JP2003334681A - 表面処理鋼板の重ね溶接方法 - Google Patents

表面処理鋼板の重ね溶接方法

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JP2003334681A
JP2003334681A JP2002147852A JP2002147852A JP2003334681A JP 2003334681 A JP2003334681 A JP 2003334681A JP 2002147852 A JP2002147852 A JP 2002147852A JP 2002147852 A JP2002147852 A JP 2002147852A JP 2003334681 A JP2003334681 A JP 2003334681A
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solid particles
steel sheet
steel plate
magnetic force
welding method
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Masahiro Nishio
匡弘 西尾
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 乾燥状態の微細固体粒子を直接間隙材として
用いることを可能にし、もって乾燥工程などの特別の後
処理を不要にして生産性の向上並びに製造コストの低減
に寄与する表面処理鋼板のレーザ溶接方法を提供する。 【解決手段】 溶接すべき二枚のめっき鋼板1、3の一
方のめっき鋼板1に、磁力発生源4から発生する磁力を
利用して、ショットピーニング用スチールビーズ等の微
細固体粒子5を吸着させた後、この一方のめっき鋼板1
に前記微細固体粒子5を介して他方のめっき鋼板3を重
ね合せ、その後、前記重ね合せ部を溶接計画線L1,L
2に沿ってレーザ溶接する。二枚のめっき鋼板1と3と
の間には、微細固体粒子5により微小間隙が維持される
ので、レーザ溶接に際して、めっき層の金属成分の気化
ガスが、前記間隙を通じて外部へ排出され、ブローホー
ルなどの欠陥のない品質良好な溶接金属が得られるよう
になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面処理鋼板を重
ね合せて溶接する重ね溶接方法に係り、特にめっき鋼板
の溶接に向けて好適な重ね溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、亜鉛めっき鋼板やアルミニウム
めっき鋼板を重ね溶接する場合、単に鋼板同士を重ね合
せたのでは、溶接入熱で気化しためっき成分のガスの逃
げ場がないため、ブローホールや肌荒れ等の溶接欠陥が
生じることになる。そこで従来、めっき鋼板を重ね溶接
する場合は、一般には溶接すべき二枚の鋼板の少なくと
も一方に突起あるいは凹部を形成して、これら突起ある
いは凹部により両者の重ね合せ部に微小間隙(0.1〜
0.3mm程度)を形成し、この微小間隙を通して、め
っき成分のガスを逃がすようにしていた(例えば、特開
平10−216974号公報、特公平6−73755号
公報等)。しかし、前記した対策によれば、通常プレス
加工により突起あるいは凹部を形成するようにしている
ため、それらの高さまたは深さに寸法的なバラツキが生
じ易く、前記微小間隙が小さすぎる場合はガス抜きが不
十分となり、逆に大き過ぎる場合は溶融金属の溶落ちが
生じ、所望の溶接品質を安定して確保することは困難で
ある、という問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、例えば、特開平
8−141761号公報には、溶接すべき二枚のめっき
鋼板の一方の面にビーズ状間隙材を溶媒に混入した間隙
材溶媒を塗布し、この間隙材溶媒を介して二枚のめっき
鋼板を重ね合せた後、自然乾燥または強制乾燥により溶
媒を蒸発させ、残ったビーズ状間隙材により鋼板間に微
小間隙を形成する重ね溶接方法が記載されている。この
方法によれば、ビーズ状間隙材として適当大きさのもの
を選択することで、鋼板間に所望の間隙を確保すること
ができ、溶接品質の安定向上に寄与するものとなる。
【0004】しかしながら、上記特開平8−14176
1号公報に記載の重ね溶接方法によれば、ビーズ状間隙
材を溶媒に混入した間隙材溶媒を用いるようにしている
ため、溶媒を蒸発させる乾燥工程が不可欠となり、この
乾燥工程に多くの時間を要して生産性が犠牲になり、そ
の上、コスト負担も増大する、という問題があった。本
発明は、上記した問題点に鑑みてなされたもので、その
課題とするところは、乾燥状態の金属の微細固体粒子を
直接間隙材として用いることを可能にし、もって乾燥工
程などの特別の後処理を不要にして生産性の向上並びに
製造コストの低減に寄与する表面処理鋼板の重ね溶接方
法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、少なくとも一方が表面処理鋼板である二
枚の鋼板の一方に、永久磁石、電磁石等の磁力発生源か
ら発生する磁力を利用して金属の微細固体粒子を吸着さ
せた後、該一方の鋼板に前記微細固体粒子を介して他方
の鋼板を重ね合せ、しかる後、前記重ね合せ部を高密度
エネルギービーム、例えばレーザビームや電子ビームを
用いて溶接することを特徴とする。このように行う表面
処理鋼板の重ね溶接方法においては、予め一方の鋼板に
磁力を利用して金属の微細固体粒子を吸着させるので、
二枚の鋼板を重ね合せた後に、乾燥などの特別の後処理
を行う必要はなくなる。
【0006】本発明において、上記金属の微細固体粒子
の平均粒子径は、0.1〜0.3mmとするのが望まし
い。これは、微細固体粒子の平均粒子径が0.1mmよ
り小さいと、鋼板間に形成される微小間隙が小さすぎて
ガス抜きが不十分となり、逆に0.3mmを超えると、
前記微小間隙が大きすぎて溶融金属の溶落ちが生じ易く
なるためである。本発明は、上記金属の微細固体粒子の
種類を問うものではないが、比較的粒子径がそろった金
属粒子を安価に入手可能であることから、ショットピー
ニングまたはショットブラスト用の鋼球(スチールビー
ズ)を用いるのが望ましい。また、上記微細固体粒子の
金属としては、溶接すべき鋼板と同質のものを選択して
もよいが、溶接部に要求される特性(強度、靭性、延性
等)を考慮して、鋼板の母材成分と異なる成分のものを
選択してもよい。本発明において、上記一方の鋼板に対
する微細固体粒子の吸着に利用した磁力は、そのまま溶
接後まで保持してもよいが、粒子径の小さい余分な微細
固体粒子を排除して、できるだけ多くのガス流路を確保
する意味合いで、二枚の鋼板を重ね合せた後に磁力を消
去するのが望ましい。この場合、磁力の発生源としては
永久磁石と電磁石との何れかを用いることができるが、
前記した重ね合せ後の磁力の消去を考慮すれば、電磁石
を用いるのが望ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基いて説明する。図1〜図3は、本発明に係る重
ね溶接方法の一つの実施の形態を示したものである。本
実施の形態は、めっき鋼板を成形してなるチャンネル状
の第1ワーク1のフランジ部2に、同じくめっき鋼板か
らなる平板状の第2ワーク3を重ね合せて、両者の重ね
合せ部をレーザ溶接しようとするものである。本実施の
形態におて、前記第1ワーク1および第2ワーク3の素
材であるめっき鋼板としては、比較的低温度で気化する
金属を含むめっき層を有するもの、例えば亜鉛めっき鋼
板、亜鉛−錫めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、ニ
ッケル−亜鉛めっき鋼板等を選択することができる。
【0008】レーザ溶接に際しては、図1に示すよう
に、予め第1ワーク1のフランジ部2の上面(重ね面)
2aに、その背面側に配置した磁力発生源4から発生す
る磁力を利用して、溶接計画線L1,L2に沿って金属
の微細固体粒子5を吸着させる。磁力発生源4は、永久
磁石であっても電磁石であってもかまわないが、ここで
は、後述の磁力消去を考慮して電磁石を用いている。
【0009】上記微細固体粒子5としては、ここではシ
ョットピーニング用スチールビーズ(鋼球)を用いてお
り、その大きさは、平均粒子径130μm程度となって
いる。この微細固体粒子5を前記フランジ部2に吸着さ
せるには、図1に示すように、第1ワーク1を、そのフ
ランジ部2の重ね面2aが上向きとなるようにセットす
ると共に、そのフランジ部1の背面側に前記溶接計画線
L1,L2に沿って磁力発生源4を配置し、この状態
で、フランジ部2の重ね面2aに、例えば、篩を用いて
前記微細固体粒子5を撒布すればよい。もちろん、前記
方法に代えて、図示の状態を、丁度、反転させた状態と
して、前記フランジ部2を貯留箱内の微細固体粒子5に
押付けるようにしてもよく、何れの方法によっても、フ
ランジ部2の重ね面2a上には、溶接計画線L1,L2
に沿って微細固体粒子5が帯状に吸着される。この場
合、微細固体粒子5の吸着後に、フランジ部2の重ね面
2aに圧縮エアを吹付けて、磁力の圏外にある余分な固
体微粒子5や吸着力の小さい固定微粒子5を排除するの
が望ましく、これにより溶接計画線L1,L2に沿って
微細固体粒子5の帯が集中的に形成される。なお、この
微細固体粒子5の帯の幅は、主として磁力の大きさに依
存するので、磁力発生源4としての電磁石の電流の強さ
を調整することで、適宜の幅とすることができる。
【0010】このようにして第1ワーク1のフランジ部
2の重ね面2aに金属の微細固体粒子5を吸着させた
後、この第1ワーク1のフランジ部2に第2ワーク3を
重ね合せる。すると、図2および図3に示すように第1
ワーク1と第2ワーク3との間には、微細固体微粒子5
の平均粒子径にほぼ相当する所望の微小間隙δが形成さ
れる。第1ワーク1に第2ワーク3を重ね合せるに際し
ては、第2ワーク3を微細固体粒子5上で横方向へ振動
させながらこれに押付力を加えるようにするのが望まし
く、これにより、微細固体粒子5同士の重なりが崩れて
その分散度がよくなる。なお、図2および図3中、6、
7は、第1、第2ワーク1、3の両面に形成されている
めっき層をそれぞれ表している。
【0011】上記のごとく重ね合せた第1ワーク1と第
2ワーク3とは、適当なクランプ手段によりクランプす
るようにしてもよい。この場合、クランプ力を適宜の大
きさとすることで、両ワーク1と3間における微細固体
粒子5の保持が安定するので、磁力発生源4としての電
磁石に対する電流供給を停止して、磁力を消去してもよ
い。このように磁力を消去することで、前記両ワーク1
と3との微小間隙δよりも小径の微細固体粒子5は動き
が自由となり、前記微小間隙δ内に圧縮エアを吹込むこ
とで、この余分な微細固体粒子5を両ワーク1と3との
重ね合せ部から排除することができる。
【0012】第1ワーク1に対する第2ワーク3の重ね
合せ作業が終了したら、図2および3に示すように、両
ワーク1と3との合せ部に図示を略するレーザトーチか
らレーザビームBを照射し、該レーザトーチを溶接計画
線L1,L2に沿ってその始端から終端まで一定の速度
で移動させる。この場合、レーザトーチを位置固定して
両ワーク1と3を移動させてもよいことはもちろんであ
る。すると、レーザビームBによる照射部位が加熱され
て溶融し、溶接金属8が第1ワーク1と第2ワーク3と
の微小間隙δを貫通して形成され、両ワーク1と3とは
相互に重ね溶接される。この時、溶接計画線L1,L2
上に存在する両ワーク1と3のめっき層6、7の成分
(亜鉛、アルミニウム等)が、レーザビームBの熱で気
化するが、この気化ガスは、両ワーク1と3との間の微
小間隙δを通して外部へ排出され、したがって溶接金属
8中にブローホールが形成されることはない。特に、両
ワーク1と3とを重ね合せた後、両者の微小間隙δ内に
圧縮エアを吹込んで、余分な微細固体粒子5を排除した
場合は、微細固定粒子5の帯状部内に多くのガス流路が
確保されるので、前記ガス抜きはより促進される。ま
た、この溶接に際しては、溶接計画線L1,L2上に存
在する微細固体粒子5が溶接金属8中に溶け込むため、
溶接金属8の体積(ボリューム)が増加し、その分、溶
接金属8の引けは小さくなり、溶け落ちの危険も少なく
なる。しかも、微細固体粒子5は、両ワーク1と3との
合せ部すなわち中間域から溶融プール内に溶け込むの
で、成分偏析のない均質な溶接金属8が得られるように
なる。
【0013】ここで、上記微細固体粒子5として用いら
れるスチールビーズは、溶接すべきワーク1,3の素材
であるめっき鋼板の母材と融合して合金化するので、ス
チールビーズとして適宜の成分を有するものを選択する
ことで、得られる溶融金属(溶接部)8の特性を積極的
に変えることができる。例えば、スチールビーズとして
めっき鋼板の母材よりも炭素量の多いものを選択した場
合は、得られる溶接部8の強度が向上するので、強度重
視の用途に向けて好適となる。一方、スチールビーズと
してめっき鋼板の母材よりも炭素量の少ないものを選択
した場合は、得られる溶接部8の延性が向上するので、
溶接後に二次加工(塑性加工)を必要とする用途に向け
て好適となる。ただし、スチールビーズの炭素量があま
り多くなると、溶接割れが起き易くなるばかりか、得ら
れる溶接部8の靭性が低下し、一方、スチールビーズの
炭素量があまり少ないと、得られる溶接部8の強度が低
下するので、これらを考慮して適当な炭素量のスチール
ビーズを選択する必要がある。
【0014】なお、上記実施の形態においては、2つの
ワーク1および3の双方をめっき鋼板製としたが、本発
明は、溶接すべき2つのワークのうちの一方のみがめっ
き鋼板製であっても適用可能であることはもちろんであ
る。また、本発明は、溶接対象とする表面処理鋼板の種
類を問うものではなく、上記した各種めっき鋼板はもと
より、各種塗装またはコーティングを施した鋼板を対象
とし得る。さらに、上記実施の形態においては、溶接に
レーザビームを用いたが、本発明は、電子ビーム等の他
の高エネルギービームはもとより、プラズマ等を用いて
もよいもので、これらの使用によっても同様の効果が得
られる。
【0015】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明に係る表
面処理鋼板の重ね溶接方法によれば、乾燥状態の微細固
体粒子を一方の鋼板に磁力を利用して吸着させた後、こ
れに他方の鋼板を重ね合せて溶接を行うので、微細固体
粒子を吸着させ後は、乾燥工程などの特別の後処理が不
要になり、生産性の向上並びに製造コストの低減を達成
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る表面処理鋼板の重ね溶接方法の1
つの実施の形態を模式的に示す斜視図である。
【図2】本重ね溶接方法による溶接の実施状況を溶接計
画線に沿う縦方向で示す断面図である。
【図3】本重ね溶接方法による溶接の実施状況を溶接計
画線に交差する横方向で示す断面図である。
【符号の説明】
1 第1ワーク(めっき鋼板) 3 第2ワーク(めっき鋼板) 4 磁力発生源 5 微細固体粒子 6,7 めっき層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方が表面処理鋼板である二
    枚の鋼板の一方に磁力を利用して金属の微細固体粒子を
    吸着させた後、該一方の鋼板に前記微細固体粒子を介し
    て他方の鋼板を重ね合せ、しかる後、前記重ね合せ部を
    高密度エネルギービームを用いて溶接することを特徴と
    する表面処理鋼板の重ね溶接方法。
  2. 【請求項2】 金属の微細固体粒子の平均粒子径が、
    0.1〜0.3mmであることを特徴とする請求項1に
    記載の表面処理鋼板の重ね溶接方法。
  3. 【請求項3】 金属の微細固体粒子が、ショットピーニ
    ングまたはショットブラスト用の鋼球であることを特徴
    とする請求項1または2に記載の表面処理鋼板の重ね溶
    接方法。
  4. 【請求項4】 金属の微細固体粒子として、鋼板の母材
    成分と異なる成分のものを用いることを特徴とする請求
    項1乃至3の何れか1項に記載の表面処理鋼板の重ね溶
    接方法。
  5. 【請求項5】 二枚の鋼板を重ね合せた後、磁力を消去
    することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記
    載の表面処理鋼板の重ね溶接方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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