JP2003335551A - Sbn系結晶化ガラス - Google Patents

Sbn系結晶化ガラス

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 誘電性及び透明性に優れ、経済的
なSBN(ニオブ酸ストロンチウムバリウム)系結晶化ガ
ラスを提供する。 【解決手段】 化学組成式がaRO・bNb2O5・cSiO2
・dB2O3・eTeO2・fX(但し、RはBa及び/又はSrであ
り、XはTiO2、ZrO2、P2O5、ZnOからなる群から選択され
る一種以上の酸化物であり、a>b≧0.05、0.60≧c≧
0、0.70≧d≧0、0.70≧e≧0、c+d+e≧0.175、a+b+c+d+e
=1.0、0.10≧f>0)である結晶化ガラス。1kHzにお
ける比誘電率ε1の100kHzにおける比誘電率ε100
に対する比(ε1100)が10以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は化学組成式aRO・bNb
2O5・cSiO2・dB2O3・eTeO2・fX(但し、RはBa及び/又
はSrであり、XはTiO2、ZrO2、P2O5、ZnOからなる群から
選択される一種以上の酸化物である)で示されるSBN結
晶系結晶化ガラスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】SBN(ニオブ酸ストロンチウムバリウ
ム)結晶は正方晶のタンク゛ステンフ゛ロンス゛型結晶に帰属し、室
温付近にキュリー点を持つ強誘電性無機化合物である。
電子材料への応用は、SBN結晶が強誘電性のため、圧電
性、焦電性を示すが圧電性は特に著しく、表面弾性波材
料への実用化が進んでいる。さらにSBN単結晶は光を透
過するため高度情報通信・処理を目的とした光エレクト
ロニクス材料への応用が期待されるなど、広範な用途へ
の展開が期待されている材料である。
【0003】このように付加価値の高いSBN結晶材料で
あるが、これまでにSBN単結晶のみが製造販売されてい
る。単結晶は内部に細孔がなく、光やフォノンの散乱因
子がないため誘電性や光エレクトロニクスに高い物性を
示すが、高度な製造技術が要求され、量産性が困難であ
り、高価格化を避けられない。
【0004】これらの課題に対処するためにSBNセラミ
ックス材料の開発が検討された。S.B. Deshpandeらは、
SBNセラミックスの電気的特性を種々測定し、Sr/Ba比
0.50にあるセラミックスにおいて、比誘電率ε11100(3
0℃)の値を得ている(J. Amer. Ceram. Soc., 75[9] 2
581-85(1992))。しかしセラミックス焼結体中の細孔は
光やフォノンの散乱、機械強度や電気特性の低下の原因
となる。
【0005】近年、セラミックスの短所を補う材料とし
て結晶化ガラスが知られるようになってきた。これは原
ガラスを再加熱してガラス中に結晶を析出させるもので
ある。このとき析出結晶の種類、大きさとその量、ガラ
スマトリックスとの組合せにより、機械特性、電磁気特
性、光学特性、熱的特性を制御できるように目標をおい
ているが、まだ自在に特性を制御できるほど技術の蓄積
はない。
【0006】1964年、強誘電性応用の結晶化ガラスへの
試みとしてA.Herezogはチタン酸バリウム結晶化ガラス
の研究を開示した。この結晶化ガラスは平均1μ以下の
誘電体結晶子とガラスマトリックス部分からなり、細孔
を含まず、気体液体を通さず、マトリックスが多い割に
は誘電率が大きい。
【0007】さらに2000年12月、Jiin-Jyh ShyuらはSBN
系結晶化ガラスを研究し、22.5SrO-22.5BaO-20Nb2O5-35
SiO2(mol%)のガラスから結晶化ガラスを作成し、190(1
kHz)の比誘電率を開示した(J.Amer.Ceram.Soc., 83[1
2]3135-40(2000))。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、誘電性及び
透明性に優れ、経済的なSBN系結晶化ガラスを提供する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者はSBN結晶材料と
して結晶化ガラスに着目し研究を重ねた結果、細孔のな
い経済的な強誘電性結晶化ガラスの組成を見出し、本発
明を成すに至った。
【0010】すなわち、請求項1に記載の発明は、化学
組成式がaRO・bNb2O5・cSiO2・dB2O 3・eTeO2・fX(但
し、RはBa及び/又はSrであり、XはTiO2、ZrO2、P2O5
ZnOからなる群から選択される一種以上の酸化物であ
り、a>b≧0.05、0.60≧c≧0、0.70≧d≧0、0.70≧e≧
0、c+d+e≧0.175、a+b+c+d+e=1.0、0.10≧f>0)である
結晶化ガラスであり、請求項2に記載の発明は、化学組
成式がaRO・bNb2O5・cSiO2・fX(但し、RはBa及び/又
はSrであり、XはTiO2、ZrO2、P2O5、ZnOからなる群から
選択される一種以上の酸化物であり、a>b≧0.05、0.6
0≧c≧0.30、a+b+c=1.0、0.10≧f>0)である、請求
項1記載の結晶化ガラスであり、請求項3に記載の発明
は、酸化珪素、酸化硼素及び酸化テルルからなる群から
選択される二種以上のガラスフォーマーを有する結晶化
ガラスであって、化学組成式がaRO・bNb2O5・cSiO2・dB
2O3・eTeO2・fX(但し、RはBa及び/又はSrであり、Xは
TiO2、ZrO2、P2O5、ZnOからなる群から選択される一種
以上の酸化物であり、a>b≧0.05、0.55≧c≧0、0.70
≧d≧0、0.70≧e≧0、c+d+e>0.175、a+b+c+d+e=1.0、
0.10≧f≧0)である結晶化ガラスであり、請求項4に記
載の発明は、化学組成式がaRO・bNb2O5・dB2O3・fX(但
し、RはBa及び/又はSrであり、XはTiO2、ZrO2、P2O5
ZnOからなる群から選択される一種以上の酸化物であ
り、a>b≧0.05、0.70≧d≧0.175、a+b+d=1.0、0.10≧f
≧0)である結晶化ガラスであり、請求項5に記載の発
明は、化学組成式がaRO・bNb2O5・eTeO2・fX(但し、R
はBa及び/又はSrであり、XはTiO2、ZrO2、P2O5、ZnOか
らなる群から選択される一種以上の酸化物であり、a>
b≧0.05、0.70≧e≧0.35、a+b+e=1.0、0.10≧f≧0)で
ある結晶化ガラスであり、請求項6に記載の発明は、1
kHzにおける比誘電率ε1の100kHzにおける比
誘電率ε100に対する比(ε1100)が10以上であ
る、請求項1〜5のうちいずれか1項記載の結晶化ガラ
スである。
【0011】本発明の結晶化ガラスは、化学組成式aRO
・bNb2O5・cSiO2・dB2O3・eTeO2・fXにおいて、a及びb
が、a>b≧0.05の範囲にある。この範囲を超えた組成
では、透明な原ガラスを得ることができない。ここでR
はBa及び/又はSrであり、その比Sr/Baを増加させる
と、キュリー点は約200℃から約25℃に連続的に減少す
る。キュリー温度では比誘電率が極大を示し、キュリー
温度から離れるに従い誘電率は減少する。この関係を利
用して利用温度での誘電率を調節することができる。
【0012】本発明の結晶化ガラスにおいて、ガラスネ
ットワークを形成するガラスフォーマー材料は、酸化珪
素、酸化硼素、酸化テルルが好ましい。
【0013】酸化珪素をガラスフォーマーとして使う場
合、ガラス形成組成範囲が狭く溶解温度が高い短所はあ
るものの、耐水性及び耐アルカリ性が良好という長所が
ある。cの範囲としては、0.60≧c≧0が好ましく、0.60
≧c≧0.30がより好ましく、0.55≧c≧0.30が特に好ま
しい。
【0014】酸化硼素をガラスフォーマーとして使う場
合、耐湿性、耐化学性が悪いという短所があるもののガ
ラス形成組成範囲が広く溶解温度が低いという長所があ
る。また酸化硼素の高濃度組成では透明な結晶化ガラス
が得られる。dの範囲としては、0.70≧d≧0が好まし
く、0.70≧d≧0.175がより好ましい。
【0015】酸化テルルをガラスフォーマーとして使う
場合、酸化珪素ガラスフォーマーよりも広い範囲でガラ
ス化可能となる。eの範囲としては、0.70≧e≧0が好ま
しく、0.70≧e≧0.35がより好ましい。
【0016】さらにこれらガラスフォーマーを組合わせ
ることはガラス形成組成範囲の拡大と特性改善のため有
効である。酸化珪素、酸化硼素及び酸化テルルからなる
群から選択される二種以上のガラスフォーマーを有する
結晶化ガラスは、化学組成式がaRO・bNb2O5・cSiO2・dB
2O3・eTeO2・fX(但し、RはBa及び/又はSrであり、Xは
TiO2、ZrO2、P2O5、ZnOからなる群から選択される一種
以上の酸化物であり、0.55≧c≧0、0.70≧d≧0、0.70≧
e≧0、a+b+c+d+e=1.0、c+d+e≧0.175、0.10≧f>0)で
示される範囲にあることが好ましい。
【0017】本発明の結晶化ガラスは、結晶核形成剤と
してTiO2、ZrO2、P2O5、ZnOを含むことが好ましい。fの
範囲としては、0.10≧f≧0が好ましく、0.10≧f>0がよ
り好ましく、0.05≧f>0が特に好ましい。
【0018】本発明の結晶化ガラスは、比誘電率の周波
数依存性が大きいことが好ましい。具体的には、1kH
zにおける比誘電率ε1の100kHzにおける比誘電
率ε1 00に対する比(ε1100)は、10以上であるこ
とが好ましい。大きな周波数依存性を得るため、本発明
の結晶化ガラスは、0.32<a、0.14<b、かつ
0.42<cを満たす組成であることが好ましい。
【0019】本発明の結晶化ガラスの誘電損失tanδは
1×10-2以下が好ましく、5×10-3以下がより好まし
い。
【0020】本発明の結晶化ガラスを製造するに際し
て、出発原料として酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩
等の塩やハロゲン化物、ホウ化物を用いることができ
る。これらの原料を溶融し、急冷して透明な原ガラスを
得、熱処理によりSBN結晶を析出・成長させることによ
り、本発明の結晶化ガラスを得ることができる。
【0021】本発明の結晶化ガラスを製造するに際し
て、原ガラスの溶解温度は、珪酸塩系原ガラスの場合13
00℃以上、棚酸塩系原ガラスの場合は1100℃以上、テル
ル酸塩系原ガラスの場合は900℃以上が好ましい。溶解
時間は30分以上が好ましく、3時間以上がより好まし
い。
【0022】急冷された原ガラスには熱歪みが残り易
い。歪みを除去するため、原ガラスはアニール処理する
ことが好ましい。アニール温度は、充分に歪みを除去す
るために500℃以上が好ましく、結晶核の析出を防ぐた
めに600℃以下が好ましい。アニール時間は1時間以上が
好ましく、3時間以上がより好ましい。
【0023】本発明のSBN系結晶化ガラスを製造するに
際して、結晶化温度は、珪酸塩系の場合で800℃以上、
テルル酸塩系の場合で450℃以上、硼酸塩系の場合で500
℃以上が好ましい。これらの温度を下回ると結晶は析出
しない。また結晶化時間はその目的により時間を可変し
て定めねばならないが、1時間以上が好ましく、3時間
以上がより好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に実施例、比較例を示すこと
により具体的に説明する。
【0025】(比誘電率の測定)試料を平行平板に加工
し、両端面をPtで製膜した電極について、比誘電率をWa
yne Kerr社製のB905型自動精密ブリッジで、室温にて測
定した。
【0026】(実施例1) 組成:0.175SrO−0.175BaO−0.200Nb2O5−0.450SiO2
0.0005TiO2 (モル比) 上記組成比となるように原料(SrCO3、BaCO3、Nb2O5、S
iO2、TiO2)を調合し、混合した後、石英坩堝を用いて1
360℃の溶解温度で2時間溶融した。溶融物を鉄製キャス
ト板に流し入れ、急冷し、透明な原ガラスを得た。600
℃で12時間アニールし、900℃で12時間加熱して、白色
の結晶化ガラスを得た。X線回折の結果、SBNの単一の
結晶相を示した。比誘電率ε1は6480であった。また、
0.1〜10000kHzで測定した比誘電率の結果を
図1に示す。1kHzにおける比誘電率ε1の100k
Hzにおける比誘電率ε100に対する比(ε1100
は、16.5であった。誘電損失tanδは1.9×10-4であ
った。また、光学ガラスの化学的耐久性の測定方法(粉
末法、JOJIS)により、耐水性(RW(P))及び耐酸性(RA
(P))を評価したところ、両者とも、1級であった。
【0027】(実施例2〜5)
【表1】
【0028】実施例1と同様の操作により、表1の組成
の結晶化ガラスを得た。全てSBNが主結晶相であった。
比誘電率ε1も実施例1と同様に大きな値を示してい
る。誘電損失tanδは、実施例2が1.9×10-4、実施例3
が2.0×10-4、実施例4が3.6×10-4、実施例5が1.9×1
0-3であった。
【0029】(実施例6〜10)
【表2】
【0030】アニール時間を5時間に、結晶化温度を80
0℃に下げた他は実施例1と同様の操作により、表2の
組成の結晶化ガラスを得た。全てSBN結晶相を含んでい
た。
【0031】(実施例11〜14)
【表3】
【0032】実施例1と同様の操作により、表3の組成
の結晶化ガラスを得た。全てSBN結晶を含んでいた。耐
水性及び強塩基、対強酸性を検討したところ、Siの存在
は耐水性、耐アルカリの向上を示した。
【0033】(実施例15〜19)
【表4】
【0034】組成比SrO/BaOを約3に固定し、ガラスフ
ォーマーの組成比をSiO2/B2O3で変化させ、かつ結晶核
形成剤TiO2を一定量加えて、表4に示す組成の結晶化ガ
ラスを得た。全てSBN結晶相を含んでいた。表3に比
べ、組成比半ばで比誘電率ε1が高まっている。
【0035】(実施例20〜22)
【表5】
【0036】表5の組成の結晶化ガラスを得た。実施例
20〜22の全ての結晶化ガラスについて、SBN結晶相を含
むことを確認した。
【0037】(実施例23) 0.195SrO−0.195BaO−0.320Nb2O5−0.290B2O3 (モル比) 上記組成比に原料(SrCO3、BaCO3、Nb2O5、H3BO3)を調
合し混合後、石英坩堝を用いて1200℃の溶解温度で2時
間溶融した。溶融物を鉄製キャスト板に流し入れ、急冷
して透明な原ガラスを得た。600℃で12時間アニールし
た後、800℃で24時間加熱して、白色の結晶化ガラスを
得た。X線回折の結果、SBN結晶相だけを示した。比誘
電率ε1は150であった。
【0038】(実施例24〜28)
【表6】
【0039】実施例23と同様の操作により、表6の組
成の結晶化ガラスを得た。実施例24〜28の全ての結晶化
ガラスに、SBN結晶相を含むことを確認した。
【0040】(実施例29) 硼酸塩ガラスフォーマーの高濃度組成でのSBN結晶を有
する透明結晶化ガラスの実施例を示す。 組成:0.125SrO−0.125BaO−0.080Nb2O5−0.670B2O3
(モル比) 上記組成比に原料(SrCO3、BaCO3、Nb2O5、H3BO3)を調
合し、混合後、石英坩堝を用いて1200℃の溶解温度で2
時間溶融した。溶融物を鉄製キャスト板に流し入れ、急
冷して、透明な原ガラスを得た。500℃で12時間アニー
ルした後、600℃、610℃、620℃、640℃で各12時間熱処
理した。610℃以下の熱処理により固化物は白色がかっ
た透明となった。X線回折の結果、SBN結晶のうち、00n
面の回折だけが観測された。高温の620、640℃の熱処理
結果はやや半透明を呈した。比誘電率ε1の測定結果
は、透明な原ガラスの比誘電率ε1は9.1、半透明結晶化
ガラスの比誘電率ε1は14.1であった。
【0041】(実施例30) 組成:0.150SrO−0.150BaO−0.200Nb2O5−0.500TeO2
(モル比) 上記組成比となるように原料(SrCO3、BaCO3、Nb2O5、T
eO2)を調合し、混合した後、石英坩堝を用いて1200℃
の溶解温度で2時間溶融した。溶融物を鉄製キャスト板
に流し入れ、急冷し、黄色透明な原ガラスを得た。500
℃で12時間アニールした後、700℃で12時間加熱して結
晶化した。結晶化後黄白色となった。結晶構造はSBN結
晶が単相で観測された。比誘電率ε1は50であった。
【0042】(実施例31〜35)
【表7】
【0043】実施例30と同様な操作により表7の組成の
結晶化ガラスを得た。実施例31〜35の全ての結晶化ガラ
スが、主結晶相としてSBNを有していた。
【0044】(比較例1)珪酸塩系 組成:0.100SrO−0.100BaO−0.200Nb2O5−0.600SiO2
(モル比) 上記組成比になるように原料(SrCO3、BaCO3、Nb2O5、S
iO2)を調合し、混合後、石英坩堝を用いて1350℃の溶
解温度で2時間溶融した。溶融物を鉄製キャスト板に流
し入れ、急冷し固化物を得た。X線回折法により同定し
たところ、固化物はSBN結晶化物であり、透明な原ガラ
スを作成することはできなかった。
【0045】(比較例2〜4)珪酸塩系
【表8】
【0046】比較例1の組成を表8に換え、他は比較例
1と同様の操作により比較例2から比較例4の固化物を
得た。しかし、いずれも不透明であり、原ガラスを得る
ことはできなかった。
【0047】(比較例5)珪酸塩系 組成:0.225SrO−0.225BaO−0.200Nb2O5−0.450SiO2
(モル比) 比較例1と同様の操作により、上記の組成の透明な原ガ
ラスを得た。得られたガラスを900℃12時間で結晶化
し、X線回折で結晶構造を評価したところ、SBNの単一
の結晶相を示した。1〜100kHzで測定した比誘電
率の測定結果を図1に示す。1kHzにおける比誘電率
ε1は190、1kHzにおける比誘電率ε1の100k
Hzにおける比誘電率ε100に対する比(ε1100)は
1.08であり、この範囲の周波数で、比誘電率はほと
んど変化がなかった。
【0048】(比較例6) 組成:0.175SrO−0.175BaO−0.200Nb2O5−0.450SiO2
(モル比) 比較例1と同様の操作により、上記の組成の透明な原ガ
ラスを得た。得られたガラスを600℃12時間で結晶化
し、X線回折で結晶構造を評価したところ、SBNの単一
の結晶相を示した。1kHzにおける比誘電率ε1は60
0、1kHzにおける比誘電率ε1の100kHzにおけ
る比誘電率ε100に対する比(ε1100)は2.0であ
り、この範囲の周波数で、比誘電率の変化は少なかった
(図1)。
【0049】(比較例7)硼酸塩系 組成:0.075SrO−0.075BaO−0.150Nb2O5−0.700B2O3
(モル比) 上記組成比に原料(SrCO3、BaCO3、Nb2O5、H3BO3)を調
合し、混合後、石英坩堝を用いて1200℃の溶解温度で2
時間溶融した。溶融物を鉄製キャスト板に流し入れ、急
冷し固化物を得た。
【0050】X線回折法により同定したところ、固化物
はSBN結晶化物であり、結晶化ガラスの原ガラスを作成
することはできなかった。
【0051】(比較例8〜10)硼酸塩系
【表9】
【0052】比較例5と同様の操作により、表9の組成
の比較例6から比較例8の固化物を得たが、比較例5と同
じく原ガラスを得ることはできなかった。
【0053】(比較例11)テルル酸塩系 組成:0.075SrO−0.075BaO−0.150Nb2O5−0.700TeO2
(モル比) 上記組成比に原料(SrCO3、BaCO3、Nb2O5、TeO2)を調
合し、混合後、石英坩堝を用いて1000℃の溶解温度で1
時間溶融した。溶融物を鉄製キャスト板に流し入れ、急
冷し、黄色の固化物を得た。
【0054】X線回折法により同定したところ、黄色の
固化物はSBN結晶化物であり、原ガラスを作成すること
はできなかった。
【0055】(比較例12〜14)テルル酸塩系
【表10】
【0056】比較例12及び14では溶解温度1200℃、
比較例13では溶解温度1000℃とし、比較例11と同様
の操作により表10の比較例12〜14の組成の固化物
を得たが、原ガラスを得ることはできなかった。
【0057】(比較例15〜17)テルル酸塩系
【表11】
【0058】 比較例11と同様の操作により、表11
の比較例15〜17の組成のガラスを得た。TeO2の濃度
が高くなるに従い色は濃くなった。得られたガラスを70
0℃12時間で結晶化しX線回折で結晶構造を評価したがS
BN結晶ではなかった。
【0059】
【発明の効果】本発明の結晶化ガラスは、各種コンデン
サー材料、キャパシタ用材料、90°移相器、高周波ノイ
ズ対策材料、圧電振動子、表面弾性波材料(SAWフィルター)
等への用途が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1及び比較例6の結晶化ガラス
の、比誘電率の周波数依存性を表すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C03C 3/14 C03C 3/14 3/19 3/19 3/21 3/21 4/16 4/16 Fターム(参考) 4G062 AA04 AA11 BB01 BB08 BB11 CC10 DA01 DA02 DA03 DA04 DA05 DA06 DA10 DB01 DC01 DC02 DC03 DC04 DC05 DC06 DD01 DD02 DD03 DE01 DE02 DE03 DF01 EA01 EA10 EB01 EC01 ED01 EE01 EF01 EF02 EF03 EF04 EF05 EF06 EF07 EG01 EG02 EG03 EG04 EG05 EG06 EG07 FA01 FB01 FB02 FB03 FC01 FC02 FC03 FD01 FE01 FF01 FG02 FG03 FG04 FG05 FG06 FG07 FH01 FJ01 FK01 FL01 GA01 GA10 GB01 GC01 GD01 GD02 GD03 GD04 GD05 GD06 GE01 HH01 HH03 HH05 HH07 HH09 HH11 HH13 HH15 HH17 HH20 JJ01 JJ03 JJ05 JJ07 JJ10 KK01 KK03 KK05 KK07 KK10 MM04 MM31 MM34 NN01 NN26 QQ20

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】化学組成式がaRO・bNb2O5・cSiO2・dB2O3
    ・eTeO2・fX(但し、RはBa及び/又はSrであり、XはTiO
    2、ZrO2、P2O5、ZnOからなる群から選択される一種以上
    の酸化物であり、a>b≧0.05、0.60≧c≧0、0.70≧d≧
    0、0.70≧e≧0、c+d+e≧0.175、a+b+c+d+e=1.0、0.10≧
    f>0)である結晶化ガラス。
  2. 【請求項2】化学組成式がaRO・bNb2O5・cSiO2・fX(但
    し、RはBa及び/又はSrであり、XはTiO2、ZrO2、P2O5
    ZnOからなる群から選択される一種以上の酸化物であ
    り、a>b≧0.05、0.60≧c≧0.30、a+b+c=1.0、0.10≧
    f>0)である、請求項1記載の結晶化ガラス。
  3. 【請求項3】酸化珪素、酸化硼素及び酸化テルルからな
    る群から選択される二種以上のガラスフォーマーを有す
    る結晶化ガラスであって、化学組成式がaRO・bNb2O5・c
    SiO2・dB2O3・eTeO2・fX(但し、RはBa及び/又はSrで
    あり、XはTiO 2、ZrO2、P2O5、ZnOからなる群から選択さ
    れる一種以上の酸化物であり、a>b≧0.05、0.55≧c≧
    0、0.70≧d≧0、0.70≧e≧0、c+d+e>0.175、a+b+c+d+e
    =1.0、0.10≧f≧0)である結晶化ガラス。
  4. 【請求項4】化学組成式がaRO・bNb2O5・dB2O3・fX(但
    し、RはBa及び/又はSrであり、XはTiO2、ZrO2、P2O5
    ZnOからなる群から選択される一種以上の酸化物であ
    り、a>b≧0.05、0.70≧d≧0.175、a+b+d=1.0、0.10≧f
    ≧0)である結晶化ガラス。
  5. 【請求項5】化学組成式がaRO・bNb2O5・eTeO2・fX(但
    し、RはBa及び/又はSrであり、XはTiO2、ZrO2、P2O5
    ZnOからなる群から選択される一種以上の酸化物であ
    り、a>b≧0.05、0.70≧e≧0.35、a+b+e=1.0、0.10≧f
    ≧0)である結晶化ガラス。
  6. 【請求項6】1kHzにおける比誘電率ε1の100k
    Hzにおける比誘電率ε100に対する比(ε1100)が
    10以上である、請求項1〜5のうちいずれか1項記載
    の結晶化ガラス。
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