域は4/7の深さま
で作成することができることになる。また、ここでは8
ステップ領域の最も狭い幅の段差から形成する例で説明
したが、逆に2ステップ領域の最も広い幅の段差から形
成しても同様の形状を作成することができる。
と、後述の図3の段数からも分かるように、4ステップ
領域の深さは6/7、2ステップ領域は4/7の深さま
で作成することができることになる。また、ここでは8
ステップ領域の最も狭い幅の段差から形成する例で説明
したが、逆に2ステップ領域の最も広い幅の段差から形
成しても同様の形状を作成することができる。
【0009】以上のように形成された8ステップ、4ス
テップおよび2ステップの領域が存在する回折素子につ
いて、図3を用いてさらに詳しく説明する。図3は従来
の回折素子の断面模式図である。図3において、点線2
1は波面収差零の曲線であって、波面収差を無くすよう
な理想的な面の形状(無収差曲線からなる断面形状)を
表わす曲線、実線22は実際の回折素子であって、回折
素子の断面形状を示している。ここで波面収差を無くす
ような理想的な面の断面形状は一般的には曲線になる
が、ここでは簡略化し直線で示している。この図3にお
いて、深さ(図3では上下方向)は、この無収差曲線に
より決定される。無収差曲線は透過型や反射型といった
回折素子の種類や使用する光の波長により計算される。
ここで光学的波長とは、回折素子において回折が起こる
領域の屈折率を勘案した波長のことである。
テップおよび2ステップの領域が存在する回折素子につ
いて、図3を用いてさらに詳しく説明する。図3は従来
の回折素子の断面模式図である。図3において、点線2
1は波面収差零の曲線であって、波面収差を無くすよう
な理想的な面の形状(無収差曲線からなる断面形状)を
表わす曲線、実線22は実際の回折素子であって、回折
素子の断面形状を示している。ここで波面収差を無くす
ような理想的な面の断面形状は一般的には曲線になる
が、ここでは簡略化し直線で示している。この図3にお
いて、深さ(図3では上下方向)は、この無収差曲線に
より決定される。無収差曲線は透過型や反射型といった
回折素子の種類や使用する光の波長により計算される。
ここで光学的波長とは、回折素子において回折が起こる
領域の屈折率を勘案した波長のことである。
【0010】また面方向(図3では左右方向)について
は、無収差曲線はこの回折素子のレンズ作用および使用
波長に特有な繰り返し性を持つ輪帯として定義される。
この輪帯の間隔(格子間隔)は、例えば図5に示したよ
うな同芯円状の回折素子の場合、外側に行くに従って間
隔が狭くなっていく。そのためこの間隔が狭くなりすぎ
て細かなパターンが作成できなくなり、外周部では段数
を減少させていくことになる。
は、無収差曲線はこの回折素子のレンズ作用および使用
波長に特有な繰り返し性を持つ輪帯として定義される。
この輪帯の間隔(格子間隔)は、例えば図5に示したよ
うな同芯円状の回折素子の場合、外側に行くに従って間
隔が狭くなっていく。そのためこの間隔が狭くなりすぎ
て細かなパターンが作成できなくなり、外周部では段数
を減少させていくことになる。
【0011】図3においてはこの格子間隔を物理的な距
離で表さず、1つの輪帯の格子間隔を1とし、その輪帯
における段差の境界位置等をその間隔の比率で表し、こ
の1つ1つの輪帯の繰り返しを輪帯周期として表現して
いる。従って、図3においては、左右方向の位置は物理
的な距離ではない。こうすることによって1つの輪帯内
の段差の境界位置をその輪帯の中で相対的に決めること
ができ、より汎用的に形状を表現できることになる。従
って図3では、異なる周期の輪帯の物理的間隔は異なっ
ている。また、深さ方向も、無収差曲線の深さは光学的
波長によって決まる物理的な大きさではあるが、形成す
る最多の段数で分割し、その段差数で表現している。
離で表さず、1つの輪帯の格子間隔を1とし、その輪帯
における段差の境界位置等をその間隔の比率で表し、こ
の1つ1つの輪帯の繰り返しを輪帯周期として表現して
いる。従って、図3においては、左右方向の位置は物理
的な距離ではない。こうすることによって1つの輪帯内
の段差の境界位置をその輪帯の中で相対的に決めること
ができ、より汎用的に形状を表現できることになる。従
って図3では、異なる周期の輪帯の物理的間隔は異なっ
ている。また、深さ方向も、無収差曲線の深さは光学的
波長によって決まる物理的な大きさではあるが、形成す
る最多の段数で分割し、その段差数で表現している。
【0012】図3において、段数の異なる領域として、
8ステップ、4ステップ及び2ステップの3つの領域を
有する回折素子を例にして以下説明する。図3におい
て、8ステップ領域の各周期の格子において最初の段差
の開始位置(溝の開始位置)は、この1つ前の周期の1
5/16(=0.9375)であって、最後の段差が終
わる位置(=1つ次の周期の開始位置)は当該の周期の
15/16となっている。このような構成にすることに
よって、この領域において実際の断面形状(実線22)
と理想的な形状(点線21)との差が最小となり、この
部分における波面収差が最小となる。
8ステップ、4ステップ及び2ステップの3つの領域を
有する回折素子を例にして以下説明する。図3におい
て、8ステップ領域の各周期の格子において最初の段差
の開始位置(溝の開始位置)は、この1つ前の周期の1
5/16(=0.9375)であって、最後の段差が終
わる位置(=1つ次の周期の開始位置)は当該の周期の
15/16となっている。このような構成にすることに
よって、この領域において実際の断面形状(実線22)
と理想的な形状(点線21)との差が最小となり、この
部分における波面収差が最小となる。
【0013】しかし従来の方法では、4ステップ領域及
び2ステップ領域においても、8ステップ領域と同じよ
うに、各周期における最初の段差の開始位置を、この1
つ前の周期の15/16(=0.9375)、最後の段
差が終わる位置(=1つ次の周期の開始位置)をその周
期の15/16となるように段差を形成しており、4ス
テップ領域と2ステップ領域においては実際の断面形状
(実線22)と理想的な形状(点線21)との差が大き
く崩れてしまうものであった。
び2ステップ領域においても、8ステップ領域と同じよ
うに、各周期における最初の段差の開始位置を、この1
つ前の周期の15/16(=0.9375)、最後の段
差が終わる位置(=1つ次の周期の開始位置)をその周
期の15/16となるように段差を形成しており、4ス
テップ領域と2ステップ領域においては実際の断面形状
(実線22)と理想的な形状(点線21)との差が大き
く崩れてしまうものであった。
【0014】すなわち、8ステップ領域の回素子の実際
の形状を階段状の段差で近似するとき、1つ前の周期の
最後の格子において1段の幅の1/2の位置で最大深さ
の段差(溝)を開始するようにし、次の周期の最初の格
子において基準幅の1/2の位置から段差を立ち上げて
1段高い段にし、さらにこれから1ピッチずれた3/2
幅の位置で再度1段高い高さにする。そしてこれを繰り
返せばよい。こうすることによって例えば、8ステップ
の場合には1つ前の周期の15/16の位置で最大深さ
を形成し、次の周期の1/16の位置で立ち上がること
になる。
の形状を階段状の段差で近似するとき、1つ前の周期の
最後の格子において1段の幅の1/2の位置で最大深さ
の段差(溝)を開始するようにし、次の周期の最初の格
子において基準幅の1/2の位置から段差を立ち上げて
1段高い段にし、さらにこれから1ピッチずれた3/2
幅の位置で再度1段高い高さにする。そしてこれを繰り
返せばよい。こうすることによって例えば、8ステップ
の場合には1つ前の周期の15/16の位置で最大深さ
を形成し、次の周期の1/16の位置で立ち上がること
になる。
【0015】しかし、従来のようにこの方式で4ステッ
プ領域の2段の段差で近似するときには、1つ前の周期
の最後の格子において1段の幅の1/2の位置で最大深
さを形成して、次の周期の最初の1段の幅の3/2の位
置から2ステップ分立ち上げて2段の高さの段差を形成
する。この場合、図3に示すように無収差曲線から大き
くずれてしまうものであった。従ってこの部分での波面
収差が大きくなり、このような回折素子を用いた従来の
光学装置は光スポット品質や画像品質の低下を招くもの
であった。
プ領域の2段の段差で近似するときには、1つ前の周期
の最後の格子において1段の幅の1/2の位置で最大深
さを形成して、次の周期の最初の1段の幅の3/2の位
置から2ステップ分立ち上げて2段の高さの段差を形成
する。この場合、図3に示すように無収差曲線から大き
くずれてしまうものであった。従ってこの部分での波面
収差が大きくなり、このような回折素子を用いた従来の
光学装置は光スポット品質や画像品質の低下を招くもの
であった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
フォトリソグラフィ技術によって形成できる階段状の段
差の1段の幅には、装置やエッチング技術の分解能とい
った技術上の制限がある。このため、レンズ作用をもた
せる必要から一定間隔ではない極めて微小な格子間隔を
もつ回折素子において、従来その格子領域の一部分でフ
ォトリソグラフィ工程における分解能を超えてしまっ
て、同一の段数で形成できなくなることが発生した。
フォトリソグラフィ技術によって形成できる階段状の段
差の1段の幅には、装置やエッチング技術の分解能とい
った技術上の制限がある。このため、レンズ作用をもた
せる必要から一定間隔ではない極めて微小な格子間隔を
もつ回折素子において、従来その格子領域の一部分でフ
ォトリソグラフィ工程における分解能を超えてしまっ
て、同一の段数で形成できなくなることが発生した。
【0017】従って、従来の回折素子では段数の異なる
領域が形成され、格子間隔が微小になりすぎてしまう。
同一の段数で形成できなくなった領域では、それまでの
領域で行った格子の開始位置を形成する方法をそのまま
適用して段数の減少した領域を形成してしまうと、本来
の波面収差を無くすような理想的な曲面から大きくずれ
てしまい、段数の減少した領域での波面収差が大きくな
ってしまい、光学的特性を損ねてしまう。
領域が形成され、格子間隔が微小になりすぎてしまう。
同一の段数で形成できなくなった領域では、それまでの
領域で行った格子の開始位置を形成する方法をそのまま
適用して段数の減少した領域を形成してしまうと、本来
の波面収差を無くすような理想的な曲面から大きくずれ
てしまい、段数の減少した領域での波面収差が大きくな
ってしまい、光学的特性を損ねてしまう。
【0018】そこで本発明は、本来の波面収差を無くす
ような理想的な曲面からのずれを最小にするような回折
素子を形成することを目的とする。
ような理想的な曲面からのずれを最小にするような回折
素子を形成することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の回折素子は、所
定の段差と複数の段数で構成される周期を複数備えた領
域を組み合わせて構成され、各領域ごとに段数を異なら
せて階段状断面を形成する回折素子であって、領域のそ
れぞれにおいて、各周期における最初の段差の開始位置
が他の領域の最初の段差の開始位置と異なって配置され
たことを特徴とする。
定の段差と複数の段数で構成される周期を複数備えた領
域を組み合わせて構成され、各領域ごとに段数を異なら
せて階段状断面を形成する回折素子であって、領域のそ
れぞれにおいて、各周期における最初の段差の開始位置
が他の領域の最初の段差の開始位置と異なって配置され
たことを特徴とする。
【0020】これにより、本来の波面収差を無くすよう
な理想的な曲面からのずれを最小にするような回折素子
を形成することができる。
な理想的な曲面からのずれを最小にするような回折素子
を形成することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、所定の段差と複数の段数で構成される周期を複数備
えた領域を組み合わせて構成され、各領域ごとに段数を
異ならせて階段状断面を形成する回折素子であって、領
域のそれぞれにおいて、各周期における最初の段差の開
始位置が他の領域の最初の段差の開始位置と異なって配
置されたことを特徴とする回折素子であり、レンズ作用
をもたせるため格子間隔が一定ではなく、また、極めて
微小な格子間隔をもつため格子領域の一部分でフォトリ
ソグラフィ工程における分解能を超えてしまって、同一
の段数で形成できなくなり、段数の異なる領域が形成さ
れる回折素子に対して、本来の波面収差を無くすような
理想的な曲面からのずれを最小にする回折素子を得られ
る。
は、所定の段差と複数の段数で構成される周期を複数備
えた領域を組み合わせて構成され、各領域ごとに段数を
異ならせて階段状断面を形成する回折素子であって、領
域のそれぞれにおいて、各周期における最初の段差の開
始位置が他の領域の最初の段差の開始位置と異なって配
置されたことを特徴とする回折素子であり、レンズ作用
をもたせるため格子間隔が一定ではなく、また、極めて
微小な格子間隔をもつため格子領域の一部分でフォトリ
ソグラフィ工程における分解能を超えてしまって、同一
の段数で形成できなくなり、段数の異なる領域が形成さ
れる回折素子に対して、本来の波面収差を無くすような
理想的な曲面からのずれを最小にする回折素子を得られ
る。
【0022】本発明の請求項2に記載の発明は、所定の
段差と複数の段数で構成される周期を複数備えた領域を
組み合わせて構成され、各領域ごとに段数を異ならせて
階段状断面を形成する回折素子であって、領域のそれぞ
れにおいて、各周期における最初の段差の中央位置を無
収差曲線と交叉させ、段差の幅の1/2だけ該中央位置
から隣寄りにずらした位置に開始位置を配置したことを
特徴とする回折素子であり、本来の波面収差を無くすよ
うな理想的な曲面からのずれを最小にする回折素子を得
られる。
段差と複数の段数で構成される周期を複数備えた領域を
組み合わせて構成され、各領域ごとに段数を異ならせて
階段状断面を形成する回折素子であって、領域のそれぞ
れにおいて、各周期における最初の段差の中央位置を無
収差曲線と交叉させ、段差の幅の1/2だけ該中央位置
から隣寄りにずらした位置に開始位置を配置したことを
特徴とする回折素子であり、本来の波面収差を無くすよ
うな理想的な曲面からのずれを最小にする回折素子を得
られる。
【0023】本発明の請求項3に記載の発明は、隣接
し、段数が異なる第1領域と第2領域において、第1領
域の最後の段差の終端位置が第2領域の最初の段差の開
始位置と一致するまで、第1領域の最後の段差が延長さ
れることを特徴とする請求項1または2記載の回折素子
であり、本来の波面収差を無くすような理想的な曲面か
らのずれを最小にする回折素子を得られる。
し、段数が異なる第1領域と第2領域において、第1領
域の最後の段差の終端位置が第2領域の最初の段差の開
始位置と一致するまで、第1領域の最後の段差が延長さ
れることを特徴とする請求項1または2記載の回折素子
であり、本来の波面収差を無くすような理想的な曲面か
らのずれを最小にする回折素子を得られる。
【0024】本発明の請求項4に記載の発明は、所定の
段差と複数の段数で構成される周期を複数備えた領域を
組み合わせて構成され、各領域ごとに周期の段数を2n
ステップ、2n-1ステップ、2n-2ステップ、・・・、2
ステップのいずれかの段数として階段状断面を形成する
回折素子であって、2nステップの領域における最初の
段差の開始位置が隣接する周期の(2n+1−1)/2n+1
の位置に置かれ、最後の段差の終端位置が該周期の(2
n+1−1)/2n+1であることを特徴とする回折素子であ
り、2nステップの領域における最初の段差の開始位置
が隣接する周期の(2n+1−1)/2n+1の位置に置か
れ、最後の段差の終端位置が該周期の(2 n+1−1)/
2n+1であることを特徴とする回折素子であり、本来の
波面収差を無くすような理想的な曲面からのずれを最小
にする回折素子を得られる。
段差と複数の段数で構成される周期を複数備えた領域を
組み合わせて構成され、各領域ごとに周期の段数を2n
ステップ、2n-1ステップ、2n-2ステップ、・・・、2
ステップのいずれかの段数として階段状断面を形成する
回折素子であって、2nステップの領域における最初の
段差の開始位置が隣接する周期の(2n+1−1)/2n+1
の位置に置かれ、最後の段差の終端位置が該周期の(2
n+1−1)/2n+1であることを特徴とする回折素子であ
り、2nステップの領域における最初の段差の開始位置
が隣接する周期の(2n+1−1)/2n+1の位置に置か
れ、最後の段差の終端位置が該周期の(2 n+1−1)/
2n+1であることを特徴とする回折素子であり、本来の
波面収差を無くすような理想的な曲面からのずれを最小
にする回折素子を得られる。
【0025】本発明の請求項5に記載の発明は、2n-i
ステップ(nは2以上の自然数、i=1,・・,n−
1)の領域における最初の段差の開始位置が、2nステ
ップの領域における最後の周期の(2n+1−1)/2n+1
の位置を基準に1/2n+1+1/2n+・・+1/2
n+2-iの位置であることを特徴とする請求項4記載の回
折素子であるから、本来の波面収差を無くすような理想
的な曲面からのずれを最小にする回折素子を得られる。
ステップ(nは2以上の自然数、i=1,・・,n−
1)の領域における最初の段差の開始位置が、2nステ
ップの領域における最後の周期の(2n+1−1)/2n+1
の位置を基準に1/2n+1+1/2n+・・+1/2
n+2-iの位置であることを特徴とする請求項4記載の回
折素子であるから、本来の波面収差を無くすような理想
的な曲面からのずれを最小にする回折素子を得られる。
【0026】(実施の形態1)図1は本発明の実施の形
態1における回折素子の断面模式図である。図1におい
て、点線1は波面収差零の曲線であって、波面収差を無
くすような理想的な面の形状(無収差曲線からなる断面
形状)を表わす曲線、実線2は実際の回折素子断面図で
あって、回折素子の断面形状を示している。詳細は従来
の技術の説明で説明した通りである。図1に示す深さ
(図1では上下方向)は、無収差曲線により決定され
る。また、面方向(図1では左右方向)については、無
収差曲線はこの回折素子のレンズ作用および使用波長に
特有な繰り返し性を持つ輪帯として定義される。
態1における回折素子の断面模式図である。図1におい
て、点線1は波面収差零の曲線であって、波面収差を無
くすような理想的な面の形状(無収差曲線からなる断面
形状)を表わす曲線、実線2は実際の回折素子断面図で
あって、回折素子の断面形状を示している。詳細は従来
の技術の説明で説明した通りである。図1に示す深さ
(図1では上下方向)は、無収差曲線により決定され
る。また、面方向(図1では左右方向)については、無
収差曲線はこの回折素子のレンズ作用および使用波長に
特有な繰り返し性を持つ輪帯として定義される。
【0027】格子はこの1周期の輪帯の間隔である。図
1においてはこの格子間隔を物理的な距離で表さず、1
つの輪帯の格子間隔を1とし、その輪帯における段差の
境界位置等をその間隔の比率で表し、この1つ1つの輪
帯の繰り返しを輪帯周期として表現している。従って、
左右方向の位置は物理的な距離ではない。こうすること
によって1つの輪帯内の段差の境界位置をその輪帯の中
で相対的に決めることができ、より汎用的に形状を表現
できることになる。従って図1では、異なる周期の輪帯
の物理的間隔は異なっている。
1においてはこの格子間隔を物理的な距離で表さず、1
つの輪帯の格子間隔を1とし、その輪帯における段差の
境界位置等をその間隔の比率で表し、この1つ1つの輪
帯の繰り返しを輪帯周期として表現している。従って、
左右方向の位置は物理的な距離ではない。こうすること
によって1つの輪帯内の段差の境界位置をその輪帯の中
で相対的に決めることができ、より汎用的に形状を表現
できることになる。従って図1では、異なる周期の輪帯
の物理的間隔は異なっている。
【0028】深さ方向も、無収差曲線の深さは光学的波
長によって決まる物理的な大きさではあるが、形成する
最多の段数で分割し、その段数で表現している。本実施
の形態1では、8ステップが最大であるので、0〜7段
となる。左右方向は物理的な距離を表すものではないの
で、当然左右方向と深さ方向との比も物理的な関連はな
い。
長によって決まる物理的な大きさではあるが、形成する
最多の段数で分割し、その段数で表現している。本実施
の形態1では、8ステップが最大であるので、0〜7段
となる。左右方向は物理的な距離を表すものではないの
で、当然左右方向と深さ方向との比も物理的な関連はな
い。
【0029】図1を用いて本発明における形状の特徴と
その作用について、段数の異なる領域として、8ステッ
プ、4ステップ及び2ステップの3つの領域を有する回
折素子を例にとって説明する。
その作用について、段数の異なる領域として、8ステッ
プ、4ステップ及び2ステップの3つの領域を有する回
折素子を例にとって説明する。
【0030】図1において、8ステップ領域の各周期の
格子における最初の段差の開始位置は、この1つ前の周
期の15/16(=0.9375)で、最後の段差が終
わる位置(=1つ次の周期の開始位置)はその周期の1
5/16となっている。8ステップ領域でこのように構
成することによって、この領域において実際の断面形状
(実線2)と理想的な形状(点線1)との差が最小とな
りこの部分での波面収差が最小となる。
格子における最初の段差の開始位置は、この1つ前の周
期の15/16(=0.9375)で、最後の段差が終
わる位置(=1つ次の周期の開始位置)はその周期の1
5/16となっている。8ステップ領域でこのように構
成することによって、この領域において実際の断面形状
(実線2)と理想的な形状(点線1)との差が最小とな
りこの部分での波面収差が最小となる。
【0031】さて、8ステップ領域の回折格子の実際の
形状を階段状の段差で近似するとき、1つ前の周期の最
後の段差において1つの段差の幅の1/2の位置(中央
位置)で最大深さの段差(溝)が開始するようにし、次
の周期の最初の段差にこの周期における1つの段差の幅
の1/2の位置から段差を立ち上げて1段高い段にす
る。さらに、これから1ピッチずれた3/2幅の位置で
再度1段高い高さにし、これを繰り返せばよい。従っ
て、例えば8ステップの場合には1つ前の周期の15/
16の位置で最大深さを形成し、次の周期の1/16の
位置で立ち上がることになる。
形状を階段状の段差で近似するとき、1つ前の周期の最
後の段差において1つの段差の幅の1/2の位置(中央
位置)で最大深さの段差(溝)が開始するようにし、次
の周期の最初の段差にこの周期における1つの段差の幅
の1/2の位置から段差を立ち上げて1段高い段にす
る。さらに、これから1ピッチずれた3/2幅の位置で
再度1段高い高さにし、これを繰り返せばよい。従っ
て、例えば8ステップの場合には1つ前の周期の15/
16の位置で最大深さを形成し、次の周期の1/16の
位置で立ち上がることになる。
【0032】しかし、4ステップ領域において、この方
式のままでは、図3に示すように実線22の深さ及び段
差の幅の中央を点線21が通過せず、無収差曲線から大
きくずれてしまう。そこで、実施の形態1においては、
実線2の段差の深さ及び段差の幅の中央を点線1が通過
するようにし、当該周期の最初の段差の開始位置を決定
するものである。
式のままでは、図3に示すように実線22の深さ及び段
差の幅の中央を点線21が通過せず、無収差曲線から大
きくずれてしまう。そこで、実施の形態1においては、
実線2の段差の深さ及び段差の幅の中央を点線1が通過
するようにし、当該周期の最初の段差の開始位置を決定
するものである。
【0033】従って4ステップ領域においては、各周期
の格子の最初の段差の開始位置はその周期の開始位置と
合致する。すなわち、0/4で始まり、最後の段差が終
わる位置(=1つ次の周期の開始位置)は当該の周期の
4/4となっている。こうすることによってこの4ステ
ップ領域においても実際の断面形状(実線2)と理想的
な形状(点線1)との差が最小となりこの部分での波面
収差が最小となる。
の格子の最初の段差の開始位置はその周期の開始位置と
合致する。すなわち、0/4で始まり、最後の段差が終
わる位置(=1つ次の周期の開始位置)は当該の周期の
4/4となっている。こうすることによってこの4ステ
ップ領域においても実際の断面形状(実線2)と理想的
な形状(点線1)との差が最小となりこの部分での波面
収差が最小となる。
【0034】続いて2ステップ領域では各周期の格子の
最初の段差の開始位置は、当該の周期の1/8の位置か
ら始まり、最後の段差が終わる位置(=1つ次の周期の
開始位置)は次の周期の1/8となっている。こうする
ことによってこの2ステップ領域においても実際の断面
形状(実線2)と理想的な形状(点線1)との差が最小
となりこの部分での波面収差が最小となる。
最初の段差の開始位置は、当該の周期の1/8の位置か
ら始まり、最後の段差が終わる位置(=1つ次の周期の
開始位置)は次の周期の1/8となっている。こうする
ことによってこの2ステップ領域においても実際の断面
形状(実線2)と理想的な形状(点線1)との差が最小
となりこの部分での波面収差が最小となる。
【0035】なお、各周期の最初の段差の開始位置は上
述のようにして定まるから、1つ前の周期の段差が終わ
る位置がこの点と一致していない場合、例えば8ステッ
プ領域と4ステップ領域の境界、及び4ステップ領域と
2ステップ領域等の境界においては、次のステップの開
始まで前のステップ領域終点を延長させる必要がある。
すなわち、8ステップ領域の最終周期の終点は次の4ス
テップ領域の第1周期の開始点である0/4の位置とな
り、4ステップ領域の最終周期の終点は次の2ステップ
領域の第1周期の開始点である1/8の位置となる。
述のようにして定まるから、1つ前の周期の段差が終わ
る位置がこの点と一致していない場合、例えば8ステッ
プ領域と4ステップ領域の境界、及び4ステップ領域と
2ステップ領域等の境界においては、次のステップの開
始まで前のステップ領域終点を延長させる必要がある。
すなわち、8ステップ領域の最終周期の終点は次の4ス
テップ領域の第1周期の開始点である0/4の位置とな
り、4ステップ領域の最終周期の終点は次の2ステップ
領域の第1周期の開始点である1/8の位置となる。
【0036】(実施の形態2)図2は本発明の実施の形
態2における回折素子の断面模式図である。図2におい
て、点線11は波面収差零の曲線であって、波面収差を
無くすような理想的な面の形状(無収差曲線からなる断
面形状)を表わす曲線、実線12は実際の回折素子断面
図であって、回折素子の断面形状である。深さ(図2で
は上下方向)は、無収差曲線により決定される。また、
面方向(図2では左右方向)については、無収差曲線は
この回折素子のレンズ作用および使用波長に特有な繰り
返し性を持つ輪帯として定義される。図2においてもこ
の格子間隔を物理的な距離で表さず、1つの輪帯の格子
間隔を1とし、その輪帯における段差の境界位置等をそ
の間隔の比率で表し、この1つ1つの輪帯の繰り返しを
輪帯周期として表現している。
態2における回折素子の断面模式図である。図2におい
て、点線11は波面収差零の曲線であって、波面収差を
無くすような理想的な面の形状(無収差曲線からなる断
面形状)を表わす曲線、実線12は実際の回折素子断面
図であって、回折素子の断面形状である。深さ(図2で
は上下方向)は、無収差曲線により決定される。また、
面方向(図2では左右方向)については、無収差曲線は
この回折素子のレンズ作用および使用波長に特有な繰り
返し性を持つ輪帯として定義される。図2においてもこ
の格子間隔を物理的な距離で表さず、1つの輪帯の格子
間隔を1とし、その輪帯における段差の境界位置等をそ
の間隔の比率で表し、この1つ1つの輪帯の繰り返しを
輪帯周期として表現している。
【0037】図2を用いて本実施の形態2における形状
の特徴とその作用について、段数の異なる領域として、
16ステップ、8ステップ、4ステップおよび2ステッ
プの4つの領域を有する回折素子を例にあげて説明す
る。図2において、16ステップ領域の各周期の最初の
段差の開始位置は、この1つ前の周期の31/32(=
0.96875)で、最後の段差が終わる位置(=1つ
次の周期の開始位置)はその周期の31/32となって
いる。こうすることによってこの領域において実際の断
面形状(実線12)と理想的な形状(点線11)との差
が最小となりこの部分での波面収差が最小となる。
の特徴とその作用について、段数の異なる領域として、
16ステップ、8ステップ、4ステップおよび2ステッ
プの4つの領域を有する回折素子を例にあげて説明す
る。図2において、16ステップ領域の各周期の最初の
段差の開始位置は、この1つ前の周期の31/32(=
0.96875)で、最後の段差が終わる位置(=1つ
次の周期の開始位置)はその周期の31/32となって
いる。こうすることによってこの領域において実際の断
面形状(実線12)と理想的な形状(点線11)との差
が最小となりこの部分での波面収差が最小となる。
【0038】次に8ステップ領域では各周期の最初の段
差の開始位置は、その周期の開始位置と合致する。すな
わち、0/8で始まり、最後の段差が終わる位置(=1
つ次の周期の開始位置)はその周期の8/8となってい
る。こうすることによってこの8ステップ領域において
も実際の断面形状(実線12)と理想的な形状(点線1
1)との差が最小となりこの部分での波面収差が最小と
なる。
差の開始位置は、その周期の開始位置と合致する。すな
わち、0/8で始まり、最後の段差が終わる位置(=1
つ次の周期の開始位置)はその周期の8/8となってい
る。こうすることによってこの8ステップ領域において
も実際の断面形状(実線12)と理想的な形状(点線1
1)との差が最小となりこの部分での波面収差が最小と
なる。
【0039】次に4ステップ領域では各周期の格子の最
初の段差の開始位置は、その周期の1/16(0.06
25)で始まり、最後の段差が終わる位置(=1つ次の
周期の開始位置)は次の周期の1/16となっている。
こうすることによってこの4ステップ領域においても実
際の断面形状(実線12)と理想的な形状(点線11)
との差が最小となりこの部分での波面収差が最小とな
る。
初の段差の開始位置は、その周期の1/16(0.06
25)で始まり、最後の段差が終わる位置(=1つ次の
周期の開始位置)は次の周期の1/16となっている。
こうすることによってこの4ステップ領域においても実
際の断面形状(実線12)と理想的な形状(点線11)
との差が最小となりこの部分での波面収差が最小とな
る。
【0040】さらに2ステップ領域では各周期の最初の
段差の開始位置は、その周期の1/16+1/8=3/
16(=0.1875)で始まり、最後の段差が終わる
位置(=1つ次の周期の開始位置)は次の周期の3/1
6となっている。こうすることによってこの2ステップ
領域においても実際の断面形状(実線12)と理想的な
形状(点線11)との差が最小となりこの部分での波面
収差が最小となる。
段差の開始位置は、その周期の1/16+1/8=3/
16(=0.1875)で始まり、最後の段差が終わる
位置(=1つ次の周期の開始位置)は次の周期の3/1
6となっている。こうすることによってこの2ステップ
領域においても実際の断面形状(実線12)と理想的な
形状(点線11)との差が最小となりこの部分での波面
収差が最小となる。
【0041】なお、各周期の最初の段差の開始位置は上
述のようにして定まるから、1つ次の周期の段差が終わ
る位置がこの点と一致していない場合、16ステップ領
域と8ステップ領域の境界、8ステップ領域と4ステッ
プ領域の境界、及び4ステップ領域と2ステップ領域の
境界は、次のステップの開始まで前のステップ領域終点
を延ばす必要がある。すなわち、16ステップ領域の最
終周期の終点は次の8ステップ領域の第1周期の開始点
である0/8の位置、8ステップ領域の最終周期の終点
は次の4ステップ領域の第1周期の開始点である1/1
6の位置となり、4ステップ領域の最終周期の終点は次
の2ステップ領域の第1周期の開始点である3/16の
位置となる。
述のようにして定まるから、1つ次の周期の段差が終わ
る位置がこの点と一致していない場合、16ステップ領
域と8ステップ領域の境界、8ステップ領域と4ステッ
プ領域の境界、及び4ステップ領域と2ステップ領域の
境界は、次のステップの開始まで前のステップ領域終点
を延ばす必要がある。すなわち、16ステップ領域の最
終周期の終点は次の8ステップ領域の第1周期の開始点
である0/8の位置、8ステップ領域の最終周期の終点
は次の4ステップ領域の第1周期の開始点である1/1
6の位置となり、4ステップ領域の最終周期の終点は次
の2ステップ領域の第1周期の開始点である3/16の
位置となる。
【0042】このように実施の形態2における回折素子
の階段状のステップ数は16,8,4,2であったが、
これ以外の段数の組み合わせにおいても、一般性を損な
うことなく同様に適応できる。すなわち、2nステッ
プ、2n-1ステップ、2n-2ステップ、・・・、2の段数
の異なる複数の領域を有する回折素子において、2nス
テップ領域の各周期の格子の最初の段差の開始位置は、
1つ前の周期の(2n+1−1)/2n+1で、最後の段差が
終わる位置(=1つ次の周期の開始位置)は当該の周期
の(2n+1−1)/2n+1となっている。こうすることに
よってこの領域において実際の断面形状(実線12)と
理想的な形状(点線11)との差が最小となりこの部分
での波面収差が最小となる。
の階段状のステップ数は16,8,4,2であったが、
これ以外の段数の組み合わせにおいても、一般性を損な
うことなく同様に適応できる。すなわち、2nステッ
プ、2n-1ステップ、2n-2ステップ、・・・、2の段数
の異なる複数の領域を有する回折素子において、2nス
テップ領域の各周期の格子の最初の段差の開始位置は、
1つ前の周期の(2n+1−1)/2n+1で、最後の段差が
終わる位置(=1つ次の周期の開始位置)は当該の周期
の(2n+1−1)/2n+1となっている。こうすることに
よってこの領域において実際の断面形状(実線12)と
理想的な形状(点線11)との差が最小となりこの部分
での波面収差が最小となる。
【0043】次に2n-1ステップ領域では各周期の最初
の段差の開始位置は、その前の2nステップ領域の開
始、終了位置に1/2n+1を加えた位置、すなわち、そ
の周期の開始位置と合致する。すなわち、0/2n-1で
始まり、最後の段差が終わる位置(=次の周期の開始位
置)はその周期の2n-1/2n-1となっている。こうする
ことによってこの2n-1ステップ領域においても実際の
断面形状(実線12)と理想的な形状(点線11)との
差が最小となりこの部分での波面収差が最小となる。
の段差の開始位置は、その前の2nステップ領域の開
始、終了位置に1/2n+1を加えた位置、すなわち、そ
の周期の開始位置と合致する。すなわち、0/2n-1で
始まり、最後の段差が終わる位置(=次の周期の開始位
置)はその周期の2n-1/2n-1となっている。こうする
ことによってこの2n-1ステップ領域においても実際の
断面形状(実線12)と理想的な形状(点線11)との
差が最小となりこの部分での波面収差が最小となる。
【0044】続いて2n-2ステップ領域では各周期の最
初の段差の開始位置は、その前の2n -1ステップ領域の
開始、終了位置に1/2nを加えた位置となる。すなわ
ち1/2nで始まり、最後の段差が終わる位置(=次の
周期の開始位置)は次の周期の1/2nとなっている。
こうすることによってこの2n-2ステップ領域において
も実際の断面形状(実線12)と理想的な形状(点線1
1)との差が最小となりこの部分での波面収差が最小と
なる。
初の段差の開始位置は、その前の2n -1ステップ領域の
開始、終了位置に1/2nを加えた位置となる。すなわ
ち1/2nで始まり、最後の段差が終わる位置(=次の
周期の開始位置)は次の周期の1/2nとなっている。
こうすることによってこの2n-2ステップ領域において
も実際の断面形状(実線12)と理想的な形状(点線1
1)との差が最小となりこの部分での波面収差が最小と
なる。
【0045】さらに2n-3ステップ領域では各周期の格
子の最初の段差の開始位置は、その前の2n-2ステップ
領域の開始・終了位置に1/2n-1を加えた位置とな
る。すなわち、その周期の1/2n+1/2n-1(=3/
2n)で始まり、最後の段差が終わる位置(=1つ次の
周期の開始位置)は次の周期の3/2nとなっている。
こうすることによってこの2n-3ステップ領域において
も実際の断面形状(実線12)と理想的な形状(点線1
1)との差が最小となりこの部分での波面収差が最小と
なる。この後の領域では、順次1/2n-2、1/2n-3、
・・・と加えていけばよい。すなわち、2n-iステップ
(i=1,・・,n−1)の領域における最初の段差の
開始位置は、2nステップの領域における最後の周期の
(2n+1−1)/2n+1の位置を基準に1/2n+1+1/
2n+・・+1/2n+2-iの位置となる。
子の最初の段差の開始位置は、その前の2n-2ステップ
領域の開始・終了位置に1/2n-1を加えた位置とな
る。すなわち、その周期の1/2n+1/2n-1(=3/
2n)で始まり、最後の段差が終わる位置(=1つ次の
周期の開始位置)は次の周期の3/2nとなっている。
こうすることによってこの2n-3ステップ領域において
も実際の断面形状(実線12)と理想的な形状(点線1
1)との差が最小となりこの部分での波面収差が最小と
なる。この後の領域では、順次1/2n-2、1/2n-3、
・・・と加えていけばよい。すなわち、2n-iステップ
(i=1,・・,n−1)の領域における最初の段差の
開始位置は、2nステップの領域における最後の周期の
(2n+1−1)/2n+1の位置を基準に1/2n+1+1/
2n+・・+1/2n+2-iの位置となる。
【0046】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、レンズ
作用をもたせるため、格子間隔が一定ではなく、また、
極めて微小な格子間隔をもつため、その格子領域の一部
分でフォトリソグラフィ工程における分解能を超えて、
同一の段数で形成できなくなり、段数の異なる領域が形
成される回折素子に対して、本来の波面収差を無くすよ
うな理想的な曲面からのずれを最小にする回折素子が得
られる。そして、本発明の回折素子を用いた光学装置
は、これによって高い光スポット品質や画像品質を得る
ことができる。
作用をもたせるため、格子間隔が一定ではなく、また、
極めて微小な格子間隔をもつため、その格子領域の一部
分でフォトリソグラフィ工程における分解能を超えて、
同一の段数で形成できなくなり、段数の異なる領域が形
成される回折素子に対して、本来の波面収差を無くすよ
うな理想的な曲面からのずれを最小にする回折素子が得
られる。そして、本発明の回折素子を用いた光学装置
は、これによって高い光スポット品質や画像品質を得る
ことができる。
【図1】本発明の実施の形態1における回折素子の断面
模式図
模式図
【図2】本発明の実施の形態2における回折素子の断面
模式図
模式図
【図3】従来の回折素子の断面模式図
【図4】フォトリソグラフィ技術により作成された回折
素子の例の断面模式図
素子の例の断面模式図
【図5】フォトリソグラフィ技術により作成された回折
素子の模式図
素子の模式図
【図6】フォトリソグラフィ技術により作成された回折
素子の作成フローを示した断面模式図
素子の作成フローを示した断面模式図
1,11,21 波面収差零の曲線
2,12,22 実際の回折素子断面図
3 光学基板
Claims (5)
- 【請求項1】所定の段差と複数の段数で構成される周期
を複数備えた領域を組み合わせて構成され、各領域ごと
に前記段数を異ならせて階段状断面を形成する回折素子
であって、 前記領域のそれぞれにおいて、各周期における最初の段
差の開始位置が他の領域の最初の段差の開始位置と異な
って配置されたことを特徴とする回折素子。 - 【請求項2】所定の段差と複数の段数で構成される周期
を複数備えた領域を組み合わせて構成され、各領域ごと
に前記段数を異ならせて階段状断面を形成する回折素子
であって、 前記領域のそれぞれにおいて、各周期における最初の段
差の中央位置を無収差曲線と交叉させ、前記段差の幅の
1/2だけ該中央位置から隣寄りにずらした位置に前記
開始位置を配置したことを特徴とする回折素子。 - 【請求項3】隣接し、段数が異なる第1領域と第2領域
において、前記第1領域の最後の段差の終端位置が前記
第2領域の最初の段差の開始位置と一致するまで、前記
第1領域の最後の段差が延長されることを特徴とする請
求項1または2記載の回折素子。 - 【請求項4】所定の段差と複数の段数で構成される周期
を複数備えた領域を組み合わせて構成され、各領域ごと
に周期の段数を2nステップ、2n-1ステップ、2n-2ス
テップ、・・・、2ステップのいずれかの段数として階
段状断面を形成する回折素子であって、 2nステップの領域における最初の段差の開始位置が隣
接する周期の(2n+1−1)/2n+1の位置に置かれ、最
後の段差の終端位置が該周期の(2n+1−1)/2n+1で
あることを特徴とする回折素子。 - 【請求項5】2n-iステップ(nは2以上の自然数、i
=1,・・,n−1)の領域における最初の段差の開始
位置が、2nステップの領域における最後の周期の(2
n+1−1)/2n+1の位置を基準に1/2n+1+1/2n+
・・+1/2n+ 2-iの位置であることを特徴とする請求
項4記載の回折素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002144226A JP2003337216A (ja) | 2002-05-20 | 2002-05-20 | 回折素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002144226A JP2003337216A (ja) | 2002-05-20 | 2002-05-20 | 回折素子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003337216A true JP2003337216A (ja) | 2003-11-28 |
Family
ID=29703959
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002144226A Withdrawn JP2003337216A (ja) | 2002-05-20 | 2002-05-20 | 回折素子 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006120720A1 (ja) * | 2005-05-02 | 2006-11-16 | Oki Electric Industry Co., Ltd. | 回折光学素子の製造方法 |
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WO2023140273A1 (ja) * | 2022-01-20 | 2023-07-27 | 大日本印刷株式会社 | 回折格子、および回折格子形成用モールド |
-
2002
- 2002-05-20 JP JP2002144226A patent/JP2003337216A/ja not_active Withdrawn
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