JP2003332165A - 積層セラミック電子部品及びその製造方法 - Google Patents

積層セラミック電子部品及びその製造方法

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JP2003332165A
JP2003332165A JP2002139152A JP2002139152A JP2003332165A JP 2003332165 A JP2003332165 A JP 2003332165A JP 2002139152 A JP2002139152 A JP 2002139152A JP 2002139152 A JP2002139152 A JP 2002139152A JP 2003332165 A JP2003332165 A JP 2003332165A
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internal electrode
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JP2002139152A
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Iwao Ueno
巌 上野
Naoki Noda
直樹 野田
Kazuyuki Okano
和之 岡野
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐還元性が高く、かつ主成分の基本特性を充分
発揮できるセラミック層を持った積層セラミック電子部
品及びその製造方法を提供する。 【解決手段】Mn及びV化合物から選ばれる少なくとも
1つの元素を含有するセラミック層11と、内部電極層12
とを交互に積層した積層体と、前記積層体の前記内部電
極12の露出した端面に設けた外部電極13,14とを含む積
層セラミック電子部品であって、前記セラミック層11の
前記内部電極12に接触する部分は非接触の部分よりもM
n化合物及びV化合物から選ばれる少なくとも1つの元
素の含有量が多い。あるいは、最外セラミック層はMn
及びV化合物から選ばれる少なくとも1つの元素の含有
量が他のセラミック層よりも多い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層セラミックコ
ンデンサ等の積層セラミック電子部品及びその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的に、卑金属を内部電極層とする積
層セラミックコンデンサでは、還元雰囲気中で積層体を
焼成するために、誘電体層の組成は耐還元性を有するも
のでなければならない。
【0003】そこで誘電体層は、チタン酸バリウムを主
成分とし、副成分として例えばMn化合物などを添加し
たものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、耐還元
性を持たせる副成分を添加した場合、主成分の基本特性
が変わり、所望の特性を有する積層セラミックコンデン
サを得ることができないという問題を有していた。
【0005】本発明は、前記従来の問題を解決するた
め、耐還元性が高く、かつ主成分の基本特性を充分発揮
できるセラミック層を持った積層セラミック電子部品及
びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の積層セラミック電子部品は、Mn及びV化
合物から選ばれる少なくとも1つの元素を含有するセラ
ミック層と、内部電極層とを交互に積層した積層体と、
前記積層体の前記内部電極の露出した端面に設けた外部
電極とを含む積層セラミック電子部品であって、前記セ
ラミック層の前記内部電極に接触する部分は非接触の部
分よりもMn化合物及びV化合物から選ばれる少なくと
も1つの元素の含有量が多いことを特徴とする。
【0007】本発明の別の積層セラミック電子部品は、
Mn及びV化合物から選ばれる少なくとも1つの元素を
含有するセラミック層と、内部電極層とを交互に積層し
た積層体と、前記積層体の前記内部電極の露出した端面
に設けた外部電極とを含む積層セラミック電子部品であ
って、最外セラミック層は、Mn及びV化合物から選ば
れる少なくとも1つの元素の含有量が他のセラミック層
よりも多いことを特徴とする。
【0008】次に本発明の積層セラミック電子部品の製
造方法は、セラミックグリーンシート上に、Mn34
びV25から選ばれる少なくとも一種類を含有する電極
ペーストをスクリーン印刷し、内部電極層付きセラミッ
クグリーンシートを作製し、前記内部電極層付きセラミ
ックグリーンシートを含む複数枚のセラミックシートを
積層し、加圧して一体化し、このとき前記内部電極層の
一方の端部が端面に露出するようにし、次いで前記露出
面に外部電極を塗布形成し、非酸化雰囲気中で焼結処理
することを特徴とする。
【0009】次に本発明の別の積層セラミック電子部品
の製造方法は、セラミックグリーンシート上に、電極ペ
ーストをスクリーン印刷し、内部電極層付きセラミック
グリーンシートを作製し、前記内部電極層付きセラミッ
クグリーンシートを含む複数枚のセラミックシートを積
層し、加圧して一体化し、このとき前記内部電極層の一
方の端部が端面に露出するようにし、次いで前記露出面
に外部電極を塗布形成し、予備加熱処理し、次に積層セ
ラミックを焼結する際、Mn34及びV25から選ばれ
る少なくとも一種類を含有するしき粉中に前記積層セラ
ミックを埋め込んで非酸化雰囲気中で焼結することを特
徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、前記セラミック層の前
記内部電極層に接触するものは非接触のものよりもMn
化合物及びV化合物の少なくとも1種類の含有量が多い
ことにより、耐還元性に優れ、かつ主成分の基本特性を
充分発揮できる。
【0011】また、内部電極層は卑金属を含むことが好
ましい。卑金属とは、例えばNi、Cu等を挙げること
ができる。
【0012】また、本発明は、最外セラミック層のMn
及びV化合物の少なくとも1種類の含有量が他のセラミ
ック層よりも多い。このような構成にしたことにより、
耐還元性に優れ、かつ主成分の基本特性を充分発揮でき
る。
【0013】また、内部電極層にMn化合物及びV化合
物の少なくとも1種類を含んでいてもよい。このような
構成にしたことにより、耐還元性に優れ、かつ主成分の
基本特性を充分発揮できる。
【0014】また、Mnを含有するセラミック層と内部
電極層とを積層した積層体の周囲に例えばZrO2粉末
にMn化合物及びV化合物の粉末の少なくとも1種類を
混合した粉末(しき粉)を配置して、この中で非酸化雰
囲気中で焼成する。このような製造方法によれば、耐還
元性に優れ、かつ主成分の基本特性を充分発揮できる。
【0015】また、本発明の製造方法においては、少な
くとも一層のセラミック層は、少なくとも3枚のセラミ
ックシートを貼り合わせて作製したものであり、前記セ
ラミックシートの内部電極と接触するものは非接触のも
のよりMn化合物及びV化合物の少なくとも1種類の含
有量を多くしてもよい。この方法により、耐還元性に優
れ、かつ主成分の基本特性を充分発揮できる積層セラミ
ック電子部品を得ることができる。
【0016】以下実施の形態を用いて本発明を説明す
る。
【0017】(実施の形態1)図1は、本実施の形態に
おける積層セラミックコンデンサの断面図である。この
積層セラミックコンデンサは、誘電体層11と内部電極
層12a、12bとを交互に積層した積層体と、この積
層体の内部電極層12a,12bの露出した端面に形成
された下層外部電極13と、下層外部電極13の表面に
形成された上層外部電極14とを備えている。
【0018】図2は本実施の形態における積層セラミッ
クコンデンサの製造工程を説明するための断面図であ
り、21はサヤ、22はしき粉、23は積層体である。
【0019】図3は本実施の形態における積層セラミッ
クコンデンサの断面図であり、図1と同要素については
同番号を付して説明を省略する。図3において31はM
n及びVから選ばれる少なくとも一つの元素含有量が多
い誘電体層である。
【0020】次に、基本的な製造方法を説明する。
【0021】まず、温度変化に対する静電容量の安定性
(SL特性)を発揮ように誘電体層11は、(CaX
1-XmαO2+m(但し、0.3≦X≦0.4、0.9
95≦m≦1.005、αはTiまたはTi1-yZr
y(但し、yは1.5〜3.0wt%))で表される基
本成分とし、副成分にMn34、V25、Y23の各粉
末を用いた。これらを所定の組成となるように秤量し、
ジルコニアボールを備えたボールミルに純水とともに入
れ、湿式混合した。
【0022】次に、この混合物を脱水、乾燥した後、走
査型電子顕微鏡(SEM)で測定される混合粉末の平均
粒径が1.0μm以下になるように粉砕した。この混合
粉末に、バインダとしてポリビニルブチラール樹脂、可
塑剤としてベンジルブチルフタレート、溶剤としてn−
酢酸ブチルを加えて、ジルコニアを備えたボールミルに
て混合し、スラリーを調製した。
【0023】次いで、このスラリーを真空脱泡した後、
ドクターブレード法によりフィルム状に製膜し、誘電体
層11となるセラミックグリーンシートを作製した。こ
のとき、乾燥後のセラミックグリーンシートの厚みが約
25μmとなるようにした。この時、Mn34量及びV
25量が異なるセラミックグリーンシートを数種類作製
した。
【0024】その後、セラミックグリーンシート上に、
平均粒径約0.1μmのNi粉末を含む電極ペーストを
スクリーン印刷し、内部電極層12付きセラミックグリ
ーンシートを作製した。この時、電極ペーストにMn3
4及びV25の少なくとも一種類以上含有するペース
トも使用した。
【0025】次に、セラミックグリーンシートを複数枚
積層した上に、内部電極層12付きセラミックグリーン
シートを数枚積層し、更にその上にセラミックグリーン
シートを複数枚積層した。これを、加熱加圧して一体化
した後、横4.08mm、縦2.04mm、高さ1.7
2mmの大きさに切断して、積層体23を作製した。こ
の積層体は、内部電極層12とセラミックグリーンシー
トとが交互に積層され、内部電極層12の一方の端部が
端面に露出している。
【0026】続いて、積層体23の内部電極層12の露
出した端面に、Ni粉末を含有する電極ペーストを塗
布、乾燥し、下層外部電極13を形成した。続いて、図
2に示すように積層体23をしき粉22(ZrO2粉末
単体かもしくはこの粉末にMn34及びV25の少なく
とも一種類以上を混合した粉末)を敷いたジルコニア質
のサヤ21に入れ、NiとNiOの平衡酸素分圧以下の
酸素分圧に調整した窒素雰囲気中において、400℃で
2〜5時間の予備加熱処理を行った。
【0027】次いで、NiとNiOの平衡酸素分圧以下
の酸素分圧に調整したN2(90vol.%)+H2(10vol.%)雰囲
気中、最高温度1400℃で2時間焼成を行い、焼結体
を得た。焼結体の下層外部電極13上に、Agを含む電
極ペーストを塗布し、600℃で30分間焼き付けて、
上層外部電極14を形成した。これにより、図1に示す
二層構造の外部電極を有する積層セラミックコンデンサ
を得た。
【0028】この積層セラミックコンデンサの各誘電体
層11の厚みは約10μmであり、各内部電極層12の
厚みは約2μmであった。その後、上層外部電極14の
上に、Niメッキ、ハンダメッキの順にメッキ層(図示
せず)を形成した。
【0029】上記方法により、セラミックシート中のM
34量及びV25量の含有量が(表1)に示すような
積層セラミックコンデンサを作製した。
【0030】
【表1】
【0031】(表1)において、Mn34量、V2
5量、Y23量はグリーンシートを構成する無機粉末を
100モル%とした時の含有量である。
【0032】次に(表1)の各工法について説明する。
特に記載のない工程については、上記方法で作製したも
のである。
【0033】工法1(試料No.3)は、図2に示す積
層体23を熱処理及び焼成する工程において,しき粉2
2として、粒径1〜5μmのZrO2粉末を主成分と
し、副成分として粒径0.5〜1μmのMn34粉末を
1〜5wt%混合したものを用いたものである。
【0034】工法2(試料No.4)は、図3に示すよ
うに積層体の最外側二層の誘電体層31のMn34の含
有量を内部電極層12と接触していない他の誘電体層1
1よりも多くしたものである。さらに内部電極層12と
接触する一層の誘電体層31を少なくとも3枚のセラミ
ックシートを用いて形成したものであり、内部電極層1
2に接するセラミックシートのMn34の含有量をセラ
ミックシート間に挟まれたセラミックシートよりも多く
するものである。この時、最外側二層の誘電体層31及
び内部電極層31と接触するセラミックシ−トの組成
は、試料No.2のものを用いる。他の誘電体層11
は、試料No.4のものを用いた。また各層の厚みは、
上記方法で示したものとなるようにした。
【0035】工法3(試料No.5)は、Niを主成分
とし、副成分としてMn34粉末0.1〜0.5wt%
含有させた電極ペーストを用いて内部電極層12を上記
方法で作製したものである。
【0036】これらの工法を用いて作製した(表1)に
示す積層セラミックコンデンサについて、誘電体層11
の容量及び誘電正接(tanδ)の温度特性を測定した。
結果を図4に示す。
【0037】図4について説明する。
【0038】試料No.1と2は本発明の請求範囲外
(各誘電体層11が同一組成)であり、容量温度変化率
が大きい(試料No.2)、もしくはtanδの温度特性
変化率が大きい(試料No.1)ものである。また、試
料No.1では絶縁抵抗値が他の試料に比べ一桁小さか
った。即ち、誘電体層11にMn34を添加しないとta
nδの温度特性が悪くなりかつ絶縁抵抗値が小さくな
る。
【0039】また、逆に、Mn34の添加量を多くする
(0.15mol%)(試料No.2)と容量温度特性が悪く
なった。Mn34の添加量は0.05mol%程度(試料N
o.6)が最適である。そしてMn34添加量を少なく
して、0.01mol%にしても工法1〜3(試料No.3
〜5)を使用すれば同等の特性を再現することが可能と
なる。
【0040】Mn34の効果について記載すると、Mn
34を添加することで誘電体層11の耐還元性が向上
し、N2+H2雰囲気中で焼成しても抵抗値が下がること
がなく誘電体として機能する。即ち、Mnがアクセプタ
−として作用すると考えられる。従って、Mn34量が
ある一定量添加された組成では(例えば試料No.6の
ように)容量のSL特性の誘電体として充分に機能す
る。しかし、添加量がある一定以上になると、結晶構造
が乱れ容量のSL特性から逸脱してしまう(試料No.
2)。
【0041】本実施の形態のように卑金属のNiを内部
電極層12とする積層セラミックコンデンサを作製する
場合、焼成をN2+H2雰囲気中のような還元雰囲気中で
実施しなければならないために、組成に耐還元性を持た
せるためにMn34を添加することが一般的である。し
かし、Mn34の添加量を増加すると結晶構造に歪み等
を生じさせ、結果として電気特性等の諸特性を変化させ
てしまうことがある。従って、Mn34の添加量を極力
抑える必要がある。そこで、本発明の(試料No.3〜
5)ように、周囲の雰囲気の影響を受けやすい最外の誘
電体層11あるいは内部電極層12にMnの含有量を増
加させることで、より一層Mn34の効果を発揮するこ
とができ、結果として少量のMn34添加量で同様の効
果を発揮することが可能となる。
【0042】(実施の形態2)実施の形態1と同様に下
記(表2)に示す方法により積層セラミックコンデンサ
を作製した。
【0043】
【表2】
【0044】その結果を図5に示す。
【0045】ここで、各工法について説明する。
【0046】工法4(試料No.9)は、図2に示す積
層体23を熱処理及び焼成する工程において,ZrO2
粉末を主成分とし、副成分としてV25粉末を1〜5wt
%混合した粉末をしき粉22として用いる。
【0047】工法5(試料No.10)は、図3に示す
ように、積層体の最外側から二層の誘電体層31のV2
5の含有量を内部電極層12と接触していない他の誘
電体層11よりも多くしたものである。さらに内部電極
層12と接触する誘電体層31を少なくとも3枚のセラ
ミックシートを用いて形成したものであり、内部電極層
12に接するセラミックシートのV25の含有量をセラ
ミックシート間に挟まれたセラミックシートよりも多く
するものである。この時、最外側二層の誘電体層31及
び内部電極層12と接触するセラミックシ−トの組成
は、試料No.2のものを用いる。他の誘電体層11
は、試料No.10のものを用いた。また各層の厚み
は、実施の形態1で示したものとなるようにした。
【0048】工法6(試料No,11)は、Niを主成
分とする電極ペーストに副成分としてV25粉末を0.
1〜0.5wt%含有させたものを用いて内部電極層1
2を形成する。
【0049】ここで説明した以外の製造工程は、実施の
形態1で示したものと同様の工程により積層セラミック
コンデンサを作製する。
【0050】(表2)に示す積層セラミックコンデンサ
の誘電体層11の容量及び誘電正接(tanδ)の温度特
性を測定した。結果を図5に示す。
【0051】図5について説明する。
【0052】試料No.7と8は本発明の請求範囲外で
あり、容量の温度変化率が大きい(試料No.8)、も
しくはtanδの温度変化率が大きい(試料No.7)も
のである。また、試料No.7では絶縁抵抗値が他の試
料に比べ一桁小さかった。即ち、組成にV25を添加し
ないとtanδの温度特性が悪くなりかつ絶縁抵抗値が小
さくなる。また、逆に、V25の添加量を多くする
(0.30mol%)(試料No.8)と容量温度特性が悪く
なった。このことから、V25の添加量は0.10mol%
付近(試料No.12)が最適であると思われる。そし
てV25添加量を減少させて0.02mol%にしても工法
4〜6(試料No.9〜11)を使用すればV25の添
加量は0.10mol%とした時と同等の特性を再現するこ
とが可能となる。
【0053】V25の効果について説明すると、前記し
たMn34とほぼ同等の機能を発揮するものと考えられ
る。相違点は、V25を添加すると焼結密度が上がり、
結果として室温付近でのtanδの異常上昇が抑えられ
る。これはV25が焼結促進剤として作用するものと考
えられる。逆に、Mn34は高温付近でtanδの上昇を
抑えるものと考えられる。
【0054】また、上記各実施の形態では示さなかった
が、工法1〜6においてMn34とV25の混合粉を使
用して前記実施の形態と同様の実験を行った結果、Mn
34とV25の両方を効果を得ることができ、10〜1
40℃の範囲でtanδの上昇が抑制できる。
【0055】さらに、上記実施の形態では、SrTiO
3−CaTiO3系を主成分とする積層セラミックコンデ
ンサについて示したが、BaTiO3を主成分とする積
層セラミックコンデンサでも同様の効果を確認した。も
ちろんチタン酸塩のみでなくジルコン酸塩も同様の効果
を示した。
【0056】さらにまた、コンデンサのみでなくサ−ミ
スタ、セラミスタ、バリスタ等の半導体及び圧電体にも
同様の効果が期待できるものである。また、積層体以外
の形状でも同様の効果が期待できる。
【0057】以上のように、内部電極層12に卑金属例
えばNi及びNiを含む合金などで構成される積層体で
は還元雰囲気焼成が必要となり、この時に添加剤にMn
34やV25等を添加し耐還元性を向上させる必要が有
る。しかし、これらの副成分を過剰に添加すると本来必
要とする基本特性を逸脱する可能性がある。従って、必
要最低限の添加量で工法1〜6に示した方法を用いるこ
とで、基本特性を満足する積層セラミック電子部品を得
ることが可能となる。Mn化合物を粉末で使用する場合
は、MnO、MnO2、MnCO3などに比べて粒径が細
かく分散しやすいMn34を用いることが好ましい。
【0058】また、Mn化合物を溶液で使用すると、粉
末で使用する場合と比較して、更に分散性を向上させる
ことができる。この場合、Mn化合物としては、酢酸塩
または硝酸塩を用いることが好ましい。後工程のアルカ
リ溶液(例えば、アンモニア水)で容易に沈殿を析出さ
せることができ、不純物を仮焼などにより容易に熱分解
することができるからである。
【0059】V化合物を粉末で使用する場合は、VO、
23、VO2などに比べて粒径が細かく分散しやすい
25を用いることが好ましい。
【0060】さらに、工法1及び4で示した、しき粉と
して主成分ZrO2粉末に副成分としてMn34及びV2
5粉末の少なくとも一種類以上を混合した粉末は、数
回使用しても良いものであるが、、焼成過程でMn34
及びV25が飛散・拡散することがあり3、4回使用し
たら新たに前記粉末を添加する方が良いものと思われ
る。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
耐還元性に優れ、かつ主成分の基本特性を充分発揮でき
るセラミック層を持った積層セラミック電子部品及びそ
の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における積層セラミック
コンデンサの断面図
【図2】本発明の一実施の形態における積層セラミック
コンデンサの製造工程を説明するための断面図
【図3】本発明の一実施の形態における積層セラミック
コンデンサの断面図
【図4】本発明の実施の形態1の積層セラミックコンデ
ンサの温度特性を示す特性曲線図
【図5】本発明の実施の形態2の積層セラミックコンデ
ンサの温度特性を示す特性曲線図
【符号の説明】
11 誘電体層 12 内部電極 13 下層外部電極 14 上層外部電極 21 サヤ 22 しき粉 23 積層体 31 誘電体層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡野 和之 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5E001 AB03 AC09 AE00 AF06 AH01 AH05 AH08 AH09 AJ01 AJ03

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mn及びV化合物から選ばれる少なくと
    も1つの元素を含有するセラミック層と、内部電極層と
    を交互に積層した積層体と、前記積層体の前記内部電極
    の露出した端面に設けた外部電極とを含む積層セラミッ
    ク電子部品であって、 前記セラミック層の前記内部電極に接触する部分は非接
    触の部分よりもMn化合物及びV化合物から選ばれる少
    なくとも1つの元素の含有量が多いことを特徴とする積
    層セラミック電子部品。
  2. 【請求項2】 内部電極層は、卑金属を含む請求項1に
    記載の積層セラミック電子部品。
  3. 【請求項3】 内部電極層は、Mn化合物及びV化合物
    から選ばれる少なくとも1つの元素を含む請求項1に記
    載の積層セラミック電子部品。
  4. 【請求項4】 Mn及びV化合物から選ばれる少なくと
    も1つの元素を含有するセラミック層と、内部電極層と
    を交互に積層した積層体と、前記積層体の前記内部電極
    の露出した端面に設けた外部電極とを含む積層セラミッ
    ク電子部品であって、 最外セラミック層は、Mn及びV化合物から選ばれる少
    なくとも1つの元素の含有量が他のセラミック層よりも
    多いことを特徴とする積層セラミック電子部品。
  5. 【請求項5】 セラミック層のMn及びV化合物から選
    ばれる少なくとも1つの元素の含有量が0.01モル%
    以上0.5モル%以下の範囲である請求項1〜4のいず
    れかに記載の積層セラミック電子部品。
  6. 【請求項6】 セラミック層のMn及びV化合物から選
    ばれる少なくとも1つの元素の含有量が、他の部分より
    1ppm以上1重量%未満の範囲多い請求項1〜5のい
    ずれかに記載の積層セラミック電子部品。
  7. 【請求項7】 セラミックグリーンシート上に、Mn3
    4及びV25から選ばれる少なくとも一種類を含有す
    る電極ペーストをスクリーン印刷し、内部電極層付きセ
    ラミックグリーンシートを作製し、 前記内部電極層付きセラミックグリーンシートを含む複
    数枚のセラミックシートを積層し、加圧して一体化し、
    このとき前記内部電極層の一方の端部が端面に露出する
    ようにし、次いで前記露出面に外部電極を塗布形成し、 非酸化雰囲気中で焼結処理することを特徴とする積層セ
    ラミック電子部品の製造方法。
  8. 【請求項8】 電極ペーストにMn34及びV25から
    選ばれる少なくとも一種類を0.1〜0.5重量%の範
    囲含有する請求項7に記載の積層セラミック電子部品の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 セラミックグリーンシート上に、電極ペ
    ーストをスクリーン印刷し、内部電極層付きセラミック
    グリーンシートを作製し、 前記内部電極層付きセラミックグリーンシートを含む複
    数枚のセラミックシートを積層し、加圧して一体化し、
    このとき前記内部電極層の一方の端部が端面に露出する
    ようにし、次いで前記露出面に外部電極を塗布形成し、 積層セラミックを焼結する際、Mn34及びV25から
    選ばれる少なくとも一種類を含有するしき粉中に前記積
    層セラミックを埋め込んで非酸化雰囲気中で焼結するこ
    とを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。
  10. 【請求項10】 しき粉にMn34及びV25から選ば
    れる少なくとも一種類を1〜5重量%の範囲含有する請
    求項9に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
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