JP2003327699A - シリコーン油の精製法 - Google Patents
シリコーン油の精製法Info
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Abstract
ことを特徴とするシリコーン油の精製法。 【効果】 本発明によれば、繊維状活性炭を使用するこ
とによって、高度の精製を、単純な工程で行うことがで
き、廃棄物の大幅削減が可能となる。また、電気・電子
工業用や化粧品用等の新規用途に適した、高度に精製さ
れたシリコーン油を簡便に得ることができる。
Description
製法に関し、特に電気・電子工業や化粧品用として好適
に使用し得る高度なシリコーン油の精製法に関する。
ーン油は、主として珪素に結合したメチル基やフェニル
基等に代表される有機基を持ち、直鎖又は直鎖と分岐鎖
を持つシロキサン結合よりなる有機珪素化合物である。
またシリコーン油は、25℃における粘度が0.65〜
1,000,000csと広範囲のものがあり、鉱油、
動植物油のような一般の有機物の油と比べて、耐熱・耐
寒性、粘度温度特性、生体との作用性等に優れ、既に工
業的に広く用いられている。
途が広がるにつれて、従来の製造方法のものでは必ずし
も全て満足な性質を備えてはいないことから、目的に応
じた特性を得るために新規な製造方法や精製方法が開発
され、これを更に改良し、工業的な方法として確立して
きている。
粧品用途では、いかに不純物の少ない、高純度のシリコ
ーン油を得るかが、喫緊の問題となっている。
蒸留単離されたモノマーであるジメチルジクロロシラン
を主材とし、必要に応じて蒸留単離された末端生成用の
モノクロロシラン、特性付与のためのフェニル基やその
他の有機基含有ジクロロシラン等が使用され、必要に応
じて加水分解して得られる中間体シロキサンを得、これ
を重合し、最終的にシリコーン油を生成する。工程中で
使用される助剤は、重合用触媒と中和剤だけといっても
よい。従って、高純度化の目標は、これら工程で使用さ
れた微量の触媒残さや副生物をいかに除くかにあった。
また同時に、これらの分析方法とレベルを設定すること
が、品質レベルを規定することにもなる。
法、活性炭処理法、水洗法等を、必要に応じてこれらを
組み合わせて採用していたが、必ずしも十分満足する方
法ではなかった。不純物は基本的には水洗によって除か
れるものであるが、大量の廃水の発生と分離に要する設
備・時間が大きな問題である。上記方法の中では活性炭
法が比較的簡便で、ある程度までは有効であるが、大量
使用とそれに伴う廃材問題、使用後の活性炭微粒子の完
全除去等、取扱いが容易ではなく、廃棄物の少ない、大
量生産可能な簡便で安価・安定な方法の開発が必要であ
った。
で、簡便で安価・安定であり、廃棄物が少なく、電気・
電子工業や化粧品用として好適に使用し得る高度、高純
度なシリコーン油を得ることができるシリコーン油の精
製法を提供することを目的とする。
発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結
果、活性炭を詳しく検討することにより、特定の活性炭
にシリコーン油を精製するための有効な作用を見出し
た。
ノール樹脂系炭素繊維ベースの繊維状活性炭を用いてシ
リコーン油を処理することにより、簡便で安価・安定で
あり、かつ廃棄物の少ない精製方法となり得ると共に、
この方法により得られるシリコーン油は、電気・電子工
業や化粧品用として好適に使用し得る高純度なものであ
ることを知見し、本発明をなすに至った。
活性炭で処理することを特徴とするシリコーン油の精製
法を提供する。
活性炭は、天然木質系の椰子殻活性炭や木炭系活性炭
で、その形状は粉末や粒状であり、昔から有機化学の分
野で脱色精製、微量成分除去に使用されてきており、近
年の電子工業への応用も報告されている(特開平8−1
2602号公報)。更に石炭やタールを原料としたコー
ル系もある。また最近では、繊維状のものが作られてお
り、その形状又はその生成から来ると思われる組成や微
細構造によって、特定の機能を発揮させることを特徴と
する用途も報告されている(特開昭56−168824
号公報、特開平4−267872号公報、特開平6−1
28816号公報、特開平10−120402号公
報)。しかしながら、対象基材がシリコーン油という有
機珪素化合物であり、その精製レベルも、従来では分析
限界に挑戦するものの、工業的プロセスの確立に関する
ものはなかった。
的に異なるものであり、シリコーン油を高度に精製する
には、繊維状活性炭が他のものから際立って有効である
ことを見出したもので、繊維状活性炭を用いてシリコー
ン油を精製するという、特定の素材とその応用特性の組
み合わせにより本発明を完成したものである。
従来から使用されていた粒状活性炭が持つ精製能力と同
質であるように見えるが、シリコーン油の精製において
は、画然とした差異が認められる。当然原料繊維の化学
的、物理的性質由来の特性と考えられる点もあるが、活
性炭側の素材や特性要素と被精製物との要因について
は、未だ詳らかではない。
は、特に限定されるものではなく、上述したように、高
度に蒸留単離されたモノマーであるジメチルジクロロシ
ラン等のジオルガノジクロロシランを主材とし、必要に
応じて蒸留単離された末端生成用のトリメチルモノクロ
ロシラン等のモノクロロシラン、特性付与のためのフェ
ニル基を有するジフェニルジクロロシランやメチルフェ
ニルジクロロシラン、その他の有機基含有ジクロロシラ
ン等を使用し、必要に応じ加水分解して中間体シロキサ
ンを得、これを重合して得られたシリコーン油等を使用
することができる。
れば特に制限されないが、濾過性等を考慮すると10,
000cs以下、特に5,000cs以下が好ましい。
また、シリコーン油の構造も特に制限されず、末端がト
リメチルシリル基等のトリオルガノシリル基で封鎖され
たものでも、ジオルガノヒドロキシシリル基で封鎖され
たものであってもよい。
れる不純物としては、炭化水素類、及び硫酸イオン、塩
化物イオンに代表される陰イオン性不純物が挙げられ
る。これら不純物のうち、炭化水素類はオイルの臭い及
び色調の不良を引き起こし、イオン性不純物は、絶縁特
性の悪化、高温下での安定性の悪化を引き起こすことが
ある。
量は、製造原料、及び製造条件により規定されるもので
あるが、一般的には、炭化水素類が略5,000ppm
以下、特には1,000ppm以下、硫酸イオン、塩化
物イオン等のイオン性不純物は100ppm以下、特に
は50ppm以下であることが好ましい。
状の活性炭であれば特に限定されるものではないが、径
が5〜15μm、外表面積が0.1〜2.0m2/g、
比表面積が800〜2,500m2/gのものが好まし
い。繊維状活性炭として具体的には、レーヨン系、ピッ
チ系、アクリル系、フェノール樹脂系等が挙げられる。
これらの中でも、特にフェノール樹脂から生成したもの
が好適である。フェノール樹脂から生成した繊維状活性
炭としては、日本カイノール株式会社製のカイノール等
が挙げられる。
うとするシリコーン油に含まれる不純物の種類・量や処
理時間によって決めればよいが、粒状活性炭や粉末活性
炭に比べて少量の使用量で有効であり、精製すべきシリ
コーン油に対してppmレベルの使用でも充分有効であ
る。好ましくは回分式処理の場合、精製すべきシリコー
ン油に対して0.1ppm以上、特には0.5ppm以
上、とりわけ1ppm以上であることが好ましく、上限
には制限がないが、経済性を考慮すると、シリコーン油
100重量部に対し20重量部以下、特に10重量部以
下、とりわけ5重量部以下とすることが好ましい。ま
た、連続式処理の場合、好ましくは繊維状活性炭1gあ
たり、シリコーン油の供給量が0.01〜10,000
g/min、特に0.1〜1,000g/min、とり
わけ0.5〜500g/minとすることが好ましい。
は、粒状活性炭処理の場合と同様に被精製物と有効に接
触させることが求められる。具体的には、被精製物液体
に投入混合、カートリッジ等の容器に充填して流路に装
填、濾紙に漉き込んだ形での利用等が挙げられる。カー
トリッジ等に充填する方法は、連続処理が可能となり、
実用上好ましい。カートリッジ等に充填し、連続で処理
する場合、特に制限されるものではないが、処理温度は
10〜80℃、特に20〜50℃であることが好まし
く、また処理時間(接触時間)は、5秒〜20分、特に
20秒〜5分、とりわけ30秒〜2分であることが好ま
しい。
ては、シリコーン油を水洗して不純物を水で抽出し、該
抽出水から触媒由来のイオン性不純物であるSO4イオ
ン、Clイオンをイオンクロマト法で測定し、また水溶
性不純物全体を抽出水伝導度(EC)とpHで測定し、
更に微量金属不純物をIPC発光分析で測定することが
できる。なお、本発明により精製されたシリコーン油
は、SO4イオン、Clイオン、微量金属不純物の含有
量が1ppm以下、特には検出下限以下であることが好
ましく、抽出水伝導度(EC)が1μS/cm以下、p
Hが抽出に使用する原水並であることが好ましい。
より、シリコーン油の精製工程が著しく単純効率的とな
り、廃水や廃棄物を著しく減少させ、工業的生産性を改
善することができる。また、本発明によれば、精製レベ
ルも安定化かつ高度化し、品質安定性に優れた、特に電
気・電子工業用や化粧品用に好適な精製シリコーン油が
得られ、また、新規用途の要求を満足させ、新規市場展
開が可能となる。
体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限される
ものではない。なお、下記の例において、未精製オイル
(シリコーン油)は酸触媒によって常法で平衡化重合さ
れて得られたトリメチルシリル基末端のジメチルシリコ
ーン油を使用した。また、下記例においてwt%は重量
%を示す。
ーン油のイオン性不純物を除去するために、各種吸着材
を下記方法によりテストした。未精製オイルに、表1に
示す各種吸着材(A1〜A6)を未精製オイルの10w
t%添加し、室温で24時間振盪した後、吸着材を濾別
した。この処理オイルの抽出水特性及び濾過性を下記の
方法で測定した。抽出水特性は、処理オイル1、トルエ
ン1、純水1の割合で混合したものを室温で1時間振盪
し、この水層について、pH、電気伝導度、硫酸イオン
含有量、塩素イオン含有量を測定した。なお、硫酸イオ
ン含有量、塩素イオン含有量はイオンクロマト法にて測
定した。また、濾過性は、0.2MPaの加圧下で吸着
剤に添加したシリコーンオイルを濾過する際の所要時間
にて、下記のように評価した。 ◎:1分未満、 ○:1分以上15分未満、 △:15分以上60分未満、 ×:60分以上 これらの結果を表1に示す。表1の結果から、活性炭が
最適であることがわかる。
でテストした。未精製オイルに、表2に示す各種吸着材
を未精製オイルの5wt%(B1,B3〜B5)、及び
1wt%(B2)添加し、80℃で24時間攪拌した
後、吸着材を濾別した。処理オイルの抽出水特性及び濾
過性を上記と同様に測定した。結果を表2に示す。表2
の結果から、活性炭が最適であることがわかる。
各種吸着材(C1〜C3)をカートリッジ状に加工した
ものを用い、連続での吸着試験を実施した。試験に使用
したカートリッジは高さ250mm、外径65mm×内
径30mmの円筒形であり、外筒と内筒の間に活性炭及
び活性炭繊維が充填されている。なお、充填量は表3に
記された通りであり、上記カートリッジに充填する際の
最大充填量である。これらのカートリッジに、室温にて
25℃における粘度が500csのジメチルシリコーン
油の未精製品を表3に示す供給量で通過させ、通過処理
オイルの抽出水特性を上記と同様の方法により測定し
た。これらの結果を表3に示す。この結果より、繊維状
活性炭は粒状活性炭よりも充填量が少ないにもかかわら
ず、優れた吸着能を示していることがわかる。特にフェ
ノール樹脂系活性炭繊維は、全ての流量範囲でほぼ完全
な不純物除去効果が認められた。
未精製オイル(25℃における粘度500csのジメチ
ルシリコーン油)1000gに、表4に示す活性炭(D
1,D2)をそれぞれ未精製オイルの1wt%ずつ添加
し、80℃で1時間攪拌した。活性炭を濾別し、濾液の
金属をIPC発光分析で測定した。結果を表4に示す。
粒状活性炭に比べ、繊維状活性炭の吸着能が優れてい
た。
ル(25℃における粘度500csのジメチルシリコー
ン油)5000gに、表5に示す所定濃度となる活性炭
(E1,E2)を添加し、80℃で24時間攪拌した。
活性炭を濾別し、処理オイルの抽出水特性を上記と同様
に測定した。結果を表5に示す。粒状活性炭の吸着能力
より繊維状活性炭の吸着能力の方が、2倍以上優れてい
た。
ることによって、高度の精製を、単純な工程で行うこと
ができ、廃棄物の大幅削減が可能となる。また、電気・
電子工業用や化粧品用等の新規用途に適した、高度に精
製されたシリコーン油を簡便に得ることができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 シリコーン油を繊維状活性炭で処理する
ことを特徴とするシリコーン油の精製法。 - 【請求項2】 繊維状活性炭が、フェノール樹脂から生
成したものである請求項1記載のシリコーン油の精製
法。 - 【請求項3】 繊維状活性炭をカートリッジ等の容器に
充填してシリコーン油の流路に装填し、これとシリコー
ン油を接触させて連続的に処理することを特徴とする請
求項1又は2記載のシリコーン油の精製法。
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