JP2003327726A - 架橋ポリアミド樹脂成形品とその製造方法 - Google Patents
架橋ポリアミド樹脂成形品とその製造方法Info
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Abstract
94V−0を満足する高度の難燃性を有し、しかも鉛フ
リー半田での表面実装プロセスの適用が可能な260℃
×60秒の耐リフロー性を有し、電子部品として好適な
樹脂成形品とその製造方法を提供すること。 【解決手段】 ポリアミド樹脂100重量部に対して、
多官能性モノマー1〜20重量部、臭素系難燃剤10〜
60重量部、アンチモン系難燃助剤3〜20重量部、及
びハイドロタルサイト0.1〜10重量部を含有する樹
脂組成物から形成された成形品であり、電離放射線によ
り照射架橋されている架橋ポリアミド樹脂成形品、並び
にその製造方法。
Description
脂成形品とその製造方法に関し、さらに詳しくは、高度
の難燃性と耐熱性とを有し、しかも成形性に優れた架橋
ポリアミド樹脂成形品とその製造方法に関する。本発明
の架橋ポリアミド樹脂成形品は、表面実装型コネクタな
どの高度の難燃性と耐リフロー性が要求される電子部品
等の用途に好適である。
伴い、LSIやIC等の半導体素子、抵抗、コンデン
サ、インダクターボビン、コネクタ等の電子部品の小型
化、薄肉化、難燃化に対する要求水準が年々高度化して
いる。また、表面実装技術では、リフロー半田付け工程
が重要であり、電子部品には、リフロー炉での熱処理に
耐えるだけの高度の耐熱性(耐リフロー性)が要求され
ている。
子部品などの実装技術においては、プリント配線板の表
面に設けられた接続パッド(ランド)上に半田ペースト
を印刷し、その上にチップ部品やフラットパッケージI
Cなどの表面実装部品を搭載し、次いで、加熱手段を用
いて半田を溶融させることにより、半田付けを行ってい
る。半田付けにより、チップ部品の電極やフラットパッ
ケージICのリードなどがパッドに接続される。加熱手
段としては、一般に、リフロー炉が使用されている。
表面実装部品にも、リフロー炉での熱処理条件に耐える
だけの高度の耐熱性を有することが求められる。リフロ
ー炉での半田付けの際の熱処理条件によって、溶融しな
いことはもとより、大きく変形したり、収縮したりしな
いことが、信頼性、耐久性、装着精度などの観点から重
要となる。表面実装型コネクタ(LSIソケット、配線
板用コネクタ、中継コネクタなどの接続部品)などの電
子部品も、表面実装されるため、高度の耐リフロー性を
有することが求められている。
とると、従来、成形用ポリマー材料として、射出成形が
容易であり、しかもリフロー炉中で240℃×60秒間
の熱処理条件(即ち、240℃の設定ゾーンを60秒間
で通過するリフロー条件)に耐えるだけの耐リフロー性
を有することから、ポリアミド6やポリブチレンテレフ
タレート(PBT樹脂)などの汎用エンジニアリングプ
ラスチックが用いられていた。
それに組み込まれたプリント配線板が発火・燃焼しない
ように、難燃化が図られている。そのため、電子機器内
で使用する電子部品には、難燃性が必要とされている。
難燃性として、具体的には、UL規格(Underwriters' L
abolatories, inc. standard)のUL−94(装置・機
器部品用プラスチック素材の燃焼性試験)に規定されて
いるV−0(以下、「UL94V−0」と略記)のよう
な厳しい規格値を満足する高度の難燃性が要求されてい
る。
火炎を試験試料に付け、火炎を取り除いた後の燃焼時間
を測定し、消火後、直ちにまた10秒間、火炎を試験試
料に付け、火炎を取り除いた後の燃焼時間を測定すると
いうものであり、燃焼時間が平均5秒間以内、最大10
秒間以内であることが規格値とされている。
ジニアリングプラスチックは、一般に、樹脂単独ではU
L94V−0を満足するだけの難燃性を有していないの
で、塩素系、臭素系、リン系、無機系などの難燃剤を配
合することにより難燃化している。
鉛フリー化が進んでいる。鉛フリー半田は、従来の半田
に比べて融点が20〜30℃程度高いため、表面実装プ
ロセスでそれを採用する場合、電子部品に対して260
℃×60秒間の熱処理条件に耐えるだけのより高度の耐
リフロー性が要求される。さらに、耐リフロー試験で
は、厚み1.0mm以下の薄肉成形品においても、成形
品の流れ方向と幅方向の寸法変化率がいずれも1%以内
であることが求められる。しかし、ポリアミド6やPB
T樹脂等の汎用エンジニアリングプラスチックを用いた
成形品は、260℃×60秒間のリフロー条件下で溶融
して、形状の保持すら困難となる。そのため、ポリアミ
ド6やPBT樹脂のような汎用エンジニアリングプラス
チック製成形品は、耐熱性が不足するため、鉛フリー半
田で電子部品を表面実装する用途には適用できないとい
う問題が生じている。
として、液晶ポリマー(LCP)などの耐熱性の高いス
ーパーエンジニアリングプラスチックを使用するケース
が増加している。LCPは、溶融流動性にも優れるので
薄肉成形性に優れ、しかも難燃剤を添加しなくても、樹
脂自体がUL94V−0を満足する難燃性を有してい
る。その半面、LCPは、汎用エンジニアリングプラス
チックに比べて高価であること、成形品の強度に異方性
が生じやすいこと、靭性に劣るため薄肉部での強度に劣
ること、などの欠点を有している。
アミド樹脂に、トリアリルシアヌレートやトリアリルイ
ソシアヌレートなどの架橋助剤、難燃剤、及び充填剤を
配合した樹脂組成物よりなる成型物を放射線照射により
架橋せしめてなる架橋ポリアミド樹脂成型物が提案され
ている。該公報には、前記樹脂組成物を射出成形してト
ランス用ボビンを作製し、電子線を照射して架橋させた
例が示されている。このボビンにエナメル線を巻線し、
プリント配線板へのスルーホール接続のためのピン立て
を行って電源トランスと成し、350℃の半田浴に5秒
間浸漬して、ピンとエナメル巻線を半田付けし、ボビン
の形状変化を調べた結果、形状を保持していることが報
告されている。該公報には、その架橋ポリアミド樹脂成
型物が、0.8mm厚でUL94V−0の難燃性を有す
ることが示されている。
法に従って試験用サンプルを作製したところ、難燃性や
耐リフロー性は良好であるものの、成形性が悪く、射出
成形を長時間にわたって連続的に行うことができないこ
とが判明した。より具体的に、該公報に開示されている
方法に従って、ポリアミド6の100重量部に対し、ト
リアリルイソシアヌレート5重量部、臭素系難燃剤であ
る臭素化ポリスチレン〔マナック(株)製プラセフティ
1200Z〕40重量部、及びアンチモン系難燃助剤で
ある三酸化アンチモン10重量部を溶融混合して樹脂組
成物を調製し、次いで、型締力70トンの射出成形機を
用いて、バレル温度240℃、射出圧100kg/cm
2、保圧時問10秒、金型温度60℃の条件にて、該樹
脂組成物を射出成形して、長さ30×幅10×厚み0.
4mmのプレートと、長さ130×幅12.5×厚み
0.8mmのプレートを製造し、そして、これらのプレ
ートに加速電圧3MeVの電子線を線量100kGyで
照射して試験用サンプルを作製した。
用サンプルを260℃の設定ゾーンを60秒間で通過す
る条件にて、リフロー炉内を移動させ、形状変化率を調
べたところ、長さ方向の収縮率は0.7%で、幅方向の
収縮率は0.4%であり、良好な耐リフロー性を有する
ことがわかった。長さ130×幅12.5×厚み0.8
mmの試験用プレートについて、UL−94試験法にて
難燃性を評価したところ、規格値V−0を満足する難燃
性を有することがわかった。
続的に射出成形を行ったところ、10分後にはショート
ショットが観察され始め、30分後には射出圧が200
kg/cm2以上に上昇し、バレル温度を260℃に上
げても射出圧力が下がらないので、その時点で運転を停
止した。
メンテナンスは不可欠であるものの、一般に、12時問
以上、好ましくは24時問以上の連続運転が要求され、
2時間以内で運転停止しなければならないのでは、実用
化は困難である。
成形が可能で、UL94V−0を満足する高度の難燃性
を有し、かつ、鉛フリー半田での表面実装プロセスの適
用が可能な260℃×60秒の耐リフロー性を有し、電
子部品として好適な特性を有する樹脂成形品の開発が望
まれていた。
性に優れ、高度の難燃性と耐熱性とを有し、電子部品等
の用途に好適な樹脂成形品とその製造方法を提供するこ
とにある。より具体的に、本発明の目的は、射出成形時
に安定な連続成形が可能で、UL94V−0を満足する
高度の難燃性を有し、しかも鉛フリー半田での表面実装
プロセスの適用が可能な260℃×60秒の耐リフロー
性を有し、電子部品として好適な樹脂成形品とその製造
方法を提供することにある。
鋭意研究した結果、ポリアミド樹脂に、多官能性モノマ
ー、臭素系難燃剤、アンチモン系難燃助剤、及びハイド
ロタルサイトを配合した樹脂組成物を用いて成形し、電
離放射線で照射架橋してなる架橋ポリアミド樹脂成形品
に想到した。この樹脂組成物は、12時間以上の連続射
出成形が可能であり、多くの場合24時間以上の連続射
出成形が可能である。本発明の架橋ポリアミド樹脂成形
品は、UL94V−0を満足する高度の難燃性を有し、
しかも鉛フリー半田での表面実装プロセスの適用が可能
な260℃×60秒の耐リフロー性を有している。本発
明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったもので
ある。
ミド樹脂(A)100重量部に対して、分子内に複数個の
炭素−炭素不飽和結合を有する多官能性モノマー(B)1
〜20重量部、臭素系難燃剤(C)10〜60重量部、ア
ンチモン系難燃助剤(D)3〜20重量部、及びハイドロ
タルサイト(E)0.1〜10重量部を含有する樹脂組成
物から形成され、かつ、電離放射線により照射架橋され
ていることを特徴とする架橋ポリアミド樹脂成形品が提
供される。
(A)100重量部に対して、分子内に複数個の炭素−炭
素不飽和結合を有する多官能性モノマー(B)1〜20重
量部、臭素系難燃剤(C)10〜60重量部、アンチモン
系難燃助剤(D)3〜20重量部、及びハイドロタルサイ
ト(E)0.1〜10重量部を含有する樹脂組成物を所定
形状の成形品に溶融成形し、次いで、成形品に電離放射
線を照射して架橋させることを特徴とする架橋ポリアミ
ド樹脂成形品の製造方法が提供される。
ド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリア
ミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミ
ド6T/66(C6ジアミン/アジピン酸/テレフタル
酸共重合体)、ポリアミド6T/6I(C6ジアミン/
イソフタル酸/テレフタル酸共重合体)、ポリアミド6
T/6I/66(C6ジアミン/アジピン酸/イソフタ
ル酸/テレフタル酸共重合体)、ポリアミド6T/M−
5T(C6ジアミン/メチルペンタンジアミン/テレフ
タル酸共重合体)、ポリアミド6T/6(カプロラクタ
ム/C6ジアミン/テレフタル酸共重合体)ポリアミド
MXD−6、全芳香族ポリアミドなどを挙げることがで
きる。
は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて
使用することができる。これらの中でも、射出成形性や
コストなどの観点から、ポリアミド6及びポリアミド6
6が好ましい。
数個の炭素−炭素不飽和結合を有する多官能性化合物で
ある。多官能性モノマー(B)の具体例としては、トリア
リルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレー
ト、トリアリルシアヌレートなどのシアヌル酸またはイ
ソシアヌル酸誘導体;ジビニルベンゼン、ジビニルナフ
タレン、これらの誘導体などの芳香族ジビニル化合物;
エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリ
コールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジア
クリレートなどのジエチレン性不飽和カルボン酸エステ
ル;N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテルなど
のジビニル化合物;トリメチロールプロパントリメタク
リレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、
ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのビニル基
を3個以上有する化合物;などを挙げることができる。
独で,あるいは2種以上を組み合わせて使用することが
できる。これらの中でも、耐リフロー性の観点から、ト
リアリルイソシアヌレート及びトリメチロールプロパン
トリメタクリレートが好ましい。
ド樹脂100重量部に対して、1〜20重量部、好まし
くは2〜15重量部、より好ましくは3〜10重量部で
ある。多官能性モノマーの配合割合が小さすぎると、電
離放射線を照射しても架橋が不十分となり、260℃×
60秒間の耐リフロー性を満足することが困難になる。
多官能性モノマーの配合割合が大きすぎると、ポリアミ
ド樹脂との溶融混合が困難となったり、成形時のバリが
多くなったりするので好ましくない。
エチレンビステトラブロモフタルイミド、エチレンビス
ペンタブロモジフェニル、テトラブロモ無水フタル酸、
テトラブロモフタルイミド、テトラブロモビスフェノー
ルA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(ヒドロキ
シエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−
ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブ
ロモビスフェノールA−ビス(ブロモエチルエーテ
ル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエ
ーテル)、テトラブロモビスフェノールAカーボネート
オリゴマー、テトラブロモビスフェノールAエポキシオ
リゴマー、テトラブロモビスフェノールS、テトラブロ
モビスフェノールS−ビス(ヒドロキシエチルエーテ
ル)、テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3−
ジブロモプロピルエーテル)、臭素化ポリスチレン、臭
素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネー
ト、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリエステル、臭素化
アクリル樹脂、臭素化フェノキシ樹脂、ヘキサブロモベ
ンゼン、ペンタブロモエチルベンゼン、デカブロモジフ
ェニル、ヘキサブロモジフェニルオキサイド、オクタブ
ロモジフェニルオキサイド、デカブロモジフェニルオキ
サイド、ポリペンタブロモベンジルアクリレート、オク
タブロモナフタレン、ヘキサブロモシクロドデカン、ビ
ス(トリブロモフェニル)フマルイミド、N−メチルヘ
キサブロモジフェニルアミンなどを例示することができ
る。
で,あるいは2種以上を組み合わせて使用することがで
きる。これらの中でも、耐リフロー性の観点から、臭素
化ポリスチレン及びエチレンビスペンタブロモジフェニ
ルが好ましい。
脂100重量部に対して、10〜60重量部、好ましく
は15〜55重量部、より好ましくは20〜40重量部
である。臭素系難燃剤の配合割合が小さすぎると、UL
94V−0の難燃性を達成することが困難になる。臭素
系難燃剤の配合割合が大きすぎると、射出成形品にバリ
等の不良が生じ易くなり好ましくない。
しては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等を挙げ
ることができる。アンチモン系難燃助剤の配合割合は、
ポリアミド樹脂100重量部に対して、3〜20重量
部、好ましくは5〜15重量部、より好ましくは7〜1
3重量部である。アンチモン系難燃助剤の配合割合が小
さすぎると、UL94V−0の難燃性を達成することが
困難になる。アンチモン系難燃助剤の配合割合が大きす
ぎると、射出成形品にバリ等の不良が生じ易くなり好ま
しくない。
ウ酸亜鉛等の無機系の難燃剤や難燃助剤;赤リン、リン
酸エステル等のリン系難燃剤;パークロロペンタシクロ
デカンのような塩素系難燃剤;などの他の難燃剤若しく
は難燃助剤を必要に応じて適宜配合することも可能であ
る。
シウム、アルミニウム、亜鉛等の塩基性炭酸塩から構成
される無機塩層と、水分子層とが相互に積層された構造
を有する化合物である。ハイドロタルサイトは、Mga
ZnbAlc(OH)dCO3・mH2O(ただし、2a+
2b+3c=d+2、mは、任意の数である。)の化学
式で表わされるものが好ましい。このようなハドロタル
サイトは、表面のpHや水分子の含有量、表面処理剤な
どを、合成条件や焼成条件の変更により任意に設定する
ことができる。
成物の射出成形時の溶融粘度の上昇を抑制するなど、連
続射出成形性を実現し改善する上で重要な役割を果すも
のである。ハイドロタルサイトの配合割合は、ポリアミ
ド樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部、好
ましくは0.3〜7重量部、より好ましくは0.5〜5
重量部である。ハイドロタルサイトの配合割合が小さす
ぎると、射出成形時の溶融粘度上昇を抑制する効果が小
さくなり、連続射出成形性が低下する。ハイドロタルサ
イトの配合割合が大きすぎると、成形品の表面にハイド
ロタルサイトが経時的にブリードアウトして、成形品の
商品価値を著しく低下させることがある。
色剤、滑剤、無機充填剤、ガラス繊維やウィスカ等の補
強剤、酸化防止剤、加水分解抑制剤、加工安定剤などの
各種添加剤を配合することができる。また、本発明のポ
リアミド樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範
囲内において、必要に応じて、他の熱可塑性樹脂や熱硬
化性樹脂等を少量成分として適宜配合することができ
る。
方法 本発明の樹脂組成物を調製する方法は、特に限定されな
いが、通常は、各成分を溶融混合する方法が採用され
る。溶融混合は、単軸混合機、二軸混合機等の押出機タ
イプの混合機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等の
インテンシブ型の混合機等の既知の混合装置が使用可能
である。押出機タイプの溶融混合装置を用いて、各成分
を溶融混合し、ペレット化することが好ましい。
形、押出成形、圧縮成形など、任意の方法を採用するこ
とができるが、電子部品などの用途に適用するには、射
出成形法を採用することが好ましい。
れている。具体的に、本発明の樹脂組成物を用いて、射
出成形すると、安定して12時間以上の連続射出成形が
可能である。本発明の樹脂組成物は、多くの場合、24
時間以上の連続射出成形を行っても、溶融粘度の上昇な
どの不都合を生じることがなく、安定的に成形を行うこ
とができる。
射して架橋させる。電離放射線としては、加速電子線や
ガンマ線などを例示することができる。薄肉成形品に高
線量の電離放射線を照射するには、加速電子線を利用す
ることが好ましい。照射線量は、好ましくは10〜50
0kGy、より好ましくは50〜400kGy、さらに
好ましくは70〜300kGyの範囲である。照射線量
が低すぎると、架橋ポリアミド樹脂成形品の耐リフロー
性が不十分となり、高すぎると、ポリアミド樹脂の分解
を招くおそれがある。
L規格のUL−94試験で規格値V−0を満足する難燃
性を有している。また、本発明の架橋ポリアミド樹脂成
形品は、耐リフロー性が顕著に優れており、260℃で
60秒間のリフロー条件下で測定した収縮率がいずれの
方向でも1%以下である。より具体的には、260×6
0秒間のリフロー条件下で、長さ方向及び幅方向の収縮
率がいずれも1%以下である。このような高度の耐リフ
ロー性は、薄肉成形品であっても同様である。
ついてより具体的に説明する。なお、成形性、耐リフロ
ー性、及び難燃性についての評価・試験方法は、実施例
1及び5に記載の方法に従う。
リアミド6〔融点=220℃、MFR=40g/10分
(240℃、2.16kg荷重で測定)〕100重量
部、多官能性モノマー(B)としてトリアリルイソシアヌ
レート5重量部、臭素系難燃剤(C)として臭素化ポリス
チレン〔マナック(株)製プラセフティ1200Z〕4
0重量部、アンチモン系難燃助剤(D)として三酸化アン
チモン10重量部、ハイドロタルサイト(E)としてMg
4.5Al2(OH)13CO3〔協和化学工業(株)製DH
T4A2〕1重量部を、室温のスーパーミキサーで予備
混合した後、2軸混合機(45mmφ、L/D=32)
を用いて、バレル温度240℃で溶融混合し、吐出スト
ランドを水冷カットする方法で、樹脂組成物のペレット
を作製した。
ンの射出成形機を用いて、バレル温度240℃、射出圧
100kg/cm2、保圧時間10秒、金型温度60℃
の条件にて射出成形して、長さ30×幅10×厚み0.
4mmのプレートを作製し、次いで、該プレートに加速
電圧3MeVの電子線を線量100kGyで照射して耐
リフロー試験用サンプル(a)とした。また、同様の条
件で射出成形して、長さ130×幅12.5×厚み0.
8mmのプレートを作製し、次いで、該プレートに加速
電圧3MeVの電子線を線量100kGyで照射して難
燃性試験用サンプル(b)とした。
前記の射出成形条件で、長さ30×幅10×厚み0.4
mmのプレートを連続成形したところ、24時間の連続
射出成形後にも、ショートショットが見られず、射出圧
力が上昇することもなかった。
(a)を、260℃の設定ゾーンを60秒間で通過する
条件にて、リフロー炉内を移動させ、形状変化率を調べ
たところ、長さ方向の収縮率は0.7%で、幅方向の収
縮率は0.4%であり、良好な耐リフロー性を有するこ
とがわかった。
いて、UL−94試験法により難燃性を評価したとこ
ろ、規格値V−0を満足するものであることがわかっ
た。
施例1で用いたのと同じポリアミド6を100重量部、
多官能性モノマー(B)としてトリメチロールプロパント
リメタクリレート5重量部、臭素系難燃剤(C)として臭
素化ポリスチレン〔マナック(株)製プラセフティ12
00Z〕40重量部、アンチモン系難燃助剤(D)として
三酸化アンチモン10重量部、ハイドロタルサイト(E)
としてMg3.5Zn0.5Al2(OH) 12CO3・3H2O
〔堺化学工業(株)製HT‐7〕1重量部を用いて、実
施例1と同様して、ペレットを作製し、次いで、射出成
形し、電子線照射して2種類の試験用サンプルを作製し
た。実施例1と同様にして成形性を評価するとともに、
2種類の試験用サンプルを用いて、耐リフロー性及び難
燃性を評価した。
ショットが見られず、射出圧力が上昇することもなかっ
た。リフロー試験の結果は、長さ方向の収縮率が0.9
%で、幅方向の収縮率は0.6%であり、良好な耐リフ
ロー性を有することがわかった。難燃性については、U
L94V−0に合格するものであった。結果を表1に示
す。
施例1で用いたのと同じポリアミド6を100重量部、
多官能性モノマー(B)としてトリアリルイソシアヌレー
ト5重量部、臭素系難燃剤(C)としてエチレンビスペン
タブロモジフェニル〔アルベマール浅野(株)製Say
tex 8010〕40重量部、アンチモン系難燃助剤
(D)として三酸化アンチモン10重量部、ハイドロタル
サイト(E)としてMg4.5Al2(OH)13CO3〔協和化
学(株)製DHT4A2〕1重量部を用いて、実施例1
と同様して、ペレットを作製し、次いで、射出成形し、
電子線照射して2種類の試験用サンプルを作製した。実
施例1と同様にして成形性を評価するとともに、2種類
の試験用サンプルを用いて、耐リフロー性及び難燃性を
評価した。
温度240℃、射出圧100kg/cm2、保圧時間1
0秒、金型温度60℃の条件にて射出成形を開始したと
ころ、13時間連続射出成形したところで、ショートシ
ョットが見られ始め、14時間後に射出圧が200kg
/cm2以上に上昇し、バレル温度を260℃に上げて
も射出圧力が下がらないので、この時点で運転を停止し
た。
が0.7%で、幅方向の収縮率は0.5%であり、良好
な耐リフロー性を有することがわかった。難燃性につい
ては、UL94V−0に合格するものであった。結果を
表1に示す。
施例1で用いたのと同じポリアミド6を100重量部、
多官能性モノマー(B)としてトリアリルイソシアヌレー
ト5重量部、臭素系難燃剤(C)として臭素化ポリスチレ
ン〔マナック(株)製プラセフティ1200Z〕40重
量部、アンチモン系難燃助剤(D)として三酸化アンチモ
ン10重量部、ハイドロタルサイト(E)としてMg4.5A
l2(OH)13CO3〔協和化学(株)製DHT4A2〕
3重量部を用いて、実施例1と同様して、ペレットを作
製し、次いで、射出成形し、電子線照射して2種類の試
験用サンプルを作製した。実施例1と同様にして成形性
を評価するとともに、2種類の試験用サンプルを用い
て、耐リフロー性及び難燃性を評価した。
ショットが見られず、射出圧力が上昇することもなかっ
た。リフロー試験の結果は、長さ方向の収縮率が0.7
%で、幅方向の収縮率は0.4%であり、良好な耐リフ
ロー性を有することがわかった。難燃性については、U
L94V−0に合格するものであった。結果を表1に示
す。
リアミド66〔融点260℃、MFR=50g/10分
(280℃、2.16kg荷重で測定)〕100重量
部、多官能性モノマー(B)としてトリアリルイソシアヌ
レート5重量部、臭素系難燃剤(C)として臭素化ポリス
チレン〔マナック(株)製プラセフティ1200Z〕4
0重量部、アンチモン系難燃助剤(D)として三酸化アン
チモン10重量部、ハイドロタルサイト(E)としてMg
4.5Al2(OH)13CO3〔協和化学(株)製DHT4
A2〕1重量部を、室温のスーパーミキサーで予備混合
した後、2軸混合機(45mmφ、L/D=32)を用
いて、バレル温度280℃で溶融混合し、吐出ストラン
ドを水冷カットする方法で、樹脂組成物のペレットを作
製した。
形機を用いて、バレル温度280℃、射出圧100kg
/cm2、保圧時間10秒、金型温度60℃の条件にて
長さ30×幅10×厚み0.4mmのプレートを連続射
出成形した。その結果、24時間連続射出成形しても、
ショートショットが見られず、射出圧力が上昇すること
も無かった。
0×厚み0.4mmのプレートを作製し、次いで、該プ
レートに加速電圧3MeVの電子線を線量100kGy
で照射して耐リフロー試験用サンプル(a)とした。ま
た、同様の条件で射出成形して、長さ130×幅12.
5×厚み0.8mmのプレートを作製し、次いで、該プ
レートに加速電圧3MeVの電子線を線量100kGy
で照射して難燃性試験用サンプル(b)とした。
1と同様にして、耐リフロー性及び難燃性を評価した。
リフロー試験の結果は、長さ方向の収縮率が0.5%
で、幅方向の収縮率は0.3%であり、良好な耐リフロ
ー性を有することがわかった。難燃性については、UL
94V−0に合格するものであった。結果を表1に示
す。
施例1で用いたのと同じポリアミド6を100重量部、
多官能性モノマー(B)としてトリアリルイソシアヌレー
ト5重量部、臭素系難燃剤(C)として臭素化ポリスチレ
ン〔マナック(株)製プラセフティ1200Z〕40重
量部、アンチモン系難燃助剤(D)として三酸化アンチモ
ン10重量部を用いて、実施例1と同様して、ペレット
を作製し、次いで、射出成形し、電子線照射して2種類
の試験用サンプルを作製した。実施例1と同様にして成
形性を評価するとともに、2種類の試験用サンプルを用
いて、耐リフロー性及び難燃性を評価した。
℃、射出圧100kg/cm2、保圧時間10秒、金型
温度60℃の条件にて射出成形を開始したところ、10
分後にショートショットが見られ始め、30分後には、
射出圧が200kg/cm2以上になり、バレル温度を
260℃にしても射出圧力が下がらないので運転を停止
した。リフロー試験の結果は、長さ方向の収縮率が0.
7%で、幅方向の収縮率は0.4%であった。難燃性に
ついては、UL94V−0に合格するものであった。結
果を表2に示す。
施例1で用いたのと同じポリアミド6を100重量部、
多官能性モノマー(B)としてトリメチロールプロパント
リメタクリレート5重量部、臭素系難燃剤(C)として臭
素化ポリスチレン〔マナック(株)製プラセフティ12
00Z〕40重量部、アンチモン系難燃助剤(D)として
三酸化アンチモン10重量部、ハイドロタルサイト(E)
としてMg4.5Al2(OH)13CO3〔協和化学(株)
製DHT4A2〕0.05重量部を用いて、実施例1と
同様して、ペレットを作製し、次いで、射出成形し、電
子線照射して2種類の試験用サンプルを作製した。実施
例1と同様にして成形性を評価するとともに、2種類の
試験用サンプルを用いて、耐リフロー性及び難燃性を評
価した。
0℃、射出圧100kg/cm2、保圧時間10秒、金
型温度60℃の条件にて射出成形を開始したところ、4
0分後にショートショットが見られ始め、60分後に
は、射出圧が200kg/cm 2以上になり、バレル温
度を260℃にしても射出圧力が下がらないので運転を
停止した。リフロー試験の結果は、長さ方向の収縮率が
0.9%で、幅方向の収縮率は0.6%であった。難燃
性については、UL94V−0に合格するものであっ
た。結果を表2に示す。
施例1で用いたのと同じポリアミド6を100重量部、
多官能性モノマー(B)としてトリアリルイソシアヌレー
ト5重量部、臭素系難燃剤(C)としてエチレンビスペン
タブロモジフェニル〔アルベマール浅野(株)製Say
tex 8010〕40重量部、アンチモン系難燃助剤
(D)として三酸化アンチモン10重量部を用いて、実施
例1と同様して、ペレットを作製し、次いで、射出成形
し、電子線照射して2種類の試験用サンプルを作製し
た。実施例1と同様にして成形性を評価するとともに、
2種類の試験用サンプルを用いて、耐リフロー性及び難
燃性を評価した。
0℃、射出圧100kg/cm2、保圧時問10秒、金
型温度60℃の条件にて射出成形を開始したところ、1
0分後にショートショットが見られ始め、20分後に
は、射出圧が200kg/cm 2以上になり、バレル温
度を260℃にしても射出圧力が下がらないので運転を
停止した。リフロー試験の結果は、長さ方向の収縮率が
0.7%で、幅方向の収縮率は0.5%であった。難燃
性については、UL94V−0に合格するものであっ
た。結果を表2に示す。
施例5で用いたのと同じポリアミド66を100重量
部、多官能性モノマー(B)としてトリアリルイソシアヌ
レート5重量部、臭素系難燃剤(C)として臭素化ポリス
チレン〔マナック(株)製プラセフティ1200Z〕4
0重量部、アンチモン系難燃助剤(D)として三酸化アン
チモン10重量部を用いて、実施例5と同様して、ペレ
ットを作製し、次いで、射出成形し、電子線照射して2
種類の試験用サンプルを作製した。実施例5と同様にし
て成形性を評価するとともに、2種類の試験用サンプル
を用いて、耐リフロー性及び難燃性を評価した。
0℃、射出圧100kg/cm2、保圧時問10秒、金
型温度60℃の条件にて射出成形を開始したところ、3
0分後に、ショートショットが見られ始め、50分後に
は、射出圧が200kg/cm2以上になり、バレル温
度を300℃にしても射出圧力が下がらないので運転を
停止した。リフロー試験の結果は、長さ方向の収縮率が
0.5%で、幅方向の収縮率は0.3%であった。難燃
性については、UL94V−0に合格するものであっ
た。結果を表2に示す。
施例1で用いたのと同じポリアミド6を100重量部、
臭素系難燃剤(C)としてエチレンビスペンタブロモジフ
ェニル〔アルベマール浅野(株)製Saytex 80
10〕40重量部、アンチモン系難燃助剤(D)として三
酸化アンチモン10重量部を用いて、実施例1と同様に
して、ペレットを作製し、次いで、射出成形し、電子線
照射して2種類の試験用サンプルを作製した。実施例1
と同様にして成形性を評価するとともに、2種類の試験
用サンプルを用いて、耐リフロー性及び難燃性を評価し
た。
0℃、射出圧100kg/cm2、保圧時問10秒、金
型温度60℃の条件にて射出成形を開始したところ、2
4時間連続成形してもショートショットが見られず、射
出圧力が上昇することも無かった。
用サンプル(a)の形状変化率を実施例1と同様の方法
で、260℃の設定ゾーンを60秒間で通過する条件に
てリフロー炉内を移動させて調べたところ、溶融してし
まった。試験用サンプル(b)については、UL94V
−0に合格するものであった。結果を表2に示す。
施例5で用いたのと同じポリアミド66を100重量
部、臭素系難燃剤(C)として臭素化ポリスチレン〔マナ
ック(株)製プラセフティ1200Z〕40重量部、ア
ンチモン系難燃助剤(D)として三酸化アンチモン10重
量部を用いて、実施例5と同様して、ペレットを作製
し、次いで、射出成形し、電子線照射して2種類の試験
用サンプルを作製した。実施例5と同様にして成形性を
評価するとともに、2種類の試験用サンプルを用いて、
耐リフロー性及び難燃性を評価した。
0℃、射出圧100kg/cm2、保圧時間10秒、金
型温度60℃の条件にて射出成形を開始したところ、2
4時間連続成形しても、ショートショットが見られず、
射出圧力が上昇することも無かった。
用サンプル(a)の形状変化率を実施例1と同様の方法
で、260℃の設定ゾーンを60秒間で通過する条件に
てリフロー炉内を移動させて調べたところ、溶融してし
まった。試験用サンプル(b)については、UL94V
−0に合格するものであった。結果を表2に示す。
リアミド樹脂(A)に、多官能性モノマー(B)、臭素系難燃
剤(C)、アンチモン系難燃助剤(D)、ハイドロタルサイト
(E)を配合した樹脂組成物に限り、運転停止することな
く12時間以上の連続射出成形が可能であり、しかも、
260℃×60秒の耐リフロー性、UL94V−0にラ
ンクされる難燃性を有することがわかった。
験に優れる架橋ポリアミド樹脂成形品を連続成形するこ
とができる。本発明の架橋ポリアミド樹脂成形品は、表
面実装型コネクタ等の電子部品の分野での利用価値が大
きいものである。
Claims (4)
- 【請求項1】 ポリアミド樹脂(A)100重量部に対し
て、分子内に複数個の炭素−炭素不飽和結合を有する多
官能性モノマー(B)1〜20重量部、臭素系難燃剤(C)1
0〜60重量部、アンチモン系難燃助剤(D)3〜20重
量部、及びハイドロタルサイト(E)0.1〜10重量部
を含有する樹脂組成物から形成され、かつ、電離放射線
により照射架橋されていることを特徴とする架橋ポリア
ミド樹脂成形品。 - 【請求項2】 UL規格のUL−94試験で規格値V−
0を満足する難燃性を有し、かつ、260℃で60秒間
のリフロー条件下で測定した収縮率がいずれの方向でも
1%以下である耐リフロー性を有する請求項1記載の架
橋ポリアミド樹脂成形品。 - 【請求項3】 ポリアミド樹脂(A)100重量部に対し
て、分子内に複数個の炭素−炭素不飽和結合を有する多
官能性モノマー(B)1〜20重量部、臭素系難燃剤(C)1
0〜60重量部、アンチモン系難燃助剤(D)3〜20重
量部、及びハイドロタルサイト(E)0.1〜10重量部
を含有する樹脂組成物を所定形状の成形品に溶融成形
し、次いで、成形品に電離放射線を照射して架橋させる
ことを特徴とする架橋ポリアミド樹脂成形品の製造方
法。 - 【請求項4】 射出成形により溶融成形する請求項3記
載の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2002136700A JP3990596B2 (ja) | 2002-05-13 | 2002-05-13 | 架橋ポリアミド樹脂成形品とその製造方法 |
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-
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- 2002-05-13 JP JP2002136700A patent/JP3990596B2/ja not_active Expired - Lifetime
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KR20150013674A (ko) | 2012-05-24 | 2015-02-05 | 사빅 글로벌 테크놀러지스 비.브이. | 개선된 난연제 중합체 조성물 |
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KR20160073965A (ko) * | 2013-10-18 | 2016-06-27 | 도레이 카부시키가이샤 | 폴리아미드 수지 조성물, 제조 방법, 성형품 |
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