JP4845290B2 - マイクロレンズアレイ、光学機器および光学ファインダー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学機器のスクリーンや一眼レフカメラの焦点板等に用いられるマイクロレンズアレイに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、スクリーンや焦点板などに、多数のマイクロレンズを配列したマイクロレンズアレイを用いることが知られている。マイクロレンズアレイのスクリーンは、金型の砂掛け面から微細凹凸を転写したスクリーンに比べて粒状感がなく、見えが明るいという利点がある。
【0003】
但し、マイクロレンズを周期的と配列した場合には、回折光の方向が特定方向に限定されてボケ味が不自然になったり、フレネルレンズと併用した時にフレネルレンズの輪帯構造との干渉を引き起こしてモアレ縞が発生したりするといった欠点がある。
【0004】
上述の用途に用いられるマイクロレンズアレイでは、マイクロレンズや微小の凹部の配列をランダムにすることで、上述した問題を解消することができる。
【0005】
ランダムな配列のマイクロレンズアレイを得る方法としては、特開平11−142609号公報などにて提案されている。
【0006】
ところが、これらの方法は後で説明するマイクロレンズアレイの製造方法にあるように、製造上の安定性、効率性、制御性に問題があり、実施上は困難であると考えられる。
【0007】
従来、マイクロレンズアレイの製造法には、多成分ガラスからなる基板上の複数の箇所を分布状態で高屈折率化して複数のレンズを形成するといったイオン交換法(M.Oikawa,et al.,Jpn.J.Appl.Phys.20(4) L51-54,1918)や、感光性ガラスの熱処理において未感光部が結晶化して表面を膨張させる方法などが知られている。
【0008】
しかし、これらの方法では、レンズ同士の間隔に比べてレンズの開口径を大きくとれず、レンズの曲率半径も小さくなり、開口数の大きなレンズ設計は困難である。
【0009】
また、大面積のマイクロレンズアレイを作製するには、大規模な製造装置が必要となり、製造が容易ではないという問題もある。
【0010】
他の方法としては、マイクロレンズアレイの原版を作製し、原版にレンズ材料を塗布し、塗布したレンズ材料を剥離して作製する方法がある。原版となる鋳型の作成にあたっては、電子ビームを用いて描画する方法(特開平1−231601号公報参照)、金属板の一部をエッチングして形成する方法(特開平5−303009号公報参照)、金属板に圧子を用いて圧痕法により形状を作製する(特開平11−142609号公報参照)がある。
【0011】
この方法はモールディングにてマイクロレンズを複製することができ、ロット毎のばらつきが発生しにくく、また低コストにて作製することが可能である。また、イオン交換法に比べて、熱膨張係数や反り等の問題を回避できる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電子ビームを用いる方法では、電子ビーム描画装置が高価であり、多額の設備投資が必要になること、および描画面積が制限されているために100cm角以上の大面積の原版を作製することが困難である等の問題がある。
【0013】
また、エッチングする方法では、主に化学反応を利用した等方性エッチングを用いるため、金属板の組成や結晶構造が僅かでも変化すると所望の形状にエッチングできなくなるという問題がある。
【0014】
さらに、エッチングする方法では、所望の形状が得られた時点で直ちに水洗しないとエッチングが継続する。このため、微小なマイクロレンズを形成する場合には、このような所望の形状が得られた時点から水洗に至るまでの時間に進行するエッチングにより、所望の形状から逸脱する場合がある。
【0015】
また、圧子を用いる圧痕法では、圧子をレンズ個々の数だけ型に押し付けるため大面積を得ようとすれば膨大な時間がかかり、また微細な精度を得るにも機械的な限界があり、μmのオーダーの制御性を得るのは難しい。
【0016】
このような従来のマイクロレンズ製作方法の多くでは、マイクロレンズ配列を制御した形でランダムにすることは極めて難しく再現性に乏しい。
【0017】
マイクロレンズの配列が規則的であったとしても、従来のマイクロレンズの製作方法では、マイクロレンズの主要パラメータであるレンズ半径の再現性やその配列位置の精度に不確実な要素が多く、量産時の品質管理が非常に困難なものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の一側面としてのマイクロレンズアレイは、複数のマイクロレンズが、相互に隣接するマイクロレンズの頂点間隔を全て等間隔Lとした基本パターンとは異なるように形成されたマイクロレンズアレイであって、全てのマイクロレンズの頂点位置が、前記基本パターンにおける頂点位置を中心とした0.3L以下の半径を有する円内に位置し、前記円内において中心よりも周辺に存在する確率が大きくなるように不均一に分布していることを特徴とする。
【0019】
さらに、相互に隣接するマイクロレンズの頂点間隔Pが、
0.4L≦P≦1.6L・・・(2)
を満たすようにしてもよい。
【0020】
これら発明により、基本パターンのような周期的な規則配列に特有の回折光の影響やモアレ縞の発生といった問題が無いばかりか、上記(1)や(2)の条件を満たすことにより、隣接するマイクロレンズの頂点同士が離れすぎることによる局所的なかげりおよびこれに起因する粒状感が生じたり、近づきすぎることによる局所的な拡散不良からくる局所的な素抜け感が生じることがない、明るくクリーンな見え特性を持ち、個々のマイクロレンズ形状の再現性の良いマイクロレンズアレイを得ることが可能である。
【0021】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1には、本発明の第1実施形態であるマイクロレンズアレイのレンズ配列を示している。本実施形態では、マイクロレンズが、ハニカム形状に形成されて周期的に規則正しく並んでいる状態から、それぞれのマイクロレンズ中心を一定の条件のもとに変位させた状態で不規則性を持って配列されている。
【0022】
図1に示したマイクロレンズMLの配列方法について詳しく説明する。まず、図2には、マイクロレンズが規則正しく並んでいる場合の各マイクロレンズの頂点(中心)をドットで示しており、隣接するドット同士は全て等しい間隔Lを有する。この配列をここでは基本パターンと称する。
【0023】
そして、本実施形態のマイクロレンズアレイでは、この基本パターンにおける各ドットの位置を仮想的なグリッドポイントGとし、図2に示した各グリッドポイントGを中心とする半径dの円内で、マイクロレンズMLの頂点ないし中心をランダム(不規則に)に設定している。
【0024】
図1に示すマイクロレンズアレイでは、
L=0.02mm
d=0.15×L
の関係となっている。
【0025】
また、各マイクロレンズの焦点距離はf=0.08mmとなっており、接眼レンズの焦点距離が80mm程度のカメラ用光学ファインダーに好適なピント板として用いることができる仕様になっている。
【0026】
図3には、本実施形態のマイクロレンズの頂点位置Tの配置例を示している。ここで、基準となる基本パターンでの頂点間隔Lやマイクロレンズの焦点距離fは適用する光学機器に応じて適宜選択すればよい。
【0027】
光学ファインダーにおいて、一般には、接眼レンズの焦点距離が短かいほどLを小さくすることが要求され、使用する対物レンズのFno.が明るいほどマイクロレンズの焦点距離は短くなり、マイクロレンズのFno.も小さいものが要求される。
【0028】
良好な見え特性を有するマイクロレンズアレイを実現するためには、全てのマイクロレンズの頂点位置Tが、上記基本パターンにおける頂点位置を中心とした0.3L以下の半径dを有する円内に位置する〈…(1)〉ように設定する。なお、図1に示したマイクロレンズアレイでは、d=0.15×Lであるので、条件(1)を満たしている。
【0029】
マイクロレンズMLの頂点位置Tは、グリッドポイントGから0.3Lだけ離れて位置する場合もあれば、グリッドポイントG上に位置する場合もある。
【0030】
なお、この場合、相互に隣接するマイクロレンズの頂点間隔Pは、
0.4L≦P≦1.6L…(2)
を満たすことになる。
【0031】
ここで、上記円の半径dが0.3Lより大きいと、すなわち隣接するマイクロレンズの頂点同士が条件(2)の上限より離れると、隣接するマイクロレンズが離れすぎることにより局所的なカゲリを生じ、これがファインダー全体としては粒状感につながり、品位が悪くなる。また、隣接するマイクロレンズの頂点同士が条件(2)の下限よりも近づきすぎると、局所的な拡散不良からくる局所的な素抜け感が生じる。
【0032】
一般的なカメラのファインダーでは、光線を入射させたときの拡散特性が主として±5°〜±10°の範囲にあることが要求される。これはカメラの撮影レンズはFno.がおよそF2.8〜F5.6の範囲にあるからである。
【0033】
撮影レンズのピントを確認するためには、撮影レンズの光束がピントの合焦、非合焦に関わらず撮影者の目に到達する必要が有り、像点の一つに注目すれば、撮影レンズの光束円錐の中で最も外側の光線が撮影者の目に導かれるためにはこの最外郭の光線が拡散特性によって拡散板をほぼ垂直に見つめる撮影者の目に到達する必要がある。
【0034】
このためには、マイクロレンズのFno.が対応する撮影レンズのFno.に等しければよい。実際には、ファインダーの明るさを優先したり、一眼レフのように多種のレンズに対応するため設計的に最適なマイクロレンズのFno.が選択される。したがって、マイクロレンズのFno.はF2.8〜F5.6の範囲にあれることが望ましい。
【0035】
本実施形態においても、半径dの内側でランダムにマイクロレンズ中心が分布するため、個々のマイクロレンズの開口径が変動する結果、Fno.が異なってしまうおそれがある。
【0036】
そこで、マイクロレンズ中心の設定範囲の中心である仮想的なグリッドの間隔Lが平均にはマイクロレンズ開口径に等しいと考え、マイクロレンズの焦点距離をf(これはレンズ半径で決まり、全てのマイクロレンズで等しい)とすれば、平均Fno.=f/Lとなり、これを2.8〜5.6程度に設定すれば、カメラの光学ファインダーとして適切な拡散特性を得られることになる。
【0037】
ここで条件(1)の意味を考えれば、その上限を超えると、各マイクロレンズの変動幅が大きくなり、部分的なレンズのFno.がファインダーとして適切な範囲を超えてしまい、ケラレや粒状感となって観察される。
【0038】
このことを図4および図5を用いて説明する。図4は、等間隔に並んだマイクロレンズMLの断面図である。4つのレンズはその頂点間隔がLとなるように並び、先ほど説明した等間隔のグリッドポイントにマイクロレンズが並んだ形状を示している。
【0039】
図5は、上記実施形態のように、ランダムな頂点配置を適用したマイクロレンズMLの断面図である。レンズ頂点位置が図4のものに比べて変位することにより、
L3<L<L2
を満たす関係でレンズが並んでいる。
【0040】
図5には、個々のマイクロレンズMLの端部に入射する光線l1,l2が点線で示されており、レンズ頂点間隔がLであるマイクロレンズの端部に入射する光線l1はレンズによって屈折するものの、部分的なレンズのFno.が大きいため、その屈折角は大きなものとはならない。
【0041】
一方、レンズ間隔がL2であるマイクロレンズの端部に入射する光線l2は、レンズによって屈折されて部分的なマイクロレンズのFno.が小さいため、大きな屈折角となる。この作用により光線l1は観察者の瞳に入射する光線となるものの、光線l2は瞳から外れる光線となり、局部的なケラレすなわち暗部として観察される。
【0042】
特にFno.の大きな暗いレンズを使用する際にこの減少は顕著となる。よって条件(1)の上限を上回るランダム成分をマイクロレンズの頂点位置に付加することはこのような局所的な暗部を多数発生させることになり望ましくない。
【0043】
以上説明したマイクロレンズアレイの製造方法について説明する。本実施形態では、本出願人が特開2000−43054号公報にて提案しているマイクロレンズの作製方法を用い、一定の条件下で制御されたランダムな配置のマイクロレンズアレイを作製する。
【0044】
この製作方法では、図6(a)〜(d)に示すように、導電性または電極層2を有する基板1に絶縁性のマスク層3を形成し、このマスク層に開口部4を設ける。そして、その開口部4を通じて有機化合物の電着機構(メッキ)によって上記開口部4に電着層5を形成し、さらにメッキを続けることでマスク層3の面上にも電着層を広げ、マイクロレンズ6を形成する。いわゆるメッキ技術を用いた微細加工技術である。
【0045】
本方式によれば、マスク層の開口部をリソグラフィー法などを用いることにより高いマイクロレンズの位置精度を容易に得ることができる。
【0046】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、条件(1)と(2)を満足するようなマイクロレンズ配置をした場合について説明したが、条件(2)のみを満足するようなマイクロレンズ配置をしてもよい。
【0047】
この場合、マイクロレンズの中には、その頂点位置が上記基本パターンにおける頂点位置を中心とした0.3L以下の半径dを有する円の外側に位置するものもあれば、上記円内でグリッドポイントから離れて位置するものもある。また、グリッドポイント上に位置するものもある。
【0048】
図7には、本発明の第2実施形態であるマイクロレンズアレイのレンズ配列を示している。
【0049】
図中のドットはマイクロレンズの中心座標を示し、円は頂点間隔をLとしたとき半径0.3×Lを満たしている。
【0050】
図中のα1〜α8は、等間隔に並んだグリッド位置からずれた頂点位置を示している。α1〜α8以外のそれを取り囲むレンズ頂点は等間隔に並んだグリッド座標に一致している。
【0051】
ここではα1で配置の説明を行う。α1はグリッド座標から遷移していて、g1〜g6で示されるグリッド座標と一致した6個のマイクロレンズに取り囲まれて存在している。
【0052】
α1とg1〜g6の位置関係は、最も距離の短いg2との関係が0.6L、最も距離の長いg5との関係が1.4Lとなり、取り囲まれた他のレンズとの距離は0.6Lより大きく1.4Lより小さい値をとる。
【0053】
本配列ではグリッドから遷移する1つのマイクロレンズとそれを取り囲むグリッドと一致した頂点をもつ6つのマイクロレンズの7つで1つの群を形成する。
【0054】
但し、取り囲む6つのマイクロレンズは他のグリッドから遷移するマイクロレンズも取り囲む関係になり、これが繰り返される。
【0055】
例えば、g3はα1を取り囲むマイクロレンズの1つであるが、同時にα3を取り囲むレンズの1部でもある。このような7つのレンズで1つの群を形成するような構成にしても、本発明の目的である、配列の均一性と粒状感の良好な関係を保つことが可能である。
【0056】
(第3実施形態)
上記第1および第2実施形態では、上記(1)や(2)の条件を満たす範囲でランダムにマイクロレンズの頂点位置を設定する場合について説明したが、基本パターンのような周期的な規則性ではなく、確率分布的な規則性を持った頂点位置設定を行うようにしてもよい。
【0057】
以下、その方法の一例について説明する。ここでは、ある種の確率分布に従った多数の座標からなる分布モデルを作成しておき、その中からランダムに座標を選び出す方法について説明する。
【0058】
<マイクロレンズ中心(頂点)座標データ生成アルゴリズム>
生成する座標は、規則パターンを中心とする指定半径の円内に存在している必要がある。そこで、指定半径rmax を最大値とする乱数r(0〜rmax )と0〜2πまでの乱数Θを発生させ、この2つから X,Y座標を生成する。
【0059】
まず、正三角形を重ねて規則的に並んだ規則パターンをグリッド座標として定義する。
【0060】
ただし、このグリッド座標は規則的な配列であれば種類を問わない。例えば、正方形を重ねた形状をグリッド座標としてもよい。
【0061】
正三角形を重ねた形状の各頂点をグリッド座標とすれば、n行m列のグリッド座標は正三角形の一辺の長さをLとして、
Xgrid=m×L (nは奇数)
Xgrid=m×L+L/2 (nは偶数)
Ygrid=(n−1)×√3×L/2
で表される。
【0062】
ここで、グリッド座標からの距離(r)と基準座標系に対する角度(Θ)をそれぞれRND関数で定義する。
【0063】
RND()を0〜1の乱数を独立に発生する関数とすると、
r=RND()×R ..... 0〜Rの乱数を発生
Θ=RND()×2×π ..... 0〜2πの乱数を発生
Xrnd =r× cos(Θ) ・・・・・ x座標のランダム成分
Yrnd =r× sin(Θ) ・・・・・ y座標のランダム成分
X=Xgrid+Xrnd
Y=Ygrid+Yrnd
これを全てのグリッド(n,m)に対して繰り返し行う。
【0064】
この方法でX,Y座標のランダム成分を発生させた場合、グリッド座標を中心とする半径が均一に乱数によってばらつくため、グリッド座標中心からの距離に反比例する形で存在確率が小さくなる(グリッド中心近辺に密となる)。
【0065】
与える半径内で均一な存在確率とするにはX,Y座標のランダム成分を直接以下のようにグリッド座標を中心とする正方形内部に発生させて、
Xrnd =2r×RND()−r ・・・・・・ x座標のランダム成分
Yrnd =2r×RND()−r ・・・・・・ y座標のランダム成分
とする。
【0066】
ここで、r2 ≧Xrnd2 +Yrnd2 を判定し、この条件を満たした値を採用するようにすればよい。このように定義すれば、半径rの内部に均一にレンズ中心がばらついて存在することになる。
【0067】
このように乱数を用いて変位成分を決定するときに、乱数として均一な分布でなく任意の分布を与えることにより配置のコントロールが可能である。例えば、正規分布のような確率分布に従った多数の座標からなる分布モデルをあらかじめ作成しておき一連の番号を振っておく。そして、その中からランダムに番号を選択することより、既設の確率分布に従った座標を選び出す方法が考えられる。これは擬似的にランダムな設定ではあるが実用上まったく問題ないものである。
【0068】
また、グリッド中心付近に多く存在するような分布を設定すればより規則性の強い配列パターンとなり、その逆とすれば乱雑な配列となる。この配列の傾向によりマイクロレンズアレイないし拡散板としての性質が決定する。規則性が強い配列であればより回折の影響を受け離散的な拡散の角度依存特性を示し、乱雑な傾向が強ければ拡散の角度依存特性は連続的なものとなる。
【0069】
(第4実施形態)
図8には、上記第1から第3実施形態のマイクロレンズアレイを焦点板に用いた一眼レフカメラの光学ファインダーの構成を示している。
【0070】
被写体からの光束は、撮影レンズ11を通過してクイックリターンミラー12で反射された後、焦点板13上に結像する。
【0071】
焦点板13上に結像した被写体像は、マイクロレンズアレイによって拡散され、ペンタプリズム14により反転され、正立像として接眼レンズ15を通して観察される。
【0072】
マイクロレンズアレイによる拡散は、マイクロレンズアレイの配列やマイクロレンズの半径によって決まり、ピントの合わせ易さ、ボケ像の見え方、焦点板自体の粒状感などに影響を与える。
【0073】
本実施形態のように、上記第1から第3実施形態のマイクロレンズアレイを焦点板13に用いることにより、焦点板に必要な特性を良好に満たすことができる。
【0074】
なお、上記各実施形態では、カメラ用の光学ファインダーに用いられる焦点板に適した仕様のマイクロレンズアレイについて説明したが、本発明は、各種光学機器に使用されるマイクロレンズアレイのスクリーンや拡散板等に適用することが可能である。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、本願第1および第2の発明によれば、基本パターンのような周期的な規則配列に特有の回折光の影響やモアレ縞の発生といった問題が無いばかりか、上記(1)や(2)の条件を満たすことにより、隣接するマイクロレンズの頂点同士が離れすぎることによる局所的なかげりおよびこれに起因する粒状感を生じたり、近づきすぎることによる局所的な拡散不良からくる局所的な素抜け感が生じることがない、明るくクリーンな見え特性を持ち、個々のマイクロレンズ形状の再現性の良いマイクロレンズアレイを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるマイクロレンズアレイにおけるマイクロレンズ配置図である。
【図2】上記マイクロレンズアレイにおけるマイクロレンズ頂点配置を決定するための基準となる基本パターンのグリッド配置を示す図である。
【図3】上記マイクロレンズアレイのランダムなグリッド配置を示す図である。
【図4】等間隔に並んだマイクロレンズの断面図である。
【図5】ランダムな頂点配置を適用したマイクロレンズの断面図である。
【図6】上記マイクロレンズの作製方法の原理を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態であるマイクロレンズアレイにおけるマイクロレンズ配置図である。
【図8】上記各実施形態のマイクロレンズアレイを焦点板として用いたカメラの光学系を示す図である。
【符号の説明】
ML マイクロレンズ
T マイクロレンズの頂点位置
G グリッドポイント
1 基板
2 電極層
3 マスク層
4 開口部
5 電着層
6 マイクロレンズ
11 撮影レンズ
12 クイックリターンミラー
13 焦点板
14 ペンタプリズム
15 接眼レンズ
Claims (4)
- 複数のマイクロレンズが、相互に隣接するマイクロレンズの頂点間隔を全て等間隔Lとした基本パターンとは異なるように形成されたマイクロレンズアレイであって、全てのマイクロレンズの頂点位置が、前記基本パターンにおける頂点位置を中心とした0.3L以下の半径を有する円内に位置し、前記円内において中心よりも周辺に存在する確率が大きくなるように不均一に分布していることを特徴とするマイクロレンズアレイ。
- 相互に隣接するマイクロレンズの頂点間隔Pが、
0.4L≦P≦1.6L
を満たすことを特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズアレイ。 - 請求項1又は2に記載のマイクロレンズアレイを有することを特徴とする光学機器。
- 請求項1又は2に記載のマイクロレンズアレイを焦点板として用いたことを特徴とする光学ファインダー。
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