JP2003325172A - ニトリルヒドラターゼ凍結体の解凍方法 - Google Patents
ニトリルヒドラターゼ凍結体の解凍方法Info
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Abstract
ルヒドラターゼの状態が精製酵素、粗精製酵素、酵素を
含む微生物菌体、酵素または酵素を含む微生物の固定化
物、酵素を含む微生物を含む培養液である凍結体の失活
の少ない工業的な解凍方法を提供する。 【解決手段】本発明者らは、活性の高いニトリルヒドラ
ターゼを含む精製酵素、粗精製酵素、酵素を含む微生物
菌体、酵素または酵素を含む微生物の固定化物、酵素を
含む微生物を含む培養液の凍結体であるところの安定な
解凍方法において解凍浴槽温度を5〜25℃に制御する
ことにより、活性の低下が少なく安定的に凍結体を解凍
する方法を見出した。さらに凍結解凍を促進する為、解
凍時に振とうすることにより、大幅に解凍時間を短縮す
ることが可能となった。
Description
生産等、工業的に有用であるニトリルヒドラターゼ凍結
体の解凍方法に関するものである。
庫やディープフリーザーにより凍結保存することが良く
用いられる。また、酵素の凍結保存の形態は一般的に
は、アンプルや培養液もしくは集菌液の状態で凍結され
ている。このように凍結されている酵素は、必要なとき
に解凍して各種酵素反応に用いられる。この解凍におい
て重要なことは速やかに解凍することである解凍に時間
がかかりすぎると酵素へのダメージが大きく、酵素が失
活する。また、解凍時に温度を上げすぎると酵素が失活
する可能性もある。
0%以下が好ましいとされ、さらに好ましくは限りなく
0%に近いことが良いとされる(ここで言う活性とは、
実施例記載の方法で測定したニトリルの水和活性であ
る。)。一般的には、室温で自然解凍する方法がとられ
ているが、酵素を工業的に大量使用する際の解凍方法
は、ほとんど知られていない。
ルヒドラターゼの状態が精製酵素、粗精製酵素、酵素を
含む微生物菌体、酵素または酵素を含む微生物の固定化
物、酵素を含む微生物を含む培養液のいずれかである解
凍方法は知られていない。
1に示されているように動物細胞の解凍に定温エアーを
用いる方法や、特開平5−316926、特開平6−1
74238などのようにマイクロ波などを用いる方法が
とられている。しかし、いずれも工業的な酵素利用を考
えると特殊な装置でかつ大掛かりになり、設備費が高騰
すると考えられる。
温であることが望ましい一方、温度を下げることによ
り、工業的に酵素を解凍する際の解凍時間が増大し、そ
の解凍施設の製作費用および温度を保持する維持費用
が、温度を下げるとともに飛躍的に増大する。したがっ
て、安定でより高い温度で酵素を解凍することが経済的
により望ましい。
の高いニトリルヒドラターゼまたはニトリルヒドラター
ゼの状態が精製酵素、粗精製酵素、酵素を含む微生物菌
体、酵素または酵素を含む微生物の固定化物、酵素を含
む微生物を含む培養液である凍結体の失活の少ない工業
的な解凍方法を提供することである。
ヒドラターゼ凍結体を解凍する際に、解凍浴槽水温を5
〜25℃とすることを特徴とするニトリルヒドラターゼ
凍結体の解凍方法に関するものである。解凍時には振と
うしながら、特に往復運動をしながら溶解すると効果的
である。
精製酵素、粗精製酵素、酵素を含む微生物菌体、酵素ま
たは酵素を含む微生物の固定化物、および酵素を含む微
生物を含む培養液からなる群から選ばれる少なくとも1
種の凍結体である。前記微生物は、好ましくは遺伝子組
換え微生物であり、さらには大腸菌であることが好まし
い。
宿主が、Escherichia coli K−12由来のW3110株
(ATCC27325)、HB101株(ATCC33
694)、JM109株(ATCC53223)および
WA802株(ATCC33526)からなる群から選
ばれる少なくとも1種であることを特徴とするニトリル
ヒドラターゼ凍結体の解凍方法を提供する。
ヒドラターゼの状態は精製酵素、粗精製酵素、酵素を含
む微生物菌体、酵素または酵素を含む微生物の固定化
物、酵素を含む微生物を含む培養液である。また、これ
らの状態のニトリルヒドラターゼを凍結保存する前に熱
処理した場合も本発明に含まれる。
触媒を生産し菌体内に蓄積または菌体外に分泌する性質
を有しており、この微生物には自然界より単離された微
生物も遺伝子組換え微生物も含まれる。
具体例としては、シュードノカルディア・サーモフィラ
JCM3095、アクロモバクター・キセロシス(Achro
mobacter xerosis)IFO12668等を挙げることが
できる。また該微生物よりクローニングしたニトリルヒ
ドラターゼ遺伝子を、任意の宿主で発現させた形質転換
体も含まれる。ここでいう任意の宿主としては、大腸菌
(Escherichia coli)の他、枯草菌(Bacillus subtili
s)等のバチルス属、酵母や放線菌等が挙げられる。遺伝
子組換替え大腸菌の宿主としては、例えばEscherichia
coli K-12由来W3110株(ATCC27325)、同HB
101株(ATCC33694),同JM109株(ATCC5322
3),同WA802株(ATCC33526)株を挙げることがで
きる。
ク質の構成アミノ酸の1個または2個以上を他のアミノ酸
で置換、欠失、削除もしくは挿入することにより、薬剤
耐性、温度耐性等を更に向上させた変異型のニトリルヒ
ドラターゼを発現させた形質転換体も本発明の微生物に
含まれる。
工学、遺伝子工学の分野において、公知の一般的な方法
を利用して調製される。例えば、LB培地やM9培地等
の通常液体培地に該微生物を植菌した後、適当な培養温
度(一般的には30〜50℃であるが、好熱菌の場合は
50℃以上でもよい。)で生育させることにより得られ
る。
の固定化物とは、通常よく知られている、固定化酵素,
固定化微生物の調整方法により調製される酵素または酵
素を含む微生物の固定化物であり、その例としてはポリ
アクリルアミド、アルギン酸、κ―カラギーナンで固定
化した酵素または酵素を含む微生物等が挙げられる。
50%以上、好ましくは90%以上容器を漬けた段階
で、解凍浴槽温度を5〜25℃、より望ましくは10〜
20℃であることを特徴とする。また本発明は、安定化
剤を積極的に添加せずとも安定的に解凍する方法ではあ
るが、還元剤、酵素の基質、生成物等の安定化剤を添加
しても良い。pHについては特に制限はないがpH4〜
10、より望ましくはpH6〜8であれば良い。
行われるように振とうを加えるのが好ましい。振とう
は、容器を固定した台(ターンテーブル)にモーターを
取り付けたものを用意し、モーターを動かし、ターンテ
ーブルを動かす構造のものである。振とう条件は、往復
運動を伴うものが望ましい。
往復/分(1分間に1回直線で70mm動いて戻ってく
ることを言う)以上であれば良いが、極端に振とう数を
上げると容器の転倒や破損、装置の異常振動等を引き起
こす可能性があるので200往復/分(振幅70mm
時)以下が望ましい。
は、70mm程度が好ましいが、これに限定されるもの
ではない。また容器の運動に円もしくは8の字のような
回転運動を加えたものでもかまわない。
詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定される
ものではない。
はニトリルヒドラターゼ遺伝子が大腸菌HB101株に
導入され、三井化学株式会社が寄託しているMT−10
822株(FERM BP―5785、特開平11−2
53168号公報参照)を用いた。
成の培地15.0Lを調製し、121℃・20分間の高
圧蒸気により滅菌した。この培地に終濃度が50μg/
mlとなるようにアンピシリンを添加した後、上記菌株
を一白金耳植菌し、37℃・700rpmにて20時間
培養した。また、この際、培養開始約15時間後にIP
TG(Isopropyl-β-D-thiogalactopyranoside)を終濃
度100μmol/Lになるよう添加し培養する。
5分間)により菌体のみを培養液より分離し、分離した
液に流動性を持たせるため固形分率が約15重量%とな
るように集菌時の上澄み液を加えて湿菌体(以下集菌
液)を得た。この一部をサンプリングし下記方法にて酵
素活性測定した。
容器(縦30×横30×高さ45cm)に18Kgずつ
充填し、−25℃の各温度の冷凍庫にて凍結し、完全に
凍結したのを確認した後、各容器を解凍浴槽(縦50×
横50×高さ50cm)に入れ、恒温水循環装置で解凍
槽内が25℃の一定水温になるように調節しながら解凍
した。ここでいう解凍終了とは、解凍容器表面の氷の塊
(2mm)以上が無くなった時を目視で確認して解凍終
了と定義した。
を実施し、その活性を測定した。次式、活性残存率
(%)=(凍結溶解後の活性/凍結前の活性)×100
にて活性残存率を求めた。その結果を表1に示す。
体液それぞれの、酵素活性を以下の手順で測定する。各
画分液を50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)に
より適当に希釈し、これに1重量%のアクリロニトリル
を添加して10℃で10分間反応させる。反応液にこれ
と等量の1Mリン酸水溶液を添加して反応を停止させ、
生成したアクリルアミド濃度を高速液体クロマトグラフ
ィー(以下、HPLCと略)分析により測定する。HP
LCカラムはULTRON 80HG(50×8φm
m)を用い、10mMリン酸水溶液を展開液として使用
する。アクリルアミドは220nmの吸光度により検出
する。
溶解槽温度を変化させながら、振とうさせずに残存活性
と解凍時間を(実施例1)記載の方法で測定した。その
結果を表1に示す。
L/分)
させながら(70rpm、振幅70mm)解凍したこと以
外は前記実施例1〜5および比較例1〜2と同様の方法
で解凍を行った後、同様の方法で残存活性と解凍時間を
測定した。その結果を表2に示す。
分)・循環水量20L/分)
表3のように変化させながら(振幅70mm)解凍を行
った以外は、実施例7と同様の方法で解凍を行い、解凍
残存活性と解凍時間を測定した。結果を表3に示す。
分・振幅70mm)
いニトリルヒドラターゼまたはニトリルヒドラターゼの
状態が精製酵素、粗精製酵素、酵素を含む微生物菌体、
酵素または酵素を含む微生物の固定化物、酵素を含む微
生物を含む培養液であるところの解凍方法、特に凍結解
凍方法を提供することである。本発明はニトリルヒドラ
ターゼの産業上の利用において有用な解凍方法である。
Claims (8)
- 【請求項1】ニトリルヒドラターゼ凍結体を解凍する際
に、解凍浴槽水温を5〜25℃とすることを特徴とする
ニトリルヒドラターゼ凍結体の解凍方法。 - 【請求項2】前記解凍浴槽水温が10〜20℃であるこ
とを特徴とする、請求項1に記載のニトリルヒドラター
ゼ凍結体の解凍方法。 - 【請求項3】ニトリルヒドラターゼ凍結体の解凍時に振
とうしながら溶解することを特徴とする、請求項1また
は2に記載のニトリルヒドラターゼ凍結体の解凍方法。 - 【請求項4】振とうが往復運動であることを特徴とす
る、請求項3に記載のニトリルヒドラターゼ凍結体の解
凍方法。 - 【請求項5】前記ニトリルヒドラターゼ凍結体が、精製
酵素、粗精製酵素、酵素を含む微生物菌体、酵素または
酵素を含む微生物の固定化物、および酵素を含む微生物
を含む培養液からなる群から選ばれる少なくとも1種の
凍結体であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれ
かに記載のニトリルヒドラターゼ凍結体の解凍方法。 - 【請求項6】前記微生物が遺伝子組換え微生物であるこ
とを特徴とする、請求項5に記載のニトリルヒドラター
ゼ凍結体の解凍方法。 - 【請求項7】遺伝子組換え微生物が遺伝子組換え大腸菌
であることを特徴とする、請求項6に記載のニトリルヒ
ドラターゼ凍結体の解凍方法。 - 【請求項8】遺伝子組換え大腸菌の宿主が、Escherichi
a coli K−12由来のW3110株(ATCC2732
5)、HB101株(ATCC33694)、JM10
9株(ATCC53223)およびWA802株(AT
CC33526)からなる群から選ばれる少なくとも1
種であることを特徴とする、請求項7に記載のニトリル
ヒドラターゼ凍結体の解凍方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002138141A JP2003325172A (ja) | 2002-05-14 | 2002-05-14 | ニトリルヒドラターゼ凍結体の解凍方法 |
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Publications (1)
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Country | Link |
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JP (1) | JP2003325172A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012096361A1 (ja) * | 2011-01-14 | 2012-07-19 | ダイヤニトリックス株式会社 | 微生物菌体の輸送方法 |
-
2002
- 2002-05-14 JP JP2002138141A patent/JP2003325172A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2012096361A1 (ja) * | 2011-01-14 | 2012-07-19 | ダイヤニトリックス株式会社 | 微生物菌体の輸送方法 |
CN103620030A (zh) * | 2011-01-14 | 2014-03-05 | 三菱丽阳株式会社 | 微生物菌体的运输方法 |
JP5880447B2 (ja) * | 2011-01-14 | 2016-03-09 | 三菱レイヨン株式会社 | 微生物菌体の輸送方法 |
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