JP2003326483A - 移動ロボットの姿勢制御装置 - Google Patents
移動ロボットの姿勢制御装置Info
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Abstract
予期せぬ反力を受けるときなども、動バランスを維持し
てロボットが不安定になるのを防止すると共に、対象物
の運動に影響を与えないようにした移動ロボットの姿勢
制御装置を提供する。 【解決手段】 目標全床反力中心点に作用する対象物反
力偏差モーメントを操作方向成分和と非操作方向成分和
に分離し、非操作方向成分和によって発生する動力学的
アンバンランスを、その一部は対象物平衡制御装置20
2の動作によって打ち消し、残部を、目標全床反力中心
点に作用する目標対象物反力モーメント操作方向成分和
を修正することにより、具体的には腕部リンクの動作を
修正して前記操作方向成分和を変化させることによって
打ち消す。
Description
勢制御装置に関し、特に、腕部を備える2足の脚式移動
ロボットあるいは車輪式の移動ロボットの姿勢制御装置
において、ロボットが腕を介して対象物から反力を受け
るような作業を行なっているときの姿勢安定化を図るよ
うにした姿勢制御装置に関する。
姿勢制御装置としては、本出願人が先に提案した特開平
10−230485号公報に記載される技術が知られて
いる。その技術においては、対象物から予期せぬ反力を
受けると、長期的にはロボットの上体の位置をずらすよ
うに姿勢を徐々に修正することによってロボット全体の
重心位置をずらし、補償のための重力モーメントを発生
させて動バランス、即ち、動力学的に釣り合うバランス
を維持すると共に、それまでの過渡期においては、目標
床反力中心点(目標ZMPに一致している)まわりに補
償のための全床反力モーメントを発生させるように足部
を動かして踏み止めさせることによって、動バランスを
維持するように構成している。
従来技術においては、対象物から受ける予期せぬ反力が
急激に変化した場合には、その瞬間では(短期的に
は)、足部を動かして踏み止めさせることによって動バ
ランスを維持する、即ち、全床反力モーメントを発生さ
せることによって姿勢安定化が図られる。
ける受けないに関わらず、ロボットの姿勢が傾いている
ときに、これを復元させるためのモーメントを全床反力
モーメントとして積極的に発生させる技術も提案してい
るが(特開平10−277969号公報)、いずれの技
術においても、全床反力モーメントには限界があり、そ
れを越えて全床反力モーメントを発生させようとする
と、足部の一部が床から浮いてしまい、その結果、ロボ
ットは動バランスを崩し、最悪の場合には転倒する恐れ
があった。
発生させる代わりに上体の軌道を修正することによって
動バランスを維持する技術も提案しているが(特許第3
269852号公報)、かかる技術にあっては足の着地
位置などを修正する必要があるため、腕で対象物に対す
る作業を行なっているとき、上体や足が作業に適切な位
置から離れてしまう場合があった。
うな作業を行なう場合にあっては、作業を所期通り遂行
するためには、動バランスを維持したり、あるいは傾い
た姿勢の復元を行なっても、対象物の運動に影響を与え
ないことが望ましい。
た不都合を解消することにあり、移動ロボットが対象物
から反力をうけるような作業を行っているとき、姿勢が
不安定になったり、あるいは対象物から予期せぬ反力を
受けても、動バランスを維持して安定な姿勢を保持する
ようにした移動ロボットの姿勢制御装置を提供すること
を目的とする。
をうけるような作業を行っているとき、姿勢が不安定に
なったり、あるいは対象物から予期せぬ反力を受けて
も、接地する床から作用される床反力を操作することな
く、あるいはその操作量を低減しつつ、動バランスを維
持して安定な姿勢を保持するようにした移動ロボットの
姿勢制御装置を提供することを第2の目的とする。
をうけるような作業を行っているとき、姿勢が不安定に
なったり、あるいは対象物から予期せぬ反力を受けて
も、対象物の運動に影響を与えることなく動バランスを
維持して安定な姿勢を保持するようにした移動ロボット
の姿勢制御装置を提供することを第3の目的とする。
ために、請求項1項においては、少なくとも基体と、移
動機構と、対象物に力を作用することができる、少なく
とも1個の腕部リンクからなる移動ロボットの姿勢制御
装置において、想定外の外力が作用するとき、前記想定
外の外力の、ある所定方向の成分である第1の外力に応
じ、前記所定方向に直交する方向に前記腕部リンクに第
2の外力が作用するように、前記腕部リンクを駆動して
前記ロボットの姿勢を安定させるように制御する如く構
成した。
定外の外力が作用するとき、想定外の外力の、ある所定
方向の成分である第1の外力に応じ、所定方向に直交す
る方向に腕部リンクに第2の外力が作用するように、腕
部リンクを駆動して前記ロボットの姿勢を安定させるよ
うに制御する如く構成したので、移動ロボットが対象物
から反力をうけるような作業を行っているとき、姿勢が
不安定になったり、あるいは対象物から予期せぬ反力を
受けても、動バランスを維持して安定な姿勢を保持する
ことができる。
と、移動機構と、対象物に力を作用することができる、
少なくとも1個の腕部リンクからなる移動ロボットの姿
勢制御装置において、少なくとも前記ロボットの目標腕
部リンク位置姿勢と、前記対象物から前記腕部リンクに
作用する対象物反力の目標値である目標対象物反力から
なる目標動作を生成する目標動作生成手段、前記対象物
反力の実際値である実対象物反力を検出あるいは推定す
る実対象物反力検出手段、少なくとも前記検出あるいは
推定された実対象物反力に基づき、前記ロボットの姿勢
が安定するように前記目標動作を修正する姿勢安定化制
御手段、および少なくとも前記修正された目標動作に基
づいて前記腕部リンクを駆動する腕部駆動装置を備える
如く構成した。
なくともロボットの目標腕部リンク位置姿勢と、対象物
から腕部リンクに作用する対象物反力の目標値である目
標対象物反力からなる目標動作を生成し、対象物反力の
実際値である実対象物反力を検出あるいは推定し、少な
くとも検出あるいは推定された実対象物反力に基づき、
ロボットの姿勢が安定するように目標動作を修正し、修
正された目標動作に基づいて腕部リンクを駆動する腕部
駆動装置を備える如く構成したので、移動ロボットが対
象物から反力をうけるような作業を行っているとき、姿
勢が不安定になったり、あるいは対象物から予期せぬ反
力を受けても、動バランスを維持して安定な姿勢を保持
することができる。さらには、対象物の運動に影響を与
えることなく、動バランスを維持して安定な姿勢を保持
することができる。
御手段は、少なくとも前記実対象物反力と前記目標対象
物反力との差を示す対象物反力偏差に基づき、前記ロボ
ットの姿勢が安定するように前記目標動作を修正する如
く構成した。
との差を示す対象物反力偏差に基づき、ロボットの姿勢
が安定するように目標動作を修正する如く構成したの
で、上記した効果を一層良く得ることができる。
御手段は、前記対象物反力偏差の第1の成分によって発
生する転倒力の全部あるいは一部を、前記第1の成分か
ら得られる第2の成分によって打ち消すように、前記目
標動作を修正する如く構成した。
する転倒力の全部あるいは一部を、第1の成分から得ら
れる第2の成分によって打ち消すように、目標動作を修
正する如く構成したので、上記した効果を一層良く得る
ことができる。
と、移動機構と、対象物に力を作用することができる、
少なくとも1個の腕部リンクからなる移動ロボットの姿
勢制御装置において、少なくとも前記ロボットの目標腕
部リンク位置姿勢と、前記対象物から前記腕部リンクに
作用する対象物反力の目標値である目標対象物反力から
なる目標動作を生成する目標動作生成手段、前記ロボッ
トの姿勢傾き偏差を検出し、前記検出した姿勢傾き偏差
が零に近づくように前記目標動作を修正する姿勢安定化
制御手段、および少なくとも前記修正された目標動作に
基づいて前記腕部リンクを駆動する腕部駆動装置を備え
る如く構成した。
なくともロボットの目標腕部リンク位置姿勢と、対象物
から腕部リンクに作用する対象物反力の目標値である目
標対象物反力からなる目標動作を生成すると共に、ロボ
ットの姿勢傾き偏差を検出し、検出した姿勢傾き偏差が
零に近づくように目標動作を修正し、修正された目標動
作に基づいて腕部リンクを駆動する如く構成したので、
移動ロボットが対象物から反力をうけるような作業を行
っているとき、姿勢が不安定になったり、あるいは対象
物から予期せぬ反力を受けても、動バランスを維持して
安定な姿勢を保持することができる。さらには、対象物
の運動に影響を与えることなく、動バランスを維持して
安定な姿勢を保持することができる。
明欄において、『移動ロボット』は腕部リンク以外に対
象物反力を受ける移動ロボットも含む意味で使用する。
また、『腕部リンク』に関し、脚部リンクであっても、
作業対象物に作用するものであれば、腕部リンクとみな
すこととする。例えば、昆虫型の6個の脚部リンクを備
えたロボットにおいて、前の2個の脚部リンクを用いて
物を持ち上げる場合には、その脚部リンクは腕部リンク
とみなすこととする。
勢」の両者を含んでも良く、あるいはそのいずれかであ
っても良い意味で使用する。換言すれば、「位置姿勢」
は、必ず「位置」および「姿勢」の両者を含まなければ
ならないものではない。
明の一つの実施の形態に係る移動ロボットの姿勢制御装
置を説明する。
の姿勢制御装置が対象とする脚式移動ロボットの正面
図、図2はその側面図である。尚、移動ロボットとして
は、2個の脚部リンクと2個の腕部リンクを備えたヒュ
ーマノイド型(人間型)の脚式移動ロボットを例にと
る。
下「ロボット」という)1は、複数個(本)、より具体
的には2個(本)の脚部リンク(あるいは脚)2を備え
ると共に、その上方には上体(基体)3が設けられる。
上体3のさらに上方には頭部4が形成されると共に、上
体3の両側には2個(本)の腕部リンク(あるいは腕)
5が連結される。また、図2に示すように、上体3の背
部には格納部6が設けられ、その内部には電子制御ユニ
ット(後述)などが収容される。尚、図1および図2に
示すロボット1は、内部構造を保護するためのカバーで
被覆される。
図である。同図を参照してその内部構造を関節を中心に
説明すると、図示の如く、ロボット1は、左右それぞれ
の脚部リンク2および腕部リンク5に、11個の電動モ
ータで動力化された6個の関節を備える。
部リンク2を鉛直軸(Z軸あるいは鉛直軸)まわりに回
転させる関節を駆動する電動モータ10R,10L(右
側をR、左側をLとする。以下同じ)と、脚部リンク2
をピッチ(進行)方向(Y軸まわり)に揺動させる関節
を駆動する電動モータ12R,12Lと、脚部リンク2
をロール(左右)方向(X軸まわり)に回転させる関節
を駆動する電動モータ14R,14Lを備えると共に、
膝部に脚部リンク2の下部をピッチ方向(Y軸まわり)
に回転させる膝関節を駆動する電動モータ16R,16
Lを備え、さらに足首に脚部リンク2の先端側をピッチ
方向(Y軸まわり)に回転させる足(足首)関節を駆動
する電動モータ18R,18Lとロール方向(X軸まわ
り)に回転させる足(足首)関節を駆動する電動モータ
20R,20Lを備える。
れを駆動する電動モータ(あるいは電動モータに接続さ
れてその動力を伝動するプーリなどの伝動要素)の回転
軸線で示す。尚、脚部リンク2の先端には足部(足平)
22R,22Lが取着される。
節)には電動モータ10R(L),12R(L),14
R(L)がそれらの回転軸線が直交するように配置され
ると共に、足関節(足首関節)には電動モータ18R
(L),20R(L)がそれらの回転軸線が直交するよ
うに配置される。尚、股関節と膝関節は大腿リンク24
R(L)で、膝関節と足関節は下腿リンク26R(L)
で連結される。
結されるが、図3では上体3を上体リンク28として簡
略的に示す。前記したように、上体3には腕部リンク5
が連結される。
成される。即ち、ロボット1は、肩部に、腕部リンク5
をピッチ方向に回転させる関節を駆動する電動モータ3
0R,30Lとロール方向に回転させる関節を駆動する
電動モータ32R,32Lを備えると共に、その自由端
側を回転させる関節を駆動する電動モータ34R,34
Lと、肘部にそれ以降の部位を回転させる関節を駆動す
る電動モータ36R,36Lを備え、さらにその先端側
にそれを回転させる手首関節を駆動する電動モータ38
R,38Lを備える。尚、手首の先にはハンド(エンド
エフェクタ)40R,40Lが取着される。
タ30R(L),32R(L),34R(L)がそれら
の回転軸線が直交するように配置される。尚、肩関節と
肘関節とは上腕リンク42R(L)で、肘関節と手首関
節とは下腕リンク44R(L)で連結される。
6と、それと直交する軸まわりに頭部4を回転させる頭
部揺動機構48を介して上体3に連結される。図3に示
す如く、頭部4の内部には撮像した画像を示す信号を出
力する、CCDカメラからなる視覚センサ50が配置さ
れると共に、レシーバおよびマイクロフォンからなる音
声入出力装置52が配置される。
足について6個の関節を備えて合計12の自由度を与え
られ、6個の関節を適宜な角度で駆動(関節変位)する
ことで、脚部リンク2に所望の動きを与えることがで
き、ロボット1を任意に3次元空間を歩行させることが
できる。また、腕部リンク5も左右の腕について5個の
関節を備えて合計10の自由度を与えられ、5個の関節
を適宜な角度で駆動(関節変位)することで所望の作業
を行わせることができる。さらに、頭部4は2つの自由
度からなる関節あるいは揺動機構を与えられ、これらを
適宜な角度で駆動することにより所望の方向に頭部4を
向けることができる。
にはロータリエンコーダ(図示せず)が設けられ、電動
モータの回転軸の回転を通じて対応する関節の角度、角
速度、および角加速度の少なくともいずれかを示す信号
を出力する。
(以下「力センサ」という)56が取着され、ロボット
に作用する外力の内、接地面からロボット1に作用する
床反力の3方向成分Fx,Fy,Fzとモーメントの3
方向成分Mx,My,Mzを示す信号を出力する。
には同種の力センサ(6軸力センサ)58が取着され、
ロボット1に作用する床反力以外の外力、具体的にはハ
ンド40R(L)に対象物から作用する外力(対象物反
力)の3方向成分Fx,Fy,Fzとモーメントの3方
向成分Mx,My,Mzを示す信号を出力する。
され、鉛直軸に対する上体3の傾き(傾斜角度)とその
角速度の少なくともいずれか、即ち、ロボット1の上体
3の傾斜(姿勢)などの状態量を示す信号を出力する。
ット1の上体3の背中側の格納部6(図2に示す)に収
容されたマイクロコンピュータからなる電子制御ユニッ
トElectric Control Unit 。以下「ECU」という)6
2に送られる(図示の便宜のためロボット1の右側につ
いてのみ図示する)。
であり、マイクロ・コンピュータから構成される。そこ
において傾斜センサ60などの出力はA/D変換器70
でデジタル値に変換され、その出力はバス72を介して
RAM74に送られる。また各アクチュエータにおいて
電動モータに隣接して配置されるエンコーダの出力は、
カウンタ76を介してRAM74内に入力される。
80が設けられており、演算装置80が生成した歩容に
基づいてロボットが安定な姿勢を継続することができる
ように、関節角変位指令(アクチュエータ変位指令)を
算出し、RAM74に送出する。尚、符号84はROM
を示す。
指令と検出された実測値とを読み出し、各関節の駆動に
必要な制御値(操作量)を算出してD/A変換器86と
各関節に設けられたアクチュエータ駆動装置(アンプ)
88を介して各関節を駆動する、変位検出器(エンコー
ダ)付きの脚アクチュエータ90と腕アクチュエータ)
92の電動モータ10R(L),12R(L)などに出
力する。
ボットの姿勢制御装置(主として前記した演算装置80
に相当)の構成および動作を機能的に示すブロック図で
ある。
御する装置であり、後述するように操作量を算出して各
アクチュエータ駆動装置88にアクチュエータ変位指令
を出力し、脚アクチュエータ90と腕アクチュエータ9
2を動作させる。図示の如く、この装置は、目標作業パ
ターン生成器100、脚メイン制御装置102、腕メイ
ン制御装置104、および姿勢安定化メイン制御装置1
06などから構成される。
定条件下においてロボット1の動力学的平衡条件を満足
する歩容を含む、目標作業パターンを生成する。目標作
業パターンは、複数の変数の時間変化パターンによって
表現される。この変数は、運動を表現する変数と環境か
ら受ける反力を表現する変数から構成される。
って各瞬間における姿勢が一義的に決定できる変数の組
である。具体的には、目標足部位置姿勢、目標上体位置
姿勢、目標ハンド位置姿勢から構成される。
は、後述する目標全床反力中心点、目標全床反力および
目標対象物反力から構成される。
る。支持脚座標系は、支持脚足首(足関節を駆動する電
動モータ18,20R(L)の回転軸線の交点)から足
部22R(L)への垂直投影点を原点とする座標系であ
り、図6および図7に示すように、支持脚が接地してい
る床に固定された座標系であり、支持脚足部の前向きを
X軸の向き、左向きをY軸の向き、鉛直方向上向きをZ
軸向きとする座標系である。
環境から受ける外力の内で、各足部床反力を除いた外力
を意味する。具体的には、ハンド40R(L)が作業対
象物(例えばドアの把手)から受ける反力を意味する。
尚、その目標値を「目標対象物反力」と呼ぶ。
目標対象物反力は、後述する目標全床反力中心点まわり
に作用する力とモーメントによって表現される。ちなみ
に、姿勢安定化にとって重要なのは、このうちのモーメ
ント成分である。
置)について説明すると、作業中において各足部が床か
ら受けるべき目標床反力の合力を「広義の目標全床反
力」と呼ぶ。広義の目標全床反力は、作用点とその点に
おける力とモーメントで表現される。目標全床反力中心
点(位置)は、目標全床反力をその点を作用点とする力
とモーメントで表現したとき、X軸まわりモーメント成
分とY軸まわりモーメント成分が零(0)になる床面上
の点である。
力を、目標全床反力中心点を作用点として、力とモーメ
ントで表現した場合の力とモーメントを意味する。目標
作業パターン生成器が出力する目標全床反力は、狭義の
目標全床反力である。
は、狭義の目標全床反力を指す。尚、平坦な床面を歩行
する場合には、目標全床反力中心点は、通常、その床面
上に設定される。
る、M.Vukobratovicによって提唱された
ZMPの概念も、次のように拡張する。即ち、ロボット
1の運動によって生じる慣性力と重力と対象物反力の合
力が、その点を作用点とする力とモーメントで表現され
たとき、X軸まわりモーメント成分とY軸まわりモーメ
ント成分が0になる床面上の点を「ZMP」と呼ぶ。ロ
ボット1が目標の運動を行うときのZMPを「目標ZM
P」と呼び、その位置を「目標ZMP位置」と呼ぶ。
足するということは、目標作業パターンによって生じる
上記の慣性力と重力と対象物反力の合力と目標全床反力
が、打ち消し合って零になることである。従って、動力
学的平衡条件を満足するためには、目標全床反力中心点
(位置)と目標ZMP(位置)が一致しなければならな
い。
する大局安定化制御が働いていない場合、動力学的平衡
条件を満足する歩容を含む目標作業パターンを生成す
る。換言すれば、この場合、目標作業パターン生成器1
00が生成する目標全床反力中心点(位置)は目標ZM
P(位置)に一致する。
標ハンド位置姿勢は、前記した支持脚座標系で表現され
たそれぞれの部位の位置と姿勢を表す。具体的には、上
体3の位置およびその速度は、上体3の重心位置などの
代表点およびその(変位)速度を意味する。更に、上体
3あるいは足部22R(L)の姿勢は、X,Y,Z空間
における向きを意味する。
説明する。脚メイン制御装置102の機能は、概説する
と、脚アクチュエータ(10R(L)などの電動モータ
など)を操作し、目標姿勢に追従する姿勢追従制御と、
目標全床反力と補償全床反力モーメント(後述)の合力
に追従する床反力制御を同時に行う装置である。尚、目
標床反力と補償全床反力モーメントの合力と目標姿勢を
同時に完全に満足させることは不可能であるので、適当
な調整が行われ、長期的には両方を満足するように制御
される。
は、修正目標上体位置姿勢(後述)、目標足部位置姿
勢、目標全床反力中心点(位置)と、その中心点に作用
する目標全床反力と、補償全床反力モーメントを入力
し、目標全床反力中心点(位置)に作用する実全床反力
のモーメント成分が、目標全床反力モーメント(通常は
零)と補償全床反力モーメントの和に一致するように、
目標足部位置姿勢を修正する。修正された目標足部位置
姿勢を「修正目標足部位置姿勢」と呼ぶ。
上体位置姿勢と修正目標足部位置姿勢から決定される目
標脚関節変位に実関節変位が追従するように、アクチュ
エータ変位指令を出力して脚アクチュエータ90を制御
する。
の形態にあっては、前記した特開平10−277969
号公報に記載される技術(以下「複合コンプライアンス
制御」という)を適用する。この複合コンプライアンス
制御を行う装置は、脚メイン制御装置の他に、足部22
R(L)に設けた力センサ56、アクチュエータ駆動装
置88およびアクチュエータ90を包含して構成され
る。
ロック図を示すが、その詳細な説明は上記特開平10−
277969号公報に記載されているので省略する。
尚、図8に示す複合コンプライアンス制御装置において
は、特開平10−277969号公報に記載される複合
コンプライアンス制御装置と比較すると、上体傾斜フィ
ードバック系の姿勢安定化制御(補償全床反力モーメン
トの演算)が省かれている。
化メイン制御装置で行なわれ、そこで求められた補償全
床反力モーメントが入力されるためである。但し、上体
傾斜偏差による床反力の変動を抑制するため、上体傾斜
フィードバック系を追加しても良い。
ライアンス制御に、上記した特許第3269852号公
報に記載される技術(以下、「大局安定化制御」とい
う)を加えることとする。但し、大局安定化制御は上体
の位置や歩幅を修正、より具体的には上記した修正目標
上体位置姿勢をさらに修正するので、後述の腕部リンク
5の制御にあたり、ハンド40R(L)と対象物との相
対位置関係が重要な場合には、修正される上体の位置や
歩幅の影響を考慮する必要がある。また、大局安定化制
御が働くと、目標作業パターンにおける目標ZMPは、
目標全床反力中心点から故意にずらされた点に制御され
る。
標上体位置姿勢がさらに修正されることから、それによ
って最終的に得られる目標上体位置姿勢を、図5に示す
如く、「最終修正目標上体位置姿勢」と呼ぶ。尚、大局
安定化制御を加えることはこの発明において必須ではな
い。即ち、大局安定化制御を加えなくても良く、その場
合は、修正目標上体位置姿勢を最終修正目標上体位置姿
勢として扱えば足りる。
2で修正された最終修正目標足部位置姿勢は、姿勢安定
化メイン制御装置106に入力される。但し、姿勢安定
化メイン制御装置106において、目標足部位置姿勢が
修正されたことによるロボットの重心位置の変化が無視
できるならば、最終修正目標足部位置姿勢を姿勢安定化
メイン制御装置106に入力させる必要はない。
明する。腕メイン制御装置104の機能は、概説する
と、腕アクチュエータ(30R(L)などの電動モータ
など)92を操作し、目標姿勢に追従する姿勢制御と修
正目標対象物反力(後述)に追従する対象物反力制御を
同時に行うことである(ここでの「姿勢」は腕部リンク
5の全関節の変位の組を表す)。目標姿勢と修正目標対
象物反力を同時に完全に満足させることは不可能である
ので、適宜な手法、例えば、従来からマニピュレータの
コンプライアンス制御、いわゆる仮想コンプライアンス
制御として知られるものを用いる(機械工学便覧、エン
ジニアリング編、C4−100頁)。
に説明すると、腕メイン制御系は腕メイン制御装置10
4の他に、前記したハンド40R(L)に設けた力セン
サ58、アクチュエータ駆動装置88および腕アクチュ
エータ92を包含して構成される。
位置姿勢(あるいは修正目標上体位置姿勢)、目標ハン
ド位置姿勢および修正目標対象物反力を入力し、力セン
サ58によって検出される実対象物反力と修正目標対象
物反力の差に応じて目標ハンド位置姿勢を修正する。修
正された目標ハンド位置姿勢を「最終修正目標ハンド位
置姿勢」と呼ぶ。そして、最終修正目標上体位置姿勢
(あるいは修正目標上体位置姿勢)と最終修正目標ハン
ド位置姿勢から決定される目標腕関節変位に実関節変位
が追従するように腕アクチュエータ92を制御する。
ついて説明する。姿勢安定化メイン制御装置106は、
動バランスあるいは姿勢バランスをとるために動力学的
平衡条件を考慮しながら制御を行う。そこで、先ず、装
置の概要を説明する前に、動力学的平衡条件について以
下に説明する。
する最も大きな要因は、目標全床反力中心点(即ち、目
標ZMP)まわりでの実際の力のモーメントのバランス
である。
モーメントを以下に列挙する。 1)慣性力モーメント 2)重力モーメント 3)全床反力モーメント 4)対象物反力モーメント
まわりのロボットの角運動量の変化によって生じるモー
メントである。この値はオイラー方程式によって求めら
れ、具体的には目標全床反力中心点まわりのロボット1
の角運動量の1階微分値の符号を反転させたものであ
る。目標作業パターンの慣性力モーメントを「目標慣性
力モーメント」と呼ぶ。実際のロボット1が作業してい
るときの慣性力モーメントを「実慣性力モーメント」と
呼ぶ。重力モーメントは、ロボット1の重心に作用する
重力が目標全床反力中心点まわりに作用するモーメント
である。
る床反力の合力を「全床反力」と呼ぶ。全床反力モーメ
ントは、全床反力が目標全床反力中心点まわりに作用す
るモーメントである。
物から受ける反力を「対象物反力」と呼ぶ。対象物反力
モーメントは、対象物反力が目標全床反力中心点まわり
に作用するモーメントである。
ロボット1が目標作業パターンの運動パターンに忠実に
追従していたと仮定する。このときには実慣性力モーメ
ントは目標慣性力モーメントに一致し、実重力モーメン
トは目標重力モーメントに一致する。
より、実慣性力モーメントと実重力モーメントと実全床
反力モーメントと実対象物反力モーメントの和は、必ず
零である。
ンの運動パターン通りに動くためには、目標慣性力モー
メントと目標重力モーメントと実全床反力モーメントと
実対象物反力モーメントの和は、零でなければならな
い。これを条件1とする。
トが目標対象物反力モーメントと一致せず、差が生じ
る。例えば、図9に示すように、台車(対象物)108
を押す作業を行っているとき、台車108の実際のころ
がり摩擦力の絶対値が想定していた値よりも突然小さく
なってしまった状況である。
力中心点のY軸まわりに作用するモーメントは、目標対
象物反力が目標全床反力中心点のY軸まわりに作用する
モーメントよりも正の向きに大きくなって条件1を満た
さなくなり、ロボット1は前傾する。尚、モーメントの
向きは、座標軸の正方向に向いてロボット1を時計まわ
りに回転させるモーメントを正とする。
せるためには、先に提案した技術では次の2通りの手法
が考えられた。
床反力モーメントを変える。具体的には、目標全床反力
中心点まわりに負の床反力モーメントを発生するように
脚メイン制御装置102に指令し、脚メイン制御装置1
02においてアクチュエータ変位指令を行って足部22
R(L)のつまさきを下げ、実全床反力モーメントを負
の向きに増加させる、即ち、脚部リンク2で踏み止めさ
せるような姿勢をとらせる。
作業パターンの運動パターンを修正することにより、目
標慣性力モーメントと目標重力モーメントを修正する。
具体的には、目標上体位置および/または姿勢を修正す
ることにより、目標慣性力モーメントと目標重力モーメ
ントを修正する。即ち、上体3を前後方向に移動させ
る。
ーメントを変えるだけで脚メイン制御装置によってすば
やく変化させることができるので、手法1は短期的な対
応に向いている。但し、実全床反力モーメントを大きく
変化させると、足部22R(L)の接地圧分布が偏って
接地感が減少し、最悪の場合には足部22R(L)の一
部が浮いてしまう。従って、長期的には、なるべく元の
目標全床反力モーメントに戻すべきである。
モーメントに戻すためには、重心位置をずらし(この場
合は後方にずらし)、目標重力モーメントによって上記
偏差を打ち消すように、手法2によって目標作業パター
ンの運動パターンを修正すれば良い。但し、重心位置を
急激にずらすと、過大な目標慣性力モーメントが逆向き
に発生するので、ゆっくりと重心位置をずらす必要があ
る。従って、手法2は長期的な対応に向いている。
た特開平10−230485号公報記載の技術は、これ
ら両方の手法を同時に行い、短期的には手法1を主に使
うことによって速い変化に対応し、長期的には手法2を
主に使うことによって実全床反力モーメントを元の目標
全床反力モーメントに収束させるものであった。
においては、さらに、実対象物反力の成分の内の拘束方
向成分を意図的に変化させる手法(手法3)を追加する
ようにした。
ず、理解の便宜のため、1個(本)の腕部リンクを備え
た脚式移動ロボットが、その腕部リンクの先端に配置さ
れたハンドを用いてある対象物に対して作業を行ってい
る場合を考える。このとき、ハンドは対象物から拘束力
を受け、拘束運動をするものとする。
ハンド以外のものによって支持されないならば、ハンド
の運動には3次元の平行移動の自由度と3次元の回転の
自由度の合計6つの自由度があり、対象物からは何等拘
束力を受けない。
らも支持されるならば、場合によっては、ハンドの運動
はハンド以外の支持されるものによって拘束力を受け
る。具体的には、ハンドが対象物、例えば静止した剛性
の高い表面に接触すると、ハンドはその面を貫いて動く
ことはできず、故に自然な位置の拘束が生じる、換言す
れば、その面から拘束力を受けることとなる。この発明
に係る姿勢制御装置は、その拘束力に着目し、ロボット
の姿勢安定化を図る制御を行うようにした。
座標系、各種空間や方向を以下のように定義する。尚、
以下に記載する変数は、特に、ことわりがない限り、支
持脚座標系で表されるものとする。
よびZ方向への速度成分をそれぞれVx,Vy,Vzと
する。同じ瞬間におけるX,YおよびZ軸まわりの回転
速度成分をそれぞれωx,ωy,ωzとする。回転は、
座標軸の正の方向に向いて時計まわりに回転する向きを
正とする。
ル(Vx,Vy,Vz,ωx,ωy,ωz)で表わすこ
ととし、これを「ハンド速度ベクトル」と呼ぶ。
x,ωy,ωzを要素とするハンド速度ベクトル(V
x,Vy,Vz,ωx,ωy,ωz)の集合を「全運動
速度空間」と呼ぶ。全運動速度空間は、いわゆるベクト
ル空間になっている。
ベクトル全ての集合を、この瞬間の「拘束速度領域」と
呼ぶ。ここでいう実現不可能なハンド速度ベクトルは、
幾何学的な観点から判定される。つまり、この瞬間にハ
ンドと対象物の間の干渉により、ほとんどハンドの変位
を生じることなく応力が発生するハンド速度ベクトル
を、実現不可能なハンド速度ベクトルと定義する。この
とき、腕アクチュエータや腕の関節配置などに因る制約
は考えない。
意の速度で移動可能であることを前提とする。また、こ
のとき、ハンドおよび対象物が十分な剛性を備えていれ
ば、剛体とみなす。従って、あるハンド速度ベクトル
(Vx1,Vy1,Vz1,ωx1,ωy1,ωz1)
が拘束速度領域の要素ならば、任意の正の実数kを乗じ
た(kVx1,kVy1,kVz1,kωx1,kωy
1,kωz1)も拘束速度領域の要素とする。尚、便宜
上、零ベクトル(0,0,0,0,0,0)も拘束速度
領域の要素とする。
拘束条件下での移動可能な速度領域と混同しないことで
ある。また、拘束速度領域は、いわゆるベクトル空間と
は限らない。例えば、床面に載置された十分に硬い対象
物をハンドで把持した場合、ハンドを真下(床面の法線
方向下方)に下げることはできないが、逆方向(法線方
向上方)には移動することができる。
は拘束速度領域の要素であるが、その逆方向は拘束速度
領域の要素になっていない。拘束速度領域がベクトル空
間であれば、拘束速度領域の任意の要素(Vx1,Vy
1,Vz1,ωx1,ωy1,ωz1)に対し、逆ベク
トル(−Vx1,−Vy1,−Vz1,−ωx1,−ω
y1,−ωz1)も拘束速度領域の要素でなければなら
ないが、この場合の拘束速度領域は、この条件を満足し
ないので、ベクトル空間ではない。
る。即ち、拘束速度領域の任意のベクトル(Vx1,V
y1,Vz1,ωx1,ωy1,ωz1)と逆ベクトル
(−Vx1,−Vy1,−Vz1,−ωx1,−ωy
1,−ωz1)の集合を、拘束速度空間と定義する。通
常は、拘束速度空間は、全運動速度空間の部分ベクトル
空間になっている。
速度領域の任意のベクトルとの内積が零である(即ちそ
のベクトルと直交する)全てのベクトルの集合を「自由
速度空間」と呼ぶ。
内のベクトルを次のように定義する。拘束速度空間の要
素である方向ベクトルを「拘束方向ベクトル」と呼び、
単に拘束方向というときは、任意の拘束方向ベクトルの
向きを指す。また、自由速度空間の要素である方向ベク
トルを「自由方向ベクトル」と呼び、単に自由方向とい
うときは、任意の自由方向ベクトルの向きを指す。
して拘束速度空間を示す。
ち上げている場合
尚、便宜上、拘束速度空間は零ベクトルだけからなる空
間とする。自由速度空間は全運動速度空間に一致する。
ャスタ輪が付いた台車108をハンド40Rで把持して
押す場合
z,ωx,ωyを持つハンド速度ベクトル(0,0,V
z,ωx,ωy,0)の集合である。
で把手110を把持しながら、ヒンジ112が付いたド
ア114を開閉する場合
以外の運動は拘束される。ヒンジ軸をZ軸とし、この瞬
間のハンドのX座標を0、Y座標を−r(rはドア11
4の回転半径、より詳しくは把手110の回転半径)と
すると、自由速度空間は、任意の実数Vxを持つハンド
の速度ベクトル(Vx,0,0,0,0,Vx/r)の
集合である。
Vy,Vz,ωx,ωyを持つハンド速度ベクトル(V
x,Vy,Vz,ωx,ωy,−r*Vx)の集合であ
る。
て、円柱状の手摺り120にハンド40Rを滑らせなが
ら階段122を昇降する場合
動と、手摺り120の軸まわりの回転以外の運動は拘束
される。手摺り120の軸が式x=z+c,y=−d
(cおよびdは定数)で表わされるとすると、自由速度
空間は、任意の実数Vxおよびωxを持つハンド速度ベ
クトル(Vx,0,Vx,ωx,0,ωx)である。ま
た、拘束速度空間は、任意の実数Vx,Vy,ωx,ω
yを持つハンド速度ベクトル(Vx,Vy,−Vx,ω
x,ωy,−ωx)の集合である。尚、理解の便宜のた
め、手摺り120とX軸のなす角度を45度とする。
り120をハンド40Rでしっかり把持して階段122
を昇降する場合
きには運動の自由度はなく、全ての運動が拘束される。
従って、拘束速度空間は、全運動速度空間に一致する。
象物に対してハンドの拘束方向に力を作用させたとき、
対象物にはハンド以外の支持するものからその力を打ち
消す拘束力しか発生せず、自由方向に実質的に摩擦力な
どが発生しないならば、ハンドおよび対象物の運動は変
化しない。
0Rによってドア114に上向き(Z軸上方)の力を作
用させても、ヒンジ112の摩擦が実質的に零であるな
らば、ヒンジ112からドア114に前記上向きの力を
打ち消す力だけが作用するので、ドア114の回転運動
に何の影響も与えない。
質を利用することで、対象物の運動制御に干渉せずに、
ロボットの姿勢を安定化しようとするものである。即
ち、対象物からハンドに作用する力の拘束方向成分を制
御することにより、対象物の運動に影響を与えることな
く、ロボットの動バランスを維持したり、傾いた姿勢を
復元するように構成した。
いて説明する。前述した図10に示すように、ロボット
1がドア114の前に立ってその開閉作業を行っている
とき、ロボット1が前に倒れそうになった状況を考え
る。ロボット1の姿勢を復元させるための一つの方法
は、ドア114を前に押すことである。これによってロ
ボット1はドア114から反力を受け、姿勢が復元す
る。
4を押してしまうと、ドア114は加速され、その運動
は望みの開閉運動からずれてしまうので、あまり大きな
復元力を発生させることはできない。特に、ロボット1
の質量に較べてドアの質量が非常に小さい場合には、ほ
とんど復元力を発生させることができない。また、ドア
114の運動が所期の予定から変更されるため、作業遂
行上望ましくない。
一つの方法は、ドア114を下に押すことである。これ
によってロボット1はドア114から反力を受け、姿勢
が復元する。さらに、拘束方向に押しているだけなの
で、前述のようにドアの運動は変わらない。
を用いるものであるため、前記作業2、作業3および作
業4のようにハンドの運動に何らかの拘束方向が存在す
ることが、この発明を適用するための必要条件になる。
従って、前記作業1に対しては適用することができな
い。
筒座標系や極座標系などでも良い。通常の座標系なら何
を用いてもそれらの間で変換も可能であると共に、その
瞬間における拘束速度空間が指す空間に相違はないため
である。作業に応じて座標系を適宜設定することで、作
業中、拘束速度空間を一定(普遍)にすることができる
場合もある。例えば、前記作業3では、円筒座標系を用
いてヒンジ112の軸を円筒座標系の軸に一致させるこ
とで、各瞬間における拘束速度空間を一定に保つことが
できる。
が作業を行う場合について考える。この場合、各種空間
や方向の定義を、次のように拡張する。
までの識別番号をつけ、それぞれを「第jハンド」(j
=1,2,・・・,n)と呼んで区別する
ととし、第jハンドのある瞬間におけるX,YおよびZ
方向への速度成分を、それぞれVxj,Vyj,Vzj
とする。また、同じ瞬間におけるX,YおよびZ軸まわ
りの回転速度成分を、それぞれωxj,ωyj,ωzj
とする。
1,ωx1,ωy1,ωz1,Vx2,Vy2,Vz
2,ωx2,ωy2,ωz2,・・・,Vxn,Vy
n,Vzn,ωxn,ωyn,ωzn)を「全ハンド速
度ベクトル」と呼ぶ。このベクトルは、第1ハンドから
第nハンドまでのハンド速度ベクトルの各要素を順に並
べたものである。尚、このベクトル表現の代りに、j行
目が第jハンドの速度ベクトルになっている、n行6列
の行列で表わしても良い。
ンド速度ベクトル」と呼ぶ。また、任意の実数を要素と
するハンド速度ベクトルの集合を、改めて「全運動速度
空間」と呼ぶ。この全運動速度空間は、6*n次元ベク
トル空間になっている。
度ベクトル全ての集合を、改めてこの瞬間の「拘束速度
領域」と呼ぶ。ここでいう実現不可能なハンド速度ベク
トルは、幾何学的な観点から判定される。つまりこの瞬
間に、ハンドと対象物の間またはハンドと他のハンドの
間の干渉により、ほとんどハンドの変位を生じることな
く応力が発生するハンド速度ベクトルを実現不可能なハ
ンド速度ベクトルと定義する。
ンク5の関節配置などに関する制約は考えない。つま
り、ハンド自身は、対象物がなければ任意の速度で移動
可能であることを前提とする。また、ハンドおよび対象
物が十分な剛性を備えていれば、剛体とみなす。従っ
て、ある速度ベクトルが拘束速度領域の要素ベクトルな
らば、そのベクトルの全要素をk倍(kは任意の正の実
数)したベクトルも、拘束速度領域の要素ベクトルとす
る。尚、便宜上、零ベクトルも拘束速度領域の要素ベク
トルとする。
その逆ベクトル(大きさが同じで向きが逆のベクトル)
からなる集合を改めて「拘束速度空間」と定義する。通
常は、拘束速度空間は、全運動速度空間の部分ベクトル
空間になっている。
内積が零である(即ち、そのベクトルと直交する)全て
の全運動速度空間内のベクトルの集合を、改めて「自由
速度空間」と呼ぶ。
内のベクトルを、以下のように定義する。拘束速度空間
の要素である方向ベクトルを、改めて「拘束方向ベクト
ル」と呼び、単に拘束方向というときは、任意の拘束方
向ベクトルの向きを指す。また、自由速度空間の要素で
ある方向ベクトルを、改めて「自由方向ベクトル」と呼
び、単に自由方向というときは、任意の自由方向ベクト
ルの向きを指す。
に関する定義を、上記の如く拡張する。これにより、複
数個(本)の腕を備えるロボットが複数個の腕を使って
作業を行う場合でも、全ハンドを拘束方向に動かしてハ
ンドに対象物から反作用(拘束力)を受けさせること
で、全ての対象物の運動に影響を与えることなく、ロボ
ットの動バランスを維持したり、傾いた姿勢を復元する
ことができる。
す。先ず、図12に示すように、対象物が、高さh、前
方bに存在するZ軸まわりの回転だけができる、半径r
の円形なホイール130であって、このホイール130
を第1ハンドと第2ハンドの計2個のハンドで把持して
回す作業を例として挙げる。
r,h)であり、第2ハンドの座標が(b,r,h)で
あるとする。この瞬間の自由速度空間は、任意の実数ω
z1を持つハンド速度ベクトル(r*ωz1,0,0,
0,0,ωz1,−r*ωz1,0,0,0,0,ωz
1)の集合である。これは、対象物の軸まわりに2個の
ハンドを同じ角度だけ回転させる運動を意味する。
x1,Vy1,Vz1,ωx1,ωy1,ωz1,Vx
2,Vy2,Vz2,ωx2,ωy2を持つハンド速度
ベクトル(Vx1,Vy1,Vz1,ωx1,ωy1,
ωz1,Vx2,Vy2,Vz2,ωx2,ωy2,−
r*Vx1−ωz1+r*Vx2)の集合である。例え
ば、ハンド速度ベクトル(Vx1,0,0,0,0,
0,Vx1,0,0,0,0,0)は、拘束速度空間の
速度ベクトルである。これは、ホイール130の軸の摩
擦が零であるならば、両ハンドをX方向に同じ力で押し
ても、ホイール130の回転運動に影響を与えないこと
を意味する。
に示すように、第1ハンドで固定物(例えば柱)140
を把持しながら、第2ハンドでヒンジ142の付いたド
ア144を開閉する作業を例に挙げる。
と平行であり、ヒンジ軸142ZのX座標がb、ヒンジ
軸のY座標がr、この瞬間の第2ハンドの座標を(b,
0,h)とする。第1ハンドの座標を(b,−c,h)
とすると、自由速度空間は、任意の実数ωz2を持つハ
ンド速度ベクトル(0,0,0,0,0,0,r*ωz
2,0,0,0,0,ωz2)の集合である。
クトル集合なので、任意の実数Vx1,Vy1,Vz
1,ωx1,ωy1,ωz1,Vx2,Vy2,Vz
2,ωx2,ωy2を持つ、ハンド速度ベクトル(Vx
1,Vy1,Vz1,ωx1,ωy1,ωz1,Vx
2,Vy2,Vz2,ωx2,ωy2,−r*Vx2)
の集合となる。
y1,Vz1,ωx1,ωy1,ωz1,0,0,0,
0,0,0)は、拘束速度空間の速度ベクトルである。
これは、第1ハンドで固定物140をどのように押して
も、ドア144の回転運動に影響を与えないことを意味
する。
対して拘束方向に力を作用させても、対象物にはハンド
以外の支持するものからその力を打ち消す拘束力しか発
生せず、よって自由方向に摩擦力などを発生しないなら
ば、ハンドおよび対象物の運動は変化しない。
により、複数のハンドによる作業においても、1個のハ
ンドの場合と同じ原理で、対象物の運動制御に干渉せず
に、ロボットの姿勢を安定にすることができる。即ち、
複数のハンドによる作業においても、対象物からハンド
に作用する力の拘束方向成分を制御することにより、対
象物の運動に影響を与えることなく、ロボットの動バラ
ンスを維持したり、傾いた姿勢を復元することができ
る。
実施の形態のように2個になると、拘束速度空間の次元
がハンドが1個の場合よりも高くなるので、この中から
ロボットの姿勢安定化に効果の高い部分ベクトル空間を
選び出し、その要素ベクトルの方向に拘束力を発生させ
ることにより、ハンドが1個の場合よりも高い効果を得
ることができる。
制御に干渉しないようにロボットの姿勢を復元させるた
めには、1個の腕の場合ではドアに上下方向の力を作用
させるのが最も効果的であるが、2個の腕の例では、ド
アを把持していないハンドで固定物を押すようにするこ
とで、より効果的に動バランスを維持したり、傾いた姿
勢を復元することができる。
定化メイン制御装置106の説明に戻る。
した3つの手法、即ち、 1)実全床反力モーメントを修正する 2)目標慣性力モーメントと目標重力モーメントを修正
する 3)実対象物反力の成分の内の拘束方向成分を修正する の3つの手法を併用するため、図14に示すように構成
される。
は、姿勢安定化用補償モーメント算出器200、対象物
反力平衡制御装置202、対象物反力モーメント偏差分
離器204、修正目標対象物反力算出器206、および
各種の分配器(具体的には、対象物反力平衡制御用分配
器208と補償モーメント分配器210)とから構成さ
れる。
全て、制御周期毎(例えば100msec毎)に演算が
行われる。ECU62の性能上、同時に複数の演算処理
ができない場合には、図14の矢印上流側から順に演算
処理を実行すれば良い。
処理される変数およびそれらの構成要素について説明
(定義)する。
装置は、対象物反力の拘束方向成分を制御することによ
り、対象物の運動に影響を与えることなく、ロボット1
の動バランスを維持したり、傾いた姿勢を復元する制御
装置に関する。しかしながら、対象物反力の全ての拘束
方向成分が、ロボット1の動バランスを維持したり傾い
た姿勢を復元する効果を持っているとは限らない。
作業目的や対象物の性質上、変更すべきではない場合も
ある。つまり、対象物反力の拘束方向成分の内で、ロボ
ット1の動バランスを維持したり、傾いた姿勢を復元す
るために利用すべき成分を、復元する効果の度合、作業
目的および対象物の性質を考慮して適宜選定すべきであ
る。
る。図24を参照して説明すると、先ず、全運動速度空
間の中で、ロボット1の動バランスを維持したり、傾い
た姿勢を復元するために利用すべき全ての拘束方向によ
って張られるベクトル空間を「操作空間」と呼ぶ。操作
空間は、拘束速度空間の部分ベクトル空間となってい
る。また、操作空間の任意の方向ベクトルを「対象物反
力操作方向」あるいは単に「操作方向」と呼ぶ。図示の
如く、操作空間は、拘束速度空間から作業空間を除い
た、白地の部分に相当する。
の対象物反力操作方向との内積が零である(即ち、その
方向と直交する)ものを「対象物反力非操作方向」ある
いは単に「非操作方向」と呼び、全ての非操作方向が張
る空間を「非操作空間」と呼ぶ。
分ベクトル空間となっており、自由速度空間は、非操作
空間の部分ベクトル空間となっている。また、操作空間
の任意のベクトルと非操作空間の任意のベクトルは直交
する。
コンプライアンス定数などと同じく、制御パラメータの
一種と考えられる。この値は、一般には一定ではなく、
作業が進行するにつれて変化する性質のものである。こ
の値をどのように決定すべきかも重要なことであるが、
この発明に係る姿勢制御装置の本質ではないので、この
実施の形態では説明の便宜上、操作方向はあらかじめ作
業目的、作業パターンおよび対象物の性質に基づいて決
定されているものとする(操作方向などは作業中に決定
しても良い)。
置106の上記した構成要素について詳説する。
は、ロボット1の姿勢傾斜偏差、より具体的には実上体
傾斜と目標上体傾斜の差である上体傾斜偏差を零に収束
させるための姿勢安定化用補償モーメント(実全床反力
モーメントの修正に使用するモーメント)を算出する装
置であり、上記手法1)を達成するための構成である。
この装置は、少なくとも、傾斜センサ60によって検出
された上体傾斜角度と目標作業パターン生成器100が
生成した目標上体傾斜角度の偏差に応じ、その偏差を減
少するように姿勢安定化用補償モーメントを算出する。
出器200を最も単純な構成で示す。図示の例では、入
出力共に1次元のスカラ量のように示されているが、実
際には、X方向成分とY方向成分があり、それぞれに対
し、図示の処理が行われる。但し、Z方向成分は、姿勢
安定性に関係がないので無視することとする。
上体傾斜の差である上体傾斜偏差を求める。次に、姿勢
安定化制御則部200aにおいて上体傾斜偏差の微分値
を求め、最後に、式1に従って姿勢安定化用補償モーメ
ントを算出する。 姿勢安定化用補償モーメント=−kp*上体傾斜偏差 −kd*上体傾斜偏差の微分値 ・・・式1 ここで、kpとkdは制御ゲインである。尚、これ以外
にも、Hインフィニティ制御などを用いても良い。
力平衡制御装置202は、検出はできるが予期できない
対象物反力を受けたとき、その対象物反力を考慮しなが
ら目標上体位置姿勢を修正することにより、目標作業パ
ターン生成器100で生成された目標慣性力モーメント
と目標重力モーメントを修正して動バランスを維持する
制御を行なう装置であり、上記手法2)を達成させるた
めの構成である。
4は、対象物反力を姿勢安定化に利用する拘束方向の成
分とそれ以外の成分に分離する装置であり、修正目標対
象物反力算出器206は対象物反力に姿勢安定化に必要
な目標拘束力を加えた目標対象物反力を算出する装置で
ある。
配器(対象物反力平衡制御用分配器208と補償モーメ
ント分配器210)を加えたものが、上記手法3)を達
成するための構成である。尚、それら装置の詳細は後述
する。
04を説明すると、ハンド40R(L)の力センサ58
で検出される実ハンド力は、ハンド基準点に作用する力
と力のモーメントを、ハンド内にローカルに設定された
座標系で表現したものとする。ここで、ハンド基準点
は、ハンド40R(L)の位置を表わすためのハンド内
の基準点である。また、ハンド内にローカルに設定され
た前記座標系の原点は、ハンド基準点に設定する。
ローカルに設定された前記座標系を支持脚座標系から見
たときの原点位置と座標系の向きを表す。より具体的に
は、前記原点位置はベクトルで、前記座標系の向きは3
行3列マトリックスで表現される。あるいは、ロボット
工学で良く用いられる表現である、前記原点位置と前記
座標系の向きをまとめて表現する同次行列を用いても良
い。
勢は、前記した腕メイン制御装置104によってアクチ
ュエータ変位指令を介して駆動されることにより、ほぼ
最終修正目標ハンド位置姿勢にあると考えられるので、
ハンド内にローカルに設定された前記座標系は、最終修
正目標ハンド位置姿勢を基準とした座標系であると考え
ても良い。
204の構成を示すブロック図である。同図を参照して
説明すると、対象物反力モーメント偏差分離器204は
実対象物反力モーメント成分分離器204aを備え、そ
の分離器204aは支持脚座標系から見た最終修正目標
ハンド姿勢を入力し、実ハンド力を支持脚座標系の値に
変換する。支持脚座標系に変換された実ハンド力も、ハ
ンド基準点に作用する力と力のモーメントで表現され
る。尚、支持脚座標系に変換された実ハンド力の作用点
を全床反力中心点に変換したものが、実対象物反力であ
る。即ち、これらは表現は異なるが、同一のものを意味
している。
換された実ハンド力は、各ハンドの実ハンド力の各成分
を順番に並べた1つのベクトルで表現される。即ち、全
運動速度空間でのベクトルで表現される。より具体的に
は、(F1x,F1y,F1z,M1x,M1y,M1
z,F2x,F2y,F2z,M2x,M2y,M2
z,・・・,Mnz)の形で表現される。但し、ここ
で、Fjx, Fjy, Fjzは第jハンドの基準点に作
用する力のx,y,z成分、Mjx,Mjy, Mjzは
第jハンドの基準点に作用する力のモーメントのx,
y,z成分を表わす。
変換した実ハンド力を、あらかじめ選定された操作方向
に従って操作方向成分と非操作方向成分に分離する。
尚、ここで注意すべき点は、各成分は、前述したように
全運動速度空間のベクトルであって、現実の3次元空間
のベクトルではないことである。
な演算によって分離する。先ず、操作空間がm次元であ
ったとすると、操作空間の直交基底ベクトルをA1,A
2,・・・,Amとする。また、非操作空間の直交基底
ベクトルをB1,B2,・・・,Beとする。ここで、
mとeの和はハンドの個数の6倍である。
ド力のベクトルを、Fと記述する。また、実ハンド力の
操作方向成分をFa、実ハンド力の非操作方向成分をF
bと記述する。これらのベクトルは全運動速度空間のベ
クトルである。
力の非操作方向成分Fbは、式2によって求められる。 Fa=(A1+A2+・・・+Am)*F Fb=(B1+B2+・・・+Be)*F ・・・式2
ンド位置姿勢および実ハンド力の操作方向成分Faに基
づき、実ハンド力の操作方向成分Faの全ての成分が、
目標全床反力中心点まわりに作用する力の和を求める。
これを「目標全床反力中心点まわりの実対象物反力操作
方向成分和」と呼ぶ。この力は、3次元空間での力と力
のモーメントで表現される。座標系としては支持脚座標
系を用いる。また目標全床反力中心点まわりの実対象物
反力操作方向成分の内のモーメント成分を「目標全床反
力中心点まわりの実対象物反力モーメント操作方向成分
和」と呼ぶ。
ンド位置姿勢および実ハンド力の非操作方向成分Fbに
基づき、実ハンド力の非操作方向成分Fbの全ての成分
が、目標全床反力中心点に作用する力の和を求める。こ
れを「目標全床反力中心点まわりの実対象物反力非操作
方向成分和」と呼ぶ。この力も、3次元空間での力と力
のモーメントで表現される。座標系としては支持脚座標
系を用いる。また目標全床反力中心点まわりの実対象物
反力非操作方向成分の内のモーメント成分を「目標全床
反力中心点まわりの実対象物反力モーメント非操作方向
成分和」と呼ぶ。
04は目標ハンド位置作用点変換器204bを備え、そ
の変換器204bも、上記のような処理(演算)を目標
対象物反力に対しても行う。目標対象物反力も、実ハン
ド力と同様、全運動速度空間のベクトルである。具体的
には先ず、目標対象物反力は目標全床反力中心点を作用
点として表現されているので、変換器204bは、この
作用点を一旦、目標ハンド位置(目標ハンドの基準点位
置)を作用点とする力と力のモーメントに変換する。こ
れを「目標ハンド位置を作用点とする目標対象物反力」
と呼ぶ。
204は目標対象物反力モーメント成分分離器204c
を備え、分離器204cは、上記と同様の処理によって
操作方向成分と非操作方向成分に分離する。これらをそ
れぞれ「目標ハンド位置を作用点とする目標対象物反力
の操作方向成分」および「目標ハンド位置を作用点とす
る目標対象物反力の非操作方向成分」と呼ぶ。
を作用点とする目標対象物反力の操作方向成分および目
標ハンド位置(目標ハンドの基準点位置)に基づき、目
標対象物反力の操作方向成分の全ての成分が、目標全床
反力中心点に作用する力の和を求める。これを「目標全
床反力中心点まわりの目標対象物反力操作方向成分和」
と呼ぶ。この力は、3次元空間での力と力のモーメント
で表現される。座標系としては支持脚座標系を用いる。
また、目標全床反力中心点まわりの目標対象物反力操作
方向成分の内のモーメント成分を「目標全床反力中心点
まわりの目標対象物反力モーメント操作方向成分和」と
呼ぶ。
を作用点とする目標対象物反力の非操作方向成分および
目標ハンド位置(目標ハンドの基準点位置)に基づき、
目標対象物反力の非操作方向成分の全ての成分が、目標
全床反力中心点に作用する力の和を求める。これを「目
標全床反力中心点まわりの目標対象物反力非操作方向成
分和」と呼ぶ。この力も、3次元空間での力と力のモー
メントで表現される。座標系としては支持脚座標系を用
いる。また、目標全床反力中心点まわりの目標対象物反
力非操作方向成分の内のモーメント成分を「目標全床反
力中心点まわりの目標対象物反力モーメント非操作方向
成分和」と呼ぶ。
て得られた目標全床反力中心点まわりの実対象物反力モ
ーメント操作方向成分和から目標全床反力中心点まわり
の目標対象物反力モーメント操作方向成分和を減じるこ
とにより、目標全床反力中心点まわりの対象物反力偏差
モーメント操作方向成分和を得る。
反力中心点まわりの実対象物反力モーメント非操作方向
成分和から目標全床反力中心点まわりの目標対象物反力
モーメント非操作方向成分和を減じることにより、目標
全床反力中心点まわりの対象物反力偏差モーメント非操
作方向成分和を得る。
力偏差の内のモーメント成分を除く成分は、ロボット1
の姿勢にあまり関与しないので、この実施の形態では無
視することとした。また、最終修正目標ハンド位置姿勢
を用いる代り、脚部リンク2および腕部リンク5の実関
節角を用いてキネマティクス演算によって算出される実
ハンド位置姿勢を用いても良い。
得た目標全床反力中心点まわりの対象物反力偏差モーメ
ント操作方向成分和は、後に述べるように補償全床反力
モーメントの算出に使用される。他方、目標全床反力中
心点まわりの対象物反力偏差モーメント非操作方向成分
和は、対象物反力平衡制御用分配器208に入力され
る。
図17を参照して説明すると、分配器208は関数20
8a,208bを備え、対象物反力平衡制御用分配器2
08は、それら関数208a,208bに目標全床反力
中心点まわりの対象物反力偏差モーメント非操作方向成
分和を入力し、対象物反力平衡制御で平衡をとるべき対
象物反力偏差モーメント和と、対象物反力平衡制御以外
で平衡をとるべき対象物反力偏差モーメント和を出力さ
せる。
2)を達成するために対象物反力平衡制御装置202で
行なわれる制御であり、概説すると、前記したように、
上体位置をずらすことによって重力モーメントを発生さ
せ、よって対象物反力偏差モーメント和を打ち消す制御
である。
次元のスカラ量のように示されているが、実際には、X
方向成分とY方向成分があり、それぞれに対して図示の
処理が行われる。但し、Z方向成分は、姿勢安定性に関
係がないので無視することとする。
とるべき対象物反力偏差モーメント和を出力する関数2
08aとしては、上下限リミッタ特性(飽和特性)を持
った関数を用いると共に、対象物反力平衡制御以外で平
衡をとるべき対象物反力偏差モーメント和を出力する関
数208bとしては不感帯特性を持った関数を用いる。
ランスを維持するために、目標全床反力中心点まわりの
対象物反力偏差モーメント非操作方向成分和の絶対値が
ある設定値以下のとき、そのモーメントを対象物反力平
衡制御によって打ち消し、そのモーメントが設定値を越
えたとき、超えた分を主にハンドの拘束方向に対象物反
力を発生させて打ち消すように制御系が働く。即ち、前
記上下限リミッタ特性を持たすことにより、上体位置の
ずらし量に制限を持たせ、幾何学的に無理な姿勢になる
のを防止することができる。
8a,208bには、図示例以外の関数を用いても良
い。例えば、図18に208c,208dで示すような
曲線でも良い。図17および図18のいずれにしても、
ロボット1の特性、対象物の特性および作業内容に応
じ、関数を選定すべきである。
出力和は、基本的には入力に一致させるべきであるが、
厳密に一致させる必要はない。特に、脚コンプライアン
ス制御や腕コンプライアンス制御は、目標値の絶対値が
大きいと、発生する力が目標に対して小さめになりやす
い傾向があるので、これを補正する意味で、入力の絶対
値が大きい領域では、関数出力の和の絶対値を入力の絶
対値より大きくした方が良い場合もある。また、X方向
成分とY方向成分を独立して分配するのでなく、X方向
成分とY方向成分の両方を入力とした2入力関数を用い
て、各出力を決定しても良い。
御用分配器208でかくして分配された、対象物反力平
衡制御以外で平衡をとるべき対象物反力偏差モーメント
和は、さらに乗算点214で−1倍されて極性が反転さ
せられ、対象物反力平衡制御以外の手段に要求される対
象物反力補償モーメントとして補償モーメント分配器2
10に入力される。また、対象物反力平衡制御で平衡を
とるべき対象物反力偏差モーメント和は、対象物反力平
衡制御装置202に入力される。
装置202について詳細に説明する。
反力平衡制御装置202は、上述したように目標上体位
置姿勢などを入力し、対象物反力平衡制御で平衡をとる
べき対象物反力偏差モーメント和に動力学的に平衡する
ように目標上体位置姿勢と目標全床反力を修正し、修正
目標上体位置姿勢と対象物反力平衡制御用補償全床反力
モーメントを出力する。
体位置姿勢をずらすことによって発生する重力モーメン
トが、対象物反力平衡制御で平衡をとるべき対象物反力
偏差モーメント和に動力学的に平衡し、目標全床反力の
修正量が零に戻る特徴を持つ。
2は上記手法2)を解決するための構成であり、本出願
人が既に特開平10−230485号公報で提案してい
る技術であるが、この実施の形態においては、かかる公
報に記載される対象物反力平衡制御装置の後半部の構成
のみが使用されると共に、「対象物反力偏差」が入力さ
れていた部分に、前記した「対象物反力平衡制御で平衡
をとるべき対象物反力偏差モーメント和」が入力される
ように変更された点で異なる。
構成を示すブロック図であり、最終到達目標重心位置摂
動量算出部202a、モデル制御則演算器202b、お
よび摂動動力学モデル202cを備える。
平衡をとるべき対象物反力偏差モーメント和、目標上体
位置姿勢、最終修正目標ハンド位置姿勢、最終修正目標
上体位置姿勢、最終修正目標足部位置姿勢である。尚、
この内、最終修正目標ハンド位置姿勢、最終修正目標上
体位置姿勢および最終修正目標足部位置姿勢は、対象物
反力平衡制御において近似演算を用いる場合、即ち、摂
動動力学モデル202cが近似モデルである場合には不
要である。
は、部分的にも対象物反力平衡制御装置202には入力
されない。姿勢安定化用補償モーメントは、姿勢が傾い
た結果ずれた重心位置を復元させるためにロボットに外
部から与えられるべきモーメントであるが、対象物反力
平衡制御装置202の機能は、目標姿勢の重心をずらす
ことによって定常的な対象物反力偏差を打ち消すことで
あり、姿勢が傾いた結果ずれた重心を復元することはで
きないためである。
衡制御で平衡をとるべき対象物反力偏差モーメント和
は、最終到達目標重心摂動量算出部202aに入力され
る。
対象物反力偏差モーメント和を長期的に打ち消してバラ
ンスをとるための重心摂動量を「最終到達目標重心位置
摂動量」と呼ぶ。最終到達目標重心位置摂動量算出部2
02aは、上記和から最終到達目標重心位置摂動量を算
出して出力する。
御則演算器202bに入力される。モデル制御則演算器
202bについて説明すると、最終到達目標重心位置摂
動量と、摂動動力学モデル202cが出力する目標重心
位置摂動量との差を重心変位偏差とすると、モデル制御
則演算器202bは、この重心変位偏差を零に収束させ
るためのモーメントである対象物反力平衡制御用補償全
床反力モーメントをPD制御則によって決定して出力す
る。
業パターンの運動(摂動)に、ある拘束条件を与えてお
いた場合の、モデルのための目標全床反力モーメント摂
動量と上体位置姿勢摂動量との関係を表すモデルであ
る。
加算点202dについて説明すると、加算点202dに
よって、摂動動力学モデルには、対象物反力平衡制御用
補償全床反力モーメントと、対象物反力平衡制御で平衡
をとるべき対象物反力偏差モーメント和が加算されたも
のが、モデルのための目標全床反力モーメント摂動量
(モデル入力量)として入力され、その入力に対応する
ように前記摂動動力学モデルによって上体位置姿勢摂動
量が算出される。それが加算点202dで目標上体位置
姿勢に加算され、修正目標上体位置姿勢が出力される。
物反力平衡制御装置202の出力は、入力した目標上体
位置姿勢を修正した修正目標上体位置姿勢と、対象物反
力平衡制御用補償全床反力モーメントである。出力され
た対象物反力平衡制御用補償全床反力モーメントは、同
図に示すように、続いて述べる補償モーメント分配器2
10に入力される。
衡制御用補償全床反力の内のモーメント成分のみが出力
されるようにしたのは、対象物反力平衡制御用補償全床
反力の内、ロボットの姿勢安定化のための特に重要な成
分は、X軸まわりモーメント成分とY軸まわりモーメン
ト成分であるためである。モーメント成分以外も考慮し
た制御系にした方がより良いが、顕著な効果は期待でき
ない。
いて説明する。補償モーメント分配器210は、図20
に示すように、対象物反力平衡制御用補償全床反力モー
メント、対象物反力平衡制御以外の手段に要求される対
象物反力補償モーメントおよび姿勢安定化用補償モーメ
ントを入力し、それらを目標拘束力モーメントと補償全
床反力主モーメントに分配する、2つの関数を備える。
要求される対象物反力補償モーメントは、前記したよう
に、対象物反力平衡制御以外の手段で平衡をとるべき対
象物反力偏差モーメント和を乗算点214で−1倍した
値である。
の内で、拘束方向の対象物反力によって目標全床反力中
心点まわりに発生させるべきモーメントであり、補償全
床反力主モーメントは、前記入力の内で、目標全床反力
中心点まわりに全床反力によって発生させるべきモーメ
ントである。
説明する。尚、図示の例では入出力共に1次元のスカラ
量のように示されているが、実際にはX方向成分とY方
向成分があり、それぞれに対して処理が行われる。但
し、Z方向成分は姿勢安定性に関係がないので無視する
こととする。
算点210aで対象物反力平衡制御用補償全床反力モー
メントと、対象物反力平衡制御以外の手段に要求される
対象物反力補償モーメントの和を求めて2つの関数に入
力する。ここで、姿勢安定化用補償モーメントをu、前
記和をvと置き、前記した2つの関数の中の1つである
関数g1(u,v)の値を求め、これを補償全床反力主
モーメントとする。また、他方の関数g2(u,v)の
値を求め、これを目標拘束力モーメントとする。但し、
それぞれの関数は2入力1出力の関数である。
すれば良い。尚、式中のCmaxおよびCminは設定
値である。 u+v>Cmaxのとき g1(u,v)=Cmax u+v<Cminのとき g1(u,v)=Cmin Cmin≦u+v≦Cmaxのとき g1(u,v)=u+v ・・・式3 g2(u,v)=u+v−g1(u,v) ・・・式4
を、入力uと入力vを水平面上の直交軸とし、出力値を
高さで表している。
和(対象物反力平衡制御用補償全床反力モーメントと対
象物反力平衡制御以外の手段に要求される対象物反力補
償モーメントと、姿勢安定化用補償モーメントの和)
が、出力和(目標拘束力モーメントと補償全床反力主モ
ーメントの和)に一致するように、2つの関数を選定す
べきである。即ち、g1(u,v)+g2(u,v)=
u+vが恒等的に成立するように、2つの関数を選定す
べきである。
ーメントをu、対象物反力平衡制御以外の手段に要求さ
れる対象物反力補償モーメントをv、姿勢安定化用補償
モーメントをwと置き、補償全床反力主モーメントと目
標拘束力モーメントを、それぞれ3入力の関数g1
(u,v,w)、関数g2(u,v,w)の値によって
決定しても良い。
v,w)+g2(u,v,w)=u+v+wが恒等的に
成立するように関数を選定すべきである。しかしなが
ら、複合コンプライアンス制御などの制御偏差を考慮
し、出力和を大きめにしても良い。特に、姿勢安定化用
補償モーメントはフィードバック量であるから、姿勢安
定化用補償モーメントに影響を受けた出力成分の和が、
姿勢安定化用補償モーメントと数十パーセント違ってい
てもあまり問題にならない。
配器210から出力される、一方のモーメントである目
標拘束力モーメントは、加算点215に送られ、そこで
前述の目標全床反力中心点まわりの対象物反力偏差モー
メント操作方向成分和から減算される。
力される、他方のモーメントである補償全床反力主モー
メントから加算点216で、前述の目標全床反力中心点
まわりの対象物反力偏差モーメント操作方向成分和と目
標拘束力モーメントの差が減算され、補償全床反力モー
メントが出力される。
アンス制御の能力が高く、目標全床反力中心点まわりの
対象物反力偏差モーメント操作方向成分和がほぼ目標拘
束力モーメントに一致するように制御される場合、加算
点216で目標全床反力中心点まわりの対象物反力偏差
モーメント操作方向成分和と目標拘束力モーメントの差
を減じることなく、補償全床反力主モーメントをそのま
ま補償全床反力モーメントとしても良い。
モーメントを補償全床反力主モーメントとし、その代わ
りに、対象物反力平衡制御で平衡をとるべき対象物反力
偏差モーメント和から、目標全床反力中心点まわりの対
象物反力偏差モーメント操作方向成分和と目標拘束力モ
ーメントの差(加算点215の出力)を減じるようにし
ても良い。
標対象物反力算出器206にも入力される。
6の構成を示す。同図に示すように、修正目標対象物反
力算出器206は、目標ハンド位置姿勢(あるいは最終
修正目標ハンド位置姿勢)、目標拘束力モーメント、目
標全床反力中心点位置、操作方向および目標対象物反力
を入力し、それら入力に基づいて修正目標対象物反力を
算出して出力する。
器206は目標ハンド力修正量決定器206a、変換器
206bおよび加算点206cを備える。目標ハンド力
修正量決定器206aは、目標ハンド位置(あるいは最
終修正目標ハンド位置)を作用点とするように表現され
た目標対象物反力の修正量である目標ハンド力修正量を
以下のように決定する。
正量が目標ハンド位置(あるいは最終修正目標ハンド位
置)に作用したときに、目標全床反力中心点に作用する
モーメントの和と目標拘束力モーメントの差が零に近づ
くように、目標ハンド力修正量を決定する。但し、決定
器206aは、目標ハンド力修正量が、操作方向の力と
力のモーメントであって、非操作方向成分を含まないよ
うに決定する。尚、目標ハンド力修正量は、支持脚座標
系で表現される。
作方向の内のある2つのベクトルを自由に選択する。各
ベクトルは、操作空間の直交基底ベクトルA1,A2,
・・・,Amを適当に線形結合させることによって得ら
れる。このベクトルをそれぞれQ1,Q2とする。
Q2の形とする。ここで、a,bは係数である。
ハンド位置(あるいは最終修正目標ハンド位置)に作用
したとき、目標全床反力中心点に作用する合力のモーメ
ントMを、力学演算により求める。
yとすると、Mx,Myとa,bの関係は、次の連立1
次方程式の形になる。ここで、k11,k12,k21
およびk22は係数である。 Mx =ak11+bk12 My =ak21+bk22 ・・・式5
分、Myが目標拘束力モーメントのY成分に一致するよ
うに、aおよびbを決定する。具体的には、式5の連立
方程式をaおよびbに関して解き、Mxに目標拘束力モ
ーメントのX成分の値、Myに目標拘束力モーメントの
Y成分の値を代入することにより、aおよびbを得る。
a,bを用いて目標ハンド力修正量aQ1+bQ2の値
を得る。得られた修正量は変換器206bに入力され、
変換器206bは、目標ハンド力修正量を、作用点を目
標ハンド位置(あるいは最終修正目標ハンド位置)から
全床反力中心点に変更した表現に変換することにより、
全床反力中心点を作用点とする目標対象物反力修正量を
出力する。
点を作用点とする目標対象物反力に、全床反力中心点を
作用点とする目標対象物反力修正量を加えることによ
り、全床反力中心点を作用点とする修正目標対象物反力
が出力される。尚、修正目標対象物反力は、全運動速度
空間でのベクトルである。
得た修正目標対象物反力および前記した修正目標上体位
置姿勢ならびに補償全床反力モーメントが、姿勢安定化
メイン制御装置106の最終的な出力となる。そして、
図5に示すように、修正目標対象物反力が腕メイン制御
装置104に、補償全床反力モーメントが脚メイン制御
装置102に、修正目標上体位置姿勢がその両方に入力
される。
置104の機能を再説すると、脚メイン制御装置102
では、前述のように、目標全床反力中心点位置に作用す
る実全床反力のモーメント成分が、目標全床反力モーメ
ント(通常は零)と補償全床反力モーメントの和に一致
するように目標足部位置姿勢を修正し、さらに、修正目
標上体位置姿勢と修正された目標足部位置姿勢から決定
される目標脚関節変位に実関節変位が追従するように、
アクチュエータ変位指令を出力して脚関節アクチュエー
タを制御する。
のように、ハンド40R(L)の力センサ58によって
検出される実対象物反力(実ハンド力)と修正目標対象
物反力の差に応じ、差が零に近づくように、PD制御な
どによって目標ハンド位置姿勢を修正する。さらに、修
正目標上体位置姿勢(あるいは最終修正目標上体位置姿
勢)と修正された目標ハンド位置姿勢から決定される目
標腕関節変位に実関節変位が追従するように、アクチュ
エータ変位指令を出力して腕関節アクチュエータを制御
する。
106は、目標全床反力中心点に作用する対象物反力偏
差モーメントを、操作方向成分と非操作方向成分とに分
離し、前記非操作方向成分によって発生する動力学的ア
ンバランスを、その一部を対象物反力平衡制御装置によ
って打ち消し、残りを、目標全床反力中心点に作用すべ
き目標対象物反力モーメント操作方向成分を修正するこ
とにより、言い換えれば、腕の動作を修正して前記操作
方向成分を変化させることにより打ち消すように構成し
た。
物から受ける予期せぬ反力が急激に変化したとき、対象
物反力平衡制御装置202によって行なわれていた、足
部22R(L)(および脚部リンク2)を動かして踏み
止めさせる(踏ん張らせる)動作を、腕部リンク5の動
作によって軽減、あるいはなくすことができる。このた
め、全床反力モーメントが限界を越えて発生する恐れが
なく、よってロボット1の動バランスを維持することが
でき、ロボットが傾いたり、転倒したりすることを防止
できる。
動作を修正することから、ロボット1の動バランスを維
持したり、傾いた姿勢を復元しても、対象物の運動に影
響を与えることがない。
説明する。
物反力モーメント操作方向成分の修正量である目標拘束
力モーメントと、目標全床反力中心点まわりの対象物反
力偏差モーメントの操作方向成分和と非操作方向成分和
の関係は、前記した図14に示すようになる。
装置106において対象物反力モーメント偏差分離器2
04が分離する、目標全床反力中心点に作用する対象物
反力偏差モーメントの操作方向成分和と非操作方向成分
和の内、非操作方向成分和によって発生する動力学的ア
ンバランスを全て目標全床反力中心点に作用すべき目標
対象物反力モーメント操作方向成分を修正することによ
って打ち消すように構成したと仮定する。即ち、対象物
反力平衡制御を働かせない場合を想定する。
制御装置104やアクチュエータ92、アクチュエータ
駆動装置88などからなる制御系)と姿勢安定化メイン
制御装置106からなる制御系は、対象物反力に注目す
ると、図22のように簡略化することができる。尚、図
22における外乱モーメントは、対象物に想定していた
性質と異なる性質を持っていたため、対象物が予期せぬ
挙動を示したことによって発生する対象物反力、即ち、
想定外の対象物反力である。例えば、対象物に発生する
摩擦が、想定していたものと異なっていたことによって
発生する。外乱モーメントの中の操作方向成分を「外乱
モーメント操作方向成分」、非操作方向成分を「外乱モ
ーメント非操作方向成分」と呼ぶ。
ーメント非操作方向成分が変化すると、これを打ち消す
ように目標拘束力モーメントが決定され、加算点222
で加算されることで、目標全床反力中心点まわりの目標
対象物反力モーメント操作方向成分和が修正され、操作
方向腕コンプライアンス制御部で目標ハンド位置姿勢が
修正量だけ修正され、さらに腕部リンク5のアクチュエ
ータ変位指令が修正され、ロボット1の腕部リンク5が
駆動されて動バランスが保持される。また、外乱モーメ
ント操作方向成分が変化しても、腕のコンプライアンス
制御への目標値は変化しない。
が、前記非操作方向成分和によって発生する動力学的ア
ンバランスを、目標全床反力中心点に作用すべき目標対
象物反力モーメント非操作方向成分和を修正することに
よって打ち消すように構成したと仮定すると、腕制御系
と姿勢安定化メイン制御装置106からなる制御系は、
対象物反力に注目すると、図23のように簡略化するこ
とができる。
むフィードバックループは正帰還となり、発散する。
反力偏差モーメント非操作方向成分和から姿勢安定化メ
イン制御装置によって目標拘束力モーメントが算出さ
れ、それが加算点226で入力(目標全床反力中心点ま
わりの目標対象物反力モーメント非操作方向成分和)に
加算されて目標全床反力中心点まわりの修正目標対象物
反力モーメント非操作方向成分和が算出され、それが加
算点228で目標全床反力中心点まわりの実対象物反力
モーメント非操作方向成分和から減算され、目標全床反
力中心点まわりの対象物反力偏差モーメント非操作方向
成分和が算出されるまでのフィードバックループは、正
帰還となり、発散する。
たび外乱モーメント非操作方向成分が発生すると、これ
を打ち消そうと目標全床反力中心点まわりの修正目標対
象物反力モーメント非操作方向成分和が限りなく増加あ
るいは減少して発散することとなる。
ボットの姿勢制御装置にあっては、図14などに示す如
く、目標全床反力中心点まわりの対象物反力モーメント
を操作方向成分和と非操作方向成分和に分離し、かつ、
図22に示す如く、正帰還にならないようにフィードバ
ックループを構成することにより、このような発散を防
ぐようにした。即ち、非操作方向側でフィードバックさ
れた値が操作方向側に加算されるように構成すること
で、そのような発散を防ぐようにした。
係る移動ロボットの姿勢制御装置である。
いて説明すると、第2の実施の形態においては、対象物
反力平衡制御用分配器208の出力の中、対象物反力平
衡制御で平衡をとるべき対象物反力偏差モーメント和を
零(同図に破線で示す)とすると共に、分配器208の
出力を全てそれ以外の手段で平衡をとるべき対象物反力
偏差モーメント和とした。
形態のそれと異ならない。第2の実施の形態に係る移動
ロボットの姿勢制御装置は上記の如く構成したので、第
1の実施の形態に係る装置と同様の効果を得ることがで
きる。
係る移動ロボットの姿勢制御装置である。
いて説明すると、第3の実施の形態においては、2足の
脚式移動ロボット1に代え、図示のような車輪式の移動
ロボットについて姿勢制御を行うようにした。
ボット300は、円筒形の基体(上体)302と、それ
に上下(Z軸方向)にストロークするアクティブサスペ
ンション(図示せず)を介して取りつけられる4個の車
輪(図で2個のみ示す)304を備える。基体302の
上部にはマウント306が回転自在に取りつけられると
共に、その上に1個の屈曲自在なアーム(腕部リンク)
310が取りつけられる。
取りつけられる第1リンク310aと、第1リンク31
0aに関節(図示せず)を介して取りつけられる第2リ
ンク310bと、第2リンク310bの自由端側に関節
(図示せず)を介して取りつけられるハンド310cか
らなる。関節は、それぞれ電動モータなどのアクチュエ
ータを内蔵する。
ータからなる電子制御ユニット(ECU)312が格納
される。基体302の重心位置の付近には傾斜センサ
(図示せず)が配置され、Z軸に対する基体302の傾
きとその角速度に応じた出力を生じる。車輪304のそ
れぞれには加重センサ(図示せず)が配置され、接地面
から4個の車輪304にそれぞれ作用する床反力(加
重)F1,F2,..を検出する。
転角度をθ1、第1リンク310aのZ軸に対する角度
をθ2、第1リンク310aに対する第2リンク310
bの相対角度をθ3、第2リンク310bに対するハン
ド310cの相対角度をθ4とすると、移動ロボット3
00の目標動作は、θ1からθ4の動作パターンとZM
Pで表すことができる。
御において、第1リンク310aのZ軸に対する角度θ
2を制御するものとすると、θ2が第1の実施の形態の
脚式移動ロボット1の目標上体位置に、θ1,θ3,θ
4の組が目標上体姿勢に相当する。また、θ4がハンド
310cの位置姿勢に相当する。アクティブサスペンシ
ョンを制御する電子制御ユニット(ECU)312の動
作が第1の実施の形態の図8に示す構成の中の複合コン
プライアンス動作決定部の動作に相当し、加重FをF1
からF4に分配して制御する。
の移動ロボット300について上記のような制御を行う
とき、第1の実施の形態で述べた脚式移動ロボット1の
姿勢制御と同様の効果を得ることができる。
に係る移動ロボットの姿勢制御装置にあっては、少なく
とも基体(上体3)と、移動機構(脚部リンク2あるい
は車輪304)と、対象物に力を作用することができ
る、少なくとも1個の腕部リンク5(あるいはアーム3
10)からなる移動ロボット1,300の姿勢制御装置
において、想定外の外力が作用するとき、前記想定外の
外力の、ある所定方向の成分である第1の外力(目標全
床反力中心点まわりの対象物反力偏差モーメント非操作
方向成分和)に応じ、前記所定方向に直交する方向に前
記腕部リンクに第2の外力(対象物反力平衡制御以外の
手段に要求される対象物反力補償モーメント)が作用す
るように、換言すれば、前記目標全床反力中心点まわり
の対象物反力偏差モーメント非操作方向成分和に基づい
て得られる対象物反力平衡制御以外の手段で平衡をとる
べき対象物反力偏差モーメント和の極性を反転して得ら
れる、即ち、それに直交する対象物反力平衡制御以外の
手段に要求される対象物反力補償モーメント和の極性を
反転して得られる、即ち、それに直交する対象物反力平
衡制御以外の手段に要求される対象物反力補償モーメン
トが作用するように、前記腕部リンクを駆動して、換言
すれば目標値を修正することを必要とせず、前記ロボッ
トの姿勢を安定させるように制御する如く構成した。
機構(脚部リンク2あるいは車輪304)と、対象物に
力を作用することができる、少なくとも1個の腕部リン
ク5(あるいはアーム310)からなる移動ロボット
1,300の姿勢制御装置において、少なくとも前記ロ
ボットの目標腕部リンク位置姿勢(目標ハンド位置姿
勢)と、前記対象物から前記腕部リンクに作用する対象
物反力の目標値である目標対象物反力からなる目標動作
(目標対象物反力あるいは目標位置姿勢)を生成する目
標動作生成手段(目標作業パターン生成器100)、前
記対象物反力の実際値である実対象物反力(実ハンド
力)を検出あるいは(オブザーバを介して)推定する実
対象物反力検出手段(検出については力センサ58,荷
重センサ、ECU62,312、推定についてはオブザ
ーバ)、少なくとも前記検出あるいは推定された実対象
物反力に基づき、前記ロボットの姿勢が安定するように
前記目標動作を修正する姿勢安定化制御手段(姿勢安定
化メイン制御装置106)、および少なくとも前記修正
された目標動作に基づいて前記腕部リンクを駆動する腕
部駆動装置(アクチュエータ90,92)を備える如く
構成した。
とも前記実対象物反力と前記目標対象物反力との差を示
す対象物反力偏差(目標全床反力中心点まわりの対象物
反力偏差モーメント非操作方向成分和)に基づき、前記
ロボットの姿勢が安定するように前記目標動作を修正す
る如く構成した。
象物反力偏差の第1の成分(目標全床反力中心点まわり
の対象物反力偏差モーメント非操作方向成分和)によっ
て発生する転倒力の全部あるいは一部を、前記第1の成
分から得られる第2の成分(対象物反力平衡制御以外の
手段に要求される対象物反力補償モーメント)によって
打ち消すように、前記目標動作を修正する如く構成し
た。
機構(脚部リンク2あるいは車輪304)と、対象物に
力を作用することができる、少なくとも1個の腕部リン
ク5(あるいはアーム310)からなる移動ロボット
1,300の姿勢制御装置において、少なくとも前記ロ
ボットの目標腕部リンク位置姿勢(目標ハンド位置姿
勢)と、前記対象物から前記腕部リンクに作用する対象
物反力の目標値である目標対象物反力からなる目標動作
(目標対象物反力あるいは目標位置姿勢)を生成する目
標動作生成手段(目標作業パターン生成器100)、前
記ロボットの姿勢傾き偏差(上体傾斜角度)を検出し、
前記検出した姿勢傾き偏差、より具体的には検出値に基
づいて算出される姿勢安定化用補償モーメント)が零に
近づくように前記目標動作を修正する姿勢安定化制御手
段(姿勢安定化メイン制御装置106)、および少なく
とも前記修正された目標動作に基づいて前記腕部リンク
を駆動する腕部駆動装置(アクチュエータ90,92)
を備える如く構成した。
わりの実対象物反力非操作方向成分和は、実対象物反力
の全ての成分が、目標全床反力中心点まわりに作用する
力の和から、目標全床反力中心点まわりの実対象物反力
操作方向成分和を減じることによって求めても良い。な
ぜなら、目標全床反力中心点まわりの実対象物反力操作
方向成分和と目標全床反力中心点まわりの実対象物反力
非操作方向成分和の和は、実対象物反力の全ての成分
が、目標全床反力中心点まわりに作用する力の和に等し
いからである。
物反力操作方向成分和は、実対象物反力の全ての成分
が、目標全床反力中心点まわりに作用する力の和から、
目標全床反力中心点まわりの実対象物反力非操作方向成
分和を減じることによって求めても良い。
象物反力操作方向成分和と、目標全床反力中心点まわり
の対象物反力非操作方向成分和に関しても同様の方法で
求めても良い。
おいて、目標対象物反力を修正する代わりに目標ハンド
位置姿勢を変更しても良い。より詳細に説明すると、腕
メイン制御装置104は、通常、対象物反力とハンド位
置姿勢を目標値に一致させるように制御することはでき
ないので、対象物反力の制御とハンド位置姿勢の制御に
トレードオフが働き、目標ハンド位置姿勢を変更するだ
けでも実対象物反力が変化する。
変更量と実対象物反力の変化の比(即ち腕メイン制御系
のコンプライアンス定数)が分かっていれば、上述の実
施の形態で求められた目標対象物反力の修正量に、その
比を乗じることにより、目標ハンド位置姿勢の修正量を
求めることができるためである。
リンクと2個の腕部リンクを備えたヒューマノイドロボ
ットを例にとって説明したが、2個以外の個数の脚部リ
ンクを備えた脚式移動ロボットロボットでも良く、腕部
リンクの個数も1個あるいは3個以上でも良い。
象物に作用するものであれば、腕部リンクとみなして良
い。例えば、昆虫型の6個の脚部リンクを備えたロボッ
トにおいて、頭部側の前の2個の脚部リンクを用いて物
を持ち上げる場合、その脚部リンクを腕部リンクとみな
すことができる。
X軸方向とY軸方向に対する傾きとして説明したが、遊
脚の振りなどに起因するZ軸まわりのスピンに対しても
同様に適用することができる。
アクチュエータを設けなかったが、それを追加すると
き、上体アクチュエータ制御装置も必要となる。但し、
上体リンクの曲げやひねりは、腕または脚の付け根側に
関節を追加したことと等価であるので、概念上、腕また
は脚のアクチュエータとみなすことができる。即ち、上
体アクチュエータ制御装置は、腕または脚の制御装置の
一部として含まれると考えることができる。
イアンス制御装置以外の別の手段、例えば、電動アクチ
ュエータを電流指令型のアンプによって制御する手段を
用いて関節トルクを制御し、その結果、間接的に対象物
反力を制御するようにしても良い。その制御にはハンド
に力センサを配置する必要はないが、対象物反力制御装
置用にやはり力センサを設けるのが望ましい。
の代わりに、関節トルクから実対象物反力を推定する推
定器を腕メイン制御装置に備えても良い。この推定器
は、従来技術である外乱オブザーバーを用いれば良い。
い場合もある。例えば、前記した作業4では手摺りとハ
ンドの間の摩擦がほぼ零であれば、目標対象物反力を零
に設定するのが良い。また、作業2で台車の自在キャス
タ輪の摩擦が不明ならば、目標対象物反力を零に設定す
れば良い。尚、目標対象物反力が常に零である場合で
は、対象物反力偏差は実対象物反力と一致するので、上
記において対象物反力偏差の代えて実対象物反力を用い
ても良い。
が特許平5−318840号公報で提案した仮想平面を
想定する技術を用い、目標全床反力中心点や目標ZMP
を仮想平面上に求めることで、適用が可能となる。
理順序を変えるなど、種々の変形が可能である。
姿勢制御装置において、想定外の外力が作用するとき、
想定外の外力の、ある所定方向の成分である第1の外力
に応じ、所定方向に直交する方向に腕部リンクに第2の
外力が作用するように、腕部リンクを駆動して前記ロボ
ットの姿勢を安定させるように制御する如く構成したの
で、移動ロボットが対象物から反力をうけるような作業
を行っているとき、姿勢が不安定になったり、あるいは
対象物から予期せぬ反力を受けても、動バランスを維持
して安定な姿勢を保持することができる。
勢制御装置において、少なくともロボットの目標腕部リ
ンク位置姿勢と、対象物から腕部リンクに作用する対象
物反力の目標値である目標対象物反力からなる目標動作
を生成し、対象物反力の実際値である実対象物反力を検
出あるいは推定し、少なくとも検出あるいは推定された
実対象物反力に基づき、ロボットの姿勢が安定するよう
に目標動作を修正し、修正された目標動作に基づいて腕
部リンクを駆動する腕部駆動装置を備える如く構成した
ので、移動ロボットが対象物から反力をうけるような作
業を行っているとき、姿勢が不安定になったり、あるい
は対象物から予期せぬ反力を受けても、動バランスを維
持して安定な姿勢を保持することができる。さらには、
対象物の運動に影響を与えることなく、動バランスを維
持して安定な姿勢を保持することができる。
物反力と目標対象物反力との差を示す対象物反力偏差に
基づき、ロボットの姿勢が安定するように目標動作を修
正する如く構成したので、上記した効果を一層良く得る
ことができる。
第1の成分によって発生する転倒力の全部あるいは一部
を、第1の成分から得られる第2の成分によって打ち消
すように、目標動作を修正する如く構成したので、上記
した効果を一層良く得ることができる。
勢制御装置において、少なくともロボットの目標腕部リ
ンク位置姿勢と、対象物から腕部リンクに作用する対象
物反力の目標値である目標対象物反力からなる目標動作
を生成すると共に、ロボットの姿勢傾き偏差を検出し、
検出した姿勢傾き偏差が零に近づくように目標動作を修
正し、修正された目標動作に基づいて腕部リンクを駆動
する如く構成したので、移動ロボットが対象物から反力
をうけるような作業を行っているとき、姿勢が不安定に
なったり、あるいは対象物から予期せぬ反力を受けて
も、動バランスを維持して安定な姿勢を保持することが
できる。さらには、対象物の運動に影響を与えることな
く、動バランスを維持して安定な姿勢を保持することが
できる。
トの姿勢制御装置が対象とする脚式移動ロボットの正面
図である。
である。
構成を詳細に示すブロック図である。
トの姿勢制御装置の構成を示すブロック図である。
成する歩容における支持脚座標系を示す説明図である。
ーン生成器が生成する歩容における支持脚座標系を示す
説明図である。
される複合コンプライアンス制御装置の構成を示すブロ
ック図である。
る。
原理の説明図である。
原理の説明図である。
原理の説明図である。
原理の説明図である。
装置の構成を示すブロック図である。
内、姿勢安定化用モーメント算出器の構成を示すブロッ
ク図である。
内、対象物反力偏差モーメント分離器の構成を示すブロ
ック図である。
内、対象物反力平衡制御用分配器の構成を示すブロック
図である。
内、対象物反力平衡制御用分配器の構成を示す、図17
と同様なブロック図である。
内、対象物反力平衡制御装置の構成を示すブロック図で
ある。
内、補償モーメント分配器の構成を示すブロック図であ
る。
内、修正目標対象物反力算出器の構成を示すブロック図
である。
ために、制御系を対象物反力に注目して変形しつつ簡略
化して示すブロック図である。
明するために、制御系を対象物反力に注目して変形しつ
つ簡略化して示すブロック図である。
作を説明する説明図である。
ットの姿勢制御装置の構成を示す、図14と類似する、
姿勢安定化メイン制御装置の構成を示すブロック図であ
る。
ットの姿勢制御装置の構成を示す説明図である。
ト) 2 脚部リンク 3 基体(上体) 5 腕部リンク 10,12,14R,L 股関節駆動用電動モータ 16R,L 膝関節駆動用電動モータ 18,20R,L 足関節駆動用電動モータ 22R,L 足部(足平) 30,32,34R,L 肩関節駆動用電動モータ 36R,L 肘関節駆動用電動モータ 38R,L 手首関節 40R,L ハンド 62 電子制御ユニット(ECU) 56 力センサ(6軸力センサ) 58 力センサ(6軸力センサ) 60 傾斜センサ 88 アクチュエータ駆動装置 90 脚アクチュエータ 92 腕アクチュエータ 100 目標作業パターン生成器 102 脚メイン制御装置 104 腕メイン制御装置 106 姿勢安定化メイン制御装置 108 台車(作業対象物(対象
物)) 200 姿勢安定化用補償モーメント
算出器 202 対象物反力平衡制御装置 204 対象物反力モーメント偏差分
離器 206 修正目標対象物反力算出器 208 対象物反力平衡制御用分配器
(分配器) 210 補償モーメント分配器(分配
器) 214 乗算点 215 加算点 216 加算点 300 ロボット(車輪式の移動ロボ
ット) 302 基体(上体) 304 車輪 310 アーム(腕部リンク) 312 電子制御ユニット(ECU)
Claims (5)
- 【請求項1】 少なくとも基体と、移動機構と、対象物
に力を作用することができる、少なくとも1個の腕部リ
ンクからなる移動ロボットの姿勢制御装置において、想
定外の外力が作用するとき、前記想定外の外力の、ある
所定方向の成分である第1の外力に応じ、前記所定方向
に直交する方向に前記腕部リンクに第2の外力が作用す
るように、前記腕部リンクを駆動して前記ロボットの姿
勢を安定させるように制御することを特徴とする移動ロ
ボットの姿勢制御装置。 - 【請求項2】 少なくとも基体と、移動機構と、対象物
に力を作用することができる、少なくとも1個の腕部リ
ンクからなる移動ロボットの姿勢制御装置において、 a.少なくとも前記ロボットの目標腕部リンク位置姿勢
と、前記対象物から前記腕部リンクに作用する対象物反
力の目標値である目標対象物反力からなる目標動作を生
成する目標動作生成手段、 b.前記対象物反力の実際値である実対象物反力を検出
あるいは推定する実対象物反力検出手段、 c.少なくとも前記検出あるいは推定された実対象物反
力に基づき、前記ロボットの姿勢が安定するように前記
目標動作を修正する姿勢安定化制御手段、および d.少なくとも前記修正された目標動作に基づいて前記
腕部リンクを駆動する腕部駆動装置、 を備えたことを特徴とする移動ロボットの姿勢制御装
置。 - 【請求項3】 前記姿勢安定化制御手段は、少なくとも
前記実対象物反力と前記目標対象物反力との差を示す対
象物反力偏差に基づき、前記ロボットの姿勢が安定する
ように前記目標動作を修正することを特徴とする請求項
2項記載の移動ロボットの姿勢制御装置。 - 【請求項4】 前記姿勢安定化制御手段は、前記対象物
反力偏差の第1の成分によって発生する転倒力の全部あ
るいは一部を、前記第1の成分から得られる第2の成分
によって打ち消すように、前記目標動作を修正すること
を特徴とする請求項3項記載の移動ロボットの姿勢制御
装置。 - 【請求項5】 少なくとも基体と、移動機構と、対象物
に力を作用することができる、少なくとも1個の腕部リ
ンクからなる移動ロボットの姿勢制御装置において、 a.少なくとも前記ロボットの目標腕部リンク位置姿勢
と、前記対象物から前記腕部リンクに作用する対象物反
力の目標値である目標対象物反力からなる目標動作を生
成する目標動作生成手段、 b.前記ロボットの姿勢傾き偏差を検出し、前記検出し
た姿勢傾き偏差が零に近づくように前記目標動作を修正
する姿勢安定化制御手段、および c.少なくとも前記修正された目標動作に基づいて前記
腕部リンクを駆動する腕部駆動装置、 を備えたことを特徴とする移動ロボットの姿勢制御装
置。
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