JP2003326277A - 殺菌水の製造装置 - Google Patents
殺菌水の製造装置Info
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Abstract
る殺菌水を簡易な構造で製造できる製造装置を提供す
る。 【解決手段】 塩酸もしくは酢酸、またはこれらの混合
物の酸水溶液21と、次亜塩素酸ナトリウムもしくは二
酸化塩素、またはこれらの混合物の塩素系水溶液31と
を水1に混合させて製造する殺菌水の製造装置100、
101。水流の一部に酸を混入させて希釈酸水溶液を作
る第1の流路6と水流の残りに塩素系水溶液を混入させ
て希釈水塩素系溶液を作る第2の流路7とを備える混入
器4と、第1の流路および第2の流路の下流に配置さ
れ、第1の流路からの希釈酸水溶液と第2の流路からの
希釈塩素系水溶液とを混合させる混合器とを含む殺菌水
製造装置。
Description
医療等において用いられる殺菌水の製造装置に関する。
特に、次亜塩素酸ナトリウム水溶液や二酸化塩素水溶液
によって塩素殺菌・塩素消毒を行う殺菌水の製造装置に
関する。
殺菌・消毒性を有する次亜塩素酸ナトリウム水溶液が用
いられている。また、二酸化塩素は水道水の殺菌・消毒
への使用が検討されている。こういった殺菌力をより高
めるために塩素の濃度を水道水等に比べて高くした殺菌
水が、HACCPに準拠した食品加工現場や、SPF豚
の飼育等を行う畜産、医療といった殺菌や消毒を必要と
する現場で用いられている。
用は、水溶液中の塩素系化合物の状態によって大きく変
化し、酸性度(pH)に大きく依存することが知られて
いる。特に次亜塩素酸ナトリウムの場合には、pHの範
囲によって、強酸性、弱酸性〜中性、アルカリ性の三者
で大きくその作用が異なっている。
は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液から塩素ガスが遊離す
る。この塩素ガスは有毒であり、殺菌水に殺菌・消毒作
用はあるものの、製造された殺菌水の用途が非常に限定
されてしまい、一般的な使用には望ましくない。また、
アルカリ性(pHが7.5を超える場合)とすると、溶
液中での塩素は次亜塩素酸イオン(OCl-)の形に電
離する割合が増える。この次亜塩素酸イオンは殺菌力が
弱く、同じ塩素濃度の次亜塩素酸(HOCl)の約1/
80の殺菌力しか示さない。このために、殺菌力を高め
るためには塩素濃度を大きくせざるを得ない。ここで、
次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、それ自体がアルカリ性
となるために、濃度を大きくして殺菌力を高めようとし
ても、殺菌力が高まるものの、それ以上に濃度を高める
必要が生じてしまう。
4.8〜7.5)の液性の場合には、多くの塩素は次亜
塩素酸(HOCl)の状態となるために、塩素ガスを発
生させずに殺菌力が強くできて望ましい。
液性を弱酸性から中性にして塩素ガスを発生させずに十
分な殺菌力を備えた殺菌水の製造装置や方法を実現する
ための工夫が行われてきた。例えば、特開平10−18
2325号公報には「次亜塩素酸ナトリウムの殺菌力増
強装置」が開示されている。この開示によれば、酸と塩
素系水溶液の何れかを希釈して、別々の混入器によって
水流に混入させることが開示されている。この開示で
は、酸水溶液や塩素系水溶液はポンプによって流路に注
入される構成となっている。また、水流中にポンプによ
って塩素系水溶液タンクから次亜塩素酸を混入させ、そ
の後に酸をポンプによって混入させる構成が主に開示さ
れている。さらに、混合において攪拌子などからなる混
合手段を用いている。
装置や方法では、なお、以下の問題点が存在する。 (1)この公知の構成では、液性を弱酸性にするために
酸を用いるが、酸や次亜塩素酸の濃度の不均質などによ
り、最終的に製造した殺菌水においては、塩素ガスが発
生しやすい。
させる酸性水を適切な酸性度に制御するために、精密な
制御系が必要であったり、酸性水の段階でリザーバに蓄
える必要がある。また、混入器が複数必要であるなど、
装置が大掛かりになり、設置場所が限定され、高価なも
のとなっている。
解決するためになされたものであり、塩素ガスの発生を
抑制しつつ、塩素系水溶液の殺菌力を十分に発揮させる
とともに、簡易な構造の殺菌水の製造装置を提供するも
のである。
酸水溶液、塩素系水溶液の3液を十分に制御された濃度
で適切に混入・混合することによって、所望の殺菌水を
製造する殺菌水製造装置を提供する。水は酸水溶液や塩
素水溶液に比べて大量に用いられる。本発明のある態様
の殺菌水製造装置においては、混入器において、酸水溶
液と塩素系水溶液の両者を水で希釈してから互いに混合
するようにすることができる。したがって、本発明で
は、塩酸もしくは酢酸またはこれらの混合物の酸水溶液
と、次亜塩素酸ナトリウムもしくは二酸化塩素またはこ
れらの混合物の塩素系水溶液とを水に混合させて製造す
る殺菌水の製造装置であって、水流の一部に前記酸水溶
液を混入させて希釈酸水溶液を作る第1の流路と前記水
流の残りに前記塩素系水溶液を混入させて希釈塩素系水
溶液を作る第2の流路とを備える混入器と、前記第1の
流路および前記第2の流路の下流に配置され、前記第1
の流路からの前記希釈酸水溶液と前記第2の流路からの
前記希釈塩素系水溶液とを混合させる混合器とを含む殺
菌水製造装置が提供される。このように構成することに
より、複数の混入器を用いずに酸水溶液と塩素系水溶液
を希釈しながら混入・混合できて、簡易な構成の殺菌水
製造装置が作製できる。
第1の流路と前記第2の流路において水流に生じる負圧
により、前記酸水溶液および前記塩素系水溶液を吸込み
混入させる混入器であって、ポンプによる混入を行わな
いようにすることができる。酸水溶液や塩素系水溶液の
混入ラインにおいて、ラインポンプが不要となって、簡
易に殺菌水製造装置が作製できる。
前記第1の流路と前記第2の流路が分離壁によって分離
されているものとすることができる。分離壁は、酸水溶
液と塩素系水溶液が十分に希釈されずに互いに接触する
ことを防止する作用を有している。分離壁の構造や配
置、材質、作成方法は任意であるが、第1の流路と第2
の流路を流れる液体が混ざらないように配置される。分
離壁には、例えば、板部材などが使用できる。この場合
には、混合器の胴部には機械加工で機械精度を確保しや
すいような軸対称形状の加工を行っておいてから分離壁
を配置することができるため、小型であっても精度の高
い混合器が作製可能であり、安定した濃度の殺菌水が得
られる殺菌水製造装置が提供される。
ても、同様に、混入器において水、酸水溶液、塩素系水
溶液の3液が混入・混合される。ここでは、酸水溶液を
水で希釈したところに、塩素系水溶液が混入されるよう
にすることができる。このとき、酸水溶液と塩素系水溶
液は、少なくとも酸水溶液が希釈されてから混合され
る。
くは酢酸またはこれらの混合物の酸水溶液と、次亜塩素
酸ナトリウムもしくは二酸化塩素またはこれらの混合物
の塩素系水溶液とを水に混合させて製造する殺菌水の製
造装置であって、水流に前記酸水溶液を混入させて希釈
酸水溶液を作る流路を備えてなり、該希釈酸水溶液に前
記塩素系水溶液を混入させる混入器と、該混入器の下流
に配置されて前記水流を混合させる混合器とを含む殺菌
水製造装置が提供される。
た酸水溶液が作られてから塩素系水溶液が混入されるこ
ととなる。この構成で、混入器が1つであっても、十分
な殺菌力の殺菌水、例えば、弱酸性から中性の液性を示
し、次亜塩素酸濃度が200ppm程度である殺菌水が得
られ、しかも、塩素ガスの発生は殆どない。
は、前記酸水溶液および前記塩素系水溶液を水流に生じ
る負圧によって吸込み混入させる混入器であって、ポン
プによる混入を行わないようにすることができる。混入
のためにポンプを混入ラインに備える必要が無いため
に、簡易な構造の殺菌水製造装置が作製できる。
記混入器は、水流の送水圧によって水流の流路の開閉動
作をする可動部を備え、該開閉動作によって、前記酸水
溶液または前記塩素系水溶液の少なくともいずれかを混
入させる逆止弁の開閉を動作させるものとすることがで
きる。このように構成すると、送水される水流が所定の
圧力以下の場合において水流が停止し、酸水溶液や塩素
系水溶液が流路に流出しないようにできる。これによ
り、水流が殆ど流れていない場合において、酸水溶液や
塩素系水溶液が流出してしまうことが防げる。したがっ
て、意図しない高い濃度での酸水溶液と塩素系水溶液の
混合などが防止できる。
しきい値として開閉動作するようにされると、本発明の
殺菌水製造装置において酸水溶液や塩素系水溶液の混合
が、送水圧で制御できる。また、本発明の上述した態様
において、塩素系水溶液の経路にある逆止弁がこの可動
部を備えるように構成されていても良い。これにより、
部品点数が少なくても、良好に動作する殺菌水製造装置
が提供される。
記混合器が水流を実質的な乱流にして混合する静止型混
合器とすることができる。水流を実質的な乱流にすると
は、流れが実質的な層流や定常的な渦のみからなるもの
ではなく、乱流となる部分があることや、時間的に変動
する渦(例えばカルマン渦列)を生成することにより乱
流と見なせるような水流とすることを意味する。なお、
水流には、水のみでなく、酸水溶液や塩素系水溶液を希
釈した液体の流れを含む。
は、管内の水流において混合を行う混合器であって、そ
れぞれ方向の異なる複数の混合羽根が該管の長手方向に
沿って該管内に配置されており、該混合羽根のそれぞれ
によって管内の水流に実質的な乱流を発生させて水流を
混合させる静止型混合器とすることができる。この場
合、方向の異なる複数の混合羽根は、それぞれの羽根の
下流側で、水流に対してカルマン渦列のような時間に伴
って生成と消滅を繰り返すような渦や乱流(実質的な乱
流)を発生させることができるように作製される。この
混合羽根のために、流れには大きな抵抗が生じることな
く効率よく混合ができる。混合羽根は実質的な乱流を発
生させるものであれば良く、実質的な乱流を発生させる
構造であれば、特に混合羽根の形状が限定されるもので
はない。混合羽根のそれぞれは異なる方向を向いている
ように配置される。これにより、混合器を流れる水流の
何れの部分も実質的な乱流により混合され、複数の混合
羽根がそこを通過した水流は十分に混合される。これに
より、製造される殺菌水においては、酸や塩素の濃度の
揺らぎが発生しにくくなる。こうして、本発明の殺菌水
製造装置は、塩素ガスの発生を抑制できる均質な殺菌水
が製造可能となる。
せておくことができる。厚みが一定以上あることによ
り、適度なカルマン渦といった実質的な乱流が水流のみ
によって誘起されて良好に混合できる。
板部材に設けた幅の狭い連結部で該板部材を捻ることに
よって作製されたものであるとすることができる。この
ような混合羽根の例としては板部材(例えば、管の内径
とほぼ同じ幅を持ち、混合器を構成する管の長さとほぼ
同じ長さを持つような板部材)を用いて周期的に幅が狭
くなるような部材を作り、その幅が広い部分を個々の混
合羽根とし、幅が狭い部分を連結部とすることができる
(図5A参照)。この連結部を一定角度ずつ捻ると、個
々の混合羽根が管内で方向が異なるような複数の混合羽
根が容易に作製できる(図5B参照)。これは、管の内
径にほぼ合った外形を持つので、特段の支持部材がなく
ても管の中に入れてその端部を固定等するだけで良好な
混合性を備える混合羽根が容易に作製できる。このよう
な複数の混合羽根は、必ずしも図5Bに記載のようなも
のに限定されるものではない。また、捻る角度は特に規
則的である必要もない。また、本発明の混合羽根が他の
作製方法、例えば、樹脂成形品、立体的な機械加工品等
であっても本発明の殺菌水製造装置は良好に動作するこ
とは言うまでもない。
特には問わない。任意の送水ポンプや吸引ポンプが使用
できる。また、水道水など、予め加圧されて供給される
水源を用いても良い。しかし、さらに好ましくは、上記
いずれかの本発明の態様において、水流が前記混入器の
上流にあるポンプで作られているものとすることができ
る。このような構成にすると、ポンプの吐出圧で水流が
制御できるために、水流が安定しやすいという利点があ
る。また、ポンプに酸水溶液や塩素系水溶液といった薬
液が触れないために、ポンプに防錆処理などを行う必要
がない。本発明においては、ポンプの形式は任意のも
の、例えば渦流ポンプなどが使用できる。
記塩素系水溶液が次亜塩素酸ナトリウムとし、前記殺菌
水のpHが4.8以上7.5以下となるようにすること
ができる。次亜塩素酸の場合に酸性度(pH)を上記の
範囲に設定すれば、良好な殺菌水が実現できる。また、
本発明の何れの殺菌水製造装置においても、上記殺菌水
が安定して製造可能となる。
合物の酸水溶液と、次亜塩素酸ナトリウムもしくは二酸
化塩素またはこれらの混合物の塩素系水溶液とを水に混
合させて製造する殺菌水の製造方法であって、水流を第
1の流路と第2の流路に分離する分流ステップと、該分
流ステップに次いで、前記酸水溶液を第1の流路に混入
させて希釈酸水溶液を作る酸希釈ステップと、前記塩素
系水溶液を第2の流路に混入させて希釈塩素系水溶液を
作る塩素系水溶液希釈ステップと、該酸希釈ステップと
該塩素系水溶液希釈ステップの後において、前記希釈酸
水溶液と前記希釈塩素系水溶液とを混合するステップと
を備える殺菌水の製造方法も有効である。
合物の酸水溶液と、次亜塩素酸ナトリウムもしくは二酸
化塩素またはこれらの混合物の塩素系水溶液とを水に混
合させて製造する殺菌水の製造方法であって、水流に前
記酸水溶液を混入させて希釈酸水溶液を作る酸希釈ステ
ップと、該酸希釈ステップに次いで、前記塩素系水溶液
を混入させる塩素系水溶液混入ステップと、該塩素系水
溶液混入ステップの後において該水流を混合するステッ
プとを備える殺菌水の製造方法も有効である。これらの
製造方法において、塩素系水溶液の濃度は10ppmから
400ppmとすることができる。さらに好ましくは10
0ppmから300ppmとすることができる。この範囲の濃
度にある殺菌水を上記製造方法で製造すると、殺菌力が
高く、装置構成も簡単なために実用性が高い。
て詳細に説明する。 [実施の形態1]本発明の実施の形態に関して説明す
る。図1に本発明のある実施の形態である殺菌水製造装
置100の概略の系統図を示す。
が適当なポンプ11によって吸引および加圧送水され
て、そこに酸タンク2から酸水溶液21が混入されて酸
性水とされ、さらに、塩素系水溶液タンク3から塩素系
水溶液31が混入されて殺菌水が製造される。酸水溶液
21は流量調整部22によって混入量が制御され、逆止
弁23によって、水流が停止しているときに流路6と酸
タンク2が遮断されるように構成されている。
じて、純水、水道水、河川水、地下水等が適当である。
酸水溶液21は、適当な濃度(例えば8.5%)の塩酸
(塩化水素水溶液)や、酢酸などである。また、塩素系
水溶液31は適当な濃度(例えば12%)の次亜塩素酸
ナトリウム水溶液や、二酸化塩素などである。
に分かれて、それぞれに酸水溶液21、塩素系水溶液3
1が混入される。酸水溶液21は混入部41において原
水に混入して希釈されて希釈酸水溶液が作られ、また、
塩素系水溶液31は混入部42において混入されて希釈
塩素系水溶液が作られる。希釈酸水溶液および希釈塩素
系水溶液は、さらにその下流にある混合器5で混合され
て、水と酸水溶液と塩素系水溶液とを含んでなる殺菌水
81が製造される。この殺菌水81はタンク8に蓄えら
れてもよい。あるいは、殺菌水として直接使用されても
良い。タンク8に蓄える場合には、液面センサ9によっ
てタンク内の殺菌水の量を検知し、制御手段10によっ
てポンプ11を制御して、殺菌水を一定量確保するよう
にすることができる。本実施の形態においては、上記の
混入部41と混入部42が混入器4の中に共に備えられ
ている。混入器4には、原水1に酸水溶液を混入させる
第1の流路7と第2の流路6が共に含まれている。
系統図で表わされる殺菌水製造装置に用いられる本実施
の形態を実現する混入器4および混合器5の実施例につ
いて、図2および図3を用いて説明する。図2は、本実
施例の混入器40および混合器50の一部を切断して示
した概略斜視図である。本実施例では混入器40と混合
器50は共に円筒形状の外観を有し、互いに接続部59
によって接続されている。また、図3は、この混入器4
0と混合器50の一部の断面を示す断面図である。
は、水の導入口となる原水フランジ部46と、薬液導入
アセンブリ44Aおよび44Bが取り付けられている。
薬液導入アセンブリ44Aおよび44Bには、それぞ
れ、酸水溶液と塩素系水溶液とを受け入れる薬液導入口
45A,45Bが設けられている。混入器40の胴部4
40の内部には、可動弁(可動部)48が備えられてお
り、可動弁(可動部)48がコイルスプリング482に
よって、可動弁48の先端部483の向きに付勢されて
いる。
可動弁(可動部)48は、原水の圧力を面481で受け
ると、コイルスプリング482を圧縮させて第1の流路
6および第2の流路7に原水1が流れ得るように移動す
る(図2仮想線、開位置)。コイルスプリング482
は、エンドキャップ484によって胴部440に固定さ
れている。このエンドキャップ484には、リーク穴4
85が空けられていて可動弁48の背圧を大気圧に逃が
している。
路6、7の付近では、水流が絞られているので、水流の
流速が早くなり、ベルヌーイの原理に従って、酸水溶液
や塩素系水溶液が薬液導入アセンブリ44Aの逆止弁4
42A、442Bから導入される。可動弁48が開位置
にあるとき、これらの逆止弁442A、442Bは共に
開状態にある。この混入される位置は、先の図1におけ
る混入部41、42に相当するため、図2においても同
様の符合で混入部41と混入部42として示す。
1は、混合器40の内部では、分離壁47の片側として
規定される第1の流路6と分離壁47の他方の片側とし
て規定される第2の流路7とに分かれて流れる。図2、
3において、第1の流路6と第2の流路7は、それぞれ
分離へ器47の上側、下側として示されている。分離壁
47は、第1の流路6と第2の流路7を分離するように
構成されている。各流路の水流には二つの薬液導入アセ
ンブリ44A,44Bからそれぞれ酸水溶液と塩素系水
溶液が混入される。第1の流路と第2の流路を流れる酸
水溶液と塩素系水溶液は混入器内では互いに混ざること
はない。このように、本実施例の混入器40の内部に
は、第1の流路と第2の流路が備えられていて、それぞ
れを流れる水流において、分離された状態で酸水溶液と
塩素系水溶液が吸込み混入されて希釈される。混入は、
水流の流速に応じて発生する負圧によっておこなわれる
ので、酸水溶液や塩素系溶液を混入させるためだけのポ
ンプなどは特には必要ない。
圧が所定の値よりも低い場合には、可動弁48の先端部
483が第1の流路6と第2の流路7とを遮断するよう
に配置される(図3の実線の位置、閉位置)。このとき
は、さらに、薬液導入アセンブリ44A,44Bの逆止
弁442A,442Bが可動弁48の先端部483によ
って押し込まれるために、それぞれ第1の流路6と第2
の流路7からも酸水溶液や塩素系水溶液が遮断される。
これにより、原水1の送水圧が一定以上でない場合に
は、原水の送水が遮断されるだけでなく、酸水溶液や塩
素系水溶液の混入も停止される。第1の流路6と第2の
流路7において混合部41と混合部42とで希釈された
希釈酸水溶液と希釈塩素系水溶液は、8度の開口テーパ
角を有するスカート部49を通過して流速が低下してか
ら、下流に接続された混合器50に流出してゆく。
40に組み合わせられている薬液混入アセンブリ44
A,44B(以下まとめて44と示す)は、円筒形の胴
部440、薬液導入口45、逆止弁442、流量調整ネ
ジ444、流量調整ネジ用Oリング446からなる(図
4)。円筒形の胴部440には薬液導入口45が捻じ込
まれて取り付けられている。薬液導入口45の内部には
流路がある。この流路からの薬液は、胴部440の内部
に設けられた流量調整ネジ収容部に導入されて、胴部4
40の中心軸に沿った薬液流路447へと流出してゆ
く。流量調整ネジ444は、ネジの回転によって薬液流
路447における薬液の流量を、流量調整ネジ444の
先端部445で調整できるように、胴部440にネジ込
み可能にされていて、適当なOリング446でシールさ
れている。薬液流路447を流れた酸水溶液や塩素系水
溶液といった薬液は、逆止弁442へと流れ、その内部
の薬液流路449から流出してゆく。逆止弁442は、
可動部48の先端部483(図3)が逆止弁442の先
端部448を押し込むと、逆止弁442と胴部440の
間に作られる開閉部446が遮断されるために、薬液の
流路が遮断される。
混合器50は、酸水溶液と塩素系水溶液の上記のように
して希釈された溶液を共に受け入れる(図2、図3)。
混合器50では、パイプ部51が混入器40の流出口に
接続部59によって液体の漏れがないように接続され
る。パイプ部51の内部には、混合羽根53を多数備え
る混合羽根体52が配置される。混合羽根体52はパイ
プ部51に対して位置が固定されている。後述する構造
上の特徴によって、個々の混合羽根53がそこを流れる
水流に乱流を起こさせて、溶質等の濃度の不均一を均質
で一様となるように強く混合させる。
ある混合器50においては、混合羽根体20は、板部材
から作製される。この板部材は、混合器50のパイプ部
51の長手方向に沿って伸びていてパイプ部51の内径
に収まる幅を有し、一定の長手方向の周期でくびれを有
する形状(図5A参照)にまず加工される。この加工
は、任意の加工手段(例えばプレス打ち抜き)を用いる
ことができる。本実施例での板材は、板厚2mmの1枚
のステンレス板を用いている。次に、長手方向を軸とす
るようにこの形状の板材をくびれのところで捻ることに
よって、図3に示されたような連結部54で連結されて
いる複数の混合羽根53を有する混合羽根体52が作製
される。
3は、混合器内部56を流れる水流に対して混合羽根5
3の主面531が流れに沿うように配置され、混合羽根
53自体が流れに斜めに向けられてはいない。しかし、
混合羽根53が水流中に配置されると、水流の下流にカ
ルマン渦列が生成される(図5C)。このカルマン渦列
は時間と共に次々と生成されて水流と共に下流に流れて
ゆくために、個々の渦自体が決まった位置に固定される
ものではないが、渦列は混合羽根52の下流で次々と生
成され続ける。このカルマン渦列は、そこを流れる水流
の流速が増すと生成される時間的な周期が短くなるとい
う性質を有する。そしてさらに水流の流速が増すと、カ
ルマン渦列はほぼ完全な乱流へと変化してゆく。本実施
例では、可動弁48が開位置になる送水圧の場合には、
少なくともカルマン渦列が生成されるように可動弁48
の動作圧を設定している。
3の方向は異なる方向を向いている(図5B)。したが
って、混合器50におけるパイプ51の内部の水流は、
パイプ51内部の任意の断面の位置を流れるものであっ
ても十分に混合される。これは、より流速が高くて乱流
となる場合であっても同様である。
材質、作製方法、形状の構成を開示しているが、その材
質、作製方法、形状には変形が可能である。つまり、材
質の変形として、例えば、プラスティックで同様の形状
の混合羽根体を作ることもできる。また、作製方法の変
形として、例えば、機械加工で同様の形状の混合羽根体
を作ることもできる。また、形状の変形として、一定の
方向の差を有するように捻られている上記実施例の複数
の混合羽根の替わりに、ランダムな方向の差となるよう
な形状とすることができる。また、個々の羽根の形状も
上記の実施例とは異なり、板状ではなく、例えば円断面
であったり、三角形であってもよい。いずれにしても、
混合羽根の方向が異なっていて、混合羽根のそれぞれで
水流に実質的な乱流を発生させるものであれば本発明の
手段とすることができる。
って、3液の混入が可能な混入器を用いて、殺菌水を安
定して製造でき、簡便な構成を有する殺菌水製造装置が
作製できた。
に関して説明する。図6に本発明の他の実施の形態であ
る殺菌水製造装置101の概略の系統図を示す。殺菌水
製造装置101においては、殺菌水製造装置100と同
様に、原水1が適当なポンプ11によって加圧送水され
て、そこに酸タンク2から酸水溶液21が混入されて希
釈酸水溶液とされ、さらに、塩素系水溶液タンク3から
塩素系水溶液31が混入されて殺菌水が製造される。
数の流路ではなく、一系統の流路を流れる。流路を流れ
てくる原水1には、酸水溶液21、塩素系水溶液31が
この順に混入される。酸水溶液21は混入部410にお
いて原水に混入して希釈されて希釈酸水溶液が作られ、
そこに塩素系水溶液31が混入部420において混入さ
れる。この殺菌水は、さらにその下流にある混合器5で
混合されて、水と酸水溶液と塩素系水溶液とを含んでな
る殺菌水81が製造される。殺菌水81がタンク8や液
面センサ9、制御手段10とともに用いられる点や、ポ
ンプ11がこの制御手段10で制御される点などは先の
実施の形態と同様である。本実施の形態において、上述
の混入部410と混入部420は混入器400の中に共
に備えられている。
を実現する混入器401の実施例について、図7を用い
て説明する。図7は、本実施例の混入器401と混合器
50の一部の断面を示す断面図である。なお、酸水溶液
が混入する混入部410は薬液導入アセンブリ44の出
口にあたり、塩素系水溶液が混入する混入部420は可
動弁403の先端部408の出口に相当する。
には、水の導入口となる原水フランジ部46と、薬液導
入アセンブリ44および404が取り付けられている。
薬液導入アセンブリ44は、先の実施例で説明した44
Aと同様である。薬液導入アセンブリ404は逆止弁を
備えておらず、混入器401の胴部402に取り付けら
れて、胴部402の内部に備えられた可動弁(可動部)
403に薬液を導入する。
(可動部)403は、原水の圧力を面405で受ける
と、先の実施例と同様に、コイルスプリング406を圧
縮させる。このとき、可動弁403の肩部407は薬液
導入アセンブリ44の逆止弁442の先端部から酸水溶
液が混入されるよう、流路を遮断しない位置に配置され
る。また、可動弁403の先端部408も、可動弁40
3の内部にある薬液流路414からの塩素系水溶液が混
入されるよう、可動弁ストッパー409からはなれた位
置に配置される(図7仮想線、開位置)。
を備えていて、薬液導入アセンブリ404から導入され
る薬液は薬液流路414を流れて、可動弁403の先端
から流出する。薬液導入アセンブリ44の逆止弁442
の先端部付近や薬液流路414の出口付近では、水流に
よって酸水溶液や塩素系水溶液が吸引されて水流に混入
される。この混入される位置は、それぞれ先の図1にお
ける混入部410、420に相当するため、図7におい
ても同様の符合で混入部410と混入部420として示
す。
流路は一系統である。ここでは、まず酸水溶液が水に混
入されて希釈され、その下流で塩素系水溶液が混入され
る。これらは、水流に生じる負圧によって吸込み混入さ
れて希釈される。先の実施形態と同様に、負圧によって
酸水溶液や塩素系水溶液を水流に混入することができる
ので、混入させるためだけのポンプなどは特には必要な
い。
圧が所定の値よりも低い場合には、可動弁(可動部)4
03がコイルスプリング406によって付勢され、可動
弁403の先端部408は塩素系水溶液の流路を遮断
し、可動弁403の肩部407は逆止弁442と協働し
て酸水溶液の流路を遮断するように配置される(図7の
実線の位置、閉位置)。薬液導入アセンブリ44および
そこに備えられた逆止弁442の作用は先の実施例と同
様である。可動弁403の先端部408における薬液流
路414の出口には、可動弁ストッパー409の先端が
嵌合し、薬液流路414から塩素系水溶液が流出するこ
とはない。このように、原水1の送水圧が一定以上でな
い場合には、原水の送水が遮断されるだけでなく、酸水
溶液や塩素系水溶液の供給も停止される。
44や混合器50の目的、構成、作用は、先の実施例の
ものと同様である。
いることによって、3液の混入が可能な混入器を用い
て、簡便な構成を有するような図6に示す系統を有する
殺菌水製造装置が作製できた。これにより、安定して簡
易に殺菌水を製造できた。
造装置によって、塩素系水溶液の濃度を変更した場合に
ついて説明する。
率を変更することにより濃度を変更して、殺菌水の性質
について検討を行った。なお、本発明において希釈する
前の塩素系水溶液としては、濃度12%の次亜塩素酸ナ
トリウム水溶液を用い、図1に記載の系統を有する殺菌
水製造装置であって、図2、図3に示す実施例の混入器
および混合器を備えている装置を用いた。表1に希釈率
ごとに最終的な塩素系水溶液の濃度と、各濃度における
殺菌水の殺菌力を評価した。
示しており、「普通」という指標では、酸水溶液によっ
て液性を調整しない場合の1000ppmの塩素濃度の場
合に相当する殺菌力を示している。「十分」はこれより
も高い殺菌力を示しており、食品分野に適用するのに十
分な程度であった。また、「強い」は、食品分野では通
常必要がない程度の強い殺菌力を示している。
塩素酸ナトリウム濃度が1200ppmのものは、実際の
使用に際しては、強い塩素臭を放つものであって、長時
間の作業に用いる用途には適さなかった。これは、本発
明の殺菌水製造装置では、酸濃度や塩素系水溶液濃度に
若干の不均一性を含んだままの水流を混合器で互いに混
合するためである。これにより、殺菌水の製造条件が若
干変動することがあり、特に可動弁48の開閉時などに
塩素臭が感じられた。
100ppm、300ppm、400ppmのものは塩素臭がす
ることは無く、長時間の作業に用いる用途でも使用可能
であった。また、次亜塩素酸ナトリウム濃度が10pp
m、のものは、酸水溶液による液性の調整がされていな
い従来の場合の1000ppmの濃度の場合とおおよそ同
程度の殺菌力を示していたが、これも塩素臭は弱く、長
時間浸漬して殺菌する用途などでは有用であった。
次亜塩素酸ナトリウムもしくは二酸化塩素またはこれら
の組み合わせからなる塩素系化合物と、塩酸などからな
る酸水溶液とを、水に混合させて製造する殺菌水の製造
装置において、塩素ガスを発生させたり溶存させること
無く塩素系化合物の水溶液を弱酸性から中性にすること
ができる。本発明の混入器は、酸水溶液と塩素系化合物
を共に混入させるために、小型で簡易な構造によって酸
水溶液と塩素系化合物を混入させることができ、しか
も、安定した混入が実現する。
流を用いる混合器によって、殺菌水の濃度が均一とな
る。これにより、殺菌水中の塩素濃度が一定になり、安
定した殺菌力が発揮される。本発明の酸水溶液や塩素系
化合物の混入にポンプを用いずに水流に生じる負圧によ
り吸込み混入させる構成によれば、混入の際に脈動が無
く、水流中の酸や塩素の濃度が時間的に変動することが
無い。加えて、本発明の殺菌水のpHを4.8以上7.
5以下とする構成によれば、殺菌力が高まり、より少な
い塩素系水溶液の濃度で高い殺菌力が得られる。
の構成を示す系統図である。
造を示す斜視透視図である。
示す断面図である。
造を示す断面図である。
と作用を示す概略図である。
の構成を示す系統図である。
示す断面図である。
Claims (11)
- 【請求項1】 塩酸もしくは酢酸またはこれらの混合物
の酸水溶液と、次亜塩素酸ナトリウムもしくは二酸化塩
素またはこれらの混合物の塩素系水溶液とを水に混合さ
せて製造する殺菌水の製造装置であって、 水流の一部に前記酸水溶液を混入させて希釈酸水溶液を
作る第1の流路と前記水流の残りに前記塩素系水溶液を
混入させて希釈塩素系水溶液を作る第2の流路とを備え
る混入器と、 前記第1の流路および前記第2の流路の下流に配置さ
れ、前記第1の流路からの前記希釈酸水溶液と前記第2
の流路からの前記希釈塩素系水溶液とを混合させる混合
器とを含む殺菌水製造装置。 - 【請求項2】 前記混入器は、前記第1の流路と前記第
2の流路において水流に生じる負圧により、前記酸水溶
液および前記塩素系水溶液を吸込み混入させる混入器で
あって、ポンプによる混入を行わないことを特徴とする
請求項1に記載の殺菌水製造装置。 - 【請求項3】 前記第1の流路と前記第2の流路が分離
壁によって分離されていることを特徴とする請求項1ま
たは2に記載の殺菌水製造装置。 - 【請求項4】 塩酸もしくは酢酸またはこれらの混合物
の酸水溶液と、次亜塩素酸ナトリウムもしくは二酸化塩
素またはこれらの混合物の塩素系水溶液とを水に混合さ
せて製造する殺菌水の製造装置であって、 水流に前記酸水溶液を混入させて希釈酸水溶液を作る流
路を備えてなり、該希釈酸水溶液に前記塩素系水溶液を
混入させる混入器と、 該混入器の下流に配置されて前記水流を混合させる混合
器とを含む殺菌水製造装置。 - 【請求項5】 前記混入器は、前記酸水溶液および前記
塩素系水溶液を水流に生じる負圧によって吸込み混入さ
せる混入器であって、ポンプによる混入を行わないこと
を特徴とする請求項4に記載の殺菌水製造装置。 - 【請求項6】 前記混入器は、水流の送水圧によって水
流の流路の開閉動作をする可動部を備え、該開閉動作に
よって、前記酸水溶液または前記塩素系水溶液の少なく
ともいずれかを混入させる逆止弁の開閉を動作させるこ
とを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の殺菌水
製造装置。 - 【請求項7】 前記混合器が水流を実質的な乱流にして
混合する静止型混合器である請求項1〜6のいずれかに
記載の殺菌水製造装置。 - 【請求項8】 前記混合器は、管内の水流において混合
を行う混合器であって、それぞれ方向の異なる複数の混
合羽根が該管の長手方向に沿って該管内に配置されてお
り、該混合羽根のそれぞれによって管内の水流に実質的
な乱流を発生させて水流を混合させる静止型混合器であ
る請求項7に記載の殺菌水製造装置。 - 【請求項9】 前記複数の混合羽根は、平面状の板部材
に設けた幅の狭い連結部で該板部材を捻ることによって
作製されたものである請求項8に記載の殺菌水製造装
置。 - 【請求項10】 請求項1〜10のいずれかに記載の殺
菌水製造装置において、水流が前記混入器の上流にある
ポンプで作られている殺菌水製造装置。 - 【請求項11】 前記塩素系水溶液が次亜塩素酸ナトリ
ウムである請求項1〜10のいずれかに記載の殺菌水製
造装置において、前記殺菌水のpHが4.8以上7.5
以下となるようにした殺菌水製造装置。
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