JP2003337187A - 電波時計 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電波受信性能のよい電波時計を提供するこ
と。 【解決手段】 磁芯部材と磁芯部材に巻かれたコイルと
よりなるバーアンテナ、および時計装置とを内蔵するケ
ース２５を備える電波時計であって、非導電性のケース
２５の一部が、導電性の外装部２６、２７で覆われる。
その外装部は、アンテナの受信性能を低下させないた
め、互いに電気的に導通しないように、ケース２５に取
り付けられる。好ましくは、その外装部間の導通を防ぐ
絶縁部材６６が設けられる。また、導電性材料、好まし
くは金属よりなる外装部２６、２７によって、電波時計
の外観に金属感が付与される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、時刻情報を含む所
定の電波を受信して時刻を表示する電波時計に関する。

【０００２】

【従来の技術】標準電波等を受信する電子時計、すなわ
ち時刻情報を含む標準電波(搬送波)を受信し、この電波
から時刻情報を取り出すことにより、正確な時刻を得る
ことのできる電波時計はすでに知られている。この時刻
情報を含む電波は、各国毎に周波数が異なり、例えば日
本では郵政省の管轄下において、４０ｋＨｚの標準電波
が発信されている。図１は、このような電波時計の機能
の概略を示す一例である。この電波時計は、アンテナ
１、電波時計受信機２、ＣＰＵ３、および表示駆動部４
から構成される。その他図示していないが時分針または
液晶等による表示部が含まれる。

【０００３】アンテナが時刻情報を含む電波を受信す
る。そして、電波時計受信機が、アンテナで受信した電
波を増幅検波することにより、電波から時刻情報を取り
出して出力する。受信機から出力された時刻情報に基づ
き、ＣＰＵが現在時刻データを出力する。ＣＰＵから出
力された現在時刻データに基づき、表示駆動部が表示部
に現在時刻を表示する。ＣＰＵに対して、たとえばリセ
ット等の操作情報を入力するための入力装置５が備えら
れてもよい。

【０００４】電波に含まれている時刻情報(タイムコー
ド)は、６０秒周期のパルス信号であり、１秒ごとに、
２００、５００、８００(msec)のいずれかの幅を有する
パルスが１つ乗っている。これらパルスの組み合わせに
より、６０秒で時刻情報が得られる。ＣＰＵ３は、受け
取ったパルス信号から１秒ごとのパルスのパルス幅を読
み取っていくことにより、時刻情報(現在時刻)を取得す
る。そして、ＣＰＵは、取得した時刻情報により、表示
駆動部４を介して表示部における表示時刻を修正する。
よって、電波時計は、受信した時刻情報に基づき、表示
時刻が所定間隔毎に修正されることにより、常に正確な
時刻を表示できる。

【０００５】このような電波時計として、アンテナ、電
波時計受信機、ＣＰＵ、表示駆動部および表示部を、ア
ンテナ収納体であるケースの中に収納した腕時計が、す
でに提供されている。このケースの素材には、アンテナ
が電波を受信するために合成樹脂やセラミックなどの非
伝導性材料が主として用いられてきた。即ち、金属など
の伝導材料からなるケース内部にアンテナを収納する
と、アンテナからの磁界によって、金属ケースに起電力
が発生して、ケースに電流が誘起される。その電流によ
り磁界が乱れて、アンテナが標準電波を受信できなくな
るほどに、アンテナの受信機能が低下してしまうからで
ある。

【０００６】しかしながら、このようなアンテナの受信
障害を避けるため、合成樹脂製のケースを用いると、ケ
ースの耐傷性、あるいは耐薬品性の低下をまねくばかり
か、装身具としての腕時計に必要とされる高級感や美観
も損なわれることになる。このため、ケースに金属を用
いた電波腕時計が提案されている。

【０００７】図２は、ケースの一部に金属を用いた電波
腕時計の構造の一例を示す。この腕時計のケース１０
は、胴１１と裏蓋１２と風防１３とから概略構成されて
いる。図示しないバンドに連結された胴内部に、ムーブ
メント１４が公知の手段で配置されている。ムーブメン
トの上方には、時刻表示部である文字板１５と針１６
が、同じく公知の手段で配置されている。そして、ムー
ブメントの下方で、かつ裏蓋の上方に位置して、磁気長
波アンテナであるバーアンテナ１７が配置されている。
このバーアンテナは、フェライト材からなる磁芯部材１
８と、この磁芯部材に巻回されたコイル２０とよりな
り、合成樹脂製の保持部材の上面に固定されている。

【０００８】ムーブメント１４は、前述した電波時計受
信機、ＣＰＵ、および表示駆動部を備え、導線２１によ
ってバーアンテナ１７と電気的に導通される。従って、
バーアンテナが受信した標準電波に基づいて、ムーブメ
ントのＣＰＵが、表示駆動部における、図示しないギア
機構を動作させて、表示部の針１６の位置を常に修正す
るように駆動する。なお、ここで、上下方向とは、図２
における上下を基準とする。

【０００９】胴１１は導電材料で中空でない、即ちソリ
ッド金属、たとえばソリッドステンレスからなる。胴の
最上部には、非導電材料であるガラスからなる風防１３
が、接着等の公知の手段で固定される。文字板１５は、
非導電材料である合成樹脂やセラミックなどからなる。
裏蓋１２は、胴１１に固定されたステンレスからなる環
状の縁枠２２と、縁枠内に固定されたガラス２３とから
なる。このように、この腕時計は、ケースの上下面には
非導電材料が視認されるものの、ケースの側面部分を金
属で構成しているため、装身具としての高級感や美観を
損なわないという利点がある。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図２に
示される腕時計は、ケースの胴に金属を採用しているた
め、金属部材のそばにアンテナを配置するという不利は
避けられない。従って、ケースの全てを非導電材料で構
成した場合に比較すれば、この腕時計のバーアンテナの
受信性能は４０％近く低下してしまう。そのため、標準
電波の送信局からの距離が遠い場所などのように、標準
電波を受信しにくい環境下にあっては、この電波腕時計
は、しばしば標準電波を受信できない。

【００１１】また、バーアンテナの受信性能に障害が生
じないように、金属胴の内壁とアンテナとの隙間を大き
くすると、ケースが、手首に装着するには不釣り合いな
ほど、大きくなってしまうという問題がある。このよう
な問題を解決する手段として、胴を非導電材料で構成
し、胴の上下に金属などの導電材料からなる外装部を配
設してバーアンテナの受信性能を向上させるようにした
構造が考えられる。しかしながら、上下外装部が導通す
ると、そこに環状の電流が発生し、アンテナの受信性能
を著しく低下させると言う問題が生ずる。そこで本発明
の目的は、アンテナの受信性能を低下させることなく、
しかも金属感のある外観を有する電波時計、信号受信装
置を提供することにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１におけ
る電波時計は、アンテナ及び時計装置を内蔵する非導電
性のケースと、ケースの外側に取り付けられた、複数の
導電性の外装部と、複数の外装部における、接触して環
状の導通を生ずる少なくとも２つの間を電気的に絶縁す
る絶縁手段と、を備えることを特徴とする。

【００１３】この構成によれば、アンテナを収容するケ
ースは、非導電性であり、ケースの外側を覆う外装部が
金属などの導電性である。よって、ケースそのものが導
電性材料である場合と比べ、アンテナと導電性材料との
距離を大きくできるので、アンテナの受信障害を減ずる
ことができ、アンテナが良好に電波を受信できる電波時
計を提供することができる。

【００１４】また、ケースを大きくすることなく、アン
テナと導電性材料との距離を大きくできるので、従来に
比べてケースを小さくすることができる。

【００１５】さらに、金属などの導電性の外装部によ
り、電波時計に金属感のある外観が付与される。これに
より、たとえば、あたかもケースが金属の無垢であるよ
うに視認されるので、合成樹脂などの非導電性材料をケ
ースに用いながらも、高級感や美観を損なわない。な
お、ここで、外装部とは、塗装、物理的めっき、あるい
は化学的めっきなどのようなコーティングではなく、ケ
ースと別体の部材を意味する。

【００１６】特に、複数の外装部における、少なくとも
２つの間を電気的に絶縁する絶縁手段を備えたので、外
装部に誘起される環電流に起因して、アンテナの受信機
能が劣化することが回避される。

【００１７】また、本発明の電波時計は、請求項２に記
載された通り、複数の外装部が、アンテナを包囲するよ
うに配置されることが好ましい。これにより、ケースの
外側が広い面積にわたって外装部に覆われるので、電波
時計にさらに金属感のある外観が付与される。

【００１８】この場合、請求項３に記載された通り、絶
縁手段が、複数の外装部がアンテナを環状に囲んで導通
しないように、それらの少なくとも２つの間を絶縁する
ことが、アンテナが良好に電波を受信するためには好ま
しい。

【００１９】アンテナが、磁芯部材と磁芯部材に巻かれ
たコイルとよりなるバーアンテナであれば、請求項４に
記載された通り、絶縁手段が、複数の外装部が磁芯部材
の軸線を内側に通す環状に導通しないように、それらの
少なくとも２つの間を絶縁することが、アンテナが良好
に電波を受信するためには好ましい。

【００２０】また、本発明の電波時計は、請求項５に記
載された通り、少なくとも１つの外装部に、アンテナの
受信を確保するための、少なくとも１つの開口部を備え
ることができる。

【００２１】この外装部に設けられた開口部は、請求項
６に記載された通り、その外装部の外縁へ開くように切
り欠けられた切り欠け部を備えることが、アンテナの良
好な受信を確保するためには好ましい。

【００２２】アンテナが、磁芯部材と磁芯部材に巻かれ
たコイルとよりなるバーアンテナであれば、開口部は、
請求項７に記載された通り、開口部が、磁芯部材の軸線
上に設けられる軸線上開口部を備えると、アンテナの良
好な受信が確保される。

【００２３】また、本発明の電波時計における絶縁手段
は、請求項９に記載された通り、複数の外装部における
少なくとも２つを隔離する手段とすることができる。従
って、外装部が互いに接触しないので、それらが電気的
に絶縁される。

【００２４】この場合、絶縁手段は、請求項１６に記載
された通り、複数の外装部における少なくとも２つを、
隙間を開けてケースに取り付けるようにすれば達成され
る。

【００２５】あるいは、絶縁手段は、請求項１１に記載
された通り、複数の外装部における少なくとも２つの間
に介在される、非導電性の絶縁部を含むことができる。

【００２６】絶縁部は、請求項１２に記載された通り、
ケースと別体の絶縁部材であれば、複数の外装部におけ
る少なくとも２つの間に挟持されるように構成できる。
これにより、絶縁部材が外装部の間に強固に取り付けら
れると共に、外装部の間が確実に絶縁される。

【００２７】あるいは、絶縁部は、請求項１３に記載さ
れた通り、複数の外装部における少なくとも２つの間に
介在される、ケースに形成された絶縁突起とすることも
できる。従って、外装部の間が確実に絶縁されるばかり
か、ケースと絶縁部が一体なので、電波時計の組み立て
が容易である。

【００２８】また、絶縁部を、請求項１４に記載された
通り、電波時計に取り付けられたバンドと相対する位置
に配置されるようにすれば、絶縁部がバンドに隠されて
視認されにくいので、電波時計の美観を損ねることがな
い。

【００２９】また、絶縁部を、請求項１５に記載された
通り、外装部に設けられた、電波時計を身体に装着する
ためのバンドを連結する２つの脚部の間に配置されるよ
うにすれば、絶縁部が脚部に隠されて視認されにくい。

【００３０】また、絶縁部を、請求項１６に記載された
通り、外装部に設けられた、外方に突出する突出部の下
方に配置されるようにすれば、絶縁部が突出部に隠され
て視認されにくい。

【００３１】また、本発明の電波時計は、請求項１７に
記載された通り、絶縁部の露出面積が、外装部の外表面
の面積より小さいことが、電波時計に金属感を付与する
ためには好ましい。

【００３２】また、本発明の電波時計は、請求項１８に
記載された通り、複数の外装部がケースの上面、側面、
および下面を覆うことができる。すると、ケースの上面
や側面の外観ばかりか、下面の外観にも金属感が付与さ
れた電波時計が得られる。

【００３３】また、本発明の電波時計は、請求項１９に
記載された通り、外装部が、ケースの上面に配置される
上部外装部と、ケースの下面に配置される下部外装部と
を備えることができる。すると、ケースの上面ばかり
か、下面をも、外装部で容易に覆うことができる。この
とき、請求項２０に記載された通り、上部外装部と下部
外装部の少なくとも一方に、ケースの側面を覆う側面部
を設けることが好ましい。

【００３４】

【発明の実施の形態】図３は本発明を腕時計に適用した
第１実施形態を上部より見た分解斜視図、図４は下部よ
り見た分解斜視図、図５は上部より見た斜視図、図６は
下部から見た斜視図、図７は腕時計の１２時６時線に沿
う断面図、図８は３―９時線に沿う断面図である。

【００３５】本発明による腕時計は、アンテナ収納体と
しての腕時計ケース２５と、その上部に固定された上部
外装部２６と下部に固定された下部外装部２７を有す
る。ケース２５は胴３０、裏蓋３１、風防３２よりな
り、胴３０及び裏蓋３１は合成樹脂、ゴム、セラミック
等の非導電性材料で作られ、風防３２は非導電性材料の
ガラス又は合成樹脂で作られ、図７に示すように胴３０
の段部３０ａにパッキン３９を介して圧入固定されてい
る。

【００３６】胴３０は平面視長方形の角筒状で図５に示
すように長辺より竜頭３４が突出している。ケース内に
は図７、８に示すように時刻表示部としての文字板３
５、指針３６、ムーブメント３７、バーアンテナ３８が
収納されている。文字板３５は合成樹脂、セラミック、
ガラス等の非導電性材料からなり、胴３０の段部４０と
ムーブメント３７の上面に挟まれて支持されている。ム
ーブメント３７は下部が小さく広い段部４１が形成され
ている。裏蓋３１は図１２、１３に示すように内側に環
状突起４３を有し、ねじ４２でパッキン４６を介して胴
に固定され（図１２）、環状突起４３の頂部がムーブメ
ント３７の段部４１を押し上げ、ムーブメントと文字板
を胴３０の段部４０に押圧固定している（図８、図１
２）。

【００３７】バーアンテナ３８は磁芯部材４４とそれに
巻かれたコイル４５とよりなり、図１３に示すように胴
３０の短辺に平行に広い段部４１の下に接着され、即ち
バーアンテナはケース内の下部の低位置に収納されてい
る。

【００３８】胴３０はムーブメント３７、文字板３５、
針３６及び風防３２を収納する為、軸線方向に大きな厚
みを有している。

【００３９】図３、４に示すように胴３０の外壁下部に
おける、胴３０の対向両長辺に、絶縁部である突条５０
ａと５０ｂ、及び挿入部５１が突設される。挿入部５１
は、突条５０ａ、５０ｂと連続して形成される。また、
胴３０の外壁下部における、胴３０の対向短辺に、対称
的にＬ形突条５０ｃ、５０ｄが突設される。各突条５０
ａ、５０ｂ、５０ｃ、５０ｄは、胴３０の外壁に連続し
て形成され、各突条５０ａ、５０ｂ、５０ｃ、５０ｄの
上に段部５２が形成されている。各突条の表面と挿入部
の表面は同じ高さになっている。挿入部５１は図１３に
示すようにバーアンテナ３８の軸線ＡＸに対向して配置
され、この部分を厚肉としている。胴３０の上面には、
図３に示すように後述の上部外装部２６の為の長方形の
環状突出挿入部５３が形成されている。裏蓋３１の下面
には図４に示すように、下部外装部２７の為の長方形の
突出挿入部５４が形成され、之を囲んで凹部５５が設け
られている。

【００４０】一方、上部外装部２６は図３、４に示すよ
うに外周壁５６、上面開口部５７及び胴の挿入部５１が
挿入する側面開口部５８が形成されている。即ち挿入部
５１と開口部５８はほぼ相似形である。更に短辺の上部
より突出部６０が設けられている。側面開口部５８の下
辺は切り欠かれて切欠５８ａが形成され、この切欠によ
り、開口部を囲む環状の電流の発生を防ぎ、アンテナの
受信能力の低下を防ぐことができる。また、下部外装部
２７は下面開口部６１、短辺より立上る固定板６３及び
それより突出する一対の連結脚６２を有する。

【００４１】次に、全体の組立方法について説明する。
図３において下部外装部２７の固定板６３が胴３０の短
辺に嵌められ、図５に示すように連結脚６２がＬ形突条
５０ｃ、５０ｄの間に挿入される。更に裏蓋３１の挿入
部５４が開口部６１に係合し、開口部の枠部が凹部５５
に挿入される。そして下部外装部２７はねじ６５により
胴３０に固定される。

【００４２】次に、絶縁部の１つであり、胴３０と別体
であり、棒状の非導電性の絶縁部材６６が、Ｌ形突条５
０ｃ、５０ｄ上に載せられる。絶縁部材の素材には、ケ
ースと同様の材料を用いることができるが、柔軟な合成
樹脂を用いることが好ましい。絶縁部材６６を挟んで上
部外装部２６が胴３０に被せられる。これにより、開口
部５７に胴３０の上面挿入部５３が挿入され、開口部５
８に挿入部５１が挿入される。また突出部６０が連結脚
６２の間に挿入される。次に、ねじ６７により上部外装
部２６は胴に固定され組立が完了する。図５において、
バンド７０は連結脚６２にピン７０ａで連結される。

【００４３】図示されるように、上下外装部２６、２７
は、互いに隙間をもって接触しないように、ケース２５
に取り付けられる。特に、上下外装部２６と２７の隙間
に、絶縁部である突条５０ａ、５０ｂ、５０ｃ、５０ｄ
を介在させたため、上下外装部２６と２７を互いに接近
させるような外力が外装部に負荷されようとも、上下外
装部２６と２７の接触が確実に阻止される。同様に、上
下外装部２６と２７の間に、絶縁部材６６が上下に挟持
されるため、上下外装部２６と２７の接触が確実に阻止
される。

【００４４】また、図１０に示すように、突出部６０は
連結脚６２に接触しない。水平方向、すなわち図１０に
おける左右方向に沿って、突出部６０と連結脚６２が互
いに接近することを、Ｌ形突条５０ｃ、５０ｄが阻む。
詳しくは、Ｌ形突条５０ｃ、５０ｄにおける上下方向、
すなわち図１０における上下方向に沿って延出する部分
が、突出部６０と連結脚６２の接触を確実に阻止する。
このように、上下外装部２６、２７は、互いに隔離して
ケース２５に取り付けられ、互いの絶縁が確保される。
従って、アンテナ３８を囲む環状の電流の発生を防ぎア
ンテナの受信能力の低下を防いでいる。

【００４５】組立状態においては、図６乃至図１０に示
すように胴３０の挿入部５１、突条５０ａ〜５０ｄの外
壁は上部外装部２６の外壁と同一平面で接続し段差がな
い。また、下部外装部２７の下面も裏蓋３１の下面と同
一平面となっている。従って、腕時計の装着時に使用者
の肌を傷つけることがない。また、電波時計の外観が良
くなり、装身具や装飾品としての価値が高まる。図示さ
れたように、金属からなる外装部２６，２７の間から、
合成樹脂であるケース２５の一部分が露出して視認され
る。このケース２５の露出面積が小さいほど、すなわ
ち、外装部の占める面積が大きいほど、電波時計の外観
に、より効果的な金属感が与えられる。よって、ケース
２５を覆う外装部２６，２７の外表面の面積が、ケース
２５の露出面積より大きいことが好ましい。

【００４６】また、突出部６０の下方に配置された絶縁
部材６６は、外装部より外方に延出した突出部６０によ
って隠される。また、一対の連結脚６２の間に配置され
た絶縁部材６６は、連結脚６２に連結されたバンド７０
と相対して、バンド７０によって隠される。このように
すると、絶縁部材６６が視認されにくくなるので、電波
時計の外観が良くなる。さらに、突出部６０とバンド７
０に保護されて、絶縁部材６６をケースから外すような
外力が、絶縁部材６６に負荷されない。よって、絶縁部
材６６がケースに強固に取り付けられる。また、外装部
２６，２７を胴３０に取り付ける固定手段として、ねじ
を用いたが、固定手段はこれに限定されることはなく、
圧接や接着などの他の固定手段を用いることもできる。

【００４７】図９、１３に示すようにアンテナ３８の磁
芯部材４４の軸線ＡＸの延長上には上下外装部２６、２
７は存在しない。これを達成するために、図示された例
では、上部外装部２６における軸線ＡＸの延長上に、２
つの対向する軸線上開口部５８が設けられたが、このよ
うな開口部が下部外装部に設けられてもよい。また、外
装部には開口部５７、６１が設けられ、図１４に示すよ
うに磁芯部材４４の軸線を含む少なくとも１つの平面、
特に軸線を通る上下方向の平面７３に沿って、バーアン
テナが平行に投影される部分には外装部が配置されてい
ない。図示された例では、軸線投影開口部５７および６
１が、軸線を通る上下方向の平面７３に沿って設けられ
たが、軸線ＡＸを通る、上下方向以外の平面に沿って、
軸線投影開口部が外装部に設けられてもよい。あるい
は、軸線ＡＸを通る、複数の平面に沿って、図示された
例より、さらに多くの軸線投影開口部が外装部に設けら
れてもよい。

【００４８】以上の構成により、導電性の外装部を用い
ながらも外装部に誘起される電流に起因するアンテナの
受信機能が劣化することが回避される。また、上下外装
部２６及び２７は、互いに隔離してケース２５に配置さ
れ、さらに、絶縁部、詳しくは突条５０ａ、５０ｂ、５
０ｃ、５０ｄと絶縁部材６６の介在によって、より確実
に外装部２６及び２７との短絡が防止され、環状電流に
よる大幅な受信機能低下が阻止される。以上の図示され
た例では、アンテナ３８を囲むように配置された２つの
外装部２６と２７を例示したが、３つ以上の外装部がア
ンテナ３８を囲むように配置されてもよい。この場合、
３つ以上の外装部における、少なくとも２つの間を同様
に絶縁し、アンテナ３８を囲んで外装部が環状に電気的
に導通することがないようにすれば、アンテナ３８の受
信機能が低下しない。

【００４９】図１５は本発明の第２実施形態を示す分解
斜視図、図１６はケースの上部斜視図、図１７はケース
の下部斜視図、図１８は組立てられた腕時計の下部斜視
図である。前記の第１実施形態では、下部外装部に設け
られた開口部６１はケースに対し大きな面積を有してい
る。そこで実験により開口部が最小限如何なる面積まで
減少できるかを求めた結果によるものが、第２実施形態
である。

【００５０】以下、第１実施形態と異なる部分について
説明し、同一部分にはそれと同一符号を付して説明を省
略する。第１実施形態におけるＬ形突条５０ｃ、５０ｄ
は図１６に示すように上部が連結されて一体となって絶
縁突起６９となり、前記の絶縁部材６６が省略されてい
る。

【００５１】図１５に示すように下部外装部７１に一対
の開口部７２が形成されている。この開口部７２は図２
０に示すように、少なくともバーアンテナ３８の磁芯部
材４４の露出部の下方投影部を含む部分に形成されてい
る。即ち、磁芯部材の露出端部が投影された影の大きさ
以上の大きさで開口することがアンテナの良好な受信を
確保するために好ましい。

【００５２】一方、裏蓋７５の下面には図１５、１７に
示すように、開口部７２に挿入される一対の挿入部７６
が形成され、また下部外装部７１が挿入される凹部７７
が形成されている。その他の形状構造は第１実施形態と
同じで、組立方法も同じであるので、説明を省略する。

【００５３】

【発明の効果】本発明によれば、アンテナを収容するケ
ースは、非導電性であり、ケースの外側を覆う外装部は
金属などの導電性である。従って、ケースそのものが導
電性材料である時計と比べ、アンテナと導電性材料との
距離を大きくできるので、アンテナの受信障害が生じに
くく、アンテナが良好に電波を受信できる電波時計を提
供することができる。

【００５４】また、ケースを大きくすることなく、アン
テナと導電性材料との距離を大きくできるので、従来に
比べてケースを小さくすることができる。

【００５５】さらにまた、金属などの導電性の外装部に
より、電波時計に金属感のある外観が付与される。これ
により、たとえば、あたかもケースが金属の無垢である
ように視認されるので、合成樹脂などの非導電性材料を
ケースに用いながらも、高級感や美観を損なわない。な
お、ここで、外装部とは、塗装、物理的めっき、あるい
は化学的めっきなどのようなコーティングではなく、ケ
ースと別体の部材を意味する。

【００５６】更に、複数の外装部がケースの上面、側
面、および下面を覆うように構成できる。これにより、
ケースの上面や側面の外観ばかりか、下面の外観にも金
属感が付与された電波時計が得られる。このように金属
等の導電性の外装部を備えて金属感が与えられているに
も拘わらず絶縁手段により環状の導通の発生を防ぎ、ア
ンテナの受信能力低下を防ぎ、時計の精度を確保するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】電波時計の機能の概略を示すブロック図であ
る。

【図２】ケースの一部に金属を用いた電波腕時計を示す
断面図である。

【図３】本発明を腕時計に適用した第１実施形態を上部
より見た分解斜視図である。

【図４】下部より見た分解斜視図である。

【図５】上部より見た斜視図である。

【図６】下部から見た斜視図である。

【図７】腕時計の１２時６時線に沿う断面図である。

【図８】図８は３―９時線に沿う断面図である。

【図９】長辺部の側面図である。

【図１０】短辺部の側面図である。

【図１１】平面図である。

【図１２】アンテナを通る線に沿う切断側面図である。

【図１３】アンテナを通る線に沿う切断平面図である。

【図１４】アンテナの磁芯部材の端面図である。

【図１５】本発明の第２実施形態を示す分解斜視図であ
る。

【図１６】ケースの上部斜視図である。

【図１７】ケースの下部斜視図である。

【図１８】組立てられた腕時計の下部斜視図である。

【図１９】切断面図である。

【図２０】下部より見た平面図である。

【符号の説明】

１ アンテナ ２ 電波時計受信機 ３ ＣＰＵ ４ 表示駆動部 ５ 入力装置 １０ ケース １１ 胴 １２ 裏蓋 １３ 風防 １４ ムーブメント １５ 文字板 １６ 針 １７ バーアンテナ １８ 磁芯部材 ２０ コイル ２１ 導線 ２２ 縁枠 ２３ ガラス ２５ 腕時計ケース ２６ 上部外装部 ２７ 下部外装部 ３０ 胴 ３０ａ 段部 ３１ 裏蓋 ３２ 風防 ３４ 竜頭 ３５ 文字板 ３６ 指針 ３７ ムーブメント ３８ バーアンテナ ３９ パッキン ４０ 段部 ４１ 段部 ４２ ねじ ４３ 環状突起 ４４ 磁芯部材 ４５ コイル ４６ パッキン ５０ａ、５０ｂ 突条 ５０ｃ、５０ｄ Ｌ形突条 ５１ 挿入部 ５２ 段部 ５３ 環状突出挿入部 ５４ 突出挿入部 ５５ 凹部 ５６ 外周壁 ５７ 上面開口部 ５８ 側面開口部 ５８ａ 切欠 ６０ 突出部 ６１ 下面開口部 ６２ 連結脚 ６３ 固定板 ６５ ねじ ６６ 絶縁部材 ６７ ねじ ６９ 絶縁突起 ７０ バンド ７０ａ ピン ７１ 下部外装部 ７２ 開口部 ７３ 上下方向の平面 ７５ 裏蓋 ７６ 挿入部 ７７ 凹部

Claims (21)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 アンテナ及び時計装置を内蔵する非導電
   性のケースと、ケースの外側に取り付けられた、複数の
   導電性の外装部と、複数の外装部における、接触して環
   状の導通を生ずる少なくとも２つの間を電気的に絶縁す
   る絶縁手段と、を備える電波時計。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の電波時計であって、複
   数の外装部が、アンテナを包囲するように配置される電
   波時計。
3. 【請求項３】 請求項２に記載の電波時計であって、絶
   縁手段が、複数の外装部がアンテナを環状に囲んで導通
   しないように、それらの少なくとも２つの間を絶縁する
   電波時計。
4. 【請求項４】 請求項３に記載の電波時計であって、磁
   芯部材と磁芯部材に巻かれたコイルとよりなるバーアン
   テナを備え、絶縁手段が、複数の外装部が磁芯部材の軸
   線を内側に通す環状に導通しないように、それらの少な
   くとも２つの間を絶縁する電波時計
5. 【請求項５】 請求項１から４のいずれかに記載の電波
   時計であって、少なくとも１つの外装部に、アンテナの
   受信を確保するための、少なくとも１つの開口部を備え
   る電波時計。
6. 【請求項６】 請求項５に記載の電波時計であって、外
   装部に設けられた開口部が、その外装部の外縁を開くよ
   うに切り欠けられた切り欠け部を備える電波時計。
7. 【請求項７】 請求項６に記載の電波時計であって、磁
   芯部材と磁芯部材に巻かれたコイルとよりなるバーアン
   テナを備え、開口部が、磁芯部材の軸線上に設けられる
   軸線上開口部である電波時計。
8. 【請求項８】 請求項７に記載の電波時計であって、外
   装部に設けられた開口部が、その外装部の外縁を開くよ
   うに切り欠けられた切り欠け部を備える電波時計。
9. 【請求項９】 請求項１から７のいずれかに記載の電波
   時計であって、絶縁手段が、複数の外装部における少な
   くとも２つを隔離する手段である電波時計。
10. 【請求項１０】 請求項９に記載の電波時計であって、
    絶縁手段が、複数の外装部における少なくとも２つを、
    隙間を開けてケースに取り付けることを含む電波時計。
11. 【請求項１１】 請求項９に記載の電波時計であって、
    絶縁手段が、複数の外装部における少なくとも２つの間
    に介在される、非導電性の絶縁部を含む電波時計。
12. 【請求項１２】 請求項１１に記載の電波時計であっ
    て、絶縁部が、ケースと別体の絶縁部材であり、複数の
    外装部における少なくとも２つの間に挟持される電波時
    計。
13. 【請求項１３】 請求項１１に記載の電波時計であっ
    て、絶縁部が、複数の外装部における少なくとも２つの
    間に介在される、ケースに形成された絶縁突起を含む電
    波時計。
14. 【請求項１４】 請求項１１に記載の電波時計であっ
    て、絶縁部が、電波時計に取り付けられたバンドと相対
    する位置に配置される電波時計。
15. 【請求項１５】 請求項１１に記載の電波時計であっ
    て、絶縁部が、外装部に設けられた、電波時計を身体に
    装着するためのバンドを連結する２つの脚部の間に配置
    される電波時計。
16. 【請求項１６】 請求項１１に記載の電波時計であっ
    て、絶縁部が、外装部に設けられた、外方に突出する突
    出部の下方に配置される電波時計。
17. 【請求項１７】 請求項１から１６のいずれかに記載の
    電波時計であって、ケースの外表面の露出面積が、外装
    部の外表面の面積より小さい電波時計。
18. 【請求項１８】 請求項１から１６のいずれかに記載の
    電波時計であって、複数の外装部がケースの上面、側
    面、および下面を覆う電波時計。
19. 【請求項１９】 請求項１８に記載の電波時計であっ
    て、外装部が、ケースの上面に配置される上部外装部
    と、ケースの下面に配置される下部外装部とを備える電
    波時計。
20. 【請求項２０】 請求項１９に記載の電波時計であっ
    て、上部外装部と下部外装部の少なくともいずれか一方
    に、ケースの側面を覆う側面部を備える電波時計。
21. 【請求項２１】 請求項２０に記載の電波時計であっ
    て、外装部の開口部が、側面部に形成された電波時計。