JP2003332114A - 室温および高温における機械的強度並びに耐キャビテーション損傷性が共に優れたボンド軟磁性体およびその製造方法 - Google Patents

室温および高温における機械的強度並びに耐キャビテーション損傷性が共に優れたボンド軟磁性体およびその製造方法

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JP2003332114A
JP2003332114A JP2002133701A JP2002133701A JP2003332114A JP 2003332114 A JP2003332114 A JP 2003332114A JP 2002133701 A JP2002133701 A JP 2002133701A JP 2002133701 A JP2002133701 A JP 2002133701A JP 2003332114 A JP2003332114 A JP 2003332114A
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powder
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Muneaki Watanabe
宗明 渡辺
Yoshinori Sone
佳紀 曽根
Koichiro Morimoto
耕一郎 森本
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Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】室温および高温における機械的強度並びに耐キ
ャビテーション損傷性が共に優れたボンド軟磁性体を提
供する。 【解決手段】絶縁皮膜を形成した鉄粉末、Fe−Si系
鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉
末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−C
r系鉄基軟磁性合金粉末またはNi基軟磁性合金粉末を
0.1〜2質量%の樹脂で固めたボンド軟磁性体であっ
て、前記樹脂はポリフェニレンサルファイド/フッ素樹
脂=0.4〜2の質量配合比で混合した混合樹脂である
ことを特徴とする室温および高温における機械的強度並
びに耐キャビテーション損傷性が共に優れたボンド軟磁
性体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、室温および高温
において優れた機械的強度を有し、さらに耐キャビテー
ション損傷性にも優れたボンド軟磁性体およびその製造
方法に関するものであり、このボンド軟磁性体は特に流
体に直接接触するインジェクター部品、特にインジェク
ターのコアの製造に使用されるものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車用エンジンの電子制御式
燃料噴射装置におけるインジェクターの材料として低炭
素鋼、快削電磁ステンレス鋼などが使用されていた。し
かし、近年、自動車の電子制御式燃料噴射装置における
インジェクター部品に周波数特性が優れ、小型化のため
の設計自由度の高い鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合
金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si
−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性
合金粉末またはNi基軟磁性合金粉末を樹脂で固めたボ
ンド軟磁性体が使用されるようになって来た。
【0003】従来のボンド軟磁性体は、鉄粉末、Fe−
Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合
金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe
−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはNi基軟磁性合金粉
末に熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を添加・混合した
のち、圧粉成形して所定形状の成形体を作製し、その後
この成形体を硬化させることにより製造する。前記熱可
塑性樹脂としてはポリフェニルエーテル樹脂、ポリエー
テルイミド樹脂などが使用されており、さらに、熱硬化
性樹脂としてフェノール樹脂、エポキシ樹脂が使用され
ることは知られている。また、前記鉄粉末としては純鉄
粉末を使用することが知られており、Fe−Si系鉄基
軟磁性合金粉末としてはSi:0.1〜10%を含有
し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si
系鉄基軟磁性合金粉末(例えばSi:1〜12質量%を
含有し残部がFeおよび不可避不純物からなる珪素鋼粉
末、一層具体的にはFe−3%Si粉末)を使用するこ
とが知られており、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末と
してはAl:0.1〜20を含有し、残部がFeおよび
不可避不純物からなるFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末
(例えば、Fe−15%Alからなる組成を有するアル
パーム粉末)を使用することが知られており、Fe−S
i−Al系鉄基軟磁性合金粉末としてはSi:0.1〜
10質量%、Al:0.1〜20を含有し、残部がFe
および不可避不純物からなるFe−Si−Al系鉄基軟
磁性合金粉末(例えば、Fe−9%Si−5%Alから
なる組成を有するセンダスト粉末)を使用することが知
られており、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末としては
Cr:1〜20%を含有し、必要に応じてAl:5%以
下、Si:5%以下の内の1種または2種を含有し、残
部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Cr系鉄基
軟磁性合金粉末を使用することが知られており、さら
に、Ni基軟磁性合金粉末としてはNi:35〜85%
を含有し、必要に応じてMo:5%以下、Cu:5%以
下、Cr:2%以下、Mn:0.5%以下の内の1種ま
たは2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避不純物
からなるニッケル基軟磁性合金粉末(例えば、Fe−7
9%Ni粉末)(以上、%は質量%を示す。)を使用す
ることが知られている。
【0004】さらに、前記鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟
磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe
−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基
軟磁性合金粉末またはNi基軟磁性合金粉末にリン酸処
理を施すことにより表面に絶縁性のリン酸皮膜を形成し
たリン酸被覆軟磁性粉末が知られており、さらに、前記
鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al
系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性
合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはNi
基軟磁性合金粉末にスチーム処理を施すことにより表面
に絶縁性の水酸化膜を形成した水酸化膜被覆軟磁性粉末
が知られている。かかるリン酸皮膜または水酸化膜など
の絶縁被膜を形成した鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性
合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−S
i−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁
性合金粉末またはNi基軟磁性合金粉末を使用して製造
したボンド軟磁性体は渦電流損失が一層少なくなるとい
われている。これら絶縁被膜を形成した鉄粉末、Fe−
Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合
金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe
−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはNi基軟磁性合金粉
末に、熱可塑性樹脂粉末または熱硬化性樹脂粉末を添加
・混合したのち、圧粉成形して所定形状の成形体を作製
し、その後この成形体を樹脂硬化させることによりボン
ド軟磁性体またはボンド軟磁性体からなるインジェクタ
ー部品を製造している。前記成形体は軟磁性粉末に樹脂
を添加・混合してコンパウンドを作製し、このコンパウ
ンドを金型に充填し、プレス成形して所定形状のボンド
軟磁性体またはボンド軟磁性体からなるインジェクター
部品を作製することもできる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これらボンド軟磁性体
からなるインジェクター部品は、室温および高温に曝さ
れながら機械的負荷がかかるので、室温のみならず高温
において機械的強度に優れ、同時に流体に曝されるので
キャビテーション損傷(流速が局所的に高くなったり低
くなったりするところでは、流速が局所的に高くなる部
分では流体の静圧低下が生じて沸騰現象が起こって気泡
が生成し、一方、流速が低い高圧部分では気泡の崩壊が
生じ、この気泡の発生および消滅による衝撃圧によって
受ける損傷を一般にキャビテーション損傷と言われてい
る)に耐え得ることが必要であるとされている。しか
し、従来のボンド軟磁性体からなるインジェクター部品
はこのキャビテーション損傷に十分に耐えうるものはな
く、寿命が短いのが欠点であった。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
室温だけでなく高温における機械的強度に優れ、かつ耐
キャビテーション損傷性にも優れたボンド軟磁性体を製
造すべく研究を行った。その結果、(イ)絶縁皮膜を形
成した鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe
−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基
軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末また
はNi基軟磁性合金粉末をポリフェニレンサルファイド
とフッ素樹脂との混合樹脂で固めたボンド軟磁性体は、
ポリフェニレンサルファイド単体で固めたボンド軟磁性
体に比べて耐キャビテーション損傷性に優れており、さ
らにフッ素樹脂単体で固めたボンド軟磁性体に比べて室
温および高温における機械的強度が優れている、(ロ)
前記絶縁皮膜を形成した鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁
性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−
Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟
磁性合金粉末またはNi基軟磁性合金粉末を固めるため
に使用するポリフェニレンサルファイドとフッ素樹脂と
の混合樹脂粉末の量は、0.2質量%未満添加しただけ
では十分な耐キャビテーション損傷性が得られず、一
方、2質量%を越えて添加すると耐熱強度が落ちるとこ
ろから、0.1〜2質量%あればよく、前記混合樹脂粉
末の量の一層好ましい範囲は0.3〜1.0質量%であ
る、という研究結果が得られたのである。
【0007】この発明は、かかる研究結果に基づいてな
されたものであって、(1)絶縁皮膜を形成した鉄粉
末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄
基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金
粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはNi基軟
磁性合金粉末を0.1〜2質量%の樹脂で固めたボンド
軟磁性体であって、前記樹脂は、ポリフェニレンサルフ
ァイドとフッ素樹脂との混合樹脂である室温および高温
における機械的強度並びに耐キャビテーション損傷性が
共に優れたボンド軟磁性体、に特徴を有するものであ
る。
【0008】前記ポリフェニレンサルファイドとフッ素
樹脂との混合樹脂は、ポリフェニレンサルファイド/フ
ッ素樹脂=0.4〜2(さらに好ましくは0.8〜1.
5)の質量配合比で配合し混合した混合樹脂であること
が好ましい。その理由は、ポリフェニレンサルファイド
/フッ素樹脂が0.4未満では十分な耐熱強度が得られ
ず、一方、ポリフェニレンサルファイド/フッ素樹脂が
2を越えて添加すると耐キャビテーション損傷性が落ち
るので好ましくないことによるものである。
【0009】したがって、この発明は、(2)絶縁皮膜
を形成した鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、
Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系
鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末
またはNi基軟磁性合金粉末を0.1〜2質量%の樹脂
で固めたボンド軟磁性体であって、前記樹脂は、ポリフ
ェニレンサルファイド/フッ素樹脂=0.4〜2の質量
配合比で混合した混合樹脂である室温および高温におけ
る機械的強度並びに耐キャビテーション損傷性が共に優
れたボンド軟磁性体、に特徴を有するものである。
【0010】原料粉末である絶縁皮膜を形成した鉄粉
末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄
基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金
粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはNi基軟
磁性合金粉末は、鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金
粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−
Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合
金粉末またはNi基軟磁性合金粉末にリン酸処理を施す
ことにより表面に絶縁性のリン酸皮膜を形成することに
より作製することができ、また、スチーム処理を施すこ
とにより表面に絶縁性の水酸化膜を形成することにより
作製することができる。この絶縁皮膜を形成した軟磁性
粉末を用いることにより渦電流損失の少ないボンド軟磁
性体が得られる。
【0011】この発明の室温および高温における機械的
強度並びに耐キャビテーション損傷性が共に優れたボン
ド軟磁性体を製造するには、絶縁皮膜を形成した鉄粉
末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄
基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金
粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはNi基軟
磁性合金粉末に、ポリフェニレンサルファイド粉末およ
びフッ素樹脂粉末をポリフェニレンサルファイド粉末/
フッ素樹脂粉末=0.4〜2の質量配合比で混合して得
られた混合樹脂粉末:0.1〜2質量%、成形助剤とし
てのステアリン酸:0.05〜0.3質量%を添加・混
合したのち、圧粉成形して成形体を作製し、その後この
成形体を250〜350℃で1〜4時間加熱することに
より作られる。なお、成形助剤として添加されたステア
リン酸は、成形体を250〜350℃で1〜4時間加熱
してボンド軟磁性体を作製する際に揮発し、ボンド軟磁
性体内より除去される。
【0012】したがって、この発明は、(3)絶縁皮膜
を形成した鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、
Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系
鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末
またはNi基軟磁性合金粉末に、ポリフェニレンサルフ
ァイド粉末およびフッ素樹脂粉末をポリフェニレンサル
ファイド粉末/フッ素樹脂粉末=0.4〜2の質量配合
比で混合して得られた混合樹脂粉末:0.1〜2質量
%、成形助剤としてのステアリン酸:0.05〜0.3
質量%を添加・混合したのち、圧粉成形して成形体を作
製し、その後この成形体を250〜350℃で1〜4時
間加熱する室温および高温における機械的強度並びに耐
キャビテーション損傷性が共に優れたボンド軟磁性体の
製造方法、に特徴を有するものである。
【0013】この発明のボンド軟磁性体は、特にインジ
ェクター部品の材料として適している。したがって、こ
の発明は、(4)絶縁皮膜を形成した鉄粉末、Fe−S
i系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金
粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−
Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはNi基軟磁性合金粉末
を0.1〜2質量%の樹脂で固めたボンド軟磁性体から
なるインジェクター部品であって、前記樹脂はポリフェ
ニレンサルファイドとフッ素樹脂を混合した混合樹脂で
ある室温および高温における機械的強度並びに耐キャビ
テーション損傷性が共に優れたボンド軟磁性体からなる
インジェクター部品、(5)絶縁皮膜を形成した鉄粉
末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄
基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金
粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはNi基軟
磁性合金粉末を0.1〜2質量%の樹脂で固めたボンド
軟磁性体からなるインジェクター部品であって、前記樹
脂はポリフェニレンサルファイド/フッ素樹脂=0.4
〜2の質量配合比で混合した混合樹脂である室温および
高温における機械的強度並びに耐キャビテーション損傷
性が共に優れたボンド軟磁性体からなるインジェクター
部品、(6)絶縁皮膜を形成した鉄粉末、Fe−Si系
鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉
末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−C
r系鉄基軟磁性合金粉末またはNi基軟磁性合金粉末
に、ポリフェニレンサルファイド粉末およびフッ素樹脂
粉末をポリフェニレンサルファイド粉末/フッ素樹脂粉
末=0.4〜2の質量配合比で混合して得られた混合樹
脂粉末:0.1〜2質量%、成形助剤としてのステアリ
ン酸:0.05〜0.3質量%を添加・混合したのち、
圧粉成形してインジェクター部品成形体を作製し、その
後この成形体を250〜350℃で1〜4時間加熱する
室温および高温における機械的強度並びに耐キャビテー
ション損傷性が共に優れたボンド軟磁性体からなるイン
ジェクター部品の製造方法、に特徴を有するものであ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】純鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁
性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−
Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟
磁性合金粉末またはNi基軟磁性合金粉末として、表1
に示される成分組成および平均粒径を有する軟磁性粉末
を用意し、これら軟磁性粉末にリン酸処理を施すことに
よりリン酸皮膜を形成し、さらにスチーム処理を施すこ
とにより水酸化皮膜を形成して表1に示される絶縁皮膜
形成軟磁性粉末A〜Lを作製した。さらに、樹脂原料粉
末としてポリフェニレンサルファイド粉末およびフッ素
樹脂として代表的なポリ四フッ化エチレンの粉末を用意
し、さらに成形助剤としてステアリン酸を用意した。
【0015】これら樹脂を表2〜3に示されるポリフェ
ニレンサルファイド粉末/ポリ四フッ化エチレン粉末の
質量配合比となるように配合し、混合して混合樹脂粉末
を作製し、これら混合樹脂粉末を表1に示される絶縁皮
膜形成軟磁性粉末A〜Lおよびステアリン酸とともに表
2〜3に示される割合に配合し、混合したのち金型に充
填し、圧力:6ton /cm2 で圧縮成形することにより成
形体を作製し、ついでこの成形体を大気中、温度:25
0℃、1.5時間保持の加熱を行って縦:10mm、横:
5mm、長さ:40mmの寸法を有する本発明ボンド軟磁性
体1〜12、比較ボンド軟磁性体1〜2および従来ボン
ド軟磁性体1〜2からなる試験片を作製した。
【0016】さらに、得られた本発明ボンド軟磁性体1
〜12、比較ボンド軟磁性体1〜2および従来ボンド軟
磁性体1〜2からなる試験片を用い、室温および200
℃における3点曲げ試験を行ない、その測定結果を表2
〜3に示した。さらに、本発明ボンド軟磁性体1〜1
2、比較ボンド軟磁性体1〜2および従来ボンド軟磁性
体1〜2からなる試験片を図1に示される常温の蒸留水
中に載置し、この蒸留水中の試験片に、振動子に接続し
た超音波ホーンを近接させ、超音波ホーンを振幅:20
μm、振動数20kHzで1時間保持することによりキ
ャビテーション損傷試験を行い、試験後に試験片にキャ
ビテーション損傷が発生しているか否かを拡大鏡を用い
て目視にて観察し、その結果を表2〜3に示した。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】表2〜3に示される結果から、ポリフェニ
レンサルファイドおよびポリ四フッ化エチレンを共に含
む本発明ボンド軟磁性体1〜12は、室温および200
℃における曲げ強度が共に優れ、さらにキャビテーショ
ン損傷が無いのに対し、ポリフェニレンサルファイドを
単体で含む従来ボンド軟磁性体1はキャビテーション損
傷が発生し、一方、ポリ四フッ化エチレン単体で含む従
来ボンド軟磁性体2は室温における曲げ強度が小さくキ
ャビテーション損傷が発生するので好ましくないことが
わかる。また、この発明の条件から外れた比較ボンド軟
磁性体1〜2は、200℃における曲げ強度が劣るか、
またはキャビテーション損傷が発生するなどして好まし
くないことがわかる。
【0021】
【発明の効果】上述のように、この発明のボンド軟磁性
体は、室温だけでなく高温において優れた強度を有し、
さらに耐キャビテーション損傷性を有するので、室温か
ら高温に亘るから広範囲の温度領域において使用する自
動車部品、そのうちでも流体に直接接触するインジェク
ター部品、特にインジェクターのコアの製造に使用する
素材として優れた効果をもたらすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例における耐キャビテーション
損傷性を調べるための試験方法を示す概略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 38/00 C22C 38/00 303T H01F 41/02 H01F 41/02 D (72)発明者 森本 耕一郎 新潟県新潟市小金町3−1 三菱マテリア ル株式会社新潟製作所内 Fターム(参考) 4K018 AA25 AA32 BA16 BC12 CA07 DA21 KA43 5E041 AA02 AA03 AA04 BB03 CA10 HB11 NN04 NN18

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁皮膜を形成した鉄粉末、Fe−Si系
    鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉
    末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−C
    r系鉄基軟磁性合金粉末またはNi基軟磁性合金粉末を
    0.1〜2質量%の樹脂で固めたボンド軟磁性体であっ
    て、前記樹脂はポリフェニレンサルファイドとフッ素樹
    脂を混合した混合樹脂であることを特徴とする室温およ
    び高温における機械的強度並びに耐キャビテーション損
    傷性が共に優れたボンド軟磁性体。
  2. 【請求項2】絶縁皮膜を形成した鉄粉末、Fe−Si系
    鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉
    末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−C
    r系鉄基軟磁性合金粉末またはNi基軟磁性合金粉末を
    0.1〜2質量%の樹脂で固めたボンド軟磁性体であっ
    て、前記樹脂はポリフェニレンサルファイド/フッ素樹
    脂=0.4〜2の質量配合比で混合した混合樹脂である
    ことを特徴とする室温および高温における機械的強度並
    びに耐キャビテーション損傷性が共に優れたボンド軟磁
    性体。
  3. 【請求項3】絶縁皮膜を形成した鉄粉末、Fe−Si系
    鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉
    末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−C
    r系鉄基軟磁性合金粉末またはNi基軟磁性合金粉末
    に、いずれも総量でポリフェニレンサルファイド粉末お
    よびフッ素樹脂粉末をポリフェニレンサルファイド粉末
    /フッ素樹脂粉末=0.4〜2の質量配合比で混合して
    得られた混合樹脂粉末:0.1〜2質量%、成形助剤と
    してのステアリン酸:0.05〜0.3質量%を添加・
    混合したのち、圧粉成形して成形体を作製し、その後こ
    の成形体を250〜350℃で1〜4時間加熱すること
    を特徴とする室温および高温における機械的強度並びに
    耐キャビテーション損傷性が共に優れたボンド軟磁性体
    の製造方法。
  4. 【請求項4】絶縁皮膜を形成した鉄粉末、Fe−Si系
    鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉
    末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−C
    r系鉄基軟磁性合金粉末またはNi基軟磁性合金粉末を
    0.1〜2質量%の樹脂で固めたボンド軟磁性体からな
    るインジェクター部品であって、前記樹脂はポリフェニ
    レンサルファイドとフッ素樹脂を混合した混合樹脂であ
    ることを特徴とする室温および高温における機械的強度
    並びに耐キャビテーション損傷性が共に優れたボンド軟
    磁性体からなるインジェクター部品。
  5. 【請求項5】絶縁皮膜を形成した鉄粉末、Fe−Si系
    鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉
    末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−C
    r系鉄基軟磁性合金粉末またはNi基軟磁性合金粉末を
    0.1〜2質量%の樹脂で固めたボンド軟磁性体からな
    るインジェクター部品であって、前記樹脂はポリフェニ
    レンサルファイド/フッ素樹脂=0.4〜2の質量配合
    比で混合した混合樹脂であることを特徴とする室温およ
    び高温における機械的強度並びに耐キャビテーション損
    傷性が共に優れたボンド軟磁性体からなるインジェクタ
    ー部品。
  6. 【請求項6】絶縁皮膜を形成した鉄粉末、Fe−Si系
    鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉
    末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−C
    r系鉄基軟磁性合金粉末またはNi基軟磁性合金粉末
    に、 ポリフェニレンサルファイド粉末およびフッ素樹脂粉末
    をポリフェニレンサルファイド粉末/フッ素樹脂粉末=
    0.4〜2の質量配合比で混合して得られた混合樹脂粉
    末:0.1〜2質量%、 成形助剤としてのステアリン酸:0.05〜0.3質量
    %、を添加・混合したのち圧粉成形してインジェクター
    部品成形体を作製し、その後この成形体を250〜35
    0℃で1〜4時間加熱することを特徴とする室温および
    高温における機械的強度並びに耐キャビテーション損傷
    性が共に優れたボンド軟磁性体からなるインジェクター
    部品の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006068136A1 (ja) * 2004-12-21 2006-06-29 Mitsubishi Materials Corporation 高表面粗さを有する酸化膜被覆Fe-Ni-Mo系扁平金属軟磁性粉末およびその製造方法
EP2589450A4 (en) * 2010-06-30 2017-12-06 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Composite magnetic material and process for production thereof
WO2019033893A1 (zh) * 2017-08-16 2019-02-21 江南大学 一种多物理耦合场空蚀装置

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