JP2003326896A - 装飾部材、時計及び製造方法 - Google Patents

装飾部材、時計及び製造方法

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JP2003326896A JP2002137064A JP2002137064A JP2003326896A JP 2003326896 A JP2003326896 A JP 2003326896A JP 2002137064 A JP2002137064 A JP 2002137064A JP 2002137064 A JP2002137064 A JP 2002137064A JP 2003326896 A JP2003326896 A JP 2003326896A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 立体形状を有する装飾部材の全周にわたって
均一な外観を有する絵、文字、図形等の装飾を施した装
飾的価値の高い装飾部材を提供すること。 【解決手段】 エッチング液5に装飾部材3を浸漬させ
て、装飾部材3の表面にエッチング処理を施す。装飾部
材3がエッチング液5に浸漬している間、超音波振動子
9で発生させた超音波振動をエッチング液5に対して照
射する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、時計ケース、バンド、
指輪、ネックレス、眼鏡、ライター、ブレスレット、ド
アノブ、取手、筆記用具などの装飾部材及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】立体形状を有する装飾部材の表面にエッ
チング処理を施すエッチング工程には、スプレー法とデ
ィピング法がある。スプレー法によるエッチング処理を
図3に示す。装飾部材1の凹状の文字もしくは模様を形
成したい部分は、装飾部材1の表面を露呈させておき、
それ以外の部分は、マスクで覆って装飾部材1の表面を
隠しておく。スプレーノズル10から、エッチング液1
1を装飾部材1に噴霧する。エッチング液が、マスクさ
れていない部分を浸食することで、所定の文字もしくは
模様を形成する。また、ディピング法もスプレー法と同
様に、装飾部材1の凹状の文字もしくは模様を形成した
い部分は、装飾部材1の表面を露呈させておき、それ以
外の部分は、マスクで覆って装飾部材1の表面を隠して
おく。エッチング液中に装飾部材を浸漬することによ
り、マスクで覆っていない部分が浸食され、所定の凹状
の文字もしくは模様を形成する。従来の装飾部材は、こ
れらの方法を用いていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の加工方
法では、やや複雑な形状や多種多様な形状を有する装飾
部材においては、凹状の文字もしくは模様をきれいに形
成することができない。スプレー法では、スプレーノズ
ル10と装飾部材1が有する面の幾何学的な位置関係に
より、スプレーノズルと正対する面(正面部)は、エッ
チング液を十分に受けることができるが、正面部以外で
はエッチング液を十分に受けることができない。つま
り、エッチングむらが生じてしまう。これを防ぐには、
エッチングすべき全ての面が正面部となるように、スプ
レーノズルを設置しなければならない。 したがって、
エッチングしたい形状が複雑になればなる程、いくつも
の正面部が必要になり、それぞれの正面部に対してスプ
レーノズルを配置しなければならない、という問題点が
あった。つまり、スプレー法は、比較的複雑な形状では
多品種少量生産には向かない。
【0004】ここで、エッチングの程度を表すのに、エ
ッチングファクターを用いる。エッチングファクター
(EF)は次の式で定義する。
【0005】EF=2d/(w2−w1) dはエッチング深さ、w1はエッチングすべき幅(レジ
スト材で覆われない部分の幅)、w2は実際にエッチン
グされた幅を表す。
【0006】エッチングファクターが小さいと、狙い値
に対して線幅が太くなり、上から見たときに角が丸くな
る、断面が半円に近く形状となる。エッチングファクタ
ーを大きい程、得られた形状が理想形状に近くなる。
【0007】例えば、深さ20μmをエッチングしよう
とするとき、図3において、装飾部材1のスプレーノズ
ル10と正対する面(正面部)12では所定のエッチン
グ深さである20μmとなる。また、エッチングファク
ター、エッチング部の表面粗さも、所望する値が得るこ
とができエッチング部の外形形状も所定の形状となる。
しかし、装飾部材1の側面部13では、エッチング深さ
が10μmと浅くなり、また、スプレーに暴露されやす
い部分と異なる部分でエッチング部の壁面の形状に相違
が出る。さらに、装飾部材1の裏面部14ではエッチン
グ深さが5μmと更に浅くなり、エッチングファクター
が低くなり、エッチングむらが生じやすい。
【0008】また、ディッピング法では、エッチング時
に生じた気泡およびスラッジがエッチング液と装飾部材
との接触を部分的に遮断するため、エッチングむらが生
じ、ひいては非常に粗雑なエッチング部の表面粗さ、お
よび、エッチング部の輪郭形状となってしまうという問
題点があった。ディッピング法で処理した装飾部材を図
4に示す。このような装飾部材は、装飾部材としての価
値を著しく損なうものである。
【0009】しがたって、本発明は、装飾部材としてふ
さわしい美麗な外観を付与でき、装飾的価値の高い装飾
部材を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、エッチング液に試料を浸漬させ装飾部材の
表面にエッチング処理を施すステップと、前記装飾部材
が前記エッチング液に浸漬している間に、前記エッチン
グ液に対して超音波の振動を所定の時間照射するステッ
プと、を有する装飾部材の製造方法である。
【0011】立体形状を有する装飾部材の表面にエッチ
ング処理を施すエッチング工程において、前記エッチン
グ工程が超音波の照射を伴って行われることを特徴とす
る装飾部材の製造方法により、良好な装飾部材を得るこ
とができる。
【0012】本発明は、前記装飾部材が、ステンレス、
真鍮、金、金合金、銀、銀合金、チタン、チタン合金、
アルミあるいはアルミ合金から選択される少なくとも1
つの金属からなる装飾部材の製造方法である。
【0013】本発明は、前記装飾部材が、前記エッチン
グ液中に全ての部分を浸漬させる装飾部材の製造方法で
ある。
【0014】本発明は、これらの製造方法により形成さ
れた装飾部材である。
【0015】そして、本発明は、これらの製造方法によ
り形成された装飾部材を備えた時計である。
【0016】
【実施例】本発明を図面に基づいて説明する。図1は、
本発明によるエッチング装置を示す。超音波槽8は、水
7を入れる凹部と超音波振動子を取り付ける取り付け部
を有する。前記凹部と前記取り付け部は、前記凹部の底
面を境に分かれている。超音波槽8は、ステンレス鋼な
どの金属を材質に使用する。なお、水7以外の液体を入
れても構わない。超音波振動子9は、前記凹部の底面を
振動させるように、前記取り付け部に取り付ける。エッ
チング槽6は、中にエッチング液5を入れる。そのエッ
チング液5に、引掛け治具4に取り付けた試料(装飾部
材)3を入れる。そして、エッチング槽6を水7に入れ
る。超音波振動子9を振動させると水7が振動し、水の
振動がエッチング液5を振動させる。
【0017】なお、この図においては、超音波槽8に水
7を入れて超音波振動子9が水を振動させたが、エッチ
ング槽6を使用せずに、超音波槽8に直接エッチング液
5を入れ、超音波振動子9がエッチング液5を振動させ
るようにしても良い。
【0018】次に、製造方法を説明する。まず、ステン
レス材を装飾部材として形成する。これを試料3とし
た。試料3を有機溶剤及び電解脱脂による洗浄を施す。
この試料3に、パッド印刷法によりエッチングパターン
を装飾部材の全周にわたって印刷し、続いて電着塗装を
施してレジスト皮膜を形成する。この後、有機溶剤に浸
漬して、エッチングパターン印刷部を溶解除去する。こ
の試料3を引掛け治具4に固定して、これをエッチング
液5中に浸漬する。浸漬中に、超音波振動子9から発生
した超音波を超音波槽8、水7及びエッチング槽6を介
してエッチング液5に照射する。このとき、下記の値に
基づいてエッチング処理を施した。エッチング液組成
は、硫酸銅(II)飽和水溶液300ml/lに対して、
塩酸(1.19)600ml/lとした。これに界面活
性剤を1ml/lを加えた。処理条件は、エッチング液
温度を50℃に設定し、超音波発振周波数が40kHz
の超音波を120sec与える。浸漬時間も120se
cとする。
【0019】このようにして得られた試料3を、水洗し
た後に乾燥させる。乾燥後、電着塗装剥離液に浸漬し
て、電着塗装によるレジスト皮膜を除去する。
【0020】上記の方法によれば、エッチング液が装飾
部材の全周にわたって接触するために、装飾部材の幾何
学的な面の方向によるエッチングの相違が生じにくい。
また、超音波のキャビティーションによりエッチング中
に発生した気泡やスラッジが速やかに装飾部材から離脱
するためにエッチングむらが防止でき、さらにはエッチ
ング部の表面粗さを低く抑えることができる。このた
め、立体形状を有する装飾部材の全周にわたって均一な
エッチング深さ、エッチングファクター、エッチング部
の表面粗さ、および、エッチング部の外形形状が得られ
る。
【0021】図2は、このように加工した装飾部材を示
す。このように加工することで、装飾部材の正面部1に
おけるエッチング部2は、所定の形状を有する。具体的
には、装飾部材は、以下の特性を有するエッチングパタ
ーンが装飾部材の全周にわたって形成された。 (エッチング部の特性) エッチング深さ 100μm エッチングファクター 1.3 表面粗さ Ra=2.0μm 輪郭線形状 滑らか レジスト皮膜の形成方法は、ここで用いた電着塗装の他
に、スプレーにより塗料を塗布してもよいし、金属めっ
き皮膜を用いてもよい。また、エッチング液組成及びエ
ッチング条件についても、必要とするエッチング深さ、
エッチング時間等により適時変更できる。さらに、エッ
チング液として、硫酸銅と塩酸の水溶液以外に、塩化第
二鉄の水溶液や王水等を用いることも可能である。さら
には、本実施例ではステンレスを用いたが、エッチング
液の系、エッチング条件を適時選択することにより、真
鍮、金、金合金、銀、銀合金、チタン、チタン合金、ア
ルミあるいはアルミ合金を用いてもよい。特に、20μ
m以上の深さをエッチングしても、エッチングファクタ
ーが小さくならず、所望する形状を得ることができる。
【0022】<比較例1>本実施例で加工した装飾部材
を、従来の方法であるスプレー法により加工した装飾部
材と比較してみる。実施例1と同様の、試料、エッチン
グ液組成、エッチング液温度及び処理時間にて、スプレ
ー法によりエッチング処理を施した。この結果、以下の
特性を有するエッチングパターンが装飾部材表面に形成
された。 (エッチング部の特性)正面部側面部裏面部エッチング
深さ120μm60μm30μmエッチングファクター
2.51.0及び0.81.0表面粗さ1.5μm2.
0μm3.0μm輪郭線形状滑らか滑らかやや凹凸有り
側面部と裏面部のエッチング深さは、正面部のエッチ
ング深さの半分以下でり、どの面も一様の深さとはなら
ない。また、裏面部の輪郭線形状が、他の面の輪郭線形
状に比べて滑らかさが異なる。本実施例の装飾部材と比
べると、本実施例による装飾品は、面により効果が異な
ることがなく、どの面も滑らかでエッチング深さが均一
である。
【0023】ここで、正面部とは、装飾部材を構成する
面のうちスプレーの噴射口に正対する面をいう。側面部
とは、前記正面に対し90°の角度を持つ面を、裏面部
とは、前記正面に対し180°の角度を持つ面をそれぞ
れいう。また、側面部のエッチングファクターが、
「1.0及び0.8」となっているが、これは、スプレ
ーの噴射口に近い部分と遠い部分とで、エッチング部の
壁面形状が相違していることを示すものである。
【0024】<比較例2>次に、本実施例で加工した装
飾部材を、従来の方法であるディピング法により加工し
た装飾部材と比較してみる。実施例1と同様の、装飾部
材、エッチング液組成、エッチング液温度及び処理時間
にて、ディピング法によりエッチング処理を施した。こ
の結果、以下の特性を有するエッチングパターンが装飾
部材表面に形成された。 (エッチング部の特性) エッチング深さ 70μm エッチングファクター 1.0 表面粗さ Ra=10.0μm 輪郭線形状 凹凸が大きい 本実施例の装飾部材と比べると、本実施例の装飾部材は
表面粗さが小さく、輪郭線形状も滑らかとなっている。
エッチング部の深さも深いものがでた。
【0025】本実施例の装飾部材は、時計ケース、時計
バンド、指輪、ネックレス、眼鏡、ライター、ブレスレ
ット、ドアノブ、取手、筆記用具などの様々な物に使用
することができる。
【0026】
【発明の効果】以上述べたように、本発明により、立体
形状を有する装飾部材の全周にわたって均一な外観を有
する絵、文字、図形等の装飾を施した、美麗な外観を有
する装飾部材を得ることができる。特に、20μm以上
の深さをエッチングしても、所望する形状を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例で用いた、エッチング装置の断面
図である。
【図2】本実施例で作製した、装飾部材断面の斜視図で
ある。
【図3】スプレー法によるエッチング方法を示した図で
ある。
【図4】ディピング法により作成した装飾部材断面の斜
視図である。
【符号の説明】
1 装飾部材 2 エッチング部 3 試料 4 引掛け治具 5 エッチング液 6 エッチング槽 7 水 8 超音波槽 9 超音波振動子 10 スプレーノズル 11 噴霧されたエッチング液 12 正面部 13 側面部 14 裏面部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エッチング液に試料を浸漬させ装飾部材
    の表面にエッチング処理を施すステップと、 前記装飾部材が前記エッチング液に浸漬している間に、
    前記エッチング液に対して超音波の振動を所定の時間照
    射するステップと、 を有する装飾部材の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記装飾部材が、ステンレス、真鍮、
    金、金合金、銀、銀合金、チタン、チタン合金、アルミ
    あるいはアルミ合金から選択される少なくとも1つの金
    属からなる請求項1記載の装飾部材の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記装飾部材は、前記エッチング液中に
    全ての部分を浸漬させる請求項1又は2記載の装飾部材
    の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3のいずれかに記載された製
    造方法により形成された装飾部材。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載された前記装飾部材を備
    えた時計。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007191779A (ja) * 2006-01-23 2007-08-02 Nippon Hyomen Kagaku Kk 光沢化された金属部材の製造方法及びその製造用組成液
JP5598829B2 (ja) * 2012-04-27 2014-10-01 独立行政法人科学技術振興機構 オゾン水を用いたパターニング方法
US11654515B2 (en) 2019-02-25 2023-05-23 Comadur S.A. Method for producing a multi-decoration and/or multicoloured horological component having a ceramic structure

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US11654515B2 (en) 2019-02-25 2023-05-23 Comadur S.A. Method for producing a multi-decoration and/or multicoloured horological component having a ceramic structure

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