JP2003324317A - 発振器、この発振器を用いた電子機器、および発振器の発振方法 - Google Patents

発振器、この発振器を用いた電子機器、および発振器の発振方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水晶片のカット方向を改善したSAW共振子
を用いて分周回路を付加することにより、周波数−温度
特性の良い低周波用水晶発振器を実現する。 【解決手段】 本発明のSAW共振子12は、水晶片の
光軸および電気軸に対するカット角度を改善して周波数
−温度特性を改善した高周波用のSAW共振子である。
SAW共振子12を用いてコルピッツ型の発振回路13
を高周波発振させて高周波(たとえば、400MHz)
の発振信号を生成し、その発振信号から差動変換回路1
4を介して180°位相の異なる2つの差動信号を生成
する。差動信号を分周して低周波(たとえば、100M
Hz)の差動発振信号を生成し、出力回路16によって
発振信号を整形して、低周波(100MHz)の出力信
号を生成する。これにより、周波数−温度特性のよい低
周波用の水晶発振器11を実現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弾性表面波(SA
W:Surface Acoustic Wave)を利用したデバイスであ
るSAW共振子を搭載した発振器、この発振器を用いた
電子機器および発振器の発振方法に関し、より詳細に
は、水晶片のカット方向の変更で周波数−温度特性を改
善したSAW共振子を用いて高い周波数で発振させ、そ
の発振周波数を内蔵の分周回路で分周した分周周波数を
得る発振器、この発振器を用いた電子機器およびこの発
振器を用いた発振器の発振方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図1は、従来のSTカット型SAW共振
子を用いた水晶発振器の概略の構成を示したブロック図
である。同図に示すように、水晶発振器1は、STカッ
ト型SAW共振子2を用いてコルピッツ発振回路などの
発振回路3を発振させ、出力回路4によって波形整形し
た後に出力信号を送出している。STカット型SAW共
振子2を用いた水晶発振器1は、100MHz〜数GH
zの周波数をダイレクトに発振することが可能であり、
耐衝撃性や水晶発振器のジッタ特性を改善した水晶振動
子である。
【0003】このようなSTカット型SAW共振子2を
用いて構成された水晶発振器1は、100MHz帯でS
AW共振子の大きさは5×1.5(mm)程度であり、
STカット型SAW共振子2の発振周波数の発振信号が
そのまま出力回路4を介して出力信号として外部に送出
される。図の例では、STカット型SAW共振子2を用
いて発振回路3で発振された低周波数106.25MH
zの信号が、そのまま出力回路4から出力される(本願
明細書においては、100MHz程度の周波数は低周波
と呼ぶことにする)。出力回路4は、発振回路3から入
力された信号波形を、矩形波に整形する機能を有してい
る。STカット型SAW共振子2を用いた水晶発振器1
を400MHz帯以上の高周波(本願明細書において
は、400MHz以上の周波数を高周波と呼ぶことにす
る)で発振させる場合、水晶発振器1の高周波特性の測
定は、出力回路4から送出される出力信号波形を直接測
定することによって行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
STカット型SAW共振子を用いて構成された水晶発振
器は以下のような幾つかの問題点がある。第1の問題点
は、従来のSTカット型SAW共振子の周波数−温度特
性は、従来のATカット型SAW共振子の周波数−温度
特性と比べ、0℃〜70℃の温度範囲で60ppmぐら
い周波数が変動してしまう。そのため、近年の高速ネッ
トワーク通信機器を始めとする電子機器に求められてい
る通信品質の高信頼化の要請、つまり、低ジッタで安定
して発振することや、周波数−温度特性が良くて通信機
器の実用温度範囲において周波数変動幅が小さいこと、
といった要請に沿わないなどの不具合を生じる。
【0005】第2の問題点は、100MHz帯の低周波
数帯域においては、STカット型SAW共振子における
チップサイズの小型化が困難であり、水晶発振器の超小
型化という要請に沿わないことである。
【0006】第3の問題点は、STカット型SAW共振
子のCI値や発振回路の負性抵抗のバラツキが大きいた
め、出力回路から出力される出力信号波形のデューティ
比のバラツキが大きくなり、高精度な電子機器に要求さ
れる仕様を満足することが困難であることである。特
に、STカット型SAW共振子を用いた水晶発振器を4
00MHz帯以上の高周波領域に適用した場合において
は、負性抵抗のバラツキ(つまり、出力信号波形のデュ
ーティ比のバラツキ)が著しく大きくなるという問題が
ある。
【0007】以下にデューティ比について説明する。図
2は、発振回路の負性抵抗のバラツキに伴う出力信号波
形のデューティ比の変動を示す波形図であり、(a)は
発振回路3の発振信号波形であり、(b)は出力回路4
の出力信号波形である。また、実線は負性抵抗にバラツ
キのない場合の波形、破線は負性抵抗にバラツキを生じ
た場合の波形を示している。図2(a)に示す発振回路
3の発振信号波形と出力回路4の入力スレッショルド電
圧Vthとの交叉点において、同図(b)に示すように
出力回路4の出力信号波形は反転を繰り返している。負
性抵抗にバラツキのない実線波形の場合は、同図(b)
に示すように出力回路4の出力信号波形のデューティ比
(Th/T)は50%であるが、負性抵抗にバラツキが
あると破線波形の場合は、デューティ比(Th’/
T’)は50%以上となる。このように、負性抵抗にバ
ラツキが生じると出力回路4の出力信号波形のデューテ
ィ比は50%からずれてしまう。
【0008】第4の問題点は、STカット型SAW共振
子を使用した水晶発振器を400MHz帯以上の高周波
領域に適用した高周波用水晶発振器の高周波特性の測定
においては、出力回路4からの出力信号の取り出しはで
きる限り配線を短くすると共に、出力回路4の出力端か
ら高周波用測定器までの配線はストリップ線や同軸ケー
ブルなどを使用してインピーダンス整合をとる必要があ
る。特に、ソケットのコンタクトプローブは高周波領域
ではインダクティブ(誘導性)になり易く、高周波領域
での配線長に起因する伝送損失が発生するおそれがあ
る。そのため、出力信号波形に反射波が重畳して波形変
形を生じてしまうので、正確な周波数測定を行うことが
できないなどの問題もある。
【0009】本発明は、上述の課題に鑑みてなされたも
ので、その目的とするところは、水晶片のカット方向を
改善した高周波用のSAW共振子を用いた発振器で発振
した発振周波数を分周回路で分周させることにより、周
波数−温度特性の優れた低周波用の発振器を実現するこ
とにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、弾性表面波を利用したSAW(Surface
Acoustic Wave)共振子を搭載した第1の発振器であっ
て、前記SAW共振子を用いて高周波信号を生成する発
振回路と、前記発振回路からの高周波信号に基づいて位
相が180°異なる2つの差動信号を生成する差動変換
回路と、前記差動変換回路からの差動信号に基づいて周
波数分周を行い、低周波信号を生成する分周回路と、前
記分周回路から受信した低周波信号を波形整形して低周
波信号を得る出力回路とを備えたことを特徴とする。
【0011】また、本発明の第1の発振器の分周回路
は、分周比を選択するための複数の外部端子を備え、前
記複数の外部端子のいずれかに切替信号を選択的に供給
することにより、前記分周回路の分周比を選択的に切り
替えることを特徴とする。
【0012】また、本発明の第1の発振器は、さらに、
前記分周回路の分周比の設定情報を記憶する記憶手段
と、前記記憶手段に記憶されている分周比の設定情報に
基づいて、前記分周回路の分周比を切替制御する制御回
路とを備え、前記制御回路に対して外部からシリアル信
号を供給することにより、前記分周回路が分周比を切替
制御することを特徴とする。
【0013】また、本発明の第1の発振器の分周回路
は、複数の2分周器が直列接続された構成であり、前記
2分周器の直列接続数を切り替えることにより、前記分
周回路の分周比を切り替えることを特徴とする。
【0014】また、本発明の第1の発振器の発振回路は
コルピッツ型発振回路であり、前記コルピッツ型発振回
路は、トランジスタのコレクタ−ベース間に前記SAW
共振子と第1の抵抗とが並列接続され、該トランジスタ
のベース−エミッタ間に第1のコンデンサが接続され、
該トランジスタのコレクタ−エミッタ間に第2のコンデ
ンサが接続され、該トランジスタのコレクタ側が電流制
限用の第2の抵抗を介して電源に接続され、該トランジ
スタのエミッタ側がグランドに接続された構成となって
いることを特徴とする。
【0015】また、本発明は、弾性表面波を利用したS
AW(Surface Acoustic Wave)共振子を搭載した第2
の発振器であって、前記SAW共振子、移相回路、発振
用差動バッファ回路および帰還用差動バッファ回路から
なる正帰還ループを用いて高周波信号を生成する移相型
発振回路と、前記発振用差動バッファ回路を介して取り
出した高周波信号を波形整形し、高周波信号を出力する
出力用差動バッファ回路と、前記帰還用差動バッファ回
路を介して取り出した高周波信号を周波数分周して低周
波信号を生成する分周回路と、前記分周回路からの低周
波信号を波形整形して低周波信号を出力する出力回路と
を備えたことを特徴とする。
【0016】また、本発明の第2の発振器の前記移相型
発振回路において、前記帰還用差動バッファ回路が備え
る非反転出力端子および反転出力端子のいずれか一方は
前記分周回路に対し前記帰還バッファ回路から出力され
た高周波信号の入力用として機能し、他方は前記正帰還
発振ループ用出力として機能することを特徴とする。
【0017】また、本発明の第2の発振器の発振用差動
バッファ回路および前記帰還用差動バッファ回路はEC
Lラインレシーバを用いた差動増幅回路であることを特
徴とする。
【0018】また、本発明の第2の発振器の分周回路
は、分周比を選択するための複数の外部端子を備え、前
記複数の外部端子のいずれかに切替信号を選択的に供給
することにより、前記分周回路の分周比を選択的に切り
替えることを特徴とする。
【0019】また、本発明の第2の発振器は、さらに、
前記分周回路の分周比の設定情報を記憶する記憶手段
と、前記記憶手段に記憶されている分周比の設定情報に
基づいて、前記分周回路の分周比を切替制御する制御回
路とを備え、前記制御回路に対して外部からシリアル信
号を供給することにより、前記分周回路は分周比を切替
制御することを特徴とする。
【0020】また、本発明の第2の発振器の分周回路
は、複数の2分周器が直列接続された構成であり、前記
2分周器の直列接続数を切り替えることにより、前記分
周回路の分周比を切り替えることを特徴とする。
【0021】また、本発明の第2の発振器の分周回路の
前段に、前記バッファ回路から受信した高周波信号に基
づいて位相が180°異なる2つの差動信号を生成する
差動変換回路が設けられることを特徴とする。
【0022】また、本発明の発振器のSAW共振子は、
オイラー角が(0,113〜135、+(40〜4
9))にある面内回転STカット水晶板を用いることを
特徴とする。
【0023】また、本発明は、弾性表面波を利用したS
AW共振子を搭載した第1の発振器の発振方法であっ
て、前記SAW共振子を用いて高周波信号を生成する手
順と、前記発振回路からの高周波信号に基づいて位相が
180°異なる2つの差動信号を生成する手順と、前記
差動信号に基づいて周波数分周を行い低周波信号を生成
する手順と、前記低周波信号を波形整形して低周波信号
を出力する手順とを含むことを特徴とする。
【0024】また、本発明の第1の発振器の発振方法
は、第1の発振器が備える複数の外部端子のいずれか
に、切替信号を選択的に供給することにより、分周比を
選択的に切り替えることを特徴とする。
【0025】また、本発明の第1の発振器の発振方法
は、第1の発振器に外部からシリアル信号を供給するこ
とにより、あらかじめ記憶されている分周比の設定情報
に基づいて該分周比を切替制御することを特徴とする。
【0026】また、本発明の第1の発振器の発振方法
は、複数設けられた2分周器の直列接続数を切り替える
ことにより、前記分周比を切り替えることを特徴とす
る。
【0027】また、本発明は、弾性表面波を利用したS
AW共振子を搭載した第2の発振器の発振方法であっ
て、前記SAW共振子、移相回路、発振用差動バッファ
回路および帰還用差動バッファ回路からなる正帰還ルー
プを用いて高周波信号を生成する手順と、前記バッファ
回路を介して受信した高周波信号を波形整形し、高周波
出力信号を出力用差動バッファ回路に出力する手順と、
前記帰還用差動バッファ回路を介して取り出した高周波
信号を周波数分周して低周波信号を生成する手順と、前
記低周波信号を波形整形した低周波信号を第2の出力回
路に出力する手順とを含むことを特徴とする。
【0028】また、本発明の第2の発振器の発振方法
は、前記第2の発振器が備える複数の外部端子のいずれ
かに、切替信号を選択的に供給することにより、分周比
を選択的に切り替えることを特徴とする。
【0029】また、本発明の第2の発振器の発振方法
は、第2の発振器に外部からシリアル信号を供給するこ
とにより、あらかじめ記憶されている分周比の設定情報
に基づいて該分周比を切替制御することを特徴とする。
【0030】また、本発明の第2の発振器の発振方法
は、複数設けられた2分周器の直列接続数を切り替える
ことにより、前記分周比を切り替えることを特徴とす
る。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本発明にお
ける水晶発振器の実施の形態を詳細に説明する。本発明
における水晶発振器は、従来のST型SAW共振子に比
べて温度特性が良くなるようなカット角度でカットした
水晶片を用いたSAW共振子(以下、単にSAW共振子
という)によって構成された水晶発振器である。このS
AW共振子は、2次温度係数βが−1.6×10-8程度
となり、従来のST型SAW共振子に比べて周波数−温
度特性が2倍程度まで改善されている。このSAW共振
子のデバイス技術については特許第3216137号公
報に報告されている。以下にSAW共振子について簡単
に説明する。
【0032】図20は、本発明のSAW共振子に使用さ
れる水晶片のカット角度を示す図である。図20に示す
ように、水晶の結晶軸は、電気軸(X軸)、機械軸(Y
軸)、光軸(Z軸)によって定義され、STカットとは
オイラー角(φ、θ、ψ)が(0,0,0)の水晶Z板
2を、電気軸(X軸)まわりにθ:113〜135度回
転させた水晶板1からその結晶軸(X,Y’,Z’)に
沿って切り出され、このSTカット水晶板1のZ’軸ま
わりにさらにψ=±(40〜49)度回転させ、弾性表
面波の伝播方向がこの方向となるように作製された圧電
振動子がZ’軸まわりに面内回転させたSTカットSA
W共振子3である。なお、光軸とは水晶片に入射する2
つの光の法線速度が等しくなる軸であり、電気軸とは水
晶片の媒質における誘電率を表わすテンソル楕円体の主
軸である。
【0033】この面内回転STカットSAW共振子3
は、周波数変化率が小さくて温度特性が極めてよいこと
が知られており、その温度特性は、変曲点が110°C
近辺にある3次関数温度特性である。この3次関数温度
特性において、常温範囲に位置する極大値もしくは極小
値温度を頂点温度とし、一次係数項の調整により常温範
囲外に位置する変曲点まわりに温度特性を回転させて前
記頂点温度を常温範囲の最適値に調整するように構成し
たものである。即ち、水晶板を電気軸(X軸)まわりに
θ=113〜135度回転させて得られるSTカット水
晶板を更にZ’軸まわりにψ=±(40〜49)度だけ
面内回転させたSTカット水晶板(水晶片)を設定す
る。その範囲内で、さらに温度特性が極値を持つ範囲を
選定し、この範囲内で面内回転角を調整し、温度特性の
極大値もしくは極小値温度を常温範囲の最適値に調整し
て温度特性を調整する。それを説明したものが図21で
ある。
【0034】図21は、本発明のSAW共振子の周波数
温度特性を示す図である。今、図21に示しているよう
に、Z’軸まわりに面内回転させたSTカットSAW共
振子の温度特性は変曲点温度が約110℃であり、常用
温度範囲は、温度領域−40〜+85℃であるので、変
曲点より低い温度領域に位置する極大値を有する特性領
域を使用する(図21において四角で囲んだ部分)。3
次関数温度特性の場合には変曲点を移動することが困難
であるので、一次係数項を調整し、特性線を変曲点まわ
りに回転させる。
【0035】図21に示す実線が基本特性線である場
合、その極大値P1を使用温度範囲Tzの中央に位置す
るように、特性線を変曲点まわりに回転させて新たに破
線で示しているような特性線を得る。これにより、あた
かも、使用温度範囲で頂点温度を平行移動したかの如
く、極大値温度がP1からP2に移動し、使用温度範囲
において周波数変化率を最小にすることができる。
【0036】図22は、AT振動子、従来のSAW共振
子、および本発明のSAW共振子の3つの温度特性を比
較した図である。それぞれの周波数は80MHz,12
5MHz,625MHzのものを使用しているが、基本
的な特性は周波数によらない。これから、本発明のSA
W共振子はATカット型共振子に比べてその特性は劣る
が、従来のSAW共振子に比べて温度領域全体で改善さ
れ、例えば−5℃において1/2程度に改善されている
のが判る。
【0037】上述の本発明のSAW共振子を使用した水
晶発振器は、周波数−温度特性が大幅に改善される。し
かし、そのSAW共振子は、400MHz以上の高周波
帯域で動作するように設計を行う必要がある。それは、
SAW共振子を低周波帯域(100MHz帯、たとえば
106.25MHz)で設計すると、そのチップサイズ
がかなり大きくなり、電子機器に要求されている小型化
が困難となる理由からである。そこで、本発明では、高
周波帯域(400MHz以上)で発振する小型化された
SAW共振子を使用し安定して発振させる発振回路を小
型の水晶発振器として実現している。また、小型化され
たSAW共振子を使用した発振器において、その発振周
波数を分周することによって低周波帯域の出力信号を得
ることができ、デュ−ティ比のばらつきの少ない水晶発
振器を実現している。つまり、本発明の水晶発振器で
は、高周波帯域用のSAW共振子を駆動する高周波発振
回路を構成し、さらに分周回路を追加することにより低
周波帯域から高周波帯域までの出力信号を得ることがで
き、周波数−温度特性の良好な水晶発振器を実現してい
る。
【0038】本発明における水晶発振器には、基本的に
は、発振回路の種類から分類して、コルピッツ発振回路
を使用した水晶発振器と移相回路を使用した水晶発振器
の2種類がある。即ち、従来のコルピッツ型発振回路を
変形し、寄生容量の影響を減らし高周波動作を安定化さ
せた構成の変形コルピッツ型発振回路を用いた水晶発振
器または移相型水晶発振器である。そして、それらのい
ずれかと接続する分周回路の周波数分周の制御方法で分
類すると6つの実施の形態がある。第1の実施の形態の
水晶発振器は、周波数−温度特性を改善したSAW共振
子を用い、高周波動作を安定化させた変形コルピッツ型
発振回路で高周波信号を生成し、この高周波信号を差動
変換回路を介して分周回路で分周して低周波の出力信号
を発生する構成である。第2の実施の形態の水晶発振器
は、変形コルピッツ発振回路を用いた第1の実施の形態
の構成において、分周回路から出力される複数の周波数
の発振信号を外部端子によって切り替えるようにした構
成である。第3の実施の形態の水晶発振器は、変形コル
ピッツ発振回路を用いた第1の実施の形態の構成におい
て、分周回路から出力される複数の周波数の発振信号を
外部から選択できるように制御回路およびメモリ(記憶
手段)を設け、メモリ内に記憶させた情報に応じて制御
回路を外部から制御し、所望の周波数の出力信号を送出
できるようにした構成である。
【0039】第4の実施の形態の水晶発振器は、SAW
共振子を用いて移相型発振回路で高周波発振させ、その
高周波信号を出力すると共に、正帰還発振ループ内のバ
ッファ回路からの複数の出力信号のうち正帰還発振ルー
プを構成しない出力信号の高周波信号を分周回路で分周
して低周波信号を発生する構成である。第5実施の形態
の水晶発振器は、移相型発振回路を用いた第4の実施の
形態の構成において、分周回路から出力される複数の周
波数の発振信号を外部端子によって切り替えるようにし
た構成である。第6の実施の形態の水晶発振器は、移相
型発振回路を用いた第4の実施の形態の構成において、
分周回路から出力される複数の周波数の発振信号を外部
から選択できるように制御回路およびメモリを設け、メ
モリ内に記憶させた情報に応じて制御回路を外部から制
御し、所望の周波数の出力信号を発生できるようにした
構成である。以下に各実施の形態について説明する。
【0040】第1の実施の形態 先ず、第1の実施の形態として、SAW共振子を変形コ
ルピッツ型発振回路によって高周波発振させて高周波信
号を生成し、さらに、この高周波信号を差動変換回路を
介して分周回路で分周して低周波の出力信号を送出する
水晶発振器であり、まず、変形コルピッツ型発振回路に
ついて説明する。コルピッツ型の発振回路13には、従
来型コルピッツ発振回路と変形コルピッツ発振回路とが
ある。図3は従来型コルピッツ発振回路を示す図であ
り、図4は本発明の水晶発振器に用いられる変形コルピ
ッツ発振回路を示す図である。何れの発振回路の場合
も、実線で示した回路部分が現実の発振回路であり、破
線で示したコンデンサがパッケージや配線によって生じ
た寄生容量である。図3に示す従来型コルピッツ発振回
路において、高周波帯域で安定発振させるためには、コ
ンデンサC1,C2の値を小さくしてSAW共振子12
の負荷容量を小さく抑え、高周波帯域における負性抵抗
を高くしてQを大きくする必要がある。しかし、実際に
はパッケージや配線の影響による寄生容量によって破線
で示すコンデンサC3,C4,C5が付加された等価回
路となる。つまり、SAW共振子12の端子間容量に相
当するコンデンサC3が付加され、さらには、SAW共
振子12の端子とグランド間の寄生容量に相当するコン
デンサC5が付加される。すなわち、コンデンサC3,
C5がSAW共振子12に並列接続される。また、コン
デンサC2に出力端子とグランド間の寄生容量に相当す
るコンデンサC4が並列に付加された等価回路となるの
で、発振回路に使用するコンデンサの実質的な容量が大
きくなってしまう。そのため、SAW共振子12に対す
る負荷容量が大きくなり、高周波帯域における負性抵抗
が低下してQが小さくなってしまう欠点がある。
【0041】そこで、本発明の水晶発振器に適用される
コルピッツ発振回路では、図4に示すような変形コルピ
ッツ発振回路を採用している。図4の変形コルピッツ発
振回路は、トランジスタTrのコレクタ−ベース間にS
AW共振子12と抵抗R1とが並列に接続され、トラン
ジスタTrのベース−エミッタ間にコンデンサC1が接
続され、さらに、トランジスタTrのコレクタ−エミッ
タ間にコンデンサC2が接続され、電源Vccから電流
制限用の抵抗R2を介してトランジスタTrのコレクタ
側に接続され、エミッタ側がグランドに接続されてい
る。図4のように構成された変形コルピッツ発振回路
は、図3に示す従来型コルピッツ発振回路と交流的には
(つまり、発振動作回路としては)全く等価な回路であ
る。
【0042】図4の変形コルピッツ発振回路において
は、パッケージや配線によって生じる寄生容量は破線で
示したコンデンサC3,C4,C5,C6である。つま
り、寄生容量によって付加されたコンデンサは、SAW
共振子12の端子間容量に相当するコンデンサC3と、
SAW共振子12の両端の端子とグランド間の寄生容量
に相当するコンデンサC5,C6と、出力端子とグラン
ド間の寄生容量に相当するコンデンサC4である。
【0043】図4の等価回路からSAW共振子12に対
する負荷容量Ca1,Ca2をそれぞれ算出すると、図
3の従来型コルピッツ発振回路の場合は、 Ca1=C1×(C2+C4)/(C1+C2+C4)
+C3+C5 であり、図4の変形コルピッツ発振回路の場合は、 Ca2=((C1+C6)×(C2+C4+C5)) /(C1+C2+C4+C5+C6)+C3 となる。ここで、両者の比較を簡単にするために、C1
=C2=5pF,C3=C4=C5=C6=1pFとす
ると、図3の場合の負荷容量Ca1は約4.7pF、図
4の場合の負荷容量Ca2は約4.2pFとなる。この
ことから、図4の変形コルピッツ発振回路は、図3の従
来型コルピッツ発振回路の場合に比べて本発明のSAW
共振子12に対する負荷容量は小さくなることがわか
る。そのため、図4に示す変形コルピッツ型発振回路で
は、高周波帯域における負性抵抗の低下の割合は図3の
従来型コルピッツ発振回路の場合に比べて少なくするこ
とができる。このようにして、図4のような変形コルピ
ッツ型発振回路を採用することにより、寄生容量による
影響を小さくし、負性抵抗を大きくすることができる。
つまり、変形コルピッツ型発振回路を用いることによ
り、寄生容量の増加を最小限に抑えて高周波帯域におけ
る負性抵抗を比較的高くしてQを大きくすることができ
る。
【0044】図4に示す変形コルピッツ型発振回路をI
C化する際に、ICパッドとしてパッケージに接続され
る部分において寄生容量が形成され、等価的には破線で
示すようなコンデンサC3,C4,C5,C6が付加さ
れ、負荷容量が増加したことになる。そして、この負荷
容量の増加分と、図3に示す従来型コルピッツ型発振回
路の寄生容量であるコンデンサC3,C4,C5による
負荷容量増加分と比べれば、変形コルピッツ型発振回路
の負荷容量は小さくなる。その結果、変形コルピッツ型
発振回路は負性抵抗を大きく取れるので、高いQの値を
保持して安定的に高周波発振を行うことができる。
【0045】図5は、図3の来型コルピッツ発振回路と
図4の変形コルピッツ型発振回路における負性抵抗の比
較図である。図5に示す負性抵抗の比較特性図は、図3
および図4において実線で示したコンデンサC1,C2
をそれぞれ5pF、破線で示したコンデンサ(寄生容
量)C3〜C6をそれぞれ1pFに設定して、シミュレ
ーションによって取得したデータである。図5では、横
軸に周波数(単位:MHz)を表わし、縦軸に負性抵抗
(単位:Ω)を表わしている。
【0046】図5に示すシミュレーションの結果から明
らかなように、図3の従来型コルピッツ発振回路は、特
性(a)に示すように負性抵抗は最大でも−100Ωで
ある。しかし、図4の変形コルピッツ型発振回路の構成
にすることによって、特性(b)のように負性抵抗が大
きくなり、周波数帯が100MHz付近で負性抵抗は−
240Ω程度とかなり大きくなっている。したがって、
このような大きな負性抵抗を確保できる変形コルピッツ
型発振回路を用いれば、本発明のSAW共振子のような
高周波用のデバイスを100MHz付近の比較的低周波
帯域において高いQを得ることができるので、SAW共
振子12を安定的に発振させることができる。
【0047】図6は、本発明の第1の実施の形態におい
て、変形コルピッツ発振回路を用いた水晶発振器の構成
を示すブロック図である。この水晶発振器11は、周波
数−温度特性を改善したSAW共振子12と、SAW共
振子12を励振させる変形コルピッツの発振回路13
と、発振回路13で生成された発振信号に基づいて18
0°位相の異なる2つの差動信号を生成する差動変換回
路14と、差動変換回路14で分周された高周波信号を
分周して低周波信号を生成する分周回路15と、分周回
路15からの低周波信号を受けて波形整形された低周波
信号を出力する出力回路16とによって構成されてい
る。
【0048】変形コルピッツ型の発振回路13が、SA
W共振子12を高周波発振させて高周波信号を生成し、
さらに、差動変換回路14が、高周波信号を受けて18
0°位相の異なる2つの差動信号を生成して分周回路1
5を分周駆動させる。分周回路15は、差動変換回路1
4からの180°位相の異なる2つの差動信号でトリガ
することにより低周波信号を生成する。たとえば、SA
W共振子12が400MHzの発振信号で発振している
とき、差動変換回路14は400MHzの2つの差動信
号を生成し、分周回路15は4分周動作して100MH
zの発振信号を生成する。負性抵抗のバラツキによって
高周波信号のデュ−ティ比のバラツキが大きいと、差動
変換回路14を通して差動信号のデュ−ティ比もバラツ
キが大きい信号となる。ところが、分周回路15を通す
ことで、差動信号の立ち上がり信号のみ、或いは立ち下
がり信号のみに同期して、発振信号の立ち上がり信号、
立ち下がり信号として生成されるので、デュ−ティ比は
ほぼ50%となり、デュ−ティ比のバラツキが非常に小
さい出力信号を得ることができる。
【0049】さらに、出力回路16は、入力された10
0MHzの発振信号を波形整形して、波形の立ち上がり
立下りが急峻な100MHzの出力信号を生成し、たと
えば、外部のトランジスタの駆動回路などに送信する。
なお、出力回路16の出力形式には、シングルショット
動作による1出力信号形式と、差動動作による2出力信
号形式とがある。1出力信号形式は、周波数帯域が20
0MHz以下でC−MOS、TTLなどの出力形式があ
る。一方、2出力信号形式は、周波数帯域が200MH
z以上で一般的な差動増幅回路(PECL)に主に採用
される。
【0050】図7は、図6に示す差動変換回路14の具
体的な回路の一例を示す図であり、図8は図7の差動変
換回路における各部の波形を示す図である。図7に示す
ように、差動変換回路は一般的に用いられている回路で
あるのでその詳細な説明は省略するが、抵抗R3,R
4,R5,R6からなる抵抗ブリッジを差動ICの入力
回路とし、差動ICの入力端子の一端に、図6に示す発
振回路13からの発振信号(a)を入力すると、差動I
Cの出力側から差動信号(b)、(c)が取り出せるよ
うになっている。図7の(a)、(b)、(c)の各位
置の信号波形がそれぞれ図8に示されている。発振回路
13からの発振信号(a)を差動ICの入力端子の一端
に入力すると、出力側には、入力側の発振信号(a)と
同相の差動信号(b)と入力側の発振信号(a)と逆相
の差動信号(c)とが一対の差動信号として取り出せ
る。
【0051】図9は、入力発振信号を4分周させて周波
数を低減させる分周回路の内部構成の一例を示す図であ
る。図9において、分周回路が発振回路から400MH
zの発振信号を入力端子Tで受信すると、インバータI
Cを経由しない発振信号とインバータICを経由した反
転発振信号のトリガによって、入力された発振信号はA
ND/ORのIC群で構成される分周回路によって4分
周され、1/4の周波数に低減される。したがって、出
力側の非反転Q端子と反転Q端子から100MHzの2
出力の発振信号を得ることができる。
【0052】図10は、図9のインバータを用いない
で、差動信号を用いる場合の分周回路の内部構成の一例
を示す図である。図6において、発振回路13から図8
の波形(a)に示すような発振信号が出力されると、差
動変換回路14によって図8の波形(b)、(c)に示
すような一対の差動信号が生成される。これによって、
図10の分周回路の非反転入力端子(T)には差動信号
(b)が入力され、反転入力端子(反転T)には差動信
号(c)が入力される。よって、図10の分周回路は、
図9のようなインバータICを用いなくても、400M
Hzの発振信号が一対の差動信号によって4分周され、
出力側の非反転Q端子と反転Q端子には100MHzの
信号を出力することができる。
【0053】第2の実施の形態 上記で説明した第1の実施の形態の変形として、分周回
路の分周比を選択するための複数の外部端子を付加した
第2の実施の形態を説明する。図11は、本発明の第2
の実施の形態における、コルピッツ型発振回路を用いた
水晶発振器の構成を示すブロック図である。第2の実施
の形態では、コルピッツ型発振回路を用いた図6の第1
の実施の形態の構成において、分周回路15から出力さ
れる複数の周波数の発振信号を外部端子17によって切
り替えるようにしている。そのため、図11に示すよう
に、分周回路15の分周比を切り替えるための外部端子
17を設け、外部端子17のそれぞれの信号を選択的に
HレベルとLレベルに切り替えるようにしている。
【0054】たとえば、図10の分周回路のリセット端
子をHレベルに切り替えれば分周回路は動作し、リセッ
ト端子をLレベルに切り替えれば分周回路は停止する。
このようなリセット端子を備えた2分周回路をn段直列
に接続して図11の分周回路15を構成する。一方、外
部端子17もn個配置して、それぞれの外部端子17を
各2分周回路のリセット端子に接続する。これにより、
それぞれの外部端子17をHレベル/Lレベルと適宜に
切り替えることによってそれぞれの2分周回路をON/
OFFして、分周回路15で複数の分周比を得ることが
できる。このように、1つの発振周波数のSAW共振子
12に対して種々の分周比を設定することができる。
【0055】第3の実施の形態 次に、上述した第2の実施の形態の変形として、制御回
路からの制御信号によって分周回路の分周比を制御する
第3の実施の形態を説明する。図12は、本発明の第3
の実施の形態における、コルピッツ型発振回路を用いた
水晶発振器の構成を示すブロック図である。図12に示
すように、第3の実施の形態では、コルピッツ型発振回
路を用いた図6に示す第1の実施の形態の構成を基本に
して、分周回路15の分周比設定情報を記憶するEEP
ROMなどのメモリ19と、メモリ19に記憶されてい
る情報に基づいて分周回路15の分周比を切替制御する
制御回路18とが付加されている。このような構成によ
って、制御回路18がメモリ19内に記憶されている分
周比の設定情報に応じて分周回路15の分周比を制御
し、分周回路15から所望の周波数の信号を出力するこ
とができる。
【0056】第3の実施の形態では、図12に示すよう
に水晶発振器11に制御回路18とメモリ19を内蔵さ
せ、外部制御端子20と制御回路18をシリアル通信さ
せることによって1つの外部端子のみで外部から分周比
の切り替え(つまり、所望の周波数への切り替え)を行
うことができる。したがって、図11に示すような複数
の外部端子を設ける必要がないので、端子間のノイズ干
渉によって分周比切替時に誤動作を起こすおそれもなく
なる。なお、外部制御端子20からメモリ19に記憶さ
れている分周比設定情報を書き換えることもできる。ま
た、外部制御端子20はシリアル通信用の端子となるた
め不用意な分周比の切り替えを防止することができる。
【0057】次に、制御回路18によって分周回路15
の分周比を切替制御する具体的な回路構成について説明
する。図13(a)は複数の2分周器によって分周比を
切替制御する分周回路の一例を示す図であり、図13
(b)は分周比とスイッチモードとの対応関係を示す図
である。図13(a)において、分周回路15は、複数
の2分周器15a,15b,15c,15dが直列接続
された構成となっている。初段の分周器15aを除く他
の2分周器15b、15c、15dには、それぞれ、ス
イッチSWa,SWb,SWcが並列に接続されてい
る。また、各スイッチSWa,SWb,SWcは、それ
ぞれ、制御回路18からの制御信号a,b,cによって
ON/OFF制御されるように構成されている。一方、
メモリ19には分周回路15の分周比設定情報が記憶さ
れている。
【0058】図13(b)の分周比とスイッチモードと
の対応関係の図に示すように、分周回路15を2分周で
動作させるときには、外部制御端子20からの制御信号
a,b,cによってスイッチSWa,SWb,SWcを
ONさせれば、2分周器15aのみが動作して分周回路
15から2分周された出力信号を得ることができる。同
様にして、分周回路15を4分周で動作させるときに
は、外部制御端子20からの制御信号b,cによってス
イッチSWb,SWcをONさせれば、2分周器15a
と2分周器15bが動作して分周回路15から4分周さ
れた出力信号を得ることができる。以下、分周回路15
を8分周で動作させるときには、スイッチSWcをON
させて2分周器15a,15b,15cを動作させ、分
周回路15を16分周で動作させるときには、全てのス
イッチSWa,SWb,SWcをOFFさせて全ての2
分周器15a,15b,15c,15dを動作させれば
よい。
【0059】図13の例では2分周器を4段直列で構成
したが、2分周器をn段直列にして切替動作を行えば、
分周回路15を2分周から2n分周まで切り替えること
ができる。また、図13の例では、制御回路18によっ
てスイッチSWa,SWb,SWcを切替制御する例を
説明したが、スイッチを設けなくても2分周器の切替制
御を行うことができる。たとえば、制御回路18から、
それぞれの2分周器15a,15b,15c,15dの
リセット端子(図10参照)をHレベル/Lレベルに切
り替える信号を送出してもよい。リセット端子がHレベ
ルの信号を受信した2分周器は動作し、Lレベルの信号
を受信した2分周器は停止するので、選択的に2分周器
を動作させて分周回路15の分周比を制御することがで
きる。
【0060】第4の実施の形態 次に、移相型発振回路を用いて高周波発振させると共
に、正帰還発振ループ内のバッファ回路からの複数の出
力信号のうち正帰還発振ループを構成しない出力信号で
ある高周波信号を分周回路で分周して低周波信号を発生
する第4の実施の形態について説明する。この実施の形
態の場合は、バッファ回路の正帰還発振ループを構成し
ない出力信号により発振信号を出力しているので、正帰
還発振ループに影響を与えることなく周波数の異なる複
数の発振信号を得ることができる。以下の説明では、移
相型発振回路を用いて周波数の異なる2種類の発振信号
を出力する水晶発振器について述べる。
【0061】図14は、本発明の第4の実施の形態にお
いて、電圧制御型移相回路を用いて正帰還発振ループを
構成した移相型発振回路による水晶発振器の一例を示す
図である。図14の水晶発振器21は、SAW共振子1
2、電圧制御型位相回路31、スイッチ32およびイン
ピーダンス33からなる移相型発振回路22と、差動バ
ッファ34,35,36からなる第1出力回路23と、
分周回路15と、第2出力回路24とから構成されてい
る。なお、必要により分周回路15の前段に差動変換回
路14を設けてもよい。
【0062】図14の水晶発振器21に構成されている
SAW共振子12、差動変換回路14および分周回路1
5は、前述の各実施の形態で述べたそれらと同じもので
あるのでその説明は省略する。また、電圧制御型移相回
路31は、複数のCRを逆L型に多段構成して位相シフ
トさせて行く一般的な移相回路であるのでその説明も省
略する。SAW共振子12から出力される発振信号は、
インピーダンスZ33の両端に発生する電圧信号レベル
として差動バッファ34に入力される。さらに、出力用
差動バッファ35を介して、出力用差動バッファ35の
出力端子よりSAW共振子12の発振信号と同一周波数
(以下、原発振周波数という)の第1出力信号が得られ
る。
【0063】この水晶発振器21の特徴は、SAW共振
子12を用いて電圧制御型移相回路31を含むループ回
路で高周波発振させて、第1出力回路23内に構成され
ている発振用差動バッファ34を介して出力用差動バッ
ファ35より原発振周波数の第1出力信号を得ると共
に、正帰還ループを構成する正帰還ループの帰還用差動
バッファ36からの原発振周波数の発振信号を分周回路
15で分周して低周波信号に変換し、第2出力回路24
より低周波の第2出力信号を得る点である。つまり、第
4の実施の形態の水晶発振器21の特徴は、正帰還ルー
プ内の帰還用差動バッファ36を利用することによっ
て、原発振周波数の第1出力信号とは別に、周波数を低
減した第2出力信号を取り出せることが特徴である。
【0064】なお、第1出力回路23側から分周回路1
5へ発振信号を取り出す場合は、帰還用差動バッファ3
6の2出力Q1,Q2の何れでもよいが、正帰還ループ
系に影響を与えないようにするために、スイッチ32に
よって電圧制御型移相回路31が接続されていない側か
ら取り出す必要がある。つまり、図14に示すように、
スイッチがS1側に接続されているときは、発振信号を
帰還用差動バッファ36の出力Q1から分周回路15へ
取り出す必要がある。また、分周回路15の前段に差動
変換回路14を設けて、帰還用差動バッファ36の出力
Q1からの発振信号を差動信号に変換して分周回路15
へ入力してもよいことは前述の第1の実施の形態で述べ
た通りである。
【0065】図18は、図14に示す差動バッファ3
4,35,36の具体的な回路の一例を示す図である。
この差動バッファの回路は一般的な回路であるので詳細
な説明は省略し、図14の回路に用いられた場合の概略
的な動作を述べる。プラス、マイナスの発振信号がそれ
ぞれ入力端子IN+とIN−に入力されると、トランジ
スタTr1、Tr2が差動反転動作を繰り返し、トラン
ジスタTr4のOUT−およびTr5のOUT+より増
幅および波形整形された差動信号を取り出すことができ
る。なお、トランジスタTr3は発振信号のバイアスレ
ベルを可変設定するための手段である。
【0066】水晶発振器から周波数の異なる2つの出力
信号を取り出す具体的な例を説明する。図15は、図1
4に示す第4の実施の形態の移相型発振回路を用いた水
晶発振器の構成を示すブロック図である。移相型発振回
路22が、SAW共振子12をたとえば400MHzで
励振させると、第1出力回路23からは原発振周波数で
ある400MHzの第1出力信号が得られる。一方、移
相型発振回路22の正帰還ループから取り出された原発
振周波数である400MHzの発振信号が分周回路15
へ入力され、分周回路15はこの発振信号を4分周して
100MHzの発振信号を生成して第2出力回路24へ
供給する。これによって、第2出力回路24から波形整
形された100MHzの第2出力信号が得られる。
【0067】このようにして周波数の異なる2出力信号
が得られる場合、第1出力信号の系統と第2出力信号の
系統の間には差動バッファが介在しているので、それぞ
れの出力信号を個別の負荷に接続しても、第1出力信号
と第2出力信号が相互干渉して信号波形が乱されるおそ
れはない。したがって、原発振周波数の第1出力信号と
低周波数の第2出力信号をそれぞれ個別の機器に発振信
号として供給することができる。また、第1出力信号の
ラインに直接プローブを接続して波形測定を行うと、第
1出力信号の周波数が400MHz程度と高い場合は測
定ラインのインピーダンスによって第1出力信号の波形
が乱れてしまうおそれがある。そこで、差動バッファを
介した第2出力回路の100MHzの第2出力信号を測
定すれば第1出力信号の波形を乱すおそれはなくなる。
つまり、高周波用の第1出力回路23の第1出力信号を
機器に供給する発振信号とし、低周波用の第2出力回路
24の第2出力信号を原発振信号を測定するための測定
用信号とするような使い方もできる。
【0068】第5の実施の形態 次に、移相型発振回路を用いた第4の実施の形態の変形
として、分周回路の分周比を選択するための複数の外部
端子を付加した第5の実施の形態を説明する。この実施
の形態では、分周回路から出力される複数の周波数の発
振信号を外部端子によって切り替えるように構成されて
いる。図16は、本発明の第5の実施の形態において、
移相型発振回路を用いた水晶発振器の構成を示すブロッ
ク図である。第5の実施の形態では、図15に示す第4
の実施の形態の構成において、分周回路15から出力さ
れる複数の周波数の発振信号を外部端子17によって切
り替えるようにしている。そのため、図16に示すよう
に分周回路15の分周比を切り替えるための複数個の外
部端子17を設け、外部端子17のそれぞれの信号を選
択的にHレベルとLレベルに切り替えるようにしてい
る。
【0069】分周回路15の分周比の切替動作について
は第2の実施の形態で説明しているので重複する説明は
省略する。なお、図16の第5の実施の形態では、第2
の実施の形態の図11に比べて、スイッチSW1、SW
2をON/OFFするための外部端子17'が追加され
ている。外部端子17'の切替モードによって、第1出
力信号、第2出力信号を共に出力することもできるし、
第1出力信号と第2出力信号を選択的に出力することも
できる。たとえば、スイッチSW1をONして第1出力
回路23から400MHzの第1出力信号を出力してい
るとき、測定時にスイッチSW2をONして第2出力回
路24から100MHzの第2出力信号を出力して波形
測定を行い、測定後はスイッチSW2をOFFにすると
いう動作を外部から供給される切替信号によって行うこ
とができる。
【0070】第6の実施の形態 次に、上述した第5の実施の形態の変形として、制御回
路からの制御信号によって分周回路の分周比を制御する
第6の実施の形態を説明する。図17は、本発明の第6
の実施の形態における、移相型発振回路を用いた水晶発
振器の構成を示すブロック図である。図17に示すよう
に、第6の実施の形態では、移相型発振回路を用いた図
15に示す第4の実施の形態の構成を基本にして、分周
回路15の分周比設定情報を記憶するEEPROMなど
のメモリ19と、メモリ19に記憶されている情報に基
づいて分周回路15の分周比を切替制御する制御回路1
8とが付加されている。
【0071】このような構成によって、制御回路18が
メモリ19内に記憶されている分周比の設定情報に応じ
て分周回路15の分周比を制御し、分周回路15から所
望の周波数の出力信号を得ることができる。第6の実施
の形態では、図17に示すように水晶発振器21’に制
御回路18とメモリ19を内蔵させ、外部制御端子20
と制御回路18をシリアル通信させることによって1つ
の外部端子のみで外部から分周比の切り替え(つまり、
所望の周波数への切り替え)を行うことができる。制御
回路18による分周回路15の分周比の切り替え動作に
ついて、前述の第3の実施の形態で説明したので重複す
る説明は省略する。
【0072】次に、本発明の水晶発振器を用いた電子機
器について説明する。図19は、本発明の水晶発振器を
用いた10Gビットの光ネットワーク用インタフェース
モジュールの概略構成図である。この光ネットワーク用
インタフェースモジュール41は、たとえば、サーバ用
コンピュータと光ネットワークとの間で光/電気変換ま
たは電気/光変換を行うためのインタフェース機能を実
現するためのモジュールである。また、図19では、光
ネットワーク用インタフェースモジュール41の図示左
側が電気信号の系統、図示右側が光信号の系統を表わし
ている。
【0073】光ネットワーク用インタフェースモジュー
ル41は、3.125Gビットの信号をシリアル/パラ
レル変換するS/P変換部42およびパラレル/シリア
ル変換するP/S変換部43と、多重化または分離化の
ために電気信号のビット符号変換を行うビット符号変換
部44と、10.3125Gビットの電気信号をパラレ
ル/シリアル変換するP/S変換部45およびシリアル
/パラレル変換するS/P変換部46と、電気信号を光
信号に変換する電気/光変換部47と、光信号を電気信
号に変換する光/電気変換部48と、625MHzの原
発振クロック信号を生成する原発振器49と、原発振器
49から625MHzの高周波クロック信号を受けて2
分周した312.5MHzの低周波クロック信号を生成
する2分周器50とによって構成されている。
【0074】原発振器49および2分周器50として
は、たとえば、図15に示すような、高周波の第1出力
信号と低周波の第2出力信号の2出力信号を取り出せる
水晶発振器を用いることができる。原発振器49から6
25MHzの高周波クロック信号がP/S変換部45お
よびS/P変換部46へ供給され、2分周器50から3
12.5MHzに2分周された低周波クロック信号がS/
P変換部42およびP/S変換部43へ供給される。
【0075】原発振器49および2分周器50が、それ
ぞれ、625MHzおよび312.5MHzのクロック
信号を各変換部へ供給することによって、図示左側から
入力された複数の電気信号は、S/P変換部42、ビッ
ト符号変換部44、P/S変換部45を介して多重化さ
れた後、電気/光変換部47によって光信号に変換され
て図示右側の光ネットワーク側へ送出される。さらに、
図示右側から入力された光信号は、光/電気変換部48
によって電気信号に変換された後、S/P変換部46、
ビット符号変換部44、P/S変換部43を介して分離
化され、図示左側の電気ネットワーク側へ送出される。
【0076】このように、光ネットワーク用インタフェ
ースモジュール41は2種類の周波数の発振源を必要と
するが、図19においては、1個の水晶発振器が、SA
W共振子によって625MHzの高周波クロック信号を
生成する原発振器49と、原発振器49からの高周波ク
ロック信号を分周して312.5MHzの低周波クロッ
ク信号を生成する2分周器50とを一体化して有してい
る。したがって、光ネットワーク用インタフェースモジ
ュール41の装置全体の小型化を図ることができる。こ
れによって、たとえば、動画のような大量のデータを伝
送できる10Gビットイーサネット(登録商標)に代表
されるようなネットワークシステムを、小型かつ容易に
構築することができる。
【0077】以上述べた実施の形態は本発明を説明する
ための一例であり、本発明は、上記の実施の形態に限定
されるものではなく、発明の要旨の範囲で種々の変形が
可能である。例えば、コルピッツ型発振回路は図4のよ
うな回路に限定されるものではなく、水晶発振器をパッ
ケージに構成したときの寄生容量をできるだけ小さくで
きるような発振回路であれば、どのような発振回路であ
っても本発明の水晶発振器を実現することができる。ま
た、分周回路は図9や図10の回路に限定されるもので
はなく、たとえば、シフトレジスタによって分周回路を
構成してもよい。さらに,差動バッファの回路は図7の
ような回路に限定されるものではなく、どのような差動
回路であってもよい。
【0078】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
SAW共振子のもつ良好な周波数−温度特性と低ジッタ
特性を生かし、かつ、寄生容量の影響を軽減し、高周波
動作を高い安定度で得られる高周波発振器を実現するこ
とができる。また、SAW共振子を低周波で発振させよ
うとするとチップサイズは大きくなってしまうが、本発
明の発振器によれば、高周波用として小型化されたSA
W共振子を高周波発振回路で原発振させた後、この原発
振の周波数を分周することによってデュ−ティ比のバラ
ツキが少ない小型化された低周波用の発振器を実現する
ことができる。
【0079】また、本発明の発振器によれば、移相型発
振回路の正帰還ループにおいて、この正帰還発振ループ
に影響を与えることなく分周回路を接続することによっ
て、高周波用の出力信号と低周波用の出力信号とを同時
に取り出し、または、これらを任意に選択して取り出す
ことができる。また、高周波の発振回路と分周回路との
間に差動変換回路を介在させることにより、位相が18
0°異なる2つの差動信号を生成することができるの
で、差動増幅回路以降の分周回路や出力回路のコモンモ
ードノイズをキャンセルすることができる。さらに、差
動増幅回路からの差動信号によって分周回路をトリガす
ることにより、分周回路は非反転入力と反転入力の2入
力によって構成されるので、分周回路の内部にインバー
タ回路を構成する必要がなくなり、たとえば図10に示
すように分周回路の回路規模を簡素化することができ
る。
【0080】また、本発明の発振器によれば、400M
Hz帯以上で発振する発振器の高周波特性を測定する場
合は、バッファ回路を介して周波数を分周し、低周波数
の測定信号を取り出すことによって、配線の長さに起因
する伝送損失をなくすことができる。このため、測定信
号波形が変形することがなくなり正確に周波数測定を行
うことができる。さらに、本発明の発振器によれば、制
御回路とメモリを備えることにより、発振器の原発振の
周波数が一種類であっても、ユーザ側の電子機器の仕様
に基づいた周波数の出力信号を任意に選択して取り出す
ことができる。また、1個の発振器から2出力信号を取
り出すことができるので、高周波領域と低周波領域の両
方の仕様に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来のSTカット型SAW共振子を用いた水
晶発振器の概略の構成を示したブロック図である。
【図2】 発振回路の負性抵抗のバラツキに伴う出力信
号波形のデューティ比の変動を示す波形図であり、
(a)は発振回路の発振信号波形を示し、(b)は出力
回路の出力信号波形を示す。
【図3】 従来型のコルピッツ発振回路を示す図であ
る。
【図4】 本発明の水晶発振器に用いられる変形コルピ
ッツ発振回路を示す図である。
【図5】 図3の従来型コルピッツ発振回路と図4の変
形コルピッツ型発振回路における負性抵抗の比較図であ
る。
【図6】 本発明の第一の実施の形態における、コルピ
ッツ型発振回路を用いた水晶発振器の構成を示すブロッ
ク図である。
【図7】 図6に示す差動変換回路の具体的な回路の一
例を示す図である。
【図8】 図7の差動変換回路における各部の波形を示
す図である。
【図9】 入力発振信号を4分周して周波数を低減させ
る分周回路の内部構成の一例を示す図である。
【図10】 インバータを用いないで、差動信号を用い
る場合の分周回路の内部構成の一例を示す図である。
【図11】 本発明の第2の実施の形態における、コル
ピッツ型発振回路を用いた水晶発振器の構成を示すブロ
ック図である。
【図12】 本発明の第3の実施の形態における、コル
ピッツ型発振回路を用いた水晶発振器の構成を示すブロ
ック図である。
【図13】 (a)は複数の2分周器によって分周比を
切替制御する分周回路の一例を示す図であり、(b)は
分周比とスイッチモードとの対応関係を示す図である。
【図14】 本発明の第4の実施の形態における、電圧
制御型移相回路を用いて正帰還発振ループを構成した移
相型発振回路による水晶発振器の一例を示す図である。
【図15】 図14に示す第4の実施の形態の移相型発
振回路を用いた水晶発振器の構成を示すブロック図であ
る。
【図16】 本発明の第5の実施の形態における、移相
型発振回路を用いた水晶発振器の構成を示すブロック図
である。
【図17】 本発明の第6の実施の形態における、移相
型発振回路を用いた水晶発振器の構成を示すブロック図
である。
【図18】 図14に示す各差動バッファ34,35,
36の具体的な回路図の一例を示す図である。
【図19】 本発明の水晶発振器を用いた10Gビット
の光ネットワーク用インタフェースモジュールの概略構
成図である。
【図20】 本発明のSAW共振子に使用される水晶片
のカット角度を示す図である。
【図21】 本発明のSAW共振子に使用される水晶片
の周波数温度特性を示す図である。
【図22】 AT振動子、従来のSAW共振子、および
本発明のSAW共振子の3つの温度特性を比較した図で
ある。
【符号の説明】
1,11,21,21’…水晶発振器、2…STカット
型SAW共振子、12…SAW共振子、3,13…発振
回路、14…差動変換回路、15…分周回路、15a,
15b,15c,15d…2分周器、4,16…出力回
路、17、17’…外部端子、18…制御回路、19…
メモリ、20…外部制御端子、22…移相型発振回路、
23…第1出力回路、24…第2出力回路、31…電圧
制御型移送回路、32…スイッチ、33…インピーダン
ス、34,35,36…差動バッファ、41…光ネット
ワーク用インタフェースモジュール、42,46…S/
P変換部、43,45…P/S変換部、44…ビット符
号変換部、47…電気/光変換部、48…光/電気変換
部、49…原発振器、50…2分周器

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弾性表面波を利用したSAW(Surface
    Acoustic Wave)共振子を搭載した発振器であって、 前記SAW共振子を用いて高周波信号を生成する発振回
    路と、 前記発振回路からの高周波信号に基づいて位相が180
    °異なる2つの差動信号を生成する差動変換回路と、 前記差動変換回路からの差動信号に基づいて周波数分周
    を行い、低周波信号を生成する分周回路と、 前記分周回路から受信した低周波信号を波形整形して低
    周波信号を得る出力回路とを備えたことを特徴とする発
    振器。
  2. 【請求項2】 前記分周回路は、分周比を選択するため
    の複数の外部端子を備え、 前記複数の外部端子のいずれかに切替信号を選択的に供
    給することにより、前記分周回路の分周比を選択的に切
    り替えることを特徴とする請求項1に記載の発振器。
  3. 【請求項3】 さらに、 前記分周回路の分周比の設定情報を記憶する記憶手段
    と、 前記記憶手段に記憶されている分周比の設定情報に基づ
    いて、前記分周回路の分周比を切替制御する制御回路と
    を備え、 前記制御回路に対して外部からシリアル信号を供給する
    ことにより、前記分周回路は分周比を切替制御すること
    を特徴とする請求項1に記載の発振器。
  4. 【請求項4】 前記分周回路は複数の2分周器が直列接
    続された構成であり、前記2分周器の直列接続数を切り
    替えることにより、前記分周回路の分周比を切り替える
    ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の発振
    器。
  5. 【請求項5】 前記発振回路はコルピッツ型発振回路で
    あり、 前記コルピッツ型発振回路は、 トランジスタのコレクタ−ベース間に前記SAW共振子
    と第1の抵抗とが並列接続され、該トランジスタのベー
    ス−エミッタ間に第1のコンデンサが接続され、該トラ
    ンジスタのコレクタ−エミッタ間に第2のコンデンサが
    接続され、該トランジスタのコレクタ側が電流制限用の
    第2の抵抗を介して電源に接続され、該トランジスタの
    エミッタ側がグランドに接続された構成となっているこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の
    発振器。
  6. 【請求項6】 弾性表面波を利用したSAW(Surface
    Acoustic Wave)共振子を搭載した発振器であって、 前記SAW共振子、移相回路、発振用差動バッファ回路
    および帰還用差動バッファ回路からなる正帰還ループを
    用いて高周波信号を生成する移相型発振回路と、 前記発振用差動バッファ回路を介して取り出した高周波
    信号を波形整形し、高周波信号を出力する出力用差動バ
    ッファ回路と、 前記帰還用差動バッファ回路を介して取り出した高周波
    信号を周波数分周して低周波信号を生成する分周回路
    と、 前記分周回路からの低周波信号を波形整形して低周波信
    号を出力する出力回路とを備えたことを特徴とする発振
    器。
  7. 【請求項7】 前記移相型発振回路において、 前記帰還用差動バッファ回路が備える非反転出力端子お
    よび反転出力端子のいずれか一方は前記分周回路に対し
    前記帰還バッファ回路から出力された高周波信号の入力
    用として機能し、他方は前記正帰還発振ループ用出力と
    して機能することを特徴とする請求項6記載の発振器。
  8. 【請求項8】 前記発振用差動バッファ回路および前記
    帰還用差動バッファ回路はECLラインレシーバを用い
    た差動増幅回路であることを特徴とする請求項6に記載
    の発振器。
  9. 【請求項9】 前記分周回路は、分周比を選択するため
    の複数の外部端子を備え、 前記複数の外部端子のいずれかに切替信号を選択的に供
    給することにより、前記分周回路の分周比を選択的に切
    り替えることを特徴とする請求項6に記載の発振器。
  10. 【請求項10】 さらに、 前記分周回路の分周比の設定情報を記憶する記憶手段
    と、 前記記憶手段に記憶されている分周比の設定情報に基づ
    いて、前記分周回路の分周比を切替制御する制御回路と
    を備え、 前記制御回路に対して外部からシリアル信号を供給する
    ことにより、前記分周回路は分周比を切替制御すること
    を特徴とする請求項6に記載の発振器。
  11. 【請求項11】 前記分周回路は複数の2分周器が直列
    接続された構成であり、前記2分周器の直列接続数を切
    り替えることにより、前記分周回路の分周比を切り替え
    ることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の
    発振器。
  12. 【請求項12】 前記分周回路の前段に、前記帰還用差
    動バッファ回路から受信した高周波信号に基づいて位相
    が180°異なる2つの差動信号を生成する差動変換回
    路が設けられることを特徴とする請求項6乃至請求11
    の何れかに記載の発振器。
  13. 【請求項13】 前記SAW共振子は、オイラー角が
    (0,113〜135、+(40〜49))にある面内
    回転STカット水晶板を用いることを特徴とする請求項
    1乃至請求項12の何れかに記載の発振器。
  14. 【請求項14】 請求項1乃至請求項13の何れかに記
    載の発振器を備えたことを特徴とする電子機器。
  15. 【請求項15】 弾性表面波を利用したSAW(Surfac
    e Acoustic Wave)共振子を搭載した発振器の発振方法
    であって、 前記SAW共振子を用いて高周波信号を生成する手順
    と、 前記発振回路からの高周波信号に基づいて位相が180
    °異なる2つの差動信号を生成する手順と、 前記差動信号に基づいて周波数分周を行い低周波信号を
    生成する手順と、 前記低周波信号を波形整形して低周波信号を出力する手
    順とを含むことを特徴とする発振器の発振方法。
  16. 【請求項16】 前記発振器が備える複数の外部端子の
    いずれかに、切替信号を選択的に供給することにより、
    分周比を選択的に切り替えることを特徴とする請求項1
    5に記載の発振器の発振方法。
  17. 【請求項17】 前記発振器に外部からシリアル信号を
    供給することにより、あらかじめ記憶されている分周比
    の設定情報に基づいて該分周比を切替制御することを特
    徴とする請求項15に記載の発振器の発振方法。
  18. 【請求項18】 複数設けられた2分周器の直列接続数
    を切り替えることにより、前記分周比を切り替えること
    を特徴とする請求項16または請求項17に記載の発振
    器の発振方法。
  19. 【請求項19】 弾性表面波を利用したSAW(Surfac
    e Acoustic Wave)共振子を搭載した発振器の発振方法
    であって、 前記SAW共振子、移相回路、発振用差動バッファ回路
    および帰還用差動バッファ回路からなる正帰還ループを
    用いて高周波信号を生成する手順と、 前記バッファ回路を介して受信した高周波信号を波形整
    形し、高周波出力信号を出力用差動バッファ回路に出力
    する手順と、 前記帰還用差動バッファ回路を介して取り出した高周波
    信号を周波数分周して低周波信号を生成する手順と、 前記低周波信号を波形整形した低周波信号を第2の出力
    回路に出力する手順とを含むことを特徴とする発振器の
    発振方法。
  20. 【請求項20】 前記発振器が備える複数の外部端子の
    いずれかに、切替信号を選択的に供給することにより、
    分周比を選択的に切り替えることを特徴とする請求項1
    9に記載の発振器の発振方法。
  21. 【請求項21】 前記発振器に外部からシリアル信号を
    供給することにより、あらかじめ記憶されている分周比
    の設定情報に基づいて該分周比を切替制御することを特
    徴とする請求項19に記載の発振器の発振方法。
  22. 【請求項22】 複数設けられた2分周器の直列接続数
    を切り替えることにより、前記分周比を切り替えること
    を特徴とする請求項20または請求項21に記載の発振
    器の発振方法。
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