JP2013521135A - 非水平および非定常の地面上にいる人型ロボットの運動量基準型バランス制御装置 - Google Patents
非水平および非定常の地面上にいる人型ロボットの運動量基準型バランス制御装置 Download PDFInfo
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Abstract
【選択図】図2
Description
本願は、2010年2月25日に出願された米国仮出願第61/308,207号(発明の名称:非水平および非定常の地面上にいる人型ロボットの運動量基準型バランス制御装置)を基礎として優先権を主張するものであり、基礎となるこの出願の内容の全体は、参照することにより本明細書中に組み込まれている。
1.発明の技術分野
本発明は、ロボット工学に関し、より具体的には、人型ロボットを制御するバランス制御装置に関する。
バランス維持は、人型ロボットの設計において最も重要な技術課題の一つである。バランスの基本的な力学はこれまでのところ理解されているけれども、不連続かつ非平面の地面上を歩行するときの足支持、および移動支持体、滑り、転倒などといった大規模、予想外そして未知の外部障害に対処できるほどに確実性があり、万能な制御装置は、まだ現れていない。特に、人間のバランスの正確性および多様性と比べて、現存のロボットはかなり劣っている。人型ロボットが実社会で人間と共存するためには、広範な環境条件および外部撹乱に対処できる、より進化したバランス制御装置が望まれている。
しかしながら、歩行中は角運動量を厳密に規制している人間とは異なり、前記した技術は、ロボットの回転力学を直接的に制御することはない。結果として、前記した従来技術は、バランス制御に関して、確実性のある人間の動きを実現することができない。さらに、前記した従来技術は、非水平および/または非定常の地面上でバランスを維持するための人型ロボットの試行に関して、十分なバランス制御を提供することができない。
例えば、第1の実施形態において、目標CoP位置がロボットの支持基盤の外側にあるならば、バランス制御装置は、目標GRFを保存している間は、目標CoP位置を、目標CoP位置に最も近いロボットの支持基盤の下方の点に線形移動させる。このような線形移動は、目標線形運動量変化率を保存し、かつ、目標角運動量変化率を修正する。ロボットの物理的動きは、胴体の回転によって特徴付けられる。
第2の実施形態において、ロボット制御装置は同様にして、目標CoP位置を、目標CoP位置に最も近いロボットの支持基盤の下方の点に線形移動させるが、それだけでなく、目標角運動量変化率を保存するようにGRF角度を回転させる。このような線形移動および回転は、目標線形運動量変化率を修正し、ロボットの歩行によって特徴付けられる。
本発明の実施形態の内容は、添付の図面と組み合わせて以下の詳細な説明を考慮することによって容易に理解することができる。
図1は、ロボットを制御するバランス制御装置100の実施形態を説明するブロック図である。一実施形態において、ロボットは、人間と同様の関節構造(例:足の各々の自由度は6であり、総重量は40〜60kg)を有する人型二足歩行ロボットである。バランス制御装置100は、ロボットの目標運動102を表現する情報を受信する。目標運動102は、ロボットに関するバランス条件または物理的拘束とは無関係とすることができる。目標運動102は、例えばロボットに対する一般的な命令(例:左へ10フィート歩いてください、階段を歩いて下りてください、そのまま立っていてくださいなど)から得ることができる。前記した運動に関する命令は、人間が制御機構を介して入力できるし、またはロボットの運動の決定を制御する人工知能システムが自動的に生成できる。
一実施形態において、目標運動102は、両足の目標運動(例:位置および速度)と、ロボットの質量中心周りの角運動量と、質量中心位置と、質量中心速度と、関節加速度とを用いて定められる。場合によっては、目標運動102は、(例えば、目標角運動量および目標質量中心速度を0にして)ロボットを静止したままにすることを示唆できる。
一方、バランス制御装置100は、目標運動102によって、ロボットがバランスを失い転倒することになると判定すれば、バランス制御装置100は、依然としてロボットの物理的制限の範囲内に留まっており、依然としてロボットがバランスを維持できている間は、結果的な運動(“許容運動”)が目標運動に最適に近づくような制御出力情報104を生成する。
一実施形態において、バランス制御装置100は、ロボットを制御して、ロボットが外部撹乱(例:押し)を受けたり、非水平および/または非定常の表面上に立っていたり、歩行していたりしているときでさえも、ロボットのバランスを維持できる。バランス制御装置100は、周期的に(例:ミリ秒ごとに)目標運動102を処理し、制御出力情報104を生成することで、ロボットの目標運動が変化したり、または前記したロボットの変化に複数の外力が作用していたりするときでさえも、ロボットが自身のバランスを継続的に維持できる。さらに、バランス制御装置100は、人型運動モデルに基づいているので、結果的なロボットの運動は人間のようである。つまり、ロボットは、人間と同様の方法でバランスを維持するように動く。
メモリ104は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)装置、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)装置、フラッシュRAM(不揮発性記憶装置)、これらの組み合わせ、または当業者が既知の他の記憶装置であってよい。運転中は、プロセッサ120は、コンピュータ実行可能な命令および/またはデータをメモリ110から読み込み、本明細書に記載されている処理ステップを実行する。
第1に、CoPは、CoPがロボットの支持基盤の外側に位置することができない、という制約を受けている。単脚支持である(つまり、片足を上げていて支持が単一となるように両足が位置している)場合、支持基盤は、地面と接触しているロボットの足の接触領域と同一であるのに対し、水平地面上での両脚支持の場合、支持基盤は、ロボットの両足の支持領域の凸包に相当する。
第2に、GRFは、本来は一方に向かう方向でなければならず、かつ、ロボット200を地面の方へ引き付けてはならない。
第3に、GRFは、ロボットの足が滑らないように、ロボットの足と地面との接地面に対する摩擦に関する制限を満たさなければならない。
したがって、バランス制御装置100は、上記した物理的な拘束を満たしている間は、目標値にできるだけ近づけた運動量変化率の許容値、または物理的に実現可能な値を決定する。その後、ロボットの全身にある関節を制御して許容運動量変化率を生成する。
まず、両足が非水平面上および非連続面上に位置している場合、CoPを定めることができない。GRFの実現可能性を調べるために、経験的な推測に基づいた仮想水平面を定めたり、またはより一般的には、複数の接触点から作り出した3次元凸包を計算したりすればよい。このようなやり方では、足と地面との間の摩擦が両足でそれぞれ異なっている場合に対処することが困難である。
目標足GRFおよび目標足CoPは直接計算できる値であり、バランス制御装置100が正味GRFおよび正味CoPを計算することを必要としない。したがって、バランス制御の枠組みは、何ら特別な取り扱いをせずとも、足各々が位置する非水平地面に適用することができる。両脚支持に関しては、バランス制御装置100は、両足の足首トルクを最小化する両足の足GRFおよび両足の足CoPを計算する。
他の実施形態において、制御装置は、環境条件およびロボットの状態に依存して2つの対策のうちの一つを動的に選択する。しかしながら、さらに他の実施形態において、2つの方策の間の折衷案をとることもできる。これにより、線形運動量および角運動量の両方を妥協しつつも、各々に対する妥協の程度をより小さくするように実行できる。
両足の許容足GRF、許容足CoPおよび許容運動量変化率を決定した後、バランス制御装置100は、前記した許容運動量変化率および足の接触による拘束を生成する複数の関節加速度を決定する(ステップ310)。その後、制御装置は、逆動力学を用いて前記した関節加速度および外力を生成するのに必要な複数の関節トルクを決定する(ステップ312)。
上記した制御枠組みを用いると、バランス制御装置100は、ロボットを制御して非常にさまざまな条件下でバランスを維持でき、人間のように振る舞ってそのようなバランス修正を実現できる。図7〜図10は、さまざまな撹乱を受けたり、および/または非水平または非定常である複数の支持体上に直立していたりする場合におけるロボットの運動を説明する。これらの例の各々において、ロボットの目標運動102は安定的である、つまり、ロボットは、普段は静止しており、必要なときのみ動いてバランスをとることが理想的である。図11は、目標運動102が定位置で足踏みすること、であるときのロボットの運動を説明する。
撹乱がより大きい場合、目標値は許容値と異なるため、歩行をせずともバランスを維持するために、バランス制御装置100は、上体を回転させて角運動量を修正することによってCoM位置を保存しようとする。結果的なロボットの運動は、押した方向に胴体を回転してバランスを維持する人間の運動と同様である。
図8は、単脚支持期のロボットが側方に押し出された場合のバランス制御の挙動を示す。この場合、ロボットは、冠状面内で胴体を回転することによってバランスを維持する。両脚支持期の場合と比較すると、単脚支持期における許容CoP位置の範囲はずっと小さいが、脚を揺らすことでより大きな角運動量を作り出すことができる。ロボットが押した方向に一時的に回転して転倒を回避している様子が再度見られるが、その後静止位置に戻る。
ここで、ロボットは、胴体をかなり大きく周期的に回転させ、バランスを維持する。このような特別な例において、ロボットの胴体は、のけ反り運動よりもかがみ運動のほうが運動範囲を大きくとることができ、したがって、ロボットは後方よりも前方のほうへ大きく屈曲する。
代替の実施形態において、バランス制御装置100は、可動式踏み台上のロボットが長期間の押しを受けるときであってもバランスを維持することを可能にするように修正される。この実施形態において、バランス制御装置100は、角運動量を調整するのではなく、慣性力を推定し、ロボットの胴体を回転する代わりに前記した可動式踏み台の加速する方向へ身体を動かすことによってバランスを維持する。
102 目標運動
104 制御出力情報
150 関節アクチュエータ
Claims (24)
- 人型ロボットを制御するためのコンピュータ実行型の方法であって、前記方法は、
バランス制御装置が、前記人型ロボットの目標運動を受信するステップと、
前記バランス制御装置が、前記目標運動に基づいて、ロボットの目標線形運動量変化率および目標角運動量変化率を決定するステップと、
前記バランス制御装置が、バランスを維持するために課される拘束に基づいて、前記目標線形運動量変化率および前記目標角運動量変化率とは異なる許容線形運動量変化率および許容角運動量変化率を決定するステップと、
前記バランス制御装置が、前記許容線形運動量変化率および前記許容角運動量変化率を実現するための複数の関節トルクを示す制御出力情報を生成するステップと、
前記バランス制御装置が、複数の関節トルクに従って前記ロボットを動かす複数の関節アクチュエータに前記制御出力情報を出力するステップと、を備える
ことを特徴とする方法。 -
- 前記許容線形運動量変化率および前記許容角運動量変化率を決定するステップは、
前記許容線形運動量変化率および前記許容角運動量変化率を実現するための目標GRF(GRF(Ground Reaction Force)は地面反力)および目標CoP(CoP(Center of Pressure)は圧力中心)を決定するステップと、
前記目標GRFおよび前記目標CoPを物理的に実現可能な値に拘束することによって許容GRFおよび許容CoPを決定するステップと、
前記許容GRFおよび前記許容CoPから前記許容線形運動量変化率および前記許容角運動量変化率を決定するステップと、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 前記許容GRFおよび前記許容CoPを決定するステップは、
前記ロボットがその胴体を回転させるように、前記目標線形運動量変化率を保存するとともに、前記目標角運動量変化率を修正するステップ、を備える
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。 - 前記許容GRFおよび前記許容CoPを決定するステップは、
前記目標CoPの位置を、前記目標CoPの位置に最も近い前記ロボットの支持基盤の下方の点に線形移動させるステップ、を備える
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。 - 前記許容GRFおよび前記許容CoPを決定するステップは、
前記ロボットが歩行するように、前記目標角運動量変化率を保存するとともに、前記目標線形運動量変化率を修正するステップ、を備える
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。 - 前記許容GRFおよび前記許容CoPを決定するステップは、
前記目標CoPの位置を、前記目標CoPの位置に最も近い前記ロボットの支持基盤の下方の点に線形移動させるステップと、
前記目標角運動量変化率を保存するように前記GRFの角度を回転するステップと、を備える
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。 - 前記許容線形運動量変化率および前記許容角運動量変化率は、前記ロボットがバランスを維持するように決定される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 前記目標運動は、静止位置を維持すること、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 前記ロボットは、非水平または非定常の表面上でバランスを維持する
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 人型ロボットを制御するためのコンピュータのプログラム命令を記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、プロセッサが実行するときに前記プログラム命令は、
前記人型ロボットの目標運動を受信するステップと、
前記目標運動に基づいて、ロボットの目標線形運動量変化率および目標角運動量変化率を決定するステップと、
バランスを維持するために課される拘束に基づいて、前記目標線形運動量変化率および前記目標角運動量変化率とは異なる許容線形運動量変化率および許容角運動量変化率を決定するステップと、
前記許容線形運動量変化率および前記許容角運動量変化率を実現するための複数の関節トルクを示す制御出力情報を生成するステップと、
複数の関節トルクに従って前記ロボットを動かす複数の関節アクチュエータに前記制御出力情報を出力するステップと、を前記プロセッサに実行させる
ことを特徴とする記憶媒体。 -
- 前記許容線形運動量変化率および前記許容角運動量変化率を決定するステップは、
前記許容線形運動量変化率および前記許容角運動量変化率を実現するための目標GRF(GRFは地面反力)および目標CoP(CoPは圧力中心)を決定するステップと、
前記目標GRFおよび前記目標CoPを物理的に実現可能な値に拘束することによって許容GRFおよび許容CoPを決定するステップと、
前記許容GRFおよび前記許容CoPから前記許容線形運動量変化率および前記許容角運動量変化率を決定するステップと、を備える
ことを特徴とする請求項11に記載の記憶媒体。 - 前記許容GRFおよび前記許容CoPを決定するステップは、
前記ロボットがその胴体を回転させるように、前記目標線形運動量変化率を保存するとともに、前記目標角運動量変化率を修正するステップ、を備える
ことを特徴とする請求項13に記載の記憶媒体。 - 前記許容GRFおよび前記許容CoPを決定するステップは、
前記目標CoPの位置を、前記目標CoPの位置に最も近い前記ロボットの支持基盤の下方の点に線形移動させるステップ、を備える
ことを特徴とする請求項14に記載の記憶媒体。 - 前記許容GRFおよび前記許容CoPを決定するステップは、
前記ロボットが歩行するように、前記目標角運動量変化率を保存するとともに、前記目標線形運動量変化率を修正するステップ、を備える
ことを特徴とする請求項13に記載の記憶媒体。 - 前記許容GRFおよび前記許容CoPを決定するステップは、
前記目標CoPの位置を、前記目標CoPの位置に最も近い前記ロボットの支持基盤の下方の点に線形移動させるステップと、
前記目標角運動量変化率を保存するように前記GRFの角度を回転するステップと、を備える
ことを特徴とする請求項16に記載の記憶媒体。 - 人型ロボットを制御するためのバランス制御装置であって、
少なくとも一つのプロセッサと、
前記プロセッサが実行するときに、前記プロセッサに以下のステップを含むステップを実行させるコンピュータのプログラム命令を記憶するメモリと、を備える
ことを特徴とするバランス制御装置。
前記人型ロボットの目標運動を受信するステップと、
前記目標運動に基づいて、ロボットの目標線形運動量変化率および目標角運動量変化率を決定するステップと、
バランスを維持するために課される拘束に基づいて、前記目標線形運動量変化率および前記目標角運動量変化率とは異なる許容線形運動量変化率および許容角運動量変化率を決定するステップと、
前記許容線形運動量変化率および前記許容角運動量変化率を実現するための複数の関節トルクを示す制御出力情報を生成するステップと、
複数の関節トルクに従って前記ロボットを動かす複数の関節アクチュエータに前記制御出力情報を出力するステップ。 -
- 前記許容線形運動量変化率および前記許容角運動量変化率を決定するステップは、
前記許容線形運動量変化率および前記許容角運動量変化率を実現するための目標GRF(GRFは地面反力)および目標CoP(CoPは圧力中心)を決定するステップと、
前記目標GRFおよび前記目標CoPを物理的に実現可能な値に拘束することによって許容GRFおよび許容CoPを決定するステップと、
前記許容GRFおよび前記許容CoPから前記許容線形運動量変化率および前記許容角運動量変化率を決定するステップと、を備える
ことを特徴とする請求項18に記載のバランス制御装置。 - 前記許容GRFおよび前記許容CoPを決定するステップは、
前記ロボットがその胴体を回転させるように、前記目標線形運動量変化率を保存するとともに、前記目標角運動量変化率を修正するステップ、を備える
ことを特徴とする請求項20に記載のバランス制御装置。 - 前記許容GRFおよび前記許容CoPを決定するステップは、
前記目標CoPの位置を、前記目標CoPの位置に最も近い前記ロボットの支持基盤の下方の点に線形移動させるステップ、を備える
ことを特徴とする請求項21に記載のバランス制御装置。 - 前記許容GRFおよび前記許容CoPを決定するステップは、
前記ロボットが歩行するように、前記目標角運動量変化率を保存するとともに、前記目標線形運動量変化率を修正するステップ、を備える
ことを特徴とする請求項20に記載のバランス制御装置。 - 前記許容GRFおよび前記許容CoPを決定するステップは、
前記目標CoPの位置を、前記目標CoPの位置に最も近い前記ロボットの支持基盤の下方の点に線形移動させるステップと、
前記目標角運動量変化率を保存するように前記GRFの角度を回転するステップと、を備える
ことを特徴とする請求項23に記載のバランス制御装置。
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