JP2003329626A - 架橋コラーゲンの分析方法 - Google Patents

架橋コラーゲンの分析方法

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JP2003329626A JP2002136633A JP2002136633A JP2003329626A JP 2003329626 A JP2003329626 A JP 2003329626A JP 2002136633 A JP2002136633 A JP 2002136633A JP 2002136633 A JP2002136633 A JP 2002136633A JP 2003329626 A JP2003329626 A JP 2003329626A
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Toshiro Sakae
登志朗 寒河江
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 架橋コラーゲンを分析する新しい分析方法を
提供することを目的とする。 【解決手段】 架橋コラーゲンを燃焼させる高温度まで
の示差熱分析に付して発熱反応を起こす温度に基づいて
架橋コラーゲンの架橋タイプを決定して定性分析し、あ
るいは架橋コラーゲンを燃焼させる高温度までの示差熱
分析または熱重量分析に付して、それから得られる示差
熱分析曲線または熱重量分析曲線もしくは微分熱重量曲
線に基づいて、架橋コラーゲンの架橋タイプを決定して
定性分析または架橋コラーゲンを定量分析することによ
り、架橋コラーゲンの定性分析および定量分析を高精度
でかつ簡便に行なうことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は架橋コラーゲンの分
析方法に関する。更に詳細には、架橋コラーゲンを燃焼
させる高温度までの示差熱分析に付して発熱反応を起こ
す温度に基づいて架橋コラーゲンの架橋タイプを決定し
て定性分析し、あるいは架橋コラーゲンを燃焼させる高
温度までの示差熱分析または熱重量分析に付して、それ
から得られる示差熱分析曲線または熱重量分析曲線もし
くは微分熱重量曲線に基づいて、架橋コラーゲンの架橋
タイプを決定して定性分析または架橋コラーゲンを定量
分析する分析方法に関する。このような本発明の高温熱
分析方法により、架橋コラーゲンの定性分析および定量
分析を高精度でかつ簡便に行なうことができる。
【0002】
【従来の技術】コラーゲンは、動物の結合組織を構成す
る繊維状蛋白質であり、脊椎動物では全蛋白質のほぼ3
分の1を占める。コラーゲンの分子(α鎖)は、分子量
約10万、長さ約300nm、幅約1.5nmの真っ直ぐな棒状分子
である。コラーゲンの構造は、このポリペプチドのα鎖
の3本から構成されており、この3本のポリペプチド鎖の
相違に基づき、現在までに、タイプI、II、III、IV、V
…………XIIIなどの13種以上のコラーゲンが知られてい
る。生体の石灰化組織である骨、歯の象牙質などをつく
るコラーゲンは、ほとんどがタイプIのコラーゲンであ
る(野田春彦他編:コラーゲン−化学、生物学、医学
−、南江堂、1975)。コラーゲンを構成する3本のポリ
ペプチド鎖(α鎖)は左巻きラセン状にまきあったトリ
プル・ヘリックス構造をとっている。更にコラーゲン分
子は隣同士が1/4づつずれて配列してコラーゲン繊維を
形成しており、この分子配列のずれのため電子顕微鏡に
よりコラーゲン繊維に横紋が観察され、またコラーゲン
繊維においてコラーゲン分子の縦軸方向の配列に隙間が
できる。この隙間(ギャップゾーンまたはホールゾン)
がコラーゲンの石灰化に関して重要な役割を果たしてお
り、骨などではコラーゲンにリン酸カルシウムが沈着す
る石灰化はコラーゲンのギャップゾーン(ホールゾー
ン)から起こる(Glimcher, MJ et al., Treatiseon Co
llagen, vol.2, Part B, 67-251, Academic Press, New
York, 1968)。
【0003】コラーゲン中のこのギャップゾーンは、コ
ラーゲン分子同士が架橋することによって固定化されて
おり、この架橋には、ピリジノリン、リシルピリジノリ
ン、ヒドロキシリシルピリジノリンなどの所謂架橋アミ
ノ酸が働いている(Banes AJet al., Biochem Biophy R
es Commun, 113, 975-981, 1983; Yamauchi M et al.,
Connect Tissue Res, 21, 159-167, 1989; Hanson DA e
t al., J Biol Chem,271, 26508-26516, 1996; Knott L
et al., Bone, 22, 181-187, 1998)。従って、生体の
骨などにおいてタイプIのコラーゲンが石灰化して石灰
化組織を構成するためには架橋コラーゲンの存在が必要
でかつ重要と考えられている。
【0004】正常な骨は常に吸収・沈着(改造現象)を
繰り返している。骨粗鬆症、ページェット病、多発性ミ
エローマ、骨関節炎、上皮小体機能亢進症、類リューマ
チ性関節炎、腫瘍付随性高カルシウム血症などの骨代謝
疾患では、この吸収・沈着のバランスが崩れ、骨の崩壊
が起きるとされている(Bettica et al., J Clin Endoc
rinol Metab 81, 542-6, 1996; Woitge HW et al., J B
one Miner Res 14, 792-801, 1999; Fontana A, Delmas
PD, Cancer 88(12 Suppl), 2952-60, 2000; Herrero-B
eaumont G et al., Clin Chim Acta 308, 107-15, 200
1; Zegels B etal., Bone 28, 108-12, 2001; Sassi ML
et al., Bone 26, 367-73, 2000: Juraschek M, et a
l., Bone 26, 475-83, 2000)。このような骨代謝疾患
では、骨の崩壊の過程で架橋コラーゲンが分解して架橋
アミノ酸が生体中に放出されるため、骨病変のマーカー
として、血中や尿中のピリジノリンなどの架橋アミノ酸
レベルを測定することが臨床的に行われている(Robins
et al., USP. No.5283197;Eyre et al., USP. Nos. 49
73666 and 5140103)。Ehlers-Danlos syndrome type V
Iなどの一部の骨形成不全症では、石灰化不全を起こ
す。石灰化不全もコラーゲンの架橋の状態が関与してい
る(Pasquali M et al., Proc Assoc Am Physicians 10
9, 33-41, 1997)。また、コラーゲン自身も生体内で常
に産生と吸収を繰り返し代謝されているが、加齢変化に
よりコラーゲンが不溶化し、この不溶化はコラーゲンに
おける架橋結合が増加すると考えられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】コラーゲンの架橋によ
るか否かの石灰化不全の病因特定ははなはだ困難であ
る。病院で行われる生検による採取した骨コラーゲンの
分析でコラーゲンの架橋の状態(種類と量)を知ること
ができれば、病理診断に大いに役立つ。患者負担も少な
くて済む。従来、コラーゲンへの熱分析法の応用はコラ
ーゲンの変性温度の測定に限られてきた(Leikina E, e
t al., Proc Natl Acad Sci U S A 99, 1314-8, 2002;
Lee JM et al., Med Eng Phys 17, 115-21, 1995)。コ
ラーゲンの変性温度は動物の種によって異なることが知
られている。同じ動物であってもコラーゲンの採取部位
や試料の調製状態で変性温度が変わる。従来のコラーゲ
ンの熱分析法では分析温度領域は数10℃から高々100℃
である(Friess W, Lee G et al., Biomaterials, 17,
2289-2294, 1996)。この変性温度はコラーゲンの性状
について有力な情報を与えるが、試料調製と測定には熟
練を要する。従って、本発明の目的は、生検などで得た
コラーゲン検体の架橋分析を、迅速にかつ正確に行うこ
とができ、臨床病理診断あるいはコラーゲンの品質管理
などに利用可能な分析方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、コラーゲン
検体の架橋分析を迅速にかつ正確に行うことのできる分
析方法を見出すことを目的として鋭意研究した結果、コ
ラーゲンを燃焼させるまでに高温下で分析する高温熱分
析により、架橋コラーゲンの架橋タイプを正確にかつ迅
速に決定することができ、また架橋コラーゲンの定量分
析を同様に正確にかつ迅速に行うことができることを見
出し本発明を完成させた。従って、本発明は、架橋コラ
ーゲンを燃焼させる高温熱分析に付して架橋コラーゲン
を定性分析および/または定量分析することを特徴とす
る架橋コラーゲンの分析方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明では、検体試料としては、
通常、生体から生検で採取した骨検体から骨以外の部分
を削除し、骨組織中の孔に充填している骨以外の物質を
生理食塩水などを用いた超音波洗浄により除去し、ギ酸
−クエン酸などの脱灰液に浸漬して脱灰し、架橋コラー
ゲンを含有すると予想されるコラーゲン検体が用いられ
る。このようなコラーゲン検体は、固体であっても液体
であってもよいが通常個体が好ましい。また、検体試料
としては、健康食品などに用いられるコラーゲン試料を
用いることもできる。
【0008】本発明では、このような架橋コラーゲンの
検体試料あるいは架橋コラーゲンを含む検体試料を燃焼
させる高温下での示差熱分析、熱重量分析などの高温熱
分析に付して、定性分析あるいは定量分析を行う。本発
明では、検体試料を燃焼させるまで、通常700℃から800
℃程度の高温まで加熱して示差熱分析、熱重量分析など
の高温熱分析を行う。
【0009】本発明の分析方法の一つとして、架橋コラ
ーゲンを示差熱分析に付して、発熱反応を起こす温度を
求め、その温度に基づいて架橋コラーゲンの架橋タイプ
を決定して定性分析することができる。本発明では、検
体試料を燃焼させるまで、通常700℃から800℃程度の高
温まで加熱して示差熱分析を行う。示差熱分析は通常用
いられる示差熱分析装置により行うことができる。この
装置は、熱反応の解析に適している比較的廉価な分析装
置であり、多くの薬学系、理学系、工学系の研究室ある
いは分析センターに常備されているため、分析装置導入
の負担が少なくて済む。測定時間は分析の諸条件による
が、昇温速度が毎分1℃の高精度で約6時間、標準的には
昇温速度が毎分5℃の場合に2時間で完了する。測定・分
析に要する消耗品類も高額な消耗品は必要はないため分
析が安価で行える。同じタイプでより精度の高い示差走
査熱量分析装置を用いることもできる。この分析装置は
基本的には同じ分析が可能であるが、機器は高額であ
る。示差熱分析では、検体試料に熱を加えたときに、物
質が昇華するときや水の蒸発時には周囲から熱を奪って
状態変化を起こし、物質からは熱が奪われるので、熱吸
収反応(吸熱反応)として測定される。反対に、酸化反
応などで熱が発生するような場合には発熱反応として測
定される。物質が変化するときの温度は物質固有のもの
であり、そのため、反応の生じた温度を解析することに
より物質の定性的同定分析が可能となる。本発明によ
り、架橋コラーゲンの発熱反応を起こす温度は、架橋ア
ミノ酸の相違による架橋タイプによって異なることが明
らかになった。従って、架橋コラーゲンの発熱反応を起
こす温度を示差熱分析によって求め、その温度に基づい
て架橋タイプを決定し定性分析することができる。
【0010】以後に記載する実施例に示すように、ピリ
ジノリン架橋タイプIコラーゲンおよびジヒドロキシリ
ジノノルロイシン(DHLNL)架橋タイプIコラーゲンの示
差熱分析では、それぞれ約430℃および約455℃に最大の
発熱反応が観察された。従って、検体試料を示差熱分析
に付して、最大の発熱反応が約430℃に観察されればピ
リジノリン架橋タイプIコラーゲンと同定でき、約455℃
と観察されればDHLNL架橋タイプIコラーゲンと同定でき
る。また、図1および2には、これら両者の示差熱分析
曲線が示されており、この曲線から分かるように、それ
ぞれ固有のピークパターンが観察される。従って、示差
熱分析曲線のピークパターンからも架橋タイプの同定が
可能である。また、架橋コラーゲンの検体試料中に2種
以上の架橋コラーゲンが存在している場合には、得られ
る示差熱分析曲線を、既に周知のピーク分離解析法(Oh
ono T et al., J. Chem. Software, Vol.6, No. 2, 200
0)により市販のピーク分離ソフトを用いて各ピークを
分離して、それぞれの架橋コラーゲンの架橋タイプの同
定を行うことができる。以上に説明した定性分析は、示
差走査熱量分析装置を用いた場合にも同様に行うことが
できる。
【0011】本発明では、架橋コラーゲンを示差熱分析
に付して示差熱分析曲線を得、発熱反応を示すピークに
基づいて架橋コラーゲンを定量分析することができる。
例えば、図1および2に示した約430℃および約455℃で
の発熱反応のピークの強さあるいはピーク面積の大きさ
に基づいて定量分析することができる。架橋コラーゲン
が複数種類存在する検体試料あるいは不純物が含まれる
検体試料の場合には、上記したピーク分離を行った後に
定量分析するのが好ましい。また、示差熱分析曲線中の
複数のピークに着目したピークパターンの強さあるいは
ピークパターンの面積の大きさに基づいて定量分析する
こともできる。これらの定量分析は、示差走査熱量分析
装置を用いた場合にも同様に行うことができる。
【0012】本発明では、架橋コラーゲンを熱重量分析
に付して熱重量分析曲線を得、重量減少パターンに基づ
いて架橋コラーゲンの架橋タイプを決定して定性分析
し、あるいは重量減少量に基づいて架橋コラーゲンを定
量分析することができる。また、架橋コラーゲンを熱重
量分析に付して熱重量分析曲線を得、更に得られた熱重
量分析曲線から微分熱重量曲線を得、重量減少の極大を
示す温度に基づいて架橋コラーゲンの架橋タイプを決定
して定性分析し、あるいは重量減少の極大を示すピーク
に基づいて架橋コラーゲンを定量分析することができ
る。熱重量分析は、試料を加熱したときの重量変化を解
析することによる分析方法である。即ち、試料を加熱し
たとき物質が変化する。そのときに物質中からある成分
が抜け出る(例えば脱水反応)と試料重量は減少し、一
方、酸化反応などで物質にある成分が付加されると重量
は増加する。この様子を記録すると、物質の重量変化曲
線が得られる。この重量変化を解析することによって、
生じた反応の解析が可能となり、また試料の定性分析お
よび定量分析が可能となる。更には、この熱重量分析曲
線からその微分曲線である微分熱重量曲線を得て、これ
に基づいて同様に試料の定性分析および定量分析が可能
である。熱重量分析は通常の熱重量分析装置により行う
ことができる。この装置は、熱てんびんに試料を置くと
自動温度制御装置で試料温度が一定の速度で昇降温され
るとともに、試料温度が質量と同時に記録計に計算され
るようになったものである。熱重量分析と示差熱分析も
しくは示差走査熱分析とを同時に行う装置が市販されて
おり、本発明ではこのような装置を利用することができ
る。
【0013】図1および2には、ピリジノリン架橋タイ
プIコラーゲンおよびジヒドロキシリジノノルロイシン
(DHLNL)架橋タイプIコラーゲンを熱重量分析に付して
得られる熱重量分析曲線および微分熱重量曲線が示され
ている。熱重量分析曲線では、以後の実施例にて詳細に
説明されているように、それぞれに特徴的な重量減少パ
ターンが観察され、従ってこれらの重量減少パターンか
ら架橋タイプを決定し定性分析することができる。ま
た、重量減少量に基づいて定量分析することもできる。
微分熱重量曲線では、示差熱分析曲線の場合と同様に、
ピリジノリン架橋タイプIコラーゲンおよびジヒドロキ
シリジノノルロイシン(DHLNL)架橋タイプIコラーゲン
のそれぞれにおいて約430℃および約455℃に重量変化の
極大が観察された。従って、検体試料の微分熱重量曲線
の極大を示す温度から架橋コラーゲンの架橋タイプを決
定することができる。また、微分熱重量分析曲線の重量
パターンの特徴からも架橋タイプの決定が可能である。
更には、重量変化の極大を示すピークの強さあるいはピ
ーク面積の大きさに基づいて、定量分析することができ
る。また、示差熱分析の場合に説明したように、架橋コ
ラーゲンの検体試料中に2種以上の架橋コラーゲンが存
在している場合には、得られる熱重量分析曲線および微
分熱重量分析曲線を、市販のピーク分離ソフトを用いて
各ピークを分離して、それぞれの架橋コラーゲンの分析
を行うのが望ましい。以上に説明した本発明の分析方法
は、ピリジノリン、リシルピリジノリン、ヒドロキシリ
シルピリジノリン、ヒドロキシリジノノルロイシン、ヒ
スチジノヒドロキシメロデスモシン、ジヒドロキシリジ
ノノルロイシン(DHLNL)などの架橋アミノ酸で架橋さ
れた架橋コラーゲンの分析に用いることができる。ま
た、タイプI、II、III、IV、V、VI、VIIなどの各種タイ
プのコラーゲンの架橋分析に用いることができる。
【0014】以下に本発明を実施例により説明するが、
本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるもので
はない。 実施例1 1)測定法 検体試料をマイクログラム〜ミリグラム量り取り、熱重
量分析−示差熱分析同時測定装置にかけた。検体試料と
して、精製した無架橋タイプIコラーゲンに人工的にピ
リジノリン架橋形成させた試料とDHLNL架橋形成させた
試料を用いて、示差熱分析および熱重量分析の有効性を
評価した。測定条件等の詳細は以下の通りである。即
ち、検体コラーゲン試料は、1mm長以内になるようには
さみで切断し、あるいはめのう乳鉢で軽くほぐし、ミク
ロ測定用白金試料皿(浅皿)に充填した。充填は試料皿
整形器(皿の形を修復するステンレス冶具:中空シリン
ダー型の中に皿を入れ、皿の内空側へステンレス・ピス
トンバーを押し込んで整形する)を用いて手による押し
付けで圧迫した。試料表面は何も覆いつけなかった。試
料重量は熱重量分析装置の天秤を用いて量った。測定条
件は、測定装置:理学電気製TG8120赤外線加熱炉型示差
熱・熱重量同時測定装置、測定範囲:室温〜900℃、昇
温速度:毎分10℃、基準試料:粉末アルミナ(白金
皿)、雰囲気(加熱炉内環境):空気、ガスフロー:な
し。
【0015】2)結果 図1と図2にそれぞれピリジノリン架橋タイプIコラー
ゲンとDHLNL架橋タイプIコラーゲンの熱重量分析曲線
(TG)、示差熱分析曲線(DTA)および微分熱重量分析
曲線(DTG)を示した。表1に熱分析の解析結果を示し
た。ピリジノリン架橋タイプIコラーゲンは示差熱分析
曲線(DTA: Differential Thermal Analysis)で約430
℃に強い発熱反応が現れ、それより低い温度領域では、
約280℃に中間の強さの発熱反応が、そしてそれに連続
した発熱反応が約340℃にまで出現している。これらの
連続した反応の正確な分離はピーク分離解析法を用いる
ことによって可能であるが、今回は行っていない。ここ
では便宜的に200℃〜300℃の温度範囲に見られる反応を
ステージ1、300℃〜400℃の範囲をステージ2、400℃
〜600℃の範囲をステージ3と分けて記述する。表1に
示したように、ステージ1、2、3の発熱の強さを示差
熱曲線の縦軸の任意の単位であらわすと約1.5:1:3.5
となる。この比は後述するDHLNL架橋タイプIコラーゲン
とは異なっている。熱重量分析曲線(TG: Thermogravim
etry)から導かれた微分熱重量曲線(DTG:Differential
Thermogravimetry)は、重量変化の極大を表現してい
る。この微分熱重量曲線は約430℃に極大を示してい
る。さらに、約280℃から340℃にかけて重量変化が生じ
ていることを示している。つまり、示差熱分析曲線が示
した発熱反応と一致して重量減少が生じていることを示
している。ステージ3の反応に後述するDHLNL架橋タイ
プIコラーゲンのものと異なる特徴が現れている。ステ
ージ1とステージ2の重量減少反応を分離することはピ
ーク分離解析法を用いることで可能であるが、今回は行
わなかった。表1に示したように、ステージ1と2をあ
わせた低温側とステージ3の高温側での重量減少の比は
約2.6:1となる。
【0016】DHLNL架橋タイプIコラーゲンは示差熱分析
曲線で約455℃に強い発熱反応を示している。その前段
の熱反応はピリジノリン架橋タイプIコラーゲンの場合
よりも複雑である。約200℃から340℃の温度範囲におい
て弱い発熱反応を示しているように見えるが、表1に示
すように、このとき微分熱重量曲線のピークの強さは、
ステージ1とステージ2がほぼ同等で約1:1である。ま
た、ステージ1、2、3の比率は約1:1:2で、ピリジ
ノリン架橋の場合と全く異なっている。示差熱分析曲線
に現れたステージ1、2、3の強さの比は、約1:2:19
である。この比率はピリジノリン架橋タイプIコラーゲ
ンと全く異なっている。
【0017】
【表1】
【0018】3)本分析方法の特徴 ピリジノリン架橋タイプIコラーゲンの発熱反応の最大
は約430℃に対してDHLNL架橋タイプIコラーゲンは約455
℃であった。この差の約25度は分析装置の性能精度およ
び読み取り精度を合わせた信頼性±5℃を大きく超えて
いる。すなわち、この差は有意であり、本法を用いるこ
とにより両者の定性・定量分析が可能である。示差熱分
析曲線に現れた3つのステージの反応のピークの強度の
比は、ピリジノリン架橋コラーゲンでは1.5:1:3.5で
あるのに対して、DHLNL架橋コラーゲンでは1:2:19
と、大きく異なっており、この反応パターンの違いから
も両者の架橋を定性・定量分析が可能である。熱重量分
析曲線から、ピリジノリン架橋タイプIコラーゲンはス
テージ1と2を合わせた重量減少量に対するステージ3
の重量減少量は2.3:1である。一方、DHLNL架橋タイプI
コラーゲンは1.2:1である。この違いは明瞭でありこれ
らの熱分析データは、ピリジノリン架橋タイプIコラー
ゲンとDHLNL架橋タイプIコラーゲンを示差熱分析法によ
る反応ピーク温度あるいは反応ピーク強度比、熱重量分
析法による重量減少量比、微分熱重量分析法による反応
ピーク強度比のどの方法でも識別可能であることを示し
ている。これらの違いは記録されたチャート上で識別・
分離することが可能であり、両者が混合しているときの
反応の区別と量比は、熱反応は相加的反応であるから、
一般的なピーク分離処理で求められる。
【0019】
【発明の効果】コラーゲンを燃焼させるまでに高温下で
分析する、示差熱分析、熱重量分析などの高温熱分析に
より、架橋コラーゲンの架橋タイプを正確にかつ迅速に
決定することができ、また架橋コラーゲンの定量分析を
同様に正確にかつ迅速に行うことができる。従って、本
発明の分析方法は、骨病変の病理臨床診断、加齢変化に
伴う骨変化の測定、健康食品として用いられるコラーゲ
ンの品質管理などに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ピリジノリン架橋タイプIコラーゲン
の示差熱分析曲線(DTA)、熱重量分析曲線(TG)およ
び微分熱重量分析曲線(DTG)を示す。
【図2】図2は、DHLNL架橋タイプIコラーゲンの示差熱
分析曲線(DTA)、熱重量分析曲線(TG)および微分熱
重量分析曲線(DTG)を示す。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 架橋コラーゲンを燃焼させる高温熱分析
    に付して架橋コラーゲンを定性分析および/または定量
    分析することを特徴とする架橋コラーゲンの分析方法。
  2. 【請求項2】 架橋コラーゲンを示差熱分析に付して、
    発熱反応を起こす温度を求め、その温度に基づいて架橋
    コラーゲンの架橋タイプを決定して定性分析する請求項
    1の分析方法。
  3. 【請求項3】 架橋コラーゲンを示差熱分析に付して示
    差熱分析曲線を得、発熱反応を示すピークに基づいて架
    橋コラーゲンを定量分析する請求項1の分析方法。
  4. 【請求項4】 架橋コラーゲンを熱重量分析に付して熱
    重量分析曲線を得、重量減少パターンに基づいて架橋コ
    ラーゲンの架橋タイプを決定して定性分析し、あるいは
    重量減少量に基づいて架橋コラーゲンを定量分析する請
    求項1の分析方法。
  5. 【請求項5】 架橋コラーゲンを熱重量分析に付して熱
    重量分析曲線を得、更に得られた熱重量分析曲線から微
    分熱重量曲線を得、重量減少の極大を示す温度に基づい
    て架橋コラーゲンの架橋タイプを決定して定性分析し、
    あるいは重量減少の極大を示すピークに基づいて架橋コ
    ラーゲンを定量分析する請求項1の分析方法。
  6. 【請求項6】 ピリジノリン架橋タイプIコラーゲンま
    たはジヒドロキシリジノノルロイシン架橋タイプIコラ
    ーゲンを定性分析あるいは定量分析する請求項1から5
    のいずれかの分析方法。
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