JPH08264311A - モールド樹脂およびその製造方法 - Google Patents

モールド樹脂およびその製造方法

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JPH08264311A
JPH08264311A JP6945495A JP6945495A JPH08264311A JP H08264311 A JPH08264311 A JP H08264311A JP 6945495 A JP6945495 A JP 6945495A JP 6945495 A JP6945495 A JP 6945495A JP H08264311 A JPH08264311 A JP H08264311A
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JP
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magnetic
magnetic field
powder
mold resin
magnetic permeability
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JP6945495A
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Kazuharu Iwasaki
和春 岩崎
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Sony Corp
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/12Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials
    • H01F1/34Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials non-metallic substances, e.g. ferrites
    • H01F1/342Oxides
    • H01F1/344Ferrites, e.g. having a cubic spinel structure (X2+O)(Y23+O3), e.g. magnetite Fe3O4

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Abstract

(57)【要約】 【構成】 磁性粉末と結合剤とを主体とするコンパウン
ドを射出成形してモールド樹脂を製造するに際し、射出
成形時に、0.3〜5kOeの磁界を80Hz以下の周
波数にてx軸方向に印加することによって、モールド樹
脂の透磁率μ’に異方性を持たせる。 【効果】 磁性粉末の含有率を増大させることなく、x
軸方向の透磁率μ'xを増大させることができる。このた
め、混練機,射出成形機等の製造装置を摩耗させること
なく製造が可能であり、また、良好な形状を有し、透磁
率μ’の大きなモールド樹脂を提供できる。さらに、適
用するデバイスの種類に応じた透磁率設計を行うことも
可能であるため、適用範囲が広い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、チョークコイル、マイ
クロインダクタ、ロータリートランス、ノイズフィルタ
ー、電磁波吸収体等に適用されるモールド樹脂に関す
る。また、このモールド樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、チョークコイル、マイクロイ
ンダクタ、ロータリートランス、ノイズフィルター、電
磁波吸収体等に適用されるモールド樹脂として、フェラ
イト粉末と結合剤よりなるフェライト樹脂が使用されて
いる。このフェライト樹脂は、上記チョークコイル、マ
イクロインダクタ、ロータリートランス等においては、
コイルを包み込んで該コイルの透磁率を高めるために使
用される。また、電磁波吸収体においては、数十MHz
以上の高調波成分をカットするために使用される。
【0003】このようなフェライト樹脂は、フェライト
粉末と結合剤成分となる樹脂とを混合、加熱混練してフ
ェライトコンパウンドを調製した後、射出成形によって
所望の形状に成形することで製造できる。射出成形を適
用することにより、複雑な形状にも成形でき、また、低
コストでの成形が可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したチ
ョークコイル等の各種デバイスは、近年、様々な仕様形
態で使用され、用途によっては極めて高い性能が要求さ
れるようになっている。このため、フェライト樹脂にお
いても高透磁率であることが求められ、透磁率の向上を
目的として、結合剤の含有率を低くして、フェライト粉
末の含有率を増大させる方向で開発がなされている。
【0005】ここで、フェライト含有率の高いフェライ
ト樹脂を製造するには、当然のことながらフェライト含
有率の高いフェライトコンパウンドを用いる必要があ
る。ところが、フェライトコンパウンドにおいてフェラ
イト粉末の混合率を高くすると流動性が急激に低下し、
これに起因して種々の不都合が生じてくる。
【0006】すなわち、流動性の低いフェライトコンパ
ウンドを用いると、射出成形が円滑に行われず、射出を
高圧で行わざるを得ない。このため、良好な形状のフェ
ライト樹脂を得るのが難しく、クラック、ウェルド、シ
ョート等を有する欠陥品や、このような欠陥を有さない
までも内包部形状が歪んでおり、コイル等の被包部品を
挿入したときに被包部品に変形や位置ずれが生じ、これ
によりデバイスの特性不良を誘発するといった準欠陥品
が高い割合で発生する。
【0007】また、流動性の低いフェライトコンパウン
ドは、製造装置との接触部分,例えば混練機のスクリュ
ー、シリンダー、羽根さらには射出成形機のノズルを激
しく摩耗させる。これにより、頻繁な部品交換が必要と
なり、製造コストの増大を招く。
【0008】したがって、フェライトコンパウンドにお
けるフェライト含有率を増大することによってフェイラ
イト樹脂の透磁率を向上させるには限界がある。
【0009】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、磁性粉末の含有率を増大
させることなく、高透磁率を示すモールド樹脂を提供す
ることを目的とする。また、このようなモールド樹脂の
製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係るモールド樹
脂は、上述の目的を達成するため提案されたものであ
り、磁性粉末と結合剤とを主体とするコンパウンドが射
出成形されてなるものであり、透磁率μ’に異方性を有
するものである。
【0011】なお、以下、「透磁率」とは、特別の断り
がない限り、複素透磁率μe (μe=μ’−iμ'')に
おける実数部μ’を示すものとする。
【0012】本発明に係るモールド樹脂の製造方法は、
上述のようなモールド樹脂を得るために、磁性粉末と結
合剤とを主体とするコンパウンドを射出成形する際に、
磁場配向処理を施すものである。
【0013】ここで、前記磁場配向処理は、0.3〜
5.0kOeの磁界によって行われて好適である。磁界
の大きさが0.3kOeより小さいと、コンパウンド内
の磁性粉末を磁界の方向に凝集させる効果が小さいた
め、透磁率μ’に異方性を持たせるに至らない。透磁率
μ’に十分な異方性を持たせるには、1kOe以上の磁
界を印加して好適である。但し、5kOe以上の磁界を
印加しても、透磁率μ’の値が最大となる方向における
透磁率μ’(以下、最大透磁率μ'maxと称する。)をそ
れ以上増大させることはできない。
【0014】上記磁場配向処理に用いられる磁界は、直
流磁界であってもよいし、交流磁界であってもよい。交
流磁界を印加する場合、その周波数を10〜80Hzと
すると、同じ大きさの直流磁界と同程度か、それ以上の
最大透磁率μ'maxを得ることができる。なお、周波数が
80Hzより大きいと、磁界の変化に磁性粉末の動きが
追従できなくなるため、同じ大きさの直流磁界を印加し
た場合より、最大透磁率μ'maxの値が小さくなり、磁界
を印加する効果が薄れてしまう。交流磁界の最も好まし
い周波数は30〜60Hzであり、この範囲において
は、同じ大きさの直流磁界を印加した場合よりも、最大
透磁率μ'maxを増大させる効果が大きい。
【0015】本発明において、前記磁性粉末は、Ni−
Cu−Zn系フェライト粉末、Mn−Zn系フェライト
粉末、Fe−Si−Al合金粉末、Ni−Fe合金粉末
より選ばれる少なくとも1種であって好適である。な
お、磁性粉末としてFe−Si−Al合金粉末を選択す
るならば、代表的にはFeが85重量%、Alが5.4
重量%、Siが9.6重量%なる組成を有するような、
いわゆるセンダスト粉末であって好適であり、Ni−F
e合金粉末を選択するならば、代表的にはNiが78.
5重量%、Feが21.5重量%なる組成を有するよう
な、いわゆるパーマロイ粉末であって好適である。な
お、上述した磁性粉末を混合して用いることも可能であ
る。
【0016】上述のような磁性粉末の形状は、塊状、球
状、針状のいずれであってもよいが、好ましくは塊状が
よい。また、磁性粉末の粒径は、40〜350μmとな
されて好適である。さらに、必要に応じて、磁性粉末の
表面をシランカップリング剤等にて処理してもよい。
【0017】また、前記結合剤は、熱可塑性樹脂または
熱硬化性樹脂であって好適である。熱可塑性樹脂として
は、ナイロン等のポリアミド系樹脂やポリフェニレンサ
ルファイド(PPS)樹脂等が挙げられ、熱硬化性樹脂
としては、未硬化状態で液体状のフェノール樹脂が挙げ
られる。このような樹脂を結合剤として用いると、射出
成形時の温度を制御することによって、コンパウンドの
流動性を一定に維持できるため、磁性粉末の磁場配向を
妨げない。
【0018】さらに、前記コンパウンドには潤滑剤を添
加してもよく、この潤滑剤としては、脂肪酸,脂肪酸エ
ステル,脂肪酸塩,フッ素系化合物,シリコン系化合物
等が挙げられる。
【0019】上述したような材料よりなるコンパウンド
の混練は、加圧ニーダ、エクストルダ等の混練機によっ
て行えばよく、結合剤として熱可塑性樹脂を用いた場合
には、該樹脂の溶融温度以上で加熱混練し、結合剤とし
て熱硬化性樹脂を用いた場合には常温にて混練すればよ
い。なお、所定の混練がなされたコンパウンドは、必要
に応じてペレット状にペレタジングされて、射出成形機
に投入される。
【0020】
【作用】磁性粉末と結合剤とを主体とするコンパウンド
が射出成型されてなるモールド樹脂が透磁率μ’に異方
性を有するものであると、同様の磁性粉末を同様の含有
率にて含む等方性の透磁率μ’を有するモールド樹脂に
比して、最大透磁率μ'maxが大きいものとなる。
【0021】このようなモールド樹脂は、射出成形時に
磁場配向処理を施すことによって製造することができ
る。これは、磁界によってコンパウンド内の磁性粉末
が、磁界の方向に凝集するためであると考えられる。
【0022】このようにしてモールド樹脂を製造する
と、磁性粉末の含有率を増大させることなく、最大透磁
率μ'maxを高めることが可能となる。
【0023】
【実施例】以下、本発明を適用した具体的な実施例につ
いて、実験結果に基づいて説明する。
【0024】実験1 ここでは、所定方向の直流磁界を0〜5kOeの範囲で
印加しながら、Ni−Cu−Zn系フェライト粉末とナ
イロン樹脂とを主体とするコンパウンドを射出成形して
モールド樹脂を製造し、このモールド樹脂について、透
磁率μ’の磁界依存性について調べた。
【0025】具体的には、先ず、磁性粉末として、Fe
2 3 :49.5モル%、NiO:9.5モル%、Cu
O:11.0モル%、ZnO:30.0モル%なる組成
のNi−Cu−Zn系フェライト粉末を1kg、結合剤
としてナイロン樹脂を100g、潤滑剤としてステアリ
ン酸を10g用意し、これらを混合して加圧ニーダを用
いて250℃にて加熱混練することによってコンパウン
ドを調製した。このコンパウンドにおいては、磁性粉末
の重量P、結合剤および潤滑剤の合計重量Bとすると、
B/P比が0.11であった。
【0026】その後、所定方向の直流磁界を0〜5kO
eの範囲で印加しながら、上述のコンパウンドを図1に
示されるような40×10×0.3mmの板状に射出成
形した。ここでは、直流磁界の印加方向は、図1におけ
るx軸方向とした。また、射出成形時には、コンパウン
ドの温度を220℃に維持し、射出成形終了後に冷却す
ることによって、コンパウンドを固化させた。なお、上
述の直流磁界は、コンパウンドが完全に固化するまで印
加し続けた。
【0027】以上のような操作により、印加した直流磁
界の大きさが異なる実施例1〜実施例9のモールド樹
脂、磁界の印加が行われていない比較例1のモールド樹
脂が製造された。
【0028】なお、このようにして製造されたモールド
樹脂は、いずれも寸法精度に優れていた。
【0029】そして、上述した各モールド樹脂につい
て、信号周波数100kHzにおけるx軸方向の透磁率
μ'x(最大透磁率μ'maxに相当する。)と、y軸方向の
透磁率μ'yを、8字コイル法によって測定し、形状によ
る反磁界が両透磁率μ'x、μ'yに与える影響を外径25
mm、内径18mm、厚さ5mmのトロイダルリングに
よる測定によって補正した。また、透磁率μ’の異方性
の大きさを示すため、μ'x/μ'yの値を算出した。これ
らの結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】表1より、0.3kOe以上の直流磁界を
印加することにより、モールド樹脂の透磁率μ’に異方
性が生じることがわかる。そして、5.0kOeの直流
磁界を印加して製造したモールド樹脂は、磁界を印加し
なかった場合に比して、x軸方向の透磁率μ'xの値が
1.5倍にもなることがわかる。但し、磁界の大きさを
5kOe以上としても、それ以上、x軸方向の透磁率
μ'xを高めることができないこともわかる。
【0032】以上の結果より、射出成形時に、0.3〜
5.0kOeの直流磁界を印加することにより、コンパ
ウンドの磁性粉末の含有率を増大させることなく、所定
方向における透磁率μ’を大幅に向上させることができ
ることがわかった。
【0033】実験2 ここでは、磁性粉末としてMn−Zn系フェライト粉末
を用いてモールド樹脂を製造し、このモールド樹脂につ
いて、透磁率μ’の磁界依存性について調べた。
【0034】具体的には、磁性粉末として、Fe
2 3 :52.56モル%、MnO:25.02モル
%、ZnO:22.42モル%なる組成のMn−Zn系
フェライト粉末を用いた以外は実験1と同様にしてコン
パウンドを調製し、実験1と同様に、所定方向の直流磁
界を0〜5kOeの範囲で印加しながら射出成形するこ
とによって、実施例10〜実施例18、比較例2のモー
ルド樹脂を製造した。
【0035】なお、このようにして製造されたモールド
樹脂は、いずれも寸法精度に優れていた。
【0036】そして、各モールド樹脂について、実験1
と同様にして、信号周波数100kHzにおけるx軸お
よびY軸方向の透磁率μ'x、μ'y、およびμ'x/μ'yの
値を求めた。これらの結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】表2より、0.3kOe以上の直流磁界を
印加することにより、モールド樹脂の透磁率μ’に異方
性が生じることがわかる。そして、5.0kOeの直流
磁界を印加して製造したモールド樹脂は、磁界を印加し
なかった場合に比して、x軸方向の透磁率μ'xの値が約
1.5倍にも達することがわかる。但し、磁界の大きさ
を5kOe以上としても、それ以上、透磁率μ’の異方
性を高めることができないこともわかる。
【0039】以上の結果より、射出成形時に、0.3〜
5.0kOeの直流磁界を印加することにより、コンパ
ウンドの磁性粉末の含有率を増大させることなく、所定
方向における透磁率μ’を大幅に向上させることができ
ることがわかった。
【0040】実験3 ここでは、磁性粉末としてセンダスト粉末を用いてモー
ルド樹脂を製造し、このモールド樹脂について、透磁率
μ’の磁界依存性について調べた。
【0041】具体的には、磁性粉末として、Fe:85
重量%、Al:5.4重量%、Si:9.6重量%なる
組成のセンダスト粉末を用いた以外は実験1と同様にし
てコンパウンドを調製し、実験1と同様に、所定方向の
直流磁界を0〜5kOeの範囲で印加しながら射出成形
することによって、実施例19〜実施例27、比較例3
のモールド樹脂を製造した。
【0042】なお、このようにして製造されたモールド
樹脂は、いずれも寸法精度に優れていた。
【0043】そして、各モールド樹脂について、実験1
と同様にして、信号周波数100kHzにおけるx軸お
よびY軸方向の透磁率μ'x、μ'y、およびμ'x/μ'yの
値を求めた。これらの結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】表3より、0.3kOe以上の直流磁界を
印加することにより、モールド樹脂の透磁率μ’に異方
性が生じることがわかる。そして、5.0kOeの直流
磁界を印加して製造したモールド樹脂は、磁界を印加し
なかった場合に比して、x軸方向の透磁率μ'xの値が約
1.5倍にも達することがわかる。但し、磁界の大きさ
を5kOe以上としても、それ以上、透磁率μ’の異方
性を高めることができないこともわかる。
【0046】以上の結果より、射出成形時に、0.3〜
5.0kOeの直流磁界を印加することにより、コンパ
ウンドの磁性粉末の含有率を増大させることなく、所定
方向における透磁率μ’を大幅に向上させることができ
ることがわかった。
【0047】実験4 ここでは、磁性粉末としてMn−Zn系フェライト粉末
とセンダスト粉末との混合粉末を用いてモールド樹脂を
製造し、このモールド樹脂について、透磁率μ’の磁界
依存性について調べた。
【0048】具体的には、磁性粉末として、実験2にて
用いたMn−Zn系フェライト粉末と実験3にて用いた
センダスト粉末を、それぞれ50重量%ずつとした混合
粉末を用いた以外は実験1と同様にしてコンパウンドを
調製し、実験1と同様に、所定方向の直流磁界を0〜5
kOeの範囲で印加しながら射出成形することによっ
て、実施例28〜実施例36、比較例4のモールド樹脂
を製造した。
【0049】なお、このようにして製造されたモールド
樹脂は、いずれも寸法精度に優れていた。
【0050】そして、各モールド樹脂について、実験1
と同様にして、信号周波数100kHzにおけるx軸お
よびY軸方向の透磁率μ'x、μ'y、およびμ'x/μ'yの
値を求めた。これらの結果を表4に示す。
【0051】
【表4】
【0052】表4より、0.3kOe以上の直流磁界を
印加することにより、モールド樹脂の透磁率μ’に異方
性が生じることがわかる。そして、5.0kOeの直流
磁界を印加して製造したモールド樹脂は、磁界を印加し
なかった場合に比して、x軸方向の透磁率μ'xの値が約
1.5倍にも達することがわかる。但し、磁界の大きさ
を5kOe以上としても、それ以上、透磁率μ’の異方
性を高めることができないこともわかる。
【0053】以上の結果より、射出成形時に、0.3〜
5.0kOeの直流磁界を印加することにより、コンパ
ウンドの磁性粉末の含有率を増大させることなく、所定
方向における透磁率μ’を大幅に向上させることができ
ることがわかった。
【0054】実験5 ここでは、結合剤としてエポキシ樹脂を用いてモールド
樹脂を製造し、このモールド樹脂について、透磁率μ’
の磁界依存性について調べた。
【0055】具体的には、磁性粉末として、実験1にて
用いたNi−Cu−Zn系フェライト粉末を1kg、結
合剤として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を110
g、硬化剤10gを用意し、これらを混合した後、加圧
ニーダを用いて30℃にて混練することによりコンパウ
ンドを調製した。なお、このコンパウンドにおいては、
磁性粉末の重量P、結合剤および硬化剤の合計重量Bと
すると、B/P比が0.12であった。その後、実験1
と同様に、所定方向の直流磁界を0〜5kOeの範囲で
印加しながら射出成形した後、200℃にて5分間加熱
することによって、実施例37〜実施例45、比較例5
のモールド樹脂を製造した。
【0056】なお、このようにして製造されたモールド
樹脂は、いずれも寸法精度に優れていた。
【0057】そして、各モールド樹脂について、実験1
と同様にして、信号周波数100kHzにおけるx軸お
よびY軸方向の透磁率μ'x、μ'y、およびμ'x/μ'yの
値を求めた。これらの結果を表5に示す。
【0058】
【表5】
【0059】表5より、0.3kOe以上の直流磁界を
印加することにより、モールド樹脂の透磁率μ’に異方
性が生じることがわかる。そして、5.0kOeの直流
磁界を印加して製造したモールド樹脂は、磁界を印加し
なかった場合に比して、x軸方向の透磁率μ'xの値が約
1.5倍にも達することがわかる。但し、磁界の大きさ
を5kOe以上としても、それ以上、透磁率μ’の異方
性を高めることができないこともわかる。
【0060】以上の結果より、射出成形時に、0.3〜
5.0kOeの直流磁界を印加することにより、コンパ
ウンドの磁性粉末の含有率を増大させることなく、所定
方向における透磁率μ’を大幅に向上させることができ
ることがわかった。
【0061】実験6 ここでは、射出成形時に直流磁界の代わりに交流磁界を
印加してモールド樹脂を製造し、このモールド樹脂につ
いて、交流磁界の周波数と透磁率μ’との関係ついて調
べた。
【0062】具体的には、実験1と同様、磁性粉末とし
てNi−Cu−Zn系フェライト粉末、結合剤としてナ
イロン樹脂、潤滑剤としてステアリン酸を用いてコンパ
ウンドを調製した後、所定方向に1kOeの交流磁界を
10〜100Hzの周波数にて印加しながら射出成形を
行った。これによって、実施例46〜実施例53のモー
ルド樹脂を製造した。
【0063】なお、このようにして製造されたモールド
樹脂は、いずれも寸法精度に優れていた。
【0064】そして、各モールド樹脂について、実験1
と同様にして、信号周波数100kHzにおけるx軸お
よびY軸方向の透磁率μ'x、μ'y、およびμ'x/μ'yの
値を求めた。なお、比較のため、同じ大きさの直流磁界
を印加しながら射出成形を行うことにより製造されたモ
ールド樹脂(実施例54)についても同様の測定を行っ
た。これらの結果を表6に示す。
【0065】
【表6】
【0066】表6より、同じ大きさの直流磁界を印加し
た場合より、交流磁界を印加した場合の方が、透磁率
μ’の異方性を高める効果が大きく、特に、交流磁界の
周波数を30〜60Hzとすることが好ましいことがわ
かる。但し、交流磁界の周波数を大きくしすぎると、か
えって透磁率μ’の異方性を高める効果が小さくなり、
交流磁界の周波数を80Hzより大きくしない方がよい
こともわかる。
【0067】以上の結果より、射出成形時に印加する磁
界を、80Hz以下の交流磁界とすることにより、所定
方向における透磁率μ’を向上させる効果がさらに大き
くなることがわかった。
【0068】ところで、上述した実施例1〜実施例54
および比較例1〜比較例5のモールド樹脂に対しては、
透磁率として、信号周波数100kHzにおける透磁率
μ'x、μ'yを測定したが、その内いくつかのモールド樹
脂については、他の信号周波数における透磁率μ'xにつ
いても測定を行ったので、その結果を示す。
【0069】具体的には、実験1にて示される実施例
5、実験2にて示される実施例14、実験3にて示され
る実施例24、実験4にて示される実施例33のモール
ド樹脂について、x軸方向の透磁率μ'xの信号周波数依
存性を調べた。また、x軸方向の複素透磁率μexにおけ
る虚数部μ''x の信号周波数依存性も調べた。実施例5
のモールド樹脂についての測定結果を図2に、実施例1
4のモールド樹脂についての測定結果を図3に、実施例
24のモールド樹脂についての測定結果を図4に、実施
例33のモールド樹脂についての測定結果を図5に示
す。
【0070】図2〜図5より、いずれのモールド樹脂
も、100MHzなる高周波域まで高い透磁率μ'xを示
しており、チョークコイル、マイクロインダクタ、ロー
タリートランス、ノイズフィルター、電磁波吸収体等の
各種デバイスとして適用可能な特性を有していることが
わかる。
【0071】特に、本発明に係るモールド樹脂において
は、実験1〜実験6にて示したように、射出成形時に印
加する磁界の大きさおよび周波数によって透磁率μ'xの
大きさを制御することができるため、適用するデバイス
にて必要な信号周波数において必要な大きさの透磁率
μ'xが得られるように、透磁率設計を行うことも可能で
ある。
【0072】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明においては、コンパウンド中の磁性粉末の含有率を高
めずとも透磁率を向上させることができるため、混練
機,射出成形機等の製造装置を摩耗させることなく、良
好な形状を有するモールド樹脂を容易に製造することが
できる。
【0073】また、適用するデバイスの種類に応じた透
磁率設計を行うことも可能であるため、適用範囲が広
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】射出成形によって成形されたモールド樹脂の形
状例をを示す模式的斜視図である。
【図2】実施例5のモールド樹脂における透磁率の信号
周波数依存性を示す特性図である。
【図3】実施例14のモールド樹脂における透磁率の信
号周波数依存性を示す特性図である。
【図4】実施例24のモールド樹脂における透磁率の信
号周波数依存性を示す特性図である。
【図5】実施例33のモールド樹脂における透磁率の信
号周波数依存性を示す特性図である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性粉末と結合剤とを主体とするコンパ
    ウンドが射出成形されてなるモールド樹脂において、 透磁率に異方性を有することを特徴とするモールド樹
    脂。
  2. 【請求項2】 前記磁性粉末が、Ni−Cu−Zn系フ
    ェライト粉末、Mn−Zn系フェライト粉末、Fe−S
    i−Al合金粉末、Ni−Fe合金粉末より選ばれる少
    なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のモ
    ールド樹脂。
  3. 【請求項3】 前記結合剤が、熱可塑性樹脂または熱硬
    化性樹脂よりなることを特徴とする請求項1記載のモー
    ルド樹脂。
  4. 【請求項4】 磁性粉末と結合剤とを主体とするコンパ
    ウンドを射出成形してモールド樹脂を製造するに際し、 前記射出成形時に、磁場配向処理を施すことを特徴とす
    るモールド樹脂の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記磁場配向処理を0.3〜5kOeの
    磁界によって行うことを特徴とする請求項4記載のモー
    ルド樹脂の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記磁界を80Hz以下の周波数にて発
    生させることを特徴とする請求項5記載のモールド樹脂
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記磁性粉末として、Ni−Cu−Zn
    系フェライト粉末、Mn−Zn系フェライト粉末、Fe
    −Si−Al合金粉末、Ni−Fe合金粉末より選ばれ
    る少なくとも1種を用いることを特徴とする請求項4記
    載のモールド樹脂の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記結合剤として、熱可塑性樹脂または
    熱硬化性樹脂を用いることを特徴とする請求項4記載の
    モールド樹脂の製造方法。
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